JP2010240312A - 医療器具部品のワイヤ固定方法、医療器具部品、および医療器具 - Google Patents

医療器具部品のワイヤ固定方法、医療器具部品、および医療器具 Download PDF

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Abstract

【課題】医療器具部品のワイヤ固定方法、医療器具部品、および医療器具において、接合後に外形形状を修正する加工が不要となるとともに接合強度の均一性に優れるようにする。
【解決手段】温度幅20℃以上のガラス遷移領域を有する非晶質合金からなるワイヤ設置部に、操作ワイヤ13を近接させて配置するワイヤ配置工程と、このワイヤ設置部を、ガラス遷移領域に昇温させる昇温工程と、ガラス遷移領域に昇温されたワイヤ設置部の温度をガラス遷移領域に保持した状態で、ワイヤ設置部を、押圧して変形させ、操作ワイヤ13に密着させる押圧工程と、この押圧工程によって変形されたワイヤ設置部を、押圧状態に保ってガラス遷移温度より低温まで降温させ、操作ワイヤ13の外周部にワイヤ設置部が変形されたワイヤ接合部11cを形成する接合工程とを行って、操作ワイヤ13を先端湾曲駒11に固定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、医療器具部品のワイヤ固定方法、医療器具部品、および医療器具に関する。
従来、内視鏡の挿入部の先端に配置する先枠部材や、内視鏡の挿入部の湾曲部に用いる湾曲駒などの内視鏡部品にワイヤを接合する場合、溶接やロウ付けによって行われるのが一般的である。
例えば、特許文献1には、湾曲部を湾曲させるため、節輪(湾曲駒)が複数傾動自在に連結され、節輪の先端である第1節輪に、アングルワイヤ(ワイヤ)を、半田付けを含むロウ付けにより接合した内視鏡用部品を備える内視鏡が開示されている。
特開2006−75341号公報
しかしながら、上記のような従来の医療器具部品のワイヤ固定方法および医療器具部品には、以下のような問題があった。
医療器具部品のワイヤ固定方法として、溶接を用いる場合、接合部において異材質が不均一に入り交じるため、強度が不均一になりやすく、耐久性が低下しやすいという問題がある。
また、半田付けを含むロウ付けでは、ワイヤやワイヤを接合する医療器具部品の材質によってはあまり大きな接合強度が得られないという問題がある。
また、溶接、ロウ付けのいずれの場合でも、接合部の外形形状を制御することが難しいため、医療器具のように狭いスペースに組み込むためには、溶接やロウ付けによって突出された接合部を2次加工するなどして外形形状を修正する必要があり、製造に手間がかかるという問題がある。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、接合後に外形形状を修正する加工が不要となるとともに接合強度の均一性に優れる医療器具部品のワイヤ固定方法、医療器具部品、および医療器具を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の医療器具部品のワイヤ固定方法は、医療器具部品に設けられた、温度幅20℃以上のガラス遷移領域を有する非晶質合金からなるワイヤ設置部に、ワイヤを近接させて配置するワイヤ配置工程と、該ワイヤ配置工程によって前記ワイヤが近接して配置された前記ワイヤ設置部を、前記非晶質合金のガラス遷移領域に昇温させる昇温工程と、該昇温工程によって前記非晶質合金のガラス遷移領域に昇温された前記ワイヤ設置部の温度を前記ガラス遷移領域に保持した状態で、前記ワイヤ設置部を、押圧して変形させ、前記ワイヤに密着させる押圧工程と、該押圧工程によって変形されたワイヤ設置部を、押圧状態に保って前記非晶質合金の前記ガラス遷移温度より低温まで降温させ、前記ワイヤの外周部に前記ワイヤ設置部が変形されたワイヤ接合部を形成する接合工程とを備える方法とする。
この発明によれば、ワイヤ配置工程によって、ワイヤを温度幅20℃以上のガラス遷移領域を有する非晶質合金からなるワイヤ設置部に近接させて配置する。次に昇温工程によって、ワイヤ設置部を、非晶質合金のガラス遷移領域に昇温させる。
次に、押圧工程では、ワイヤ設置部の温度をガラス遷移領域に保持した状態で、ワイヤ設置部を、押圧して変形させ、ワイヤに密着させる。このとき、ワイヤ設置部の温度はガラス遷移領域に保持されているため、ガラス遷移領域で変形が容易で良好な形状転写性が得られるという非晶質合金の特性により、ワイヤ設置部がワイヤの表面形状に沿って変形し、ワイヤの表面の凹凸に倣って密着される。また、ワイヤ設置部の押圧側では、押圧面の形状に倣って変形される。
次に、接合工程では、押圧工程によって変形されたワイヤ設置部を、押圧状態に保ってガラス遷移温度より低温となるまで降温させる。これによりワイヤの外周部にワイヤ設置部が変形されたワイヤ接合部が形成され、ワイヤが医療器具部品に接合される。また、ワイヤ接合部の被押圧面側の形状が押圧面の形状に倣って固化される。
また、本発明の医療器具部品のワイヤ固定方法では、前記ワイヤ設置部は、前記ワイヤの外周部を周方向に沿って覆うことができる凹面が設けられ、前記ワイヤ配置工程では、前記ワイヤを前記凹面に近接させて配置し、前記押圧工程では、前記凹面が前記ワイヤに密着するように前記ワイヤ設置部を押圧して密着させることが好ましい。
この場合、ワイヤ配置工程で、ワイヤ設置部の凹面に近接させてワイヤを配置することができるので、ワイヤの配置、位置決めが容易となる。
また、押圧工程では凹面がワイヤの外周面に密着するように押圧されるので、ワイヤが凹面で取り囲まれる状態で密着されるため、良好に接合することができる。
また、本発明の医療器具部品のワイヤ固定方法では、前記ワイヤ設置部の前記凹面は、前記ワイヤが挿入可能な筒体または断面U字状の半筒体の内周面によって構成され、前記押圧工程では、前記筒体または前記半筒体の外周面に、加熱された凹状の押圧部材を押圧することによって、前記ワイヤ設置部を前記ワイヤに押圧することが好ましい。
この場合、ワイヤ接合面の凹面が、ワイヤが挿入可能な筒体または断面略U字状の半筒体の内周面によって構成されるためワイヤ配置工程が容易となり、昇温工程では、筒体または半筒体の外周面からの加熱によって迅速かつ効率的に昇温させることができる。
また、押圧工程では、この筒体または半筒体の外周面に、加熱された凹状の押圧部材を押圧することで、筒体または半筒体を径方向に押圧し、ワイヤ設置部がワイヤの周方向を覆うように変形させることができる。このため、ワイヤの外周面を層状に取り囲むように筒体または半筒体が変形され、強固な接合が可能となる。
ここで、断面略U字状の半筒体とは、断面が種々の閉曲線形状からなる筒体を軸方向に沿って割った種々の形状を意味する。そのため、断面は厳密なU字状に限らず、例えば、C字状、V字状、コ字状などの略U字状の形状を採用することができる。
また、本発明の医療器具部品のワイヤ固定方法では、前記ワイヤ設置部は、筒状部の外周部または内周部に設けられ、前記押圧工程では、前記筒状部の内周側に、前記筒状部の内周形状を一定形状に保持する形状保持部材を挿入した状態で、前記筒状部の外周面を、加熱された凹状の押圧部材で前記筒状部の径方向に押圧することによって、前記ワイヤ設置部の凹面を前記筒状部の周方向に変形させて、前記ワイヤ設置部を前記ワイヤに押圧することが好ましい。
この場合、押圧工程では、形状保持部材を筒状部の内周側に挿入した状態で、筒状部の外周面を、加熱された凹状の押圧部材で筒状部の径方向に押圧することによって、ワイヤ設置部の凹面が筒状部の周方向に変形され、ワイヤに対して、ワイヤ設置部が筒状部の周方向から押圧される。
このため、筒状部の内周面を形状保持部材の形状に保持しつつ、ワイヤ接合部を形成することができるので、筒状部の内周面を一定形状に保った状態でワイヤを接合することができる。
さらに、押圧部材の凹面を、押圧時に、筒状部の周方向に沿って、筒状部および変形されたワイヤ設置部を覆う形状とすれば、筒状部の外周部の形状を押圧部材の凹面の形状に沿わせた状態でワイヤ接合部を形成することができる。
また、本発明の形状保持部材を用いた医療器具部品のワイヤ固定方法では、前記形状保持部材は、前記押圧部材よりも熱伝導率が低いことが好ましい。
この場合、形状保持部材は、押圧部材の熱伝導率よりも低いため、押圧部材の熱が形状保持部材に伝導しにくくなり、押圧部材の熱が効率的にワイヤ設置部に伝導される。
本発明の医療器具部品は、少なくとも一部に筒状部が形成された部品本体と、該部品本体の前記筒状部に設けられ、温度幅20℃以上のガラス遷移領域を有する非晶質合金を前記ガラス遷移領域に保持した状態で加熱変形されてなるワイヤ接合部と、該ワイヤ接合部が、外周側に密着して接合されたワイヤとを備える構成とする。
この発明によれば、ワイヤの外周側にワイヤ接合部に密着して接合されることにより、ワイヤ接合部を介して、ワイヤが部品本体の筒状部に接合される。ワイヤ接合部は、温度幅20℃以上のガラス遷移領域を有する非晶質合金を、そのガラス遷移領域に保持した状態で加熱変形されてなるため、ガラス遷移領域で変形が容易で良好な形状転写性が得られるという非晶質合金の特性により、ワイヤ接合部の外形形状が変形時の形状に成形された状態でワイヤに良好に密着される。
このような医療器具部品は、本発明の医療器具部品のワイヤ固定方法によって、ワイヤが固定された医療器具部品となっている。
また、本発明の医療器具部品では、前記部品本体の前記筒状部は、前記ワイヤ接合部と同材質の非晶質合金からなることが好ましい。
この場合、部品本体の筒状部とワイヤ接合部とが、同材質の非晶質合金からなるので、ワイヤ接合部とともに筒状部も加熱変形させることができ、ワイヤ接合部と同時に筒状部の形状を成形することができる。
また、本発明の医療器具部品では、前記ワイヤ接合部は、前記部品本体の前記筒状部の内周面に設けられるのが好ましい。
