JP2010247165A - 造船板曲げシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】製造段階における船体外板等の鋼板の三次元曲面の目標形状に対する曲がり具合を、職人技に頼ることなく、簡単、正確、かつ速やかに計測し、当該船体外板の板曲げ作業に反映させて、板曲げ作業の作業効率を向上させることができ、省資源、環境保護、技術伝承および作業データの数値管理化に有利な造船板曲げシステムを提供する。
【解決手段】三次元レーザースキャナー2によって曲げ板Sの三次元計測を行い、設計データである立体形状データを画像で三次元表示をした状態で、計測データ(点群データ)を設計データに重ね合わせ、コントロール・ポイントに最も近い計測点の計測データのZ座標値と、コントロール・ポイントの設計データのZ座標値との差を比較検証して、ロールラインを計算するようシステムを構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、造船分野における船体外板等の鋼板の板曲げ作業を行う造船板曲げシステムに関する。
船体の前後方向に細長い短冊形状の船体外板(船体外殻鋼板)の曲げ加工において従来から用いられてきた方法は、船体外板である鋼板の一枚毎の曲面の設計データ(立体形状データ)を基に、所定フレーム位置毎の目標形状となる曲げ型を作成して、それらの曲げ型を、見透しラインを形成するように鋼板のフレーム位置に並べて設置し、曲げ型と鋼板との間の隙間を目視観察し、もしくは隙間ゲージ等で計測して、曲がり具合を確認した後、鋼板上から曲げ型を撤去して、目標形状に近づくよう加熱して曲げる位置を示すロールラインを決定して鋼板上に描き、そのロールラインに沿ってバーナー等で加熱して鋼板を曲げ、鋼板を水で冷やした後、再び曲げ型を設置して、所要の形状が得られるまで同様の作業を繰り返す、というものであった。また、このような曲げ型を使用する方法では、曲げ型の作成、設置等に作業者の永年の経験による勘が必要であり、また、多くの作業時間をとられるということから、コンピュータに、目標形状データとして、三次元座標データであるCADデータ等の設計データを読み込み、計測データとして、形状計測部で実測した鋼板の三次元座標データを読み込んで、画面上で、電子的なデータを可視化して表わした図形である仮想の曲げ型(木型)を、同じく電子的なデータを可視化して表わした図形である仮想の鋼板のフレームラインに沿って転動させつつ、曲げ型と鋼板の接点を確認して所定の処理により加熱点および当該加熱点における曲げ角度を決定し、加熱線を決定するという方法も従来から知られている(例えば、特許文献1参照。)。
造船産業は、近年、規格化が行われ、部材の標準化が行われつつあるが、まだまだ、受注生産産業の色合いが強く残っており、船体外板の板曲げ作業も、船舶毎に条件が異なり、職人の熟練した技術が必要であった。そして、その造船産業は、歴史が古く、長年代々職人の間にて技術が無形にて伝承されてきていたが、近年、少子化等の関係で、職人の高齢化および人数の激減が顕著で、技術の伝承が危ぶまれており、その対策が急務となっている。また、従来から船体外板の板曲げ作業に使用している曲げ型は、その主な材料である材木の資源枯渇および価格高騰の危惧があり、環境保護の観点からも、資源の有効利用が望まれる。そして、また、造船産業は、諸外国等との競争を勝ち抜くために、一層の効率化が必要で、例えば、操船時の原油等燃料の効率的な活用を促進し、省力化、省資源化、省コスト化を図れる高機能な船舶を製造するためには、建造時の各工程で高精度な計測が必要となり、近年のトレーサビリティー化の流れの中において、建造時の各工程の作業データのデジタル保存の必要性が出てきており、造船所の効率的運用のためには、設計部門と製造部門との間での問題点の共有化が必要となっている。
特開平11−90538公報
造船分野における板曲げ作業は、現在でも、曲げ型を使用する旧来の方法で行われているが、曲げ型は、木材を使用して製作され、船舶毎に形状が異なるために、数度使用した後は焼却処分されており、資源の有効利用および環境保護の面で望ましくなく、且つ、コスト増を招いている。また、曲げ型の作成は、職人技で、曲げ型職人の技術に頼らなければならず、また、曲げ型を鋼板上に設置する際に、個人差による据付精度のバラツキがあって、品質が安定せず、見透しラインの形成作業もまた、職人技で、板曲げ職人の技術に頼らなければならず、ロールラインの指示作業もまた、職人技で、板曲げ職人の技術に頼らなければならないなど、旧来の方法による板曲げ作業は、職人(曲げ型職人、板曲げ職人)の職人技に頼っている傾向が強いにも関わらず、近年は職人の高齢化・後継者不足等が顕著となっており、職人の確保および技術の伝承が難しくなっている。また、旧来の方法による板曲げ作業には、暗黙知的な要素が多く、作業の所謂「見える化」が行われておらず、改善への取り組みが進んでいない。また、旧来の方法による板曲げ作業では、数値管理化が行われていないために、設計部門へのフィードバックが頻繁に行われず、設計部門と製造部門との間での問題点の共有化が容易でなく、問題点が表面化されにくい。
