JP2010248424A - 重合性官能基を有するシルセスキオキサン化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】相溶性に優れるシルセスキオキサンの提供。
【解決手段】ケイ素原子に直接に結合した有機基を有するシルセスキオキサン化合物であって、前記有機基の少なくとも1つが下記(I)で表される有機基であるシルセスキオキサン。
Figure 2010248424

[式中、XはO又はNHを、R、Rは炭素数1〜4の2価の炭化水素基を、Rは(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基を、Rは水素原子又はメチル基を、Rは炭素数1〜30の有機基を、mは0〜2の整数を示す。]
【選択図】なし

Description

本発明は、重合性官能基を有するシルセスキオキサン化合物に関する。
シルセスキオキサンは、梯子型、籠型及び三次元網目型(ランダム型)の構造をとる一連のネットワーク状ポリシロキサンの総称である。このシルセスキオキサンは、一般式SiOで示される完全な無機物質であるシリカとは異なり一般的な有機溶媒に可溶であることから、取り扱いが容易であり、成膜等の加工性や成形性に優れるという特徴を有する。
一方、ラジカル重合性を有する不飽和化合物として、多官能アクリレート及び不飽和ポリエステル等が広く検討され、また工業的に利用されている。これらラジカル重合性の不飽和化合物は、その硬化物に耐擦傷性、耐汚染性等の特性を付与する目的で、種々の検討が加えられている。しかし、従来多用されているラジカル重合性の不飽和化合物にシルセスキオキサン等のオルガノポリシロキサン化合物を混合した組成物は、相溶性が悪いために均一な組成物になりにくいこと、得られた硬化物からオルガノポリシロキサン化合物が遊離すること等の問題点を有している。
特許文献1〜5には、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基等のラジカル重合性の官能基を有するシルセスキオキサン化合物及び該シルセスキオキサンを含有する紫外線硬化性組成物に関する発明が開示されている。これらシルセスキオキサン化合物を用いた組成物は、耐熱性、耐擦傷性に優れるものの、シルセスキオキサン化合物が、他の重合性不飽和化合物や他の飽和樹脂等との相溶性が十分ではなく、また得られる塗膜の付着性が十分ではない点で課題がある。
特開平3−281616号公報 特開平4−28722号公報 特開2002−167552号公報 特開2002−363414号公報 国際公開WO04/85501
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、得られる塗膜の付着性、耐熱性、耐擦傷性、耐候性に優れ、さらにさまざまな重合性不飽和化合物、飽和樹脂等との相溶性に優れるシルセスキオキサン化合物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ケイ素原子に直接に結合した有機基として特定の有機基をシルセスキオキサン化合物に導入することにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ケイ素原子に直接に結合した有機基を有するシルセスキオキサン化合物であって、前記ケイ素原子に直接に結合した有機基の少なくとも1つが下記一般式(I)で表される有機基であることを特徴とするシルセスキオキサン化合物
Figure 2010248424
[式(I)中、XはO又はNHを示し、Rは同一でも又は異なっていてもよい炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示し、Rは同一でも又は異なっていてもよい(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜30の有機基を示し、mは0〜2の整数を示す。]に関する。
また本発明は、前記のシルセスキオキサン化合物、及び光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
また本発明は、(i)下記一般式(IV)
Figure 2010248424
[式(IV)中、Yは同一でも又は異なっていてもよいハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示し、Rは同一でも又は異なっていてもよい炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示し、mは0〜2の整数を示す。]で表される加水分解性シランを用い加水分解縮合を行ってシルセスキオキサン化合物を製造する工程、
(ii)前記工程(i)で製造したシルセスキオキサン化合物の1級アミノ基と、下記一般式(V)
Figure 2010248424
[式(V)中、XはO又はNHを示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜30の有機基を示す。]で表される(メタ)アクリロイル基を有する化合物の(メタ)アクリロイル基とをマイケル付加させ反応生成物を製造する工程、
(iii)前記工程(ii)で製造した反応生成物と、下記一般式(VI)
Figure 2010248424
[式(VI)中、Rは(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基を示す。]で表される化合物とを反応させる工程、
を有する、
ケイ素原子に直接に結合した有機基を有するシルセスキオキサン化合物であって前記ケイ素原子に直接に結合した有機基の少なくとも1つが下記一般式(I)
Figure 2010248424
[式(I)中、XはO又はNHを示し、Rは同一でも又は異なっていてもよい炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示し、Rは同一でも又は異なっていてもよい(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜30の有機基を示し、mは0〜2の整数を示す。]で表される有機基であるシルセスキオキサン化合物の製造方法に関する。
本発明によれば、ケイ素原子に直接に結合した有機基として特定の有機基をシルセスキオキサン化合物に導入することにより、得られる塗膜の付着性、耐熱性、耐擦傷性、耐候性に優れ、さらにさまざまな重合性不飽和化合物、飽和樹脂等との相溶性に優れるシルセスキオキサン化合物、及び該シルセスキオキサン化合物を用いた活性エネルギー線硬化性組成物を得ることができる。
本発明のシルセスキオキサン化合物
本発明のシルセスキオキサン化合物は、ケイ素原子に直接に結合した有機基を有するシルセスキオキサン化合物であって、前記ケイ素原子に直接に結合した有機基の少なくとも1つが下記一般式(I)で表される有機基であることを特徴とするシルセスキオキサン化合物(以下、単に「本発明のシルセスキオキサン化合物」と略すことがある。)である。
Figure 2010248424
[式(I)中、XはO又はNHを示し、Rは同一でも又は異なっていてもよい炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示し、Rは同一でも又は異なっていてもよい(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜30の有機基を示し、mは0〜2の整数を示す。]
ここで、本明細書において「シルセスキオキサン化合物」は、Si−OH基(ヒドロキシシリル基)の全てが加水分解縮合した構造のシルセスキオキサン化合物のみを意味するのではなく、Si−OH基が残存したラダー構造、不完全籠型構造、ランダム縮合体のシルセスキオキサン化合物をも含むことができる。
前記本発明のシルセスキオキサン化合物は、Si−OH基の全てが加水分解縮合した構造のシルセスキオキサン化合物の割合が、本発明のシルセスキオキサン化合物中に80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%であることが液安定性の点から好ましい。
前記一般式(I)中のRは、炭素数1〜4の2価の炭化水素基であれば特に限定されるものではない。具体的には例えば、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,4−ブチレン基等が挙げられる。なかでも、エチレン基、1,3−プロピレン基であることが、耐熱性、耐擦傷性及びさまざまな重合性不飽和化合物や飽和樹脂との相溶性がより優れる点から好ましい。
前記一般式(I)中のRは、炭素数1〜4の2価の炭化水素基であれば特に限定されるものではない。具体的には例えば、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,4−ブチレン基等が挙げられる。なかでも、エチレン基、1,3−プロピレン基であることが、耐熱性、耐擦傷性及びさまざまな重合性不飽和化合物や飽和樹脂との相溶性がより優れる点から好ましい。
前記一般式(I)中のRは、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基であれば特に限定されるものではない。該(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基としては、例えば、下記一般式(II)
Figure 2010248424
{式(II)中、Rは炭素数1〜10の2価の炭化水素基又は下記一般式(III)
Figure 2010248424
[式(III)中、Rはジイソシアネート残基を示し、Rは炭素数2〜4の2価の炭化水素基を示す。]で表される2価の基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す。}で表される有機基が挙げられる。
