JP2010247397A - 擬似藺草の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】畳表を織製するのに適した擬似藺草を容易に製造することのできる擬似藺草の製造方法を提供する。
【解決手段】延伸された樹脂テープを第一の加熱金型10に導入して温度Tでフィラメント状に融着させることにより、擬似藺草100の中芯部を得る融着工程と、第一の加熱金型10から導出された中芯部を第一の加熱金型10とは別の第二の加熱金型20に導入することにより、その外面に樹脂を温度Tで延伸を受けない状態で溶融接着してコーティング部を形成するコーティング工程と、第二の加熱金型20から導出された擬似藺草100のコーティング部を温度Tで冷却する第一次冷却工程と、を経て擬似藺草を製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、畳表などに使用される擬似藺草の製造方法に関する。
かつて、畳表は、天然藺草を織製したものが殆どであった。しかし、天然藺草を織製した畳表は、ダニなどの害虫が発生しやすい、日光などによって変色しやすい、天然藺草の供給が不安定で価格が変動しやすい、などの欠点を有していた。このため、近年は、合成樹脂などの人工素材を藺草状(フィラメント状)に成形したもの(以下、「擬似藺草」と呼ぶ。)に対する需要が高まってきており、種々の擬似藺草が提案されるようになってきている。
例えば、ポリプロピレンやポリエチレンなどの熱可塑性樹脂を押出成形することによりフィラメント状に成形した擬似藺草(以下、「押出成形タイプの擬似藺草」と呼ぶ。)が知られている(例えば特許文献1)。押出成形タイプの擬似藺草を織製した畳表は、毛羽立ちがなく耐摩耗性に優れているだけでなく、擬似藺草(緯糸)が綿糸(経糸)に食い込みにくく織り目が立ちやすいので、クッション性に優れている、見た目が綺麗である、などの長所を有している。
しかし、押出成形タイプの擬似藺草を織製した畳表は、自然な風合の色むらを出しにくく、人工的で単調な見た目となりやすいため、それを敬遠する消費者も多かった。また、押出成形タイプの擬似藺草を織製した畳表には、寸法安定性が悪い(温度が上昇すると伸びる)という欠点があった。加えて、押出成形タイプの擬似藺草を織製した畳表は、擬似藺草(緯糸)が綿糸(経糸)に食い込みにくいので、ほつれやすい、局所的な荷重によって傷が付きやすい(ヘタリに弱い)、などの欠点も有しており、必ずしも耐久性に優れたものとは言えなかった。
また、延伸された熱可塑性樹脂フィルムを所定幅にスリットした樹脂テープを加熱金型に挿通して融着することによりフィラメント状に成形した擬似藺草(以下、「融着成形タイプの擬似藺草」と呼ぶ。)も既に知られている(例えば特許文献2)。融着成形タイプの擬似藺草を織製した畳表は、色むらを出しやすく自然な風合となりやすい、擬似藺草(緯糸)と綿糸(経糸)が食い込みやすくほつれにくい、局所的な荷重によっても傷が付きにくい(ヘタリに強い)、などの利点を有している。
しかし、融着成形タイプの擬似藺草を織製した畳表は、自然な風合にはなるものの、色むらが多すぎて、新品であっても中古品であるかのような印象を与えてしまいやすかった。また、融着成形タイプの擬似藺草を織製した畳表にも、やはり寸法安定性が悪い(温度が上昇すると縮む)という欠点があった。さらに、融着成形タイプの擬似藺草を織製した畳表は、擬似藺草(緯糸)が綿糸(経糸)に食い込みやすく織り目が立ちにくいので、クッション性が悪い、毛羽立ちやすく耐摩耗性に劣る、見た目が綺麗になりにくい、などの欠点を有していた。さらに、融着成形タイプの擬似藺草は、その表面に凹凸が形成されるため、汚れが付着しやすいという欠点も有していた。
ところで、これら押出成形タイプの擬似藺草や融着成形タイプの擬似藺草を織製した畳表の欠点のうち、寸法安定性の悪さを改善するために、融着成形タイプの擬似藺草を40〜90℃程度に加温された室内において所定時間エージングすることも行われている(例えば特許文献3)。これにより、擬似藺草を、残留応力が小さく、放置しても収縮しにくい、寸法安定性に優れたものとすることが可能になる。しかし、この種の擬似藺草を製造するためには、エージング(通常、1時間以上行われる)という工程が余分に必要となるために、畳表の製造コストが増大するという欠点があった。
また、温度上昇により伸長する擬似藺草と、温度上昇により収縮する擬似藺草とを交織した畳表も既に知られている(例えば特許文献4)。これにより、畳表を寸法安定性に優れたものとすることが可能になる。しかし、この種の畳表において、自然な風合や、美しい見た目を実現しようとすると、その織面を美しく仕上げるために各擬似藺草(緯糸)の硬さを合わせなければならないなど、製造上の制約が多かった。また、伸縮具合の異なる擬似藺草を交織しただけでは、耐摩耗性やクッション性の向上、ヘタリやほつれの防止に関しては、特段の効果は得られなかった。
