JP2015071947A - スクロール圧縮機および冷凍機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】性能および高信頼性のスクロール圧縮機およびそれを備える冷凍機器を提供する。【解決手段】旋回スクロールラップ3bを有する旋回スクロール3と、固定スクロールラップ4bを有する固定スクロール4と、旋回スクロールラップ内線33bと固定スクロールラップ外線44aとで形成される第1圧縮室と、旋回スクロールラップ外線33aと固定スクロールラップ内線44bとで形成される第2圧縮室と、を備え、第1圧縮室の側面隙間である旋回スクロールラップ内線33bと固定スクロールラップ外線44aとの側面隙間をδAとし、第2圧縮室の側面隙間である旋回スクロールラップ外線33aと固定スクロールラップ内線44bとの側面隙間をδBとするとき、δA>δBとする。【選択図】図4

Description

本発明は、スクロール圧縮機およびそれを備える冷凍機器に関する。
スクロール圧縮機は、両スクロールラップ間で流体の圧縮の断熱変化に近い変化が生じているため、運転時の両スクロールラップの温度レベルは他の部分と異なり、他の部分と熱膨張量に差が生じる。固定スクロールは、旋回スクロールと比較して、旋回スクロール以外の部分との接触が多く、接触部において自由な熱膨張が妨げられる。このため、運転時において、旋回スクロール(鏡板部)が固定スクロールに対して相対的に大きさが変化し、また、温度が上昇して旋回スクロールラップが熱膨張する。これにより、旋回スクロールラップと固定スクロールラップとの側面隙間が小さくなり、両スクロールラップが干渉するおそれがある。
このような両スクロールラップの干渉を回避するために、旋回スクロールの旋回軸の偏心量をスクロールラップの形状から決まる量よりも小さく設定することとなる。その結果、スクロールラップ間の側面隙間が拡大してしまい、旋回スクロールと固定スクロールの組立て精度にバラツキが生じてしまい、平均性能レベルを低下させる原因となっていた。
上記対策としては、特許文献1に示されたものがある。
このスクロール圧縮機は、旋回スクロールラップと固定スクロールラップで形成される側面隙間を、中央の巻き始め点から中央寄りの区間において、この中央寄り区間から外周寄り区間よりも小さくしている。構造としては、旋回スクロールラップのラップ厚さを、巻き始め点から中央寄りの区間において、この中央より区間から外周より区間のラップ厚さよりも厚肉化することで、達成している。これにより、組立て精度を向上させ、かつ、平均性能レベルの低下を抑制している。
特許第3747358号公報
旋回スクロールと固定スクロールで形成される圧縮室は、旋回スクロール内線側圧縮室と旋回スクロール外線側圧縮室の2つの圧縮室があり、両圧縮室には各々側面隙間が存在している。特許文献1では、旋回スクロールラップのラップ厚さを、旋回スクロールラップ内線側を内側へ、旋回スクロールラップ外線側を外側へ、それぞれ厚肉化の量を同じとした構造になっている。つまり、上記の両圧縮室の各々の側面隙間は、旋回スクロールの内線側と外線側で均等の隙間状態になっている。
ところで、スクロール圧縮機では、吸込圧力と吐出圧力の間の圧力とした中間圧力や吐出圧力を旋回スクロールラップが立設されている鏡板部の背面に押圧することで、旋回スクロールを固定スクロールに押し付けて圧縮室を形成し、圧縮動作を行っている。この押し付け力が弱いと旋回スクロールは揺動した状態になってしまい、旋回スクロールラップ先端から圧縮された冷媒ガスが低い圧縮室側へと漏れ出てしまい漏れ損失が増大し、性能が大幅に低下することとなる。一方、押し付け力が強いと、ラップ先端からの冷媒ガスの漏れは抑制されるが、ラップ先端の摺動損失が増大することとなり、性能が大幅に低下することとなる。これら漏れ損失と摺動損失を考慮して、押し付け力を設計することとなる。
近年、ヒートポンプ給湯機等で使用されている二酸化炭素冷媒は、高温高圧力条件下で運転されており、旋回スクロールの押し付け力は圧縮機の性能向上のために、ルームエアコン用R410A冷媒よりも過大に押し付ける必要がある。
図10は、運転時における旋回スクロール3の変形を示す断面図である。なお、図10において、旋回スクロールラップ3bの側(表面)を上側、旋回軸受3cの側(背面)を下側として図示している。ここで、鏡板部3aの表面側は、吸込室が形成される外周側付近が吸込圧力Pとなり、中心側付近が吐出圧力P(P>P)となる。一方、鏡板部3aの背面側は、中心側付近である旋回軸受3cにおいて、クランク軸を流れる潤滑油の油圧による圧力Pで(P≒P)押し付けられ、外周側付近は背圧室の中間圧力P(P<P<P)で押し付けられる。このため、旋回スクロール3の鏡板部3aは、これらの押し付け力によって、図10に示すように、お椀形状に変形することとなる。更に、このお椀形状の変形によって、鏡板部3aに立設されている旋回スクロールラップ3bは、旋回スクロール3の中心方向に向かって変形することとなる。
特許文献1の隙間状態では、上記の変形によって、旋回スクロールラップ内線側と固定スクロールラップ外線側との側面隙間は狭くなり、旋回スクロールラップ外線側と固定スクロールラップ内線側の側面隙間は拡大することとなる。また、高温高圧力の二酸化炭素冷媒では、各圧縮室間の差圧が大きいため、上記の側面隙間が拡大した部分においては、冷媒ガスが低い圧縮室側へ漏れ出てしまい漏れ損失が大幅に増大し、性能が大幅に低下することとなる。
