JP2010238869A - 有機トランジスタの製造方法 - Google Patents

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【課題】ゲート絶縁層および有機半導体層の界面の平滑性を改善し、良好なトランジスタ特性を得ることが可能な有機トランジスタの製造方法を提供する。
【解決手段】基板2上にゲート電極3を形成するゲート電極形成工程と、上記ゲート電極3上にゲート絶縁層4を形成するゲート絶縁層形成工程と、上記ゲート絶縁層4表面を洗浄する洗浄工程と、上記洗浄したゲート絶縁層4上に平滑化層形成用塗工液を塗布して平滑化層5を形成する平滑化層形成工程と、上記平滑化層上に有機半導体層8を形成する有機半導体層形成工程と、チャネル領域13を挟んで上記有機半導体層8に接するようにソース電極6およびドレイン電極7を形成するソース・ドレイン電極形成工程とにより、有機トランジスタを製造する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ボトムゲート型構造を有する有機トランジスタの製造方法に関するものである。
近年、薄膜トランジスタ(TFT)に代表されるトランジスタは、ディスプレイの発展に伴ってその用途を拡大する傾向にある。トランジスタは、半導体材料を介して電極が接続されていることにより、スイッチング素子としての機能を果たすものである。
従来、トランジスタに用いられる半導体材料としては、シリコン(Si)、ガリウム砒素(GaAs)、インジウムガリウム砒素(InGaAs)などの無機半導体材料が用いられており、近年、普及が拡大している液晶表示素子等のディスプレイ用TFTアレイ基板にもこのような無機半導体材料を用いたトランジスタが用いられている。
その一方で、半導体材料としては、ペンタセン等の有機半導体材料も知られている。有機半導体材料は、無機半導体材料に比べて安価に大面積化が可能であり、フレキシブルなプラスチック基板上に成膜でき、さらに機械的衝撃に対して安定であるという利点を有することから、電子ペーパー等のフレキシブルディスプレイなど、次世代ディスプレイへの応用を想定した研究が活発に行われている。
トランジスタには、ゲート電極が半導体層の下面側に配置されているボトムゲート型構造のものと、ゲート電極が半導体層の上面側に配置されているトップゲート型構造のものとが知られている。
ボトムゲート型構造を有する有機トランジスタを作製する際には、ゲート絶縁層上に有機半導体層を形成する。有機トランジスタでは、ゲート絶縁層と有機半導体層との界面にキャリアが蓄積され、その界面をキャリアが移動する。したがって、良好なトランジスタ特性(オンオフ電流比、しきい値電圧Vth、移動度など)を得るためには、ゲート絶縁層上に有機半導体層を形成する際の、ゲート絶縁層と有機半導体層との界面の密着性や平滑性が重要となる。
ゲート絶縁層には、SiO、SiN等のケイ素化合物、金属の酸化物や窒化物などが用いられている。一般に、SiO等の金属酸化物の膜は親水性を示し、有機半導体材料は撥水性を示すので、金属酸化物膜および有機半導体材料は親和性が悪い。すなわち、金属酸化物膜(ゲート絶縁層)および有機半導体層は、界面の密着性が悪い。
そこで、オクタデシルトリクロロシラン(OTS)やヘキサメチルジシラザン(HMDS)等のシランカップリング剤を用いて、ゲート絶縁層を表面処理することにより、ゲート絶縁層の表面エネルギーを改質し、ゲート絶縁層表面および有機半導体材料の親和性を高める方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1には、ゲート絶縁層および有機半導体層の界面の平滑性については開示されていない。
また、一般に、SiO等の金属酸化物の膜は、表面に微小な凹凸が存在し、表面が粗い状態になっている。さらに、ゲート電極としては、Ni、Cr、Au、Al、Ta等の金属が用いられており、金属膜も同様に表面に微小な凹凸が存在する。このゲート電極の表面粗さは、ゲート絶縁層の表面粗さにほぼ転写される。このため、ゲート絶縁層および有機半導体層は、界面の平滑性が悪い。
そこで、酸化物が得られる金属を用い、金属膜の表面を酸化して金属酸化膜を形成し(陽極酸化)、ゲート電極の表面粗さを小さくする方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、有機トランジスタを作製する際には、有機物の除去などを目的として、ゲート絶縁層を洗浄することがあり、この洗浄によって、ゲート絶縁層表面が荒れる場合がある。上記の陽極酸化による方法では、ゲート電極の表面粗さを小さくすることはできるが、洗浄によるゲート絶縁層表面の荒れを改善することはできない。
また、移動度を高める手段として、液晶性を示す有機半導体材料を用いて、ゲート絶縁層に配向機能を付与する、あるいは、ゲート絶縁層と有機半導体層との間に配向膜を設けることにより、有機半導体材料の配向方向を揃える方法が開示されている(例えば、特許文献3、特許文献4および特許文献5参照)。しかしながら、特許文献3には、配向機能を有するゲート絶縁層に有機材料を用いることにより、有機半導体層との密着性の向上を図ることができると記載されているものの、特許文献3〜5には、ゲート絶縁層および有機半導体層の界面の平滑性について開示されていない。また、有機材料を用いたゲート絶縁層を洗浄すると、ゲート絶縁層表面の平滑性が著しく損なわれる場合がある。さらに、特許文献5に記載の自己組織化単分子膜は、膜厚が非常に薄いと考えられるため、自己組織化単分子膜によってゲート絶縁層表面を平滑化するのは困難であると思料される。
このように、ゲート絶縁層および有機半導体層の界面の平滑性については、十分に検討されていないのが現状である。
特開2004−327857号公報 特開平8−32083号公報 特開2005−51199号公報 特開2004−103638号公報 特開2005−79560号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ゲート絶縁層および有機半導体層の界面の平滑性を改善し、良好なトランジスタ特性を得ることが可能な有機トランジスタの製造方法を提供することを主目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、基板上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、上記ゲート電極上にゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、上記ゲート絶縁層表面を洗浄する洗浄工程と、上記洗浄したゲート絶縁層上に平滑化層形成用塗工液を塗布して平滑化層を形成する平滑化層形成工程と、上記平滑化層上に有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、チャネル領域を挟んで上記有機半導体層に接するようにソース電極およびドレイン電極を形成するソース・ドレイン電極形成工程とを有することを特徴とする有機トランジスタの製造方法を提供する。
本発明によれば、ゲート絶縁層表面を洗浄する洗浄工程を行うので、ゲート絶縁層表面が荒れるが、ゲート絶縁層上に平滑化層を形成し、この平滑化層上に有機半導体層を形成するので、平滑化層によってゲート絶縁層の表面荒れを解消することができる。これにより、平滑化層および有機半導体層の界面の平滑性を向上させることが可能である。また、本発明によれば、平滑化層によってゲート絶縁層表面を改質することができ、ゲート絶縁層表面と有機半導体材料との親和性を向上させることができる。これにより、平滑化層および有機半導体層の界面の密着性を向上させることが可能である。したがって、優れたトランジスタ特性を示す有機トランジスタを得ることができる。
