JP2010248386A - 異方導電性接着フィルムの製造方法 - Google Patents

異方導電性接着フィルムの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010248386A
JP2010248386A JP2009100018A JP2009100018A JP2010248386A JP 2010248386 A JP2010248386 A JP 2010248386A JP 2009100018 A JP2009100018 A JP 2009100018A JP 2009100018 A JP2009100018 A JP 2009100018A JP 2010248386 A JP2010248386 A JP 2010248386A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
film
conductive particles
less
adhesive film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009100018A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5581605B2 (ja
Inventor
Akira Shima
暁 島
Taketoshi Usui
健敏 臼井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei E Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei E Materials Corp filed Critical Asahi Kasei E Materials Corp
Priority to JP2009100018A priority Critical patent/JP5581605B2/ja
Publication of JP2010248386A publication Critical patent/JP2010248386A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5581605B2 publication Critical patent/JP5581605B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Adhesive Tapes (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
  • Manufacturing Of Electrical Connectors (AREA)

Abstract

【課題】新規異方導電性接着フィルムの提供。
【解決手段】導電粒子を表面層に単層に配置したバインダー樹脂よりなる導電層と、該導電層の少なくとも片面に絶縁性接着剤を積層した異方導電性接着フィルムの製造方法において、該導電粒子の中心間距離の変動係数は、0.05以上0.5以下であり、該絶縁性接着剤の180℃溶融粘度は、該バインダー樹脂の180℃溶融粘度よりも低く、そして該方法は、以下の工程:
熱硬化性樹脂と、マイクロカプセル型硬化剤と、フィルム形成性高分子とを含有する該絶縁性接着剤を溶剤に溶解又は分散させた塗工液を調製する工程、
剥離性基材上に該塗工液を塗布する工程、
該塗工液が塗布された剥離性基材を、該剥離性基材の弾性領域内で延伸しながら加熱して溶剤を揮散させる製膜工程、
を含むことを特徴とする前記異方導電性接着フィルムの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、微細パターンの電気的接続において、微小面積の電極の電気的接続性に優れると共に、微細な配線間の絶縁破壊(ショート)が起こりにくく、異なる電極パターンの半導体チップに対しても電気的接続が可能で、長期信頼性を与える接続が可能な、保存安定性の高い異方導電性接着フィルムに関する。
異方導電性接着フィルムは、絶縁性接着剤中に導電粒子を分散させたフィルム、換言すれば、液晶ディスプレイと半導体チップやTCPとの接続又はFPCとTCPとの接続、FPCとプリント配線板との接続を簡便に行うために使用される接続部材であり、例えば、ノート型パソコンや携帯電話の液晶ディスプレイと制御ICとの接続用として広範に用いられ、最近では、半導体チップを直接プリント基板やフレキシブル配線板に搭載するフリップチップ実装にも用いられている(以下、特許文献1、2、3参照)。
この分野では近年、接続される配線パターンや電極パターンの寸法が益々微細化されている。微細化された配線や電極の幅は10数μmレベルまで微細化される場合もみられる一方、これまで用いられてきた導電粒子の平均粒径は、配線や電極の線幅と同レベルの数μmから10μmレベルの粒子であった。そうすると、接続される電極パターンの寸法が小さくなると、導電粒子がランダムに分散配置されている異方導電性接着フィルムでは、導電粒子の分布に偏差が生じているため、接続すべき電極パターンが導電粒子の存在しない位置に配置されてしまい、電気的に接続されない場合が、確率論として避けられない。
この問題を解決する技術として、粒子を配列する技術が提案されている。表面に散布して、表面に付着した導電粒子を絶縁接着剤の表層中に埋め込む方法(以下、特許文献4参照)や、所定配置された吸引孔を有する導電粒子吸着治具を用いて、導電粒子を配列し絶縁性接着剤に埋め込む方法(以下、特許文献5参照)、延伸を利用して導電粒子を配列し、絶縁性接着剤に埋め込む方法(以下、特許文献6参照)等が開示されているが、折角配列した導電粒子を、接続時の絶縁樹脂の流動に抗して、その配列状態を大きく崩す事無く接続するためには、使用できる電極や接続条件が限られている。これは実用上大きな制約である。これに対して、配列した導電粒子の接続時の流動を抑える微細パターンの接続に対応する技術が開示されている(以下、特許文献7参照)。
一方、本分野では、回路接続部の信頼性を考慮して、接着剤として、エポキシ樹脂系などの熱硬化性接着剤が使用されている。回路接続用の熱硬化性接着剤は、使用するまでは、熱硬化性樹脂と硬化剤が未反応の状態で安定に存在し、使用時には、生産性や回路部材へのダメージを極小化するために低温短時間で硬化することが求められる。この様な貯蔵安定性と硬化性の両立を図るために、熱硬化性接着剤に用いられる硬化剤としては、潜在性硬化剤、中でも高反応性の硬化剤をカプセル膜で被覆したマイクロカプセル型の潜在性硬化剤が一般的に用いられている。一方、熱硬化性接着剤をフィルム状にするには、フィルム形成性高分子を熱硬化性接着剤中に均一に混合してフィルム状に成形する必要があり、フィルム形成性高分子を含む熱硬化性接着剤組成物を溶剤に溶解又は均一分散した塗工液を剥離性基材上に塗布し、加熱により溶剤を除去して製膜する方法が一般的である。ここで、マイクロカプセル型硬化剤も溶剤を含む塗工液中に分散され、更に溶剤を除去するための加熱を受けることになるが、溶剤や塗工液中に含まれる水分との接触や加熱はマイクロカプセル型硬化剤のカプセル膜を膨潤又は破壊し、貯蔵安定性を低下させる要因となるため、各種検討が為されている(以下、特許文献8、9参照)。
しかしながら、従来技術の異方導電性接着フィルムは、益々強く求められる低温短時間硬化性を発現しつつ、高い貯蔵安定性を達成するには未だ至っておらず、その改良が求められている。
特開平03−107888号公報 特開平04−366630号公報 特開昭61−195179号公報 特開2000−151084号公報 特開2002−332461号公報 国際公開公報WO2005/054388号 特開2007−217503号公報 特開平05−295329号公報 特開2000−80146号公報
本発明が解決しようとする課題は、微細パターンの電気的接続において、微小面積の電極の電気的接続性に優れると共に、微細な配線間の絶縁破壊(ショート)が起こりにくく、長期信頼性を与える接続が可能で、かつ、低温短時間硬化性と貯蔵安定性を両立でき、更に基板への貼付性の良好な異方導電性接着フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、塗工液から溶剤を除去するための加熱段階が非常に重要であり、剥離性基材の弾性領域内で延伸しながら加熱して溶剤を除去することで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
延伸しながら溶剤を除去することによって、高活性な硬化剤であっても高い貯蔵安定性が得られ、上記課題が解決できたことは、上記技術水準に鑑みて、当業者にとって予想外の驚くべき発見であった。
即ち、本発明は、下記の通りである。
[1]導電粒子を表面層に単層に配置したバインダー樹脂よりなる導電層と、該導電層の少なくとも片面に絶縁性接着剤を積層した異方導電性接着フィルムの製造方法において、該導電粒子の中心間距離の変動係数は、0.05以上0.5以下であり、該絶縁性接着剤の180℃溶融粘度は、該バインダー樹脂の180℃溶融粘度よりも低く、そして該方法は、以下の工程:
熱硬化性樹脂と、マイクロカプセル型硬化剤と、フィルム形成性高分子とを含有する該絶縁性接着剤を溶剤に溶解又は分散させた塗工液を調製する工程、
剥離性基材上に該塗工液を塗布する工程、
該塗工液が塗布された剥離性基材を、該剥離性基材の弾性領域内で延伸しながら加熱して溶剤を揮散させる製膜工程、
を含むことを特徴とする前記異方導電性接着フィルムの製造方法。
[2]前記導電粒子の中心間距離の平均は、2μm以上20μm以下であり、かつ、前記導電粒子の平均粒径に対して1.5倍以上5倍以下である、請求項1に記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
[3]前記バインダー樹脂の180℃溶融粘度は、50Pa・s以上である、前記[1]又は[2]に記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
