JP2010251167A - 操作感触付与型入力装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転抵抗の正確な制御が可能になるとともに、装置の製造コストの低廉化を達成可能な操作感触付与型入力装置を提供する。
【解決手段】アクチュエータは、電磁吸引ではなく、フレミングの左手則を用いてロータ部材側摩擦部(41)とステータ部材側摩擦部(61)とを圧接させる。詳しくは、ロータ部材(40)或いはステータ部材のいずれか一方に取り付けられたマグネット(50)およびヨーク(42)からなる磁気回路と、ロータ部材或いはステータ部材(60)のいずれか他方に取り付けられ、ロータ部材側摩擦部とステータ部材側摩擦部とが圧接する方向の電磁力を受けるように磁気回路で発生する磁界中に配置された電磁コイル(65)とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、操作者に力学的な操作感触を付与できる操作感触付与型入力装置に関するものである。
この種の入力装置は、車載電装品や電子機器等に搭載されており、操作感触(力覚)を操作者に付与する。
詳しくは、入力装置は例えば回転式の操作ノブを有し、操作者が操作ノブを回転させると、アクチュエータが当該回転状況を操作感触として操作者にフィードバックする。これにより、操作者は、操作ノブを直視することなく、車両のハンドルなどの別操作が可能になる。
このアクチュエータに電磁ブレーキを用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、操作ノブは回転軸部材が一体形成され、回転軸部材にはロータ部材が取り付けられている。
また、ロータ部材はステータ部材に対峙し、このステータ部材には電磁コイルが巻回されている。これらロータ部材やステータ部材は磁性体で構成される。
そして、電磁コイルに電流を流すと磁界が発生する。これにより、ロータ部材がステータ部材に向けて吸引され(電磁吸引)、このステータ部材に圧接して摩擦が生ずる。この電磁ブレーキによる摩擦が回転軸部材の回転抵抗になり、操作感触が得られる。
特開2005−28510号公報
しかしながら、上述した従来の技術では、回転抵抗の正確な制御が難しいとの問題がある。上記電磁吸引による圧接力は、このコイルに流れる電流値の2乗に比例するし、また、当該構造では、ロータ部材とステータ部材との圧接/離間動作が、ステータ部材に生じた残留磁気の影響を受け易く、本来のタイミングよりもいずれも遅れる傾向にあるからである。
また、当該構造では、ロータ部材およびステータ部材の双方が磁性体である点にも留意しなければならない。
すなわち、これらロータ部材とステータ部材との間に、非磁性体である摩擦部材を配置すると、電磁吸引による圧接力が急激に低下する。そこで、この構造には、当該圧接力を低下させない磁性材料を選択する、若しくは摩擦部材を薄くするなどの制約があり、これでは、入力装置の製造コストの増加に加え、各部材の耐久性や安定性、好適な操作感触を追及する上で大きな弊害になるのである。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、回転抵抗の正確な制御が可能になるとともに、装置の製造コストの低廉化を達成可能な操作感触付与型入力装置を提供することである。
上記目的を達成するための第1の発明は、筐体と、筐体に回転可能に支持された回転軸部材と、回転軸部材の軸線方向に遊動可能であって回転軸部材とともに回転するよう回転軸部材に取り付けられ、ロータ部材側摩擦部を有したロータ部材と、回転軸部材とともに回転しないよう筐体に取り付けられ、ステータ部材側摩擦部を有したステータ部材と、回転軸部材の回転状態を検出する検出手段と、ロータ部材を回転軸部材の軸線方向に移動させてロータ部材側摩擦部とステータ部材側摩擦部とを圧接させるアクチュエータと、アクチュエータの駆動制御を行う制御手段とを備えた操作感触付与型入力装置である。
そして、アクチュエータは、ロータ部材或いはステータ部材のいずれか一方に取り付けられたマグネットおよびヨークからなる磁気回路と、ロータ部材或いはステータ部材のいずれか他方に取り付けられ、ロータ部材側摩擦部とステータ部材側摩擦部とが圧接する方向の電磁力を受けるように磁気回路で発生する磁界中に配置された電磁コイルとを備える。
第1の発明によれば、ロータ部材は、回転軸部材とともに回転するが、その軸線方向に遊動可能であるのに対し、ステータ部材は、回転軸部材とともに回転せず、筐体に固定される。また、アクチュエータは、制御手段からの信号に応じて、ロータ部材のロータ部材側摩擦部とステータ部材のステータ部材側摩擦部とを圧接可能に構成されている。
