JP2010235583A - イオン液体、電解質およびリチウム二次電池 - Google Patents

イオン液体、電解質およびリチウム二次電池 Download PDF

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誠一郎 早川
Seiji Maeda
誠二 前田
Yasuhiro Aoki
康浩 青木
Ryota Tatsumi
遼多 巽
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Abstract

【課題】導電率やセパレータへの含浸性に優れ、安全性に優れる、リチウム二次電池に有用な電解質を得るための新規なイオン液体、及びそれを用いてなる電解質を提供する。
【解決手段】表面張力が35mN/m以下であること、及び下式で表されるフッ素化アルキル基含有β−ジケトン型アニオンを有することを特徴とするイオン液体、それを用いた電解質、並びに該電解質を用いたリチウム二次電池。

[式中、R、Rは、同じでも異なっても良く、炭素数1〜5のアルキル基であり、少なくとも1つがフッ素化アルキル基であり、Rは水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5のアルキル基またはフッ素化アルキル基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なイオン液体に関し、導電率などの電気化学特性に優れ、更に、安全性に優れる、リチウム二次電池に有用なイオン液体、イオン液体系の電解質、およびそれを用いたリチウム二次電池に関するものである。
近年、ノート型パソコン、携帯電話、PDAなどの情報電子機器において、リチウム二次電池の普及は著しく、より快適な携帯性を求め、電池の小型化、薄型化、軽量化、高性能化が急速に進んでいる。また、次世代の自動車として期待される電気自動車においてもリチウム二次電池の適用が検討されており、更なる小型化、軽量化、高性能化が必要となっている。
一方、情報電子機器の発火や暴発など、現在のリチウム二次電池の安全性が問題になっている。現在のリチウム二次電池は、セパレータにより正極と負極の短絡を防止しているが、可燃性かつ揮発性の有機溶媒を電解質として用いるために、常に発火や暴発の危険性をはらんでいる。これらの危険性は、大容量電池になるほど増加し、電気自動車普及の妨げになっていた。
そこで、難燃性かつ低揮発性のイオン液体を電解質として用いたリチウム二次電池が検討されている。ここで言うイオン液体とは、カチオンとアニオンからなる塩であり、室温付近以下の融点をもつ化合物のことである。
電解質用のイオン液体としては、例えば、イミダゾリウム系カチオンと、リチウムカチオンと、含フッ素アニオンとを含有する電解質が用いられ、正極と負極を具備した電池が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2004−303642号公報
しかしながら、上記の開示技術のイオン液体では表面張力が大きいため、セパレータや電極にイオン液体が浸透しないか浸透しづらく、浸透するとしても非常に長時間を要したり、また均一に浸透させることが困難であったりする。更には、リチウム二次電池としての電気化学特性(充放電特性等)にも影響することとなり、リチウム二次電池用の電解質としてまだまだ十分なものではなかった。
そこで、本発明ではこのような背景下において、電気化学特性や安全性に優れるうえ、リチウム二次電池とした際のセパレータへの含浸性にも優れる、リチウム二次電池に有用な新規なイオン液体、及びそれを用いた電解質、並びにリチウム二次電池を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、従来電解質に用いられるイオン液体の表面張力よりも小さいイオン液体を用いることにより、電気化学特性と安全性に優れ、特に、リチウム二次電池とする際のセパレータへの含浸性に優れる電解質が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、表面張力が35mN/m以下であるイオン液体に関するものである。
表面張力が35mN/m以下のイオン液体を用いることにより、セパレータとの接触角を低減し、セパレータの内部までイオン液体を浸透させることができる。なお、ここでいうセパレータとは、厚さ10〜50μm程度の樹脂製やガラス製の微多孔膜であり、リチウムイオンのイオン移動に対して低抵抗であるものが用いられる。
また、本発明では、下記一般式(1)で示されるフッ素化アルキル基含有β−ジケトン型アニオンを有するイオン液体も提供するものである。
(1)
(ここで、R、Rは同じでも異なっても良く、炭素数1〜5のアルキル基であり、少なくとも1つがフッ素化アルキル基である。Rは水素、フッ素、炭素数1〜5のアルキル基、またはフッ素化アルキル基である。)
更に、前記イオン液体を用いた電解質及びかかる電解質を用いたリチウム二次電池も提供するものである。
本発明のイオン液体は、電気化学特性や安全性に優れるうえ、リチウム二次電池とした際のセパレータへの含浸性にも優れた効果を有するものであり、リチウム二次電池などの電解質材料として非常に有用である。
実施例1で得られたイオン液体(A−1)の1H−NMRチャートである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のイオン液体は、表面張力が35mN/m以下のものである。表面張力を低減することにより、セパレータとの接触角を低減し、セパレータの内部までイオン液体を浸透させることができる。イオン液体の表面張力は、セパレータへの浸透性の点から、好ましくは32mN/m以下、特に好ましくは30mN/m以下である。なお、通常、表面張力の下限値は、1mN/mである。なお、ここでいう表面張力とは、懸滴法で測定した値のことである。
