JP5791760B2 - 冷媒圧縮機 - Google Patents
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Description
ところで、近年、地球温暖化対策への取り組みの強化が進み、地球温暖化係数(GWP)の低い冷媒への移行が検討されている。しかし、従来と同等以上の高効率と低GWPを両立するためには、各冷媒に応じた対応が必要になる。現在、家庭用や業務用空調機に使用されているR410A冷媒に替わる冷媒として検討されているのが、HFO1234yfなどのフロン系低GWP冷媒や、プロパンなどの炭化水素系自然冷媒である。これらの冷媒で従来と同等以上の冷凍能力や暖房能力、あるいは効率を得るためには、冷媒回路の冷媒循環量を大きくする必要があるが、圧縮機では、運転回転数を増速するか、または、押しのけ量を大きくするなどの対応が必要になる。冷媒循環量を大きくする目安は、R410Aの冷媒循環量と比べて、HFO1234yfなどのフロン系低GWP冷媒では、おおよそ2〜2.5倍、プロパンなどの炭化水素系自然冷媒ではおおよそ1.5〜2倍である。
以下、実施の形態1について図に基づいて説明する。図1はこの発明の実施の形態1における冷媒圧縮機の縦断面図である。
図に示した冷媒圧縮機において、符号の1は渦巻部を有する固定スクロール、2は固定スクロール1の渦巻部とは巻方向が逆の渦巻部を有する揺動スクロール、3は固定スクロール1を固定配置して主軸受3aを中央部に備えるフレーム、4は揺動スクロール2を軸心方向に支承するスラスト軸受となるスラストプレート、5は揺動スクロール2の自転を防止し揺動運動を与えるためにフレーム3に揺動自在に支持されるオルダムリング、6は電動機ロータ、7は電動機ステータである。これらの電動機ロータ6および電動機ステータ7から電動機部31が構成される。そして、8はその外周に固着された電動機ロータ6が固着されて揺動スクロール2に駆動力を伝達する主軸、9は揺動スクロール2を公転運動させるために揺動スクロール2を支承するスライダ、8aはスライダ9が主軸8に対して偏心するように主軸8の上部に設置されたスライダ装着軸である偏芯スライダ軸部、2aは揺動スクロール2の反圧縮室側に設けられて偏芯スライダ軸部8aに揺動自在に支持される揺動軸受である。10は偏芯スライダ軸部8aの近傍にあってフレーム3の主軸受3aおよび主軸8を円滑に回転運動させるためのスリーブである。11,12はそれぞれ、偏芯スライダ軸部8aにより揺動運動を行う揺動スクロール2の主軸8の回転中心に対してアンバランスを相殺するためのバランサである。すなわち、少なくとも、固定スクロール1、揺動スクロール2、揺動軸受2a、フレーム3、および主軸8を含む構成が、電動機部31に連結されて冷媒を圧縮する圧縮機構部29の構成となる。
図2において、冷媒吸入配管21は、一端側が垂直方向を向いたほぼ円筒形状の管が概略90度折り曲げられて他端側が水平向きにされている。この冷媒吸入配管21は、ほぼ円筒形状である密閉容器中17の筒心Sと、冷媒吸入配管21の垂直配置の円管部分の管心SAがおおよそ並行に配置されて、その水平配置の先端部が接続穴28を通して密閉容器中17内に貫通され、その状態で溶接あるいはロウ付けなどの接続方法により固定されている。通常、密閉容器中17は鉄系の金属で構成され、内径Lがおおよそ125〜250mmの大きさに形成されている。密閉容器中17の肉厚については、使用する冷媒や使用圧力により決定されており、おおよそ2〜15mmである。冷媒吸入配管21は通常、銅系の金属で構成されており、円管部分の内径AAはおおよそ10〜55mmに形成されている。冷媒吸入配管21の肉厚については、これもまた使用する冷媒や使用される圧力により決定されており、おおよそ1〜5mmである。密閉容器中17や冷媒吸入配管21の材料については、それぞれ鉄系の金属や銅系の金属により構成した例を示したが、それ以外の金属を用いても構わない。密閉容器中17と冷媒吸入配管21との接続方法は、溶接あるいはロウ付けなどとしたが、密閉容器中17の材料と冷媒吸入配管21の材料に応じて、それぞれの組合せにより適正な方法で接続することが望まれる。
圧縮機側接続長さ(横:短径方向の外径B)
< 冷媒吸入配管21の円管部分の外径A
< 圧縮機側接続長さ(縦:長径方向の外径C)
・・・(1).
また、次の式(2)により扁平率Dが算出される。
扁平率D=圧縮機側接続長さC(長径) ÷ 圧縮機側接続長さB(短径)
・・・(2).