そこで、本発明は、高性能および高信頼性のスクロール圧縮機およびそれを備える冷凍機器を提供することを課題とする。
このような課題を解決するために、本発明に係るスクロール圧縮機は、旋回スクロールラップを有する旋回スクロールと、固定スクロールラップを有する固定スクロールと、前記旋回スクロールラップの内線と前記固定スクロールラップの外線とで形成される第1圧縮室と、前記旋回スクロールラップの外線と前記固定スクロールラップの内線とで形成される第2圧縮室と、を備え、前記第1圧縮室の側面隙間である前記旋回スクロールラップの内線と前記固定スクロールラップの外線との側面隙間をδAとし、前記第2圧縮室の側面隙間である前記旋回スクロールラップの外線と前記固定スクロールラップの内線との側面隙間をδBとするとき、δA>δBとすることを特徴とする。
また、本発明に係る冷凍機器は、前記スクロール圧縮機と、凝縮器と、減圧手段と、蒸発器と、からなる冷媒回路を備えることを特徴とする。
である。
本発明によれば、高性能および高信頼性のスクロール圧縮機およびそれを備える冷凍機器を提供することができる。
第1実施形態に係るスクロール圧縮機の縦断面図である。 旋回スクロールおよび固定スクロールを説明する図であり、旋回スクロールの鏡板部を透視して、旋回スクロールの旋回スクロールラップおよび固定スクロールを図1の下側から上側にみた図である。 第1実施形態に係るスクロール圧縮機が備える固定スクロールを図1の下側から上側にみた図である。 第1実施形態に係るスクロール圧縮機において、図1のD部の部分拡大断面図である。なお、(a)(b)は組立時、(c)(d)は運転時である。また、(a)(c)は旋回スクロール内線側圧縮室の側面隙間を示し、(b)(d)は旋回スクロール外線側圧縮室の側面隙間を示す。 第2実施形態に係るスクロール圧縮機が備える旋回スクロールを、旋回スクロールの鏡板部を透視して(二点鎖線で示す)、図1の下側から上側にみた図である。 第2実施形態に係るスクロール圧縮機において、図1のD部の部分拡大断面図である。なお、(a)(b)は組立時、(c)(d)は運転時である。また、(a)(c)は旋回スクロール内線側圧縮室の側面隙間を示し、(b)(d)は旋回スクロール外線側圧縮室の側面隙間を示す。 第3実施形態に係るスクロール圧縮機が備える旋回スクロールを、旋回スクロールの鏡板部を透視して(二点鎖線で示す)、図1の下側から上側にみた図である。 第4実施形態に係るスクロール圧縮機が備える固定スクロールを図1の下側から上側にみた図である。 本実施形態に係る冷凍機器(ヒートポンプ式給湯機)の構成模式図である。 運転時における旋回スクロールの変形を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
≪第1実施形態≫
<スクロール圧縮機>
まず、第1実施形態に係るスクロール圧縮機50について、図1を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係るスクロール圧縮機50の縦断面図である。
図1に示すように、スクロール圧縮機50は、密閉容器1と、旋回スクロール3、固定スクロール4、フレーム5、クランク軸6およびオルダムリング7からなる圧縮機構部2と、電動機部8と、下軸受9と、を備えている。
密閉容器1は、円筒状のケース1aの上側に蓋チャンバ1bが溶接され、円筒状のケース1aの下側に底チャンバ1cが溶接されて構成されている。また、蓋チャンバ1bには吸込パイプ1dが設けられており、ケース1aには吐出パイプ1eが設けられている。
また、蓋チャンバ1bには密閉容器1の内部に配置される電動機部8に電力を供給するためのターミナル1fが設けられている。ケース1a、蓋チャンバ1bおよび底チャンバ1cで構成される密閉容器1内の上部には、圧縮機構部2が配置され、密閉容器1内の下部には、電動機部8が配置されている。そして、密閉容器1の底部には、機油13(潤滑油、冷凍機油)が貯留されている。
圧縮機構部2は、旋回スクロール3と、固定スクロール4と、フレーム5と、クランク軸6と、オルダムリング7と、を備えて構成されている。
旋回スクロール3は、鏡板部3aと、鏡板部3aの表面側(図1の上側)に直立する渦巻状の旋回スクロールラップ3bと、鏡板部3aの背面側(図1の下側)にクランク軸6の偏心部6bが嵌合する旋回軸受3cと、を有している。固定スクロール4は、鏡板部4aと、鏡板部4aの下側(図1の下側)に直立する渦巻状の固定スクロールラップ4bと、を有している。旋回スクロール3は、固定スクロール4と相対向して旋回自在に配置されており、両者によって、吸込室15(後述する図2参照)と圧縮室16(後述する図2参照)が形成されている。
また、固定スクロール4の外周部には、吸込室15(後述する図2参照)に連通する吸込口4cが設けられている。この吸込口4cは、鏡板部4aの上面(反ラップ面)から垂直に延びるように形成されている。吸込口4cの上部には吸込パイプ1dが圧入されている。なお、吸込口4cには、逆止弁10が配置されている。
また、固定スクロール4の中央部には、吐出口4dが形成されている。
