JP2010242947A - 保持器付きころ - Google Patents
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- F16C33/4635—Massive or moulded cages having cage pockets surrounding the rollers, e.g. machined window cages formed as one-piece cages, i.e. monoblock cages made from plastic, e.g. injection moulded window cages
Abstract
【課題】 潤滑作用に優れ、かつ保持器の成形用の金型を軸方向抜きの形状とすることができて金型コストの低減が可能な保持器付きころを提供する。
【解決手段】 保持器2は、軸方向の両端の環状部21と周方向複数箇所の柱部22とでなり、隣合う柱部22間がポケット3となる樹脂製とする。ポケット3の内径側および外径側の開口縁にころ落ち止め用突条5,6を設ける。この保持器付きころ1において、保持器2の内径面の一側縁および外径面の他側縁に、環状の内径側段差部23および外径側段差部24を、ポケット3の一部の幅に渡るように設ける。内径側段差部23の内径Rbを外径側段差部24の外径Raと同径以上とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 保持器2は、軸方向の両端の環状部21と周方向複数箇所の柱部22とでなり、隣合う柱部22間がポケット3となる樹脂製とする。ポケット3の内径側および外径側の開口縁にころ落ち止め用突条5,6を設ける。この保持器付きころ1において、保持器2の内径面の一側縁および外径面の他側縁に、環状の内径側段差部23および外径側段差部24を、ポケット3の一部の幅に渡るように設ける。内径側段差部23の内径Rbを外径側段差部24の外径Raと同径以上とする。
【選択図】 図1
Description
この発明は、遊星歯車減速装置など種々の産業機械における軸受として、外部潤滑形式で使用される保持器付きころに関する。
この種の保持器付きころとして、円筒状保持器の周方向複数箇所の各ポケットに針状ころを収容し、各ポケットの保持器の周方向に対向する側面の内径側および外径側にころ止め部を設けた樹脂製保持器付きころが知られている(例えば特許文献1)。特許文献1には、前記外径側ころ止め部と内径側ころ止め部を、軸方向に互いに異なる位置に配置することで,各ころ止め部間からポケット内への潤滑油の流入を可能として、潤滑作用の向上を図ったものが開示されている。
また、ポケットの周方向に対向する側面の外径側および内径側にころ止め部を設けた樹脂製保持器付きころの他の例として、前記ポケットの側面の軸方向中間部と両端に切欠を設け、両端と中間部の切欠の間に前記各ころ止め部を配置すると共に、保持器の外径面の前記中間部の切欠に対応する位置に円周溝を設けることで、潤滑作用の向上を図ったものも提案されている(特許文献2)。
しかし、上記各構成の樹脂製保持器付きころの場合、保持器の外径側ころ止め部と内径側ころ止め部を、軸方向に互いに異なる位置に配置するためや、あるいは上記両端および中央の各切欠とこれら切欠の間に位置するころ止め部を設けるために、保持器の射出形成用金型の構造が複雑になる。すなわちこの種の保持器は、両端に環状部を有し中間にポケットを有する円筒状であるため、成形用の金型は、互いに径方向に外して脱型を可能にする分割構造とされるが、この径方向に外す分割型の金型とする場合に、上記のような各ころ止め部や切欠を有するものであると、分割個数を多くすることが必要になるなど、保持器の分割構造が複雑になる。そのため、金型コストが高くなる。
保持器の射出形成金型を軸方向抜きとすると、金型の構造が簡易となって金型コストが低減できるが、保持器の両端の環状部のため、通常では軸方向抜きが実現できない。
保持器の射出形成金型を軸方向抜きとすると、金型の構造が簡易となって金型コストが低減できるが、保持器の両端の環状部のため、通常では軸方向抜きが実現できない。
この発明の目的は、潤滑作用に優れ、かつ保持器の成形用の金型を軸方向抜きの形状とすることができて金型コストの低減が可能な保持器付きころを提供することである。
