JP5682720B2 - 異方導電性接着フィルム及びその製造方法 - Google Patents

異方導電性接着フィルム及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、微細パターンの電気的接続において、微小面積の電極の電気的接続性に優れると共に、微細な配線間の絶縁破壊(ショート)が起こりにくく、絶縁層を介して圧痕観察した際に明瞭な圧痕が観察可能な異方導電性接着フィルム及びその製造方法に関する。
異方導電性接着フィルムは、絶縁性接着剤中に導電粒子を分散させたフィルムであり、液晶ディスプレイとICチップ若しくはTCPとの接続、又はFPCとTCPとの接続、FPCとプリント配線板との接続等を簡便に行うために好適に使用される接続部材である。異方導電性フィルムは、例えば、ノート型パソコン又は携帯電話の液晶ディスプレイと制御ICとの接続用として広範に用いられ、最近では、ICチップを直接プリント基板又はフレキシブル配線板に搭載するフリップチップ実装にも用いられている(特許文献1、2及び3参照)。
近年、液晶ディスプレイに用いられるガラス基板の配線及び電極には、コストダウンを目的にアルミ合金等の耐食性の低い金属が使用されるようになっている。このような耐食性の低い金属を使用する場合、腐食を抑制するために、金属電極上の大部分を窒化珪素等の絶縁層で覆い、更にその上にITOを形成して、絶縁層を形成していない一部の領域で金属電極とITOとが接続する構造が採られるようになってきている。しかし、このような構造のガラス基板とICチップとを異方導電性接着フィルムで接続する場合、安定に接続していることを確認するために実施される圧痕観察(接続に寄与する導電粒子が金属電極を圧することで、金属電極に歪が生じ、微分干渉顕微鏡等で観察すると導電粒子の痕跡が観察される)において、従来のガラス基板を接続する場合に比べ、明瞭な圧痕が観察され難くなってきている。
一方、この分野では近年、接続される配線パターン及び電極パターンの寸法が益々微細化されている。配線及び電極の幅が10数μmレベルまで微細化されている場合もみられる一方、これまで用いられてきた導電粒子の平均粒径は、配線及び電極の線幅と同レベルの数μmから10μmレベルの粒子であった。そうすると、接続される電極パターンの寸法が小さくなると、導電粒子がランダムに分散配置されている異方導電性接着フィルムでは、導電粒子の分布に偏差が生じているため、接続すべき電極パターンが導電粒子の存在しない位置に配置されてしまい、電気的に接続されないという場合が、確率論として避けられない。
この問題を解決する技術として、導電粒子を配列する技術が提案されている。導電粒子を絶縁接着剤表面に散布して、表面に付着した導電粒子を絶縁接着剤の表層中に埋め込む方法(特許文献4参照)、所定配置された吸引孔を有する導電粒子吸着治具を用いて、導電粒子を配列し絶縁性接着剤に埋め込む方法(特許文献5参照)、延伸を利用して導電粒子を配列し、絶縁性接着剤に埋め込む方法(特許文献6参照)等が開示されている。しかし、一旦配列させた導電粒子を、接続時の絶縁樹脂の流動に抗して、その配列状態を大きく崩す事無く接続するためには、使用できる電極及び接続条件が限られている。これは実用上大きな制約である。これに対して、配列した導電粒子の接続時の流動を抑える、微細パターンの接続に対応する技術が開示されている(特許文献7参照)。
特開平03−107888号公報 特開平04−366630号公報 特開昭61−195179号公報 特開2000−151084号公報 特開2002−332461号公報 国際公開第WO2005/054388号パンフレット 特開2007−217503号公報
しかしながら、従来技術の異方導電性接着フィルムでは、微細パターンの接続が可能であることと、絶縁層を介して圧痕観察しても明瞭な圧痕が観察可能であることとを両立できず、その改良が求められている。
本発明が解決しようとする課題は、微細パターンの電気的接続において、微小面積の電極の電気的接続性に優れると共に、微細な配線間の絶縁破壊(ショート)が起こりにくく、絶縁層を介して圧痕観察した際に明瞭な圧痕が観察可能な異方導電性接着フィルム及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、一方の表面と他方の表面とが互いに異なる架橋性官能基濃度を有し、かつ厚み方向に層界面を持たない異方導電性接着フィルムを用いることで、前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、下記の通りである。
[1] 導電粒子と、第1主面及び第2主面を有するフィルム状の架橋性絶縁性接着剤フィルムとを含む、異方導電性接着フィルムであって、
該導電粒子が、該第1主面に単層に埋め込み配置されており、
該導電粒子の中心間距離の変動係数が0.05以上0.5以下であり、
該架橋性絶縁性接着剤フィルムの、該第2主面における架橋性官能基濃度が、該第1主面における架橋性官能基濃度よりも高く、かつ、
該架橋性絶縁性接着剤フィルムが単層である、異方導電性接着フィルム。
[2] 該第2主面における架橋性官能基濃度が、該第1主面における架橋性官能基濃度の1.1倍以上10倍以下である、上記[1]に記載の異方導電性接着フィルム。
[3] 該導電粒子の中心間距離の平均が、2μm以上20μm以下である、上記[1]又は[2]に記載の異方導電性接着フィルム。
[4] 該導電粒子の中心間距離の平均が、該導電粒子の平均粒径の1.5倍以上5倍以下である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の異方導電性接着フィルム。
[5] 該導電粒子の平均粒径が、0.5μm以上10μm以下である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の異方導電性接着フィルム。
[6] 該架橋性絶縁性接着剤フィルムが、エポキシ系絶縁性接着剤で構成されている、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の異方導電性接着フィルム。
[7] 上記[1]〜[6]のいずれかに記載の異方導電性接着フィルムを製造する方法であって、
異なる架橋性官能基濃度を有する2つ以上のフィルム状の架橋性絶縁性接着剤材料を形成する接着剤材料形成工程と、
該2つ以上の架橋性絶縁性接着剤材料を積層し、該積層と同時に又は該積層の後に、該架橋性絶縁性接着剤材料の間の層界面を消失させて、第1主面及び第2主面を有する単層の架橋性絶縁性接着剤フィルムを形成する接着剤フィルム形成工程と、
を含み、更に、
該架橋性絶縁性接着剤材料における該第1主面を与える面、又は該架橋性絶縁性接着剤フィルムの該第1主面に導電粒子を単層に埋め込み配置する導電粒子配置工程を含む、異方導電性接着フィルムの製造方法。
[8] 該2つ以上の架橋性絶縁性接着剤材料において、該第1主面を与える架橋性絶縁性接着剤材料の180℃での溶融粘度が、他の架橋性絶縁性接着剤材料の180℃での溶融粘度よりも高い、上記[7]に記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
[9] 該2つ以上の架橋性絶縁性接着剤材料において、該第1主面を与える架橋性絶縁性接着剤材料の180℃での溶融粘度が、50Pa・s以上である、上記[7]又は[8]に記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
[10] 該積層をウエットオンウエット塗工で行うことによって、該積層と同時に該層界面を消失させる、上記[7]〜[9]のいずれかに記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
[11] 該積層の後に熱エージング処理によって該層界面を消失させる、上記[7]〜[9]のいずれかに記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
本発明によれば、微細パターンの電気的接続において、微小面積の電極の電気的接続性に優れると共に、微細な配線間の絶縁破壊(ショート)が起こりにくく、絶縁層を介して圧痕観察した際に明瞭な圧痕が観察可能であるという効果を奏する異方導電性接着フィルム及びその製造方法が提供される。
以下、本発明について具体的に説明する。
<異方導電性接着フィルム>
本発明は、導電粒子と、第1主面及び第2主面を有する架橋性絶縁性接着剤フィルムとを含む、異方導電性接着フィルムであって、該導電粒子が、該第1主面に単層に埋め込み配置されており、該導電粒子の中心間距離の変動係数が0.05以上0.5以下であり、該架橋性絶縁性接着剤フィルムの、該第2主面における架橋性官能基濃度が、該第1主面における架橋性官能基濃度よりも高く、かつ、該架橋性絶縁性接着剤フィルムが単層である、異方導電性接着フィルムを提供する。本発明の異方導電性接着フィルムにおいては、架橋性絶縁性接着剤フィルムの第1主面に上記特定の形態で導電粒子が配置されている。
