JP2010240615A - 使用済み脱硝触媒の再生方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】洗浄液に溶出した硫酸イオン及び鉄化合物を除去し、洗浄液をリサイクルして廃水を大幅に低減することができる使用済み脱硝触媒の再生方法を提供する。
【解決手段】使用済み脱硝触媒を蓚酸水溶液により洗浄して再生する方法であって、使用済み脱硝触媒を蓚酸水溶液に浸漬して洗浄する工程Aと、洗浄後の蓚酸水溶液にカルシウム塩を添加してpH=5〜7に調整した後、固形分をろ過して除去する工程Bと、固形分除去後のろ液に蓚酸を加え、洗浄液として再利用する工程Cとを繰り返して行うことを特徴とした使用済み脱硝触媒の再生方法
【選択図】図1
【解決手段】使用済み脱硝触媒を蓚酸水溶液により洗浄して再生する方法であって、使用済み脱硝触媒を蓚酸水溶液に浸漬して洗浄する工程Aと、洗浄後の蓚酸水溶液にカルシウム塩を添加してpH=5〜7に調整した後、固形分をろ過して除去する工程Bと、固形分除去後のろ液に蓚酸を加え、洗浄液として再利用する工程Cとを繰り返して行うことを特徴とした使用済み脱硝触媒の再生方法
【選択図】図1
Description
本発明は、使用済みの窒素酸化物浄化用触媒の再生方法に係り、特に金属製基材を用いた使用済み脱硝触媒の洗浄における、二酸化硫黄(SO2)酸化活性の上昇の抑制と洗浄液量の低減を図った使用済み脱硝触媒の再生方法に関する。
酸化チタンを主成分とする脱硝触媒の多くは、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び砒素化合物の蓄積により経時的な性能低下が起こることが知られている。これらの劣化触媒は水、硫酸、蓚酸、アンモニア、硫酸塩その他の洗浄液単独、またはこれらの組合せによる洗浄により、被毒物質を除去でき、脱硝性能も回復することが知られている(特許文献1及び2)。
また、重油や石炭焚きボイラからの排煙脱硝においては、ダスト中の鉄化合物やバナジウム成分の付着、または基材に金属製基板を使用する場合には、基材の腐食などにより、触媒中の鉄成分やバナジウム成分などが増加し、このため触媒のSO2酸化率が上昇し、脱硝装置後流部の熱交換器の腐食や、酸性硫安の析出による閉塞や、有色煙の発生などの原因となるため、触媒のSO2酸化率の抑制を目的とした洗浄技術も知られている(特許文献3)。
さらに、脱硝触媒を洗浄液で洗浄してSO2酸化率を低減する触媒の再生方法において、洗浄液中のバナジウムをイオン交換により除去し、またその洗浄液を循環して再利用することにより廃液を低減する、脱硝触媒の再生法が知られている(特許文献4)。
しかしながら、特許文献3の方法では大量の洗浄水又は薬液が廃水として排出されるため、大掛かりな廃液処理装置が必要となり、廃水処理のコストが高くなる。また特許文献4の方法では、洗浄液中に溶出するバナジウムについて詳細な検討がなされているが、硫酸イオンや鉄化合物については十分な配慮がなされておらず、基材に金属製基板を使用する場合や、鉄化合物や硫酸根が大量に付着した触媒の再生においては、酸化鉄又は硫酸鉄の増加により、触媒のSO2酸化率が上昇する可能性がある。
本発明の課題は、上記従来技術の欠点を解消し、洗浄液に溶出した硫酸イオン及び鉄化合物を除去し、触媒のSO2酸化率を低減するとともに、洗浄液をリサイクルして廃水を大幅に低減することができる使用済み脱硝触媒の再生方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本願で特許請求される発明は下記のとおりである。
(1)使用済み脱硝触媒を蓚酸水溶液により洗浄して再生する方法であって、使用済み脱硝触媒を蓚酸水溶液に浸漬して洗浄する工程Aと、洗浄後の蓚酸水溶液にカルシウム塩を添加してpH=5〜7に調整した後、固形分をろ過して除去する工程Bと、固形分除去後のろ液に蓚酸を加え、洗浄液として再利用する工程Cとを繰り返して行うことを特徴とした使用済み脱硝触媒の再生方法。
(2)前記カルシウム塩が、炭酸カルシウム又は水酸化カルシウムであり、除去する固形分が蓚酸カルシウム、硫酸カルシウム及び酸化鉄を主成分とすることを特徴とする(1)に記載の方法。
(3)蓚酸の添加量が、使用済み触媒から溶出する硫酸イオンと等モル以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載の方法。
(1)使用済み脱硝触媒を蓚酸水溶液により洗浄して再生する方法であって、使用済み脱硝触媒を蓚酸水溶液に浸漬して洗浄する工程Aと、洗浄後の蓚酸水溶液にカルシウム塩を添加してpH=5〜7に調整した後、固形分をろ過して除去する工程Bと、固形分除去後のろ液に蓚酸を加え、洗浄液として再利用する工程Cとを繰り返して行うことを特徴とした使用済み脱硝触媒の再生方法。
