JP2010240668A - マグネシウム合金圧延板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】強度の高いマグネシウム合金圧延板を安定して得るための製造方法を提供する。
【解決手段】マグネシウム合金板を圧延にて製造するにあたり、コイル状のマグネシウム合金板材を巻き出す工程と、その巻き出しから圧延ロールまでの間に、前記マグネシウム合金板を所定の温度に加熱または保温する工程と、加熱または保温した前記マグネシウム合金板を前記圧延ロールによって周速比1.05〜1.40で異周速圧延する工程と、該圧延をしたマグネシウム合金板を巻取る工程からなり、前記圧延ロールのうちの高速ロールに接するマグネシウム合金板材の先進率を、前記工程時にマグネシウム合金板に付与する前方張力の調整によってその値が負にならないように制御する。
【選択図】図1
【解決手段】マグネシウム合金板を圧延にて製造するにあたり、コイル状のマグネシウム合金板材を巻き出す工程と、その巻き出しから圧延ロールまでの間に、前記マグネシウム合金板を所定の温度に加熱または保温する工程と、加熱または保温した前記マグネシウム合金板を前記圧延ロールによって周速比1.05〜1.40で異周速圧延する工程と、該圧延をしたマグネシウム合金板を巻取る工程からなり、前記圧延ロールのうちの高速ロールに接するマグネシウム合金板材の先進率を、前記工程時にマグネシウム合金板に付与する前方張力の調整によってその値が負にならないように制御する。
【選択図】図1
Description
本発明は、安定して高強度なマグネシウム合金板材を得るための製造方法に関する。
マグネシウム合金は、実用合金中で最も軽く、切削性、振動吸収性、耐くぼみ性、比強度に優れており、プラスチックに比べて熱伝導性、電磁シールド性、リサイクル性にも優れることなどから、ノートパソコンをはじめ、モバイル製品等の筐体や自動車部品などに広く使用されはじめている。その製造方法としては、ダイカストやチクソモールディングなどの鋳造法が主であり、その場合、薄肉かつ大型の製品を製造するに至っては、キャビティ内に射出された溶湯が、冷却により凝固しやすくなるため、湯周り不良が発生しやすく、良品を得ることは困難である。また、仮に製造できても、その表面には湯境や湯じわ、割れといった表面欠陥が発生し、それらを除くには、ショットブラストやそれ以外の機械研磨およびパテ埋め等が必要であり、非常に多くの工程を有する。そのため、最近は展伸材が注目されている。展伸材を用い、プレスで製品を製造した際には、薄肉化、大型化が可能になり、表面性状に優れる製品が得られる。また、鋳造品に比べ、加工硬化および結晶粒の微細化により高い強度が得られる。
しかしながら、市場において、現状の展伸材よりも、更なる、高強度化が求められている。材料強度を高めるのに、我々は異周速圧延が有効であることを見出した(特許文献1参照)。異周速圧延では、ロール間の周速が異なるために、材料の通板速度とロール周速とが同じになる、いわゆる中立点の位置が、ロール間でずれ、それら二つの中立点で挟まれた領域においては、材料とロール間で生じる摩擦力の向きが逆方向になるため、強いせん断変形を材料に付加することができる。そのため、通常圧延と同じ圧下率においても見かけ上の相当ひずみ量は増加するとともに、板厚方向全体に均一に歪を導入することが可能で、板厚方向に均一微細な結晶粒を得ることが出来る。そのため通常圧延材に比べ高い強度が得られる。また、上記、異周速圧延においては、高速ロール側の中立点が、圧下領域のロール出側に位置し、通常圧延のように同じ位置にならないことから、圧延荷重が低減され、難加工材であるマグネシウム合金においても1パスの圧下率を大きくとれ、その結果、パス回数が低減される。通常圧延材では、1パスでの圧下率が小さいため、どうしても圧延回数が多くなる。その場合、圧延毎に材料を加熱する際、材料が粒成長を繰り返し、その結果、結晶粒サイズが粗大化して高い強度が得られにくい。また、パス回数の低減に向け、1パスの圧下率を大きくしようと材料を高温にまで加熱した場合にも、同様な結果になってしまう。高強度化には、圧延の最後にコールドロール、材料加熱なしの条件で冷間圧延を行なう方法もあるが、冷間で加えることが可能な圧下率はせいぜい10%が最高で、強度の増加にも限界がある。
高強度を得る他の方法として、AM系やAZ系の合金では、Al添加量の増加が考えられる。Alの固溶効果は、添加量にして6%までは、その効果が得られ、それ以上、添加した場合においても、β相の密度増加により強度のアップが見込める。従って、AZ31に比べ、AZ61、AZ91やAM60では強度の増加が期待できる。ただし、Al添加量が増えるにつれて、圧延時には、β相の不連続析出が顕著となるため、圧延は難しくなる。ただ、異周速圧延は、これらAl添加量の高い、マグネシウム合金においても効果的である。
