<ダイカストマシン全体の構成>
図1は、本発明の実施形態に係るダイカストマシン1の構成を示す概略図である。
ダイカストマシン1は、金型501を開閉するための型締装置3と、金型501に成形材料としての溶湯(溶融金属)を射出するための射出装置5と、成形品としてのダイカスト製品を金型501から押し出す押出装置6とを有している。また、ダイカストマシン1は、型締装置3、射出装置5及び押出装置6の動作を制御する制御装置28を有している。
金型501は、互いに対向して配置される固定金型503及び移動金型505を有している。固定金型503は、型締装置3により固定的に保持される。移動金型505は、2点鎖線で示すように、型締装置3により、固定金型503との対向方向(型開閉方向:図1の紙面左右方向)において移動される。固定金型503と移動金型505とが当接(型閉じ)されると、固定金型503と移動金型505との間には、ダイカスト製品を形成するためのキャビティCaが構成される。
型締装置3は、例えば、トグル式の型締装置により構成されている。型締装置3は、ベース7と、固定金型503を保持する固定ダイプレート9と、移動金型505を保持する移動ダイプレート11と、移動ダイプレート11を型開閉方向に駆動するトグル機構13と、トグル機構13を駆動する型締シリンダ装置15とを有している。
固定ダイプレート9は、ベース7に固定されている。移動ダイプレート11は、型開閉方向において移動可能にベース7に設けられている。固定ダイプレート9及び移動ダイプレート11は、互いに対向配置され、その対向面に固定金型503及び移動金型505をそれぞれ保持している。そして、移動ダイプレート11が型開閉方向に移動することにより、金型501は型開閉がなされる。
トグル機構13は、移動ダイプレート11とリンクハウジング17とを連結する複数のリンク19を有している。リンクハウジング17は、ベース7に対して固定されている。トグル機構13は、複数のリンク19の伸縮により、移動ダイプレート11をリンクハウジング17に対して型開閉方向へ移動させる。
型締シリンダ装置15は、液圧シリンダにより構成されている。型締シリンダ装置15は、シリンダチューブ16と、シリンダチューブ16内を摺動可能な不図示のピストンと、ピストンに固定された不図示のピストンロッドとを有している。シリンダチューブ16内は、ピストンにより2つのシリンダ室に区画されている。シリンダチューブ16は、リンクハウジング17に固定され、ピストンロッドは、複数のリンク19に固定されている。シリンダチューブ16内の2つのシリンダ室に選択的に作動液(例えば油)が供給されると、ピストンがシリンダチューブ16内を摺動し、ひいては、トグル機構13が駆動される。
移動ダイプレート11には、固定ダイプレート9及びリンクハウジング17に固定された複数のタイバー21が挿通されている。型閉じ後も継続して型締シリンダ装置15及びトグル機構13を駆動すると、複数のタイバー21が伸長し、型締力が生じる。
射出装置5は、キャビティCaに連通するスリーブ23と、スリーブ23内を摺動可能なプランジャ25と、プランジャ25を駆動可能な射出シリンダ装置27とを有している。
スリーブ23は、例えば、固定ダイプレート9に挿通され、キャビティCaと連通されている。不図示の給湯口からスリーブ23内に溶湯が供給され、プランジャ25がスリーブ23内を前進(キャビティCa側へ移動)することにより、溶湯がキャビティCaに射出、充填される。
制御装置28は、例えば、コンピュータにより構成されており、特に図示しないが、CPU、ROM、RAM、外部記憶装置、入力装置及び出力装置(表示装置)を有している。
<ダイカストマシン全体の動作>
各成形サイクルの開始前においては、型締装置3は、型開状態となっている。すなわち、移動ダイプレート11は、固定金型503と移動金型505とが離間する型開位置に位置している。
成形サイクルの開始条件が満たされると、制御装置28は、型締シリンダ装置15により、移動ダイプレート11を型閉方向へ駆動して、型閉じを行う。型接触がなされると、制御装置28は、さらに型締シリンダ装置15を駆動して、タイバー21を伸長させ、型締力を生じさせる。
型締が完了するなど、射出開始の条件が満たされると、制御装置28は、射出シリンダ装置27によりプランジャ25を前進させる。これにより、スリーブ23内の溶湯がキャビティCaに射出、充填される。充填後、制御装置28は、射出シリンダ装置27によりプランジャ25を介してキャビティCa内の溶湯に圧力を付与し、溶湯の圧力を一定の鋳造圧力に維持する。その後、時間の経過とともにキャビティCa内の溶湯は冷却されて凝固し、ダイカスト製品が形成される。
溶湯が凝固されると、制御装置28は、型締シリンダ装置15により、移動ダイプレート11を型開方向へ駆動して、型開きを行う。制御装置28は、型開きと並行して、又は、型開き後、押出装置6によりダイカスト製品を移動金型505から押し出す。
制御装置28は、このような型閉じ開始からダイカスト製品の押し出しに至るまでの成形サイクルを、自動的に繰り返し行う。なお、以上の説明から理解されるように、型締シリンダ装置15は、型開閉シリンダ装置を兼ねるものである。
<射出装置における液圧装置の構成>
図2は、プランジャ25を駆動するための、射出シリンダ装置27を含む液圧装置29の概略構成を示す回路図である。
