JP2010235333A - チタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体の製造方法およびチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体 - Google Patents

チタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体の製造方法およびチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体 Download PDF

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Abstract

【課題】焼結の際の収縮率が低減されたチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体の製造方法およびチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体を提供する。
【解決手段】チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末100重量部に対し、5〜20重量部のジルコニア粉末を混合し、成形、焼結させる、チタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体の製造方法、ならびに、当該方法で得られたチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、チタン酸アルミニウム系セラミックスからなる焼結体の製造方法に関し、より詳しくは、チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末を成形し、得られる成形体を焼結することによりチタン酸アルミニウム系セラミックスからなる焼結体を製造する方法に関する。
チタン酸アルミニウム系セラミックスは、構成元素としてチタンおよびアルミニウムを含み、X線回折スペクトルにおいて、チタン酸アルミニウムの結晶パターンを有するセラミックスであって、耐熱性に優れたセラミックスとして知られている。チタン酸アルミニウム系セラミックスは、従来からルツボのような焼結用の冶具などとして用いられてきた。このようなチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体の中でも多孔質焼結体は、近年では、ディーゼルエンジンなどの内燃機関から排出される排ガスに含まれる微細なカーボン粒子を捕集するためのセラミックスフィルターを構成する材料として、産業上の利用価値が高まっている。
ディーゼルエンジンから排出されるススなどの浮遊状微粒物質を捕集するためのディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)は一般に高い気孔率を有するハニカム形状のセラミックス焼結体からなる。この多孔質セラミックスからなるDPFを使用する際には、ハニカム壁面上に捕集したススをフィルタ上で燃焼させることで通気抵抗を回復させる再生処理を行う。この際にDPF用ハニカム内には急速な温度上昇が生じ、DPF用ハニカムは高温に曝されるとともに大きな熱衝撃を受けることになる。また、ディーゼルエンジンが乗用車や建機の動力源として使用される場合には、使用中は常に大きな機械的振動に曝されることになる。このため、DPF用ハニカムとして用いられるセラミックス材料には高い耐熱衝撃性と機械的強度を有することと、熱疲労による特性劣化が小さいことなどが要求される。
このようなチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体の製造方法として、チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末に造孔剤、バインダ、水などを添加し、これを成形し、焼結する方法が知られている。
特許第3185960号公報
しかしながら、チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末を成形して多孔質焼結体を得る場合、チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末は保形性が悪く、焼結の際の収縮も大きいため、焼結の最中に成形体が崩れたり、割れが発生しやすくなるなどの問題がある。特に自動車や建機用途のディーゼルエンジンでは昨今の排ガス規制の強化もあり、一般にDPFを構成する多孔質ハニカムの形状は直径100mm×長さ100mm以上と大型で、壁厚は0.5mm以下と薄く、セル構造は300セル以上、有効気孔率は30〜60vol%、平均の細孔直径1〜20μm、細孔径の分布が(D50−D10)/D50で0.5未満の狭い細孔分布を有するという、非常に脆弱な構造が要求されている。その一方で、DPFには耐熱衝撃性を決める大きな要素である熱膨張率が1.5×10-6-1未満という低い熱膨張特性と、高い機械的強度とを併せ持つことも求められている。このため、DPF用焼結体を作製する際には、成形性や焼結の際の保形性を確保し、収縮率を低減させた上で低い熱膨張係数を有するチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体およびその製造方法の開発が望まれている。
