JP2010236526A - 内燃機関の潤滑油供給装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】オイルポンプのエア吸いが生じることを好適に抑制することのできる内燃機関の潤滑油供給装置を提供する
【解決手段】このエンジン10の潤滑油供給装置40は、オイルパン41と、オイルポンプ43と、オイルポンプ43から吐出される潤滑油をエンジン10の各潤滑部位に供給する供給通路42と、この供給通路42の油圧を制御する油圧制御機構50とを備える。また、油圧制御機構50は、供給通路42の潤滑油を所定部位にリリーフするためのリリーフ圧力PXを低圧側の第1リリーフ圧力P1と高圧側の第2リリーフ圧力P2との間で切り替える。そして、オイルパン41のオイルレベルLが判定値LXよりも低いか否かを判定し、低い旨の判定結果が得られるときにはこれに基づいてリリーフ圧力PXを第1リリーフ圧力P1に設定する。
【選択図】図1
【解決手段】このエンジン10の潤滑油供給装置40は、オイルパン41と、オイルポンプ43と、オイルポンプ43から吐出される潤滑油をエンジン10の各潤滑部位に供給する供給通路42と、この供給通路42の油圧を制御する油圧制御機構50とを備える。また、油圧制御機構50は、供給通路42の潤滑油を所定部位にリリーフするためのリリーフ圧力PXを低圧側の第1リリーフ圧力P1と高圧側の第2リリーフ圧力P2との間で切り替える。そして、オイルパン41のオイルレベルLが判定値LXよりも低いか否かを判定し、低い旨の判定結果が得られるときにはこれに基づいてリリーフ圧力PXを第1リリーフ圧力P1に設定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関に供給される潤滑油を貯留する貯留部と、この貯留部からオイルを吸い上げるオイルポンプと、このオイルポンプから吐出される潤滑油を内燃機関の各潤滑部位に供給する供給通路と、この供給通路の油圧を制御する油圧制御機構とを備える内燃機関の潤滑油供給装置に関する。
上記潤滑油供給装置としては、例えば特許文献1に記載の装置が知られている。
この潤滑油供給装置では、機関回転速度に基づいてリリーフ圧力を低圧側のリリーフ圧力と高圧側のリリーフ圧力との間で切り替えることにより、内燃機関の各潤滑部位に供給する潤滑油量を調整するようにしている。すなわち、各潤滑部位に多量の潤滑油が必要とされるときにはリリーフ圧力を高圧側のリリーフ圧力に設定して潤滑油供給通路の潤滑油の圧力を高い圧力に維持し、これにより上記の要求に応じるようにしている。
この潤滑油供給装置では、機関回転速度に基づいてリリーフ圧力を低圧側のリリーフ圧力と高圧側のリリーフ圧力との間で切り替えることにより、内燃機関の各潤滑部位に供給する潤滑油量を調整するようにしている。すなわち、各潤滑部位に多量の潤滑油が必要とされるときにはリリーフ圧力を高圧側のリリーフ圧力に設定して潤滑油供給通路の潤滑油の圧力を高い圧力に維持し、これにより上記の要求に応じるようにしている。
ところで、上記特許文献1の潤滑油供給装置において、オイルレベルが過度に低下した状態においてもリリーフ圧力が高圧側の圧力に設定されている場合には、オイルパン内の潤滑油が多量に消費されることに起因してオイルポンプのエア吸いが生じることも考えられる。なおこうした問題は、特許文献1の潤滑油供給装置に限られるものではなく、リリーフ圧力を可変設定することのできる潤滑油供給装置であれば、いずれの構造の装置であれ同様に生じるものといえる。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、オイルポンプのエア吸いが生じることを好適に抑制することのできる内燃機関の潤滑油供給装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、内燃機関に供給される潤滑油を貯留する貯留部と、この貯留部からオイルを吸い上げるオイルポンプと、このオイルポンプから吐出される潤滑油を内燃機関の各潤滑部位に供給する供給通路と、この供給通路の油圧を制御する油圧制御機構とを備え、この油圧制御機構は、前記供給通路の潤滑油を所定部位にリリーフするためのリリーフ圧力を低圧側の第1リリーフ圧力と高圧側の第2リリーフ圧力との間で切り替えるものである内燃機関の潤滑油供給装置において、前記貯留部のオイルレベルが判定値よりも低いか否かを判定し、低い旨の判定結果が得られるときにはこれに基づいて前記リリーフ圧力を第1リリーフ圧力に設定する制御手段を備えることを要旨としている。
(1)請求項1に記載の発明は、内燃機関に供給される潤滑油を貯留する貯留部と、この貯留部からオイルを吸い上げるオイルポンプと、このオイルポンプから吐出される潤滑油を内燃機関の各潤滑部位に供給する供給通路と、この供給通路の油圧を制御する油圧制御機構とを備え、この油圧制御機構は、前記供給通路の潤滑油を所定部位にリリーフするためのリリーフ圧力を低圧側の第1リリーフ圧力と高圧側の第2リリーフ圧力との間で切り替えるものである内燃機関の潤滑油供給装置において、前記貯留部のオイルレベルが判定値よりも低いか否かを判定し、低い旨の判定結果が得られるときにはこれに基づいて前記リリーフ圧力を第1リリーフ圧力に設定する制御手段を備えることを要旨としている。
この発明によれば、オイルレベルが判定値よりも低い旨判定されるとき、すなわちオイルポンプのエア吸いの生じる可能性が十分に高くなるところにまでオイルレベルが低下しているとき、リリーフ圧力が低圧側の第1リリーフ圧力に設定される。これにより、貯留部内の潤滑油が消費される量はリリーフ圧力が高圧側の第2リリーフ圧力に設定されているときよりも減量されるため、オイルポンプのエア吸いが生じることを好適に抑制することができるようになる。
(2)請求項2に記載の発明は、内燃機関に供給される潤滑油を貯留する貯留部と、この貯留部からオイルを吸い上げるオイルポンプと、このオイルポンプから吐出される潤滑油を内燃機関の各潤滑部位に供給する供給通路と、この供給通路の油圧を制御する油圧制御機構とを備え、この油圧制御機構は、前記供給通路の潤滑油を所定部位にリリーフするためのリリーフ圧力を複数のリリーフ圧力で切り替えるものである内燃機関の潤滑油供給装置において、前記貯留部のオイルレベルが判定値よりも低いか否かを判定し、低い旨の判定結果が得られるときにはこれに基づいて前記リリーフ圧力をそのとき選択されているリリーフ圧力よりも低圧側のリリーフ圧力に設定する制御手段を備えることを要旨としている。
この発明によれば、オイルレベルが判定値よりも低い旨判定されるとき、すなわちオイルポンプのエア吸いの生じる可能性が十分に高くなるところにまでオイルレベルが低下しているとき、リリーフ圧力がそのとき選択されているリリーフ圧力よりも低圧側のリリーフ圧力に設定される。これにより、貯留部内の潤滑油が消費される量はリリーフ圧力が高圧側のリリーフ圧力に設定されているときよりも減量されるため、オイルポンプのエア吸いが生じることを好適に抑制することができるようになる。
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の内燃機関の潤滑油供給装置において、前記制御手段は、前記貯留部のオイルレベルが判定値よりも低い旨の判定に基づいて、機関負荷の上限値を前記貯留部のオイルレベルが判定値よりも高いときの上限値よりも小さくすることを要旨としている。
貯留部のオイルレベルが判定値よりも低い旨の判定に基づいてリリーフ圧力が低圧側のリリーフ圧力に設定された状態においては、内燃機関の各潤滑部位に多量の潤滑油を供給することはできないため、こうした運転状態のもと高回転高負荷運転がなされたときには潤滑部位にて焼き付きが生じることも想定される。上記発明ではこうしたことに鑑み、機関負荷の上限値を貯留部のオイルレベルが判定値よりも高いときの上限値よりも小さくするようにしているため、内燃機関において焼き付きが生じることを好適に抑制することができるようになる。