この扁平率Dが高いほど、密閉容器中17内への配管突出量が小さくなる。
扁平率Dと密閉容器中17内への配管突出量との関係は、図6に示したグラフの関係を満たしている。この場合、密閉容器中17の内径Lと冷媒吸入配管21の短径方向の外径Bとの比R1は、1.9〜20.5:1である。この冷媒圧縮機において、前記した比R1は、密閉容器中17の内径Lと冷媒吸入配管21の長径方向の外径Cとの比R2よりも小さく設定されている。
尚、図1〜4では、密閉容器中17と冷媒吸入配管21との接続において、バーリング加工を施した接続穴28を密閉容器中17に形成した例を示しているが、密閉容器中17の肉厚が大きく、溶接あるいはロウ付けに必要な接続長さを十分に確保できる場合などは、バーリング加工を省略した接続穴を適用しても構わない。
上記のように構成された冷媒圧縮機において、電動機ステータ7に電源が供給されると、電動機ロータ6により主軸8が回転駆動される。電源には50Hzや60Hzの一般商用電源が使用されるが、冷媒循環量を可変にするため、駆動回転数を600〜10000rpmの範囲で駆動できるようにインバータ電源が使用される。主軸8が回転駆動すると、偏芯スライダ軸部8aがスライダ9を介して揺動軸受2a内で回転し揺動スクロール2へ駆動力を伝える。このとき、オルダムリング5のキー部(図示せず)を収容した揺動スクロール2のオルダム溝(図示せず)と、フレーム3のオルダム溝(図示せず)内で往復運動するオルダムリング5とにより、揺動スクロール2は自転を抑制され揺動運動を行う。
尚、フレーム3とサブフレーム13は密閉容器中17内に固定されているが、この固定時の精度ばらつきや部品個々の精度のばらつきにより、主軸受3aとボールベアリング14の軸芯ずれが生じる。また、主軸8のたわみも加わり、主軸受3aと主軸8、ボールベアリング14と主軸8は必ずしも平行にならない。ここで、主軸受3a内の摺動面を平行にするために、主軸8と主軸受3aの間にスリーブ10を収容している。主軸受3aとボールベアリング14の軸芯ずれが生じた場合、主軸8は主軸受3aに対して傾斜するが、第二ピポッド部(図示せず)がスリーブ10の内周面に接触して主軸8の傾きを第二ピポッド部が吸収する。これにより、スリーブ10の外周は常時平行に主軸受3aと摺動することが可能となる。
そして、冷媒回路中の冷媒は、冷媒吸入配管21から密閉容器20内に吸入され、フレーム3の吸入ポート(図示せず)から揺動スクロール2の渦巻部と固定スクロール1の渦巻部により形成される圧縮室23に入る。圧縮室23は、揺動スクロール2の揺動運動により揺動スクロール2の中心へ移動し、更に体積が縮小されることにより圧縮される。このとき、圧縮された冷媒によって固定スクロール1と揺動スクロール2にはそれぞれを軸方向(筒心Sに沿う方向)に離そうとする荷重が働くが、揺動スクロール2はその揺動軸受2aとスラストプレート4により構成された軸受によって荷重が支えられている。圧縮された冷媒は、固定スクロール1の吐出ポート(図示せず)を通り吐出弁24を押し開けて密閉容器上19内の高圧部を通り、冷媒吐出配管22を経て密閉容器20から冷媒回路に吐出される。
次に、冷媒吸入配管の接続開口部の扁平形状として楕円形状を採用した実施の形態2について説明する。
図8は冷媒吸入配管21Aにおける接続開口部30Aの断面が楕円形状であるものを示している。尚、冷媒吸入配管21Aの接続開口部30Aの断面形状以外の構成は実施の形態1と同様であるため、実施の形態1と異なる部分のみ説明する。
以上のように、冷媒吸入配管21Aにおける扁平部の接続開口部30Aの断面は楕円形状になっているので、実施形態1のように長円形状の接続開口部30を持つ冷媒吸入配管21と比べると、接続開口部30Aの内壁面に内圧がより均等にかかる。これによって、冷媒吸入配管21Aの耐圧強度が増すから薄肉化を図ることができ、コストダウンを実現することができる。
Claims (4)
- 密閉容器内に、電動機部と、前記電動機部に連結されて冷媒を圧縮する圧縮機構部と、潤滑油を貯留する油溜めと、を備え、前記密閉容器の少なくとも一部が円筒部で構成され、冷媒吐出配管が前記密閉容器の前記円筒部に貫通接続される冷媒圧縮機において、
前記圧縮機構部は、巻方向が互いに逆の渦巻部を組み合わせることにより圧縮室を形成する固定スクロールおよび揺動スクロールと、前記揺動スクロールの反圧縮室側に設けられて前記揺動スクロールを揺動自在に支持する揺動軸受と、前記揺動スクロールの自転を防止するオルダムリングを支持するフレームと、前記フレームの中心部に設けられた主軸受を貫通して油溜め内の潤滑油を各摺動部に供給するためのオイルポンプに連結されるとともに前記揺動スクロールに駆動力を伝達する主軸とを備えて構成され、
前記冷媒吐出配管の接続開口部の断面を扁平に形成し、
前記冷媒吐出配管は、該冷媒吐出配管の短径方向を前記円筒部の周方向に沿わせ、且つ、前記冷媒吐出配管の長径方向を前記円筒部の筒心方向に沿わせるように配置して前記円筒部に接続したことを特徴とする冷媒圧縮機。 - 前記密閉容器の前記円筒部に接続される前記冷媒吐出配管は、一端側が前記円筒部に接続される水平部と、前記水平部の他端側から前記円筒部の筒心と平行に管心が配置される垂直部とにより構成され、
前記垂直部の断面形状は円形であり、
前記水平部の断面形状は前記長径方向と前記短径方向とを有する扁平であり、
前記垂直部の外径は、前記水平部の長径方向の外径よりも小さく、前記水平部の短径方向の外径よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の冷媒圧縮機。 - 使用される冷媒が、炭素の二重結合を有するハロゲン化炭化水素、若しくは、前記ハロゲン化炭化水素を含んで成る混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の冷媒圧縮機。
- 使用される冷媒が、炭化水素、若しくは、前記炭化水素を含んで成る混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の冷媒圧縮機。
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