[4]前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
[5]前記マイクロカプセル型硬化剤は、該硬化剤の周囲を高分子化合物で被覆した構造を有する、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
[6]前記マイクロカプセル型硬化剤の活性化温度は、60℃以上100℃以下である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
[7]前記塗工液中の水分量は、前記マイクロカプセル型硬化剤に対して、0.5質量%以上10質量%以下である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
[8]前記導電粒子の平均粒径は、0.5μm以上10μm以下である、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
[9]前記製膜工程の加熱温度は、50℃以上90℃以下である、前記[1]〜[9]のいずれかに記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
本発明は、微細パターンの電気的接続において、微小面積の電極の電気的接続性に優れると共に、微細な配線間の絶縁破壊(ショート)が起こりにくく、長期信頼性を与える接続が可能で、かつ、低温短時間硬化性と貯蔵安定性を両立でき、更に、良好な基板への貼付性を有する効果を奏する。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明は、導電粒子を表面層に単層に配置したバインダー樹脂よりなる導電層と、該導電層の少なくとも片面に絶縁性接着剤を積層した異方導電性接着フィルムの製造方法に関する。本発明に用いられる導電層は導電粒子が表面層に単層に配置したバインダー樹脂よりなる。
「表面層に配置した」とは、導電粒子の一部又は全体がバインダー樹脂の表面に埋め込まれている状態を意味する。また、導電粒子の粒径よりもバインダー樹脂を薄くして、バインダー樹脂の上下に導電粒子が露出していても構わない。導電粒子の一部が埋め込まれている場合、導電粒子はその平均粒径に対して1/3以上がバインダー樹脂に埋め込まれていとは、バインダー樹脂からの導電性粒子の脱離が起こり難くくなって接続不良を抑制する効果があるため、好ましい。1/2以上埋め込まれていることがより好ましく、2/3以上埋め込まれていることはさらに好ましい。一方、導電粒子がバインダー樹脂に完全に埋め込まれている場合、導電粒子とバインダー樹脂の表面との間のバインダー樹脂の厚みは、接続のための加圧の際に導電粒子の移動を抑えるために、導電粒子の平均粒径に対して1.0倍以下であることが好ましい。より好ましくは0.8倍以下、更に好ましくは0.5倍以下、より更に好ましくは0.3倍以下、特に好ましくは0.1倍以下である。本発明では、厚み方向の導電性と面方向の絶縁性(以下、「異方導電性」ともいう。)を高レベルで確保するために、導電粒子はバインダー樹脂に単層で配置される。ここで、「単層で配置された」とは、導電粒子の中心高さのバラツキが導電粒子の平均粒径に対して2倍未満であることを意味する。導電粒子の平均粒径に対する中心高さのバラツキは0に近いほど好ましく、より好ましくは1倍以下、更に好ましくは0.8倍以下、より更に好ましくは0.6倍以下である。ここで、導電粒子の中心高さのバラツキとは、バインダー樹脂表面から導電粒子の中心までの距離の標準偏差であり、導電粒子の中心がバインダー樹脂に埋め込まれていない場合は、中心高さはその距離にマイナスをつけた値である。
本発明では、導電粒子がバインダー樹脂の表面層に単層として存在することにより、特に、半導体チップと液晶パネルの接続の様に、接続する電極高さが高いものとほぼ平らなものとの接続において、配列した導電粒子が接続時に大きく移動してしまうことを抑制することが可能となっている。
本発明により製造される異方導電性接着フィルムは、導電粒子が特定の中心間距離で、更にその中心間距離が特定の変動係数を有して配列されることによって、高い異方導電性を有している。すなわち、本発明により製造される異方導電性接着フィルムの導電粒子の中心間距離の平均は、好ましくは2μm以上20μm以下であり、かつ、導電粒子の平均粒径の1.5倍以上5倍以下である、2μm以上の中心間距離でかつ導電粒子の平均粒径の1.5倍以上にすることで、面方向の絶縁性、すなわち、隣接する電極間の絶縁性を高レベルで維持できる。一方、中心間距離を20μm以下でかつ導電粒子の平均粒径の5倍以下にすることで、厚さ方向の導電性、即ち接続電極間の電気的接続性を維持できる導電粒子密度を得ることができるため、異方導電性接着フィルムとして高い性能を発揮することができる。導電粒子の中心間距離の平均は、好ましくは2.5μm以上18μm以下、より好ましくは3μm以上16μm以下、更に好ましくは3.5μm以上15μm以下であり、特に好ましくは4μm以上13μm以下であり、導電粒子の平均粒径に対して、好ましくは1.55倍以上4.6倍以下、より好ましくは1.6倍以上4.3倍以下、更に好ましくは1.65倍以上4.0以下である。
「導電粒子の中心間距離の変動係数」とは、導電粒子の中心間距離の標準偏差をその平均値で割った値であり、本発明においては、0.05以上0.5以下である。好ましくは0.1以上0.4以下、より好ましくは0.11以上0.36以下、更に好ましくは0.12以上0.34以下、より更に好ましくは0.13以上0.32以下、特に好ましくは0.14以上0.3以下である。変動係数を0.05以上にすることで、接続電極間の電気的接続性に悪影響する接続時の導電粒子の流動を起こすことなく、一方、0.5以下とすることで、接続電極間に捕捉される導電粒子数の電極毎のバラツキを小さく抑えることができ、電極毎の接続抵抗のバラツキが小さく、安定した接続が得られる。
本発明に用いられる導電粒子としては、金属粒子、炭素からなる粒子、高分子核材に金属薄膜を被覆した粒子等を用いることができる。
金属粒子としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、錫、鉛、半田、インジウム、パラジウム等の単体や、2種以上のこれらの金属が層状又は傾斜状に組み合わされている粒子が例示される。
高分子核材に金属薄膜を被覆した粒子としては、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ジビニルベンゼン架橋体、NBR、SBR等のポリマーの中から1種又は2種以上組み合わせた高分子核材に、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、錫、鉛、半田、インジウム、パラジウム等の中から1種又は2種以上組み合わせてメッキ等により金属被覆した粒子が例示される。金属薄膜の厚さは0.005μm以上1μm以下の範囲が、接続安定性と粒子の凝集性の観点から好ましい。金属薄膜は均一に被覆されていることが接続安定性上好ましい。これら導電粒子の表面を更に絶縁被覆した粒子も使用することができる。
導電粒子の平均粒径は、0.5μm以上10μm以下の範囲が導電性と絶縁性の両立と粒子の凝集性との観点から好ましい。より好ましくは1μm以上7μm以下、更に好ましくは1.5μm以上6μm以下、より更に好ましくは2μm以上5.5μm以下、特に好ましくは2.5μm以上5μm以下である。上記範囲の平均粒径の導電粒子を用いることで、ICチップや回路基板の電極高さのバラツキや、接続時の平行度のバラツキを吸収し、同時に隣接電極間の粒子滞留による絶縁破壊を抑制することができる。
導電粒子の粒子径の標準偏差は小さいほど好ましく、平均粒径の50%以下が好ましく、より好ましくは20%以下、更に好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下である。導電粒子の粒径は、コールターカウンターを用いて測定することができる。
導電粒子の含有量は、本発明の異方導電性接着フィルムに対して0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、より好ましくは0.13質量%以上25質量%以下、更に好ましくは0.15質量%以上20質量%以下、より更に好ましくは0.2質量%以上15質量%以下、特に好ましくは0.25質量%以上10質量%以下である。導電粒子の含有量が0.1質量%以上30質量%以下の領域では、対向する電極間の導電性と隣接する電極間の絶縁性が両立し易い。
本発明に用いるバインダー樹脂は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂から選ばれる1種利以上の樹脂を含有する。これらの樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、SBR、SBS、NBR、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリエーテルテレフタレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルオキシド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリイソブチレン樹脂、アルキルフェノール樹脂、スチレンブタジエン樹脂、カルボキシル変性ニトリル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、それらの変性樹脂が挙げられる。特に接続後の長期信頼性を必要とする場合には、エポキシ樹脂を含有することが好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エーテル型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環族エポキサイド等が挙げられ、これらのエポキシ樹脂はハロゲン化や水素添加されていてもよく、また、ウレタン変性、ゴム変性、シリコーン変性等の変性されたエポキシ樹脂でもよい。
