JP2010246342A - 電機における固定子 - Google Patents
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Abstract
【課題】アウターコイル及びインナーコイルを捻ることなくステータコアのスロット形成方向に沿ったコイルエンドの長さを短くすることができる電機における固定子を提供する。
【解決手段】固定子10において、アウター渡り部31bが、固定ティース12のステータコア11からの突設方向と反対方向においてインナー渡り部41bよりも外側に配置されるとともに、インナー渡り部41bが屈曲部31aを跨ぐように配置されている。アウターコイル30Uは、スロット14内でフラットワイズ積みとなるように形成されている。インナーコイル40V,40Wは、スロット14内でエッジワイズ積みとなるように形成されている。
【選択図】図5
【解決手段】固定子10において、アウター渡り部31bが、固定ティース12のステータコア11からの突設方向と反対方向においてインナー渡り部41bよりも外側に配置されるとともに、インナー渡り部41bが屈曲部31aを跨ぐように配置されている。アウターコイル30Uは、スロット14内でフラットワイズ積みとなるように形成されている。インナーコイル40V,40Wは、スロット14内でエッジワイズ積みとなるように形成されている。
【選択図】図5
Description
本発明は、平角線よりなるコイル線を整列巻によって所定の形状に整形してなるアウターコイルと、平角線よりなるコイル線を整列巻によって所定の形状に整形してなるインナーコイルとを有する電機における固定子に関する。
コイルを分布巻でティースに巻装してなる固定子を備えた電機としての回転電機は、コイルをスロットに組み込む際、コイルエンド同士が干渉することを避け、さらに、固定子の軸方向への長さを短くするために各コイルエンドはそれぞれ別々の形状に予め整形されている。また、スロット内の空間に対するコイルの占める割合(占積率)を向上させるため、コイルは、丸線よりなるコイル線ではなく、平角線よりなるコイル線で形成されている。
平角線よりなるコイル線を整列巻して形成されたコイルを有する回転電機として、例えば、特許文献1に開示のものが挙げられる。特許文献1の回転電機において、ステータコイル(コイル)は、環状に整形された導体コイルを複数積層してなる層コイルを複数接続して形成されている。特許文献1に開示のステータコイルは、スロットに挿入される2つのスロット挿入部と、2つコイルエンド部と、スロット挿入部とコイルエンド部の間に位置し、ひねりを加えられた4つの捻り部とからなる。ステータコイルは、捻り部において、一方のコイルエンド部における平角コイル(コイル線)の面に対して、他方のコイルエンド部における平角コイルの面が反対側の面になるようにひねりが加えられることで、平角コイルの巻き始め部と巻き終わり部が同一面側に位置するように形成されている。
そして、特許文献1のステータコイルは、コイルエンド部とスロット挿入部の間の捻り部によって、層コイルが複数の導体コイルを積層して形成されていても、固定子の軸方向(スロット形成方向)に沿ったコイルエンド部の厚さは、導体コイルの幅にすることができ、固定子の軸方向に沿ったコイルエンド部の長さを短くするとしている。
また、固定子の軸方向に沿ったコイルエンドの長さを短くするため、特許文献2には、コイルにおいて、スロットに収納される部分のコイル線の配列と、スロットを渡る部分のコイル線の配列を変更した技術が開示されている。特許文献2において、スロットに収納される部分は、スロットの深さ方向に平角線が18本、スロットの幅方向に平角線が2本配列されて形成されている。一方、スロットを渡る部分は、その部分の高さ方向及び幅方向それぞれに平角線が6本ずつ配列されて形成されている。よって、特許文献2に開示のコイルは、スロットに収納される部分のコイル線の配列と、スロットを渡る部分のコイル線の配列を変更することで、スロットを渡る部分の長さ(高さ)を短くし(低くし)、固定子の軸方向に沿ったコイルエンド部の長さを短くするとしている。
ところが、特許文献1に開示のステータコイルにおいては、層コイルにおいて、導体コイルの積層数がいくつであっても固定子の軸方向に沿ったコイルエンド部の厚さを、導体コイル(平角線)の幅にすることができる。しかし、固定子の軸方向に沿って導体コイルの長辺方向が延びているため、固定子の軸方向(スロット形成方向)に沿ったコイルエンド部の長さが長くなってしまっていた。加えて、固定子の軸方向に沿ったコイルエンド部の厚さを導体コイルの幅とするため、スロット挿入部とコイルエンド部の間に位置する部位に捻り部を設ける必要があり、ステータコイルを捻り変形させる必要があった。また、特許文献2においては、スロットに収納される部分のコイル線の配列と、スロットを渡る部分のコイル線の配列を変更するために、整列巻コイルを治具に押し付けることで変形させており、その変形の際にコイルに捻りが発生してしまっていた。