(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る操作装置を前記図1ないし図6に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係る操作装置1は、操作対象機器としてのマッサージ機80のリモコン85に一体化させて配設されるものであり、詳細には、指を載置可能な広さとされる透光性材製の指載置部10と、この指載置部に載せた指の側方となる位置に配設され、指載置部10に載置した指に対し光を照射する光源11と、指載置部10下側に配設され、指を撮像して血管パターンが判別可能な撮像画像を取得する撮像手段12と、撮像画像から血管パターンを認識する血管パターン認識手段14と、この血管パターン認識手段14で得られた血管パターン又はこの血管パターンに基づく情報を、あらかじめ記録された複数のデータと比較し、対応するデータがある場合にはこのデータにあらかじめ割当てられた動作命令をマッサージ機80に入力する操作制御部15とを備える構成である。
前記マッサージ機80は、被施療者を支えつつ内蔵された複数の施療機構でマッサージ動作を実行するマッサージ機本体90と、操作装置1からなされた動作命令を受け、それに基づいて施療機構によるマッサージ動作を制御する制御部81と、マッサージ動作に係る各種操作入力を受付けるリモコン85とを備える構成である。
前記マッサージ機本体90は、着座した被施療者を支える椅子状のものであり、詳細には、床面上に載置されて椅子全体を安定的に支持する基台部91と、この基台部91の上方で被施療者の臀部を支える座部92と、この座部92の後側で被施療者の背中を支える背もたれ部93と、座部92の左右両側で被施療者の肘や前腕部を支える肘掛部94と、座部92の前側で被施療者の脚を支える脚支持部95とを備える構成である。
前記基台部91は、椅子各部をなす前記座部92、背もたれ部93、肘掛部94、及び脚支持部95を一体に取付けられてこれらを支持する他、本マッサージ機の全荷重を支持する脚部分に制御部81と接続された重量センサ(図示を省略)を備えており、被施療者が着座した後の重量と被施療者が着座する前の重量との差を、被施療者の体重として検出できる仕組みである。なお、重量センサで得られる重量が被施療者の着座前後で変化することを基に、制御部81で着座検出を行うことができる。
前記座部92は、基台部91に対し座面の傾斜角度を調整可能として取付けられ、座面にて被施療者の臀部を支えつつ内蔵の施療機構でマッサージを実行するものであり、この施療機構として、空気の給排で動作する臀部用エアセル71、及び太腿用エアセル72を備える構成である。これらエアセルを空気の給排で動作させるエアポンプ70が座部92下側に配設される。
前記背もたれ部93は、内蔵のアクチュエータ(図示を省略)により傾斜角度を調整可能、すなわちリクライニング動作可能とされる構成である。この背もたれ部93においてマッサージを実行する施療機構として、背もたれ部93の内部に配設されて施療子としての揉み玉98を動作させるメカユニット97と、同じく内部に配設されて前記エアポンプ70による空気の給排で動作する背中用エアセル73、及び腰用エアセル74とを備える構成である。この背もたれ部93の左右両側部には一対の側壁部93aが突出配設され、その被施療者に面する内面側にもエアセル(図示を省略)が設けられ、被施療者の上腕部に対してマッサージを行える構成である。
前記メカユニット97は、左右一対の揉み玉98を揉み、叩き等のマッサージ動作に対応させて動かす機構部であり、背もたれ部93に内蔵固定された一対のガイドレール99に沿って上下動可能に配設される構成である。
前記肘掛部94は、座部92の両側に位置して基台部91と一体に連結し、背もたれ部93がリクライニング角度を変化させたり、座部92が傾動しても、被施療者の前腕を安定的に支持するよう形成される構成である。この肘掛部94にも、前記エアポンプ70による空気の給排で動作するエアセルを配設して、被施療者の前腕部に対しマッサージを行える構成としてかまわない。
前記脚支持部95は、座部92の前側に位置し、座部92前端付近を中心として傾動可能に配設され、内蔵のアクチュエータ(図示を省略)により傾斜角度を調整されるものである。この脚支持部95には、前記エアポンプ70による空気の給排で動作する脚用エアセル75、76が配設される。
前記制御部81は、操作装置1からの動作命令に基づいて、施療機構やマッサージ機の他の各可動部分を被施療者に対応した状態に調整すると共に、これら施療機構や他の各可動部分に対し、操作装置1からの動作命令、あるいはリモコン操作やあらかじめ設定されたマッサージ内容に基づいて適切なマッサージの実行のための動作制御を行うものである。
この制御部81は、マッサージ機本体90の所定のスペースに配設され、操作装置1及びリモコン85を有線接続されるか、又はこれらと無線通信可能な状態とされる。また、制御部81は、メカユニット97や、背もたれ部93や脚支持部95の各アクチュエータ、エアポンプ70とそれぞれ電気的に接続され、制御信号出力によりこれらの駆動機構を動作させる。さらに制御部81は、メカユニット97や各アクチュエータの変位量を出力するエンコーダ等の信号出力手段とも電気的に接続されており、メカユニット97の状態や、背もたれ部93及び脚支持部95の傾斜等の状態を把握しつつこれらの動作制御を行うこととなる。
制御部81は、マッサージ実行の際には、前記操作装置1で被施療者により選択されたか、被施療者に適合したものとして自動選択されたマッサージコースやマッサージ、あるいは、リモコン85から通常の手順で直接選択指示されたマッサージコースやマッサージについて、必要に応じて表示部87に表示し、また被施療者に確認の指示入力を求めた上で、選択されたマッサージコースのマッサージデータに基づく制御信号を出力してメカユニット97及び/又はエアポンプ70を動作させ、メカユニット97の揉み玉98によるメカマッサージ及び/又はエアセルマッサージを実行する。
制御部81は、マッサージコースに沿ったマッサージ実行中に、前記操作装置1から被施療者により操作指示されたと判断されたり、リモコン85から直接選択指示されたマッサージコースやマッサージの情報を取得した場合には、それらが積極的に実行することを要求されたものか、あるいは実行しないことを要求されたものかを適切に判定した上で、実行すべきマッサージである場合には、現在進行中のマッサージコースより優先して実行したり、実行中のマッサージの後に割込ませる処理を行い、また実行すべきでないマッサージである場合には、そのマッサージを中止してコースとして規定された次のマッサージに移行する、すなわちスキップ処理を行う。そして、操作装置1から動作中止命令が入力された場合には、マッサージに係る各動作部分の動作を中止させることとなる。
前記リモコン85は、マッサージ機に対する各種操作入力を受付ける入力手段としての多数のスイッチ86と、表示手段としての表示部87とを備えると共に、前記操作装置1を一体に取付けられてなり、マッサージ機本体90の側部におけるスタンド96に着脱自在に設置され、制御部81と接続されてマッサージに係る操作入力を制御部81に送信する一方、制御部81から送られた表示情報を受信して表示部87に表示する構成である。このリモコン85は、独立したスイッチを多数配設する構成の他、表示部87に表示された所定領域を触れてスイッチ操作するタッチパネル式とすることもできる。なお、リモコン85のスイッチ86位置や表示部87位置を被施療者にとって最適位置とするためにスタンド96の位置は調整可能となっている。
前記指載置部10は、横に指の側面を取囲むガイドを設けられ、指が不用意に動かないよう保持できる一方、指の腹に面する部位を透光性材製とされて撮像手段12による撮像を許容する構造の、公知の指静脈認証システムに用いられるものと同様の構成であり、詳細な説明を省略する。この指載置部10の上方は開放された状態となっており、指以外の体の部位や物体が指載置部10上に接近する状況も許容している。
前記光源11は、指載置部10の側方のガイドに一体に組込まれ、近赤外線を照射可能なLED等を用いた、公知の指静脈認証システムに用いられるものであり、詳細な説明を省略する。この光源11から照射された光が、指載置部に置いた指の皮膚を透過して指内部で反射することで、皮下の静脈の透視像を得られる仕組みである。
前記撮像手段12は、CCDやCMOS等の撮像素子を用いた、公知の指静脈認証システムの読取りセンサ部分と同様のものであり、前記指載置部10の下側に配設され、指載置部10に置かれた被施療者の指を撮像し、前記光源11からの光が透過する状態の指が有効な画像領域に収るようにして取得した撮像画像情報を出力するものである。操作装置1がリモコン85に配設されることから、指の撮像が行われる際には、撮像手段12が不用意に動かないよう、マッサージ機本体90側部のリモコン固定用のスタンド96にリモコン85を設置固定するのが望ましい。
また、指を撮像して血管パターンを取得する際には、指が撮像範囲に確実に置かれた状態で静止させる旨を表示や音声出力等で警告し、適切な撮像状態が得られるよう被施療者を誘導するのが望ましい。また、必要に応じて被施療者に撮像中である旨を表示や音声出力等で通知し、被施療者にできる限り指の静止状態を維持するよう努めさせるのが望ましい。
前記血管パターン認識手段14は、撮像手段12から出力される撮像画像から、指載置部10に置かれた指の血管パターンを認識するものである。詳細には、撮像画像全体から光源11からの光により透視像として浮び上がった血管(静脈)部分を背景となる明るい指の他部分から抽出し、さらにこの血管部分を2値化処理等明瞭化する処理により確実に血管パターンとして、他の指部分から識別、特定可能とするものである。
なお、この血管パターン認識手段14における指全体の画像領域から血管パターンを識別、特定する処理については、公知の指静脈認証で用いられる方法を用いることとし、詳細な説明を省略する。
前記操作制御部15は、血管パターン認識手段14で認識された、指載置部10に置かれた指の血管パターンを、あらかじめ記録された各被施療者個人ごとに固有の指のデータとしての血管パターンの情報と比較照合して個人を特定し、この特定された個人に係る指のデータごとに異なる動作命令を操作対象機器であるマッサージ機80に入力するものである。
マッサージ機80の使用前に、被施療者の各指の血管パターンがデータとしてあらかじめ記録され、それぞれにマッサージ機80の各動作命令を割当てられるが、指に対する動作命令の割当て内容は、指ごとに異ならせて設定されており、また、一つの指についてマッサージ開始前とマッサージ動作中で異なるものが設定される。各指に対応するマッサージ開始前の動作命令としては、選択可能な複数の自動コースの開始がそれぞれ設定される。一方、自動コースによるマッサージ開始後におけるマッサージ動作中の動作命令としては、コース中のマッサージの強度や実行可否等の調整動作がそれぞれ設定され、マッサージ開始前とは異なったものとなる。こうしてマッサージ開始前とマッサージ動作中で各指で行える操作の内容を異ならせることで、被施療者側ではより少ない動作で多くの操作指示が可能となる。