しかしながら、異周速圧延を行なう場合には、材料が滑りやすくなったり、それとは逆にロールに焼きつきやすくなり、その結果、一定の周速比を維持することは難しい。また、異周速圧延では、チャタリング(板および圧延装置の振動)が発生しやすく、安定した圧延を行なうことができない。また、チャタリングにより、表面にスジ模様が発生するという問題がある。
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、我々は、上記、異周速圧延で発生する問題について調査した結果、異周速圧延では、高速ロール側の中立点が、圧延領域のロール出側に外れてしまわないように、張力を調整することが有効であることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明のマグネシウム合金板材のコイル圧延方法のうち、第1の本発明は、マグネシウム合金板を圧延にて製造するにあたり、コイル状のマグネシウム合金板材を巻き出す工程と、その巻き出しから圧延ロールまでの間に、前記マグネシウム合金板を所定の温度に加熱または保温する工程と、加熱または保温した前記マグネシウム合金板を前記圧延ロールによって周速比1.05〜1.40で異周速圧延する工程と、該圧延をしたマグネシウム合金板を巻取る工程からなり、前記圧延ロールのうちの高速ロールに接するマグネシウム合金板材の先進率を、前記工程時にマグネシウム合金板に付与する前方張力の調整によってその値が負にならないように制御することを特徴とする。
第2の本発明のマグネシウム合金板材のコイル圧延方法は、前記第1の本発明において、前記高速ロール側の材料通板速度を測定しつつ前記張力調整を行って前記先進率のフィードバック制御を行うことを特徴とする。
第3の本発明のマグネシウム合金板材のコイル圧延方法は、前記第1または第2の本発明において、前記高速ロール側の材料通板速度をデフロールにより計測することを特徴とする。
本発明で使用するマグネシウム合金板は、スラブ材、押出材、双ロール材等であり、特に制約されるものではない。
本発明の工程は、それらコイル状のマグネシウム合金板材を巻き出す工程と、その巻き出しから圧延ロールまでの間に、マグネシウム合金板を所定の温度に加熱または保温する工程と、圧延する工程と、それを巻取る工程からなる。
マグネシウム合金板材は、上記のように、所定の温度に加熱または保温するが、圧延時の材料のインライン加熱方法としては、赤外線加熱、高周波誘導加熱、ヒーターによる高温雰囲気加熱等が挙げられる。板材のロール入口での温度を100℃から350℃とするのが望ましく、材料を加熱後、即座に異周速圧延を行なうのが望ましい。
圧延する工程では、圧延ロールの周速度をロール間で異なるようにして、周速比を1.05から1.40とする。周速比が1.05未満の場合、圧延荷重低減において充分な効果が得られない。また1.40を超える周速比の場合、その効果はほぼ飽和する。同様の理由で更に好ましくは、1.13から1.25の範囲とする。
本発明の工程は、それらコイル状のマグネシウム合金板材を巻き出す工程と、その巻き出しから圧延ロールまでの間に、マグネシウム合金板を所定の温度に加熱または保温する工程と、圧延する工程と、それを巻取る工程からなる。
マグネシウム合金板材は、上記のように、所定の温度に加熱または保温するが、圧延時の材料のインライン加熱方法としては、赤外線加熱、高周波誘導加熱、ヒーターによる高温雰囲気加熱等が挙げられる。板材のロール入口での温度を100℃から350℃とするのが望ましく、材料を加熱後、即座に異周速圧延を行なうのが望ましい。
圧延する工程では、圧延ロールの周速度をロール間で異なるようにして、周速比を1.05から1.40とする。周速比が1.05未満の場合、圧延荷重低減において充分な効果が得られない。また1.40を超える周速比の場合、その効果はほぼ飽和する。同様の理由で更に好ましくは、1.13から1.25の範囲とする。
異周速圧延では、高速ロール側の中立点がその周速比が大きくなるにつれてロールギャップ間の出側方向に近づき、最終的にロールギャップの外に出てしまう。その場合、先進率は徐々に低下し、出側方向に外れた場合には、負の値を示すようになる。先進率が負の値を示す場合、材料通板が不安定となりやすい。また、ロールと材料間とで材料が滑ったり、部分的に材料が焼きついたりしやすい。それらを制御するには、前方張力の調整が効果的であり、高速ロール側の先進率をある範囲内で一定に保つことで、設定した周速比を一定に保つことが可能になる。
