JP2010238705A - プラズマ処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラズマ処理装置の高周波給電部において高周波パワー伝送効率の安定化をはかり、プラズマプロセスの再現性・信頼性を向上させる。
【解決手段】この容量結合型プラズマエッチング装置において、チャンバ10内で半導体ウエハWを載置するサセプタ12には、高周波電源28がマッチングユニット30および給電棒32を介して電気的に接続されている。給電棒32の途中で、あるいはマッチングユニット30内の整合器の後段で、短絡スイッチ付き抵抗器35が挿入接続されることにより、整合器から見た負荷抵抗の値はプラズマ抵抗の値に抵抗器の値を加え合わせたものになり、それによってパワー伝送効率の高い安定領域でプラズマにRFパワーを供給することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高周波を利用して被処理基板にプラズマ処理を施すためのプラズマ処理技術に係り、特に処理容器内で生成されるプラズマに対して高周波電源からの高周波をインピーダンス整合状態で供給する高周波給電部の改善に関する。
半導体デバイスやFPD(Flat Panel Display)の製造プロセスには、プラズマを利用してエッチング、堆積、酸化、スパッタリング等の処理を行うプラズマ処理装置が多く使われている。概して、プラズマ処理装置は、真空チャンバ(処理容器)の中または外に高周波電極を設けて高周波給電部より該高周波電極に高周波を印加する。高周波給電部には、高周波を出力する電源だけでなく、高周波電源のインピーダンスと負荷側のインピーダンスとの間で整合(マッチング)をとるための整合器も備え付けられる。高周波電源は通常50Ωの純抵抗出力になるように設計されるため、整合器も含めた負荷側のインピーダンスが50Ωになるように、整合器内のインピーダンスが設定ないし調節される(たとえば特許文献1参照)。
一般に、この種の整合器は、1個または複数個の可変コンデンサまたは可変インダクタンスコイル等の可変リアクタンス素子を含み、ステップモータ等により可変範囲内の各ステップ位置またはポジションを選択することで整合器内のインピーダンスひいては負荷インピーダンスを可変調整できるように構成されている。そして、プラズマ処理中には、圧力変動などによってプラズマ・インピーダンスが変わると、それら可変リアクタンス素子のインピーダンス・ポジションを可変調整して自動的に負荷インピーダンスを補正して整合ポイント(50Ω)に合わせるようになっている。このオートマッチングを行うため、負荷インピーダンスを測定する回路や、負荷インピーダンスの測定値を整合ポイント(50Ω)に一致させるようにステップモータを通じて各可変リアクタンス素子のインピーダンス・ポジションを可変制御するコントローラ等が用いられる。
特開平11−61456号公報
プラズマ処理装置の高周波給電部においては、上記のように高周波電源から見た負荷のインピーダンスが見かけ上50Ωになるように整合がとられるが、プラズマ自体の抵抗値は50Ωよりも小さくて通常は1Ω前後であり、その差分は整合器によってつくられる。別な見方をすれば、整合器がプラズマと組み合わさって見掛け上の並列共振ループをつくり、そこに大きな電流を発生させることで、プラズマの小さな(たとえば1Ωの)抵抗を見掛け上50Ωの負荷抵抗に増大させている。もっとも、この時、整合器内では、リアクタンス素子や配線に大きな電流が流れるため、RFパワーの伝送損失や異常な発熱が起こる。このようなRFパワーの伝送損失や異常な発熱は、設計外の損失成分であるため、定量的に管理することが難しく、量産型のプラズマ処理装置では機差の原因になり、プラズマプロセスの再現性・信頼性を損ねる。
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、高周波電源から処理容器内のプラズマへ高周波を供給するためのインピーダンス整合機能を有する高周波給電部において高周波パワー伝送効率の安定化をはかり、プラズマプロセスの再現性・信頼性を向上させるプラズマ処理装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の第1の観点におけるプラズマ処理装置は、所望のプラズマプロセスが行われる処理容器の中または外に設けられた高周波電極に高周波電源より整合器を介して所定周波数の高周波を印加し、前記整合器により前記高周波電源とその負荷との間でインピーダンスの整合をとるプラズマ処理装置であって、前記整合器と前記高周波電極との間に接続される抵抗器と、前記抵抗器と並列に接続される短絡用のスイッチとを有し、前記処理容器内で生成されるプラズマの抵抗の値に応じて前記スイッチの開閉状態を制御する。
上記の構成においては、処理容器内で生成されるプラズマの抵抗の値が相当低いとき、たとえば1Ω未満のときは、短絡用スイッチを開(オフ)状態にして抵抗器を整合器と高周波電極との間に直列に挿入接続してよい。そうすると、整合器から見た負荷抵抗の値がプラズマ抵抗の値に抵抗器の値を加え合わせたものになり、それによってばらつきの少ない安定領域のパワー伝送効率特性で整合器から負荷へRFパワーを供給することができる。この際、抵抗器のジュール熱によってRFパワーの一部損失を伴うことにはなるが、プラズマに投入される正味のRFパワーの安定化を優先的させ、プラズマプロセスの再現性・信頼性を向上させることができる。
本発明の好適な一態様においては、抵抗器の抵抗値が0.1Ω〜1Ωの範囲内にあり、これによってプラズマに対するRFパワー投入の効率と安定性とのトレードオフ的なバランスを最適化することができる。