バインダー樹脂にエポキシ樹脂が含有される場合、エポキシ樹脂用の硬化剤を含有することが好ましい。エポキシ樹脂用の硬化剤は、貯蔵安定性の観点から、潜在性硬化剤が好ましい。潜在性硬化剤としては、ホウ素化合物、ヒドラジド、3級アミン、イミダゾール、ジシアンジアミド、無機酸、カルボン酸無水物、チオール、イソシアネート、ホウ素錯塩及びそれらの誘導体等の硬化剤が好ましい。潜在性硬化剤の中でも、マイクロカプセル型の硬化剤が好ましい。マイクロカプセル型硬化剤は、エポキシ樹脂用の硬化剤の表面を樹脂皮膜等で安定化したもので、接続作業時の温度や圧力で樹脂皮膜が破壊され、硬化剤がマイクロカプセル外に拡散し、エポキシ樹脂と反応する。マイクロカプセル型潜在性硬化剤の中でも、アミンアダクト、イミダゾールアダクト等のアダクト型硬化剤をマイクロカプセル化した潜在性硬化剤が安定性と硬化性のバランスに優れ好ましい。これらエポキシ樹脂用の硬化剤は一般に、エポキシ樹脂100質量部に対して、0〜100質量部の量で用いられる。
本発明に用いるバインダー樹脂は、接続時に導電粒子が移動して、接続電極間に捕捉される導電粒子数が減少することを抑制するために、接続条件下において、流動性の低い特性を有することが求められ、更に、長期接続信頼性を加味すると、フェノキシ樹脂を含有することが好ましい。
フェノキシ樹脂としては、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールAビスフェノールF混合型フェノキシ樹脂、ビスフェノールAビスフェノールS混合型フェノキシ樹脂、フルオレン環含有フェノキシ樹脂、カプロラクトン変性ビスフェノールA型フェノキシ樹脂等が例示される。フェノキシ樹脂の重量平均分子量は2万以上10万未満であることが好ましい。
本発明に用いるバインダー樹脂としてはフェノキシ樹脂とエポキシ樹脂とを併用することが好ましく、その場合、フェノキシ樹脂の使用量は、バインダー樹脂全体に対して50質量%以上で用いることが好ましく、より好ましくは、55質量%以上95質量%以下、更に好ましくは60質量%以上90質量%以下である。
バインダー樹脂には、さらに、絶縁粒子、充填剤、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤、カップリング剤等を含有することもできる。絶縁粒子や充填剤を含有する場合、これらの最大径は導電粒子の平均粒径未満であることが好ましい。カップリング剤としては、ケチミン基、ビニル基、アクリル基、アミノ基、エポキシ基及びイソシアネート基含有シランカップリング剤が、接着性の向上の点から好ましい。
バインダー樹脂の各成分を混合する場合、必要に応じ、溶剤を用いることができる。溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等が挙げられる。
バインダー樹脂の製造は、例えば、各成分を溶剤中で混合、塗工液を作成し、基材上にアプリケーター塗装等により塗工、オーブン中で溶剤を揮発させる事で製造できる。
バインダー樹脂が熱硬化性樹脂とマイクロカプセル型硬化剤を含む場合は、溶剤を揮発させる時に基材の弾性領域内で延伸しながら加熱することが好ましい。
バインダー樹脂は接続時に導電粒子の流動を抑制する働きがあるため、接続条件下において、流動性が低い必要があり、180℃での溶融粘度(以下、「180℃溶融粘度」ともいう。)は50Pa・s以上であることが好ましく、より好ましくは、65Pa・s以上2万Pa・s以下、更に好ましくは80Pa・s以上1万Pa・s以下である。溶融粘度が高くなり過ぎると、バインダー層に導電粒子を埋め込む際に、高い温度が必要となり、製造の難易度が高くなる。
尚、バインダー樹脂が熱硬化性樹脂の場合、その溶融粘度はバインダー樹脂から硬化剤を除去した状態又は硬化剤が未配合の状態での溶融粘度を指す。
バインダー樹脂の膜厚は導電粒子の平均粒径と同等あるいはそれ未満であることが好ましく、より好ましくは、導電粒子の平均粒径の10%以上200%以下、更に好ましくは20%以上170%以下、特に好ましくは25%以上140%以下である。
バインダー樹脂の膜厚は、低い接続抵抗を得易いため、導電粒子の平均粒径未満であることが好ましく、その場合、膜の上下に実質的に導電粒子が露出していることが低い接続抵抗を得る上で更に好ましい。
本発明に用いる絶縁性接着剤は、熱硬化性樹脂、マイクロカプセル型硬化剤、及びフィルム形成性高分子を含有する。
熱硬化性樹脂としては、加熱によりマイクロカプセル型硬化剤と反応して架橋する樹脂が用いられる。この様な熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリレート、ウレタン樹脂等が用いられる。それぞれの熱硬化性樹脂には、それに適したマイクロカプセル型硬化剤が用いられ、例えば、分子末端に反応性二重結合を有するアクリレートであれば、マイクロカプセル型硬化剤としては、加熱によってラジカルを発生する様な過酸化物等の硬化剤の周囲をカプセル膜で被覆したマイクロカプセル型硬化剤等が用いられる。
本発明においては、接続信頼性の高さから、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エーテル型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環族エポキサイド等があり、これらエポキシ樹脂はウレタン変性、ゴム変性、シリコーン変性等の変性されたエポキシ樹脂でもよい。グリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂がより好ましい。
マイクロカプセル型硬化剤としては、ホウ素化合物、ヒドラジド類、アミン類、イミダゾール類、ジシアンジアミド、カルボン酸無水物、チオール類、イソシアネート化合物、ホウ素錯塩、尿素化合物、メラミン化合物、それらの誘導体等の硬化剤を用いることができる。熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂の場合、アミンアダクト、イミダゾールアダクト等のアダクト型硬化剤が安定性と硬化性のバランスが優れており好ましい。アダクト型硬化剤は、アミン類やイミダゾール類と、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、尿素化合物等との反応により得られる。マイクロカプセル型硬化剤は、前記硬化剤の表面をカプセル膜で被覆し安定化したもので、接続作業時の温度や圧力でカプセル膜が破壊され、硬化剤がマイクロカプセル外に拡散し、熱硬化性樹脂と反応する。
カプセル膜としては、室温での安定性と低温加熱による活性発現のバランス、すなわち、潜在性が高いので、高分子化合物が好ましい。カプセル膜として用いられる高分子化合物としては、例えば、ポリウレタン化合物、ポリウレタンウレア化合物、ポリウレア化合物、ポリビニル化合物やメラミン化合物、エポキシ樹脂、フェノール樹脂から得られる高分子化合物が例示される。
マイクロカプセル型硬化剤は、微粉末状の硬化剤の表面をカプセル膜で被覆した構造が好ましく、その平均粒子径は0.2μm以上8μm以下が好ましい。平均粒子径が0.2μm未満では、硬化剤に対するカプセル膜の比率が大きくなり、硬化剤としての効率が低下する。一方、平均粒子径が8μmを超えると不均一な硬化物となりやすい。マイクロカプセル型硬化剤の平均粒子径は、0.5μm以上6μm以下であることが、塗工液中に分散する時に2次凝集や沈降が起こりにくいため、より好ましく、1μm以上4μm以下であることが、異方導電接着フィルムの表面異物の発生が少ないため、更に、好ましい。
マイクロカプセル型硬化剤の平均粒子径の測定方法としては、コールターカウンターを用いる方法が挙げられる。
マイクロカプセル型硬化剤の活性化温度は、異方導電性接着フィルムの硬化性に大きく影響する因子であり、低温短時間で性能発現するためには、活性化温度は低い方が好ましい。一方、異方導電接着フィルムの製造時に熱硬化性樹脂とマイクロカプセル型硬化剤が反応することを防止するために、異方導電性接着フィルムの製膜時の加熱温度はマイクロカプセル型硬化材の活性化温度未満であることが好ましい。マイクロカプセル型硬化材の活性化温度は貯蔵安定性を確保するために、溶剤が充分揮発できる温度以上が好ましい。マイクロカプセル型硬化剤の活性化温度は、好ましくは60℃以上100℃以下であり、より好ましくは70℃以上90℃以下である。
本明細書中、「マイクロカプセル型硬化剤の活性化温度」とは、マイクロカプセル型硬化剤と熱硬化性樹脂を質量比1対2で混合した組成物のゲルタイムが、5分間となる温度と定義し、例えば、70℃のゲルタイムが5分を超えていて、80℃のゲルタイムが5分未満の場合、活性化温度は70℃より高く80℃以下である。尚、ここで用いる熱硬化性樹脂は、絶縁性接着剤に用いられる熱硬化性樹脂であって、絶縁性接着剤中の熱硬化性樹脂を、硬化性の観点で、代表するものを用いる必要がある。
マイクロカプセル型硬化剤は、熱硬化性樹脂の高い硬化率を得るために、熱硬化性樹脂100質量部に対して、5〜60質量部で用いるのが好ましく、より好ましくは10〜50質量部であり、更に好ましくは20〜40質量部であり、これにより、硬化物の吸水率を低く抑えることができる。
絶縁性接着剤に用いられるフィルム形成性高分子としては、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ナイロン、スチレン−イソプレン共重合体、ポリメチルメタクリレート樹脂が例示される。異方導電接着フィルムが常態としてフィルム状であるために、フィルム形成性高分子のガラス転移温度は室温以上であることが必要であり、好ましくはガラス転移温度が50℃以上であり、より好ましくは60℃以上であり、更に好ましくは70℃以上であり、これにより異方導電性接着フィルムのブロッキング性を大きく抑制できる。フィルム形成性高分子の重量平均分子量は5,000以上が好ましく、より好ましくは10,000以上800,000以下であり、更に好ましくは20,000以上500,000以下である。これにより絶縁性接着剤中で均一に存在しやすく、また、異方導電性接着フィルムの硬化物としたときに強い機械的強度が発現する。