このような実状に鑑みてか、これまでには、延伸された樹脂テープを加熱金型に導入してフィラメント状に融着する際に、その外面にコーティングを施した擬似藺草が提案されている(例えば、特許文献5,6)。これにより、コーティングが施されていない融着成形タイプの擬似藺草などを使用した場合よりも、畳表の耐久性や寸法安定性を向上することが可能になる。また、擬似藺草の表皮を樹脂テープではなくコーティング部で形成するようになるので、加熱金型における樹脂テープ導入口の断面積に対する樹脂テープの断面積の比を小さ目に設定して擬似藺草の中芯部の空隙率を高めることにより、畳表のクッション性を改善することも可能となる。さらに、汚れが付着しにくく清潔に保つことの可能な畳表を得ることも可能になる。
しかし、特許文献5,6の擬似藺草の製造方法では、中芯部の融着成形とコーティング部の溶融接着を同じ加熱金型で同時に行うので、融着成形を行う温度(以下、「融着温度」と呼ぶことがある。)とコーティングを行う温度(以下、「コーティング温度」と呼ぶことがある。)に差を設けることができなかった。このため、融着温度をコーティング温度に合わせて低目に設定するような場合には、加熱金型に導入する樹脂テープにスプリット加工を施して切れ目を入れ、該樹脂テープを予め網状にしておくなど、樹脂テープが融着しやすくするための工夫を施さなければ、擬似藺草を細く形成することができないという欠点があった。実際に、特許文献6の擬似藺草の製造方法は、樹脂テープに切れ目を入れて網状とすることが必須条件となっている。
ところが、樹脂テープを切れ目の入った網状のものにすると、樹脂テープが融着しやすくなるものの、樹脂テープの引張強度が低下してしまい、融着成形時に樹脂テープが切れるおそれがあった。このため、樹脂テープを切れ目の入った網状のものとした場合には、フィラメント状に細くされた樹脂テープ(中芯部)の外面を強く融着できなくなるという欠点があり、結果的に、中芯部の外面が不規則に乱れて汚くなりやすく、そのように汚い面にコーティングを施しても、得られる擬似藺草の見た目が悪くなるという問題があった。
特許文献5,6の擬似藺草の製造方法においても、(1)加熱金型を通過させる樹脂テープの速度(以下、「融着速度」と呼ぶことがある。)を遅くするか、(2)樹脂テープを加熱金型に通す距離(以下、「融着距離」と呼ぶことがある。)を長くするか、(3)融着温度を高くするなどすれば、中芯部の外面にコーティング部を強く溶融接着させることが可能になる。しかし、(1)の場合には生産速度が低下する、(2)の場合には加熱金型を通過する際に樹脂テープ(中芯部)が切れやすくなる、(3)の場合にはコーティング部に使用する樹脂(コーティング樹脂)の種類が高温で加工できるものに限定されるなど、また別の問題が生じる。
また、特許文献7には、特許文献5の擬似藺草のように、その主原料が熱可塑性樹脂である擬似藺草を織製して得た畳表を高温になりやすい環境化で使用すると、擬似藺草が伸びて畳表に凹凸が形成されるフクレ現象が発生しやすくなることが記載されており(延伸された熱可塑性樹脂は、通常、縮みに悩まされるものの、特許文献5と同じ出願人による特許文献7では、特許文献5の擬似藺草の伸び(畳表のフクレ現象)を問題にしていることから、特許文献5の擬似藺草は、熱可塑性樹脂で中芯部を形成した後に、アニールやエージングなどを強く行っていることが予想される。)、そのフクレ現象の発生を抑えるために、中芯部とコーティング部との間にホットメルト接着剤を介在させることが記載されている。しかし、この場合には、ホットメルト接着剤を塗布する工程が必要となるため、擬似藺草の製造工程が複雑になる。
実公昭43−009914号公報 特開平05−220869号公報 特開2005−305862号公報 実公昭51−047361号公報 特開平06−041809号公報 韓国特許公開第10−2004−0013484号公報 特開2006−207059号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、適度な色むらで天然藺草に近い風合を醸し出し、見た目が綺麗であることに加えて、耐磨耗性、耐久性、クッション性及び寸法安定性のいずれにも優れ、また汚れが付着しにくく清潔に保つことも可能であり、さらには中芯部やコーティング部の融着速度を速めて擬似藺草の生産速度を向上させることや、加熱金型を通過する際の樹脂テープ(中芯部)の切断(芯切れ)を防止することや、コーティング部に使用する樹脂の種類の選択の幅を広げることなども可能であり、畳表を織製するのに適した擬似藺草を容易に製造することのできる擬似藺草の製造方法を提供するものである。
上記課題は、(a)延伸された樹脂テープを第一の加熱金型に導入して温度Tでフィラメント状に融着させることにより、擬似藺草の中芯部を得る融着工程と、(b)第一の加熱金型から導出された中芯部を第一の加熱金型とは別の第二の加熱金型に導入することにより、中芯部の外面に樹脂(コーティング樹脂)を温度T(≠T)で延伸を受けない状態で溶融接着してコーティング部を形成するコーティング工程と、(c)第二の加熱金型から導出された擬似藺草のコーティング部を温度T(<T)で冷却する第一次冷却工程と、を経ることを特徴とする擬似藺草の製造方法を提供することによって解決される。ここで、「延伸を受けない状態で」とは、中芯部の外面に溶融接着するコーティング樹脂を、その配向性の高まりによって毛羽立ちが発生する程度の高い倍率で延伸しないことを意味する。すなわち、第二の加熱金型の構造などによってコーティング樹脂に不可避的に生じる低倍率の延伸は、「延伸を受けない状態で」に含まれるものとする。