保形性を確保する方法としては、特許第3185960号にバイモーダルな粒度分布を有するチタン酸アルミニウム粉末の製造方法が開示されているが、本手法では収縮率が大きく、気孔率が低く、そして熱膨張率が大きくなるために、DPF用のチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体の製造方法としては不十分である。
本発明の目的は、焼結の際の収縮率が低減されたチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体の製造方法およびチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体を提供することである。
本発明は、チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末100重量部に対し、5〜20重量部のジルコニア粉末を混合し、成形、焼結させる、チタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体の製造方法を提供する。
本発明において、チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末の平均粒径は、5〜50μmの範囲内であることが好ましい。また、ジルコニア粉末の平均粒径は、0.1〜5μmの範囲内であることが好ましい。
チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末は、組成式:Al2(1−x)MgxTi(1+x)5(0≦x≦0.5)で表わされるものであることが好ましい。また、チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末は、0.5〜4.0重量%の非晶質のアルミノシリケート相を含有するものであってもよい。ジルコニア粉末は、室温で正方晶または単斜晶であることが好ましい。また、ジルコニア粉末は、Y23、CaOおよびMgOからなる群から選択される1種以上の酸化物を合計で5モル%以下含むものであってもよい。
本発明はまた、チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末100重量部に対し、5〜20重量部のジルコニア粉末を混合し、成形、焼結させて得られたチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体を提供する。本発明のチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体は、気孔率が30〜60%の多孔質焼結体であるであることが好ましい。
また本発明は、Ti、AlおよびZrを含むチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体からなるディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)を提供する。
本発明によれば、チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末に特定範囲内の量のジルコニア(酸化ジルコニウム、ZrO2)粉末を混合し、成形、焼結させることで、成形体が焼結を始める前までの保形性を向上させ、焼結の際の収縮率を低減し、さらに得られる焼結体の熱膨張係数を低く抑えることができる。また、ジルコニア粉末の混合量によって、焼結の際のチタン酸アルミニウム系セラミックスの収縮率を制御することや、得られる焼結体の熱膨張特性、機械的強度を制御することも可能となる。
本発明のチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体の製造方法は、チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末100重量部に対し、5〜20重量部のジルコニア〔酸化ジルコニウム、ZrO2〕粉末を混合し、成形、焼結させることを特徴とする。これによって、従来は焼結の最中に崩壊したり、成形体にヒビや割れが発生し易く、大きな焼結収縮を示すことが多かったチタン酸アルミニウム系セラミックス粉末で作製した多孔質焼結体を安定に得ることができる。なお、この焼結の際のチタン酸アルミニウム系セラミックスの焼結収縮率(線収縮率)は、具体的には、チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末をある形状に圧縮成形した成形体の辺長を測定し、その成形体を焼結した後の辺長を測定することにより算出することができる。
ジルコニア粉末の混合量がチタン酸アルミニウム系セラミックス粉末100重量部に対し5重量部未満である場合には、収縮率低減効果が現れないこともあるという不具合があり、また、ジルコニア粉末の混合量がチタン酸アルミニウム系セラミックス粉末100重量部に対し20重量部を超える場合には、無添加の物に比べ、熱膨張係数が大幅に増大し、収縮率も上昇するという不具合がある。ジルコニア粉末の混合量は、チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末100重量部に対し10〜20重量部の範囲内であることがより好ましい。なお、本発明においては、チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末に対するジルコニア粉末の混合量を制御することで、焼結の際のチタン酸アルミニウム系セラミックスの収縮率や、得られる焼結体の熱膨張特性、機械的強度を制御できるという利点もある。