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、アウターコイル及びインナーコイルを捻ることなくステータコアのスロット形成方向に沿ったコイルエンドの長さを短くすることができる電機における固定子を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ステータコアにティースが複数配列され、平角線よりなるコイル線を整列巻によって所定の形状に整形してなるアウターコイルが前記複数のティース間のスロットに組み込まれているとともに、平角線よりなるコイル線を整列巻によって所定の形状に整形してなるインナーコイルが前記複数のティース間のスロットに組み込まれ、前記アウターコイルと前記インナーコイルとで合計ターン数を同じとした電機における固定子において、前記アウターコイルのコイルエンドが、前記スロットに挿入された挿入部から前記ティースのステータコアからの突設方向と反対方向へ延びる一対の屈曲部と、該屈曲部同士を連結する渡り部とを備えるとともに、前記インナーコイルのコイルエンドが、前記スロットに挿入された挿入部から延びて前記ステータコアの端面より突出する一対の起立部と、該起立部同士を連結する渡り部とを備え、前記アウターコイルとインナーコイルとが、前記アウターコイルの渡り部が、前記ティースの前記ステータコアからの突設方向と反対方向において前記インナーコイルの渡り部よりも外側に配置されるとともに、前記インナーコイルの渡り部が前記アウターコイルの屈曲部を跨ぐように配置されており、前記アウターコイルが、前記コイル線の短辺が前記スロットの深さ方向へ延びるようにフラットワイズ積みによって形成され、前記インナーコイルが、前記コイル線の長辺が前記スロットの深さ方向へ延びるようにエッジワイズ積みによって形成されていることを要旨とする。
これによれば、アウターコイルをスロット内でフラットワイズ積みとなるように形成することにより、アウターコイルの渡り部は、ステータコアのスロット形成方向に沿ってコイル線の短辺が延びるように形成される。よって、アウターコイルの渡り部が、ステータコアのスロット形成方向に沿ってコイル線の長辺が延びるように形成される場合に比べてステータコアの端面からのアウターコイルのコイルエンドの突出長さ、すなわち、ステータコアのスロット形成方向に沿ったアウターコイルのコイルエンドの長さを短くすることができる。そして、アウターコイルのコイルエンドの長さを短くすることができるため、アウターコイルの屈曲部を跨ぐインナーコイルのコイルエンドの長さも短くすることができ、固定子のスロット形成方向に沿った長さを短くすることができる。また、アウターコイルにおいて、屈曲部は、ティースのステータコアからの突設方向とは反対方向へ延びるように挿入部から屈曲され、アウターコイルの渡り部は屈曲部同士を連結するように屈曲されているため、アウターコイルのコイルエンドは捻ることなく形成されている。また、インナーコイルにおいて、インナーコイルの渡り部は起立部同士を連結するように屈曲されているため、インナーコイルのコイルエンドは捻ることなく形成されている。よって、アウターコイル及びインナーコイルそれぞれのコイルエンドのスロット形成方向に沿った長さを短くするために、アウターコイルのコイルエンド及びインナーコイルのコイルエンドを捻って形成する必要がなく、捻りによってコイル線が損傷を受けることがない。
また、前記アウターコイルのコイル線と、前記インナーコイルのコイル線は同一のものであってもよい。これによれば、アウターコイルとインナーコイルとは合計ターン数が同じであるため、アウターコイルがフラットワイズ積みにより形成され、インナーコイルがエッジワイズ積みにより形成されても、アウターコイルとインナーコイルとのコイル断面積を同じにすることができ、電磁気特性のばらつきを無くすことができる。
本発明によれば、アウターコイル及びインナーコイルを捻ることなくステータコアのスロット形成方向に沿ったコイルエンドの長さを短くすることができる。
以下、本発明の電機における固定子を具体化した一実施形態を図1〜図9にしたがって説明する。
図1に示すように、電機としての回転電機Mは、固定子10と、この固定子10の内側に配設された回転子15とからなる。固定子10は、環状のステータコア11と、ステータコア11の内周に複数配列された固定ティース12及び分割ティース13と、スロット14に組み込まれたアウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wとからなる。本実施形態では、固定ティース12と分割ティース13の各個数は12個であり、スロット14の個数は24個である。スロット14は、ステータコア11の周方向に等ピッチで配列されている。
図1に示すように、電機としての回転電機Mは、固定子10と、この固定子10の内側に配設された回転子15とからなる。固定子10は、環状のステータコア11と、ステータコア11の内周に複数配列された固定ティース12及び分割ティース13と、スロット14に組み込まれたアウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wとからなる。本実施形態では、固定ティース12と分割ティース13の各個数は12個であり、スロット14の個数は24個である。スロット14は、ステータコア11の周方向に等ピッチで配列されている。
図1及び図2(a)に示すように、ステータコア11は、磁性体(鋼板)製の複数枚のコア板を積層して構成されている。ステータコア11の内周面には、複数の固定ティース12が一体成形されている。固定ティース12は、ステータコア11の半径方向(固定ティース12のステータコア11からの突設方向)に沿ってステータコア11の内周面からステータコア11の中心軸Pに向けて延びるように形成されている。また、固定ティース12は、ステータコア11の軸方向全体に亘って延びるように形成されている。
ステータコア11の内周面において、ステータコア11の周方向に隣り合う固定ティース12同士の中間位置には、係止凸部11aがステータコア11の軸方向全体に亘って延びるように突設されている。係止凸部11aはステータコア11の内周面からステータコア11の中心軸P(中央部)に向かうに従い徐々に拡幅するテーパ状に形成されるとともに、ステータコア11の軸方向全体に亘って延びるように形成されている。
図1に示すように、ステータコア11において、ステータコア11の周方向に隣り合う固定ティース12の間には分割ティース13が装着されている。図2(b)に示すように、この分割ティース13は、矩形板状をなすとともに、その長手方向への長さ(ステータコア11の軸方向に沿った長さ)が、ステータコア11の軸方向への長さと同じになっている。分割ティース13の基端面には、係止凹部13cが分割ティース13の長手方向全体に亘って延びるように凹設されている。この係止凹部13cは、分割ティース13の基端面への開口から係止凹部13cの奥へ向かうに従い徐々に拡幅するテーパ状に形成されている。
