JP2010242817A - 一体成形プロペラシャフト - Google Patents

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Abstract

【課題】製品に要求される強度を確保しつつ、軽量化を図るのに効果的なヨーク部断面形状からなるプロペラシャフトの提供を目的とする。
【解決手段】内部が中空の円筒軸部の両端に、ジョイント部材と連結するためのヨーク部を当該円筒軸部と一体的に備えたプロペラシャフトであって、少なくとも一方のヨーク部は、径方向内側に膨出した増厚部を有し、且つ、周廻りに相対的に厚肉部と薄肉部とを有する異形中空断面形状になっていることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車の車両等に用いられるプロペラシャフトに関する。
車両に用いられるプロペラシャフトは、エンジンの駆動力を車輪に伝達し、推進力を得るのに重要な部品である。
プロペラシャフトの両端部にはユニバーサル継手を接続するためのヨーク部を有し、回転に対する捻り剛性と軽量化が要求される。
特許文献1には、一方の端部にヨーク部を一体成形した2個の部材を他方の端部にて摩擦撹拌接合により一体化したプロペラシャフトを開示する。
しかし、接合による機械的性質の低下が問題であり、また、接合部に応力集中しやすいことから接合部は一般部に比較して厚肉にしなければならないので製品の重量増になる。
プロペラシャフトは、回転駆動力を伝達する部品であることから、捻り強度を確保しつつ、軽量化を図るためにシャフトの一般部は円筒形状からなる場合が一般的である。
これに対してヨーク部はユニバーサル継手とクロス状に連結する方法を一般的に採用していることから、連結部の破壊強度が問題になる。
しかし、従来の設計思想は、特許文献1にも見受けられるように、シャフトとしての円筒軸部からヨーク部にわたって外側形状も内側形状も円形状に形成するものになっている。
そのためにプロペラシャフトの軽量化が未だ不充分であった。
特開2003−322135号公報
本発明は製品に要求される強度を確保しつつ、軽量化を図るのに効果的なヨーク部断面形状からなるプロペラシャフトの提供を目的とする。
本発明に係る一体成形プロペラシャフトは、内部が中空の円筒軸部の両端に、ジョイント部材と連結するためのヨーク部を当該円筒軸部と一体的に備えたプロペラシャフトであって、少なくとも一方のヨーク部は、径方向内側に膨出した増厚部を有し、且つ、周廻りに相対的に厚肉部と薄肉部とを有する異形中空断面形状になっていることを特徴とする。
ここで、前記一方のヨーク部の異形中空断面形状の最大厚肉部の肉厚に対する最小薄肉部の肉厚比が0.4〜0.6の範囲にあることが好ましい。
最小薄肉部の肉厚が最大厚肉部の肉厚の0.4未満だと破壊トルクが低下し、0.6を超えると軽量化効果が小さい。
ヨーク部の異形中空断面形状は、外側形状が円筒軸部に沿った円形状であり、内側形状が略長方形、略偏平六角形や八角形等、ジョイント継手との連結部強度を考慮した各種異形断面を採用することが可能であるが、局部的応力集中を抑えるには内側の中空部形状が小判型になっているのが理想的である。
本発明に係るプロペラシャフトは軽量化を図ることができる点に特徴があり、材質を特に限定する必要がないが、本願出願人が先に提案した特開2003−71515号公報に開示する製造方法を取り込むことができる点でアルミ製であるのが好ましい。
上記技術を取り込むことにより、前記一方のヨーク部が異形中空断面形状であって、他方のヨーク部が断面中実の閉塞部になっていてもよい。
本発明に係るプロペラシャフトは、円筒軸部の両端にヨーク部を一体成形するとともに、少なくとも一方のヨーク部は、径方向内側に膨出した増肉部を有する異形中空断面形状を採用したことにより、プロペラシャフトとしての捻り強度等の品質を確保しつつ、大きな軽量化効果を得ることができる。
プロペラシャフトの粗材形状例を示す。 プロペラシャフトの製品形状例を示す。 徐変部の破壊トルク試験結果を示す。 徐変部の質量変化を示す。
本発明に係るプロペラシャフトの例を以下図面に基づいて説明する。
図1はアルミニウム合金を用いて一体成形したプロペラシャフト粗材10aを示し、図2はヨーク部に所定の加工を施した製品としてのプロペラシャフト10の例を示す。