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、フィルム形成性高分子としては、エポキシ樹脂との相溶性が高いフェノキシ樹脂が好ましい。ここで用いられるフェノキシ樹脂としては、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールAビスフェノールF混合型フェノキシ樹脂、ビスフェノールAビスフェノールS混合型フェノキシ樹脂、フルオレン環含有フェノキシ樹脂、カプロラクトン変性ビスフェノールA型フェノキシ樹脂等が例示される。フィルム形成性高分子の含有量は、熱硬化性樹脂に対して10〜200質量%であることが好ましい。
絶縁性接着剤には、異方導電性接着フィルムの硬化時や使用環境下における熱ストレスすなわち、被接着体との線膨張係数差による応力による接着性や接続信頼性の低下を抑制するために、絶縁性フィラーを含有することが好ましい。絶縁性フィラーとしては、例えば、溶融シリカ、結晶質シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化チタン等の粉体が挙げられる。絶縁性フィラーの平均粒径は、コールターカウンターを用いて測定することができる。絶縁性フィラーの平均粒径は、熱ストレスによる接続信頼性の低下抑制効果を十分に発揮するために0.01μm以上であることが好ましく、接続端子間の電気抵抗を低く抑えるため、5μm以下であり、かつ、導電粒子よりも粒径が小さいことが好ましい。絶縁性フィラーの平均粒径は、より好ましくは0.05μm以上3μm以下であり、更に好ましくは0.1μm以上2μm以下である。これにより塗工液中で凝集や沈降を抑制することができる。
絶縁性フィラーの添加量は、熱ストレスによる接続信頼性の低下抑制効果を十分に発揮し、同時に異方導電性接着フィルムの硬化物としての機械的強度を高く保つために、熱硬化性樹脂に対して5質量%以上200質量%以下で用いることが好ましく、より好ましくは、20質量%以上150質量%以下、更に好ましくは30質量%以上120質量%以下で用いる。
絶縁性接着剤には、接着性や硬化時の応力緩和性を付与する目的で、ポリエステル樹脂、アクリルゴム、SBR、NBR、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアセタール樹脂、尿素樹脂、キシレン樹脂、カルボキシル基、ヒドロシキシル基、ビニル基、アミノ基などの官能基を含有するゴム、エラストマー類等の弾性高分子を含有することが好ましい。これら弾性高分子は分子量が10,000〜3,000,000のものが好ましい。弾性高分子成分の含有量は、熱硬化性樹脂に対して2〜80質量%が好ましい。
絶縁性接着剤には、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤等をさらに含有させることができる。接着性の観点からカップリング剤を含有することが好ましい。カップリング剤としてはケチミン基、ビニル基、アクリル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基を含有するシランカップリング剤が、接着性の向上の観点から好ましい。
絶縁性接着剤は接続時に流動して接続領域を封止する働きがあるため、接続条件下において、流動性が高い必要がある。流動性の高さは、バインダー樹脂の流動性との相対値が重要であり、本発明においては、絶縁性接着剤の180℃溶融粘度は、バインダー樹脂の180℃溶融粘度よりも低い必要がある。絶縁性接着剤の該溶融粘度は、好ましくは、バインダー樹脂の該溶融粘度の50%以下であり、より好ましくは25%以下であり、更に好ましくは15%以下であり、特に好ましくは10%以下である。
絶縁性接着剤の180℃溶融粘度の好ましい範囲は、1Pa・s以上100Pa・s未満であり、より好ましくは2Pa・s以上50Pa・s以下、更に好ましくは4Pa・s以上30Pa・s以下である。溶融粘度が高すぎると接続時に高い圧力が必要となり、一方、溶融粘度が低い場合、使用前の変形を抑えるために低温で貯蔵する必要が発生する。
尚、絶縁性接着剤が熱硬化性樹脂である場合、その溶融粘度は絶縁性接着剤から硬化剤を除去した状態又は硬化剤が未配合の状態での溶融粘度を指す。
絶縁性接着剤は導電層の片面のみに形成しても構わないし、両面に形成しても構わない。導電層の両面に積層する場合、それぞれの面の絶縁性接着剤は同じでもよいし、異なっていてもよい。異なっている方が、被接続部材にあった配合にできる一方で、2種類の配合を用意する必要性が生じる。
絶縁性接着剤を導電層の両面に形成する場合、接続時の加圧による導電粒子の移動を抑えるため、導電粒子は異方導電性接着フィルムの片側の表面からあまり内部に入らないことが好ましく、導電粒子の中心位置が異方導電性接着フィルムの片側の表面から導電粒子の平均粒径の2.0倍以下に位置することが好ましく、より好ましくは1.5倍以下、更に好ましくは1.0倍以下、特に好ましくは0.8倍以下である。一方、0.5倍以下では導電粒子は異方導電性接着フィルムから露出していることになり、露出する量が多くなると、異方導電性接着フィルムの貼り付け性が低下したり、導電粒子の欠落の原因となったりするため、0.1倍以上が好ましく、より好ましくは0.2倍以上であり、更に好ましくは0.3倍以上である。
導電層の膜厚は合計で4μm以上50μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以上30μm以下、更に好ましくは6μm以上25μm以下、特に好ましくは7μm以上22μm以下である。
絶縁性接着剤の膜厚の合計は、バインダー樹脂の膜厚の2倍以上100倍以下であることが好ましく、より好ましくは3倍以上75倍以下、更に好ましくは4倍以上50倍以下、特に好ましくは5倍以上30倍以下である。
本発明においては、絶縁性接着剤中の各成分が均一でかつ膜厚バラツキの少ない絶縁性接着剤とするために、絶縁性接着剤を溶剤に溶解又は分散して、塗工液とする。絶縁性接着剤が溶剤中に均一に溶解又は分散するためには、本発明に用いる溶剤は、絶縁性接着剤の各成分の溶解性又は分散性が高いことが求められる。また、絶縁性接着剤の安定性を確保するために、溶剤はマイクロカプセル型硬化剤のカプセル膜を溶解しないことが求められる。その様な溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等が挙げられる。複数の溶剤を併用することもできる。
溶剤の使用量は、塗工液が塗工に適した粘度となる様に、決定する。塗工液は25℃の粘度が、100mPa・s以上20000mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは300mPa・s以上15000mPa・s以下、更に一層好ましくは400mPa・s以上10000mPa・s以下である。
塗工液中の水分は、生産性の観点から、0.5質量%以上であることが好ましく、一方、マイクロカプセル型硬化剤の安定性を高く保つために、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下がより好ましい。本発明では、剥離性基材上に塗工液が塗布される。剥離性基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、PET、PEN等のポリエステル、ナイロン、塩化ビニール、ポリビニルアルコール等のフィルムが例示される。厚みの安定性、耐溶剤性、経済性の観点から剥離性基材としては、ポリプロピレン、PET等が好ましい。該剥離性基材はフッ素処理、シリコーン処理、アルキド処理等の表面処理を行っていることが好ましい。剥離性基材の厚みは30μm以上100μm以下が塗工作業時のハンドリング性と厚みの安定性が優れるために、好ましい。
剥離性基材の弾性領域は、剥離性基材のストレス−ストレインカーブ(以下、「SSカーブ」ともいう。)において降伏点以内のひずみ領域を意味する。降伏点を有さない場合、本発明においては、SSカーブが直線領域から外れる変極点を降伏点とする。剥離性基材の70℃における降伏応力は、延伸条件幅が広く取れるので高い方が好ましく、1MPa以上であることが好ましく、より好ましくは2MPa以上であり、更に好ましくは3MPa以上である。
剥離性基材の70℃のヤング率は、延伸装置の剛性と延伸安定性を両立するために、1MPa以上10GPa以下であることが好ましく、より好ましくは3MPa以上5GPa以下、更に好ましくは5MPa以上3GPa以下である。
以下、本発明の異方導電性接着フィルムの製造方法について説明する。
本発明の絶縁性接着剤の製造は、塗工液を調製する工程、剥離性基材上に塗工液を塗布する工程、加熱により製膜する製膜工程を含む。
塗工液を調製する工程は、溶剤に絶縁性接着剤の各成分を溶解又は均一分散させる。絶縁性接着剤の各成分は同時に混合されても構わないが、フィルム形成性高分子を先に溶剤に溶解したのち、マイクロカプセル型硬化剤を均一分散すると、フィルム形成性高分子の溶け残りが少なく、貯蔵安定性が高い絶縁性接着剤が得られ好ましい。塗工液を製造する工程は、10℃以上100℃以下で実施するのが好ましい。
剥離性基材上に塗工液を塗布する工程は、バーコーター、ブレードコーター、ロールコータ−、ダイコーター、グラビアコーター等を用いる方法により塗工することができる。
製膜工程においては、塗工液が塗布された剥離性基材を、該剥離性基材の弾性領域内で延伸しながら加熱して溶剤を揮散させて製膜する。
加熱の方法としては、ドライヤー内に熱風を供給する方法や、赤外線等の熱線を照射する方法、加熱ロールによって剥離性基材側から熱を供給する方法等が挙げられる。揮発した溶剤が系外に抜けやすく、溶剤の揮散効率が高いので熱風を用いる方法が好ましい。
