JP2010248601A - 鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】590MPa以上の高い引張強度を有しながら、良好な伸びフランジ性と伸びとを有する鋼板を提供する。
【解決手段】C:0.03〜0.12%、Si:0.005〜0.5%未満、Mn:2.0〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.005%以下、sol.Al:0.001〜0.2%、N:0.0050%以下、Ti:0.025〜0.15%およびNb:0〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不純物からなるとともに、C+(12/14)×N-(12/48)×Ti-(12/93)×Nbとして規定されるC*が0.010〜0.074である化学組成を有し、フェライトの体積率が0.45〜0.85、ヘ゛イナイトの体積率が0.10〜0.49、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの体積率の合計が0.01〜0.05であり、さらに{C*/(1-Vf)}+{(Mn+Ni)/6}+Cr/5+Mo/2として規定されるC**が0.45〜0.84である鋼組織を有するとともに、引張強度が590MPa以上、全伸びが25%以上、穴拡げ率が80%以上である機械特性を有する鋼板である。
【選択図】なし

Description

本発明は、鋼板およびその製造方法に関し、具体的には、主として自動車等の産業分野で使用される引張強度が590MPa以上の鋼板およびその製造方法に関する。
近年、自動車用鋼板の分野においては、燃費の向上や耐衝突特性の向上のため、590MPa以上の高い引張強度を有する高強度鋼板の適用が拡大しつつある。そのため、これらの高強度鋼板は、従来よりも成形の困難な用途にも用いられるようになってきている。
一般に鋼板の高強度化に伴って成形性は低下する。そこで、高強度鋼板に高い成形性を具備させるために、これまで数多くの提案がなされている。例えば、降伏比を低下させ伸びを向上させた、フェライトとマルテンサイトの2相からなる、いわゆるDP鋼が提案されている。また、さらに伸び特性を改善させた、フェライト、ベイナイトおよびオーステナイトからなる、いわゆるTRIP鋼が提案されている。
しかしながら、これらの従来技術において提案されている鋼板は、近年の高強度鋼板のプレス成形において重視されている伸びフランジ性が不十分であった。
これに対して、特許文献1ではフェライトを超微細組織にするとともに第2相を最適化する溶融亜鉛めっき冷延鋼板が開示されており、これによれば伸びフランジ性が向上するとされている。
特開2004−211126号公報
しかし、特許文献1に開示されている製造方法は、冷間圧延後に2回の熱処理工程を必須としており、製造工程が複雑になるばかりでなくコスト的に不利であった。さらに、鋼板の伸び向上に寄与するマルテンサイトや残留オーステナイトの体積分率を3%未満と極端に制限しているために、様々な成形様式が組み合わされる実際のプレス成形においては、伸びフランジ性が十分であっても伸びが不十分なためにネッキングや割れを生じる場合があった。
このようなことから、本発明は、良好な伸びフランジ性と伸びとを両立させた引張強度590MPa以上の高強度鋼板と、それを複雑な工程を経ることなく製造し得る製造方法とを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、Tiの炭窒化物を主体とした微細析出物により鋼板を強化した上で、伸びフランジ性に有利なベイナイトと、伸びの向上に寄与するマルテンサイトおよび残留オーステナイトを最適に組み合わせることにより、590MPa以上の高い引張強度を有しながら、良好な伸びフランジ性と伸びとを両立して具備させることができることを新たに知見した。
本発明は、これらの新たな知見に基づくものであり、その要旨は以下のとおりである。
本発明は、C:0.03%以上0.12%以下(本明細書においては特に断りがない限り化学組成に関する「%」は質量%を意味するものとする)、Si:0.005%以上0.5%未満、Mn:2.0%以上3.0%以下、P:0.05%以下、S:0.005%以下、sol.Al:0.001%以上0.2%以下、N:0.0050%以下、Ti:0.025%以上0.15%以下およびNb:0%以上0.1%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなるとともに、式(1):C=C+(12/14)×N−(12/48)×Ti−(12/93)×Nbで規定されるCが0.010以上0.074以下である化学組成を有し、フェライトの体積率が0.45以上0.85以下、ベイナイトの体積率が0.10以上0.49以下、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの体積率の合計が0.01以上0.05以下であり、さらに式(2):C**={C/(1−Vf)}+{(Mn+Ni)/6}+Cr/5+Mo/2で規定されるC**が0.45以上0.84以下である鋼組織を有するとともに、引張強度が590MPa以上、全伸びが25%以上、穴拡げ率が80%以上である機械特性を有することを特徴とする鋼板である。