この操作制御部15及び前記血管パターン認識手段14は、そのハードウェア構成として、CPU60と、メモリ61と、ROM62と、入出力インターフェース63とを備えるコンピュータとなっており、ROM62に格納されるプログラムにより、コンピュータを前記血管パターン認識手段14、及び操作制御部15として動作させる仕組みである。前記メモリ61はRAM部61aと記録部61bとからなり、被施療者の個人ごとのデータは、被施療者毎に登録される状態で、不揮発性メモリ等で構成される記録部61bに記録保存される。なお、CPU60、メモリ61及びROM62を一体的に形成されたマイクロコンピュータとすることもできる。
この操作制御部15や血管パターン認識手段14をなすコンピュータ回路が搭載された基板ユニットは、リモコン85内のスペースに配設され、入出力インターフェース63を介して、撮像手段12や光源11、リモコン85の表示部87等と接続され、制御信号の入出力を行える仕組みである。特に、操作制御部15は、入出力インターフェース63を介して、操作対象機器としてのマッサージ機80における制御部81と電気的に接続され、制御信号の形で動作命令を出力することによりマッサージ機80の操作を実行することとなる。
操作制御部15においては、登録された被施療者の指ごとの血管パターンのデータがあらかじめメモリ61等に記録保存されていることから、血管パターン認識手段14で取得される血管パターンの情報とあらかじめ記録されているデータとを容易に比較照合することができ、誰のどの指が指載置部10に置かれたのかを確実に特定することができる。
そして、マッサージ開始前は、この操作制御部15から、指載置部10に置いた指の種類に応じた自動コースを開始する動作命令がマッサージ機80に入力され、マッサージが実行されることとなる。マッサージ動作中には、指載置部10に置いた指の種類に応じたマッサージの強度や実行可否等の調整に係る動作命令がマッサージ機に入力されて、マッサージの調整が行われる。なお、操作制御部15で誰の指であるかを特定できなかった場合は、通常のリモコンによる操作のみ行える状態となる。
マッサージ開始前に指が指載置部に置かれた場合の指と操作内容との対応について説明すると、第一の指が指載置部に置かれた場合は、全身疲労回復コースの実行を指示操作するものとなり、また、第二の指の場合は、首・肩疲労回復コースの実行を指示操作するものとなり、また、第三の指の場合は、腰疲労回復コースの実行を指示操作するものとなり、第四の指の場合は全身エアコースの実行を指示操作するものとなる。
指を操作装置1に対し順に登録した場合、第一の指は人差指、第二の指は中指、第三の指は薬指、第四の指は小指となるが、これに限られたものではなく、登録する指の順序は任意でよい。この他、指データの登録の際に、例えば第一の指がどの指であるのかを入力して合せて登録しておくようにすることもでき、操作時には表示画面において、どの指がどの操作に対応しているかを案内可能となり、使用者が指と操作内容との対応を覚えていなくても済むこととなる。
一方、マッサージ動作中に指が指載置部10に置かれた場合の指と操作内容との対応について説明すると、第一の指が指載置部10に置かれた場合は、コース内容のマッサージの強度を強くする調整動作を指示操作するものとなり、また、第二の指の場合は、コース内容のマッサージの強度を弱くする調整動作を指示操作するものとなり、また、第三の指の場合は、実行中のマッサージのスキップを指示操作するものとなり、第四の指の場合は実行中のマッサージのリピートを指示操作するものとなる。
操作制御部15では、こうした指に対応する自動コース内容や動作中の操作内容をリモコン85の表示部87に表示させ、被施療者が指を置いて選択した内容を視認可能としている。これについては、リモコン85の表示部87を用いる代りに、操作装置単独の表示手段を設けるようにしたり、テレビなど別の表示装置に表示させるようにすることもできる。
また、操作制御部15は、マッサージ動作中に被施療者や他の人の緊急停止操作として、指載置部10が指以外の物体、例えばタオル等の物や、掌など指以外の体の一部で覆われた場合には、これを認識してマッサージ動作を停止することにより、容易な操作で安全を確保できる仕組みである。
指以外のものが指載置部10に載せられた時は、まず、撮像画像中の変化等で背景と異なる何らかの物体が指載置部10に載せられた状態が認識され、続いて血管パターンが判別できるか否かが判定される。血管パターンがない場合はそのまま指でない物体と判定されて、マッサージ機80に動作停止命令が入力され、マッサージ機80は緊急停止状態となる。血管パターンがある場合は、あらかじめ記録されたデータとの比較照合がなされ、一致するデータがない場合には、指でない体の所定箇所か、登録されてない人の指を含む体の一部と判定され、前記同様、マッサージ機に動作停止命令が入力され、緊急停止状態となる。
なお、操作制御部15における血管パターンをどの使用者の指に対応するか識別、特定する処理については、公知の指静脈認証に用いられる方法を用いることとし、詳細な説明を省略する。ただし、操作制御部15によるマッサージ開始前の指の最初の比較照合の処理で、個人が特定されたら、後のマッサージ動作中における指の比較照合ではその特定された個人の指データのみ参照するようにしており、処理負担を軽減して処理時間の短縮を図っている。
次に、本実施形態に係る操作装置によるマッサージ機の動作開始前の操作制御についてフローチャートを用いて説明する。前提として、マッサージ機に係る各動作命令と使用者の第一ないし第四の各指の血管パターンとの対応があらかじめ記録された状態で、マッサージ機80の主電源が入状態とされてマッサージ機80が待機状態で起動し、撮像手段12が撮像を開始して、被施療者によるマッサージコース等の動作状態指示入力を待つ状態にあるものとする。
起動後の準備動作が終了後、リモコン85の表示部87が被施療者に対し操作装置1の指載置部10に指を置くように指示する初期画面表示状態となると共に、操作装置1の撮像手段12は撮像を開始した状態となる(ステップS001)。使用者が最初に指載置部10に指を載せると、指を載せていなかった状態から載せた状態に変った時の撮像画像の微小変化や、指載置部10表面における圧力変化等の検知により、光源11がON状態となり、ここで操作装置1が指の血管パターンを認識可能な状態となる(ステップS002)。
ON状態となった光源11から光が照射されている状態で、撮像手段12が指載置部10に置かれた被施療者の指を撮像する(ステップS003)。
撮像手段12での撮像後、得られた撮像画像から血管パターン認識手段14が血管パターンの認識を実行する(ステップS004)。ここで、血管パターンが正常に認識されたか否かを判定し(ステップS005)、所定の血管パターンが認識された場合、操作制御部15では、得られた指の血管パターンの情報をあらかじめ記録された被施療者の血管パターン画像の登録データと比較照合し(ステップS006)、前記血管パターンに対応するデータが存在する、すなわち指載置部に置かれた指が既登録の被施療者の指であるか否かを判定する(ステップS007)。
対応する指の血管パターンのデータがある場合、すなわち、被施療者の情報がデータとして登録されている場合、操作制御部15は、あらかじめこの指のデータに割当てられた所定の自動マッサージコースの実行を指示する動作命令をメモリ61等から呼出し、リモコン85の表示部87に、選択されたマッサージコースが行われる旨を確認のため表示し(ステップS008)、同時に指に対応する前記自動マッサージコースをなす各マッサージ動作を行うようマッサージ機80の制御部81に動作命令を入力すると(ステップS009)、マッサージ開始に係る一連の処理が完了となる。
登録された被施療者の場合、被施療者があらかじめ記録された特定の個人であるため、その人に適切に対応してマッサージ機の機能を最大限利用できる制限解除状態でマッサージを行えるように動作命令がなされることとなる。こうした操作装置1からの動作命令は、マッサージ機80の制御部81に入力され、マッサージ機80では被施療者が着座状態であれば、選択されたマッサージコースに沿ったマッサージ動作が開始することとなる。
なお、前記ステップ007で、認識された指が第一の指である場合、第一の指のデータには全身疲労回復コースが対応しているので、被施療者がマッサージコースとして全身疲労回復コースを選択したと判断される。第二の指の場合、第二の指のデータには首・肩疲労回復コースが対応しているので、被施療者がマッサージコースとして首・肩疲労回復コースを選択したと判断される。第三の指である場合、第三の指のデータには腰疲労回復コースが対応しているので、被施療者がマッサージコースとして腰疲労回復コースを選択したと判断される。第四の指である場合、第四の指のデータには全身エアコースが対応しているので、被施療者がマッサージコースとして全身エアコースを選択したと判断される。
一方、前記ステップS005で血管パターンが認識できない場合、また、前記ステップS007で認識された血管パターンに合致する登録分の指の血管パターンが存在しない場合、すなわり被施療者の情報がデータとして登録されていない場合には、登録された使用者ではないと判定し、これ以降の指載置による操作を受入れない旨をリモコン85の表示部87に表示させ(ステップS010)、同時にマッサージ機80に対しリモコン85による操作を受付ける設定を行って(ステップS011)、一連の処理を終了する。この場合、マッサージ機80では、通常のリモコン操作によるマッサージコース選択として、リモコン85の表示部87で、複数のマッサージコースの選択用画面が表示され、被施療者のスイッチ入力によりコース選択が行われる旨が表示される。これを受けて、被施療者がリモコン85を操作するとマッサージコースが選択されてリモコン85から制御部81に入力され、前記同様、マッサージ機80では被施療者が着座状態であれば、選択されたマッサージコースに沿ったマッサージ動作が開始することとなる。ただし、リモコン85による操作を行う登録されていない被施療者の場合、被施療者についての情報を保持していないため、マッサージ機80は平均的な被施療者を想定したものとして、マッサージの際の各部の可動範囲や刺激の強度を制限した状態で動作することとなる。
続いて、マッサージ開始後、マッサージ動作中における操作に係る制御処理について説明する。前提として、マッサージ開始前の自動コース選定の段階で正常に指の認識により指に対応したコース選定がなされ、正常に自動コースのマッサージ動作が開始しているものとする。マッサージ動作開始後、操作制御部15は指載置部10に置く指と動作の割当てを、あらかじめ設定された、動作開始前とは異なる対応状態に入替える(ステップS101)。マッサージ動作中、光源11から光が照射されている状態で、撮像手段12が指載置部10に置かれた被施療者の指を撮像する(ステップS102)。