なお、本発明における先進率とは、
先進率=(V1−VR)/VR
の値とする。ここで、VIは高速ロール側の材料通板速度、VRは高速ロールの回転速度である。
なお、本発明における先進率とは、
先進率=(V1−VR)/VR
の値とする。ここで、VIは高速ロール側の材料通板速度、VRは高速ロールの回転速度である。
具体的には、高速ロール側の先進率がその値が負にならないように調整する。先進率が負になるとチャタリングが発生しやすく、安定した圧延を得るには、その値を負にならないように制御する必要がある。
先進率制御は、予め得た情報(先進率と前方張力との関係など)に基づいて前方張力を調整して、所定の先進率を得るフィードフォア制御により行うこともでき、また、高速ロール出側の材料通板速度を測定し、該測定結果に基づいて前方張力を調整するフィードバック制御により行うこともできる。材料通板速度は、高速ロールの回転速度と制御したい所定の先進率範囲とから、適切な範囲が求められる。
そして、材料通板速度の測定結果から求められる高速ロール側の先進率が下限値を下回った場合には、前方張力を高め、上限値よりも高い値になった場合は弱めることとする。 なお、張力の付与については、前方張力(応力)−後方張力(応力)を圧延温度における板材の耐力の5%から70%となるように、張力調整をするのが望ましい。5%未満であると、張力が不十分で通板時に材料が蛇行し不安定であり、70%を超えると破断するおそれがある。
そして、材料通板速度の測定結果から求められる高速ロール側の先進率が下限値を下回った場合には、前方張力を高め、上限値よりも高い値になった場合は弱めることとする。 なお、張力の付与については、前方張力(応力)−後方張力(応力)を圧延温度における板材の耐力の5%から70%となるように、張力調整をするのが望ましい。5%未満であると、張力が不十分で通板時に材料が蛇行し不安定であり、70%を超えると破断するおそれがある。
なお、材料通板速度の測定方法は本発明としては特に限定されるものではない。例えば、圧延ロール出側の高速ロール側に、材料通板速度モニター用のデフロールを設けて材料通板速度を測定することができる。測定値から、高速ロール側の先進率を算出し、その値が常に一定範囲内になるように、前方張力を変量して制御することができる。
以上説明したように、マグネシウム合金板材のコイル圧延方法によれば、本発明のマグネシウム合金板を圧延にて製造するにあたり、コイル状のマグネシウム合金板材を巻き出す工程と、その巻き出しから圧延ロールまでの間に、前記マグネシウム合金板を所定の温度に加熱または保温する工程と、加熱または保温した前記マグネシウム合金板を前記圧延ロールによって周速比1.05〜1.40で異周速圧延する工程と、該圧延をしたマグネシウム合金板を巻取る工程からなり、前記圧延ロールのうちの高速ロールに接するマグネシウム合金板材の先進率を、前記工程時にマグネシウム合金板に付与する前方張力の調整によって負にならないように制御するので、マグネシウム合金板材に確実かつ適正な強いせん断変形を付与して均一微細な再結晶粒を形成させて高い強度を有するマグネシウム合金板材を安定して得ることができる。
以下に、本発明の一実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
本発明で異周速圧延に供されるマグネシウム合金板材(基材)は、スラブ材、押出材、双ロール材等を出発材として用いることができ、本発明としては、その製造方法が特に限定されるものではない。また、マグネシウム合金板材の組成も特に限定されるものではなく、適宜組成のマグネシウム合金で構成されているものであればよい。
本発明で異周速圧延に供されるマグネシウム合金板材(基材)は、スラブ材、押出材、双ロール材等を出発材として用いることができ、本発明としては、その製造方法が特に限定されるものではない。また、マグネシウム合金板材の組成も特に限定されるものではなく、適宜組成のマグネシウム合金で構成されているものであればよい。
マグネシウム合金板材2は、巻き戻しリール1aに巻き取られて巻き戻しコイル1とされて、ライン出発側に設置される。ライン上には、インラインで前記マグネシウム合金板材2を加熱する加熱装置3が設置されている。該加熱装置3としては、前記したように、赤外線加熱、高周波誘導加熱、ヒーターによる高温雰囲気加熱等を用いることができる。加熱装置3は、後述するロールに対する板材入り口温度が100℃から350℃となるようにマグネシウム合金板材2を加熱する。
