JP2010249104A - インジェクタのコーティング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粘度や表面張力が高いコーティング液であっても、インジェクタ内に充分にコーティングが可能なインジェクタのコーティング方法を提供する。
【解決手段】燃料を噴射する噴孔60を備えたワーク1を、水系のフッ素コーティング剤から成るコーティング液10の中央に配置され該コーティング液10が内部に充填されたスタンプ板12の表面に押し付ける。この時、下部プレス基部16の内周下面20でスタンプ板12の外周を押圧し、ワーク1の先端面及び噴孔60内にコーティング液10を移動させコーティング膜62を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、被塗布物となるインジェクタ(燃料噴射弁)を、コーティング剤を成す液体が塗布されたスタンプ板に押し付けることにより、インジェクタ内部をコーティングするインジェクタのコーティング方法に関するものである。特に、内燃機関に燃料を供給するインジェクタの噴孔内に、環境負荷の少ない水系フッ素コーティング剤を塗布する方法に関する。
従来、特許文献1には、インジェクタの先端にデポジットが付着し難いものを提供するという課題のもとに、図5のように、インジェクタの噴孔60を形成する内壁ならびに該内壁に連続するノズル先端面に、溶剤にコーティング材料を溶かし込んだ撥油性材料を塗布することにより形成したコーティング膜を有するエンジン用燃料噴射ノズル及びその製造方法が記載されている。
図5は、この特許文献1に記載された製造工程を示す説明図である。この図5において、ノズルボディ80のシート面81に栓体82により蓋をして、コーティング液10がノズルボディ80の噴孔60から内部の空間部83に侵入しないようにしている。
次に、ノズルボディ80をコーティング液10中に浸漬(ディッピング)した後、エアブローする。次いで噴孔60の中心位置にラップ棒を回転しながら挿入し、噴孔60の内壁に付着したコーティング膜の厚さを均一にしている。そして、噴孔60の中心位置に同心状にコーティング膜が形成されるようにしている。
これにより、ノズル先端部に燃料成分が付着し難いし、付着したとしても次回の燃料噴射により剥離し易いとされている。また、コーティング膜を形成するノズル先端面は、少なくとも、デポジットが付着すると燃料噴射に影響を与える箇所であり、ノズルニードルが当接するシート面にはコーティング膜を形成しないとされている。また、燃料噴射量の調量性能ならびに燃料の霧化が向上するとされている。
次に、特許文献2には、ノズル細孔ヘの保護膜形成方法が記載されている。これは、ディッピング法による膜厚を均一とし、かつ所定の位置に保護膜を提供するという課題のもとに、ディッピング法によりノズル細孔内に、撥液膜等の保護膜を形成するものである。
そして、ノズル細孔内に、該ノズル細孔内を貫通するガイド用針状物を通すと共に、ノズルをコーティング液の所定位置まで浸漬している。次いでノズルの細孔内にガイド用針状物を通した状態でノズルを引き上げている。
また、ディッピングによりノズル細孔内に、撥液膜等の保護膜を形成する際に、ノズルの後端側に所定の大きさの栓をすることにより、細孔内の容積を予め決めた一定容量となし、その後コーティング液に浸漬し引き上げることも記載されている。
また、従来の特許文献3は、膜厚の均一性に優れる被膜を細孔内に有する、細孔内被膜保持体の製造方法を提供するという課題のもとに、貫通する細孔を有する基材において、当該細孔の一方の開口部側の少なくとも開口縁を含む領域に被膜材料液を滴下し、当該細孔を通過する被膜材料液を吸収体に吸収させ、一方の開口部近傍の被膜材料液を除去するものが記載されている。
更に、本件発明者が関与した特許文献4に記載のインジェクタの噴孔内への皮膜形成方法が公知である。図6は、この特許文献4に記載された製造工程を示す説明図である。これは、噴孔内において充分かつ均一に皮膜を形成することができ、狭小な噴孔に対しても適用することができる皮膜形成方法を提供するという課題のもとに、図6のような管状体90の管状体先端部91をインジェクタのシート面に当接させ、インジェクタのノズル先端部をコーティング液10にディッピング(浸漬)している。
