JP2010241911A - 水性白色プライマー塗料組成物および外装用プラスチック成型品への塗膜形成方法 - Google Patents
水性白色プライマー塗料組成物および外装用プラスチック成型品への塗膜形成方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2010241911A JP2010241911A JP2009090384A JP2009090384A JP2010241911A JP 2010241911 A JP2010241911 A JP 2010241911A JP 2009090384 A JP2009090384 A JP 2009090384A JP 2009090384 A JP2009090384 A JP 2009090384A JP 2010241911 A JP2010241911 A JP 2010241911A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- coating composition
- white primer
- primer coating
- resin
- aqueous
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
- Paints Or Removers (AREA)
Abstract
【解決手段】本発明の水性白色プライマー塗料組成物は、所定のエポキシ基含有アクリル樹脂を所定の割合で含有するものであり、本発明の塗膜形成方法は、外装用プラスチック成形品表面にプライマー塗料を塗装した上に、水性ベース塗料、クリヤー塗料を順次塗装し、これを同時焼付けする方法において、プライマー塗料として前記水性白色プライマー塗料組成物を用い、水性ベース塗料として白黒隠ぺい膜厚が20μm以上であるものを用いる。
【選択図】なし
Description
また、プライマー塗膜のL値が低いと、プライマー塗膜の色がベース塗膜の色を変質させてしまい、所望の鮮やかな外観を得ることができない。そのため、従来、種々の白色プライマー塗料組成物が提案されてきた(例えば、特許文献5〜7参照。)。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、外装用プラスチック成型品の表面塗装に適用できるプライマー塗料組成物であって、環境に配慮した水性の塗料組成物でありながら、作業性が良好であり、かつ、十分な耐水性と耐黄変性を発揮する水性白色プライマー塗料組成物を提供することにあり、さらには、このような水性白色プライマー塗料組成物を用いて、その上に隠ぺい率の低い水性ベース塗料とクリヤー塗料を順次塗装し、前記水性ベース塗料に由来する色鮮やかな外観を失わせることなく発揮させる、外装用プラスチック成型品の塗膜形成方法を提供することにある。
その過程において、耐水性の高い水性白色プライマー塗料組成物を得るために、例えば、前記特許文献2、3でも例示されているノボラック型エポキシ樹脂を配合してみたところ、耐水性に優れた水性白色プライマー塗膜を形成させることができるものの、耐黄変性が低く、白色度が経時的に低下してしまうことが分かった。
そこで、さらなる検討を重ねた結果、水性白色プライマー塗料組成物の樹脂成分として、モノマー成分の35〜60重量%がグリシジル(メタ)アクリレートであるエポキシ基含有アクリル樹脂を特定の割合で含有させるようにすれば、耐水性と耐黄変性のいずれにも優れたものとなり、上記課題が解決されることを見出した。
また、本発明の好ましい形態は、上記において、前記水性白色プライマー塗料が、顔料分散樹脂としてアルキッド樹脂と水溶性アクリル樹脂を含み、両樹脂の含有比率が、樹脂固形分の重量基準で、アルキッド樹脂:水溶性アクリル樹脂=95:5〜50:50であるとともに、会合型増粘剤をも含む、ことである。
まず、本発明の水性白色プライマー塗料組成物および塗膜形成方法で用いられる、外装用プラスチック成型品、水性白色プライマー塗料組成物、水性ベース塗料およびクリヤー塗料について、詳しく説明する。
〔外装用プラスチック成型品〕
本発明で用いられる外装用プラスチック成型品は、特に限定されず、例えば、バンパー、スポイラー、グリル、フェンダーなどの自動車外装品や、家庭電化製品の外板部などを挙げることができ、その素材としても、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、ABS、塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、PPO、ポリメチルメタクリレート、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。
本発明にかかる水性白色プライマー塗料組成物は、プライマー用樹脂、水および白色顔料を必須に含み、適宜、その他の原料を含んでいてもよい。
水性白色プライマー塗料組成物は、L,a,b色相空間でのL値が、80以上であることが好ましく、90以上であることがより好ましい。前記L値が80未満であると、ベース塗膜の鮮やかな色を阻害するおそれがある。なお、L値は、後述の白色顔料の種類や量によって適宜調整すれば良い。
前記プライマー用樹脂としては、以下に詳しく説明するエポキシ基含有アクリル樹脂を必須に含む。
本発明の水性白色プライマー塗料組成物に含有されるエポキシ基含有アクリル樹脂は、グリシジル(メタ)アクリレートを必須のモノマー成分とするものであり、塗膜の耐水性を向上させる成分であるとともに、耐黄変性にも優れる成分でもある。その配合量としては、水性白色プライマー塗料に対して、樹脂固形分基準で、5〜25重量%の割合である。5重量%未満では十分な耐水性が得られず、25重量%を超えると他のプライマー用樹脂の配合が制限されるので密着性不良などを招く場合がある。
前記エポキシ基含有アクリル樹脂は、通常、例えば、平均粒径0.05〜0.5μmの微粒子状のアクリル樹脂エマルション粒子として用いられる。なお、本発明において、エポキシ基含有アクリル樹脂の平均粒径は、後述の実施例に記載の測定方法で測定された値である。