上記発明においては、上記ゲート絶縁層形成工程にて、絶縁性有機材料を含有するゲート絶縁層形成用塗工液を塗布して上記ゲート絶縁層を形成することが好ましい。ゲート絶縁層形成用塗工液を塗布して形成されたゲート絶縁層は、洗浄工程にて溶出等が起こり、表面が荒れやすいが、本発明によれば、平滑化層によってこのゲート絶縁層の表面荒れを解消することができるからである。
さらに本発明においては、上記平滑化層の表面粗度が2nm以下であることが好ましい。表面粗度が大きすぎると、平滑化層および有機半導体層の密着性が低下するおそれがあるからである。
また本発明においては、上記平滑化層形成用塗工液を塗布して得られる塗膜に光配向処理を施すことが好ましい。平滑化層を光配向膜とすることにより、この光配向膜の配向規制力によって液晶性を示す有機半導体材料を配向させることができ、移動度を効果的に高めることが可能であるからである。また、光配向処理は非接触配向処理であることから静電気や塵の発生がなく、定量的な配向処理の制御ができる点で有用だからである。
本発明においては、洗浄工程後に、平滑化層形成工程および有機半導体層形成工程をこの順に行うので、平滑化層および有機半導体層の界面の平滑性および密着性を向上させることができ、優れたトランジスタ特性を示す有機トランジスタを提供することが可能である。
本発明の有機トランジスタの製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の有機トランジスタの製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明の有機トランジスタの製造方法により得られる有機トランジスタの一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の有機トランジスタの製造方法について詳細に説明する。
本発明の有機トランジスタの製造方法は、基板上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、上記ゲート電極上にゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、上記ゲート絶縁層表面を洗浄する洗浄工程と、上記洗浄したゲート絶縁層上に平滑化層形成用塗工液を塗布して平滑化層を形成する平滑化層形成工程と、上記平滑化層上に有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、チャネル領域を挟んで上記有機半導体層に接するようにソース電極およびドレイン電極を形成するソース・ドレイン電極形成工程とを有することを特徴とするものである。
本発明の有機トランジスタの製造方法について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の有機トランジスタの製造方法の一例を示す工程図である。まず、基板2上にゲート電極3をパターン状に形成し、このゲート電極3を覆うようにゲート絶縁層4を形成する(図1(a)、ゲート電極形成工程およびゲート絶縁層形成工程)。次いで、紫外線11を照射することにより、ゲート絶縁層4表面を洗浄する(図1(b)、洗浄工程)。紫外線の照射により、酸素からオゾンが生成し、さらにオゾンが分解されて活性酸素が生成し、この活性酸素の作用によってゲート絶縁層表面に付着した有機物等が除去されるのである。
次に、ゲート絶縁層4上に、平滑化層形成用塗工液を塗布して平滑化層5を形成する(図1(c)、平滑化層形成工程)。次に、平滑化層5上にチャネル領域13を挟むようにソース電極6およびドレイン電極7を形成する(図1(d)、ソース・ドレイン電極形成工程)。次に、平滑化層5、ソース電極6およびドレイン電極7の上に有機半導体層8を形成する(図1(e)、有機半導体層形成工程)。
図1(e)に示す有機トランジスタにおいては、平滑化層5と有機半導体層8との界面をキャリアが移動する。したがって、良好なトランジスタ特性を得るには、平滑化層および有機半導体層の界面の平滑性および密着性が重要である。
本発明によれば、ゲート絶縁層表面を洗浄するので、ゲート絶縁層表面が荒れるが、ゲート絶縁層上に平滑化層を形成し、この平滑化層上に有機半導体層を形成するので、平滑化層によってゲート絶縁層の表面荒れを解消することができ、平滑化層および有機半導体層の界面粗さを小さくすることができる。すなわち、平滑化層および有機半導体層の界面の平滑性を向上させることができる。
また、本発明によれば、ゲート絶縁層上に平滑化層を形成し、この平滑化層上に有機半導体層を形成するので、ゲート絶縁層表面と有機半導体材料との親和性が悪い場合であっても、平滑化層によってゲート絶縁層表面を改質することができ、ゲート絶縁層表面と有機半導体材料との親和性を向上させることができる。これにより、平滑化層および有機半導体層の界面の密着性を向上させることができる。特に、ゲート絶縁層に金属酸化物膜等を用いた場合には、金属酸化物膜と有機半導体材料との親和性が悪いので、平滑化層による表面改質の効果が顕著に発揮される。
このように本発明においては、平滑化層および有機半導体層の界面の平滑性および密着性を高めることができるので、オンオフ電流比、しきい値電圧Vth、移動度などのトランジスタ特性を向上させることが可能である。
図1は、ソース電極6およびドレイン電極7が、ゲート絶縁層4および平滑化層5と有機半導体層8との間に形成された、いわゆるボトムゲート・ボトムコンタクト型構造を有する有機トランジスタの製造方法の一例である。本発明は、これに限定されるものではなく、図2に例示するようにボトムゲート・トップコンタクト型構造を有する有機トランジスタも作製することができる。
図2は、本発明の有機トランジスタの製造方法の他の例を示す工程図である。まず、基板2上にゲート電極3をパターン状に形成し、このゲート電極3を覆うようにゲート絶縁層4を形成する(図2(a)、ゲート電極形成工程およびゲート絶縁層形成工程)。次いで、紫外線11を照射することにより、ゲート絶縁層4表面を洗浄する(図2(b)、洗浄工程)。次に、ゲート絶縁層4上に、平滑化層形成用塗工液を塗布して平滑化層5を形成する(図2(c)、平滑化層形成工程)。次に、平滑化層5上に有機半導体層8を形成する(図2(d)、有機半導体層形成工程)。次に、有機半導体層8上にチャネル領域13を挟むようにソース電極6およびドレイン電極7を形成する(図2(e)、ソース・ドレイン電極形成工程)。
図2(e)に示す有機トランジスタにおいても、平滑化層5と有機半導体層6との界面をキャリアが移動する。したがって、良好なトランジスタ特性を得るには、平滑化層および有機半導体層の界面の平滑性および密着性が重要である。
本発明によれば、ゲート絶縁層を洗浄した後に、ゲート絶縁層上に平滑化層を形成し、その平滑化層上に有機半導体層を形成するので、上述したように、ゲート絶縁層表面の平滑化、およびゲート絶縁層の表面改質を図ることができ、平滑化層および有機半導体層の界面の平滑性および密着性を向上させることができる。
以下、本発明の有機トランジスタの製造方法における各工程について説明する。
1.ゲート電極形成工程
本発明におけるゲート電極形成工程は、基板上にゲート電極を形成する工程である。
ゲート電極としては、一般的な有機トランジスタにおけるゲート電極と同様のものを用いることができ、例えば、Pd、Pt、Au、W、Ta、Mo、Al、Cr、Ti、Cu、またはこれらの金属を含む合金等の金属材料、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン等の炭素材料、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレン)、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリカルバゾール、ポリシラン、またはこれらの誘導体等の導電性高分子材料などを用いることができる。