そして、噴孔60a及び60b内をコーティング液10で満たし、この状態で、コーティング液10を噴孔60a及び60b内を通って管状体90内に流入させるように吸引している。
また、吸引したコーティング液10を管状体90内から噴孔内を通って、図6のように排出させている。そして、管状体先端部91とシート面との当接状態を解除した後、噴孔60a及び60b内に塗布されたコーティング液10を乾燥及び焼成することにより皮膜を形成している。
また、特許文献5には、プレート(プレートオリフィス)を使用したポート噴射タイプのインジェクタが記載されている。このインジェクタについては、本発明の一実施形態で使用するため、図2を用いて後述する。
特開平9−112392号公報 特開昭9−217670号公報 特開2002−4984号公報 特開2008−255870号公報 特開2008−196362号公報
上記特許文献1ないし5の技術によると、インジェクタ噴孔内にコーティングするFAS(フルオロアルキルシラン)コーティング(溶剤系のフッ素コーティング)は、噴孔部をFAS調合液に浸漬することで、噴孔内壁にコーティングが可能である。しかし、FASコーティングはPFOA(パーフルオロオクタン酸)を使用することから、近年は使用が避けられている。
また、上記PFOAが発生しないフッ素コーティングについても、多くは溶剤を使用するため、光化学オキシダントや浮遊粒子状物質の原因になるとされており、人の健康への悪影響を与える有害物質とされるVOC(揮発性有機化合物)が発生する環境問題がある。
そこで、本発明では、水とコーティング材料とを界面活性剤を介して完全に溶かし込んだ水系のフッ素コーティング剤を使用する。このことで、上記PFOAやVOCの環境問題を回避しようとするものである。
しかしながら、この水系のフッ素コーティング剤は、粘度や表面張力が高いため、インジェクタの噴孔内に上述した浸漬工程を使用したコーティング方法では、充分なコーティング膜を形成することが不可能であった。
また、特に近年の直噴タイプのインジェクタは、より高温のエンジンの熱(120ないし150℃)に晒される環境下で使用されるようになってきていることから、コーティング膜の膜厚を充分に確保する必要性が生じてきている。
そして、膜厚を厚くするためには、水または溶剤に対するコーティング剤の割合を多くする必要があり、結果的に、コーティング液の粘度や表面張力が高くなる。そして、コーティング剤の割合を多くすると、溶剤では溶かすのに限界があり、水系のフッ素コーティング剤の方が有利になる。
(発明が解決しようとする課題)
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目して成されたものであり、その目的は、粘度や表面張力が高いコーティング液であっても、インジェクタの部品内に充分にコーティングが可能なインジェクタのコーティング方法を提供することにある。
従来技術として列挙された特許文献の記載内容は、この明細書に記載された技術的要素の説明として、参照によって導入ないし援用することができる。
本発明は上記目的を達成するために、下記の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、インジェクタの部品となり燃料を噴射する噴孔(60)を備えたワーク(1)を、コーティング液(10)に隣接して配置され該コーティング液(10)が内部に充填されたスタンプ板(12)の表面に押し付け、ワーク(1)の先端面及び噴孔(60)内にコーティング液(10)の被膜(62)を形成することを特徴としている。
この発明によれば、スタンプ板(12)にワーク(1)が押し付けられたときに、スタンプ板(12)内のコーティング液(10)が噴孔(60)内に浸入し、粘度や表面張力が高いコーティング液(10)であっても、インジェクタ内に充分にコーティングすることが出来る。
請求項2に記載の発明では、ワーク(1)をスタンプ板(12)の表面に押し付けるときに、スタンプ板(12)の周囲を治具にて押圧し、スタンプ板(12)の周囲に充填されているコーティング液(10)をワーク(1)方向に移動させることを特徴としている。
この発明によれば、スタンプ板(12)の周囲を治具にて押圧し、スタンプ板(12)の周囲に充填されているコーティング液(10)をワーク(1)方向に移動させるから、噴孔(60)等にコーティング液(10)が付着し易いインジェクタのコーティング方法が得られる。
