JP2010248994A - スクロール圧縮機及びその組立方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】旋回スクロール9のラップ内壁側圧縮室の圧縮開始点9a−0からさらに中心側に至るまでの範囲に亘り、旋回スクロール9のラップ先端側の内壁曲線と固定スクロールのラップ根元側の外壁曲線からなる最小ラジアル隙間Da−1を他の部分における最小ラジアル隙間Da−2、Dbよりも必要最小量の範囲で大きく形成する。これにより、旋回スクロールの鏡板が背面の高温流体により加熱され、吸入した作動流体と直に接する旋回スクロールのラップ部が冷却されて鏡板との間に熱膨張差を生じ、冷却された部分の旋回スクロールのラップが中心側へと倒れ込んでも、ラップ間の接触を抑制しつつ、最小ラジアル隙間の均一化を図ることができる。
【選択図】図2
Description
上記のような対応策として、特許文献1では旋回スクロールと固定スクロールの線膨張係数が異なる場合に、インボリュート曲線で形成されるラップの基礎円半径を変えることにより運転時に適切なラップ側面の最小ラジアル隙間を形成するようにしている。つまり、線膨張係数の大きい材料からなるスクロールの基礎円半径を他方の基礎円半径よりも小さく構成することにより、運転時の温度雰囲気で均一の最小ラジアル隙間を実現しようとしている。この他にも、特許文献2では両歯形のスクロール流体機械において、固定スクロールの吸入冷媒が直接接触する方向では他の部分と比べ熱膨張量が小さく、旋回スクロールとの間で熱膨張差が生じるとして、その箇所の固定スクロールのラップ内壁側もしくはそれに対応する旋回スクロールのラップ外壁側の最小ラジアル隙間を他の部分よりも大きく構成して最適な性能を発揮するスクロール流体機械を提供するものがある。
として構成されるものである。運転中の旋回スクロールのラップ倒れ込み量に係わる因子としては、上式右辺の3項目が主として影響し、倒れ込み量は概ね3項目の積で与えられる。よって、この構成によれば、旋回スクロールのラップが倒れ込み、特に最小ラジアル隙間の拡大が必要とされる量だけオフセットすることから、無駄な隙間拡大によるシール性能の悪化を抑制した高効率なすクロール圧縮機を提供可能となる。
、無駄な隙間拡大によるシール性能の悪化を抑制した高効率なすクロール圧縮機を提供可能となる。
図1は、本発明の実施の形態1におけるスクロール圧縮機の縦断面図である。
27を通り、図示された点線矢印のごとく回転子3a上部へと導かれる。ここで主軸受け23などを潤滑後排出されたオイルと合流し、回転子3a内部に設けられた回転子通路3bを介して回転子3a下部へと到達後、ガスとオイルの混合流が遠心力によって固定子3c下部コイルエンドに衝突し、気液分離される。気液分離後のガスは固定子3c外周に設けられた固定子通路3dを介して電動機3上部へと導かれ、圧縮機構に設けられた図示されていない上向きガス流路を通って圧縮機構上側空間へ到達後、吐出管2から密閉容器1外部へと吐出される。一方、気液分離後のオイルは密閉容器1の底のオイル溜りと合流し、給油ポンプ装置8によって、繰返し圧縮機構部または軸受部を循環する。この繰返しの過程で、オイル全体が圧縮されたガスと略同温度となり、結果として、背面室18と外側の背圧室19の雰囲気温度は吐出ガスと略同温度にまで達する。よって、本実施の形態のように、作動流体と混合されて密閉容器1の内部を循環する流体が、旋回スクロールの背面雰囲気となる構成の場合、吸入温度との温度差が生じやすくなる。
x=a(cosθ+θsinθ)
y=a(sinθ+θcosθ)
これを基準曲線とし、旋回半径εで旋回したときの基準曲線が描く二つの包絡線のうち外側包絡線は以下の関数で表される。
x=a(cos(θ−ε/a)+θsin(θ−ε/a))
y=a(sin(θ−ε/a)+θcos(θ−ε/a))
同様に、内側包絡線は以下の関数で表される。
x=a(cos(θ+ε/a)+θsin(θ+ε/a))
y=a(sin(θ+ε/a)+θcos(θ+ε/a))