ゲート電極の成膜方法としては、例えば、プラズマCVD法、熱CVD法、レーザCVD法等のCVD法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法、電解メッキ法、浸漬メッキ法、無電解メッキ法、ゾルゲル法、有機金属分解(MOD)法などを挙げることができる。また、ゲート電極のパターニング方法としては、通常、フォトリソグラフィー法が用いられる。
ゲート電極の厚みとしては、30nm〜500nm程度で設定することができる。
また、本発明に用いられる基板は、ゲート電極、ゲート絶縁層、平滑化層、有機半導体層、ソース電極およびドレイン電極を支持するものである。
基板としては、本発明により得られる有機トランジスタの用途等に応じて任意の機能を有する基板を用いることができる。このような基板としては、ガラス基板等の可撓性を有さないリジット基板であってもよく、プラスチック樹脂からなるフィルム等の可撓性を有するフレキシブル基板であってもよい。
中でも、フレキシブル基板を用いることが好ましい。フレキシブル基板を用いることにより、本発明の有機トランジスタをRoll to Rollプロセスにより製造することが可能になるため、生産性を高めることができるからである。
プラスチック樹脂としては、例えば、PET、PEN、PES、PI、PEEK、PC、PPS、PEI等を挙げることができる。
基板の厚みは、1mm以下であることが好ましく、より好ましくは50μm〜700μmの範囲内である。
2.ゲート絶縁層形成工程
本発明におけるゲート絶縁層形成工程は、上記ゲート電極上にゲート絶縁層を形成する工程である。
ゲート絶縁層としては、一般的な有機トランジスタにおけるゲート絶縁層と同様のものを用いることができ、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の絶縁性無機材料、および、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、カルド系樹脂、ビニル系樹脂、イミド系樹脂、ノボラック系樹脂等の絶縁性有機材料等の絶縁性有機材料を用いることができる。
中でも、絶縁性有機材料が好ましく用いられる。絶縁性有機材料の多くは、ウェットプロセスで成膜可能だからである。ウェットプロセスにより成膜されたゲート絶縁層は、ドライプロセスにより成膜されたゲート絶縁層に比較して、洗浄工程にて溶出等が起こり、表面が荒れやすい。本発明においては、洗浄工程後に平滑化層形成工程を行うので、平滑化層によって洗浄によるゲート絶縁層の表面荒れを解消することができる。したがって、ウェットプロセスで成膜可能な絶縁性有機材料を用いた場合に、本発明は有用である。
ウェットプロセスで成膜可能な絶縁性有機材料としては、上記のアクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、カルド系樹脂、ビニル系樹脂、イミド系樹脂、ノボラック系樹脂等が好ましく用いられる。
ゲート絶縁層の形成方法としては、CVD法、PVD法等のドライプロセスであってもよく、ゲート絶縁層形成用塗工液を塗布するウェットプロセスであってもよい。中でも、ウェットプロセスが好ましい。上述したように、ドライプロセスにより成膜されたゲート絶縁層に比較して、ウェットプロセスにより成膜されたゲート絶縁層は、洗浄工程にて溶出等が起こり、表面が荒れやすいため、ウェットプロセスを用いた場合に、本発明は有用である。
ゲート絶縁層形成用塗工液は、上記の材料を溶媒に分散もしくは溶解させることにより調製することができる。この際に使用される溶媒としては、上記の材料を分散もしくは溶解できるものであれば特に限定されるものではない。
また、ゲート絶縁層形成用塗工液の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、LB法、ディップコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、キャスト法、インクジェット法、スクリーン印刷法、パッド印刷法、フレキソ印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビア・オフセット印刷法等が挙げられる。
ゲート絶縁層の厚みとしては、10nm〜3000nm程度で設定することができる。
3.洗浄工程
本発明における洗浄工程は、上記ゲート絶縁層表面を洗浄する工程である。ゲート絶縁層表面を洗浄することにより、ゲート絶縁層表面に付着する不純物を除去して、ゲート絶縁層表面を清浄化することができる。これにより、有機半導体層中への不純物拡散による性能劣化を低減させることが可能である。
ゲート絶縁層の洗浄方法としては、ドライ洗浄であってもよく、ウェット洗浄であってもよい。また、ドライ洗浄およびウェット洗浄を組み合わせて行ってもよい。
ドライ洗浄としては、例えば、UV・オゾン洗浄、VUV洗浄、プラズマ洗浄、エアロゾル洗浄等を挙げることができる。
また、ウェット洗浄としては、例えば、純水、オゾン水、過酸化水素水等を用いる方法や、超音波洗浄、メガソニック洗浄、高圧液噴射洗浄、ブラシ洗浄等を挙げることができる。
中でも、ドライ洗浄を行うことが好ましい。ドライ洗浄では、乾燥処理が不要であり、またウェット洗浄のように洗浄液を用いないので、洗浄液によって腐食、劣化等する材料に対しても適用することが可能となるからである。
ウェット洗浄を行う場合には、洗浄後に、通常、乾燥処理を行う。
4.平滑化層形成工程
本発明における平滑化層形成工程は、上記洗浄したゲート絶縁層上に平滑化層形成用塗工液を塗布して平滑化層を形成する工程である。ドライプロセスと比較して、塗工液を用いるウェットプロセスでは、レベリング性が良く、平滑性の良い膜を得ることができる。
平滑化層の形成材料としては、絶縁性を有し、ウェットプロセスにより成膜可能なものであれば特に限定されるものではない。中でも、平滑化層の形成材料は、極性が比較的小さい、または、極性がないことが好ましい。具体的には、主鎖または側鎖の末端にヒドロキシル基を有さないものが好ましい。平滑化層の極性が比較的大きいと、平滑化層および有機半導体層の界面をキャリアが移動しにくくなる、すなわち電流が流れにくくなるからである。
このような平滑化層の形成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、カルド系樹脂等の絶縁性有機材料が挙げられる。
また、平滑化層は、有機半導体層に用いられる有機半導体材料が液晶性を示す場合に、この有機半導体材料を配向させる配向機能を有することが好ましい。これにより、移動度を効果的に高めることができるからである。このような平滑化層としては、配向膜を用いることができる。平滑化層として用いられる配向膜は、上述の性質を満たし、液晶性を示す有機半導体材料の配向制御が可能なものであれば特に限定されるものではない。配向膜としては、例えばラビング処理を施したラビング配向膜や、光配向処理を施した光配向膜などを用いることができる。中でも、光配向膜を用いることが好ましい。光配向処理は非接触配向処理であることから静電気や塵の発生がなく、定量的な配向処理の制御ができる点で有用だからである。
光配向膜は、後述する光配向膜の構成材料を塗布した基板に偏光を制御した光を照射し、光励起反応(分解、異性化、二量化)を生じさせて得られた膜に異方性を付与することによりその膜上の液晶分子を配向させるものである。
光配向膜の構成材料は、上述の性質を満たし、光を照射して光励起反応を生じることにより、液晶性を示す有機半導体材料を配向させる効果(光配列性:photoaligning)を有するものであれば特に限定されるものではない。このような材料としては、大きく、光反応を生じることにより光配向膜に異方性を付与する光反応型の材料と、光異性化反応を生じることにより光配向膜に異方性を付与する光異性化型の材料とに分けることができる。