グリシジル(メタ)アクリレート以外のモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンとの付加物などの官能基含有モノマー、さらには、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。
他のプライマー用樹脂成分としては、酸変性塩素化ポリオレフィン、ポリウレタン樹脂、顔料分散樹脂などを用いることが好ましい。
前記酸変性塩素化ポリオレフィンは、例えば、プラスチック基材、特に、ポリオレフィン基材に対する密着性を向上させるものである。配合量としては、水性白色プライマー塗料組成物に対して、樹脂固形分基準で、20〜35重量%の割合であることが好ましい。20重量%未満ではポリオレフィン素材への密着性が不良となる傾向がある。
前記ポリウレタン樹脂は、塗膜の柔軟性を高める成分であり、配合量としては、水性白色プライマー塗料組成物に対して、樹脂固形分基準で、15〜35重量%の割合であることが好ましい。15重量%未満では十分な柔軟性を与えることができないおそれがある。
(酸変性塩素化ポリオレフィン)
前記酸変性塩素化ポリオレフィンは、塩素化ポリオレフィン部分と、この塩素化ポリオレフィン部分に結合した酸無水物部分とを含むポリオレフィン誘導体である。
塩素化ポリオレフィン部分は、塩素原子が置換したポリオレフィンからなる部分である。
また、酸無水物部分は、例えば、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸などの酸無水物に由来する基を含有し、グラフトして得られる変性された部分である。酸無水物部分は、1種または2種以上の酸無水物に由来する基からなる部分であってもよい。酸変性塩素化ポリオレフィンは、ポリオレフィンを酸無水物および塩素と反応させて内部変性したものであり、例えば、ポリオレフィンに対して塩素および酸無水物を反応させて製造される。ここで、塩素および酸無水物はどちらを先に反応させてもよい。塩素との反応は、例えば、ポリオレフィンを含む溶液に塩素ガスを導入することによって行われる。また、酸無水物との反応は、例えば、過酸化物の存在下、ポリオレフィン(または塩素化ポリオレフィン)に酸無水物を反応させることによって行われる。
酸変性塩素化ポリオレフィンの酸無水物含有率は、1〜10重量%の範囲にあることが好ましく、1.2〜5重量%の範囲にあることがさらに好ましい。酸無水物含有率が1重量%未満であると、乳化しにくくなるとともに水性白色プライマー塗料組成物の安定性が悪くなるおそれがある。他方、酸無水物含有率が、10重量%を超えると、酸無水物基が多くなりすぎ、耐水性が低下する傾向がある。
前記酸変性塩素化ポリオレフィンは、疎水性が高く、水に安定的に分散させることが困難であるので、通常、乳化剤や中和剤を使用してエマルション化させ、エマルション樹脂として用いる。
乳化剤としては、特に限定はないが、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテルや、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪族エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレンポリオール、アルキロールアミドなどのノニオン型乳化剤;アルキル硫酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンステアリルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩などのアニオン型乳化剤;ステアリルベタインやラウリルベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性乳化剤;ポリオキシエチレン基含有ウレタン樹脂、カルボン酸塩基含有ウレタン樹脂などの樹脂型乳化剤、イミダゾリンラウレート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルベタイン、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドなどのカチオン型乳化剤などを挙げることができ、これらは1種または2種以上を使用することができる。これらの中でも、ノニオン型乳化剤は、親水性の高いイオン性極性基を有しないため塗膜の耐水性を良好とさせ、好ましい。
中和剤の配合によって定まるエマルションのpHは、好ましくは7〜11、さらに好ましくは7.5〜10.5、最も好ましくは8〜10である。エマルションのpHが7未満であると、中和が十分ではなく、エマルションの貯蔵安定性が低下する傾向がある。他方、エマルションのpHが11を超えると、遊離の中和剤がエマルション中に過剰に存在することとなり、中和剤臭が強くなり、使用しにくくなる傾向がある。
中和剤としては、後述の有機系強塩基が必須であり、必要に応じて通常の有機系アミンやアンモニアを併用しても良い。
通常の有機系アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、N−メチルモルホリンなどのモノアミン類;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、イソホロンジアミン、トリエチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどのポリアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノールなどのアルカノールアミン類などを挙げることができる。
(ポリウレタン樹脂)
前記ポリウレタン樹脂としては、特に限定されないが、例えば、イソシアネート基とポリオールを反応させて鎖延長されたポリウレタン樹脂が好ましい。
前記ポリウレタン樹脂としては、ポリオール変性物をエマルション化したものやディスパージョン化したものが良い。例えば、乳化剤の存在下、あらかじめジオールとジイソシアネートを反応させて得られるプレポリマーを水中に分散させながら、強制または自己乳化して得られるディスパージョンが挙げられる。前記ディスパージョンにおいては、分散性を高めるために、カルボキシル基を有するジメチロールブタン酸などを含んでいても良い。