ジルコニア〔酸化ジルコニウム、ZrO2〕の結晶型は、室温で正方晶または単斜晶のいずれであってもよい。ジルコニアが室温で正方晶または単斜晶のいずれかの結晶型である場合には、得られるチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体の熱膨張係数をより低く抑えることができる。一方、ジルコニアが室温で立方晶である場合、得られるチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体の熱膨張係数は増加する傾向にある。また、ジルコニア粉末は、酸化イットリウム(Y23)、酸化カルシウム(CaO)および/または酸化マグネシウム(MgO)を含むものであってもよく、この場合、ジルコニア粉末中におけるY23、CaOおよびMgOの総和は5モル%以下であることが好ましい。ジルコニア粉末中におけるY23、CaOおよびMgOの総和が5モル%を超えると、得られるチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体の熱膨張係数が増加する傾向にある。
本発明において、チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末の構成相はチタン酸アルミニウム(Al2TiO5)のみであってもよいし、チタン酸アルミニウムの耐熱安定性を向上させること、焼結温度を低下させる目的から、チタン酸アルミニウム(Al2TiO5)にマグネシウム(Mg)や鉄(Fe)を固溶させたものであってもよく、特にマグネシウム源粉末をさらに含んでいることが好ましい。マグネシウムを固溶させたチタン酸アルミニウムは組成式:Al2(1−x)MgxTi1+x5で表わされ、上記組成式において、xは好ましくは0.01〜0.5の範囲内、より好ましくは0.05〜0.3の範囲内である。
このようなチタン酸アルミニウム粉末、チタン酸アルミニウムマグネシウム粉末はその焼結体の強度を向上の目的で、1〜10重量%の範囲でSiO2成分を含んでいてもよい。SiO2成分としては、具体的にはSiO2ガラスやアルミノシリケートガラス、アルカリ長石やガラスフリットなどが挙げられ、SiO2成分が非晶質の状態でチタン酸アルミニウム結晶粒子の粒界に均一に分散していることが好ましい。チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末は、0.5〜4.0重量%の非晶質のアルミノシリケート相を含有することが好ましい。
本発明において、上記チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末の平均粒径R1とジルコニア粉末の平均粒径R2との比R1/R2は、1〜500であることが好ましく、5〜50であることがより好ましく、5〜20であることがさらに好ましい。平均粒径の比R1/R2をこの範囲内に調整することにより、成形体中における粒子の充填性が向上されるため、成形体の保形性、焼結時における成形体の収縮率(焼結収縮率)をより効果的に改善することができ、機械的強度に優れるチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体を得ることができる。なお、本明細書中において「平均粒径」とは、レーザ回折法により測定される、体積基準の累積百分率50%相当粒子径(D50)を意味する。
本発明で用いるチタン酸アルミニウム系セラミックス粉末の平均粒径R1は5〜50μmの範囲内であることが好ましく、10〜30μmの範囲内であることがより好ましい。チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末の平均粒径が5μm未満である場合には、所望の気孔率や細孔径を得るために多量の造孔剤が必要になる傾向にあるためであり、50μmを超える場合には、成形性が著しく低下し、所望の形状の成形体を得ることが困難になるという傾向があるためである。
また、ジルコニア粉末の平均粒径R2は、平均粒径の比R1/R2が上記範囲内となるように選択されることが好ましく、その限りにおいて特に制限されるものではないが、好ましくは0.1〜5μmの範囲内とされる。平均粒径R2が0.1μm未満である場合には、平均粒径R1が5〜50μmのチタン酸アルミニウム系セラミックス粉末の粒子間隙を占めるにはサイズが小さいために、焼結収縮抑制の効果や焼結体の機械的強度向上の効果が不十分となる傾向にある。ジルコニア粉末の平均粒径が5μmを超える場合には、チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末の粒子間隙に入りにくくなるために、十分な収縮率抑制効果が得られにくい傾向にある。
本発明においては、上述したチタン酸アルミニウム系セラミックス粉末とジルコニア粉末とを混合し、得られた混合物を成形して成形体を得た後、当該成形体を焼結することにより、チタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体が得られる。成形してから焼結を行なうことにより、焼結中の収縮を抑えることができ、得られるチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体の割れを抑制、防止することができる。成形体の形状は特に制限されないが、たとえば、ハニカム形状、棒状、チューブ状、板状、るつぼ形状等を挙げることができる。