前記一般式(II)中のRは、炭素数1〜10の2価の炭化水素基又は前記一般式(III)で表される2価の基であれば特に限定されるものではない。炭素数1〜10の2価の炭化水素基としては、具体的には例えば、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,4−ブチレン基、ヘキシレン基等のアルキレン基;シクロヘキシレン基等のシクロアルキレン基;フェニレン基、キシリレン基、ビフェニレン基等のアリーレン基等が挙げられる。なかでも、炭素数1〜6の2価の炭化水素基、特にエチレン基、1,3−プロピレン基であることが、耐熱性、耐擦傷性及びさまざまな重合性不飽和化合物や飽和樹脂との相溶性がより優れる点から好ましい。前記一般式(III)中のRは、ジイソシアネート残基を示す。ジイソシアネート残基とは、ジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基(NCO)を除いた残りの部分である。ジイソシアネート化合物としては、具体的には例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、1−クロロ−2,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;エタンジイソシアネート、プロパンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、ヘプタンジイソアネート、オクタンジイソアネート、ノナンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物等が挙げられる。なかでも、脂肪族ジイソシアネート化合物、特にイソホロンジイソシアネートが耐候性に優れる点から好ましい。また、ジイソシアネート化合物としては、耐擦傷性、活性エネルギー線硬化性がより優れる点から分子量300以下のジイソシアネート化合物が好ましい。
前記一般式(III)中のRとしては、炭素数2〜4の2価の炭化水素基であれば特に限定されるものではない。具体的には例えば、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,4−ブチレン基等が挙げられる。
前記一般式(I)中のRは、炭素数1〜30の有機基であれば特に限定されるものではない。例えば、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルポリオキシアルキレン基、アリールポリオキシアルキレン基等が挙げられる。
前記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のうちのいずれのものであってもよく、更に、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい。前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基、イソボルニル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基等が挙げられる。なかでも、炭素数1〜20のアルキル基、特に、イソボルニル基がさまざまな重合性不飽和化合物や飽和樹脂との相溶性がより優れる点から好ましい。
前記アリール基としては、芳香族炭化水素から水素原子1個を除いた原子団であればよく、特に限定されない。前記アリール基には、縮合環を持つものや、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接又はビニレン等の基を介して結合したものも含まれる。前記アリール基としては、例えば、フェニル基、炭素数1〜12アルコキシフェニル基、炭素数1〜12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。このようなアリール基中の炭素数1〜12アルコキシとしては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、3,7−ジメチルオクチルオキシ、ラウリルオキシ等が挙げられる。
前記アリールアルキル基としては、前述のアリール基に前述のアルキル基が結合したものであればよく、特に限定されない。また置換基を有するものであってもよい。アリールアルキル基としては、例えば、フェニル−炭素数1〜12アルキル基、炭素数1〜12アルコキシフェニル−炭素数1〜12アルキル基、炭素数1〜12アルキルフェニル−炭素数1〜12アルキル基、1−ナフチル−炭素数1〜12アルキル基、2−ナフチル−炭素数1〜12アルキル基等が挙げられる。
前記アルコキシアルキル基としては、例えばメトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基等が挙げられる。
前記アルキルポリオキシアルキレン基としては、CH−(OCHCH)n−、C−(OCHCH)n−、CH−[OCHCH(CH)]n−、C−[OCHCH(CH)]n−等(nは2〜10の整数を示す。)が挙げられる。
前記アリールポリオキシアルキレン基としては、例えば、フェニルポリオキシエチレン基、フェニルポリオキシプロピレン基、アルキルフェニルポリオキシエチレン基、アルキルフェニルポリオキシプロピレン基等が挙げられる。
前記本発明のシルセスキオキサン化合物は、単一の組成の化合物であってもよく、又は組成の異なる化合物の混合物であってもよい。
前記本発明のシルセスキオキサン化合物の重量平均分子量は、特に限定されるものではない。好ましくは重量平均分子量が1,000〜100,000、より好ましくは重量平均分子量が1,000〜10,000である。これら範囲は、本発明のシルセスキオキサン化合物から得られた塗膜の耐熱性や、本発明のシルセスキオキサン化合物を含む活性エネルギー線硬化性組成物の粘度及び塗装性の点で意義がある。
本明細書において、重量平均分子量は、光散乱法により測定した重量平均分子量である。光散乱法による重量平均分子量の測定には、Zetasizer Nano Nano−ZS(Malvern Instruments Ltd社製)を用いた。測定に用いた試料は、プロピレングリコールモノメチルエーテルに本発明のシルセスキオキサン化合物を溶解させ、濃度を0.5〜5.0質量%に調整した濃度の異なる10種の試料である。この10種の試料の光散乱強度を測定することにより、重量平均分子量を求めた。
本発明のシルセスキオキサン化合物の製造方法
本発明のシルセスキオキサン化合物の製造方法は、特に限定されるものではない。本発明のシルセスキオキサン化合物は、一般的なシルセスキオキサンの製造に用いられている製造方法と従来公知の化学反応とを組み合わせることにより得ることができる。なかでも好ましい製造方法を以下に説明する。
本発明のシルセスキオキサン化合物の製造方法としては、(i)下記一般式(IV)
Figure 2010248424
[式(IV)中、Yは同一でも又は異なっていてもよいハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示し、Rは同一でも又は異なっていてもよい炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示し、mは0〜2の整数を示す。]で表される加水分解性シランを用い加水分解縮合を行ってシルセスキオキサン化合物を製造する工程、
(ii)前記工程(i)で製造したシルセスキオキサン化合物の1級アミノ基と、下記一般式(V)
Figure 2010248424
[式(V)中、XはO又はNHを示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜30の有機基を示す。]で表される(メタ)アクリロイル基を有する化合物の(メタ)アクリロイル基とをマイケル付加させ反応生成物を製造する工程、
(iii)前記工程(ii)で製造した反応生成物と、下記一般式(VI)
Figure 2010248424
[式(VI)中、Rは(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基を示す。]で表される化合物とを反応させる工程、
を有する、ケイ素原子に直接に結合した有機基を有するシルセスキオキサン化合物であって前記ケイ素原子に直接に結合した有機基の少なくとも1つが下記一般式(I)
Figure 2010248424
[式(I)中、XはO又はNHを示し、Rは同一でも又は異なっていてもよい炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示し、Rは同一でも又は異なっていてもよい(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜30の有機基を示し、mは0〜2の整数を示す。]で表される有機基であるシルセスキオキサン化合物の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」と略すことがある。)が好ましい。前記本発明の製造方法はゲル化をさせず安定して本発明のシルセスキオキサン化合物を得ることができる製造方法である。
以下に本発明の製造方法を工程(i)〜工程(iii)の工程毎に詳述する。
工程(i)
本発明の製造方法の工程(i)は、下記一般式(IV)
Figure 2010248424
[式(IV)中、Yは同一でも又は異なっていてもよいハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示し、Rは同一でも又は異なっていてもよい炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示し、mは0〜2の整数を示す。]で表される加水分解性シランを用い加水分解縮合を行ってシルセスキオキサン化合物を製造する工程である。
前記一般式(IV)中のYとしては、具体的には、塩素原子、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
前記一般式(IV)中のR、R、mの具体例としては、前記本発明のシルセスキオキサン化合物の説明において示した前記一般式(I)中のR、R、mの具体例と同じものが挙げられる。
前記一般式(IV)で表される加水分解性シランとしては、具体的には例えば、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