射出シリンダ装置27は、シリンダチューブ31と、シリンダチューブ31内を摺動可能なピストン33と、ピストン33に固定されたピストンロッド35とを有している。シリンダチューブ31内は、ピストン33により2つのシリンダ室(ロッド側室31r及びヘッド側室31h)に区画されている。射出シリンダ装置27は、シリンダチューブ31がベース7に対して固定的に設けられ、ピストンロッド35がプランジャ25に連結されている(図1参照)。ロッド側室31r及びヘッド側室31hに選択的に作動液(例えば油)が供給されると、ピストン33がシリンダチューブ31内を摺動し、ひいては、プランジャ25が駆動される。
液圧装置29は、射出シリンダ装置27を駆動するためのピストン式アキュムレータ37と、ピストン式アキュムレータ37を補助するためのガス式アキュムレータ39とを有している。
ピストン式アキュムレータ37は、シリンダチューブ41と、シリンダチューブ41内を摺動可能なピストン43とを有している。ピストン43は、シリンダチューブ41内を液体室41aと気体室41bとに区画している。液体室41aには、作動液が収容され、気体室41bには、気体(例えば窒素や空気)が収容される。液体室41aに作動液が供給されることにより、ピストン43が気体室41b側へ移動し、気体室41bの気体が圧縮され、ピストン式アキュムレータ37の蓄圧が行われる。そして、ピストン式アキュムレータ37は、気体室41bの圧縮された気体の圧力により、液体室41aの作動液を送出可能である。液体室41aは、ヘッド側室31hに連通されており、ピストン式アキュムレータ37は、プランジャ25の前進(キャビティCa側への移動)に供される。
ガス式アキュムレータ39は、シリンダチューブにより構成されている。シリンダチューブは、例えば、円筒状に形成され、長手方向を鉛直方向として配置されている。ガス式アキュムレータ39内には、気体及び作動液が収容されている。気体と作動液との間に仕切りは設けられていない。ガス式アキュムレータ39内においては、相対的に密度が低い気体が上方側に、相対的に密度が高い作動液が下方側に貯留されている。気体と作動液とは直接的に接し、互いに圧力を及ぼし合っている。
ガス式アキュムレータ39の上方側は、気体室41bと連通されている。従って、ガス式アキュムレータ39は、気体室41bを実質的に拡張している。その結果、ピストン式アキュムレータ37においては、送出する作動液に対する圧縮される気体の量が相対的に多くなり、作動液の送出に伴う圧力低下が低減される。ガス式アキュムレータ39における気体を収容する容積は、ガス式アキュムレータ39に収容される作動液の量によって規定される。
気体室41bとガス式アキュムレータ39の上方側との連通部分には、アキュムレータ内の気体の圧力が所定値以上となったときに、気体を大気へ放出するためのリリーフ弁(安全弁)77が接続されている。
液圧装置29は、更に、作動液を送出可能なポンプ45、及び、作動液を貯蓄可能なタンク47を有している。また、液圧装置29は、射出シリンダ装置27、ピストン式アキュムレータ37、ガス式アキュムレータ39、ポンプ45及びタンク47の間における作動液の流れを制御するための液圧回路49を有している。
ポンプ45は、プランジャの往復運動により作動液を送出する往復式のものであってもよいし、歯車やベーンの回転により作動液を送出する回転式のものであってもよい。ポンプ45は、制御装置28によって制御されるモータ(電動機)51によって駆動される。タンク47は、図示の都合上、図2において複数個所に図示されているが、適宜な大きさのものが適宜な数で設けられてよい。
液圧回路49は、種々の動作を可能に構成されている。具体的には、以下のとおりである。
液圧回路49は、ポンプ45によるピストン式アキュムレータ37の蓄圧を可能に構成されている。具体的には、液圧回路49は、ポンプ45と液体室41aとを連通する第1流路53を有している。第1流路53には、ポンプ45から液体室41aへの作動液の流れを許容又は禁止可能に、適宜な制御弁が設けられる。例えば、第1流路53には、作動液の流れを許容する位置と、作動液の流れを禁止する位置との間で切り換え可能な、2ポート2位置の第1切換弁55が設けられている。また、第1流路53には、ピストン式アキュムレータ37からポンプ45への逆流を防止するために、ポンプ45からピストン式アキュムレータ37への流れを許容するとともに、その逆の流れを禁止する第1逆止弁(チェック弁)57が設けられている。
液圧回路49は、ピストン式アキュムレータ37による射出シリンダ装置27の前進を可能に構成されている。具体的には、液圧回路49は、液体室41aとヘッド側室31hとを連通する第2流路59を有している。第2流路59には、ヘッド側室31hからピストン式アキュムレータ37への逆流を防止するために、液体室41aからヘッド側室31hへの流れを許容するとともに、その逆の流れを禁止する第2逆止弁61が設けられている。
液圧回路49は、ポンプ45による射出シリンダ装置27の後退、並びに、射出シリンダ装置27からの作動液の排出を可能に構成されている。具体的には、液圧回路49は、ロッド側室31r及びヘッド側室31hそれぞれと、ポンプ45及びタンク47それぞれとを選択的に接続可能に構成されている。例えば、液圧回路49は、4ポート3位置の第2切換弁63を有している。第2切換弁63は、第1位置P1においては、ロッド側室31rとタンク47とを接続するとともに、ヘッド側室31hとポンプ45とを接続する。これにより、ピストン33の前進に伴ってロッド側室31rから排出される作動液のタンク47への排出が可能となる。また、第2切換弁63は、第2位置P2においては、ロッド側室31rとポンプ45とを接続するとともに、ヘッド側室31hとタンク47とを接続する。これにより、ポンプ45からロッド側室31rに作動液を供給してピストン33を後退させるとともに、ピストン33の後退に伴ってヘッド側室31hから排出される作動液のタンク47への排出が可能となる。また、第2切換弁63は、中立位置P0においては、ロッド側室31r及びヘッド側室31hそれぞれと、ポンプ45及びタンク47それぞれとの接続を遮断する。