この発明の保持器付きころは、軸方向の両端の環状部と、両環部間に渡る周方向複数箇所の柱部とでなり、隣合う柱部間がポケットとなる樹脂製で円筒状の保持器と、前記各ポケット内に保持された複数のころとでなり、各ポケットの保持器周方向を向く両側面の内径側および外径側の開口縁にころ落ち止め用突条を設けた保持器付きころにおいて、保持器の内径面の一側縁および外径面の他側縁に、段差を持って凹む環状の内径側段差部および外径側段差部を、前記環状部の全幅と前記ポケットの一部の幅とに渡ってそれぞれ設け、内径側段差部の内径を外径側段差部の外径と同径以上としたことを特徴とする。
この構成によると、保持器の内径面の一側縁および外径面の他側縁に凹み形状の内径側段差部および外径側段差部が設けられ、これら段差部がポケットの一部まで延びているため、これら段差部のポケットにかかる部分で、潤滑油がポケット内を内径側と外径側との間に流れ易くなる。そのため、潤滑作用が向上する。また、内径側および外径側に段差部があって、その内径側段差部の内径を外径側段差部の外径と同径以上としたため、保持器の成形用の金型を互いに軸方向に挿脱可能に嵌まり合う外径側金型と内径側金型とで構成した場合に、保持器の両側の環状部を成形するキャビティの全体を、外径側金型と内径側金型とのパーティングラインの外径側と内径側とに分けて配置できる。したがって、内外の金型を互いに軸方向に抜いて脱型するときに、保持器の両側の環状部が金型に干渉することなく、脱型が行える。このように軸方向抜き型の金型とできるため、ころ落ち止め用突条を有する形状の保持器でありながら、金型構造が簡素化されて、金型コストが低減できる。
この発明において、前記内径側段差部の内径と外径側段差部の外径とを同径としても良い。内径側段差部の内径が外径側段差部の外径と同径以上であれば、軸方向に抜きの金型構造とできるが、これら段差部が深くなると、保持器の環状部の径方向厚さが薄くなって保持器強度の低下につながる。内径側段差部の内径と外径側段差部の外径とが同径であると、環状部の径方向厚さの低下をできるだけ抑えながら、軸方向に抜きの金型構造とできる。また、同径であると、金型のパーティングラインを内径側段差部の内径面および外径側段差部の外径に位置させることができ、金型構造がより簡素化できる。
この発明において、前記保持器は、互いに軸方向に挿脱可能に嵌まり合う外径側金型と内径側金型との間で射出成形されたものであっても良い。このような互いに軸方向に挿脱可能に嵌まり外径側金型と内径側金型とでなる金型構造とする場合に、この発明の金型コスト低減の効果がより効果的に発揮される。
この発明において、前記各ポケットの側面における前記外径側のころ落ち止め用突条と前記内径側のころ落ち止め用突条との径方向中間に位置して、ころを案内するころ案内面を設け、前記ころ案内面を、前記内径側段差部の内径と外径側段差部の外径との間の径方向位置でころが非接触となる凹面形状としても良い。例えば、ころ案内面を、ころ径よりも小さな曲率半径の円弧状、またはV字状の断面形状とすることで、ころ案内面をころが非接触となる凹面形状とできる。
金型の軸方向抜きのパーティングラインで保持器の成形面に段差や突起が生じることがあるが、ころ案内面を上記のように径方向の中間でころが非接触となる凹面形状とすることで、パーティングラインに沿う段差や突起がころに接触することが回避され、その接触による潤滑性低下や回転の円滑性の低下が防止される。
金型の軸方向抜きのパーティングラインで保持器の成形面に段差や突起が生じることがあるが、ころ案内面を上記のように径方向の中間でころが非接触となる凹面形状とすることで、パーティングラインに沿う段差や突起がころに接触することが回避され、その接触による潤滑性低下や回転の円滑性の低下が防止される。
この発明において、前記ころを案内するころ案内面を、ポケットの側面におけるポケット中心に対して最も凹む側面一般面部に対して突出して、かつ前記各ころ落ち止め用突条から離れて設けても良い。
このように、ころ案内面を、ポケット内の側面一般面部に対して突出して設け、かつころ落ち止め用突条から離れて設けることで、ころ案内面ところ落ち止め用突条との間に空間が生じる。この空間により潤滑油が流れ易くなり、潤滑性が向上する。
このように、ころ案内面を、ポケット内の側面一般面部に対して突出して設け、かつころ落ち止め用突条から離れて設けることで、ころ案内面ところ落ち止め用突条との間に空間が生じる。この空間により潤滑油が流れ易くなり、潤滑性が向上する。