フレーム5は、固定スクロール4とボルト等の締結具で固定され、固定スクロール4とフレーム5の間に配置された旋回スクロール3を支持する。また、フレーム5は、その外周側が溶接によって密閉容器1の内壁面に固定されており、クランク軸6の主軸6aを回転自在に支持する主軸受5aを備えている。また、旋回スクロール3とフレーム5との間には、背圧室17が形成されている。
オルダムリング7は、旋回スクロール3の下面側とフレーム5の間に配置されており、旋回スクロール3の下面側に形成された溝とフレーム5に形成された溝に装着されている。オルダムリング7は、旋回スクロール3を自転することなく、クランク軸6の偏心部6bの偏心回転を受けて旋回運動をさせる働きをする。
電動機部8は、ロータ8aおよびステータ8bを備えている。ステータ8bは、密閉容器1に圧入、溶接等により固定されている。ロータ8aは、ステータ8b内に回転可能に配置されている。また、ロータ8aにはクランク軸6が固定されている。
クランク軸6は、前記のように主軸6aと偏心部6bとを備えて構成されている。クランク軸6の主軸6aは、上側がフレーム5に設けた主軸受5aに支持され、下側が下軸受9で支持されている。クランク軸6の偏心部6bは、主軸6aに対して偏心して一体に形成されており、旋回スクロール3の背面に設けた旋回軸受3cに嵌合されている。電動機部8を駆動して主軸6aを回転させると、偏心部6bは主軸6aに対して偏心回転運動し、旋回スクロール3を旋回運動させるようになっている。また、クランク軸6は、主軸受5a、下軸受9および旋回軸受3cへ機油13を導く給油通路6cが設けられ、下側の軸端に、機油13を吸い上げて給油通路6cに導く給油ピース6dが装着されている。
また、固定スクロール4には、背圧室17の圧力を制御する背圧弁11が設けられている。固定スクロール4には、起動時など液冷媒が大量に吸い込まれた時や吐出圧力と吸込圧力の圧力比「吐出圧力/吸込圧力」が低い条件の時などに、圧縮室16(後述する図2参照)が吐出口4dと連通する前に、冷媒ガスを吐出圧室18に吐き出すリリース弁12が設けられている。
ここで、スクロール圧縮機50の圧縮作用について説明する。
ロータ8aは、ステータ8bが発生する回転磁界により回転力が与えられて回転する。ロータ8aに固定されたクランク軸6はロータ8aの回転に伴い回転動作を行う。クランク軸6に連結された旋回スクロール3はオルダムリング7の作用により自転することなく旋回運動(公転)する。
旋回スクロール3の旋回運動により逆止弁10が吸込口4cを開き、冷媒ガスは、吸込パイプ1dから吸込口4c、吸込室15(後述する図2参照)を通り、旋回スクロール3および固定スクロール4により形成される圧縮室16(後述する図2参照)に導かれる。そして、圧縮室16(後述する図2参照)の冷媒ガスは、旋回スクロール3と固定スクロール4との間で中心方向に移動するに従って容積を縮小して圧縮される。圧縮された冷媒ガスは、固定スクロール4の吐出口4dから密閉容器1内の空間である吐出圧室18に吐出され、吐出パイプ1eを通って、外部へと流出していく。
また、密閉容器1の底部に貯留されている機油13は、密閉容器1内の吐出圧室18の吐出圧力と、吐出圧力と吸込圧力の中間圧力である背圧室17との差圧により、給油ピース6dおよびクランク軸6の給油通路6cを経て、旋回スクロール3の旋回軸受3cを潤滑し、背圧室17へ供給される。なお、給油通路6cを流れる機油13の一部は、フレーム5の主軸受5aおよび下軸受9にも供給され、各軸受の潤滑を行う。背圧室17に流入した機油13は、背圧室17で減圧されることにより、機油13に溶解していた冷媒の一部が分離する。そのため、背圧室17内は、冷媒と機油13の気液混合状態となる。背圧室17に流入した機油13および冷媒は、最終的に固定スクロール4に設けられた背圧弁11から流出し、圧縮室16(後述する図2参照)へ供給されて、固定スクロール4と旋回スクロール3の潤滑および各隙間のシールを行う。
このように、旋回スクロール3は、クランク軸6の給油通路6cを介して旋回軸受3cに給油される機油13の油圧による圧力(吐出圧室18の吐出圧力に相当)、および、背圧室17の中間圧力によって、固定スクロール4に押し付けられている。
≪圧縮機構部2(旋回スクロール3、固定スクロール4)≫
次に、第1実施形態に係るスクロール圧縮機50の圧縮機構部2について図2から図4を用いて更に説明する。図2は、旋回スクロール3および固定スクロール4を説明する図であり、旋回スクロール3の鏡板部3aを透視して、旋回スクロール3の旋回スクロールラップ3bおよび固定スクロール4を図1の下側から上側にみた図である。
図2に示すように、旋回スクロール3の旋回スクロールラップ3bは、旋回スクロールラップ外線33aおよび旋回スクロールラップ内線33bで形成されている。固定スクロールラップ4bは、固定スクロールラップ外線44aおよび固定スクロールラップ内線44bで形成されている。
固定スクロール4の吸込口4cは、吸込室15と連通している。旋回スクロール3が旋回することにより、旋回スクロールラップ3bと固定スクロールラップ4bとの間が閉じて、吸込室15の一部が旋回スクロールラップ3bおよび固定スクロールラップ4bで囲まれた圧縮室16となる。なお、旋回スクロールラップ3bと固定スクロールラップ4bとの間には、側面隙間が生じているが、機油13(図1参照)によりシールされている。そして、旋回スクロール3がさらに旋回することにより、圧縮室16が中心方向に移動し、それに従って容積を縮小して、圧縮室16内の冷媒ガスを圧縮する。そして、圧縮室16が固定スクロール4の中心側に設けられた吐出口4dと連通すると、圧縮室16内の圧縮された冷媒ガスを吐出口4dから吐出圧室18(図1参照)へと吐出する。