また、本発明の好適な一態様によれば、抵抗器が、整合器と高周波電極との間で高周波給電用の導体と直列に接続される。この場合、高周波給電導体が高周波の伝送路に沿って直列に配置された第1の給電棒と第2の給電棒とを有し、抵抗器が第1の給電棒と第2の給電棒との間に接続される構成を好適に採ることができる。また、短絡用スイッチが、抵抗器を跨いで第1および第2の給電棒の双方に接続する第1の位置と、第1および第2の給電棒のいずれか一方のみに接続する第2の位置との間で移動可能な筒状導体を有する構成を好適に採ることができる。
また、別の好適な一態様として、高周波給電導体の一端が高周波電極に接続され、抵抗器が整合器の出力端子と高周波給電導体の他端との間に接続される構成を採ることも可能であり、この場合は抵抗器およびスイッチに通常(市販)の抵抗素子およびスイッチ素子を用いることができる。
さらに、短絡用スイッチの開閉制御を適確に行うために、プラズマ抵抗の値を測定するためのセンサをたとえば抵抗器と高周波電極との間に設ける構成を好適に採ることができる。
本発明の第2の観点におけるプラズマ処理装置は、所望のプラズマプロセスが行われる処理容器の中または外に設けられた高周波電極に高周波電源より整合器を介して所定周波数の高周波を印加し、前記整合器により前記高周波電源とその負荷との間でインピーダンスの整合をとるプラズマ処理装置であって、前記整合器と前記高周波電極との間に接続され、抵抗値が0.1Ω〜1Ωである抵抗器を有する。
上記第2の観点におけるプラズマ処理装置は、プラズマプロセスの種類またはレシピあるいは装置構造によりプラズマ抵抗の値が常に相当低いこと(たとえば1Ω未満であること)が分かっているときに特に有利であり、0.1Ω〜1Ωの抵抗値を有する抵抗器を短絡用スイッチを付けずに高周波給電部に常時備え付ける構成によって、プラズマに投入される正味のRFパワーを安定化し、プラズマプロセスの再現性・信頼性を向上させることができる。
本発明において、上記抵抗器を可変抵抗器とすることも可能である。あるいは、抵抗器が、整合器と高周波電極との間で互いに並列に接続される複数の抵抗と、整合器と高周波電極との間で複数の抵抗とそれぞれ直列に接続される複数の選択用スイッチとを有し、プラズマの抵抗値に応じて複数の選択用スイッチのそれぞれの開閉状態を制御する構成も可能である。また、抵抗器の温度を所定温度に保つための温度調整器を有する構成も好適に採ることができる。
また、好適な一態様においては、処理容器内に高周波電極と平行に向き合う対向電極が設けられ、高周波電極と対向電極との間で高周波放電により処理ガスのプラズマを生成するために、高周波電源からの高周波が整合器を介して高周波電極に印加される構成が採られる。
別の好適な一態様においては、高周波電極上に被処理基板が載置され、処理容器内で生成される処理ガスのプラズマから基板へのイオンの引き込みを制御するために、高周波電源からの高周波が整合器を介して高周波電極に印加される構成が採られる。
本発明のプラズマ処理装置によれば、上記のような構成および作用により、高周波電源から処理容器内のプラズマへ高周波を供給するためのインピーダンス整合機能を有する高周波給電部において高周波パワー伝送効率の安定化をはかり、プラズマプロセスの再現性・信頼性を向上させることができる。
本発明の一実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す断面図である。 図1のプラズマ処理装置の高周波給電部に組み込まれる短絡スイッチ付き抵抗器の一構成例を模式的に示す断面図である。 実施形態における高周波給電部の等価回路を示す回路図である。 プラズマ処理装置の高周波給電部で得られるパワー伝送効率特性の一例を示す図である。 第1の実施例における効率を示す図である。 第1の実施例における効率を示す図である。 第2の実施例による短絡スイッチ付き抵抗器を含む高周波給電部の回路構成を示す回路図である。 第3の実施例による短絡スイッチ付き抵抗器を含む高周波給電部の回路構成を示す回路図である。 第4の実施例における短絡スイッチ付き抵抗器の回路構成を示す回路図である。 第5の実施例による下部2周波印加方式のプラズマ処理装置の全体構成を示す縦断面図である。 第5の実施例による短絡スイッチ付き抵抗器を備える高周波給電部の要部の構成を示すブロック図である。 第6の実施例において高周波給電部に直列挿入型の短絡スイッチ付き抵抗器と並列挿入型の遮断スイッチ付き抵抗器とを備える構成を模式的に示す断面図である。 第6の実施例における高周波給電部の等価回路を示す図である。
以下、添付図を参照して本発明の好適な実施の形態を説明する。
図1に、本発明の一実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す。このプラズマ処理装置は、カソードカップルの容量結合型プラズマエッチング装置として構成されており、たとえばアルミニウムまたはステンレス鋼等の金属製の円筒型チャンバ(処理容器)10を有している。チャンバ10は保安接地されている。
チャンバ10内には、被処理基板としてたとえば半導体ウエハWを載置する円板状のサセプタ12が下部電極として水平に設置されている。このサセプタ12は、たとえばアルミニウムからなり、チャンバ10の底から垂直上方に延びるたとえばセラミック製の絶縁性筒状支持部14により非接地で支持されている。この筒状支持部14の外周に沿ってチャンバ10の底から垂直上方に延びる導電性の筒状支持部16とチャンバ10の内壁との間に環状の排気路18が形成され、この排気路18の底に排気口20が設けられている。この排気口20には排気管22を介して排気装置24が接続されている。排気装置24は、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、チャンバ10内の処理空間を所望の真空度まで減圧することができる。チャンバ10の側壁には、半導体ウエハWの搬入出口を開閉するゲートバルブ26が取り付けられている。