撮像手段12での撮像後、得られた撮像画像から血管パターン認識手段14が血管パターンの認識を実行する(ステップS103)。ここで、血管パターンが正常に認識されたか否かを判定し(ステップS104)、所定の血管パターンが認識された場合、操作制御部15では、得られた指の血管パターンの情報をあらかじめ記録された被施療者の血管パターン画像の登録データと比較照合し(ステップS105)、前記血管パターンに対応するデータが存在する、すなわち指載置部に置かれた指が既登録で且つ先の自動コースの選択を行った被施療者の指であるか否かを判定する(ステップS106)。この時、比較照合の対象データとして、動作開始前の処理で特定された被施療者の指に関するもののみ用いることで、処理時間を短くすることができる。
前記ステップS106で、対応する指の血管パターンのデータがある場合、すなわち、被施療者の情報がデータとして登録されている場合、操作制御部15は、あらかじめこの指のデータに割当てられたマッサージ関連動作の実行を指示する動作命令をメモリ61等より呼出し、リモコン85の表示部87に、選択された動作が行われる旨を確認のため表示し(ステップS107)、同時に指に対応する前記マッサージ関連動作を行うようマッサージ機の制御部に動作命令を入力する(ステップS108)。
動作命令は、マッサージ機80の制御部81に入力され、マッサージ機80では命令に応じた動作が実行されることとなる。動作命令の入力後、操作制御部15は、マッサージ機80で全てのマッサージコースのマッサージが行われたか否かを判定し(ステップS109)、全て行われている場合、マッサージ機の動作中の操作に係る一連の処理が完了となる。前記ステップS109で、一部のマッサージコースのマッサージが行われていない場合は、前記ステップ102に戻り、以降の処理を繰返す。
一方、前記ステップS104で血管パターンが認識できない場合、また、前記ステップS106で認識された血管パターンに合致する登録分の指の血管パターンが存在しない場合、すなわち、自動コースの選択を行った被施療者の指以外の血管パターンが認識された場合や、認識された血管パターンの情報がデータとして登録されていない場合には、被施療者の指以外の物体(体の所定部位を含む)が指載置部を覆ったと判定し、使用者又は周囲の人により緊急停止が指示されたと見なして、マッサージ動作を停止する命令をマッサージ機80に入力し(ステップS110)、マッサージ機80をマッサージコースの途中で緊急停止させると共に、マッサージ機80の操作に係る一連の処理を終了する。
こうして、被施療者の指以外の物体や体の所定部位が指載置部10を覆ったと判定すると、操作制御部15が、マッサージ機80の動作を停止させることにより、マッサージ機80の緊急停止が必要な場合には、被施療者の指の代りに、例えばタオル等の指以外の物体や、未登録の指、指以外の体の一部を指載置部10に置いて撮像手段12に認識させれば、特別な操作を行うことなく速やかにマッサージ機80停止させることができ、安全を確保できると共に、緊急停止用の特別な操作部を設けずに済み、コストダウンも図れる。
このように、本実施形態に係る操作装置は、撮像手段12で得た指の撮像画像から血管パターンを認識し、これを操作制御部15であらかじめ記録されたデータと比較し、得られた血管パターンに対応するデータに割当てられた動作命令を操作対象機器であるマッサージ機80に入力してこれを操作することから、指ごとに異なる血管パターンをそれぞれ登録して動作命令を割当て、所望の動作に対応する指の血管パターンを認識させれば、マッサージ機80の操作が行えることとなり、操作手段としての操作行為を極めて少なくでき、リラックス状態を損ねるようなことはない。また、血管パターン認識機構を活用して操作が行え、個人認証と認証の対象機器の操作手段をまとめた状態としてコスト低減が図れると共に、認証から操作に至る使用者自体の動作を少なくして操作感を向上させ、操作がマッサージで得られるリラックス状態の妨げとなるのを防止できる。
なお、前記実施形態に係る操作装置においては、マッサージ機のリモコンと組合わせて配設し、手の指を認識させることで操作する構成としているが、これに限らず、本操作装置を脚支持部95近傍の足下に配置して、足の指を認識させて操作を行えるようにする構成とすることもできる。
また、前記実施形態に係る操作装置においては、指を識別してマッサージ機の各種操作を行う構成としているが、この他、指から個人を特定していることに伴い、誰がどのように使用しているかをログ等に記録するなどして把握でき、仮に同一人が短期間に長時間のマッサージ使用を行おうとした場合、例えば1時間あたり30分以上の使用は体にとって好ましくないことから、それに達することが予想される場合には、事前に警告表示を行ったり、マッサージの強度を弱めたり、マッサージの禁止を通告・表示したりする制御を実行するようにしてもよい。
また、前記実施形態に係る操作装置においては、指載置部10に指を載せた状態で得られた指の撮像画像から血管パターンを認識し、この血管パターンを操作制御部15であらかじめ記録されたデータと比較し、得られた血管パターンに対応するデータに割当てられた動作命令を操作対象機器に入力する構成としているが、この他、指載置部において指の指す方向と平行な向きなど、指を動かせる範囲で指を動かした際のその動きを認識して、こうした指の動きごとに別途動作命令を割当てる構成とすることもでき、指の種類だけでなくその動きによっても操作指示が行えることで操作のバリエーションを増やすことができる。こうした指の動きの認識には、動く指が撮像される間、操作制御部が血管パターンの情報を継続的に受入れて、時間経過に伴う血管パターンの変化を取得し、この変化の内容をあらかじめ記録された指の動きの類型データと比較照合して指の動きを把握したり、また、撮像画像中の指や背景を判別する指認識手段を設け、この指認識手段からの指や背景の情報を、動く指が撮像される間、操作制御部が継続的に受入れて、時間経過に伴う撮像画像における指や背景の変化を取得し、この変化の内容をあらかじめ記録された指の動きの類型データと比較照合して指の動きを把握する、といった手順を用いることができる。そして、操作制御部が、把握した指の動きに対応する類型データにあらかじめ割当てられた動作命令を操作対象機器に入力することで、指の血管パターンごとに対応する各種操作とは別に、操作対象機器の所定の操作が行える。
また、前記実施形態に係る操作装置において、指載置部10周囲には指の側面を取囲むガイドが設けられ、指載置部10に対し指を置く向きを一定とされる構成としているが、これに限らず、こうしたガイド部分をなくし、指を置く向きを任意の向きとして載置できる指載置部、例えば、後述する第3の実施形態に示すような、周囲を含めてほぼ平坦な形状で且つ十分な広さとされて指を任意の向きで載せられる指載置部を設ける構成とすることもできる。この場合、指の向きの違いごとに動作命令を割当てるようにすれば、指の種類だけでなく向きによっても操作指示が行えることで操作のバリエーションを増やすことができ、多彩な操作が行え、通常の操作入力手段で行えるような細かい指示操作も可能となる。詳細には、同じ一つの指の血管パターンであっても、指の向きが異なるごとに独立した血管パターンとして、前記実施形態における指自体の差異と同様に取扱うこととし、個人の各指について指載置部に指の指す向きを複数通り異ならせて置かれた状態における各血管パターンのデータをあらかじめ記録しておき、指が実際に指載置部に指の指す向きを所定の方向として置かれると、この指の血管パターンが血管パターン認識手段で認識され、操作制御部が認識された血管パターンをあらかじめ記録された血管パターンのデータと比較照合することで、所定の向きの指を持つ個人の特定が行えると共に、認識された所定向きの指に対応するデータごとに異ならせてあらかじめ割当てられた動作命令が、マッサージ機等の操作対象機器に入力されることとなる。
(本発明の第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る操作装置を前記図7ないし図10に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係る操作装置2は、前記第1の実施形態同様、指載置部21、22と、光源23と、撮像手段24と、血管パターン認識手段25と、操作制御部26とを備える一方、異なる点として、指載置部を上下二段配設される構造とされると共に、上側の第2の指載置部22上に置いた指を撮像画像において背景と区別して認識する指認識手段27を備え、マッサージ機80の肘掛部94の前寄り部位に組込まれて配設される構成を有するものである。
前記マッサージ機80は、操作装置2がリモコン85に配設されず、その代りに肘掛部94に配設される点以外は、前記第1の実施形態と同様の構成であり、説明を省略する。
前記指載置部は、第一の指載置部21と第二の指載置部22からなり、肘掛部94の前寄り部位で撮像手段24の上側に第一の指載置部21を配設され、この第一の指載置部21の上側に指の入るスペースを挟んで第二の指載置部22を配設される構成である。前記第一の指載置部21は、手の指を一本載置可能な広さとされる透光性材製の略板状体で形成され、この第一の指載置部21に載せた指を下側の撮像手段24で撮像可能とされる構成である。
前記第二の指載置部22は、上面に載せた指を撮像手段24で撮像可能とすると共に第一の指載置部21に載せた指を上方から被施療者により視認可能とする透明板状体で形成され、指を指長手方向及びこの指長手方向と直交する向きに所定距離動かせる広さとされて、第一の指載置部21の上側に配設される構成である。この第二の指載置部22は、第一の指載置部21上に置いた指のさらに上側に位置することから、第一の指載置部21に載せた指を撮像する際には、光源23から照射される光を下面で確実に反射させて第一の指載置部21に載せた指に向わせる一方、第二の指載置部22に載せた指を撮像する際には、光源23から照射される光をほとんど透過させて指表面に到達させるように、光源23との位置関係や反射・屈折率を調整できる構成としてもよい。
前記光源23は、第一の指載置部21に載せた指の側方にあたる位置に配設され、前記第一の指載置部21に載置した指に対し光を照射すると共に、第二の指載置部22に載置した指に対しても光を照射するものである。
この光源23から照射される光は、その光の向きから、第一の指載置部21に載せた指については、直接指に達するものと第二の指載置部22の下面に反射して指に達するものとがあり、前者については指の表面を透過して指内部で反射する状態となり、後者については反射した光がそのまま指内部を透過する状態となり、いずれにおいても光が指内部に達することとなる。また、第二の指載置部22に載せた指については、第二の指載置部22を透過して進んだ光が指表面で反射する状態となり、指表面が明るく照らされることとなる。
前記撮像手段24は、前記第1の実施形態と同様、CCDやCMOS等の撮像素子を用いた一般的な指静脈認証システムの読取りセンサ部分と同様に指を撮像するものであり、詳細な機構については説明を省略する。この撮像手段24は、指を撮像して主に血管パターンを得るためのものであるが、光源23等の照明を適切に用いることで、血管パターンと共に指部分と背景部分がそれぞれ判別可能な撮像画像を取得することができる。このため、撮像手段24は、前記第一の指載置部21下側において、指を第一の指載置部21に載せた状態と第二の指載置部22に載せた状態のいずれにおいても指を撮像可能な配置で配設し、且つ、この撮像手段24、第一の指載置部21、及び第二の指載置部22の位置関係が、前記撮像手段24による第一の指載置部21に載せた指の撮像では、指以外の背景部分を全く含まない又はわずかに含む撮像画像を得られ、且つ第二の指載置部22に載せた指の撮像では、指以外の背景部分を所定の割合で含む撮像画像を得られるものとされる。