請求項3に記載の発明では、コーティング液(10)は、盤状のコーティング槽(11)内に注入されており、スタンプ板(12)は、該スタンプ板(12)の一部がコーティング液(10)内に浸かるようにコーティング槽(11)内に載置されていることを特徴としている。
この発明によれば、コーティング液(10)を、盤状のコーティング槽(11)内に注入しておけば、自動的にスタンプ板(12)内にコーティング液(10)を補充することが出来る。
請求項4に記載の発明では、コーティング液(10)は、スタンプ板(12)を取り巻いていることを特徴としている。
この発明によれば、スタンプ板(12)の周囲全てからコーティング液(10)を充分にスタンプ板(12)内に補充することができる。
請求項5に記載の発明では、コーティング液(10)は、スタンプ板(12)の高さより低い液面レベルに維持されていることを特徴としている。
この発明によれば、ワーク(1)をスタンプ板(12)の表面に押し付けたときに、直接ワーク(1)がコーティング液(10)に浸漬されず、スタンプ板(12)を介してコーティング液(10)がワーク(1)に供給されるから、ディッピングでは得られない良好なインジェクタのコーティングがなされる。
請求項6に記載の発明では、コーティング液(10)は、水系のフッ素コーティング剤から成ることを特徴としている。
この発明によれば、溶剤系のフッ素コーティングに比し、PFOA(パーフルオロオクタン酸)が発生する環境問題を回避できる。また、溶剤の使用による揮発性有機化合物が発生する環境問題をも回避できる。
請求項7に記載の発明では、ワーク(1)は、エンジンのシリンダ内に直接燃料を噴霧する直噴タイプのインジェクタのノズル先端部であることを特徴としている。
この発明によれば、基本的には、ポート内に噴射するポート噴射タイプ及び直噴タイプの両方に適用できるが、特に、直噴タイプに使用することにより、直噴タイプのインジェクタのノズル先端部に、コーティング液(10)の粘度や表面張力が高くてもコーティングできるため、インジェクタの噴孔(60)内に充分な膜厚のコーティング膜を形成することが出来る。そして、近年の直噴タイプのインジェクタは、より高温のエンジンの熱に晒される環境下で使用されるようになってきていることから、コーティング膜の膜厚を充分に確保する必要性が生じてきているが、このような要望に対応することが出来る。
請求項8に記載の発明では、ワーク(1)にコーティング液(10)を塗布した後、ワーク(1)を吸引ステーションの筒部(40)内へ搬送し、少なくともワーク(1)の一端側から負圧源にて空気を吸引し、ワーク(1)の外表面及び噴孔(60)内に付着したコーティング液(10)の余分な部分を除去することを特徴としている。
この発明によれば、この負圧源により、機外への油、及びミストの飛散、あるいは、洩れや伝い洩れを防止することが出来る。
請求項9に記載の発明では、ワーク(1)は、プレート(3)に噴孔(60)を設けたポート噴射タイプのインジェクタの先端部品であり、プレート(3)の平面をスタンプ板(12)の平面に押し付けることを特徴としている。
この発明によれば、プレート(3)の平面にスタンプ板(12)の平面が合致し易く、良好なコーティングを形成し易い。
請求項10に記載の発明では、スタンプ板(12)は、多孔質部材または布部材から成ることを特徴としている。
この発明によれば、スタンプ板(12)は、多孔質部材または布部材から成ることにより、コーティング液(10)を充分に充填でき、ワーク(1)をスタンプ板(12)に押し付けたとき、コーティング液(10)をスタンプ板(12)内で、充分に移動させることが出来るから、スタンプ板(12)からワーク(1)へのコーティング液(10)の良好な供給が可能になる。
請求項11に記載の発明では、ワーク(1)を、スタンプ板(12)の表面に押し付け、ワーク(1)の先端面及び噴孔(60)内にコーティング液(10)の被膜(62)を形成する前に、塗布前処理として、濡れ性を良くするための第1液の塗布を行い、次に該第1液を除去して、第2液となるコーティング液(10)を塗布することを特徴としている。
この発明によれば、前処理として濡れ性を良くするために第1液の塗布を行うから、コーティング液(10)が、ワーク(1)の先端面及び噴孔(60)内に付着し易く、良好なコーティング液(10)の被膜(62)が形成できる。