このように、融着工程とコーティング工程とを別の加熱金型で行うことにより、コーティングする際よりも高い温度で融着成形するなど、融着成形を行う温度Tとコーティングを行う温度Tとに差を設けることが可能になる。このため、樹脂テープに予め切れ目を入れて網状にするなどの前処理をしておかなくても、樹脂テープをフィラメント状に融着することが可能になり、中芯部の外面を綺麗に形成し、該外面に対してコーティング部を強くかつ綺麗に溶融接着することが可能になる。したがって、見た目が綺麗であるだけでなく、中芯部とコーティング部との間にホットメルト樹脂などを介在させなくてもフクレ現象が発生しないなど、寸法安定性に優れた畳表を得ることも可能になる。また、融着温度Tとコーティング温度Tとを独立して設定できるようにしたことにより、中芯部の芯切れを防止したり、擬似藺草の生産速度を向上したり、コーティング樹脂の選択性を拡大したりすることも可能になる。
本発明の擬似藺草の製造方法において、融着温度T及びコーティング温度Tをどの程度に設定するかは、樹脂テープの素材や形態などによっても異なり、特に限定されない。しかし、融着温度Tとコーティング温度Tとを独立して設定できるという本発明の利点を活かすためには、融着温度Tを250℃以上に設定し、コーティング温度Tを融着温度Tよりも20℃以上低く設定すると好ましい。これにより、第一又は第二の加熱金型を通過する擬似藺草の送り速度Vを50m/分以上に設定して生産速度を速めても、品質に優れた擬似藺草を得ることが可能になる。樹脂テープやコーティングを形成する樹脂として、ポリプロピレンやポリエチレンなどの一般的な熱可塑性樹脂を採用した場合には、融着温度Tを250〜350℃に設定し、コーティング温度Tを180〜250℃に設定すると好ましい。
ところで、本発明の擬似藺草の製造方法において、第一の加熱金型と第二の加熱金型との距離を長くして、擬似藺草の中芯部が第一の加熱金型から導出されて第二の加熱金型に導入されるまでの時間が長くなりすぎると、中芯部表面の温度が低下してしまい、その外面にコーティング樹脂を接着できなくなり、擬似藺草の寸法安定性が悪くなるおそれがある。このため、第一の加熱金型と第二の加熱金型は、できるだけ近い距離に配すると好ましい。具体的にどの程度の距離とするかは、擬似藺草の送り速度などによっても異なるが、第一の加熱金型を導出されてから第二の加熱金型に導入されるまでの擬似藺草の中芯部表面の温度降下が25℃以下で抑えられるように設定すると好ましい。擬似藺草の中芯部を形成する樹脂テープには、低融点の粘着性物質を予め練り込んでおくと、中芯部とコーティング部の接着性を高めることもできる。
本発明の擬似藺草の製造方法において、第一の加熱金型に導入する樹脂テープの太さや、第一の加熱金型における樹脂テープ導入口の直径は、擬似藺草を使用する製品の用途などによって異なり、特に限定されない。しかし、品質に優れた擬似藺草を得るためには、第一の加熱金型に導入する樹脂テープの太さを2800〜6000デシテックスとし、第一の加熱金型における樹脂テープ導入口の直径を0.6〜1.2mmとし、かつ第一の加熱金型の樹脂テープ導入口の断面積Sに対する樹脂テープの断面積Sの比S/S(以下、「占有比」と呼ぶことがある。)を0.4〜0.7とすると好ましい。
本発明の擬似藺草の製造方法において、第一の加熱金型に導入される樹脂テープの原料や、その延伸倍率などの成形条件も、擬似藺草を使用する製品の用途などによって異なり、特に限定されない。しかし、耐磨耗性などに優れた畳表を織製できる擬似藺草を得るためには、第一の加熱金型に導入される樹脂テープとして、熱可塑性樹脂100重量部に対して無機フィラーを10〜45重量部、顔料0〜3重量部、光安定剤0〜3重量部をそれぞれ配合した原料を溶融して押し出したフィルムを所定幅にスリットしてテープ状とし、5〜10倍に延伸した後、アニールを行って5〜12%縮めたものを用いると好ましい。
本発明の擬似藺草の製造方法において、第一の加熱金型から導出された擬似藺草の中芯部の外面に延伸を受けない状態でコーティングされる樹脂(コーティング樹脂)の原料も、擬似藺草を使用する製品の用途などによって異なり、特に限定されない。しかし、耐磨耗性などに優れた畳表を織製できる擬似藺草を得るためには、第一の加熱金型から導出された擬似藺草の中芯部の外面にコーティングされるコーティング樹脂として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(ブロックPP)100重量部に対して顔料を0〜3重量部、光安定剤を0.1〜3重量部、防炎剤0〜3重量部をそれぞれ配合したものを用いると好ましい。