加熱の温度は、溶剤の揮散効率を高め、短時間に製膜させるためには高い方が好ましく、熱硬化性樹脂とマイクロカプセル型硬化剤とを反応させないためには、マイクロカプセル型硬化剤の活性化温度以下であることが好ましい。製膜工程の加熱温度としては、50℃以上90℃以下が好ましく、より好ましくは60℃以上80℃以下である。
加熱時間は3分間以上20分間以内であることが好ましい。残存する溶剤を除去し、絶縁性接着剤の貯蔵安定性を向上させる点から、3分間以上が好ましく、一方、製膜工程で熱硬化性樹脂とマイクロカプセル型硬化剤との反応を防ぎ、同時に絶縁性接着剤の貯蔵安定性を向上させる点から、20分間以内であることが好ましく、より好ましくは5分間以上15分間以内である。
製膜工程において塗工液を塗布した剥離性基材が延伸される。製膜工程においては、マイクロカプセル型硬化剤の活性化温度近くまで加熱されて、溶剤が揮散されるが、この時に、マイクロカプセル型硬化剤の活性化を促進する様な外部刺激が加わると熱硬化性樹脂とマイクロカプセル型硬化剤の反応が開始し、絶縁性接着剤の貯蔵安定性が低下する。外部刺激としては、製膜工程で用いられる熱風によりフィルムが振動することで起こるマイクロカプセル型硬化剤同士又はマイクロカプセル型硬化剤と絶縁性フィラーとの接触による衝撃や水分との接触等が挙げられる。本発明においては、製膜工程において塗工液を塗布した剥離性基材が延伸される。延伸時の張力によって熱風によるフィルムの振動を抑える、すなわち、外部刺激を低減することによって、絶縁性接着剤の貯蔵安定性の低下を回避することができる。更に、剥離性基材の弾性領域内で延伸することで、溶剤の揮散効率が高められると共に、上記外部刺激になり得る水分が系外に速やかに揮散される結果として、絶縁性接着剤の貯蔵安定性の低下が抑制される。
延伸時に加える張力は、剥離性基材が弾性領域内の変形量である必要があり、好ましくは、剥離性基材断面積当たり0.3MPa以上200MPa以下であることが好ましい。貯蔵安定性を高く保つ効果を得るためには、張力は、0.3MPa以上であることが好ましく、一方、得られる絶縁性接着剤の膜厚ムラ抑制の観点から、200MPa以下であることが好ましい。該張力は、より好ましくは、断面積当たり0.5MPa以上100MPa以下であり、より好ましくは1MPa以上50MPa以下であり、これにより表面平滑性が高く、被着体に貼り付ける時の貼付性に優れた絶縁性接着剤を得ることができる。
製膜工程における剥離性基材の延伸は、一方向の延伸でも二方向の延伸でも構わない。延伸における剥離性基材の伸び率は0.1%以上20%以下であることが好ましい。貯蔵安定性を高く保つ効果を得るために、該伸び率は、0.1%以上であることが好ましく、一方、膜厚ムラの抑制、貼付性の観点から20%以下であることが好ましく、より好ましくは0.2%以上15%以下である。
本発明の導電層の製造法は、例えば、下記の通りである。
まず、単層で配列した導電粒子を粘着剤でシート上に固定した導電粒子の配列シートを製造する。配列シートを製造するには、例えば、延伸可能なシート上に粘着剤を好ましくは、導電粒子の平均粒径以下の膜厚になる様に塗布し、その上に導電粒子を充填する。その後粘着剤層に到達していない導電粒子をエアーブロー等により排除することで導電粒子が密に充填された単層の導電粒子層が形成される。必要に応じ、単層に配置した導電粒子は粘着剤に埋め込まれる。このときの全面積に対する導電粒子の投影面積の割合で定義される充填率は、好ましくは60%以上90%以下であり、より好ましくは65%以上88%以下、更に好ましくは68%以上85%以下である。充填率は本発明において重要な因子である導電粒子の中心間距離の変動係数に大きく影響する。
次いで、得られた導電粒子が固定されたシートを、所望の延伸倍率で延伸することで、個々の導電粒子が、本発明に必要な変動係数をもって、所望の中心間距離となる様に配置された導電粒子の配列シートを得る。
延伸可能なシートとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、PET、PEN等のポリエステル、ナイロン、塩化ビニル、ポリビニルアルコール等のシーオが例示される。粘着剤としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル、クロロプレン等が例示される。
延伸は縦方向延伸と横方向延伸の両方が行われる、所謂、2軸延伸であり、公知の方法で実施することができる。例えば、クリップ等でフィルムの2辺又は4辺を挟んで引っ張る方法や、2本以上のロールで挟んでロールの回転速度を変えることで延伸する方法等が挙げられる。延伸は縦方向と横方向を同時に延伸する同時二軸延伸でもよいし、一方向を延伸した後、他方を延伸する逐次二軸延伸でもよい。延伸時の導電粒子の配列乱れを起こし難いので同時二軸延伸が好ましい。延伸を高い精度で行うためには、延伸可能なフィルムを軟化させて行うのが好ましく、使用する延伸可能なシートによるが、例えば、70℃以上250℃以下で延伸を行うのが好ましく、より好ましくは75℃以上200℃以下であり、更に好ましくは80℃以上160℃以下であり、特に好ましくは85℃以上145℃未満である。延伸温度が高すぎると粘着剤の粘着力が低下し、導電粒子の配列が乱れてしまい、導電粒子の中心間距離の変動係数が大きくなってしまう。
次いで、配列シートの導電粒子側に、バインダー樹脂を重ね、バインダー樹脂に導電粒子を埋め込む。埋め込む方法としては、例えば、フィルム状のバインダー樹脂を、配列シートの導電粒子側に重ねてラミネートし、熱ロール等を用いて導電粒子を埋め込む方法が挙げられる。配列シートの延伸可能なシートと粘着剤はバインダーに埋め込まれた導電粒子から剥離される。
本発明において、導電粒子の埋め込みは、極力低温で実施することが好ましい。特にバインダー樹脂又は絶縁性接着剤が潜在性硬化剤を含む熱硬化性樹脂である場合、高い温度で埋め込むと、硬化反応の進行を抑制するために低温貯蔵が必要となる。一方、温度が低ければ、バインダー樹脂の粘度が高いために埋めこみは困難となる。したがって、導電粒子の埋め込み温度は、35℃以上120℃以下であることが好ましく、より好ましくは40℃以上100℃以下、更に好ましくは45℃以上80℃以下である。
バインダー樹脂に導電粒子を埋め込む場合、延伸可能なシートと粘着剤を導電粒子が埋め込まれたバインダー樹脂から剥離した後に、弾性率の高いフィルムを導電粒子側に重ねて、熱ロール等を用いて更に導電粒子をバインダー樹脂内に埋め込むことが好ましい。弾性率が高いフィルムとしては、例えば、アラミドフィルム等が例示される。
導電粒子のバインダー樹脂への埋め込みが不十分の場合、導電粒子が使用前にバインダー樹脂から欠落し、接続不良の原因となる。
導電層と絶縁性接着剤は熱ロール等を用いてラミネートする事で異方導電性接着フィルムが得られる。
バインダー樹脂は、導電粒子を埋め込む面と反対の面に先に絶縁性接着剤を貼り合わせておいてもよいし、導電粒子を埋め込んだ後に、導電粒子を埋め込んだ面と反対のバインダー樹脂面に絶縁性接着剤をラミネート等で貼り合わせてもよい。必要に応じ、導電粒子が埋め込まれたバインダー樹脂面に別の絶縁性接着剤をラミネートする。
本発明の方法により得られる異方導電性接着フィルムの膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましい。表面の異常抑制の観点から、該膜厚は、5μm以上が好ましく、一方、異方導電性接着フィルムの貯蔵安定性の観点から、50μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以上30μm以下である。
本発明の方法により得られる異方導電性接着フィルムに残存する溶剤は、貯蔵安定性を低下させる要因になり得るので、少ないほど好ましい。該残存溶剤は、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは、0.7質量%以下であり、更に好ましくは0.5質量%以下である。
本発明の方法により得られる異方導電性接着フィルムは、所望の幅にスリットされ、リール状に巻き取られてもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
<溶融粘度測定>
HAAKE社製、RHeoStress600 Theremoを用い、20mm径のコーン(PP20H)を用いて180℃で測定した。
<水分の測定>
ダイアインスツルメンツ社製カールフィッシャー水分計CA−100型を使用して測定した。
<ゲルタイムの測定>
(株)テイ・エスエンジニアリング社製のキュラストメーターV型を使用し、JIS K6300に準拠して求めた。
<ヤング率と降伏応力の測定>
INS(登録商標)TRON社製万能材料試験機5581を用い、試験速度:50mm/分、チャック間距離50mm、試験片幅25mmの条件でJIS K7161に準拠して求めた。
<膜厚測定>
(株)ニコン製デジマイクロMH−15Mを用いて測定し、測定数25箇所の平均値を膜厚とした。
<接続抵抗測定>
日置電機(株)製3541RESISTANCE HiTESTERを用いて、接続端子間の接続抵抗を四端子法で測定した。
[実施例1]
フェノキシ樹脂(InChem社製、商品名:PKHC)100質量部、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:AER2603)60質量部、2−フェニルイミダゾール(四国化成工業製、商品名:2PZ)5質量部、シランカップリング剤(信越化学工業製、商品名KBM−403)0.25質量部、メチルエチルケトン300質量部を混合し、バインダーワニスを得た。このバインダーワニスを離型処理した50μmのPETフィルム製剥離シート上にブレードコーターを用いて塗布、溶剤を乾燥除去して、膜厚4μmのフィルム状のバインダー樹脂Aを得た。別途2−フェニルイミダゾールのみを含有しないで配合して同様に作成したバインダー樹脂の溶融粘度を測定、バインダー樹脂Aの180℃溶融粘度は、78.4Pa・sであった。
