JP2007009176A - 異方導電性接着フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電粒子が絶縁性接着剤の表面層に単層として配置されて導電層を形成し、該導電層の少なくとも片側に、絶縁性接着剤からなる絶縁層を有してなる、厚さ方向に加圧することで導電性を有する異方導電性接着フィルムにおいて、導電粒子の中心間距離の平均が2μm以上20μm以下、かつ、導電粒子の平均粒径に対して1.5倍以上5倍以下であり、その変動係数が、0.025以上0.5以下である異方導電性接着フィルム。
【選択図】なし
Description
この分野では近年、接続される配線パターンや電極パターンの寸法が益々微細化されている。微細化された配線や電極の幅は10μmレベルまで微細化される場合も多くなってきている一方で、これまで用いられてきた導電粒子の平均粒径は、配線や電極の線幅と同レベルの数μmから10μレベルの粒子であった。そうすると、接続される電極パターンの寸法が小さくなると、導電粒子がランダムに分散配置されている異方導電性接着フィルムでは、導電粒子の分布に偏差が生じているため、接続すべき電極パターンが導電粒子の存在しない位置に配置されてしまい、電気的に接続されない場合が、確率論として避けられない。
さらに、導電粒子を小粒径化すればするほど、用いる絶縁性接着剤によっては、絶縁抵抗が低くなったり、接続抵抗が高くなったり、隣接電極間でショートが発生したりといった長期接続信頼性が低下する場合が多くなることが判り、その対策が併せて求められていた。
更に、絶縁性接着剤の選定において、すなわち、用いる絶縁性接着剤の種類によっては、接続の長期接続安定性が劣る場合があり、そのような樹脂を詳細に調べたところ、吸水率が高かったり、全塩素含有量が高かったりする場合があることが判り、これらの要件を規定することで、長期に渡り安定した接続信頼性を維持したまま、微細化に対応できる異方導電性接続フィルムを開発することができ、本発明を完成させた。
本願のように、単に導電粒子の配列を制御するという単純な工夫だけで、上記課題を解決できたことは、確率論的な問題を内在させたままであった特許文献5や、膨大でしかも延々と数が増えつづける冶具を用意しなければならず、接続ラインの生産性向上にも限界があった特許文献6の技術開示に鑑みて、当業者にとって予想だにできなかった、驚くべき発見であった。
1)導電粒子が絶縁性接着剤の表面層に単層として配置されて導電層を形成し、該導電層の少なくとも片側に、絶縁性接着剤からなる絶縁層を有してなる、厚さ方向に加圧することで導電性を有する異方導電性接着フィルムにおいて、導電粒子の中心間距離の平均が2μm以上20μm以下、かつ、導電粒子の平均粒径に対して1.5倍以上5倍以下であり、その変動係数が、0.025以上0.5以下である異方導電性接着フィルム。
2)該導電粒子の平均粒径が0.5μm以上10μm未満である上記1)記載の異方導電性接着フィルム。
3)該絶縁性接着剤の硬化後の85℃、85%RH、300時間吸水率が5質量%以下である上記1)又は2)のいずれかに記載の異方導電性接着フィルム。
4)該絶縁性接着剤に含まれる全塩素量が600ppm以下である上記1)〜3)のいずれかに記載の異方導電性接着フィルム。
5)該異方導電性接着剤の膜厚が5μm以上50μm以下である上記1)〜4)のいずれかに記載の異方導電性接着フィルム。
6)粘着剤によって導電粒子が固定されたフィルムの導電粒子側に、絶縁性接着剤を重ね、絶縁性接着剤層に導電粒子を埋め込むことを特徴とする上記1)〜5)のいずれかに記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
7)粘着剤によって導電粒子が固定された延伸可能なフィルムを延伸した後、導電粒子側に、絶縁性接着剤を重ね、絶縁性接着剤層に導電粒子を埋め込むことを特徴とする上記6)記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
本発明は、導電粒子が絶縁性接着剤に分散し、厚さ方向に加圧することで導電性を有する異方導電性接着フィルムに関する。