ところで、本発明の擬似藺草の製造方法においては、温度T(冷却温度)を100℃に近い値に設定しておくと、第二の加熱金型から導出された擬似藺草の中芯部に残存する熱歪みや残留応力を取り除くアニール工程を第一次冷却工程と同時に行うことも可能である。しかし、擬似藺草の寸法安定性や擬似藺草の中芯部とコーティング部の接着性などを考慮すると、第一次冷却工程とは別に、(d)第一次冷却工程を終えた擬似藺草の中芯部を温度T(T<T<100℃)でアニールするアニール工程を設けることが好ましい。
以上のように、本発明によって、適度な色むらで天然藺草に近い風合を醸し出し、見た目が綺麗であることに加えて、耐磨耗性、耐久性、クッション性及び寸法安定性のいずれにも優れ、また汚れが付着しにくく清潔に保つことも可能であり、さらには中芯部やコーティング部の加工速度を速めて擬似藺草の生産速度を向上させることや、加熱金型を通過する際の樹脂テープ(中芯部)の切断(芯切れ)を防止することや、コーティング部に使用する樹脂の種類の選択の幅を広げることなども可能であり、畳表を織製するのに適した擬似藺草を容易に製造することのできる擬似藺草の製造方法を提供することが可能になる。
本発明の擬似藺草の製造方法の好適な実施態様を説明する図である。 本発明の擬似藺草の製造方法を用いて製造した擬似藺草の拡大断面図である。 磨耗試験後の試験片S(実施例1)を撮影した写真である。 磨耗試験後の試験片S(比較例1)を撮影した写真である。 磨耗試験後の試験片S(比較例2)を撮影した写真である。 磨耗試験後の試験片S(比較例3)を撮影した写真である。
1.擬似藺草の製造方法の概要
本実施態様の擬似藺草の製造方法は、図1に示すように、
(a)延伸された樹脂テープを第一の加熱金型10に導入して温度Tでフィラメント状に融着させることにより、擬似藺草100の中芯部101(図2を参照)を得る融着工程と、
(b)第一の加熱金型10から導出された中芯部101を第一の加熱金型10とは別の第二の加熱金型20に導入することにより、中芯部101の外面に樹脂(コーティング樹脂)を温度T(≠T)で延伸を受けない状態で溶融接着してコーティング部102(図2を参照)を形成するコーティング工程と、
(c)第二の加熱金型20から導出された擬似藺草100のコーティング部102を温度T(<T)で冷却する第一次冷却工程と、
(d)第一次冷却工程を終えた擬似藺草100の中芯部101を温度T(T<T<100℃)でアニールするアニール工程と、
(e)アニール工程を終えた擬似藺草100を温度T(<T)で冷却する第二次冷却工程と、
(f)第二次冷却工程を終えた擬似藺草100を所定の長さに切断する切断工程と、
を経ることにより、擬似藺草100を製造するものとなっている。
本実施態様の擬似藺草の製造方法において、融着工程とコーティング工程との間、第一次冷却工程とアニール工程との間、アニール工程と第二次冷却工程との間、第二次冷却工程と切断工程との間には、それぞれ引取りロール61,62,63,64を配しており、樹脂テープを各工程間で大きく撓ませることなく一定の送り速度Vで送ることができるようになっているが、引取りロール61,62,63,64を配置する箇所は、必要に応じて適宜調整することができる。例えば、第一の加熱金型10と第二の加熱金型20を近づけて配置する場合には、引取りロール61は不要になるし、第二次冷却工程を短くする場合には、引取りロール63は不要になる。
樹脂テープの送り速度Vは、特に限定されないが、遅くしすぎると、擬似藺草100の生産性が低下するおそれがある。このため、送り速度Vは、50m/分以上であると好ましい。一方、送り速度Vを速くしすぎると、樹脂テープが切れたり、中芯部101にコーティング部102を綺麗に形成できなくなるおそれがある。このため、送り速度Vは、通常、300m/分以下とされる。送り速度Vは、250m/分以下であると好ましく、200m/分以下であるとより好ましい。
2.樹脂テープ
第一の加熱金型10に導入する樹脂テープ(擬似藺草100の中芯部101を形成する樹脂テープ)の素材は、融着成形できるものであれば特に限定されない。樹脂テープの素材としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、プロピレンとエチレンの共重合体などのオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂などが例示され、これらの熱可塑性樹脂を単独で、或いは、複数の樹脂を混合して、または共重合して用いることができる。また、上記の熱可塑性樹脂などからなる主剤に、炭酸カルシウムなどの無機フィラーを配合して擬似藺草100の光沢感を減らしてより天然藺草に近い風合を醸し出したり、光安定剤を配合して擬似藺草100の耐光性を高めたり、顔料を配合して擬似藺草100を着色したりするほか、低融点の粘着性物質を配合して中芯部101とコーティング部102との接着性を高めたりすることもできる。