サセプタ12には、高周波電源28がマッチングユニット30および給電棒32を介して電気的に接続されている。給電棒32は、その周りを接地電位の円筒形導体カバーまたは外導体33で囲まれている。高周波電源28は、チャンバ10内で高周波放電による処理ガスのプラズマを生成するのに適した所定周波数たとえば60MHzの高周波を出力する。マッチングユニット30には、高周波電源28の内部インピーダンスと負荷側のインピーダンスとの間で整合をとるための整合器34(図3、図5)が収容されている。
給電棒32は、高周波の伝送路に沿って第1給電棒32(1)と第2給電棒32(2)とに2分割されている。そして、両給電棒32(1),32(2)の間に短絡スイッチ付き抵抗器35が取り付けられている。より詳しくは、第1給電棒32(1)の下端がマッチングユニット30内の上記整合回路34の出力端子に接続され、第2給電棒32(2)の上端がサセプタ12の背面に接続され、第1給電棒32(1)の上端と第2給電棒32(2)の下端との間に短絡スイッチ付き抵抗器35が挿入接続されている。
本発明において、給電棒32の途中に短絡スイッチ付き抵抗器35を挿入接続する構成は一例であり、後述するようにマッチングユニット30の中に収容する構成も可能である。短絡スイッチ付き抵抗器35の構成および作用は後述する。
サセプタ12は半導体ウエハWよりも一回り大きな直径または口径を有している。サセプタ12の主面つまり上面は、半径方向で、ウエハWと略同形状(円形)かつ略同サイズの中心領域つまりウエハ載置部と、このウエハ載置部の外側に延在する環状の周辺部とに区画されており、ウエハ載置部の上には処理対象の半導体ウエハWが載置され、環状周辺部の上に半導体ウエハWの口径よりも僅かに大きな内径を有するフォーカスリング36が取り付けられる。このフォーカスリング36は、半導体ウエハWの被エッチング材に応じて、たとえばSi,SiC,C,SiO2の中のいずれかの材質で構成されている。
サセプタ12上面のウエハ載置部には、ウエハ吸着用の静電チャック38が設けられている。この静電チャック38は、膜状または板状の誘電体38aの中にシート状またはメッシュ状のDC電極38bを封入しており、サセプタ12の上面に一体形成または一体固着されている。DC電極38bは、チャンバ10の外に配置される直流電源40に配線およびスイッチ42を介して電気的に接続されている。直流電源40からの高圧の直流電圧がDC電極38bに印加されることにより、クーロン力で半導体ウエハWを静電チャック38上に吸着保持できるようになっている。
サセプタ12の内部には、たとえば円周方向に延びる環状の冷媒室46が設けられている。この冷媒室46には、チラーユニット(図示せず)より配管48,50を介して所定温度の冷媒たとえば冷却水が循環供給される。そして、サセプタ12を通じて半導体ウエハWの温度を制御するために、伝熱ガス供給部(図示せず)からの伝熱用のガスたとえばHeガスが、ガス供給管52およびサセプタ12内部のガス通路54を介して静電チャック38と半導体ウエハWとの間に供給される。
チャンバ10の天井には、サセプタ12と平行に向かい合って平行平板の上部電極を兼ねるシャワーヘッド56がチャンバ10に直付け(アノード接地)で設けられている。このシャワーヘッド56は、サセプタ12と向かい合う電極板58と、この電極板58をその背後(上)から着脱可能に支持する電極支持体60とを有し、電極支持体60の内部にガス室62を設け、このガス室62からサセプタ12側に貫通する多数のガス吐出孔64を電極支持体60および電極板58に形成している。電極板58とサセプタ12とに挟まれた空間がプラズマ生成空間ないし処理空間となる。ガス室62の上部に設けられるガス導入口62aには、処理ガス供給部65からのガス供給管66が接続されている。電極板58はたとえばSi、SiCあるいはCからなり、電極支持体60はたとえばアルマイト処理されたアルミニウムからなる。
このプラズマエッチング装置内の各部たとえば排気装置24、高周波電源28、静電チャック38用のスイッチ42、チラーユニット(図示せず)、伝熱ガス供給部(図示せず)および処理ガス供給部65等の個々の動作および装置全体の動作(シーケンス)は、たとえばマイクロコンピュータを含む制御部68によって制御される。
このプラズマエッチング装置において、エッチングを行なうには、先ずゲートバルブ26を開状態にして加工対象の半導体ウエハWをチャンバ10内に搬入して、静電チャック38の上に載置する。そして、処理ガス供給部65よりエッチングガス(一般に混合ガス)を所定の流量および流量比でチャンバ10内に導入し、排気装置24によりチャンバ10内の圧力を設定値にする。さらに、高周波電源28をオンにして高周波(60MHz)を所定のパワーで出力させ、この高周波をマッチングユニット30内の整合器34,短絡スイッチ付抵抗器35、給電棒32を介してサセプタ12に印加する。また、伝熱ガス供給部より静電チャック38と半導体ウエハWとの間の接触界面に伝熱ガス(Heガス)を供給するとともに、スイッチ42をオンにして静電チャック38の静電吸着力により伝熱ガスを上記接触界面に閉じ込める。シャワーヘッド56より吐出されたエッチングガスは両電極12,56間で高周波放電してプラズマ化し、このプラズマPRで生成されるラジカルやイオンによって半導体ウエハW表面の被加工膜が所望のパターンにエッチングされる。
次に、このプラズマエッチング装置における主要な特徴部分である高周波給電部の構成および作用を説明する。
図2に、このプラズマエッチング装置における高周波給電部において給電棒32に取り付けられる短絡スイッチ付き抵抗器35の一実施例を示す。
この短絡スイッチ付き抵抗器35は、給電棒32(1),32(2)の間に挿入接続される固定抵抗器(または固定抵抗体)R35と、この固定抵抗器R35の半径方向外側で給電棒32(1),32(2)に摺動可能に取付される短絡スイッチ用の筒状導体S35とを有している。
