JP2010235446A - ガラス成形品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 供給流路の途中における複数の攪拌槽の連通構成を適切化することにより、溶融ガラスの流量増加の要請があった場合でも、充分な攪拌作用が行われ得るようにして、異質相の存在に起因するガラス成形品の品位低下及び製品歩留まり低下の問題が生じないようにする。
【解決手段】 溶融ガラスの供給源となる溶融窯2と、溶融窯2から流出した溶融ガラスを成形装置3に供給する供給流路4とを備えた溶融ガラス供給装置1において、供給流路4の途中に、複数の攪拌槽K1、K2を上下流方向に隣り合わせて配設してなり、少なくとも隣り合う2個の攪拌槽K1、K1のうち、上流側の攪拌槽K1の周壁部上部に流入口M1を且つ周壁部下部に流出口N1をそれぞれ形成し、且つ、上流側の攪拌槽K1の流出口N1と下流側の攪拌槽K2の流入口M2とを連通路を介して接続してなる攪拌槽配設部位に、溶融ガラスを流入させ且つ通過させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス成形品の製造方法に係り、溶融ガラスを溶融窯から供給流路を介して成形装置に供給することによりガラス成形品を製造する技術の改良に関する。
近年においては、液晶ディスプレイ(LCD)やエレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)に代表される平面ディスプレイのガラス基板、及び、電荷結合素子(CCD)、等倍近接型固体撮像素子(CIS)、CMOSイメージセンサ等の各種イメージセンサやレーザーダイオード等のカバーガラス、並びに、ハードディスクやフィルタのガラス基板等の需要拡大が急激に進展するに至っている。これらの例示列挙した物品及びこれらに準ずる物品を形成するガラスは、いわゆる高粘性ガラスとして広く知られている。
一方、旧来から使用されている光学ガラス、窓用板ガラス、及び瓶や食器類等の物品並びにこれらに準ずる物品を形成するガラスは、いわゆる低粘性ガラスとして広く知られている。そして、上述の高粘性ガラスは、この低粘性ガラスと比較して、その特性が大きく相違している。具体的には、下記の特許文献1にも記載されているように、液晶ディスプレイ用無アルカリガラスに代表される高粘性ガラスは、粘度が1000ポイズである場合にその粘度に相当する温度が1350℃以上、特に高粘性のものでは1420℃以上となる特性を示すのに対して、容器用ソーダ石灰ガラスに代表される低粘性ガラスは、粘度が1000ポイズである場合にその粘度に相当する温度が1250℃以下、特に低粘性のものでは1200℃以下となる特性を示す。したがって、上述の高粘性ガラスと低粘性ガラスとは、温度と粘度との関係に基づいて異なるものとして区別できることになる。
ところで、上述の高粘性ガラスで形成される物品の製造に際しては、高粘性ガラスからなる溶融ガラスを成形装置に供給し、この成形装置で例えば液晶ディスプレイ用のガラスパネルとして使用される板ガラス等を成形することが行われる。したがって、そのような物品の製造時には、溶融ガラスの供給源となる溶融窯から流出した溶融ガラスを成形装置に供給するための高粘性専用の供給流路を備えた溶融ガラス供給装置が使用される。また、低粘性ガラスからなる例えば窓用板ガラスやビン類等の製造時にも、高温に対する耐久性は有していないものの、溶融窯から流出した溶融ガラスを成形装置に供給するための低粘性専用の供給流路を備えた溶融ガラス供給装置が使用される。したがって、溶融ガラス供給装置も、高粘性専用のものと、低粘性専用のものとに区別される。
この場合、高粘性専用の溶融ガラス供給装置における溶融窯では、ガラス原料が適正に溶融されないこと(例えば溶融分離)等に起因して、溶融窯内における溶融ガラスの表面部に比重の小さな異質相が形成されたり、溶融窯の内壁を形成している耐火物(例えば高ジルコニア系の耐火物)が侵食されること等に起因して、溶融窯内における溶融ガラスの底面部に比重の大きな異質相が形成されたりする。このような溶融ガラスが、溶融窯から流出して供給流路を通じてそのままの状態で成形装置に供給されたのでは、成形装置にて成形されるガラス成形品に異質相の存在による品位低下、例えばガラス成形品が板ガラスである場合には異質相部分がガラス表面に凹凸を形成させて品位低下を招き、ひいては不良品の多発をも招くことになる。
また、低粘性専用の溶融ガラス供給装置における溶融窯では、上記のような組成或いは種類の異質相は形成されず、そのような異質相の問題が深刻化されることはないが、底面部と表面部とでは溶融ガラスの温度が異なることから、流動性に相違が生じるなどして、溶融ガラスの表面部と底面部とでは質が異なるものとなるおそれがある。そして、これに起因して、ガラス成形品の品質の均一性が阻害されるおそれがあるため、特に品質が厳しく要求されるクリスタル製品等においては、溶融ガラスの底面部と表面部との流動性の相違等が、致命的欠点となり兼ねない。
以上のような事情に鑑み、溶融ガラス供給装置における高粘性専用の供給流路の途中には、溶融ガラスの異質相を消失させて均質にすることを目的として攪拌槽が配設される。この攪拌槽は、従来においては、下記の特許文献2、3、4に開示されているように、高粘性専用の供給流路の途中に1個のみを配設するのが通例とされていた。これに対して、下記の特許文献5には、冷却槽の下流側端部にスターラを有する第1攪拌流通部を備えると共に、減圧脱泡槽の上流側端部と下流側端部とにそれぞれスクリューを有する第2、第3攪拌流通部を備え、且つ均質槽の上流側端部に羽根を有する第4攪拌流通部を備えた構成が開示されている。
一方、下記の特許文献6及び特許文献7にはそれぞれ、攪拌時のガラス粘度が650ポイズ(1200℃相当)、及びソーダ石灰ガラスや鉛クリスタルガラスからなる低粘性の溶融ガラスを供給する低粘性専用の供給流路の途中に、複数の撹拌流通部を備えた構成が開示されている。また、下記の特許文献8には、旧来の光学ガラス、板ガラス(窓用板ガラスと解される)、及び瓶ガラス等を製造するための低粘性専用の供給流路の途中、詳しくは、溶融窯と清澄槽との間に1個の泡切れ攪拌槽を備え、且つ清澄槽の下流側に均質化攪拌槽と温度調節槽との2個の攪拌槽を備えた構成が開示されている。
特開2004−262745号公報 特表2005−511462号公報 米国特許出願公開第2004/0177649号公報 特開2005−60215号公報 特開平5−208830号公報 特開昭63−8226号公報 特開昭60−27614号公報 特公昭43−12885号公報