そして、圧縮室16は、旋回スクロールラップ内線33bと固定スクロールラップ外線44aとが閉じた際に形成される旋回スクロール内線側圧縮室16a(第1圧縮室)と、旋回スクロールラップ外線33aと固定スクロールラップ内線44bとが閉じた際に形成される旋回スクロール外線側圧縮室16b(第2圧縮室)と、がある。
このように、圧縮室16と他の圧縮室16(または吸込室15)とをシールする旋回スクロールラップ3bと固定スクロールラップ4bとの側面隙間は、旋回スクロールラップ内線33bと固定スクロールラップ外線44aとの側面隙間(δA,δA;後述する図4参照)と、旋回スクロールラップ外線33aと固定スクロールラップ内線44bとの側面隙間(δB,δB;後述する図4参照)と、がある。
第1実施形態に係るスクロール圧縮機50の固定スクロール4について図3を用いて更に説明する。図3は、第1実施形態に係るスクロール圧縮機50が備える固定スクロール4を図1の下側から上側にみた図である。
図3に示すように、第1実施形態に係るスクロール圧縮機50の固定スクロールラップ4bは、固定スクロールラップ内線44bを固定スクロールラップ外線44aよりも厚肉化した形状とするように、厚肉部44btが設けられている。
換言すると、クランク軸6の偏心部6bの偏心量(旋回スクロール3の偏心量)、固定スクロールラップ4bの基本厚さ等から、固定スクロールラップ4bのラップ中心線L(例えば、インボリュート曲線)が設定され、このラップ中心線Lから内側・外側に等しい幅で、固定スクロールラップ4bの基本厚さが設計される。第1実施形態に係るスクロール圧縮機50の固定スクロールラップ4bは、この基本厚さよりも固定スクロールラップ内線44bの側を厚肉化する(厚肉部44btを設ける)。このため、ラップ中心線Lから固定スクロールラップ外線44aまでの幅よりも、ラップ中心線Lから固定スクロールラップ内線44bまでの幅のほうが、大きくなっている。
図4は、第1実施形態に係るスクロール圧縮機50において、図1のD部の部分拡大断面図である。なお、(a)および(b)は組立時、(c)および(d)は運転時である。また、(a)および(c)は旋回スクロール内線側圧縮室16a(図2参照)の側面隙間(旋回スクロールラップ内線33bと固定スクロールラップ外線44aとの側面隙間)を示し、(b)および(d)は旋回スクロール外線側圧縮室16b(図2参照)の側面隙間(旋回スクロールラップ外線33aと固定スクロールラップ内線44bとの側面隙間)を示す。また、図4(a)〜(d)において、左側が旋回スクロール3および固定スクロール4の中心側であり、右側が旋回スクロール3および固定スクロール4の外周側である。
ここで、組立時とは、スクロール圧縮機50(旋回スクロール3、固定スクロール4)が組み立てられた状態を示す。なお、組立時とは、設計時としてもよく、スクロール圧縮機50の非運転時(無負荷状態。鏡板部3aの表面と背面との圧力差が小さく、図10のようなお椀形状の変形が生じていない状態。)としてもよい。
また、運転時とは、スクロール圧縮機50が圧縮運転している状態を示す。なお、運転時とは、旋回スクロール3が固定スクロール4に強く押し付けられている状態(圧力負荷状態。鏡板部3aの表面と背面との圧力差により、図10のようなお椀形状の変形が生じている状態。)としてもよい。
図4(a)および図4(b)に示すように、組立時においては、旋回スクロールラップ内線33bと固定スクロールラップ外線44aで形成される側面隙間δAと、旋回スクロールラップ外線33aと固定スクロールラップ内線44bで形成される側面隙間δBとは、式(1)の関係が成立する。
側面隙間δA>側面隙間δB ・・・(1)
また、旋回スクロール3の旋回軸受3cと、クランク軸6の偏心部6bとの軸受クリアランスをCとした場合、式(2)の関係が成立するように構成されている。
側面隙間δA−側面隙間δB<軸受クリアランスC ・・・(2)
換言すると、固定スクロールラップ内線44bに厚肉部44btを設けたことにより、側面隙間δBが側面隙間δAよりも小さくなっている。また、厚肉部44btの厚さ(「側面隙間δA−側面隙間δB」に相当)は、旋回軸受3cと偏心部6bとの軸受クリアランスCよりも小さくする。
一方、図4(c)および図4(d)に示すように、運転時においては、圧力負荷によって、旋回スクロールラップ3bは、固定スクロールラップ4bの固定スクロールラップ外線44aの側(旋回スクロール3および固定スクロール4の中心側)に変形することとなる。
ここで、変形のメカニズムについて、図10を用いて説明する。図10は、運転時における旋回スクロール3の変形を示す断面図である。なお、図10において、旋回スクロールラップ3bの側(表面)を上側、旋回軸受3cの側(背面)を下側として図示している。
鏡板部3aの表面側は、固定スクロール4の吸込口4cおよび吸込室15(図2参照)が形成される外周側付近が吸込圧力Pとなり、固定スクロール4の吐出口4d(図2参照)が形成される中心側付近が吐出圧力P(P>P)となる。一方、鏡板部3aの背面側は、中心側付近である旋回軸受3cにおいて、クランク軸6の給油通路6c(図1参照)を流れる機油13(図1参照)の油圧による圧力Pで(P≒P)押し付けられ、外周側付近は背圧室17(図1参照)の中間圧力P(P<P<P)で押し付けられる。