請求項12に記載の発明では、ワーク(1)を吸引ステーションの筒部(40)内へ搬送し、少なくともワーク(1)の一端側から負圧にて空気を吸引するときに、同時に、ワーク(1)の他端側から正圧にて空気を筒部(40)内に供給することを特徴としている。
この発明によれば、負圧にて空気を吸引すると共に、正圧でワーク(1)に空気を供給するから、粘度や表面張力が高いコーティング液(10)であっても、ワーク(1)の外表面及び噴孔(60)内に付着したコーティング液(10)の余分な部分を確実に除去することが出来る。
なお、特許請求の範囲および上記各手段に記載の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
本発明の一実施形態におけるワークをチャックしてコーティングを行う工程におけるコーティング設備を示す説明図である。 上記実施形態におけるワークが組み込まれたインジェクタの先端部分の拡大図である。 図1の状態から上部プレス基部を下降させて、スタンプ板内にワークの下面を若干埋没させた状態を示すコーティング設備の説明図である。 上記実施形態におけるコーティング液除去工程を説明する説明図である。 従来の特許文献1に記載された製造工程を示す説明図である。 従来の特許文献4に記載された製造工程を示す説明図である。
(一実施形態)
以下、本発明の一実施形態について図1乃至図4を用いて説明する。図1は、ワーク1をチャック機構2でチャックしてコーティングを行う工程におけるコーティング設備を示す説明図である。図1において、先ず、チャック機構2にワーク1を装着する。
図2はワーク1が組み込まれたインジェクタの先端部分の拡大図である。ワーク1は、具体的には後述するように、図2の噴孔プレート3と弁ボディ4の一体構造である。弁ボディ4は、弁座5を有している。
そして、底の浅い盆(トレー)状の噴孔プレート3は、弁ボディ4の燃料下流側の下端面に設けられている。噴孔プレート3は弁ボディ4の下端壁にレーザ溶接部6により固定されている。
図1のチャック機構2は、一般に、コレットチャックと呼ばれるもので、先端が開いてワーク1を把持し、バネ力で把持した状態を維持するものである。なお、コレットチャック以外にもロボットのアームの先端部のチャック部であっても良い。
図1において、コーティング液10は、円盤状のコーティング槽11内に注入されている。このコーティング液10は、水系のフッ素コーティング剤と呼ばれるものである。この水系のフッ素コーティング剤から成るコーティング液10の内部にゴム系の多孔質体からなるスタンプ板12が配置されている。そして、スタンプ板12の高さよりも若干低い液面レベルにコーティング液10の高さが維持されている。
上記チャック機構2は、上部プレス基部15に保持されている。また、コーティング槽11の周囲は下部プレス基部16に覆われている。下部プレス基部16は、コーティング槽11の蓋ともなっている。第1弾発部18を成すバネまたは弾性ゴムにより、下部プレス基部16の内周下面20はスタンプ板12と離間している。また、上部プレス基部15と下部プレス基部16との間に間隙G21が存在する。
コーティング槽11の下面中心には、ステム25が連結されており、ステム25の周囲を固定保持部材26が囲っている。固定保持部材26とステム25の段部27の間に、第2弾発部を成すコイルスプリング28が配置されている。このコイルスプリング28は、固定保持部材26に対してステム25及びコーティング槽11を弾性的に持ち上げている。
以下、上記構成において、コーティング工程を説明する。先ず、ワーク1と成る噴孔プレート3と弁ボディ4の一体構造を、コーティング装置のチャック機構2に装着する。このとき、ゴム系の多孔質体からなるスタンプ板12の周りにコーティング液10が満たされている。なお、スタンプ板12は、図1の上方から見ると円形の板状体から成り、その周囲を環状にコーティング液10が取り囲んでいる。
更に、コーティング装置の図示しないハンドルを操作し、上部プレス基部15を下部プレス基部16方向に(天方向から地方向に)図3のように押し下げる。なお、図3は、図1の状態から上部プレス基部15を下降させて、スタンプ板12内にワーク1の下面を若干埋没させた状態を示すコーティング設備の説明図である。このとき、チャック機構2に装着されたワーク1が、スタンプ板12の上部に押し付けられ、スタンプ板12の上部が弾性変形して窪んでいる。