工程(i)においてシルセスキオキサン化合物を製造する際には、前記一般式(IV)で表される加水分解性シランと一緒に、前記一般式(IV)で表される加水分解性シラン以外の加水分解性シランを用いてもよい。そのような加水分解性シランとしては、前記一般式(IV)で表される加水分解性シランとともに加水分解縮合することによりシルセスキオキサン化合物を製造できるものであれば特に限定されるものではない。具体的には例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン等が挙げられる。
工程(i)において、前記一般式(IV)で表される加水分解性シラン及び必要に応じて前記一般式(IV)で表される加水分解性シラン以外の加水分解性シランを用いて加水分解縮合を行う際には、触媒の存在下で行うことが好ましい。
前記触媒としては、塩基性触媒が好適に用いられる。塩基性触媒としては、具体的には例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド等の水酸化アンモニウム塩、テトラブチルアンモニウムフルオリド等のフッ化アンモニウム塩等が挙げられる。
前記触媒の使用量は特に限定されるものではないが、多すぎるとコスト高、除去が困難等の問題があり、一方、少なすぎると反応が遅くなってしまう。そのため、触媒の使用量は、好ましくは加水分解性シラン1モルに対して0.0001〜1.0モル、より好ましくは0.0005〜0.1モルの範囲である。
加水分解性シランを加水分解縮合する場合は、通常、水を使用する。加水分解性シランと水との量比は、特に限定されるものでない。水の使用量は、加水分解性シラン1モルに対し、好ましくは水0.1〜100モル、さらに好ましくは0.5〜3モルの割合である。水の量が少なすぎると、反応が遅くなり、目的とする本発明のシルセスキオキサン化合物の収率が低くなるおそれがあり、水の量が多すぎると高分子量化し、所望とする構造の生成物が減少するおそれがある。また、使用する水は塩基性触媒を水溶液として用いる場合はその水で代用してもよいし、別途水を加えてもよい。
前記加水分解縮合において、有機溶媒は使用してもよく、又は使用しなくてもよい。有機溶媒を用いることは、ゲル化を防止する点及び製造時の粘度を調節できる点から好ましい。有機溶媒としては、極性有機溶媒、非極性有機溶媒を単独又は混合物として用いることができる。
極性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール等の低級アルコール類、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類が用いられるが、特にアセトン、テトラヒドロフランは沸点が低く系が均一になり反応性が向上することから好ましい。非極性有機溶媒としては、炭化水素系溶媒が好ましく、トルエン、キシレン等の水よりも沸点が高い有機溶媒が好ましく、特にトルエン等の水と共沸する有機溶媒は系内から水を効率よく除去できるため好ましい。特に、極性有機溶媒と非極性有機溶媒とを混合することで、前述したそれぞれの利点が得られるため混合溶媒として用いることが好ましい。
加水分解縮合時の反応温度としては、通常0〜200℃、好ましくは10〜200℃、更に好ましくは10〜120℃である。また、この反応は圧力によらず実施できるが、0.02〜0.2MPaの圧力範囲が好ましく、特に0.08〜0.15MPaの圧力範囲が好ましい。
加水分解縮合反応では、加水分解と共に縮合反応が進行し、加水分解性シランの加水分解性基[具体的には例えば、前記一般式(IV)中のY]の大部分、好ましくは100%がヒドロキシル基(OH基)に加水分解され、更にそのOH基の大部分、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは100%を縮合させることが液安定性の点から好ましい。
加水分解縮合後の混合液からは、溶媒や反応で生成したアルコール、触媒を公知の手法で除去してもよい。なお、得られた生成物は、その目的に応じて、触媒を洗浄、カラム分離、固体吸着剤等の各種の精製法によって除去し、更に精製してもよい。好ましくは、効率の点から水洗により触媒を除去することである。
以上の工程(i)により、ケイ素原子に直接に結合した有機基を有するシルセスキオキサン化合物であって、前記ケイ素原子に直接に結合した有機基の少なくとも1つが、下記一般式(VII)
Figure 2010248424
[式(VII)中のR、R、mは、前記一般式(IV)中のR、R、mと同じである。]で表されるシルセスキオキサン化合物が製造される。
工程(ii)
本発明の製造方法の工程(ii)は、前記工程(i)で製造したシルセスキオキサン化合物の1級アミノ基と、下記一般式(V)
Figure 2010248424
[式(V)中、XはO又はNHを示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜30の有機基を示す。]で表される(メタ)アクリロイル基を有する化合物の(メタ)アクリロイル基とをマイケル付加させ反応生成物を製造する工程である。
前記一般式(V)中のRの具体例としては、前記本発明のシルセスキオキサン化合物の説明において示した前記一般式(I)中のRの具体例と同じものが挙げられる。
前記一般式(V)中のXがOであり、Rが炭素数1〜30のアルキル基である場合の、前記一般式(V)で表される(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘキシル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお本明細書において、(メタ)アクリルとはアクリル又はメタクリルのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基又はメタクリロイル基のいずれかであることを意味し、(メタ)アクリロイルオキシ基とはアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基のいずれかであることを意味する。
前記一般式(V)中のXがNHであり、Rが炭素数1〜30のアルキル基の場合の具体例としては、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
工程(ii)において、前記工程(i)で製造したシルセスキオキサン化合物の1級アミノ基と、前記一般式(V)で表される(メタ)アクリロイル基を有する化合物の(メタ)アクリロイル基とをマイケル付加させる反応は、アミノ基と(メタ)アクリロイル基とをマイケル付加させる常法に従って行うことができ、特に限定されるものではない。前記反応の際の配合量は特に限定されるものではないが、通常、前記1級アミノ基1モルに対して、前記一般式(V)で表される(メタ)アクリロイル基を有する化合物を0.1〜1.0モル用いて反応が行われる。反応条件としては、例えば、反応温度が0〜100℃、好ましくは5〜50℃で、反応時間が1〜48時間、好ましくは1〜10時間で反応させることが挙げられる。前記反応では、無触媒でも良く、又は酸触媒若しくはアルカリ触媒を使用しても良い。
以上の工程(ii)により、反応生成物として、ケイ素原子に直接に結合した有機基を有するシルセスキオキサン化合物であって、前記ケイ素原子に直接に結合した有機基の少なくとも1つが、下記一般式(VIII)
Figure 2010248424
[式(VIII)中のR、R、mは、前記一般式(VII)中のR、R、mと同じであり、X、R、Rは、前記一般式(V)中のX、R、Rと同じである。]で表されるシルセスキオキサン化合物が製造される。
工程(iii)
本発明の製造方法の工程(iii)は、前記工程(ii)で製造した反応生成物と、下記一般式(VI)
Figure 2010248424
[式(VI)中、Rは(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基を示す。]で表される化合物とを反応させる工程である。
前記一般式(VI)中のRの具体例としては、前記本発明のシルセスキオキサン化合物の説明において示した前記一般式(I)中のRの具体例と同じものが挙げられる。
前記一般式(VI)で表される化合物としては、具体的には例えば、イソシアネートメチル(メタ)アクリレート、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、3−イソシアネートプロピル(メタ)アクリレート、イソシアネートオクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとジイソシアネート化合物との付加物が挙げられ、具体的には例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとイソホロンジイシソシアネートとの付加物が挙げられる。
前記反応の際の配合量は特に限定されるものではないが、通常、前記工程(ii)で製造した反応生成物のアミノ基のモル数に対して、前記一般式(VI)で表される化合物を等モル用いて反応が行われる。
前記工程(ii)で製造した反応生成物と一般式(VI)で表される化合物との反応は、アミノ基とイソシアネート基とを反応させる常法に従って行うことができる。反応温度は、例えば、−78℃〜200℃、好ましくは−78℃〜100℃、更に好ましくは、−10℃〜40℃である。また、この反応は圧力によらず実施できるが、0.02〜0.2MPa、特に0.08〜0.15MPaの圧力範囲が好ましい。
前記反応では適宜溶媒を使用しても良い。溶媒としては、具体的には例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類等が挙げられる。
前記反応は、反応系内に2級アミノ基がほとんど存在しない条件での反応が好ましい。そのような条件にする方法としては、前記一般式(V)で表される化合物を仕込んだ反応容器に、前記工程(ii)で製造した反応生成物を滴下等により除々に投入して反応させる方法が挙げられる。反応系内に2級アミノ基がほとんど存在しない条件で反応させることにより、アミノ基と(メタ)アクリロイルオキシ基との反応等の副反応を抑制できることから、生成物をゲル化させずに安定して本発明のシルセスキオキサン化合物を製造することができる。