ところで、近年においては、例えば液晶ディスプレイ用の板ガラスの大板化が推進され、また他の高粘性ガラスからなるガラス成形品についても生産性向上が企図されていることに伴って、高粘性専用の供給流路を通じて成形装置に供給される溶融ガラスの単位時間当たりの流量が急激に増加するに至っている。このように溶融ガラスの流量が増加した場合に、上述の異質相を消失させて溶融ガラスの均質化を図るには、攪拌槽における攪拌能力を高める必要がある。そこで、本発明者等は、このような要請に応じるべく、攪拌羽根の回転数を高くすることを試みた。しかしながら、溶融ガラスが高粘性であることから、この溶融ガラス中で攪拌羽根の回転数を高めたのでは、攪拌手段(スターラ)本体への負荷が大きくなり、折損等の致命的なトラブルの要因となる。更に、攪拌羽根に作用する抵抗が不当に大きくなり、攪拌羽根が削られてその切除異物(通常は白金)が溶融ガラス中に混入され、この異物がガラス成形品に欠陥を生じさせる。また、攪拌羽根への抵抗を少なくするために、より高温での操業も考えられるが、このような手法では、攪拌羽根の素材である白金等の機械的強度が十分でなくなり、やはり同様の問題が生じるという結論を得るに至った。
この種の問題に対処するための他の方策として、上記の特許文献2によれば、攪拌羽根の形状に改良を加えて貴金属異物の切除量を減少させることが提案されているが、高粘性の溶融ガラス中で攪拌羽根を回転させねばならない制約の下では、このような手法にも自ずと限界があり、近年の溶融ガラスの大幅な流量増加には到底対処できないものである。
以上のような事情から、従来において、高粘性専用の供給流路に、上記のような流量増加に係る問題が発生した場合には、溶融窯、供給流路、及び成形装置からなる設備一式を、別途増設することのみをもって、当該問題の解決を図っているに過ぎなかった。
一方、低粘性ガラスからなるガラス成形品の生産性向上の要請に対しても、低粘性専用の供給流路を通じて成形装置に供給される溶融ガラスの単位時間当たりの流量を増加させる必要がある。この場合、低粘性専用の供給流路においては、攪拌羽根に作用する抵抗が不当に大きくなることはなく、しかも多少の温度変化が生じても、溶融ガラスの流動性に悪影響を及ぼすこともないことから、供給流路の基本的な構成を容易に変更することができる。したがって、上記の特許文献6,7,8には、低粘性専用の供給流路に様々な種類及び数の攪拌流通部或いは攪拌槽が設けられている。尚、高粘性ガラスについても、上記の特許文献5には、高粘性専用の供給流路の途中に、第1〜第4攪拌流通部が配設されているが、これは供給流路の基本的な構成を変更したものではなく、従来から存在していた冷却槽、減圧脱泡槽、及び均質槽に改良を加えたに過ぎないものである。そして、この第1攪拌流通部は、溶融ガラスを攪拌して均質状態にする前工程にて溶融ガラス中に含有されている吸蔵ガスを気泡に変化させる作用を行うものであり、また第2、第3攪拌流通部は何れも、上昇しようとする溶融ガラスを下方に押し下げる作用を行うものであって、第4攪拌流通部のみが、唯一溶融ガラスの均質化作用を行うものである。
以上の各特許文献のうち、特許文献6,7に開示された低粘性専用の供給流路における隣り合う2個の攪拌流通部は、上流側の攪拌流通部の下部に形成された流出部分から、下流側の攪拌流通部の下部に形成された流入部分に、連通路を介して溶融ガラスが流れ込むようになっている。また、特許文献5に開示された高粘性専用の供給流路における計4個の攪拌流通部は、上流側から順に、第1攪拌流通部の下部に形成された流出口から第2攪拌流通部の下部に形成された流入口に連通路を介して流れ込んだ溶融ガラスが、減圧脱泡槽内を通過した後、第3攪拌流通部の下部に形成された流出口から第4攪拌流通部の下部に形成された流入口に連通路を介して流れ込むようになっている。この場合、上記の全ての攪拌流通部は、槽の一部として存在するものである。
このように、上下流方向に隣り合う2個の攪拌流通部が、上流側の攪拌流通部と下流側の攪拌流通部との下部同士を連通させて溶融ガラスを流す連通構成であって、且つ、それらの攪拌流通部が全て槽の一部として存在していると、その相乗作用によって、溶融ガラスの流量が大幅に増加した場合に、槽全体を流れる溶融ガラスが、槽の一部である各攪拌流通部及びそれらの下部同士の連通路を流れる溶融ガラスに大きな影響を及ぼすことから、溶融ガラスを要求通りに均質にした状態で成形装置に供給することは、極めて困難になるものと推認することができる。この事項について考察すると、上記のように攪拌流通部が槽の一部として存在しているわけではなく、個々に独立した2個の攪拌槽の下部同士を連通させて溶融ガラスを流す連通構成について、本発明者等が高粘性ガラスを対象として行った後述する模擬実験(モデル実験)によると、既に述べた2種の異質相のうち、表面部の異質相のみが特に問題となる場合には支障が生じないものの、底面部の異質相のみが特に問題となる場合には、その異質相をなくして溶融ガラスの底面部の均質化を図ることが困難であるとの結論を得ている。このように個々に独立した2個の攪拌槽を対象したモデル実験の結論においても、底面部の異質相に対する均質化が困難なのであるから、上記のように各攪拌流通部の全てが槽の一部として存在している場合には、溶融ガラスの底面部の均質化を図ることが更に困難になると推認することができ、また低粘性の溶融ガラスについても同様の不具合を招くに至るものと推認することができる。
また、上記の特許文献8に開示された低粘性専用の供給流路における隣り合う2個の攪拌槽の連通構成は、上下方向中央部に流入口及び流出口が形成された上流側の攪拌槽の流出口から、同じく上下方向中央部に流入口及び流出口が形成された下流側の攪拌槽の流入口に、連通路を介して溶融ガラスが流れ込むようになっている。しかしながら、このような連通構成であると、単位時間当たりの溶融ガラスの流量が増加した場合には、その流速も速くなることから、上流側及び下流側の攪拌槽は何れも、その内部における上下方向中央部を流入口から流出口に向かって流れる溶融ガラスが主流となり、各攪拌槽の上部及び下部においては溶融ガラスの流れが停滞するという致命的な問題を招くおそれがある。
以上の観点から、本発明の課題は、供給流路の途中における複数の攪拌槽の連通構成を適切化することにより、溶融ガラスの流量増加の要請があった場合でも、充分な攪拌作用が行われ得るようにして、異質相の存在に起因するガラス成形品の品位低下及び製品歩留まり低下の問題が生じないようにすることにある。
上記課題を解決するための手段は、1000ポイズの粘度に相当する温度が1350℃以上となる特性を備えた高粘性ガラスを溶融窯で溶融する溶融工程と、前記溶融窯からその下流側の成形装置に通じる供給流路の途中で攪拌槽により溶融ガラスを攪拌する攪拌工程と、該攪拌工程で攪拌された溶融ガラスを成形装置に供給してガラス成形品を成形する成形工程とを有するガラス成形品の製造方法であって、前記攪拌工程は、個々に独立した状態にある複数の攪拌槽を上下流方向に隣り合わせて配設してなり、攪拌槽は内周面が円筒面をなす筒状の周壁部と底壁部とからなり、少なくとも隣り合う2個の攪拌槽のうち、上流側の攪拌槽の周壁部上部に流入口を且つ周壁部下部に流出口をそれぞれ形成し、且つ、上流側の攪拌槽の流出口と下流側の攪拌槽の流入口とを連通路を介して接続してなる供給流路途中の攪拌槽配設部位に、前記溶融ガラスを流入させ且つ通過させることに特徴づけられる。