そして、この押し下げにより、上部プレス基部15と下部プレス基部16との間の間隙G21(図1)をゼロにする。その上で、更に、上部プレス基部15と下部プレス基部16を共に押し下げ、コイルスプリング28を圧縮させる。そして、同時に第1弾発部18を成すバネまたは弾性ゴムも圧縮させ、下部プレス基部16の内周下面20にて、スタンプ板12の外周上部を押圧する。
これによって、スタンプ板12の外周面から内部に向かう方向にコーティング液10が矢印31及び32のように移動する。また、コーティング液10が、矢印33のように移動して、ワーク1となる噴孔プレート3の噴孔60(図2)を通過して弁ボディ4内に移動する。
次に、ワーク1をスタンプ板12から引き上げてもとの位置に戻したときに、スタンプ板12の内部に周囲からコーティング液10が図1の矢印34及び35のように入ってきて、自動的にスタンプ板12にコーティング液10が補充される。従って、コーティング液10の液面レベルのみ管理すればよく、特別にスタンプ板12の内部にコーティング液10を注入する必要は無い。
これによって、粘度や表面張力が高い水系のフッ素コーティング剤をコーティング液10に採用しても、狭い噴孔60(図2)を持つインジェクタ内でも、デポジットを回避するためのコーティング液10の塗布が可能となる。この後、ワーク1をチャック機構2と共に、次のコーティング液除去工程に進む。
図4は、このコーティング液除去工程を説明する説明図である。ワーク1の下端面を図3のスタンプ板12に押し付けて、引き上げたままでは、噴孔プレート3の噴孔60(図2)の中にコーティング液10が詰まった状態となっている。従って、上記噴孔60の中のコーティング液10の液切りを行う必要がある。
このコーティング液除去工程では、ワーク1をチャック機構2に固定した状態で、図4の吸引ステーションの筒部40内へ搬送する。そして、ワーク1の上側から正圧でチャック機構2内の空洞部41を介してワーク1内部を空気流で矢印42のようにブローする。これと同時に、ワーク1の下側から負圧源に接続された配管43にて、空気を矢印44のように吸引し、ワーク1内外表面及び噴孔60(図2)内に付着したコーティング液10を除去する。
なお、吸引は、筒部40下部に図示しないポンプ等で生成した負圧源を接続することにより行う。この負圧源により機外への油、及びミストの飛散、あるいは、洩れや伝い洩れを防止することが出来る。
また、上記矢印42方向の正圧は、工場内ユーティリティを成すエアー配管47から、ミストセパレータ47a、精密レギュレータ(圧力調節器)47b、及び流量計47cを介して、チャック機構2の空洞部41内に供給される。また、筒部40の周囲に複数の横孔45及び46が設けてあり、矢印48及び49のような風の流れを作って、ワーク1の外側面のコーティング液10を除去する。
このように、少なくとも負圧源により、ワーク1の噴孔60(図2)内に空気を流して、コーティング液を適度に除去することにより、粘度や表面張力が高くても、均一な膜厚を残すことが出来る。この後、コーティング装置のチャック機構2からワーク1を取り外す。そして、このワーク1を焼成して良好なコーティング膜の形成を行うことが出来る。
なお、この実施形態で使用するワーク1は、上記特許文献5のように、プレート(オリフィスプレートまたは噴孔プレートとも言う)を使用したタイプを採用した。
このインジェクタについて、簡単に図2を用いて説明する。図2に示すように、このインジェクタは、例えば多気筒ガソリンエンジンの各気筒の吸気ポートなどの吸気管(図示せず)に取付けられて、気筒内の燃焼室に燃料を噴射供給する。
インジェクタは、略円筒形状であり、一端から燃料を受け、内部の燃料通路51aを経由して他端から燃料を噴射する。インジェクタのホルダ50は、磁性部材と非磁性部材とからなる円筒状に形成されている。
ホルダ50には燃料通路51aが形成されており、この燃料通路51aに弁ボディ4、弁部材としてのニードル51、可動コア52、スプリング53、固定コア54等が収容されている。第1磁性部材55の下端部には、弁ボディ4がレーザ溶接部6aにより固定されている。