以上の工程(i)〜(iii)により本発明のシルセスキオキサン化合物が製造される。
ここで、前記加水分解縮合において100%縮合しない場合には、本製造方法により得られる生成物には、Si−OH基(ヒドロキシシリル基)の全てが加水分解縮合した構造のシルセスキオキサン化合物以外に、Si−OH基が残存したラダー構造、不完全籠型構造及び/又はランダム縮合体のシルセスキオキサン化合物が含まれる場合があるが、本製造方法により得られる本発明のシルセスキオキサン化合物は、それらラダー構造、不完全籠型構造及び/又はランダム縮合体を含んでいてもよい。なお、本製造方法により得られる本発明のシルセスキオキサン化合物は、Si−OH基の全てが加水分解縮合した構造のシルセスキオキサン化合物の割合が、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であることが液安定性の点から好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、本発明のシルセスキオキサン化合物、及び光重合開始剤を含有する。
光重合開始剤
光重合開始剤としては、活性エネルギー線を吸収してラジカルを発生する開始剤であれば特に限定されることなく使用できる。
前記光重合開始剤としては、例えばベンジル、ジアセチル等のα−ジケトン類;ベンゾイン等のアシロイン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のアシロインエーテル類;チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、チオキサントン−4−スルホン酸等のチオキサントン類;ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;ミヒラーケトン類;アセトフェノン、2−(4−トルエンスルホニルオキシ)−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、α,α′−ジメトキシアセトキシベンゾフェノン、2,2′−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、2−メチル〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、α−イソヒドロキシイソブチルフェノン、α,α′−ジクロル−4−フェノキシアセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等のアセトフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(アシル)フォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類;アントラキノン、1,4−ナフトキノン等のキノン類;フェナシルクロライド、トリハロメチルフェニルスルホン、トリス(トリハロメチル)−s−トリアジン等のハロゲン化合物;ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上の混合物として使用できる。
前記光重合開始剤の市販品としては、例えば、イルガキュア(IRGACURE)−184、イルガキュア−261、イルガキュア−500、イルガキュア−651、イルガキュア−907、イルガキュア−CGI−1700(チバ スペシャルティ ケミカルズ社製、商品名、英語表記 IRGACURE)、ダロキュア(Darocur)−1173、ダロキュア−1116、ダロキュア−2959、ダロキュア−1664、ダロキュア−4043(メルクジャパン社製、商品名、英語表記Darocur)、カヤキュア(KAYACURE)−MBP、カヤキュア−DETX−S、カヤキュア−DMBI、カヤキュア−EPA、カヤキュア−OA(日本化薬社製、商品名英語表記KAYACURE)、ビキュア(VICURE)−10、ビキュア−55〔ストウファー社(STAUFFER Co., LTD.)製、商品名〕、トリゴナル(TRIGONAL)P1〔アクゾ社(AKZO Co., LTD.)製、商品名〕、サンドレイ(SANDORAY)1000〔サンドズ社(SANDOZ Co., LTD.)製、商品名〕、ディープ(DEAP)〔アプジョン社(APJOHN Co., LTD.)製、商品名〕、カンタキュア(QUANTACURE)−PDO、カンタキュア−ITX、カンタキュア−EPD〔ウォードブレキンソプ社(WARD BLEKINSOP Co., LTD.)製、商品名〕等を挙げることができる。
前記光重合開始剤としては、光硬化性の点からチオキサントン類、アセトフェノン類及びアシルフォスフィンオキシド類の1種又は2種以上の混合物であることが好ましく、なかでもアセトフェノン類とアシルフォスフィンオキシド類との混合物であることが特に好適である。
光重合開始剤の使用量は、特に限定されるものではないが、本発明のシルセスキオキサン化合物及び重合性不飽和化合物の総量100質量部に対して、0.5〜10質量部が好ましく、さらに好ましくは1〜5質量部の範囲である。この範囲の下限値は、活性エネルギー線硬化性向上の点で意義があり、上限値はコスト及び深部硬化性の点で意義がある。
重合性不飽和化合物
また本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、本発明のシルセスキオキサン化合物以外の重合性不飽和化合物を含有していてもよい。該重合性不飽和化合物としては、本発明のシルセスキオキサン化合物以外の化合物であって、その化学構造中に重合性不飽和二重結合を少なくとも1つ有する化合物であれば特に限定されない。
前記重合性不飽和化合物としては、単官能重合性不飽和化合物、多官能重合性不飽和化合物が挙げられる。
単官能重合性不飽和化合物としては、例えば、一価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物等が挙げられる。具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等が挙げられる。また、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、5−カルボキシペンチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有重合性不飽和化合物;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロルスチレン等のビニル芳香族化合物;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素アルキル(メタ)アクリレート;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の重合性アミド類等が挙げられる。
多官能重合性不飽和化合物としては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物等が挙げられる。具体的には、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物;グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等のトリ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート化合物;その他、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。さらに、重合性不飽和基含有アクリル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。重合性不飽和基含有アクリル樹脂としては、例えば、カルボキシル基含有アクリル樹脂にグリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有重合性不飽和化合物を付加して得られる重合性不飽和基含有アクリル樹脂、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂に2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基と重合性不飽和基とを有する化合物を付加して得られる重合性不飽和基含有アクリル樹脂等が挙げられる。これら重合性不飽和化合物は単独で又は2種以上組合せて使用することができる。
前記重合性不飽和化合物を含有する場合の使用量は特に限定されるものではないが、得られる塗膜の物性の点から、前記本発明のシルセスキオキサン化合物の不揮発分100質量部に対して、0.1〜1000質量部が好ましく、20〜200質量部がさらに好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、必要に応じて各種添加剤、飽和樹脂等を配合してもよく、所望により溶剤で希釈しても良い。添加剤としては、例えば、増感剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、酸化防止剤、消泡剤、表面調整剤、可塑剤、着色剤等が挙げられる。飽和樹脂としては、例えば、飽和アクリル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、飽和ウレタン樹脂等が挙げられる。
希釈に用いる溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のグリコールエーテル類;芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類等が挙げられる。これらは、粘度の調整、塗布性の調整等を目的に応じて適宜組み合わせて使用することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の不揮発分は特に限定されるものではない。例えば、好ましくは20〜100質量%であり、さらに好ましくは25〜70質量%である。これら範囲は、塗膜の平滑性及び乾燥時間の短縮化の点で意義がある。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を被塗物表面へ塗布する方法は特に限定されるものではなく、例えば、ローラー塗装、ロールコーター塗装、スピンコーター塗装、カーテンロールコーター塗装、スリットコーター塗装、スプレー塗装、静電塗装、浸漬塗装、シルク印刷、スピン塗装等が挙げられる。