このように、旋回スクロール3は、クランク軸6の給油通路6c(図1参照)を介して旋回軸受3cに給油される機油13(図1参照)の油圧による圧力P(吐出圧室18(図1参照)の吐出圧力Pに相当)、および、背圧室17(図1参照)の中間圧力Pによって、固定スクロール4(図1参照)に押し付けられている。また、旋回スクロール3の中心側よりも外周側の方が、鏡板部3aの表面と背面との圧力差も大きくなっている。
また、旋回スクロール3の鏡板部3aは、中心側には、変形を抑制するリブとして機能する構造体(旋回スクロールラップ3b、旋回軸受3c)が立設しているのに対し、外周側には構造体の立設が少ないため、鏡板部3aの外周側の剛性が低くなる。
このため、二酸化炭素冷媒のような高温高圧力条件下で運転する場合、旋回スクロール3の鏡板部3aは、これらの押し付け力によって、図10に示すように、お椀形状に変形することとなる。更に、このお椀形状の変形によって、鏡板部3aに立設されている旋回スクロールラップ3bは、旋回スクロール3の中心方向に(固定スクロールラップ4bの固定スクロールラップ外線44aの側に)向かって変形することとなる。
図4(c)および図4(d)に戻り、運転時においては、圧力負荷によって、鏡板部3aが変形し、旋回スクロールラップ3bが固定スクロールラップ外線44aの側に向かって変形するので、旋回スクロールラップ外線33aと固定スクロールラップ内線44bとの側面隙間δBが拡大する。
このため、従来のスクロール圧縮機では、「側面隙間δA<側面隙間δB」となり、旋回スクロールラップ外線33aと固定スクロールラップ内線44bの側面隙間δBにおいて、冷媒ガスが低い圧縮室側へ漏れ出てしまい漏れ損失が大幅に増大し、性能が大幅に低下するおそれがある。
これに対し、第1実施形態に係るスクロール圧縮機50は、固定スクロールラップ4bの固定スクロールラップ内線44bの側を厚肉化する(厚肉部44btを設ける)ことにより、組立時の側面隙間δBを狭めて、運転時の側面隙間δBも狭めることができる。これにより、側面隙間δBを側面隙間δAと略同等とすることが可能となる。
換言すれば、運転時の側面隙間δBが、運転時の側面隙間δAと略同等となるように、固定スクロールラップ4bの固定スクロールラップ内線44bに厚肉部44btを設ける。なお、運転時の側面隙間δA,δBは、側面隙間の平均としてもよく、側面隙間の最小値としてもよく、側面隙間の最大値としてもよい。
このように、側面隙間δBを側面隙間δAと略同等とすることにより、旋回スクロールラップ外線33aと固定スクロールラップ内線44bで形成される旋回スクロール外線側圧縮室16b(図2参照)における漏れ損失を低減して、高性能・高信頼性のスクロール圧縮機50とすることができる。
また、式(2)に示すように、側面隙間δAと側面隙間δBの差を旋回軸受3cと偏心部6bとの軸受クリアランスCより小さくなるようにする。これにより、旋回スクロール3と固定スクロール4の組立時における芯出し作業は、軸受クリアランスC未満を確保しているため、芯出し不良を発生することなく、従来と同等の組立て精度を維持できる。
また、二酸化炭素冷媒のような高温高圧力条件下で運転する場合、旋回スクロール3の鏡板部3aがお椀形状に変形する(図10参照)ことに対する対策として、従来は、鏡板部3aを厚くして対応していた。このため、旋回運動する旋回スクロール3の重量が増加し、電動機部8の消費電力が増加して、特に高速回転時には振動・騒音が増大するという課題があった。これに対し、第1実施形態に係るスクロール圧縮機50は、旋回スクロール3の鏡板部3aを厚くしなくても、旋回スクロール3の鏡板部3aの変形を考慮した側面隙間δA,δBとすることができ、旋回スクロール3を軽量化することができ、電動機部8の消費電力の増加を抑制し、高速回転時における振動・騒音を抑制することができる。
また、第1実施形態の旋回スクロール3の鏡板部3aの厚さは、二酸化炭素冷媒よりも使用圧力が低い冷媒(例えば、R410A冷媒、R32冷媒、R32冷媒を混合した冷媒)で使用する従来のスクロール圧縮機の鏡板部と同等レベルの厚さを確保することが可能となり、加工設備や組立設備等の大幅な変更を実施しなくてもよい。
更に、固定スクロールラップ4bのラップ厚さを厚肉化することにより、高温高圧力条件下での固定スクロールラップ4bの剛性を向上させることができ、信頼性の高いスクロール圧縮機50を得ることができる。
≪第2実施形態≫
次に、第2実施形態に係るスクロール圧縮機50について図5および図6を用いて説明する。図5は、第2実施形態に係るスクロール圧縮機50が備える旋回スクロール3を、旋回スクロール3の鏡板部3aを透視して(二点鎖線で示す)、図1の下側から上側にみた図である。
第2実施形態に係るスクロール圧縮機50は、第1実施形態に係るスクロール圧縮機50(図1参照)と比較して、圧縮機構部2の構成が異なっている。即ち、第1実施形態に係るスクロール圧縮機50は、図3に示すように、固定スクロール4の固定スクロールラップ4bの固定スクロールラップ内線44bの側を厚肉にする(厚肉部44btを設ける)のに対し、第2実施形態に係るスクロール圧縮機50は、図5に示すように、旋回スクロール3の旋回スクロールラップ3bの旋回スクロールラップ外線33aの側を厚肉にする(厚肉部33atを設ける)点で異なっている。その他の点は、第1実施形態と同様であり、説明を省略する。