(2)前記カルシウム塩が、炭酸カルシウム又は水酸化カルシウムであり、除去する固形分が蓚酸カルシウム、硫酸カルシウム及び酸化鉄を主成分とすることを特徴とする(1)に記載の方法。
(3)蓚酸の添加量が、使用済み触媒から溶出する硫酸イオンと等モル以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載の方法。
本発明によれば、使用済み脱硝触媒を洗浄することにより初期活性に近いSO2酸化率まで低減することができ、また洗浄液の使用量を大幅に削減できる。また、洗浄液を再使用することによって、毎回新たに洗浄液を生成する場合に比べて、蓚酸の使用量を低減することも可能となり、さらには廃液処理のコストを大幅に低減できる。
[作用]
硫酸や蓚酸などの酸溶液を用いて使用済み脱硝触媒を洗浄した場合、触媒中の鉄化合物や硫酸根をほぼ全量溶出することが可能であり、洗浄液中の鉄イオンや硫酸イオンの濃度は大きく上昇する。このため、洗浄液量の低減を目的に洗浄液を繰り返して使用した場合、洗浄液を触媒に含浸担持する効果と同じように、洗浄後の使用済み触媒に多くの鉄化合物が付着してしまい、触媒のSO2酸化率は上昇する。一方、洗浄液に硫酸を用いた場合や、洗浄により洗浄液中の硫酸濃度が高くなった場合も、金属製基板の触媒では基材が腐食し、鉄化合物が触媒中へと移動するため、触媒のSO2酸化率は上昇する。このため、洗浄液としては硫酸よりも蓚酸が好ましく用いられる。
[作用]
硫酸や蓚酸などの酸溶液を用いて使用済み脱硝触媒を洗浄した場合、触媒中の鉄化合物や硫酸根をほぼ全量溶出することが可能であり、洗浄液中の鉄イオンや硫酸イオンの濃度は大きく上昇する。このため、洗浄液量の低減を目的に洗浄液を繰り返して使用した場合、洗浄液を触媒に含浸担持する効果と同じように、洗浄後の使用済み触媒に多くの鉄化合物が付着してしまい、触媒のSO2酸化率は上昇する。一方、洗浄液に硫酸を用いた場合や、洗浄により洗浄液中の硫酸濃度が高くなった場合も、金属製基板の触媒では基材が腐食し、鉄化合物が触媒中へと移動するため、触媒のSO2酸化率は上昇する。このため、洗浄液としては硫酸よりも蓚酸が好ましく用いられる。
本発明においては、使用済み脱硝触媒の洗浄液として、蓚酸水溶液を用い、洗浄後の蓚酸洗浄液に洗浄液のpHが5〜7となるようにカルシウム塩を添加することにより、カルシウム化合物は、液中の蓚酸及び硫酸と反応して蓚酸カルシウム及び硫酸カルシウムとして沈殿し、鉄イオンも酸化鉄または水酸化鉄として沈殿する。洗浄液のpHが5未満であると鉄化合物はイオンとして溶解したままであり、pHが7を超えると添加するカルシウム塩の消費量や、リサイクルする際の蓚酸の添加量が増加して再生コストが高くなる。このように洗浄液のpHが5〜7となるようにカルシウム塩を添加することにより、効率よく硫酸カルシウムが生成し、鉄イオンも酸化鉄または水酸化鉄となって沈殿する。
さらに上記洗浄後の洗浄液中の沈殿物をろ過して除去した後、蓚酸を添加することにより、洗浄液としてリサイクルすることができる。上記蓚酸の添加量は鉄化合物を蓚酸鉄として溶出できる量が好ましい。このとき使用済み触媒中の鉄化合物の大部分は硫酸鉄の形態をとっていると推定されることから、溶出する硫酸根と等モル以上の蓚酸を添加することが好ましい。これより少ない量では鉄化合物の溶出除去が阻害されることがあり、また多すぎると蓚酸の消費量のみ増加してコスト高となってしまう。
以下、具体例を用いて本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明による使用済み脱硝触媒の洗浄工程A、B及びCを説明する洗浄液のリサイクルフローを示す図である。図において、使用済み脱硝触媒1は、洗浄槽Aで蓚酸溶液中に浸漬、洗浄された後、洗浄液は浴槽Bに移送され、ここでカルシウム塩注入ライン2からカルシウム塩が添加され、pH5〜7に調整された後、ポンプ7により、フィルタ装置4に送られ、ここで生成した固形分が除去される。洗浄液は、さらに浴槽Cに送られ、ここで蓚酸注入ライン5から蓚酸水溶液が添加された後、ポンプ8により槽外に排出され、元の洗浄槽Aに再循環される。なお、図中、3はpH計、6は攪拌器である。
使用済み脱硝触媒として、石炭焚きボイラからの排ガスの処理に用い、SO2酸化率が7%まで上昇した脱硝触媒を用いた。