光反応型の材料としては、上述の性質を満たし、光反応(光二量化反応、光分解反応)を生じることにより光配向膜に異方性を付与する材料であれば特に限定されるものではない。
ここで、光二量化反応とは、光照射により偏光方向に配向した反応部位がラジカル重合して分子2個が重合する反応をいい、この反応により偏光方向の配向を安定化し、光配向膜に異方性を付与することができるものである。また、光分解反応とは、光照射により偏光方向に配向した高分子の分子鎖を分解する反応をいい、この反応により偏光方向に垂直な方向に配向した分子鎖を残し、光配向膜に異方性を付与することができるものである。光反応型の材料の中でも、露光感度が高く、材料選択の幅が広いことから、光二量化反応により光配向膜に異方性を付与する材料を用いることがより好ましい。
光二量化反応を利用した光反応型の材料としては、光二量化反応により光配向膜に異方性を付与することができる材料であれば特に限定されるものではないが、ラジカル重合性の官能基を有し、かつ、偏光方向により吸収を異にする二色性を有する光二量化反応性化合物を含むことが好ましい。偏光方向に配向した反応部位をラジカル重合することにより、光二量化反応性化合物の配向が安定化し、光配向膜に容易に異方性を付与することができるからである。
このような特性を有する光二量化反応性化合物としては、側鎖としてケイ皮酸エステル、クマリン、キノリン、カルコン基およびシンナモイル基から選ばれる少なくとも1種の反応部位を有する二量化反応性ポリマーを挙げることができる。
これらの中でも光二量化反応性化合物としては、側鎖としてケイ皮酸エステル、クマリンまたはキノリンのいずれかを含む二量化反応性ポリマーであることが好ましい。偏光方向に配向したα、β不飽和ケトンの二重結合が反応部位となってラジカル重合することにより、光配向膜に容易に異方性を付与することができるからである。
上記二量化反応性ポリマーの主鎖としては、ポリマー主鎖として一般に知られているものであれば特に限定されるものではないが、芳香族炭化水素基などの、上記側鎖の反応部位同士の相互作用を妨げるようなπ電子を多く含む置換基を有していないものであることが好ましい。
上記二量化反応性ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、5,000〜40,000の範囲内であることが好ましく、10,000〜20,000の範囲内であることがより好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定することができる。上記二量化反応性ポリマーの重量平均分子量が小さすぎると、光配向膜に適度な異方性を付与することができない場合がある。逆に、大きすぎると、光配向膜形成時の塗工液の粘度が高くなり、均一な塗膜を形成しにくい場合がある。
二量化反応性ポリマーとしては、下記式(1)で表される化合物を例示することができる。
Figure 2010238869
上記式において、M11およびM12は、それぞれ独立して、単重合体または共重合体の単量体単位を表す。例えば、エチレン、アクリレート、メタクリレート、2−クロロアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、2−クロロアクリルアミド、スチレン誘導体、マレイン酸誘導体、シロキサンなどが挙げられる。M12としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリレート、メチルメタクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレートまたはヒドロキシアルキルメタクリレートであってもよい。xおよびyは、共重合体とした場合の各単量体単位のモル比を表すものであり、それぞれ、0<x≦1、0≦y<1であり、かつ、x+y=1を満たす数である。nは4〜30,000の整数を表す。DおよびDは、スペーサー単位を表す。
は−A−(Z−B−Z−で表される基であり、Rは−A−(Z−B−Z−で表される基である。ここで、AおよびBは、それぞれ独立して、共有単結合、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、または置換基を有していてもよい1,4−フェニレンを表す。また、ZおよびZは、それぞれ独立して、共有単結合、−CH−CH−、−CHO−、−OCH−、−CONR−、−RNCO−、−COO−または−OOC−を表す。Rは、水素原子または低級アルキル基であり、Zは、水素原子、置換基を有していてもよい、炭素数1〜12のアルキルまたはアルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロゲンである。zは、0〜4の整数である。Eは、光二量化反応部位を表し、例えば、ケイ皮酸エステル、クマリン、キノリン、カルコン基、シンナモイル基などが挙げられる。jおよびkは、それぞれ独立して、0または1である。
このような二量化反応性ポリマーとしては、具体的に下記式(1-1)〜(1-4)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2010238869
また、上記二量化反応性ポリマーとして、より具体的には下記式で表される化合物(1-5)〜(1-8)を挙げることができる。
Figure 2010238869
本発明においては、光二量化反応性化合物として、上述した化合物の中から、要求特性に応じて光二量化反応部位や置換基を種々選択することができる。また、光二量化反応性化合物は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、光二量化反応を利用した光反応型の材料としては、上記光二量化反応性化合物のほか、光配向膜の光配列性を妨げない範囲内で添加剤を含んでいてもよい。上記添加剤としては、重合開始剤、重合禁止剤などが挙げられる。
重合開始剤または重合禁止剤は、一般に公知の化合物の中から、光二量化反応性化合物の種類によって適宜選択して用いればよい。重合開始剤または重合禁止剤の添加量は、光二量化反応性化合物に対し、0.001質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましく、0.1質量%〜5質量%の範囲内であることがより好ましい。重合開始剤または重合禁止剤の添加量が小さすぎると重合が開始(禁止)されない場合があり、逆に大きすぎると、反応が阻害される場合があるからである。
また、光異性化型の材料としては、上述の性質を満たし、光異性化反応を生じることにより光配向膜に異方性を付与する材料であれば特に限定されるものではないが、光異性化反応を生じることにより光配向膜に異方性を付与する光異性化反応性化合物を含むものであることが好ましい。このような光異性化反応性化合物を含むことにより、光照射により、複数の異性体のうち安定な異性体が増加し、それにより光配向膜に容易に異方性を付与することができるからである。
光異性化反応性化合物としては、上記のような特性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、偏光方向により吸収を異にする二色性を有し、かつ、光照射により光異性化反応を生じるものであることが好ましい。このような特性を有する光異性化反応性化合物の偏光方向に配向した反応部位の異性化を生じさせることにより、上記光配向膜に容易に異方性を付与することができるからである。
また、光異性化反応性化合物が生じる光異性化反応としては、シス−トランス異性化反応であることが好ましい。光照射によりシス体またはトランス体のいずれかの異性体が増加し、それにより光配向膜に異方性を付与することができるからである。