固定抵抗器R35は、好ましくは、温度特性または温度係数に優れ、かつインダクタンス成分の小さい高周波用の固定抵抗器(たとえば金属皮膜型あるいはセラミック焼結体含有の固定抵抗器)からなり、後述する理由からその抵抗値は0.1Ω〜1Ωの範囲内に選ばれている。筒状導体S35は、導電率の高い金属たとえば銅からなり、固定抵抗器R35を跨いで給電棒32(1),32(2)の双方に接続する第1の位置(図の実線で示す位置)と、給電棒32(1),32(2)のいずれか一方のみに接続する第2の位置(図の仮想線で示す位置)との間で移動可能に構成されている。
筒状導体S35が第1の位置に切り換えられているときは、給電棒32(1),32(2)の間が筒状導体S35を介して短絡状態となり、固定抵抗器R35に高周波は殆ど流れない。筒状導体S35が第2の位置に切り換えられているときは、筒状導体S35が実質的にフローティング状態となり、代わりに固定抵抗器R35が通電して高周波の全部を通すようになっている。筒状導体S35のスイッチ操作は、手動で行ってもよく、あるいはアクチエータを用いてもよい。筒状導体S35と給電棒32(1),32(2)との間に電気伝導度を高くし、摺動摩擦を少なくするための導電性部材(図示せず)を設けてもよい。
図3に、このプラズマエッチング装置における高周波給電部の等価回路、特に短絡スイッチ付き抵抗器35およびプラズマPRの等価回路を示す。
上記のように、このプラズマエッチング装置において、チャンバ10内でプラズマエッチングが行われるときは、平行に向かい合う両電極12,56の間でエッチングガスの高周波放電によるプラズマPRが生成される。このプラズマPRは、物理的には、電子とイオンが同数または中性状態で混在するバルクプラズマ部と、両電極12,56近傍の空間電荷層いわゆるシース部とからなり、電気的には、良好な導体とみなせるバルクプラズマ部の抵抗(以下、「プラズマ抵抗」と称する。)RPRと、コンデンサとみなせるシース部のキャパシタCPRとが直列に接続された回路として表される。
ここで、プラズマ抵抗RPRの値は通常1Ω前後(0.1〜10Ω)であり、シース・キャパシタCPRの値は通常100pF前後(10〜500pF)であり、処理ガスの種類、ガス圧、高周波パワー等に依存して変動する。特に、プラズマ抵抗RPRの値は、直接的にはプラズマ密度に逆比例して変化し、特にRFパワーが数kWを超えるプラズマプロセスでは1Ω以下になることがある。
図3に示すように、短絡スイッチ付き抵抗器35は、マッチングユニット30(図1、図2)に収容される整合器34の出力端子とプラズマPRとの間に、つまり整合器34に対してプラズマPRと直列に接続される。この高周波給電部において、給電棒32、サセプタ(下部電極)12、シャワーヘッド(上部電極)56等の抵抗成分は、通常数10mΩ以下であり、等価回路では無視できる。なお、高周波電源28と整合器30とは50Ωの特性インピーダンスを有する電気ケーブル29で接続されている。
短絡スイッチ付き抵抗器35の機能または役目は、図4に示すようなこの種の高周波給電部に特有なパワー伝送効率特性に基づいている。このパワー伝送効率特性は、本発明者が、高周波電源28とプラズマ抵抗に擬した可変抵抗器との間に図3の整合器34として使用可能な同一機種の2台の整合器A,BのRFパワー伝送効率をSEMI標準E115-0302に類似の方法でネットワークアナライザを用いて測定して得られたものである。
図4に示すように、大まかには、整合器A,Bのいずれを用いても、負荷抵抗が大きいほどパワー伝送効率が上がり、負荷抵抗が小さいほどパワー伝送効率が下がる。より詳しくは、負荷抵抗が1Ω以上の領域では、整合器A,Bのいずれにおいても、パワー伝送効率が略90%以上であり、両者の差異は大体5%以内に収まっている。ところが、負荷抵抗が1Ωよりも小さくなると、整合器A,Bのいずれにおいても、パワー伝送効率が急激に低下するだけでなく、ばらつきが大きくなり、整合器Bを用いた場合に比して整合器Aを用いた場合のパワー伝送効率がより著しく低下し、両者の間に10%〜20%の差異が生じる。
したがって、たとえば、同一機種の2台の従来型(短絡スイッチ付き抵抗器35を有していない)プラズマエッチング装置に整合器A,Bをそれぞれ組み込んで、同一レシピでプラズマエッチングを行うものとし、プロセス条件の1つとして高周波パワーを3kWとした場合に、プラズマプロセスにおける負荷抵抗つまりプラズマ抵抗RPRの抵抗値が1Ω未満であり、整合器A側の装置ではパワー伝送効率が70%で、整合器B側の装置ではパワー伝送効率が90%であるということが実際に起こり得る。
この場合、整合器A側の装置ではプラズマPRに2.1kWのRFパワーが投入されるのに対して、整合器B側の装置ではプラズマPRに2.7kWのRFパワーが投入されることになる。つまり、プラズマ励起用RFパワーの投入量に600W(20%)の差異が生じることになる。
本発明によれば、図3に示すように、整合器34とプラズマ抵抗RPRとの間に短絡スイッチ付き抵抗器35の固定抵抗器R35が直列に挿入接続される。これにより、整合器34から見た負荷抵抗の値は、プラズマ抵抗RPRの値に固定抵抗器R35の値を加え合わせたものになり、それによってパワー伝送効率の高い安定領域でプラズマPRにRFパワーを供給することができる。
本発明の効果を示すデータを、図5Aおよび図5Bに示す。ここで、図5Aは、整合器A,Bに同じ3kWの設定パワーを投入した際の、プラズマに入るパワーおよび整合器A,Bで損失するパワーの比較を示す図である。図5Bは、整合器A,Bに同じ5kWの設定パワーを投入した際の、プラズマに入るパワー、整合器A,Bで損失するパワー、および本発明の抵抗器R35で損失するパワーの比較を示す図である。