詳しくは、このアクチュエータは、磁気回路および電磁コイルを備えている。磁気回路は、マグネットおよびヨークからなり、ロータ部材或いはステータ部材のいずれか一方に取り付けられ、電磁コイルはロータ部材或いはステータ部材のいずれか他方に取り付けられている。そして、この電磁コイルは、ロータ部材側摩擦部とステータ部材側摩擦部とが圧接する方向の電磁力を受けるように磁気回路で発生する磁界中に配置されている。
すなわち、電磁コイルに電流を流すと、このコイル内の電子はマグネットからの磁力線を横切って運動するので、磁界から力を受ける。この力はフレミングの左手則により、ロータ部材側摩擦部とステータ部材側摩擦部とが圧接して回転軸部材に回転抵抗を生じさせる。そして、本発明による圧接力はコイルに流れる電流値の1乗に比例する。
よって、従来の電磁吸引による圧接力を利用していた構造に比して、回転抵抗の細やかな制御が可能になる。
また、本発明の構造によれば、残留磁気の影響を受けず、変動しない磁気回路内に電流を流すのみであり、この電流の供給/供給停止のタイミングと同時に圧接力の付与/付与停止になり、回転抵抗の正確な制御が可能になる。
しかも、ロータ部材或いはステータ部材のいずれか、つまり、ヨークを有した一方の部材が磁性体であれば足りることから、いずれも鉄などの磁性体であった従来の構造、特に、磁化特性にヒステリシスの少ない材料を要するヨークを用いた場合に比して、装置の製造コストの低廉化を達成できる。
これらの結果、操作感触付与型入力装置の信頼性が大幅に向上する。
第2の発明は、第1の発明の構成において、ロータ部材側摩擦部或いはステータ部材側摩擦部の少なくとも一方には摩擦部材が取り付けられたことを特徴とする。
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、上述の如く電磁吸引による圧接力を用いない構造であり、ヨークを有したロータ部材或いはステータ部材のいずれか一方の部材が磁性体であれば足り、他方の部材は非磁性体で済むので、ロータ部材側摩擦部とステータ部材側摩擦部との間に摩擦部材を配置する場合にも、この摩擦部材の厚さは、ロータ部材とステータ部材との圧接力に影響を及ぼさない。よって、摩擦部材の厚さや材質も自由に選択可能になり、好適な操作感触を容易に追及できる。
第3の発明は、第1や第2の発明の構成において、マグネットは、ロータ部材に取り付けられ、電磁コイルは、ステータ部材に取り付けられ、ロータ部材側摩擦部がステータ側摩擦部に向かう方向の電磁力を受けるように磁気回路で発生する磁界中に配置されたことを特徴とする。
第3の発明によれば、第1や第2の発明の作用に加えてさらに、マグネットを可動のローラ部材に、電磁コイルを固定のステータ部材にそれぞれ配置すれば、コイルの位置ズレがより一層生じ難くなる。
第4の発明は、第1から第3の発明の構成において、ヨークは、その中央に形成され回転軸部材に挿通される貫通孔と、貫通孔を囲繞する内周面、内周面に対峙する外周面、および回転軸部材の周方向に向けて延び内周面と外周面とを連結する連結面で区画され、電磁コイルを配置可能な収納室とを備えており、マグネットは、内周面に取り付けられていることを特徴とする。
第4の発明によれば、第1から第3の発明の作用に加えてさらに、カップ形状のヨークは、その中央に回転軸部材に挿通される貫通孔を有し、その外側に電磁コイルを配置可能な収納室を有しているが、この収納室の内周面、つまり、回転軸部材の近傍にマグネットを取り付けている。よって、例えばマグネットがロータ部材に設けられた場合には、回転軸部材の振れが抑えられるし、また、例えばマグネットがステータ部材に設けられた場合には、回転軸部材の回転時にもマグネットと電磁コイルとが接触し得るとの懸念もない。
第5の発明は、第1から第3の発明の構成において、ヨークは、ロータ部材に取り付けられ、その中央に形成され回転軸部材に挿通される貫通孔と、貫通孔を囲繞する内周面、内周面に対峙する外周面、および回転軸部材の周方向に向けて延び内周面と外周面とを連結する連結面で区画され、電磁コイルを配置可能な収納室とを備えており、マグネットは、外周面に取り付けられていることを特徴とする。
第5の発明によれば、第1から第3の発明の作用に加えてさらに、カップ形状のヨークは、ロータ部材に取り付けられ、その中央に回転軸部材に挿通される貫通孔を有し、その外側に電磁コイルを配置可能な収納室を有しているが、この収納室の外周面、つまり、回転軸部材から遠い側にマグネットを取り付けている。よって、回転軸部材には大きなトルクを付与でき、この点も好適な操作感触の追及に寄与する。