[導電粒子]
本発明において、導電粒子としては、金属粒子、炭素からなる粒子、高分子核材に金属薄膜を被覆した粒子等を用いることができる。
金属粒子としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、錫、鉛、半田、インジウム、パラジウム等の単体、及び、2種以上のこれらの金属が層状又は傾斜状に組み合わされている粒子が例示される。
高分子核材に金属薄膜を被覆した粒子としては、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ジビニルベンゼン架橋体、NBR、SBR等のポリマーから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせで構成される高分子核材に、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、錫、鉛、半田、インジウム、パラジウム等から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせで構成されるメッキ等により金属被覆した粒子が例示される。金属薄膜の厚さは0.005μm以上1μm以下の範囲であることが、接続安定性及び粒子の凝集防止の観点から好ましい。なお上記厚みは、オージェ分光分析法で確認できる。金属薄膜は均一な厚みで被覆されていることが接続安定性の観点から好ましい。これら導電粒子の表面を更に絶縁被覆した粒子も使用することができる。
導電粒子は、架橋性絶縁性接着剤フィルムの第1主面に単層に埋め込み配置されている。本明細書において、導電粒子が第1主面に埋め込み配置されているとは、導電粒子が架橋性絶縁性接着剤フィルムの第1主面側に埋め込まれているが粒子の一部が架橋性絶縁性接着剤フィルムの外に露出している状態、及び、導電粒子が該第1主面側に露出部を有さずに埋め込まれており、かつ第1主面から導電粒子までの最小距離が導電粒子の粒径未満である状態、の両者を包含するものと定義する。
導電粒子の一部が露出するように埋め込まれている場合、導電粒子の平均粒径の1/2以上が架橋性絶縁性接着剤フィルムに埋め込まれていることが好ましい。この場合、得られる異方導電性接着フィルムをガラス基板等に貼付ける際に、良好な貼付け性が得られ好ましい。導電粒子の平均粒径の2/3以上が埋め込まれていることがより好ましく、導電粒子の平均粒径の3/4以上が埋め込まれていることが更に好ましい。
一方、導電粒子が架橋性絶縁性接着剤フィルムに露出部を有さずに埋め込まれている場合、導電粒子と架橋性絶縁性接着剤フィルムの第1主面との間の最小距離は、接続のための加圧の際に導電粒子の移動を抑えるために、導電粒子の平均粒径に対して1.0倍未満である。上記最小距離は、より好ましくは0.8倍未満、更に好ましくは0.5倍未満、更に好ましくは0.3倍未満、更に好ましくは0.1倍未満である。
本発明では、異方導電性接着フィルムの厚み方向の導電性と面方向の絶縁性との両立(以下、異方導電性とも称する)を高レベルで確保するために、導電粒子は架橋性絶縁性接着剤フィルムの第1主面に単層で配置される。本明細書において、導電粒子が単層で配置されるとは、架橋性絶縁性接着剤フィルムの厚み方向を高さ方向としたときに、導電粒子の中心高さのバラツキが導電粒子の平均粒径の2倍未満であることを意味する。導電粒子の平均粒径に対する中心高さのバラツキは、0に近いほど好ましく、好ましくは、1倍未満、更に好ましくは0.8倍未満、更に好ましくは0.6倍未満である。ここで、導電粒子の中心高さのバラツキとは、架橋性絶縁性接着剤フィルムの第1主面から導電粒子の中心までの距離の標準偏差であり、導電粒子の中心が架橋性絶縁性接着剤フィルムに埋め込まれていない場合は、中心高さはその距離にマイナスをつけた値である。
本発明では、導電粒子が架橋性絶縁性接着剤フィルムの第1主面に単層として存在することにより、特に、半導体チップと液晶パネルとの接続のように、電極の高さが高いものとほぼ平らなものとの接続において、配列した導電粒子が接続時に大きく移動してしまう事を抑制することが可能となっている。
本発明の異方導電性接着フィルムにおいて、導電粒子は、特定の中心間距離を有するように配置されることが好ましく、これにより高い異方導電性が得られる。具体的には、導
電粒子の中心間距離の平均は、2μm以上20μm以下であることが好ましく、より好ましくは2.5μm以上18μm以下、更に好ましくは3μm以上16μm以下、更に好ましくは3.5μm以上15μm以下、更に好ましくは4μm以上13μm以下である。2μm以上の中心間距離にすることで、面方向の絶縁性、即ち、隣接する電極間の絶縁性を高レベルで維持できる。また、20μm以下の中心間距離にすることで、厚さ方向の導電性、即ち接続電極間の電気的接続性を維持できる導電粒子密度を良好に得ることができ、異方導電性接着フィルムとしての高い性能が発揮される。
導電粒子の中心間距離の平均は、導電粒子の平均粒径の1.5倍以上5倍以下であることが好ましく、より好ましくは1.55倍以上4.6倍以下、更に好ましくは1.6倍以上4.3倍以下、更に好ましくは1.65倍以上4.0以下である。該中心間距離の平均を導電粒子の平均粒径の1.5倍以上にすることで、面方向の絶縁性、即ち、隣接する電極間の絶縁性を高レベルで維持できる。また、該中心間距離の平均を導電粒子の平均粒径の5倍以下にすることで、厚さ方向の導電性、即ち接続電極間の電気的接続性を維持できる導電粒子密度を良好に得ることができ、異方導電性接着フィルムとしての高い性能が発揮される。
本発明の異方導電性接着フィルムは、導電粒子の中心間距離の変動係数が特定の値を有して配列されることによって、高い異方導電性を有しており、また微小面積の電極の電気的接続性に優れている。導電粒子の中心間距離の変動係数は、導電粒子の中心間距離の標準偏差を該中心間距離の平均値で割った値であり、本発明においては、0.05以上0.5以下である。該変動係数は、好ましくは0.07以上0.45以下、更に好ましくは0.09以上0.4以下、更に好ましくは0.1以上0.35以下、更に好ましくは0.12以上0.3以下である。変動係数を0.05以上にすることで、接続電極間の電気的接続性に悪影響を与える接続時の導電粒子の流動を起こすことなく、例えば異なる電極パターンの半導体チップを安定に接続することが可能である。一方、変動係数を0.5以下とすることで、接続電極間に捕捉される導電粒子数の電極毎のバラツキを小さく抑えることができ、電極毎の接続抵抗のバラツキが小さく、また絶縁破壊が抑制され、安定した接続が得られる。
本明細書で記載する、導電粒子の架橋性絶縁性接着剤フィルムへの埋め込みの程度(導電粒子の平均粒径に対する割合、及び、導電粒子と第1主面との間の最小距離)は、レーザー顕微鏡を用いて測定でき、第1主面から導電粒子の中心までの距離は、走査型顕微鏡による断面観察で測定でき、導電粒子の中心間距離の平均及び変動係数は、マイクロスコープによる測定から算出できる。
導電粒子の平均粒径は、0.5μm以上10μm以下の範囲であることが、厚み方向の導電性と面方向の絶縁性との両立及び粒子の凝集防止の観点から好ましい。上記平均粒径は、より好ましくは1μm以上7μm以下、更に好ましくは1.5μm以上6μm以下、より更に好ましくは2μm以上5.5μm以下、特に好ましくは2.5μm以上5μm以下である。前記範囲の平均粒径の導電粒子を用いることで、ICチップ及び回路基板の電極高さのバラツキ、並びに接続時の平行度のバラツキを吸収し、同時に隣接電極間の粒子滞留による絶縁破壊を抑制することができる。
導電粒子の粒径の標準偏差は、小さいほど好ましく、平均粒径の50%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以下、更に好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下である。導電粒子の粒径は、コールターカウンターを用いて測定することができ、平均粒径は、略500個の測定値の数平均値として得られる。
[架橋性絶縁性接着剤フィルム]
本発明に用いられる架橋性絶縁性接着剤フィルムは、架橋性官能基を含む接着剤で構成される。本明細書で記載する架橋性官能基とは、室温から200℃程度の温度領域で反応性を有する官能基全般を包含する。架橋性絶縁性接着剤フィルムを構成する接着剤としては、イソシアネート系絶縁性接着剤、ラジカル重合系絶縁性接着剤、エポキシ系絶縁性接着剤等が例示される。架橋性絶縁性接着剤フィルムは、典型的には、絶縁性であることが公知の材料からなる、フィルム形成性ポリマー(A)と架橋性材料(B)とを含む。
(フィルム形成性ポリマー(A))
フィルム形成性ポリマー(A)は、架橋性絶縁性接着剤フィルムが室温でフィルム状の形状を維持するために、典型的に用いられる。フィルム形成性ポリマー(A)としては、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、及び、カルボキシル基、ヒドロシキシル基、ビニル基、アミノ基等の官能基を有するエラストマー類等が例示される。