図5に示すように、第1実施形態に係るスクロール圧縮機50の旋回スクロールラップ3bは、旋回スクロールラップ外線33aを旋回スクロールラップ内線33bよりも厚肉化した形状とするように、厚肉部33atが設けられている。
換言すると、クランク軸6の偏心部6bの偏心量(旋回スクロール3の偏心量)、旋回スクロールラップ3bの基本厚さ等から、旋回スクロールラップ3bのラップ中心線L(例えば、インボリュート曲線)が設定され、このラップ中心線Lから内側・外側に等しい幅で、旋回スクロールラップ3bの基本厚さが設計される。第2実施形態に係るスクロール圧縮機50の旋回スクロールラップ3bは、この基本厚さよりも旋回スクロールラップ外線33aの側を厚肉化する(厚肉部33atを設ける)。このため、ラップ中心線Lから旋回スクロールラップ内線33bまでの幅よりも、ラップ中心線Lから旋回スクロールラップ外線33aまでの幅のほうが、大きくなっている。
図6は、第2実施形態に係るスクロール圧縮機50において、図1のD部の部分拡大断面図である。なお、(a)および(b)は組立時、(c)および(d)は運転時である。また、(a)および(c)は旋回スクロール内線側圧縮室16a(図2参照)の側面隙間(旋回スクロールラップ内線33bと固定スクロールラップ外線44aとの側面隙間)を示し、(b)および(d)は旋回スクロール外線側圧縮室16b(図2参照)の側面隙間(旋回スクロールラップ外線33aと固定スクロールラップ内線44bとの側面隙間)を示す。また、図6(a)〜(d)において、左側が旋回スクロール3および固定スクロール4の中心側であり、右側が旋回スクロール3および固定スクロール4の外周側である。
図6(a)および図6(b)に示すように、組立時においては、旋回スクロールラップ内線33bと固定スクロールラップ外線44aで形成される側面隙間δAと、旋回スクロールラップ外線33aと固定スクロールラップ内線44bで形成される側面隙間δBとは、式(3)の関係が成立する。
側面隙間δA>側面隙間δB ・・・(3)
また、旋回スクロール3の旋回軸受3cと、クランク軸6の偏心部6bとの軸受クリアランスをCとした場合、式(4)の関係が成立するように構成されている。
側面隙間δA−側面隙間δB<軸受クリアランスC ・・・(4)
換言すると、旋回スクロールラップ外線33aに厚肉部33atを設けたことにより、側面隙間δBが側面隙間δAよりも小さくなっている。また、厚肉部33atの厚さ(「側面隙間δA−側面隙間δB」に相当)は、旋回軸受3cと偏心部6bとの軸受クリアランスCよりも小さくする。
一方、図6(c)および図6(d)に示すように、運転時においては、圧力負荷によって、鏡板部3aが変形し、旋回スクロールラップ3bは、固定スクロールラップ4bの固定スクロールラップ外線44aの側(旋回スクロール3および固定スクロール4の中心側)に向かって変形するので、旋回スクロールラップ外線33aと固定スクロールラップ内線44bとの側面隙間δBが拡大する。
これに対し、第2実施形態に係るスクロール圧縮機50は、旋回スクロールラップ3bの旋回スクロールラップ外線33aの側を厚肉化する(厚肉部33atを設ける)ことにより、組立時の側面隙間δBを狭めて、運転時の側面隙間δBも狭めることができる。これにより、側面隙間δBを側面隙間δAと略同等とすることが可能となる。
換言すれば、運転時の側面隙間δBが、運転時の側面隙間δAと略同等となるように、旋回スクロールラップ3bの旋回スクロールラップ外線33aに厚肉部33atを設ける。なお、運転時の側面隙間δA,δBは、側面隙間の平均としてもよく、側面隙間の最小値としてもよく、側面隙間の最大値としてもよい。
このように、第2実施形態に係るスクロール圧縮機50は、側面隙間δBを側面隙間δAと略同等とすることにより、第1実施形態に係るスクロール圧縮機50と同等の効果が得られる。
また、第2実施形態に係るスクロール圧縮機50は旋回スクロールラップ3bのラップ厚さを厚肉化して、旋回スクロールラップ3b剛性を向上させることができ、信頼性の高いスクロール圧縮機50を得ることができる。
≪第3実施形態≫
次に、第3実施形態に係るスクロール圧縮機50について図7を用いて説明する。図7は、第3実施形態に係るスクロール圧縮機50が備える旋回スクロール3を、旋回スクロール3の鏡板部3aを透視して(二点鎖線で示す)、図1の下側から上側にみた図である。
第3実施形態に係るスクロール圧縮機50は、第2実施形態に係るスクロール圧縮機50と比較して、旋回スクロール3の構成が異なっている。即ち、第2実施形態に係るスクロール圧縮機50は、図5に示すように、旋回スクロール3の旋回スクロールラップ3bの旋回スクロールラップ外線33aの側を全体にわたって厚肉にする(厚肉部33atを設ける)。これに対し、第3実施形態に係るスクロール圧縮機50は、図7に示すように、旋回スクロール3の旋回スクロールラップ3bの旋回スクロールラップ外線33aの側を厚肉にする(厚肉部33atを設ける)範囲を旋回スクロールラップ外線33aの渦巻終端部点Eから略180°の点Eまでの区間としている点で異なっている。その他の点は、第2実施形態と同様であり、説明を省略する。