本発明では、上記イオン液体の中でも、下記一般式(1)で示されるフッ素化アルキル基含有β−ジケトン型アニオンを有するイオン液体であることが低粘度化の点で好ましい。
(1)
(ここで、R、Rは同じでも異なっても良く、炭素数1〜5、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、少なくとも1つがフッ素化アルキル基である。Rは水素、フッ素、炭素数1〜5(好ましくは炭素数1〜3)のアルキル基またはフッ素化アルキル基である。)
本発明におけるフッ素化アルキル基含有β−ジケトン型アニオンとしては、例えば、
1−フルオロ−2,4−ペンタンジオナート(R1:CH2F、R2:CH3)、1,1−ジフルオロ−2,4−ペンタンジオナート(R1:CHF2、R2:CH3)、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオナート(R1:CF3、R2:CH3)、1,1,1,5−テトラフルオロ−2,4−ペンタンジオナート(R1:CF3、R2:CH2F)、1,1,1,5,5−ペンタフルオロ−2,4−ペンタンジオナート(R1:CF3、R2:CHF2)、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオナート(R1:CF3、R2:CF3)、1,1,1−トリフルオロ−3−メチル−2,4−ペンタンジオナート(R1:CF3、R2:CH3、R3:CH3)、1,1,1−トリフルオロ−3−トリフルオロメチル−2,4−ペンタンジオナート(R1:CF3、R2:CH3、R3:CF3)、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−フルオロ−2,4−ペンタンジオナート(R1:CF3、R2:F、R3:CH3)、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−メチル−2,4−ペンタンジオナート(R1:CF3、R2:CF3、R3:CH3)、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−トリフルオロメチル−2,4−ペンタンジオナート(R1:CF3、R2:CF3、R3:CF3)などの2,4−ペンタンジオナート系アニオン、
1−フルオロ−2,4−ヘキサンジオナート(R1:CH2F、R2:CH2CH3)、1,1−ジフルオロ−2,4−ヘキサンジオナート(R1:CHF2、R2:CH2CH3)、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ヘキサンジオナート(R1:CF3、R2:CH2CH3)、6−フルオロ−2,4−ヘキサンジオナート(R1:CH3、R2:CH2CH2F)、6,6−ジフルオロ−2,4−ヘキサンジオナート(R1:CH3、R2:CH2CHF2)、6,6,6−トリフルオロ−2,4−ヘキサンジオナート(R1:CH3、R2:CH2CF3)、1,6,6,6−テトラフルオロ−2,4−ヘキサンジオナート(R1:CH2F、R2:CH2CF3)、1,1,6,6,6−ペンタフルオロ−2,4−ヘキサンジオナート(R1:CHF2、R2:CH2CF3)、1,1,1,6,6,6−ヘキサフルオロ−2,4−ヘキサンジオナート(R1:CF3、R2:CH2CF3)、5,5,6,6,6−ペンタフルオロ−2,4−ヘキサンジオナート(R1:CH3、R2:CF2CF3)、1,1,1,5,5,6,6,6−オクタフルオロ−2,4−ヘキサンジオナート(R1:CF3、R2:CF2CF3)、1,1,1−トリフルオロ−3−メチル−2,4−ヘキサンジオナート(R1:CF3、R2:CH2CH3、R3:CH3)、1,1,1,6,6,6−ヘキサフルオロ−3−メチル−2,4−ヘキサンジオナート(R1:CF3、R2:CH2CF3、R3:CH3)、5,5,6,6,6−ペンタフルオロ−3−メチル−2,4−ヘキサンジオナート(R1:CH3、R2:CF2CF3、R3:CH3)、1,1,1,5,5,6,6,6−オクタフルオロ−3−メチル−2,4−ヘキサンジオナート(R1:CF3、R2:CF2CF3、R3:CH3)、1,1,1−トリフルオロ−3−トリフルオロメチル−2,4−ヘキサンジオナート(R1:CF3、R2:CH2CH3、R3:CF3)、1,1,1,6,6,6−ヘキサフルオロ−3−トリフルオロメチル−2,4−ヘキサンジオナート(R1:CF3、R2:CH2CF3、R3:CF3)、5,5,6,6,6−ペンタフルオロ−3−トリフルオロメチル−2,4−ヘキサンジオナート(R1:CH3、R2:CF2CF3、R3:CF3)、1,1,1,5,5,6,6,6−オクタフルオロ−3−トリフルオロメチル−2,4−ヘキサンジオナート(R1:CF3、R2:CF2CF3、R3:CF3)などの2,4−ヘキサンジオナート系アニオン、
1−フルオロ−2,4−ヘプタンジオナート(R1:CH2F、R2:CH2CH2CH3)、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ヘプタンジオナート(R1:CF3、R2:CH2CH2CH3)、7−フルオロ−2,4−ヘプタンジオナート(R1:CH3、R2:CH2CH2CH2F)、7,7,7−トリフルオロ−2,4−ヘプタンジオナート(R1:CH3、R2:CH2CH2CF3)、6,6,7,7,7−ペンタフルオロ−2,4−ヘプタンジオナート(R1:CH3、R2:CH2CF2CF3)、5,5,6,6,7,7,7−ヘプタフルオロ−2,4−ヘプタンジオナート(R1:CH3、R2:CF2CF2CF3)、1,1,1,5,5,6,6,7,7,7−デカフルオロ−2,4−ヘプタンジオナート(R1:CF3、R2:CF2CF2CF3)などの2,4−ヘプタンジオナート系アニオン、