成形に用いる成形機としては、一軸プレス、押出成形機、打錠機、造粒機などが挙げられる。押出成形を行なう際には、チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末およびジルコニア粉末に、たとえば、造孔剤、バインダ、潤滑剤、可塑剤、分散剤、溶媒などの添加剤を添加して成形することができる。
上記造孔剤としては、グラファイト等の炭素材;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂類;でんぷん、ナッツ殻、クルミ殻、コーンなどの植物系材料;氷;およびドライアイス等などが挙げられる。造孔剤の添加量は、チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末およびジルコニア粉末の合計量100重量部に対して、通常、0.5〜40重量部であり、好ましくは1〜25重量部である。
上記バインダとしては、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロースなどのセルロース類;ポリビニルアルコールなどのアルコール類;リグニンスルホン酸塩などの塩;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等のワックス;EVA、ポリエチレン、ポリスチレン、液晶ポリマー、エンジニアリングプラスチックなどの熱可塑性樹脂などが挙げられる。バインダの添加量は、チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末およびジルコニア粉末の合計量100重量部に対して、通常、0.5〜20重量部であり、好ましくは1〜15重量部である。
上記潤滑剤および可塑剤としては、グリセリンなどのアルコール類;カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラギン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸Alなどのステアリン酸金属塩などが挙げられる。潤滑剤および可塑剤の添加量は、チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末およびジルコニア粉末の合計量100重量部に対して、通常、0〜10重量部であり、好ましくは1〜5重量部である。
上記分散剤としては、たとえば、硝酸、塩酸、硫酸などの無機酸;シュウ酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸;メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;ポリカルボン酸アンモニウム、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどの界面活性剤などが挙げられる。分散剤の添加量は、チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末およびジルコニア粉末の合計量100重量部に対して、通常、0〜20重量部であり、好ましくは2〜8重量部である。
また、上記溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノールなどのアルコール類;プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールなどのグリコール類;および水などを用いることができる。なかでも、水が好ましく、不純物が少ない点で、より好ましくはイオン交換水が用いられる。溶媒の使用量は、チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末およびジルコニア粉末の合計量100重量部に対して、通常、10〜100重量部、好ましくは20〜80重量部である。
上述したチタン酸アルミニウム系セラミックス粉末、ジルコニア粉末に上述した各種添加剤を混合(混練)し、この混合物を、たとえば押出成形などの成形に供し、所望の形状の成形体を得る。
成形体の焼結における焼結温度は、通常、1300℃以上、好ましくは1400℃以上である。また、焼結温度は、通常、1650℃以下、好ましくは1550℃以下である。焼結温度までの昇温速度は特に限定されるものではないが、通常、1℃/時間〜500℃/時間である。成形体がバインダ等の燃焼性有機物を含む場合、焼結工程には、これを除去するための仮焼(脱脂)工程が含まれる。脱脂は、典型的には、焼結温度に至るまでの昇温段階(たとえば、150〜400℃の温度範囲)になされる。脱脂工程においては、昇温速度を極力おさえることが好ましい。
焼結は通常、大気中で行なわれるが、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス中で焼結してもよいし、一酸化炭素ガス、水素ガスなどのような還元性ガス中で焼結してもよい。また、水蒸気分圧を低くした雰囲気中で焼結を行なってもよい。
焼結は、通常、管状電気炉、箱型電気炉、トンネル炉、遠赤外線炉、マイクロ波加熱炉、シャフト炉、反射炉、ロータリー炉、ローラーハース炉などの通常の焼結炉を用いて行なわれる。焼結は回分式で行なってもよいし、連続式で行なってもよい。また、静置式で行なってもよいし、流動式で行なってもよい。
焼結に要する時間は、成形体がチタン酸アルミニウム系結晶に遷移するのに十分な時間であればよく、チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末、ジルコニア粉末などの量、焼結炉の形式、焼結温度、焼結雰囲気などにより異なるが、通常は10分〜24時間である。