顔料分散樹脂としては、アルキッド樹脂および水溶性アクリル樹脂を含有するものを用いることが好ましい。両樹脂を併用することで、耐水性に優れ、かつ、顔料分散性、ひいては塗膜外観の良好な水性白色プライマー塗料組成物が得られる。両樹脂を併用する場合における両樹脂の配合比率は、樹脂固形分の重量基準で、アルキッド樹脂:水溶性アクリル樹脂=95:5〜50:50であることが好ましい。前記割合よりもアルキッド樹脂の割合が多くなると顔料の分散安定性が低下してしまうおそれがあり、前記割合よりもアルキッド樹脂の割合が少なくなると微粒化が不十分となったり、耐水性が低下したりするおそれがある。
前記多価アルコールとしては、例えば、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−オレフィングリコール、1,2−プロパンジオール、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジオレフィングリコール、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。前記多官能カルボン酸としては、例えば、フタル酸無水物、アジピン酸、マレイン酸無水物、イソフタル酸、セバチン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、トリメリット酸無水物、リノール酸、リノレイン酸、安息香酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、フマル酸などが挙げられる。
アルキッド樹脂を水性型として用いる場合、その樹脂固形分酸価は、5〜100mgKOH/gであることが好ましく、10〜40mgKOH/gであることがより好ましい。樹脂固形分酸価が5mgKOH/g未満であると、アルキッド樹脂の水への分散性が不充分で、安定な水溶性樹脂になりにくく、一方、100mgKOH/gを超えると、塗膜の耐水性や耐候性が低下する恐れがある。
つぎに、前記水溶性アクリル樹脂としては、例えば、親水性(メタ)アクリルモノマーに由来する構造単位を含む水溶性のアクリル樹脂を挙げることができる。前記親水性(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸などのカルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートやこれら(メタ)アクリレートとカプロラクトンやエチレンオキサイドなどが反応した開環付加物などの水酸基含有(メタ)アクリルモノマー;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有(メタ)アクリルモノマー;アクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミドなどのアクリルアミドモノマーなどを挙げることができ、1種のみ、または、2種以上を併用しても良い。
水溶性アクリル樹脂は、親水性(メタ)アクリルモノマーを重合して得ることができるが、必要に応じて、上記他の(メタ)アクリルモノマーやスチレン系モノマーとともに共重合したり、酸やアルカリで水溶性化して得られるものでもよい。水溶性化については、例えば、親水性(メタ)アクリルモノマーがカルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマーである場合にはアミンやアンモニアを用いて中和することにより行うことができ、網の基含有(メタ)アクリルモノマーである場合には有機酸などを用いて中和することにより行うことができる。
本発明の水性白色プライマー塗料組成物は、増粘剤として、会合型増粘剤を含むことが好ましい。会合型増粘剤は、分子内に疎水基と親水基を有する非イオン性物質であり、その疎水基が、水性白色プライマー塗料組成物中の樹脂の疎水基と会合する。高シェアー時には前記会合が一部はずれることで低粘度となるが、低シェアー時においては再び会合が起こって粘度が上昇するという特異な性質をもつ。
この会合型増粘剤を、水分散性樹脂である上記アルキッド樹脂とともに用いることで、高シェアー時には良好な分散や微粒化が可能となり、低シェアー時にはタレを防止することができる。
<白色顔料>
本発明の水性白色プライマー塗料組成物に用いられる白色顔料は、白色のプライマー塗料組成物を得させるためにプライマー塗料組成物中に配合される顔料である。
白色顔料としては、従来公知のものを用いることができ、例えば、酸化チタン、亜鉛華、鉛白、硫化亜鉛などが挙げられ、1種のみ、または、2種以上を併用してもよい。
前記白色顔料の平均粒径は、特に制限はないが、分散性、塗膜の平滑性、密着性確保などの観点から、0.2〜0.3μmであることが好ましい。
水性白色プライマー塗料組成物における白色顔料の含有量は、水性白色プライマー塗料組成物中の樹脂固形分100重量部に対し40〜75重量部の範囲内であることが好ましい。40重量部未満では塗膜の白色度が不十分となるおそれがあり、75重量部を超えると塗膜の平滑性や密着性が損なわれるおそれがある。
<溶剤>
水性白色プライマー塗料組成物中の水の配合割合は、水性白色プライマー塗料組成物全体に対して、好ましくは50〜90重量%、さらに好ましくは60〜80重量%である。水の配合割合が50重量%未満であると、塗料粘度が高くなり、貯蔵安定性や、塗装作業性が低下する。他方、水の配合割合が90重量%を超えると、水性白色プライマー塗料組成物中の不揮発分量の割合が低下し、塗装効率が悪くなり、タレ、ワキなどの外観異状が生じやすくなる。なお、水性白色プライマー塗料組成物は、有機溶剤をさらに含んでもよく、その配合割合は、通常、水性白色プライマー塗料組成物に含まれる水に対して40重量%以下である。
本発明で用いられる水性白色プライマー塗料組成物には、必要に応じて、例えば、無機充填剤、有機改質剤、安定剤、可塑剤、添加剤などの公知の補助配合剤を含有させることができる。
〔水性ベース塗料〕
本発明にかかる塗膜形成方法で用いられる水性ベース塗料は、水性白色プライマー塗料組成物を塗って形成した水性白色プライマー塗料組成物の未硬化膜上に塗り重ねられる塗料であり、クリヤー塗料に先立って使用される。