この場合、ワイヤを部品本体の内周側に固定した構成とすることができる。
また、本発明の医療器具部品では、前記部品本体の前記筒状部は、第1筒状部と該第1筒状部よりも小径の第2筒状部が軸方向に隣接された段状の筒状部からなり、前記ワイヤは、前記第2筒状部の外周面に配置されるとともに、前記第1筒状部において、該第1筒状部の外周面よりも内周側に接合されてなることが好ましい。
この場合、第2筒状部の外周面に配置されたワイヤを、第1筒状部の外周面より内周側で接合することができるので、ワイヤが接合された部分を第1筒状部の外周側に露出させることなく、かつ第2筒状部の内周側に露出させない状態で、筒状部に接合することができる。このため、第1筒状部側では、ワイヤ接合部が第1筒状部の外形に影響することなく接合され、第2筒状部側では、内周面が第2筒状部の内周面によって形成され、それぞれの外周側、内周側で、ワイヤ接合部、ワイヤの影響を受けることなく部品配置できるスペースを形成することができる。
また、本発明の医療器具部品では、前記ワイヤ接合部は、前記部品本体の前記筒状部の周方向に離間した少なくとも2箇所に設けられ、前記筒状部の外周面には、前記2箇所のうちの一方のワイヤ接合部の端部から突出されるワイヤを前記筒状部の周方向に沿って前記2箇所のうちの他方のワイヤ接合部の端部に配回す溝部が設けられ、前記ワイヤは、1本のワイヤの長さ方向の中間部が、前記2箇所のうちの一方のワイヤ接合部に接合されるとともに、前記溝部に配回された状態で前記2箇所のうちの他方のワイヤ接合部に接合されてなることが好ましい。
この場合、1本のワイヤが中間部で、2箇所のワイヤ接合部に接合され、それぞれのワイヤ接合部の間で、溝部に配回された状態とされるので、ワイヤ接合部の一方の接合が緩んだ場合でも、ワイヤが抜けることがない。このため耐久性の良好な医療器具部品とすることができる。また、ワイヤを外周面側から配置することができるので、ワイヤの配置が容易となる。
また、本発明の医療器具部品では、前記ワイヤ接合部は、前記部品本体の前記筒状部の周方向に離間した少なくとも2箇所に設けられ、前記ワイヤは、1本のワイヤが、長さ方向の中間部の2箇所で、前記ワイヤ接合部にそれぞれ接合され、前記2箇所のワイヤ接合部の間では、前記筒状部の内周面に配回されることが好ましい。
この場合、1本のワイヤが中間部で、2箇所のワイヤ接合部に接合され、それぞれのワイヤ接合部の間で、筒状部内周面に配回されるため、ワイヤ接合部の一方の接合が緩んだ場合でもワイヤが抜けることがない。このため、耐久性の良好な医療器具部品とすることができる。
また、本発明の医療器具部品では、前記ワイヤ接合部は、前記ワイヤの端部を覆う袋状に形成されたことが好ましい。
この場合、ワイヤは、ワイヤ接合部によってワイヤの端部が覆われて固定されるので、ワイヤ接合部の近傍での部品組立作業が容易となり、近接して配置される部品がワイヤの先端部に接触して傷つくなどといった不具合を確実に防止することができる。
また、本発明の医療器具部品では、前記ワイヤ接合部は、前記ワイヤを、前記ワイヤの端部が前記筒状部に延出された状態で接合してなり、前記筒状部には、前記ワイヤ接合部から延出されたワイヤの端部の先端を覆うように加熱変形された温度幅20℃以上のガラス遷移領域を有する非晶質合金からなる被覆部が設けられたことが好ましい。
この場合、被覆部によってワイヤの端部が覆われて固定されるので、ワイヤ接合部の近傍での部品組立作業が容易となり、近接して配置される部品がワイヤの先端部などに接触して傷つくなどといった不具合を防止することができる。
本発明の医療器具は、本発明の医療器具部品を備える構成とする。
この発明によれば、本発明の医療器具部品を備えるので、本発明の医療器具部品と同様の作用効果を奏する。
本発明の医療器具部品のワイヤ固定方法、医療器具部品、および医療器具によれば、温度幅20℃以上のガラス遷移領域を有する非晶質合金を昇温させて、この非晶質合金のガラス遷移領域に保持した状態でワイヤに押圧してワイヤ接合部を形成するので、接合後に外形形状を修正する加工が不要となるとともに接合強度の均一性に優れたものとすることができるという効果を奏する。
本発明の第1の実施形態に係る医療器具部品を用いた医療器具の概略構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る医療器具部品の中心軸に沿う断面図、およびそのA−A断面図である。 ワイヤの固定前の先端湾曲駒の中心軸に沿う断面図、およびそのB視、C視の側面図である。 本発明の第1の実施形態に係る医療器具部品のワイヤ固定方法の工程説明図である。 本発明の第1の実施形態の第1変形例に係る医療器具部品の中心軸に沿う断面図である。 ワイヤの固定前の先端湾曲駒の中心軸に沿う断面図、およびそのD視、E視の側面図である。 本発明の第1の実施形態の第1変形例に係る医療器具部品のワイヤ固定方法の工程説明図である。 本発明の第1の実施形態の第2変形例に係る医療器具部品のワイヤ接合部の拡大断面図である。 ワイヤの固定前の先端湾曲駒の中心軸に沿う断面図、およびそのF視の側面図である。 本発明の第1の実施形態の第1変形例に係る医療器具部品のワイヤ固定方法の工程説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る医療器具部品の中心軸に沿う方向から見た側面図、そのG−G断面図、およびG−G断面図におけるH視の側面図である。 ワイヤの固定前の先端湾曲駒の中心軸に沿う断面図、およびそのJ視の側面図である。 本発明の第2の実施形態に係る医療器具部品のワイヤ固定方法のワイヤ配置工程の様子を示す軸方向断面の工程説明図である。 図13におけるK−K断面図、L−L断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る医療器具部品のワイヤ固定方法の接合工程の様子を示す図13のK−K線に相当する断面の工程説明図である。 本発明の第3の実施形態に係る医療器具部品の中心軸に沿う方向の部分断面図、およびそのM視、N視の側面図である。 ワイヤの固定前の先端湾曲駒の中心軸に沿う断面図、およびそのS視の側面図である。 本発明の第3の実施形態に係る医療器具部品のワイヤ固定方法の工程説明図である。 本発明の第3の実施形態の変形例に係る医療器具部品の中心軸に沿う方向の部分断面図、およびそのT−T断面図である。 ワイヤの固定前の先端湾曲駒の中心軸に沿う断面図、そのU視の側面図、およびU視の側面図のV−V断面図である。 本発明の第2および第3の実施形態のワイヤ設置部の変形例を示す断面図である。
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態の医療器具部品について、それを用いた医療器具とともに説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る医療器具部品を用いた医療器具の概略構成を示す斜視図である。図2(a)は、本発明の第1の実施形態に係る医療器具部品の中心軸に沿う断面図である。図2(b)は、図2(a)におけるA−A断面図である。
本実施形態の内視鏡装置1(医療器具)の概略構成は、図1に示すように、被検者の体内に挿入する細長の挿入部2と、挿入部2に接続された操作部7と、操作部7と電気的な接続をとるとともに、照明光を供給するユニバーサルコード8とからなる。
挿入部2の先端側には、先端から照明光を照射し体内からの反射光を受光する先端部3、先端部3で受光した光を伝送する光ファイバーを収納するとともに湾曲動作可能とされた管状の湾曲部4が設けられ、湾曲部4と操作部7との間には、光ファイバーや湾曲部4の湾曲動作を制御する操作ワイヤなどを収容する可撓管部5が設けられている。
湾曲部4は、図2(a)、(b)に示すように、先端部3を先端側に保持するとともに、不図示の光ファイバーなどを内部に挿通させ、操作部7の操作に応じた湾曲形状を形成する湾曲管10を備え、湾曲管10の外周を不図示の可撓性チューブによって被覆したものである。
湾曲管10は、先端湾曲駒11(医療器具部品)、複数の中間湾曲駒12A、12Bを備え、後端側に可撓管部5と固定するめの後端湾曲駒(不図示)を備える。
先端湾曲駒11は、温度幅20℃以上のガラス遷移領域(ガラス遷移温度以上結晶化温度未満の温度領域)を有する非晶質合金からなる全体として略円筒状の部材である。以下では簡単のため、筒状あるいは略筒状の部材に関して方向を参照する場合に、筒の中心軸に沿う方向を軸方向、中心軸に直交する方向を径方向、中心軸に直交する平面内で筒面に沿う方向を周方向と称する場合がある。
先端湾曲駒11の外径は、内視鏡装置1の仕様にもよるが、例えば、φ3mm〜φ10mm程度が好適であり、先端湾曲駒11の肉厚は、例えば、0.1mm〜0.2mmが好適である。
先端湾曲駒11の概略構成は、円筒部11a(筒状部)、接続部11b、およびワイヤ接合部11cからなる。
円筒部11aは、その軸方向の一端側で先端部3の端部に外嵌して固定できる内径を備える筒状部材である。
接続部11bは、円筒部11aの軸方向の他端において径方向に対向する2箇所で軸方向の後端側に突出して設けられた一対の突片である。本実施形態では、それぞれ略半円状の外形を備え、円筒部11aの外形よりわずかに径方向外側に絞り加工された平面からなり、中間湾曲駒12Aと傾動可能に連結するため、円孔部11eが設けられている。
円孔部11eは、接続部11bの対向方向に沿う円筒部11aの径方向(図2(a)の紙面垂直方向)に延びる軸線に中心が整列する位置に設けられている。この円孔部11eが整列する軸線が、中間湾曲駒12Aに対する傾動中心軸になる。
また、接続部11bが設けられた先端湾曲駒11の軸方向の他端の形状は、円孔部11eの中心軸方向から見て、接続部11bを離れるにつれて軸方向の一端側に緩やかに傾斜する山形状に切断されている。