弁ボディ4は、内周壁にニードル51が離座および着座可能な弁座5を有している。弁ボディ4の燃料下流側の下端面には、トレー状の噴孔プレート3が設けられている。この噴孔プレート3は弁ボディ4の下端壁にレーザ溶接部6を介して固定されている。このレーザ溶接前の噴孔プレート3と弁ボディ4の一体構造が、チャック機構2に把持されて、コーティングされるのである。
噴孔プレート3は、薄板の容器状に形成されており、ステンレス等の金属材料からなる基材の中央部に複数(本実施例では、12個)の噴孔60が形成されている。複数の噴孔60は、例えば内周側の噴孔群と、外周側の噴孔群を有していが、図2では、このうちの2個しか図示されていない。
即ち、噴孔プレート3は、基材61と、この基材61に形成された噴孔60と、基材61に施された水系のフッ素コーティング剤の被膜62(以下、コーティング膜62という)を有している。コーティング膜62は、噴孔60の内周、および噴孔60の出口側の先端面を含む噴孔プレート3の先端面のほぼ全面に施されている。
噴孔プレート3の外側には、噴孔プレート3の噴孔60群より外周側を覆うスリーブ65が装着されている。ニードル51は、内部が燃料通路51aに繋がった中空の有底円筒状であり、底側に当接部70が形成されている。当接部70は弁ボディ4に形成されている弁座5に離座および着座する。当接部70が弁座4に着座すると、噴孔60が閉塞され燃料噴射が遮断される。
(その他の実施形態)
本発明は上述した一実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。上記一実施形態においては、インジェクタは、プレートに噴孔を設けたポート噴射タイプのインジェクタを使用したが、図5及び図6のように、先端が尖ったノズル形状部材に噴孔を穿設したインジェクタであっても良い。また、エンジンのシリンダ内に直接燃料を噴霧する直噴タイプのインジェクタであっても良い。
また、コーティング液10を塗布する前に、同様の設備で、塗布前処理として濡れ性を良くするために第1液となるイオン交換水(脱イオン化水)の塗布を行い、次に、この第1液を除去して、第2液となる上記コーティング液10を塗布する上述のコーティング工程に進んでも良い。
また、上記実施形態では、図1の上部プレス基部15の押し下げ量は、寸法にて管理したが、押し付け荷重や、図1に破線で示すように導電率計100を接続して導電率を計測して管理することも出来る。また、抵抗値を計測してもよい。また、一部に絶縁体を介するときは、静電容量を計測して上記押し下げ量を管理しても良い。なお、押し付け荷重をコントロールすることで、コーティングが不要な部分(例えば、図2の噴孔プレート3の基材61内側の一部や図5のシート面81相当部の一部)への付着を防止するマスキングが不要となる。
また、上記一実施形態では、図1のように上部プレス基部15の押し下げをハンドル操作し、図示しない目盛を目視することで、押し下げ寸法を管理したが、上部プレス基部15をサーボモータで駆動すれば、設定した寸法に達した時点で自動的にサーボモータを停止させることが出来る。
また、上記実施形態では、正圧を図4のチャック機構2の空洞部41内に供給したが、この正圧の供給は省略し、下流側から負圧にて、空気を吸引するのみとして、ワーク1に付着したコーティング液10を除去しても良い。更に、図4の筒部40の周囲の複数の横孔45及び46を斜めに配置することも出来る。また、これらの横孔45及び46を無くすことも可能である。
また、図1のスタンプ板12は、ゴムやスポンジのような多孔質部材のほかに、繊維あるいは不織布のような布で形成することも出来る。
また、スタンプ板12を中央にして周囲をコーティング液10で満たすことが望ましいが、スタンプ板12の一側面のみにコーティング液10を配置しても良い。
また、インジェクタには、図5及び図6に示したように、ノズルボディのノズル状の先端部に貫通した噴孔が穿設された主に直噴タイプの形式のものと、図2のように、プレート(プレートオリフィス)を使用したポート噴射タイプの両方があるが、本発明においては、上述したように、いずれのインジェクタに対しても適応可能である。また、ガソリンエンジン用のみでなくディーゼルエンジン用にも適用できる。
また、スタンプ板12の上面は平面である必要は無く、ワーク1の形状に沿う、例えば円錐台状の窪みを有していても良い。
1 ワークとなる噴孔プレートと弁ボディの一体構造
2 チャック機構
3 噴孔プレート
4 弁ボディ
10 コーティング液