こうして、撮像手段24は、第一の指載置部21に載せた指については、光源23からの光が透過する状態の指を撮像して、撮像範囲のほぼ全域にわたる明瞭な皮下の静脈の透視像を得ることとなる。また、第二の指載置部22に載せた指については、光源23からの光が反射する状態の指を撮像して、指と背景が含まれる中で明るく照らされた指表面が背景と明確に区別可能となった画像を得ることとなる。この場合、指と背景部分との境界位置が識別できることで、指の位置変化を認識可能となる。
前記血管パターン認識手段25は、前記第1の実施形態同様、撮像手段24から出力される撮像画像から血管パターンを認識するものであるが、本実施形態の場合、下側の第一の指載置部21に置かれた指の血管パターンを認識するものとなっている。
前記指認識手段27は、第二の指載置部22に載せた指を撮像手段24で撮像して得られた撮像画像を解析し、この撮像画像から指部分と背景部分とを判別し、撮像画像における指の領域と、これ以外の背景の領域を示す情報を、撮像が行われる間、操作制御部26に入力するものである。撮像中に指が動くと、撮像画像における指と背景の位置関係や大きさの割合が変化し、この指認識手段27による撮像画像中の指や背景を示す情報内容も変化する。操作制御部26は、この指認識手段27から撮像画像における指と背景の位置情報を継続的に取得していることから、指や背景の画像部分について、時間経過に伴う位置等の変化などを識別、特定できることとなる。
なお、指を載せる第二指載置部22の撮像手段24からの距離が既知であることから、撮像手段24による撮像範囲において指の占める範囲を、指認識手段27でほぼ予測でき、また光源23からの光が指に十分に照射され、指表面は適度な明るさとなり、指の画像領域が背景の画像領域と明度の異なる領域として現れる画像を取得できることから、指認識手段27においては、撮像画像における指の画像領域と背景の画像領域との境界を適切に認定でき、指部分について容易に識別することができ、仮に指の後方の様々な物体が指の背景として撮像画像に含まれる場合でも指部分を確実に認識することができる。
この指認識手段35における撮像画像から指部分を判別する処理については、公知の画像処理方法、例えば、エッジ抽出による領域推定や輝度情報による判定、指の標準画像データとの比較により指その他を検出、識別する方法等を用いることとし、詳細な説明を省略する。
前記操作制御部26は、血管パターン認識手段25で認識された、第一の指載置部21に置かれた指の血管パターンを、あらかじめ記録された各被施療者個人ごとに固有の指のデータと比較照合して個人を特定し、この特定された個人に係る指のデータごとに異なる動作命令を操作対象機器であるマッサージ機80に入力するものである。マッサージ機80の使用前に、被施療者の各指の血管パターンがデータとしてあらかじめ記録され、それぞれにマッサージ機80の各動作命令を割当てられるが、指に対する動作命令の割当て内容は、前記第1の実施形態と同様に、選択可能な複数の自動コースの開始がそれぞれ設定されることとなり、マッサージ開始前に第一の指載置部21に置いた指の種類に応じた自動コースで、マッサージが行われる仕組みである。
ただし、自動コースが選択された後、マッサージ動作がいったん開始したら、そのマッサージ動作実行中は、第一の指載置部21に置いた指の種類はコース中の操作内容の選択にそれぞれ割当てられ、動作開始時とは異なったものとなる。 なお、前記第1の実施形態同様、指を操作装置に対し順に登録した場合、第一の指は人差指、第二の指は中指、第三の指は薬指、第四の指は小指となるが、これに限られたものではなく、登録する指の順序は任意でよい。
一方、操作制御部26は、撮像手段24による撮像の間、前記指認識手段27で判別された撮像画像中の指や背景の情報を継続的に入力されることで、時間経過に伴う撮像画像における指や背景の変化を取得することができ、この変化の内容をメモリ61等にあらかじめ記録された指の動きの類型データと比較照合して指の動きを把握できる。そして、操作制御部26は、把握した指の動きに対応する操作対象機器への動作命令、すなわち指の動きと合致する類型データにあらかじめ割当てられた動作命令を操作対象機器としてのマッサージ機80の制御部81に入力することとなる。
例えば、操作制御部26は、指認識手段27で判別された指の、時間経過に伴う指先端部の位置変化について、類型データとの比較で、指長手方向の指の動きとして把握することとなる。また、操作制御部26は、指認識手段27で判別された背景の、時間経過に伴う指周囲への存在の有無の変化について、類型データとの比較で、指の撮像手段に対する遠近方向の動きとして把握することとなる。いずれの場合も、操作制御部26は、指の前記指長手方向の動きに対応する動作命令又は前記遠近方向の動きに対応する動作命令を操作対象機器に入力することができる。
具体的に類型データとしてあらかじめ記録されて操作制御部26で認識される指の動きとしては、例として、指先で第二の指載置部22上に円を描くような「円運動」、指で第二の指載置部22を軽く数回叩く「タップ」、指を第一の指載置部21に置く場合と同じ向きで第二の指載置部22に置いて指長手方向にスライドさせる「上下スライド」、指を第一の指載置部21に置く場合と同じ向きで第二の指載置部22に置いて指長手方向と直角の向きにスライドさせる「左右スライド」、の四つが挙げられる。いずれの場合においても、指を動かす速さや動きの向きが操作内容に反映されることとなる。
こうした指の動きに対する各動作命令は、マッサージ動作中になされるものが割当てられ、その割当て内容は、指の動きを認識する直前に第一の指載置部21に載せて認識される指の種類ごとに異ならせて設定されており、第一の指(人差指)にはメカマッサージに関する操作が設定され、第二の指(中指)にはエアマッサージに関する操作が設定され、第三の指(薬指)にはマッサージ機本体90各部の位置調整に関する操作が設定される。
詳細には、操作制御部26は、マッサージ動作中、第一の指載置部21に載せた指の血管パターンから指を特定し、被施療者がどの項目(メカマッサージ調整、エアマッサージ調整、マッサージ機各部調整)についての操作を指示しているかを識別し、次いで第二の指載置部22に載せた指の動きを識別して、各設定項目の具体的な調整内容を取得してマッサージ機80に入力する仕組みである。なお、指の動きを識別する状態を中断するには、第一の指載置部21に指を置くか、第二の指載置部22から指を離した状態を数秒維持するかにより、操作制御部26に指示できる。
ここで、第一の指の動きとメカマッサージに関する各操作との対応について詳しく説明すると、指の動きが円運動の場合、もみ上げ/もみ下げを指示操作するものとなり、指を回す向きでもみの向き(上げ/下げ)を設定し、指を回す速さに応じてもみ動作速度を設定することとなる。
また、指の動きがタップの場合、たたきの実行を指示操作するものとなり、指をタップする速さに応じてたたき動作速度を設定することとなる。また、指の動きが上下スライドの場合はマッサージ上下位置の調整を、指の動きが左右スライドの場合はマッサージ強さの調整を、それぞれ指示操作するものとなる。
また、第二の指の動きとエアマッサージに関する各操作との対応について詳しく説明すると、指の動きが円運動の場合、フットストレッチオプション設定の変更を指示操作するものとなり、また、指の動きがタップの場合、パルスオプション設定の変更を指示操作するものとなる。また、指の動きが上下スライドの場合はエアマッサージ強さの変更を指示操作するものとなり、指の動きが左右スライドの場合はストレッチオプション設定の変更を指示操作するものとなる。
また、第三の指の動きとマッサージ機本体90各部の位置調整に関する各操作との対応について詳しく説明すると、指の動きが円運動の場合、背もたれ部93の起し/倒しを指示操作するものとなり、指を回す向きで起し/倒しを設定することとなる。また、指の動きがタップの場合、リクライニング及び脚支持部95の収納を指示操作するものとなる。また、指の動きが上下スライドの場合は脚支持部95の上げ/下げを指示操作するものとなり、指を奥側にスライドさせると上げ、手前側にスライドさせると下げに設定することとなる。また、指の動きが左右スライドの場合は脚支持部95の伸縮状態調整を指示操作するものとなり、指を右にスライドさせると伸し、左にスライドさせると縮めに設定することとなる。
なお、指の動きについては、指の血管パターンの形状と同様に、あらかじめ操作対象機器の操作内容、すなわち操作対象機器への動作命令と関連付けて指の動きをそのまま記録した類型データを用い、この類型データと指や背景の画像部分の時間経過に伴う変化との比較で動きを把握するようにしているが、こうした使用者自身の指の動きに基づく変化を記録した類型データを用いた動きの認識に限定されるものではなく、例えば、撮像画像における指や背景の変化を、あらかじめ記録された複数の標準的な識別用データと比較するような公知の画像処理方法を用いて、指の動きを識別、特定し、この指の動きに対応する前記識別用データにあらかじめ割当てられた動作命令を操作対象機器に入力するようにしてもよい。
次に、本実施形態に係る操作装置によるマッサージ機に対するマッサージ動作中の各調整項目の設定操作の制御についてフローチャートを用いて説明する。前提として、前記第1の実施形態と同様、マッサージ開始前の自動コース選定の段階で正常に指の認識により指に対応したコース選定がなされ、正常に自動コースのマッサージ動作が開始しているものとする。
マッサージ動作開始後、操作制御部26は第一の指載置部21に置く指と動作の割当てを、あらかじめ設定された、動作開始前とは異なる対応状態に入替える(ステップS201)。マッサージ動作中、光源23から光が照射されている状態で、撮像手段24が第一の指載置部21に置かれた被施療者の指を撮像する(ステップS202)。
撮像手段24での撮像後、得られた撮像画像から血管パターン認識手段25が血管パターンの認識を実行する(ステップS203)。ここで、血管パターンが正常に認識されたか否かを判定し(ステップS204)、所定の血管パターンが認識された場合、操作制御部26では、得られた指の血管パターンの情報をあらかじめ記録された被施療者の血管パターン画像の登録データと比較照合し(ステップS205)、前記血管パターンに対応するデータが存在する、すなわち指載置部に置かれた指が既登録の被施療者の指であるか否かを判定する(ステップS206)。この時、比較照合の対象データとして、動作開始前の処理で特定された被施療者の指に関するもののみ用いることで、処理時間を短くすることができる。
対応する指の血管パターンのデータがある場合、すなわち、被施療者の指である場合、さらに、操作制御部26は、その指が調整項目の設定に割当てられた指であるか否かを判定する(ステップS207)。