固定スクロールラップ6bおよび旋回スクロールラップ9aの一方のラップ外壁を上述の基準曲線の関数で表現すると、それに組み合わされる他方のラップ内壁の外側包絡線を同じ基礎円半径aで構成することにより、固定スクロールラップ6bと旋回スクロールラップ9aを噛み合わせた際に、同時に複数形成される旋回スクロールのラップ内壁側の最小ラジアル隙間Daあるいは旋回スクロールのラップ外壁側の最小ラジアル隙間Dbが等しく形成される。さらに、旋回スクロールのラップ内壁側の最小ラジアル隙間Daと外壁側の最小ラジアル隙間Dbの大小については、組立ての際の旋回スクロール9と固定スクロール6の位置とラップの位相位置によって決定される。ラップ間の可動旋回半径が最大となる旋回スクロールと固定スクロールの位置とラップの位相位置で組み立てた場合、旋回スクロールのラップ内壁側の最小ラジアル隙間Daと外壁側の最小ラジアル隙間Dbは等しくなり、結果として同時に形成される全ての最小ラジアル隙間を等しく形成可能となる。
側の内壁にオフセット部を設けている。ただし、図3では説明のためオフセット部を過剰に設けて描画している。このオフセット部により、図3(a)に示すスクロール圧縮機組立て時には、旋回スクロールラップ9a先端に他の最小ラジアル隙間Da、Dbよりも大きな最小ラジアル隙間Da−1が設けられる。これを図4(a)に示すスクロールラップ間の拡大縦断面図で説明すると、組立時の旋回スクロールラップは点線で示すように、ラップ先端内壁側で最小ラジアル隙間が大きく形成されるようにオフセットしており、運転時には旋回スクロールラップが倒れ込むことにより、大きく形成した最小ラジアル隙間が縮小し、ラップ根元側等、同時に形成される他の部分の最小ラジアル隙間と等しく設計可能となる。同様に、図4(b)では同じ旋回スクロールラップ先端の外壁側で内壁側と同量のオフセットを外側に設けることにより、運転時の旋回スクロールラップの倒れ込みにより、同時に形成される他の部分と同じ最小ラジアル隙間を形成できる。さらに、これらのオフセットを全ての偏心方向に対して最小ラジアル隙間が均一となるように設けることで、旋回スクロールラップ内壁側のシール性を均一に保ち、局所的な摺動損失を抑制することが可能となる。また、吸入した作動流体の影響は、圧縮による作動流体の温度上昇がない範囲、つまり圧縮開始点9a−0から360度の範囲で顕著に表れ、吸入口14に近い圧縮開始点9aほど影響も大きいため、旋回スクロールラップ9a先端側の内壁に対する最適なオフセットとしては、圧縮開始点9a−0で最もオフセット量を大きく設定し、中心側に至るに従ってそのオフセット量を縮小し、圧縮開始点から360度以内の範囲でオフセット終了するのが望ましい。さらに、旋回スクロールラップ9aの最大倒れ込み量が概ね以下の3因子の積により推定できる。
・作動流体の吸入温度と旋回スクロールの背面温度との温度差
・旋回スクロールの線膨張係数
・旋回スクロールのラップ高さ
よって、圧縮開始点9a−0における旋回スクロール9aのラップ先端側の内壁オフセットDa−1のオフセット量としては、上記3因子の積と同等かそれ以下に設定するとよい。すなわち、固定スクロールのラップ根元側の外壁曲線のオフセット量δを、
δ≦作動流体の吸入温度と旋回スクロールの背面温度との温度差×旋回スクロールの線膨張係数×旋回スクロールのラップ高さ
としてある。
することにより高効率化を実現できる。
なお、作動流体としては、ハイドロフルオロカーボンと同様の低密度冷媒、例えばハイドロフルオロオレフィンとすることもできる。必要とする冷凍能力を発揮するためには、圧縮機の容積を大きく設計しなければならず、スクロールのラップ高さが高くなる。つまり、旋回スクロールのラップ倒れ込み角度が同じあっても、先端での変位は大きくなるため、本発明の効果が顕著に現れ、高効率かつ高信頼性を実現するスクロール圧縮機を提供することができる。
更に、作動流体として二酸化炭素等の高圧冷媒を用いてもよい。この場合、特に動作圧力が高いため、作動流体の圧縮による温度変化が大きく、旋回スクロールの背面雰囲気と作動流体の吸入温度との温度差も大きくなって、ラップの倒れ込みも大きくなり易い。すなわち、本発明の効果が顕著に現れ、高効率かつ高信頼性を実現するスクロール圧縮機を提供することができる。
また、旋回スクロールは線膨張係数の大きい素材、例えばアルミ合金で構成してもよい。この場合、旋回スクロールの背面雰囲気と作動流体の吸入温度との温度差に対し、より大きな熱膨張差を生じるため、先回スクロールのラップ倒れ込み量が大きく、本発明の効果が顕著に現れるので、高効率かつ高信頼性を実現するスクロール圧縮機を提供することができる。