この発明において、前記内径側および外径側のころ落ち止め用突条を、その軸方向途中部分で分割しても良い。このようにころ落ち止め用突条を分割にすることで、ころ落ち止め用突条の回りに空間が生じる。この空間により潤滑油が流れ易くなり、潤滑性が向上する。
この発明の保持器付きころは、遊星歯車減速装置における遊星歯車とこの遊星歯車を支持する支軸との間に介在させるものであっても良い。
遊星歯車減速装置における遊星歯車の支持に用いる保持器付きころは、優れた潤滑性が求められる。そのため、この発明の保持器付きころによる潤滑性向上の効果が効果的に発揮される。
遊星歯車減速装置における遊星歯車の支持に用いる保持器付きころは、優れた潤滑性が求められる。そのため、この発明の保持器付きころによる潤滑性向上の効果が効果的に発揮される。
この発明の遊星歯車減速装置は、この発明の上記いずれかの構成の保持器付きころを、遊星歯車とこの遊星歯車を支持する支軸との間に介在させたものである。
この構成によると、安価な保持器付きころを用いて遊星歯車減速装置での潤滑作用の向上が可能となる。
この構成によると、安価な保持器付きころを用いて遊星歯車減速装置での潤滑作用の向上が可能となる。
この発明の保持器付きころは、軸方向の両端の環状部と、両環部間に渡る周方向複数箇所の柱部とでなり、隣合う柱部間がポケットとなる樹脂製で円筒状の保持器と、前記各ポケット内に保持された複数のころとでなり、各ポケットの保持器周方向を向く両側面の内径側および外径側の開口縁にころ落ち止め用突条を設けた保持器付きころにおいて、保持器内径面の一側縁および保持器外径面の他側縁に、段差を持って凹む環状の内径側段差部および外径側段差部を、前記環状部の全幅と前記ポケットの一部の幅とに渡ってそれぞれ設け、内径側段差部の内径を外径側段差部の外径と同径以上としたため、潤滑作用が向上し、かつ保持器の成形用の金型を軸方向抜きの形状とすることができて金型コストの低減が可能となる。
この発明の遊星歯車減速装置は、遊星歯車の軸受としてこの発明の保持器付きころを組み込んだため、安価な保持器付きころを用いて潤滑作用の向上が可能となる。
この発明の遊星歯車減速装置は、遊星歯車の軸受としてこの発明の保持器付きころを組み込んだため、安価な保持器付きころを用いて潤滑作用の向上が可能となる。
この発明の一実施形態を図1ないし図3と共に説明する。この保持器付きころ1は、円筒状の保持器2に設けた複数箇所の各ポケット3に針状のころ4を収容してなる保持器付きころである。保持器2は、円筒状の合成樹脂の成形品からなり、ころ4を各々収容した多数のポケット3が、周方向に並んで形成されることで、軸方向の両端の環状部21と、両環部21,21間に渡る周方向複数箇所の柱部22とでなる形状とされている。なお、保持器2の断面図を示す図1(A)には一部のポケット3のみを示し、他は省略してある。図1(B)は図1(A)のI−I矢視拡大断面図を示す。ポケット3の保持器周方向に対向する側面には、内径側および外径側の開口縁にころ落ち止め用の突条5,6が各々設けられている。また、このポケット側面には、ころ4を案内するころ案内面7が設けられている。
保持器2は、内径面の一側縁および外径面の他側縁に、段差を持って凹む環状の内径側段差部23および外径側段差部24が設けられている。これら内径側段差部23および外径側段差部24は、前記環状部21の全幅とポケット3の一部の幅とに渡ってそれぞれ設けられている。すなわち両段差部23,24は、柱部22の一部に渡って設けられている。これにより、保持器2の外径面2aは、軸方向の一端(図1(A)の左側端)から他端に近い途中までの大径面部2aaと、この途中から他端までの小径面部2abとを有する段差面とされている。つまり、前記大径面部2aaは、軸方向の他端側を向く段面2acを介して前記小径面部2abに繋がっている。また、保持器2の内径面2bは、軸方向の他端から一端に近い途中までの小径面部2baと、この途中から一端までの大径面部2bbとを有する段差面とされている。前記小径面部2baは、軸方向の一端側を向く段面2bcを介して前記大径面部2bbに繋がっている。このため、保持器2は、断面Z字状となっている。
内径側段差部23の内径面(すなわち保持器内径面2bにおける大径面部2bb)の径寸法Rbは、外径側段差部24の外径面(すなわち保持器外径面2aにおける小径面部2ab)の径寸法Raと等しくされている。なお、内径側段差部23の内径面の径寸法Rbは、外径側段差部24の外径面の径寸法Raよりも大きくしてもよい。