樹脂テープの素材として、炭酸カルシウムや、光安定剤や、顔料や、粘着性物質を配合する場合のそれぞれの配合比は、特に限定されないが、本実施態様の擬似藺草の製造方法においては、ポリプロピレンからなる主剤82重量部に対して、炭酸カルシウムを17重量部(主剤を100重量部とした場合には約20.7重量部)、顔料を1重量部(主剤を100重量部とした場合には約1.2重量部)、光安定剤を0.4重量部(主剤を100重量部とした場合には約0.6重量部)をそれぞれ配合することにより樹脂テープを成形している。すなわち、これらの材料をインフレーションフィルム製造装置(図示省略)を用いてフィルム状に成形し、スリット刃で所定幅にスリットしてテープ状に形成し、延伸工程用の第一の熱板(図示省略)で所定倍率に延伸し、アニール工程(上記(d)のアニール工程とは独立したアニール工程)用の第二の熱板(図示省略)でアニールを行ったものを樹脂テープとして使用するようになっている。本実施態様の擬似藺草の製造方法においては、延伸工程用とアニール工程とをいずれも熱板方式により行っているが、この他、ロール加熱方式やオーブン加熱方式などを採用することもできる。
このようにして得られた樹脂テープは、テープロールに巻き取られた状態で上記(a)〜(f)の工程に送られる。本発明の擬似藺草の製造方法によって得られる擬似藺草100には、別途コーティング部102が形成されるため、中芯部101を形成する樹脂テープに配合する光安定剤などの薬剤の使用量を減らすことができ、従来の擬似藺草の製造方法に比べてコストダウンを図ることができる。
テープロールに巻き取られた状態の樹脂テープの太さは、第一の加熱金型10における樹脂テープ導入口の直径などによっても異なり、特に限定されないが、擬似藺草100を天然藺草に近い太さとするためには、通常、2800〜6000デシテックスとされる。また、第一の熱板における樹脂テープの延伸倍率は、樹脂テープを形成する素材の種類によっても異なるが、通常、5〜10倍(好ましくは5.5〜8倍)とされる。第二の熱板における樹脂テープのアニール収縮率も、特に限定されないが、アニール収縮率を高くすればするほど、擬似藺草の残留応力が小さくなり、擬似藺草の寸法安定性が向上する。このため、第二の熱板における樹脂テープのアニール収縮率は、できるだけ高く設定すると好ましい。具体的に第二の熱板における樹脂テープのアニール収縮率をどの程度に設定するかは、樹脂テープを形成する素材の種類や延伸倍率によっても異なるが、6%以上とすると好ましい。本実施態様の擬似藺草の製造方法においては、樹脂テープの太さを3900デシテックスとし、第一の熱板における樹脂テープの延伸倍率を6.5倍とし、第二の熱板における樹脂テープのアニール収縮率を6.5%としている。
2.融着工程
融着工程は、テープロールから繰り出された樹脂テープを、第一の加熱金型(中芯部融着成形用金型)10における樹脂テープ導入口に導入して温度(融着温度)Tで加熱し、フィラメント状となった樹脂テープの外面を融着することにより、擬似藺草100の中芯部101を得るものとなっている。この融着工程で用いる第一の加熱金型10は、樹脂テープをフィラメント状に融着成形できるものであれば特に限定されないが、本実施態様の擬似藺草の製造方法においては、樹脂テープ導入側の内面がテーパー状に形成されて樹脂テープを円滑に導入できるようにした融着金型11を第一の加熱金型10として用いている。第一の加熱金型10における樹脂テープ導入口の直径は、特に限定されない。擬似藺草100を天然藺草に近い太さとするためには、第一の加熱金型10における樹脂テープ導入口の直径は、通常、0.6〜1.2mmとされる。
第一の加熱金型10の樹脂テープ導入口の断面積S(場所によって断面積Sが異なる場合はその最小値)に対する樹脂テープの断面積S(樹脂テープの幅×厚み(場所によって樹脂テープの厚みが異なる場合にはその平均値))の占有比S/Sは、特に限定されない。しかし、占有比S/Sを小さくしすぎると、擬似藺草が柔らかくなりすぎて、ヘタリに対しての耐久性が低下するおそれがある。このため、占有比S/Sは、通常、0.4以上とされる。占有比S/Sは、0.45以上であると好ましい。一方、占有比S/Sを高くしすぎると、樹脂テープの送り速度Vを速くすることが困難になり、擬似藺草100の生産性を高めることができないばかりか、擬似藺草100が硬くなりすぎて、クッション性に劣るものとなるおそれがある。このため、占有比S/Sは、通常、0.7以下とされる。占有比S/Sは、0.65以下であると好ましく、0.6以下であるとより好ましい。本実施態様の擬似藺草の製造方法においては、融着金型11における直径0.9mmの円形の口(樹脂テープ導入口)に対して、占有比S/Sが0.5となるような寸法の樹脂テープを使用している。
ところで、コーティング部101を有さない従来の擬似藺草では、樹脂テープのみで擬似藺草の表皮を形成する必要があったことから、占有比S/Sを高くする必要があり、比較的硬い感触の擬似藺草しか製造することができなかったが、本発明の擬似藺草の製造方法では、中芯部101の融着成形を行う第一の加熱金型10と、コーティング部102を形成する第二の加熱金型20とが分離して設けられており、融着温度Tとコーティング温度Tとを独立して制御することが可能であるため、このように占有比S/Sを低く設定して擬似藺草を製造することが可能である。