たとえば、所与のプラズマプロセスにおいて、プラズマ抵抗RPRの値が0.4Ωであり、短絡スイッチ付き抵抗器35を備え付けないときは、図5Aに示したように、整合器A側の装置ではパワー伝送効率が70%で、整合器B側の装置ではパワー伝送効率が90%であるとする。この場合に、この実施形態のように短絡スイッチ付き抵抗器35を備え付けて、固定抵抗器R35の抵抗値を0.5Ωに選ぶとする。そうすると、負荷抵抗の抵抗値は0.4Ωから0.9Ωに増大し、整合器A側の装置ではパワー伝送効率が70%から93%に上昇し、整合器B側の装置ではパワー伝送効率が90%から96%に上昇する。つまり、パワー伝送効率の差異が3%に縮まる。
したがって、上記の例で高周波パワーを5kWとした場合、整合器A側の装置では、図5Bに示すように、固定抵抗器R35およびプラズマPRに4.65kW(5kW−0.35kW、93%)のRFパワーが投入され、そのうちプラズマPRには2.07kWのRFパワーが投入され、残り2.58kWのRFパワーは固定抵抗器R35でジュール熱として消費される。一方、整合器B側の装置では、同じく図5Bに示すように、固定抵抗器R35およびプラズマPRに4.80kW(5kW−0.20kW、96%)のRFパワーが投入され、そのうちプラズマPRには2.13kWのRFパワーが投入され、残り2.67kWのRFパワーは固定抵抗器R35でジュール熱として消費される。結果的には、プラズマ励起用のRFパワー投入量の差異が70Wに低減する。
このように、短絡スイッチ付き抵抗器35を備え付けることにより、プラズマPRに投入される正味のRFパワーが減少することにはなるが、同一レシピのプラズマプロセスを実施する複数のプラズマエッチング装置間の機差(ばらつき)を大幅に低減することが可能であり、これによってプラズマプロセスの再現性・信頼性を大きく向上させることができる。
上記のように、本発明は、プラズマ処理装置の高周波給電系統において整合器34とプラズマPRとの間に抵抗器R35を挿入することにより、プラズマPRに対するRFパワーの投入効率を下げることになっても、プラズマプロセスの再現性・信頼性の面からより優先度の高いRFパワー投入量の機差低減を実現することを基本思想とする。
そして、プラズマPRに対するRFパワー投入の効率と安定性とのトレードオフ的なバランスは、抵抗器R35の抵抗値によって調整可能であり、最適化も可能である。すなわち、上述したように、図4のパワー伝送効率特性によれば、負荷抵抗がおおよそ1Ω以上の領域ではパワー伝送効率の不定な変動が少なく、その領域内であれば一応設計内のばらつきとして管理できる。したがって、プラズマ抵抗RPRの値が1Ω未満のときは、合成負荷抵抗の抵抗値が1Ωをぎりぎりまたは少し超えるように抵抗器R35の抵抗値を選定すればよい。たとえば、プラズマ抵抗RPRの値が0.2Ωのときは抵抗器R35の抵抗値を0.8Ω程度に選定してよく、プラズマ抵抗RPRの値が0.7Ωのときは抵抗器R35の抵抗値を0.3Ω程度に選定してよい。
この実施形態では、抵抗器R35は固定抵抗器であり、その抵抗値を任意に可変することができない。したがって、固定抵抗器R35の抵抗値は、0.1Ω〜1Ωの範囲内に選定されるのが好ましい。
また、プラズマプロセスのレシピ次第でプラズマ抵抗RPRの値が1Ωを優に超えるときは、短絡スイッチ付き抵抗器35においてスイッチ(筒状導体)S35を閉成(短絡)させてよく、プラズマ抵抗RPRの値が高い領域でもプラズマPRに対するRFパワー投入の効率と安定性とを両立させることができる。
上述した第1の実施例は、高周波給電部において給電棒32の途中に短絡スイッチ付き抵抗器35を取り付けるものであった。しかしながら、第2の実施例として、図6に示すように、マッチングユニット30の中に整合器34と一緒に上記短絡スイッチ付き抵抗器35と同様の機能を有する短絡スイッチ付き抵抗器70を組み込むことも可能であり、この場合も等価回路は上記第1実施例のもの(図3)と同じになる。
図6の高周波給電部において、高周波電源28は、周波数可変の正弦波を発振出力する発振器72と、この発振器72より出力された正弦波のパワーを可変の増幅率で増幅するパワーアンプ74とを備えている。
整合器34は、少なくとも1つの可変リアクタンス素子を含む整合回路76と、この整合回路76の各可変リアクタンス素子のインピーダンス・ポジションを個別に可変制御するためのコントローラ78と、整合回路76を含めた負荷インピーダンスを測定する機能を有するRFセンサ80とを有している。
図示の例では、整合回路76が2つの可変コンデンサC1,C2と1つのインダクタンスコイルL1とからなるT形回路として構成され、コントローラ78がステップモータ82,84を通じて可変コンデンサC1,C2のインピーダンス・ポジションを可変制御するようになっている。RFセンサ80は、その位置から見た負荷側のインピーダンスあるいは反射波のパワーを測定する。コントローラ78は、制御部68から各種の設定値やコマンドを受け取るとともに、RFセンサ80の出力信号を受け取り、負荷インピーダンス測定値が整合インピーダンス(50Ω)になるように、あるいは反射波パワーの測定値が最小になるように、ステップモータ82,84を通じて可変コンデンサC1,C2のインピーダンス・ポジションを可変制御する。
この実施例では、マッチングユニット30内に整合器34と一緒に短絡スイッチ付き抵抗器70を収容している。この短絡スイッチ付き抵抗器70は、整合器34の出力端子と給電棒32との間に挿入接続可能な固定抵抗器R70と、この固定抵抗器R70に並列に接続された短絡用スイッチS70とを有する。
固定抵抗器R70は、上記した第1実施例の固定抵抗器R35と同様に、好ましくは高周波特性の優れた固定抵抗器であり、その抵抗値は0.1Ω〜1Ωの範囲内に選ばれてよい。スイッチS70は、制御部68の制御の下でオン/オフ可能な電子式または電動式のスイッチからなり、たとえばリレースイッチでよい。高周波電源28より出力される高周波は、短絡スイッチ付き抵抗器70において、スイッチS70がオフ状態のときは固定抵抗器R70を通り、スイッチS70がオン状態のときはスイッチS70つまり短絡回路を通るようになっている。