なお、液圧回路49では、ピストン式アキュムレータ37の蓄圧と、射出シリンダ装置27の後退とを共通のポンプ45により行うために、第1流路53と、ポンプ45から第2切換弁63へ延びる流路とは、ポンプ45側において共通化されている。
ヘッド側室31hと第2切換弁63との間には、ヘッド側室31h(ピストン式アキュムレータ37)から第2切換弁63への流れを許容又は禁止可能とするために適宜な制御弁が設けられている。例えば、パイロット式の第3逆止弁65が設けられている。第3逆止弁65は、パイロット圧が導入されているときは開かれ、パイロット圧が導入されていないときは、ヘッド側室31hから第2切換弁63への流れを禁止するとともに、その反対の流れを許容する。第3逆止弁65は、ピストン式アキュムレータ37からヘッド側室31hに作動液を供給してピストン33を前進させるときには、ヘッド側室31hから第2切換弁63への作動液の流れを禁止する。また、ピストン33が後退するときには、ヘッド側室31hから第2切換弁63への作動液の流れを許容する。
液圧回路49は、ガス式アキュムレータ39の作動液の貯留量を調整可能に構成されている。すなわち、液圧回路49は、ガス式アキュムレータ39に作動液を供給可能、及び、ガス式アキュムレータ39から作動液を排出可能に構成されている。
具体的には、液圧回路49は、ポンプ45によってガス式アキュムレータ39に作動液を供給可能とするために、ポンプ45とガス式アキュムレータ39の下方側とを連通する第3流路67と、第3流路67に設けられた第1コック69とを有している。
第3流路67は、ピストン式アキュムレータ37の蓄圧と、ガス式アキュムレータ39への作動液の供給とを共通のポンプ45により行うために、ポンプ45側において第1流路53と共通化されている。従って、ピストン式アキュムレータ37の液体室41aと、ガス式アキュムレータ39の下方側とは連通されている。しかし、第1流路53の、第3流路67との分岐点よりもピストン式アキュムレータ37側には、第1逆止弁57が設けられていることから、ピストン式アキュムレータ37からガス式アキュムレータ39への作動液の流れは、第1逆止弁57により禁止される。
第1コック69は、第3流路67の第1流路53と共通化されていない部分に設けられている。第1コック69は、例えば、手動で操作され、第3流路67を開閉する。第1コック69が開かれた状態でポンプ45が駆動されると、ガス式アキュムレータ39の作動液の貯留量は増加する。
また、液圧回路49は、ガス式アキュムレータ39からタンク47へ作動液を排出可能とするために、ガス式アキュムレータ39の下方側とタンク47とを連通する第4流路71と、第4流路71に設けられた第2コック73とを有している。
第4流路71は、第3流路67とガス式アキュムレータ39側において共通化されている。具体的には、第4流路71は、第1コック69の配置範囲を含んで第3流路67と共通化されている。従って、第4流路71は、第1コック69によっても開閉される。
第2コック73は、例えば、手動で操作され、第4流路71をタンク47側(第3流路67と共通化されていない部分)において開閉する。第1コック69及び第2コック73が開かれると、ガス式アキュムレータ39の作動液は、ガス式アキュムレータ39の気体の圧力によりタンク47に排出される。
液圧回路49は、この他、ピストン式アキュムレータ37の作動液をタンク47に排出するための第3切換弁75等を有している。なお、第3切換弁75は、ピストン式アキュムレータ37のメンテナンス時等に開位置とされるものであり、複数の成形サイクルに亘って閉位置にされている。
液圧装置29は、ガス式アキュムレータ39を冷却するための冷却系79を有している。冷却系79の詳細については後述する。
<射出装置における液圧装置の動作>
複数の成形サイクルが開始される前(ダイカストマシン1の稼働前)においては、気体室41b及びガス式アキュムレータ39の気体の圧力の調整が行われる。当該調整は、上述した、第1コック69や第2コック73を利用したガス式アキュムレータ39の作動液の量の調整を含んで行われることができる。なお、複数の成形サイクルが開始された後は、第1コック69及び第2コック73は、基本的には、複数の成形サイクルに亘って閉じられた状態が維持される。
複数の成形サイクル開始前の気体の圧力の調整は、各成形サイクルにおいてピストン式アキュムレータ37のピストン43を所定の上限位置まで移動させてピストン式アキュムレータ37の蓄圧を行ったときに、その圧力が所定の設定圧力になるように行われる。例えば、ピストン43を上限位置に位置させた状態で、ガス式アキュムレータ39における検出圧力が設定圧力にまるまで、気体の封入やガス式アキュムレータ39の作動液の量の調整が行われる。
なお、上限位置は、各成形サイクルにおいてピストン式アキュムレータ37の蓄圧を完了したときにピストン43が停止する位置であり、適宜に設定されてよい。例えば、上限位置は、ピストン43がストッパ等に当接する物理的な限界位置であってもよいし、物理的な限界位置に到達する手前に適宜に設定された位置であってもよい。ピストン43が上限位置に到達したことは、例えば、不図示のセンサによって検出される。