前記水性ベース塗料に含まれるベース用樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ビニル樹脂、繊維素樹脂などが挙げられ、1種のみ、または、2種以上を併用してもよい。硬化剤をさらに含むものであってもよい。
前記着色顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、クロム酸鉛、カーボンブラックなどの無機顔料;アゾレーキ系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、金属錯体顔料などの有機顔料などが挙げられ、また、前記体質顔料としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、シリカなどが挙げられる。これらを、1種のみ、または、2種以上を併用してもよい。
〔クリヤー塗料〕
本発明にかかる塗膜形成方法で用いられるクリヤー塗料は、水性ベース塗料の未硬化膜上に塗り重ねて、3層塗膜のトップ層(最上層)を形成させるのに用いられる塗料であり、優れた耐候性や耐溶剤性などの物性を硬化塗膜に付与する。
前記クリヤー塗料としては、特に限定されず、従来公知のものを用いればよいが、例えば、硬化剤がイソシアネートである2液クリアー塗料(例えば、2液硬化型ウレタン塗料)が好ましい。得られるクリヤー塗膜の外観が良好で、耐酸性にも優れたものとなるからである。
市販のクリヤー塗料としては、例えば、2液硬化型ウレタン塗料である日本ビー・ケミカル社製のR2500などを挙げることができる。
次に、塗膜形成工程の操作について詳しく説明する。
塗膜形成工程は、各塗料を塗り重ねる塗装工程と焼付け工程とに分けられる。
<塗装工程>
塗装工程は、さらに細分化すると、水性白色プライマー塗料塗装工程と、水性ベース塗料塗装工程と、クリヤー塗料塗装工程とに分けられる。
まず、水性白色プライマー塗料塗装工程は、外装用プラスチック成型品の表面に水性白色プライマー塗料組成物を塗装する工程である。水性白色プライマー塗料組成物を塗るのに先立って、必要に応じて、外装用プラスチック成型品を洗浄、脱脂しておいてもよい。水性白色プライマー塗料組成物は、例えば、スプレー塗装、刷毛塗り、ロール塗り、流し塗りなどの手法で塗ることができる。
水性白色プライマー塗料塗装工程では、塗装後に焼き付けて硬化させずにそのままにしておき、次の水性ベース塗料塗装工程で水性ベース塗料が水性白色プライマー塗料組成物の未硬化膜上に塗り重ねられる。
外装用プラスチック成形品の表面に水性白色プライマー塗料組成物を塗布した後、通常、得られた水性白色プライマー塗料組成物の未硬化膜の乾燥が行われる。この乾燥は、自然乾燥および強制乾燥のいずれで行ってもよい。強制乾燥としては、例えば、温風乾燥や、近赤外線乾燥、電磁波乾燥などのいずれで行ってもよい。
水性ベース塗料の塗布量(乾燥膜厚)は、10〜30μmである。10μm未満では本来の色相が得られづらくなり、30μmを超えるとワキやタレが発生し易くなる。好ましくは15〜20μmである。
水性ベース塗料塗装工程では、水性白色プライマー塗料組成物の未硬化膜および水性ベース塗料の未硬化膜からなる複層膜は、焼き付けて硬化させずにそのままにしておく。
クリヤー塗料の塗布量(乾燥膜厚)は、10〜40μmである。10μm未満では仕上がり不良となり、40μmを超えるとワキやタレが発生し易くなる。好ましくは20〜30μmである。
以上のようにして、外装用プラスチック成型品の表面に、水性白色プライマー塗料組成物、水性ベース塗料およびクリヤー塗料をこの順番に塗り重ねて、各塗料成分からなる3層の未硬化膜を外装用プラスチック成型品表面に形成し、次の焼き付け工程が行われる。
<焼き付け工程>
焼き付け工程は、前述の塗装工程で形成された、水性白色プライマー塗料組成物、水性ベース塗料およびクリヤー塗料からなる3層の未硬化膜を同時に焼き付けて、外装用プラスチック成型品の表面に、水性白色プライマー塗膜、水性ベース塗膜およびクリヤー塗膜の3層から構成される硬化塗膜を形成する工程である。
焼き付け時間は、通常10〜60分間であり、好ましくは15〜50分間、さらに好ましくは20〜40分間である。焼き付け時間が10分間未満であると、塗膜の硬化が不十分であり、硬化塗膜において、耐水性および耐溶剤性などの性能が低下する。他方、焼き付け時間が60分間を超えると、硬化しすぎでリコートにおける密着性などが低下し、塗装工程の全時間が長くなり、エネルギーコストが大きくなる。なお、この焼付け時間は、外装用プラスチック成型品表面が実際に目的の焼付け温度を保持しつづけている時間を意味し、より具体的には、目的の焼付け温度に達するまでの時間は考慮せず、目的の温度に達してから該温度を保持しつづけているときの時間を意味する。
〔製造例1:エポキシ基含有アクリル樹脂エマルションの製造〕
<製造例1−1>
撹拌羽根、温度計、滴下装置、温度制御装置、窒素ガス導入管および冷却管を備えた反応容器に、イオン交換水37部を仕込み、80℃まで昇温した。昇温から反応完了まで全て内部液を撹拌しながら各作業を行った。一方、乳化機(T.K.ロボミックスRM型、プライミクス社製)に、イオン交換水21部、界面活性剤「Newcol710」1部および「Newcol740」1部(いずれも日本乳化剤社製)を仕込み、撹拌しながら均一に溶解した。続けて撹拌しながら、上記乳化機にn−ブチルアクリレート6部、エチルヘキシルメタクリレート8部、グリシジルメタクリレート14部からなる重合性モノマー混合溶液を徐々に滴下して、プレエマルション液を作製した。一方、イオン交換水7部およびアンモニウムパーサルフェート(乳化重合触媒)1.1部からなる重合触媒液を作製し、上記反応容器に、上記プレエマルション液と該重合触媒液とを別々の滴下ロートから3時間かけて滴下した。反応容器内温度を80℃に維持して撹拌しながらエマルション重合を行った。プレエマルション液は、乳化機で乳化状態を保持しながら、そこから直接反応容器につないで滴下する手法をとった。3時間後、さらに、イオン交換水4部およびアンモニウムパーサルフェート0.5部からなる重合触媒液だけを、内部温度を80℃に保持して、1時間かけて滴下した。その後、80℃で1時間熟成したのち、冷却し、エポキシ基含有アクリル樹脂エマルションを得た。このものの不揮発分は30%であった。また、樹脂固形分中におけるグリシジルメタクリレートに由来する重量割合は50%であった。エポキシ基含有アクリル樹脂エマルション粒子の平均粒径は、400nmであった。