加熱装置3の下流直後には、ツインモーター駆動式でそれぞれシーズヒータ(図示しない)が内蔵された高速ロール4aと低速ロール4bとからなる異周速圧延機4が設置されている。該異周速圧延機4の下流側には、高速ロール4a側でマグネシウム合金板材の片面に接するデフロール5が配置されており、その下流側で巻き取りリール6aに巻き取られてコイル6とされる。
前記デフロール5は、マグネシウム合金板材2の高速ロール側通板速度に応じた回転速度で回転し、該回転速度が測定されて制御部10に送信されている。制御部10は、CPUとこれを動作させるプログラムとを主構成にしており、前記高速ロール4aおよび低速ロール4bのツインモータを制御して、高速ロール4aと低速ロール4bの周速比を1.05から1.40の範囲で一定に保っている。したがって、制御部10では、高速ロール4aの回転速度VRが把握されている。また、制御部10は、巻き取りリール6aの位置を調整する駆動モータ11を制御してマグネシウム合金板材2に対する前方張力の調整を行うことが可能である。
以下に、上記装置を用いた工程について説明する。
巻き戻しリール1aに巻かれたマグネシウム合金板材2の巻き戻しコイル1はライン上を巻き出されて加熱装置3で加熱され、好適には、入り口温度100℃から350℃で異周速圧延機4に送られる。異周速圧延機4では、制御部10の制御によって高速ロール4aと低速ロール4bの回転速度が調整されて、周速比1.05〜1.40でマグネシウム合金板材2が異周速圧延される。圧延されたマグネシウム合金板材2は、デフロール5を介して巻き取りリール6aへと巻き取られてコイル6となる。なお、上記工程に際しては、異周速圧延機4における先進率が制御されている。該制御内容を図3のフロー図に基づいて説明する。
巻き戻しリール1aに巻かれたマグネシウム合金板材2の巻き戻しコイル1はライン上を巻き出されて加熱装置3で加熱され、好適には、入り口温度100℃から350℃で異周速圧延機4に送られる。異周速圧延機4では、制御部10の制御によって高速ロール4aと低速ロール4bの回転速度が調整されて、周速比1.05〜1.40でマグネシウム合金板材2が異周速圧延される。圧延されたマグネシウム合金板材2は、デフロール5を介して巻き取りリール6aへと巻き取られてコイル6となる。なお、上記工程に際しては、異周速圧延機4における先進率が制御されている。該制御内容を図3のフロー図に基づいて説明する。
異周速圧延されたマグネシウム合金板材2は、上記したようにデフロール5によって高速ロール側での材料通板速度が計測される(ステップs1)。具体的には、材料の通板によって回転するデフロール5の回転速度が検出されて、その結果が制御部10に送信され、該回転速度に基づいて制御部10において材料通板速度VIが算出される。回転速度の検出方法は特に限定されるものではない。
また、上記のように制御部10では、高速ロールの回転速度VRが把握されており、上記材料通板速度VIの算出結果を用いて下記式により先進率を算出する(ステップs2)。
先進率=(V1−VR)/VR
また、上記のように制御部10では、高速ロールの回転速度VRが把握されており、上記材料通板速度VIの算出結果を用いて下記式により先進率を算出する(ステップs2)。
先進率=(V1−VR)/VR
また、制御部10では、予め、制御目標となる先進率が負にならないように設定されており、フラッシュメモリなどの記憶部に格納されている。制御部10では、必要に応じて記憶部に格納された先進率設定値を読み出して、算出された先進率と比較する。
比較結果において、算出された先進率が設定された上限値以下であるか否かの判定がなされる(ステップs3)。ここで上限値を超える場合(ステップs3、NO)、先進率が大きすぎるので、マグネシウム合金板材に付与されている前方張力が弱まるように駆動モータ11を制御して巻き取りリール6aの位置調整を行う(ステップs4)。これにより先進率が小さくなる現象が生じる。
比較結果において、算出された先進率が設定された上限値以下であるか否かの判定がなされる(ステップs3)。ここで上限値を超える場合(ステップs3、NO)、先進率が大きすぎるので、マグネシウム合金板材に付与されている前方張力が弱まるように駆動モータ11を制御して巻き取りリール6aの位置調整を行う(ステップs4)。これにより先進率が小さくなる現象が生じる。
一方、算出された先進率が設定された上限値以下である場合(ステップs3、YES)、設定された下限値以上であるか否かの判定を行う(ステップs5)。ここで、算出された先進率が下限値未満である場合(ステップs5、NO)、先進率が小さすぎるので、マグネシウム合金板材に付与されている前方張力が高まるように駆動モータ11を制御して巻き取りリール6aの位置調整を行う(ステップs6)。これにより先進率が大きくなる現象が生じる。