1−フルオロ−3,5−ヘプタンジオナート(R1:CH2CH2F、R2:CH2CH3)、1,1,1−トリフルオロ−3,5−ヘプタンジオナート(R1:CH2CF3、R2:CH2CH3)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−3,5−ヘプタンジオナート(R1:CF2CF3、R2:CH2CH3)、1,1,1,2,2,6,6,6−オクタフルオロ−3,5−ヘプタンジオナート(R1:CF2CF3、R2:CH2CF3)、1,1,1,2,2,5,5,6,6,6−デカフルオロ−3,5−ヘプタンジオナート(R1:CF2CF3、R2:CH2CF3)などの3,5−ヘプタンジオナート系アニオン
等が挙げられる。
上記の中でも、融点の観点から、フッ素原子を3個以上、特に6個以上有するβ−ジケトン型アニオンが好ましく、より好ましくは、導電率の点から、2,4−ペンタンジオナート系アニオンと2,4−ヘキサンジオナート系アニオンが好ましく、特に好ましくは、表面張力の点から、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオナート(R1:CF3、R2:CF3)、1,1,1,5,5,6,6,6−オクタフルオロ−2,4−ヘキサンジオナート(R1:CF3、R2:CF2CF3)などのβ−ジケトンの両末端側鎖が全てフッ素化されたβ−ジケトン型アニオンである。なお、フッ素原子は低価格化の点から通常12個以下であることが好ましい。
本発明のイオン液体のカチオンとしては、通常無機または有機カチオンから選ばれるが、好ましくは有機カチオンであり、低融点の点から含窒素系有機カチオンであることがより好ましい。含窒素系有機カチオンとしては、例えば、イミダゾリウム系カチオン、ピロリジニウム系カチオン、ピペリジニウム系カチオン、四級アンモニウム系カチオン等が挙げられるが、中でも、導電率の点からイミダゾリウム系カチオンが好ましい。
かかるイミダゾリウム系カチオンとしては、合成の簡便さから、イミダゾリウム骨格の窒素原子にアルキル基が結合したN置換型のイミダゾリウム系カチオンや、更にイミダゾリウム骨格の炭素原子にもアルキル基が結合したN,C置換型のイミダゾリウム系カチオンが好ましい。なお、ここでいうアルキル基は、ハロゲン、エーテル酸素、エーテル硫黄、シアノ基などの結合基を含んでも良い。より好ましくは、低粘度化の点から、3置換以下のイミダゾリウム系カチオンであり、更に好ましくは、低粘度化の点から、それぞれの置換アルキル基の炭素数が5以下、好ましくは4以下のイミダゾリウム系カチオンである。
具体的に、本発明に用いられるイミダゾリウム系カチオンとしては、例えば、以下のカチオンが挙げられる。
1−メチルイミダゾリウム、1−エチルイミダゾリウム、1−プロピルイミダゾリウム、1−ブチルイミダゾリウム、1−ペンチルイミダゾリウム、1−(2−シアノエチル)イミダゾリウムなどの1置換型のイミダゾリウム系カチオン、
1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1,3−ジプロピルイミダゾリウム、1,3−ジブチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−エチル−3−ブチルイミダゾリウム、1,2−ジメチルイミダゾリウム、2−エチル−1−メチルイミダゾリウム、1−メチル−2−プロピルイミダゾリウム、2−ブチル−1−メチルイミダゾリウム、1−エチル−2−メチルイミダゾリウム、1,2−ジエチルイミダゾリウム、1−エチル−2−プロピルイミダゾリウム、2−ブチル−1−エチルイミダゾリウム、2−メチル−1−プロピルイミダゾリウム、2−エチル−1−プロピルイミダゾリウム、1,2−ジプロピルイミダゾリウム、2−ブチル−1−プロピルイミダゾリウム、1−ブチル−2−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−2−エチルイミダゾリウムなどの2置換型のイミダゾリウム系カチオン、
1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、2−エチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチル−2−メチルイミダゾリウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリウム、1,2−ジエチル−3−メチルイミダゾリウム、2,3−ジメチル−1−プロピルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3,5−トリメチルイミダゾリウム、1−エチル−3,5−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−3,5−ジメチルイミダゾリウム、5−エチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,5−ジエチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−5−エチル−3−メチルイミダゾリウムなどの3置換型のイミダゾリウム系カチオンが挙げられる。
上述した3置換以下、かつそれぞれの置換アルキル基の炭素数が5以下のイミダゾリウムの中でも、低融点化の点から、非対称構造を有するイミダゾリウムが好ましく、特に、低粘度化の点から、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、2,3−ジメチル−1−プロピルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムが好ましい。