式(1)、(2)中のC、N、Ti、Nb、Mn、Ni、CrおよびMoは各元素の含有量(質量%)を、Vfはフェライトの体積率を、それぞれ表す。
この本発明に係る鋼板では、化学組成が、Feの一部に代えて、Cr:1%以下、Mo:0.5%以下、V:0.1%以下、Cu:1%以下、Ni:1%以下およびB:0.005%以下からなる群から選択された1種または2種以上を含有してもよい。
これらの本発明に係る鋼板では、化学組成が、Feの一部に代えて、CaおよびMgの1種または2種を合計で0.005%以下含有してもよい。
これらの本発明に係る鋼板の表面にめっき層を備えていてもよい。
別の観点からは、本発明は、上述した化学組成を有する鋼板に下記工程(A1)〜(A5)を順次的に有する熱処理を施すことを特徴とする鋼板の製造方法である。本明細書では第1の製造方法ともいう。
(A1)(Ac点−30℃)以上(Ac点+50℃)以下の温度域に保持する第1の保持工程;
(A2)1℃/秒以上10℃/秒以下の平均冷却速度で650℃まで冷却する第1の冷却工程;
(A3)5℃/秒以上の平均冷却速度で550℃まで冷却する第2の冷却工程;
(A4)380℃以上500℃以下の温度域に80秒間以上1000秒間以下保持する第2の保持工程;および
(A5)室温まで冷却する第3の冷却工程。
この本発明に係る鋼板の製造方法では、工程(A4)において、鋼板に溶融めっき処理を施してもよい。
別の観点からは、本発明は、Si:0.005%以上0.1%未満である上述した化学組成を有する鋼板に下記工程(B1)〜(B7)を順次的に有する熱処理および溶融亜鉛めっき処理を施すことを特徴とする鋼板の製造方法である。本明細書では第2の製造方法ともいう。
(B1)(Ac点−30℃)以上(Ac点+50℃)以下の温度域に保持する第1の保持工程;
(B2)1℃/秒以上10℃/秒以下の平均冷却速度で650℃まで冷却する第1の冷却工程;
(B3)5℃/秒以上の平均冷却速度で550℃まで冷却する第2の冷却工程;
(B4)380℃以上550℃以下の温度域に40秒間以上500秒間以下保持する第2の保持工程;
(B5)溶融亜鉛めっきを施す溶融亜鉛めっき工程;
(B6)480℃以上550℃以下の温度域に10秒間以上40秒間以下保持する合金化処理工程;および
(B7)室温まで冷却する第3の冷却工程。
さらに別の観点からは、本発明は、Si:0.1%以上0.5%未満である上述した化学組成を有する鋼板に下記工程(C1)〜(C7)を順次的に有する熱処理および溶融亜鉛めっき処理を施すことを特徴とする鋼板の製造方法である。本明細書では第3の製造方法ともいう。
(C1)(Ac点−30℃)以上(Ac点+50℃)以下の温度域に保持する第1の保持工程;
(C2)1℃/秒以上10℃/秒以下の平均冷却速度で650℃まで冷却する第1の冷却工程;
((C4)380℃以上550℃以下の温度域に20秒間以上250秒間以下保持する第2の保持工程;
C3)5℃/秒以上の平均冷却速度で550℃まで冷却する第2の冷却工程;
(C5)溶融亜鉛めっきを施す溶融亜鉛めっき工程;
(C6)500℃以上600℃以下の温度域に10秒間以上40秒間以下保持する合金化処理工程;および
(C7)室温まで冷却する第3の冷却工程。
なお、上記各保持工程は、一定温度に保持するものであってもよいし、あるいは所定の温度域内において温度変動を伴うものであってもよい。例えば、所定温度域内において緩冷却を施す場合や、溶融めっき浴に浸漬することによる温度上昇やその後の冷却といったような温度履歴を伴うものであってもよい。
本発明によれば、590MPa以上の高い引張強度を有しながら、良好な伸びフランジ性と伸びとを有する鋼板が得られ、産業上極めて有益である。
以下、本発明における各条件の限定理由を説明する。
(化学組成)
[C:0.03%以上0.12%以下]
Cは、高い引張強度を得るために重要な元素である。C含有量が0.03%未満では590MPa以上の引張強度を得ることが困難である。したがって、C含有量は0.03%以上とする。好ましくは0.04%以上である。一方、C含有量が0.12%を超えると、マルテンサイトや残留オーステナイト、あるいはセメンタイトやパーライトが過剰に生成してしまい、伸びフランジ性が低下する。したがって、C含有量を0.12%以下とする。好ましくは0.09%以下、さらに好ましくは0.07%以下である。
[Si:0.005%以上0.5%未満]
Siは、鋼板を高強度化するのに有効な元素であり、また伸びの向上に寄与する残留オーステナイトを確保するのに有効な元素である。さらに、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合には、合金化反応を適度に抑制する作用も発揮する。このような観点から、Si含有量を0.005%以上とする。例えば、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の場合にSi含有量が0.005%未満であるとめっき密着性が劣化する場合がある。
一方、Si含有量が0.5%以上になると、熱延鋼板や冷延鋼板においては化成処理性が劣化する場合があり、電気めっき鋼板においてはめっきの密着性が劣化する場合があり、溶融めっき鋼板においてはめっきとの濡れ性が劣化する場合がある。したがって、Si含有量は0.5%未満とする。好ましくは0.3%以下である。