(4)請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の潤滑油供給装置において、前記制御手段は、前記貯留部のオイルレベルが判定値よりも低い旨の判定に基づいて、機関回転速度の上限値を前記貯留部のオイルレベルが判定値よりも高いときの上限値よりも小さくすることを要旨としている。
貯留部のオイルレベルが判定値よりも低い旨の判定に基づいてリリーフ圧力が低圧側のリリーフ圧力に設定された状態においては、内燃機関の各潤滑部位に多量の潤滑油を供給することはできないため、こうした運転状態のもと高回転高負荷運転がなされたときには潤滑部位にて焼き付きが生じることも想定される。上記発明ではこうしたことに鑑み、機関回転速度の上限値を貯留部のオイルレベルが判定値よりも高いときの上限値よりも小さくするようにしているため、内燃機関において焼き付きが生じることを好適に抑制することができるようになる。
(5)請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の潤滑油供給装置において、前記制御手段は、前記貯留部のオイルレベルが判定値よりも低い旨の判定に基づいて、燃料噴射量の上限値を前記貯留部のオイルレベルが判定値よりも高いときの上限値よりも小さくすることを要旨としている。
貯留部のオイルレベルが判定値よりも低い旨の判定に基づいてリリーフ圧力が低圧側のリリーフ圧力に設定された状態においては、内燃機関の各潤滑部位に多量の潤滑油を供給することはできないため、こうした運転状態のもと高回転高負荷運転がなされたときには潤滑部位にて焼き付きが生じることも想定される。上記発明ではこうしたことに鑑み、燃料噴射量の上限値を貯留部のオイルレベルが判定値よりも高いときの上限値よりも小さくするようにしているため、内燃機関において焼き付きが生じることを好適に抑制することができるようになる。
(6)請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の潤滑油供給装置において、前記制御手段は、前記貯留部のオイルレベルが判定値よりも低い旨の判定に基づいて、吸入空気量の上限値を前記貯留部のオイルレベルが判定値よりも高いときの上限値よりも小さくすることを要旨としている。
貯留部のオイルレベルが判定値よりも低い旨の判定に基づいてリリーフ圧力が低圧側のリリーフ圧力に設定された状態においては、内燃機関の各潤滑部位に多量の潤滑油を供給することはできないため、こうした運転状態のもと高回転高負荷運転がなされたときには潤滑部位にて焼き付きが生じることも想定される。上記発明ではこうしたことに鑑み、吸入空気量の上限値を貯留部のオイルレベルが判定値よりも高いときの上限値よりも小さくするようにしているため、内燃機関において焼き付きが生じることを好適に抑制することができるようになる。
(7)請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の内燃機関の潤滑油供給装置において、前記油圧制御機構は、オイルポンプから吐出された潤滑油の圧力が前記第1のリリーフ圧力または前記第2のリリーフ圧力を超えることに基づいて潤滑油を前記オイルポンプの上流側にリリーフする油圧制御弁を含めて構成されるものであり、前記油圧制御弁は、その動作状態が第1の動作状態に維持されるときにリリーフ圧力を前記第1リリーフ圧力に設定し、その動作状態が第2の動作状態に維持されるときにリリーフ圧力を前記第2リリーフ圧力に設定するものであることを要旨としている。
(8)請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の内燃機関の潤滑油供給装置において、前記油圧制御機構は、前記供給通路における前記オイルポンプの上流側と下流側とを接続する制御通路と、この制御通路に設けられて前記オイルポンプから吐出された潤滑油の圧力がリリーフ圧力を超えることに基づいて潤滑油を前記オイルポンプの上流側にリリーフする前記油圧制御弁と、この油圧制御弁を操作してリリーフ圧力を切り替える切替機構とを含めて構成されるものであり、前記油圧制御弁は、潤滑油を滞留させる油室が形成された弁本体と、同油室内に設けられて前記弁本体に対して移動する弁体と、前記弁本体と前記弁体との間に設けられてこれらに対して移動する可動体とを含めて構成されるものであり、前記弁本体は、前記オイルポンプの下流側にある前記制御通路と前記油室とを連通する本体入口と、前記オイルポンプ上流側にある前記制御通路と前記油室とを連通する本体出口とを含めて構成されるものであり、前記可動体は、前記本体入口と前記油室との間に設けられてこれらを連通する可動入口と、前記本体出口と前記油室との間に設けられてこれらを連通する可動出口とを含めて構成されるものであり、且つ前記弁本体に対して第1の可動位置と第2の可動位置との間で移動するものであり、且つ前記第1の可動位置及び前記第2の可動位置のいずれにあるときにも前記本体入口と前記可動入口とが連通した状態、及び前記本体出口と前記可動出口とが連通した状態を維持するものであり、前記弁体は、前記弁本体に対する位置として少なくとも、前記可動入口に近いところにある第1の弁体範囲及びこれよりも前記可動入口から離間したところにある第2の弁体範囲及びこれよりも前記可動入口から離間したところにある第3の弁体範囲及びこれよりも前記可動入口から離間した第4の弁体範囲のいずれかをとり得るものであって、前記可動体の位置にかかわらず前記第1の弁体範囲にあるときには前記可動入口と前記可動出口との間を遮断して前記本体入口から前記本体出口への潤滑油の流れを遮断するものであり、且つ前記可動体が前記第1の可動位置にあるときに前記第2の弁体範囲にあるときには前記可動入口と前記可動出口との間を連通して前記本体入口から前記本体出口への潤滑油の流れを許容するものであり、且つ前記可動体が前記第2の可動位置にあるときに前記第3の弁体範囲にあるときには前記可動入口と前記可動出口との間を遮断して前記本体入口から前記本体出口への潤滑油の流れを遮断するものであり、且つ前記可動体が前記第2の可動位置にあるときに前記第4の弁体範囲にあるときには前記可動入口と前記可動出口との間を連通するものであり、前記油圧制御弁は、前記可動体が前記第1の可動位置にあることを前記第1の動作状態とし、前記可動体が前記第2の可動位置にあることを前記第2の動作状態とするものであり、前記切替機構は、前記可動体の位置を操作することによりリリーフ圧力を前記第1リリーフ圧力と前記第2リリーフ圧力との間で切り替えるものであることを要旨としている。
(9)請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の内燃機関の潤滑油供給装置において、前記切替機構は、前記油圧制御弁において前記弁本体と前記可動体との間に前記油室とは区画して設けられる切替室と、前記制御通路から分岐してこの切替室に接続される可動通路と、この可動通路を介しての前記制御通路から前記切替室への潤滑油の供給態様を制御する切替弁とを含めて構成されるものであり、前記可動体は、前記可動通路を介して前記切替室に潤滑油が供給されることに基づいて前記第1の可動位置に設定され、前記切替室への潤滑油の供給が遮断されることに基づいて前記第2の可動位置に設定されるものであり、前記油圧制御弁は、前記可動体が前記第1の可動位置に維持されることに基づいてリリーフ圧力を第1リリーフ圧力に設定し、前記可動体が前記第2の可動位置に維持されることに基づいてリリーフ圧力を前記第2リリーフ圧力に設定するものであることを要旨としている。