光異性化反応性化合物としては、単分子化合物、または、光もしくは熱により重合する重合性モノマーを挙げることができる。これらは用いられる有機半導体材料の種類に応じて適宜選択すればよいが、光照射により光配向膜に異方性を付与した後、ポリマー化することにより、その異方性を安定化することができることから、重合性モノマーを用いることが好ましい。このような重合性モノマーの中でも、光配向膜に異方性を付与した後、その異方性を良好な状態に維持したまま容易にポリマー化できることから、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマーであることが好ましい。
上記重合性モノマーは、単官能のモノマーであっても、多官能のモノマーであってもよいが、ポリマー化による光配向膜の異方性がより安定なものとなることから、2官能のモノマーであることが好ましい。
このような光異性化反応性化合物としては、具体的には、スチルベン骨格などのシス−トランス異性化反応性骨格を有する化合物を挙げることができる。
この場合に、分子内に含まれるシス−トランス異性化反応性骨格の数は、1つであっても2つ以上であってもよいが、有機半導体材料の配向制御が容易となることから、2つであることが好ましい。
上記シス−トランス異性化反応性骨格は、液晶分子との相互作用をより高めるために置換基を有していてもよい。置換基は、有機半導体材料との相互作用を高めることができ、かつ、シス−トランス異性化反応性骨格の配向を妨げないものであれば特に限定されるものではなく、例えば、カルボキシル基、スルホン酸ナトリウム基、ヒドロキシル基などが挙げられる。これらの構造は、用いられる有機半導体材料の種類に応じて、適宜選択することができる。
また、光異性化反応性化合物としては、分子内にシス−トランス異性化反応性骨格以外にも、有機半導体材料との相互作用をより高められるように、芳香族炭化水素基などのπ電子が多く含まれる基を有していてもよく、シス−トランス異性化反応性骨格と芳香族炭化水素基は、結合基を介して結合していてもよい。結合基は、有機半導体材料との相互作用を高められるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、−COO−、−OCO−、−O−、−C≡C−、−CH−CH−、−CHO−、−OCH−などが挙げられる。
なお、光異性化反応性化合物として、重合性モノマーを用いる場合には、上記シス−トランス異性化反応性骨格を、側鎖として有していることが好ましい。上記シス−トランス異性化反応性骨格を側鎖として有していることにより、光配向膜に付与される異方性の効果がより大きなものとなり、有機半導体材料の配向制御に特に適したものとなるからである。この場合に、前述した分子内に含まれる芳香族炭化水素基や結合基は、液晶分子との相互作用が高められるように、シス−トランス異性化反応性骨格と共に、側鎖に含まれていることが好ましい。
また、上記重合性モノマーの側鎖には、シス−トランス異性化反応性骨格が配向しやすくなるように、アルキレン基などの脂肪族炭化水素基をスペーサーとして有していてもよい。
本発明においては、このような光異性化反応性化合物の中から、要求特性に応じて、シス−トランス異性化反応性骨格や置換基を種々選択することができる。なお、これらの光異性化反応性化合物は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
光配向膜の構成材料としては、光配向膜の光配列性を妨げない範囲内で添加剤を含んでいてもよい。光二量化反応を利用した光反応型の材料を用いる場合、および、光異性化反応性化合物として重合性モノマーを用いる場合には、添加剤としては、重合開始剤、重合禁止剤などが挙げられる。
重合開始剤または重合禁止剤は、一般に公知の化合物の中から、光二量化反応性化合物や光異性化反応性化合物の種類によって適宜選択して用いればよい。重合開始剤または重合禁止剤の添加量は、光二量化反応性化合物や光異性化反応性化合物に対し、0.001質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましく、0.1質量%〜5質量%の範囲内であることがより好ましい。重合開始剤または重合禁止剤の添加量が小さすぎると重合が開始(禁止)されない場合があり、逆に大きすぎると、反応が阻害される場合があるからである。
光配向膜の構成材料が光励起反応を生じる光の波長領域は、紫外光域の範囲内、すなわち10nm〜400nmの範囲内であることが好ましく、250nm〜380nmの範囲内であることがより好ましい。
また、平滑化層形成用塗工液は、上記の材料を溶媒に分散もしくは溶解させることにより調製することができる。この平滑化層形成用塗工液に用いられる溶媒としては、上記の材料を分散もしくは溶解することができるものであれば特に限定されるものではない。
平滑化層が光配向膜である場合、光配向膜形成用塗工液(平滑化層形成用塗工液)中の光二量化反応性化合物または光異性化反応性化合物の含有量は、0.05質量%〜10質量%の範囲内であることが好ましく、0.2質量%〜2質量%の範囲内であることがより好ましい。含有量が上記範囲より少ないと、光配向膜に適度な異方性を付与することが困難となり、逆に含有量が上記範囲より多いと、光配向膜形成用塗工液の粘度が高くなり、均一な塗膜を形成しにくくなるからである。
平滑化層形成用塗工液の塗布方法としては、平滑な膜を得ることができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、スピンコート法、ダイコート法、スロットダイコート法、ロールコート法、バーコート法、ロッドバーコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、キャスト法、エアナイフコート法等を挙げることができる。
平滑化層が配向膜である場合、平滑化層形成用塗工液を塗布して得られる塗膜に配向処理を施す。この平滑化層が光配向膜である場合は、塗膜に光配向処理を施すことによって異方性を付与する。具体的には、偏光を制御した光を照射することにより、光励起反応を生じさせて異方性を付与することができる。照射する光の波長領域は、用いられる光配向膜の構成材料に応じて適宜選択すればよいが、紫外光域の範囲内、すなわち100nm〜400nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは250nm〜380nmの範囲内である。また、偏光方向は、上記光励起反応を生じさせることができるものであれば特に限定されるものではない。
図2に例示するように、有機半導体層形成工程およびソース・ドレイン電極形成工程の順に行う場合は、平滑化層形成工程にて上記の配向処理を行う。
一方、図1に例示するように、ソース・ドレイン電極形成工程および有機半導体層形成工程の順に行う場合は、ソース・ドレイン電極形成工程後に上記の配向処理を行うことが好ましい。配向処理後に配向膜(平滑化層)上にソース電極およびドレイン電極を形成すると、配向膜の配向性が損なわれるおそれがあるからである。上記の工程順とすれば、配向膜の配向性を損なうことなく、ソース電極およびドレイン電極を形成することができる。この場合、有機半導体層および平滑化層が接触しているのはチャネル領域のみとなるので、少なくともチャネル領域の配向膜が配向処理されていればよい。このため、ソース・ドレイン電極形成工程後に配向処理を行ってもかまわないのである。
この配向処理は、チャネル領域のチャネル長方向に沿って行うことが好ましい。すなわち、配向処理方向はチャネル長方向と略平行であることが好ましい。これにより、有機半導体材料をチャネル長方向に沿って配向させることができ、移動度を効果的に高めることができるからである。なお、チャネル長方向とは、図3に例示するようなソース電極6からドレイン電極7に向かう方向dである。
さらに、光配向膜の構成材料として、光異性化反応性化合物の中でも重合性モノマーを用いた場合には、光配向処理を行った後、加熱することにより、ポリマー化し、光配向膜に付与された異方性を安定化することができる。