なお、後述するように、合金化溶融亜鉛めっき鋼板においては合金化の熱処理を利用することでより容易に鋼組織を制御することができ、これにより伸びフランジ性を向上させることができるのであるが、この際に合金化処理温度が比較的低温である場合には、Si含有量を0.1%未満として合金化が十分に進行するようにすることが好ましく、合金化処理温度を比較的高温にすることにより一層の伸びフランジ性の向上を図る場合には、Si含有量を0.1%以上として合金化が過度に進行しないようにすることが好ましい。
[Mn:2.0%以上3.0%以下]
Mnは、焼入れ性を高める作用を有し、鋼板を高強度するのに非常に有効な元素である。Mn含有量が2.0%未満では、マルテンサイトまたは残留オーステナイトの体積率が不足することにより25%以上の全伸びが得られない場合がある。したがって、Mn含有量は2.0%以上とする。好ましくは2.1%以上である。一方、Mn含有量が3.0%を超えると、焼入れ性が高くなり過ぎてマルテンサイトの体積率が過大となり、これにより伸びフランジ性が著しく劣化する場合がある。したがって、Mn含有量は3.0%以下とする。好ましくは2.7%以下である。
[P:0.05%以下]
Pは、一般的には不純物として含有される元素であるが、固溶強化により鋼板の高強度化する作用を有するので積極的に含有させてもよい。しかしながら、P含有量が過剰になると靱性の劣化が著しくなる。したがって、P含有量は0.05%以下とする。P含有量の下限は特に規定する必要はないが、P含有量を0.001%未満とするには著しいコスト上昇を招き、経済的に不利となる。このため、P含有量の0.001%以上とすることが好ましい。
[S:0.005%以下]
Sは、不純物として含有される元素であり、MnSを形成して伸びフランジ性を劣化させる。したがって、伸びフランジ性劣化が顕著でない範囲として、S含有量を0.005%以下とする。好ましくは0.003%以下、より好ましくは0.002%以下である。S含有量は低ければ低いほど好ましいのでS含有量の下限は特に規定する必要はない。しかしながらS含有量を0.0003%未満とすることは著しいコスト上昇を招き、経済的に不利となる。このため、S含有量は0.0003%以上とすることが好ましい。
[sol.Al:0.001%以上0.2%以下]
Alは、溶鋼を脱酸して鋼を健全化する作用を有する。sol.Al含有量が0.001%未満では脱酸が十分でない。したがって、sol.Al含有量は0.001%以上とする。一方、sol.Al含有量が0.2%を超えるようにAlを添加しても、上記作用による効果は飽和していたずらにコストが嵩む。したがって、sol.Al含有量は0.2%以下とする。
[N:0.0050%以下]
Nは、不純物として含有される元素であり、その含有量が0.0050%を超えると鋼中に粗大な窒化物を形成して伸びフランジ性を著しく劣化させる。したがって、N含有量は0.0050%以下とする。N含有量は低ければ低いほど好ましいのでN含有量の下限は特に規定する必要はない。しかしながらN含有量を0.0005%未満とすることは著しいコスト上昇を招き、経済的に不利となる。このため、N含有量は0.0005%以上とすることが好ましい。
[Ti:0.025%以上0.15%以下]
Tiは、CやNなどと結合あるいはさらに複合化して微細析出物を形成することにより、フェライト相を強化する作用を有し、本発明において重要な元素の一つである。Ti含有量が0.025%未満ではフェライトを強化する作用効果が十分に得られない。したがって、Ti含有量は0.025%以上とする。一方、0.15%を超えてTiを含有させても、上記作用による効果は飽和していたずらにコストが嵩む。したがって、Ti含有量は0.15%以下とする。
[Nb:0%以上0.1%以下]
Nbは、任意元素であり、Tiと同様にCなどと結合あるいはさらに複合化して微細析出物を形成することにより、フェライト相を強化する作用を有する元素である。0.1%を超えてNbを含有させても、上記作用による効果は飽和していたずらにコストが嵩む。したがって、Nb含有量は0%以上0.1%以下とする。
上記の範囲を満たすTi、あるいはさらにNbを含有させることで、これらのTi、あるいはさらにNbの微細析出物が形成され、これによってフェライト相が強化されることにより、本発明の目的とする高い伸びフランジ性が得られる。上記作用効果をより確実に得るには、TiおよびNbの合計含有量を0.050%以上とすることが好ましい。
一方、TiおよびNbの含有量が過剰であると、熱間圧延によって得られる熱延鋼板が非常に微細で異方性の大きい組織になりやすく、これに熱処理を施して得られる鋼板、あるいは冷間圧延の後に熱処理を施して得られる鋼板は異方性が大きくなる。したがって、TiおよびNbの合計含有量は0.15%以下とすることが好ましい。特にこの作用はNbが多い時に顕著となるため、Nb含有量を0.05%以下とすることがさらに好ましい。
[Cr:1%以下、Mo:0.5%以下、V:0.1%以下、Cu:1%以下、Ni:1%以下およびB:0.005%以下からなる群から選択された1種または2種以上]
これらの元素は、任意元素であり、鋼板の強度を高める作用を有するので含有させてもよい。各元素の含有量が上記範囲を超えると高強度化の効果が飽和してコストが嵩む。このため各元素の含有量を上記範囲とする。高強度化の効果をより確実に得るには、Crは0.1%以上、Moは0.02%以上、Vは0.005%以上、Cuは0.1%以上、Niは0.1%以上、Bは0.0002%以上含有させることが好ましい。