フィルム形成性ポリマー(A)としては、接続信頼性に優れるフェノキシ樹脂が好ましい。フェノキシ樹脂としては、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールAビスフェノールF混合型フェノキシ樹脂、ビスフェノールAビスフェノールS混合型フェノキシ樹脂、フルオレン環含有フェノキシ樹脂、カプロラクトン変性ビスフェノールA型フェノキシ樹脂等が例示される。
フィルム形成性ポリマー(A)の重量平均分子量は20,000以上100,000以下であることが好ましく、より好ましくは25,000以上80,000以下である。重量平均分子量が20,000以上である場合、架橋性材料(B)の硬化物の架橋構造からのフィルム形成性ポリマー(A)のすり抜けを抑制でき、硬化物の凝集力の低下を抑制でき、よって接続信頼性の低下を抑制でき好ましい。一方、重量平均分子量が100,000以下である場合、非接着物と異方導電性接着フィルムとの高い密着性を維持でき、高い絶縁信頼性が得られ好ましい。本明細書で記載する重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
上記で例示したフィルム形成性ポリマー(A)は、架橋性材料がエポキシ樹脂を含む場合に特に好適であるが、他の架橋性材料を用いる場合にも好ましく使用できる。
(架橋性材料(B))
架橋性材料(B)は、接続後に接着剤としての機能を発現する機能を有する。架橋性絶縁性接着剤フィルムが例えばイソシアネート系絶縁性接着剤で構成される場合、架橋性材料(B)の成分としてポリオール成分とポリイソシアネート成分とを含有する。ポリオール成分としては、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が例示される。ポリイソシアネート成分としては、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、脂肪族トリイソシアネート、ポリイソシアネート、及びこれらのイソシアネート基をε―カプロラクタム又はメチルエチルケトオキシム等でブロックしたブロックイソシアネートが例示される。イソシアネート系絶縁性接着剤を用いた場合、架橋性官能基とは、ブロックされている又はされていないイソシアネート基を意味する。
架橋性絶縁性接着剤フィルムが例えばラジカル重合系絶縁性接着剤で構成される場合、架橋性材料(B)の成分として、アクリレート基、メタクリレート基、ビニル基等のラジカル重合性不飽和基を有するモノマー又はプレポリマーと、ラジカル重合開始剤とを含有する。
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシブチル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート等が例示される。
重合性不飽和基を含有するプレポリマーとしては、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロリレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロリレングリコールジメタクリレート、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、ビスフェノールF型エポキシアクリレート、クレゾールノボラック型エポキシアクリレート、ビスフェノールA型エポキシメタクリレート、ビスフェノールF型エポキシメタクリレート、クレゾールノボラック型エポキシメタアクリレート等が例示される。
ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物、及び、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物が例示される。潜在性の観点から、半減期10時間の温度が50℃以上であり、かつ半減期1分の温度が180℃以下である有機過酸化物が好ましく、具体的には、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
ラジカル重合系絶縁性接着剤を用いた場合、架橋性官能基とはラジカル重合性不飽和基を意味する。
本発明に用いられる架橋性絶縁性接着剤フィルムは、高い接続信頼性及び絶縁信頼性が得られる点で、エポキシ系絶縁性接着剤で構成されていることが好ましい。以下、エポキシ系絶縁性接着剤について説明する。
エポキシ系絶縁性接着剤は、上述したフィルム形成性ポリマー(A)と、架橋性材料(B)としてのエポキシ樹脂(b1)及びエポキシ樹脂用の潜在性硬化剤(b2)とを含有することが好ましい。
エポキシ樹脂(b1)としては、分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物が好ましく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラキスヒドロキシフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エーテル型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環族エポキサイド等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂はハロゲン化又は水素添加がされていてもよく、また、ウレタン変性、ゴム変性、シリコーン変性等の変性がされたエポキシ樹脂でもよい。複数種のエポキシ樹脂を併用しても構わない。
接着力の強さの点で、エポキシ樹脂(b1)としてはグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂(b1)の少なくとも一部がナフタレン型エポキシ樹脂であることが、耐水性の高い硬化物が得られる点で好ましい。
エポキシ樹脂(b1)のエポキシ当量は、100以上500以下であることが好ましく、より好ましくは120以上400以下、更に好ましくは140以上300以下である。エポキシ当量を100以上とすることで安全性の高い異方導電性接着フィルムが得られ好ましい。一方、エポキシ当量を500以下とすることで架橋密度の高い硬化物が得られ、高い接続信頼性が得られ好ましい。尚、エポキシ当量が500を超えるエポキシ樹脂を一部に使用しても問題はなく、その場合、エポキシ樹脂(b1)全体としてのエポキシ当量が100以上500以下であることが好ましい。
エポキシ樹脂(b1)の配合量は、フィルム形成性ポリマー(A)100質量部に対して5質量部以上300質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以上250質量部以下、更に好ましくは15質量部以上200質量部以下である。エポキシ樹脂(b1)の上記配合量を5質量部以上とすることで、得られる異方導電性接着フィルムの硬化物中に架橋構造が効果的に導入され、安定な接続信頼性が得られる。一方、上記配合量を300質量部以下とすることで、得られる異方導電性接着フィルムの貼付け(異方導電性接着フィルムを、基板と接続するために該基板上に搭載すること)ができない不具合を抑制することができ、また、得られる異方導電性接着フィルムをリール状に巻いた場合にブロッキングを起こしてフィルムの引き出しができなくなるトラブルを抑制でき好ましい。
潜在性硬化剤(b2)としては、室温条件下では安定に存在し、異方導電性接着フィルムの使用時(典型的には加熱及び加圧による熱圧着時)には硬化剤としての活性を与える化合物を使用できる。潜在性硬化剤(b2)としては、ホウ素化合物、ヒドラジド、3級アミン、イミダゾール、ジシアンジアミド、無機酸、カルボン酸無水物、チオール、イソシアネート、ホウ素錯塩、アルミニウムキレートとシラン化合物との複合体、及びそれらの誘導体等の硬化剤が好ましい。潜在性硬化剤(b2)としては、マイクロカプセル型潜在性硬化剤が好ましい。マイクロカプセル型硬化剤は、前記の潜在性硬化剤(b2)の表面を樹脂皮膜等で被覆して安定化したもので、接続作業時の温度及び圧力で樹脂皮膜が破壊され、潜在性硬化剤(b2)がマイクロカプセル外に拡散し、エポキシ樹脂(b1)と反応する。マイクロカプセル型潜在性硬化剤の中でも、アミンアダクト、イミダゾールアダクト等のアダクト型硬化剤をマイクロカプセル化したマイクロカプセル型潜在性硬化剤が安定性と硬化性とのバランスに優れ好ましい。
潜在性硬化剤(b2)の配合量は、エポキシ樹脂(b1)100質量部に対して、2〜100質量部以下であることが好ましく、より好ましくは5質量部以上80質量部以下、更に好ましくは10質量部以上60質量部以下である。潜在性硬化剤(b2)の配合量を2質量部以上とすることで、得られる異方導電性接着フィルムの硬化物中に架橋構造が効果的に導入され、安定な接続信頼性が得られる。一方、上記配合量を100質量部以下とすることで、得られる異方導電性接着フィルムの硬化物の耐水性が向上し、高い接続信頼性と絶縁信頼性とが得られる。