平滑化層の厚みは、洗浄工程後のゲート絶縁層の表面粗さを解消することができる厚みであれば特に限定されるものでないが、1nm〜100nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10nm〜50nmの範囲内、さらに好ましくは10nm〜25nmの範囲内である。平滑化層の厚みが上記範囲より薄いと、十分な平滑性を得ることができない場合があり、また平滑化層が光配向膜である場合には十分な光配列性を得ることができない可能性があるからである。また、平滑化層の厚みが上記範囲より厚いと、駆動電圧が高くなるおそれがあるからである。
また、平滑化層の表面粗度は、2nm以下であることが好ましく、より好ましくは1nm以下、さらに好ましくは0.5nm以下である。表面粗度が大きすぎると、平滑化層および有機半導体層の密着性が低下するおそれがあるからである。また、平滑化層および有機半導体層の界面の平滑性を高めるためには、表面粗度は小さければ小さいほどよいが、平滑性の追求には製造工程上の限界があるため、スループットやコストを考慮すると、平滑化層の表面粗度の下限は0.1nm程度で十分である。
なお、上記表面粗度は、算術平均粗さRaであり、スキャン範囲:20μm、スキャン速度:90sec/frameの条件下で、原子間力顕微鏡(Nanopics:商品名、セイコーインスツルメンツ社製)を用いて測定した値である。
5.有機半導体層形成工程
本発明における有機半導体層形成工程は、上記平滑化層上に有機半導体層を形成する工程である。
有機半導体層は、有機半導体材料を用いて形成することができる。有機半導体材料としては、所望の半導体特性を発現し得る材料であれば特に限定されるものではなく、一般的に有機トランジスタに用いられる有機半導体材料を用いることができる。このような有機半導体材料としては、例えば、π電子共役系の芳香族化合物、鎖式化合物、有機顔料、有機ケイ素化合物等を挙げることができる。より具体的には、ペンタセン等の低分子系有機半導体材料、および、ポリピロール、ポリ(N−置換ピロール)、ポリ(3−置換ピロール)、ポリ(3,4−二置換ピロール)等のポリピロール類、ポリチオフェン、ポリ(3−置換チオフェン)、ポリ(3,4−二置換チオフェン)、ポリベンゾチオフェン等のポリチオフェン類、ポリイソチアナフテン等のポリイソチアナフテン類、ポリチェニレンビニレン等のポリチェニレンビニレン類、ポリ(p−フェニレンビニレン)等のポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリン、ポリ(N−置換アニリン)等のポリアニリン類、ポリアセチレン等のポリアセチレン類、ポリジアセチレン、ポリアズレン等のポリアズレン類等の高分子系有機半導体材料を挙げることができる。
中でも、有機半導体材料は、液晶性を示すものであることが好ましい。平滑化層が配向膜である場合に、この配向膜の配向規制力によって有機半導体材料を配向させることができるからである。液晶性を示す有機半導体材料としては、スメクティック液晶系ではクオーターチオフェン(quaterthiophene)誘導体、ディスコティック液晶系ではフタロシアニン(phthalocyanine)誘導体等が挙げられる。
有機半導体層の形成方法としては、CVD法、PVD法等のドライプロセスであってもよく、有機半導体層形成用塗工液を塗布するウェットプロセスであってもよい。中でも、ウェットプロセスが好ましい。ドライプロセスと比較して、塗工液を用いるウェットプロセスでは、レベリング性が良く、有機半導体層および平滑化層の界面の密着性および平滑性を高めることができるからである。また、ウェットプロセスであれば、平滑化層が配向膜である場合には、この配向膜の配向性を損なうことなく、有機半導体層を形成することができるからである。
有機半導体層形成用塗工液は、上記有機半導体材料を溶媒に分散もしくは溶解させることにより調製することができる。この際に使用される溶媒としては、上記有機半導体材料を分散もしくは溶解することができるものであれば特に限定されるものではない。
また、有機半導体層形成用塗工液の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、LB法、ディップコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、キャスト法等を挙げることができる。
平滑化層が配向膜であり、液晶性を示す有機半導体材料を用いた場合には、有機半導体層形成用塗工液を塗布して塗膜を形成した後に、有機半導体材料を配向させる。この際、塗膜に対して、有機半導体材料の等方相−液晶相転移温度以上で加熱した後に冷却するのが好ましい。これにより、有機半導体材料を配向膜の配向処理方向に沿って配向させることができる。
上記の加熱温度としては、有機半導体材料の等方相−液晶相転移温度以上であればよく、有機半導体材料の種類に応じて適宜選択される。一方、加熱温度が高すぎると、有機半導体材料自体が変質・劣化したり、有機半導体層以外の構成部材が変質・劣化したりするおそれがあるため、そのような変質・劣化が起こらない温度の範囲内で設定される。
さらに、塗膜を加熱すると同時に、ソース電極およびドレイン電極間で導通させる、あるいは、チャネル領域のチャネル長方向に沿って磁場を与えることで、有機半導体材料を配向させることもできる。
また、有機半導体層形成用塗工液を配向膜の配向処理方向に沿って塗布することにより、有機半導体材料を配向させることもできる。
有機半導体層の形成位置としては、チャネル領域において、ゲート絶縁層、平滑化層および有機半導体層が順に積層されていれば特に限定されるものではない。チャネル領域は、ソース電極およびドレイン電極に挟まれた領域である。すなわち、チャネル領域にはソース電極およびドレイン電極が形成されていない。したがって、図1に例示するようにソース・ドレイン電極形成工程および有機半導体層形成工程の順に行ってもよく、図2に例示するように有機半導体層形成工程およびソース・ドレイン電極形成工程の順に行ってもよい。
ソース・ドレイン電極形成工程および有機半導体層形成工程の順に行った場合は、ボトムゲート・ボトムコンタクト型構造を有する有機トランジスタを得ることができる。一方、有機半導体層形成工程およびソース・ドレイン電極形成工程の順に行った場合は、ボトムゲート・トップコンタクト型構造を有する有機トランジスタを得ることができる。
また、有機半導体層の形成領域としては、特に限定されるものではなく、例えば、図3に示すようにチャネル領域13、ソース領域14およびドレイン領域15に有機半導体層8を形成してもよく、図示しないがチャネル領域のみに有機半導体層を形成してもよい。
有機半導体層の厚みとしては、上記有機半導体材料の種類等に応じて所望の半導体特性を備える有機半導体層を発現できる範囲であれば特に限定されない。中でも、1000nm以下であることが好ましく、より好ましくは5nm〜300nmの範囲内、さらに好ましくは20nm〜100nmの範囲内である。
6.ソース・ドレイン電極形成工程
本発明におけるソース・ドレイン電極形成工程は、チャネル領域を挟んで上記有機半導体層に接するようにソース電極およびドレイン電極を形成する工程である。
ソース電極およびドレイン電極としては、一般的に有機トランジスタに用いられるソース電極、ドレイン電極と同様のものを用いることができ、例えば、上記ゲート電極の項に記載した材料を用いることができる。
ソース電極およびドレイン電極の成膜方法としては、例えば、プラズマCVD法、熱CVD法、レーザCVD法等のCVD法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法、電解メッキ法、浸漬メッキ法、無電解メッキ法、ゾルゲル法、有機金属分解(MOD)法などを挙げることができる。また、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法、インクジェット法、オフセット印刷法、グラビア印刷法等の印刷法を用いることもできる。ソース電極およびドレイン電極のパターニング方法としては、通常、フォトリソグラフィー法が用いられる。