そして、図1に示すように、分割ティース13の係止凹部13c内に、ステータコア11の係止凸部11aを嵌合させることにより、分割ティース13がステータコア11に装着されている。この装着状態では、係止凹部13cに対する係止凸部11aの係止により、分割ティース13がステータコア11の半径方向に沿ってステータコア11内へ向けて移動することが防止されている。また、ステータコア11に分割ティース13が装着されることにより、ステータコア11の周方向に隣り合う固定ティース12と分割ティース13との間には平面視矩形状のスロット14が区画されている。スロット14は、ステータコア11の軸方向に沿ってステータコア11を貫通するように形成されており、ステータコア11の軸方向は、ステータコア11へのスロット形成方向になっている。
アウターコイル30U,30V,30Wは、固定ティース12に対し分布巻によって巻装されている。アウターコイル30U,30V,30Wとしては、U相のアウターコイル30U、V相のアウターコイル30V、及びW相のアウターコイル30Wそれぞれを2つずつ有する。そして、アウターコイル30U,30V,30Wは、それら全て(U相、V相、W相の3相)が、ステータコア11の周方向に延びる一つの円周上に混在するように配置されている。アウターコイル30U,30V,30Wそれぞれは、2個のスロット14に跨る状態で、かつ1個の分割ティース13を間に挟んだ2個の固定ティース12に跨るように、2個の固定ティース12に組付けられている。また、同一スロット14内に異なる相のコイルが挿入されることはない。
一対のアウターコイル30Uは、24個のスロット14のうちの8個に間隔をおいて計4個のスロット14に挿入されている。アウターコイル30V及びアウターコイル30Wそれぞれについても上記したアウターコイル30Uと同様な配置となっている。アウターコイル30U,30V,30Wそれぞれは、断面が長方形の均一な幅のコイル線C(平角線)を整列巻して形成されるとともに絶縁被覆されている。図3(a)に示すように、アウターコイル30U,30V,30W(図3(a)ではアウターコイル30Uのみを図示)それぞれは、スロット14内に挿入される一対の挿入部37と、ステータコア11の軸方向の両端面から突出するコイルエンド31を有する。
図1、図3(a)及び図5(b)に示すように、アウターコイル30U,30V,30Wのコイルエンド31(以下、アウターコイルエンド31と記載する)は、各挿入部37からステータコア11の半径方向(固定ティース12のステータコア11からの突設方向と反対方向)に沿って延びるように屈曲した一対の屈曲部31aを備える。
さらに、アウターコイルエンド31は、一対の屈曲部31aの先端同士を連結するように、各屈曲部31aに対し曲げられてステータコア11の周方向へ延びるアウター渡り部31bを備え、屈曲部31aと一対のアウター渡り部31bとにより平面視コ字状に形成されている。そして、アウターコイル30U,30V,30Wは、アウター渡り部31bがステータコア11の周方向に沿って延びるように所定の形状に整形されている。また、アウター渡り部31bは、ステータコア11の内周面よりもステータコア11の半径方向外側に配置されている。そして、挿入部37をスロット14に挿入した状態のとき、ステータコア11の軸方向の両端面から突出する部位がアウターコイルエンド31となっている。また、各挿入部37には合成樹脂製の絶縁シート32が巻装されている(図3(a)参照)。
図5(a)に示すように、アウターコイル30U,30V,30W(図5(a)はアウターコイル30Uのみ図示)は、スロット14の深さ方向(ステータコア11の半径方向)に沿ってコイル線Cの短辺が延びるようにフラットワイズ積みによって形成されている。言い換えると、アウターコイル30U,30V,30Wは、スロット14の幅方向(ステータコア11の周方向)に沿ってコイル線Cの長辺が延びるようにフラットワイズ積みによって形成されている。そして、アウターコイル30U,30V,30Wのターン数は、スロット14の深さ方向に12、スロット14の幅方向(深さ方向に直交する方向)に1となっており、合計ターン数が12になっている。
図3(a)に示すように、屈曲部31aでは、ステータコア11の軸方向に沿って、コイル線Cの広い面(コイル線Cの長辺側の面)上にコイル線Cが積層されている。このため、ステータコア11の周方向に沿った屈曲部31aの長さは、コイル線Cの長辺の長さになっている。また、図3(a)及び図5(b)に示すように、アウター渡り部31bでは、ステータコア11の軸方向に沿ってコイル線Cの広い面上にコイル線Cが積層されている。よって、ステータコア11の軸方向に沿ったアウター渡り部31bの長さは、コイル線Cの短辺の長さを12倍したものになっている。
ここで、コイル線Cをスロット14内で、アウターコイル形状でフラットワイズ積みとなるようにした状態を図6(a)に示し、コイル線Cをスロット14内で、アウターコイル形状でエッジワイズ積みとなるようにした状態を図6(b)に示す。図6(a)に示すように、コイル線Cがフラットワイズ積みとなるように、コイル線Cの広い面がステータコア11の端面に対向するようして屈曲部31aを形成した場合は、屈曲部31aの曲げ半径はR1となる。また、この場合、ステータコア11の端面と、この端面に対向するアウター渡り部31bの端面との間の距離はK1となる。一方、図6(b)に示すように、コイル線Cがエッジワイズ積みとなるように、コイル線Cの狭い面がステータコア11の端面に対向するようして屈曲部31aを形成した場合は、屈曲部31aの曲げ半径はR2となる。また、この場合、ステータコア11の端面と、この端面に対向するアウター渡り部31bの端面との間の距離はK2となる。