なお、架橋性絶縁性接着剤フィルムがエポキシ系絶縁性接着剤で構成される場合、架橋性官能基とはエポキシ基を意味する。
本発明に用いられる架橋性絶縁性接着剤フィルムは、更に、その他の成分を含有することができる。その他の成分としては、絶縁粒子、充填剤、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤、カップリング剤、イオントラップ剤等が挙げられる。絶縁粒子、充填剤等の固形の成分の場合、これらの最大径は導電粒子の平均粒径未満であることが好ましい。カップリング剤としては、ケチミン基、ビニル基、アクリル基、アミノ基、エポキシ基及びイソシアネート基から選ばれる少なくともいずれかを含有するシランカップリング剤が、接着性の向上の点から好ましい。
その他の成分の含有量は、架橋性絶縁性接着剤フィルムを100質量%として、50質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは30質量%以下である。
架橋性絶縁性接着剤フィルムは、各成分を(必要に応じて溶剤を用いて)混合して塗工液を調製し、これを適切な基材上に塗布した後、溶剤を除去する方法等によって形成できる。溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等が挙げられる。
本発明に用いられる架橋性絶縁性接着剤フィルムにおいては、第2主面の架橋性官能基濃度が、第1主面の架橋性官能基濃度よりも高い。典型的には、本発明に用いられる架橋性絶縁性接着剤フィルムの主成分は、フィルム形成性ポリマー(A)と、架橋性材料(B)(例えばエポキシ系絶縁性接着剤の場合は、エポキシ樹脂(b1)及びエポキシ樹脂用の潜在性硬化剤(b2))とである。架橋性官能基濃度が相対的に高いということは、架橋性材料の配合量が高いこと、又は、架橋性材料中の架橋性官能基濃度が高いことを意味する。架橋性官能基濃度が高い架橋性絶縁性接着剤からは、架橋密度が相対的に高い硬化物が得られ、このような硬化物は信頼性の高い接続構造体を得るのに寄与する。一方、架橋性官能基濃度が相対的に低いということは、フィルム形成性ポリマーの配合量が多く架橋性材料の配合量が少ないこと、又は、架橋性材料の分子量が高いこと等により架橋性官能基濃度が低いことを意味する。架橋性官能基濃度が低い架橋性絶縁性接着剤は、接続前の異方導電性接着フィルムにおいて、溶融粘度が相対的に高い接着剤となる。
架橋性官能基濃度を、第2主面よりも第1主面において相対的に低くすることにより、第1主面に配置された導電粒子の接続時の移動性を抑制でき、接続に有効に寄与する導電粒子の割合(以下、捕捉率と称す)が高く、微細接続において安定な接続に寄与するという利点が得られる。
特に、第2主面の架橋性官能基濃度が第1主面の架橋性官能基濃度の1.1倍以上10倍以下であることが好ましく、より好ましくは1.3倍以上7倍以下、更に好ましくは1.5倍以上5倍以下である。
第2主面の架橋性官能基濃度の第1主面の架橋性官能基濃度に対する割合が、1.1倍以上である場合、導電粒子の捕捉率の高い異方導電性接着フィルムを得ることができ好ましい。一方、上記割合が10倍以下である場合、架橋密度の低い硬化物領域の発生を抑制することができ好ましい。
ここで、第1主面及び第2主面の架橋性官能基濃度とは、略1μm厚さの表面における架橋性官能基濃度を意味する。例えば、FT−IRを用いたATR(attenuated total reflection)法によって、第1主面の架橋性官能基濃度と第2主面の架橋性官能基濃度との比を算出することができる。
本発明の異方導電性接着フィルムにおいて、架橋性絶縁性接着剤フィルムは単層である。すなわち、架橋性絶縁性接着剤フィルムは厚み方向の層界面を有さない。従って、架橋性絶縁性接着剤フィルム中で架橋性官能基濃度は連続的に変化している。本発明の異方導電性接着フィルムを接続材料として用いる際には、導電粒子が電極間に捕捉された後、導電粒子の変形を伴いながら、架橋性絶縁性接着剤フィルムは接続領域外に流出する。特に厚み方向に層界面を持たない場合、この時に、架橋性官能基濃度の低い領域(好ましくは第1主面側)と架橋性官能基濃度の高い領域(好ましくは第2主面側)との間で架橋性絶縁性接着剤の混合が促進される。よって、架橋密度が低く、硬化樹脂の凝集力が低い領域(特に、厚み方向で局所的に生じるこのような領域)の発生頻度が低減でき、絶縁層を介して圧痕観察した際に明瞭な圧痕が観察可能となり好ましい。
本発明の異方導電性接着フィルムの厚みは、5μm以上50μm以下であることが好ましく、更に好ましくは6μm以上35μm以下、更に好ましくは7μm以上25μm以下である。該厚みは、接触膜厚計又は光学膜厚計で測定される。
異方導電性接着フィルムはセパレーター上に形成されていても良い。セパレーターは、架橋性絶縁性接着剤フィルムの第2主面側に位置することが好ましい。セパレーターを第1主面及び第2主面の両方に有していても構わない。この場合、架橋性絶縁性接着剤フィルムの、第1主面側のセパレーターが第2主面側のセパレーターよりも先に剥離できるように、剥離性を調整することが好ましい。
セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル(例えばPET及びPEN)、ナイロン、塩化ビニル、ポリビニルアルコール等のフィルムが例示される。好ましいセパレーター用の樹脂としては、ポリプロピレン及びPETが挙げられる。これらはハンドリング性の観点から好ましい。該セパレーターは、フッ素処理、Si処理、アルキド処理等の表面処理が施されていることが好ましい。セパレーターの膜厚は、ハンドリング性の観点から20μm以上100μm以下であることが好ましい。
本発明の異方導電性接着フィルムは、必要に応じ、所望の幅にスリットされ、リール状に巻き取られることができる。
<異方導電性接着フィルムの製造方法>
本発明の別の態様は、上述した本発明の異方導電性接着フィルムを製造する方法であって、異なる架橋性官能基濃度を有する2つ以上のフィルム状の架橋性絶縁性接着剤材料を形成する接着剤材料形成工程と、該2つ以上の架橋性絶縁性接着剤材料を積層し、該積層と同時に又は該積層の後に、該架橋性絶縁性接着剤材料の間の層界面を消失させて、第1主面及び第2主面を有する単層の架橋性絶縁性接着剤フィルムを形成する接着剤フィルム形成工程と、を含み、更に、該架橋性絶縁性接着剤材料における該第1主面を与える面、又は該架橋性絶縁性接着剤フィルムの該第1主面に導電粒子を単層に埋め込み配置する導電粒子配置工程を含む、異方導電性接着フィルムの製造方法を提供する。以下、該製造方法の好ましい態様の例について説明する。
なお、架橋性絶縁性接着剤材料の架橋性官能基濃度は、1μm厚での値として評価する。1μm厚未満の架橋性絶縁性接着剤材料を形成する場合には、積層された状態で1μm厚における平均値を求め、その値が厚み方向において異なるような層構成とする。
[接着剤材料形成工程]
本工程では、異なる架橋性官能基濃度を有する2つ以上のフィルム状の架橋性絶縁性接着剤材料を別個に形成する。このとき、得られる架橋性絶縁性接着剤フィルムにおいて、第2主面における架橋性官能基濃度が第1主面における架橋性官能基濃度よりも高くなるように、各架橋性絶縁性接着剤材料の架橋性官能基濃度を調整する。架橋性絶縁性接着剤材料は、最も典型的には、第1主面を与える架橋性絶縁性接着剤材料と、第2主面を与える架橋性絶縁性接着剤材料との2つを用いるが、3つ以上の架橋性絶縁性接着剤材料を用いてもよい。
2つ以上の架橋性絶縁性接着剤材料において、第1主面を与える架橋性絶縁性接着剤材料の180℃での溶融粘度は、それ以外の架橋性絶縁性接着剤材料(以下、他の架橋性絶縁性接着剤材料と称す)の180℃での溶融粘度よりも高いことが、導電粒子の捕捉性を高められる点で好ましい。他の架橋性絶縁性接着剤材料の180℃における溶融粘度は、第1主面を与える架橋性絶縁性接着剤材料の180℃における溶融粘度の50%以下であることが好ましく、更に好ましくは30%以下であり、一層好ましくは20%以下である。
第1主面を与える架橋性絶縁性接着剤材料の180℃における溶融粘度は、50Pa・s以上であることが好ましい。該溶融粘度は、更に好ましくは、65Pa・s以上2000Pa・s以下、一層好ましくは80Pa・s以上1500Pa・s以下である。第1主面を与える架橋性絶縁性接着剤材料の180℃における溶融粘度を前記範囲にすることで、導電粒子の捕捉性が良好になり、絶縁層を介して圧痕観察した際に明瞭な圧痕が観察可能となるため好ましい。
他の架橋性絶縁性接着剤材料の180℃における溶融粘度の好ましい範囲は、1Pa・s以上100Pa・s以下あり、更に好ましくは2Pa・s以上50Pa・s以下、一層好ましくは4Pa・s以上30Pa・s以下である。該溶融粘度を前記範囲とすることで、接続時に絶縁性接着剤を流動させるために高い圧力を必要とせず、一方、異方導電性接着フィルムの貯蔵時の変形を抑えるために極低温で貯蔵する必要がなく好ましい。