成形サイクルの開始前(厳密には射出開始前まででよい。)において、射出シリンダ装置27のピストン33は後退限に位置している。なお、後退限は、物理的な限界位置であってもよいし、適宜に設定された位置であってもよい。また、ピストン43は上限位置に位置し、ピストン式アキュムレータ37は蓄圧された状態とされている。第2切換弁63は、中立位置P0とされている。これにより、ロッド側室31rからの作動液の排出が禁止され、ひいては、射出シリンダ装置27のピストン33の前進が禁止されている。第1切換弁55は閉位置とされている。これにより、ポンプ45からピストン式アキュムレータ37への作動液の供給は禁止されている。
射出開始の条件が満たされると、制御装置28は、第2切換弁63を第1位置P1に切り換える。これにより、ロッド側室31rの作動液の排出が許容される。そして、ピストン33は、ピストン式アキュムレータ37からヘッド側室31hに作動液が供給されることにより前進し、射出が行われる。
溶湯が凝固するなど、プランジャ25の後退開始の条件が満たされると、制御装置28は、第2切換弁63を第2位置P2に切り換え、ポンプ45を駆動し、第3逆止弁65にパイロット圧を導入する。これにより、ポンプ45から送出された作動液がロッド側室31rに供給されて、射出シリンダ装置27のピストン33は後退する。ピストン33の後退に伴ってヘッド側室31hから排出される作動液は、第3逆止弁65を介してタンク47に排出される。ヘッド側室31hからピストン式アキュムレータ37への流れは第2逆止弁61によって禁止される。なお、第2逆止弁61をパイロット圧によって開く逆止弁により構成し、ヘッド側室31hから排出される作動液をピストン式アキュムレータ37の蓄圧に利用することも可能である。
射出シリンダ装置27のピストン33が後退限に到達したことが不図示のセンサにより検出されると、制御装置28は、第2切換弁63を中立位置P0に切り換え、第3逆止弁65へのパイロット圧の導入を停止し、第1切換弁55を開位置に切り換える。これにより、ポンプ45から送出される作動液は、第1切換弁55を介してピストン式アキュムレータ37に供給され、ピストン式アキュムレータ37が蓄圧される。なお、ヘッド側室31hは、第2切換弁63によって作動液の排出が禁止されているとともに、ロッド側室31rからの作動液の排出が禁止されることによってロッド側室31r側への拡張が禁止されている。従って、ポンプ45及びピストン式アキュムレータ37からヘッド側室31hへの作動液の流れは禁止される。
ピストン式アキュムレータ37のピストン43が上限位置に到達したことが不図示のセンサにより検出されると、制御装置28は、第1切換弁55を閉位置に切り換え、ポンプ45を停止させる。これにより、次の成形サイクルの射出開始前の状態となる。このとき、気体室41b及びガス式アキュムレータ39の気体の圧力は、複数の成形サイクル前に設定された圧力になっている。
<型締装置における液圧装置の構成及び動作>
型締装置3における、型締シリンダ装置15を含む液圧装置81(図1)の構成は、例えば、射出装置5における、射出シリンダ装置27を含む液圧装置29と同様に構成されてよい。従って、液圧装置81の回路図の図示は省略する。また、型閉動作における液圧装置81の動作は、射出動作における液圧装置29の動作と同様に行われてよく、型開動作における液圧装置81の動作は、プランジャ25の後退動作における液圧装置29の動作と同様に行われてよい。
<液圧装置の冷却系の構成>
図3は、液圧装置81の冷却系83及び液圧装置29の冷却系79の概略構成を示す図である。
液圧装置81は、上述のように、液圧装置29と同様に構成される。従って、液圧装置81は、液圧装置29におけるピストン式アキュムレータ37及びガス式アキュムレータ39に相当するピストン式アキュムレータ84(図4参照)及びガス式アキュムレータ85を有している。
冷却系83は、ガス式アキュムレータ85の外周において螺旋状に延びる冷却流路87を有している。冷却流路87には、冷却媒体が流れる。冷却媒体は、例えば、水である。
冷却流路87には、例えば、その上流側において、冷却流路87を開閉可能な第4切換弁89と、出口側圧力を所定値まで減圧する第1減圧弁91とが設けられている。さらに、冷却流路87には、第4切換弁89を迂回するバイパス流路93が設けられ、バイパス流路93には、バイパス流路93を開閉する第3コック95が設けられている。
第4切換弁89は、周囲の温度が所定の閾値を超えたときに冷却流路87を開く、大気温度感知弁により構成されている。大気温度感知弁は、例えば、大気温度の変化によって膨張又は収縮する気体、液体又は固体によって弁が駆動される機械式のものであってもよいし、大気温度を検出するセンサと、センサの検出結果に応じて弁を駆動する駆動部とを有する電気式のものであってもよい。ダイカストマシン1周囲の大気の温度が上昇すると、第4切換弁89は自動的に開き、冷却媒体の流れを許容する。これにより、ガス式アキュムレータ85は冷却され、ひいては、ガス式アキュムレータ85の圧力変動が抑制される。なお、第4切換弁89が開く閾値は、ダイカストマシン1の仕様や環境に応じて適宜に設定されてよい。
第3コック95は、例えば、手動で開閉がなされるものであり、第4切換弁89が開いていない状態において冷却媒体を流す必要があるときなど、必要に応じて開かれる。