本発明の異方導電性接着フィルムは、絶縁性接着剤の表面層に導電粒子が単層として配置されて導電層が形成されている。
即ち、まず延伸可能なフィルム上に粘着剤を塗布し、その上に導電粒子を密に充填する。次に、粘着剤層に届かず、他の導電粒子の上に乗った導電粒子を排除する事で、密に充填された単層の導電粒子層が得られる。ここで得られた導電粒子層の乗ったフィルムを、所望の延伸倍率で延伸することで、個々の導電粒子が、本発明に必要な変動係数をもって、所望の中心間距離となる様に配置される。次に、延伸したフィルムの導電粒子が配置された側に、絶縁性接着剤層を重ね、絶縁性接着剤層に導電粒子を埋め込むことで、本発明の異方導電性接着フィルムが得られる。一般に異方導電性接着フィルムは、所望の幅にスリットされ、リール状に巻き取られる。
延伸は縦方向延伸と横方向延伸の両方が行われる、所謂、2軸延伸であり、公知の方法で実施することができる。例えば、クリップ等でフィルムの2辺または4辺を挟んで引っ張る方法や、2以上のロールで挟んでロールの回転速度を変えることで延伸する方法等が挙げられる。延伸は縦方向と横方向を同時に延伸する同時二軸延伸でも良いし、一方向を延伸した後、他方を延伸する逐次ニ軸延伸でも良い。延伸時の導電粒子の配列乱れを起こし難いので同時ニ軸延伸が好ましい。延伸を精度良く行うために、延伸可能なフィルムを軟化させて行うのが好ましく、使用する延伸可能なフィルムによるが、例えば、70℃以上250℃以下で延伸を行うのが好ましい。
本発明の異方導電性接着フィルムにおいて、導電粒子を絶縁性接着剤の表層に単層として配列させる他の方法としては、導電粒子の平均粒子径よりも小さく、所望の中心間距離と中心間距離の変動係数を有する吸引孔を多数設けた吸引治具に導電粒子を吸引し、絶縁性接着剤に転写する方法が挙げられる。
ここで用いられる吸引治具の吸引孔の内径は導電粒子の平均粒子径よりも小さいことが必要であり、導電粒子の平均粒粒子径の90%以下が好ましい。30%〜80%の径が更に好ましい。
ここで用いられる吸引治具は、例えば、吸引孔をなす貫通孔が所定の配置で形成された孔開きシート部品と、真空ポンプ等の吸引機構に接続する接続口と孔開きシート部品を保持する部分を有するハウジング部から構成された治具が挙げられる。
上記板状物の材料としては、ポリイミド以外にも、各種液晶ポリマー、アラミド、ポリエステル等の寸法安定性の良い樹脂を使用することができる。また、合成樹脂以外にも、ニッケル、クロム、タングステン等の金属、シリコン等の半導体が挙げられる。この方法によれば、数μm程度の微小な貫通孔が所定配置で形成されている孔開きシート部品が容易に得られる。
吸引治具を用いて、本発明の異方導電性接着フィルムを製造する方法としては、吸引治具を真空ポンプ等の吸引機構に接続し、孔開きシート部品側を、多数の導電粒子が入った容器内に挿入し、吸引状態にして、全ての吸引孔に導電粒子が吸着されるようにし、吸引孔以外の部分に付着した導電粒子をエアーブロー等の手段で除去する。
次に、絶縁性接着剤を、孔開きシート部品の導電粒子を吸着している面に向けて押し付ける。次に、吸引状態を解除し、絶縁性接着剤を孔開きシート部品から引き離すことで導電粒子は絶縁性接着剤に所定の配置で転写される。これで導電粒子は絶縁性接着剤の表面層に単層として所定配置される。導電粒子の絶縁性接着剤中への埋め込みが不十分であれば、表面にPETフィルム等のカバーを掛けてロール等で埋め込むことができる。得られた本発明の異方導電性接着フィルムは所望の幅にスリットされる。
金属粒子としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、錫、鉛、半田、インジウム、パラジウム等の単体や、2種以上のこれらの金属が層状あるいは傾斜状に組み合わされている粒子が例示される。