尚、ここで、架橋性絶縁性接着剤材料の溶融粘度は、架橋性絶縁性接着剤材料から潜在性硬化剤を除去した状態、又は、潜在性硬化剤が未配合の状態での溶融粘度を指す。本明細書で記載する溶融粘度は、粘弾性測定装置を用いて測定される。
第1主面を与える架橋性絶縁性接着剤材料の膜厚は、0.5μm以上7μm以下であることが好ましく、更に好ましくは0.7μm以上6μm以下、一層好ましくは1μm以上5μm以下である。上記膜厚が0.5μm以上である場合、接続時の導電粒子の移動を効果的に抑制でき、7μm以下である場合、低い導電抵抗が得られやすい。
第1主面を与える架橋性絶縁性接着剤材料の膜厚は、導電粒子の平均粒径と同等又はそれ未満であることが好ましい。この場合、低い導電抵抗が得られやすいという利点が得られる。該膜厚は、好ましくは、導電粒子の平均粒径の20%以上200%以下、更に好ましくは30%以上170%以下、一層好ましくは40%以上140%以下である。上記膜厚は、接触膜厚計又は光学膜厚計で測定される。
他の架橋性絶縁性接着剤材料の合計膜厚は、4μm以上50μm以下であることが好ましく、更に好ましくは5μm以上30μm以下、更に好ましくは6μm以上25μm以下である。上記膜厚が4以上である場合、接続時に接続領域を封止する効果が高く、50μm以下である場合、不必要に接着剤が接続領域外に流出しない。
第1主面を与える架橋性絶縁性接着剤材料中のフィルム形成性ポリマーの含有量は、フィルム形状を良好に形成する観点から、第1主面を与える架橋性絶縁性接着剤材料全体の50質量%以上であることが好ましく、更に好ましくは、55質量%以上95質量%以下、一層好ましくは60質量%以上90質量%以下である。
他の架橋性絶縁性接着剤材料中のフィルム形成性ポリマーの含有量は、高い架橋密度を得る観点から、他の架橋性絶縁性接着剤材料全体の50質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは、20質量%以上46質量%以下、一層好ましくは30質量%以上44質量%以下である。
各々の架橋性絶縁性接着剤材料は、各材料の構成成分を(必要に応じて溶剤中で)混合して、塗工液を調製し、この塗工液をセパレーター上にアプリケーター塗装等により塗工し、オーブン中で溶剤を揮発させる事で製造できる。
[接着剤フィルム形成工程]
本工程では、該2つ以上の架橋性絶縁性接着剤材料を積層し、該積層と同時に又は該積層の後に、該2つ以上の架橋性絶縁性接着剤材料の間の層界面を消失させて、第1主面及び第2主面を有する単層の架橋性絶縁性接着剤フィルムを形成する。
架橋性絶縁性接着剤材料を積層する方法としては、例えば、架橋性絶縁性接着剤材料を、熱ロールを用いてラミネートする方法、塗工により順次塗り重ねる方法等が例示される。なお塗工による方法の場合には、第1主面となる側から順次塗工してもよいし、第2主面となる側から順次塗工してもよい。第2主面となる側から第1主面となる側に向かって架橋絶縁性接着剤材料を順次塗工する場合、得られる異方導電性接着フィルムのガラス基板等への貼付け性が良好であり、好ましい。
熱ロールを用いてラミネートする場合、ラミネート温度は、40℃以上120℃以下であることが好ましく、更に好ましくは、45℃以上100℃以下、一層好ましくは50℃以上80℃以下である。また、塗工により順次塗り重ねる場合、塗工温度は例えば室温であることができ、塗工後の乾燥温度は、40℃以上120℃以下であることが好ましく、更に好ましくは、45℃以上100℃以下、一層好ましくは50℃以上80℃以下である。
層界面(すなわち、異なる架橋性絶縁性接着剤材料の間の界面)を消失させる方法としては、例えば、上記積層をウエットオンウエット塗工で行うことによって積層と層界面の消失とを同時に進める方法、及び、積層された架橋性絶縁性接着剤材料を熱エージング処理することによって積層の後に層界面を消失させる方法、等が例示される。
ウエットオンウエット塗工の方法としては、例えば、セパレーター上に、溶剤で希釈した架橋性絶縁性接着剤材料を塗工し、溶剤を完全に除去する前に、溶剤で希釈した次の架橋性絶縁性接着剤材料を塗り重ねて塗工することを繰返して、2つ以上の架橋性絶縁性接着剤材料を重ね、最後に溶剤を揮発除去する方法を例示できる。
ウエットオンウエット塗工においては、2番目以降の架橋性絶縁性接着剤材料を塗り重ねる際に、その前に塗工した架橋性絶縁性接着剤材料が溶剤を含んでいる軟化状態にあるため、2層間で相互に拡散が起こり、層界面が消失する。2番目以降の架橋性絶縁性接着剤材料を塗り重ねる時点での、その前に塗工した架橋性絶縁性接着剤材料の溶剤含有量は、2質量%以上25質量%以下であることが好ましく、より好ましくは3質量%以上20質量%以下、更に好ましくは4質量%以上15質量%以下である。溶剤含有量を前記範囲とすることで、界面の消失を効率的に行うことができると共に、架橋性官能基濃度が厚み方向に異なる構造が維持される。
熱エージング処理によって架橋性絶縁性接着剤材料の層界面を消失させる方法としては、積層された架橋性絶縁性接着剤材料を、好ましくは、35℃以上75以下(より好ましくは40℃以上70℃以下、更に好ましくは、45℃以上65℃以下)で2分以上72時間(好ましくは5分以上48時間以下、更に好ましくは、7分以上24時間以下)の時間で加熱する方法が例示される。熱エージング条件を前記範囲とすることで、層界面の消失を効率的に行うことができると共に、架橋性絶縁性接着剤材料がエージング中に反応してしまうことを抑制できる。
前記例示の方法等により、単層の(すなわち厚み方向の層界面を持たない)架橋性絶縁性接着剤フィルムを形成できる。
[導電粒子配置工程]
本工程では、架橋性絶縁性接着剤材料における第1主面を与える面、又は単層の架橋性絶縁性接着剤フィルムの第1主面に、導電粒子を単層に埋め込み配置する。導電粒子配置工程は、例えば、接着剤材料形成工程と接着剤フィルム形成工程との間、接着剤形成工程における積層の後かつ層界面を消失させる操作の前、又は接着剤フィルム形成工程の後、のいずれで実施しても構わない。好ましくは、例えば下記のような方法で導電粒子を形成及び配置できる。
即ち、まず、単層で配列した導電粒子を粘着剤でシート上に固定した導電粒子の配列シートを製造する。配列シートを製造するには、例えば、延伸可能なシート上に、粘着剤を、好ましくは導電粒子の平均粒径以下の膜厚になるように塗布し、その上に導電粒子を充填する。その後粘着剤層に到達していない導電粒子をエアーブロー等により排除することで導電粒子が密に充填された単層の導電粒子層が形成される。必要に応じ、単層に配置した導電粒子は粘着剤に埋め込まれる。このときの、粘着剤表面の全面積に対する導電粒子の投影面積の割合で定義される充填率は、好ましくは50%以上90%以下であり、より好ましくは55%以上88%以下、更に好ましくは60%以上85%以下である。上記充填率は、本発明において重要な因子である導電粒子の中心間距離の変動係数に大きく影響する。
次に、ここで得られた導電粒子が固定されたシートを、所望の延伸倍率で延伸することで、個々の導電粒子が、本発明に必要な変動係数をもって、所望の中心間距離となるように配置された導電粒子の配列シートが得られる。
延伸可能なシートとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、PET及びPEN等のポリエステル、ナイロン、塩化ビニル、ポリビニルアルコール等のシートが例示される。粘着剤としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル、クロロプレン等が例示される。
延伸は、縦方向延伸と横方向延伸との両方が行われる、所謂、2軸延伸であり、公知の方法で実施することができる。例えば、クリップ等でフィルムの2辺又は4辺を挟んで引っ張る方法、及び2本以上のロールで挟んでロールの回転速度を変えることで延伸する方法等が挙げられる。延伸は縦方向と横方向とを同時に延伸する同時二軸延伸でも良いし、一方向を延伸した後、他方を延伸する逐次二軸延伸でも良い。延伸時の導電粒子の配列乱れを起こし難いので同時二軸延伸が好ましい。延伸を精度良く行うために、延伸可能なフィルムを軟化させて行うのが好ましく、使用する延伸可能なシートによるが、例えば、70℃以上250℃以下で延伸を行うのが好ましく、更に好ましくは75℃以上200℃以下であり、一層好ましくは、80℃以上160℃以下である。延伸温度が高すぎると粘着剤の粘着力が低下して、導電粒子の配列が乱れてしまい、導電粒子の中心間距離の変動係数が大きくなる傾向がある。
次に、配列シートの導電粒子側に、第1主面を対向させて架橋性絶縁性接着剤フィルムを重ね、架橋性絶縁性接着剤フィルムの第1主面に導電粒子を埋め込む。導電粒子を埋め込む方法としては、熱ロ−ル等を用いて導電粒子を架橋性絶縁性接着剤フィルムの第1主面に埋め込む方法が挙げられる。