被塗物としては、特に限定されるものではない。具体的には例えば、金属、セラミックス、ガラス、プラスチック、木材等が挙げられる。また、被塗物には、例えば、プライマー塗料、カチオン電着塗料、中塗り塗料、上塗り塗料等を塗装することにより、予めプライマー層、電着塗膜層、中塗り層、上塗り層等が形成されていてもよい。
前記活性エネルギー線硬化性組成物から塗膜を形成する際、必要に応じて乾燥を行うことができる。乾燥は、添加している溶剤を除去できる条件であれば特に限定されるものではない。例えば、20〜100℃の乾燥温度において3〜20分間の乾燥時間で行うことができる。
塗膜の膜厚は目的に応じて適宜設定される。例えば膜厚は1〜100μmが好ましく、1〜20μmがさらに好ましい。膜厚がこれら範囲の下限値以上の場合には、塗膜の平滑性及び外観に優れる。またこれら範囲の上限値以下の場合には塗膜の硬化性、耐割れ性に優れる。
活性エネルギー線硬化性組成物を被塗物表面に塗布し、必要に応じて乾燥させた後に、活性エネルギー線照射を行い硬化塗膜を形成する。活性エネルギー線照射の照射源及び照射量は特に限定されるものではない。例えば活性エネルギー線の照射源としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等が挙げられる。照射量は、例えば好ましくは5〜20,000J/m、さらに好ましくは100〜10,000J/mの範囲が挙げられる。
活性エネルギー線照射は、大気雰囲気下で行なってもよく、また不活性ガス雰囲気下で行なっても良い。不活性ガスとしては、窒素、二酸化炭素等が挙げられる。不活性ガス雰囲気下での活性エネルギー線照射が、硬化性の点から好ましい。
また、活性エネルギー線照射後、必要に応じて塗膜を加熱してもよい。加熱をすることによって、活性エネルギー線照射による塗膜の硬化により発生した塗膜の歪みを緩和することができる。さらにこの加熱によって塗膜の硬度や付着性の向上を行なうことができる場合がある。加熱は、通常、150〜250℃の雰囲気温度で1〜30分間の条件で行なうことができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、「部」及び「%」は、別記しない限り「質量部」及び「質量%」を示す。なお、本実施例における構造解析及び測定は、本明細書に記載の前記分析装置に加え、以下の分析装置及び測定方法により行った。
29Si−NMR、H−NMR分析)
装置:JEOL社製 FT−NMR EX−400
溶媒:CDCl
内部標準物質:テトラメチルシラン
(製造例1)
還流冷却器、温度計、空気導入管、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン580部、2−プロピルアルコール2,300部、テトラブチルアンモニウムフルオリド2部、及び脱イオン水70部を仕込み、60℃で8時間反応させた。減圧蒸留にて不揮発分60%となるまで濃縮した後、プロピレングリコールモノメチルエーテル1,000部を配合してさらに減圧蒸留を継続し、生成物(P1)の不揮発分40%溶液1,000部を得た。
生成物(P1)について29Si−NMR分析を行った結果、Siに結合した3つの酸素原子が全て他のSiと結合したT3構造に由来する−70ppm付近のピークのみが確認され、ヒドロキキシシリル基の存在を示すT1やT2構造は確認されなかった。全アミン価は730mgKOH/gであった。
生成物(P1)の重量平均分子量は2,000であった。
生成物(P1)についての前記29Si−NMR、重量平均分子量、全アミン価の結果から、生成物(P1)が、ケイ素原子に直接に結合した有機基の全てが下記式(IX)で表される有機基
Figure 2010248424
を有する重量平均分子量2,000のシルセスキオキサン化合物であることが確認された。
(製造例2)
還流冷却器、温度計、空気導入管、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、3−アミノプロピルトリメトキシシラン650部、2−プロピルアルコール2,600部、テトラブチルアンモニウムフルオリド2部、及び脱イオン水100部を仕込み、60℃で8時間反応させた。減圧蒸留にて不揮発分60%となるまで濃縮した後、プロピレングリコールモノメチルエーテル1,000部を配合してさらに減圧蒸留を継続し、生成物(P2)の不揮発分40%溶液1,000部を得た。
生成物(P2)について29Si−NMR分析を行った結果、Siに結合した3つの酸素原子が全て他のSiと結合したT3構造に由来する−70ppm付近のピークと、一つのヒドロキシシリル基を有するT2構造に由来する−59ppmのピークが確認された。これらのピークの積分強度比は、T3構造に由来するピーク/T2構造に由来するピーク=90/10であった。また、全アミン価は508mgKOH/gであった。
生成物(P2)の重量平均分子量は1,300であった。
生成物(P2)についての前記29Si−NMR、重量平均分子量、全アミン価の結果から、生成物(P2)が、ケイ素原子に直接に結合した有機基の全てが下記式(X)で表される有機基
Figure 2010248424
を有する重量平均分子量1,300のシルセスキオキサン化合物であることが確認された。
(実施例1)
還流冷却器、温度計、空気導入管、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、生成物(P1)の不揮発分40%溶液100部、メチルアクリレート22部、プロピレングリコールモノメチルエーテル35部、及びメトキノン0.1部を配合し、空気を吹き込みながら常温で1時間攪拌した。次に40℃に昇温し、さらに1時間攪拌し、生成物(P3)の不揮発分40%溶液156部を得た。
生成物(P3)についてH−NMR分析を行った結果、メチルアクリレートのアクリロイル基に帰属される5−6ppmのピークが確認されなかった。
生成物(P3)の重量平均分子量は3,300であった。
生成物(P3)についての前記H−NMR、重量平均分子量の結果から、生成物(P3)が、ケイ素原子に直接に結合した有機基のほとんど全てが下記式(XI)で表される有機基
Figure 2010248424
を有する重量平均分子量3,300のシルセスキオキサン化合物であることが確認された。
続いて、還流冷却器、温度計、窒素導入管、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、2−イソシアネートエチルアクリレート47部、及びアセトン70部を配合し、窒素気流下で攪拌しながら氷浴で5℃まで冷却した。該セパラブルフラスコに、生成物(P3)の不揮発分40%溶液100部を、滴下ロートを用いて反応溶液の温度が7℃を超えないように滴下した。減圧蒸留にてアセトンを留去した後、プロピレングリコールモノメチルエーテル70部を配合し、生成物(P4)の不揮発分40%溶液218部を得た。
生成物(P4)について29Si−NMR分析を行った結果、Siに結合した3つの酸素原子が全て他のSiと結合したT3構造に由来する−70ppm付近のピークのみが確認され、ヒドロキキシシリル基の存在を示すT1やT2構造は確認されなかった。生成物(P4)の全アミン価は0mgKOH/g、NCO価は0mgNCO/gであった。
生成物(P4)についてH−NMR分析を行った結果、Siに結合したメチレン基に由来する0.6ppmのピークが確認された。また、アクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合に由来する5.9ppm、6.1ppm、6.4ppmのピークが確認された。これらのピーク強度比より計算したSiに結合したメチレン基に対するアクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合のモル比率は、2.0であった。
生成物(P4)の重量平均分子量は7,000であった。
生成物(P4)についての前記29Si−NMR、H−NMR、重量平均分子量、全アミン価、NCO価の結果から、生成物(P4)が、ケイ素原子に直接に結合した有機基のほとんど全てが下記式(XII)で表される有機基
Figure 2010248424
を有する重量平均分子量7,000のシルセスキオキサン化合物であることが確認された。
(実施例2)
還流冷却器、温度計、空気導入管、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、生成物(P1)の不揮発分40%溶液100部、イソボルニルアクリレート27部、プロピレングリコールモノメチルエーテル35部、及びメトキノン0.1部を配合し、空気を吹き込みながら常温で1時間攪拌した。次に40℃に昇温し、さらに1時間攪拌し、生成物(P5)の不揮発分40%溶液を得た。
生成物(P5)についてH−NMR分析を行った結果、イソボルニルアクリレートのアクリロイル基に帰属される5−6ppmのピークが確認されなかった。
生成物(P5)の重量平均分子量は3,500であった。
生成物(P5)についての前記H−NMR、重量平均分子量の結果から、生成物(P5)が、ケイ素原子に直接に結合した有機基のうち50モル%が下記式(XIII)で表される有機基でありかつ50モル%が下記式(XIV)で表される有機基
Figure 2010248424
である重量平均分子量3,500のシルセスキオキサン化合物であることが確認された。
続いて、還流冷却器、温度計、窒素導入管、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、2−イソシアネートエチルアクリレート44部、及び酢酸エチル70部を配合し、窒素気流下で攪拌しながら氷浴で5℃まで冷却した。該セパラブルフラスコに、生成物(P5)の不揮発分40%溶液100部を、滴下ロートを用いて反応溶液の温度が10℃を超えないように滴下した。減圧蒸留にて酢酸エチルを留去した後、プロピレングリコールモノメチルエーテル70部を配合し、生成物(P6)の不揮発分40%溶液210部を得た。