ワイヤ接合部11cは、2本の操作ワイヤ13(ワイヤ)の端部を、円筒部11aの他端側の内周面において接続部11bの対向方向と直交する径方向に接合するものである。本実施形態では、先端湾曲駒11の他端から軸方向の略中央までの間で、操作ワイヤ13の側方の外周面を覆った状態で密着され、径方向内側に突出された突条状に設けられている。すなわち、円筒部11aの軸方向に直交する断面では、図2(b)に示すように、円筒部11aの略内周面に位置する操作ワイヤ13を略U字状に取り囲むように密着されている。
先端湾曲駒11の材質は、温度幅20℃以上のガラス遷移領域を有する非晶質合金であれば、適宜の材質を採用することができる。このようなガラス遷移領域を有する非晶質合金を本明細書では金属ガラスと称する。以下では、この金属ガラスのガラス遷移温度をT、結晶化温度をT、ガラス遷移領域の温度幅をΔT(=T−T)で表す。
ここで、非晶質合金とは、複数の金属元素が結晶構造を形成せずに凝固(アモルファス化)した合金のことである。非晶質合金は、複数の金属元素からなる金属原料の溶湯を、結晶化温度T以下になるまで急速冷却することにより形成される。非晶質合金は、通常の結晶金属に見受けられるような結晶粒界を有さず、結晶粒界を起因とした粒界腐食(結晶粒界に沿って腐食が進行する現象)を生じないことから、耐食性に優れている。
また、金属ガラスは、結晶金属のような凝固収縮を生じないことから、成形金型に対する高精度な転写性を有し、さらに射出成形も可能であることから、成形品の形状自由度、寸法精度、生産性に優れている。また、金属ガラスは、その物性として低ヤング率・高強度であり、さらに熱に対して低膨張である。
ガラス遷移領域が温度幅20℃未満の非晶質合金では、ガラス遷移領域が狭すぎるため、ガラス遷移領域でプレス成形を行う際の成形温度の制御が困難である。そのため、ガラス遷移領域の上限である結晶化温度を超えた部分では、金属ガラス特有の高強度、高耐食の特性が失われてしまう。また、ガラス遷移領域の下限であるガラス遷移温度T未満の部分では、成形性が劣る。
金属ガラスとしては、ジルコニウム(Zr)基合金、鉄(Fe)基合金、チタン(Ti)基合金、マグネシウム(Mg)基合金などが挙げられる。その中でもZr基合金は、特に優れた転写性、寸法精度を有する。
また、金属ガラスは、金属材料が以下の(I)〜(III)の3条件を満足している場合に得られやすいもので、上記非晶質合金のみに限定されるものではない。
(I)3種以上の金属元素を含むこと。
(II)前記3種以上の金属元素が、12%以上異なる原子径を有すること。例えば、大、中、小の3種類の大きさの金属元素が互いに12%以上異なる原子径を有すること。
(III)各金属元素が化合物化しやすいこと。すなわち、それぞれの金属元素が互いに引き合う性質を有すること。
例えば、先端湾曲駒11に好適な非晶質合金の一例としては、例えば、組成が、Zr55Cu30Al10NiのZr基合金を挙げることができる。このZr基合金は、結晶化温度、ガラス遷移温度、ガラス遷移領域の温度幅が、それぞれ、T=約490℃、T=約400℃、ΔT=約90℃である。
また、例えば、組成が、Zr50Cu17.5Al7.5Ni10TiBe10のZr基合金を挙げることができる。このZr基合金は、結晶化温度、ガラス遷移温度、ガラス遷移領域の温度幅が、それぞれ、T=約490℃、T=約350℃、ΔT=約140℃である。
中間湾曲駒12Aは、図2(a)に示すように、円筒部11aと略同径で、軸方向の長さが短い円筒状部材である。
軸方向の一端側には、先端湾曲駒11の接続部11bの内周面にそれぞれ摺接可能な間隔をあけ径方向の対向する位置に、略半円状の外形を有する突片からなる一対の内側接続部12aが形成されている。
この各内側接続部12aには、それぞれ、円孔部11eと同径の円孔部が円孔部11eに整列する位置に設けられている。そして、それぞれの接続部11bおよび内側接続部12aは、例えばリベットなどからなる接続部材14によって円孔部11eの中心軸回りに回動可能に連結されている。
また、内側接続部12aが設けられた中間湾曲駒12Aの一端の形状は、円孔部11eの中心軸方向(図2(a)の紙面垂直方向)から見て、内側接続部12aを離れるにつれて軸方向の他端側に緩やかに傾斜する山形状に切断されている。
これにより、先端湾曲駒11、中間湾曲駒12Aは、円孔部11eの中心軸を結ぶ軸線回りに傾動可能に連結されている。
中間湾曲駒12Aの軸方向の他端には、先端湾曲駒11の接続部11bと同様な形状を有する一対の外側接続部12bが、接続部11bと同様な位置関係に設けられている。
また、中間湾曲駒12Aの内周面には、中間湾曲駒12Aの内周面に沿って軸方向に配置される各操作ワイヤ13を摺動可能に挿通させる軸方向の開孔を形成する一対のワイヤ押え部12cが設けられている。ワイヤ押え部12cは、例えば、中間湾曲駒12Aの内周面に設けられた筒部材などで構成してもよいが、本実施形態では、中間湾曲駒12Aの側面を径方向内側にU字状に陥没させて構成している。
中間湾曲駒12Bは、中間湾曲駒12Aにおいて、ワイヤ押え部12cを削除したものである。そして、先端湾曲駒11および中間湾曲駒12Aと同様にして、中間湾曲駒12Aの外側接続部12bと中間湾曲駒12Bの内側接続部12aとが、接続部材14により、傾動可能に連結されている。
操作ワイヤ13は、中間湾曲駒12Bの内周面に近接して配置されている。
本実施形態の湾曲管10では、このような中間湾曲駒12A、12Bは、複数組、同様に連結され、それぞれの接続部での傾動の作用によって、全体として、図2(a)の紙面内で湾曲可能な円管状部品を構成している。そして、湾曲管10の終端部では、中間湾曲駒12Aが不図示の後端湾曲駒に連結されている。
このように、本実施形態の中間湾曲駒12A、12Bは、操作ワイヤ13を内周面に摺接可能に保持するのみであり、ワイヤ接合部は設けない。そのため、中間湾曲駒12A、12Bの材質は、例えば、ステンレス鋼板などの金属材料などを採用することができる。
一対の操作ワイヤ13は、それぞれ、一端が先端湾曲駒11のワイヤ接合部11cに接合され、他端が操作部7によって牽引可能に保持されており、操作部7によって、それぞれの牽引量を調整することによって、湾曲管10を湾曲させるものである。
操作ワイヤ13としては、先端湾曲駒11に用いる金属ガラスのガラス遷移領域よりも高温の融点を備える材質からなる適宜のワイヤを採用することができる。例えば、ステンレス線材などの金属線材を撚ってなる撚り線ワイヤを採用することができる。
操作ワイヤ13の線径としては、一例として、φ0.2mm〜φ0.4mmのものを採用することができる。
次に、本実施形態の医療器具部品のワイヤ固定方法について説明する。
図3(a)は、ワイヤの固定前の先端湾曲駒の中心軸に沿う断面図である。図3(b)、(c)は、それぞれ図3(a)におけるB視、C視の側面図である。図4(a)、(b)、(c)は、本発明の第1の実施形態に係る医療器具部品のワイヤ固定方法の工程説明図である。
先端湾曲駒11を形成するため、本実施形態では、まず、図3(a)、(b)、(c)に示す先端湾曲駒110を作製する。
先端湾曲駒110は、先端湾曲駒11の一対のワイヤ接合部11cを形成するため、ワイヤ接合部11cの位置に対応して、一対のワイヤ設置部11Cを備えるものである。
各ワイヤ設置部11Cは、各ワイヤ接合部11cと同じ長さを有し内周側に操作ワイヤ13を挿通可能な空孔を有する筒体が、円筒部11aの中心軸方向に沿う方向に円筒部11aの内周面に固定されたものである。
本実施形態のワイヤ設置部11Cの形状は、一例として、略楕円状の断面を有する筒体とされている。そして、ワイヤ設置部11Cは、円筒部11aの径方向が空孔の短径方向、円筒部11aの周方向が空孔の長径方向となるような位置関係に固定されている。
ワイヤ設置部11Cの材質は、円筒部11aと同材質の金属ガラスからなる。
本実施形態のワイヤ設置部11Cは、円筒部11aとともに一体成形することにより成形されている。
ただし、別部材として作製した筒体を、例えば、円筒部11aにかしめたり、円筒部11aおよびワイヤ設置部11Cの少なくともいずれに適宜の係合形状を設けて互いに係合させたりして、ワイヤ設置部11Cを固定してもよい。この場合、後述するように、円筒部11aとワイヤ設置部11Cとは操作ワイヤ13を接合する過程で熱間プレスによって一体化されるため、この段階では一部が接触する状態で固定されていてもよい。
本実施形態のワイヤ固定方法は、ワイヤ配置工程、昇温工程、押圧工程、および接合工程を、この順に行うものである。
これらの工程に用いる金型15、金型16(凹状の押圧部材)について説明する。
金型15は、以下の昇温工程、押圧工程、接合工程において、少なくともワイヤ設置部11Cを覆う範囲で、先端湾曲駒110の外周面を径方向外側から保持する部材である(図3(a)、(c)参照)。先端湾曲駒110の外周面を保持するため金型15に形成された金型面15aは、先端湾曲駒11の外周面である円筒面の形状に形成されている。
本実施形態では、金型15は、昇温工程中に、先端湾曲駒11の外周面をガラス遷移領域より低温に保持することができる熱容量を有する金属から構成している。そのため、温度調節機構を備えていないが、例えば、ヒータや冷却水路などの温度調節機構を備えていてもよい。
金型16は、ワイヤ設置部11Cを円筒部11aの内周側で熱間プレスすることによりワイヤ接合部11cを形成する部材であり、図3(a)の二点鎖線、および図4(a)に示すように、ワイヤ設置部11Cの外周面を先端湾曲駒11の軸方向に沿って先端湾曲駒11の径方向内側から覆うように配置される。
金型16の断面形状は、ワイヤ設置部11C側に向かって開口する略U字状の金型面16aを備え、金型面16aの開口部に隣接してワイヤ設置部11C側に向かって拡幅する一対の傾斜面からなる先端押圧面16bが設けられている。