配列シートの延伸可能なシートと粘着剤とは、架橋性絶縁性接着剤フィルムの第1主面に埋め込まれた導電粒子から剥離される。
導電粒子の埋め込み温度は、40℃以上120℃以下であることが好ましく、更に好ましくは、45℃以上100℃以下、一層好ましくは50℃以上80℃以下である。前記温度範囲で導電粒子を埋め込むことによって、得られる異方導電性接着フィルムの貯蔵安定性を高く保つことができともに、第2主面の架橋性絶縁性接着剤フィルムの粘度が下がり、導電粒子の埋め込み性が高くなり、好ましい。
上記のようにして製造された異方導電性接着フィルムは、必要に応じ、所望の幅にスリットされ、リール状に巻き取られる。
<異方導電性接着フィルムの用途>
本発明の異方導電性接着フィルムは、液晶ディスプレイとTCP、TCPとFPC、FPCとプリント配線基板との接続、及び、ICチップを直接基板に実装するフリップチップ実装に好適に用いることができる。
本発明の異方導電性接着フィルムを用いた接続方法としては、ITO配線又は金属配線等によって回路及び電極を形成したガラス基板等の回路基板と、回路基板の電極と対を成す位置に電極を形成したICチップ等の回路部材とを準備し、回路基板上の回路部材を配置する位置に、本発明の異方導電性接着フィルムを貼り付け、次に、回路基板と回路部材とをそれぞれの電極が互いに対を成すように位置を合わせた後、熱圧着して接続する。
異方導電性フィルムがセパレーター上に形成されている場合、異方導電性接着フィルムの貼付け時に、セパレーターを剥離するために、加熱及び加圧することができる。加熱及び加圧の条件としては、例えば、40℃以上90℃以下の温度、0.1MPa以上1MPa以下の圧力で0.5秒以上3秒以下の間の加熱及び加圧が好ましい。
接続における熱圧着の条件としては、150℃以上210℃以下(より好ましくは155℃以上200℃以下、一層好ましくは160℃以上195℃以下)の温度範囲で、回路部材面積に対して、0.1MPa以上50MPa以下(より好ましくは0.5MPa以上40MPa以下)の圧力範囲で、3秒以上15秒以下(より好ましくは4秒以上12秒以下)の間で、加熱及び加圧することが好ましい。
前記範囲の熱圧着条件で接続することにより、高い接続信頼性が得られると共に、耐熱性の低い基板の接続に対し有利であるという効果が得られるため、上記範囲の熱圧着条件での接続は、基板の反りが抑制でき、工程時間が短縮できるという点で有利である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
<重量平均分子量の測定>
東ソー(株)製HLC8020GPC(検出器:UV)を用い、カラム:TSKgel5000HHR/G4000HHR/G3000HHR/G2500HHR直列、溶離液:テトラヒドロフラン、溶離温度:40℃の条件でGPC測定を行い、標準ポリスチレンによる検量線を用い、ポリスチレン換算分子量で728以上の範囲について重量平均分子量を求めた。
<エポキシ当量の測定>
JIS K7236に準拠して求めた。
<膜厚測定>
(株)ニコン製デジマイクロMH−15Mを用いて測定し、測定数25箇所の数平均値を膜厚とした。
<溶融粘度測定>
HAAKE社製、RHeoStress600Thermoを用い、20mm径のコーン(PP20H)を用いて180℃で測定した。
<残溶剤の定量>
(株)島津製作所製GC−2014を用い、カラム:J&W DB−WAX(30m)、カラム温度:50℃で10分ホールド後250℃まで20℃/分で昇温、検出:FID(250℃)の条件で残溶剤を定量した。
<第1主面の架橋性官能基濃度に対する第2主面の架橋性官能基濃度の比の測定>
サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製Nicolet380FT−IRを用い、ゲルマニウム結晶(屈折率4.0)を用いたATR測定法(入射角37度)で、潜り込み深さ1μmでのFT−IR測定を第1主面及び第2主面で実施し、それぞれについて、828m-1付近のピークの高さに対する914cm-1付近のピークの高さを算出し、規格化されたピーク高さの第1主面に対する第2主面の比を、架橋性官能基濃度の比とした。
<層界面の有無の観察>
異方導電性接着フィルムを液体窒素中で凍結割断後、フラットミング処理を行い、断面サンプルを作製し、オスミウム蒸着後、日立製作所製FE−SEM S−4700を用い加速電圧1kVで走査型電子顕微鏡観察を行い、層界面の有無を確認した。
<圧痕試験>
ガラス基板とベアチップとを異方導電性接着フィルムで接続した接続構造物について、微分干渉顕微鏡((株)ニコン社製、ECLIPSE LV150)を用いて、ベアチップの左右それぞれの端から20個ずつの電極を観察した。絶縁層を介して電極上の圧痕が全ての電極において明瞭に見える最低接続温度により、圧痕の良否を判断した。より低温の接続で圧痕が明瞭に観察できるほど、圧痕試験は良好と言える。
<捕捉性評価>
ガラス基板とベアチップとを異方導電性接着フィルムで180℃にて接続した接続構造物について、微分干渉顕微鏡((株)ニコン社製、ECLIPSE LV150)を用いて、ベアチップの左右それぞれの端から20個ずつの電極を観察し、1電極当たりに捕捉されている導電粒子数を圧痕観察によりカウントし、合計40電極について捕捉粒子数の平均値とσとを算出し、平均値−3σより捕捉性を評価し、平均値−3σが5未満を「不可」、5以上8未満を「可」、8個以上10個未満を「良」、10個以上を「優」と評価した。
<接続信頼性評価>
ガラス基板とベアチップとを異方導電性接着フィルムで180℃にて接続した接続構造物について、チップ側で接続した隣接する2つの電極対を介して基板側の引出し配線上で2探針抵抗測定を、日置電機(株)製3541RESISTANCE HiTESTERを用いて実施した。抵抗測定箇所は1つの接続構造体当たり24箇所であり、その平均値を求めた。
更に、前記接続構造物を85℃×85%RHの環境で500時間放置し、再度、前記と同様に抵抗測定を実施し、その平均値を求め、貯蔵前と比べて貯蔵後の平均値の抵抗上昇量が30Ω未満であれば「優」、30Ω以上50Ω未満であれば「良」、50Ω以上100Ω未満であれば「可」、100Ω以上であれば「不可」と評価した。
[実施例1]
(架橋性絶縁性接着剤フィルムの形成)
フェノキシ樹脂(InChem社製、商品名:PKHC,重量平均分子量43,000)100質量部、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:AER2603、エポキシ当量188g/eq)20質量部、マイクロカプセル型潜在性硬化剤と液状エポキシ樹脂との混合物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:ノバキュアLSA H−0910)6質量部(液状エポキシ樹脂を4質量部含有)、シランカップリング剤(信越化学工業製、商品名KBM−403)1.3質量部、酢酸エチル200質量部を混合し、第1主面を与える架橋性絶縁性接着剤材料を形成するための接着剤ワニスAを得た。
この接着剤ワニスAを、離型処理した膜厚50μmのPETフィルム製セパレーター上にブレードコーターを用いて塗布し、80℃で10分間加熱し、溶剤を乾燥除去して、膜厚2.8μmのフィルム状の、第1主面を与える架橋性絶縁性接着剤材料Aを得た。別途、マイクロカプセル型潜在性硬化剤と液状エポキシ樹脂との混合物6質量部に替えて、液状エポキシ樹脂4質量部を配合して同様に作製した、第1主面を与える架橋性絶縁性接着剤材料の溶融粘度を測定した。架橋性絶縁性接着剤材料Aの180℃での溶融粘度は、490Pa・sであった。
フェノキシ樹脂(InChem社製、商品名:PKHC,重量平均分子量43,000)100質量部、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:AER2603、エポキシ当量188g/eq)90質量部、マイクロカプセル型潜在性硬化剤と液状エポキシ樹脂の混合物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:ノバキュアLSA H−0910)60質量部(液状エポキシ樹脂は40質量部含有)、シランカップリング剤(信越化学工業製、商品名KBM−403)2.5質量部、酢酸エチル300質量部を混合し、第2主面を与える架橋性絶縁性接着剤材料を形成するための接着剤ワニスBを得た。この接着剤ワニスBを、離型処理した膜厚50μmのPETフィルム製セパレーター上にブレードコーターを用いて塗布し、80℃で10分間加熱し、溶剤を乾燥除去して、膜厚15μmのフィルム状の架橋性絶縁性接着剤材料Bを得た。別途、マイクロカプセル型潜在性硬化剤と液状エポキシ樹脂との混合物60質量部に替えて、液状エポキシ樹脂40質量部を配合して同様に作製した、第2主面を与える架橋性絶縁性接着剤材料の溶融粘度を測定した。架橋性絶縁性接着剤材料Bの180℃での溶融粘度は、11.6Pa・sであった。
(導電粒子の形成及び配置)