また、ピロリジニウム系カチオンとしては、例えば、N,N−ジメチルピロリジニウム、N−エチル−N−メチルピロリジニウム、N−メチル−N−プロピルピロリジニウム、N−ブチル−N−メチルピロリジニウム、N−メチル−N−ペンチルピロリジニウム、N−ヘキシル−N−メチルピロリジニウム、N−メチル−N−オクチルピロリジニウム、N−デシル−N−メチルピロリジニウム、N−ドデシル−N−メチルピロリジニウム、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピロリジニウム、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピロリジニウム、N−(2−プロポキシエチル)−N−メチルピロリジニウム、N−(2−イソプロポキシエチル)−N−メチルピロリジニウムなどを挙げることができる。
ピペリジニウム系カチオンとしては、例えば、N,N−ジメチルピペリジニウム、N−エチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−プロピルピペリジニウム、N−ブチル−N−メチルピペリジニウム、N−メチル−N−ペンチルピペリジニウム、N−ヘキシル−N−メチルピペリジニウム、N−メチル−N−オクチルピペリジニウム、N−デシル−N−メチルピペリジニウム、N−ドデシル−N−メチルピペリジニウム、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピペリジニウム、N−(2−メトキシエチル)−N−エチルピペリジニウム、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピペリジニウム、N−メチル−N−(2−メトキシフェニル)ピペリジニウム、N−メチル−N−(4−メトキシフェニル)ピペリジニウム、N−エチル−N−(2−メトキシフェニル)ピペリジニウム、N−エチル−N−(4−メトキシフェニル)ピペリジニウムなどを挙げることができる。
四級アンモニウム系カチオンとしては、例えば、N,N,N,N−テトラメチルアンモニウム、N,N,N−トリメチルエチルアンモニウム、N,N,N−トリメチルプロピルアンモニウム、N,N,N−トリメチルブチルアンモニウム、N,N,N−トリメチルペンチルアンモニウム、N,N,N−トリメチルヘキシルアンモニウム、N,N,N−トリメチルヘプチルアンモニウム、N,N,N−トリメチルオクチルアンモニウム、N,N,N−トリメチルデシルアンモニウム、N,N,N−トリメチルドデシルアンモニウム、N−エチル−N,N−ジメチルプロピルアンモニウム、N−エチル−N,N−ジメチルブチルアンモニウム、N−エチル−N,N−ジメチルヘキシルアンモニウム、2−メトキシ−N,N,N−トリメチルエチルアンモニウム、2−エトキシ−N,N,N−トリメチルエチルアンモニウム、2−プロポキシ−N,N,N−トリメチルエチルアンモニウム、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルプロピルアンモニウム、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルブチルアンモニウムなどを挙げることができる。
かくして本発明のイオン液体が形成されるが、本発明のイオン液体の表面張力は上記の通り35mN/m以下であることが必要である。表面張力を低減することにより、セパレータとの接触角を低減し、セパレータの内部までイオン液体を浸透させることができる。イオン液体の表面張力は、セパレータへの浸透性の点から、好ましくは32mN/m以下、特に好ましくは30mN/m以下である。なお、通常、表面張力の下限値は、1mN/mである。なお、ここでいう表面張力とは、懸滴法で測定した値のことである。
また、本発明のイオン液体は、セパレータとの接触角が、セパレータへの浸透性の点から、70゜以下であることが好ましい。より好ましくは60゜以下、特に好ましくは50゜以下である。なお通常、接触角の下限値は、1゜である。なお、ここでいう接触角とは、液滴法により測定した値のことである。
更に、本発明のイオン液体は、融点が、25℃以下であることが好ましく、更に好ましくは20℃以下、特に好ましくは17℃以下である。融点が高すぎると低温での導電性が維持できなくなる傾向がある。なお、融点の下限値としては通常、−200℃である。なお、一般的に、イオン液体にリチウム塩などの電解質塩を配合すると、融点降下することが知られているが、本発明における融点は、電解質塩を配合しないときの数値である。
本発明のイオン液体の粘度(25℃)は、100mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは70mPa・s以下、特に好ましくは50mPa・s以下である。粘度が高すぎると導電率が低下する傾向にある。なお、粘度の下限値としては通常、1mPa・sである。
本発明のイオン液体の沸点は、200℃以上、更には250℃以上、特には300℃以上であることが好ましい。沸点が低すぎると電池が暴発しやすい傾向がある。
本発明においては、上記のフッ素化アルキル基含有β−ジケトン型アニオンと上記のカチオンとから構成されることが好ましいが、中でも上記各物性を満足する化合物の好ましい具体例として、例えば、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウム・1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオナート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオナート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・1,1,1,5,5,6,6,6−オクタフルオロ−2,4−ヘキサンジオナート、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウム・1,1,1,5,5,6,6,6−オクタフルオロ−2,4−ヘキサンジオナート