プレエマルション液を作製する際の重合性モノマー混合溶液を、表1に示すとおりに変更する以外は製造例1−1と同様にして、製造例1−2〜1−4の各エポキシ基含有アクリル樹脂を得た。各エポキシ基含有アクリル樹脂エマルションの不揮発分と、樹脂固形分中におけるグリシジルメタクリレートに由来する重量割合を表1に合わせて示す。なお、製造例1−2〜1−4の各エポキシ基含有アクリル樹脂エマルション粒子の平均粒径は、いずれも400nmであった。
撹拌羽根、温度計、滴下装置、温度制御装置、窒素ガス導入管および冷却管を備えた反応容器に、無水マレイン酸変性ポリオレフィン「スーパークロン892LS」(日本製紙社製、塩素含有率22%、重量平均分子量7万〜8万)288部、界面活性剤「エマルゲン920」(花王社製)62部、芳香族炭化水素溶剤「ソルベッソ100」(エクソン社製)74部、酢酸カービトール32部を仕込み、110℃まで昇温し、この温度で1時間加熱して樹脂などを溶解させたのち、100℃以下に冷却した。次いで、ジメチルエタノールアミン6部を溶解させたイオン交換水710部を撹拌しながら1時間かけて滴下し、転相乳化した。その後、室温(25℃)まで冷却し、400メッシュの金網でろ過して、無水マレイン酸変性塩素化ポリオレフィンエマルションを得た。このエマルションの不揮発分は30重量%であった。
撹拌羽根、温度計、滴下装置、温度制御装置、窒素ガス導入管、サンプル採取管および冷却管付き還流装置を備えた耐圧反応容器に、窒素ガスを通じながらアジピン酸1100部と3−メチル−1,5−ペンタンジオール900部と、テトラブチルチタネート0.5部とを仕込み、容器内液の反応温度を170℃に設定し、脱水によるエステル化反応を行い、酸価が0.3mgKOH/g以下になるまで継続した。次いで、180℃、5kPa以下の減圧条件下で2時間反応を行い、水酸基価112mgKOH/g、酸価0.2mgKOH/gのポリエステルを得た。次いで、上記反応容器と同じ装置のついた別の反応容器に、このポリエステルポリオール500部と、5−スルホソジウムイソフタル酸ジメチル134部およびテトラブチルチタネート2部を仕込み、上記と同じようにして、窒素ガスを通じながら、反応温度を180℃に設定してエステル化反応を行い、最終的に重量平均分子量2117、水酸基価53mgKOH/g、酸価0.3mgKOH/gのスルホン酸基含有ポリエステルを得た。
<顔料分散樹脂としての水溶性アクリル樹脂の製造>
撹拌羽根、滴下装置、温度制御装置、窒素ガス導入管および冷却管を備えた反応容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテル55部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ、撹拌下120℃まで昇温した。つぎに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート12部、メタクリル酸9部、イソブチルメタクリレート35部、n−ブチルアクリレート44部からなる重合性モノマー混合物と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサナート1部をプロピレングリコール8部に溶解した溶液とを、内部撹拌にてそれぞれ3時間かけて滴下した。次いで、滴下終了後、120℃の状態で1時間熟成反応を行ったのち、さらに、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサナート0.1部をプロピレングリコール4部に溶解した溶液を、1時間かけて反応容器に滴下した。いずれの場合も内部撹拌状態と液温120℃を維持していた。その後、撹拌しながら、120℃で2時間熟成し、ついで、内部温度を70℃まで冷却し、ジメチルアミノエタノール9.5部を滴下して30分撹拌した。さらに内部温度を70℃に保持して撹拌しながら、イオン交換水167部をゆっくりと滴下し、室温(25℃)まで冷却し、水溶性アクリル樹脂溶液を得た。イオン交換水を用いて、不揮発分を30%に調整した。得られた顔料分散樹脂(水溶性アクリル樹脂溶液)のpHは8.2で、アクリル樹脂の重量平均分子量は42000であった。
撹拌機のついたステンレス製の円筒撹拌槽に、顔料分散樹脂(上記水溶性アクリル樹脂溶液および/またはアルキッドディスパージョン樹脂「ウオーターゾールBCD−3090」(大日本インキ社製、不揮発分42%))28.0部を仕込み、撹拌しながら、イオン交換水20部を添加した。次いで、顔料の湿潤助剤「SURFYNOL GA」(エアープロダクツ社製、不揮発分78%)2.0部を撹拌しながら添加した。十分撹拌しながら、消泡剤「ノプコ8034−L」(サンノプコ社製、不揮発分100%)0.4部を添加した。ついで、撹拌を続けながら、白色顔料「チタンCR95」(石原産業社製)59部、イオン交換水2.6部、メラミン樹脂「サイメル701」(日本サイテック社製、不揮発分82%)3部を順次添加し、十分撹拌しながら、全体に均一になるまで15分間撹拌を続け、顔料ミルベースを得た。このミルベースをサンドグラインダーミルにより顔料分散し、プライマー用顔料分散ペーストを作製した。このものの不揮発分は64.6%であり、顔料濃度(PWC)73.7%であった。
撹拌装置のついたステンレス製容器に製造例1−1にかかるエポキシ基含有アクリル樹脂エマルション4.8部を仕込み、撹拌しながら、顔料分散ペースト38.6部、酸無水物変性塩素化ポリオレフィンエマルション樹脂13.3部、ウレタンディスパージョン樹脂13.7部、「UH752」(ウレタン会合型増粘剤)1.6部、2−エチルヘキサノール(溶剤)3.0部、サーフィノール440(エアープロダクツ社製、表面調整剤)1.8部、イオン交換水23.2部を順次仕込み、実施例1にかかる水性白色プライマー塗料組成物を得た。