アクリルポリマー10質量部とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製、商品名ミリオネートMR−200、イソシアネート濃度31%)0.8質量部と酢酸エチル200質量部とを混合し、100μm無延伸共重合ポリプロピレンフィルム上にブレードコーターを用いて塗布し、80℃で10分間乾燥し、厚さ1.5μmの粘着剤層を形成した。ここで用いたアクリルポリマーは、アクリル酸メチル62質量部、アクリル酸−2−エチルヘキシル30.6質量部、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル7質量部を、酢酸エチル233質量部中で、アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部を開始剤とし、窒素ガス気流中65℃で8時間重合して得られた、重量平均分子量が95万のものである。
この粘着剤層上に、コールターカウンターを用いた略500個の測定値の数平均値として得られる平均粒径が3μmの導電粒子を一面に充填し、エアーブローにより粘着剤に到達していない導電粒子を排除した。その結果、充填率が68%の単層導電粒子層が形成された。導電粒子としては、ジビニルベンゼン系樹脂をコアとし、その表層に無電解メッキで0.07μmのニッケル層を形成し、更に0.04μmの金メッキ層を形成した、長軸に対する短軸の比が0.95、粒径の標準偏差が0.2μmのものを用いた。
次に、この導電粒子が粘着剤によって固定されたポリプロピレンフィルムを、試験用二軸延伸装置を用いて、135℃で、縦横共に10%/秒の比率で2.2倍まで延伸し、徐々に室温まで冷却し、配列シートAを得た。
配列シートAの導電粒子側に架橋性絶縁性接着剤材料Aを重ね、75℃、1.0MPaの条件でラミネートを行った。次に、粘着剤の付いたポリプロピレンフィルムを剥離した。これにより、導電粒子を架橋性絶縁性接着剤材料Aの表面上に配置した。この架橋性絶縁性接着剤材料Aの一部をサンプリングして、レーザー顕微鏡(キーエンス社製,商品名VK−9500、以下同じ)を用いて導電粒子の埋め込み深さを観察した所、導電粒子が平均0.7μm、架橋性絶縁性接着剤材料Aの表面から露出していた。また、導電粒子の露出量より算出される、導電粒子の中心高さのバラツキは0.5μm未満であった。
次に、導電粒子を表面に配置した架橋性絶縁性接着剤材料Aの、導電粒子を埋め込んだ面に、第2主面を与える架橋性絶縁性接着剤材料Bを重ねて、前記と同じ条件でラミネートを行なった。次に、架橋性絶縁性接着剤材料の層界面を消失させる処理として、50℃×10分間の熱エージング処理を行った。以上の方法で、異方導電性接着フィルムAを得た。
異方導電性接着フィルムAにつき、架橋性官能基濃度の第1主面に対する第2主面の比の測定、及び層界面の有無の観察を行った結果、上記比は2.3倍であり、層界面は消失し観察されなかった。異方導電性接着フィルムAの膜厚は、17.5μmであった。
次に、異方導電性接着フィルムAをマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、商品名:VHX−100、以下同じ)で観察した結果、架橋性絶縁性接着剤材料A側の表面層に導電粒子が単層で配置され、またマイクロスコープで得られた画像から、画像処理ソフト(旭化成株式会社製、商品名:A像くん、以下同じ)を用いて、導電粒子の中心間距離の平均値及びその変動係数を求めた結果、平均値が7.8μm、変動係数が0.29であった。また、面方向における導電粒子密度は20,000個/mm2であった。
尚、導電粒子の中心間距離は、各粒子の中心点を用いたデローニ三角分割でできる三角形の辺の長さを使用し、導電粒子の観察は0.06mm2内の粒子について行った。
次に、16μm×85μmの面積で高さが12μmの金バンプが、ピッチ32μmで並び、そのバンプ列が列間ギャップ19μmで2列千鳥状に並んだベアチップ(チップサイズ18.78mm×0.6mm)と0.3mmのガラス板上に、前記ベアチップに対応した接続ピッチを有する電極を形成したガラス基板を準備した。尚、ガラス基板の配線及び電極は0.3μmのアルミチタンであり、その上に0.4μmの窒化珪素よりなる絶縁膜を全面に形成した。但し、電極部には絶縁膜に7μmφのスルーホールを1電極当たり6個形成した。更に、電極部には、0.15μmのITOを形成し、絶縁膜のスルーホールを介してアルミチタン電極と電気的な接続を取った。
異方導電性接着フィルムAの第1主面側のセパレーターを剥がし、第1主面側をガラス基板の接続位置に貼付け、70℃、5Kg/cm2、2秒間の条件で熱圧着し、第2主面側のセパレーターを剥がした後、ベアチップをフリップチップボンダー(東レエンジニアリング株式会社製FC2000、以下同じ)を用いて位置合わせをし、コンスタントヒートで1秒後に所定温度の90%に到達し、その後所定時間後に所定温度となる条件で、チップ面積当たり4MPaとなる圧力で10秒間加熱加圧し、ベアチップをガラス基板に接続した。所定温度としては、150℃〜210℃まで5℃刻みで温度を変えて接続を実施し、圧痕観察を行った所、175℃以上で圧痕が明瞭に観察でき、圧痕試験は175℃であった。
更に、所定温度が180℃で接続した接続構造物について、捕捉性と接続信頼性とを評価した結果、捕捉性、接続信頼性共に「優」であった。
[実施例2]
エージング条件を40℃×48時間とした以外は実施例1と同様にして、異方導電性接着フィルムを製造した。得られた異方導電性接着フィルムの特性及び接続性能を実施例1と同様に評価した結果、膜厚は17.8μm、架橋性官能基濃度における第1主面に対する第2主面の比は2.3倍であり、層界面は消失し観察されず、導電粒子の中心間距離の平均値及びその変動係数は、平均値が7.8μm、変動係数が0.29であり、導電粒子密度は20,000個/mm2であった。更に、圧痕試験は175℃、捕捉性と接続信頼性とは共に「良」であった。
[実施例3]
実施例1で製造した接着剤ワニスBを実施例1と同様に塗布し、室温で30分放置後、その一部をサンプリングし、塗工面上に、実施例1で製造した接着剤ワニスAを実施例1と同様に塗布し、溶剤を乾燥し、架橋性絶縁性接着剤フィルムを得た。尚、上記サンプリングした30分放置後のフィルムの残溶剤量は、5質量%であった。
更にこの架橋性絶縁性接着剤フィルムの第1主面に、実施例1と同様にして、実施例1で製造した配列シートAから配列した導電粒子を転写し、粘着剤の付いたポリプロピレンフィルムを剥離し、異方導電性接着フィルムを得た。得られた異方導電性接着フィルムの特性及び接続性能を実施例1と同様に評価した結果、膜厚は17.6μm、導電粒子が平均0.2μm第1主面側に露出し、導電粒子の中心高さのバラツキは0.5μm未満であり、架橋性官能基濃度における第1主面に対する第2主面の比は2.1倍であり、層界面は消失し観察されず、導電粒子の中心間距離の平均値及びその変動係数は、平均値が7.8μm、変動係数が0.29であり、導電粒子密度は20,000個/mm2であった。更に、圧痕試験は175℃、捕捉性と接続信頼性とは共に「優」であった。
[実施例4]
配列シートの製造において充填率を72%にした以外は実施例1と同様にして配列シートを製造し、配列シートBを得た。配列シートAの代わりに配列シートBを用いた以外は実施例3と同様にして異方導電性接着フィルムを得た。得られた異方導電性接着フィルムの特性及び接続性能を実施例1と同様に評価した結果、膜厚は17.8μm、導電粒子が平均0.2μm第1主面側に露出し、導電粒子の中心高さのバラツキは0.5μm未満であり、架橋性官能基濃度における第1主面に対する第2主面の比は2.2倍であり、層界面は消失し観察されず、導電粒子の中心間距離の平均値及びその変動係数は、平均値が7.5μm、変動係数が0.18であり、導電粒子密度は21,000個/mm2であった。更に、圧痕試験は175℃、捕捉性と接続信頼性とは共に「優」であった。
[実施例5]
配列シートの製造において充填率を57%、延伸倍率を縦横共に2倍にした以外は実施例1と同様にして配列シートを製造し、配列シートCを得た。配列シートAの代わりに配列シートCを用いた以外は実施例3と同様にして異方導電性接着フィルムを得た。得られた異方導電性接着フィルムの特性及び接続性能を実施例1と同様に評価した結果、膜厚は17.6μm、導電粒子が平均0.2μm第1主面側に露出し、導電粒子の中心高さのバラツキは0.5μm未満であり、架橋性官能基濃度における第1主面に対する第2主面の比は2.1倍であり、層界面は消失し観察されず、導電粒子の中心間距離の平均値及びその変動係数は、平均値が7.6μm、変動係数が0.46であり、導電粒子密度は21,000個/mm2であった。更に、圧痕試験は175℃、捕捉性と接続信頼性とは共に「良」であった。
[実施例6]
接着剤ワニスBの塗工後の放置時間を10分とした以外は実施例3と同様にして、異方導電性接着フィルムを製造した。10分放置後のフィルムの残溶剤量は8質量%であった。