図1〜図7を参照して、本発明にかかる内燃機関の潤滑油供給装置を車両用の電子制御式潤滑油供給装置として具体化した一実施形態について説明する。
図1に示すようにエンジン10は、空気及び燃料からなる混合気の燃焼を通じて動力を発生させるエンジン本体20と、潤滑油をエンジン10の各潤滑部位に供給する潤滑油供給装置40と、これら装置を統括的に制御する電子制御装置60とを備えている。
図1に示すようにエンジン10は、空気及び燃料からなる混合気の燃焼を通じて動力を発生させるエンジン本体20と、潤滑油をエンジン10の各潤滑部位に供給する潤滑油供給装置40と、これら装置を統括的に制御する電子制御装置60とを備えている。
エンジン本体20には、インジェクタ26を介して燃焼室30に供給された燃料と吸気装置を通じて燃焼室30内に供給された空気との混合気を燃焼させるシリンダブロック21が設けられている。このシリンダブロック21には、それぞれ燃焼室30を形成する複数のシリンダ22が設けられている。このシリンダ22内には、ピストン23が設けられている。このピストン23には、その往復運動を回転運動に変換してクランクシャフト25に伝達するコネクティングロッド24が接続されている。
シリンダブロック21の下部には、潤滑油を貯留するオイルパン41が設けられている。このオイルパン41の潤滑油は、クランクシャフト25により駆動されるオイルポンプ43を通じてエンジン本体20の各潤滑部位に供給される。
潤滑油供給装置40は、オイルパン41の潤滑油を供給通路42によりエンジン本体20の各潤滑部位に供給する。この供給通路42の途中には、オイルパン41から潤滑油を汲み上げてこれを吐出するオイルポンプ43が設けられている。供給通路42の入口には、オイルパン41内の潤滑油に含まれる異物のうち比較的大きなものを濾過するオイルストレーナ44が設けられている。供給通路42においてオイルポンプ43下流側の近傍には、潤滑油に含まれる微小な異物を濾過するオイルフィルタ45が設けられている。
潤滑油供給装置40には、供給通路42においてオイルポンプ43から吐出された潤滑油を同ポンプ43の上流側に還流し、これにより供給通路42の潤滑油の圧力(以下、「供給油圧P」)を制御する油圧制御機構50が設けられている。
この油圧制御機構50には、供給通路42においてオイルポンプ43の上流側と下流側とを接続するリリーフ通路53が設けられている。このリリーフ通路53には、オイルポンプ43から吐出された潤滑油の圧力が所定のリリーフ圧力(以下、「リリーフ圧力PX」)以上となることに基づいて開弁し、これによりオイルポンプ43の下流側から上流側に潤滑油を還流するリリーフバルブ51が設けられている。またリリーフ通路53には、リリーフバルブ51の入口側の潤滑油を同バルブ51の切替室57dに供給する切替バルブ用通路54が接続されている。この切替バルブ用通路54には、同通路54の開閉状態を切り替える切替バルブ52が設けられている。
切替バルブ52は、切替室57dへの潤滑油の供給態様を制御してリリーフバルブ51のリリーフ圧力PXを切り替える。すなわち、切替バルブ52が開弁状態にあることにより切替室57dに潤滑油が供給されるとき、リリーフバルブ51のリリーフ圧力PXは低圧側の第1リリーフ圧力(以下、「第1リリーフ圧力P1」)に設定され、切替バルブ52が閉弁状態にあることにより切替室57dへの潤滑油の供給が遮断されるとき、リリーフバルブ51のリリーフ圧力PXは第1リリーフ圧力P1よりも大きい高圧側の第2リリーフ圧力(以下、「第2リリーフ圧力P2」)に設定される。
リリーフバルブ51は、リリーフ圧力PXが第1リリーフ圧力P1に設定されるとき、供給油圧Pがこの第1リリーフ圧力P1を超えることに基づいて開弁し、これによりオイルポンプ43から吐出された潤滑油を同ポンプ43の上流側にリリーフする。また、リリーフ圧力PXが第2リリーフ圧力P2に設定されるとき、供給油圧Pがこの第2リリーフ圧力P2を超えることに基づいて開弁し、これによりオイルポンプ43から吐出された潤滑油を同ポンプ43の上流側にリリーフする。
なお潤滑油供給装置40は、オイルパン41及び供給通路42及びオイルポンプ43及びオイルストレーナ44及びオイルフィルタ45及び油圧制御機構50を含めて構成されている。また切替機構は、切替室57d及び切替バルブ用通路54及び切替バルブ52を含めて構成されている。
電子制御装置60は、アクセルポジションセンサ61、スロットルポジションセンサ62、クランクポジションセンサ63、エアフロメータ64、及びオイルレベルセンサ65をはじめとする各種センサからの信号に基づいて機関運転状態及び車両走行状態及び運転者の要求を把握したうえで、例えば、次のような制御を行う。すなわち、吸気流量を調整するスロットル制御、及びインジェクタ26による燃料噴射量を調整する噴射制御、及び機関の各潤滑部位に供給する油圧を制御する油圧制御等の制御を行う。
アクセルポジションセンサ61は、車両のアクセルペダルの踏み込み量に応じた信号を出力する。スロットルポジションセンサ62は、スロットルバルブの開度に応じた信号を出力する。クランクポジションセンサ63は、クランクシャフトの回転速度(以下、「機関回転速度NE」)に応じた信号を出力する。エアフロメータ64は、吸気通路を流れる吸気の質量流量に応じた信号を出力する。オイルレベルセンサ65は、オイルパン41内のオイルレベル(以下、「オイルレベルL」)に応じた信号を出力する。
ここで、油圧制御においては、上記各種センサの信号をもとに把握される機関運転状態に適した油圧をエンジン本体20の各潤滑部位に供給すべく油圧制御機構50の制御を行う。具体的には、機関回転速度NEが低回転領域または中回転領域にあるときには切替バルブ52の制御を通じて、リリーフ圧力PXが低圧側の第1リリーフ圧力P1に設定される。一方、機関回転速度NEが高回転領域にあるときには切替バルブ52の制御を通じて、リリーフ圧力PXが高圧側の第2リリーフ圧力P2に設定される。
図2を参照して、油圧制御機構50の具体的な構成について詳細に説明する。なお、同図において破線にて囲まれた部分はリリーフバルブ51を示す。
油圧制御機構50は、供給通路42におけるオイルポンプ43の上流側と下流側とを接続するリリーフ通路53と、このリリーフ通路53に設けられてオイルポンプ43から吐出された潤滑油の圧力がリリーフ圧力PXを超えることに基づいて潤滑油をオイルポンプ43の上流側にリリーフするリリーフバルブ51と、このリリーフバルブ51を操作してリリーフ圧力PXを切り替える切替バルブ52とを含めて構成されている。
油圧制御機構50は、供給通路42におけるオイルポンプ43の上流側と下流側とを接続するリリーフ通路53と、このリリーフ通路53に設けられてオイルポンプ43から吐出された潤滑油の圧力がリリーフ圧力PXを超えることに基づいて潤滑油をオイルポンプ43の上流側にリリーフするリリーフバルブ51と、このリリーフバルブ51を操作してリリーフ圧力PXを切り替える切替バルブ52とを含めて構成されている。
リリーフバルブ51には、円筒状をなすハウジング55が設けられている。このハウジング55には、潤滑油を滞留させる油室56が形成されている。この油室56には、円筒状をなすスリーブ57が設けられている。このスリーブ57は、ハウジング55に対してその軸方向(以下、「軸方向X」)に移動する。またスリーブ57の内部の油室56には、円柱状をなすピストン58が設けられている。このピストン58は、ハウジング55及びスリーブ57に対して軸方向Xに移動する。
ハウジング55には、オイルポンプ43の下流側にあるリリーフ通路53及び油室56を連通するハウジング入口55bと、オイルポンプ43上流側にあるリリーフ通路53及び油室56を連通するハウジング出口55cとが形成されている。ハウジング55の軸方向Xの両端部について、そのうちの一方は底壁55aにより閉塞され、他方は解放されている。