液圧装置29は、ガス式アキュムレータ39に加えて、ガス式アキュムレータ40を有している。ガス式アキュムレータ40は、キャビティCa内に充填された溶湯をプランジャ25によって昇圧するときに用いられるものである。液圧装置29は、ガス式アキュムレータ40と連通されるピストン式アキュムレータ、当該ピストン式アキュムレータから作動液が供給され、射出シリンダ装置27と連通される昇圧シリンダ装置などを有するが図示は省略する。昇圧シリンダ装置は、射出シリンダ装置27と一体的に構成されていてもよいし、射出シリンダ装置27とは別個に構成されていてもよい。
冷却系79は、冷却系83と同様に、冷却媒体が流れる冷却流路97を有している。冷却流路97は、その中途において互いに分岐して合流する分割流路97a及び97bを有している。分割流路97aはガス式アキュムレータ39の外周において螺旋状に延び、分割流路97bはガス式アキュムレータ40の外周において螺旋状に延びている。
また、冷却流路87において第4切換弁89、第1減圧弁91、バイパス流路93及び第3コック95が設けられているのと同様に、冷却流路97には、第5切換弁99、第2減圧弁101、バイパス流路103及び第4コック105が設けられている。
<型締装置における液圧装置の冷却系の具体的構成>
図4は、型締装置3における冷却系83の具体的構成を示す側面図である。図5は、図4の紙面左側から見た冷却系83の図である。図6は、図4の紙面裏側から見た冷却系83の図である。ただし、図6においては、ガス式アキュムレータ85の下方部分のみを示している。
ピストン式アキュムレータ84及びガス式アキュムレータ85は、互いに隣接して配置されている。ガス式アキュムレータ85は、ピストン式アキュムレータ84よりも長く、ピストン式アキュムレータ84と同一のベース上に配置されることにより、ピストン式アキュムレータ84よりも上方へ突出している。
ピストン式アキュムレータ84の不図示の気体室とガス式アキュムレータ85とを接続する連通管106(図4及び図5)は、ピストン式アキュムレータ84の上端からガス式アキュムレータ85の長手方向(鉛直方向)に沿って延び、ガス式アキュムレータ85の上端に接続されている。連通管106は、例えば、金属等の剛体により構成されている。連通管106は、ネジ等の固定部材により、ピストン式アキュムレータ84及びガス式アキュムレータ85に対して固定されている。
冷却流路87は、ガス式アキュムレータ85に螺旋状に巻きつけられたチューブ109A及び109B(図4及び図6。以下、A、Bを省略することがある。)と、チューブ109に冷却媒体を供給する供給管107(図4及び図5)と、チューブ109から冷却媒体が排出される排出管111(図5及び図6)とにより構成されている。
チューブ109は、例えば、ゴムにより構成されており、可撓性を有するとともに、弾性を有している。チューブ109は、張力が加えられて長手方向に弾性変形した状態で、ガス式アキュムレータ85の外周に螺旋状に巻きつけられている。従って、チューブ109は、その復元力によりガス式アキュムレータ85を締め付けており、これにより、チューブ109は、ガス式アキュムレータ85に密着して固定されている。なお、チューブ109とガス式アキュムレータ85との間には、接着剤や両面テープが配置されてもよい。
チューブ109A及びチューブ109Bは、ガス式アキュムレータ85をその長手方向(鉛直方向)に概ね2分した一方側(上方側)及び他方側(下方側)にそれぞれ配置されている。チューブ109A及びチューブ109Bは、例えば、互いに同一の長さであり、互いに同一のピッチで巻かれている。
供給管107は、例えば、金属等の剛体により構成されている。供給管107は、ガス式アキュムレータ85の長手方向(鉛直方向)に延びる立設部107cを有している。立設部107cの長さ(高さ)は、ガス式アキュムレータ85の長さ(高さ)と概ね同等である。立設部107cは、チューブ109Aの上端が接続される第1供給口107a、及び、チューブ109Bの上端が接続される第2供給口107bを有している。第1供給口107aは、立設部107cの上端に設けられ、第2供給口107bは、立設部107cの中間位置に設けられている。
排出管111は、例えば、金属等の剛体により構成されている。排出管111は、ガス式アキュムレータ85の長手方向(鉛直方向)に延びる立設部111cを有している。立設部111cの長さ(高さ)は、ガス式アキュムレータ85の長さ(高さ)の概ね半分である。立設部111cは、チューブ109Aの下端が接続される第1排出口111a、及び、チューブ109Bの下端が接続される第2排出口111bを有している。第1排出口111aは、立設部111cの上端に設けられ、第2排出口111bは、立設部111cの下方側に設けられている。
なお、上記の説明から理解されるように、チューブ109A及び109Bは、冷却媒体の流れに関して(供給管107及び排出管111に対して)互いに並列に接続されている。
立設部107c及び111cは、例えば、連結部材113によって連通管106と連結されることにより支持されている。連結部材113は、例えば、複数片の部材からなり、2部材が各管を挟み込んで締め付けるように当該2部材がネジにより互いに固定されることにより、各管に対して固定される。
大気温度に応じて開閉する第4切換弁89は、ピストン式アキュムレータ84やガス式アキュムレータ85の下方側部分に隣接して設けられている。第4切換弁89は、供給管107において、立設部111cよりも上流側の位置に設けられている。なお、ピストン式アキュムレータ84やガス式アキュムレータ85は、型締シリンダ装置15付近等の適宜な位置に設けられてよい。