[CaおよびMgの1種または2種を合計で0.005%以下]
これらの元素は、任意元素であり、硫化物の形態を制御することにより、伸びフランジ性を向上させる作用を有する。合計含有量が0.005%を超えると上記作用による効果が飽和する。このため合計含有量を0.005%以下とする。上記作用による効果をより確実に得るには合計含有量を0.0005%以上とすることが好ましい。
[C:0.010以上0.074以下]
C含有量+(12/14)×N含有量−(12/48)×Ti含有量−(12/93)×Nb含有量として規定されるCが0.010未満では、熱処理の冷却過程で生成するベイナイト、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの量が不足し、強度が不足するか、あるいは強度があっても伸びが劣るものとなる。一方、Cが0.074を超えると、ベイナイトやマルテンサイトおよび残留オーステナイトの体積率が過大となり、伸びの劣化や伸びフランジ性の劣化が顕著になる場合がある。したがって、Cは0.010以上0.074以下とする。
上記以外の残部はFeおよび不純物である。
[鋼組織]
本発明の鋼組織は、フェライトの体積率Vfが0.45以上0.85以下、ベイナイトの体積率が0.10以上0.49以下、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの体積率の合計が0.01以上0.05以下であり、さらに、{C/(1−Vf)}+{(Mn含有量+Ni含有量)/6}+Cr含有量/5+Mo含有量/2として規定されるC**が0.45以上0.84以下であるものとすることが重要である。
フェライト体積率Vfが0.45に満たない場合、ベイナイト体積率が0.49を超える場合、あるいはマルテンサイトおよび残留オーステナイトの体積率の合計が0.01未満の場合は、強度−伸びのバランスが劣化する。一方、フェライト体積率Vfが0.85を超える場合は必要な強度が得られず、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの合計の体積率が0.05を超える場合は、伸びフランジ性が劣化し、さらにベイナイト体積率が0.10に満たない場合は、強度が足りないか、あるいは強度を確保するために多量のマルテンサイトを含まねばならず伸びフランジ性が劣化する。
**が0.45未満では、焼き入れ性が不足し、熱処理の冷却過程でパーライトや粗大なセメンタイトが生成するために、伸びおよび伸びフランジ性ともに劣化する。一方、C**が0.84を超えるとマルテンサイトが過剰に生成し伸びフランジ性が著しく劣化する。
[機械特性]
本発明に係る鋼板の機械特性は、引張強度が590MPa以上、全伸びが25%以上、穴拡げ率が80%以上である。
本発明は、良好な伸びフランジ性と伸びとを両立させた引張強度590MPa以上の高強度鋼板を提供するものであるので、それらを上記のように具体的に規定した。
[めっき層]
上述した鋼板の表面には、耐食性の向上等を目的としてめっき層を備えさせてもよい。めっきは、電気めっきであってもよく溶融めっきであってもよい。電気めっきとしては、電気亜鉛めっき、電気Zn−Ni合金めっき等が例示される。また、溶融めっきとしては、溶融亜鉛めっき、合金化溶融亜鉛めっき、溶融Zn−Al合金めっき、溶融Zn−Al−Mg合金めっき、溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき等が例示される。
[製造方法]
上記鋼板の製造条件としては、所定の化学組成を有する鋼板に後述する熱処理、あるいはさらに溶融亜鉛めっき処理を施すことが好適である。ここで、熱処理に供する鋼板の製造履歴は特に規定する必要はなく、常法により製造すればよいが、より一層良好な特性を具備させるには、以下のように製造することが好ましい。
すなわち、熱間圧延工程あるいは熱処理工程においてTiあるいはさらにNbの微細析出物の析出をより容易にするには、熱間圧延に供する段階においてTiおよびNbの炭窒化物を固溶状態としておくことが好ましい。
このような観点から、熱間圧延に供するスラブの温度を1220℃以上とすることが好ましい。TiおよびNbはスラブの中心部に偏析する傾向があるため、TiおよびNbの炭窒化物の固溶をより効果的に促進するには、1250℃以上とすることがさらに好ましい。ただし、1380℃を超える温度まで加熱しても、TiおよびNbの炭窒化物の固溶促進効果が飽和してコスト的に不利になるため、1380℃以下とすることが好ましい。
また、熱間圧延の仕上温度は(Ar点+80℃)以上950℃以下とすることが好ましい。本発明においては多量のTi、あるいはさらにNbを含有するために、(Ar点+80℃)未満の温度で熱間圧延を完了すると、非常に微細で異方性の大きい組織になりやすく、これに熱処理を施して得られる鋼板、あるいは冷間圧延の後に熱処理を施して得られる鋼板は異方性が大きくなり、プレス成形等の加工時にイヤリングの発生や特定方向の伸び不足によって割れが発生する恐れがあるからである。また、950℃を超える仕上温度では、スケール疵が発生する恐れがあるからである。