スリーブ57には、ハウジング入口55b及び油室56の間に位置してこれらを連通するスリーブ入口57bと、ハウジング出口55c及び油室56の間に位置してこれらを連通するスリーブ出口57cとが形成されている。スリーブ57の軸方向Xの両端部について、そのうちの一方は底壁57aにより閉塞され、他方は解放されている。
スリーブ57は、軸方向Xにおいてその開口部がハウジング55の開口部と同じ方向にて開口する態様、且つその外周面がハウジング55の内周面に接触する態様でハウジング55内に設けられている。これにより、スリーブ57がハウジング55に対して最大限に底壁55a側に移動したときには、スリーブ57の底壁57aとハウジング55の底壁55aとが互いに接触する。
ハウジング55及びスリーブ57の開口部は、これらとは別体のものとして形成された閉塞体59により閉塞されている。閉塞体59は、その本体部59aがスリーブ57の開口部に挿入された状態、且つそのフランジ部59bがハウジング55の端面55eに突き当てられた状態にてハウジング55及びスリーブ57に固定されている。
スリーブ57は、底壁57aがハウジング55の底壁55aに突き当たる位置(以下、「第1可動位置X1」)から端面57eが閉塞体59のフランジ部59bに突き当たる位置(以下、「第2可動位置X2」)までの間でハウジング55に対して移動することが許容されている。また、別途のばねにより第1可動位置X1から第2可動位置X2に向けて力が付与されている。そして、第1可動位置X1及び第2可動位置X2のいずれにあるときにも、ハウジング入口55bとスリーブ入口57bとが連通した状態、及びハウジング出口55cとスリーブ出口57cとが連通した状態を維持する。
スリーブ57が第1可動位置X1にあるとき、スリーブ57の端面57eと閉塞体59のフランジ部59bとの間には潤滑油を滞留させる切替室57dが形成される。ハウジング55において、この切替室57dと対応するところには、切替バルブ用通路54と切替室57dとの間を接続する切替口55dが設けられている。
スリーブ57が第2可動位置X2にあるとき、スリーブ57の端面57eと閉塞体59のフランジ部59bとが接触することにより、これらの間に切替室57dが形成されることはない。
ピストン58は、ハウジング55に対する位置として少なくとも、スリーブ入口57bに近いところにある範囲(以下、「第1開閉範囲Y1」)、及びこれよりもスリーブ入口57bから離間したところにある範囲(以下、「第2開閉範囲Y2」)、及びこれよりもスリーブ入口57bから離間したところにある範囲(以下、「第3開閉範囲Y3」)、及びこれよりもスリーブ入口57bから離間したところにある範囲(以下、「第4開閉範囲Y4」)のいずれかをとり得るものである。
ここで第1開閉範囲Y1は、スリーブ57の位置にかかわらずスリーブ入口57bとスリーブ出口57cとの間、すなわちスリーブ出口57cと油室56との間を遮断してハウジング入口55bからハウジング出口55cへの潤滑油の流れを遮断するピストン58の位置の範囲を示す。
また第2開閉範囲Y2は、スリーブ57が第1可動位置X1にあるときにスリーブ入口57bとスリーブ出口57cとの間、すなわちスリーブ出口57cと油室56との間を連通してハウジング入口55bからハウジング出口55cへの潤滑油の流れを許容するピストン58の位置の範囲を示す。なお、第1開閉範囲Y1と第2開閉範囲Y2とは連続する範囲であるため、第1開閉範囲Y1において底壁57aから最も離間したピストン58の位置と、第2開閉範囲Y2において底壁57aに最も近接したピストン58の位置とは実質的に同じものとなる。
また第3開閉範囲Y3は、スリーブ57が第2可動位置X2にあるときにスリーブ入口57bとスリーブ出口57cとの間、すなわちスリーブ出口57cと油室56との間を遮断してハウジング入口55bからハウジング出口55cへの潤滑油の流れを遮断するピストン58の位置の範囲を示す。なお、第2開閉範囲Y2と第3開閉範囲Y3とは連続する範囲であるため、第2開閉範囲Y2において底壁57aから最も離間したピストン58の位置と、第3開閉範囲Y3において底壁57aに最も近接したピストン58の位置とは実質的に同じものとなる。
そして第4開閉範囲Y4は、スリーブ57が第2可動位置X2にあるときにスリーブ入口57bとスリーブ出口57cとの間、すなわちスリーブ出口57cと油室56との間を連通してハウジング入口55bからハウジング出口55cへの潤滑油の流れを許容するピストン58の位置の範囲を示す。なお、第3開閉範囲Y3と第4開閉範囲Y4とは連続する範囲であるため、第3開閉範囲Y3において底壁57aから最も離間したピストン58の位置と、第4開閉範囲Y4において底壁57aに最も近接したピストン58の位置とは実質的に同じものとなる。
図3及び図4を参照して、油圧制御機構50の動作態様について説明する。
図3は切替バルブ52が開弁状態にあるとき、すなわちスリーブ57が第1可動位置X1にあるときの供給油圧Pの増加にともなう油圧制御機構50の動作態様の変化を示す。
図3は切替バルブ52が開弁状態にあるとき、すなわちスリーブ57が第1可動位置X1にあるときの供給油圧Pの増加にともなう油圧制御機構50の動作態様の変化を示す。
図3(A)に示されるように、供給油圧Pが第1リリーフ圧力P1未満のとき、供給油圧Pとばね56aとの力の関係によりピストン58がスリーブ57の底壁57aに近いところに保持される。すなわち、ハウジング55に対するピストン58の位置は第1開閉範囲Y1内に保持される。
これにより、スリーブ入口57bとスリーブ出口57cとの間がピストン58を通じて遮断され、ハウジング入口55bからハウジング出口55cへの潤滑油の流れも遮断される。このため、リリーフバルブ51に供給された潤滑油はリリーフされず、供給油圧Pは第1リリーフ圧力P1に向けて速やかに増大する傾向を示す。また、この供給油圧Pの増加によりピストン58は底壁57aから離間する方向に移動するようになるものの、供給油圧Pが第1リリーフ圧力P1に達するまでは第1開閉範囲Y1内に保持される。
図3(B)に示されるように、供給油圧Pが第1リリーフ圧力P1を上回るとき、供給油圧Pとばね56aとの力の関係によりピストン58が第1開閉範囲Y1よりも底壁57aから離間したところに保持される。すなわち、ハウジング55に対するピストン58の位置は第2開閉範囲Y2内に保持される。
これにより、スリーブ入口57bとスリーブ出口57cとの間が連通され、ハウジング入口55bからハウジング出口55cへの潤滑油の流れが許容される。このため、リリーフバルブ51に供給された潤滑油はオイルポンプ43の上流側にリリーフされる。このとき、オイルポンプ43の吐出量の増加にともない供給油圧Pは増加する傾向を示すものの、その度合は供給油圧Pが第1リリーフ圧力P1未満のときよりも緩やかになる。また、この供給油圧Pの増加によりピストン58は底壁57aからさらに離間する方向に移動するようになるものの、リリーフ圧力PXが第1リリーフ圧力P1に設定される限りは上記と同様に供給油圧Pは緩やかに上昇する傾向を示す。
図4は切替バルブ52が閉弁状態にあるとき、すなわちスリーブ57が第2可動位置X2にあるときの供給油圧Pの増加にともなう油圧制御機構50の動作態様の変化を示す。
図4(A)に示されるように、供給油圧Pが第1リリーフ圧力P1と第2リリーフ圧力P2との間にあるとき、供給油圧Pとばね56aとの力の関係によりピストン58が第2開閉範囲Y2よりも底壁57aから離間したところに保持される。すなわち、ハウジング55に対するピストン58の位置は第3開閉範囲Y3内に保持される。