以上の構成を有する冷却系83においては、ガス式アキュムレータ85付近の大気温度が所定の閾値を超えると、第4切換弁89が開き、冷却媒体の流れが許容される。冷却媒体は、供給管107の立設部107c内を下方から上方へ流れ、チューブ109A及びチューブ109B内を上方から下方へ流れ、排出管111の立設部111cを上方から下方へ流れる。冷却媒体は、チューブ109A及びチューブ109Bにおいて分岐して並列に流れる。
<射出装置における液圧装置の冷却系の具体的構成>
図7は、射出装置5における冷却系79の具体的構成を示す側面図である。図8は、図7の紙面左側から見た冷却系79の図である。図9は、図7のIX−IX線矢視方向における断面図である。
ガス式アキュムレータ39及び40は、互いに隣接して配置されている。ガス式アキュムレータ39は、ガス式アキュムレータ40よりも長く、ガス式アキュムレータ39は、ガス式アキュムレータ40と同一のベース上に配置されることにより、ガス式アキュムレータ40よりも上方へ突出している。
冷却流路97は、ガス式アキュムレータ39及び40に螺旋状に巻きつけられたチューブ115A、115B、115C及び115D(以下、A〜Dを省略することがある。)と、チューブ115に冷却媒体を供給する供給管117と、チューブ115から冷却媒体が排出される排出管119(図7)とにより構成されている。
チューブ115の構成及び取付方法は、その長さを除いては、型締装置3におけるチューブ109と同様である。すなわち、チューブ115は、弾性部材により構成され、張力が付与された状態でガス式アキュムレータ39及び40に巻き付けられる。
チューブ115A及びチューブ115Bは、ガス式アキュムレータ39をその長手方向(鉛直方向)に概ね2分した一方側(上方側)及び他方側(下方側)にそれぞれ配置されている。なお、チューブ115Bの配置範囲はチューブ115Aの配置範囲よりも若干長い。チューブ115C及びチューブ115Dは、ガス式アキュムレータ40の長手方向(鉛直方向)の一方側(上方側)及び他方側(下方側)にそれぞれ配置されている。チューブ115Cの配置範囲及びチューブ115Dの配置範囲との境界位置は、概ね、チューブ115Aの配置範囲及びチューブ115Bの配置範囲との境界位置と一致するように設定されている。その結果、チューブ115Cの配置範囲は、チューブ115Dの配置範囲よりも短くなっている。チューブ115A〜115Dは、互いに概ね同一のピッチで巻きつけられており、それぞれの配置範囲の長さに比例して、長さが互いに異なる。
供給管117及び排出管119は、型締装置3における供給管107及び排出管111と同様に、金属等の剛体により構成されている。また、供給管117は、供給管107と同様に、冷却媒体をチューブ115の上端に供給するように構成されている。排出管119は、排出管111と同様に、チューブ115の下端から冷却媒体が排出されるように構成されている。具体的には、以下のとおりである。
供給管117は、互いに分岐し、ガス式アキュムレータ39及び40の長手方向(鉛直方向)に延びる立設部117e及び117fを有している。立設部117e及び117fの長さ(高さ)は、それぞれ、ガス式アキュムレータ39及び40の長さ(高さ)と概ね同等である。立設部117eは、チューブ115Aの上端が接続される第1供給口117a、及び、チューブ115Bの上端が接続される第2供給口117bを有している。第1供給口117aは、立設部117eの上端に設けられ、第2供給口117bは、立設部117eの中途に設けられている。同様に、立設部117fは、チューブ115Cの上端が接続される第3供給口117c、及び、チューブ115Dの上端が接続される第4供給口117dを有している。第3供給口117cは、立設部117fの上端に設けられ、第4供給口117dは、立設部117fの中途に設けられている。
排出管119は、互いに分岐し、ガス式アキュムレータ39及び40の長手方向(鉛直方向)に延びる立設部119e及び119fを有している。立設部119eの長さ(高さ)は、ガス式アキュムレータ39よりも短く、立設部111fの長さ(高さ)は、ガス式アキュムレータ40よりも短い。立設部119eは、チューブ115Aの下端が接続される第1排出口119a、及び、チューブ115Bの下端が接続される第2排出口119bを有している。第1排出口119aは、立設部119eの上端に設けられ、第2排出口119bは、立設部119eの下方側に設けられている。同様に、立設部119fは、チューブ115Cの下端が接続される第3排出口119c、及び、チューブ115Dの下端が接続される第4排出口119dを有している。第3排出口119cは、立設部119fの上端に設けられ、第4排出口119dは、立設部119fの下方側に設けられている。
立設部117e、117f、119e及び119fは、例えば、連結部材121によってガス式アキュムレータ39及び40と連結されることにより支持されている。なお、連結部材121は、2つのガス式アキュムレータ39及び40を互いに連結することにも寄与している。例えば、連結部材121は、複数片の部材からなり、2部材が各管又は各アキュムレータを挟み込んで締め付けるように当該2部材がネジにより互いに固定されることにより、各管又は各アキュムレータに対して固定される。なお、2部材は、2以上の管又はアキュムレータを共に挟み込んでもよい。本実施形態では、図9に示すように、長円形を2分割した2つの部材121a、121bがガス式アキュムレータ39及び40を共に挟み込むようにネジ123により互いに固定されている場合を例示している。