高分子核材に金属薄膜を被覆した粒子としては、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ジビニルベンゼン架橋体、NBR、SBR等のポリマーの中から1種あるいは2種以上組み合わせた高分子核材に、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、錫、鉛、半田、インジウム、パラジウム等の中から1種あるいは2種以上組み合わせてメッキ等により金属被覆した粒子が例示される。金属薄膜の厚さは0.005μm以上1μm以下の範囲が、接続安定性と粒子の凝集性の観点から好ましい。金属薄膜は均一に被覆されていることが接続安定性上好ましい。これら導電粒子の表面を更に絶縁被覆した粒子も使用することができる。
導電粒子の平均粒子径は、0.5μm以上10μm未満の範囲が粒子の凝集性と異方導電性の観点から好ましい。更に好ましくは0.7μm以上7μm未満、更に好ましくは1μm以上6μm未満、更に好ましくは1.5μm以上5.5μm未満、更に好ましくは1.8μm以上5.2μm未満である。導電粒子の粒子径分布の標準偏差は平均粒子径の50%以下が好ましい。
絶縁層は、絶縁性接着剤からなり、該絶縁性接着剤は、上記に示した導電層の絶縁性接着剤の中から適宜選ばれる。
該絶縁層の製作方法としては、上記導電層の少なくとも片側にラミネート等の方法により接着させても良いし、上記導電層は、導電粒子が絶縁性接着剤の表面層に単層で配置されているため、該絶縁性接着剤の表面より内側の部分は絶縁層になっており、これを以って絶縁層としても良い。
さらに、該導電層と該絶縁層の繰り返しを何層かに渡って積層しても良いし、導電層と絶縁層の中間に、例えば、熱可塑性樹脂などからなる中間層を有していても良い。
絶縁性繊維は、該絶縁性接着剤の強度を増すことで、基板との熱膨張率の差に由来する応力や剥離を防止する効果が期待できて好ましく、不織布でも織布でも、絶縁性を有するならば使用することができ、例えば、ガラス、セラミック、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素などの無機物の繊維状物、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ケブラー、シリコーンカーバイドなどの有機物の繊維状物などが例示される。
無機微粒子も、絶縁性繊維と同様の効果が期待できて好ましく、例えば、シリカ、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、アルミナ、砂、タルク、金属粉末、エロジール等の微粒子が挙げられる。
吸水率が5%を超えて高いと、長期接続安定性が保持できず好ましくない。
本発明のもう一つの重要な要件は、該絶縁性接着剤の全塩素量であって、該絶縁性接着剤中に含まれる有機塩素および無機塩素の総量のことであり、該絶縁性接着剤の樹脂(好ましくは前記エポキシ樹脂)に対する質量基準の値である。具体的には、試料1gを25mlのエチレングリコールモノブチルエーテルに溶解し、これに1規定水酸化カリウム/プロピレングリコール溶液25mlを加えて20分間煮沸した後、硝酸銀水溶液で滴定した値である。具体的数値としては、全塩素量は600ppm以下であり、好ましくは450ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下で0に近い程良い。
全塩素量が600ppmを超えて多いと、長期接続安定性が保持できず好ましくない。
絶縁性接着剤には、さらに、絶縁粒子、充填剤、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤、カップリング剤等を含有することもできる。絶縁粒子や充填剤を含有する場合、これらの最大径は導電粒子の平均粒径未満である事が好ましい。カップリング剤としてはケチミン基、ビニル基、アクリル基、アミノ基、エポキシ基及びイソシアネート基含有シランカップリング剤が、接着性の向上の点から好ましい。
絶縁性接着剤は単一組成であっても構わないし、異なる組成の接着剤が2層以上積層されていても構わない。単一組成のほうが、内部応力の蓄積がなく好ましい。
絶縁性接着剤の製造は、例えば、各成分を溶剤中で混合、塗工液を作成し、基材上にアプリケーター塗装等により塗工、オーブン中で溶剤を揮散させる事で製造できる。