また、上記のように、鋼板を三次元計測し、コンピュータの画面上で、仮想の曲げ型を鋼板のフレームラインに沿って転動させて加熱線を決定するという方法も知られているが、この方法は、旧来の曲げ型を使用する手法を画面上で再現するというのであって、処理が複雑であるし、作業データの数値管理化に適さない。
本発明は、製造段階における船体外板等の鋼板の三次元曲面の目標形状に対する曲がり具合を、職人技に頼ることなく、簡単、正確、かつ速やかに計測し、当該船体外板の板曲げ作業に反映させて、板曲げ作業の作業効率を向上させることができ、省資源、環境保護、技術伝承および作業データの数値管理化に有利な造船板曲げシステムを提供することを目的とする。
本発明の造船板曲げシステムは、曲げ板を三次元計測装置で計測し、その三次元の計測データをコンピュータに取り込んで記憶格納させる三次元計測ステップと、計測データと設計データを比較して、三次元座標におけるZ軸座標値の差を検証する比較検証ステップとを備えたものである。
このシステムによれば、製造段階における船体外板等の鋼板の三次元曲面の目標形状に対する曲がり具合を、職人技に頼ることなく、簡単、正確、かつ速やかに検証することができる。また、曲がり型を使用しないことで、資源の有効利用および環境保護に寄与し、省力化、省資源化、省コスト化を図ることができ、また、職人の高齢化・後継者不足による技術の継承問題を解決することができる。そして、データの数値管理化が容易で、設計部門と製造部門との間での問題点の共有化も容易となる。
この造船板曲げシステムは、さらに、比較検証ステップで得た比較検証データを板曲げ作業に反映させるデータ反映ステップを備えたものとするのがよい。そうすることで、正確な比較検証データに基づいた効率の良い板曲げ作業を行うことができる。
また、この造船板曲げシステムの比較検証ステップは、事前に設計データを入力済みの三次元CAD内に計測データを取得し、両データを重複表示させることにより、その差を視覚的もしくは数値的あるいはその両方で検証可能とするのがよい。そうすることで、比較検証が容易となる。
また、この造船板曲げシステムは、曲げ板が、フレームラインが描かれた船体外板であってよく、その場合、比較検証ステップは、フレームライン上の三次元設計データと、近接する計測点の計測データを比較して、三次元座標におけるZ軸座標値の差を検証するのがよい。そうすることで、簡単、正確、かつ速やかな検証が可能である。
本発明の造船板曲げシステムによれば、製造段階における船体外板等の鋼板の三次元曲面の目標形状に対する曲がり具合を、職人技に頼ることなく、簡単、正確、かつ速やかに検証することができ、曲がり型を使用しないため、作成費用および廃棄費用を削減して、資源の有効利用および環境保護、省力化、省資源化、省コスト化を図ることができる。また、曲げ型を使用しないため、設置品質のバラツキを抑えることができ、職人の長年の経験に頼らないため、職人の高齢化・後継者不足による技術の継承問題を解決できる。そして、板曲げ作業を数値管理できて、作業の「見える化」が進み、また、数値が自動保存されることで、設計部門へのフィードバックが容易となり、設計部門と製造部門との間での問題点の共有化が容易となる。そして、板曲げ作業のトレーサビリティーが可能となる。また、mm単位での管理が可能となるため、高品質高精度での板曲げが可能で、小組工程での曲げ不足による手直し作業がなくなるため、船体の建造時間を短縮でき、コストを削減できる。
本発明の実施形態のシステムの構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態のシステムによる板曲げ作業の流れを示すフロー図である。 船体外板の設計データ(CADデータ)である立体形状データを表示した画面の概略図である。 図1の画面に、三次元レーザースキャナーで計測した計測データ(点群データ)を重ね合わせて表示した画面の概略図である。 図4の画面の一部の拡大図である。