調整項目の設定に割当てられた指の場合、すなわち、第一ないし第三の指である場合、表示部87に所定の調整項目の設定操作を行うために、新たに指を第二の指載置部22に置くように指示すると共に、どの動きがどの調整項目の設定に対応するか説明する内容の表示を行う(ステップS208)。そして、新たに撮像手段24が第二の指載置部22に載置されて操作に応じた動きで動かされる被施療者の指を撮像する(ステップS209)。撮像手段24での撮像後、得られた撮像画像から指認識手段27が指や背景を認識し(ステップS210)、操作制御部26では、認識された指や背景の時間経過に伴う変化を指の動きの類型データと比較し(ステップS211)、この変化に対応する動きの類型データはあるか、すなわち、この変化は登録された動き、例えば、「円運動」、「タップ」、「上下スライド」、又は「左右スライド」、であるか否かを判定する(ステップS212)。
対応する動きの類型データがある場合、すなわち、指の動きの情報がデータとしてあらかじめ記録されている場合、操作制御部26は、あらかじめこの指の動きの類型データに割当てられた所定の調整項目の設定を指示する動作命令をメモリ61等より呼出し、リモコン85の表示部87に、選択された調整が行われる旨を確認のため表示し(ステップS213)、同時に指の動きに対応した前記調整項目の設定動作を行うようマッサージ機の制御部に動作命令を入力する(ステップS214)。
この後、調整項目の設定が終了した合図となる、いずれかの指が第一の指載置部21に載置されてその撮像画像から血管パターンが認識された状態になったか否かを判定し(ステップS215)、指が第一の指載置部21に載置されている場合、操作制御部26は、マッサージ機80で全てのマッサージコースのマッサージが行われたか否かを判定し(ステップS216)、全て行われている場合、マッサージ機の動作中の操作に係る一連の処理が完了となる。前記ステップS216で、一部のマッサージコースのマッサージが行われていない場合は、前記ステップ202に戻り、以降の処理を繰返す。また、前記ステップS215で指が第一の指載置部21に載置されていない場合は、前記ステップS209に戻って以降の処理を繰返す。
前記ステップS212で、類型データに対応する動きでない場合、表示部にあらためて適切に指を動かすようにとの表示を行わせ(ステップS217)、前記ステップS209に移行する。
前記ステップS207で、調整項目が割当てられていない指(第四の指)が置かれて認識された場合には、表示部87にあらためて第一の指載置部21に適切な指を置くようにとの表示を行わせ(ステップS218)、前記ステップS202に移行する。
一方、前記ステップS204で血管パターンが認識できない場合、また、前記ステップS206で認識された血管パターンに合致する登録分の被施療者の指の血管パターンが存在しない場合、指でない物や指以外の体の所定部位が指載置部を覆ったと判定し、使用者又は周囲の人により緊急停止が指示されたと見なして、マッサージ動作を停止する命令をマッサージ機に入力し(ステップS219)、マッサージ機をマッサージコースの途中で緊急停止させると共に、マッサージ機の操作に係る一連の処理を終了する。
このように、本実施形態に係る操作装置においては、指認識手段27で撮像画像における指と背景を判別し、操作制御部26で指や背景の変化から指の動きを判別してこの動きに対応する動作命令をマッサージ機80に入力し、所望の動作を行わせることから、指の種類だけでなく動きによっても操作指示が行えることで操作のバリエーションを増やすことができ、多彩な操作が行え、通常の操作入力手段で行えるような細かい指示操作が可能となると共に、リモコン85等通常の操作入力手段を経由した操作を行わずに済み、リラックス状態を損うことなく操作が行える。また、撮像画像中の指を示す領域を特定して指の動きを判別することで、指の動きに対応した動作命令を実行するまでの処理が容易に行えると共に、処理負荷を大幅に軽減でき、指を撮像してから実際の操作結果としての動作が実行されるまでの時間を短縮できる。
また、撮像手段24の上側に重なり合う状態で第一の指載置部21と第二の指載置部22が配設され、第一の指載置部21に指を載せた状態では撮像手段24で指がほとんどを占める撮像画像を得られる一方、第二の指載置部22に指を載せた状態では、撮像手段24で指部分と背景部分の両方を含む撮像画像を得られることから、第一の指載置部21に載せた指の撮像画像から容易且つ確実に血管パターンを判別してその特徴を抽出でき、血管パターンによる指及び個人の特定などデータとの比較照合をより正確なものとすることができ、さらに十分な広さの第二の指載置部22上で指を動かすと、得られた撮像画像において時間の経過に伴い指部分と背景部分との間に変化が生じることで、第二の指載置部22に載せた指の撮像画像から指の動きを確実に認識して動きの類型データとの比較照合についてもより正確なものにできる。
(本発明の第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る操作装置を前記図11ないし図15に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係る操作装置3は、前記第1の実施形態同様、指載置部31と、光源32と、撮像手段33と、血管パターン認識手段34と、操作制御部35とを備える一方、異なる点として、指載置部31上に置いた指を撮像画像において背景と区別して認識する指認識手段36を備え、マッサージ機80の肘掛部94の前寄り部位に埋込まれる形で組込まれて配設される構成を有するものである。
前記マッサージ機80は、操作装置がリモコン85に配設されず、その代りに肘掛部94に配設される点以外は、前記第1の実施形態と同様の構成であり、説明を省略する。
前記指載置部31は、上面に載せた指を指長手方向及びこの指長手方向と直交する向きに所定距離動かせる広さとされる透光性材製の略板状体で形成され、上面に載せた指を下側の撮像手段33で撮像可能とされる構成である。
この指載置部31の上面は、肘掛部94の上面と連続する緩やかな曲面状とされると共に、指を載置する基準、例えば視認可能な十字状等のマーク31aや指で触って識別できる微小な凹凸を設けられる。この指載置部31は、十分な広さとされると共に、周囲の肘掛部94を含めて突出部分のないほぼ平坦な形状であるため、マークや凹凸を設けることで、これらを印として確実に指の腹側を指載置部上に密着させられるようにしている。
前記光源32は、指載置部31の下側で撮像手段33の側方に配設され、前記指載置部31に載置した指に対し下側から光を照射するものである。
この光源32から照射される光は、その光の向きから、指載置部31に載せた指については、指の表面を透過して指内部で反射する状態となり、指内部に達した光により、撮像手段33で明瞭に撮像可能な皮下の静脈の透視像が得られることとなる。
また、光の照射させる向きを変えて、指載置部31を透過して進んだ光が指表面で反射する状態とすることもでき、撮像手段33ではこの状態の指を撮像することで、指と背景が含まれる中で明るく照らされた指表面が背景と明確に区別可能となった画像を得ることとなる。
前記血管パターン認識手段34は、前記第1の実施形態同様、撮像手段33から出力される撮像画像から血管パターンを認識するものであるが、本実施形態の場合、第1の実施形態の場合より広く形成され周囲に障害物のない指載置部31に対応して、この指載置部31に指の指す向きを任意の方向として置かれた指の血管パターンを認識するものとなっている。
前記操作制御部35は、血管パターン認識手段34で認識された、指載置部31に指の指す向きを任意の方向として置かれた指の血管パターンを、前記メモリ61等にあらかじめ記録された各被施療者個人ごとに固有の指のデータと比較照合して個人を特定し、この特定された個人に係る複数のデータごとに異なる動作命令を操作対象機器であるマッサージ機80に入力するものであるが、前記固有のデータとして、被施療者の各指について指載置部31に指の指す向きを複数通り異ならせて置かれた状態における各血管パターンの情報をその血管パターンの向きに係る情報と共にあらかじめそれぞれ記録されており、これと血管パターン認識手段34で認識された血管パターン及び同時に認識された血管パターンの向きとを比較照合することで、指を持つ個人の特定と指の向きの識別が行えるものである。
血管パターンの向きの認識は、例えば、記録した血管パターンの形状データを回転させて血管パターン認識手段34で得られた血管パターンとの一致を見るようにして、複数の異なる向きを認識するなどにより行える。前記固有のデータのうち、指の血管パターンそのものについては、あらかじめ記録するのは各指について一つとし、向きによらず共通とすることで、記録するデータ量を小さく抑えられることとなる。
あらかじめ記録される指の向きについては、例えば、被施療者がマッサージ機に腰掛けて肘掛部94に手及び前腕部を載せた自然な姿勢で指を指載置部に載せた状態での指長手方向を仮に正方向とすると、この正方向の場合と、この正方向から90°回転した横方向、さらに正方向から180°回転した逆方向の三つを用いる。逆方向については、マッサージ機80に腰掛けた状態で指を指載置部31に載せるのが困難な向きであるため、マッサージ機80に腰掛ける前に指を載せる場合を想定している。
少なくとも正方向については、指を自然に置いた状態で記録することで、実際に被施療者が操作のために指載置部31に指を置く際に自然で無理のない姿勢をとればよく、血管パターン等の認識において、マッサージ時に特に重要なリラックス状態の維持を図れるようにしている。
なお、指載置部31に操作のために指を置く向きは、リラックス状態を維持することを重要視して、記録した向きからある程度のずれ(例えば±15°程度)は許容できるように、血管パターン認識手段34で得られた血管パターンが、記録された血管パターンと多少の角度ずれがあっても、形状が同じと見なせれば一致したものとして取扱うようにする。
マッサージ機の使用前に、マッサージ機の各操作に対応する施療者の各指とその指載置部への載置の向きがあらかじめ記録されるが、指の向きに係るデータに対する動作命令の割当て内容は、認識された指ごとに異ならせて設定されており、また、マッサージ開始前とマッサージ動作中でも異なるものが設定される。開始前は自動コースの選択、動作中はコース内容の実行やマッサージの強度の調整に関する操作がそれぞれ設定される。
指置きの向きに係るデータには、動作開始時は選択可能な自動コースを開始させるものがそれぞれ割当てられ、載置部に置いた指の向きに応じた選択が行われる。一方、自動コースが選択された後、マッサージ動作が開始したら、そのマッサージ動作実行中は、指置きの向きに係るデータにはコース中の操作に係るものがそれぞれ割当てられ、動作開始時とは異なったものとなる。なお、マッサージ動作中には、被施療者のマッサージ機80に腰掛けた姿勢からは逆方向に指を置くことが難しいため、逆方向については操作が行われないものとして動作命令の割当てはない。