内径側段差部23の内径面(すなわち保持器内径面2bにおける大径面部2bb)の径寸法Rbは、外径側段差部24の外径面(すなわち保持器外径面2aにおける小径面部2ab)の径寸法Raと等しくされている。なお、内径側段差部23の内径面の径寸法Rbは、外径側段差部24の外径面の径寸法Raよりも大きくしてもよい。
各ポケット3は、保持器内径面2bにおける大径面部2bbから、保持器外径面2aにおける小径面部2abにわたる軸方向区間に設けられる。外径側のころ落ち止め用突条6は、保持器外径面2aにおける大径面部2aaの軸方向区間に設けられる。つまり、外径側のころ落ち止め用突条6は、ポケット3の軸方向に対向する一側面(図1(A)の左側面)から保持器外径面2aの段面2acにわたって連続して形成される。内径側のころ落ち止め用突条5は、保持器内径面2bにおける小径面部2baの軸方向区間に設けられる。内径側のころ落ち止め用突条5は、ポケット3の軸方向に対向する他側面(図1(A)の右側面)から保持器内径面2bの段面2bcにわたって連続して形成される。
ころ案内面7は、各ポケット3の側面における外径側のころ落ち止め用突条6と内径側のころ落ち止め用突条5との径方向中間位置で、保持器外径面2aの内径面部2abよりも外径側から保持器内径面2bの大径面部2bbよりも内径側にわたる区間に設けられる。このころ案内面7は、ポケット3の側面におけるポケット中心に対して最も凹む側面一般面部25に対して突出して、かつ各ころ落ち止め用突条5,6から離れて設けられている。
また、このころ案内面7は、ころ4が非接触となる凹面形状とされている。例えば、図1(B)のように、軸方向に延びる断面V字状の溝面とされる。このほか、ころ案内面7を、図2のように、軸方向に延びころ4の半径R3よりも曲率半径の小さい凹曲面の溝面としても良い。
また、このころ案内面7は、ころ4が非接触となる凹面形状とされている。例えば、図1(B)のように、軸方向に延びる断面V字状の溝面とされる。このほか、ころ案内面7を、図2のように、軸方向に延びころ4の半径R3よりも曲率半径の小さい凹曲面の溝面としても良い。
図3は、上記形状の樹脂製保持器2の射出成形に用いられる金型の断面図を示す。この成形金型10は、保持器2の外径側半部を成形する雌金型である外径側金型11と、保持器2の内径側半部を成形する雄金型である内径側金型12とでなる。外径側金型11は一端に底板部11aを有する円筒体からなり、この外径側金型11内に外径側金型11と同心に内径側金型12が配置される。内径側金型12は一端に蓋部12aを有する円柱体からなる。これら外径側金型11と内径側金型12との間に、保持器2の両端の環状部21(図1)を成形する一対の環状キャビティ13と、保持器2の各柱部22を成形する軸方向空間からなる複数のキャビティ(図示せず)とが形成される。
同図のように、外径側金型11内に内径側金型12を配置して、両金型11,12間のキャビティ13等の空間に樹脂を射出して注入することにより、前記樹脂製保持器2が射出成形される。
上記構成の保持器付きころ1によると、内径側および外径側に段差部23,24を設けて断面Z字状とし、その内径側段差部23の内径Rbを外径側段差部24の外径Rbと同径以上としたため、保持器2の成形用の金型を互いに軸方向に挿脱可能に嵌まり合う外径側金型11と内径側金型12とで構成した場合に、保持器2の両側の環状部22を成形するキャビティ13,13の全体を、外径側金型11と内径側金型12とのパーティングラインLの外径側と内径側とに分けて配置できる。したがって、内外の金型11,12を互いに軸方向Pに抜いて脱型するときに、保持器2の両側の環状部21,21が金型11,12に干渉することなく、脱型が行える。
また、外径側のころ落ち止め用突条6は外径側の環状部21に続けて設けられ、内径側のころ落ち止め用突条5は内径側の環状部21に続けて設けられているため、これらころ落ち止め用突条5,6が、内外の金型11,12を互いに軸方向Pに抜いて脱型するときに、これら金型11,12と干渉することも生じない。なお、ころ案内面7は軸方向の中間で突出しているが、突出高さが低いため、金型11,12の引き抜き時に弾性変形し、干渉の問題なく脱型が行える。
このように軸方向抜き型の金型とできるため、ころ落ち止め用突条5,6を有する形状の保持器2でありながら、金型構造が簡素化されて、金型コストが低減できる。