本発明の異方導電性接着フィルムの厚みは、5μm以上50μm以下が好ましく、更に好ましくは6μm以上35μm以下、更に好ましくは7μm以上25μm以下、更に好ましくは8μm以上20μm以下である。
このようにして製造された本発明の異方導電性接着フィルムは、線幅10μクラスのファインピッチ接続用に好適に用いることができ、液晶ディスプレイとTCP、TCPとFPC、FPCとプリント配線基板との接続、あるいは、半導体シリコンチップを直接基板に実装するフリップチップ実装に好適に用いることができる。
a.吸水率
85℃、相対湿度85%RHの恒温槽中に300時間放置し、質量の増加分を吸水率とした。
b.全塩素量
試料1gを25mlのエチレングリコールモノブチルエーテルに溶解し、これに1規定KOH/プロピレングリコール溶液25mlを加えて20分間煮沸した後、硝酸銀水溶液で滴定して求めた。
フェノキシ樹脂(東都化成株式会社製、商品名:フェノトートYP50)100質量部、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:AER2603)50質量部、マイクロカプセル型潜在性硬化剤と液状エポキシ樹脂の混合物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:ノバキュアHX−3941HP)50質量部、酢酸エチル200質量部を混合し、接着剤ワニスを得た。この接着剤ワニスを離型処理した50μmのPETフィルム製セパレーター上にブレードコーターを用いて塗布、溶剤を乾燥除去して、平均膜厚20μmのフィルム状の絶縁性接着剤Aを得た。
250μm無延伸ポリプロピレンフィルム上に、アクリル系の粘着剤を塗布、乾燥し、2μmの粘着剤層を有するフィルムを得た。このフィルム上に、プラスチック粒子を平均厚さ0.11μmのNi/Auメッキで被覆して得られる平均粒径5μm、標準偏差0.1μmの導電粒子を密に充填した後、エアーブローにより粘着剤層に到達していない導電粒子を排除した。
得られた異方導電性接着フィルムaをマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、商品名:VHX−100、以下同じ)で観察した結果、絶縁性接着剤Aの表面に導電粒子が単層で配置され、導電粒子は絶縁性接着剤Aに完全に埋め込まれ、絶縁性接着剤Aの表面と導電粒子の間に0.2μm以下の絶縁性接着剤Aの層が存在した。またマイクロスコープで得られた画像から、画像処理ソフト(旭化成株式会社製、商品名:A像くん、以下同じ)を用いて、導電粒子の中心間距離の平均値およびその変動係数を求めた結果、平均値が12.4μm、変動係数が0.18であった。尚、導電粒子の中心間距離は、各粒子の中心点を用いたデローニ三角分割でできる三角形の辺の長さを使用し、0.06mm2内の粒子について測定した。
プラスチック粒子を平均厚さ0.11μmのNi/Auメッキで被覆して得られる平均粒径3μmの導電粒子を用い、導電粒子の充填度合いと延伸倍率をコントロールした以外は、実施例1と同様にして異方導電性接着フィルムを得、実施例1と同様にして、導電粒子の中心間距離の測定と接続抵抗測定および絶縁抵抗測定を実施した。結果を表1に示す。
金属マスクを通してエキシマレーザーを照射することにより、直径3μmの貫通孔を中心間距離の平均値が12.5μm、中心間距離の変動係数が0.18となる様に形成した25μm厚のポリイミドフィルムを作成し、それを孔開きシート部品とする吸引治具の全ての吸引孔に、実施例1で用いた導電粒子を吸引し、吸引孔以外の部分に付着した導電粒子をエアーブローにより除去した。次に、実施例1で得られたセパレーター付の絶縁性接着剤Aの接着剤面を吸引治具の導電粒子を吸着している面に押し付け、吸引状態を解除し、絶縁性接着剤Aを吸引治具から引き離すことで、導電粒子が絶縁性接着剤Aに転写した。更に転写された導電粒子の上に38μmのシリコーン処理されたPETフィルムをカバーとして掛けて、ローラーを用いて導電粒子を絶縁性接着剤の表面層に埋め込み、異方導電性接着フィルムを得た。実施例1と同様にして、導電粒子の中心間距離の測定と接続抵抗測定および絶縁抵抗測定を実施した。結果を表1に示す。