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・1,1,1,5,5,6,6,6−オクタフルオロ−2,4−ヘキサンジオナート、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・1,1,1,5,5,6,6,6−オクタフルオロ−2,4−ヘキサンジオナート等が挙げられ、特に、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・1,1,1,5,5,6,6,6−オクタフルオロ−2,4−ヘキサンジオナート、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウム・1,1,1,5,5,6,6,6−オクタフルオロ−2,4−ヘキサンジオナート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・1,1,1,5,5,6,6,6−オクタフルオロ−2,4−ヘキサンジオナート、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・1,1,1,5,5,6,6,6−オクタフルオロ−2,4−ヘキサンジオナート等が表面張力の点で好適に用いられる。
次に、フッ素化アルキル基含有β−ジケトン型アニオンを有する本発明のイオン液体の製造方法について説明する。ここでは、カチオンにイミダゾリウム系カチオンを用いた場合について説明するが、イミダゾリウム系カチオン以外のカチオンの場合も同様に製造することができる
本発明のイオン液体は、イミダゾリウム系カチオンのハロゲン化物と、フッ素化アルキル基含有β−ジケトン型化合物を、塩基性化合物の存在下で反応させることにより得られる。この反応においては、ハロゲンイオン捕集剤の存在下で行うことが好ましい。
以下、本発明の好ましい一形態として、アルキルイミダゾリウムのハロゲン化物とフッ素化アルキル基含有β−ジケトン型化合物を用いて、フッ素化アルキル基含有β−ジケトン型アニオンを有するイオン液体の製造法を説明する。
カチオン源となるアルキルイミダゾリウムのハロゲン化物は、イミダゾールとハロゲン化アルキルを反応させ、4級アンモニウム塩化して得ることができる。ハロゲンとしては、塩素、臭素、ヨウ素が好ましい。一方、アニオン源としては、フッ素化アルキル基含有β−ジケトン型化合物を用いる。カチオン源となるアルキルイミダゾリウムのハロゲン化物と、アニオン源となるフッ素化アルキル基含有β−ジケトン型化合物を、反応溶媒中、塩基性化合物の存在下で攪拌し、室温〜200℃で数分間反応させて目的とするイオン液体を得ることができる。
塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物などの水酸化物が挙げられる。これらの中では、溶解度の点から、アルカリ金属の水酸化物、中でも水酸化カリウムが特に好ましい。
反応溶媒としては、例えば、水、アルコール、アセトン、アセトニトリルなどの極性溶媒やヘキサン、ヘプタンといった非極性溶媒が挙げられるが、生成するイオン液体の性質を考慮して、後処理が容易な溶媒を選ぶことが好ましい。例えば、生成するイオン液体が疎水性の場合は、溶媒として水を使用し、得られた反応液を水洗処理することにより生成するハロゲン化金属塩を除き、真空乾燥で水分を除去することによりイオン液体を製造することが好ましい。逆に、生成するイオン液体が水溶性の場合は、反応で生成するハロゲン化金属塩が溶けない溶媒を予め用いて、析出するハロゲン化金属塩を濾過で除去し、その後溶媒を真空乾燥で除去することによりイオン液体を製造することが好ましい。
更に、この反応においては、ハロゲンイオンの捕集剤を用いることが好ましい。ハロゲンイオンの捕集剤としては、例えば、硝酸銀、イオン交換樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ハロゲンイオンを容易に捕集し得る点から、硝酸銀が好ましい。捕集剤の使用量は、ハロゲンイオンに対して、50〜30000重量%であることが好ましい。より好ましくは、100〜20000重量%、更に好ましくは、150〜15000重量%、特に好ましくは、200〜10000重量%である。使用量が多すぎると、反応後の精製が困難となる傾向があり、逆に少ないと、反応が進行しにくくなる傾向がある。
上記の反応により製造されたイオン液体は、カラムクロマトグラフで精製することが好ましい。精製することにより、イオン液体中の不純物を除去し、電解質材料として用いた場合に導電率などの電気化学特性を向上させることができる。カラムとしては、アルミナ、シリカゲル、珪藻土、活性炭などが挙げられるが、特に、不純物イオンが効率的に除去できる点から、アルミナが好ましい。
かくして得られたイオン液体の導電率は、25℃において、1mS/cm以上であることが好ましく、より好ましくは2mS/cm以上、更に好ましくは3mS/cm以上である。導電率が低すぎると電解質としての使用が困難となる傾向がある。なお、導電率の上限は通常、100mS/cmである。
本発明のイオン液体(A)は、特に電解質材料として有用であり、かかるイオン液体(A)と電解質塩(B)を含有することにより、リチウム二次電池として好適な電解質となる。
本発明のイオン液体(A)を用いて電解質を得る場合は、かかるイオン液体(A)は1種のみでも2種以上併用してもよい。
本発明で用いられる電解質塩(B)としては、例えば、LiBF4、LiBFCF、LiBF、LiBR4(Rはフェニル基、フルオロフェニル基、アルキル基またはフルオロアルキル基)、LiPF6、LiSbF6、LiAsF6、LiClO4、LiSO3CF3、LiN(SO2CF32、LiN(SO2F)2、LiN(CN)2、LiC(SO2CF33、LiSO3613、LiSO3817、LiAlCl4、リチウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート等の単独あるいは混合物等が挙げられる。中でも、イオン液体への溶解性の点で、LiN(SO2CF32、LiBF4、LiPF6が好適に用いられる。