また、外径側のころ落ち止め用突条6は外径側の環状部21に続けて設けられ、内径側のころ落ち止め用突条5は内径側の環状部21に続けて設けられているため、これらころ落ち止め用突条5,6が、内外の金型11,12を互いに軸方向Pに抜いて脱型するときに、これら金型11,12と干渉することも生じない。なお、ころ案内面7は軸方向の中間で突出しているが、突出高さが低いため、金型11,12の引き抜き時に弾性変形し、干渉の問題なく脱型が行える。
このように軸方向抜き型の金型とできるため、ころ落ち止め用突条5,6を有する形状の保持器2でありながら、金型構造が簡素化されて、金型コストが低減できる。
また、この保持器付きころ1では、保持器2の内径面の一側縁および外径面の他側縁に凹み形状の内径側段差部23および外径側段差部24が設けられ、これら段差部23,24がポケット3の一部まで延びている。すなわち、これら段差部23,24がポケット3に掛かる箇所では、ポケット3の入口の開口が大きくなる。そのため、これら段差部23,24のポケットにかかる部分で、潤滑油がポケット3内を内径側と外径側との間に流れ易くなる。これにより、潤滑作用が向上する。
また、金型を軸方向抜きとした場合、その軸方向に沿うパーティングラインLで保持器2のポケット内面となる成形面に段差や突起が生じることがあるが、この実施形態では、ころ案内面7を上記のように径方向の中間でころ4が非接触となる凹面形状としたため、パーティングラインLに沿う段差や突起がころ4に接触することが回避され、その接触による潤滑性低下や回転の円滑性の低下が防止される。ころ案内面7につき、径方向の中間でころ4が非接触となる凹面形状は、上記のように、ころ案内面7を、ころ径よりも小さな曲率半径の円弧状、またはV字状の断面形状とすることで容易に形成できる。
図4は、この発明の保持器付きころの他の実施形態を示す。この保持器付きころ1は、図1〜図3の実施形態において、内径側のころ落ち止め用突条5および外径側のころ落ち止め用突条6を、その軸方向途中部分で分割したものである。また、ここでは、両突条5,6を、ポケット3の軸方向に対向する側面からも離して設けている。その他の構成は、図1〜図3の実施形態の場合と同様である。
この実施形態のように、ころ落ち止め用突条5,6を軸方向途中部分で分割すると、その分割部5a,6aにより潤滑油が流れ易くなる。そのため、潤滑作用をより向上させることができる。また、ここでは、両突条5,6を、ポケット3の軸方向に対向する側面からも離しているので、さらに潤滑油が流れ易くなる。
図5は、この発明にかかる保持器付きころを軸受として遊星歯車減速装置に組み込んだ断面図である。遊星歯車減速装置60は、第1の回転軸61に固定された太陽歯車62と、固定部材63に固定される内歯歯車64と、これら太陽歯車62および内歯歯車64間に配置される複数の遊星歯車65と、第2の回転軸66に固定されたキャリア67とを備える。キャリア67は、円周方向に複数箇所に等配された支軸68を有し、これら支軸に外周に前記遊星歯車65が、保持器付きころ1を介して支持されている。この保持器付きころ1として、上記いずれかの実施形態の保持器付きころ1が用いられている。
このように、遊星歯車減速装置60の軸受として、この発明の一実施形態にかかる保持器付きころ1を適用することにより、安価な保持器付きころ1を用いて遊星歯車減速装置60での潤滑作用の向上が可能となる。
1…保持器付きころ
2…保持器
3…ポケット
4…ころ
5,6…ころ落ち止め用突条
7…ころ案内面
21…環状部
22…柱部
23…内径側段差部
24…外径側段差部
60…遊星歯車減速装置
65…遊星歯車
67…キャリア
68…支軸
2…保持器
3…ポケット
4…ころ
5,6…ころ落ち止め用突条
7…ころ案内面
21…環状部
22…柱部
23…内径側段差部
24…外径側段差部
60…遊星歯車減速装置
65…遊星歯車
67…キャリア
68…支軸
Claims (10)
- 軸方向の両端の環状部と、両環部間に渡る周方向複数箇所の柱部とでなり、隣合う柱部間がポケットとなる樹脂製で円筒状の保持器と、前記各ポケット内に保持された複数のころとでなり、各ポケットの保持器周方向を向く両側面の内径側および外径側の開口縁にころ落ち止め用突条を設けた保持器付きころにおいて、
保持器の内径面の一側縁および外径面の他側縁に、段差を持って凹む環状の内径側段差部および外径側段差部を、前記環状部の全幅と前記ポケットの一部の幅とに渡ってそれぞれ設け、内径側段差部の内径を外径側段差部の外径と同径以上としたことを特徴とする保持器付きころ。 - 請求項1において、前記内径側段差部の内径と外径側段差部の外径とを同径とした保持器付きころ。