連結部材121は、例えば、ガス式アキュムレータ39及び40の長手方向において、チューブ115の非配置位置に設けられている。具体的には、連結部材121は、チューブ115B及びDよりも下方側の位置と、チューブ115A(115C)とチューブ115B(115D)との間の位置に設けられている。
大気温度に応じて開閉する第5切換弁99(図9)は、ガス式アキュムレータ39及び40の下方側部分に隣接して設けられている。第5切換弁99は、供給管117において、立設部117e及び117fよりも上流側の位置に設けられている。なお、ガス式アキュムレータ39及び40は、ピストン式アキュムレータ37や射出シリンダ装置27から若干離れた位置等の適宜な位置に設けられてよい。
以上の構成を有する冷却系79においては、ガス式アキュムレータ39及び40付近の大気温度が所定の閾値を超えると、第5切換弁99が開き、冷却媒体の流れが許容される。冷却媒体は、供給管117の立設部117e及び117f内を下方から上方へ流れ、チューブ115A〜115D内を上方から下方へ流れ、排出管119の立設部119e及び119fを上方から下方へ流れる。冷却媒体は、チューブ115A〜115Dにおいて4つに分岐して並列に流れる。
図10は、チューブ109(115)の長手方向に直交する断面の形状を示す図である。チューブ109は、断面形状が半円状に形成されている。従って、チューブ109は、当該チューブ109の長手方向に沿って延びる平面部109aを有する。そして、チューブ109は、当該平面部109aがガス式アキュムレータ85の外周面に当接するように巻かれている。チューブ109の断面形状は、厳密な半円(平面部109aが円弧の中心に位置する)であってもよいし、厳密な半円よりも小さくてもよいし(平面部109aが円弧の中心よりも円弧側に位置する)、厳密な半円よりも大きくてもよい。
以上の実施形態によれば、液圧装置29は、射出シリンダ装置27と、ピストン式アキュムレータ37と、ガス式アキュムレータ39とを有する。ピストン式アキュムレータ37は、射出シリンダ装置27に供給される作動液及び当該作動液に圧力を付与する圧縮された気体を収容可能である。ガス式アキュムレータ39は、互いに圧力を及ぼし合う作動液及び圧縮された気体を収容可能であり、ピストン式アキュムレータ37よりも容積が大きく、ピストン式アキュムレータ37と気体を流通可能に連通されている。また、液圧装置29は、ピストン式アキュムレータ37に作動液を供給して、ピストン式アキュムレータ37及びガス式アキュムレータ39の気体を圧縮可能なポンプ45と、ガス式アキュムレータにおける作動液の流入出を許容又は禁止可能な第1コック69とを有する。さらに、液圧装置29は、ガス式アキュムレータ39の外周に螺旋状に巻き付けられ、冷却媒体を流すことが可能な可撓性のチューブ115を有する。
従って、大気温度の上昇等に起因するガス式アキュムレータ39内の気体の温度の上昇を抑制し、ガス式アキュムレータ39の圧力の変動を抑制することができる。その結果、ピストン式アキュムレータ37から射出シリンダ装置27に供給される作動液の圧力が安定化される。また、温度変化に応じて第1コック69を開閉してガス式アキュムレータ39の作動液の量(ひいては気体の圧力)を調整する必要性も低減される。冷却は、ガス式アキュムレータ39に対して行われることから、アキュムレータ内に封入された気体のみを集中的に冷却することができる。換言すれば、ガス式アキュムレータ39を有さない液圧装置において、ピストン式アキュムレータ(37)を冷却する場合には、液圧回路を循環する作動液によって冷却媒体の冷却能力が奪われるが、そのような不利益は生じない。ガス式アキュムレータ39にチューブ115を巻きつけるだけでよいことから、大きな設計変更は生じず、簡便且つ安価に気体の冷却が実現される。
液圧装置29は、周囲の大気温度が所定の閾値を上回ったときに冷却媒体のチューブ115への流入を許容する第5切換弁99を有する。従って、ガス式アキュムレータ39の気体温度を長期的な観点において好適に安定化させることができる。すなわち、ガス式アキュムレータ39内の気体温度は、アキュムレータの蓄圧及び放出によって頻繁に変化するが、そのような短期的な温度変化によって冷却媒体の流れが頻繁に制御されることが抑制される。
チューブ115は、弾性部材により形成され、張力が加えられて弾性変形した状態でガス式アキュムレータ39に巻かれている。従って、上述のように、チューブ115は、復元力によりガス式アキュムレータ39を締め付ける。その結果、チューブ115のガス式アキュムレータ39に対する固定が簡便になされるとともに、チューブ115とガス式アキュムレータ39との密着性が向上してチューブ115による冷却効果が向上する。
チューブ115は、チューブ115の長手方向に直交する断面の形状が半円状に形成されることにより、チューブ115の長手方向に沿って延びる平面部115aを有し、当該平面部115aがガス式アキュムレータ39の外周面に当接するように巻かれている。従って、チューブ115とガス式アキュムレータ39との当接面積が大きくなり、チューブ115による冷却効果が向上する。
ガス式アキュムレータ39は、鉛直方向に長い長尺状に形成されており、チューブ115は、鉛直方向を螺旋の軸方向としてガス式アキュムレータ39に巻かれており、上方側及び下方側がそれぞれ上流側及び下流側となっている。従って、螺旋状に巻かれて長いチューブ115において、冷却媒体の自重を利用して冷却媒体を流すことにより、冷却流路全体として冷却媒体を送出する力や仕事量を小さくすることができる。