図4(A)に示されるように、供給油圧Pが第1リリーフ圧力P1と第2リリーフ圧力P2との間にあるとき、供給油圧Pとばね56aとの力の関係によりピストン58が第2開閉範囲Y2よりも底壁57aから離間したところに保持される。すなわち、ハウジング55に対するピストン58の位置は第3開閉範囲Y3内に保持される。
ここで、第2開閉範囲Y2において底壁57aから最も離間したピストン58の位置と、第3開閉範囲Y3において底壁57aに最も近接したピストン58の位置とは実質的に同じ位置である一方、スリーブ57が第2可動位置X2にあるときには第1可動位置X1にあるときよりもハウジング入口55bから離間したところにある。このため、ピストン58が第2開閉範囲Y2において底壁57aから最も離間した位置にあるときに、スリーブ57が第1可動位置X1から第2可動位置X2に切り替えられた直後、ピストン58の位置に実質的な変化はなくともスリーブ57が第1可動位置X1にあるとき(図3(B))とは異なりスリーブ入口57bがピストン58により閉鎖される。そして、ピストン58が第3開閉範囲Y3内にある限りはこの状態が維持される。
これにより、スリーブ入口57bとスリーブ出口57cとの間がピストン58を通じて遮断され、ハウジング入口55bからハウジング出口55cへの潤滑油の流れも遮断される。このため、リリーフバルブ51に供給された潤滑油はリリーフされず、供給油圧Pは第2リリーフ圧力P2に向けて速やかに増大する傾向を示す。また、この供給油圧Pの増加によりピストン58は底壁57aから離間する方向に移動するようになるものの、供給油圧Pが第2リリーフ圧力P2に達するまでは第3開閉範囲Y3内に保持される。
図4(B)に示すように、供給油圧Pが第2リリーフ圧力P2を上回るとき、供給油圧Pとばね56aとの力の関係によりピストン58が第3開閉範囲Y3よりも底壁57aから離間したところに保持される。すなわち、ハウジング55に対するピストン58の位置は第4開閉範囲Y4内に保持される。
これにより、スリーブ入口57bとスリーブ出口57cとの間が連通され、ハウジング入口55bからハウジング出口55cへの潤滑油の流れが許容される。このため、リリーフバルブ51に供給された潤滑油はオイルポンプ43の上流側にリリーフされる。このとき、オイルポンプ43の吐出量の増加にともない供給油圧Pは増加する傾向を示すものの、その度合は供給油圧Pが第2リリーフ圧力P2未満のときよりも緩やかになる。
なお、スリーブ57が第2可動位置X2にあるときにリリーフ圧力PXを第1リリーフ圧力P1に切り替える旨の要求が生じたときには、ハウジング55内において油室56及び切替室57dとは別に形成された補助室に対して潤滑油が供給される。すなわち、切替バルブ52が開弁されてリリーフ通路53の潤滑油が切替バルブ用通路54を介して補助室に供給される。これにより、補助室の油圧を通じてスリーブ57が第2可動位置X2から第1可動位置X1に向けて移動するようになる。
図5を参照して、機関回転速度NEと供給油圧Pとの関係について説明する。
機関回転速度NEが第1回転速度NE1よりも小さい領域にあるとき、スリーブ57は第1可動位置X1に保持されるとともに、供給油圧Pが第1リリーフ圧力P1未満であることにより、ピストン58が第1開閉範囲Y1内に保持される。すなわちリリーフバルブ51は、リリーフ圧力PXが第1リリーフ圧力P1に設定された状態且つ閉弁した状態にある。これにより、供給油圧Pは機関回転速度NEの上昇にともない第1リリーフ圧力P1に向けて速やかに増大する傾向を示す。
機関回転速度NEが第1回転速度NE1よりも小さい領域にあるとき、スリーブ57は第1可動位置X1に保持されるとともに、供給油圧Pが第1リリーフ圧力P1未満であることにより、ピストン58が第1開閉範囲Y1内に保持される。すなわちリリーフバルブ51は、リリーフ圧力PXが第1リリーフ圧力P1に設定された状態且つ閉弁した状態にある。これにより、供給油圧Pは機関回転速度NEの上昇にともない第1リリーフ圧力P1に向けて速やかに増大する傾向を示す。
機関回転速度NEが第1回転速度NE1を上回るとき、供給油圧Pが第1リリーフ圧力P1よりも大きくなり、ピストン58が第2開閉範囲Y2にまで押し下げられる。これにより、リリーフバルブ51が開弁してオイルポンプ43から吐出された潤滑油の一部は同ポンプ43の上流側にリリーフされる。
機関回転速度NEが第1回転速度NE1よりも大きく且つ第2回転速度NE2よりも小さい領域にあるとき、スリーブ57は第1可動位置X1に保持されるとともに、供給油圧Pが第1リリーフ圧力P1以上であることにより、ピストン58が第2開閉範囲Y2に保持される。すなわちリリーフバルブ51は、リリーフ圧力PXが第1リリーフ圧力P1に設定された状態且つ開弁した状態にある。これにより、供給油圧Pは機関回転速度NEの上昇にともない増大するものの、リリーフバルブ51が開弁していることにより増大の度合は機関回転速度NEが第1回転速度NE1より小さい場合と比較して緩やかになる。
機関回転速度NEが第2回転速度NE2を上回るとき、これに基づいてスリーブ57が第1可動位置X1から第2可動位置X2に切り替えられる。すなわち、リリーフバルブ51のリリーフ圧力PXが第1リリーフ圧力P1から第2リリーフ圧力P2に切り替えられる。これにより、スリーブ出口57cがピストン58により閉鎖されるため、リリーフバルブ51が閉弁して潤滑油のリリーフがなされなくなる。
機関回転速度NEが第2回転速度NE2よりも大きく且つ第3回転速度NE3よりも小さい領域にあるとき、スリーブ57は第2可動位置X2に保持されるとともに、供給油圧Pが第2リリーフ圧力P2未満であることにより、ピストン58が第3開閉範囲Y3内に保持される。すなわちリリーフバルブ51は、リリーフ圧力PXが第2リリーフ圧力P2に設定された状態且つ閉弁した状態にある。これにより、供給油圧Pは機関回転速度NEの上昇にともない速やかに増大する傾向を示す。
機関回転速度NEが第3回転速度NE3を上回るとき、供給油圧Pが第2リリーフ圧力P2よりも大きくなり、ピストン58が第4開閉範囲Y4にまで押し下げられる。これにより、リリーフバルブ51が開弁してオイルポンプ43から吐出された潤滑油の一部は同ポンプ43の上流側にリリーフされる。
機関回転速度NEが第3回転速度NE3よりも大きい領域にあるとき、スリーブ57は第2可動位置X2に保持されるとともに、供給油圧Pが第2リリーフ圧力P2以上であることにより、ピストン58が第4開閉範囲Y4に保持される。すなわちリリーフバルブ51は、リリーフ圧力PXが第2リリーフ圧力P2に設定された状態且つ開弁した状態にある。これにより、供給油圧Pは機関回転速度NEの上昇にともない増大するものの、リリーフバルブ51が開弁していることにより増大の度合は機関回転速度NEが第2回転速度NE2と第3回転速度NE3との間にある場合と比較して緩やかになる。
図6を参照して、こうした油圧制御の具体的な処理手順を定めた「供給油圧制御処理」の内容について説明する。なお、この処理は、エンジン10の運転中において電子制御装置60により所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
当該処理ではまずステップS110において、機関回転速度NEが高回転領域にあるか否かを判定する。この判定については、例えばクランクポジションセンサ63を通じて把握される機関回転速度NEが予め設定された判定値以上であるか否かに基づいて行うことができる。
ステップS110において、機関回転速度NEが高回転領域にある旨判定したときには、次のステップS120においてリリーフバルブ51のリリーフ圧力PXを第2リリーフ圧力P2に設定する。すなわち、切替バルブ52への通電を遮断する。一方、機関回転速度NEが高回転領域にない旨判定したときには、次のステップS130においてリリーフバルブ51のリリーフ圧力PXを第1リリーフ圧力P1に設定する。すなわち、切替バルブ52への通電を実行する。