図5は圧縮機構部の平面図を示し、この図5に示す通り、旋回スクロールと固定スクロールを組立てる際に、ラップ間の可動旋回半径が最大となるような旋回スクロールと固定スクロールの位置およびラップの位相位置から、旋回スクロールの位相のみを旋回方向にずらして組立てる。可動旋回半径が最大となる位置およびラップの位相位置において組立てた場合、旋回スクロールラップ9aの内壁側の最小ラジアル隙間Daと外壁側の最小ラジアル隙間Dbは組立て時において等しく形成される。それに対し、旋回スクロールの位相のみを旋回方向にずらして組立てた場合、旋回スクロールラップ9aの内壁側の最小ラジアル隙間Daを外壁側の最小ラジアル隙間Dbよりも大きく形成される。これにより、運転時の旋回スクロールラップ9aが倒れ込んだ際にも、内壁側の最小ラジアル隙間Daを維持でき、接触を抑制することができる。
6a 固定スクロール鏡板
6b 固定スクロールラップ
9 旋回スクロール
9a 旋回スクロールラップ
9b 旋回スクロール鏡板
18 背面室
19 背圧室
Claims (12)
- 鏡板から渦巻き状のラップが立ち上がる固定スクロール及び旋回スクロールを噛み合わせて双方間に形成される圧縮室を備え、前記旋回スクロールの背面雰囲気が作動流体の吸入温度よりも高温の流体であるスクロール圧縮機において、前記旋回スクロールの前記ラップ内壁側圧縮室の圧縮開始点からさらに中心側に至るまでの範囲に亘り、前記旋回スクロールの前記ラップ先端側の内壁曲線と前記固定スクロールの前記ラップ根元側の外壁曲線からなる最小ラジアル隙間を他の部分における最小ラジアル隙間よりも大きく形成したことを特徴とするスクロール圧縮機。
- 前記旋回スクロールのラップ内壁側圧縮開始点からさらに中心側に至るまでの範囲に亘り、前記旋回スクロールのラップ先端側の内壁曲線を外側にオフセットすることを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
- 前記旋回スクロールのラップ先端側の内壁曲線のオフセットを前記圧縮開始点から360度以内の範囲で行った請求項2に記載のスクロール圧縮機。
- 前記旋回スクロールのラップ先端側の内壁曲線のオフセット量δを、δ≦作動流体の吸入温度と旋回スクロールの背面温度との温度差×旋回スクロールの線膨張係数×旋回スクロールのラップ高さ
とした請求項2または3に記載のスクロール圧縮機。 - 前記旋回スクロールのラップ先端側の内壁曲線のオフセット量を圧縮開始点に向かうにつれて大きくした請求項2〜4のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
- 前記旋回スクロールのラップ先端側の内壁曲線のオフセットに合わせて、前記旋回スクロールのラップ先端側の外壁曲線を外側にオフセットしたことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
- 前記旋回スクロールのラップ先端側の内壁曲線のオフセットに合わせて、前記ラップの高さ方向に一様にオフセットすることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
- 前記旋回スクロールの背面雰囲気が、吐出温度と略同温度のオイルあるいはオイルと作動流体である請求項1から7のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
- 作動流体を、二酸化炭素等の高圧冷としてなる請求項1から8のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
- 作動流体を、ハイドロフルオロカーボンやハイドロフルオロオレフィン等の低密度冷媒としてなる請求項1から8に記載のスクロール圧縮機。
- 前記旋回スクロールをアルミ合金等の線膨張係数の大きい素材で構成した請求項1から10に記載のスクロール圧縮機。
- 旋回スクロールのラップと前記固定スクロールのラップとの間の可動旋回半径が最大となるような前記旋回スクロールと前記固定スクロールの位置およびラップの位相位置から、前記旋回スクロールの位相のみを旋回方向にずらして組立てることを特徴とするスクロール圧縮機の組立方法。
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