上記触媒を60℃の1N−蓚酸洗浄液に浸漬し、30分間よく攪拌しながら洗浄した(図1の工程A)。洗浄後の蓚酸溶液にpH=6となるように水酸化カルシウムを添加し、10分間攪拌した後、固形分をろ過除去した(工程B)。ろ液に蓚酸を添加してpH=2とし、次の触媒の洗浄に用いた(工程C)。これを8回繰り返し、繰り返し回数に対する洗浄後の脱硝性能及びSO2酸化率を表2に示す条件により評価した。
上記触媒を60℃の1N−蓚酸洗浄液に浸漬し、30分間よく攪拌しながら洗浄した(図1の工程A)。洗浄後の蓚酸溶液にpH=6となるように水酸化カルシウムを添加し、10分間攪拌した後、固形分をろ過除去した(工程B)。ろ液に蓚酸を添加してpH=2とし、次の触媒の洗浄に用いた(工程C)。これを8回繰り返し、繰り返し回数に対する洗浄後の脱硝性能及びSO2酸化率を表2に示す条件により評価した。
実施例1に示す水酸化カルシウムを炭酸カルシウムに変更した以外は同様の操作を実施し、繰り返し回数に対する脱硝性能及びSO2酸化率を評価した。
[比較例1]
実施例1における水酸化カルシウム及び蓚酸の添加を行わず、洗浄液をそのまま繰り返し使用した場合の繰り返し回数に対する脱硝性能及びSO2酸化率を評価した。
[比較例2]
実施例1における蓚酸添加は行わず、水酸化カルシウムの添加及び固形分の除去のみで、繰り返し使用した場合の繰り返す回数に対する脱硝性能及びSO2酸化率を評価した。
実施例1における水酸化カルシウム及び蓚酸の添加を行わず、洗浄液をそのまま繰り返し使用した場合の繰り返し回数に対する脱硝性能及びSO2酸化率を評価した。
[比較例2]
実施例1における蓚酸添加は行わず、水酸化カルシウムの添加及び固形分の除去のみで、繰り返し使用した場合の繰り返す回数に対する脱硝性能及びSO2酸化率を評価した。
実施例1、2及び比較例1、2の結果を纏めて表1に示す。表1の結果より、実施例の脱硝性能が比較例より低目となっているが、大きな差はなかった。これは酸化鉄も脱硝性能を有していることや、洗浄液中へのバナジウムの溶出量の差などによるものと考えられる。また表1の結果より、SO2酸化率は実施例の方が明らかに低くなっているのに対し、比較例では、鉄化合物の増加により、SO2酸化率が高くなっている。従って上記の実施例によれば、SO2酸化を抑制した脱硝触媒の再生が可能である。また洗浄液を循環使用することにより、蓚酸の使用量を低減し、さらに廃液の排出量や処理コストを低減することができる。
1.使用済み触媒、2.カルシウム塩注入ライン、3.pH計、4.フィルタ(ろ布)、5.蓚酸注入ライン、6.攪拌器、7,8.ポンプ
Claims (3)
- 使用済み脱硝触媒を蓚酸水溶液により洗浄して再生する方法であって、使用済み脱硝触媒を蓚酸水溶液に浸漬して洗浄する工程Aと、洗浄後の蓚酸水溶液にカルシウム塩を添加してpH=5〜7に調整した後、固形分をろ過して除去する工程Bと、固形分除去後のろ液に蓚酸を加え、洗浄液として再利用する工程Cとを繰り返して行うことを特徴とした使用済み脱硝触媒の再生方法。
- 前記カルシウム塩が、炭酸カルシウム又は水酸化カルシウムであり、除去する固形分が蓚酸カルシウム、硫酸カルシウム及び酸化鉄を主成分とすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 蓚酸の添加量が、使用済み触媒から溶出する硫酸イオンと等モル以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009094779A JP2010240615A (ja) | 2009-04-09 | 2009-04-09 | 使用済み脱硝触媒の再生方法 |
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
CN102339042A (zh) * | 2011-05-12 | 2012-02-01 | 中国石油天然气股份有限公司 | 一种生产丙烯酰胺催化剂回收自动控制的方法及其系统 |
JP2014512955A (ja) * | 2011-05-04 | 2014-05-29 | シュテアグ エナジー サーヴィシィズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | Scr触媒及びシステムのための詰まり除去方法 |
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2009
- 2009-04-09 JP JP2009094779A patent/JP2010240615A/ja active Pending
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