この場合、上記の「複数の攪拌槽を上下流方向に隣り合わせて配設した」とは、隣り合う攪拌槽同士の間に他の槽が存在しないように配設したことを意味する。また、上記の「連通路を介して接続」とは、通路としての役割を主として果たす連通路のみで接続されていることが好ましい。但し、この連通路は、その途中に邪魔板等を配設することが排除されるわけではない。また、この連通路の流路面積は、攪拌槽の流路面積よりも小さいことが好ましい。尚、以上の事項は、下記の「複数の攪拌槽を上下流方向に隣り合わせて配設した」の意味、及び「連通路を介して接続」の意味についても同様であり、また下記の連通路の構成についても同様である。
この手段によれば、供給流路の途中に上下流方向に隣り合わせて配設された複数の攪拌槽のうち、少なくとも隣り合う2個の攪拌槽を溶融ガラスが流れる際には、流通経路として、上流側の攪拌槽の周壁部上部に形成された流入口から溶融ガラスがその内部に流入し、その内部を下方に向かって流れた後、この上流側の攪拌槽の周壁部下部に形成された流出口から連通路に流出する。更に、この溶融ガラスは、連通路を通過した後、下流側の攪拌槽の周壁部上部に形成された流入口からその内部に流入し、その内部を下方に向かって流れた後、この下流側の攪拌槽の周壁部下部に形成された流出口から流出する。即ち、この流通経路に沿って流れる溶融ガラスは、上流側の攪拌槽を上方から下方に向かって流れた後、連通路を下方に対応する位置から上方に対応する位置に向かって流れ、その後、下流側の攪拌槽を上方から下方に向かって流れる。ここで、個々に独立した2個の攪拌槽を、溶融ガラスが上記の流通経路に沿って流れるように連通させた構成について、本発明者等が高粘性ガラスを対象として行った後述する模擬実験(モデル実験)によると、既述の表面部の異質相及び底面部の異質相の両者をなくして溶融ガラスを全体に亘って均質な状態で的確に流すことが可能であるとの結論を得ている。このように個々に独立した2個の攪拌槽を対象としたモデル実験の結論から、溶融ガラスの全体に対する異質相の均質化が的確に行われることを確認するに至った。
ここで、上記の「個々に独立した状態にある」とは、攪拌作用を行う部位が槽の一部としてそれぞれ存在しているのではなく、槽の全部が攪拌作用を行うようにそれぞれが構成されていることを意味する。
このようにすれば、供給流路の途中に、個々に独立した状態にある複数の攪拌槽が上下流方向に隣り合って配設されることになるので、それぞれの攪拌槽を独立した状態で取り扱えるようになり、保守点検や修理或いは取り換え等を容易且つ簡単に行うことが可能となる。したがって、各攪拌槽の取り扱いの利便性が向上する。
また、以上の構成において、複数の攪拌槽の全ては、均質化作用を行うように構成されていることが好ましい。ここで、「均質化作用」とは、攪拌によって異質相を消失または減少させる作用を意味する。
このようにすれば、一部の攪拌槽が、吸蔵ガスを気泡に変化させる作用、上昇しようとする溶融ガラスを下方に押し下げる作用、泡切り作用、或いは温度調節作用を行うのではなく、全ての攪拌槽が均質化作用を行うことから、上述の溶融ガラスに対する均質化作用が極めて的確に行われる。
更に、以上の構成において、攪拌槽の内部に収容されている攪拌羽根の外周端が前記内周面に近接していることが好ましい。ここで、「近接している」とは、攪拌羽根の外周端と周壁部の内周面との隙間が20mm以下、好ましくは10mm以下であることを意味する。
このようにすれば、周壁部の内周面が円筒面であり且つ攪拌羽根の外周端がその内周面に近接していることから、攪拌槽の流路断面の殆ど全域に亘って攪拌羽根の移動軌跡を存在させることが可能となり、内周面付近の溶融ガラスに対しても攪拌による効果を充分に与え得ることになる。
そして、以上の構成において、前記成形装置は、表裏両面が未研磨の板ガラスを成形する場合に、本発明の効果をより一層享受できる。
すなわち、未研磨の状態に成形する場合、ガラスの均質性が直接ガラスの表面品位を決定する。それゆえ、本発明装置を使用すれば、溶融ガラス中における異質相が複数の攪拌槽にて攪拌作用を受けて、均質化され得ることから、これらの異質相が原因となって板ガラスの未研磨の表裏両面に欠陥が生じる等の品位低下ひいては不良品の発生が抑制される。
更に、以上の構成において、既述の1000ポイズの粘度に相当する温度が1350℃以上となる特性を備えた高粘性のガラスとしては、無アルカリガラス(アルカリ成分が例えば0.1質量%以下、特に0.05質量%以下のガラス)を挙げることができる。具体的には、質量%で、SiO2:40〜70%、Al23:6〜25%、B23:5〜20%、MgO:0〜10%、CaO:0〜15%、BaO:0〜30%、SrO:0〜10%、ZnO:0〜10%、清澄剤:0〜5%含有する無アルカリガラス、より好ましくは、質量%で、SiO2:55〜70%、Al23:10〜20%、B23:5〜15%、:MgO:0〜5%、CaO:0〜10%、BaO:0〜15%、SrO:0〜10%、ZnO:0〜5%、清澄剤:0〜3%含有する無アルカリガラスを挙げることができる。
以上のように本発明に係るガラス成形品の製造方法によれば、上流側の攪拌槽を上方から下方に向かって流れた溶融ガラスが、連通路を下方に対応する位置から上方に対応する位置に向かって流れた後に、下流側の攪拌槽を上方から下方に向かって流れることになるので、溶融ガラスの表面部及び底面部に異質相が存在していても、この2種の異質相を消失させて溶融ガラスの全体の的確な均質化を図ることが可能となる。
本発明の第1実施形態に係るガラス成形品の製造方法を実施するために使用される溶融ガラス供給装置の概略構成を示す正面図である。 前記第1実施形態に係るガラス成形品の製造方法を実施するために使用される溶融ガラス供給装置の構成要素である第1攪拌槽の要部を示す縦断正面図である。 前記第1実施形態に係るガラス成形品の製造方法を実施するために使用される溶融ガラス供給装置の構成要素である第1、第2攪拌槽の内部を溶融ガラスが流れる状態を示す概略縦断正面図である。 本発明の第2実施形態に係るガラス成形品の製造方法を実施するために使用される溶融ガラス供給装置の要部の概略構成を示す正面図である。 本発明の第3実施形態に係るガラス成形品の製造方法を実施するために使用される溶融ガラス供給装置の要部の概略構成を示す正面図である。 本発明の第4実施形態に係るガラス成形品の製造方法を実施するために使用される溶融ガラス供給装置の要部の概略構成を示す正面図である。 前記第4実施形態に係るガラス成形品の製造方法を実施するために使用される溶融ガラス供給装置の構成要素である第2攪拌槽の要部を示す縦断正面図である。 前記第4実施形態に係るガラス成形品の製造方法を実施するために使用される溶融ガラス供給装置の構成要素である第1、第2攪拌槽の内部を溶融ガラスが流れる状態を示す概略縦断正面図である。 本発明の第5実施形態に係るガラス成形品の製造方法を実施するために使用される溶融ガラス供給装置の要部の概略構成を示す正面図である。 本発明の第6実施形態に係るガラス成形品の製造方法を実施するために使用される溶融ガラス供給装置の要部の概略構成を示す正面図である。 本発明の第7実施形態に係るガラス成形品の製造方法を実施するために使用される溶融ガラス供給装置の要部の概略構成を示す正面図である。 本発明の第8実施形態に係るガラス成形品の製造方法を実施するために使用される溶融ガラス供給装置の要部の概略構成を示す正面図である。 本発明の第1〜第8実施形態に係るガラス成形品の製造方法を実施するために使用される溶融ガラス供給装置の作用を示すグラフである。 本発明の第1〜第8実施形態に係るガラス成形品の製造方法を実施するために使用される溶融ガラス供給装置の作用を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