算出された先進率が上下限値内にある場合(ステップs5、YES)、または、上記前方張力を調整した場合(ステップs4以降、ステップs6以降)、圧延が終了するまで(ステップs7)上記ステップを繰り返す。これにより、異周速圧延機における先進率を設定範囲内に維持して良好な異周速圧延を行うことが可能になる。
算出された先進率が上下限値内にある場合(ステップs5、YES)、または、上記前方張力を調整した場合(ステップs4以降、ステップs6以降)、圧延が終了するまで(ステップs7)上記ステップを繰り返す。これにより、異周速圧延機における先進率を設定範囲内に維持して良好な異周速圧延を行うことが可能になる。
本発明の実施にあたり、板厚2mm、板幅300mmのAZ31マグネシウム合金板を使用し、上記実施形態に示した装置を使用して、材料加熱温度240℃、ロール表面温度80℃の条件で、高速ロールのロール速度5m/min一定のもと、低速ロール側の速度を変量して周速比を変量し、先進率を制御しつつ板厚0.8mmまで圧延を実施した。
異周速圧延にはツインモーター駆動式の、ロールサイズφ406×600mm、最大圧延荷重300トンの温間異周速圧延機を用いた。ロールには、シーズヒーターが内蔵されており、ロール加熱が可能である。
また、比較のため、先進率の制御を行うことなく同じく板厚0.8mmまで圧延を実施した。
異周速圧延にはツインモーター駆動式の、ロールサイズφ406×600mm、最大圧延荷重300トンの温間異周速圧延機を用いた。ロールには、シーズヒーターが内蔵されており、ロール加熱が可能である。
また、比較のため、先進率の制御を行うことなく同じく板厚0.8mmまで圧延を実施した。
得られた供試材について、圧延安定性を評価した。圧延安定性に関しては、目標板厚まで圧延した材料の外観を観察し、その表面に、チャタリングによって圧延方向に対し垂直方向にスジ模様が観察されるものを×、観察されないものを○として示した。
また、各供試材について、引張強さ、耐力、伸びを測定した。これらの結果を表1に示した。発明例は、いずれも圧延安定性に優れており、引張強さ、耐力、伸びともに優れた特性を示した。一方、比較例では、周速比を本発明範囲内に設定しても、先進率の制御を行わないと、圧延安定性に劣るものとなった。また、周速比が十分でないと(比較例No.5)、十分な強度が得られず、周速比が過大になると、中立点が圧延機より巻き取り側に出てしまい、圧延条件(周速比)が不安定になる。
また、各供試材について、引張強さ、耐力、伸びを測定した。これらの結果を表1に示した。発明例は、いずれも圧延安定性に優れており、引張強さ、耐力、伸びともに優れた特性を示した。一方、比較例では、周速比を本発明範囲内に設定しても、先進率の制御を行わないと、圧延安定性に劣るものとなった。また、周速比が十分でないと(比較例No.5)、十分な強度が得られず、周速比が過大になると、中立点が圧延機より巻き取り側に出てしまい、圧延条件(周速比)が不安定になる。
1 巻き戻しコイル
2 マグネシウム合金板材
3 加熱装置
4 異周速圧延機
5 デフロール
6 巻き取りコイル
10 制御部
11 駆動モータ
2 マグネシウム合金板材
3 加熱装置
4 異周速圧延機
5 デフロール
6 巻き取りコイル
10 制御部
11 駆動モータ
Claims (3)
- マグネシウム合金板を圧延にて製造するにあたり、コイル状のマグネシウム合金板材を巻き出す工程と、その巻き出しから圧延ロールまでの間に、前記マグネシウム合金板を所定の温度に加熱または保温する工程と、加熱または保温した前記マグネシウム合金板を前記圧延ロールによって周速比1.05〜1.40で異周速圧延する工程と、該圧延をしたマグネシウム合金板を巻取る工程からなり、前記圧延ロールのうちの高速ロールに接するマグネシウム合金板材の先進率を、前記工程時にマグネシウム合金板に付与する前方張力の調整によってその値が負にならないように制御することを特徴とするマグネシウム合金板材のコイル圧延方法。
- 前記高速ロール側の材料通板速度を測定しつつ前記張力調整を行って前記先進率のフィードバック制御を行うことを特徴とする請求項1記載のマグネシウム合金板材のコイル圧延方法。
- 前記高速ロール側の材料通板速度をデフロールにより計測することを特徴とする請求項1または2に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
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