金型16の内部にはヒータ(不図示)などからなる温度調節機構が設けられている。これにより、金型16の温度をガラス遷移領域に設定可能となっている。
また、金型16は、不図示の加圧機構によって支持されており、円筒部11aの径方向外側に向かってワイヤ設置部11Cを加圧できるようになっている。
本実施形態のワイヤ固定方法では、まず、ワイヤ設置工程を行う。本工程は、温度幅20℃以上のガラス遷移領域を有する非晶質合金からなるワイヤ設置部に、ワイヤを近接させて配置する工程である。
具体的には、図3(c)に二点鎖線で示すように、一対の金型15をワイヤ設置部11Cの裏面側の外周面側に配置し、各金型15の間隔を調整して、先端湾曲駒110を挟持させる。
次に、先端湾曲駒110に設けられたワイヤ設置部11Cに、操作ワイヤ13を近接させて配置する。本実施形態では、図3(a)に二点鎖線で示すように、操作ワイヤ13の先端をワイヤ設置部11Cの接続部11b側の端部から挿入し、操作ワイヤ13の挿入方向の先端がワイヤ設置部11Cの接続部11bと反対側の端部に略整列する位置に配置する。
これにより、図4(a)に示すように、ワイヤ設置部11Cの空孔内では、操作ワイヤ13の先端部の外周部が、凹面を形成するワイヤ設置部11Cの内周面11dによって、外周側を取り囲まれた状態とされる。
ここで、「近接させて配置する」とは、操作ワイヤ13の周囲に内周面11dが位置する状態に配置することを意味し、内周面11dと離間している場合と接触している場合とを含む。例えば、図4(a)では、操作ワイヤ13と内周面11dとが離間しているように描かれているが、操作ワイヤ13は、例えば自重などによってたわむため、操作ワイヤ13は、ワイヤ設置部11Cの軸方向のいずれかの位置では、内周面11dに接触しているものである。
次に昇温工程を行う。本工程は、ワイヤ配置工程によってワイヤが近接して配置されたワイヤ設置部を、非晶質合金のガラス遷移領域に昇温させる工程である。
本実施形態では、円筒部11aの内側でワイヤ設置部11Cに対向する位置において円筒部11aの軸方向に沿って、ガラス遷移領域に加熱された金型16を配置する。そして、金型16を円筒部11aの径方向外側に向かって移動させ、ワイヤ設置部11Cの外周側に当接する位置で停止し、ワイヤ設置部11Cに伝熱させ、ワイヤ設置部11Cがガラス遷移領域に昇温されるまで待機させる。
金型16の温度は、円筒部11aや金型15からの放熱による温度降下を考慮して、ワイヤ設置部11Cおよびワイヤ設置部11Cの近傍の円筒部11aがガラス遷移領域の温度範囲から外れないように温度制御される。例えば、一例として、T=490℃、T=400℃の場合では、金型面16aおよび先端押圧面16bの制御目標温度Tは、T=450℃±2℃程度に設定すればよい。
このように金型面16aおよび先端押圧面16bの温度が制御目標温度Tに達したら昇温工程を終了する。金型面16aおよび先端押圧面16bの温度は、例えば温度センサで検出してもよいし、予め金型面16aおよび先端押圧面16bが制御目標温度Tに到達するために必要な加熱時間を調べておき、一定の加熱時間が経過した時点で昇温工程を終了してもよい。
次に、押圧工程を行う。本工程は、昇温工程によって非晶質合金のガラス遷移領域に昇温されたワイヤ設置部の温度をガラス遷移領域に保持した状態で、ワイヤ設置部を、押圧して変形させ、ワイヤに密着させる工程である。
上記昇温工程により、ガラス遷移領域に昇温されたワイヤ設置部11Cは、10MPaより低い圧力でも容易に変形することができる。
本工程では、金型面16a、先端押圧面16bの温度をガラス遷移領域の中の低温側に保持した状態で、金型16によってワイヤ設置部11Cを加圧していく。本実施形態では、一例として、15MPaで加圧していく。
これにより、ワイヤ設置部11Cの外周面は、金型16に当接する部位で、先端押圧面16b、金型面16aに沿って変形され、先端押圧面16b、金型面16aで形成される金型16の凹部に充填されていく。これに伴い、ワイヤ設置部11Cの内周面は、徐々に縮径され、やがて操作ワイヤ13の外周面に当接し、さらに金型16からの加圧を受けて、操作ワイヤ13の外周面に密着される。
このとき、ワイヤ設置部11Cを構成する非晶質合金はガラス遷移領域に昇温されているため、高い転写性を有しており、金型16から加圧を受けることで、操作ワイヤ13の撚り線による微細な凹凸からなる表面形状が非晶質合金に転写される。すなわち、非晶質合金が、操作ワイヤ13の微細な凹凸を有する外周面に良好に密着される。
このようにして、操作ワイヤ13の外周面と、金型16の内周面である先端押圧面16b、金型面16aとの間にワイヤ設置部11Cを構成する非晶質合金が充填され、金型16の先端が円筒部11aの内周面に略到達したら、金型16を停止させる(図4(c)参照)。
そして、金型15、16で挟まれた領域で非晶質合金の成形が完了する時間だけ、金型16の温度を一定に保つ。以上で押圧工程が終了する。
次に、接合工程を行う。本工程は、押圧工程によって変形されたワイヤ設置部を、押圧状態に保って非晶質合金のガラス遷移温度より低温まで降温させ、ワイヤの外周部にワイヤ設置部が変形されたワイヤ接合部を形成する工程である。
すなわち、金型16の位置を固定して、ガラス遷移温度Tよりも低温となるまで金型16を降温させる。本実施形態では、10℃/分以下の冷却速度で徐冷していく。これは、応力を除去するためである。
金型15、16で挟まれた領域の非晶質合金がガラス遷移温度Tより低温になると、押圧工程におけるような低圧では変形しない固体状態となり、操作ワイヤ13の外周部に密着して接合された状態のワイヤ接合部11cが形成されるので、金型16を脱型する。
以上で、接合工程が終了する。
このようにして、本実施形態では、ワイヤ配置工程、昇温工程、押圧工程、および接合工程を順次行うことで、円筒部11aの内側に、操作ワイヤ13の端部を接合したワイヤ接合部11cが形成され、先端湾曲駒11が得られる。
このようにして、先端湾曲駒11は、円筒部11aの内周面に設けられた円筒部11aに操作ワイヤ13が接合された医療器具部品となっている。
円筒部11aの内周面の一部を構成するワイヤ接合部11cの外形は、金型16の内周面である金型面16a、先端押圧面16bの形状が転写されている。そのため、ワイヤ接合部11cの外形は、予め金型16の形状を調整することで、一定の形状に成形される。
また、ワイヤ接合部11cの反対側の円筒部11aの外周面は、金型15によって押圧されているので、円筒部11aの温度がガラス遷移領域に到達し、低圧で変形可能となっても、金型面15aの形状に保たれる。
このため、先端湾曲駒11では、例えば、半田付け、ロウ付けなどによって、操作ワイヤ13を接合する場合とは異なり、接合後に接合部近傍の外形がばらつくことがない。この結果、外形を整形、修正するための2次加工が不要となり、製造効率を向上し、製造コストを低減することができる。
また、ワイヤ接合部11cは、ガラス遷移領域でプレス成形されているため、操作ワイヤ13の表面の微細な凹凸形状に良好に密着し、良好な接合強度が得られる。
また、ワイヤ接合部11cは、溶接による接合部とは異なり、均一な材質により残留応力がほとんどない状態で接合されるため、接合強度の均一性に優れている。このため、耐久性を向上することができる。
以上に説明した内視鏡装置1によれば、先端湾曲駒11に接合された一対の操作ワイヤ13は、湾曲部4内の複数の中間湾曲駒12A、12Bにそれぞれ挿通され、可撓管部5を通して操作部7内に導かれ、操作部7によって牽引可能に捧持されている。そして、操作部7によって、各操作ワイヤ13の牽引量を制御することで、先端湾曲駒11、中間湾曲駒12A、12Bの傾動方向、傾動量を制御し、湾曲管10を1軸回りに湾曲させることができる。
先端湾曲駒11に接合された操作ワイヤ13は、ワイヤ接合部11cにおける接合強度の均一性が良好となるので、内視鏡装置1の耐久性を向上することができる。
次に、本実施形態の医療器具部品の第1変形例について説明する。
図5は、本発明の第1の実施形態の第1変形例に係る医療器具部品の中心軸に沿う断面図である。図6(a)は、ワイヤの固定前の先端湾曲駒の中心軸に沿う断面図である。図6(b)、(c)は、それぞれ図6(a)におけるD視、E視の側面図である。図7(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態の第1変形例に係る医療器具部品のワイヤ固定方法の工程説明図である。
本変形例の湾曲管20は、上記第1の実施形態の湾曲管10と同様に、内視鏡装置1の湾曲部4に用いることができるものであり、図5に示すように、上記第1の実施形態の湾曲管10の先端湾曲駒11に代えて、先端湾曲駒21(医療器具部品)を備える。
先端湾曲駒21は、先端湾曲駒11のワイヤ接合部11cに代えて、ワイヤ接合部11cと同様な位置に、ワイヤ接合部21cを備える。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
ワイヤ接合部21cは、ワイヤ接合部11cと同様に、操作ワイヤ13の外周部を円筒部11aに接合するとともに、操作ワイヤ13の先端部3側の端部の先端を袋状に覆うようにしたものである。本実施形態では、袋状とされた部分の外形は滑らかな凸曲面状とされている。
次に、先端湾曲駒21に用いる本変形例のワイヤ固定方法について説明する。
本変形例のワイヤ固定方法では、上記第1の実施形態の先端湾曲駒110に代えて、先端湾曲駒210を用いる。
先端湾曲駒210は、図6(a)、(b)、(c)に示すように、先端湾曲駒110のワイヤ設置部11Cに代えて、ワイヤ設置部11Cと同様な筒体である筒体部21Aを備え、この筒体部21Aの接続部11bと反対側の端部の開口を筒底部21Bによって塞いだものである。筒体部21Aの内周面21dは、内周面11dと同様な略楕円状の凹面を構成している。