融着工程で樹脂テープを融着する温度(融着温度)Tは、第一の加熱金型10を通過する樹脂テープの送り速度Vや、樹脂テープの素材や形態などによっても異なり、特に限定されない。しかし、融着温度Tを低くしすぎると、樹脂テープをフィラメント状に融着成形しにくくなるおそれがあるし、融着温度Tを高くしすぎると、第一の加熱金型10の内部で樹脂テープが切れやすくなるおそれがある。このため、例えば、本実施態様の擬似藺草の製造方法で採用した樹脂テープのように、樹脂テープがプロピレンなどのオレフィン系樹脂を主剤とするものであり、その太さが3900デシテックス前後のものである場合には、融着温度Tは、下記表1を参考にして設定すると好ましい。樹脂テープの送り速度Vとの関係から、融着温度Tは、250℃以上であると好ましく、280℃以上であるとより好ましい。本実施態様の擬似藺草の製造方法において、融着温度Tは300℃としている。
3.コーティング工程
コーティング工程は、第一の加熱金型10から導出された中芯部101を第一の加熱金型10とは別の第二の加熱金型(コーティング部溶融接着用金型)20に導入し、中芯部101の外面に樹脂(コーティング樹脂)を温度T(≠T)で延伸を受けない状態で溶融接着することにより、擬似藺草100のコーティング部102(図2を参照)を形成するものとなっている。このコーティング工程で用いる第二の加熱金型20は、第一の加熱金型10から導出された中芯部101の外面にコーティング樹脂を形成できるものであれば特に限定されない。本実施態様の擬似藺草の製造方法においては、押出機21によるコーティング樹脂の押出方向(図1における矢印aの向き)と、コーティングされた後のコーティング樹脂の流れ方向(図1における矢印bの向き)とが略直角となるクロスヘッドダイを用いて行っている。第二の加熱金型20としてクロスヘッドダイを用いることにより、中芯部101の外面に均一かつ綺麗にコーティング部を溶融接着することが可能になる。
第二の加熱金型20に投入するコーティング樹脂の種類は、フィラメント状となった樹脂テープの外面に溶融接着できるものであれば特に限定されず、樹脂テープに用いたものと同様の素材を選択することができるが、擬似藺草の耐磨耗性や耐衝撃性を高めるために、プロピレン−エチレンブロック共重合体(ブロックPP)を主剤として用いると好ましい。主剤は、このブロックPPを単体で使用しても、十分な耐久性や風合、寸法安定性を得ることができるが、必要に応じて無機フィラーや熱可塑性エラストマーを配合して更なる品質向上を図ってもよい。また、上記の主剤に、光安定剤を配合して擬似藺草100の耐光性を高めたり、顔料を配合して擬似藺草100を着色したり、防炎剤を配合して擬似藺草100を発炎燃焼しにくいものとすることもできる。本実施態様の擬似藺草の製造方法においては、プロピレン−エチレンブロック共重合体に、顔料と光安定剤と防炎剤を配合したものをコーティング樹脂として用いている。
コーティング樹脂に、光安定剤や、顔料や、防炎剤を配合する場合のそれぞれの配合比は、特に限定されないが、本実施態様の擬似藺草の製造方法においては、プロピレン−エチレンブロック共重合体からなる主剤100重量部に対して、顔料を約0.6重量部、光安定剤を約0.4重量部、防炎剤を約1.5重量部をそれぞれ配合したものをコーティング樹脂として用いている。防炎剤は、非常に高価であるが、本発明の擬似藺草の製造方法では、コーティング樹脂のみに防炎剤を配合すればよいため、防炎剤の使用量を減らすことができる。
コーティング工程でコーティング部102を形成するコーティング温度Tは、第二の加熱金型20を通過する樹脂テープの送り速度(通常、第一の加熱金型10を通過する樹脂テープの送り速度Vに一致)や、コーティング樹脂の種類などによっても異なり、特に限定されない。しかし、コーティング温度Tを低くしすぎると、中芯部101の外面にコーティング部102を形成できなくなる。このため、コーティング樹脂として上記のブロックPPを採用した場合には、コーティング温度Tは、通常、180℃以上とされる。コーティング温度Tは、200℃以上であると好ましく、220℃以上であるとより好ましい。一方、コーティング温度Tを高くしすぎると、コーティング樹脂の粘度が低下して成形が不安定になるおそれがある。また、コーティング樹脂が熱劣化するおそれがある。このため、コーティング樹脂として上記のブロックPPを採用した場合には、コーティング温度Tは、通常、250℃以下とされる。コーティング温度Tは、245℃以下であると好ましく、240℃以下であるとより好ましい。本実施態様の擬似藺草の製造方法において、コーティング温度Tは、235℃としている。第一の加熱金型10を導出されてから第二の加熱金型20に導入されるまでの中芯部101の表面の温度降下は、25℃以下に抑えられていると好ましく、より好ましくは20℃以下、さらに好ましくは15℃以下に抑えられていると好ましい。