以上のようにして、目的のチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体を得ることができる。このようなチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体は、成形直後の成形体の形状をほぼ維持した形状を有する。得られたチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体は、研削加工等により、所望の形状に加工することもできる。
本発明により得られるチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体は、低い熱膨張係数を示すとともに、高い機械的強度を示し得る。また、焼結体の気孔率および細孔構造は、上記ジルコニア粉末の粒子サイズや混合量を調整することにより制御可能である。本発明により得られるチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体の気孔率は、通常30%以上であり、40%以上、さらには45〜60%の高気孔率の焼結体を得ることも可能である。
本発明により得られるチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体は、たとえば、ルツボ、セッター、コウ鉢、炉材などの焼成炉用冶具;ディーゼルエンジン、ガソリンエンジンなどの内燃機関の排気ガス浄化に用いられる排ガスフィルターや、触媒担体、ビールなどの飲食物の濾過に用いる濾過フィルター、石油精製時に生じるガス成分、たとえば一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、酸素などを選択的に透過させるための選択透過フィルターなどのセラミックスフィルター;基板、コンデンサーなどの電子部品などに好適に適用することができる。なかでも、セラミックスフィルター、特には、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)、とりわけ、常に振動に曝される車両用のDPFなどとして用いる場合、本発明により得られるチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体は、大きな細孔径および気孔率を有することから、フィルター性能(排ガス処理能力、煤堆積能力、圧力損失等)に優れるとともに、高い機械的強度を有することから耐久性に優れる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各実施例および比較例における多孔質焼結体の焼結収縮率、得られたチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体の気孔率、熱膨張係数および圧壊強度ならびに用いた原料粉末の平均粒径は下記方法により測定した。
(1)焼結収縮率
焼結前(押し出し成形後)のチューブ形状の成形体と、焼結後の成形体の押し出し断面方向(成形体における押し出し方向とは垂直な方向の断面)の長さ(隔壁ピッチ幅)を、それぞれ5点測定し、それらの値を平均することに得られる焼結前の平均長さおよび焼結後の平均長さから、下記式:
焼結収縮率(%)={1−(焼結後の平均長さ)/(焼結前の平均長さ)}×100
に基づき焼結収縮率を算出した。
(2)気孔率
JIS R1634に準拠した、水中浸漬によるアルキメデス法により、焼結体の水中重量M2(g)、飽水重量M3(g)および乾燥重量M1(g)を測定し、下記式:
気孔率(%)=100×(M3−M1)/(M3−M2)
により気孔率を算出した。
(3)熱膨張係数(CTE)
チタン酸アルミニウム系セラミックスからなるチューブ形状の多孔質焼結体から、外径5mm、内径2mm、長さ20mmの試験片を切り出した。ついで、この試験片に対して、200℃/hの昇温速度で1000℃まで昇温し、直ちに室温(25℃)まで冷却する熱処理を施した。熱処理を施した試験片について、熱機械的分析装置(SIIテクノロジー(株)製 TMA6300)を用いて、50℃から1000℃まで600℃/hで昇温させた際の試験片の膨張率から、下記式に基づき、熱膨張係数〔K-1〕を算出した。
熱膨張係数〔K-1〕=50℃から1000℃での試験片の膨張率/950〔K〕
ここで、50℃から1000℃での試験片の膨張率とは、
(1000℃まで昇温させたときの試験片の体積−昇温前(50℃)における試験片の体積)/(昇温前(50℃)における試験片の体積)
を意味する。
(4)圧壊強度
各実施例および比較例と同様の手順で作製した直径約5mm、内径2mm、高さ5mmのチューブ状のチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体を、移動自在な移動圧子を備えた加圧駆動装置に載置し、移動圧子を下方向に一定速度で降下させ、チューブ状焼結体に対して下方向に一定速度で加重を加えることにより、チューブ状焼結体の高さ方向の圧壊強度をロードセル装置によって測定した。
(5)原料粉末の平均粒径
チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末およびジルコニア粉末の平均粒径〔体積基準の累積百分率50%相当粒子径(D50)〕は、レーザ回折式粒度分布測定装置〔日機装社製「Microtrac HRA(X−100)」〕を用いて測定した。