ワイヤ設置部21Cの材質は、円筒部11aと同材質の金属ガラスからなる。
本変形例のワイヤ固定方法は、ワイヤ配置工程、昇温工程、押圧工程、および接合工程を、この順に行うものである。
これらの工程では、上記第1の実施形態の金型16に代えて、図7(a)に示す金型26(凹状の押圧部材)を用いる。
金型26は、ワイヤ設置部21Cの筒体部21A、筒底部21Bを、円筒部11aの内周側で熱間プレスすることによりワイヤ接合部21cを形成する部材である。なお、図7(a)のP−P線、図7(b)のQ−Q線に沿う断面は、それぞれ、図4(b)、(c)に示すような断面になっている。
金型26の先端湾曲駒210の軸方向においては、図7(a)に示すように、筒体部21Aに略対応する部位に、金型16と同様の金型面16a、先端押圧面16b(図4(b)参照)が設けられている。また、筒底部21Bおよび筒底部21Bの近傍の筒体部21Aに対応する部位には、滑らかな凹曲面により金型面16a、先端押圧面16bの端部を閉止する先端部金型面26cが形成されている。
金型26の内部にはヒータ(不図示)などからなる温度調節機構が設けられている。これにより、金型26の温度をガラス遷移領域に設定可能となっている。
また、金型26は、不図示の加圧機構によって支持されており、円筒部11aの径方向外側に向かってワイヤ設置部21Cを加圧できるようになっている。
以下、各工程について、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
ワイヤ配置工程では、先端湾曲駒210を一対の金型15によって挟持するが、金型15の挟持範囲は、先端湾曲駒210の軸方向では、筒底部21Bよりもやや先端側(接続部11bが形成された端部と反対側)まで延長される。そして、操作ワイヤ13を筒体部21Aの開口から差し入れ、操作ワイヤ13の先端が筒底部21Bに突き当たるまで挿入する(図7(a)参照)。
次に昇温工程では、金型26を、先端押圧面16bと筒体部21Aの外周面とが当接する(図4(b)参照)とともに、先端部金型面26cと筒底部21Bとが当接する状態(図7(a)参照)まで移動して、筒体部21Aおよび筒底部21Bを加熱しガラス遷移領域に昇温させる。
次に押圧工程では、筒体部21Aおよび筒底部21Bが、金型26に押圧されて変形し、図7(b)に示すように、筒底部21Bおよびその近傍の筒体部21Aを構成する非晶質合金が袋状を保ちつつ、先端部金型面26cの形状に倣って変形される。また、筒体部21Aは、金型面16aおよび先端押圧面16bの形状に倣って変形される。
このため、操作ワイヤ13は、筒体部21Aが変形して外周部に密着されるとともに、筒底部21Bが変形して先端部が袋状に覆われる。
次に接合工程では、上記第1の実施形態の金型16と同様にして、金型26を降温させ、脱型する。これにより、ワイヤ接合部21cによって操作ワイヤ13が接合された先端湾曲駒21が形成される。
本変形例では、ワイヤ接合部21cによって操作ワイヤ13の端部が覆われるので、接合後のワイヤ接合部21cの近傍での部品組立作業が容易となり、近接して配置される部品が操作ワイヤ13の先端部に接触して傷つくなどといった不具合を確実に防止することができる。
次に、本実施形態の医療器具部品の第2変形例について説明する。
図8は、本発明の第1の実施形態の第2変形例に係る医療器具部品のワイヤ接合部の拡大断面図である。図9(a)は、ワイヤの固定前の先端湾曲駒の中心軸に沿う断面図である。図9(b)は、図9(a)におけるF視の側面図である。図10(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態の第1変形例に係る医療器具部品のワイヤ固定方法の工程説明図である。
本変形例の先端湾曲駒31は、上記第1変形例の先端湾曲駒21に代えて、湾曲管20の一部に用いることができる医療器具部品であり、図5に示すように、上記第1変形例の先端湾曲駒21のワイヤ接合部21cに代えて、ワイヤ接合部31cおよび被覆部31bを備える。上記第1の実施形態および上記第1変形例と異なる点を中心に説明する。
ワイヤ接合部31cは、操作ワイヤ13の先端部を、円筒部11aの内周面上で、被覆部31b側に延出させた状態で、被覆部31bの外周部を覆って接合されたものであり、円筒部11aと同材質の金属ガラスをガラス遷移領域でプレス成形してなるものである。
また、被覆部31bは、ワイヤ接合部31cから延出された操作ワイヤ13の先端を覆うものであり、円筒部11aと同材質の金属ガラスをガラス遷移領域でプレス成形してなるものである。
次に、先端湾曲駒31に用いる本変形例のワイヤ固定方法について説明する。
本変形例のワイヤ固定方法では、上記第1変形例の先端湾曲駒210に代えて、先端湾曲駒310を用いる。
先端湾曲駒310は、図9(a)、(b)に示すように、上記第1の実施形態の先端湾曲駒110にワイヤ突き当て部31Bを設けたものである。
ワイヤ突き当て部31Bは、各ワイヤ設置部11Cに挿入されて接続部11bと反対側に延出される操作ワイヤ13の先端を突き当てるために、各ワイヤ設置部11Cの開口からわずかに離間した位置の円筒部11aの内周面に突設された板状部であり、円筒部11aと同材質の金属ガラスからなる。
ワイヤ突き当て部31Bの図9(a)のF視の形状は、基端部が、ワイヤ設置部11Cの最大幅と同幅とされ、先端部がワイヤ設置部11Cの外形と略重なる楕円状に丸められている。このため、ワイヤ突き当て部31Bは、図9(a)のF視において、ワイヤ設置部11Cの開口を覆う大きさに設けられている。
本変形例のワイヤ固定方法は、ワイヤ配置工程、昇温工程、押圧工程、および接合工程を、この順に行うものである。
これらの工程では、上記第1変形例と同様に、金型15、26を用いる。
以下、各工程について、上記第1の実施形態および上記第1変形例と異なる点を中心に説明する。
ワイヤ配置工程では、先端湾曲駒310を、一対の金型15によって先端湾曲駒210と同様に挟持する。そして、操作ワイヤ13をワイヤ設置部11Cの開口から差し入れ、操作ワイヤ13の先端がワイヤ設置部11Cから出て、ワイヤ突き当て部31Bに突き当たるまで挿入する(図10(a)参照)。
次に昇温工程では、金型26を、先端押圧面16bとワイヤ設置部11Cの外周面とが当接する(図4(b)参照)とともに、先端部金型面26cとワイヤ突き当て部31Bの先端とが当接する状態(図10(a)参照)まで移動して、ワイヤ設置部11Cおよびワイヤ突き当て部31Bを加熱しガラス遷移領域に昇温させる。
次に押圧工程では、ワイヤ突き当て部31Bおよびワイヤ設置部11Cが、金型26に押圧されて変形し、図10(b)に示すように、ワイヤ突き当て部31Bが先端部金型面26cに倣って変形することで、操作ワイヤ13の先端部が覆われて被覆部31bが形成される。また、ワイヤ設置部11Cは、金型面16aおよび先端押圧面16bの形状に倣って変形される。
このため、操作ワイヤ13は、ワイヤ設置部11Cが変形して外周部に密着されるとともに、被覆部31bによって先端部が覆われる。
次に接合工程では、上記第1変形例と同様にして、金型26を降温させ、脱型する。これにより、ワイヤ接合部31cによって操作ワイヤ13が接合され、操作ワイヤ13の先端が被覆部31bで被覆された先端湾曲駒31が形成される。
本変形例では、被覆部31bによって操作ワイヤ13の端部が覆われるので、接合後のワイヤ接合部31cの近傍での部品組立作業が容易となり、近接して配置される部品が操作ワイヤ13の先端部に接触して傷つくなどといった不具合を確実に防止することができる。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る医療器具部品について説明する。
図11(a)は、本発明の第2の実施形態に係る医療器具部品の中心軸に沿う方向から見た側面図である。図11(b)は、図11(a)におけるG−G断面図である。図11(b)は、図11(b)におけるH視の側面図である。
本実施形態の先端湾曲駒41は、上記第1の実施形態の先端湾曲駒11に代えて、湾曲管10の一部に用いることができる医療器具部品であり、上記第1の実施形態に説明した内視鏡装置1の湾曲部4の一部を構成することができるものである。
先端湾曲駒41の構成は、図11(a)、(b)、(c)に示すように、軸方向の一端で先端部3の端部に外嵌して固定される略円筒状の先端筒状部41a(第1筒状部)を備え、先端筒状部41aの他端において先端筒状部41aよりも小径の略円筒状の後端筒状部41b(第2筒状部)が、同軸の位置関係となるように軸方向に隣接された段状の筒状部を備える。
先端筒状部41aの外径、肉厚は、上記第1の実施形態の先端湾曲駒11と同様である。後端筒状部41bの外径は、先端筒状部41aの内周面と後端筒状部41bの外周面との間に操作ワイヤ13を略配置できる程度の寸法が好ましい。例えば、先端筒状部41aの肉厚が0.1mm〜0.2mm、操作ワイヤ13の外径がφ0.2mm〜φ0.4mmの場合には、後端筒状部41bの外径は、先端筒状部41aの外径に比べて、約0.3mm〜約0.6mm程度小径であることが好ましい。
先端湾曲駒41の材質は、上記第1の実施形態の先端湾曲駒11と同様な金属ガラスからなる。
後端筒状部41bの先端筒状部41aと反対側の端部には、上記第1の実施形態と同様、後端筒状部41bの径方向に対向する2箇所で軸方向の外側に突出された一対の突片状の接続部11bが設けられている。
先端筒状部41aの内周面には、先端筒状部41aと後端筒状部41bとの境界位置から先端筒状部41a側に向かって、一対の接続部11bの対向方向と直交する径方向において対向する位置に、操作ワイヤ13の端部を接合した一対のワイヤ接合部41cが形成されている。