- 請求項1または請求項2において、前記保持器は、互いに軸方向に挿脱可能に嵌まり合う外径側金型と内径側金型との間で射出成形されたものである保持器付きころ。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記各ポケットの側面における前記外径側のころ落ち止め用突条と前記内径側のころ落ち止め用突条との径方向中間に位置して、ころを案内するころ案内面を設け、このころ案内面を、前記内径側段差部の内径と外径側段差部の外径との間の径方向位置でころが非接触となる凹面形状とした保持器付きころ。
- 請求項4において、前記ころ案内面を、ころ径よりも小さな曲率半径の円弧状、またはV字状の断面形状とした保持器付きころ。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記ころを案内するころ案内面を、ポケットの側面におけるポケット中心に対して最も凹む側面一般面部に対して突出して、かつ前記各ころ落ち止め用突条から離れて設けた保持器付きころ。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記内径側および外径側のころ落ち止め用突条を、前記内径側段差部および外径側段差部を除くポケット開口縁の全長に連続して設けた保持器付きころ。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記内径側および外径側のころ落ち止め用突条を、その軸方向途中部分で分割した保持器付きころ。
- 請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、遊星歯車減速装置における遊星歯車とこの遊星歯車を支持する支軸との間に介在させるものである保持器付きころ。
- 請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の保持器付きころを、遊星歯車とこの遊星歯車を支持する支軸との間に介在させた遊星歯車減速装置。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015102137A (ja) * | 2013-11-22 | 2015-06-04 | 日本精工株式会社 | ラジアルニードル軸受用保持器 |
DE102014213994B4 (de) | 2013-08-14 | 2023-02-16 | Aktiebolaget Skf | Käfig für ein Rollenlager und Rollenlager |
DE102022111073A1 (de) | 2022-05-05 | 2023-11-09 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Käfig für Wälzlager, Wälzlager mit einem Käfig sowie Planetengetriebe mit einem Wälzlager |
-
2009
- 2009-04-10 JP JP2009095432A patent/JP2010242947A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102014213994B4 (de) | 2013-08-14 | 2023-02-16 | Aktiebolaget Skf | Käfig für ein Rollenlager und Rollenlager |
JP2015102137A (ja) * | 2013-11-22 | 2015-06-04 | 日本精工株式会社 | ラジアルニードル軸受用保持器 |
DE102022111073A1 (de) | 2022-05-05 | 2023-11-09 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Käfig für Wälzlager, Wälzlager mit einem Käfig sowie Planetengetriebe mit einem Wälzlager |
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