さらに、この実施例では、固定抵抗器R70の温度特性を良くするために、固定抵抗器R70の温度を一定に保つ温調器86を設ける。この温調器86は、たとえば固定抵抗器R70と熱的に結合された水冷式あるいは空冷式の冷却器からなり、スイッチS70をオフ状態に保持する期間つまり固定抵抗器R70を通電させる期間中だけ作動するように制御部68により制御されてよい。
この実施例においても、マッチングユニット30内に短絡スイッチ付き抵抗器70を備え付けているので、チャンバ10内のプラズマ抵抗RPRの値が相当低いこと(特に1Ω未満であること)がプロセスレシピ等から分かっているときは、スイッチS70をオフ状態にして整合器34とプラズマPRとの間に固定抵抗器R70を直列に挿入接続してよい。これにより、整合器34から見た負荷抵抗がプラズマ抵抗RPRに固定抵抗器R70を加え合わせたものとなり、上述した第1実施例と同様に、同一レシピのプラズマプロセスを実施する同一機種の複数のプラズマエッチング装置間でプラズマ励起RFパワー投入量の機差(ばらつき)を低減し、プラズマプロセスの再現性・信頼性を改善することができる。
さらに、この実施例においては、温調器86によって短絡スイッチ付き抵抗器70の固定抵抗器R70を一定温度に保つことができるので、自己発熱あるいは周囲温度の影響を極力少なくしてその温度特性を良くし、合成負荷抵抗の抵抗値ないしRFパワー投入量の精度および安定性を向上させることができる。
図7に、第3の実施例による高周波給電部の構成を示す。この第3の実施例は、マッチングユニット30内に抵抗値可変型の短絡スイッチ付き可変抵抗器88を備え付けることと、プラズマ抵抗測定用のRFセンサ90を設ける構成を特徴とする。その他の部分は上述した第2の実施例と同じである。
抵抗値可変型の短絡スイッチ付き抵抗器88は、整合器34の出力端子と給電棒32との間に挿入(接続)可能な可変抵抗器R88と、この可変抵抗器R88に並列に接続された短絡用スイッチS88とを有する。可変抵抗器R88は、電子式または電動式の可変抵抗器が好ましく、0.1Ω〜1Ωを含む範囲内で抵抗値を可変できるものが好ましい。スイッチS88は、第2の実施例におけるスイッチS70と同様のものでよい。
RFセンサ90は、高周波伝送ライン上で短絡スイッチ付き抵抗器88と給電棒32との間に設けられ、その位置から見た負荷のインピーダンス、特にその実数成分(抵抗値)をプラズマ抵抗RPRの値として測定する。制御部68は、RFセンサ90からのプラズマ抵抗測定値情報を基に、プラズマ抵抗RPRの値が1Ω未満であるときは、プラズマ抵抗RPRに可変抵抗器R88を加え合わせた合成負荷抵抗の抵抗値が最適値(たとえば1Ω)になるように、可変抵抗器R88を調整する。また、プラズマ抵抗RPRの値が1Ωを優に超えるときは、スイッチS88をオンにして、可変抵抗器88を短絡させてよい。
図示省略するが、可変抵抗器R88の温度特性を良くするために温調器86(図6)を備えてもよい。また、RFセンサ90を整合器34と短絡スイッチ付き抵抗器88との間に設け、RFセンサ90を働かせる時は短絡用スイッチS88をオン状態にする構成も可能である。
上記第3の実施例の一変形例として、可変抵抗器88の代わりに、図8に示すように、複数個(たとえば3個)の固定抵抗R92A,R92B,R92Cを並列接続し、選択スイッチSA,SB,SCおよび短絡スイッチS92を有する並列抵抗回路網92を設ける構成も可能である。
この並列抵抗回路網92において、固定抵抗R92A,R92B,R92Cは、整流回路34と給電棒32との間で互いに並列されており、選択スイッチSA,SB,SCとそれぞれ直列接続されている。選択スイッチSA,SB,SCのオン/オフ状態を選択することにより、この並列抵抗回路網92の抵抗値を好ましくは0.1Ω〜1Ωを含む範囲内で7通りに選ぶことができる。
制御部68(図7)は、RFセンサ90からのプラズマ抵抗測定値情報を基に、選択スイッチSA,SB,SCおよび短絡スイッチS92のそれぞれのオン/オフ状態を制御してよい。すなわち、プラズマ抵抗RPRの値が1Ω未満であるときは、プラズマ抵抗RPRに並列抵抗回路網92を加え合わせた合成負荷抵抗の抵抗値が最適値(たとえば1Ω)になるように、選択スイッチSA,SB,SCのオン/オフ状態を選択する。また、プラズマ抵抗RPRの値が1Ωを優に超えるときは、短絡スイッチS92をオンにしてよい。
図9および図10に、下部RF2周波印加方式を採る容量結合型プラズマエッチング装置に本発明を適用した実施例を示す。図中、上述したプラズマエッチング装置(図1〜図8)のものと同様の構成および機能を有する部分には同一の参照符号を附している。
このプラズマエッチング装置は、プラズマ生成に適した比較的高い周波数たとえば100MHzの第1高周波HFを出力する第1の高周波電源94Hと、プラズマからサセプタ12上の半導体ウエWへのイオンの引き込みに適した比較的低い周波数たとえば13.56MHzの第2高周波LFを出力する第2の高周波電源94Lとを備えており、両高周波電源94H,94Lよりそれぞれ出力される第1および第2高周波HF,LFをマッチングユニット30および給電棒32を介してサセプタ12に印加するようにしている。
このプラズマエッチング装置においても、図9に示すように、給電棒32の途中に第1の実施例と同様の短絡スイッチ付き抵抗器35を取り付けることができる。あるいは、図10に示すように、マッチングユニット30内にたとえば第2実施例と同様の短絡スイッチ付き抵抗器70H,70Lを組み込むことも可能である。
図10の構成例において、プラズマ生成用の第1高周波電源94Hの出力端子は、第1整合器34Hおよび第1短絡スイッチ付き抵抗器70Hを介して給電棒32に接続される。イオン引き込み制御用の第2高周波電源94Lの出力端子は、第2整合器34Lおよび第2短絡スイッチ付き抵抗器70Lを介して給電棒32に接続される。第1および第2整合器34H、34Lは、上記した整合器34(図6、図7)と同様の構成・機能を有するものでよい。