ワイヤ接合部41cから後端筒状部41b側に延出された各操作ワイヤ13は、後端筒状部41bの外周面に沿って、後端筒状部41bの軸方向に沿って延ばされている。
ワイヤ接合部41cは、本実施形態では、先端筒状部41aと後端筒状部41bとの境界位置から先端筒状部41aの軸方向の中間位置までの間で、操作ワイヤ13の側方の外周面を覆った状態で密着され、径方向内側に突出された突条状に設けられている。すなわち、先端筒状部41aの軸方向に直交する面内では、図11(a)に示すように、先端筒状部41aの略内周面に位置する操作ワイヤ13を略U字状に取り囲むように密着されている。
次に、本実施形態の医療器具部品のワイヤ固定方法について説明する。
図12(a)は、ワイヤの固定前の先端湾曲駒の中心軸に沿う断面図である。図12(b)は、図12(a)におけるJ視の側面図である。図13は、本発明の第2の実施形態に係る医療器具部品のワイヤ固定方法のワイヤ配置工程の様子を示す軸方向断面の工程説明図である。図14(a)、(b)は、それぞれ図13におけるK−K断面図、L−L断面図である。図15は、本発明の第2の実施形態に係る医療器具部品のワイヤ固定方法の接合工程の様子を示す図13のK−K線に相当する断面の工程説明図である。
先端湾曲駒41を形成するため、本実施形態では、まず、図12(a)、(b)に示す先端湾曲駒410を作製する。
先端湾曲駒410は、先端湾曲駒41の一対のワイヤ接合部41cを形成するため、ワイヤ接合部41cの位置に対応して、一対のワイヤ設置部41Cを備える先端筒状部41Aと、先端筒状部41Aよりも小径の後端筒状部41Bとが、同軸の位置関係となるように軸方向に隣接された段状の筒状の部材である。
先端筒状部41Aは、図12(a)に示すように、全体として先端筒状部41aの外径に等しい略円筒体である。
ワイヤ設置部41Cは、先端筒状部41Aの外周面の軸方向においてワイヤ接合部41cに対応する位置に、先端筒状部41Aの径方向Aの外周面が、径方向内側にわずかに陥没して形成された一対の凹溝41Dからなる。
各凹溝41Dの後端筒状部41B側の端部は、溝底が後端筒状部41Bの外周面と整列され、各凹溝41Dの後端筒状部41Bと反対側の端部には、凹溝41Dから先端筒状部41Aの内周側に貫通する孔部41Eがそれぞれ形成されている。
凹溝41Dの断面形状は、操作ワイヤ13の外周部を覆うことができる略U状とされる。また、孔部41Eの大きさは、凹溝41D内に配置されて凹溝41Dに沿って移動された操作ワイヤ13の先端が容易に挿通できる大きさとされる。
このように本実施形態のワイヤ設置部41Cは、ワイヤの外周部を周方向に沿って覆うことができる凹面が、ワイヤが挿入可能な断面略U字状の半筒体の内周面によって構成されている場合の例となっている。
後端筒状部41Bは、図12(b)に示すように、後端筒状部41bに外接する円筒体からなる。そして、後端筒状部41Bの先端筒状部41Aと反対側の端部には、接続部11bを形成するため、径方向Aと直交する径方向Aに対向し、軸方向後端側に突出された半円状の突片部が形成されている。この各突片部の中心には円孔部11eが設けられている。
本実施形態のワイヤ固定方法は、ワイヤ配置工程、昇温工程、押圧工程、および接合工程を、この順に行うものである。以下では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
これらの工程では、上記第1の実施形態の金型15、16に代えて、図13、図14(a)、(b)に示すように、金型45L(凹状の押圧部材)、金型45R(凹状の押圧部材)、内周型部材46(形状保持部材)を用いる。
金型45L、45Rは、ぞれぞれ、先端湾曲駒410を、加熱状態で外周側から径方向Aにプレスして、先端湾曲駒41の外形を成形するもので、不図示の加圧機構によりそれぞれ、径方向Aに進退可能に設けられている。それぞれの進出位置では、径方向Aに沿って設けられた型合わせ面45dが当接されて進出位置が位置決めされる。
金型45L、45Rは、先端湾曲駒41の外周面の形状を、各ワイヤ接合部41cの中心を通る対称面で左右に分割した互いに面対称な金型面を備える。
すなわち、先端筒状部41aの外形に対応して半円筒状の先端部金型面45aを備え、後端筒状部41bの外形に対応して略半円筒状で一部に接続部11bの外周面を成形する凹部45eが形成された後端部金型面45bを備える。
なお、後端部金型面45b側の型合わせ面45dには、操作ワイヤ13を後端筒状部41Bの外周面上に配置した状態で、プレス成形する際、操作ワイヤ13を押圧しないように、凹溝状のワイヤ挿通部45cが設けられている。
また、特に図示しないが、金型45L、45Rの内部にはヒータ(不図示)などからなる温度調節機構が設けられている。これにより、金型45L、45Rの温度をガラス遷移領域に設定可能となっている。
内周型部材46は、先端湾曲駒410の内周部の形状を、先端湾曲駒41の内周形状に保つもので、金型45L、45Rに対してコア金型を構成している。
内周型部材46は、先端筒状部41aの内周面に対応して円筒状の先端部内周型面46aが形成され、先端筒状部41aの内周面のうちワイヤ接合部41cに対応する位置には軸方向に延びる略U字状溝である接合部型面46cが形成されている。また、後端筒状部41bの内周面に対応して、略円筒状の後端部内周型面46bが形成されている。
後端部内周型面46b上において各接続部11bに対応する位置には、接続部11bの内周面を形成する凸部46dがそれぞれ設けられている(図14(b)参照)。
本実施形態では、内周型部材46の材質は、金型45L、45Rよりも熱伝導率が低い材質としている。例えば、金型45L、45Rが超硬(タングステンカーバイト)からなる場合に、ステンレスなどを採用することができる。
まず、ワイヤ配置工程では、図13、図14(a)、(b)に示すように、先端湾曲駒410の内部に内周型部材46を挿通させ、金型45L、45Rによって先端湾曲駒410の外周部を先端湾曲駒410の径方向Aに沿って挟持させて、先端湾曲駒410を支持する。そして、金型45L、45Rのワイヤ挿通部45cの間から凹溝41Dの内側に向けて、操作ワイヤ13を挿通させる。そして、操作ワイヤ13の先端が略凹溝41Dの端部に整列した位置で挿入を停止する。
次に、昇温工程では、金型45L、45Rが先端湾曲駒410に近接または接触した状態で、金型45L、45Rを加熱し、先端湾曲駒410に伝熱させて、先端湾曲駒410をガラス遷移領域に昇温させる。
このとき、内周型部材46は、金型45L、45Rよりも熱伝導率が低い材質からなるため、金型45L、45Rから先端湾曲駒410に伝熱される熱量よりも、先端湾曲駒410から内周型部材46に伝熱される熱量が少なくなる。これにより先端湾曲駒410が効率よく昇温される。
次に、押圧工程では、金型45L、45Rを先端湾曲駒410の径方向Aに沿って、先端湾曲駒410に押圧していき、先端湾曲駒410をプレス成形する。
このとき、先端湾曲駒410は、金型45L、45Rから外周面に対して、径方向Aに対称な押圧力を受け、先端部金型面45a、後端部金型面45bに沿って先端筒状部41A、後端筒状部41Bの周方向に圧縮力が増大していく。
そして、ワイヤ設置部41Cの溝開口側で先端筒状部41Aの外周面の変形が増大して溝開口が狭まる変形が進み、操作ワイヤ13の外周部に凹溝41Dが密着するように変形しつつ、ワイヤ設置部41Cの外周面が先端部金型面45aに沿って移動される。
これにより、図15に示すように、周方向に押圧される先端筒状部41Aが、操作ワイヤ13の径方向外側で会合して互いに密着し、金型45L、45Rの各先端部金型面45aに沿う円筒面の形状が転写される。
変形されたワイヤ設置部41Cは、操作ワイヤ13の外周部に密着され、先端部金型面45a、接合部型面46cに囲まれたD字状の断面に変形される。これにより、ワイヤ接合部41cが形成される。
一方、後端筒状部41Bの側は、内周型部材46の後端部内周型面46b、および凸部46dに外接しているので、金型45L、45Rの各後端金型面45bと、内周型部材46の凸部46dとの間では、凸部46dの近傍のみがプレス成形され、略円筒状の後端筒状部41bおよび接続部11bが形成される。
そして、金型45L、45Rおよび内周型部材46で挟まれた領域における非晶質合金の成形に要する成形時間だけ、金型45L、45Rの温度を一定に保つ。以上で押圧工程が終了する。
次に、接合工程では、金型45L、45R、および内周型部材46の位置関係を一定に保った状態で、上記第1の実施形態と同様の冷却速度となるように冷却し、ガラス遷移温度Tより低温まで降温させる。このようにして、ワイヤ接合部41cが押圧工程におけるような低圧では変形しない固体状態となり、操作ワイヤ13の外周部に密着して接合された状態のワイヤ接合部41cが形成されたら金型45L、45Rを脱型する。
以上で、接合工程が終了する。
このようにして、本実施形態では、ワイヤ配置工程、昇温工程、押圧工程、および接合工程を順次行うことで、先端筒状部41aの内側に、操作ワイヤ13の端部を接合したワイヤ接合部41cが形成され、先端湾曲駒41が得られる。
本実施形態のワイヤ固定方法によれば、上記第1の実施形態と同様、例えば、半田付け、ロウ付けなどによって、操作ワイヤ13を接合する場合とは異なり、接合後に接合部近傍の外形がばらつくことがない。この結果、外形を整形、修正するための2次加工が不要となり、製造効率を向上し、製造コストを低減することができる。
また、ワイヤ接合部41cは、ガラス遷移領域でプレス成形されているため、操作ワイヤ13の表面の微細な凹凸形状に良好に密着し、良好な接合強度が得られる。
また、ワイヤ接合部41cは、溶接による接合部とは異なり、均一な材質により残留応力がほとんどない状態で接合されるため、接合強度の均一性に優れている。このため、耐久性を向上することができる。