ソース電極およびドレイン電極の厚みとしては、10nm〜1000nm程度で設定することができる。
ソース電極およびドレイン電極の形成位置としては、ソース電極およびドレイン電極が、有機半導体層と接するように、かつチャネル領域を挟むように、所定の間隔をおいて形成されていれば特に限定されるものではない。例えば、図1に示すように、ゲート絶縁層4および平滑化層5の上にチャネル領域13を挟むようにソース電極6およびドレイン電極7を形成し、平滑化層5、ソース電極6およびドレイン電極7の上に有機半導体層8を形成してもよく、また図2に示すように、有機半導体層8上にチャネル領域13を挟むようにソース電極6およびドレイン電極7を形成してもよい。すなわち、上述したように、ソース・ドレイン電極形成工程および有機半導体層形成工程の順に行ってもよく、有機半導体層形成工程およびソース・ドレイン電極形成工程の順に行ってもよい。
7.その他の工程
本発明の有機トランジスタの製造方法は、上述した工程以外に、他の構成部材を形成する工程を有していてもよい。他の構成部材としては、本発明により得られる有機トランジスタの用途等に応じて任意の機能を有するものを用いることができる。
本発明においては、有機半導体層形成工程およびソース・ドレイン電極形成工程の後に、有機半導体層、ソース電極およびドレイン電極の上にパッシベーション層を形成するパッシベーション層形成工程を行ってもよい。パッシベーション層は、ゲート絶縁層、有機半導体層、ソース電極およびドレイン電極等の各層を保護するために設けられる層である。
パッシベーション層の形成材料としては、例えば、フッ素系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノール(PVP)等が挙げられる。
パッシベーション層の形成方法としては、CVD法、PVD法等のドライプロセスであってもよく、パッシベーション層形成用塗工液を塗布するウェットプロセスであってもよい。中でも、ウェットプロセスが好ましい。ドライプロセスと比較して、ウェットプロセスでは、簡易な設備で成膜可能だからである。
パッシベーション層形成用塗工液は、上記の材料を溶媒に分散もしくは溶解させることにより調製することができる。この際に使用される溶媒としては、有機半導体層を侵さないものであれば特に限定されるものではない。
また、パッシベーション層形成用塗工液の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、LB法、ディップコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、キャスト法、インクジェット法、インクジェット法、スクリーン印刷法、パッド印刷法、フレキソ印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビア・オフセット印刷法等が挙げられる。
8.有機トランジスタ
本発明により得られる有機トランジスタは、いわゆるボトムゲート型構造を有するものである。有機トランジスタの構造としては、ボトムゲート型構造であれば特に限定されるものではなく、ボトムゲート・トップコンタクト型構造であってもよく、ボトムゲート・ボトムコンタクト型構造であってもよい。
また、本発明により得られる有機トランジスタの用途としては、例えば、表示装置におけるTFTアレイ基板を挙げることができる。この表示装置としては、例えば、液晶表示装置、電気泳動表示装置、有機EL表示装置等を挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
本実施例においては、ボトムゲート型構造を有する有機半導体トランジスタを備える有機半導体素子を作製した。
(1)ゲート電極の形成
スパッタリング法により全面にCrが厚み300nmで成膜された大きさ150mm×150mm×0.7mmのガラス基板を用意した。上記基板上にフォトレジスト(ポジ)をスピンコートした。このときのスピンコートは、1800rpmで10sec保持させた。その後、基板を100℃で1分乾燥させた後、50mJ/cmでパターン露光した。
次に、露光部分のレジスト現像を行い、その後、200℃のオーブンで60分乾燥させた。次いで、レジストのない部分のCrのエッチングを行い、ゲート電極とした。
(2)ゲート絶縁層の形成
ポリビニルフェノール(PVP)溶液(固形分濃度:20wt%)を上記基板上にスピンコートした。このときのスピンコートは、800rpmで10sec保持させた。その後、基板を120℃で2分乾燥させた後、350mJ/cmでパターン露光した。次に、露光部分のレジスト現像を行い、その後、200℃のオーブンで30分乾燥させた。ゲート絶縁層はゲート電極上に形成した。なお形成されたゲート絶縁層の膜厚は1μmであった。
(3)洗浄工程
上記ゲート絶縁層形成基板を光源に低圧水銀ランプ(照射波長:254nm)を有するUV・オゾン洗浄機にて3分間の洗浄を行った。なお洗浄後のゲート絶縁層の表面粗度は120nmであった。
(4)平滑化層形成工程
平滑化層としてアゾベンゼン系の光配向性材料を上記洗浄基板上にスピンコートし、80℃のHPにて60secの乾燥処理を行った。その後偏光板を介しUV露光機(波長:365nm)にてUV照射した。なお塗布した平滑化層の膜厚は50nm、表面粗度は0.3nmであった。
(5)ソース・ドレイン電極の形成
平滑化層形成基板上に真空蒸着法にてソース・ドレイン電極を形成した。なお使用した材料は金でパターニングはメタルマスクを用いた。ソース・ドレイン電極の膜厚は50nmであった。形成されたソース電極およびドレイン電極を反射型光学顕微鏡にて観察したところ、ソース電極とドレイン電極との電極間距離(チャネル長)は50μmであった。
(6)有機半導体層の形成
液晶性を有するチオフェン系有機半導体材料を真空蒸着法にてソース電極およびドレイン電極の間(チャネル形成部位)に蒸着し有機半導体層とした。有機半導体層の膜厚は50nmであった。
(7)評価
作製した有機半導体素子の有機半導体トランジスタのトランジスタ特性を測定した結果、トランジスタとして駆動していることが分かった。このとき、有機半導体トランジスタのON電流は8×10−6A、OFF電流は4×10−13Aであった。
[実施例2]
本実施例においては、ボトムゲート型構造を有する有機半導体トランジスタを備える有機半導体素子を作製した。
(1)ゲート電極の形成
スパッタリング法により全面にCrが厚み300nmで成膜された大きさ150mm×150mm×0.7mmのガラス基板を用意した。上記基板上にフォトレジスト(ポジ)をスピンコートした。このときのスピンコートは、1800rpmで10sec保持させた。その後、基板を100℃で1分乾燥させた後、50mJ/cmでパターン露光した。
次に、露光部分のレジスト現像を行い、その後、200℃のオーブンで60分乾燥させた。次いで、レジストのない部分のCrのエッチングを行い、ゲート電極とした。
(2)ゲート絶縁層の形成
ポリビニルフェノール(PVP)溶液(固形分濃度:20wt%)を上記基板上にスピンコートした。このときのスピンコートは、800rpmで10sec保持させた。その後、基板を120℃で2分乾燥させた後、350mJ/cmでパターン露光した。次に、露光部分のレジスト現像を行い、その後、200℃のオーブンで30分乾燥させた。ゲート絶縁層はゲート電極上に形成した。なお形成されたゲート絶縁層の膜厚は1μmであった。
(3)洗浄工程
上記ゲート絶縁層形成基板を光源にエキシマランプ(172nm)を有するVUV洗浄機にて3分間の洗浄を行った。なお洗浄後のゲート絶縁層の表面粗度は80nmであった。