100μm無延伸共重合ポリプロピレンフィルム上にブレードコーターを用いて酢酸エチルで樹脂分5質量%に希釈したアクリルポリマーを塗布、80℃で10分間乾燥し、厚さ2μmの粘着剤層を形成した。ここで用いたアクリルポリマーは、アクリル酸メチル62質量部、アクリル酸−2−エチルヘキシル30.6質量部、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル7質量部を酢酸エチル233質量部中で、アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部を開始剤とし、窒素ガス気流中65℃で8時間重合して得られた重量平均分子量が95万のものである。尚、重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフ法(GPC)により測定した。
この粘着剤上に、平均粒径3μmの導電粒子を一面に充填し、エアーブローにより粘着剤に到達していない導電粒子を排除した。その結果、充填率が82%の単層導電粒子層が形成された。ここで導電粒子はジビニルベンゼン系樹脂をコアとし、その表層に無電解メッキで0.07μmのニッケル層を形成し、更に電気メッキで0.04μmの金層を形成した、長軸に対する短軸の比が0.95、粒径の標準偏差が0.2μmのものを用いた。
次に、この導電粒子が粘着剤によって固定されたポリプロピレンフィルムを、試験用二軸延伸装置を用いて、135℃で、縦横共に10%/秒の比率で2.5倍まで延伸し、徐々に室温まで冷却し、配列シートAを得た。
フェノキシ樹脂(InChem社製、商品名:PKHC、以下同じ)100質量部、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:AER2603、以下同じ)100質量部、シランカップリング剤(信越化学工業製、商品名:KBM−403、以下同じ)1.0質量部を酢酸エチル400質量部に溶解し、それに硬化剤として、マイクロカプセル型硬化剤と液状エポキシ樹脂の質量比1:2の混合物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:ノバキュアHX−3932HP、活性化温度90℃、以下同じ)100質量部を混合し、更に、平均粒径1μmの球状シリカ粒子(比重1.82)20質量部を略均一分散し、塗工液Aを得た。
尚、ここで用いた酢酸エチル以外の原材料は、50℃で24時間、真空乾燥を行ったものを使用した。酢酸エチルは1週間モレキュラーシーブス3Aを浸漬し、脱水処理したものを用いた。塗工液A中の水分量は、マイクロカプセル型硬化剤に対して9.6質量%であった。
剥離性基材としてシリコーン系剥離処理を施した80μm厚の無延伸共重合ポリプロピレンフィルム(製膜温度の70℃でのヤング率と降伏応力は、それぞれ、27MPaと5MPa)を準備し、剥離処理面側に塗工液Aを、ブレードコーターを用いて塗布した。ここで得た塗工フィルムを、手動式延伸機を用いて、製膜温度での剥離性基材の伸び率が15%となる張力で一軸方向に引張りながら、熱風循環式の乾燥機で70℃(製膜温度)、10分間加熱し、溶剤を揮散させて製膜を行い、絶縁性接着剤Aを得た。絶縁性接着剤Aの膜厚は25μmであった。上記と同様な手法で膜厚違いの絶縁性接着剤Bを得た。絶縁性接着剤Bの膜厚は1μmであった。
配列シートAの導電粒子側にバインダー樹脂Aを重ね、55℃、0.3MPaの条件でラミネートを行い、導電層Aを得た。導電粒子を埋め込んだ面と反対のバインダー樹脂に積層されていた剥離シートを剥離した後、導電粒子を埋め込んだ面と反対のバインダー樹脂面に絶縁性接着剤Aを重ねて、同じ条件でラミネートを行った。次に配列シートAのポリプレンフィルムと粘着剤を、導電粒子を埋め込んだバインダー樹脂面から剥離した。その一部をサンプリングして、レーザー顕微鏡(キーエンス社製、商品名VK−9500、以下同じ)を用いて導電粒子の埋め込み深さを観察した所、導電粒子が2.25μmバインダー樹脂から露出しており、ハンドリング途中に粒子の欠落が観察された。
次に、導電粒子が埋め込まれたバインダー樹脂面に、16μmのアラミドフィルム(帝人社製、商品名アラミカ、弾性率15Gpa)を離型剤で処理したフィルムを重ねて、60℃、1.0Mpaの条件で熱ロールによる導電粒子の埋め込みを実施後、アラミドフィルムを剥離して、その面に絶縁性接着剤Bを上記と同様な条件でラミネートし、異方導電性接着フィルムAを得た。
得られた異方導電性接着フィルムAの導電粒子の埋め込み深さを測定した所、バインダー樹脂からの露出は平均0.1μmであり、その埋め込み深さは導電粒子の平均粒径の97%に相当した。また、露出量より算出される、導電粒子の中心高さのバラツキは0.5μm未満であった。更に、異方導電性接着フィルムAをマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、商品名:VHX−100、以下同じ)で観察した結果、バインダー樹脂Aの表面層に導電粒子が単層で配置され、またマイクロスコープで得られた画像から、画像処理ソフト(旭化成株式会社製、商品名:A像くん、以下同じ)を用いて、導電粒子の中心間距離の平均値およびその変動係数を求めた結果、平均値が8.3μm、変動係数が0.17であった。尚、導電粒子の中心間距離は、各粒子の中心点を用いたデローニ三角分割でできる三角形の辺の長さを使用し、導電粒子の観察は0.06mm内の粒子について行った。
次に、25μm×100μmの金バンプがピッチ50μmで並んだ1.5mm×16.1mmのICチップと、これに対応した接続ピッチを有するITO配線(0.14μm)上にクロム配線(0.3μm)を形成した厚み0.7mmのガラス基板を3組準備し、ガラス基板のICチップ接続位置を覆う様に、2mm×20mmの異方導電性接着フィルムAを貼り付けた。次に、70℃、0.5MPa、2秒間の条件で熱圧着し、剥離性基材を剥離した。3組とも剥離性基材を剥離することができ、貼付性は良好であった。異方導電性接着フィルムAを貼り付けたガラス基板と、ICチップをフリップチップボンダー(東レエンジニアリング株式会社製FC2000)を用いて位置合わせをし、2秒後に180℃に到達し、その後一定温度となる条件で4MPa、10秒間加熱加圧し、ICチップをガラス基板に接続した。
ICチップとガラス基板からは、4端子接続抵抗が5箇所測定でき、3組×5箇所(計15箇所)の接続抵抗の平均値は11.3Ωであり、安定に接続されていた。更に、85℃、相対湿度85%の環境下で1,000時間放置後、同様に接続抵抗を測定した結果、接続抵抗の平均値は15.1Ωであり、優れた接続信頼性を有していた。
ICチップとガラス基板からは、20対の櫛を有する櫛形電極が形成され、絶縁抵抗測定を行った。櫛形電極の絶縁抵抗は10Ω以上であり、隣接電極間でショートの発生はなかった。更に、85℃、相対湿度85%の環境下で1,000時間放置後、同様に接続抵抗を測定した結果、絶縁抵抗は10Ω以上であり、優れた接続信頼性を有していた。
次に、5℃で6か月貯蔵した異方導電性接着フィルムAを用いて、上記と同様に貼付性と接続抵抗測定、絶縁抵抗測定、1000時間後の接続抵抗と絶縁抵抗測定を行った。貼付性は良好であり、接続抵抗は15.4Ω、1,000時間後の接続抵抗は17.1Ωであり、絶縁接続抵抗は10Ω以上であり、1,000時間後の絶縁接続抵抗は10Ω以上であり、異方導電性接着フィルムAは高い貯蔵安定性を有していた。
[実施例2〜7]
以下の表1に示す配合量と製造条件で、実施例1と同様にして、絶縁性接着剤を作成し、実施例1と同様に、導電層Aを絶縁性接着剤とラミネートして異方導電性接着フィルムを製造した。実施例1と同様に、絶縁性接着剤の塗工液の水分量、異方導電性接着剤フィルムの貼付性、接続抵抗測定、貯蔵安定性を評価した。得られた結果を以下の表1に示す。尚、実施例1と同様に、絶縁抵抗測定、1,000時間後の絶縁接続抵抗測定を行った結果、全て10Ω以上であった。
[比較例1]
以下の表1に示す配合量と製造条件で、実施例1と同様にして、異方導電性接着フィルムを作成し、実施例1と同様に、塗工液の水分量、貼付性、接続抵抗測定、絶縁抵抗測定、貯蔵安定性を評価した。得られた結果を以下の表1に示す。比較例1では、製膜工程において、塗工液が塗布された剥離性基材は、剥離性基材の弾性領域内で延伸しながら溶剤を揮散させていない(表1中、製膜時の基材の伸び率は0%である)。比較例1で使用した異方導電性接着フィルムでは、製造直後、貼付性が少し低く3枚中1枚貼付けできないものが有ったが、貼付けできたものは、安定な接続が可能であった。しかし、異方導電性接着フィルムを貯蔵すると、貼付性が低下し、更に、貼付けできたものも、接続抵抗が高く、安定に接続することはできず、異方導電性接着フィルムの貯蔵安定性が劣っていた。
[比較例2]
以下の表1に示す配合量と製造条件で、実施例1と同様にして、異方導電性接着フィルムを作成し、実施例1と同様に、塗工液の水分量、貼付性を評価した。得られた結果を以下の表1に示す。比較例2で使用した絶縁性接着剤では、製膜時の延伸張力が剥離性基材の降伏応力を超えていたため、弾性領域外となり、部分的に剥離基材が大きく引き伸ばされ(表1中、製膜時の基材の伸び率は30%である)、絶縁性接着の膜厚も場所によって大きくばらついていた。更に、貼付性評価では、絶縁性接着の表面に、延伸ムラによる皺が発生したため、剥離性基材を絶縁性接着剤から剥離することができず、回路接続材の用を成さなかった。
Figure 2010248386
本発明は、微細パターンの電気的接続において、微小面積の電極の電気的接続性に優れると共に、微細な配線間の絶縁破壊(ショート)が起こりにくく、異なる電極パターンの半導体チップに対しても電気的接続が可能で、長期信頼性を与える接続が可能で、かつ、低温短時間硬化性と貯蔵安定性を両立でき、更には、良好な基板への貼付性が良好であり、回路接続用途においても好適に利用できる。