ところで、擬似藺草の全重量(W)に対するコーティング部の重量(W)の比(W/W)は、樹脂テープに使用する樹脂やコーティング樹脂の種類などによっても異なり、特に限定されない。しかし、延伸された樹脂テープをフィラメント状に融着することにより得た中芯部の縮もうとする力(収縮力)と、延伸を受けない状態で中芯部の外面に溶融接着されたコーティング部の伸びようとする力(伸長力)とでは、通常、中芯部の収縮力の方が勝つために、比(W/W)を小さくしすぎると、擬似藺草の寸法安定性が悪くなる(擬似藺草が縮みやすくなる)おそれがある。また、コーティング部が薄くなって剥がれやすくなり、擬似藺草の耐久性が低下するおそれがある。このため、比(W/W)は、通常、0.05以上とされる。比(W/W)は、0.15以上であると好ましく、0.25以上であるとより好ましい。
一方、擬似藺草の全重量(W)に対するコーティング部の重量(W)の比(W/W)を大きくしすぎると、中芯部の外面に表出した風合(天然藺草に近い自然な凹凸や色むらなど)がコーティング部の外面に現われなくなり、擬似藺草の外観が人工的で上述した押出成形タイプの擬似藺草と大差のないものとなってしまうおそれがある。このため、比(W/W)は、通常、0.5以下とされる。比(W/W)は、0.4以下であると好ましく、0.35以下であるとより好ましい。本実施態様の擬似藺草の製造方法において、比(W/W)は約0.33に設定している。
4.第一次冷却工程
第一次冷却工程は、第二の加熱金型20から導出された擬似藺草100のコーティング部102を温度T(<T)で冷却するものとなっている。第一次冷却工程における冷却方法は、特に限定されず、霧状の水を擬似藺草100に噴霧するなどの方法を採用してもよいが、本実施態様の擬似藺草の製造方法においては、水槽30に溜めた水の中に擬似藺草100を通すことにより冷却(水冷)するようにしている。このように、第一次冷却工程を水冷とした場合、温度T(水槽30に溜めた水の温度)は、0℃よりも高く100℃よりも低い幅広い範囲で設定することができ、20℃以下と低く設定してもよいが、次のアニール工程で擬似藺草100を再度加熱することを考慮すると、40℃以上に設定すると好ましい。温度Tは、60℃以上であるとより好ましい。本実施態様の擬似藺草の製造方法においては、擬似藺草100を80℃の水に浸漬することにより、第一次冷却工程を行っている。
5.アニール工程
アニール工程は、第一次冷却工程を終えた擬似藺草100の中芯部101を温度T(T<T<100℃)で再加熱し、中芯部101に残存する熱歪みや残留応力を取り除き、擬似藺草100の寸法安定性を高めるためのものとなっている。アニール工程における加熱方法は、特に限定されないが、本実施態様の擬似藺草の製造方法においては、水槽40に溜めた熱湯の中に擬似藺草100を通すことによりアニールを行っている。アニールを行う温度T(水槽40に溜めた熱湯の温度)は、温度Tよりも高ければ特に限定されないが、通常、70℃以上とされる。温度Tは、80℃以上であると好ましく、90℃以上であるとより好ましい。本実施態様の擬似藺草の製造方法において、温度Tは、98℃となっている。
6.第二次冷却工程
第二次冷却工程は、アニール工程を終えた擬似藺草100を温度T(<T)で冷却するものとなっている。第二次冷却工程における冷却方法は、特に限定されないが、本実施態様の擬似藺草の製造方法においては、冷風を擬似藺草100に吹き付けることにより冷却(空冷)するようにしている。温度T(冷風の温度)は、温度Tよりも低ければ特に限定されないが、通常、30℃以下とされる。温度Tは、25℃以下であると好ましく、20℃以下であるとより好ましい。本実施態様の擬似藺草の製造方法においては、擬似藺草100に18℃の冷風を吹き付けることにより、第二次冷却工程を行っている。
7.切断工程
切断工程は、第二次冷却工程を終えた擬似藺草100を所定の長さに切断するものとなっている。擬似藺草100の切断は、切断刃50を用いて行う。擬似藺草100の切断長さは、擬似藺草100の用途などによっても異なり、特に限定されないが、畳表用のものとする場合には、通常、75〜125cmとされる。
続いて、本発明の擬似藺草の性能を調べるために、擬似藺草Aを引目織りすることによって得た畳表と、擬似藺草Bを引目織りすることによって得た畳表と、擬似藺草Cを引目織りすることによって得た畳表と、擬似藺草Dを引目織りすることによって得た畳表とを、それぞれ直径14.5cmの略円形に裁断して4種類の試験片S,S,S,Sを作製した。擬似藺草A,B,C,Dの製造条件は、以下の通りである。
まず、試験片S,S,S,Sを目視により観察した。樹脂を中空フィラメント状に押出成形して得た未延伸フィラメントからなり、コーティング部を有さない擬似藺草Bを引目織りした試験片S(比較例1)は、色むらが不自然で、自然の風合が感じ取れない人工的なものとなっていた(図4を参照)。また、樹脂テープを融着成形して得た延伸フィラメントからなり、コーティング部を有さない擬似藺草Cを引目織りした試験片S(比較例2)は、自然の風合が感じ取れるものとなっているものの、色むらがありすぎて、新品であるにもかかわらず、使い古した中古品であるかのような印象を与えるものとなっていた(図5を参照)。