また、熱間圧延の巻取温度は、コイル内の鋼組織の変動を抑制する観点から、400℃以上700℃以下とすることが好ましい。
熱間圧延後は、必要に応じて平坦矯正のためのスキンパス圧延を施したのちにスケール除去のための酸洗を施し、あるいはさらに冷間圧延を施して、熱処理に供する。冷間圧延を施す場合は、設備への負担や操業性の観点から、冷間圧延の圧下率を30%以上70%以下とすることが好ましい。
熱処理、あるいはさらに溶融亜鉛めっき処理は、製品の種類に応じて以下の3種類の好適な製造条件が挙げられる。
[第1の製造方法]
第1の製造方法は、熱延鋼板、冷延鋼板、電気めっき鋼板、溶融めっき鋼板を製造する場合において好適な製造条件であり、上記化学組成を有する鋼板に下記工程(A1)〜(A5)を順次的に有する熱処理を施すことである。
(A1)(Ac点−30℃)以上(Ac点+50℃)以下の温度域に保持する第1の保持工程;
(A2)下記式(3)を満足する平均冷却速度CR(℃/秒)で650℃まで冷却する第1の冷却工程;
(A3)5℃/秒以上の平均冷却速度で550℃まで冷却する第2の冷却工程;
(A4)380℃以上500℃以下の温度域に80秒間以上1000秒間以下保持する第2の保持工程;および
(A5)室温まで冷却する第3の冷却工程。
0.10≦logCR−C≦1.00 ・・・・・・・(3)
なお、溶融めっき鋼板を製造する場合には、工程(A4)において溶融めっき処理を施すことが好ましい。
工程(A1)において、保持温度が(Ac点−30℃)未満では、所定のベイナイト体積率を確保することが困難となり、また組織も不均一となるため、伸びや伸びフランジ性が劣化する場合がある。一方、保持温度が(Ac点+50℃)を超えると、熱間圧延工程あるいは熱処理工程の加熱段階において微細に析出したTiやNbの炭化物の多くが再固溶してしまい、これらの微細析出物によるフェライト強化能が損なわれるとともに、その後の冷却過程でマルテンサイトまたは残留オーステナイトが生じにくくなり、目的とする引張強度または伸びを確保することが困難となる。なお、上記温度域でオーステナイトを整粒化しつつTiやNbの炭化物の過剰な再固溶を防ぐには、上記温度域における滞在時間を20秒間以上240秒間以下とすることが好ましい。
工程(A2)および工程(A3)における第1の冷却および第2の冷却は、フェライト、ベイナイト、残留オーステナイト、マルテンサイトの体積率をそれぞれ所定の範囲とするためのものである。工程(A2)の第1の冷却における平均冷却速度をCR(℃/秒)としたときのlogCR−Cの値が0.10未満では、目的とする引張強度を確保することが困難となるか、もしくはC**の値が0.84超となってマルテンサイトが過剰に生成し伸びフランジ性が著しく劣化する。一方logCR−Cの値が1.00を超えると、必要なフェライト体積率を確保することが困難となるか、もしくはC**の値が0.45未満となって焼き入れ性が不足し、熱処理の冷却過程でパーライトや粗大なセメンタイトが生成するために、伸びおよび伸びフランジ性ともに劣化する。
また、工程(A3)の第2の冷却における平均冷却速度が5℃/秒未満ではパーライトや粗大なセメンタイトの体積率が大きくなり、目的とする引張強度が得られないか、あるいは伸びと伸びフランジ性とが劣る。工程(A3)の第2の冷却、すなわち650℃から550℃までの平均冷却速度の上限は特に限定する必要はなく、公知のガス冷却、水冷却、ロール冷却、気水冷却等を用いて1000℃/秒以下の範囲とすればよい。
工程(A4)における保持温度が380℃未満であったり、500℃超であったり、また保持時間が80秒間未満であったりすると、ベイナイト変態が十分に進行せず、最終的にマルテンサイトや残留オーステナイトが過剰に生成するため伸びフランジ性が劣化する。また、保持時間が1000秒間を超えると、ベイナイト変態が過剰に進行し、目的とする引張強度を確保することが困難となる。なお、工程(A4)の保持工程において溶融めっきを施しても、本発明の効果は失われることはない。
工程(A5)では、工程(A1)〜工程(A4)により形成した鋼組織を室温まで冷却することにより確定する。
[第2の製造方法]
第2の製造方法は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合において好適な製造条件であり、Si:0.005%以上0.1%未満である上記化学組成を有する鋼板に下記工程(B1)〜(B7)を順次的に有する熱処理および溶融亜鉛めっき処理を施すことである。
(B1)(Ac点−30℃)以上(Ac点+50℃)以下の温度域に保持する第1の保持工程;
(B2)下記式(3)を満足する平均冷却速度CR(℃/秒)で650℃まで冷却する第1の冷却工程;
(B3)5℃/秒以上の平均冷却速度で550℃まで冷却する第2の冷却工程;
(B4)380℃以上550℃以下の温度域に40秒間以上500秒間以下保持する第2の保持工程;
(B5)溶融亜鉛めっきを施す溶融亜鉛めっき工程;
(B6)480℃以上550℃以下の温度域に10秒間以上40秒間以下保持する合金化処理工程;および
(B7)室温まで冷却する第3の冷却工程。
0.10≦logCR−C≦1.00 ・・・・・・・(3)
[第3の製造方法]
第3の製造方法は、第2の製造方法と同様に合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合において好適な製造条件であるが、第2の製造方法によりも鋼板の伸びフランジ性を一層向上させる製造条件である。すなわち、Si:0.1%以上0.5%未満である上記化学組成を有する鋼板に下記工程(C1)〜(C7)を順次的に有する熱処理および溶融亜鉛めっき処理を施すことである。
(C1)(Ac点−30℃)以上(Ac点+50℃)以下の温度域に保持する第1の保持工程;
(C2)下記式(3)を満足する平均冷却速度CR(℃/秒)で650℃まで冷却する第1の冷却工程;
(C3)5℃/秒以上の平均冷却速度で550℃まで冷却する第2の冷却工程;
(C4)380℃以上550℃以下の温度域に20秒間以上250秒間以下保持する第2の保持工程;
(C5)溶融亜鉛めっきを施す溶融亜鉛めっき工程;
(C6)500℃以上600℃以下の温度域に10秒間以上40秒間以下保持する合金化処理工程;および
(C7)室温まで冷却する第3の冷却工程。
0.10≦logCR−C≦1.00 ・・・・・・・(3)
第2の製造方法および第3の製造方法においては、Si含有量と溶融亜鉛めっき浴に浸漬する前の保持条件と合金化処理条件との組合せが極めて重要であり、これらを適切に組合せることにより、上記第1の製造方法を適用して得られる鋼板に比して伸びフランジ性に優れる鋼板を得ることを可能にするとともに、合金化溶融亜鉛めっき鋼板に必要とされる良好なめっき品質の確保をも可能にするのである。
第2の製造条件の工程(B1)〜工程(B3)および工程(B7)、ならびに第3の製造条件の工程(C1)〜工程(C3)および工程(C7)における限定理由は、上記第1の製造方法における工程(A1)〜工程(A3)および工程(A5)における限定理由とそれぞれ同一である。
工程(B4)や工程(C4)における保持温度や保持時間がそれぞれの下限よりも短い場合や、工程(B6)や工程(C6)における合金化処理温度がそれぞれの下限より低い場合には、ベイナイトの生成が不十分となり伸びフランジ性が劣る場合がある。
また、工程(B4)や工程(C4)における保持温度や保持時間がそれぞれの上限よりも長い場合や、工程(B6)や工程(C6)における合金化処理温度がそれぞれの上限より高い場合には、オーステナイトの分解が過度に進んで強度−伸びバランスが劣化する場合がある。
また、工程(B6)や工程(C6)における合金化処理時間が10秒間未満であったり40秒間未満であったりすると、合金化処理むらが生じたりめっき密着性が劣化したりする場合がある。
なお、第2の製造方法においては、工程(B6)における合金化処理温度が比較的低温であるため、合金化が十分に進行するようにSi含有量を0.1%未満とすることが好ましく、第3の製造方法においては、工程(C6)における合金化処理温度が比較的高温であるため、合金化が過度に進行しないようにSi含有量を0.1%以上とすることが好ましい。
上記第1の製造方法〜第3の製造方法により得られた鋼板には、必要に応じて平坦矯正のためスキンパス圧延を施してもよい。この場合、延性の劣化を避けるため、伸び率を1.0%以下のとすることが好ましい。また、上記第1の製造条件により溶融めっきを施すことなく製造された鋼板には、電気めっきを施してもよい。
このようにして、本発明によれば、590MPa以上の高い引張強度を有しながら、良好な伸びフランジ性と伸びとを有する鋼板、具体的には590MPa以上の引張強度と、25%以上の全伸びと、80%以上の穴拡げ率とを有する鋼板が提供される。
本発明を、実施例を参照しながら、より具体的に説明する。
表1、表2、表4および表5に示す試験番号1〜26の鋼板を試作した。すなわち、所定の化学組成に溶製した溶鋼を連続鋳造によりスラブとし、このスラブを1270℃に加熱した後、仕上温度910℃で熱間圧延を行って板厚2.6mmとし、その後冷却して巻き取った。酸洗ののち、一部はさらに1.6mmまで冷間圧延し、連続焼鈍または連続溶融亜鉛めっきを施した。
この際、均熱温度における保持時間は20〜80秒間とした。一部はさらに電気亜鉛めっきまたは溶融亜鉛めっきを片面当り45g/mの付着量で施した。溶融亜鉛めっき浴の温度は460℃とし、一部の溶融亜鉛めっき鋼板は10〜30秒間の合金化処理を施した。また、冷延鋼板と電気亜鉛めっき鋼板は連続焼鈍後に、溶融亜鉛めっき鋼板はめっき後に、伸び率0.2%の調質圧延を施した。
得られた試験番号1〜26の鋼板について、圧延方向に対して直角方向にJIS5号試験片を採取し、JISにしたがって引張試験を実施した。
また、日本鉄鋼連盟規格の「JFS T 1001穴拡げ試験方法」に従い、穴拡げ率を測定した。
また、圧延方向断面をナイタール腐食し、走査型電子顕微鏡を用いて観察した視野数10の組織写真において、フェライト、ベイナイト、(マルテンサイト・残留オーステナイトの合計)の面積%を画像解析により求め、それぞれの体積率とした。
また、X線回折法により板厚の(1/4)深さ位置における残留オーステナイトの体積率を測定し、先に求めた(マルテンサイト・残留オーステナイトの合計)の体積率との差をマルテンサイトの体積率とみなした。
さらに、合金化溶融亜鉛めっき鋼板についてはめっき外観を目視観察するとともにめっき密着性を次の方法により調査した。すなわち、ブランク径90mm、ポンチ径50mm、ポンチ肩半径5mm、ダイス肩半径18mm、ブランクホールド圧14kN、防錆油塗布の条件で円筒絞り加工を行い、試験片の外側壁部のテープ剥離を行って剥離重量を測定し、剥離重量が20mg以下のものをめっき密着性良好とした。