ところで、上述した構成の潤滑油供給装置40においては、オイルパン41内のオイルレベルLが過度に低下した状態においてもリリーフ圧力PXが高圧側の第2リリーフ圧力P2に設定されている場合には、オイルパン41内の潤滑油が多量に消費されることに起因してオイルポンプ43のエア吸いが生じることもある。
そこで本実施形態では、オイルレベルセンサ65にてオイルパン41内のオイルレベルLを監視するとともにこれが過度に低下していることが検出されるときには油圧制御機構50のリリーフ圧力PXを第1リリーフ圧力P1に維持するようにしている。これにより、オイルパン41内の潤滑油の消費量はリリーフ圧力PXが第2リリーフ圧力P2に設定されているときよりも減量されるため、オイルポンプ43のエア吸いの発生は好適に抑制されるようになる。
図7を参照して、こうした油圧制御機構50の制御に関する具体的な処理手順を定めた「エア吸い対策制御処理」の内容について説明する。なお、この処理は、エンジン10の運転中において電子制御装置60により所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
当該処理ではまずステップS210において、オイルレベルセンサ65のオイルレベルLが判定値(以下、「判定値LX」)よりも低いか否かを判定する。ここで判定値LXとしては、オイルポンプ43のエア吸いをまねく可能性が十分に高くなるところにまでオイルパン41のオイルレベルLが低下しているか否かを判定するための値として試験等を通じて予め設定されている。すなわち、オイルレベルLが判定値LXよりも低い状態とは比較的短い期間の機関高負荷運転にともなうオイルパン41内の潤滑油の消費によってもオイルポンプ43のエア吸いの生じる可能性が十分にある状態ということができる。
ステップS210の判定処理において、オイルレベルLが判定値LXよりも高いまたは同じである旨判定したとき、すなわち機関高負荷運転がなされてもオイルポンプ43のエア吸いが生じる可能性は低い旨推定されるとき、本処理を一旦終了する。一方、オイルレベルLが判定値LXよりも低い旨判定したとき、すなわち機関高負荷運転がなされることにともないオイルポンプ43のエア吸いをまねく可能性が十分に高い旨推定されるとき、次のステップS220にて油圧制御機構50のリリーフ圧力PXを低圧側の第1リリーフ圧力P1に設定する。リリーフ圧力PXがすでに第1リリーフ圧力P1に設定されている場合にはこれを維持する。具体的には、切替バルブ52に対する通電を実行して、スリーブ57の位置を第1可動位置X1に維持する。
ところで、ステップS220の処理を通じてリリーフ圧力PXを第1リリーフ圧力P1に設定した状態においては、エンジン10の各潤滑部位に多量の潤滑油を供給することはできないため、こうした運転状態のもとのに高回転高負荷運転がなされたときには潤滑部位にて焼き付きが生じることも想定される。
そこで、当該処理ではこうした問題が生じることを抑制するため、ステップS230にてエンジン10の出力を制限するフェールセーフ運転を実行する。すなわち、機関負荷の上限値及び機関回転速度NEの上限値のそれぞれについて、これをオイルレベルLが判定値LXよりも小さいことに基づいてリリーフ圧力PXを第1リリーフ圧力P1に設定する前よりも小さい値に設定し、実際の機関負荷及び機関回転速度NEが各々の上限値を超えないようにエンジン10の運転を行う。この運転に際しては、機関負荷及び機関回転速度NEが各々の上限値を超えないようにするため、オイルレベルLが判定値LXよりも小さい旨判定したことに基づいてリリーフ圧力PXを第1リリーフ圧力P1に設定する前よりも吸入空気量の上限値及び燃料噴射量の上限値のそれぞれが小さいものに設定される。
そしてステップS240では、フェールセーフ運転の実施中である旨を示す警告灯を点灯して運転者に対してその旨を報知する。その後は、運転者によりエンジン10の運転が停止されるまでフェールセーフ運転及び警告灯の点灯を継続する。
本実施形態の内燃機関の潤滑油供給装置によれば以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、オイルパン41のオイルレベルLが判定値LXよりも低いか否かを判定し、低い旨の判定結果が得られるときにはこれに基づいてリリーフ圧力PXを第1リリーフ圧力P1に設定するようにしている。すなわち、オイルパン41のオイルレベルLが判定値LXよりも低いか否かを判定し、低い旨の判定結果が得られるときにはこれに基づいてリリーフ圧力PXをそのとき選択されているリリーフ圧力よりも低圧側のリリーフ圧力に設定するようにしている。これにより、オイルパン41内の潤滑油が消費される量はリリーフ圧力PXが第2リリーフ圧力P2に設定されているときよりも減量されるため、オイルポンプ43のエア吸いが生じることを好適に抑制することができるようになる。
(1)本実施形態では、オイルパン41のオイルレベルLが判定値LXよりも低いか否かを判定し、低い旨の判定結果が得られるときにはこれに基づいてリリーフ圧力PXを第1リリーフ圧力P1に設定するようにしている。すなわち、オイルパン41のオイルレベルLが判定値LXよりも低いか否かを判定し、低い旨の判定結果が得られるときにはこれに基づいてリリーフ圧力PXをそのとき選択されているリリーフ圧力よりも低圧側のリリーフ圧力に設定するようにしている。これにより、オイルパン41内の潤滑油が消費される量はリリーフ圧力PXが第2リリーフ圧力P2に設定されているときよりも減量されるため、オイルポンプ43のエア吸いが生じることを好適に抑制することができるようになる。
(2)本実施形態では、オイルパン41のオイルレベルLが判定値LXよりも低い旨の判定に基づいてリリーフ圧力PXが低圧側のリリーフ圧力に設定された状態においては、機関負荷の上限値をオイルパン41のオイルレベルLが判定値LXよりも高いときの上限値よりも小さくするようにしている。これにより、エンジン10において焼き付きが生じることを好適に抑制することができるようになる。
(3)本実施形態では、オイルパン41のオイルレベルLが判定値LXよりも低い旨の判定に基づいてリリーフ圧力PXが低圧側のリリーフ圧力に設定された状態においては、機関回転速度NEの上限値をオイルパン41のオイルレベルLが判定値LXよりも高いときの上限値よりも小さくするようにしている。これにより、エンジン10において焼き付きが生じることを好適に抑制することができるようになる。
(4)本実施形態では、オイルパン41のオイルレベルLが判定値LXよりも低い旨の判定に基づいてリリーフ圧力PXが低圧側のリリーフ圧力に設定された状態においては、燃料噴射量の上限値をオイルパン41のオイルレベルLが判定値LXよりも高いときの上限値よりも小さくするようにしている。これにより、エンジン10において焼き付きが生じることを好適に抑制することができるようになる。
(5)本実施形態では、オイルパン41のオイルレベルLが判定値LXよりも低い旨の判定に基づいてリリーフ圧力PXが低圧側のリリーフ圧力に設定された状態においては、吸入空気量の上限値をオイルパン41のオイルレベルLが判定値LXよりも高いときの上限値よりも小さくするようにしている。これにより、エンジン10において焼き付きが生じることを好適に抑制することができるようになる。