また、本実施形態では、金型45L、45R、および内周型部材46によって、先端湾曲駒41の外周形状、および内周形状を周方向の全体にわたって同時に成形するので、効率的な成形を行うことができる。
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る医療器具部品について説明する。
図16(a)は、本発明の第3の実施形態に係る医療器具部品の中心軸に沿う方向の部分断面図である。図16(b)、(c)は、それぞれ図16(a)におけるM視、N視の側面図である。図17(a)は、ワイヤの固定前の先端湾曲駒の中心軸に沿う断面図である。図17(b)は、図17(a)におけるS視の側面図である。図18(a)、(b)、(c)は、本発明の第3の実施形態に係る医療器具部品のワイヤ固定方法の工程説明図である。
本実施形態の先端湾曲駒51は、上記第1の実施形態の先端湾曲駒11に代えて、湾曲管10の一部に用いることができる医療器具部品であり、上記第1の実施形態に説明した内視鏡装置1の湾曲部4の一部を構成することができるものである。
先端湾曲駒51の構成は、図16(a)、(b)、(c)に示すように、上記第1の実施形態の先端湾曲駒11と同様の円筒部11a、ワイヤ接合部11cを備え、1本の操作ワイヤ13が、長さ方向の中間部の2箇所で、ワイヤ接合部11cに接合され、これら2箇所のワイヤ接合部11cの間では、円筒部11aの内周面に配回されているものである。
このため、仮にワイヤ接合部11cのいずれかの接合が緩んだとしても、それだけでは操作ワイヤ13が抜けてしまうことがないので、耐久性の高い医療器具部品が得られる。
次に、本実施形態の医療器具部品のワイヤ固定方法について説明する。
図17(a)は、ワイヤの固定前の先端湾曲駒の中心軸に沿う断面図である。図17(b)は、図17(a)におけるS視の側面図である。
以下では、図17(a)、(b)に示す先端湾曲駒510を用いた場合のワイヤ固定方法について説明する。
先端湾曲駒510は、先端湾曲駒110のワイヤ設置部11Cに代えてワイヤ設置部51Cを備える。
ワイヤ設置部51Cは、先端湾曲駒51の一対のワイヤ接合部51cを形成するため、ワイヤ接合部51cの位置に対応して、円筒部11aに、の外周面から、径方向内側にわずかに陥没して形成された一対の凹溝51Dからなる。
各凹溝51Dの接続部11bと反対側の端部には、凹溝51Dから円筒部11aの内周側に貫通する孔部51Aがそれぞれ形成されている。
凹溝51Dの断面形状は、操作ワイヤ13の外周部を覆うことができる略U状とされる。また、孔部51Aの大きさは、凹溝51D上に配置されて凹溝51Dに沿って移動された操作ワイヤ13の先端が容易に挿通できる大きさとされる。
このように本実施形態のワイヤ設置部51Cは、ワイヤの外周部を周方向に沿って覆うことができる凹面が、ワイヤが挿入可能な断面略U字状の半筒体の内周面によって構成されている場合の例となっている。
本実施形態のワイヤ固定方法は、ワイヤ配置工程、昇温工程、押圧工程、および接合工程を、この順に行うものである。
これらの工程では、第1の実施形態と同様、金型15、16を用いる。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
まず、ワイヤ設置工程では、一対の金型15を円筒部11aの外周面側から、ワイヤ設置部51C上に配置し、各金型15の間隔を調整して、先端湾曲駒510を挟持させる(図18(a)参照)。
次に、先端湾曲駒510に設けられたワイヤ設置部51Cに、操作ワイヤ13の先端をワイヤ設置部51Cの接続部11b側の端部からに挿入し、操作ワイヤ13の先端が孔部51Aから、円筒部11aの内周面に配回し、もう一方のワイヤ設置部51Cの孔部51Aに差し入れて、ワイヤ設置部51C内に挿通し、を接続部11b側の端部から引き出す。
ここで、円筒部11aの内周面に配回された操作ワイヤ13の部分は、円筒部11a内に適宜の押さえ治具などを挿入し、以下の各工程を実行する間、配回された位置に保持しておくことが好ましい。
次に昇温工程では、第1の実施形態と同様にして、制御目標温度Tに加熱された金型16を先端湾曲駒510の径方向内側に配置してから径方向外側に移動させ、ワイヤ設置部51Cの凹溝51Dの裏面側の外周面に当接する位置で停止し(図18(b)参照)、ワイヤ設置部51Cに伝熱させ、ワイヤ設置部51Cがガラス遷移領域に昇温されるまで待機させる。
金型面16aおよび先端押圧面16bの温度が制御目標温度Tに達したら、昇温工程を終了する。
次に、押圧工程では、金型面16a、先端押圧面16bの温度をガラス遷移領域に保持した状態で、金型16によってワイヤ設置部51Cを加圧していく。本実施形態では、15MPaで加圧していく。このような加圧力では、非晶質合金の流動性が良好に保たれるため、残留応力を発生させることなく円滑に変形される。
これにより、略U字状断面を有するワイヤ設置部51Cは、金型16に当接する部位で、先端押圧面16b、金型面16aに沿って変形されていく。このため、ワイヤ設置部51Cは、金型15、先端押圧面16b、および金型面16aで囲まれる略D字状の領域に充填されていく。そして、図18(c)に示すように、凹溝51Dの開口が周方向に会合し、操作ワイヤ13の外周部を全周にわたって覆う状態となり、金型16からの加圧を受けて、操作ワイヤ13の外周面に密着される。
このとき、ワイヤ設置部51Cを構成する非晶質合金はガラス遷移領域に昇温されているため、高い転写性を有しており、金型16から加圧を受けることで、操作ワイヤ13の撚り線による微細な凹凸からなる表面形状が非晶質合金に転写される。すなわち、非晶質合金が、操作ワイヤ13の微細な凹凸を有する外周面に良好に密着される。また、凹溝51Dの開口部は、同種の非晶質合金同士の密着により、境界面が発生しない状態で一体に密着される。
そして、金型15、16で挟まれた領域で非晶質合金の成形が完了する時間だけ、金型16の温度を一定に保つ。以上で押圧工程が終了する。
ここで、図18(c)では、凹溝51Dの開口が周方向に完全に会合された場合の例で説明したが、このように変形させるには、金型15をガラス遷移領域に加熱し、金型15に接触する非晶質合金がガラス遷移領域に保たれるようにすることが好ましい。
ただし、操作ワイヤ13の接合強度が十分に得られる場合には、凹溝51Dの開口が周方向に完全に会合していない状態、すなわち、操作ワイヤ13をC字状に囲む状態で密着させてもよく、この場合には、必ずしも金型15をガラス遷移領域に加熱しなくてもよい。
次に、接合工程では、上記第1の実施形態と同様に降温させて、金型16を脱型する。
以上で、接合工程が終了する。
このようにして、本実施形態では、ワイヤ配置工程、昇温工程、押圧工程、および接合工程を順次行うことで、円筒部11aの内側に、操作ワイヤ13の端部を接合したワイヤ接合部51cが形成され、先端湾曲駒51が得られる。
このように本実施形態は、ワイヤ配置工程において、ワイヤ設置部をワイヤが挿入可能な断面略U字状の半筒体から構成し、この半筒体の内周面に形成された凹面にワイヤを配置した場合の例になっている。
次に、本実施形態の変形例について説明する。
図19(a)は、本発明の第3の実施形態の変形例に係る医療器具部品の中心軸に沿う方向の部分断面図である。図19(b)は、図19(a)におけるT−T断面図である。図20(a)は、ワイヤの固定前の先端湾曲駒の中心軸に沿う断面図である。図20(b)は、図20(a)におけるU視の側面図である。図20(c)は、図20(b)のV−V断面図である。
本変形例の先端湾曲駒61(医療器具部品)は、図19(a)、(b)に示すように、各ワイヤ接合部51cによって接合された1本の操作ワイヤ13を、各ワイヤ接合部51cの間で、円筒部11aの外周面側に配回すようにしたものである。
このため、上記第3の実施形態の先端湾曲駒510に代えて、図20(a)に示す先端湾曲駒610を用いる。以下、上記第3の実施形態と異なる点を中心に説明する。
先端湾曲駒610は、上記第3の実施形態の先端湾曲駒510の円筒部11aにワイヤ挿通溝61A(溝部)を設けたものである。
ワイヤ挿通溝61Aは、2箇所のワイヤ設置部51Cにおいて接続部11bと反対側の各端部の間を、円筒部11aの周方向につなぐ略U字状断面を有する溝部である(図20(c)参照)。すなわち、ワイヤ設置部51C、ワイヤ挿通溝61A、ワイヤ設置部51Cは、円筒部11aの外周面においてコ字状に連続され、径方向内側に陥没された凹溝を構成している。
ワイヤ挿通溝61Aの深さおよび幅の値は、いずれも操作ワイヤ13の外径より大きな値に設定される。
本変形例のワイヤ固定方法は、ワイヤ配置工程、昇温工程、押圧工程、および接合工程を、この順に行うものである。上記第3の実施形態と異なる点を中心に説明する。
ワイヤ配置工程では、一対の金型15によって、先端湾曲駒610を挟持する前に、操作ワイヤ13を、凹溝51D、ワイヤ挿通溝61A、凹溝51D上に配置する。そして、凹溝51D上に配置された操作ワイヤ13を凹溝51Dとの間に挟んだ状態で、金型15によって、先端湾曲駒610を挟持させる。
以下、昇温工程、押圧工程、接合工程は、上記第3の実施形態の各工程と同様にして行うことができる。
本変形例の先端湾曲駒61によれば、1本の操作ワイヤ13が、2箇所のワイヤ接合部51cに接合され、それらの間で操作ワイヤ13が配回されているので、上記第3の実施形態と同様に、一方のワイヤ接合部51cが緩んだとしても、操作ワイヤ13の抜けが発生しないため、耐久性を向上することができる。
また、各ワイヤ接合部51cの間では、ワイヤ挿通溝61Aの溝内において円筒部11aの外周面上に配回されている。そのため、ワイヤ設置部51Cへの操作ワイヤ13の配置が容易となり、ワイヤ配置工程の作業性を向上することができる。