(4)平滑化層形成工程
平滑化層としてアゾベンゼン系の光配向性材料を上記洗浄基板上にスピンコートし、80℃のHPにて60secの乾燥処理を行った。その後偏光板を介しUV露光機(波長:365nm)にてUV照射した。なお塗布した平滑化層の膜厚は50nm、表面粗度は0.3nmであった。
(5)ソース・ドレイン電極の形成
平滑化層形成基板上に真空蒸着法にてソース・ドレイン電極を形成した。なお使用した材料は金でパターニングはメタルマスクを用いた。ソース・ドレイン電極の膜厚は50nmであった。形成されたソース電極およびドレイン電極を反射型光学顕微鏡にて観察したところ、ソース電極とドレイン電極との電極間距離(チャネル長)は50μmであった。
(6)有機半導体層の形成
液晶性を有するチオフェン系有機半導体材料を真空蒸着法にてソース電極およびドレイン電極の間(チャネル形成部位)に蒸着し有機半導体層とした。有機半導体層の膜厚は50nmであった。
(7)評価
作製した有機半導体素子の有機半導体トランジスタのトランジスタ特性を測定した結果、トランジスタとして駆動していることが分かった。このとき、有機半導体トランジスタのON電流は9×10−6A、OFF電流は3×10−13Aであった。
[比較例1]
本比較例においては、ボトムゲート型構造を有する有機半導体トランジスタを備える有機半導体素子を作製した。(平滑化層なし)
(1)ゲート電極の形成
スパッタリング法により全面にCrが厚み300nmで成膜された大きさ150mm×150mm×0.7mmのガラス基板を用意した。上記基板上にフォトレジスト(ポジ)をスピンコートした。このときのスピンコートは、1800rpmで10sec保持させた。その後、基板を100℃で1分乾燥させた後、50mJ/cmでパターン露光した。
次に、露光部分のレジスト現像を行い、その後、200℃のオーブンで60分乾燥させた。次いで、レジストのない部分のCrのエッチングを行い、ゲート電極とした。
(2)ゲート絶縁層の形成
PVP溶液(固形分濃度:20wt%)を上記基板上にスピンコートした。このときのスピンコートは、800rpmで10sec保持させた。その後、基板を120℃で2分乾燥させた後、350mJ/cmでパターン露光した。次に、露光部分のレジスト現像を行い、その後、200℃のオーブンで30分乾燥させた。ゲート絶縁層はゲート電極上に形成した。なお形成されたゲート絶縁層の膜厚は1μmであった。
(3)洗浄工程
上記ゲート絶縁層形成基板を光源に低圧水銀ランプ(照射波長:254nm)を有するUV・オゾン洗浄機にて3分間の洗浄を行った。なお洗浄後のゲート絶縁層の表面粗度は120nmであった。
(4)ソース・ドレイン電極の形成
ゲート絶縁層形成基板上に真空蒸着法にてソース・ドレイン電極を形成した。なお使用した材料は金でパターニングはメタルマスクを用いた。ソース・ドレイン電極の膜厚は50nmであった。形成されたソース電極およびドレイン電極を反射型光学顕微鏡にて観察したところ、ソース電極とドレイン電極との電極間距離(チャネル長)は50μmであった。
(5)有機半導体層の形成
液晶性を有するチオフェン系有機半導体材料を真空蒸着法にてソース電極およびドレイン電極の間(チャネル形成部位)に蒸着し有機半導体層とした。有機半導体層の膜厚は50nmであった。
(6)評価
作製した有機半導体素子の有機半導体トランジスタのトランジスタ特性を測定した結果、トランジスタとして駆動していることが分かった。しかしながら、ON電流は1×10−9A、OFF電流は3×10−10Aであり、トランジスタとしてのスイッチング性能の指標であるON/OFF比が3程度であり、非常に低いものであった。
[比較例2]
本比較例においては、ボトムゲート型構造を有する有機半導体トランジスタを備える有機半導体素子を作製した。(平滑化層なし)
(1)ゲート電極の形成
スパッタリング法により全面にCrが厚み300nmで成膜された大きさ150mm×150mm×0.7mmのガラス基板を用意した。上記基板上にフォトレジスト(ポジ)をスピンコートした。このときのスピンコートは、1800rpmで10sec保持させた。その後、基板を100℃で1分乾燥させた後、50mJ/cmでパターン露光した。
次に、露光部分のレジスト現像を行い、その後、200℃のオーブンで60分乾燥させた。次いで、レジストのない部分のCrのエッチングを行い、ゲート電極とした。
(2)ゲート絶縁層の形成
PVP溶液(固形分濃度:20wt%)を上記基板上にスピンコートした。このときのスピンコートは、800rpmで10sec保持させた。その後、基板を120℃で2分乾燥させた後、350mJ/cmでパターン露光した。次に、露光部分のレジスト現像を行い、その後、200℃のオーブンで30分乾燥させた。ゲート絶縁層はゲート電極上に形成した。なお形成されたゲート絶縁層の膜厚は1μmであった。
(3)洗浄工程
上記ゲート絶縁層形成基板を光源にエキシマランプ(172nm)を有するVUV洗浄機にて3分間の洗浄を行った。なお洗浄後のゲート絶縁層の表面粗度は80nmであった。
(4)ソース・ドレイン電極の形成
ゲート絶縁層形成基板上に真空蒸着法にてソース・ドレイン電極を形成した。なお使用した材料は金でパターニングはメタルマスクを用いた。ソース・ドレイン電極の膜厚は50nmであった。形成されたソース電極およびドレイン電極を反射型光学顕微鏡にて観察したところ、ソース電極とドレイン電極との電極間距離(チャネル長)は50μmであった。
(5)有機半導体層の形成
液晶性を有するチオフェン系有機半導体材料を真空蒸着法にてソース電極およびドレイン電極の間(チャネル形成部位)に蒸着し有機半導体層とした。有機半導体層の膜厚は50nmであった。
(6)評価
作製した有機半導体素子の有機半導体トランジスタのトランジスタ特性を測定した結果、トランジスタとして駆動していることが分かった。しかしながら、ON電流は3×10−9A、OFF電流は1×10−10Aであり、トランジスタとしてのスイッチング性能の指標であるON/OFF比が30であり、非常に低いものであった。
2 … 基板
3 … ゲート電極
4 … ゲート絶縁層
5 … 平滑化層
6 … ソース電極
7 … ドレイン電極
8 … 有機半導体層

Claims (4)

  1. 基板上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、
    前記ゲート電極上にゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、
    前記ゲート絶縁層表面を洗浄する洗浄工程と、
    前記洗浄したゲート絶縁層上に平滑化層形成用塗工液を塗布して平滑化層を形成する平滑化層形成工程と、
    前記平滑化層上に有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、
    チャネル領域を挟んで前記有機半導体層に接するようにソース電極およびドレイン電極を形成するソース・ドレイン電極形成工程と
    を有することを特徴とする有機トランジスタの製造方法。
  2. 前記ゲート絶縁層形成工程にて、絶縁性有機材料を含有するゲート絶縁層形成用塗工液を塗布して前記ゲート絶縁層を形成することを特徴とする請求項1に記載の有機トランジスタの製造方法。
  3. 前記平滑化層の表面粗度が2nm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機トランジスタの製造方法。
  4. 前記平滑化層形成用塗工液を塗布して得られる塗膜に光配向処理を施すことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の有機トランジスタの製造方法。
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