かかるイオン液体(A)と電解質塩(B)との含有割合については、イオン液体(A)/電解質塩(B)=95/5〜50/50(重量比)が好ましく、更に好ましくは90/10〜60/40(重量比)、特に好ましくは85/15〜70/30(重量比)である。かかる含有量が上記範囲から外れると導電性不良となる傾向にある。
かくして得られた電解質の導電率は、25℃において、1mS/cm以上であることが好ましく、より好ましくは1.5mS/cm以上、更に好ましくは2mS/cm以上である。導電率が小さすぎると、リチウム二次電池への使用が困難となる傾向がある。なお、導電率の上限は通常 100mS/cmである。
本発明では、上記イオン液体(A)及び電解質塩(B)の他に、更に、イオン液体(A)以外のイオン液体(A′)を含有することもできる。
かかるイオン液体(A)以外のイオン液体(A′)としては、例えば、アニオンとして、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、BF4 、BFCF 、BF325 、PF6 、NO3 、CF3CO2 、CF3SO3 、(CF3SO22、(FSO22、(CN)2、(CF3SO23、(C25SO22、AlCl4 、Al2Cl7 などを含有し、これに対応するカチオンとして、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、2−エチル−1,3−ジメチルイミダゾリウムなどのアルキルイミダゾリウムカチオンなど、イミダゾリウムカチオン以外では、4級アンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、4級ホスホニウムカチオンなどを含有するイオン液体が挙げられる。これらのイオン液体(A′)は1種または2種併用して用いることができる。中でも、具体的な化合物としては、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・BF4、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・BF4、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・(CF3SO22N等が挙げられる。
イオン液体(A)とその他のイオン液体(A′)の混合比については、全イオン液体を100重量部とした場合に、イオン液体(A′)は50重量部以下が好ましく、更に好ましくは30重量部以下、特に好ましくは20重量部以下である。イオン液体(A′)が多すぎると、セパレータへの含浸性が低下する傾向にある。
更に、本発明においては、この電解質を用いて電池を作成した場合の充放電特性向上のために、電極保護膜形成剤(C)を用いることが好ましい。このような電極保護膜形成剤(C)としては、例えば、ビニレンカーボネート、1,3−プロパンサルトン、エチレンサルファイト、トリエチルボレート、ブチルメチルスルフォネートなどが挙げられる。この中でも、安定なSEI(Solid Electrolyte Interphase)を形成する点から、ビニレンカーボネートが特に好ましい。
かかる電極保護膜形成剤(C)の含有量としては、イオン液体(A)100重量部に対して0.1〜5重量部であることが好ましく、更に好ましくは0.2〜3重量部、特に好ましくは0.3〜1重量部である。かかる含有量が多すぎると電池の充放電特性が低下する傾向があり、少なすぎるとリチウム二次電池の充放電容量維持率の向上が得られない傾向がある。
また、本発明の電解質には、安全性を向上させたりするために、更に、無機微粒子(D)を含有させてゲル状の固体電解質とすることも好ましい。
かかる無機微粒子(D)としては、化学的に安定な無機酸化物が好ましく、かかる無機酸化物としては、マグネシウム、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン等のIIA〜VA族、遷移金属、IIIB、IVBの酸化物を挙げることができる。これらの中でもチタン、ケイ素、アルミニウムの酸化物がより好ましく、更に好ましくはケイ素の酸化物(シリカ)であり、特に好ましくは親水性のシリカである。
かかる無機微粒子(D)の含有量としては、イオン液体(A)100重量部に対して1〜30重量部であることが好ましく、更に好ましくは2〜25重量部、特に好ましくは3〜22重量部である。かかる含有量が多すぎると導電率が低下する傾向があり、少なすぎると充放電特性が低下するとなる傾向がある。
また、本発明においては、更に導電率向上のために、少量の有機溶媒(E)を配合することも可能である。かかる有機溶媒(E)としては、例えば、カーボネート系溶媒(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等)、アミド系溶媒(N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N−メチルピロジリノン等)、ラクトン系溶媒(γ−ブチルラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、3−メチル−1,3−オキサゾリジン−2−オン等)、アルコール系溶媒(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジグリセリン、ポリオキシアルキレングリコールシクロヘキサンジオール、キシレングリコール等)、エーテル溶媒(メチラール、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1−エトキシ−2−メトキシエタン、アルコキシポリアルキレンエーテル等)、ニトリル溶媒(ベンゾニトリル、アセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル等)、燐酸類及び燐酸エステル溶媒(正燐酸、メタ燐酸、ピロ燐酸、ポリ燐酸、亜燐酸、トリメチルホスフェート等)、2−イミダゾリジノン類(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、ピロリドン類、スルホラン溶媒(スルホラン、テトラメチレンスルホラン等)、フラン溶媒(テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン等)、ジオキソラン、ジオキサン等が挙げられ、これらの単独あるいは2種以上の混合溶媒が使用できる。