先ず、図1に基づいて、本発明の第1実施形態に係るガラス成形品の製造方法を実施するために使用される溶融ガラス供給装置の概略構成を説明する。同図に示すように、溶融ガラス供給装置1は、上流端に配備されてガラス原料を溶融する溶融窯2を備え、この溶融窯2から流出した高粘性の溶融ガラス(1000ポイズの粘度に相当する温度が1350℃以上となる特性を有する)を、オーバーフローダウンドロー法により板ガラスを成形する成形装置3の成形体に、供給流路4を通じて供給するように構成されている。具体的には、ここで供給される高粘性ガラスとしては、例えば、質量%で、SiO2 60%、Al23 15%、B23 10%、CaO 5%、BaO 5%、SrO 5%の組成を有し、1000ポイズの粘度に相当する温度が約1450℃である無アルカリガラスを使用することができる。上記の供給流路4には、上流端の溶融窯2の直下流側に通じる清澄槽5が配置され、清澄槽5の直下流側に、個々に独立した状態にある上流側の第1攪拌槽K1と下流側の第2攪拌槽K2とが上下流方向に隣り合って配設されている。この2つの攪拌槽K1、K2は何れもが、均質化作用を行う構造とされている。更に、この2つの何れについても、攪拌槽K1、K2の内部を流れる溶融ガラスの温度は、1350〜1550℃(好ましくは1400〜1500℃)であって、その粘度は300〜7000ポイズ(好ましくは700〜4000ポイズ)となるように調整がなされている。尚、第2攪拌槽K2の下流側からは、冷却パイプ7、図外のポット、小径パイプ、及び大径パイプを通じて、溶融ガラスが成形装置3の成形体に供給され、この成形体にて溶融ガラスを板状の形態に成形する構成とされている。そして、この成形装置3により成形して得られた板ガラスは、表裏両面が未研磨面の状態で製品となる。
第1、第2攪拌槽K1、K2は何れも、内部に単一のスターラからなる第1、第2攪拌手段S1、S2が収容され且つ各槽K1、K2の内周面が上下方向全域に亘ってそれぞれ円筒面とされると共に、これらの内周面と第1、第2攪拌手段(各攪拌羽根)S1、S2の外周端とはそれぞれ近接した状態にある。尚、この第1攪拌槽K1及び第2攪拌槽K2は何れも、円筒状の周壁及び底壁が白金または白金合金で形成されると共に、この2つの槽K1、K2は、大きさ、形態、及び内部構造が同一もしくは略同一である。そして、清澄槽5から下流側に向かう清澄通路10は、第1攪拌槽K1の上部(周壁の上端部)に接続されると共に、第1攪拌槽K1の下部(周壁の下端部)と第2攪拌槽K2の上部(周壁の上端部)とが第1連通路R1を介して接続され、且つ第2攪拌槽K2の下部(周壁の下端部)がポットに通じる冷却パイプ(冷却通路)7に接続されている。したがって、清澄通路10から第1攪拌槽K1の上部に形成された第1流入口M1を通じてその内部に流入した溶融ガラスは、第1攪拌槽K1の内部を下方に向かって流れた後に、第1攪拌槽K1の下部に形成された第1流出口N1を通じて第1連通路R1に流出し、第1連通路R1を斜め上方に流れて通過した後に、第1連通路R1から第2攪拌槽K2の上部に形成された第2流入口M2を通じてその内部に流入し、第2攪拌槽K2の内部を下方に向かって流れた後に、第2攪拌槽K2の下部に形成された第2流出口N2を通じて冷却通路7に流出するようになっている。尚、上記の各流入口は、各攪拌槽の周壁の上流側部分に形成され、且つ各流出口は、各攪拌槽の周壁の下流側部分に形成されると共に、各流入口及び各流出口の流路面積は、各攪拌槽の内部の流路面積よりも小さく設定されている(以下の各実施形態における各流入口及び各流出口も同様)。
この場合、図2に示すように、第1攪拌槽K1の第1流入口M1からその内部に流入する溶融ガラスは、流入した直後に、その一部が矢印Aで示す経路を経て第1攪拌手段S1の最上段の攪拌羽根S11に当接すると共に、その残余部が矢印Bで示す経路を経て最上段の攪拌羽根S11よりも上方の部位に流れ込むように各部の位置設定がなされている。また、第2攪拌槽K2の第2流入口M2からその内部に流入する溶融ガラスも、第1攪拌槽K1の場合と同様に、溶融ガラスの一部が第2攪拌手段S2の最上段の攪拌羽根S21に当接すると共に、その残余部が最上段の攪拌羽根S21よりも上方の部位に流れ込むように各部の位置設定がなされている。そして、第1攪拌槽K1及び第2攪拌槽K2に流入してその内部を下方に向かって流れる溶融ガラスに対しては、第1攪拌手段S1及び第2攪拌手段S2の何れもが、上方に向かう抵抗を付与するように、即ち溶融ガラスの流れと逆向きの抵抗を付与するように構成されている。
以上の構成を備えた溶融ガラス供給装置1を使用して、ガラス成形品としての板ガラスを製造するには、高粘性ガラスを溶融窯2で溶融する溶融工程と、溶融窯2からその下流側の成形装置3に通じる供給流路4を溶融ガラスが流れる際に、個々に独立した状態にあり且つ均質化作用を行う第1、第2攪拌槽K1、K2に溶融ガラスを流入させて通過させる攪拌工程と、この攪拌工程で攪拌された溶融ガラスを成形装置3に供給して板ガラスを成形する成形工程とが実行される。
次に、この第1実施形態における上記の攪拌工程について詳述する。
溶融窯2から流出して清澄槽5に流れ込んだ溶融ガラスは(図1参照)、清澄通路10から第1流入口M1を通じて先ず第1攪拌槽K1の内部に流入し、回転する第1攪拌手段S1によって攪拌されながら第1攪拌槽K1内を下方に向かって流れた後、第1流出口N1から流出して第1連通路R1を斜め上方に向かって流れる。その後、この溶融ガラスは、第1連通路R1から第2流入口M2を通じて第2攪拌槽K2の内部に流入し、回転する第2攪拌手段S2によって攪拌されながら第2攪拌槽K2内を下方に向かって流れた後、第2流出口N2から流出して冷却通路7に至る。
図3は、上記のように第1、第2攪拌槽K1、K2の内部で第1、第2攪拌手段S1、S2による攪拌作用を受けながら流れる溶融ガラスの態様について模擬実験(モデル実験)を行った結果を示す概略図である。同図に符号Cを付した一点鎖線で示す経路は、清澄通路10の上部に存在する溶融ガラスつまり溶融窯2及び清澄槽5の表面部に浮遊していた異質相を含む溶融ガラスの流れる経路を模式的に表したものであり、また同図に符号Dを付した破線で示す経路は、清澄通路10の下部に存在する溶融ガラスつまり溶融窯2及び清澄槽5の底面部に沈んでいた異質相を含む溶融ガラスの流れる経路を模式的に表したものである。