得られた異方導電性接着フィルムの特性及び接続性能を実施例1と同様に評価した結果、膜厚は17.4μm、導電粒子が平均0.4μm第1主面側に露出し、導電粒子の中心高さのバラツキは0.5μm未満であり、架橋性官能基濃度における第1主面に対する第2主面の比は1.4倍であり、層界面は消失し観察されず、導電粒子の中心間距離の平均値及びその変動係数は、平均値が7.8μm、変動係数が0.29であり、導電粒子密度は20,000個/mm2であった。更に、圧痕試験は170℃、捕捉性と接続信頼性とは共に「良」であった。
[実施例7]
フェノキシ樹脂(InChem社製、商品名:PKHB,重量平均分子量32,000)100質量部、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:AER2603、エポキシ当量188g/eq)5質量部、マイクロカプセル型潜在性硬化剤と液状エポキシ樹脂との混合物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:ノバキュアLSA H−0910)1.5質量部(液状エポキシ樹脂を10質量部含有)、シランカップリング剤(信越化学工業製、商品名KBM−403)1.1質量部、酢酸エチル200質量部を混合し、第1主面を与える架橋性絶縁性接着剤材料を形成するための接着剤ワニスCを得た。
この接着剤ワニスCを、離型処理した膜厚50μmのPETフィルム製セパレーター上にブレードコーターを用いて塗布し、室温で12時間放置し、膜厚2.1μm、残溶剤量2.2質量%の、第1主面を与える架橋性絶縁性接着剤材料Cを得た。別途、マイクロカプセル型潜在性硬化剤と液状エポキシ樹脂との混合物1.5質量部に替えて、液状エポキシ樹脂1質量部を配合して同様に作製した、第1主面を与える架橋性絶縁性接着剤材料の溶融粘度を測定した。架橋性絶縁性接着剤材料Cの180℃での溶融粘度は、440Pa・sであった。
次に、実施例1で製造した配列シートAの導電粒子側に架橋性絶縁性接着剤材料Cを重ね、実施例1と同様にして、導電粒子が表面層に配置された架橋性絶縁性接着剤材料Cを得た。この架橋性絶縁性接着剤材料Cの一部をサンプリングして、レーザー顕微鏡(キーエンス社製,商品名VK−9500、以下同じ)を用いて導電粒子の埋め込み深さを観察した所、導電粒子が平均1.2μm架橋性絶縁性接着剤材料Cの表面から露出していた。また、導電粒子の露出量より算出される、導電粒子の中心高さのバラツキは0.5μm未満であった。
次に、導電粒子を表面に配置した架橋性絶縁性接着剤材料Cの、導電粒子を埋め込んだ面上に、実施例1で製造した、第2主面を与える架橋性絶縁性接着剤材料を形成するための接着剤ワニスBを実施例1と同様に塗布し、溶剤乾燥を行い、異方導電性接着フィルムを得た。
得られた異方導電性接着フィルムの特性及び接続性能を実施例1と同様に評価した結果、膜厚は17.0μm、架橋性官能基濃度の第1主面に対する第2主面の比は9.2倍であり、層界面は消失し観察されず、導電粒子の中心間距離の平均値及びその変動係数は、平均値が7.8μm、変動係数が0.29であり、導電粒子密度は20,000個/mm2であった。更に、圧痕試験は175℃、捕捉性と接続信頼性とは共に「優」であった。
[比較例1]
エージングをしなかった以外は実施例1と同様にして異方導電性接着フィルムを製造した。得られた異方導電性接着フィルムの特性及び接続性能を実施例1と同様に評価した結果、膜厚は17.6μm、架橋性官能基濃度の第1主面に対する第2主面の比は2.4倍であり、層界面は観察され、導電粒子の中心間距離の平均値及びその変動係数は、平均値が7.8μm、変動係数が0.29であり、導電粒子密度は20,000個/mm2であった。更に、圧痕試験は200℃、捕捉性は圧痕が不明瞭で評価できず、接続信頼性は「不可」であった。
[比較例2]
接着剤ワニスBの塗布後の室温30分放置の代わりに、80℃で10分間乾燥した以外は、実施例3と同様にして、異方導電性接着フィルムを製造した。80℃で10分間乾燥したフィルムの残溶剤量は0.1質量%の検出限界以下であった。得られた異方導電性接着フィルムの特性及び接続性能を実施例1と同様に評価した結果、膜厚は17.7μm、架橋性官能基濃度の第1主面に対する第2主面の比は2.4倍であり、層界面は観察され、導電粒子の中心間距離の平均値及びその変動係数は、平均値が7.8μm、変動係数が0.29であり、導電粒子密度は20,000個/mm2であった。更に、圧痕試験は200℃、捕捉性は圧痕が不明瞭で評価できず、接続信頼性は「不可」であった。
[比較例3]
接着剤ワニスBの塗布後の室温30分放置を行わなかった以外は、実施例3と同様にして、異方導電性接着フィルムを製造した。接着剤ワニスBの塗布後のフィルムの残溶剤量は35質量%であった。得られた異方導電性接着フィルムの特性及び接続性能を実施例1と同様に評価した結果、膜厚は17.7μm、架橋性官能基濃度は第1主面と第2主面とで差はなく、層界面は観察されなかった。導電粒子の中心間距離の平均値及びその変動係数は、平均値が7.8μm、変動係数が0.29であり、導電粒子密度は20,000個/mm2であった。更に、圧痕試験は170℃、捕捉性は「不可」、接続信頼性は「不可」であった。
本発明の異方導電性接着フィルムは、微細パターンの電気的接続において、微小面積の電極の電気的接続性に優れると共に、微細な配線間の絶縁破壊(ショート)が起こりにくく、絶縁層を介して圧痕観察した際に明瞭な圧痕が観察可能な接続を可能にし、液晶ディスプレイとICチップとの接続等の電気的接続用途において好適に利用できる。

Claims (10)

  1. 導電粒子と、第1主面及び第2主面を有する架橋性絶縁性接着剤フィルムとを有する、異方導電性接着フィルムであって、
    該導電粒子が、該第1主面に単層に埋め込み配置されており、
    該導電粒子の中心間距離の平均が2μm以上20μm以下であり、
    該架橋性絶縁性接着剤フィルムの、該第2主面における架橋性官能基濃度が、該第1主面における架橋性官能基濃度よりも高く、かつ、
    該架橋性絶縁性接着剤フィルムが単層である、異方導電性接着フィルム。
  2. 該第2主面における架橋性官能基濃度が、該第1主面における架橋性官能基濃度の1.1倍以上10倍以下である、請求項1記載の異方導電性接着フィルム。
  3. 該導電粒子の中心間距離の平均が、該導電粒子の平均粒径の1.5倍以上5倍以下である、請求項1又は2記載の異方導電性接着フィルム。
  4. 該導電粒子の平均粒径が、0.5μm以上10μm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の異方導電性接着フィルム。
  5. 該架橋性絶縁性接着剤フィルムが、エポキシ系絶縁性接着剤で構成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の異方導電性接着フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の異方導電性接着フィルムを製造する方法であって、
    異なる架橋性官能基濃度を有する2つ以上のフィルム状の架橋性絶縁性接着剤材料を形成する接着剤材料形成工程と、
    該2つ以上の架橋性絶縁性接着剤材料を積層し、該積層と同時に又は該積層の後に、該架橋性絶縁性接着剤材料の間の層界面を消失させて、第1主面及び第2主面を有する単層の架橋性絶縁性接着剤フィルムを形成する接着剤フィルム形成工程と、
    を含み、更に、
    該架橋性絶縁性接着剤材料における該第1主面を与える面、又は該架橋性絶縁性接着剤フィルムの該第1主面に導電粒子を単層に埋め込み配置する導電粒子配置工程を含む、異方導電性接着フィルムの製造方法。
  7. 該2つ以上の架橋性絶縁性接着剤材料において、該第1主面を与える架橋性絶縁性接着剤材料の180℃での溶融粘度が、他の架橋性絶縁性接着剤材料の180℃での溶融粘度よりも高い、請求項6記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
  8. 該2つ以上の架橋性絶縁性接着剤材料において、該第1主面を与える架橋性絶縁性接着剤材料の180℃での溶融粘度が、50Pa・s以上である、請求項6又は7記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
  9. 該積層をウエットオンウエット塗工で行うことによって、該積層と同時に該層界面を消失させる、請求6〜8のいずれかに記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
  10. 該積層の後に熱エージング処理によって該層界面を消失させる、請求項6〜8のいずれかに記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
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