これらの中でもカーボネート系溶媒、エーテル系溶媒、フラン系溶媒が導電率の点で好ましく、特にカーボネート系溶媒が電池の充放電特性の点でより好ましく用いられる。
有機溶媒(E)を使用する場合の含有量は、電解質全体を100体積%とした場合に、30体積%以下が好ましく、特には5〜20体積%が好ましい。含有量が多すぎると難燃性が低下する傾向になる。
本発明の電解質は、上記のイオン液体(A)及び電解質塩(B)、必要に応じて、その他のイオン液体(A′)、電極保護膜形成剤(C)、無機微粒子(D)、更に有機溶媒(E)を均一溶液となるように混合して製造される。混合は、ドライルームやドライボックス内で行うことが好ましい。
かくして本発明のイオン液体(A)及び電解質塩(B)を含む電解質が得られる。
次に、本発明の電解質を用いて得られるリチウム二次電池について説明する。
本発明では、上記で得られる本発明の電解質をセパレータに含浸せしめた後、正極と負極との間に狭持してリチウム二次電池を製造することが好ましい。
かかる正極については、複合正極であることが好ましい。複合正極とは、正極活物質に、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電助剤、ポリフッ化ビニリデンなどの結着剤、及び、必要に応じてイオン導電性ポリマーを混合した組成物を、アルミニウム箔などの導電性金属板に塗布したものである。
正極活物質としては、例えば、無機系活物質、有機系活物質、これらの複合体が例示できるが、無機系活物質あるいは無機系活物質と有機系活物質の複合体が、電池のエネルギー密度が大きくなる点から好ましい。
無機系活物質として、3V系では例えば、Li0.3MnO2、Li4Mn512、V25等、4V系では例えば、LiCoO2、LiMn24、LiNiO2等の金属酸化物、TiS2、MoS2、FeS等の金属硫化物、これらの化合物とリチウムの複合酸化物が挙げられる。
有機系活物質としては、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリパラフェニレン等の導電性高分子、有機ジスルフィド化合物、カーボンジスルフィド、活性硫黄等が用いられる。
負極については、例えば、集電体に負極活物質を直接塗布した金属系負極、合金系の集電体にポリフッ化ビニリデンなどの結着材で導電性高分子、炭素体、酸化物などの活物質を塗布した負極が挙げられる。
負極活物質としては、例えば、リチウム金属やシリコン金属、アルミニウム、鉛、スズ、シリコン、マグネシウム等の金属とリチウムとの合金、SnO2、TiO2などの金属酸化物、ポリピリジン、ポリアセチレン、ポリチオフェン、あるいはこれらの誘導体よりなるカチオンドープ可能な導電性高分子、リチウムを吸蔵可能な炭素体などが挙げられるが、中でも特に、本発明のイオン液体(A)を用いる場合は、エネルギー密度が高いリチウム金属やシリコン金属が好ましい。
本発明においては、かかるリチウム金属を用いる場合では、リチウム金属の厚みとしては10〜500μmが好ましい。リチウム金属としてはリチウム箔を使用することが経済的で好ましい。
セパレータとしては、リチウムイオンのイオン移動に対して低抵抗であるものが用いられ、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物より選ばれる1種以上の材質からなる微多孔膜、有機若しくは無機の不織布又は織布が挙げられる。これらの中では、短絡防止や経済性の点で、ポリプロピレンやポリエチレンよりなる微多孔膜とガラス不織布が好ましい。
本発明のリチウム二次電池の形態としては、特に限定するものではないが、コイン、シート、円筒等、種々の形態の電池セルが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
各特性の測定条件は以下の通りである。
(表面張力)
協和界面科学社製「固液界面解析装置「DropMaster500」を用いて、18ゲージで針先角度90°の注射針(テフロンコート)の針先端に、形成できる最大液滴の70〜80%の体積を有する液滴を針先端に形成し、形状解析により表面張力を算出した。測定雰囲気は23℃、65%RHである。
(接触角)
協和界面科学社製「自動動的接触角計DCA−VZ150型」を用い、21ゲージで針先角度90°の注射針より作成される液滴をセパレータと接触、落液させ測定し、θ/2法で算出した。測定雰囲気は23℃、65%RHである。
(粘度)
TAインスツルメンツ製、「AR−1000型回転レオメーター」を用い、測定ジオメトリー(直径40mm、2°のコーンープレート)で25℃、印加応力20Paで測定した。
(融点)
TAインスツルメンツ製、「D2920型DSC」を用い、液体専用パンに封入後、窒素雰囲気下、−150℃より300℃まで10℃/分で昇温して測定した。
(沸点)
25℃より300℃まで10℃/分で昇温して測定した。
(導電率)
測定用セルとして東亜DKK社製、「CG−511B型セル」を用い、電解質に5時間浸漬後、電気化学測定システム「ソーラートロン1280Z」(英国ソーラートロン社製)を用い、交流インピーダンス法で測定した。交流振幅は5mV、周波数範囲は20k〜0.1Hzで測定した。
(セパレータへの含浸性)
協和界面科学社製「自動動的接触角計DCA−VZ150型」を用い、21ゲージで針先角度90°の注射針より作成される液滴をセパレータと接触、落液させ、液が白色セパレータに浸透して透明に変化するか否かを確認した。雰囲気は23℃、65%RHである。5分以内で透明に変化したものを含浸性良好とし(○)、透明にならなかったものを含浸性不良(×)とした。
実施例1
〔イオン液体(A−1)の製造〕
500mLのエレンマイヤーフラスコに水酸化カリウム9.5gを入れ、メタノール250mLを加えて溶かし、更に、1,1,1,5,5,6,6,6−オクタフルオロ−2,4−ヘキサンジオン44.6gを加えた。その溶液に1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・ブロマイド32.5gを加えて10分間攪拌し、1Mの硝酸銀水溶液を170mL加えてAgBrを沈殿させた後、ろ過し、ろ液を濃縮した。濃縮液にクロロホルムを加えて抽出し、再度濃縮することでイオン液体(A−1)26.9gを得た。
イオン液体(A−1)の1H−NMRチャートは図1に示される通りであり、目的とする1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・1,1,1,5,5,6,6,6−オクタフルオロ−2,4−ヘキサンジオナートであることを確認した。なお、NMRは Varian社製、「Unity−300」を用い、重クロロホルムを溶媒として測定した。また、チャートの帰属について主なものを以下に示す。
10.5ppm[s,1H]
7.2ppm[d,Hz= 6.6Hz,2H]
5.7ppm[s,1H]
4.3ppm[q,Hz=7.5Hz,2H]
4.0ppm[s,3H]
1.5ppm[t,Hz=7.5Hz,3H]
得られたイオン液体(A−1)の表面張力は、30mN/mであり、セパレータとの接触角は46゜と低かった。また、融点は17℃であり、25℃における粘度は38mPa・sであり、室温付近で低粘度な液体であった。また、25℃における導電率は、4mS/cmであった。更に、400℃まで加熱しても沸点は観測されず、安全性に優れることが確認された。
〔電解質の調製〕
さらに、イオン液体(A−1)8gに、電解質塩(B)としてLiN(SO2CF322gを混合溶解して、電解質[I]を得た。電解質[I]をセパレータ(セルガード社製#2400、厚さ25μm)に含浸させたところ良好な浸透性を示した。得られた電解質[I]の25℃における導電率は、2.2mS/cmであった。
比較例1
イオン液体(A−1)を、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・BF4(EMI・BF4)に変更した以外は実施例1と同様にして、諸特性を測定した。表面張力、接触角、融点、25℃における粘度、沸点は、表1に示されるとおりであり、粘度は低いものの、表面張力が大きく、セパレータへの接触角が大きいため、このイオン液体を用いた電解質はセパレータに含浸しなかった。
比較例2
イオン液体(A−1)を、有機溶剤系電解液として使用されているエチルメチルカーボネート(EMC)に変更した以外は実施例1と同様にして、諸特性を測定した。表面張力、接触角、融点、25℃における粘度、沸点は、表1に示されるとおりであり、沸点が107℃であるため電池として使用した時に危険であることが確認された。
上記の評価結果から明らかなように、比較例1のイオン液体を用いた電解質では、セパレータへの含浸ができず、比較例2の有機溶剤では沸点が低いため危険であるのに対して、実施例1のイオン液体を用いた電解質は、セパレータへの含浸性が良好であり、かつ安全であるため、リチウム二次電池の電解質として非常に有効であることが分かる。更に、実施例1の電解質では、セパレータへの含浸性が良好であることより、リチウム二次電池とした場合の充放電特性も良好なものとなると推察される。
本発明のイオン液体は、電解質の材料として有用であり、かかるイオン液体を用いてなる電解質は、導電率やセパレータへの含浸性に優れ、かつ安全性に優れる電解質であり、リチウム二次電池用の電解質として非常に有用である。

Claims (8)

  1. 表面張力が35mN/m以下であることを特徴とするイオン液体。
  2. 下記一般式(1)で示されるフッ素化アルキル基含有β−ジケトン型アニオンを有することを特徴とする請求項1記載のイオン液体。
    (1)
    (ここで、R、Rは同じでも異なっても良く、炭素数1〜5のアルキル基であり、少なくとも1つがフッ素化アルキル基である。Rは水素、フッ素、炭素数1〜5のアルキル基またはフッ素化アルキル基である。)
  3. フッ素化アルキル基含有β−ジケトン型アニオンがフッ素原子を3個以上有することを特徴とする請求項2記載のイオン液体。
  4. イミダゾリウム系カチオンを有することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のイオン液体。
  5. 請求項1〜4いずれか記載のイオン液体(A)及び電解質塩(B)を含むことを特徴とする電解質。
  6. リチウム二次電池に用いることを特徴とする請求項5記載の電解質。
  7. 請求項5または6記載の電解質を、正極と負極との間に狭持してなることを特徴とするリチウム二次電池。
  8. 下記一般式(1)で示されるフッ素化アルキル基含有β−ジケトン型アニオンを有することを特徴とするイオン液体。
    (1)
    (ここで、R、Rは同じでも異なっても良く、炭素数1〜5のアルキル基であり、少なくとも1つがフッ素化アルキル基である。Rは水素、フッ素、炭素数1〜5のアルキル基、またはフッ素化アルキル基である。)
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