Claims (9)

  1. 導電粒子を表面層に単層に配置したバインダー樹脂よりなる導電層と、該導電層の少なくとも片面に絶縁性接着剤を積層した異方導電性接着フィルムの製造方法において、該導電粒子の中心間距離の変動係数は、0.05以上0.5以下であり、該絶縁性接着剤の180℃溶融粘度は、該バインダー樹脂の180℃溶融粘度よりも低く、そして該方法は、以下の工程:
    熱硬化性樹脂と、マイクロカプセル型硬化剤と、フィルム形成性高分子とを含有する該絶縁性接着剤を溶剤に溶解又は分散させた塗工液を調製する工程、
    剥離性基材上に該塗工液を塗布する工程、
    該塗工液が塗布された剥離性基材を、該剥離性基材の弾性領域内で延伸しながら加熱して溶剤を揮散させる製膜工程、
    を含むことを特徴とする前記異方導電性接着フィルムの製造方法。
  2. 前記導電粒子の中心間距離の平均は、2μm以上20μm以下であり、かつ、前記導電粒子の平均粒径に対して1.5倍以上5倍以下である、請求項1に記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
  3. 前記バインダー樹脂の180℃溶融粘度は、50Pa・s以上である、請求項1又は2に記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
  4. 前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
  5. 前記マイクロカプセル型硬化剤は、エポキシ樹脂用の硬化剤の周囲を高分子化合物で被覆した構造を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
  6. 前記マイクロカプセル型硬化剤の活性化温度は、60℃以上100℃以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
  7. 前記塗工液中の水分量は、前記マイクロカプセル型硬化剤に対して、0.5質量%以上10質量%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
  8. 前記導電粒子の平均粒径は、0.5μm以上10μm以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
  9. 前記製膜工程の加熱温度は、50℃以上90℃以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
JP2009100018A 2009-04-16 2009-04-16 異方導電性接着フィルムの製造方法 Active JP5581605B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009100018A JP5581605B2 (ja) 2009-04-16 2009-04-16 異方導電性接着フィルムの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009100018A JP5581605B2 (ja) 2009-04-16 2009-04-16 異方導電性接着フィルムの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010248386A true JP2010248386A (ja) 2010-11-04
JP5581605B2 JP5581605B2 (ja) 2014-09-03