ここで、本発明において、プライマー塗料組成物のL値は、以下のようにして得られる値である。
<L値の測定>
イソプロピルアルコールでワイピングしたポリプロピレン素材(TSOP、70mm×150mm×3mm)の表面に、プライマー塗料を、25℃/70%RHの環境下で、「ワイダー71」(アネスト岩田社製)でスプレー塗装(乾燥膜厚15μm)し、80℃で5分間乾燥したのち、塗膜の45°L値を「MA68II」(X−Rite社製)で測定した。
〔実施例2〜8、比較例1〜4〕
表2,3に示す配合で、実施例1と同様にして、実施例2〜8、比較例1〜4にかかる各水性白色プライマー塗料組成物を得た。
なお、実施例2〜8、比較例1〜4にかかる各水性白色プライマー塗料組成物は、実施例1にかかる水性白色プライマー塗料組成物と同様の白色顔料を同濃度で用いているので、そのL値は、すべて、実施例1にかかる水性白色プライマー塗料組成物と同様、85であった。
〔測定・評価方法〕
本実施例における耐水2次密着性、耐黄変性、ワキ、顔料分散性の項目は、以下の評価方法・測定方法に基づく。
<耐水2次密着性>
イソプロピルアルコールでワイピングしたポリプロピレン素材(70mm×150mm×3mm)の表面に、実施例1〜8、比較例1〜4にかかる各プライマー塗料を、25℃/70RHの環境下において、「ワイダー71」(アネスト岩田社製)でスプレー塗装(乾燥膜厚15μm)し、80℃で3分間プレヒートした。次いで、水性ベース塗料「AR−2000」(日本ペイント社製、アクリルメラミン系)を、同じ環境下で、「ワイダー71」(アネスト岩田社製)でスプレー塗装(乾燥膜厚15μm)し、80℃で5分間プレヒートした。ついで、クリヤー塗料「R−2500−1」(日本ビー・ケミカル社製のアクリル系クリヤー主剤と日本ビー・ケミカル社製のイソシアネート硬化剤「H−2500−1」からなるもの)を「ワイダー71」(アネスト岩田社製)でスプレー塗装(乾燥膜厚30μm)し、25℃/70%RHで10分間セッティングしたのち、120℃で35分間乾燥した。
○:1つも剥離しなかった場合
×:1つでも剥離があった場合
<耐黄変性>
イソプロピルアルコールでワイピングしたポリプロピレン素材(70mm×150mm×3mm)の表面に、実施例1〜8、比較例1〜4にかかる各プライマー塗料を、25℃/70RHの環境下において、「ワイダー71」(アネスト岩田社製)でスプレー塗装(乾燥膜厚15μm)し、15秒セッティングした後、乾燥炉に入れて80℃で3分間プレヒートした。プレヒート後、乾燥炉から取り出し、25℃/70RHの環境下において10分間放置した後、クリヤー塗料「R−2500−1」(日本ビー・ケミカル社製のアクリル系クリヤー主剤と日本ビー・ケミカル社製のイソシアネート硬化剤「H−2500−1」からなるもの)を「ワイダー71」(アネスト岩田社製)でスプレー塗装(乾燥膜厚20μm)し、25℃/70%RHで10分間セッティングしたのち、120℃で35分間乾燥した。
○:Δbが1.0未満
×:Δbが1.0以上
<ワキ>
上記耐黄変性評価と同様の条件で各試験用塗板を作製し、その外観を目視することにより以下のとおり評価した。
△:ワキがわずかに見られる
×:ワキが多数見られる。
<顔料分散性>
撹拌機のついたステンレス製の円筒撹拌槽に、顔料分散樹脂として、上記水溶性アクリル樹脂溶液28.0部を仕込み、撹拌しながら、イオン交換水20部を添加した。次いで、顔料の湿潤助剤「SURFYNOL GA」(エアープロダクツ社製、不揮発分78%)2.0部を撹拌しながら添加する。十分撹拌しながら、消泡剤「ノプコ8034−L」(サンノプコ社製、不揮発分100%)0.4部を添加する。ついで、撹拌を続けながら、白色顔料「チタンCR95」(石原産業社製)59部、イオン交換水2.6部、「サイメル701」(日本サイテック社製、不揮発分82%)3部を順次添加し、十分撹拌しながら、全体に均一になるまで15分間撹拌を続け、顔料ミルベースを作製する。このミルベースをサンドグラインダーミルにより30分間顔料分散する。
○:顔料粒度が10μm未満
△:顔料粒度が10μm以上20μm未満
×:顔料粒度が20μm以上
〔結果とその考察〕
上記各実施例、比較例について、プライマー塗料組成物の配合と樹脂固形分の配合比率の詳細、および、上述の基準に基づく評価項目の結果を表2,3に示す。
実施例1〜8の水性白色プライマー塗料組成物は、耐水性と耐黄変性をともに満足するものであり、特に、会合型増粘剤とともに顔料分散樹脂としてのアルキッド樹脂と水溶性アクリル樹脂を95:5〜50:50の割合で含有する、実施例1〜6の水性白色プライマー塗料組成物は、ワキを生じず、顔料分散性についても優れたものとなっていることが分かる。実施例7の水性白色プライマー塗料組成物は、水溶性アクリル樹脂が好適範囲よりも少ないため、顔料分散性が低くなってしまっており、実施例8の水性白色プライマー塗料組成物は、水溶性アクリル樹脂が好適範囲よりも多いため、高シェアー時の粘度が高くなってワキを生じてしまっている。
比較例2の水性白色プライマー塗料組成物は、グリシジル(メタ)アクリレートをモノマー成分として含むエポキシ基含有アクリル樹脂を用いているが、グリシジル(メタ)アクリレートの割合が本発明所定の範囲よりも少ないため、耐水性が悪く、プライマー塗膜の凝集破壊が起こった。
比較例3の水性白色プライマー塗料組成物は、グリシジル(メタ)アクリレートをモノマー成分として含むエポキシ基含有アクリル樹脂を用いているが、該樹脂の割合が本発明所定の範囲よりも少ないため、耐水性が悪く、プライマー塗膜の凝集破壊が起こった。
〔実施例9〕
上記実施例1〜8にかかる各水性白色プライマー塗料組成物を用い、下記のとおりの操作を行って、実際に、外装用プラスチック成型品上に複層塗膜を形成したところ、いずれにおいても、耐水性、耐黄変性にも優れ、色鮮やかな外観を有する複層塗膜であった。
<白黒隠ぺい膜厚>
ベース塗料の白黒隠ぺい膜厚は、JIS−K 5600−4−1に規定される隠ぺい率試験方法に準じて、隠ぺい率試験紙法により測定した。具体的には以下のとおりである。
まず、ブリキ版の中央部に白黒隠ぺい紙を両面テープで貼り付けたのち、ブリキ板の両端をマスキングする。