同図から把握できるように、清澄通路10の上部に存在する溶融ガラスは、先ず第1流入口M1の上部から第1攪拌槽K1内に流入してその中央部(中心軸線周辺部)を下方に向かって流れた後、第1流出口N1の下部から流出して第1連通路R1の下面部近傍を斜め上方に流れ、その後、第2流入口M2の下部から第2攪拌槽K2内に流入してその内周面近傍を下方に向かって流れた後、第2流出口N2の上部から流出して冷却通路7の上面部近傍を流れる。これに対して、清澄通路10の下部に存在する溶融ガラスは、先ず第1流入口M1の下部から第1攪拌槽K1内に流入してその内周面近傍を下方に向かって流れた後、第1流出口N1の上部から流出して第1連通路R1の上面部近傍を斜め上方に流れ、その後、第2流入口M2の上部から第2攪拌槽K2内に流入してその中央部を下方に向かって流れた後、第2流出口N2の下部から流出して冷却通路7の下面部近傍を流れる。
この場合、第1攪拌槽K1及び第2攪拌槽K2の内部においては、中央部を上方から下方に向かって流れる溶融ガラスが、回転する第1攪拌手段S1及び第2攪拌手段S2に当接して充分な攪拌作用を受けるのに対して、それぞれの内周面近傍を上方から下方に向かって流れる溶融ガラスは、第1攪拌手段S1及び第2攪拌手段S2に当接しないことから攪拌作用を殆ど受けることがない。したがって、清澄通路10の上部に存在していた溶融ガラスは、符号Cで示す経路(一点鎖線で示す経路)に沿って流れる間に、第1攪拌槽K1の内部で充分な攪拌作用を受けると共に、清澄通路10の下部に存在していた溶融ガラスは、符号Dで示す経路(破線で示す経路)に沿って流れる間に、第2攪拌槽K2の内部で充分な攪拌作用を受ける。これにより、溶融窯2及び清澄槽5において溶融ガラスの表面部に存在していた比重の小さな異質相が第1攪拌槽K1の内部で充分に攪拌されて消失することにより溶融ガラスの表面部が均質になると共に、その溶融ガラスの底面部に存在していた比重の大きな異質相が第2攪拌槽K2の内部で充分に攪拌されて消失することにより溶融ガラスの底面部が均質になり、ひいては溶融ガラスの全体にわたって均質化が図られる。
図4は、本発明の第2実施形態に係るガラス成形品の製造方法を実施するために使用される溶融ガラス供給装置の主要部を示す概略正面図である。この第2実施形態に係る溶融ガラス供給装置1が、上述の第1実施形態に係る溶融ガラス供給装置1と相違しているところは、供給流路4の途中に、第1攪拌槽K1及び第2攪拌槽K2に加えて、その下流側に、それらの槽K1、K2と大きさ及び形態並びに内部構造が同一もしくは略同一の第3攪拌槽K3を配設し、この第3攪拌槽K3の下流側に冷却通路7を連通させた点である。詳述すると、第2攪拌槽K2の下部(周壁の下端部)と第3攪拌槽K3の上部(周壁の上端部)とが第2連通路R2を介して接続され、且つ、第3攪拌槽K3の下部(周壁の下端部)に冷却通路7が接続されている。したがって、第2攪拌槽K2の第2流出口N2を通じて流出した溶融ガラスは、第2連通路R2を斜め上方に流れて通過した後に、第2連通路R2から第3攪拌槽K3の上部に形成された第3流入口M3を通じてその内部に流入し、第3攪拌槽K3の内部を下方に向かって流れた後に、第3攪拌槽K3の下部に形成された第3流出口N3を通じて冷却通路7に流出するようになっている。
この第2実施形態に係る溶融ガラス供給装置1を使用して、ガラス成形品としての板ガラスを製造する場合にも、上述の第1実施形態の場合と同様にして、溶融工程と、攪拌工程と、成形工程とが実行される。そして、攪拌工程では、第1攪拌槽K1及び第2攪拌槽K2の内部において、上述の第1実施形態の場合と同様に、溶融ガラスが、回転する第1攪拌手段S1及び第2攪拌手段S2によって攪拌されると共に、その攪拌された溶融ガラスが、更に第3攪拌槽K3の内部において、回転する第3攪拌手段S3によって攪拌される。そして、上述の図3に示す模擬実験の結果を参照すれば、第3攪拌槽K3の内部での溶融ガラスの流れの形態は、第1攪拌槽K1の内部と実質的に同一となる。すなわち、第2攪拌槽K2の第2流出口N2から流出して第2連通路R2を斜め上方に流れた溶融ガラスのうち、第2連通路R2の上面部近傍(上部)に存在している溶融ガラス(当初は清澄通路10の上部に存在していた溶融ガラス)は、第3流入口M3の上部を通じて第3攪拌槽K3内に流入し、その内部の中央部を上方から下方に向かって流れた後、第3流出口N3の下部から流出して冷却通路7の下面部近傍に至る。これに対して、第2連通路R2の下面部近傍(下部)に存在している溶融ガラス(当初は清澄通路10の下部に存在していた溶融ガラス)は、第3流入口M3の下部を通じて第3攪拌槽K3内に流入し、その内周面近傍を上方から下方に向かって流れた後、第3流出口N3の上部から流出して冷却通路7の上面部近傍に至る。したがって、上述の第1実施形態の場合と比較すれば、溶融窯2及び清澄槽5内における溶融ガラスの表面部の異質相に対する攪拌作用ひいては均質化作用がより一層的確に行われることが期待できる。
図5は、本発明の第3実施形態に係るガラス成形品の製造方法を実施するために使用される溶融ガラス供給装置の主要部を示す概略正面図である。この第3実施形態に係る溶融ガラス供給装置1が、上述の第2実施形態に係る溶融ガラス供給装置1と相違しているところは、供給流路4の途中に、第1、第2、第3攪拌槽K1、K2、K3に加えて、その下流側に、それらの槽K1、K2、K3と大きさ及び形態並びに内部構造が同一もしくは略同一の第4攪拌槽K4を配設し、この第4攪拌槽K4の下流側に冷却通路7を連通させた点である。詳述すると、第3攪拌槽K3の下部(周壁の下端部)と第4攪拌槽K4の上部(周壁の上端部)とが第3連通路R3を介して接続され、且つ、第4攪拌槽K4の下部(周壁の下端部)に冷却通路7が接続されている。したがって、第3攪拌槽K3の第3流出口N3を通じて流出した溶融ガラスは、第3連通路R3を斜め上方に流れて通過した後に、第3連通路R3から第4攪拌槽K4の上部に形成された第4流入口M4を通じてその内部に流入し、第4攪拌槽K4の内部を下方に向かって流れた後に、第4攪拌槽K4の下部に形成された第4流出口N4を通じて冷却通路7に流出するようになっている。
この第3実施形態に係る溶融ガラス供給装置1を使用して、ガラス成形品としての板ガラスを製造する場合にも、上述の第1実施形態の場合と同様にして、溶融工程と、攪拌工程と、成形工程とが実行される。そして、攪拌工程では、第1、第2、第3攪拌槽K1、K2、K3の内部において、上述の第2実施形態の場合と同様に、溶融ガラスが、回転する第1、第2、第3攪拌手段S1、S2、S3によって攪拌されると共に、その攪拌された溶融ガラスが、更に第4攪拌槽K4の内部において、回転する第4攪拌手段S4によって攪拌される。そして、上述の図3に示す模擬実験の結果を参照すれば、第4攪拌槽K4の内部での溶融ガラスの流れの形態は、第2攪拌槽K2の内部と実質的に同一となる。すなわち、第3攪拌槽K3の第3流出口N3から流出して第3連通路R3を斜め上方に流れた溶融ガラスのうち、第3連通路R3の下面部近傍(下部)に存在している溶融ガラス(当初は清澄通路10の上部に存在していた溶融ガラス)は、第4流入口M4の下部を通じて第4攪拌槽K4内に流入し、その内周面近傍を上方から下方に向かって流れた後、第4流出口N4の上部から流出して冷却通路7の上面部近傍に至る。これに対して、第3連通路R3の上面部近傍(上部)に存在している溶融ガラス(当初は清澄通路10の下部に存在していた溶融ガラス)は、第4流入口M4の上部を通じて第4攪拌槽K4内に流入し、その内部の中央部を上方から下方に向かって流れた後、第4流出口N4の下部から流出して冷却通路7の下面部近傍に至る。したがって、上述の第2実施形態の場合と比較すれば、溶融窯2及び清澄槽5内における溶融ガラスの底面部の異質相に対する攪拌作用ひいては均質化作用、また上述の第1実施形態の場合と比較すれば、表面部及び底面部の2種の異質相に対する攪拌作用ひいては均質化作用が、より一層的確に行われることが期待できる。