プロペラシャフト粗材10aは、断面円筒形状の円筒軸部11を有し、図1で示した例は左側端部が閉塞形状のヨーク部13になっていて、右側端部が径方向内側に膨出した増肉部12aを有するヨーク部12となっている。
ヨーク部12は、(a)D−D線断面図から(e)H−H線断面図まで順次示したように、外形形状は円筒軸部11と同様にヨーク部12の外形も円形状になっている。
これに対して、中空断面の内側の形状(中空部形状)は内径方向に膨出するように肉厚が増した徐変断面形状になっている。
この肉厚の徐変形状が、厚肉部のt1寸法と薄肉部のt2寸法とで異なり、本実施例では中空部12bが小判型形状になっている。
図1に示したプロペラシャフト粗材10aは、本願出願人が先に提案した特開2003−71515号公報に開示する技術を取り込むことでも製作できる。
例えば、コンテナ部の前方に押出ダイスを配置し、この押出ダイスの前方に閉塞部形状を成型する金型を固定及びフリーになるように連結した装置を用いる。
コンテナ部内にアルミ加工粗材を投入し、第1パンチにてヨーク部13を閉塞鍛造する。
次に押出ダイスとその前方の金型の固定を解除し、後方より第2パンチにて押出加工する。
これにより円筒軸部11が成形される。
円筒軸部(シャフト部)が所定の長さになると、第2パンチに替えてインナーが小判形状でアウターがコンテナ部内径形状になる第3複動パンチにてヨーク部12を徐変成形する。
次に、図1(e)に示したヨーク部12の小判型中空断面形状12bの厚肉部のt1寸法と薄肉のt2寸法の相違による徐変部の破壊トルクと質量変化を比較調査した。
調査に用いたプロペラシャフトは外形寸法d=φ80mmで、円筒軸部の肉厚3.0mmのものを用いた。
その結果を図3及び図4のグラフに示す。
図3のグラフにおいて、横軸は厚肉部t1に対する薄肉部t2の比(t2/t1)を示し、縦軸は徐変部の捻れ破壊トルク(Nm)の値を示す。
各折れ線グラフはt1の厚みが23,25,27mmのときのそれぞれ薄肉部t2を変化させたときの、(t2/t1)と破壊トルクの関係を示す。
なお、t2/t1=1のときの破壊トルクは従来の円筒形状の場合を示すことになる。
これに対して図4に示すグラフは、横軸の厚肉部t1に対する薄肉部t2の比(t2/t1)の変化とそれに対する徐変部の質量変化を縦軸に表したものであり、図3の目標線以上の破壊トルクを確保しつつ、図4の軽量化目標線以下の質量になるのがよいことになる。
今回調査した外形寸法d=φ80mmで、円筒軸部の肉厚3.0mmのプロペラシャフトの場合、徐変部破壊トルク2000Nm以上が目標線となり、仮に質量を10%以上軽量化するには、t2/t1=0.5〜0.6の範囲が良いことになる。
ヨーク部12の中空部の形状を各種採用してCAE解析した結果、シャフト外径(円筒軸部)φ60〜φ120の広い範囲にて、図1(e)に示した厚肉部の寸法t1に対して、薄肉部の寸法t2の比が0.4〜0.6にて所定の破壊トルクを確保しつつ軽量化効果が得られ、t2/t1=0.5〜0.6の範囲ではより大きい軽量効果があることが明らかになった。
10 プロペラシャフト
10a プロペラシャフト粗材
11 円筒軸部
12 ヨーク部
12a 増肉部
13 ヨーク部

Claims (4)

  1. 内部が中空の円筒軸部の両端に、ジョイント部材と連結するためのヨーク部を当該円筒軸部と一体的に備えたプロペラシャフトであって、
    少なくとも一方のヨーク部は、径方向内側に膨出した増厚部を有し、且つ、周廻りに相対的に厚肉部と薄肉部とを有する異形中空断面形状になっていることを特徴とする一体成形プロペラシャフト。
  2. 前記一方のヨーク部の異形中空断面形状の最大厚肉部の肉厚に対する最小薄肉部の肉厚比が0.4〜0.6の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の一体成形プロペラシャフト。
  3. 前記一方のヨーク部の異形中空断面形状の内側形状が小判型形状になっていることを特徴とする請求項1記載の一体成形プロペラシャフト。
  4. 前記一方のヨーク部が異形中空断面形状であって、他方のヨーク部が断面中実の閉塞部になっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の一体成形プロペラシャフト。
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