粘着剤を塗布した無延伸ポリプロピレンフィルム上への導電粒子の充填密度を下げて、2.1倍に延伸した以外は実施例1と同様にして異方導電性接着フィルムを得、実施例1と同様にして、導電粒子の中心間距離の測定と接続抵抗測定および絶縁抵抗測定を実施した。結果を表1に示す。表1に示した様に、比較例1で用いた異方導電性接着フィルムは、導電粒子の中心間距離の変動係数が大き過ぎるために、デイジーチェーン回路の接続不良による接続抵抗の増大と、櫛型電極間のショートが発生し、ファインピッチ用途には適さなかった。
未延伸フィルムへの導電粒子の充填方法を下記の様に変更した以外は実施例1と同様にして異方導電性接着フィルムを得た。即ち、四方枠の付いた20cm角の平坦なステンレス板の上に、プラスチック粒子を平均厚さ0.11μmのNi/Auメッキで被覆して得られる平均粒径5μm、標準偏差0.1μmの導電粒子0.396gを充填し、30分間振動を与えて導電粒子を単層に充填した。充填された導電粒子を、実施例1で使用した粘着剤が塗布された無延伸ポリプロピレンフィルムに転写し、導電粒子が付着した未延伸フィルムを得た。以下、実施例1と同様の方法で異方導電性接着フィルムを得た。得られた異方導電性接着フィルムを用いて、実施例1と同様にして、導電粒子の中心間距離の測定と接続抵抗測定および絶縁抵抗測定を実施した。結果を表1に示す。表1に示した様に、比較例2で使用した異方導電性接着フィルムは、導電粒子の中心間距離の変動係数が小さ過ぎるために、導電粒子の中心間距離の平均値に近い電極幅を用いた回路において、導電粒子の介在しない接続部ができ、接続不良による不具合が発生した。
実施例1で得た異方導電性接着フィルムaの導電粒子側に、更に、絶縁性接着剤Aをラミネートして、厚さ方向のほぼ中間部に単層として導電粒子が存在する異方導電性接着フィルムを得、実施例1と同様にして、導電粒子の中心間距離の測定と接続抵抗測定および絶縁抵抗測定を実施した。結果を表1に示す。表1に示した様に、比較例3で用いた異方導電性接着フィルムは導電粒子が表面層に存在せず中間部に存在するため、接続時に導電粒子が接続部以外に流れ出してしまい、接続部に導電粒子が存在しないために、デイジーチェーン回路の接続不良と言う不具合が発生した。
孔開きシート部品に開けた貫通孔の中心間距離の変動係数を0.01にした以外は実施例5と同様にして、異方導電性接着フィルムを得た。得られた異方導電性接着フィルムを用いて、実施例1と同様にして、導電粒子の中心間距離の測定と接続抵抗測定および絶縁抵抗測定を実施した。結果を表1に示す。表1に示した様に、比較例4で使用した異方導電性接着フィルムは、導電粒子の中心間距離の変動係数が小さ過ぎるために、導電粒子の中心間距離の平均値に近い電極幅を用いた回路において、導電粒子の介在しない接続部ができ、接続不良による不具合が発生した。
孔開きシート部品に開けた貫通孔の中心間距離の変動係数を0.65にした以外は実施例5と同様にして、異方導電性接着フィルムを得た。得られた異方導電性接着フィルムを用いて、実施例1と同様にして、導電粒子の中心間距離の測定と接続抵抗測定および絶縁抵抗測定を実施した。結果を表1に示す。表1に示した様に、比較例5で用いた異方導電性接着フィルムは、導電粒子の中心間距離の変動係数が大き過ぎるために、デイジーチェーン回路の接続不良による接続抵抗の増大と、櫛型電極間のショートが発生し、ファインピッチ用途には適さなかった。
フェノキシ樹脂(全塩素量750ppm、分子量53000)100質量部、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(全塩素量20ppm、エポキシ当量185)50部、マイクロカプセル型潜在性硬化剤と液状エポキシ樹脂の混合物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:ノバキュア 全塩素量500ppm)50部、酢酸エチル200部を混合し、接着剤ワニスを得た。この接着剤ワニスを離型処理した厚さ50μmのPETフィルム製セパレーター上にブレードコーターを用いて塗布、溶剤を乾燥除去して、平均膜厚20μmのフィルム状の絶縁性接着剤Bを得た。