図6は、本発明の第4実施形態に係るガラス成形品の製造方法を実施するために使用される溶融ガラス供給装置(詳しくは、上記の第1〜第3実施形態に係る溶融ガラス供給装置に組み込むことが可能な2個の攪拌槽の連通構成)の主要部を示す概略正面図である。この第4実施形態に係る溶融ガラス供給装置1が、上述の第1実施形態に係る溶融ガラス供給装置1と相違しているところは、第1攪拌槽K1及び第2攪拌槽K2の周辺における通路構成が基本的に異なっている点にある。詳述すると、清澄槽5から下流側に向かう清澄通路10は、第1攪拌槽K1の上部(周壁の上端部)に接続されると共に、第1攪拌槽K1の下部(周壁の下端部)と第2攪拌槽K2の下部(周壁の下端部)とが第4連通路R4を介して接続され、且つ第2攪拌槽K2の上部(周壁の上端部)がポットに通じる冷却通路7に接続されている。したがって、清澄通路10から第1攪拌槽K1の上部の第1流入口M1を通じてその内部に流入した溶融ガラスは、第1攪拌槽K1の内部を下方に向かって流れた後に、第1攪拌槽K1の下部に形成された第1流出口N1を通じて第4連通路R4に流出し、第4連通路R4を略水平方向に流れて通過した後に、第4連通路R4から第2攪拌槽K2の下部の第2流入口M2を通じてその内部に流入し、第2攪拌槽K2の内部を上方に向かって流れた後に、第2攪拌槽K2の上部の第2流出口N2を通じて冷却通路7に流出するようになっている。
この場合、図7に示すように、第2攪拌槽K2の第2流入口M2からその内部に流入する溶融ガラスは、流入した直後に、その一部が矢印Eで示す経路を経て第2攪拌手段S2の最下段の攪拌羽根S21に当接すると共に、その残余部が矢印Fで示す経路を経て最下段の攪拌羽根S21よりも下方の部位に流れ込むように各部の位置設定がなされている。尚、第1攪拌槽K1の第1流入口M1からその内部に流入する溶融ガラスの流入直後における態様は、既に図2に基づいて説明した事項と同一である。そして、第1攪拌槽K1に流入してその内部を下方に向かって流れる溶融ガラスに対しては、第1攪拌手段S1が上方に向かう抵抗を付与するように構成されているのに対して、第2攪拌槽K2に流入してその内部を上方に向かって流れる溶融ガラスに対しては、第2攪拌手段S2が下方に向かう抵抗を付与するように構成されている。
この第4実施形態に係る溶融ガラス供給装置1を使用して、ガラス成形品としての板ガラスを製造する場合にも、上述の第1〜第3実施形態の場合と同様にして、溶融工程と、攪拌工程と、成形工程とが実行される。そして、攪拌工程において、溶融ガラスは、第1攪拌槽K1の内部を上方から下方に向かって流れる間、及び第2攪拌槽K2の内部を下方から上方に向かって流れる間に、回転する第1攪拌手段S1及び第2攪拌手段S2によって攪拌される。
図8は、上記のように第1、第2攪拌槽K1、K2の内部で第1、第2攪拌手段S1、S2による攪拌作用を受けながら流れる溶融ガラスの態様について模擬実験を行った結果を示す概略図である。同図に符号Gを付した一点鎖線で示す経路は、清澄通路10の上部に存在する溶融ガラスつまり溶融窯2及び清澄槽5の表面部に浮遊していた異質相を含む溶融ガラスの流れる経路を模式的に表したものであり、また同図に符号Hを付した破線で示す経路は、清澄通路10の下部に存在する溶融ガラスつまり溶融窯2及び清澄槽5の底面部に沈んでいた異質相を含む溶融ガラスの流れる経路を模式的に表したものである。
同図から把握できるように、清澄通路10の上部に存在する溶融ガラスは、先ず第1流入口M1の上部から第1攪拌槽K1内に流入してその中央部を下方に向かって流れた後、第1流出口N1の下部から流出して第4連通路R4の下面部近傍を略水平方向に流れ、その後、第2流入口M2の下部から第2攪拌槽K2内に流入してその中央部を上方に向かって流れた後、第2流出口N2の上部から流出して冷却通路7の上面部近傍を流れる。これに対して、清澄通路10の下部に存在する溶融ガラスは、先ず第1流入口M1の下部から第1攪拌槽K1内に流入してその内周面近傍を下方に向かって流れた後、第1流出口N1の上部から流出して第4連通路R4の上面部近傍を略水平方向に流れ、その後、第2流入口M2の上部から第2攪拌槽K2内に流入してその内周面近傍を上方に向かって流れた後、第2流出口N2の下部から流出して冷却通路7の下面部近傍を流れる。
この場合、清澄通路10の上部に存在していた溶融ガラスは、符号Gで示す経路(一点鎖線で示す経路)に沿って流れる間に、第1攪拌槽K1及び第2攪拌槽K2の内部で、回転する第1攪拌手段S1及び第2攪拌手段S2に当接して充分な攪拌作用を受けるのに対して、清澄通路10の下部に存在していた溶融ガラスは、符号Hで示す経路(破線で示す経路)に沿って流れる間に、第1攪拌手段S1及び第2攪拌手段S1、S2に当接しないことから攪拌作用を殆ど受けることがない。したがって、溶融窯2及び清澄槽5において溶融ガラスの表面部に存在する比重の小さな異質相が特に問題となる場合には、その表面部の異質相が第1、第2攪拌槽K1、K2の内部で充分に攪拌されて消失することにより溶融ガラスの表面部が充分に均質になる。
図9は、本発明の第5実施形態に係るガラス成形品の製造方法を実施するために使用される溶融ガラス供給装置(詳しくは、上記の第1〜第3実施形態に係る溶融ガラス供給装置に組み込むことが可能な3個の攪拌槽の連通構成)の主要部を示す概略正面図である。この第5実施形態に係る溶融ガラス供給装置1が、上述の第4実施形態に係る溶融ガラス供給装置1と相違しているところは、供給流路4の途中に、第1攪拌槽K1及び第2攪拌槽K2に加えて、その下流側に、それらの槽K1、K2と大きさ及び形態並びに内部構造が同一もしくは略同一の第3攪拌槽K3を配設し、この第3攪拌槽K3の下流側に冷却通路7を連通させた点である。詳述すると、第2攪拌槽K2の上部(周壁の上端部)と第3攪拌槽K3の上部(周壁の上端部)とが第5連通路R5を介して接続され、且つ、第3攪拌槽K3の下部(周壁の下端部)に冷却通路7が接続されている。したがって、第2攪拌槽K2の第2流出口N2を通じて流出した溶融ガラスは、第5連通路R5を略水平方向に流れて通過した後に、第5連通路R5から第3攪拌槽K3の上部に形成された第3流入口M3を通じてその内部に流入し、第3攪拌槽K3の内部を下方に向かって流れた後に、第3攪拌槽K3の下部に形成された第3流出口N3を通じて冷却通路7に流出するようになっている。