そして、コイル線Cを屈曲させて屈曲部31aを形成する際、屈曲により絶縁被膜が破れてしまうことを防止するため、コイル線Cをフラットワイズ積みする場合の曲げ半径R1は、コイル線Cをエッジワイズ積みする場合の曲げ半径R2より小さくなる。その結果、ステータコア11の端面と、この端面に対向するアウター渡り部31bの端面との間の距離K1は距離K2より短くなる。そして、コイル線Cをフラットワイズ積みする場合のステータコア11の軸方向に沿ったアウターコイルエンド31の長さ(突出高さ)は、コイル線Cの短辺の長さを12倍したものに距離K1を加えたものになる。
図1に示すように、インナーコイル40U,40V,40Wは、固定ティース12に対し分布巻によって巻装されている。インナーコイル40U,40V,40Wとしては、U相のインナーコイル40U、V相のインナーコイル40V、及びW相のインナーコイル40Wをそれぞれを2つずつ有する。そして、インナーコイル40U,40V,40Wは、それら全て(U相、V相、W相の3相)が、ステータコア11の周方向に延びる一つの円周上に混在するように配置されている。各相のインナーコイル40U,40V,40Wは、それぞれ2個のスロット14に跨る状態で、かつ1個の分割ティース13を間に挟んだ2個の固定ティース12に跨るように、2個の固定ティース12に組付けられている。また、同一スロット14内に異なる相のコイルが挿入されることはない。
一対のインナーコイル40Uは、24個のスロット14のうちの8個に間隔をおいて計4個のスロット14に挿入されている。インナーコイル40V及びインナーコイル40Wそれぞれについても上記したインナーコイル40Uと同様な配置となっている。各相のインナーコイル40U,40V,40Wは、断面が長方形の均一な幅のコイル線C(平角線)を整列巻してなる。また、各相のインナーコイル40U,40V,40Wは絶縁被覆されている。図4(a)に示すように、各相のインナーコイル40U,40V,40W(図4(a)ではインナーコイル40Uのみ図示)は、スロット14内に挿入される一対の挿入部47と、ステータコア11の端面から突出するコイルエンド41を有している。
図1、図3(b)及び図5(b)に示すように、インナーコイル40U,40V,40Wに形成されたコイルエンド41(以下、インナーコイルエンド41とする)は、各挿入部47からステータコア11の軸方向に延びる一対の起立部41aを備える。さらに、インナーコイルエンド41は、一対の起立部41aの先端同士を連結するようにステータコア11の周方向へ延びるインナー渡り部41bを備え、一対の起立部41aとインナー渡り部41bとにより正面視コ字状に形成されている。各挿入部47には合成樹脂製の絶縁シート32が巻装されている。
図5(a)に示すように、インナーコイル40U,40V,40W(図5(a)はインナーコイル40Wのみ図示)は、スロット14の深さ方向(ステータコア11の半径方向)に沿ってコイル線Cの長辺が延びるようにエッジワイズ積みによって形成されている。言い換えると、インナーコイル40U,40V,40Wは、スロット14の幅方向(ステータコア11の周方向)に沿ってコイル線Cの短辺が延びるようにエッジワイズ積みによって形成されている。そして、インナーコイル40U,40V,40Wのターン数は、スロット14の深さ方向に3、スロット14の幅方向(深さ方向に直交する方向)に4となっており、合計ターン数が12になっている。よって、アウターコイル30U,30V,30Wとインナーコイル40U,40V,40Wとは合計ターン数が同じになっている。
図5(b)に示すように、エッジワイズ積みされたインナー渡り部41bは、ステータコア11の軸方向において、コイル線Cの広い面上にコイル線Cが積層されて形成されるとともに、ステータコア11の半径方向において、コイル線Cの狭い面同士が対向するように積層されている。よって、ステータコア11の軸方向に沿ったインナー渡り部41bの長さは、コイル線Cの短辺の長さを4倍したものになっている。また、エッジワイズ積みされた起立部41aでは、ステータコア11の半径方向に沿って、コイル線Cの狭い面同士が対向するようにコイル線Cが積層されるとともに、ステータコア11の周方向に沿って、コイル線Cの広い面同士が対向するようにコイル線Cが積層されている。
そして、図1に示すように、スロット14にアウターコイル30U,30V,30Wと、インナーコイル40U,40V,40Wが組み込まれた状態では、アウター渡り部31bそれぞれは、ステータコア11の半径方向(固定ティース12のステータコア11からの突設方向と反対方向)においてインナー渡り部41bよりも外側に配置されている。また、インナー渡り部41bそれぞれは、ステータコア11の周方向に隣り合う2つのアウターコイル30U,30V,30Wの屈曲部31aを跨いでいる。さらに、インナーコイル40U,40V,40Wがスロット14に組み込まれた状態では、インナーコイルエンド41の起立部41aの内側であり、各起立部41aと隣り合うティースは固定ティース12によって形成されている。なお、アウターコイル30U,30V,30Wは、インナーコイル40U,40V,40Wより先にステータコア11に組み込まれるコイルのことである。
次に、固定子10の製造方法について説明する。
まず、分割ティース13がステータコア11から取り外された状態において、図7(a)に示すように、1つの係止凸部11aを間に挟んだ2個の(対となる)固定ティース12に対し、各相のアウターコイル30U,30V,30Wを組付ける。このとき、各アウターコイル30U,30V,30Wをステータコア11の半径方向に沿って移動させ、各アウターコイル30U,30V,30Wの内側に一対の固定ティース12が挿入されるように、各アウターコイル30U,30V,30Wを一対の固定ティース12の外側に組付ける。そして、U相、V相、W相それぞれ2つずつのアウターコイル30U,30V,30Wを、ステータコア11の周方向においてU相、V相、W相の順番で同一円周上に配置されるように固定ティース12に組付け、ステータコア11に組付ける。