(6)オイルレベルLの低下に起因するオイルポンプ43のエア吸いを抑制するための制御として、上記実施形態にて説明したものの他に例えば次のようなものも考えられる。なお以下の説明においては、主にクランクシャフト25に潤滑油を供給するための油路としてエンジン10内に形成されたものをメインギャラリとし、主にカムシャフト等の動弁系の要素に潤滑油を供給するための油路としてエンジン10内に形成されたものサブギャラリとしている。すなわち、オイルレベルLが判定値LXよりも低い旨判定したとき、メインギャラリ及びサブギャラリの分岐点から各ギャラリに配分する潤滑油量の比率、すなわち分岐点からメインギャラリに供給される潤滑油量Aと分岐点からサブギャラリに供給される潤滑油量Bとの比率A:Bの関係について、これを「A>B」から「A<B」に変更する。換言すると、オイルレベルLが判定値LXよりも低い旨判定したときには、そのときよりもメインギャラリに供給される潤滑油量Aを減量する一方でサブギャラリに供給される潤滑油量Bを増量する。そして、相対的に潤滑油の消費量が大きいメインギャラリに供給される潤滑油量Aが減量されることによりオイルパン41内の潤滑油の消費量も減量されるため、上記比率の変更を行わないときと比較してエア吸いが生じる頻度は低減されるようになる。
しかしこうした制御を採用した場合には、エア吸いを抑制するうえで上記比率の変更が必須の条件となるため、比率の変更を避けることが望まれる運転状態においてもエア吸いの抑制を図るためにはそうした要求を断念して比率の変更を行わざるを得ないことになる。これに対して本実施形態の潤滑油供給装置40によれば、そのような比率の変更を特に行わなくともオイルパン41内の潤滑油の消費量の低減を図ることはできるため、上述したような比率の変更を避けることが望まれる運転状態のときにこの要求に応じたうえでオイルポンプ43のエア吸いの発生を抑制することができるようになる。なお、上述した比率の変更が格別に問題とならない場合においては、オイルレベルLが判定値LXよりも低いことに基づいて第1リリーフ圧力P1に設定する制御に併せて上記比率を変更する制御を行うこともできる。
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記実施形態に限られるものではなく、例えば以下に示すように変更することもできる。
なお、本発明の実施態様は上記実施形態に限られるものではなく、例えば以下に示すように変更することもできる。
・上記実施形態では、エンジン10の各部位に対してリリーフ圧力PXを第1リリーフ圧力P1及び第2リリーフ圧力P2の2段階に切替えることのできる油圧制御機構50を備えるようにしたが、複数のリリーフ圧力を選択することのできるものであれば切替段階は2段階に限られるものではない。例えば、リリーフ圧力PXを3段階以上に切り替える構成を採用した場合、オイルレベルLが判定値LXよりも低いときに、複数のリリーフ圧力PXのうち最も低圧側のリリーフ圧力を選択する、あるいはオイルレベルLが判定値よりも低いと判定されたときのリリーフ圧力PXよりも低圧側のリリーフ圧力を選択することにより、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
・上記実施形態では、オイルレベルセンサ65によりオイルレベルLが判定値LXと比較して低いか否かを判定したが、オイルレベルLを測定する方法はオイルレベルセンサ65に限られるものではない。例えば、機関回転速度NEに基づいてオイルポンプ43の吐出量を推定し、これに基づいてオイルレベルLを推定することもできる。
・上記実施形態では、機関駆動式のオイルポンプ43について例示したが、本発明に係る潤滑油供給装置40は機関駆動式のオイルポンプ43を必須の構成とするものではなく、これに代えて電動式のオイルポンプを採用することもできる。
・上記実施形態では、切替バルブ52として通電時に開弁するものを採用したが、これに代えて非通電に開弁するものを採用することもできる。
・上記実施形態では、切替バルブ52として電磁バルブを採用したが、これに代えて油圧や負圧等によって駆動する切替バルブを採用することもできる。
・上記実施形態では、切替バルブ52として電磁バルブを採用したが、これに代えて油圧や負圧等によって駆動する切替バルブを採用することもできる。
・上記実施形態では、油圧制御機構50として、ハウジング55に対するスリーブ57の位置を操作してリリーフ圧力PXを第1リリーフ圧力P1または第2リリーフ圧力P2に設定するものを採用したが、リリーフ圧力PXを切り替えるための構成はこれに限られるものではない。例えば、油圧制御機構50に制御圧力の異なる2つの圧力調整弁を設け、これらのいずれかを適宜選択することによりリリーフ圧力PXを切り替えることもできる。
・上記実施形態では、オイルポンプ43から吐出された潤滑油を、切替バルブ用通路54、切替口55dを通じて切替室57dへ導入するか否かを切替バルブ52により切替えることで、ピストン58の開閉方向におけるスリーブ57の位置を第1可動位置X1と第2可動位置X2とで切替えるようにしている。しかしながら、スリーブ57の位置を切替える手段はこれに限られるものではなく、電気的或いは機械的にスリーブを直接駆動してスリーブの位置を切替えるようにしてもよい。
・本発明に係るリリーフバルブは上記実施形態において例示したリリーフバルブ51に限られるものではない。リリーフバルブとしては、オイルポンプ43から吐出される潤滑油の圧力が所定の開弁圧以上となると開弁して同潤滑油の一部をオイルポンプ43の上流側に逃がすものであればよい。
・結局のところ、上記各変更が許容される範囲内の潤滑油供給装置であれば、いずれの潤滑油供給装置に対しても本発明の適用は可能であり、その場合にも上記実施形態の作用効果に準じた作用効果を奏することはできる。
10…エンジン、20…エンジン本体、21…シリンダブロック、22…シリンダ、23…ピストン、24…コネクティングロッド、25…クランクシャフト、26…インジェクタ、30…燃焼室、40…潤滑油供給装置、41…オイルパン(貯留部)、42…供給通路、43…オイルポンプ、44…オイルストレーナ、45…オイルフィルタ、50…油圧制御機構、51…リリーフバルブ(油圧制御弁)、52…切替バルブ(切替弁)、53…リリーフ通路(制御通路)、54…切替バルブ用通路(可動通路)、55…ハウジング(弁本体)、55a…底壁、55b…ハウジング入口(本体入口)、55c…ハウジング出口(本体出口)、55d…切替口、55e…端面、56…油室、56a…ばね、57…スリーブ(可動体)、57a…底壁、57b…スリーブ入口(可動入口)、57c…スリーブ出口(可動出口)、57d…切替室、57e…端面、58…ピストン(弁体)、59…閉塞体、59a…本体部、59b…フランジ部、60…電子制御装置、61…アクセルポジションセンサ、62…スロットルポジションセンサ、63…クランクポジションセンサ、64…エアフロメータ、65…オイルレベルセンサ。
Claims (9)
- 内燃機関に供給される潤滑油を貯留する貯留部と、この貯留部からオイルを吸い上げるオイルポンプと、このオイルポンプから吐出される潤滑油を内燃機関の各潤滑部位に供給する供給通路と、この供給通路の油圧を制御する油圧制御機構とを備え、この油圧制御機構は、前記供給通路の潤滑油を所定部位にリリーフするためのリリーフ圧力を低圧側の第1リリーフ圧力と高圧側の第2リリーフ圧力との間で切り替えるものである内燃機関の潤滑油供給装置において、
前記貯留部のオイルレベルが判定値よりも低いか否かを判定し、低い旨の判定結果が得られるときにはこれに基づいて前記リリーフ圧力を第1リリーフ圧力に設定する制御手段を備える
ことを特徴とする内燃機関の潤滑油供給装置。 - 内燃機関に供給される潤滑油を貯留する貯留部と、この貯留部からオイルを吸い上げるオイルポンプと、このオイルポンプから吐出される潤滑油を内燃機関の各潤滑部位に供給する供給通路と、この供給通路の油圧を制御する油圧制御機構とを備え、この油圧制御機構は、前記供給通路の潤滑油を所定部位にリリーフするためのリリーフ圧力を複数のリリーフ圧力で切り替えるものである内燃機関の潤滑油供給装置において、