Family

ID=43311082

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009100018A Active JP5581605B2 (ja) 2009-04-16 2009-04-16 異方導電性接着フィルムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5581605B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013016473A (ja) * 2011-06-10 2013-01-24 Sekisui Chem Co Ltd 異方性導電材料及び接続構造体
JP2016037512A (ja) * 2014-08-05 2016-03-22 デクセリアルズ株式会社 異方性導電接着剤、その製造方法、接続構造体及びその製造方法
US9490229B2 (en) 2013-10-31 2016-11-08 Samsung Sdi Co., Ltd. Semiconductor device connected by anisotropic conductive film
JP2016210997A (ja) * 2012-09-18 2016-12-15 デクセリアルズ株式会社 異方性導電フィルム、異方性導電フィルムの製造方法、接続体の製造方法、及び接続方法
KR20180061084A (ko) 2015-09-25 2018-06-07 세키스이가가쿠 고교가부시키가이샤 접속 구조체의 제조 방법, 도전성 입자, 도전 필름 및 접속 구조체
JP2018177957A (ja) * 2017-04-12 2018-11-15 大日本印刷株式会社 接着シートセットおよび物品の製造方法
KR20210153767A (ko) * 2019-05-20 2021-12-17 타츠타 전선 주식회사 도전성 접착 시트

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007161793A (ja) * 2005-12-12 2007-06-28 Asahi Kasei Electronics Co Ltd 異方導電性接着シート
JP2007217503A (ja) * 2006-02-15 2007-08-30 Asahi Kasei Electronics Co Ltd 異方導電性接着フィルム

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007161793A (ja) * 2005-12-12 2007-06-28 Asahi Kasei Electronics Co Ltd 異方導電性接着シート
JP2007217503A (ja) * 2006-02-15 2007-08-30 Asahi Kasei Electronics Co Ltd 異方導電性接着フィルム

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN7014001774; 粘着技術ハンドブック 初版1刷, 1997, 第954-957頁 *

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013016473A (ja) * 2011-06-10 2013-01-24 Sekisui Chem Co Ltd 異方性導電材料及び接続構造体
JP2016210997A (ja) * 2012-09-18 2016-12-15 デクセリアルズ株式会社 異方性導電フィルム、異方性導電フィルムの製造方法、接続体の製造方法、及び接続方法
US9490229B2 (en) 2013-10-31 2016-11-08 Samsung Sdi Co., Ltd. Semiconductor device connected by anisotropic conductive film
JP2016037512A (ja) * 2014-08-05 2016-03-22 デクセリアルズ株式会社 異方性導電接着剤、その製造方法、接続構造体及びその製造方法
KR20180061084A (ko) 2015-09-25 2018-06-07 세키스이가가쿠 고교가부시키가이샤 접속 구조체의 제조 방법, 도전성 입자, 도전 필름 및 접속 구조체
JPWO2017051872A1 (ja) * 2015-09-25 2018-07-12 積水化学工業株式会社 接続構造体の製造方法、導電性粒子、導電フィルム及び接続構造体
KR102609199B1 (ko) * 2015-09-25 2023-12-05 세키스이가가쿠 고교가부시키가이샤 접속 구조체의 제조 방법, 도전성 입자, 도전 필름 및 접속 구조체
JP2018177957A (ja) * 2017-04-12 2018-11-15 大日本印刷株式会社 接着シートセットおよび物品の製造方法
JP7077529B2 (ja) 2017-04-12 2022-05-31 大日本印刷株式会社 接着シートセットおよび物品の製造方法
KR20210153767A (ko) * 2019-05-20 2021-12-17 타츠타 전선 주식회사 도전성 접착 시트
KR102404193B1 (ko) 2019-05-20 2022-05-30 타츠타 전선 주식회사 도전성 접착 시트

Also Published As

Publication number Publication date
JP5581605B2 (ja) 2014-09-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5825373B2 (ja) 導電粒子配置シート及びその製造方法
JP4789738B2 (ja) 異方導電性フィルム
JP5147048B2 (ja) 異方導電性フィルム
JP5581605B2 (ja) 異方導電性接着フィルムの製造方法
JP2007217503A (ja) 異方導電性接着フィルム
JP2008274300A (ja) 硬化性樹脂組成物
JP5540559B2 (ja) 回路接続用フィルム接着剤の製造方法
JP5099987B2 (ja) 回路接続方法および接続構造体
JP2007009176A (ja) 異方導電性接着フィルム
JP5147049B2 (ja) 異方性導電フィルム
JP2006233202A (ja) 回路接続用異方導電性接着フィルム
JP5516016B2 (ja) 異方導電性接着フィルム及びその製造方法
JP4684087B2 (ja) 連結構造体
JP5577599B2 (ja) 回路接続用フィルム接着剤の製造法
JP4657047B2 (ja) 接続部材
JP2006233200A (ja) 異方性導電性接着フィルム
JP4703306B2 (ja) 導電粒子の連結構造体
JP2006233201A (ja) 異方性導電接着フィルム
JP5046581B2 (ja) 回路接続用接着剤
JP5682720B2 (ja) 異方導電性接着フィルム及びその製造方法
JP4953685B2 (ja) 接続材料
JP2010174230A (ja) フィルム接着剤の製造法
JP5202662B2 (ja) 回路接続フィルム
JP2012097231A (ja) 異方導電性接着フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120416

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20130704

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20130704

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130717

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130924

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140617

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140630

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5581605

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250