前述のように、旋回スクロール3の鏡板部3aの外周側は、旋回スクロールラップ3bの立設が中心側より少ないために剛性が低く、背圧室17にかかる圧力により、鏡板部3aの中心側よりも外周側が変形することとなり、鏡板部3aはお椀形状に変形する(図10参照)。この変形がより発生しやすい部分である点Eから点Eの区間おいて、側面隙間δBを狭めることでも本発明は有効である。
なお、厚肉化部分としては、渦巻終端部点Eから略180度の点Eまでの区間、望ましくは、渦巻終端部点Eから略360度の点Eまでの区間とすることでも本発明は有効である。
≪第4実施形態≫
次に、第4実施形態に係るスクロール圧縮機50について図8を用いて説明する。図8は、第4実施形態に係るスクロール圧縮機50が備える固定スクロール4を図1の下側から上側にみた図である。
第4実施形態に係るスクロール圧縮機50は、第1実施形態に係るスクロール圧縮機50と比較して、固定スクロール4の構成が異なっている。即ち、第1実施形態に係るスクロール圧縮機50は、図3に示すように、固定スクロール4の固定スクロールラップ4bの固定スクロールラップ内線44bの側を全体にわたって厚肉にする(厚肉部44btを設ける)。これに対し、第4実施形態に係るスクロール圧縮機50は、図8に示すように、固定スクロール4の固定スクロールラップ4bの固定スクロールラップ内線44bの側を厚肉にする(厚肉部44btを設ける)範囲を固定スクロールラップ内線44bの渦巻終端部点Fから略180°の点Fまでの区間としている点で異なっている。その他の点は、第1実施形態と同様であり、説明を省略する。
第3実施形態と同様に、この変形がより発生しやすい部分である点Fから点Fの区間おいて、側面隙間δBを狭めることでも本発明は有効である。なお、厚肉化部分としては、渦巻終端部点Fから略180度の点Fまでの区間、望ましくは、渦巻終端部Fから略360度の点Fまでの区間とすることでも本発明は有効である。
≪冷凍機器≫
次に、本実施形態に係る冷凍機器について説明する。本実施形態に係る冷凍機器は、冷凍サイクル(ヒートポンプサイクル)を備え、冷凍サイクルを構成する冷媒圧縮機として、本実施形態(第1〜4実施形態)に係るスクロール圧縮機50を備える。
ここで、冷凍機器とは、冷凍サイクルにより冷熱を供給する装置(例えば、冷凍機、冷凍・冷蔵ショーケース、冷房運転する空気調和機など)に限られるものではなく、ヒートポンプサイクルにより熱を供給する装置(例えば、ヒートポンプ式給湯機、暖房運転する空気調和機など)であってもよい。特許請求の範囲における冷凍機器とは、どちらも含むものである。
本実施形態に係る冷凍機器として、ヒートポンプ式給湯機を例に、図9を用いて説明する。図9は、本実施形態に係る冷凍機器(ヒートポンプ式給湯機)の構成模式図である。
ヒートポンプ式給湯機(冷凍機器)は、スクロール圧縮機50と、第1熱交換器(凝縮器)51と、膨張弁(減圧手段)52と、第2熱交換器(蒸発器)53と、を備え、作動冷媒が循環可能なように冷媒配管で接続され、ヒートポンプサイクルが形成されている。なお、作動冷媒として二酸化炭素冷媒を用い、冷凍機油(機油13(図1参照))としてPAG(polyalkylene glycol;ポリアルキレングリコール)を用いる。
第1熱交換器(凝縮器)51は、スクロール圧縮機50の吐出パイプ1e(図1参照)から吐出された高温高圧の作動冷媒と、液配管55を流れる被加熱液体(例えば、水)と、を熱交換させるようになっている。これにより、ヒートポンプ式給湯機(冷凍機器)は、液配管55を流れる被加熱液体(例えば、水)を加熱することができるようになっている。
第1熱交換器(凝縮器)51で放熱した高圧の作動冷媒は、膨張弁(減圧手段)52で減圧され、低温低圧の作動冷媒となり、第2熱交換器(蒸発器)53に流入する。第2熱交換器(蒸発器)53は、流入した低温低圧の作動冷媒と、外気と、を熱交換させるようになっている。なお、作動冷媒と外気との熱交換を促進させるために、第2熱交換器(蒸発器)53に外気を送風する送風ファン54が設けられている。
第2熱交換器(蒸発器)53で吸熱した低圧の作動冷媒は、スクロール圧縮機50の吸込パイプ1d(図1参照)から吸込され、スクロール圧縮機50の圧縮機構部2(図1等参照)で圧縮されて高温高圧の作動冷媒となり、スクロール圧縮機50の吐出パイプ1e(図1参照)から吐出される。
ここで、ヒートポンプ式給湯機は、圧縮機として本実施形態(第1〜4実施形態)に係るスクロール圧縮機50を備えている。スクロール圧縮機50は、運転状態において、旋回スクロール3が固定スクロール4に押圧され、高温高圧力によって旋回スクロール3の鏡板部3aが図10のように変形しても、旋回スクロールラップ3bと固定スクロールラップ4bとの隙間(δB、δB)を狭めることができる。このため、冷凍機油(機油13(図1参照))による圧縮室16(図2参照)のシール性を確保することができ、冷媒ガスが圧縮室16から漏れ出ることによる漏れ損失を大幅に低減することができる。このように、本実施形態(第1〜4実施形態)に係るスクロール圧縮機50は、高性能・高信頼性の圧縮機とすることができる。よって、ヒートポンプ式給湯機の消費電力を低減させることができる。
≪変形例≫