生成物(P6)について29Si−NMR分析を行った結果、Siに結合した3つの酸素原子が全て他のSiと結合したT3構造に由来する−70ppm付近のピークのみが確認され、ヒドロキキシシリル基の存在を示すT1やT2構造は確認されなかった。生成物(P6)の全アミン価は0mgKOH/g、NCO価は0mgNCO/gであった。
生成物(P6)についてH−NMR分析を行った結果、Siに結合したメチレン基に由来する0.6ppmのピークが確認された。また、アクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合に由来する5.9ppm、6.1ppm、6.4ppmのピークが確認された。これらのピーク強度比より計算したSiに結合したメチレン基に対するアクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合のモル比率は、2.0であった。
生成物(P6)の重量平均分子量は7,500であった。
生成物(P6)についての前記29Si−NMR、H−NMR、重量平均分子量、全アミン価、NCO価の結果から、生成物(P6)が、ケイ素原子に直接に結合した有機基のうち50モル%が下記式(XV)で表される有機基でありかつ50モル%が下記式(XVI)で表される有機基
Figure 2010248424
を有する重量平均分子量7,500のシルセスキオキサン化合物であることが確認された。
(実施例3)
還流冷却器、温度計、空気導入管、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、生成物(P1)の不揮発分40%溶液100部、エチルカルビトールアクリレート25部、プロピレングリコールモノメチルエーテル37部、及びメトキノン0.1部を配合し、空気を吹き込みながら常温で1時間攪拌した。次いで40℃に昇温し、さらに1時間攪拌し、生成物(P7)の不揮発分40%溶液を得た。
生成物(P7)についてH−NMR分析を行った結果、エチルカルビトールアクリレートのアクリロイル基に帰属される5−6ppmのピークが確認されなかった。
生成物(P7)の重量平均分子量は3,500であった。
生成物(P7)についての前記H−NMR、重量平均分子量の結果から、生成物(P7)が、ケイ素原子に直接に結合した有機基のうち50モル%が下記式(XVII)で表される有機基でありかつ50モル%が下記式(XVIII)で表される有機基
Figure 2010248424
である重量平均分子量3,500のシルセスキオキサン化合物であることが確認された。
続いて、還流冷却器、温度計、窒素導入管、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、2−イソシアネートエチルアクリレート46部、及び酢酸エチル70部を配合し、窒素気流下で攪拌しながら氷浴で5℃まで冷却した。該セパラブルフラスコに、生成物(P7)の不揮発分40%溶液100部を、滴下ロートにて反応溶液の温度が10℃を超えないように滴下した。減圧蒸留にて酢酸エチルを留去した後、プロピレングリコールモノメチルエーテル70部を配合し、生成物(P8)の不揮発分40%溶液215部を得た。
生成物(P8)について29Si−NMR分析を行った結果、Siに結合した3つの酸素原子が全て他のSiと結合したT3構造に由来する−70ppm付近のピークのみが確認され、ヒドロキキシシリル基の存在を示すT1やT2構造は確認されなかった。生成物(P8)の全アミン価は0mgKOH/g、NCO価は0mgNCO/gであった。
生成物(P8)についてH−NMR分析を行った結果、Siに結合したメチレン基に由来する0.6ppmのピークが確認された。また、アクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合に由来する5.9ppm、6.1ppm、6.4ppmのピークが確認された。これらのピーク強度比より計算したSiに結合したメチレン基に対するアクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合のモル比率は、2.0であった。
生成物(P8)の重量平均分子量は7,500であった。
生成物(P8)についての前記29Si−NMR、H−NMR、重量平均分子量、全アミン価、NCO価の結果から、生成物(P8)が、ケイ素原子に直接に結合した有機基のうち50モル%が下記式(XIX)で表される有機基でありかつ50モル%が下記式(XX)で表される有機基
Figure 2010248424
を有する重量平均分子量7,500のシルセスキオキサン化合物であることが確認された。
(実施例4)
還流冷却器、温度計、空気導入管、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、生成物(P1)の不揮発分40%溶液100部、N−イソプロピルアクリルアミド6部、プロピレングリコールモノメチルエーテル9部、及びメトキノン0.1部を配合し、空気を吹き込みながら常温で1時間攪拌した。次いで40℃に昇温し、さらに1時間攪拌し、生成物(P9)の不揮発分40%溶液を得た。
生成物(P9)についてH−NMR分析を行った結果、N−イソプロピルアクリルアミドのアクリロイル基に帰属される5−6ppmのピークが確認されなかった。
生成物(P9)の重量平均分子量は2,500であった。
生成物(P9)についての前記H−NMR、重量平均分子量の結果から、生成物(P9)が、ケイ素原子に直接に結合した有機基のうち20モル%が下記式(XXI)で表される有機基でありかつ80モル%が下記式(XXII)で表される有機基
Figure 2010248424
である重量平均分子量2,500のシルセスキオキサン化合物であることが確認された。
続いて、還流冷却器、温度計、窒素導入管、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、2−イソシアネートエチルアクリレート64部、及び酢酸エチル100部を配合し、窒素気流下で攪拌しながら氷浴で5℃まで冷却した。該セパラブルフラスコに、生成物(P9)の不揮発分40%溶液100部を、滴下ロートにて反応溶液の温度が10℃を超えないように滴下した。減圧蒸留にて酢酸エチルを留去した後、プロピレングリコールモノメチルエーテル100部を配合し、生成物(P10)の不揮発分40%溶液261部を得た。
生成物(P10)について29Si−NMR分析を行った結果、Siに結合した3つの酸素原子が全て他のSiと結合したT3構造に由来する−70ppm付近のピークのみが確認され、ヒドロキキシシリル基の存在を示すT1やT2構造は確認されなかった。生成物(P10)の全アミン価は0mgKOH/g、NCO価は0mgNCO/gであった。
生成物(P10)についてH−NMR分析を行った結果、Siに結合したメチレン基に由来する0.6ppmのピークが確認された。また、アクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合に由来する5.9ppm、6.1ppm、6.4ppmのピークが確認された。これらのピーク強度比より計算したSiに結合したメチレン基に対するアクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合のモル比率は、2.0であった。
生成物(P10)の重量平均分子量は6,500であった。
生成物(P10)についての前記29Si−NMR、H−NMR、重量平均分子量、全アミン価、NCO価の結果から、生成物(P10)が、ケイ素原子に直接に結合した有機基のうち20モル%が下記式(XXIII)で表される有機基でありかつ80モル%が下記式(XXIV)で表される有機基
Figure 2010248424
を有する重量平均分子量6,500のシルセスキオキサン化合物であることが確認された。
(実施例5)
還流冷却器、温度計、空気導入管、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、生成物(P2)の不揮発分40%溶液100部、イソボルニルアクリレート38部、プロピレングリコールモノメチルエーテル57部、及びメトキノン0.1部を配合し、空気を吹き込みながら常温で1時間攪拌した。次いで40℃に昇温し、さらに1時間攪拌し、生成物(P11)の不揮発分40%溶液を得た。
生成物(P11)についてH−NMR分析を行った結果、イソボルニルアクリレートのアクリロイル基に帰属される5−6ppmのピークが確認されなかった。
生成物(P11)の重量平均分子量は3,000であった。
生成物(P11)についての前記H−NMR、重量平均分子量の結果から、生成物(P11)が、ケイ素原子に直接に結合した有機基のうち50モル%が下記式(XXV)で表される有機基でありかつ50モル%が下記式(XXVI)で表される有機基
Figure 2010248424
である重量平均分子量3,000のシルセスキオキサン化合物であることが確認された。
続いて、還流冷却器、温度計、窒素導入管、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、2−イソシアネートエチルアクリレート26部、及び酢酸エチル40部を配合し、窒素気流下で攪拌しながら氷浴で5℃まで冷却した。該セパラブルフラスコに、生成物(P11)の不揮発分40%溶液100部を、滴下ロートにて反応溶液の温度が10℃を超えないように滴下した。減圧蒸留にて酢酸エチルを留去した後、プロピレングリコールモノメチルエーテル90部を配合し、生成物(P12)の不揮発分40%溶液165部を得た。
生成物(P12)について29Si−NMR分析を行った結果、Siに結合した3つの酸素原子が全て他のSiと結合したT3構造に由来する−70ppm付近のピークと、一つのヒドロキシシリル基を有するT2構造に由来する−59ppmのピークが確認された。これらのピークの積分強度比は、T3構造に由来するピーク/T2構造に由来するピーク=90/10であった。生成物(P12)の全アミン価は0mgKOH/g、NCO価は0mgNCO/gであった。