この第5実施形態に係る溶融ガラス供給装置1を使用して、ガラス成形品としての板ガラスを製造する場合にも、上述の第1〜第3実施形態の場合と同様にして、溶融工程と、攪拌工程と、成形工程とが実行される。そして、攪拌工程において、溶融ガラスは、第1攪拌槽K1の内部を上方から下方に向かって流れる間、及び第2攪拌槽K2の内部を下方から上方に向かって流れる間に加えて、第3攪拌槽K3の内部を上方から下方に向かって流れる間に、回転する第1、第2、第3攪拌手段S1、S2、S3によって攪拌される。そして、上述の図8に示す模擬実験の結果を参照すれば、第3攪拌槽K3の内部における溶融ガラスの流れの形態は、第1攪拌槽K1の内部と実質的に同一となる。したがって、上述の第4実施形態の場合と比較すれば、溶融窯2及び清澄槽5内における溶融ガラスの表面部の異質相が特に問題となる場合に、この異質相に対する攪拌作用ひいては均質化作用がより一層的確に行われることが期待できる。
図10は、本発明の第6実施形態に係るガラス成形品の製造方法を実施するために使用される溶融ガラス供給装置(詳しくは、上記の第1〜第3実施形態に係る溶融ガラス供給装置に組み込むことが可能な4個の攪拌槽の連通構成)の主要部を示す概略正面図である。この第6実施形態に係る溶融ガラス供給装置1が、上述の第5実施形態に係る溶融ガラス供給装置1と相違しているところは、供給流路4の途中に、第1、第2、第3攪拌槽K1、K2、K3に加えて、その下流側に、それらの槽K1、K2、K3と大きさ及び形態並びに内部構造が同一もしくは略同一の第4攪拌槽K4を配設し、この第4攪拌槽K4の下流側に冷却通路7を連通させた点である。詳述すると、第3攪拌槽K3の下部(周壁の下端部)と第4攪拌槽K4の下部(周壁の下端部)とが第6連通路R6を介して接続され、且つ、第4攪拌槽K4の上部(周壁の上端部)に冷却通路7が接続されている。したがって、第3攪拌槽K3の第3流出口N3を通じて流出した溶融ガラスは、第6連通路R6を略水平方向に流れて通過した後に、第6連通路R6から第4攪拌槽K4の下部の第4流入口M4を通じてその内部に流入し、第4攪拌槽K4の内部を上方に向かって流れた後に、第4攪拌槽K4の上部の第4流出口N4を通じて冷却通路7に流出するようになっている。
この第6実施形態に係る溶融ガラス供給装置1を使用して、ガラス成形品としての板ガラスを製造する場合にも、上述の第1〜第3実施形態の場合と同様にして、溶融工程と、攪拌工程と、成形工程とが実行される。そして、攪拌工程において、溶融ガラスは、第1攪拌槽K1の内部を上方から下方に向かって流れる間、第2攪拌槽K2の内部を下方から上方に向かって流れる間、及び第3攪拌槽K3の内部を上方から下方に向かって流れる間に加えて、第4攪拌槽K4の内部を下方から上方に向かって流れる間に、回転する第1、第2、第3、第4攪拌手段S1、S2、S3、S4によって攪拌される。そして、上述の図8に示す模擬実験の結果を参照すれば、第4攪拌槽K4の内部における溶融ガラスの流れの形態は、第2攪拌槽K2の内部と実質的に同一となる。したがって、上述の第5実施形態の場合と比較しても、溶融窯2及び清澄槽5内における溶融ガラスの表面部の異質相が特に問題となる場合に、この異質相に対する攪拌作用ひいては均質化作用がより一層的確に行われることが期待できる。
図11は、本発明の第7実施形態に係るガラス成形品の製造方法を実施するために使用される溶融ガラス供給装置の主要部を示す概略正面図である。この第7実施形態に係る溶融ガラス供給装置1は、上述の第1実施形態における2つの攪拌槽K1、K2の連通構成と、上述の第4実施形態における2つの攪拌槽K1、K2の連通構成とを組み合わせたものに相当する。すなわち、供給流路4の上流側から順に、第1攪拌槽K1の上部の第1流入口M1に清澄通路10を接続し、第1攪拌槽K1の下部の第1流出口N1と第2攪拌槽K2の上部の第2流入口M2とを第1連通路R1を介して接続し、第2攪拌槽K2の下部の第2流出口N2と第3攪拌槽K3の上部の第3流入口M3とを第2連通路R2を介して接続し、第3攪拌槽K3の下部の第3流出口N3と第4攪拌槽K4の下部の第4流入口M4とを第3連通路R3を介して接続し、第4攪拌槽K4の上部の第4流出口N4に冷却通路7を接続したものである。
この第7実施形態に係る溶融ガラス供給装置1を使用して、ガラス成形品としての板ガラスを製造する場合にも、上述の第1実施形態の場合と同様にして、溶融工程と、攪拌工程と、成形工程とが実行される。そして、攪拌工程において、溶融ガラスは、第1、第2、第3攪拌槽K1、K2、K3の内部を上方から下方に向かって流れる間、及び第4攪拌槽K4の内部を下方から上方に向かって流れる間に、回転する第1、第2、第3、第4攪拌手段S1、S2、S3、S4によって攪拌される。したがって、この場合には、溶融窯2及び清澄槽5内における溶融ガラスの表面部の異質相に対してのみならず、底面部の異質相に対しても攪拌作用ひいては均質化作用を的確に行うことが期待できる。
図12は、本発明の第8実施形態に係るガラス成形品の製造方法を実施するために使用される溶融ガラス供給装置(詳しくは、上記の第1〜第3実施形態に係る溶融ガラス供給装置に組み込むことが可能な攪拌槽の連通構成)の主要部を示す概略正面図である。この第8実施形態に係る溶融ガラス供給装置1が、上述の第1実施形態に係る溶融ガラス供給装置1と相違するところは、第1攪拌槽K1及び第2攪拌槽K2の内部における溶融ガラスの流れ方向が下方から上方に向かうように通路構成を変更した点にある。すなわち、供給流路4の上流側から順に、第1攪拌槽K1の下部に形成した第1流入口M1に清澄通路10を接続し、第1攪拌槽K1の上部に形成した第1流出口N1と第2攪拌槽K2の下部に形成した第2流入口M2とを第1連通路R1を介して接続し、第2攪拌槽K2の上部に形成した第2流出口N2に冷却通路7を接続したものである。
この第8実施形態に係る溶融ガラス供給装置1を使用して、ガラス成形品としての板ガラスを製造する場合にも、上述の第1実施形態の場合と同様にして、溶融工程と、攪拌工程と、成形工程とが実行される。そして、攪拌工程において、溶融ガラスは、第1、第2攪拌槽K1、K2の何れの内部をも下方から上方に向かって流れる間に、回転する第1、第2攪拌手段S1、S2によって攪拌される。したがって、このような構成によっても、上述の第1実施形態の場合と同様に、溶融窯2及び清澄槽5内における溶融ガラスの表面部の異質相や底面部の異質相に対して攪拌作用ひいては均質化作用を的確に行うことが期待できる。尚、この第8実施形態における第1、第2攪拌槽K1、K2の連通構成と同一の態様で、第3攪拌槽を追加して連通させ、更には第4攪拌槽を追加して連通させてもよく、或いは、この第8実施形態における2つの攪拌槽K1、K2の連通構成と、上述の第1実施形態における2つの攪拌槽K1、K2の連通構成もしくは第4実施形態における2つの攪拌槽K1、K2の連通構成とを組み合わせるようにしてもよい。