図1〜図5は、本発明の造船板曲げシステムの実施形態の一例を示している。
この実施形態のシステムは、図1に示すとおりで、現場(板曲げ現場)と、管制室と、社内設計部門とを結んで構成されている。
現場では、タブレットPC1と、三次元レーザースキャナー2と、ロールラインポインタ3を使用する。
タブレットPC1は、曲げ板Sの三次元レーザースキャナー2による計測、ロールラインポインタ3の制御から、データ比較まで行うもので、スタート、ストップの基本操作機能と、計測位置の指定と結果表示を行うディスプレーを搭載した操作端末である。タブレットPC1には、三次元設計データと曲げ板の三次元計測データから、曲げ板Sの設計原点を基準とした相対座標(各曲げ板毎の絶対座標)を座標軸とし、X−Y座標を固定としてZ軸方向の高さデータを、決められた間隔毎に抽出する設計データ比較モジュール(SW−1)が搭載されている。
制御PC4は、三次元レーザースキャナー2およびロールラインポインタ3を制御し、データの管理および変換を行い、プリンタ5を制御して印刷を行ない、また、トランシーバ6を介してタブレットPC1との通信を行なう。制御PC4には、三次元レーザースキャナー2およびロールラインポインタ3を外部制御する制御モジュール(SW−2)と、設計部門で設計されたデータと三次元スキャナファイルと変換処理されたファイルを管理するデータ管理モジュール(SW−3)と、計測された三次元スキャナファイルから対象となる曲げ板Sの計測データのみを抽出するとともに、設計データと比較可能なテキストファイルに変換するファイル変換モジュール(SW−4)が搭載されている。
社内設計部門では、三次元設計CADシステム7によって設計データ、比較結果データを処理する。
次に、この実施形態のシステムによる板曲げ作業の流れを、図2のフローに従って説明する。
板曲げ作業は、開始すると、対象板(板曲げ対象の鋼板)を現場の定盤に治具等で固定する(S1)、そして、作業員が板曲げを行う(S2)。
そして、作業員が現場でタブレットPC1を操作して三次元計測システムを起動させる(S3)。
そして、三次元レーザースキャナー2によって曲げ板Sの三次元計測を行う(S4)。具体的には、曲げ板S(板曲げされた鋼板)の、四隅および見透し線上のトモとオモテの計6箇所に、ターゲットを設定し、三次元レーザースキャナー2で、ターゲットを含む曲げ板全体を三次元計測する。
そして、計測データ(点群データ)を、タブレットPC1の三次元CADに取り込み、船体外板の曲面の設計データ(CADデータ)である立体形状データをタブレットPC1に取り込んで、図3に示すように画像で三次元表示をした状態で、図4に示すように、計測データ(点群データ)を設計データに重ね合わせて表示する(S5)。図3および図4において、符号11は曲げ板Sの設計データに基づく画像であり、符号12はフレームラインの画面表示である。また、符号13は画面上の曲げ型のポール位置の表示、符号14は見透し線の画面表示である。そして、図4の点群は各計測点を示している。計測点は、フレームラインに沿って規則正しく並ぶ。計測ピッチは、例えば20mmである。
そして、タブレットPC1で、フレームライン12上に複数のコントロール・ポイント(比較ポイント)を指定して、コントロール・ポイントを計測する(S6)。コントロール・ポイントも、また、画面に表示される。図5において、符号15は計測点を示し、符号16はコントロール・ポイントを示している。
そして、計測データと設計データと比較して許容範囲内か否かを検証する(S7)。具体的には、コントロール・ポイント16の付近に存在する計測点26のうち、前後(X軸方向)、左右(Y軸方向)の座標位置において、コントロール・ポイント16に最も近い計測点15の計測データのZ座標値を、コントロール・ポイント16の設計データのZ座標値と比較して、その差を、数値およびグラフィックにて表示し、計測データを設計データと比較して許容範囲内か否かを検証する。そして、コントロール・ポイント16のZ座標値との差が、例えば2mm以内なら、曲げ作業の目標到達と判断する。図4の画面は、目標到達と判断できる部分と、更なる曲げ作業が必要な部分とで、色を変えて計測点15を画像表示することもできる。
そして、いずれかのコントロール・ポイント16について、計測データと設計データの差が許容範囲内でない場合は、タブレットPC1の三次元CADでロールラインの計算を行い、ロールラインを選択し、設定する(S8)。