ガス式アキュムレータ39は、長尺状に形成されている。チューブ115(115A及び115B)は、ガス式アキュムレータ39の長手方向を螺旋の軸方向としてガス式アキュムレータ39に巻かれている。また、複数のチューブ115A及び115Bが、ガス式アキュムレータ39の長手方向に配列され、冷却媒体の流れに関して互いに並列に接続されている。従って、ガス式アキュムレータ39は、長手方向の各部毎に、並列に冷却されることになり、長手方向の全体において均等に冷却される。
液圧装置29は、チューブ115に冷却媒体を供給する供給管117と、チューブ115の冷却媒体が排出される排出管119とを有する。また、液圧装置29は、供給管117及び排出管119に連結されるとともに、ガス式アキュムレータ39のチューブ115A及び115Bの間となる部分に連結された連結部材121を有する。従って、ガス式アキュムレータ39をその長手方向において均等に冷却するために分割されたチューブ115A及び115B間の部分が、供給管117及び排出管119を支持するために有効利用される。その結果、全体として、小型な構成で効果的な冷却が実現される。
このような効果を奏する液圧装置29が射出装置5に適用されることにより、溶湯をキャビティCaに射出する動作が安定化され、ダイカスト製品の品質のばらつきが抑制される。
また、液圧装置29における上記の効果は、型締装置3における液圧装置81についても奏される。そして、そのような効果を奏する液圧装置81が型締装置3に適用されることにより、型閉動作が安定化され、例えば、型接触時における衝撃によって金型501が破損することが抑制される。
なお、以上の実施形態において、液圧装置29及び81はそれぞれ本発明の液圧装置の一例であり、射出シリンダ装置27及び型締シリンダ装置15はそれぞれ本発明の液圧シリンダ装置の一例であり、ピストン式アキュムレータ37及び84はそれぞれ本発明の第1アキュムレータの一例であり、ガス式アキュムレータ39、40及び85はそれぞれ本発明の第2アキュムレータの一例であり、第1コック69は本発明の貯留量調整用弁の一例であり、第5切換弁99及び第4切換弁89はそれぞれ本発明の第1制御弁の一例である。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
液圧装置は、成形機に適用されるものに限定されない。例えば、建設機械に適用されてもよい。液圧装置が成形機に適用される場合、液圧装置は、射出装置又は型締装置に適用されるものに限定されない。例えば、液圧装置は、中子駆動用の液圧装置であってもよい。また、液圧装置が適用される成形機は、ダイカストマシンに限定されない。例えば、樹脂を成形する射出成形機であってもよい。成形機は、コールドチャンバマシンに限定されず、ホットチャンバマシンであってもよい。また、成形機は、横型締横射出式のものに限定されず、横型締式のものであってもよいし、縦射出式のものであってもよい。型締方式は、トグル方式に限定されず、例えば、液圧シリンダ装置の駆動力を直接的にダイプレートに伝達する直圧式のものであってもよい。
液圧シリンダ装置に作動液を供給する第1アキュムレータは、ピストン式アキュムレータに限定されない。例えば、第1アキュムレータは、ガス式アキュムレータであってもよいし、ブラダ式アキュムレータであってもよい。また、第1アキュムレータを拡張する第2アキュムレータは、ガス式アキュムレータに限定されない。例えば、第2アキュムレータは、ピストン式アキュムレータであってもよいし、ブラダ式アキュムレータであってもよい。
実施形態では、各サイクルにおける蓄圧完了の判定は、第1アキュムレータのピストンの判定に基づいて行われた。しかし、各サイクルにおける蓄圧完了は、アキュムレータの圧力に基づいて行われてもよい。すなわち、アキュムレータの圧力を検出するセンサが設けられ、当該センサの検出値が所定値に到達したことをもって蓄圧完了が判定されてもよい。この場合、温度変化が抑制されることにより、所定の圧力まで蓄圧したときのアキュムレータ内の気体の体積が一定に保たれる。その結果、作動液の放出過程におけるアキュムレータの圧力変化に及ぼされる温度変化の影響が緩和される。
液圧装置における作動液の流れを制御する弁は、適宜に配置されてよく、また、実施形態に例示した弁は適宜に他の種類の弁に置換されてよい。例えば、貯留量調整用弁は、切換弁により構成されてもよい。周囲の大気温度が所定の第1閾値を上回ったときに冷却媒体の流れを許容する第1制御弁(99、89)は設けられなくてもよい。例えば、冷却媒体の流れは、手動のコックのみにより許容又は禁止されてもよい。
チューブは、弾性部材により構成されるものに限定されず、例えば、可撓性を有する樹脂により構成されるものであってもよい。また、チューブの断面形状は、半円形に限定されず、例えば、円形や矩形であってもよい。チューブが鉛直方向を軸方向として螺旋状に巻かれる場合、チューブの上方側は、実施形態とは逆に、下流側であってもよい。この場合、チューブ内に冷却媒体を満たした状態で冷却媒体を流すことが容易である。
チューブに流される温度調整用媒体は、冷却媒体に限定されない。例えば、第2アキュムレータ(ガス式アキュムレータ39等)の気体を昇温する昇温媒体であってもよい。なお、この場合、第1制御弁(99、89)に相当する弁として、周囲の大気温度が所定の第2閾値を下回ったときに昇温媒体のチューブへの流入を許容する第2制御弁が設けられてもよい。さらに、第1制御弁及び第2制御弁の双方が設けられてもよい。