なお、上記の説明では、ワイヤ接合部が、筒状部の内周側に突出された場合の例で説明したが、筒状部の外周側にスペースの余裕がある場合には、ワイヤ接合部が、筒状部の外周側に突出する形態としてもよい。
また、上記の説明では、部品本体が、筒状部によって構成される場合の例で説明したが、ワイヤ接合部が筒状部に設けられていれば、部品本体の一部が筒状部である形状であってもよい。
また、上記の説明では、筒状部の全部が、金属ガラスからなる場合の例で説明したが、ワイヤ設置部のみ、あるいは、ワイヤ設置部の近傍のみが、金属ガラスからなる構成としてもよい。
また、上記の説明では、筒状部が円筒状の筒状部の場合の例で説明したが、筒状部の断面形状は円状には限定されず、例えば、楕円状、多角形状等の適宜の断面を採用することができる。
また、上記の説明では、ワイヤ設置部が、筒体または半筒体で形成された場合の例で説明した。このような構成によれば、筒体または半筒体の肉厚を均一化することで、凹面の裏面側から加熱を効率よく行うことができる。
ただし、例えば、十分な加熱時間を取ることができたり、押圧部材からの伝熱効率が良好であったりする場合には、ワイヤ設置部の凹面の裏面側の肉厚が変化され、筒体または半筒体でない適宜のブロック状の断面形状を有していてもよい。
また、上記第1の実施形態の第2変形例の説明では、ワイヤ突き当て部31Bとワイヤ設置部11Cとを、1つの金型26によって同時に押圧する場合の例で説明したが、押圧の仕方はこれに限定されない。例えば、ワイヤ突き当て部31Bとワイヤ設置部11Cとをそれぞれ別々の押圧部材によって押圧したり、押圧タイミングを変えたりしてもよい。
また、上記の説明では、ワイヤ設置部のU字状の半筒体からなる場合の例で説明したが、断面は厳密なU字状に限らず、例えば、C字状、V字状、コ字状などの略U字状の形状を採用することができる。
例えば、図21に示すワイヤ設置部71Cは、上記第2の実施形態の先端湾曲駒410、上記第3の実施形態の先端湾曲駒510、610の、各ワイヤ設置部41C、51Cに代えて用いることができる断面C字状の半筒体の例である。
ワイヤ設置部71Cは、円筒部11aから径方向内側に断面C字状に陥没された凹溝71Dを構成するものである。円筒部11aの外周面に沿う開口71Eは、操作ワイヤ13の外径より狭くなっている。
このような断面形状によれば、操作ワイヤ13を凹溝71D挿通させた状態で、操作ワイヤ13が開口71Eから飛び出さないため、操作ワイヤ13の配置が容易となる。また、開口71Eが、U字状断面の凹溝に比べて狭いため、押圧開始後、早い時期に操作ワイヤ13の外周部を取り囲む状態を形成できるので、操作ワイヤ13の接合位置を安定させることができる。
また、上記の説明では、線状の被接合部品が、撚り線ワイヤからなる場合の例で説明したが、必要な接合強度が得られる場合には、単線ワイヤを採用してもよい。
また、上記の各実施形態、各変形例に説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせて実施することができる。
例えば、上記第3の実施形態の先端湾曲駒51は、先端湾曲駒110を用い、2箇所のワイヤ設置部11Cに1本の操作ワイヤ13を挿通し、ワイヤ配置工程で、ワイヤ設置部11Cの間の操作ワイヤ13を円筒部11aの内周面に配回して配置し、この状態で上記第1の実施形態と同様にして、昇温工程、押圧工程、および接合工程を行って接合するようにしても得ることができる。
また、上記第2の実施形態に上記第1の実施形態の第1変形例、第2変形例を適用し、ワイヤ接合部41cの先端を袋状に形成したり、被腹部を設けたりする変形を施してもよい。
なお、上記実施の形態では、医療器具部品、医療器具として、内視鏡部品、内視鏡装置を例に説明したが、本願発明はカテーテルなど医療器具およびそれに用いる医療器具部品にも適用可能である。
1 内視鏡装置(医療器具)
4 湾曲部
10、20 湾曲管
11、21、31、41、51、61 先端湾曲駒(部品本体)
11C、21C、31C、41C、51C、61C、71C ワイヤ設置部
11a 円筒部(筒状部)
11c、21c、31c、41c、51c、61c ワイヤ接合部
13 操作ワイヤ
15 金型
16、26、45L、45R 金型(凹状の押圧部材)
21A 筒体部
21B 筒底部
31B ワイヤ突き当て部
31b 被覆部
41A 先端筒状部
41B 後端筒状部
41D、51D、71D 凹溝
41E、51A 孔部
41a 先端筒状部(第1筒状部)
41b 後端筒状部(第2筒状部)
46 内周型部材(形状保持部材)
61A ワイヤ挿通溝(溝部)
110、210、310、410、510、610 先端湾曲駒
ガラス遷移温度

Claims (14)

  1. 医療器具部品に設けられた、温度幅20℃以上のガラス遷移領域を有する非晶質合金からなるワイヤ設置部に、ワイヤを近接させて配置するワイヤ配置工程と、
    該ワイヤ配置工程によって前記ワイヤが近接して配置された前記ワイヤ設置部を、前記非晶質合金のガラス遷移領域に昇温させる昇温工程と、
    該昇温工程によって前記非晶質合金のガラス遷移領域に昇温された前記ワイヤ設置部の温度を前記ガラス遷移領域に保持した状態で、前記ワイヤ設置部を、押圧して変形させ、前記ワイヤに密着させる押圧工程と、
    該押圧工程によって変形されたワイヤ設置部を、押圧状態に保って前記非晶質合金の前記ガラス遷移温度より低温まで降温させ、前記ワイヤの外周部に前記ワイヤ設置部が変形されたワイヤ接合部を形成する接合工程とを備えることを特徴とする医療器具部品のワイヤの固定方法。
  2. 前記ワイヤ設置部は、前記ワイヤの外周部を周方向に沿って覆うことができる凹面が設けられ、
    前記ワイヤ配置工程では、前記ワイヤを前記凹面に近接させて配置し、
    前記押圧工程では、前記凹面が前記ワイヤに密着するように前記ワイヤ設置部を押圧して密着させることを特徴とする請求項1に記載の医療器具部品のワイヤ固定方法。
  3. 前記ワイヤ設置部の前記凹面は、前記ワイヤが挿入可能な筒体または断面略U字状の半筒体の内周面によって構成され、
    前記押圧工程では、前記筒体または前記半筒体の外周面に、加熱された凹状の押圧部材を押圧することによって、前記ワイヤ設置部を前記ワイヤに押圧することを特徴とする請求項2に記載の医療器具部品のワイヤ固定方法。
  4. 前記医療器具部品は、少なくとも一部に筒状部を有し、
    前記ワイヤ設置部は、前記筒状部の外周または内周に設けられ、
    前記押圧工程では、前記筒状部の内周側に、前記筒状部の内周形状を一定形状に保持する形状保持部材を挿入した状態で、前記筒状部の外周面を、加熱された凹状の押圧部材で前記筒状部の径方向に押圧することによって、前記ワイヤ設置部の凹面を前記筒状部の周方向に変形させて、前記ワイヤ設置部を前記ワイヤに押圧することを特徴とする請求項2に記載の医療器具部品のワイヤ固定方法。
  5. 前記形状保持部材は、前記押圧部材よりも熱伝導率が低いことを特徴とする請求項4に記載の医療器具部品のワイヤの固定方法。
  6. 少なくとも一部に筒状部が形成された部品本体と、
    該部品本体の前記筒状部に設けられ、温度幅20℃以上のガラス遷移領域を有する非晶質合金を前記ガラス遷移領域に保持した状態で加熱変形されてなるワイヤ接合部と、
    該ワイヤ接合部が、外周側に密着して接合されたワイヤとを備える医療器具部品。
  7. 前記部品本体の前記筒状部は、前記ワイヤ接合部と同材質の非晶質合金からなることを特徴とする請求項6に記載の医療器具部品。
  8. 前記ワイヤ接合部は、前記部品本体の前記筒状部の内周面に設けられたことを特徴とする請求項6または7に記載の医療器具部品。
  9. 前記部品本体の前記筒状部は、第1筒状部と該第1筒状部よりも小径の第2筒状部が軸方向に隣接された段状の筒状部からなり、
    前記ワイヤは、前記第2筒状部の外周面に配置されるとともに、前記第1筒状部において、該第1筒状部の外周面よりも内周側に接合されてなることを特徴とする請求項6または7に記載の医療器具部品。
  10. 前記ワイヤ接合部は、前記部品本体の前記筒状部の周方向に離間した少なくとも2箇所に設けられ、
    前記筒状部の外周面には、前記2箇所のうちの一方のワイヤ接合部の端部から突出されるワイヤを前記筒状部の周方向に沿って前記2箇所のうちの他方のワイヤ接合部の端部に配回す溝部が設けられ、
    前記ワイヤは、1本のワイヤの長さ方向の中間部が、前記2箇所のうちの一方のワイヤ接合部に接合されるとともに、前記溝部に配回された状態で前記2箇所のうちの他方のワイヤ接合部に接合されてなることを特徴とする請求項6または7に記載の医療器具部品。
  11. 前記ワイヤ接合部は、前記部品本体の前記筒状部の周方向に離間した少なくとも2箇所に設けられ、
    前記ワイヤは、1本のワイヤが、長さ方向の中間部の2箇所で、前記ワイヤ接合部にそれぞれ接合され、前記2箇所のワイヤ接合部の間では、前記筒状部の内周面に配回されたことを特徴とする請求項6または7に記載の医療器具部品。
  12. 前記ワイヤ接合部は、前記ワイヤの端部を覆う袋状に形成されたことを特徴とする請求項6または7に記載の医療器具部品。
  13. 前記ワイヤ接合部は、前記ワイヤを、前記ワイヤの端部が前記筒状部に延出された状態で接合してなり、
    前記筒状部には、前記ワイヤ接合部から延出されたワイヤの端部の先端を覆うように加熱変形された温度幅20℃以上のガラス遷移領域を有する非晶質合金からなる被覆部が設けられたことを特徴とする請求項6または7に記載の医療器具部品。
  14. 請求項6〜13のいずれかに記載の医療器具部品を備える医療器具。
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