白黒隠ぺい紙を6区画に分け、白黒隠ぺい紙の端の1区画以外は塗料がつかないように、別のブリキ板で覆い、ベース塗料を、25℃/70%RHの環境下で、「ワイダー71」(アネスト岩田社製)でスプレー塗装する。
1区画ずつずらして6区画全てが塗装されるように上記操作を繰り返す。その後、25℃/70%RHで10分間セッティングしたのち、80℃で5分間乾燥する。
得られた試験板を人工太陽灯の下で正面45°の角度で250mmの距離から見る。膜厚の厚いほうから順に見て、隠ぺい紙の黒と白との境界がかすかに透けている区画より、1区画上(膜厚が厚い方)の両端のブリキ部の膜厚を測定し、小さい方の値を白黒隠ぺい膜厚とする。
Claims (5)
- 外装用プラスチック成形品の表面塗装に用いられる水性白色プライマー塗料組成物において、
モノマー成分の35〜60重量%がグリシジル(メタ)アクリレートであるエポキシ基含有アクリル樹脂を、樹脂固形分の重量基準で、5〜25重量%の割合で含有する、
ことを特徴とする、水性白色プライマー塗料組成物。 - 顔料分散樹脂としてアルキッド樹脂と水溶性アクリル樹脂を含み、両樹脂の含有比率が、樹脂固形分の重量基準で、アルキッド樹脂:水溶性アクリル樹脂=95:5〜50:50であるとともに、会合型増粘剤をも含む、請求項1に記載の水性白色プライマー塗料組成物。
- L,a,b色相空間でのL値が80以上である、請求項1または2に記載の水性白色プライマー塗料組成物。
- L,a,b色相空間でのL値が90以上である、請求項3に記載の水性白色プライマー塗料組成物。
- 外装用プラスチック成形品の表面に、水性白色プライマー塗料を乾燥膜厚10〜30μmの厚みで、その上に水性ベース塗料を乾燥膜厚10〜30μmの厚みで、さらにその上にクリヤー塗料を乾燥膜厚10〜40μmの厚みで、未硬化のまま塗装したのち、一度に焼き付けることにより化粧塗膜を形成する、外装用プラスチック成型品の塗膜形成方法において、
前記水性白色プライマー塗料として、請求項1から4までのいずれかに記載の水性白色プライマー塗料組成物を用いるとともに、
前記水性ベース塗料として、その白黒隠ぺい膜厚が20μm以上であるものを用いる、
ことを特徴とする、外装用プラスチック成型品の塗膜形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009090384A JP5214522B2 (ja) | 2009-04-02 | 2009-04-02 | 水性白色プライマー塗料組成物および外装用プラスチック成型品への塗膜形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009090384A JP5214522B2 (ja) | 2009-04-02 | 2009-04-02 | 水性白色プライマー塗料組成物および外装用プラスチック成型品への塗膜形成方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010241911A true JP2010241911A (ja) | 2010-10-28 |
JP5214522B2 JP5214522B2 (ja) | 2013-06-19 |
Family
ID=43095298
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009090384A Active JP5214522B2 (ja) | 2009-04-02 | 2009-04-02 | 水性白色プライマー塗料組成物および外装用プラスチック成型品への塗膜形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5214522B2 (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103525211A (zh) * | 2013-09-16 | 2014-01-22 | 安徽欧尚建材有限公司 | 一种外墙乳胶涂料 |
JP2016087569A (ja) * | 2014-11-07 | 2016-05-23 | 日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社 | 複層塗膜の形成方法 |
JP2017075213A (ja) * | 2015-10-13 | 2017-04-20 | 横浜ゴム株式会社 | シーリング材用水系プライマー組成物 |
WO2017065174A1 (ja) * | 2015-10-13 | 2017-04-20 | 横浜ゴム株式会社 | シーリング材用水系プライマー組成物 |
JP2017075211A (ja) * | 2015-10-13 | 2017-04-20 | 横浜ゴム株式会社 | シーリング材用水系プライマー組成物 |
JP7528775B2 (ja) | 2020-12-22 | 2024-08-06 | トヨタ自動車株式会社 | 塗料の隠蔽性試験方法 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0673334A (ja) * | 1992-08-28 | 1994-03-15 | Kanebo Nsc Ltd | 二成分系水性プライマー組成物 |
JP2004075735A (ja) * | 2002-08-12 | 2004-03-11 | Kansai Paint Co Ltd | 白色導電性プライマー塗料及び複層塗膜形成方法 |
JP2005000905A (ja) * | 2002-11-05 | 2005-01-06 | Kansai Paint Co Ltd | プラスチック基材の塗膜形成方法 |
WO2007046532A1 (ja) * | 2005-10-18 | 2007-04-26 | Kansai Paint Co., Ltd. | 水性プライマー組成物及びその塗装方法 |
JP2007238719A (ja) * | 2006-03-07 | 2007-09-20 | Nippon Bee Chemical Co Ltd | 導電性プライマー塗料およびこれを用いる塗膜形成方法 |
-