また、第6の発明は、筐体と、筐体に回転可能に支持された回転軸部材と、回転軸部材とともに回転するよう回転軸部材に取り付けられ、ロータ部材側摩擦部を有したロータ部材と、回転軸部材の軸線方向に遊動可能であって回転軸部材とともに回転しないよう筐体に取り付けられ、ステータ部材側摩擦部を有したステータ部材と、回転軸部材の回転状態を検出する検出手段と、ステータ部材を回転軸部材の軸線方向に移動させてロータ部材側摩擦部とステータ部材側摩擦部とを圧接させるアクチュエータと、アクチュエータの駆動制御を行う制御手段とを備えた操作感触付与型入力装置である。
そして、アクチュエータは、ロータ部材或いはステータ部材のいずれか一方に取り付けられたマグネットおよびヨークからなる磁気回路と、ロータ部材或いはステータ部材のいずれか他方に取り付けられ、ロータ部材側摩擦部とステータ部材側摩擦部とが圧接する方向の電磁力を受けるように磁気回路で発生する磁界中に配置された電磁コイルとを備える。
第6の発明によれば、ロータ部材は、回転軸部材とともに回転するのに対し、ステータ部材は、回転軸部材とともに回転しないが、その軸線方向に遊動可能である。また、アクチュエータは、制御手段からの信号に応じて、ロータ部材のロータ部材側摩擦部とステータ部材のステータ部材側摩擦部とを圧接可能に構成されている。
詳しくは、このアクチュエータは、磁気回路および電磁コイルを備えている。磁気回路は、マグネットおよびヨークからなり、ロータ部材或いはステータ部材のいずれか一方に取り付けられ、電磁コイルはロータ部材或いはステータ部材のいずれか他方に取り付けられている。そして、この電磁コイルは、ロータ部材側摩擦部とステータ部材側摩擦部とが圧接する方向の電磁力を受けるように磁気回路で発生する磁界中に配置されている。
すなわち、電磁コイルに電流を流すと、このコイル内の電子はマグネットからの磁力線を横切って運動するので、磁界から力を受ける。この力はフレミングの左手則により、ロータ部材側摩擦部とステータ部材側摩擦部とが圧接して回転軸部材に回転抵抗を生じさせる。そして、本発明による圧接力はコイルに流れる電流値の1乗に比例する。
よって、従来の電磁吸引による圧接力を利用していた構造に比して、回転抵抗の細やかな制御が可能になる。
また、本発明の構造によれば、残留磁気の影響を受けず、変動しない磁気回路内に電流を流すのみであり、この電流の供給/供給停止のタイミングと同時に圧接力の付与/付与停止になり、回転抵抗の正確な制御が可能になる。
しかも、ロータ部材或いはステータ部材のいずれか、つまり、ヨークを有した一方の部材が磁性体であれば足りることから、いずれも鉄などの磁性体であった従来の構造、特に、磁化特性にヒステリシスの少ない材料を要するヨークを用いた場合に比して、装置の製造コストの低廉化を達成できる。
これらの結果、操作感触付与型入力装置の信頼性が大幅に向上する。
本発明によれば、電磁吸引による圧接力ではなく、フレミングの左手則を利用した圧接力で回転抵抗を得ているため、この回転抵抗の正確な制御が可能になるし、また、装置の製造コストの低廉化も達成可能な操作感触付与型入力装置を提供することができる。
第1実施例の操作感触付与型入力装置を搭載した車内の説明図である。 図1の操作感触付与型入力装置の縦断面図である。 (a)は図2の要部の縦断面図であり、(b)は(a)のB−B線矢視断面図である。 第2実施例の操作感触付与型入力装置に関する要部の縦断面図である。 第3実施例の操作感触付与型入力装置に関する要部の縦断面図である。 第4実施例の操作感触付与型入力装置の縦断面図である。 第5実施例の操作感触付与型入力装置の縦断面図である。
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
図1は車両1の車室であり、同図の右手前側に運転者のシート4が示されている。この運転席の左側には助手席が設けられる。インストルメントパネル2はシート4から視て各座席の前方に配置され、フロントガラス6は同じくシート4から視てパネル2の前方に設けられ、各座席からは車両1の進行方向を見渡すことができる。
この運転席において、計器類8はパネル2の正面に配置され、車両1の速度、走行距離やシフト位置等を表示する。ハンドル10は、パネル2の下方からシート4に向けて延びた軸12の先端に回転可能に取り付けられている。また、シフトレバー14は、この軸12の周壁から助手席側に向けて延びており、上下方向に移動可能である。
エアーコンディショニング装置の吹き出し口16が、運転席から助手席に亘ってパネル2の正面に配置され、この装置の起動に伴い、空気が車室内に向けて送出される。
モニター18は、運転席と助手席との間であって当該パネル2の正面に設置されている。このモニター18は、ナビゲーション装置の起動に伴い、地図や操作メニュー等を表示可能である。
ここで、本実施例では、操作感触付与型入力装置20が回転式のサムホイール32を残してハンドル10内に埋設されている。
このホイール32は、例えばナビゲーション装置やエアーコンディショニング装置等の車載機器の操作が可能である。そして、この入力装置20は、ホイール32に触れた例えば運転者に操作感触(力覚)を付与することができる。
具体的には、図1に示されたハンドル10は車両1を直進させる正規位置にあり、本実施例のホイール32は、運転者の左手親指の腹で操作可能な位置に設けられ、同図の入力装置20はホイール32を左端に配置している。
より詳しくは、図2に示されるように、当該入力装置20はホイール32の右側に円筒状のハウジング(筐体)22を備える。
このハウジング22の周壁28の左右両端は、ホイール32に対峙する円形の端面24と、ホイール32の反対側に位置する円形の端面26とでそれぞれ塞がれている。
また、この図2で視てホイール32の右端は回転軸部材30の左端に連結される。この回転軸部材30は、その長手方向の軸線が同図の右方向に向けて延びており、各端面24,26に回転自在に支持されている。
これにより、ホイール32および回転軸部材30は当該軸線回りに回転することができる。
なお、この回転軸部材30は、端面24に当接したストッパ34によって右方向への移動が規制されるとともに、端面26に当接したストッパ36によって左方向への移動も規制される。
さらに、本実施例の回転軸部材30は、ハウジング22内であって端面26の近傍に回転円板37を備えている。
この回転円板37は上記軸線から放射方向に向けて延びた板状本体38を有し、この本体38の適宜位置にはロータ部材40を遊動自在に支持する連結孔39が本体38を貫通して穿設されている。
具体的には、本実施例のロータ部材40は、例えば鉄などの磁性体で構成されたカップ状のヨーク(アクチュエータ)42を備えている(図3)。
このヨーク42は、略円形の有底が回転円板37に対峙し、回転軸部材30の全周を囲繞するように形成されており、図3(a)に示される如く、この有底の中心近傍からホイール32に向けて突き出た円筒形の膨出部分、およびこの有底の周縁から同じくホイール32に向けて突き出た円筒形の外壁48をそれぞれ有する。
当該膨出部分の中心は上記軸線に略一致し、回転軸部材30に挿通される貫通孔43が形成されている。
そして、この膨出部分と外壁48との間には、後述するマグネット(アクチュエータ)50や電磁コイル(アクチュエータ)65を収納する収納室44が形成されている。
より詳しくは、この収納室44は、当該膨出部分の外周壁に相当する内周面45と、その全周に亘って内周面45に対峙し、外壁48の内周壁に相当する外周面47と、上述の有底に相当し、これら内周面45と外周面47とを連結する連結面46で区画されており、本実施例では、この内周面45に2個のマグネット50,50が取り付けられている。
各マグネット50,50は、図3(b)の断面視で円弧状の永久磁石であり、その長手方向が上記軸線に沿って延び、いずれもそのS極が内周面45に当接され、そのN極は外周面47に対峙している。
これにより、ヨーク42とマグネット50とからなる磁気回路が形成され、各マグネット50の磁力線は、この図3(b)で視て放射方向、つまり、N極から上記軸線に対して略直交する方向に進み、収納室44を横切って外周面47に向かう。そして、ヨーク42、すなわち、外壁48、連結面46および内周面45を経由してS極に達する。
また、この連結面46において収納室44側にはロータ部材側摩擦部41が設けられ、この連結面46において回転円板37側、換言すれば、ロータ部材側摩擦部41の反対側には、連結孔39に挿通される連結突起49が形成されている(図2)。よって、ロータ部材40は、上記軸線方向に沿って遊動可能になり、また、回転軸部材30とともに回転する。
一方、ロータ部材40と端面24との間には非磁性体のステータ部材60が設けられている。
本実施例のステータ部材60は、軸受63を介して回転軸部材30を回転自在に支持しており(図3)、上記軸線から放射方向に延びたステータ本体62を有し、この本体62の周縁がハウジング22に固定されている。
また、ステータ本体62には円筒形のコイルボビン64が設けられる。具体的には、コイルボビン64は、この図3に示されるように、その一端がステータ本体62の背面から引き出され、マグネット50のN極を囲繞して収納室44内に配置される。
このコイルボビン64の外周壁、換言すれば、マグネット50のN極に対峙する内周壁とは反対側に位置し、上述した外周面47に対峙する面には複数巻の電磁コイル65がマグネット50の長手方向に略等しい長さで巻回されている。
さらに、コイルボビン64は、マグネット50の長手方向に略等しい長さに延びた後、その他端が上記軸線から放射方向、つまり、マグネット50のN極から離間する方向に延びており、ロータ部材側摩擦部41に対峙したステータ部材側摩擦部61を有している。ロータ部材40とステータ部材60とは、これらロータ部材側摩擦部41とステータ部材側摩擦部61との圧接によっても摩擦が得られ、この摩擦が回転軸部材30の回転抵抗になる。
しかしながら、本実施例のロータ部材側摩擦部41には、非磁性体の摩擦部材82が取り付けられている。
この摩擦部材82は、好適な操作感触が得られる所望の厚さで形成されており、これら摩擦部材82とステータ側摩擦部61とが圧接すると、摩擦がより確実に得られる。
再び図2に戻り、ハウジング22内において回転軸部材30の適宜位置には、例えば光学式のロータリエンコーダ(検出手段)84が設置され、このロータリエンコーダ84は、回転軸部材30の回転角度や方向を検出可能に構成されている。この検出信号は制御部(制御手段)86に向けて出力され、当該制御部86では上記アクチュエータの駆動制御を行うし、さらに、モニター18等にも信号を出力する。
より具体的には、マグネット50のN極からの磁力線が収納室44を横切り、外壁48、連結面46、内周面45を経由してS極に達する磁気回路が形成された状態において、運転者の左手親指がサムホイール32を回転させると、回転軸部材30の回転角度や方向が検出される。制御部86は、この検出値に基づいて電磁コイル65を通電する。
詳しくは、図3(b)で視て反時計回り、換言すれば、図2,3で視て上側のコイル65には紙面手前側に向かう電流(下側のコイル65には紙面奥側に向かう電流)をコイル65に流すと、このコイル65内の電子は、磁界から上記軸線方向に沿って図2,3の左側に向かう力を受ける(フレミングの左手則)。
これにより、ロータ部材40は上記軸線方向に沿って図2,3の左側に向けて移動し、摩擦部材82とステータ側摩擦部61とが圧接され、この圧接による摩擦がサムホイール32の回転抵抗になる。
この結果、運転者の左手親指には操作感触が得られ、運転者は車両1の進行方向に視線を保持したまま、ハンドル10の操作が可能になる。なお、例えばナビゲーション装置やエアーコンディショニング装置等の操作毎に、固有の操作感触を設定しても良い。
ところで、第1実施例のロータ部材側摩擦部41はヨーク42の連結面46に、ステータ部材側摩擦部61はコイルボビン64の他端にそれぞれ設けられているが、ロータ部材側摩擦部41は外壁48に、ステータ部材側摩擦部61はステータ本体62に設けられていても良い。
なお、以下の第2〜5実施例(図4〜図7)では、上記第1実施例と同じ機能を奏する箇所には同一の符号を付して詳細な説明は省略し、特徴部分について詳述する。
詳しくは、まず、図4,5に示された第2,3実施例では、ロータ部材側摩擦部41がステータ本体62に対峙する外壁48の先端に設けられ、このロータ部材側摩擦部41には摩擦部材82が取り付けられている。
一方、ステータ部材側摩擦部61はステータ本体62の周縁に設けられており、これら摩擦部材82とステータ側摩擦部61とが圧接すると、摩擦がより確実に得られる。
さらに、この図4の第2実施例では、上記第1実施例と同様に、2個のマグネット50,50が内周面45に取り付けられている。
しかし、このマグネット50,50は外壁48に取り付けても良い。
具体的には、図5の第3実施例では、円筒形のコイルボビン64が上記第1,2実施例に比して内周面45寄りに形成されており、マグネット50,50は、そのN極が外周面47に当接され、そのS極は電磁コイル65に対峙している。
そして、この場合にも各マグネット50の磁力線は、外壁48、連結面46および内周面45を経由し、収納室44を横切ってS極に達する。
さらにまた、上記第1〜3実施例では、サムホイール32とロータ部材40との間にステータ部材60が設けられているが、このホイール32とステータ部材60との間にロータ部材40を設けても良い。
具体的には、図6に示されるように、第4実施例の回転軸部材30は、ハウジング22内であって端面24の近傍に回転円板37を備える。この回転円板37にはロータ部材40が遊動自在に支持されており、そのヨーク42の有底は回転円板37に対峙し、端面26に向けて突き出た膨出部分や外壁48がそれぞれ形成されている。
ステータ部材60は、そのステータ本体62の背面が端面26の内壁に固定されている。
各マグネット50の磁力線は、そのN極から上記軸線に対して略直交する方向に進み、収納室44を横切って、外壁48、連結面46および内周面45を経由してS極に達する。
しかしながら、この場合には、制御部86は、図6で視て上側のコイル65には紙面奥側に向かう電流(下側のコイル65には紙面手前側に向かう電流)をコイル65に流しており、このコイル65内の電子は、磁界から上記軸線方向に沿って図6の右側に向かう力を受け(フレミングの左手則)、ロータ部材40は上記軸線方向に沿って図6の右側に向けて移動することになる。
また、上述の各実施例では、マグネット50やヨーク42がロータ部材40に、電磁コイル65がステータ部材60に設けられているが、これらマグネットやヨークがステータ部材に、電磁コイルがロータ部材に設けられていても良い。
詳しくは、図7の第5実施例では、回転軸部材30が端面24の近傍に回転円板37を備えており、この回転円板37には、非磁性体のロータ部材40が遊動自在に支持されている。
本実施例のロータ部材40は円筒形のコイルボビン54を有し、このボビン54の一端には、連結孔39に挿通される連結突起59が形成されている。また、ボビン54の他端はマグネット80のN極を囲繞して収納室74内に配置され、上記軸線から放射方向に延びたロータ部材側摩擦部41を有している。
このコイルボビン54の外周壁には電磁コイル(アクチュエータ)55がマグネット50の長手方向に略等しい長さで巻回される。
一方、ステータ部材60は、磁性体で構成されたカップ状のヨーク(アクチュエータ)72の背面が端面26の内壁に固定されている。
このヨーク72は、略円形の有底が端面26の内壁に対峙し、回転軸部材30の全周を囲繞するように形成され、この有底の中心近傍からホイール32に向けて突き出た円筒形の膨出部分、およびこの有底の周縁から同じくホイール32に向けて突き出た円筒形の外壁78をそれぞれ有している。
当該膨出部分の中心は上記軸線に略一致し、回転軸部材30を回転自在に支持する軸受63に挿通される貫通孔73を有する。
そして、この膨出部分と外壁78との間が収納室74になり、マグネット(アクチュエータ)80や電磁コイル55が収納される。この収納室74は、当該膨出部分の外周壁に相当する内周面75と、その全周に亘って内周面75に対峙し、外壁78の内周壁に相当する外周面77と、上述の有底に相当し、これら内周面75と外周面77とを連結する連結面76で区画され、この内周面75に2個のマグネット80,80が取り付けられる。
各マグネット80の磁力線は、上記第1,2,4実施例と同様に、そのN極から上記軸線に対して略直交する方向に進み、収納室74を横切って、外壁78、連結面76および内周面75を経由してS極に達する。
また、この連結面76において収納室74側にはステータ部材側摩擦部61が設けられている。なお、このステータ部材側摩擦部61にも非磁性体の摩擦部材82が取り付けられる。
そして、当該実施例では、上記第4実施例と同様に、同図で視て上側のコイル55には紙面奥側に向かう電流(下側のコイル55には紙面手前側に向かう電流)をコイル55に流しており、このコイル55内の電子は、磁界から上記軸線方向に沿って同図の右側に向かう力を受け(フレミングの左手則)、ロータ部材40は上記軸線方向に沿って同図の右側に向けて移動する。これにより、ロータ部材側摩擦部41と摩擦部材82とが圧接され、この圧接による摩擦がサムホイール32の回転抵抗になる。
以上のように、本実施例によれば、ロータ部材40は、回転軸部材30とともに回転するが、その軸線方向に遊動可能であるのに対し、ステータ部材60は、回転軸部材30とともに回転せず、ハウジング22に固定される。また、アクチュエータは、制御部86からの信号に応じて、ロータ部材側摩擦部41とステータ部材側摩擦部61とを圧接可能に構成されている。
詳しくは、このアクチュエータは、磁気回路および電磁コイル65(55)を備えている。上記第1〜第4実施例の磁気回路は、マグネット50およびヨーク42からなり、ロータ部材40に取り付けられ、電磁コイル65はステータ部材60に取り付けられている。
一方、上記第5実施例の磁気回路は、マグネット80およびヨーク72からなり、ステータ部材60に取り付けられ、電磁コイル55はロータ部材40に取り付けられている。
そして、この電磁コイル65(55)は、ロータ部材側摩擦部41とステータ部材側摩擦部61とが圧接する方向の電磁力を受けるように磁気回路で発生する磁界中に配置されている。
すなわち、電磁コイル65(55)に電流を流すと、このコイル65(55)内の電子はマグネット50(80)からの磁力線を横切って運動するので、磁界からローレンツ力を受ける。この力はフレミングの左手則により、ロータ部材側摩擦部41とステータ部材側摩擦部61とが圧接してサムホイール32に一体の回転軸部材30に回転抵抗を生じさせる。そして、当該フレミングの左手則による電子1個当たり受ける力は、磁束密度Bとコイル65(55)に流れる電流の大きさIと磁界中のコイル65(55)の長さLとの積で求められ、このコイル65(55)に流れる電流値の1乗に比例する。
よって、従来の電磁吸引による圧接力を利用していた構造に比して、回転抵抗の細やかな制御が可能になる。
また、各実施例の構造によれば、残留磁気の影響を受けない固定の磁気回路内に電流を流すのみであり、この電流の供給/供給停止のタイミングと同時に圧接力を得ることでき、回転抵抗の正確な制御が可能になる。
しかも、ロータ部材40或いはステータ部材60のいずれか、つまり、上記第1〜第4実施例ではヨーク42を有したロータ部材40、上記第5実施例ではヨーク72を有したステータ部材60が磁性体であれば足りることから、いずれも鉄などの磁性体であった従来の構造、特に、磁化特性にヒステリシスの少ない材料を要するヨークを用いた場合に比して、入力装置20の製造コストの低廉化を達成できる。これらの結果、入力装置20の信頼性が大幅に向上する。
また、各実施例は、電磁吸引による圧接力を用いず、フレミングの左手則を利用した圧接力を用いる構造であり、ヨーク42(72)を有しないロータ部材40或いはステータ部材60は非磁性体で済むので、ロータ部材側摩擦部41とステータ部材側摩擦部61との間に摩擦部材82を配置する場合にも、この摩擦部材82の厚さは、ロータ部材40とステータ部材60との圧接力に影響を及ぼさない。よって、摩擦部材82の厚さや材質も自由に選択可能になり、好適な操作感触を容易に追及できる。
さらに、第1〜4実施例のように、マグネット50を可動のロータ部材40に、電磁コイル65を固定のステータ部材60にそれぞれ配置すれば、コイル65の位置ズレが生じ難くなる。
さらにまた、第1,2,4,5実施例の如く、カップ形状のヨーク42(72)は、その中央に回転軸部材30に挿通される貫通孔43(73)を有し、その外側に電磁コイル65(55)を配置可能な収納室44(74)を有しているが、この収納室44(74)の内周面45(75)、つまり、回転軸部材30の近傍にマグネット50(80)を取り付けている。
よって、第1,2,4実施例のように、マグネット50がロータ部材40に設けられた場合には、回転軸部材30の振れが抑えられるし、また、第5実施例の如く、マグネット80がステータ部材60に設けられた場合には、回転軸部材30の回転時にコイルボビン54が放射方向に向けて撓んでも、マグネット80と電磁コイル55とが接触し得るとの懸念もない。
また、第3実施例のように、カップ形状のヨーク42は、ロータ部材40に設けられ、その中央に回転軸部材30に挿通される貫通孔43を有し、その外側に電磁コイル65を配置可能な収納室44を有しているが、この収納室44の外周面47、つまり、回転軸部材30から遠い側にマグネット50を取り付けている。よって、回転軸部材30には大きなトルクを付与でき、この点も好適な操作感触の追及に寄与する。
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
例えば、上記実施例では、ハンドル10に具現化した例を示しているが、本発明の操作感触付与型入力装置は、上述のモニター18の下方に設けられるセンターコンソールなどにも配置することができる。
また、上記各実施例とは異なり、ロータ部材が回転軸部材とともに回転するのに対し、ステータ部材は、回転軸部材とともに回転しないが、その軸線方向に遊動可能であっても良い。
そして、これらいずれの場合にも上記と同様に、回転抵抗の正確な制御が可能になるとともに、装置の製造コストの低廉化を達成できるとの効果を奏する。
20 操作感触付与型入力装置
22 ハウジング(筐体)
30 回転軸部材
32 サムホイール
40 ロータ部材
41 ロータ部材側摩擦部
42,72 ヨーク(アクチュエータ)
43,73 貫通孔
44,74 収納室
45,75 内周面
46,76 連結面
47,77 外周面
50,80 マグネット(アクチュエータ)
55,65 電磁コイル(アクチュエータ)
60 ステータ部材
61 ステータ部材側摩擦部
82 摩擦部材
84 ロータリエンコーダ(検出手段)
86 制御部(制御手段)

Claims (6)

  1. 筐体と、
    前記筐体に回転可能に支持された回転軸部材と、
    前記回転軸部材の軸線方向に遊動可能であって前記回転軸部材とともに回転するよう前記回転軸部材に取り付けられ、ロータ部材側摩擦部を有したロータ部材と、
    前記回転軸部材とともに回転しないよう前記筐体に取り付けられ、ステータ部材側摩擦部を有したステータ部材と、
    前記回転軸部材の回転状態を検出する検出手段と、
    前記ロータ部材を前記回転軸部材の軸線方向に移動させて前記ロータ部材側摩擦部と前記ステータ部材側摩擦部とを圧接させるアクチュエータと、
    前記アクチュエータの駆動制御を行う制御手段とを備えた操作感触付与型入力装置であって、
    前記アクチュエータは、
    前記ロータ部材或いは前記ステータ部材のいずれか一方に取り付けられたマグネットおよびヨークからなる磁気回路と、
    前記ロータ部材或いは前記ステータ部材のいずれか他方に取り付けられ、前記ロータ部材側摩擦部と前記ステータ部材側摩擦部とが圧接する方向の電磁力を受けるように前記磁気回路で発生する磁界中に配置された電磁コイルと
    を備えることを特徴とする操作感触付与型入力装置。
  2. 請求項1に記載の操作感触付与型入力装置であって、
    前記ロータ部材側摩擦部或いは前記ステータ部材側摩擦部の少なくとも一方には摩擦部材が取り付けられたことを特徴とする操作感触付与型入力装置。
  3. 請求項1又は2に記載の操作感触付与型入力装置であって、
    前記マグネットは、前記ロータ部材に取り付けられ、
    前記電磁コイルは、前記ステータ部材に取り付けられ、前記ロータ部材側摩擦部が前記ステータ側摩擦部に向かう方向の電磁力を受けるように前記磁気回路で発生する磁界中に配置されたことを特徴とする操作感触付与型入力装置。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の操作感触付与型入力装置であって、
    前記ヨークは、
    その中央に形成され前記回転軸部材に挿通される貫通孔と、
    前記貫通孔を囲繞する内周面、前記内周面に対峙する外周面、および前記回転軸部材の周方向に向けて延び前記内周面と前記外周面とを連結する連結面で区画され、前記電磁コイルを配置可能な収納室とを備えており、
    前記マグネットは、前記内周面に取り付けられていることを特徴とする操作感触付与型入力装置。
  5. 請求項1から3のいずれか一項に記載の操作感触付与型入力装置であって、
    前記ヨークは、前記ロータ部材に取り付けられ、
    その中央に形成され前記回転軸部材に挿通される貫通孔と、
    前記貫通孔を囲繞する内周面、前記内周面に対峙する外周面、および前記回転軸部材の周方向に向けて延び前記内周面と前記外周面とを連結する連結面で区画され、前記電磁コイルを配置可能な収納室とを備えており、
    前記マグネットは、前記外周面に取り付けられていることを特徴とする操作感触付与型入力装置。
  6. 筐体と、
    前記筐体に回転可能に支持された回転軸部材と、
    前記回転軸部材とともに回転するよう前記回転軸部材に取り付けられ、ロータ部材側摩擦部を有したロータ部材と、
    前記回転軸部材の軸線方向に遊動可能であって前記回転軸部材とともに回転しないよう前記筐体に取り付けられ、ステータ部材側摩擦部を有したステータ部材と、
    前記回転軸部材の回転状態を検出する検出手段と、
    前記ステータ部材を前記回転軸部材の軸線方向に移動させて前記ロータ部材側摩擦部と前記ステータ部材側摩擦部とを圧接させるアクチュエータと、
    前記アクチュエータの駆動制御を行う制御手段とを備えた操作感触付与型入力装置であって、
    前記アクチュエータは、
    前記ロータ部材或いは前記ステータ部材のいずれか一方に取り付けられたマグネットおよびヨークからなる磁気回路と、
    前記ロータ部材或いは前記ステータ部材のいずれか他方に取り付けられ、前記ロータ部材側摩擦部と前記ステータ部材側摩擦部とが圧接する方向の電磁力を受けるように前記磁気回路で発生する磁界中に配置された電磁コイルと
    を備えることを特徴とする操作感触付与型入力装置。
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