生成物(P12)についてH−NMR分析を行った結果、Siに結合したメチレン基に由来する0.6ppmのピークが確認された。また、アクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合に由来する5.9ppm、6.1ppm、6.4ppmのピークが確認された。これらのピーク強度比より計算したSiに結合したメチレン基に対するアクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合のモル比率は、1.0であった。
生成物(P12)の重量平均分子量は5,000であった。
生成物(P12)についての前記29Si−NMR、H−NMR、重量平均分子量、全アミン価、NCO価の結果から、生成物(P12)が、ケイ素原子に直接に結合した有機基のうち50モル%が下記式(XXVII)で表される有機基でありかつ50モル%が下記式(XXVIII)で表される有機基
Figure 2010248424
を有する重量平均分子量5,000のシルセスキオキサン化合物であることが確認された。
(実施例6)
還流冷却器、温度計、空気導入管、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート52部、イソホロンジイソシアネート100部、酢酸イソブチル38部、及びメトキノン0.1部を配合し、空気を液中に吹き込みながら80℃で12時間反応させ、生成物(P13)の不揮発分80%溶液190部を得た。生成物(P13)のNCO価は124mgNCO/gであった。
続いて、還流冷却器、温度計、窒素導入管、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、生成物(P13)の不揮発分80%溶液79部、及び酢酸エチル80部を配合し、窒素気流下で攪拌しながら氷浴で5℃まで冷却した。該セパラブルフラスコに生成物(P11)の不揮発分40%溶液100部を、滴下ロートにて反応溶液の温度が10℃を超えないように滴下した。減圧蒸留にて酢酸エチルを留去した後、プロピレングリコールモノメチルエーテル90部を配合し、生成物(P14)の不揮発分40%溶液257部を得た。
生成物(P14)について29Si−NMR分析を行った結果、Siに結合した3つの酸素原子が全て他のSiと結合したT3構造に由来する−70ppm付近のピークと、一つのヒドロキシシリル基を有するT2構造に由来する−59ppmのピークが確認された。これらのピークの積分強度比は、T3構造に由来するピーク/T2構造に由来するピーク=90/10であった。生成物(P14)の全アミン価は0mgKOH/g、NCO価は0mgNCO/gであった。
また、生成物(P14)についてH−NMR分析を行った結果、Siに結合したメチレン基に由来する0.6ppmのピークが確認された。また、アクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合に由来する5.9ppm、6.1ppm、6.4ppmのピークが確認された。これらのピーク強度比より計算したSiに結合したメチレン基に対するアクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合のモル比率は、1.0であった。
生成物(P14)の重量平均分子量は7,500であった。
生成物(P14)についての前記29Si−NMR、H−NMR、重量平均分子量、全アミン価、NCO価の結果から、生成物(P14)が、ケイ素原子に直接に結合した有機基のうち50モル%が下記式(XXIX)で表される有機基でありかつ50モル%が下記式(XXX)で表される有機基
Figure 2010248424
[式(XXIX)及び式(XXX)中、R10はイソホロンジイソシアネート残基を示す。]
を有する重量平均分子量7,500のシルセスキオキサン化合物であることが確認された。
(比較例1)
還流冷却器、温度計、空気導入管、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、アセトン2,200部、脱イオン水120部、及びテトラブチルアンモニウムフルオリド3部を配合し、攪拌しながら溶解させた。ここに3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン554部を投入し、40℃にて12時間反応させた。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1,500部で希釈し、減圧蒸留にて揮発分を除去し、生成物(P15)の不揮発分40%溶液を得た。
生成物(P15)について29Si−NMR分析を行った結果、Siに結合した3つの酸素原子が全て他のSiと結合したT3構造に由来する−70ppm付近のピークと、一つのヒドロキシシリル基を有するT2構造に由来する−59ppmのピークが確認された。これらのピークの積分強度比は、T3構造に由来するピーク/T2構造に由来するピーク=90/10であった。
また、生成物(P15)についてH−NMR分析を行った結果、Siに結合したメチレン基に由来する0.6ppmのピークが確認された。また、メタクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合に由来する5.9ppm、6.1ppmのピークが確認された。これらのピーク強度比より計算したSiに結合したメチレン基に対するメタクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合のモル比率は、1.0であった。
生成物(P15)の重量平均分子量は1,500であった。
生成物(P15)についての前記29Si−NMR、H−NMR、重量平均分子量等の結果から、生成物(P15)が、ケイ素原子に直接に結合した有機基の全てが下記式(XXXI)で表される有機基
Figure 2010248424
を有する重量平均分子量1,500シルセスキオキサン化合物であることが確認された。
(実施例7)
生成物(P4)の不揮発分40%溶液と下記の重合性不飽和化合物(A1)を、生成物(P4)と重合性不飽和化合物(A1)の質量比が1:1になるように混合し、40℃で24時間攪拌して、混合溶液を得た。該混合溶液の相溶性を評価することにより、生成物(P4)と重合性不飽和化合物との溶液状態における相溶性を評価した。評価は、目視にて相溶状態を観察し、下記の基準に従って行った。評価結果を表1に示した。
また、前記と同様にして、生成物(P4)と下記の重合性不飽和化合物又は飽和樹脂(A2)から(A11)の各々を混合し、各混合溶液を得た。そして、該混合溶液の相溶性を前記と同様の基準にて評価した。評価結果を表1に示した。
<相溶性の判定>
○:均一、透明であり、相溶性は良好
△:わずかに濁りがある、又は振った時に揺らぎが見え、相溶性は良好ではない
×:かなり濁っている、又は分離、凝集、沈降物、ゲル化のいずれか1つ以上が見られ、相溶性は悪い
<重合性不飽和化合物>
A1:HDDA(商品名、ダイセルサイテック社製、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート)
A2:アロニックスM−140(商品名、東亜合成社製、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド)
A3:アロニックスM−325[商品名、東亜合成社製、ε−カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート]
A4:トリメチロールプロパンジアクリレート
A5:ペンタエリスリトールジアクリレート
A6:ペンタエリスリトールトリアクリレート
A7:アロニックスM−403(商品名、東亜合成社製、ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート)
A8:アロニックスM−1200(商品名、東亞合成社製、二官能ウレタンアクリレートオリゴマー)
A9:重合性不飽和基含有アクリル樹脂(注1)
<飽和樹脂>
A10:バイロン296:(商品名、東洋紡社製、飽和ポリエステル樹脂)
A11:飽和アクリル樹脂:(注1)において、重合性不飽和基含有アクリル樹脂を製造する際に中間体として製造した飽和アクリル樹脂
(注1)重合性不飽和基含有アクリル樹脂:還流冷却器、窒素導入管、温度計、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、トルエン100部を配合し、気相に窒素を流しながら100℃まで昇温した。メチルメタクリレート30部、4−ヒドロキシブチルメタクリレート30部、スチレン10部、ブチルメタクリレート20部、イソブチルメタクリレート10部、2,2’−アゾビス−(2−ジメチルバレロニトリル)2部を混合してよく攪拌、溶解した後、これを前記セパラブルフラスコに3時間かけて滴下した。さらに100℃で1時間反応させ、重量平均分子量1万、水酸基価116mgKOH/gである飽和アクリル樹脂の不揮発分50%溶液を得た。
続いて、還流冷却器、空気導入管、温度計、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、前記飽和アクリル樹脂の不揮発分50%溶液100部、2−イソシアネートエチルアクリレート29部、及びトルエン29部を配合し、空気を液相に吹き込みながら80℃まで昇温した後に12時間反応させ、重合性不飽和基含有アクリル樹脂の不揮発分50%溶液を得た。
(実施例8〜12、比較例2)
実施例7と同様にして、実施例2〜6、比較例1で得られた各生成物(P6、P8、P10、P12、P14、P15)について、重合性不飽和化合物又は飽和樹脂との溶液状態における相溶性を評価した。評価結果を表1に示した。
Figure 2010248424
(実施例13)
本発明のシルセスキオキサン化合物を含む活性エネルギー線硬化性組成物について、重合性不飽和化合物を混合した場合の相溶性を評価した。試験方法を以下に示す。
生成物(P4)の不揮発分40%溶液125部、重合性不飽和化合物(A1)50部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(光重合開始剤)3.0部、及び2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(光重合開始剤)0.5部を配合し、酢酸エチルで不揮発分30%に希釈した後に攪拌し、活性エネルギー線硬化性組成物(X−1)を作成した。