まず、分割ティース13がステータコア11から取り外された状態において、図7(a)に示すように、1つの係止凸部11aを間に挟んだ2個の(対となる)固定ティース12に対し、各相のアウターコイル30U,30V,30Wを組付ける。このとき、各アウターコイル30U,30V,30Wをステータコア11の半径方向に沿って移動させ、各アウターコイル30U,30V,30Wの内側に一対の固定ティース12が挿入されるように、各アウターコイル30U,30V,30Wを一対の固定ティース12の外側に組付ける。そして、U相、V相、W相それぞれ2つずつのアウターコイル30U,30V,30Wを、ステータコア11の周方向においてU相、V相、W相の順番で同一円周上に配置されるように固定ティース12に組付け、ステータコア11に組付ける。
この組付状態において、ステータコア11の周方向に隣り合うU相のアウターコイル30UとV相のアウターコイル30Vとの間、V相のアウターコイル30VとW相のアウターコイル30Wとの間、W相のアウターコイル30WとU相のアウターコイル30Uとの間それぞれには、分割ティース13を挿入可能とする隙間が形成される。
次に、図7(b)に示すように、ステータコア11の周方向に隣り合うアウターコイル30U,30V,30W同士の間の隙間に、分割ティース13を挿入するとともに、ステータコア11に分割ティース13を装着する。このとき、ステータコア11の係止凸部11aを分割ティース13の係止凹部13cに嵌合することで分割ティース13の装着が行われる。また、このとき、分割ティース13を、ステータコア11の軸方向に沿って移動させて係止凹部13cの内側に係止凸部11aを嵌合する。
すると、ステータコア11に分割ティース13が装着されるとともに、ステータコア11の周方向に隣り合う固定ティース12と分割ティース13との間にスロット14が区画される。区画されたスロット14にはアウターコイル30U,30V,30Wの挿入部37が挿入されている。
ステータコア11にアウターコイル30U,30V,30Wが組付けられた状態において、アウターコイルエンド31は、屈曲部31aがステータコア11の半径方向に沿って挿入部37(スロット14)からステータコア11の外周側へ延び、アウター渡り部31bがステータコア11の内周面より半径方向外側に配置されている。このため、一対の屈曲部31a同士の間に間隙が形成されており、係止凸部11aがステータコア11の軸方向の両端面に臨む状態になっている。よって、一対の屈曲部31a同士の間から一対の固定ティース12の間に、ステータコア11の軸方向に沿って移動させる分割ティース13を挿入可能であり、ステータコア11の半径方向に沿って移動させるインナーコイル40U,40V,40Wの各挿入部47を挿入可能になっている。
次に、図8(a)に示すように、ステータコア11に装着された1つの分割ティース13を挟んだ2個の(対となる)固定ティース12に対し各インナーコイル40U,40V,40Wを組付ける。各インナーコイル40U,40V,40Wは、ステータコア11の半径方向に沿ってステータコア11の内側から外側に向けて移動させ、各インナーコイル40U,40V,40Wの内側に一対の固定ティース12が挿入されるように、一対の固定ティース12の外側にインナーコイル40U,40V,40Wを組付ける。このとき、アウター渡り部31bがステータコア11の内周面よりも半径方向外側に配置され、ステータコア11の周方向に隣り合う一対の屈曲部31a同士の間に間隙が形成されている。このため、アウター渡り部31bがインナーコイル40U,40V,40Wの組付けの妨げになることがない。そして、各インナーコイル40U,40V,40Wの挿入部37が固定ティース12間の間隙に収容されるとともに、インナー渡り部41bが、ステータコア11の周方向に隣り合う屈曲部31a同士を跨ぎ、かつインナー渡り部41bがアウター渡り部31bよりも半径方向内側に配置される。
そして、U相、V相、W相それぞれ2つずつのインナーコイル40U,40V,40Wを、U相、V相、W相の順番で同一円周上に配置されるように固定ティース12に組付ける。この組付状態において、ステータコア11の周方向に隣り合うU相のインナーコイル40UとV相のインナーコイル40Vとの間、V相のインナーコイル40VとW相のインナーコイル40Wとの間、W相のインナーコイル40WとU相のインナーコイル40Uとの間それぞれには、分割ティース13を挿入可能とする隙間が形成される。
次に、図8(b)に示すように、ステータコア11の周方向に隣り合うインナーコイル40U,40V,40W同士の間の隙間に、分割ティース13を挿入するとともに、ステータコア11に分割ティース13を装着する。このとき、アウター渡り部31bがステータコア11の内周面より半径方向外側に配置されるとともに、アウター渡り部31bが係止凸部11aよりもステータコア11の半径方向外側に配置されている。そして、ステータコア11の周方向に隣り合う固定ティース12間は、一対の屈曲部31a同士の間から開口しているため、アウター渡り部31bが分割ティース13の挿入の妨げになることがない。
そして、分割ティース13と固定ティース12とでインナーコイル40U,40V,40Wの各挿入部47を挟み込むように分割ティース13をステータコア11に装着する。このとき、ステータコア11の係止凸部11aを分割ティース13の係止凹部13cに嵌合することで分割ティース13のステータコア11への装着が行われ、具体的には、分割ティース13を、ステータコア11の軸方向に沿って移動させて係止凹部13cの内側に係止凸部11aを嵌合する。