<実施例1>
アルミナ粉末、チタニア粉末、マグネシア粉末、シリカ含有ガラス粉末を混合、焼成、粉砕することにより得られた平均粒径24μmのチタン酸アルミニウムマグネシウム粉末(組成式:Al1.84Mg0.08Ti1.085、シリカ含有ガラスの含有量:4重量%)90重量部に対し、平均粒径0.3μmのジルコニア粉末(東ソー社製、Y23含有量0.1モル%以下)を10重量部混合し、さらに、この混合粉末100重量部に対し、造孔剤としてポリエチレン粒子(D50=2.3μm)を10重量部、バインダとしてメチルセルロースを7.5重量部、界面活性剤としてポリオキシアルキレンアルキルエーテルを9.3重量部、潤滑剤としてグリセリンを0.8重量部加えて成形原料とし、さらに分散媒として水を38重量部加えた後、混練機を用いて混練して坏土を調製し、坏土を押出成形して、外径5mm、内径2mmのチューブ形状の成形体を作製した。得られた成形体を乾燥機にて100℃で12時間乾燥させた後、箱型電気炉にて大気雰囲気下400℃で、バインダ等を除去する脱脂工程を経た後に、1450℃まで300℃/hで昇温し、1450℃で5時間焼結することによりチタン酸アルミニウムマグネシウムセラミックスの多孔質ハニカム焼結体を得た。
実施例1で得られた多孔質焼結体には、端面の欠けおよび外壁面からの粉末の欠落はみられず、成形体の保形性が良好であることが確認された。また、実施例1で得られた多孔質焼結体の気孔率は40%、焼結収縮率は7.8%、熱膨張係数は1.6×10-6-1、圧壊強度は22MPaであった。
<比較例1>
ジルコニア粉末を加えなかったこと以外は、実施例1と同様にして、チューブ形状の多孔質焼結体を作製した。比較例1で得られた多孔質焼結体においては、端面の欠けや外壁面からの粉末の欠落が激しく、成形体の保形性が不良であった。また、比較例1で得られた多孔質焼結体の気孔率は54%、焼結収縮率は4%、熱膨張係数は2.1×10-6-1、圧壊強度は1.0MPaであった。
<比較例2>
ジルコニア粉末の代わりに平均粒径(D50)が2μmのチタン酸アルミニウムマグネシウム粉末を加えたこと以外は、実施例1と同様にして、チューブ形状の多孔質焼結体を作製した。比較例2で得られた多孔質焼結体には、端面の欠けおよび外壁面からの粉末の欠落はみられず、成形体の保形性が良好であることが確認された。また、比較例2で得られた多孔質焼結体の気孔率は44%、焼結収縮率は7.4%、熱膨張係数は2.0×10-6-1、圧壊強度は13MPaであった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (9)

  1. チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末100重量部に対し、5〜20重量部のジルコニア粉末を混合し、成形、焼結させる、チタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体の製造方法。
  2. 前記チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末の平均粒径は、5〜50μmの範囲内であり、前記ジルコニア粉末の平均粒径は、0.1〜5μmの範囲内である請求項1に記載のチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体の製造方法。
  3. 前記チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末が、組成式:Al2(1−x)MgxTi(1+x)5(0≦x≦0.5)で表わされるものである請求項1または2に記載のチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体の製造方法。
  4. 前記チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末は、0.5〜4.0重量%の非晶質のアルミノシリケート相を含有する請求項1〜3のいずれかに記載のチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体の製造方法。
  5. 前記ジルコニア粉末は、室温で正方晶または単斜晶である請求項1〜4のいずれかに記載のチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体の製造方法。
  6. 前記ジルコニア粉末は、Y23、CaOおよびMgOからなる群から選択される1種以上の酸化物を合計で5モル%以下含む請求項1〜5のいずれかに記載のチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体の製造方法。
  7. チタン酸アルミニウム系セラミックス粉末100重量部に対し、5〜20重量部のジルコニア粉末を混合し、成形、焼結させて得られたチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体。
  8. 気孔率が30〜60%の多孔質焼結体である、請求項7に記載のチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体。
  9. ディーゼルパティキュレートフィルタ用である請求項7または8に記載のチタン酸アルミニウム系セラミックス焼結体。
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