前記貯留部のオイルレベルが判定値よりも低いか否かを判定し、低い旨の判定結果が得られるときにはこれに基づいて前記リリーフ圧力をそのとき選択されているリリーフ圧力よりも低圧側のリリーフ圧力に設定する制御手段を備える
ことを特徴とする内燃機関の潤滑油供給装置。 - 請求項1または2に記載の内燃機関の潤滑油供給装置において、
前記制御手段は、前記貯留部のオイルレベルが判定値よりも低い旨の判定に基づいて、機関負荷の上限値を前記貯留部のオイルレベルが判定値よりも高いときの上限値よりも小さくする
ことを特徴とする内燃機関の潤滑油供給装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の潤滑油供給装置において、
前記制御手段は、前記貯留部のオイルレベルが判定値よりも低い旨の判定に基づいて、機関回転速度の上限値を前記貯留部のオイルレベルが判定値よりも高いときの上限値よりも小さくする
ことを特徴とする内燃機関の潤滑油供給装置。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の潤滑油供給装置において、
前記制御手段は、前記貯留部のオイルレベルが判定値よりも低い旨の判定に基づいて、燃料噴射量の上限値を前記貯留部のオイルレベルが判定値よりも高いときの上限値よりも小さくする
ことを特徴とする内燃機関の潤滑油供給装置。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の潤滑油供給装置において、
前記制御手段は、前記貯留部のオイルレベルが判定値よりも低い旨の判定に基づいて、吸入空気量の上限値を前記貯留部のオイルレベルが判定値よりも高いときの上限値よりも小さくする
ことを特徴とする内燃機関の潤滑油供給装置。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の内燃機関の潤滑油供給装置において、
前記油圧制御機構は、オイルポンプから吐出された潤滑油の圧力が前記第1のリリーフ圧力または前記第2のリリーフ圧力を超えることに基づいて潤滑油を前記オイルポンプの上流側にリリーフする油圧制御弁を含めて構成されるものであり、
前記油圧制御弁は、その動作状態が第1の動作状態に維持されるときにリリーフ圧力を前記第1リリーフ圧力に設定し、その動作状態が第2の動作状態に維持されるときにリリーフ圧力を前記第2リリーフ圧力に設定するものである
ことを特徴とする内燃機関の潤滑油供給装置。 - 請求項7に記載の内燃機関の潤滑油供給装置において、
前記油圧制御機構は、前記供給通路における前記オイルポンプの上流側と下流側とを接続する制御通路と、この制御通路に設けられて前記オイルポンプから吐出された潤滑油の圧力がリリーフ圧力を超えることに基づいて潤滑油を前記オイルポンプの上流側にリリーフする前記油圧制御弁と、この油圧制御弁を操作してリリーフ圧力を切り替える切替機構とを含めて構成されるものであり、
前記油圧制御弁は、潤滑油を滞留させる油室が形成された弁本体と、同油室内に設けられて前記弁本体に対して移動する弁体と、前記弁本体と前記弁体との間に設けられてこれらに対して移動する可動体とを含めて構成されるものであり、
前記弁本体は、前記オイルポンプの下流側にある前記制御通路と前記油室とを連通する本体入口と、前記オイルポンプ上流側にある前記制御通路と前記油室とを連通する本体出口とを含めて構成されるものであり、
前記可動体は、前記本体入口と前記油室との間に設けられてこれらを連通する可動入口と、前記本体出口と前記油室との間に設けられてこれらを連通する可動出口とを含めて構成されるものであり、且つ前記弁本体に対して第1の可動位置と第2の可動位置との間で移動するものであり、且つ前記第1の可動位置及び前記第2の可動位置のいずれにあるときにも前記本体入口と前記可動入口とが連通した状態、及び前記本体出口と前記可動出口とが連通した状態を維持するものであり、
前記弁体は、前記弁本体に対する位置として少なくとも、前記可動入口に近いところにある第1の弁体範囲及びこれよりも前記可動入口から離間したところにある第2の弁体範囲及びこれよりも前記可動入口から離間したところにある第3の弁体範囲及びこれよりも前記可動入口から離間した第4の弁体範囲のいずれかをとり得るものであって、前記可動体の位置にかかわらず前記第1の弁体範囲にあるときには前記可動入口と前記可動出口との間を遮断して前記本体入口から前記本体出口への潤滑油の流れを遮断するものであり、且つ前記可動体が前記第1の可動位置にあるときに前記第2の弁体範囲にあるときには前記可動入口と前記可動出口との間を連通して前記本体入口から前記本体出口への潤滑油の流れを許容するものであり、且つ前記可動体が前記第2の可動位置にあるときに前記第3の弁体範囲にあるときには前記可動入口と前記可動出口との間を遮断して前記本体入口から前記本体出口への潤滑油の流れを遮断するものであり、且つ前記可動体が前記第2の可動位置にあるときに前記第4の弁体範囲にあるときには前記可動入口と前記可動出口との間を連通するものであり、
前記油圧制御弁は、前記可動体が前記第1の可動位置にあることを前記第1の動作状態とし、前記可動体が前記第2の可動位置にあることを前記第2の動作状態とするものであり、
前記切替機構は、前記可動体の位置を操作することによりリリーフ圧力を前記第1リリーフ圧力と前記第2リリーフ圧力との間で切り替えるものである
ことを特徴とする内燃機関の潤滑油供給装置。 - 請求項8に記載の内燃機関の潤滑油供給装置において、
前記切替機構は、前記油圧制御弁において前記弁本体と前記可動体との間に前記油室とは区画して設けられる切替室と、前記制御通路から分岐してこの切替室に接続される可動通路と、この可動通路を介しての前記制御通路から前記切替室への潤滑油の供給態様を制御する切替弁とを含めて構成されるものであり、
前記可動体は、前記可動通路を介して前記切替室に潤滑油が供給されることに基づいて前記第1の可動位置に設定され、前記切替室への潤滑油の供給が遮断されることに基づいて前記第2の可動位置に設定されるものであり、
前記油圧制御弁は、前記可動体が前記第1の可動位置に維持されることに基づいてリリーフ圧力を第1リリーフ圧力に設定し、前記可動体が前記第2の可動位置に維持されることに基づいてリリーフ圧力を前記第2リリーフ圧力に設定するものである
ことを特徴とする内燃機関の潤滑油供給装置。
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JP2009088433A JP2010236526A (ja) | 2009-03-31 | 2009-03-31 | 内燃機関の潤滑油供給装置 |
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Cited By (1)
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-
2009
- 2009-03-31 JP JP2009088433A patent/JP2010236526A/ja active Pending
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JP2014047702A (ja) * | 2012-08-31 | 2014-03-17 | Yamada Seisakusho Co Ltd | エンジン潤滑制御システム |
CN103670582A (zh) * | 2012-08-31 | 2014-03-26 | 株式会社山田制作所 | 发动机润滑控制系统 |
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