すると、ステータコア11に分割ティース13が装着されるとともに、ステータコア11の周方向に隣り合う固定ティース12と分割ティース13との間にスロット14が区画される。区画されたスロット14にはインナーコイル40U,40V,40Wの挿入部47が挿入されている。
図9は、上記方法により製造された固定子10におけるアウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wの配線図を示す。インバータ50のU相の端子51に接続される一対のアウターコイル30UのU相挿入部(図9のみ37Uで示す)は、U相のスロット(図9のみ14Uoで示す)の群に通されている。インバータ50のV相の端子52に接続される一対のアウターコイル30VのV相挿入部(図9のみ37Vで示す)は、V相のスロット(図9のみ14Voで示す)の群に通されている。インバータ50のW相の端子53に接続される一対のアウターコイル30WのW相挿入部(図9のみ37Wで示す)は、W相のスロット(図9のみ14Woで示す)の群に通されている。
インバータ50のU相の端子51に接続される一対のインナーコイル40UのU相挿入部(図9のみ47Uで示す)は、U相のスロット(図9のみ14Uiで示す)の群に通されている。インバータ50のV相の端子52に接続される一対のインナーコイル40VのV相挿入部(図9のみ47Vで示す)は、V相のスロット(図9のみ14Viで示す)の群に通されている。インバータ50のW相の端子53に接続される一対のインナーコイル40WのW相挿入部(図9のみ47Wで示す)は、W相のスロット(図9のみ14Wiで示す)の群に通されている。
また、符号N1は、アウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wのコイル線C33,C34,C43の終端を結線した中性点であり、符号N2は、アウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wのコイル線C35,C36,C44の終端を結線した中性点である。そして、回転電機Mは、8極3相24スロットの回転電機である。回転子15は、インバータ50を介したアウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wへの通電によって回転する。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)アウターコイル30U、30V,30Wは、平角線よりなるコイル線Cをスロット14内でフラットワイズ積みとなるように整形して形成されるとともに、インナーコイル40U,40V,40Wは、平角線よりなるコイル線Cをスロット14内でエッジワイズ積みとなるように整形して形成されている。そして、アウター渡り部31bは、ステータコア11の軸方向に沿ってコイル線Cの短辺が延びるように形成される。よって、アウター渡り部31bが、ステータコア11の軸方向に沿ってコイル線Cの長辺が延びるように形成される場合に比べて、ステータコア11の軸方向(スロット形成方向)の両端面からのアウターコイルエンド31の突出長さ、すなわち、ステータコア11の軸方向に沿ったアウターコイルエンド31の長さを短くすることができる。そして、アウターコイルエンド31の長さを短くすることができるため、アウターコイルエンド31を跨ぐインナーコイルエンド41の長さも短くすることができ、固定子10の軸方向に沿った長さを短くすることができる。
(1)アウターコイル30U、30V,30Wは、平角線よりなるコイル線Cをスロット14内でフラットワイズ積みとなるように整形して形成されるとともに、インナーコイル40U,40V,40Wは、平角線よりなるコイル線Cをスロット14内でエッジワイズ積みとなるように整形して形成されている。そして、アウター渡り部31bは、ステータコア11の軸方向に沿ってコイル線Cの短辺が延びるように形成される。よって、アウター渡り部31bが、ステータコア11の軸方向に沿ってコイル線Cの長辺が延びるように形成される場合に比べて、ステータコア11の軸方向(スロット形成方向)の両端面からのアウターコイルエンド31の突出長さ、すなわち、ステータコア11の軸方向に沿ったアウターコイルエンド31の長さを短くすることができる。そして、アウターコイルエンド31の長さを短くすることができるため、アウターコイルエンド31を跨ぐインナーコイルエンド41の長さも短くすることができ、固定子10の軸方向に沿った長さを短くすることができる。
(2)アウターコイルエンド31において、屈曲部31aはステータコア11の半径方向(固定ティース12のステータコア11からの突設方向と反対方向)へ延びるように屈曲形成され、アウター渡り部31bは屈曲部31aからステータコア11の周方向へ延びるように屈曲形成されている。また、インナーコイルエンド41において、インナー渡り部41bは起立部41aからステータコア11の周方向へ延びるように屈曲形成されている。すなわち、アウターコイルエンド31及びインナーコイルエンド41は捻ることなく形成されている。よって、ステータコア11の軸方向に沿ったアウターコイルエンド31及びインナーコイルエンド41の長さを短くするために、アウターコイルエンド31及びインナーコイルエンド41を捻る必要がなく、その捻る際にコイル線Cが損傷を受けたりすることを防止することができる。したがって、ステータコア11の軸方向に沿ったアウターコイルエンド31及びインナーコイルエンド41の長さを短くしつつも、固定子10の製造に伴う回転電機Mの性能低下を防止することができる。