製造条件および機械的特性を調査した結果を表2および表4に示す。
試験番号1〜6、12〜17および26は本発明で規定する条件を全て満足する本発明例であり、試験番号7〜11、18〜25は本発明で規定する条件を満足しない比較例である。
試験番号1〜6、12〜17および26の本発明例の鋼板は、いずれも、590MPa以上の引張強度と、25%以上の全伸びと、80%以上の穴拡げ率とを有しており、自動車等のプレス成形用途の高強度鋼板として最適である。
これに対し、試験番号7の鋼板は、S含有量が本発明の範囲の上限を上回り、Ti含有量が本発明の範囲の下限を下回るとともにCが本発明の範囲の上限を上回るため、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの合計体積率が本発明の範囲の上限を上回り、伸びフランジ性が不芳であった。
試験番号8の鋼板は、本発明における第1の保持工程での保持温度が本発明の範囲の下限を下回るため、ベイナイトの体積率が本発明の範囲の下限を下回るとともにマルテンサイトおよび残留オーステナイトの合計体積率が本発明の範囲の上限を上回り、伸びおよび伸びフランジ性が不芳であった。
試験番号9の鋼板は、本発明における第1の冷却工程での冷却速度をCR(℃/秒)としたときのlogCR−Cの値が本発明の範囲の下限を下回るためにフェライトの体積率が本発明の範囲の上限を上回り、引張強度が不芳であった。
試験番号10の鋼板は、本発明における第2の保持工程での保持時間が本発明の下限を下回るために、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの合計体積率が本発明の範囲の上限を上回り、伸びおよび伸びフランジ性が不芳であった。
試験番号11の鋼板は、本発明における第2の冷却工程での冷却速度が本発明の範囲の下限を下回るため、フェライトの体積率が本発明の範囲の上限を上回り、ベイナイトの体積率と、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの合計体積率とがいずれも本発明の下限を下回り、引張強度が不芳であった。
試験番号18の鋼板は、C含有量およびCが本発明の範囲の下限を下回るため、フェライトの体積率が本発明の範囲の上限を上回り、ベイナイトの体積率が本発明の下限を下回るとともにマルテンサイトおよび残留オーステナイトの合計体積率が本発明の下限を下回り、引張強度が不芳であった。
試験番号19の鋼板は、C含有量およびCが本発明の範囲の上限を上回るため、ベイナイトの体積率が本発明の下限を下回るとともにマルテンサイトおよび残留オーステナイトの合計体積率が本発明の範囲の上限を上回り、伸びフランジ性が不芳であった。
試験番号20の鋼板は、Mn含有量が本発明の範囲の上限を上回るためにマルテンサイトおよび残留オーステナイトの合計体積率が本発明の範囲の上限を上回り、またN含有量が発明の範囲の上限を上回るために、伸びおよび伸びフランジ性が不芳であった。
試験番号21の鋼板は、本発明における第1の冷却工程における冷却速度をCR(℃/秒)としたときのlogCR−Cの値が本発明の下限を下回るため、C**が本発明の範囲の上限を上回り、焼き入れ性が過剰となって、ベイナイトの体積率が本発明の下限を下回るとともにマルテンサイトおよび残留オーステナイトの合計体積率が本発明の範囲の上限を上回り、伸びフランジ性が不芳であった。
試験番号22の鋼板は、本発明における第1の保持工程における均熱温度が本発明の範囲の上限を上回るため、引張強度が不芳であった。
試験番号23の鋼板は、本発明における第1の冷却工程における冷却速度をCR(℃/秒)としたときのlogCR−Cの値が本発明の上限を上回るとともに第2の保持工程における保持時間が本発明の下限を下回るため、フェライトの体積率が本発明の範囲の下限を下回り、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの合計体積率が本発明の上限を上下回るとともにC**が本発明の下限を下回り、伸びおよび伸びフランジ性が不芳であった。
試験番号24の鋼板は、本発明における第2の冷却工程における冷却速度が本発明の下限を下回るため、ベイナイトの体積率と、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの合計体積率とがいずれも本発明の下限を下回り、伸びおよび伸びフランジ性が不芳であった。
さらに、試験番号25の鋼板は、本発明における合金化処理工程の処理温度が本発明の上限を上回るため、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの合計体積率が本発明の下限を下回り、伸びが不芳であった。
Figure 2010248601
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Claims (8)

  1. 質量%で、C:0.03%以上0.12%以下、Si:0.005%以上0.5%未満、Mn:2.0%以上3.0%以下、P:0.05%以下、S:0.005%以下、sol.Al:0.001%以上0.2%以下、N:0.0050%以下、Ti:0.025%以上0.15%以下およびNb:0%以上0.1%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなるとともに、下記式(1)で規定されるCが0.010以上0.074以下である化学組成を有し、