上述したように、本発明においてプラズマ処理装置の高周波給電系統に適度な抵抗値を有する抵抗器を直列に挿入接続する技法は、プラズマ抵抗RPRの値が1Ωよりも低くなるようなプラズマプロセスで大なる作用効果を発揮する。このようなプラズマプロセスでは、プラズマに投入されるRFパワーが通常1kWを超える。
ところで、同一のプラズマ処理装置において、そのような高RFパワー領域を用いるプロセスレシピだけでなく、RFパワーの非常に低い(たとえば数10W程度の)プロセスレシピが選択される場合もある。しかしながら、通常の高周波電源は、RFパワーのダイナミックレンジに限度があり、数kWの定格出力で数10W程度の低パワーを精度良く出力するのは難しく、ばらつきを生じやすい。一方で、そのような低パワーで着火ないし生成されるプラズマPRは、概して安定性がよくなく、プラズマ抵抗RPRの値が高く(たとえば10Ω以上)、しかも大きく変動しやすいという性質がある。このため、整合器のマッチング動作がスムースにいかなくなって、ハンチングを起こしたり、長時間マッチング・ポイントが決まらないといった問題がしばしば発生している。
そこで、この実施例では、高周波給電部に、上記第1〜第5実施例による直列挿入型の短絡スイッチ付き抵抗器35(70,88,92)に加えて、並列挿入型の遮断スイッチ付き抵抗器96(図11、図12)を備える構成としている。
この遮断スイッチ付き抵抗器96は、整合器34に対してプラズマPRと並列に挿入接続される。具体的には、たとえば図11に示すように、遮断スイッチ付き抵抗器96は、給電棒32の周囲にリング状の固定抵抗器(または抵抗体)R96と、遮断スイッチS96を兼ねるリング状の誘電体C96とを配置する。
固定抵抗器R96は、低RFパワー投入時のプラズマ抵抗RPRと同等か、または好ましくはそれ以下の抵抗値(たとえば1Ω〜10Ω)を有し、接地電位の外導体33の内壁に接続される。誘電体C96は、たとえばテフロン(登録商標)あるいはセラミックからなり、リング状固定抵抗器R96と給電棒32との間のギャップ空間を埋めて(スイッチS96をオンにして)両者を容量結合させる第1の位置と、このギャップ空間から下方または上方に退避して(スイッチS96をオフにして)両者を電気的に遮断する第2の位置との間で移動可能に構成される。誘電体C96の位置の切り換え、つまりスイッチS96の操作は、手動で行ってもよく、あるいはアクチエータ(図示せず)で行ってもよい。誘電体C96を第1の位置に切り換えたとき(スイッチS96をオンにしたとき)に得られる容量(キャパシタンス)は、プラズマPRの容量と同程度になるのが好ましく、たとえば100pFに選定されてよい。
通常、短絡スイッチ付き抵抗器35と遮断スイッチ付き抵抗器96は、プロセスレシピに応じて選択的に使用されてよい。たとえば、プラズマ抵抗RPRの値が1Ωよりも低くなるような高RFパワーのプラズマプロセスでは、短絡スイッチ付き抵抗器35において短絡スイッチS35をオフに切り換えて固定抵抗器R35をプラズマPRに対して直列に挿入接続するとともに、遮断スイッチ付き抵抗器96において遮断スイッチS96をオフに切り換えて固定抵抗器R96を高周波伝送ラインから外してよい。この場合、上記した第1実施例と同様に、同一レシピのプラズマプロセスを実施する同一機種の複数のプラズマエッチング装置間でプラズマ励起RFパワー投入量の機差(ばらつき)を低減し、プラズマプロセスの再現性・信頼性を改善することができる。
また、RFパワーがたとえば100W以下のプラズマプロセスでは、遮断スイッチ付き抵抗器96において遮断スイッチS96をオンに切り換えて固定抵抗器R96をプラズマPRに対して並列に挿入接続するとともに、短絡スイッチ付き抵抗器35において短絡スイッチS35をオンに切り換えて固定抵抗器R35を高周波伝送ラインから外してよい。この場合、たとえば、固定抵抗器R96の抵抗値が10Ωに選ばれており、プラズマ抵抗RPRの値が10Ω〜30Ωの範囲で変動すると仮定すると、整合器34に対する見かけ上の負荷抵抗の変動幅は5Ω〜7.5Ωに低減または縮小するので、整合器34はハンチング等を起こさずにマッチング動作をスムースに行うことができる。また、高周波電源28は、プラズマPRに投入すべきRFパワー量(プロセスレシピの設定値)の約2倍のRFパワーを出力することになるが、それによって高周波電源28のRF出力の安定度が高くなるという一面もある。
なお、高周波伝送ライン上で遮断スイッチ付き抵抗器96を短絡スイッチ付き抵抗器35の後段に配置する構成も可能である。また、遮断スイッチ付き抵抗器96を、短絡スイッチ付き抵抗器70(88,92)と一緒に、または単独でマッチングユニット34に組み入れる構成も可能であり、その場合は抵抗器R96,容量C96、遮断スイッチS96に市販の抵抗素子、コンデンサ、開閉スイッチをそれぞれ用いることができる。抵抗器R96に可変抵抗器や並列抵抗回路網を用いる構成や、インダクタンスコイルを含む構成等も可能である。
他の実施形態
上記実施形態は、プラズマ処理装置の高周波給電系統において整合器と高周波電極との間に短絡スイッチ付きの抵抗器35(70,88,92)を挿入接続する構成であった。しかし、別の実施形態として、短絡用スイッチS35(S70,S88,S92)省いて抵抗器R35(R70,R88,R92)を高周波給電部に常時挿入接続している構成も可能である。特に、実施するプラズマプロセスの種類またはレシピが殆ど固定されていて、プラズマ抵抗RPRの値が常に1Ω未満であることが分かっているときは、0.1Ω〜1Ωの抵抗値を有する抵抗器R35(R70,R88,R92)を短絡用スイッチを付けないで高周波給電部に常時挿入接続しておく構成を好適に採ることができる。