指を操作装置に対し順に登録した場合、第一の指は人差指、第二の指は中指、第三の指は薬指、第四の指は小指となるが、これに限られたものではなく、登録する指の順序は任意でよい。
マッサージ開始前に第一の指が指載置部31に置かれた場合の指と操作内容との対応について詳しく説明すると、第一の指の向きが前記正方向の場合は、全身疲労回復コースの実行を指示操作するものとなり、また、横方向の場合は全身リフレッシュコースの実行を指示操作するものとなり、さらに、逆方向の場合は全身安らぎコースの実行を指示操作するものとなる。
また、同じく開始前に第二の指が指載置部31に置かれた場合の指と操作内容との対応について詳しく説明すると、第二の指の向きが前記正方向の場合は、首肩疲労回復コースの実行を指示操作するものとなり、また、横方向の場合は首肩リフレッシュコースの実行を指示操作するものとなり、さらに、逆方向の場合は首肩安らぎコースの実行を指示操作するものとなる。
また、同じく開始前に第三の指が指載置部31に置かれた場合の指と操作内容との対応について詳しく説明すると、第三の指の向きが前記正方向の場合は、腰疲労回復コースの実行を指示操作するものとなり、また、横方向の場合は腰リフレッシュコースの実行を指示操作するものとなり、さらに、逆方向の場合は腰安らぎコースの実行を指示操作するものとなる。
また、同じく開始前に第四の指が指載置部31に置かれた場合の指と操作内容との対応について詳しく説明すると、第四の指の向きが前記正方向の場合は、全身エアコースの実行を指示操作するものとなり、また、横方向の場合は全身ストレッチコースの実行を指示操作するものとなり、さらに、逆方向の場合は短縮コースの実行を指示操作するものとなる。
さらに、マッサージ動作中に第一の指が指載置部31に置かれた場合の指と操作内容との対応について詳しく説明すると、第一の指の向きが前記正方向の場合は、メカマッサージの強さをより強くする調整を指示操作するものとなり、また、横方向の場合はエアマッサージの強さをより強くする調整を指示操作するものとなる。
また、同じくマッサージ動作中に第二の指が指載置部31に置かれた場合の指と操作内容との対応について詳しく説明すると、第二の指の向きが前記正方向の場合は、メカマッサージの強さをより弱くする調整を指示操作するものとなり、また、横方向の場合はエアマッサージの強さをより弱くする調整を指示操作するものとなる。
また、同じくマッサージ動作中に第三の指が指載置部31に置かれた場合の指と操作内容との対応について説明すると、第三の指の向きが前記正方向、横方向のいずれかに関わりなく、実行中のマッサージのスキップを指示操作するものとなる。
また、同じくマッサージ動作中に第四の指が指載置部に置かれた場合の指と操作内容との対応について説明すると、第四の指の向きが前記正方向、横方向のいずれかに関わりなく、実行中のマッサージのリピートを指示操作するものとなる。
さらに、操作制御部35は、指が撮像される間、血管パターンの情報を血管パターン認識手段34から継続的に入力されることで、この血管パターンに基づく情報として、時間経過に伴う血管パターンの変化を取得することができ、この変化の内容を前記メモリ61等にあらかじめ記録された指の動きの類型データと比較照合して指の動きを把握できる。そして、操作制御部35は、把握した指の動きに対応する操作対象機器への動作命令、すなわち指の動きと一致する類型データにあらかじめ割当てられた動作命令を操作対象機器に入力することとなる。
例えば、操作制御部35は、血管パターン認識手段34で得られた血管パターンの時間経過に伴う指長手方向と直角の方向への位置変化について、類型データとの比較で、前記直角方向への指の動きとして把握することとなる。また、操作制御部35は、血管パターン認識手段34で得られた血管パターンにおける所定の二箇所間の時間経過に伴う指長手方向と直角方向での間隔変化について、類型データとの比較で、指長手方向と平行な軸周りの回転に係る指の動きとして把握することとなる。いずれの場合も、指の前記直角方向への動きに対応する動作命令、又は、指の前記回転に係る動きに対応する動作命令を、操作対象機器に入力する。
なお、血管パターン変化に伴う指の動きについては、血管パターンの形状の場合と同様に、あらかじめ操作対象機器の操作内容、すなわち操作対象機器への動作命令と関連付けて血管パターンの変化をそのまま記録した類型データを用い、この類型データと血管パターンの変化との比較で指の動きを把握するようにしているが、こうした使用者自身の指の動きに基づく変化を記録した類型データを用いた動きの認識に限定されるものではなく、例えば、血管パターンの変化を、あらかじめ記録された複数の標準的な識別用データと比較するような公知の画像処理方法を用いて、指の動きを識別、特定し、この指の動きに対応する前記識別用データにあらかじめ割当てられた動作命令を操作対象機器に入力するようにしてもよい。
また、操作制御部35は、前記第2の実施形態と同様、撮像手段33による撮像の間、前記指認識手段36で判別された撮像画像中の指や背景の情報を継続的に入力されることで、時間経過に伴う撮像画像における指や背景の変化を取得することができ、この変化の内容を前記メモリ61等にあらかじめ記録された指の動きの類型データと比較照合して指の動きを把握できる。そして、操作制御部35は、把握した指の動きに対応する操作対象機器への動作命令、すなわち指の動きと合致する類型データにあらかじめ割当てられた動作命令を操作対象機器としてのマッサージ機80の制御部81に入力することとなる。
次に、本実施形態に係る操作装置によるマッサージ機の動作開始時の制御についてフローチャートを用いて説明する。前提として、マッサージ機に係る各動作命令と使用者の第一ないし第四の各指の前記三通りの向きにおける血管パターンとの対応があらかじめ記録された状態で、マッサージ機80の主電源が入状態とされてマッサージ機80が待機状態で起動し、撮像手段33が撮像を開始して、被施療者によるマッサージコース等の動作状態指示入力を待つ状態にあるものとする。
起動後の準備動作が終了後、リモコン85の表示部87が被施療者に対し操作装置3の指載置部31に指を置くように指示する初期画面表示状態となると共に、操作装置3の撮像手段33は撮像を開始した状態となる(ステップS301)。被施療者が最初に指載置部31に、所望の自動コースに対応するように指を所定の向きで載せると、指を載せていなかった状態から載せた状態に変った時の撮像画像の微小変化や、指載置部31表面における圧力変化等の検知により、光源32がON状態となり、血管パターン認識手段34が指の血管パターンを認識可能な状態となる(ステップS302)。
ON状態となった光源32から光が照射されている状態で、撮像手段33が指載置部31に置かれた被施療者の指を撮像する(ステップS303)。
撮像手段33での撮像後、得られた撮像画像から血管パターン認識手段34が血管パターンの認識を実行する(ステップS304)。ここで、血管パターンが正常に認識されたか否かを判定し(ステップS305)、所定の血管パターンが認識された場合、操作制御部35では、この血管パターンの向きを認識し(ステップS306)、さらに、得られた指の血管パターンとその向きの情報を、あらかじめ記録された被施療者ごとの各血管パターンの登録データと比較照合し(ステップS307)、前記血管パターンに対応する所定向きの血管パターンのデータが存在する、すなわち指載置部に置かれた指が既登録の被施療者の指であるか否かを判定する(ステップS308)。
対応する指の同じ向きの血管パターンのデータがある場合、すなわち、被施療者の情報がデータとして登録されている場合、操作制御部35は、この所定の向きの指に対応するデータにあらかじめ割当てられたマッサージコースの実行を指示する動作命令をメモリ61等より呼出し、リモコン85の表示部87に、選択されたマッサージコースが行われる旨を確認のため表示し(ステップS309)、同時に指とその向きに対応する自動コースに沿ったマッサージ動作を行うようマッサージ機80の制御部81に動作命令を入力すると(ステップS310)、マッサージ開始に係る一連の処理が完了となる。
操作装置3からの動作命令は、マッサージ機80の制御部81に入力され、マッサージ機80では、被施療者がマッサージ機本体90に着座した状態を検知後、選択された自動コースに沿ったマッサージ動作が開始することとなる。
一方、前記ステップS305で血管パターンが認識できない場合や、前記ステップS308で認識された血管パターンに合致する登録分の指の所定の向きの血管パターンが存在しない場合、すなわち、被施療者の情報がデータとして登録されていない場合には、登録された使用者ではないと判定し、これ以降の指載置による操作を受入れない旨をリモコン85の表示部87に表示させ(ステップS311)、同時にマッサージ機80に対しリモコン85による操作を受付ける設定を行って(ステップS312)、一連の処理を終了する。この場合、マッサージ機80では、通常のリモコン操作によるマッサージコース選択として、リモコン85の表示部87で、複数のマッサージコースの選択用画面が表示され、被施療者のスイッチ入力によりコース選択が行われる旨が表示される。これを受けて、被施療者がリモコン85を操作するとマッサージコースが選択されてリモコン85から制御部81に入力され、前記同様、マッサージ機80では被施療者がマッサージ機本体90に着座した状態を検知後、選択されたマッサージコースに沿ったマッサージ動作が開始することとなる。
続いて、マッサージ開始後、マッサージ動作中における操作に係る制御について説明する。前提として、前記自動コースの選定の段階で正常に指の認識がなされて指に応じた自動コースの選定がなされているものとする。マッサージ動作開始後、操作制御部35は指載置部31に置く指と動作命令の割当てを、あらかじめ設定された、動作開始前とは異なる対応状態に入替える(ステップS401)。マッサージ動作中、光源32から光が照射されている状態で、撮像手段33が指載置部31に置かれた被施療者の指を撮像する(ステップS402)。
撮像手段33での撮像後、得られた撮像画像から血管パターン認識手段34が血管パターンの認識を実行する(ステップS403)。ここで、血管パターンが正常に認識されたか否かを判定し(ステップS404)、所定の血管パターンが認識された場合、操作制御部35では、この血管パターンの向きを認識し(ステップS405)、さらに、得られた指の血管パターンとその向きの情報をあらかじめ記録された被施療者の血管パターンの登録データと比較照合し(ステップS406)、前記血管パターンに対応するデータが存在する、すなわち指載置部に置かれた指が既登録で且つ先の自動コースの選択を行った被施療者の指であるか否かを判定する(ステップS407)。この時、比較照合の対象データとして、動作開始前の処理で特定された被施療者の指に関するもののみ用いることで、処理時間を短くすることができる。
前記ステップS407で対応する指の血管パターンのデータがある場合、すなわち、被施療者の情報がデータとして登録されている場合、撮像手段33が指載置部31に載置された被施療者の指の撮像を継続する中、撮像手段33で得られた撮像画像から指認識手段36も継続して指や背景を認識し(ステップS408)、また血管パターン認識手段34も継続して血管パターンを認識して(ステップS409)、操作制御部35で、認識された指や背景、又は血管パターンについて、所定の基準時間(1〜2秒)の間、変化のない状態が維持されているか否かを判定する(ステップS410)。