図13は、以上の実施形態において攪拌槽の個数を2〜4個とした場合の攪拌効率を示すグラフである。ここで、攪拌効率とは、供給流路(各攪拌槽の内部)を流れる単位時間当たりの溶融ガラスの流量(kg/h)を、各攪拌槽の内部で回転する各攪拌手段(各スターラ)の平均回転数(rpm)で除算した値である。したがって、この攪拌効率は、各攪拌槽内で各攪拌手段が1回転する場合に、攪拌作用(均質化作用)を受けることができる溶融ガラスの流量を把握する上で目安となるものである。同図に実線で示す特性曲線Jは、攪拌槽の個数に対する実際の攪拌効率の変化を表わすものであるのに対して、同図に破線で示す直線Kは、攪拌槽の個数に比例して攪拌効率が増加すると仮定した場合の状態を表わすものである。同図の特性曲線Jから把握できるように、攪拌槽が2個の場合の実際の攪拌効率は、1個の場合の3倍程度となり、攪拌槽が3個の場合の実際の攪拌効率は、1個の場合の6倍または7倍程度となり、攪拌槽が4個の場合の実際の攪拌効率は、1個の場合の10倍または11倍程度となる。このように、攪拌効率は、攪拌槽の個数に比例して増加するのではなく、それよりも大きな比率で増加していくので、上記の各実施形態のように攪拌槽の個数を少なくとも2〜4個とすれば、効率よく溶融ガラスを攪拌し且つ均質にすることが可能となる。
図14は、以上の実施形態において攪拌槽の個数を2〜4個とした場合の均質化必要回転数を示すグラフである。ここで、均質化必要回転数とは、流量が1ton/hの溶融ガラスを流そうとした場合に、攪拌槽の攪拌手段(スターラ)が不当な抵抗を受けることなく溶融ガラスを充分に攪拌(均質化)するために必要な攪拌手段の回転数(rpm)を意味するものである。尚、ここでいう攪拌手段の回転数は、各攪拌槽の各攪拌手段の回転数の合計値である。同図に示す特性曲線Lは、攪拌槽の個数と均質化必要回転数との関係を表わすものである。この特性曲線Lから明らかなように、攪拌槽の個数が増加するに連れて、均質化必要回転数が減少し、各攪拌手段の回転数を大幅に小さくすることができる。したがって、上記の各実施形態のように攪拌槽の個数を少なくとも2〜4個にすれば、各攪拌槽の攪拌手段に不当な抵抗が作用しなくなり、攪拌羽根が削り取られて白金異物として溶融ガラス中に混入されるという不具合が生じ難くなる。
また、以上の実施形態では、複数個の攪拌槽が個々に独立した状態で上下流方向に隣り合って配設されているので、各攪拌槽をそれぞれ独立した状態で取り扱えるようになり、保守点検や修理或いは取り換え等の容易化及び簡素化が図られると共に、溶融ガラスから撹拌手段に作用する抵抗を適切にすべく撹拌槽の温度を調整する場合にも、その他の部位の影響を受け難くなり、各攪拌槽を流れる溶融ガラスの温度調節ひいては粘度の調節を容易且つ適正に行うことが可能となる。
そして、以上の実施形態に係る溶融ガラス供給装置は、オーバーフローダウンドロー法により液晶ディスプレイ用のガラスパネルに用いられる板ガラスを成形する場合に効果的に適用され得るが、成形方法はこれ以外のものであってもよく、またガラス成形品についても、エレクトロルミネッセンスディスプレイやプラズマディスプレイ等の他の平面ディスプレイ用のガラスパネル、及び、電荷結合素子(CCD)、等倍近接型固体撮像素子(CIS)、CMOSイメージセンサ等の各種イメージセンサやレーザーダイオード等のカバーガラス、並びに、ハードディスクやフィルタのガラス基板等に用いられる板ガラスを成形する場合にも適用可能である。
尚、以上の実施形態に係る供給流路の途中には、2〜4個の攪拌槽を上下流方向に隣り合わせて配設したが、5個以上の攪拌槽を上下流方向に隣り合わせて配設してもよい。詳しくは、図1、図4或いは図5に示す連通構成のみで5個以上の攪拌槽を配設してもよく、また図12に示す連通構成のみで5個以上の攪拌槽を配設してもよく、もしくは図11に示す2種の連通構成や図12に示す連通構成を任意に選択し組み合わせて5個以上の攪拌槽を配設してもよい。そして、この場合には、供給流路を流れる溶融ガラスの流量に応じて、攪拌槽の個数を、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、更には少なくとも5個とすることが好ましい。
更に、以上の実施形態では、高粘性ガラスからなるガラス成形品の製造に用いる溶融ガラス供給装置について説明したが、旧来から使用されている光学ガラス、窓用板ガラス、及び瓶や食器類等の低粘性ガラスからなるガラス成形品の製造に用いる溶融ガラス供給装置についても、同様に本発明を適用することが可能である
1 溶融ガラス供給装置
2 溶融窯
3 成形装置
4 供給流路
K1 第1攪拌槽
K2 第2攪拌槽
K3 第3攪拌槽
K4 第4攪拌槽
M1 第1流入口
M2 第2流入口
M3 第3流入口
M4 第4流入口
S1 攪拌羽根(第1攪拌手段)
S2 攪拌羽根(第2攪拌手段)
S3 攪拌羽根(第3攪拌手段)
S4 攪拌羽根(第4攪拌手段)

Claims (6)

  1. 1000ポイズの粘度に相当する温度が1350℃以上となる特性を備えた高粘性ガラスを溶融窯で溶融する溶融工程と、前記溶融窯からその下流側の成形装置に通じる供給流路の途中で攪拌槽により溶融ガラスを攪拌する攪拌工程と、該攪拌工程で攪拌された溶融ガラスを成形装置に供給してガラス成形品を成形する成形工程とを有するガラス成形品の製造方法であって、
    前記攪拌工程は、個々に独立した状態にある複数の攪拌槽を上下流方向に隣り合わせて配設してなり、攪拌槽は内周面が円筒面をなす筒状の周壁部と底壁部とからなり、少なくとも隣り合う2個の攪拌槽のうち、上流側の攪拌槽の周壁部上部に流入口を且つ周壁部下部に流出口をそれぞれ形成し、且つ、上流側の攪拌槽の流出口と下流側の攪拌槽の流入口とを連通路を介して接続してなる供給流路途中の攪拌槽配設部位に、前記溶融ガラスを流入させ且つ通過させることを特徴とするガラス成形品の製造方法。
  2. 前記複数の攪拌槽の全てが、均質化作用を行うことを特徴とする請求項1に記載のガラス成形品の製造方法。
  3. 前記攪拌槽の内部に収容されている攪拌羽根の外周端が前記内周面に近接していることを特徴とする請求項1または2に記載のガラス成形品の製造方法。
  4. 前記成形装置は、表裏両面が未研磨の板ガラスを成形することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のガラス成形品の製造方法。
  5. 前記高粘性ガラスが、無アルカリガラスであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のガラス成形品の製造方法。
  6. 前記高粘性ガラスが、質量%で、SiO2:40〜70%、Al23:6〜25%、B23:5〜20%、MgO:0〜10%、CaO:0〜15%、BaO:0〜30%、SrO:0〜10%、ZnO:0〜10%、清澄剤:0〜5%含有する無アルカリガラスであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のガラス成形品の製造方法。
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