次いで中塗り塗装板(注2)に、前記活性エネルギー線硬化性組成物(X−1)をアプリケーターで乾燥膜厚が10μmとなる条件で塗装し、80℃で10分間乾燥して溶剤を除去した後、高圧水銀灯(80W/cm)で、紫外線(ピークトップ波長365nm)を照射量20,000J/mで照射して、塗膜を硬化させた。硬化させた塗膜の外観を目視で観察し、相溶状態を下記の基準に従って評価した。評価結果を表2に示す。
また、重合性不飽和化合物(A1)を重合性不飽和化合物(A2)から(A9)の各々に替えた以外は、前記と同様の配合で、各重合性不飽和化合物(A2)から(A9)の各々を含む各活性エネルギー線硬化性組成物を作成した。次いで、前記と同様の条件で硬化させた塗膜を作成し、該塗膜を目視で観察し、相溶状態を下記の基準に従って評価した。評価結果を表2に示した。
続いて、生成物(P4)の不揮発分40%溶液100部、重合性不飽和化合物(A1)40部、飽和樹脂(A10)20部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(光重合開始剤)3.0部、及び2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(光重合開始剤)0.5部を配合し、酢酸エチルで不揮発分30%に希釈した後に攪拌し、活性エネルギー線硬化性組成物(X-2)を作成した。
次いで中塗り塗装板(注2)に、前記活性エネルギー線硬化性組成物(X−2)をアプリケーターで乾燥膜厚が10μmとなる条件で塗装し、80℃で10分間乾燥して有機溶剤を除去した後、高圧水銀灯(80W/cm)で、紫外線(ピークトップ波長365nm)を照射量20,000J/mで照射して、塗膜を硬化させた。硬化させた塗膜の外観を目視で観察し、相溶状態を下記の基準に従って評価した。評価結果を表2に示す。
また、前記活性エネルギー線硬化性組成物(X−2)において、飽和樹脂(A10)を飽和樹脂(A11)に替えた以外は、前記と同様の配合で、活性エネルギー線硬化性組成物を作成した。次いで、前記活性エネルギー線硬化性組成物(X−2)の場合と同様の条件で硬化させた塗膜を作成し、該塗膜を目視で観察し、相溶状態を下記の基準に従って評価した。評価結果を表2に示した。
(注2)中塗り塗装板:パルボンド#3020(商品名、日本パーカライジング社製、りん酸亜鉛処理剤)で化成処理した0.8×150×70mmの冷延鋼板に、エレクロンGT−10(商品名、関西ペイント社製、カチオン電着塗料)を膜厚20μmとなるように電着塗装し、170℃で30分焼付け乾燥を行なって電着塗膜を形成させた。該電着塗膜上にWP−300(商品名、関西ペイント社製、水性中塗り塗料)を、硬化膜厚が25μmとなるようにスプレー塗装した後、電気熱風乾燥器で140℃×30分焼付け乾燥を行ない中塗り塗装板を作成した。
<相溶性の判定>
○:均一、透明であり、相溶性は良好
△:わずかに濁りがあり、相溶性は良好ではない
×:かなりに濁っている、又は凝集物、ブツ、はじきのいずれか1つ以上が見られ、相溶性は悪い
(実施例14〜18、比較例3)
生成物(P4)の不揮発分40%溶液を、実施例2〜6、比較例1で得られた生成物(P6、P8、P10、P12、P14、P15)の溶液の各々に替えた以外は、実施例13と同様にして、活性エネルギー線硬化性組成物を作成した。次いで、実施例13と同様の条件で該活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させた塗膜を作成し、重合性不飽和化合物を混合した場合、場合によってはさらに飽和樹脂を混合した場合の相溶性を評価した。評価結果を表2に示した。
Figure 2010248424
(実施例19〜31、比較例4)
実施例13における活性エネルギー線硬化性組成物の作成方法、硬化塗膜の作成方法と同様にして、表3に示す配合の活性エネルギー線硬化性組成物を作成して、中塗り塗装板(注2)上に乾燥膜厚10μmの硬化塗膜を形成し、試験板を得た。得られた各試験板について、下記の評価基準に従って、付着性、耐擦傷性、耐候性を評価した。評価結果を表3に示した。
<付着性>
JIS K 5600−5−6(1990)に準じて各硬化塗膜に1mm×1mmのゴバン目100個を作り、その面に粘着テープを貼着し、急激に剥した後に、残ったゴバン目塗膜の数を評価した。なお、試験において鋼板と電着塗膜との間、電着塗膜と中塗り塗膜との間での塗膜の剥離は見られなかった。
○:残存個数/全体個数=100個/100個
△:残存個数/全体個数=90個〜99個/100個
×:残存個数/全体個数=89個以下/100個
<耐擦傷性>
各塗膜に市販のスチールウール(#0000)をこすりつけ、塗膜を目視で観察し下記の基準に従って評価した。
○:傷、ワレ、剥がれがない、若しくは傷が僅かにあるが実用上問題が無い
△:傷が認められる
×:ワレ、剥がれ、著しい傷等が認められる
<耐候性>
得られた各試験板ついてサンシャインウェザーオメーターを用いて、1000時間試験を行った後に、塗膜を目視で観察し下記の基準に従って評価した。
○:異常無し、若しくはフクレ、変色、ツヤ変化、剥がれ等が僅かに認められるが実用上問題が無い
△:フクレ、変色、ツヤ変化、剥がれ等が認められる
×:フクレ、変色、ツヤ変化、剥がれ等が著しく認められる
Figure 2010248424

Claims (7)

  1. ケイ素原子に直接に結合した有機基を有するシルセスキオキサン化合物であって、前記ケイ素原子に直接に結合した有機基の少なくとも1つが下記一般式(I)で表される有機基であることを特徴とするシルセスキオキサン化合物。
    Figure 2010248424
    [式(I)中、XはO又はNHを示し、Rは同一でも又は異なっていてもよい炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示し、Rは同一でも又は異なっていてもよい(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜30の有機基を示し、mは0〜2の整数を示す。]
  2. 前記一般式(I)で表される有機基のRが、同一でも又は異なっていてもよく下記一般式(II)
    Figure 2010248424
    {式(II)中、Rは炭素数1〜10の2価の炭化水素基又は下記一般式(III)
    Figure 2010248424
    [式(III)中、Rはジイソシアネート残基を示し、Rは炭素数2〜4の2価の炭化水素基を示す。]で表される2価の基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す。}で表される有機基である請求項1記載のシルセスキオキサン化合物。
  3. 前記一般式(I)で表される有機基のRが、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルポリオキシアルキレン基、又はアリールポリオキシアルキレン基である請求項1又は2記載のシルセスキオキサン化合物。
  4. 重量平均分子量が1,000〜100,000である請求項1〜3のいずれか1項に記載のシルセスキオキサン化合物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のシルセスキオキサン化合物、及び光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性組成物。
  6. 前記シルセスキオキサン化合物以外の重合性不飽和化合物をさらに含有する請求項5記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  7. (i)下記一般式(IV)
    Figure 2010248424
    [式(IV)中、Yは同一でも又は異なっていてもよいハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示し、Rは同一でも又は異なっていてもよい炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示し、mは0〜2の整数を示す。]で表される加水分解性シランを用い加水分解縮合を行ってシルセスキオキサン化合物を製造する工程、
    (ii)前記工程(i)で製造したシルセスキオキサン化合物の1級アミノ基と、下記一般式(V)
    Figure 2010248424
    [式(V)中、XはO又はNHを示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜30の有機基を示す。]で表される(メタ)アクリロイル基を有する化合物の(メタ)アクリロイル基とをマイケル付加させ反応生成物を製造する工程、
    (iii)前記工程(ii)で製造した反応生成物と、下記一般式(VI)
    Figure 2010248424
    [式(VI)中、Rは(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基を示す。]で表される化合物とを反応させる工程、
    を有する、
    ケイ素原子に直接に結合した有機基を有するシルセスキオキサン化合物であって前記ケイ素原子に直接に結合した有機基の少なくとも1つが下記一般式(I)
    Figure 2010248424
    [式(I)中、XはO又はNHを示し、Rは同一でも又は異なっていてもよい炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示し、Rは同一でも又は異なっていてもよい(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜30の有機基を示し、mは0〜2の整数を示す。]で表される有機基であるシルセスキオキサン化合物の製造方法。
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