なお、本実施形態(第1〜4実施形態)に係るスクロール圧縮機50およびそれを備える冷凍機器は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
本実施形態(第1〜4実施形態)に係るスクロール圧縮機50は、図1に示すように、縦置のスクロール圧縮機であるものとして説明したが、これに限られるものではなく、横置のスクロール圧縮機であってもよく、同様の効果が得られる。
また、第1,4実施形態に係るスクロール圧縮機50は固定スクロールラップ内線44bに厚肉部44btを設け、第2,3実施形態に係るスクロール圧縮機50は旋回スクロールラップ外線33aに厚肉部33atを設けるものとして説明したが、これに限られるものではなく、固定スクロールラップ内線44bおよび旋回スクロールラップ外線33aの両方を厚肉に形成してもよい。
また、作動冷媒として二酸化炭素冷媒を用いるものとして説明したが、これに限られるものではない。作動冷媒は、R410A冷媒、R32冷媒、R32冷媒を混合した冷媒、R404A冷媒、R290冷媒であってもよく、同様の効果が得られる。また、作動冷媒に合わせて、冷凍機油(機油13(図1参照))を適宜選択すればよい。
冷凍機器としてヒートポンプ式給湯機を例に説明したが、前述したように、冷凍機器はこれに限られるものではない。冷凍機器は、家庭用または業務用のエアコン(空気調和機)であってもよく、冷凍機であってもよく、冷凍・冷蔵ショーケースであってもよく、ヒートポンプ式給湯機の例と同様の効果が得られる。
1 密閉容器
2 圧縮機構部
3 旋回スクロール
3a 鏡板部
3b 旋回スクロールラップ
33a 旋回スクロールラップ外線
33at 厚肉部
33b 旋回スクロールラップ内線
3c 旋回軸受
4 固定スクロール
4a 鏡板部
4b 固定スクロールラップ
44a 固定スクロールラップ外線
44b 固定スクロールラップ内線
44bt 厚肉部
4c 吸込口
4d 吐出口
5 フレーム
6 クランク軸
7 オルダムリング
8 電動機部
9 下軸受
15 吸込室
16 圧縮室
16a 旋回スクロール内線側圧縮室(第1圧縮室)
16b 旋回スクロール外線側圧縮室(第2圧縮室)
17 背圧室
18 吐出圧室
50 スクロール圧縮機
51 第1熱交換器(凝縮器)
52 膨張弁(減圧手段)
53 第2熱交換器(蒸発器)
旋回スクロールラップ中心線(旋回ラップ中心線)
固定スクロールラップ中心線(固定ラップ中心線)
δA〜δA,δB〜δB 側面隙間
C 軸受クリアランス

Claims (9)

  1. 旋回スクロールラップを有する旋回スクロールと、
    固定スクロールラップを有する固定スクロールと、
    前記旋回スクロールラップの内線と前記固定スクロールラップの外線とで形成される第1圧縮室と、
    前記旋回スクロールラップの外線と前記固定スクロールラップの内線とで形成される第2圧縮室と、を備え、
    前記第1圧縮室の側面隙間である前記旋回スクロールラップの内線と前記固定スクロールラップの外線との側面隙間をδAとし、
    前記第2圧縮室の側面隙間である前記旋回スクロールラップの外線と前記固定スクロールラップの内線との側面隙間をδBとするとき、
    δA>δB
    とする
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 前記側面隙間は、組立時における側面隙間である
    ことを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記固定スクロールラップの内線側の壁厚を厚肉化する
    ことを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  4. 前記旋回スクロールラップの外線側の壁厚を厚肉化する
    ことを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  5. 前記固定スクロールラップは、固定ラップ中心線に沿って形成され、
    前記固定ラップ中心線から前記固定スクロールラップの外線までの幅よりも、前記固定ラップ中心線から前記固定スクロールラップの内線までの幅のほうが、大きい
    ことを特徴とする請求項3に記載のスクロール圧縮機。
  6. 前記旋回スクロールラップは、旋回ラップ中心線に沿って形成され、
    前記旋回ラップ中心線から前記旋回スクロールラップの内線までの幅よりも、前記旋回ラップ中心線から前記旋回スクロールラップの外線までの幅のほうが、大きい
    ことを特徴とする請求項4に記載のスクロール圧縮機。
  7. 前記旋回スクロールは、クランク軸の偏心部と嵌合する旋回軸受を有し、
    前記旋回軸受と前記偏心部との軸受クリアランスをCとするとき、
    δA−δB>C
    とする
    ことを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機と、凝縮器と、減圧手段と、蒸発器と、からなる冷媒回路を備える
    ことを特徴とする冷凍機器。
  9. 前記冷媒回路の作動冷媒は、二酸化炭素である
    ことを特徴とする請求項8に記載の冷凍機器。
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