さらに、スプリットが形成された樹脂テープを融着成形して得た延伸フィラメントからなり、コーティング部を有する擬似藺草Cを引目織りした試験片S(比較例3)も、試験片Sと同様、自然の風合が感じ取れるものとなっているものの、色むらがありすぎて、新品であるにもかかわらず、使い古した中古品であるかのような印象を与えるものとなっていた(図Dを参照)。試験片Sを形成する擬似藺草Dは、その中芯部を形成する樹脂テープがスプリットによって網状に形成されていたため、コーティング部を有するにもかかわらず、その見た目は、コーティング部を有さない擬似藺草Cからなる試験片Sよりも悪かった。
これに対し、スプリットが形成されていない樹脂テープを融着成形して得た延伸フィラメントからなり、コーティング部を有する擬似藺草Aを引目織りした試験片S(実施例1)は、適度で自然な色むらがあり、自然な風合を感じ取れるだけでなく、特に古いといった印象もなく、上品で高級感の漂う外観となっていた(図3を参照)。
続いて、試験片S,S,S,Sに、テーバー式磨耗試験機を用いて磨耗試験を行ったところ、試験片S,S,S,Sは、それぞれ図3〜6に示す状態となった。図3は、磨耗試験後の試験片S(実施例1)を撮影した写真である。図4は、磨耗試験後の試験片S(比較例1)を撮影した写真である。図5は、磨耗試験後の試験片S(比較例2)を撮影した写真である。図6は、磨耗試験後の試験片S(比較例3)を撮影した写真である。ただし、テーバー式磨耗試験機は、安田精機製作所社製の型式「 No 101 Taber Type Abrasion Tester 」を用いた。試験条件は、荷重1000g重、回転数50回、磨耗輪H22とした。
図3〜6を見比べると、融着成形によって得た擬似藺草Cを用いた試験片S(比較例2)の表面は、激しく毛羽立っているのに対して、コーティング部を有する擬似藺草A,Dを用いた試験片S,S(実施例1及び比較例3)や、押出成形によって得た擬似藺草Bを用いた試験片S(比較例1)の表面は、あまり毛羽立っていないことが分かる。なかでも、試験片Sは、殆ど毛羽立ちがなく、痛みも最小限である。以上のことから、本発明の擬似藺草Aが、適度な色むらで天然藺草に近い風合を醸し出し、見た目が綺麗な畳表を織製できるだけでなく、耐磨耗性や耐久性に優れた畳表も織製できるものであるということが実証された。
10 第一の加熱金型(中芯部融着成形用金型)
11 融着金型
20 第二の加熱金型(コーティング部溶融接着用金型)
21 押出機
30 水槽(第一次冷却用水槽)
40 水槽(アニール工程用水槽)
50 切断刃
61 引取りロール
62 引取りロール
63 引取りロール
64 引取りロール
100 擬似藺草
101 中芯部
102 コーティング部

Claims (8)

  1. (a)延伸された樹脂テープを第一の加熱金型に導入して温度Tでフィラメント状に融着させることにより、擬似藺草の中芯部を得る融着工程と、
    (b)第一の加熱金型から導出された中芯部を第一の加熱金型とは別の第二の加熱金型に導入することにより、中芯部の外面に樹脂を温度T(≠T)で延伸を受けない状態で溶融接着してコーティング部を形成するコーティング工程と、
    を経ることを特徴とする擬似藺草の製造方法。
  2. 温度Tを250℃以上に設定し、温度Tを温度Tよりも20℃以上低く設定し、第一又は第二の加熱金型を通過する擬似藺草の送り速度Vを50m/分以上に設定する請求項1記載の擬似藺草の製造方法。
  3. 第一の加熱金型を導出されてから第二の加熱金型に導入されるまでの擬似藺草の中芯部表面の温度降下が25℃以下に抑えられた請求項1又は2記載の擬似藺草の製造方法。
  4. 第一の加熱金型に導入される樹脂テープとして、太さが2800〜6000デシテックスのものを用い、第一の加熱金型における樹脂テープ導入口の直径を0.6〜1.2mmとし、かつ第一の加熱金型の樹脂テープ導入口の断面積Sに対する樹脂テープの断面積Sの比S/Sを0.4〜0.7とした請求項1〜3いずれか記載の擬似藺草の製造方法。
  5. 第一の加熱金型に導入される樹脂テープとして、熱可塑性樹脂100重量部に対して無機フィラーを10〜45重量部、顔料0〜3重量部、光安定剤0〜3重量部をそれぞれ配合した原料を溶融して押し出したフィルムを所定幅にスリットしてテープ状とし、5〜10倍に延伸した後、アニールを行って5〜12%縮めたものを用いた請求項1〜4いずれか記載の擬似藺草の製造方法。
  6. 第一の加熱金型から導出された擬似藺草の中芯部の外面にコーティングされる樹脂として、プロピレン−エチレンブロック共重合体100重量部に対して顔料を0〜3重量部、光安定剤を0.1〜3重量部、防炎剤0〜3重量部をそれぞれ配合したものを用いる請求項1〜5いずれか記載の擬似藺草の製造方法。
  7. (c)第二の加熱金型から導出された擬似藺草のコーティング部を温度T(<T)で冷却する第一次冷却工程を経る請求項1〜6いずれか記載の擬似藺草の製造方法。
  8. (d)第一次冷却工程を終えた擬似藺草の中芯部を温度T(T<T<100℃)でアニールするアニール工程を経る請求項7記載の擬似藺草の製造方法。
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