そして、計算結果を、ロールラインポインタ3に転送するとともに、曲げ板Sの画像11の、見透し線14上の2点を観測して座標軸(X軸)を確定し、ロールラインポインタ3を指示制御して、レーザーの照射により曲げ板S上にロールラインをマーキングする(S9)。
そして、マーキングされたロールライン上をバーナー等で加熱して曲げ板Sをさらに曲げ(S2)、全てのコントロール・ポイント16について、設計データと計測データの差が許容範囲で、目標到達となるまで、S2〜S9の作業を繰り返す。
そして、全てのコントロール・ポイント16について、目標到達となったら、治具等を取り外して、曲げ板Sの固定を解除し、曲げ板Sを次工程(小組工程)に移動させる。
なお、この実施形態では、操作端末として、タブレットPC1を使用しているが、タブレットPC1に代えて他の操作端末を用いることも可能である。また、三次元レーザースキャナー2も、点群を取得可能な他の三次元測定器に代えることができ、ロールラインポインタ3も、レーザー照射によりロールラインをマーキング可能な他の装置に代えることができる。
また、以上説明した実施形態は、三次元レーザースキャナー等の、点群を取得可能な三次元測定器で一度に計測データを取得する方法(第1の方法)を採用した例であるが、本発明は、他に、トータルステーション等の測点を単点ごとに取得可能な三次元測定機を利用して、曲げ板に描かれているライン上を順番に計測を行い、計測データを取得する方法(第2の方法)を採用して実施することもできる。その場合の板曲げ作業の概要は次のとおりである。
まず、治具等で作業場に固定され、板曲げされた鋼板(曲げ板)の、四隅および見透し線上のトモとオモテの計6箇所にターゲットを設定する。
そして、ソキアトプコン製MONMOS等の三次元測定機によって、ターゲットおよびフレームライン上のコントロール・ポイントを計測する。
そして、船体外板の曲面の設計データ(CADデータ)である立体形状データをPCに取り込んで、画像で三次元表示をした状態で、三次元測定機で計測した計測データ(測点データ)を取り込んで、設計データ上に重ね合わせて表示する。
フレームライン上のコントロール・ポイントの設計データと計測データのZ座標値を比較し、その差を、数値およびグラフィックにて表示し、計測データが設計データと比較して許容範囲内か否か判断する。
そして、計測データを設計データと比較して許容範囲内でない場合、三次元CADにて、ロールラインを計算し、設定する。
そして、計算結果をレーザー照射が可能なソキアトプコン製MONMOS等の三次元測定機に転送し、レーザーを照射して、ロールラインを鋼板上にマーキングする。
これらの作業を、マーキングされたロールライン上をバーナー等で加熱して曲げ板を曲げ、全てのコントロール・ポイントについて、設計データと計測データの差が許容範囲で、目標到達となるまで繰り返す。
そして、全てのコントロール・ポイントについて、目標到達となったら、治具等を取り外して、曲げ板の固定を解除し、曲げ板を次工程(小組工程)に移動させる。
1 タブレットPC
2 三次元レーザースキャナー
3 ロールラインポインタ
4 制御PC
5 プリンタ
6 トランシーバ
7 三次元設計CADシステム
11 曲げ板の画像
12 フレームラインの画面表示
13 画面上の曲げ型のポール位置の表示
14 見透し線の画面表示
15 計測点
16 コントロール・ポイント
S 曲げ板

Claims (4)

  1. 曲げ板を三次元計測装置で計測し、その三次元の計測データをコンピュータに取り込んで記憶格納させる三次元計測ステップと、計測データと設計データを比較して、三次元座標におけるZ軸座標値の差を検証する比較検証ステップとを備えたことを特徴とする造船板曲げシステム。
  2. 前記比較検証ステップで得た比較検証データを板曲げ作業に反映させるデータ反映ステップを備えたことを特徴とする請求項1記載の造船板曲げシステム。
  3. 前記比較検証ステップは、事前に設計データを入力済みの三次元CAD内に計測データを取得し、両データを重複表示させることにより、その差を視覚的もしくは数値的あるいはその両方で検証可能とする請求項1または2記載の造船板曲げシステム。
  4. 前記曲げ板は、フレームラインが描かれた船体外板であり、前記比較検証ステップは、フレームライン上の三次元設計データと、近接する計測点の計測データを比較して、三次元座標におけるZ軸座標値の差を検証する請求項1、2または3記載の造船板曲げシステム。
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