    フェライトの体積率が0.45以上0.85以下、ベイナイトの体積率が0.10以上0.49以下、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの体積率の合計が0.01以上0.05以下であり、さらに下記式(2)で規定されるC**が0.45以上0.84以下である鋼組織を有するとともに、
    引張強度が590MPa以上、全伸びが25%以上、穴拡げ率が80%以上である機械特性を有することを特徴とする鋼板。
    =C+(12/14)×N−(12/48)×Ti−(12/93)×Nb
    ・・・・・・・(1)
    **={C/(1−Vf)}+{(Mn+Ni)/6}+Cr/5+Mo/2
    ・・・・・・・(2)
    ここで、式中のC、N、Ti、Nb、Mn、Ni、CrおよびMoは各元素の含有量(質量%)を、Vfはフェライトの体積率を、それぞれ表す。
  2. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Cr:1%以下、Mo:0.5%以下、V:0.1%以下、Cu:1%以下、Ni:1%以下およびB:0.005%以下からなる群から選択された1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の鋼板。
  3. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、CaおよびMgの1種または2種を合計で0.005質量%以下含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鋼板。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれかに記載の鋼板の表面にめっき層を備えることを特徴とする鋼板。
  5. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の化学組成を有する鋼板に下記工程(A1)〜(A5)を順次的に有する熱処理を施すことを特徴とする鋼板の製造方法:
    (A1)(Ac点−30℃)以上(Ac点+50℃)以下の温度域に保持する第1の保持工程;
    (A2)下記式(3)を満足する平均冷却速度CR(℃/秒)で650℃まで冷却する第1の冷却工程;
    (A3)5℃/秒以上の平均冷却速度で550℃まで冷却する第2の冷却工程;
    (A4)380℃以上500℃以下の温度域に80秒間以上1000秒間以下保持する第2の保持工程;および
    (A5)室温まで冷却する第3の冷却工程。
    0.10≦logCR−C≦1.00 ・・・・・・・(3)
  6. 上記工程(A4)において、前記鋼板に溶融めっき処理を施すことを特徴とする請求項5に記載の鋼板の製造方法。
  7. Si:0.005質量%以上0.1質量%未満である請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の化学組成を有する鋼板に下記工程(B1)〜(B7)を順次的に有する熱処理および溶融亜鉛めっき処理を施すことを特徴とする鋼板の製造方法:
    (B1)(Ac点−30℃)以上(Ac点+50℃)以下の温度域に保持する第1の保持工程;
    (B2)下記式(3)を満足する平均冷却速度CR(℃/秒)で650℃まで冷却する第1の冷却工程;
    (B3)5℃/秒以上の平均冷却速度で550℃まで冷却する第2の冷却工程;
    (B4)380℃以上550℃以下の温度域に40秒間以上500秒間以下保持する第2の保持工程;
    (B5)溶融亜鉛めっきを施す溶融亜鉛めっき工程;
    (B6)480℃以上550℃以下の温度域に10秒間以上40秒間以下保持する合金化処理工程;および
    (B7)室温まで冷却する第3の冷却工程。
    0.10≦logCR−C≦1.00 ・・・・・・・(3)
  8. Si:0.1質量%以上0.5質量%未満である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の化学組成を有する鋼板に下記工程(C1)〜(C7)を順次的に有する熱処理および溶融亜鉛めっき処理を施すことを特徴とする鋼板の製造方法:
    (C1)(Ac点−30℃)以上(Ac点+50℃)以下の温度域に保持する第1の保持工程;
    (C2)下記式(3)を満足する平均冷却速度CR(℃/秒)で650℃まで冷却する第1の冷却工程;
    (C3)5℃/秒以上の平均冷却速度で550℃まで冷却する第2の冷却工程;
    (C4)380℃以上550℃以下の温度域に20秒間以上250秒間以下保持する第2の保持工程;
    (C5)溶融亜鉛めっきを施す溶融亜鉛めっき工程;
    (C6)500℃以上600℃以下の温度域に10秒間以上40秒間以下保持する合金化処理工程;および
    (C7)室温まで冷却する第3の冷却工程。
    0.10≦logCR−C≦1.00 ・・・・・・・(3)
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