11 コーティング槽
15 上部プレス基部
16 下部プレス基部
12 スタンプ板
41 チャック機構内の空洞部
40 筒部
60 噴孔
62 コーティング膜

Claims (12)

  1. インジェクタの部品となり燃料を噴射する噴孔(60)を備えたワーク(1)を、コーティング液(10)に隣接して配置され該コーティング液(10)が内部に充填されたスタンプ板(12)の表面に押し付け、前記ワーク(1)の先端面及び前記噴孔(60)内に前記コーティング液(10)の被膜(62)を形成することを特徴とするインジェクタのコーティング方法。
  2. 前記ワーク(1)をスタンプ板(12)の表面に押し付けるときに、前記スタンプ板(12)の周囲を治具にて押圧し、前記スタンプ板(12)の前記周囲に充填されているコーティング液(10)を前記ワーク(1)方向に移動させることを特徴とする請求項1に記載のインジェクタのコーティング方法。
  3. 前記コーティング液(10)は、盤状のコーティング槽(11)内に注入されており、前記スタンプ板(12)は、該スタンプ板(12)の一部が前記コーティング液(10)内に浸かるように前記コーティング槽(11)内に載置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のインジェクタのコーティング方法。
  4. 前記コーティング液(10)は、前記スタンプ板(12)を取り巻いていることを特徴とする請求項3に記載のインジェクタのコーティング方法。
  5. 前記コーティング液(10)は、前記スタンプ板(12)の高さより低い液面レベルに維持されていることを特徴とする請求項3または4に記載のインジェクタのコーティング方法。
  6. 前記コーティング液(10)は、水系のフッ素コーティング剤から成ることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のインジェクタのコーティング方法。
  7. 前記ワーク(1)は、エンジンのシリンダ内に直接燃料を噴霧する直噴タイプのインジェクタのノズル先端部であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のインジェクタのコーティング方法。
  8. 前記ワーク(1)にコーティング液(10)を塗布した後、前記ワーク(1)を吸引ステーションの筒部(40)内へ搬送し、少なくとも前記ワーク(1)の一端側から負圧源にて空気を吸引し、前記ワーク(1)の外表面及び前記噴孔(60)内に付着したコーティング液(10)の一部を除去することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載のインジェクタのコーティング方法。
  9. 前記ワーク(1)は、プレート(3)に前記噴孔(60)を設けたポート噴射タイプのインジェクタの先端部品であり、前記プレート(3)の平面をスタンプ板(12)の平面に押し付けることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載のインジェクタのコーティング方法。
  10. 前記スタンプ板(12)は、多孔質部材または布部材から成ることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載のインジェクタのコーティング方法。
  11. 前記ワーク(1)を、前記スタンプ板(12)の表面に押し付け、前記ワーク(1)の先端面及び前記噴孔(60)内に前記コーティング液(10)の被膜(62)を形成する前に、塗布前処理として、濡れ性を良くするための第1液の塗布を行い、次に該第1液を除去して、第2液となる前記コーティング液(10)を塗布することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載のインジェクタのコーティング方法。
  12. 前記ワーク(1)を吸引ステーションの筒部(40)内へ搬送し、少なくとも前記ワーク(1)の一端側から負圧にて空気を吸引するときに、同時に、前記ワーク(1)の他端側から正圧にて前記空気を前記筒部(40)内に供給することを特徴とする請求項8に記載のインジェクタのコーティング方法。
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