(3)インナーコイル40U,40V,40Wは、平角線よりなるコイル線Cをスロット14内でエッジワイズ積みとなるように整形して形成されている。そして、インナーコイルエンド41を整形すると、インナー渡り部41bは、ステータコア11の軸方向に沿ってコイル線Cの短辺が延びるように形成されるため、ステータコア11の軸方向に沿ったインナー渡り部41bの長さ(厚さ)を抑えることができる。よって、インナー渡り部41bが、アウター渡り部31bを跨る位置に配置されても、インナー渡り部41bの長さを抑えてインナーコイルエンド41の長さを短くすることができる。
(4)アウターコイル30U、30V,30Wは、平角線よりなるコイル線Cをスロット14内でフラットワイズ積みとなるように整形して形成され、屈曲部31aはステータコア11の軸方向に沿ってコイル線Cの広い面上にコイル線Cが積層されて形成される。このため、アウターコイル30U、30V,30Wがエッジワイズ積みにより形成される場合と比較して、ステータコア11の軸方向に沿った屈曲部31aの長さを短くすることができる。したがって、アウターコイルエンド31を跨ぐインナーコイルエンド41の長さも短くすることができ、固定子10の軸方向に沿った長さを短くすることができる。
(5)アウターコイル30U、30V,30Wは、平角線よりなるコイル線Cをスロット14内でフラットワイズ積みとなるように整形して形成されているため、アウターコイルエンド31の屈曲部31aを整形した場合、コイル線Cは広い面がステータコア11の端面に対向するように屈曲される。絶縁被膜を破らないようにコイル線Cを屈曲させるには、フラットワイズ積みは、エッジワイズ積みした場合に比べて曲げ半径を小さくでき、ステータコア11の端面とコイル線Cとの距離を短くすることができる。よって、コイル線Cをフラットワイズ積みしてアウターコイルエンド31を形成することにより、ステータコア11の端面からのアウターコイルエンド31の突出長さを短くすることができる。
(6)アウターコイル30U、30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wは、同一のコイル線Cを用いて合計ターン数が同じとなるように形成されている。このため、アウターコイル30U、30V,30Wとインナーコイル40U,40V,40Wとで、スロット14内でのコイル線Cの積み方が異なっていてもアウターコイル30U、30V,30Wと各インナーコイル40U,40V,40Wとのコイル断面積を同じにすることができ、電磁気特性のばらつきを無くすことができる。
(7)アウターコイル30U、30V,30Wは、コイル線Cがスロット14の幅方向に1本、深さ方向に12本積層されるようにフラットワイズ積みで形成され、インナーコイル40U,40V,40Wは、コイル線Cがスロット14の幅方向に4本、深さ方向に3本積層されるようにエッジワイズ積みで形成されている。このため、挿入部37,47での断面の大きさを同じにすることでき、一サイズだけのスロット14にアウターコイル30U、30V,30Wの挿入部37と、インナーコイル40U,40V,40Wの挿入部47を挿入することができる。
(8)予め整形したU相、V相、W相それぞれのアウターコイル30U、30V,30Wを用いるとともに、予め整形したU相、V相、W相それぞれのインナーコイル40U,40V,40Wを用いた。このため、コイルエンドとしては、アウターコイルエンド31とインナーコイルエンド41の2種類が存在する。そして、アウターコイル30U、30V,30Wをフラットワイズ積みとすることで、アウター渡り部31bの長さを短くし、アウターコイルエンド31とインナーコイルエンド41が干渉しないように形成しつつもアウターコイルエンド31及びインナーコイルエンド41のステータコア11からの突出長さを抑えることができる。
(9)ステータコア11に一体成形された固定ティース12と、ステータコア11に対し装着可能な分割ティース13とを設けた。アウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wを固定ティース12に組付けた後、分割ティース13をステータコア11に装着してスロット14が区画される。そして、このスロット14に、アウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wの挿入部37,47が組み込まれている。よって、分布巻の固定子10の製造時であっても、アウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wをスロット14に組み込む際に変形させる必要がなく、コイル線Cが損傷を受けたりすることを防止することができ、固定子10の製造に伴う回転電機Mの性能低下を防止することができる。
(10)ステータコア11の内周に配列されるティースは、ステータコア11に一体成形された固定ティース12と、ステータコア11に装着可能な分割ティース13とからなり、全てのティースのうちの半分が固定ティース12となっている。よって、例えば、全てのティースを分割ティース13とする場合と比べると、分割ティース13とステータコア11の嵌合部のギャップによる鉄損増加を少なくすることができるとともに、ステータコア11に全てのティースを装着するのに要する時間を短縮し、部品点数を減らして固定子10の製造コストを抑えることができる。さらに、全てのティースを分割ティース13とする場合と比べると、ステータコア11の周方向に隣り合うティース間のギャップのばらつきを抑えることができ、その結果として、トルクリップルが大きくなることを防止することができる。加えて、全てのティースを分割ティース13とする場合は、全ての分割ティース13をステータコア11に組付ける際に発生する塑性変形量が大きくなるが、本実施形態では、全てのティースのうち半分のみが分割ティース13であるため、分割ティース13を組付ける際の塑性変形量を減らして電磁気特性の劣化を抑えることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ アウターコイル30U,30V,30Wは、スロット14の深さ方向及び幅方向それぞれのターン数を変更して形成してもよく、インナーコイル40U,40V,40Wは、スロット14の深さ方向及び幅方向それぞれのターン数を変更して形成してもよい。この場合、アウターコイル30U,30V,30Wとインナーコイル40U,40V,40Wとで合計ターン数が同じになるようにする。