ここで指や背景、又は血管パターンについて、変化のない状態が維持されている、すなわち、時間経過に伴う変化が無く、指が静止しているとみなせる場合、操作制御部35は、この指とその向きの登録データにあらかじめ割当てられているマッサージ関連動作の実行を指示する動作命令をメモリ61等より呼出し、リモコン85の表示部87に、選択された動作が行われる旨を確認のため表示し(ステップS411)、同時に指に対応する前記マッサージ関連動作を行うようマッサージ機80の制御部81に動作命令を入力する(ステップS412)。
動作命令は、マッサージ機80の制御部81に入力され、マッサージ機80では命令に応じた動作が実行されることとなる。動作命令の入力後、操作制御部35は、マッサージ機80で自動コースの全てのマッサージが行われたか否かを判定し(ステップS413)、全て行われている場合、マッサージ機の動作中の操作に係る一連の処理が完了となる。前記ステップS413で、一部のマッサージコースのマッサージがまだ行われていない場合は、前記ステップS402に戻り、以降の処理を繰返す。
前記ステップS410で、変化のない状態が維持されていない、すなわち時間経過に伴う変化が生じている場合、指の動きがあったものと見なし、前記基準時間を含めて、認識された指や背景、又は血管パターンの、時間経過に伴う変化を指の動きの類型データと比較し(ステップS414)、登録された類型データに対応する動きであるか否かを判定する(ステップS415)。
対応する動きの類型データがある場合、すなわち、指の動きの情報がデータとして登録されている場合、操作制御部35は、あらかじめこの指の動きの類型データに割当てられたマッサージ関連動作の実行を指示する動作命令をメモリ61等より呼出し、リモコン85の表示部87に、選択された動作が行われる旨を確認のため表示し(ステップS416)、同時に指の動きに対応した動作を行うようマッサージ機80の制御部81に動作命令を入力する(ステップS417)。この後、前記ステップS413に移行する。
前記ステップS415で、類型データに対応する動きでない場合には、前記ステップS411に移行する。
一方、前記ステップS404で血管パターンが認識できない場合、また、前記ステップS407で認識された血管パターンに合致する登録分の指の血管パターンが存在しない場合、すなわち、自動コースの選択を行った被施療者の指以外の血管パターンが認識された場合や、認識された血管パターンの情報がデータとして登録されていない場合には、被施療者の指以外の物体(体の所定部位を含む)が指載置部を覆ったと判定し、被施療者又は周囲の人により緊急停止が指示されたと見なして、マッサージ動作を停止する命令をマッサージ機に入力し(ステップS418)、マッサージ機80をマッサージコースの途中で緊急停止させると共に、マッサージ機の操作に係る一連の処理を終了する。
このように、本実施形態に係る操作装置においては、略平坦な指載置部31の下側に撮像手段33及び光源32が配設され、十分な広さの指載置部31上には指載置の基準となるマーク又は微小凹凸以外存在せず、指載置部31に任意の向きで指を載せられることから、指載置部31への指を載せる向きに関わりなく指を撮像して血管パターンを認識でき、自然な姿勢で指を載せて操作が行えることとなり、マッサージ機80で得られるリラックス状態を損うことなく操作が行えると共に、指の各向きに動作命令を割当てることで操作のバリエーションを増やすことができ、多彩な操作が行え、通常の操作入力手段で行えるような細かい指示操作が可能となる。
なお、前記第1ないし第3の各実施形態に係る操作装置においては、操作対象機器であるマッサージ機80に対し操作装置1、2、3を一つ設ける構成としているが、これに限らず、例えばマッサージ機の左右の肘掛部にそれぞれ組込むなど、複数設けるようにすることもでき、指の載置や指の動きで操作できる項目を増やすことができる他、左右どちらでも同様の操作が行えるようにして操作の際に被施療者の都合のよい方を用いることでリラックス感の維持向上が図れる。このように操作装置を複数設ける場合、例えば右手で主に操作することとなる右側の肘掛部に設けた操作装置には自動コースに関してコース選択や各種設定操作などを割当てる一方、左手で主に操作することとなる左側の肘掛部に設けた操作装置にはマッサージのマニュアル動作に関して動作指示や調整等操作を割当てるなど、所定の装置で受付ける操作を操作目的ごとにまとめるようにするのが好ましい。
また、前記第1ないし第3の各実施形態に係る操作装置においては、血管パターンの認識のために用いる光源を指載置部の横や下方に配置し、照射されて皮膚を透過した光が指内部で反射するのに基づいて生じる皮下の静脈の透視像を用いるもの(いわゆる反射型)としているが、これに限らず、光源を指載置部の上側に配置し、照射された光がそのまま指内部を透過するのに基づいて生じる皮下の静脈の透視像を用いるもの(いわゆる透過型)とすることもできる。
また、前記第1ないし第3の各実施形態に係る操作装置において、操作制御部15、26、35が指やその動きに対応する自動コース内容や操作内容をリモコン85の表示部87に表示させ、被施療者が指やその動きにより選択した内容を視認できる構成としているが、この他、あらかじめ指データを記録する際に、例えば第一の指がどの指であるのかを入力して合せて記録しておくようにした上で、操作装置の表示手段、又は操作対象機器の表示部分、あるいは操作対象機器と接続された表示装置に、どの指がどの操作に対応するかを示す操作対象機器の操作案内画像を表示し、使用者が画像を見ながら操作に係る行為を行うと、画像に示された操作内容に対応するいずれかの動作命令が操作対象機器に入力される構成とすることもでき、使用者が指やその動きがどのような操作に対応しているか覚えていない場合でも、案内画像に基づいて操作が適切に行えると共に、案内画像に示された操作に対応するもののみ操作情報として受付けることで、その状況ですべきでない操作に対応する指や指の動きの誤認識による誤操作がなくなり、操作対象機器を適切に操作できる。
(本発明の第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る操作装置を前記図16ないし図18に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係る操作装置4は、前記第1の実施形態同様、指載置部41と、光源42と、撮像手段43と、血管パターン認識手段44と、操作制御部45とを備える一方、異なる点として、操作対象機器100をマッサージ機ではなくテレビやビデオレコーダ等のAV機器とすると共に、指載置部41上に置いた指を撮像画像において背景と区別して認識する指認識手段46を備え、AV機器のリモコン105に埋込まれる形で組込まれて配設される構成を有するものである。なお、操作装置4のハードウェアとしての構成は操作対象機器100のリモコン105に一体に組込まれる点を除いて、前記第3の実施形態と同様の、指載置部41が十分な広さで、周囲を含めて突出部分のない平坦な形状とされるものであり、詳細な説明を省略する。
前記操作制御部45は、前記各実施形態と同様に、血管パターン認識手段44で認識された、指載置部41に置かれた指の血管パターンを、あらかじめ記録された各被施療者個人ごとに固有の指のデータと比較照合して個人を特定し、この特定された個人に係る複数のデータごとに異なる動作命令を操作対象機器に入力するものである。本実施形態の場合、操作制御部45では、血管パターンから個人を特定した後、その個人が操作しているという情報を操作対象機器100の制御部に入力することで、操作対象機器100側では個人を識別するための暗証番号入力等の認証なしに、その個人によって以前に録画された内容の一覧をこの操作対象機器100に接続されたテレビ等の表示装置101に表示したり、その個人があらかじめ登録したジャンルや任意のキーワードに基づいた自動予約録画を実行したり、登録ジャンルやキーワードに基づくか、その個人の過去の視聴傾向に基づいて、放送中又は放送予定の番組の中から個人の好みに合いそうな番組を抽出してその一覧表を表示装置101に表示したりすることが可能である。
また、操作制御部45は、指が撮像される間、前記第2の実施形態と同様に、前記指認識手段46で識別された撮像画像中の指や背景の情報を継続的に入力されると共に、前記第3の実施形態と同様に、血管パターンの情報を血管パターン認識手段44から継続的に入力されることで、時間経過に伴う撮像画像における指や背景の変化、及び時間経過に伴う血管パターンの変化をそれぞれ取得することができ、この変化の内容をあらかじめ記録された指の動きの類型データと比較照合して指の動きを把握できる。そして、操作制御部45は、把握した指の動きに対応する操作対象機器への動作命令、すなわち指の動きと一致する類型データにあらかじめ割当てられた動作命令を操作対象機器に入力することとなる。
これにより、表示装置101に操作対象機器100の操作用の標準的なGUIや個人ごとに特化した表示内容が表示されている間、指を置く操作や指を動かす操作を行うことで、操作用のGUIの他、録画内容や放送番組の一覧表における、フォーカスの移動・入力(決定)の操作をリモコンによるのと同様に行うことができる。
具体的に類型データとしてあらかじめ記録されて操作制御部45で認識される指の動きとしては、例として、前記第2の実施形態と同様の、指先で指載置部41上に円を描くような「円運動」、指で指載置部41を軽く数回叩く「タップ」、指を所定の向きで指載置部41に置いて指長手方向にスライドさせる「上下スライド」、指を前記所定の向きで指載置部41に置いて指長手方向と直角の向きにスライドさせる「左右スライド」、の四つに加え、指載置部41の任意位置を指で軽く払う「フリック」が挙げられる。いずれの場合においても、指を動かす速さ等も認識して操作内容に反映させるようにすることもできる。
指の動きに対する各動作命令の割当て内容は、例えば、GUIに対応するものとして、指の動きが上下スライドの場合は、画面上のフォーカスの上下移動を指示操作するものとなり、指を奥側にスライドさせると表示画面上の上方向への移動を、手前側にスライドさせると表示画面上の下方向への移動をそれぞれ指示操作することとなる。また、指の動きが左右スライドの場合は、フォーカスの左右移動を指示操作するものとなり、指を左側にスライドさせると表示画面上の左方向への移動を、右側にスライドさせると表示画面上の右方向への移動をそれぞれ指示操作することとなる。また、指の動きがタップの場合、フォーカスされた項目の決定を指示操作することとなる。さらに、指の動きがフリックの場合、GUI表示画像の払い方向へのスクロール(ページ切替え)を指示操作することとなる。