上記実施形態の容量結合型プラズマエッチング装置において、平行平板電極に高周波電源を接続する方式として、プラズマ生成用の高周波電源をシャワーヘッド(上部電極)に接続する方式にも本発明は適用可能である。
本発明は、容量結合型プラズマエッチング装置に限定されるものではなく、チャンバの上面または周囲にコイル型の高周波電極を配置して誘電磁界の下でプラズマを生成する誘導結合型プラズマ処理装置や、マイクロ波のパワーを用いてプラズマを生成するマイクロ波プラズマ処理装置等にも適用可能であり、さらにはプラズマCVD、プラズマ酸化、プラズマ窒化、スパッタリングなどの他のプラズマ処理装置にも適用可能である。また、本発明における被処理基板は半導体ウエハに限るものではなく、フラットパネルディスプレイ用の各種基板や、フォトマスク、CD基板、プリント基板等も可能である。
10 チャンバ(処理容器)
12 サセプタ(下部電極)
24 排気装置
28 高周波電源
30 マッチングユニット
32 給電棒
32(1) 第1給電棒
32(2) 第2給電棒
34,34H,34L 整合器
35,70、70H,70L,92 短絡スイッチ付き抵抗器
56 シャワーヘッド(上部電極)
65 処理ガス供給部
68 制御部
35,R70 固定抵抗器
88 可変抵抗器
92A,R92B,R92C 固定抵抗
A,SB,SC 選択用スイッチ
35,S70,S88,S92 短絡用スイッチ

Claims (15)

  1. 所望のプラズマプロセスが行われる処理容器の中または外に設けられた高周波電極に高周波電源より整合器を介して所定周波数の高周波を印加し、前記整合器により前記高周波電源とその負荷との間でインピーダンスの整合をとるプラズマ処理装置であって、
    前記整合器と前記高周波電極との間に接続される抵抗器と、
    前記抵抗器と並列に接続される短絡用のスイッチと
    を有し、前記処理容器内で生成されるプラズマの抵抗の値に応じて前記スイッチの開閉状態を制御するプラズマ処理装置。
  2. 前記抵抗器の抵抗値は0.1Ω〜1Ωの範囲内である、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記抵抗器は、前記整合器と前記高周波電極との間で高周波給電用の導体と直列に接続される、請求項1または請求項2に記載のプラズマ処理装置。
  4. 前記高周波給電導体が、前記高周波の伝送路に沿って直列に配置された第1の給電棒と第2の給電棒とを有し、
    前記抵抗器が、前記第1の給電棒と前記第2の給電棒との間に接続される、
    請求項3に記載のプラズマ処理装置。
  5. 前記スイッチが、前記抵抗器を跨いで前記第1および第2の給電棒の双方に接続する第1の位置と、前記第1および第2の給電棒のいずれか一方のみに接続する第2の位置との間で移動可能な筒状導体を有する、請求項4に記載のプラズマ処理装置。
  6. 前記高周波給電導体の一端が前記高周波電極に接続され、
    前記抵抗器が前記整合器の出力端子と前記高周波給電導体の他端との間に接続される、
    請求項3に記載のプラズマ処理装置。
  7. 前記抵抗器が可変抵抗器である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
  8. 前記抵抗器が、前記整合器と前記高周波電極との間で互いに並列に接続される複数の抵抗と、前記整合器と前記高周波電極との間で前記複数の抵抗とそれぞれ直列に接続される複数の選択用スイッチとを有し、
    前記プラズマの抵抗値に応じて前記複数の選択用スイッチのそれぞれの開閉状態を制御する、請求項1〜6のいずれか一項にプラズマ処理装置。
  9. 前記プラズマ抵抗の値を測定するために前記抵抗器と前記高周波電極との間に設けられるセンサを有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
  10. 所望のプラズマプロセスが行われる処理容器の中または外に設けられた高周波電極に高周波電源より整合器を介して所定周波数の高周波を印加し、前記整合器により前記高周波電源とその負荷との間でインピーダンスの整合をとるプラズマ処理装置であって、
    前記整合器と前記高周波電極との間に接続され、抵抗値が0.1Ω〜1Ωである抵抗器を有するプラズマ処理装置。
  11. 前記抵抗器が可変抵抗器である、請求項10に記載のプラズマ処理装置。
  12. 前記抵抗器が、前記整合器と前記高周波電極との間で互いに並列に接続される複数の抵抗と、前記整合器と前記高周波電極との間で前記複数の抵抗とそれぞれ直列に接続される複数の選択用スイッチとを有し、
    前記プラズマの抵抗値に応じて前記複数の選択用スイッチのそれぞれの開閉状態を制御する、請求項10に記載のプラズマ処理装置。
  13. 前記抵抗器の温度を所定温度に保つための温度調整器を有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
  14. 前記処理容器内に前記高周波電極と平行に向き合う対向電極が設けられ、
    前記高周波電極と前記対向電極との間で高周波放電により前記処理ガスのプラズマを生成するために、前記高周波電源からの前記高周波が前記整合器を介して前記高周波電極に印加される、
    請求項1〜13のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
  15. 前記高周波電極上に被処理基板が載置され、
    前記処理容器内で生成される前記処理ガスのプラズマから前記基板へのイオンの引き込みを制御するために、前記高周波電源からの前記高周波が前記整合器を介して前記高周波電極に印加される、
    請求項1〜13のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
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