○ アウターコイル30U,30V,30Wは、スロット14の深さ方向及び幅方向それぞれのターン数を変更して形成してもよく、インナーコイル40U,40V,40Wは、スロット14の深さ方向及び幅方向それぞれのターン数を変更して形成してもよい。この場合、アウターコイル30U,30V,30Wとインナーコイル40U,40V,40Wとで合計ターン数が同じになるようにする。
○ アウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wそれぞれを形成するコイル線Cの断面積が同一であれば、アウターコイル30U,30V,30Wとインナーコイル40U,40V,40Wとでコイル線Cの種類を変更してもよい。
○ アウターコイルが、ステータコア11の半径方向における外周寄りの円周上に配置されたU相のアウターコイルと、そのU相のアウターコイルより内周寄りの円周上に配置されたV相のアウターコイルとから構成され、インナーコイルが、V相のアウターコイルより内周寄りの円周上に配置されたW相のインナーコイルから構成されていてもよい。この場合、U相とV相のアウターコイルは、アウターコイルエンドが屈曲部とアウター渡り部とを備え、W相のインナーコイルは、インナーコイルエンドが起立部とインナー渡り部とを備えるものである。
○ 全てのティースが固定ティース12であってもよいし、全てのティースが分割ティース13であってもよい。
○ 固定ティース12と分割ティース13の合計個数及びスロット14の個数は24個でなく、36個又は48個でもよい。
○ 固定ティース12と分割ティース13の合計個数及びスロット14の個数は24個でなく、36個又は48個でもよい。
○ 電機として、リニアモータのような直線型の電機の固定子におけるコイルを本願発明のように構成してもよい。なお、直線型の電機において、アウターコイルとは、インナーコイルよりも先にステータコアに組付けられるとともにティースの基端側に配置されるコイルを指し、インナーコイルとはアウターコイルの後にステータコアに組付けられてアウターコイルよりもティースの先端側に配置されるコイルを指す。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(1)前記ティースが、前記ステータコアに対し一体成形された固定ティースと、前記ステータコアに対し装着可能な分割ティースとからなる請求項1又は請求項2に記載の回転電機における固定子。
(1)前記ティースが、前記ステータコアに対し一体成形された固定ティースと、前記ステータコアに対し装着可能な分割ティースとからなる請求項1又は請求項2に記載の回転電機における固定子。
(2)全てのティースのうち半分が前記固定ティースである技術的思想(1)に記載の回転電機における固定子。
(3)前記アウターコイルは全て同じ形状をなし、前記インナーコイルは全て同じ形状をなす請求項1又は請求項2に記載の回転電機における固定子。
(3)前記アウターコイルは全て同じ形状をなし、前記インナーコイルは全て同じ形状をなす請求項1又は請求項2に記載の回転電機における固定子。
M…電機としての回転電機、C,C33,C34,C35,C36,C43,C44…コイル線、10…固定子、11…ステータコア、12…ティースとしての固定ティース、13…ティースとしての分割ティース、14…スロット、30U,30V,30W…アウターコイル、31…アウターコイルのコイルエンドとしてのアウターコイルエンド、31a…屈曲部、31b…アウター渡り部、37…アウターコイルの挿入部、40U,40V,40W…インナーコイル、41…インナーコイルのコイルエンドとしてのインナーコイルエンド、41a…起立部、41b…インナー渡り部、47…インナーコイルの挿入部。
Claims (2)
- ステータコアにティースが複数配列され、平角線よりなるコイル線を整列巻によって所定の形状に整形してなるアウターコイルが前記複数のティース間のスロットに組み込まれているとともに、平角線よりなるコイル線を整列巻によって所定の形状に整形してなるインナーコイルが前記複数のティース間のスロットに組み込まれ、前記アウターコイルと前記インナーコイルとで合計ターン数を同じとした電機における固定子において、
前記アウターコイルのコイルエンドが、前記スロットに挿入された挿入部から前記ティースのステータコアからの突設方向と反対方向へ延びる一対の屈曲部と、該屈曲部同士を連結する渡り部とを備えるとともに、前記インナーコイルのコイルエンドが、前記スロットに挿入された挿入部から延びて前記ステータコアの端面より突出する一対の起立部と、該起立部同士を連結する渡り部とを備え、
前記アウターコイルとインナーコイルとが、前記アウターコイルの渡り部が、前記ティースの前記ステータコアからの突設方向と反対方向において前記インナーコイルの渡り部よりも外側に配置されるとともに、前記インナーコイルの渡り部が前記アウターコイルの屈曲部を跨ぐように配置されており、
前記アウターコイルが、前記コイル線の短辺が前記スロットの深さ方向へ延びるようにフラットワイズ積みによって形成され、
前記インナーコイルが、前記コイル線の長辺が前記スロットの深さ方向へ延びるようにエッジワイズ積みによって形成されている電機における固定子。 - 前記アウターコイルのコイル線と、前記インナーコイルのコイル線は同一のものである請求項1に記載の電機における固定子。
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