その他、指の動きをGUIに基づく操作ではなく、操作対象機器100の操作に直接割当て、操作に対応する指の動きでそのまま機器動作を行わせることもできる。この場合の指の動きに対する各動作命令の割当て内容としては、指の動きが円運動の場合、再生中の動画の早送り/巻戻し、又はチャプターごとの送り/戻しを指示操作するものとなり、指を回す向きで送り方向(後/前)を設定し、指を回す速さに応じて送り量(時間)を設定することとなる。また、指の動きがタップの場合、再生/停止を指示操作するものとなり、指を一回タップするごとに再生/停止を切換えることとなる。
また、指の動きが上下スライドの場合は再生音量の調整を指示操作するものとなり、指を奥側にスライドさせるとより大音量に、手前側にスライドさせるとより小音量に設定することとなる。また、指の動きが左右スライドの場合は視聴チャンネルの変更を指示操作するものとなり、指を各方向にスライドさせるとチャンネルの昇順又は降順での切換えを設定することとなる。さらに、指の動きがフリックの場合、CM部分のスキップを指示操作することとなる。
次に、本実施形態に係る操作装置の操作対象機器に対するGUIを用いない直接操作指示の制御についてフローチャートを用いて説明する。前提として、操作対象機器100が起動状態で、GUIに対する操作であらかじめ直接操作指示が行える設定がなされて操作を受付け可能な状態となっているものとする。
まず、指載置部41に新たに載置された指に対し、撮像手段43が指載置部41に置かれた被施療者の指を撮像する(ステップS501)。撮像手段43での撮像後、得られた撮像画像から血管パターン認識手段44が血管パターンの認識を実行し(ステップS502)、認識された血管パターンの情報を操作制御部45が血管パターン画像の登録データと比較照合し(ステップS503)、前記血管パターンに対応するデータが存在する、すなわち指載置部41に置かれた指があらかじめ登録された使用者のいずれかの指であるか否かを判定する(ステップS504)。
対応する指の血管パターンのデータがある場合、すなわち、登録済の使用者の指である場合、指のどの動きがどの操作項目に対応するか説明する内容の表示を表示装置に行わせる(ステップS505)。そして、撮像手段43が指載置部41に載置されて操作に応じた動きで動かされる被施療者の指を撮像する(ステップS506)。撮像手段43が指載置部41に載置された被施療者の指の撮像を継続する中、撮像手段43で得られた撮像画像から指認識手段46も継続して指や背景を認識し(ステップS507)、また血管パターン認識手段44も継続して血管パターンを認識し(ステップS508)、操作制御部45では、認識された指や背景、又は血管パターンの時間経過に伴う変化を指の動きの類型データと比較し(ステップS509)、この変化に対応する動きの類型データはあるか、すなわち、この変化は登録された動き、例えば、「円運動」、「タップ」、「上下スライド」、「左右スライド」、又は「フリック」、であるか否かを判定する(ステップS510)。
対応する動きの類型データがある場合、すなわち、指の動きの情報がデータとして登録されている場合、操作制御部45は、あらかじめこの指の動きの類型データに割当てられた設定の調整を指示する動作命令をメモリ61等より呼出し、表示装置に、選択された動作や設定が行われる旨を確認のため表示し(ステップS511)、同時に指の動きに対応した操作内容の動作を行うよう操作対象機器の制御部に動作命令を入力し(ステップS512)、一連の処理を完了する。
前記ステップS509で、対応する類型データのない動きの場合、表示部にあらためて適切に指を動かすようにとの表示を行わせ(ステップS513)、前記ステップS506に移行する。
前記ステップS504で認識された血管パターンに合致する登録分の使用者の指の血管パターンが存在しない場合、登録されていない使用者の指が指載置部に置かれたと判定し、これ以降の操作装置への指載置による操作を受入れない旨を表示装置に表示させ(ステップS514)、同時に操作対象機器に対しリモコン105による操作を受付ける設定を行って(ステップS515)、一連の処理を終了する。この場合、操作対象機器では、通常のリモコン操作による操作用画面(GUI)が表示され、使用者がリモコン105を使用して操作対象機器の操作を行うこととなる。
このように、本実施形態に係る操作装置においては、操作制御部45で個人を特定し、特定した個人に対応した操作対象機器100の操作を実行することから、操作対象機器100の各使用者ごとに異なる動作状態を得られる操作が実現し、使用者ごとに適した動作状況を同一の装置への同一の操作行為で提供でき、操作入力手段を多数設ける必要がなく、操作対象機器100の操作を効率化できる。また、認識した血管パターンから指及び個人が特定され、使用者があらかじめ記録された使用者であることが判明したら、操作制御部45が、判明した使用者に特化させてあらかじめ設定された操作案内画像を表示装置101に表示させ、使用者に案内画像に基づく操作を行わせることから、使用者ごとに最適な操作環境を提供でき、好みに応じた動作状態を速やかに実現させることができ、さらに操作感を優れたものとすることができる。
(本発明の第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態に係るマッサージ機を前記図19ないし図21に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係る操作装置5は、前記第1の実施形態同様、指載置部51と、光源52と、撮像手段53と、血管パターン認識手段54と、操作制御部55とを備える一方、異なる点として、操作対象機器110を体組成計とすると共に、指載置部51上に置く指を足の指とし、体組成計足下部(本体)に埋込まれる形で組込まれて配設される構成を有するものである。なお、操作装置5のハードウェアとしての構成は操作対象機器110に一体に組込まれる点を除いて、前記第3及び第4の実施形態と同様の、指載置部51が十分な広さで、周囲を含めて突出部分のない略平坦な形状とされるものであり、詳細な説明を省略する。
前記操作制御部55は、前記各実施形態と同様に、血管パターン認識手段54で認識された、指載置部51に置かれた指の血管パターンを、あらかじめ記録された各被施療者個人ごとに固有の指のデータと比較照合して個人を特定し、この特定された個人に係る複数のデータごとに異なる動作命令を操作対象機器110に入力するものである。本実施形態の場合、操作制御部55では、血管パターンから個人を特定した後、その個人が使用しているという情報を操作対象機器110の制御部に入力することで、操作対象機器110側では個人情報の保護状態を維持しつつ、個人を識別するための暗証番号入力等の認証なしに、その個人に対してのみその測定結果の履歴や、個人ごとの測定結果から算定された体に関する各種指標を操作対象機器110の表示部111に表示することが可能である。
また、操作制御部55は、指が撮像される間、前記第2の実施形態と同様に、前記指認識手段56で識別された撮像画像中の指や背景の情報を継続的に入力されると共に、前記第3の実施形態と同様に、血管パターンの情報を血管パターン認識手段54から継続的に入力されることで、時間経過に伴う撮像画像における指や背景の変化、及び時間経過に伴う血管パターンの変化をそれぞれ取得することができ、この変化の内容をあらかじめ記録された指の動きの類型データと比較照合して指の動きを把握できる。そして、操作制御部55は、把握した指の動きに対応する操作対象機器110への動作命令、すなわち指の動きと一致する類型データにあらかじめ割当てられた動作命令を操作対象機器110に入力することとなる。
具体的に類型データとしてあらかじめ記録されて操作制御部45で認識される指の動きとしては、例として、指で指載置部51を軽く数回叩く「タップ」が挙げられる。この指の動きに対する動作命令の割当て内容は、例えば、このタップの場合、表示部111における表示内容の切替えを操作するものとなり、指を一回タップするごとに測定結果や測定履歴等の表示内容を切替え操作することとなる。
次に、本実施形態に係る操作装置の操作対象機器に対する操作指示の制御についてフローチャートを用いて説明する。前提として、操作対象機器が電源投入により起動し、操作を受付け可能な状態となっているものとする。
まず、指載置部51に載置された指に対し、撮像手段53が指載置部51に載せられた被施療者の指を撮像する(ステップS601)。撮像手段53での撮像後、得られた撮像画像から血管パターン認識手段54が血管パターンの認識を実行し(ステップS602)、認識された血管パターンの情報を操作制御部55が血管パターン画像の登録データと比較照合し(ステップS603)、前記血管パターンに対応するデータが存在する、すなわち指載置部に置かれた指があらかじめ登録された使用者のいずれかの指であるか否かを判定する(ステップS604)。
対応する指の血管パターンがある場合、すなわち、登録済の使用者の指である場合、さらに、撮像手段53が指載置部51に載置されて操作に応じた動きで動かされる被施療者の指を撮像する(ステップS605)。撮像手段53が指載置部51に載置された被施療者の指の撮像を継続する中、撮像手段53で得られた撮像画像から指認識手段56も継続して指や背景を認識し(ステップS606)、また血管パターン認識手段54も継続して血管パターンを認識して(ステップS607)、操作制御部55では、認識された指や背景、又は血管パターンの時間経過に伴う変化を指の動きの類型データと比較し(ステップS608)、この変化に対応する動きの類型データはあるか、すなわち、この変化は登録された動き、例えば、「タップ」であるか否かを判定する(ステップS609)。
対応する動きの類型データがある場合、すなわち、指の動きの情報がデータとして登録されている場合、操作制御部45は、あらかじめこの指の動きの類型データに割当てられた表示内容切替え等の動作を指示する動作命令をメモリ61等より呼出し、この指の動きに対応した操作内容の動作を行うよう操作対象機器の制御部に動作命令を入力し(ステップS610)、一連の処理を完了する。
前記ステップS608で、類型データに対応する動きでない場合、表示部にあらためて適切に指を動かすようにとの表示を行わせ(ステップS611)、前記ステップS605に移行する。
前記ステップS604で認識された血管パターンに合致する登録分の使用者の指の血管パターンが存在しない場合、登録されていない使用者の指が指載置部に載せられたと判定し、これ以降の操作装置への指載置による操作を受入れない旨を表示装置に表示させ(ステップS612)、同時に操作対象機器に対し通常の操作部による操作を受付ける設定を行って(ステップS613)、一連の処理を終了する。この場合、操作対象機器では、使用者が通常の操作部を使用して操作対象機器の操作を行うこととなる。
このように、本実施形態に係る操作装置においては、認識した血管パターンから指及び個人が特定され、使用者があらかじめ記録された使用者であることが判別できた場合のみ操作対象機器110の操作が行えるようにすることから、あらかじめ登録された使用者以外の不特定多数の人には操作装置5を介した操作対象機器110の操作を許可しないこととなり、セキュリティを確保したり、登録した使用者のみに特別なサービスを提供したりなどの設定が行え、様々な状況に対応できる。