該絶縁性接着剤Bの塩素量は500ppmであった。
該絶縁性接着剤Bを190℃、1分で硬化させた後の85℃、85%RH、300時間の加湿試験後の吸水率は1.6質量%であった。
次に、実施例1で用いたベアチップ1とそれに対応するITOガラス基板準備し、実施例1と同様にして、接続抵抗測定と絶縁抵抗測定を行った。デイジーチェーン回路は導通がとれすべての接続が行われていることを示した。一方、櫛形電極の絶縁抵抗は109以上であり、隣接電極間でショートの発生はなかった。
長期接続信頼性は、85℃、85%RHで300時間の加湿後の接続試験と、85℃、85%RH、15Vで300時間後の絶縁試験により評価した。接続試験では、デイジーチェーン回路は導通がとれ、接続は維持されていた。一方、絶縁試験では、櫛形電極の絶縁抵抗は109以上を維持し、隣接電極間でショートの発生はなく、長期接続信頼性を有していた。
フェノキシ樹脂の代わりにジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂(大日本化学工業株式会社製、商品名:エピクロンN−665)を用いた以外は、実施例6と同様にして絶縁性接着剤を得、更に異方導電性接着フィルムを製作し、実施例6と同様に評価した。
該絶縁性接着剤の全塩素量は250ppmであり、190℃、1分で硬化させた後の85℃、85%RH、300時間での吸水率は5.3質量%であった。
長期接続信頼性の結果は、接続試験ではデイジーチェーン回路がオープンとなり、一方、絶縁試験では櫛形電極の絶縁抵抗は108に低下しており、長期接続信頼性は得られなかった。
フェノキシ樹脂の代わりにビフェニル系エポキシ樹脂(JER株式会社製、商品名:エピコートYL6121H)を用いた以外は、実施例6と同様にして異方導電性接着フィルムを製作し、実施例6と同様に評価した。
該絶縁性接着剤の全塩素量は850ppmであり、190℃、1分で硬化させた後の85℃、85%RH、300時間での吸水率は1.0質量%であった。
長期接続信頼性の結果は、絶縁試験では櫛形電極の絶縁抵抗は109以上を維持し、隣接電極間でショートの発生はなかったが、接続試験ではデイジーチェーン回路がオープンとなり、長期接続信頼性は得られなかった。
Claims (7)
- 導電粒子が絶縁性接着剤の表面層に単層として配置されて導電層を形成し、該導電層の少なくとも片側に、絶縁性接着剤からなる絶縁層を有してなる、厚さ方向に加圧することで導電性を有する異方導電性接着フィルムにおいて、導電粒子の中心間距離の平均が2μm以上20μm以下、かつ、導電粒子の平均粒径に対して1.5倍以上5倍以下であり、その変動係数が、0.025以上0.5以下である異方導電性接着フィルム。
- 該導電粒子の平均粒径が0.5μm以上10μm未満である請求項1記載の異方導電性接着フィルム。
- 該絶縁性接着剤の硬化後の85℃、85%RH、300時間吸水率が5質量%以下である請求項1又は2のいずれかに記載の異方導電性接着フィルム。
- 該絶縁性接着剤に含まれる全塩素量が600ppm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の異方導電性接着フィルム。
- 該異方導電性接着剤の膜厚が5μm以上50μm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の異方導電性接着フィルム。
- 粘着剤によって導電粒子が固定されたフィルムの導電粒子側に、絶縁性接着剤を重ね、絶縁性接着剤層に導電粒子を埋め込むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
- 粘着剤によって導電粒子が固定された延伸可能なフィルムを延伸した後、導電粒子側に、絶縁性接着剤を重ね、絶縁性接着剤層に導電粒子を埋め込むことを特徴とする請求項6記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
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