2009
- 2009-04-02 JP JP2009090384A patent/JP5214522B2/ja active Active
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0673334A (ja) * | 1992-08-28 | 1994-03-15 | Kanebo Nsc Ltd | 二成分系水性プライマー組成物 |
JP2004075735A (ja) * | 2002-08-12 | 2004-03-11 | Kansai Paint Co Ltd | 白色導電性プライマー塗料及び複層塗膜形成方法 |
JP2005000905A (ja) * | 2002-11-05 | 2005-01-06 | Kansai Paint Co Ltd | プラスチック基材の塗膜形成方法 |
WO2007046532A1 (ja) * | 2005-10-18 | 2007-04-26 | Kansai Paint Co., Ltd. | 水性プライマー組成物及びその塗装方法 |
JP2007238719A (ja) * | 2006-03-07 | 2007-09-20 | Nippon Bee Chemical Co Ltd | 導電性プライマー塗料およびこれを用いる塗膜形成方法 |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103525211A (zh) * | 2013-09-16 | 2014-01-22 | 安徽欧尚建材有限公司 | 一种外墙乳胶涂料 |
JP2016087569A (ja) * | 2014-11-07 | 2016-05-23 | 日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社 | 複層塗膜の形成方法 |
JP2017075213A (ja) * | 2015-10-13 | 2017-04-20 | 横浜ゴム株式会社 | シーリング材用水系プライマー組成物 |
WO2017065174A1 (ja) * | 2015-10-13 | 2017-04-20 | 横浜ゴム株式会社 | シーリング材用水系プライマー組成物 |
JP2017075211A (ja) * | 2015-10-13 | 2017-04-20 | 横浜ゴム株式会社 | シーリング材用水系プライマー組成物 |
JP7528775B2 (ja) | 2020-12-22 | 2024-08-06 | トヨタ自動車株式会社 | 塗料の隠蔽性試験方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5214522B2 (ja) | 2013-06-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN102959019B (zh) | 形成多层涂膜的方法 | |
JP5442994B2 (ja) | プラスチック成形品の塗装方法 | |
CN101407688B (zh) | 水性涂料组合物 | |
JP6355532B2 (ja) | 複層塗膜の形成方法 | |
JP5261089B2 (ja) | リコート用水性プライマー及び塗膜形成方法 | |
JP5214522B2 (ja) | 水性白色プライマー塗料組成物および外装用プラスチック成型品への塗膜形成方法 | |
JP7213085B2 (ja) | 複層塗膜形成方法 | |
CN105940067A (zh) | 水性涂料组合物 | |
GB2350365A (en) | Coating composition | |
JP6014903B2 (ja) | 2液型水系1コート塗料組成物 | |
CN113365744B (zh) | 多层涂膜的形成方法 | |
JP6834068B1 (ja) | 複層塗膜形成方法 | |
JP2014004552A (ja) | 複層塗膜形成方法及び塗装物品 | |
WO2007145368A1 (ja) | 塗料組成物 | |
JP2007302709A (ja) | 水性プライマー組成物 | |
WO2006054611A1 (ja) | 水性着色塗料、疎水性メラミン樹脂水分散体及びその製造方法、水性塗料組成物、並びに、複層塗膜形成方法 | |
JPH10338719A (ja) | フィルム形成性親水性樹脂および塗料組成物 | |
JP2009114392A (ja) | 水性中塗り塗料 | |
JP5269832B2 (ja) | 複層塗膜の形成方法 | |
JP2004275965A (ja) | 塗膜形成方法 | |
JP7365311B2 (ja) | ベース塗料組成物および塗装物品 | |
JP5484779B2 (ja) | 水性白色導電プライマー塗料組成物および外装用プラスチック成型品への塗膜形成方法 | |
JP3927141B2 (ja) | プラスチック素材の塗膜形成方法および塗装物品 | |
JP4139188B2 (ja) | 塗装方法 | |
JPH09235487A (ja) | 熱硬化性水性樹脂組成物、その製造方法、水性塗料組成物、塗装方法及び塗装物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20111006 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130212 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130219 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130227 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5214522 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160308 Year of fee payment: 3 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |