JP2010234649A - 平版印刷版原版及び平版印刷版の製版方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】充分な耐刷性を維持しつつ良好な機上現像性、ガム現像性、またはアルカリ現像性が得られる平版印刷版原版を提供することにある。さらに、機上現像性、ガム現像性、またはアルカリ現像性と耐刷性とが良好に両立する平版印刷版の製版方法を提供する。
【解決手段】支持体上に、アリールスルホンアミド基および少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する重合性モノマーを含有する中間層と、ラジカル重合開始剤、重合性化合物及びバインダーポリマーを含有する画像記録層とを順次積層して有することを特徴とする平版印刷版原版;該平版印刷版原版を用いた平版印刷版の製版方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、平版印刷版原版及び平版印刷版の製版方法に関する。詳しくは、レーザーによる画像記録が可能であり、機上現像、又は自動現像機による現像において特にガム現像が可能な平版印刷版原版、及びその平版印刷版原版を用いた平版印刷版の製版方法に関する。
一般に、平版印刷版は、印刷過程でインキを受容する親油性の画像部と、湿し水を受容する親水性の非画像部とからなる。平版印刷は、水と油性インキが互いに反発する性質を利用して、平版印刷版の親油性の画像部をインキ受容部、親水性の非画像部を湿し水受容部(インキ非受容部)として、平版印刷版の表面にインキの付着性の差異を生じさせ、画像部のみにインキを着肉させた後、紙などの被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
この平版印刷版を作製するため、従来、親水性の支持体上に親油性の感光性樹脂層(画像記録層)を設けてなる平版印刷版原版(PS版)が広く用いられている。通常は、平版印刷版原版を、リスフィルムなどの原画を通した露光を行った後、画像部に対応する画像記録層を残存させ、非画像部に対応する不要な画像記録層をアルカリ性現像液または有機溶剤含有現像液によって溶解除去し、親水性の支持体表面を露出させて非画像部を形成する方法により製版を行って、平版印刷版を得ている。
従来の平版印刷版原版の製版工程においては、露光後、非画像部に相当する不要な画像記録層を現像液などによって溶解除去する工程が必要であるが、このような付加的に行われる湿式処理を不要化または簡易化することが課題の一つとして挙げられている。特に、近年、地球環境への配慮から湿式処理に伴って排出される廃液の処分が産業界全体の大きな関心事となっているので、上記課題の解決の要請は一層強くなってきている。
これに対して、簡易な製版方法の一つとして、画像記録層の不要部分の除去を通常の印刷工程の中で行えるような画像記録層を用い、露光後、印刷機上で画像記録層の不要部分を除去して平版印刷版を得る、機上現像と呼ばれる方法が提案されている。
機上現像の具体的方法としては、例えば、湿し水、インキ溶剤または湿し水とインキとの乳化物に溶解しまたは分散することが可能な画像記録層を有する平版印刷版原版を用いる方法、印刷機のローラ類やブランケットとの接触により、画像記録層の力学的除去を行う方法、湿し水、インキ溶剤などの浸透によって画像記録層の凝集力または画像記録層と支持体との接着力を弱めた後、ローラ類やブランケットとの接触により、画像記録層の力学的除去を行う方法が挙げられる。
また、簡易現像のもう一つの方法として、画像記録層の不要部分の除去と版面保護を同時に行うガム現像と呼ばれる方法も提案されている。
なお、本発明においては、特別な説明がない限り、「現像処理工程」とは、印刷機以外の装置(通常は自動現像機)を使用し、液体(通常はアルカリ性現像液)を接触させることにより、平版印刷版原版の未露光部分の画像記録層を除去し、親水性支持体表面を露出させる工程を指し、「機上現像」とは、印刷機を用いて、液体(通常は印刷インキおよび/または湿し水)を接触させることにより、平版印刷版原版の未露光部分の画像記録層を除去し、親水性支持体表面を露出させる方法および工程を指す。
また前記「現像処理工程」のなかでも、現像液として画像記録層の不要部分の除去と版面保護を同時に行う現像を特に「ガム現像」と呼ぶ。
一方、近年、画像情報をコンピュータで電子的に処理し、蓄積し、出力する、デジタル化技術が広く普及してきており、このようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきている。これに伴い、レーザー光のような高収斂性の輻射線にデジタル化された画像情報を担持させて、その光で平版印刷版原版を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート技術が注目されてきている。したがって、このような技術に適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題の一つとなっている。
上述したような製版作業の簡易化においては、作業のしやすさの点から明室または黄色灯下で取り扱い可能な画像記録層および光源を用いるシステムが好ましい。
そのようなレーザー光源としては、波長760〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザーおよびYAGレーザー等の固体レーザーは、高出力かつ小型のものを安価に入手できるようになったことから、極めて有用である。また、UVレーザーも用いることができる。
これら平版印刷版原版として、例えば、特許文献1には、親水性結合剤中に疎水性熱可塑性重合体粒子を分散させた画像形成層を親水性支持体上に設けた平版印刷版原版が記載されている。この特許文献1には、上記平版印刷版原版を赤外線レーザーにより露光して、疎水性熱可塑性重合体粒子を熱により合体させて画像を形成させた後、印刷機のシリンダー上に取り付け、湿し水および/またはインキにより機上現像することが可能である旨記載されている。
このように微粒子の単なる熱融着による合体で画像を形成させる方法は、良好な機上現像性を示すものの、画像強度が極めて弱く、耐刷性が不十分であるという問題を有していた。
また、特許文献2及び3には、親水性支持体上に、重合性化合物を内包するマイクロカプセルを含む平版印刷版原版が記載されている。
さらに、特許文献4には、支持体上に、赤外線吸収剤とラジカル重合開始剤と重合性化合物とを含有する感光層を設けた平版印刷版原版が記載されている。
このように重合反応を用いる方法は、重合体微粒子の熱融着により形成される画像部に比べ、画像部の化学結合密度が高いため画像強度が比較的良好であるという特徴を有するが、実用的な観点から見ると、機上現像性、耐刷性および重合効率(感度)のいずれも未だ不十分であった。
この問題を解決するため、特許文献5には感光層中にスルホン酸塩やアルキル硫酸エステル塩を含有する平版印刷版原版が記載されており、特許文献6には保護層中にアミノ酸やベタインを含有する平版印刷版原版が記載されているが、機上現像性と耐刷性との両立が不十分であった。またこれらの平版印刷版原版をガム現像した場合、未露光部の現像が全く不十分であった。
特許文献7、8には平版印刷版原版の中間層に重合性基を導入し感光層との密着を強めた例が挙げられているが、感光層への溶剤浸透を抑制する機能は不十分であった。このため、耐薬品性または、UVインキを用いて印刷した場合の耐刷性が不十分であった。また、特許文献9に、アルキル置換スルホンアミドモノマ−、並びにそれを含む重合性組成物が提案されているが、該モノマーを平版印刷版原版に適用した場合、耐刷性が低く、耐溶剤性、汚れ性の点で性能が十分とはいえない。
従来、耐刷性を向上させるために、耐インキ成分を単一のバインダーポリマーに導入すると、現像性が悪化することがわかっている。
特許第2938397号明細書 特開2001−277740号公報 特開2001−277742号公報 特開2002−287334号公報 特開2007−276454号公報 欧州特許出願公開第1862301号明細書 特開2005−041206号公報 特開2005−125749号公報 特開2003−286247号公報
従って本発明の目的は、充分な耐刷性を維持しつつ良好な機上現像性、ガム現像性、またはアルカリ現像性が得られる平版印刷版原版を提供することにある。さらに、本発明の目的は、機上現像性、ガム現像性、またはアルカリ現像性と耐刷性とが良好に両立する平版印刷版の製版方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、平版印刷版原版の中間層において特定の重合性モノマーを含ませることにより、機上現像にも、ガム現像にも、あるいは従来のアルカリ現像処理にも適用でき、耐刷力が大きく、現像性ならびに汚れ性の良好な平版印刷版原版を提供できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
従って本発明は、支持体上に、アリールスルホンアミド基及び少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する重合性モノマーを含有する中間層と、ラジカル重合開始剤、重合性化合物及びバインダーポリマーを含有する画像記録層とを順次積層して有することを特徴とする平版印刷版原版である。該中間層はさらに基板吸着性基を有するポリマーを含有することができる。該中間層に含ませるポリマーの例として、基板吸着性基に加えて重合性基を含有するポリマーがある。該画像記録層はさらに増感色素を含有することができる。該平版印刷版原版はさらに保護層を有することができる。該保護層の例として雲母を含有する保護層がある。
本発明はまた、上記平版印刷版原版を用いた平版印刷版の製版方法へ向けられる。
本発明の製版方法の実施態様として、レーザーによる画像露光後の平版印刷版原版の現像方法としては、通常現像液で現像した後ガム液で表面を保護する現像方式と、ガム液と現像液が同じであり、一浴で現像処理とガム引きによる保護を行うガム現像方式と、印刷機上で印刷インキおよび/または湿し水を用い現像を行う機上現像方式がある。
よって本発明の平版印刷版の製版方法の具体的実施態様として、上記平版印刷版原版をレーザーで画像露光した後、未露光部の画像記録層を印刷インキおよび/または湿し水により除去することを含む、平版印刷版の製版方法;上記平版印刷版原版をレーザーで画像露光した後、pHが5.0〜13.5の現像液の存在下、未露光部の画像記録層を除去することを含む、平版印刷版の製版方法;更に具体的に、pHが8.5〜10.8の現像液の存在下、未露光部の画像記録層を除去することを含む、平版印刷版の製版方法がある。また、ガム液を現像液として、平版印刷版原版の未露光部分の画像記録層を除去し、親水性支持体表面を露出させる、平版印刷版の製版方法がある。
本発明によれば、充分な耐刷性を維持しつつ現像性及び汚れ性が良好な耐薬性に優れた平版印刷版原版を提供できる。また、本発明によれば、現像性と耐刷性が良好な平版印刷版の製版方法を提供できる。本発明によれば、印刷汚れが抑制された平版印刷版を得ることができる。
平版印刷版の自動現像装置の構成を示す図である。1:自動現像装置、10:現像処理部、12:印刷版、14:現像部、16:水洗部、18:不感脂化処理部、20:乾燥部、24:現像槽、141,142:ブラシローラ(擦り部材)、200:前処理部 平版印刷版の自動現像処理機の構造を示す図である。4:平版印刷版原版、6:現像部、10:乾燥部、16:搬送ローラ、20:現像槽、22:搬送ローラ、24:ブラシローラ、26:スクイズローラ、28:バックアップローラ、36:ガイドローラ、38:串ローラ
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に特定の重合性モノマーを含有した中間層、及び画像記録層をこの順で有し、印刷インキおよび/または湿し水を供給することにより機上現像可能、または、ガム液を供給することによりガム現像可能、または現像液を供給することでアルカリ現像可能であり、耐刷性、及び汚れ性に優れた平版印刷版原版である。
(中間層)
平版印刷版原版においては、画像記録層と支持体との間に中間層が設けられる。
中間層の存在によって、未露光部において、画像記録層の支持体からのはく離が生じやすくなり、よって現像性が向上する。
<スルホンアミド基および少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する重合性モノマー>
本発明の平版印刷版原版の中間層には、特定の重合性モノマー、すなわち、その分子構造中に、アリールスルホンアミド基と少なくとも2つのエチレン性不飽和基とを有する重合性モノマーを含ませる。アリールスルホンアミド基は、芳香族環あるいは複素環に直接、スルホンアミド基が結合しているものが好ましく、特にベンゼン環、ナフタレン環にスルホンアミド基が結合しているものが好ましく、最も好ましくはスルホンアミド基がベンゼン環に結合している。これらの芳香族環あるいは複素環は、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子、アミド基、エステル基、カルボキシル基、スルホキシル基、ヒドロキシル基、エーテル基などを有していてもよい。
該エチレン性不飽和基として、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、スチリル基などを挙げることができる。なかでも、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基が好ましい。
本発明で用いる、アリールスルホンアミド基と少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する重合性モノマーはまた、以下の一般式(I)〜(IV)で示すことができる。
Figure 2010234649
Figure 2010234649
上記式中、R1は水素、または炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシメチル基、アルキルエステル置換メチル、α−アルコキシメチル基を表す。好ましくは水素、メチル基であり、さらに好ましくは水素である。
上記式中、R2、R3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、またはアリール基を表す。
2、R3がアルキル基を表すとき、好ましくは、炭素数1〜30であり、更に好ましくは、炭素数1〜20であり、特に好ましくは炭素数1〜10である。
2、R3がアルキニル基を表すとき、好ましくは、炭素数1〜30であり、更に好ましくは、炭素数1〜20であり、特に好ましくは炭素数1〜10である。
2、R3がアルケニル基を表すとき、好ましくは、炭素数2〜30であり、更に好ましくは、炭素数2〜20であり、特に好ましくは炭素数2〜10である。
2、R3がアリール基を表すとき、好ましくは、炭素数6〜30であり、更に好ましくは、炭素数5〜20であり、特に好ましくは炭素数6〜20である。
2、R3は置換基を有していてもよく、好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホナト基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換オキシ基、置換スルホニル基、置換カルボニル基、置換スルフィニル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスホナト基、シリル基、ヘテロ環基、を有していても良い。R2、R3はまた、それぞれ、エーテル結合、エステル結合、ウレイド結合(-HN-C(O)-NH-)、カルボニル基(-C(O)-)、アミド基(-C(O)-NH-)、エチレン性不飽和基などを含んでいてもよい。
2、R3として好ましくは、水素原子、アルキル基、アルケニル基であり更に好ましくは、水素原子、アルキル基であり、中でも好ましくは水素、メチル基である。
nは2〜8であり、好ましくは2〜6である。mは1〜5であり、好ましくは1〜3である。oは1〜3であり、1〜2がさらに好ましい。
上記式中、L1で表される2価の連結基は、−O−もしくは−NH−もしくは−NR−であり、Rで表される置換基としては、例えばC1-20のアルキル基、C2-20のアルケニル基、C2-20のアルキニル基が好ましく、これらの基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホナト基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換オキシ基、置換スルホニル基、置換カルボニル基、置換スルフィニル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスホナト基、シリル基、ヘテロ環基,などで置換されていてもよい。
上記式中、Xは3〜10価の非金属原子から構成される有機基であり、1から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から選ばれる少なくとも1種以上の元素から構成されるものが挙げられる。より具体的な例としては、下記の構造が単独で又は複数組み合わさって構成される有機基を挙げることができる。
Figure 2010234649

Figure 2010234649
イソシアヌル酸構造
Xで表される有機基は、更に置換基を有してもよく、導入可能な置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホナト基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換オキシ基、置換スルホニル基、置換カルボニル基、置換スルフィニル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスホナト基、シリル基、ヘテロ環基、等が挙げられる。またエーテル結合、エステル結合、ウレイド結合、イソシアヌル酸構造を含んでいてもよい。Xで表される有機基は、好ましくはイソシアヌル、ヘテロ環、置換ジプロピルエーテルであり、さらに好ましくはイソシアヌル、置換ジプロピルエーテルである。
上記一般式(III)、(IV)において、Y1、Y2、Y3はそれぞれ独立に単結合または、2価の連結基であり、3〜10価の非金属原子から構成される有機基であり、1から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から選ばれる1種以上の元素から構成されるものが挙げられる。Y1、Y2、Y3がそれぞれ2価の連結基であるとき、その例として、上述のXの具体例として挙げた構造式が単独又は複数組み合わさって構成される有機基を挙げることができる。Y1、Y2、Y3がそれぞれ2価の連結基であるときの例として、より具体的には炭素数1〜10のアルキル鎖、及びアルキレンオキシ基が挙げられる。
上記一般式(III)、(IV)において、Z、Z’はそれぞれ単結合、O、もしくはNHを表す。上記式中にある−Z−C(O)−Z’−として、例えばウレイド結合(-HN-C(O)-NH-)やウレタン結合(-O-C(O)-NH-)が挙げられる。
本発明においては、ウレイド結合、ウレタン結合及びイソシアヌル酸構造の少なくとも一つ、少なくとも2つのエチレン性不飽和基、並びにアリールスルホンアミド基を有する重合性モノマーが好ましい。
上記一般式(I)、(II)、(III)又は(IV)で表される、本発明で用いる重合性モノマーに該当する具体的な化合物(1-a)〜(7-g)を以下に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない
Figure 2010234649
Figure 2010234649
Figure 2010234649
上記(6-a)〜(6-e)において、l、m、nはそれぞれ2〜15の範囲の数を表わす。
Figure 2010234649

Figure 2010234649
次に上記モノマーの製造方法を例示する。
(スルホンアミド含有モノマーの製造法1)
溶媒N−メチルピロリドン中1当量のジ(2-アクリロイルエチル)-1-メチルメチルイソシアネートに1当量の4-(2-アミノエチル)ベンゼンスルホンアミドを加え、少量のビスマス触媒ネオスタンU−600(日東化成)存在下60℃で6時間加熱攪拌し、精製後1-aを得る。
(スルホンアミド含有モノマーの製造法2)
溶媒アセトン中1当量のジペンタエリスリトールペンタアクリレートSR-399(Sartomer社)に1当量の4-(2-アミノエチル)ベンゼンスルホンアミドを加え、70℃で6時間加熱し、精製後2-aを得る。
(スルホンアミド含有モノマーの製造法3)
溶媒N-メチルピロリドン中イソシアヌル酸トリグリシジルに1当量のスルファニル安息香酸とベタイン1当量を加え90℃で6時間加熱し、精製後4-aを得る。
(スルホンアミド含有モノマーの製造法4)
溶媒N−メチルピロリドン中1当量の1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロキシへキサンにトリエチルアミン存在下4当量のアクリル酸クロリドを0度下滴下し室温まで昇温し、2時間攪拌した後、2当量の4−スルファニル安息香酸メチルを加え、少量の濃硫酸を滴下した後100℃に加熱し6時間反応させた。精製後6-bを得る。
本発明の平版印刷版原版において、上記の重合性モノマーの中間層への添加量は、中間層全固形分量の0.1〜100質量%が適当である。その添加量は、より好ましくは1.0〜40質量%であり、さらに好ましくは5.0〜30質量%の範囲である。これらの範囲で良好な汚れ性と耐刷性が得られる。
中間層には、上記の重合性モノマーを二種以上用いてもよい。
中間層には支持体に吸着可能な基(基板吸着性基)を有する化合物を添加することが好ましく、さらに基板吸着性基と重合性基を有する化合物を含有することが好ましい。 基板吸着性基としてはフェノール性ヒドロキシ基、カルボキシ基、−PO32、−OPO32、−CONHSO2−、−SO2NHSO2−、−COCH2COCH3などをあげることができる。重合性基としては、エチレン不飽和性基、特にアクリロイル基またはメタクリロイル基が好ましい。特にポリマーにこれらの官能基を有する化合物が好ましい。 そのようなポリマーの例として、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤の加水分解後に脱水縮合させることにより得られるポリマー、あるいは特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基とリン酸エステルまたはホスホン酸を有する化合物などが挙げられる。
特開2005−125749号及び特開2006−188038号公報に記載のごとき、支持体表面に吸着可能な吸着性基、親水性基、及び架橋性基を有するポリマーが特に好ましい。親水性基としてはスルホ基、ヒドロキシル基、ポリオキシアルキレン基をあげることができる。スルホ基を有するモノマーが特に好ましい。このようなポリマーは、ポリマー中の極性置換基と、対荷電を有する置換基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物との塩形成で導入された架橋性基を有してもよいし、上記以外のモノマー、好ましくは親水性モノマーがさらに共重合されていてもよい。
中間層に含ませるポリマー中の不飽和二重結合の含有量は、ポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。
中間層に含ませるポリマーは、質量平均モル質量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましい。
中間層用塗布液は、上記中間層用のアリールスルホンアミド基含有モノマーおよび必要な添加物を有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトンなど)および/または水に溶解して得られる。中間層用塗布液には、赤外線吸収剤を含有させることもできる。
中間層用塗布液を支持体に塗布する方法としては、公知の種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
中間層の塗布量(固形分)は、0.1〜100mg/m2であるのが好ましく、1〜30mg/m2であるのがより好ましい。
次に、画像記録層の構成成分について詳細に説明する。
本発明に用いられる画像記録層は、露光後、印刷機上で印刷インキと湿し水とを供給して未露光部分を除去することにより、もしくは、露光後、ガム液で処理することにより画像形成可能な画像記録層である。画像記録層が含有する機上現像またはガム現像可能な代表的な画像形成機構としては、(A)ラジカル重合開始剤、(B)重合性化合物、および、(C)バインダーポリマーを含有して、重合反応を利用して画像部を硬化させる態様が挙げられる。さらに、(D)増感色素、及び(E)疎水化前駆体を含有してもよい。
本発明の平版印刷版原版における画像記録層はまた、従来のアルカリ性現像液によるアルカリ現像可能な画像記録層とすることもできる。
以下に、画像記録層に含まれうる各成分について、順次説明する。
(A)ラジカル重合開始剤
本発明に用いられるラジカル重合開始剤としては、重合性化合物の重合を開始、促進する化合物を示す。本発明において使用しうるラジカル重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤、結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物、光重合開始剤などが挙げられる。
本発明におけるラジカル重合開始剤としては、例えば、(a)有機ハロゲン化物、(b)カルボニル化合物、(c)アゾ化合物、(d)有機過酸化物、(e)メタロセン化合物、(f)アジド化合物、(g)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(h)有機ホウ酸塩化合物、(i)ジスルホン化合物、(j)オキシムエステル化合物、(k)オニウム塩化合物などが挙げられる。
(a)有機ハロゲン化物としては、特開2008−195018号公報の段落番号[0022]〜[0023]に記載の化合物が好ましい。
(b)カルボニル化合物としては、特開2008−195018号公報の段落番号[0024]に記載の化合物が好ましい。
(c)アゾ化合物としては、例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物等を使用することができる。
(d)有機過酸化物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0025]に記載の化合物が好ましい。
(e)メタロセン化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0026]に記載の化合物が好ましい。
(f)アジド化合物としては、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン等の化合物を挙げることができる。
(g)ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、ヘキサアリールビイミダゾール系化合物としては、特公昭45−37377号、特公昭44−86516号の各公報記載のロフィンダイマー類、例えば2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o,o′−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−メチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
ヘキサアリールビイミダゾール系化合物は、300〜450nmに極大吸収を有する増感色素と併用して用いられることが特に好ましい。
(h)有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0028]に記載の化合物が好ましい。
(i)ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号、特開2003−328465号公報等に記載の化合物が挙げられる。
(j)オキシムエステル化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0028]〜[0030]に記載の化合物が好ましい。
(k)オニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平4−365049号公報等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号の各明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第339,049号、同第410,201号の各明細書、特開平2−150848号、特開平2−296514号の各公報に記載のヨードニウム塩、欧州特許第370,693号、同390,214号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号の各明細書に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩、特開2008−195018号公報に記載のアジニウム塩等のオニウム塩等が挙げられる。
上記の中でもより好ましいものとして、オニウム塩、なかでもヨードニウム塩、スルホニウム塩及びアジニウム塩が挙げられる。以下に、これらの化合物の具体例を示すが、これに限定されない。
ヨードニウム塩の例としては、ジフェニルヨードニウム塩が好ましく、特に電子供与性基、例えばアルキル基またはアルコキシル基で置換されたジフェニルヨードニウム塩が好ましく、さらに好ましくは非対称のジフェニルヨードニウム塩が好ましい。ジフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−メトキシフェニル−4−(2−メチルプロピル)フェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−(2−メチルプロピル)フェニル−p−トリルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−ヘキシルオキシフェニル−2,4,6−トリメトキシフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−ヘキシルオキシフェニル−2,4−ジエトキシフェニルヨードニウム=テトラフルオロボラート、4−オクチルオキシフェニル−2,4,6−トリメトキシフェニルヨードニウム=1−ペルフルオロブタンスルホナート、4−オクチルオキシフェニル−2,4,6−トリメトキシフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスフェートが挙げられる。
スルホニウム塩の例としては、トリフェニルスルホニウム=ヘキサフルオロホスファート、トリフェニルスルホニウム=ベンゾイルホルマート、ビス(4−クロロフェニル)フェニルスルホニウム=ベンゾイルホルマート、ビス(4−クロロフェニル)−4−メチルフェニルスルホニウム=テトラフルオロボラート、トリス(4−クロロフェニル)スルホニウム=3,5−ビス(メトキシカルボニル)ベンゼンスルホナートが挙げられる。
ラジカル重合開始剤は、画像記録層を構成する全固形分に対し0.1〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは0.8〜20質量%の割合で添加することができる。この範囲で、良好な感度と印刷時の非画像部の良好な汚れ難さが得られる。
(B)重合性化合物
本発明で用いることができる重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれることが好ましい。このような化合物群は当該産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、またはそれらの混合物並びにそれらの(共)重合体などの化学的形態をもつ。
具体例としては、特開2008−105018号公報の段落番号[0089]〜[0098]に記載の化合物が挙げられる。なかでも好ましいものとして、脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)とのエステルが挙げられる。別の好ましいラジカル重合性化合物としては特開2005−329708号公報に記載のイソシアヌル酸構造を有する重合性化合物が挙げられる。
上記の中でも、機上現像性に関与する親水性と耐刷性に関与する重合能のバランスに優れる点から、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ビス(アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどのイソシアヌル酸エチレンオキシド変性アクリレート類が特に好ましい。
本発明の平版印刷版原版の画像記録層における重合性化合物は、画像記録層の全固形分に対して、好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは25〜75質量%の範囲で使用される。
<(C)バインダーポリマー>
本発明の画像記録層には、画像記録層の膜強度を向上させるため、バインダーポリマーを用いることができる。本発明に用いることができるバインダーポリマーは、従来公知のものを制限なく使用でき、皮膜性を有するポリマーが好ましい。なかでも、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましい。
なかでも本発明に好適なバインダーポリマーとしては、特開2008−195018号公報に記載のような、画像部の皮膜強度を向上するための架橋性官能基を主鎖または側鎖、好ましくは側鎖に有しているものが挙げられる。架橋性基によってポリマー分子間に架橋が形成され、硬化が促進する。
架橋性官能基としては、(メタ)アクリル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性不飽和基やエポキシ基等が好ましく、これらの基は高分子反応や共重合によってポリマーに導入することができる。例えば、カルボキシ基を側鎖に有するアクリルポリマーやポリウレタンとグリシジルメタクリレートとの反応、あるいはエポキシ基を有するポリマーとメタクリル酸などのエチレン性不飽和基含有カルボン酸との反応を利用できる。
バインダーポリマー中の架橋性基の含有量は、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。
また、本発明で使用するバインダーポリマーは、さらに親水性基を有することが好ましい。親水性基は画像記録層に機上現像性を付与するのに寄与する。特に、架橋性基と親水性基を共存させることにより、耐刷性と現像性の両立が可能になる。
親水性基としては、たとえば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルキレンオキシド構造、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、スルホ基、リン酸基等などがあり、なかでも、炭素数2または3のアルキレンオキシド単位を1〜100個有するアルキレンオキシド構造が好ましい。特に好ましくは、2〜12個有するアルキレンオキシド構造が好ましく、最も好ましくは、2〜8個有するアルキレンオキシド構造である。バインダーポリマーに親水性基を付与するには親水性基を有するモノマーを共重合すればよい。
また、本発明で使用するバインダーポリマーには、着肉性を制御するため、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基などの親油性の基を導入できる。具体的には、メタクリル酸アルキルエステなどの親油性基含有モノマーを共重合すればよい。
バインダーポリマーとしては耐溶剤性官能基を有するポリマーも好適に用いることができる。耐溶剤性官能基としてはスルホンアミド基、シアノ基、マレイミド基などがあげられ、好ましくはスルホンアミド基、マレイミド基、さらに好ましくはスルホンアミド基である。
スルホンアミド基を有するバインダーとしては下記(I)及び/又は(II)の構造を有するポリマーが挙げられる。該スルホンアミド基を有するポリマーに占める(I)及び/又は(II)の構造の割合は5モル%以上が好ましく、10モル%以上がさらに好ましく、15モル%以上が最も好ましい。構造(I)及び/又は(II)との共重合成分としては特に限定されないが、エチレンオキシド鎖もしくはエチレン性不飽和基、もしくは長鎖アルキル基を有するものが好ましい。
Figure 2010234649

上記式中、R1は水素、または炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシメチル基、アルキルエステル置換メチル、又はα−アルコキシメチル基を表す。R1は好ましくは水素原子、メチル基である。R2、R3はそれぞれ水素、又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、該アルキル基はヒドロキシル基またはアミノ基で置換されていてもよく、また、エーテル結合、エステル結合、ウレイド結合などを含んでいてもよい。R2、R3はそれぞれ好ましくは水素又はメチル基である。nは1〜3である。
上記式中Yは3〜10価の非金属原子から構成される有機基であり、1から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から選ばれる1種以上の元素から構成されるものが挙げられる。Yの具体的な例としては、下記の構造が単独で又は複数組み合わさって構成される有機基を挙げることができる。−O−、−NH−が好ましい。
Figure 2010234649
シアノ基を有するバインダーポリマーの構造としては、シアノ基を有していれば特に限定されるわけではないが、例えば下記の構造(III)及び/又は(IV)を有するポリマーが挙げられる。
Figure 2010234649
上記式中R4は例えば
Figure 2010234649
を表し、
上記式中R5は単結合、オキシアルキレン基(−OCm2m−、m=2〜18、好ましくは2〜4))などを表し、nは1〜5、好ましくは1〜2である。
シアノ基を有するバインダーポリマーにおいて、上記構造(III)及び/又は(IV)の割合は50モル%以上が好ましく、10モル%以上がさらに好ましく、15モル%以上が最も好ましく、上記構造(III)及び/又は(IV)が100モル%であってよい。
シアノ基を有するポリマーにおいて、上記構造(III)及び/又は(IV)との共重合成分としては、特に限定されないが、エチレンオキシド鎖もしくはエチレン性不飽和基、もしくは長鎖アルキル基を有するものが好ましい。
マレイミド由来の環状構造を有するバインダーポリマーとしては、マレイミド由来の環状構造を有していれば、特に限定されるわけではないが、例えば下記の構造(V)を有するポリマーが挙げられる。
Figure 2010234649
6は水素、置換基を有してもよいフェニル基もしくは炭素数1〜10のアルキル基(該置換基は例えばスルホンアミド基、水酸基など)を示す。
マレイミド由来の環状構造を有するポリマーにおいて、上記構造(V)の割合は5モル%以上が好ましく、10モル%以上がさらに好ましく、15モル%以上が最も好ましく、上記構造(V)が100モル%であってよい。
マレイミド由来の環状構造を有するバインダーポリマーにおいて、上記構造(V)との共重合成分としては、特に限定されないが、エチレンオキシド鎖もしくはエチレン性不飽和基、もしくは長鎖アルキル基を有するものが好ましい。
バインダーポリマーは、質量平均モル質量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましく、また、数平均モル質量が1000以上であるのが好ましく、2000〜25万であるのがより好ましい。多分散度(質量平均モル質量/数平均モル質量)は、1.1〜10であるのが好ましい。
バインダーポリマーは、市販品を購入するか、あるいは公知の方法で合成することによって入手できる。
バインダーポリマーの具体例として、以下に示す例があるが、用いるバインダーポリマーとしてはこれらに限定されない。
Figure 2010234649

Figure 2010234649
Figure 2010234649
Figure 2010234649
Figure 2010234649

Figure 2010234649
バインダーポリマーの含有量は、画像記録層の全固形分に対して、5〜90質量%であり、5〜80質量%であるのが好ましく、10〜70質量%であるのがより好ましい。この範囲で、良好な画像部の強度と画像形成性が得られる。
また本発明においては、(B)重合性化合物と(C)バインダーポリマーは、質量比で0.4/1〜1.8/1となる量で用いることが好ましい。さらに好ましくは0.7/1〜1.5/1である。この範囲で本発明の効果である、耐刷性を維持したまま、機上現像性またはガム現像性を向上させる効果が顕著に発現する。
なお、本発明におけるバインダーポリマーは質量平均モル質量(Mw)が2000以上であることが好ましく、5000以上であるのがより好ましく、1万〜30万であるのがより好ましい。
本発明においては、特開2008−195018号公報に記載のように親油的なバインダーポリマーと親水的なバインダーポリマーを併用することもできる。
(D)増感色素
画像記録層は、増感色素を含有することが好ましい。増感色素は、画像露光時の光を吸収して励起状態となり、後述する重合開始剤に電子移動、エネルギー移動又は発熱などでエネルギーを供与し、重合開始機能を向上させるものであれば特に限定せず用いることができる。特に、300〜450nm又は750〜1400nmに極大吸収を有する増感色素が好ましく用いられる。
350〜450nmの波長域に極大吸収を有する増感色素としては、メロシアニン色素類、ベンゾピラン類、クマリン類、芳香族ケトン類、アントラセン類、等を挙げることができる。
360nmから450nmの波長域に吸収極大を持つ増感色素のうち、高感度の観点からより好ましい色素は下記一般式(IX)で表される色素である。
Figure 2010234649
(一般式(IX)中、Aは置換基を有してもよい芳香族環基またはヘテロ環基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子またはN−(R3)をあらわす。R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、一価の非金属原子団を表し、AとR1およびR2とR3はそれぞれ互いに結合して、脂肪族性または芳香族性の環を形成してもよい。)
一般式(IX)について更に詳しく説明する。R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、一価の非金属原子団であり、好ましくは、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換の芳香族複素環残基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルキルチオ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子を表す。
次に、一般式(IX)におけるAについて説明する。Aは置換基を有してもよい芳香族環基またはヘテロ環基を表し、置換基を有してもよい芳香族環またはヘテロ環の具体例としては、一般式(IX)中のR1、R2およびR3で記載したものと同様のものが挙げられる。
このような増感色素の具体例としては特開2007−58170〔0047〕〜〔0053〕に記載の化合物が好ましく用いられる。
また、特開2007−171406、特開2007−206216、特開2007−206217、特開2007−225701、特開2007−225702、特開2007−316582、特開2007−328243に記載の増感色素も好ましく用いることができる。
これら増感色素の好ましい添加量は、画像記録層の全固形分100質量部に対し、好ましくは0.05〜30質量部、更に好ましくは0.1〜20質量部、最も好ましくは0.2〜10質量部の範囲である。
本発明の平版印刷版原版は、760〜1200nmの赤外線を発するレーザー等を光源にして画像形成する場合は、画像記録層に赤外線吸収剤を含有することが好ましい。
赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能と赤外線により励起して後述の光開始剤に電子移動及び/またはエネルギー移動する機能を有する。本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長760〜1200nmに吸収極大を有する染料または顔料である。
赤外線吸収剤としては、特開2008−195018号公報の段落番号[0058]〜[0087]に記載されている化合物を用いることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。特に好ましい例として下記一般式(a)で示されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 2010234649
一般式(a)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−N(R9)(R10)、−X2−L1または以下に示す基を表す。ここで、R9およびR10は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素原子数1〜8のアルキル基、水素原子またはR9とR10とが互いに結合して環を形成してもよい。なかでもフェニル基が好ましい。X2は酸素原子または硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。以下に示す基において、Xa-は後述するZa-と同様に定義され、Raは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
Figure 2010234649
1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。画像記録層塗布液の保存安定性から、R1及びR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R1とR2とは互いに結合し、5員環または6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子または炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシ基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7およびR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za-は、対アニオンを示す。ただし、一般式(a)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa-は必要ない。好ましいZa-は、画像記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(a)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落番号[0017]〜[0019]、特開2002−023360号公報の段落番号[0012]〜[0021]、特開2002−040638号公報の段落番号[0012]〜[0037]に記載されたものを挙げることができる。
本発明における画像記録層中の赤外線吸収剤の含有量は、画像記録層の全固形分の0.1〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5.0質量%である。
(E)疎水性前駆体
本発明では、機上現像性を向上させるため、疎水化前駆体を用いることができる。本発明における疎水化前駆体とは、熱が加えられたときに画像記録層を疎水性に変換できる微粒子を意味する。微粒子としては、疎水性熱可塑性ポリマー微粒子、熱反応性ポリマー微粒子、疎水性化合物を内包しているマイクロカプセル、及びミクロゲル(架橋ポリマー微粒子))から選ばれる少なくともひとつの粒子が好ましい。なかでも、重合性基を有するポリマー微粒子及びミクロゲルが好ましい。
疎水性熱可塑性ポリマー微粒子としては、1992年1月のResearch Disclosure No.33303、特開平9−123387号公報、同9−131850号公報、同9−171249号公報、同9−171250号公報及び欧州特許第931647号明細書などに記載の疎水性熱可塑性ポリマー微粒子を好適なものとして挙げることができる。
このようなポリマー微粒子を構成するポリマーの具体例としては、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール、ポリアルキレン構造を有するアクリレートまたはメタクリレートなどのモノマーのホモポリマーもしくはコポリマーまたはそれらの混合物を挙げることができる。その中で、より好適なものとして、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチルを挙げることができる。
本発明に用いられる疎水性熱可塑性ポリマー微粒子の平均粒径は0.01〜2.0μmが好ましい。
本発明に用いられる熱反応性ポリマー微粒子としては、熱反応性基を有するポリマー微粒子が挙げられ、これらは、熱反応による架橋、及びその際の官能基変化により疎水化領域を形成する。
本発明に用いる熱反応性基を有するポリマー微粒子における熱反応性基としては、化学結合が形成されるならば、どのような反応を行う官能基でもよいが、ラジカル重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基など)、カチオン重合性基(例えば、ビニル基、ビニルオキシ基など)、付加反応を行うイソシアナート基またはそのブロック体、エポキシ基、ビニルオキシ基及びこれらの反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基など)、縮合反応を行うカルボキシ基及び反応相手であるヒドロキシ基またはアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物及び反応相手であるアミノ基またはヒドロキシ基などを好適なものとして挙げることができる。
本発明で用いられるマイクロカプセルとしては、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく、画像記録層の構成成分の全てまたは一部をマイクロカプセルに内包させたものである。なお、画像記録層の構成成分は、マイクロカプセル外にも含有させることもできる。さらに、マイクロカプセルを含有する画像記録層は、疎水性の構成成分をマイクロカプセルに内包し、親水性の構成成分をマイクロカプセル外に含有することが好ましい態様である。
本発明においては、架橋樹脂粒子、すなわちミクロゲルを含有する態様であってもよい。このミクロゲルは、その中及び/または表面に、画像記録層の構成成分の一部を含有することができ、特に、ラジカル重合性化合物をその表面に有することによって反応性ミクロゲルとした態様が、画像形成感度や耐刷性の観点から特に好ましい。
画像記録層の構成成分をマイクロカプセル化、もしくはミクロゲル化する方法としては、公知の方法が適用できる。
上記のマイクロカプセルやミクロゲルの平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましい。0.05〜2.0μmがさらに好ましく、0.10〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
疎水化前駆体の含有量としては、画像記録層の固形分濃度で5〜90質量%の範囲であることが好ましい。
<その他の成分>
(1)低分子親水性化合物
本発明における画像記録層は、耐刷性を低下させることなく機上現像性を向上させるために、低分子親水性化合物を含有してもよい。
低分子親水性化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類及びそのエーテルまたはエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のポリヒドロキシ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンモノエタノールアミン等の有機アミン類及びその塩、アルキルスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類及びその塩、アルキルスルファミン酸等の有機スルファミン酸類及びその塩、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸等の有機硫酸類及びその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類及びその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類及びその塩、ベタイン類、等が挙げられる。
本発明においてはこれらの中でも、ポリオール類、有機硫酸塩類、有機スルホン酸塩類、ベタイン類の群から選ばれる少なくとも一つを含有させることが好ましい。
有機スルホン酸塩の具体的な化合物としては、n−ブチルスルホン酸ナトリウム、n−ヘキシルスルホン酸ナトリウム、2−エチルヘキシルスルホン酸ナトリウム、シクロヘキシルスルホン酸ナトリウム、n−オクチルスルホン酸ナトリウムなどのアルキルスルホン酸塩;5,8,11−トリオキサペンタデカン−1−スルホン酸ナトリウム、5,8,11−トリオキサヘプタデカン−1−スルホン酸ナトリウム、13−エチル−5,8,11−トリオキサヘプタデカン−1−スルホン酸ナトリウム、5,8,11,14−テトラオキサテトラデコサン−1−スルホン酸ナトリウムなどのエチレンオキシド鎖を含むアルキルスルホン酸塩;ベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−スチレンスルホン酸ナトリウム、イソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム、1−ナフチルスルホン酸ナトリウム、4−ヒドロキシナフチルスルホン酸ナトリウム、1,5−ナフタレンジスルホン酸ジナトリウム、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸トリナトリウムなどのアリールスルホン酸塩などが挙げられる。塩は、カリウム塩、リチウム塩でもよい。
有機硫酸塩としては、ポリエチレンオキシドのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたは複素環モノエーテルの硫酸塩が挙げられる。エチレンオキシド単位は1〜4であるのが好ましく、塩は、ナトリウム塩、カリウム塩またはリチウム塩が好ましい。
ベタイン類としては、窒素原子への炭化水素置換基の炭素原子数が1〜5である化合物が好ましく、具体例としては、トリメチルアンモニウムアセタート、ジメチルプロピルアンモニウムアセタート、3−ヒドロキシ−4−トリメチルアンモニオブチラート、4−(1−ピリジニオ)ブチラート、1−ヒドロキシエチル−1−イミダゾリオアセタート、トリメチルアンモニウムメタンスルホナート、ジメチルプロピルアンモニウムメタンスルホナート、3−トリメチルアンモニオ−1−プロパンスルホナート、3−(1−ピリジニオ)−1−プロパンスルホナートなどが挙げられる。
上記の低分子親水性化合物は、疎水性部分の構造が小さくて界面活性作用がほとんどないため、湿し水が画像記録層露光部(画像部)へ浸透して画像部の疎水性や皮膜強度を低下させることがなく、画像記録層のインキ受容性や耐刷性を良好に維持できる。
これら低分子親水性化合物の画像記録層への添加量は、画像記録層全固形分量の0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。より好ましくは1質量%以上10質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以上8質量%以下である。この範囲で良好な機上現像性と耐刷性が得られる。
これらの化合物は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(2)感脂化剤
本発明における画像記録層には、着肉性を向上させるために、画像記録層にホスホニウム化合物、含窒素低分子化合物、アンモニウム基含有ポリマーなどの感脂化剤を用いることができる。特に、保護層に無機質の層状化合物を含有させる場合、これらの化合物は、無機質の層状化合物の表面被覆剤として機能し、無機質の層状化合物による印刷途中の着肉性低下を防止する。
好適なホスホニウム化合物としては、特開2006−297907号公報及び特開2007−50660号公報に記載のホスホニウム化合物を挙げることができる。具体例としては、テトラブチルホスホニウムヨージド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、1,4−ビス(トリフェニルホスホニオ)ブタン=ジ(ヘキサフルオロホスファート)、1,7−ビス(トリフェニルホスホニオ)ヘプタン=スルファート、1,9−ビス(トリフェニルホスホニオ)ノナン=ナフタレン−2,7−ジスルホナートなどが挙げられる。
上記含窒素低分子化合物としては、アミン塩類、第4級アンモニウム塩類が挙げられる。またイミダゾリニウム塩類、ベンゾイミダゾリニウム塩類、ピリジニウム塩類、キノリニウム塩類も挙げられる。なかでも、第4級アンモニウム塩類、及びピリジニウム塩類が好ましい。具体例としては、テトラメチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、テトラブチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ドデシルトリメチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート、ベンジルトリエチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ベンジルジメチルオクチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファートなどが挙げられる。
上記アンモニウム基含有ポリマーとしては、その構造中にアンモニウム基を有すれば如何なるものでもよいが、側鎖にアンモニウム基を有する(メタ)アクリレートを共重合成分として5〜80モル%含有するポリマーが好ましい。
上記アンモニウム塩含有ポリマーは、下記の測定方法で求められる還元比粘度(単位:cSt/g/ml)の値で、5〜120の範囲のものが好ましく、10〜110の範囲のものがより好ましく、15〜100の範囲のものが特に好ましい。
<還元比粘度の測定方法>
30%ポリマー溶液3.33g(固形分として1g)を、20mlのメスフラスコに秤量し、N−メチルピロリドンでメスアップする。この溶液をウベローデ還元粘度管(粘度計定数=0.010cSt/s)に入れ、30℃にて流れ落ちる時間を測定し、計算式(「動粘度」=「粘度計定数」×「液体が細管を通る時間(秒)」)を用いて定法により算出した。
以下に、アンモニウム基含有ポリマーの具体例を示す。
(1)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=p−トルエンスルホナート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比10/90)
(2)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80)
(3)2−(エチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=p−トルエンスルホナート/ヘキシルメタクリレート共重合体(モル比30/70)
(4)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/2−エチルヘキシルメタクリレート共重合体(モル比20/80)
(5)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=メチルスルファート/ヘキシルメタクリレート共重合体(モル比40/60)
(6)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80)
(7)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルアクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80)
(8)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=13−エチル−5,8,11−トリオキサ−1−ヘプタデカンスルホナート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80)
(9)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート/2−ヒドロキシ−3−メタクロイルオキシプロピルメタクリレート共重合体(モル比15/80/5)
上記感脂化剤の含有量は、画像記録層の全固形分に対して0.01〜30.0質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15.0質量%、1〜5質量%がさらに好ましい。
(3)その他
さらにその他の成分として、界面活性剤、着色剤、焼き出し剤、重合禁止剤、高級脂肪酸誘導体、可塑剤、無機微粒子、無機質層状化合物などを添加することができる。具体的には、特開2008−284817号公報の段落番号[0114]〜[0159]に記載の化合物及び添加量が好ましい。
(画像記録層の形成)
本発明における画像記録層は、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0142]〜[0143]に記載のように、必要な上記各成分を公知の溶剤に分散または溶解して塗布液を調製し、これを支持体上にバーコーター塗布など公知の方法で塗布し、乾燥することで形成される。塗布、乾燥後に得られる支持体上の画像記録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.3〜3.0g/m2が好ましい。この範囲で、良好な感度と画像記録層の良好な皮膜特性が得られる。
(支持体)
本発明の平版印刷版原版に用いられる支持体としては、公知の支持体が用いられる。なかでも、公知の方法で粗面化処理され、陽極酸化処理されたアルミニウム板が好ましい。
また、上記アルミニウム板は必要に応じて、特開2001−253181号公報や特開2001−322365号公報に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理や封孔処理、及び米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号及び同第3,902,734号の各明細書に記載されているようなアルカリ金属シリケートあるいは米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号及び同第4,689,272号の各明細書に記載されているようなポリビニルホスホン酸などによる表面親水化処理を適宜選択して行うことができる。
支持体は、中心線平均粗さが0.10〜1.2μmであるのが好ましい。
支持体には必要に応じて、裏面に、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平5−45885号公報に記載されているケイ素のアルコキシ化合物を含むバックコート層を設けることができる。
(保護層)
本発明の平版印刷版原版は、画像記録層の上に保護層(オーバーコート層)を設けることが好ましい。保護層は酸素遮断によって画像形成阻害反応を抑制する機能の他、画像記録層における傷の発生防止、および高照度レーザー露光時のアブレーション防止の機能を有する。
このような特性の保護層については、例えば、米国特許第3,458,311号明細書及び特公昭55−49729号公報に記載されている。保護層に用いられる酸素低透過性のポリマーとしては、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマーのいずれをも適宜選択して使用することができる。具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
また、保護層には酸素遮断性を高めるため、特開2005−119273号公報に記載のように天然雲母、合成雲母等の無機質の層状化合物を含有することが好ましい。
また、保護層には、可撓性付与のための可塑剤、塗布性を向上させための界面活性剤、表面の滑り性を制御する無機微粒子など公知の添加物を含むことができる。また、画像記録層の説明に記載した感脂化剤を保護層に含有させることもできる。特に無機質の層状化合物を含有させる場合には、変性ポリビニルアルコール、特にスルホン酸変性のポリビニルアルコールを用いることが、無機質の層状化合物を分散させる上で、好ましい。
保護層は、公知の方法で塗布される。保護層の塗布量としては、乾燥後の塗布量で、0.01〜10g/m2の範囲であることが好ましく、0.02〜3g/m2の範囲がより好ましく、最も好ましくは0.02〜1g/m2の範囲である。
〔製版方法〕
平版印刷版原版は、線画像、網点画像等を有する透明原画を通してレーザー露光するかデジタルデータによるレーザー光走査等で画像様に露光される。
望ましい光源の波長は300nmから450nm又は750nmから1400nmの波長が好ましく用いられる。300nmから450nmの場合は、この領域に吸収極大を有する増感色素を感光層に有する平版印刷版原版が用いられ、750nmから1400nmの場合は、この領域に吸収を有する増感色素である赤外線吸収剤を含有する平版印刷版原版が用いられる。300nmから450nmの光源としては、半導体レーザーが好適である。750nmから1400nmの光源としては、赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーが好適である。露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等の何れでもよい。
(アルカリ現像方法)
アルカリ現像方法は、平版印刷版原版を画像露光する工程と、露光後の平版印刷版原版の画像部となる感光層を残存させ、それ以外の不要な感光層をアルカリ性現像液または有機溶剤によって溶解して除去することで親水性の支持体の表面を露出させて非画像部を形成し、その後ガム液を塗布する二液二浴方法により製版を行って、平版印刷版を得る方法である。アルカリ性現像液としてpHの範囲は、一般的にpH13.5までの現像液を用いることができる。
このような現像処理を簡易化することが課題の一つとして挙げられているが、ガム液を用いて現像処理を行うガム現像方式は一液一浴処理方法により工程を簡素化できる。
(機上現像方法)
本発明の平版印刷版原版の製版は機上現像方法で行うことが好ましい。機上現像方法は、平版印刷版原版を画像露光する工程と、露光後の平版印刷版原版になんらの現像処理を施すことなく、油性インキと水性成分とを供給して、印刷する印刷工程とを有し、該印刷工程の途上において平版印刷版原版の未露光部分が除去されることを特徴とする。画像様の露光は平版印刷版原版を印刷機に装着した後、印刷機上で行ってもよいし、プレートセッターなどで別途行ってもよい。後者の場合は、露光済み平版印刷版原版は現像処理工程を経ないでそのまま印刷機に装着される。その後、該印刷機を用い、油性インキと水性成分とを供給してそのまま印刷することにより、印刷途上の初期の段階で機上現像処理、すなわち、未露光領域の画像記録層が除去され、それに伴って親水性支持体表面が露出され非画像部が形成される。油性インキ及び水性成分としては、通常の平版印刷用の印刷インキと湿し水が用いられる。
画像様に露光した平版印刷版原版に湿し水と印刷インキとを供給して印刷すると、画像記録層の露光部においては、露光により硬化した画像記録層が、親油性表面を有する印刷インキ受容部を形成する。一方、未露光部においては、供給された湿し水及び/または印刷インキによって、未硬化の画像記録層が溶解または分散して除去され、その部分に親水性の表面が露出する。その結果、湿し水は露出した親水性の表面に付着し、印刷インキは露光領域の画像記録層に着肉して印刷が開始される。
ここで、最初に版面に供給されるのは、湿し水でもよく、印刷インキでもよいが、湿し水が除去された画像記録層成分によって汚染されることを防止する点で、最初に印刷インキを供給するのが好ましい。
このようにして、本発明の平版印刷版原版はオフセット印刷機上で機上現像され、そのまま多数枚の印刷に用いられる。
(ガム現像方法)
本発明においては、現像液中に界面活性剤または水溶性高分子化合物を含ませることが好ましく、現像−ガム液処理を同時に行うこと(ガム現像)が好ましい。よって後水洗工程は特に必要とせず、一液で現像とガム液処理を行ったのち、乾燥工程を行うことが好ましい。さらに、前水洗工程も特に必要とせず、保護層の除去も現像、ガム液処理と同時に行うことが好ましい。また、現像及びガム処理の後に、スクイズローラーを用いて余剰の現像液を除去した後、乾燥を行うことが好ましい。現像液のpHは5.0〜13.5であり、特に8.5〜10.8が好ましい。
本発明における感光性平版印刷版原版のガム現像は、常法に従って、0〜60℃、好ましくは15〜40℃程度の温度で、例えば、露光処理した感光性平版印刷版原版を現像液に浸漬してブラシで擦る方法、スプレーにより現像液を吹き付けてブラシで擦る方法等により行う。また、このような自動現像機での処理は、上記の機上現像の場合に生ずる保護層/画像記録層に由来する現像カスへの対応から開放されるという優位性がある。
本発明において用いられる現像液は、水を主成分(水を60質量%以上含有)とする水溶液が好ましく、特に、界面活性剤(アニオン系、ノニオン系、カチオン系、両性イオン系等)を含有する水溶液や、水溶性高分子化合物を含有する水溶液が好ましい。界面活性剤と水溶性高分子化合物の両方を含有する水溶液も好ましい。
本発明で使用する現像液に用いられるアニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類およびアルキルナフタレンスルホン酸塩類が好ましく用いられる。
ノニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ソルビトールおよび/またはソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー、多価アルコールの脂肪酸エステルが好ましく用いられる。
両性イオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、アルキルジメチルアミンオキシドなどのアミンオキシド系、アルキルベタインなどのベタイン系、アルキルアミノ脂肪酸ナトリウムなどのアミノ酸系が挙げられる。
特に、置換基を有してもよいアルキルジメチルアミンオキシド、置換基を有してもよいアルキルカルボキシベタイン、置換基を有してもよいアルキルスルホベタインが好ましく用いられる。これらの具体例は、特開2008−203359〔0255〕〜〔0278〕、特開2008−276166〔0028〕〜〔0052〕等に記載されているものを用いることができる。
界面活性剤は2種以上用いてもよく、現像液中に含有する界面活性剤の比率は、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
また、本発明の現像液に用いられる水溶性高分子化合物としては、大豆多糖類、変性澱粉、アラビアガム、デキストリン、繊維素誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース等)およびその変性体、プルラン、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドおよびアクリルアミド共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
上記大豆多糖類は、公知のものが使用でき、例えば市販品として商品名ソヤファイブ(不二製油(株)製)があり、各種グレードのものを使用することができる。好ましく使用できるものは、10質量%水溶液の粘度が10〜100mPa/secの範囲にあるものである。
水溶性高分子化合物は2種以上を併用することもできる。水溶性高分子化合物の現像液中における含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%である。
本発明で使用する現像液には、さらにpH緩衝剤を含ませることができる。
本発明のpH緩衝剤としては、pH5.0〜13.5に緩衝作用を発揮する緩衝剤であれば特に限定なく用いることができる。本発明においては弱アルカリ性の緩衝剤が好ましく用いられ、例えば(a)炭酸イオン及び炭酸水素イオン、(b)ホウ酸イオン、(c)水溶性のアミン化合物及びそのアミン化合物のイオン、及びそれらの併用などが挙げられる。すなわち、例えば(a)炭酸イオン-炭酸水素イオンの組み合わせ、(b)ホウ酸イオン、又は(c)水溶性のアミン化合物-そのアミン化合物のイオンの組み合わせなどが、現像液においてpH緩衝作用を発揮し、現像液を長期間使用してもpHの変動を抑制でき、pHの変動による現像性低下、現像カス発生等を抑制できる。特に好ましくは、炭酸イオン及び炭酸水素イオンの組み合わせである。
炭酸イオン、炭酸水素イオンを現像液中に存在させるには、炭酸塩と炭酸水素塩を現像液に加えてもよいし、炭酸塩又は炭酸水素塩を加えた後にpHを調整することで、炭酸イオンと炭酸水素イオンを発生させてもよい。炭酸塩及び炭酸水素塩は、特に限定されないが、アルカリ金属塩であることが好ましい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられ、ナトリウムが特に好ましい。これらは単独でも、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
pH緩衝剤として(a)炭酸イオンと炭酸水素イオンの組み合わせを採用するとき、炭酸イオン及び炭酸水素イオンの総量は、水溶液の全質量に対して0.05〜5mol/Lが好ましく、0.1〜2mol/Lがより好ましく、0.2〜1mol/Lが特に好ましい。
また、現像液は、有機溶剤を含有しても良い。含有可能な有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、”アイソパーE、H、G”(エッソ化学(株)製)あるいはガソリン、灯油等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、あるいはハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、トリクレン、モノクロルベンゼン等)や、極性溶剤が挙げられる。
また、上記有機溶剤が水に不溶な場合は、界面活性剤等を用いて水に可溶化して使用することも可能であり、現像液に、有機溶剤を含有する場合は、安全性、引火性の観点から、溶剤の濃度は40質量%未満が望ましい。
本発明で使用する現像液には上記の他に、防腐剤、キレート化合物、消泡剤、有機酸、無機酸、無機塩などを含有することができる。具体的には、特開2007−206217〔0266〕〜〔0270〕に記載の化合物を好ましく用いることができる。
上記の現像液は、現像補充液として用いてもよい。自動処理機を用いて現像する場合、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液または新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。
本発明におけるpH5.0〜13.5の水溶液による現像処理は、現像液の供給手段および擦り部材を備えた自動処理機により好適に実施することができる。擦り部材として、回転ブラシロールを用いる自動処理機が特に好ましい。さらに自動処理機は現像処理手段の後に、スクイズローラー等の余剰の現像液を除去する手段や、温風装置等の乾燥手段を備えていることが好ましい。
その他、本発明の平版印刷版原版からの平版印刷版の製版プロセスとしては、必要に応じ、露光前、露光中、露光から現像までの間に、全面を加熱してもよい。この様な加熱により、該感光層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上や感度の安定化といった利点が生じ得る。さらに、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱もしくは全面露光を行う事も有効である。通常現像前の加熱は150℃以下の穏和な条件で行う事が好ましい。温度が高すぎると、未露光部が硬化してしまう等の問題を生じる。現像後の加熱には非常に強い条件を利用する。通常は100〜500℃の範囲である。温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1〜17および比較例1〜4]−平版印刷版原版と機上現像−
1.平版印刷版原版の作製
(1)支持体の作製
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質JIS A 1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm3)を用いアルミニウム表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに60℃で20質量%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
次に、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dm2の条件で、硝酸電解と同様の方法で、電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
次に、この板に15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dm2で2.5g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥した。
その後、非画像部の親水性を確保するため、2.5質量%3号ケイ酸ソーダ水溶液を用いて70℃で12秒間、シリケート処理を施した。Siの付着量は10mg/m2であった。その後、水洗して、支持体(1)を得た。この基板の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
(2)中間層(1)の形成
次に、上記支持体(1)上に、下記下塗り液(1)を乾燥塗布量が28mg/m2になるよう塗布して、下塗り層(1)を設けた。
<中間層用塗布液(1)>
・重合性モノマー(下記表1記載、前記に例示したもの) 0.06g
・下記構造の下塗り層用化合物(1)Mw100000 0.12g
・ヒドロキシエチルイミノ二酢酸 0.10g
・メタノール 55.24g
・水 6.15g
Figure 2010234649
(3)画像記録層の形成
上記のようにして形成された下塗り層上に、下記組成の画像記録層塗布液(1)をバー塗布した後、100℃60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/m2の画像記録層(1)を形成した。
画像記録層塗布液(1)は下記感光液(1)およびミクロゲル液(1)を塗布直前に混合し攪拌することにより得た。
<感光液(1)>
・バインダーポリマー(1)[下記構造:(C)成分] 0.024g
・赤外線吸収剤(1)〔下記構造:(D)成分〕 0.030g
・ラジカル重合開始剤(1)〔下記構造:(A)成分〕 0.162g
・重合性化合物〔(B)成分〕
トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート
(NKエステルA−9300、新中村化学(株)製) 0.134g
・低分子親水性化合物
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート 0.062g
・低分子親水性化合物(1)〔下記構造〕 0.050g
・感脂化剤 ホスホニウム化合物(1)〔下記構造〕 0.055g
・感脂化剤
ベンジル−ジメチル−オクチルアンモニウム・PF6塩 0.018g
・フッ素系界面活性剤(1)〔下記構造〕 0.008g
・メチルエチルケトン 1.091g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.609g
<ミクロゲル液(1)>
・ミクロゲル(1) 2.640g
・蒸留水 2.425g
上記のバインダーポリマー(1)、赤外線吸収剤(1)、ラジカル重合開始剤(1)、ホスホニウム化合物(1)、低分子親水性化合物(1)、およびフッ素系界面活性剤(1)の構造は、以下に示す通りである。
Figure 2010234649
Figure 2010234649
上記に記載のミクロゲル(1)は、以下のようにして合成されたものである。
<ミクロゲル(1)の合成>
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N)10g、ペンタエリスリトールトリアクリレート〔(C)成分〕(日本化薬(株)製、SR444)3.15g、およびパイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.1gを酢酸エチル17gに溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液40gを調製した。油相成分および水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、50℃で3時間攪拌した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、これを前記ミクロゲル(1)とした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
(4)保護層(1)の形成
上記のようにして形成された画像記録層上に、さらに下記組成の保護層塗布液(1)をバー塗布した後、120℃60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.15g/m2の保護層(1)を形成した。
<保護層用塗布液(1)>
・無機質層状化合物分散液(1) 1.5g
・ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製CKS50、スルホン酸変性、
けん化度99モル%以上、 重合度300)6質量%水溶液 0.55g
・ポリビニルアルコール((株)クラレ製PVA−405、
けん化度81.5モル%重合度500)6質量%水溶液 0.03g
・日本エマルジョン(株)製界面活性剤
(エマレックス710)1質量%水溶液 8.60g
・イオン交換水 6.0g
(無機質層状化合物分散液(1)の調製)
イオン交換水193.6gに合成雲母ソマシフME−100(コープケミカル(株)製)6.4gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)が3μmになるまで分散した。得られた分散粒子のアスペクト比は100以上であった。
2.機上現像及び評価
得られた平版印刷版原版の機上現像性、耐刷性、及び印刷汚れを下記のようにして評価した。結果を表1に示す。
(1)機上現像性
得られた平版印刷版原版を赤外線半導体レーザー搭載の富士フイルム(株)製Luxel PLATESETTER T−6000IIIにて、外面ドラム回転数1000rpm、レーザー出力70%、解像度2400dpiの条件で露光した。露光画像にはベタ画像および20μmドットFMスクリーンの50%網点チャートを含むようにした。
画像記録層の未露光部の印刷機上での機上現像が完了し、非画像部にインキが転写しない状態になるまでに要した印刷用紙の枚数を機上現像性として計測した。結果を表1に示す。
(2)耐刷性
得られた露光済み原版を現像処理することなく、(株)小森コーポレーション製印刷機LITHRONE26の版胴に取り付けた。Ecolity−2(富士フイルム(株)製)/水道水=2/98(容量比)の湿し水と、ベストキュアーUV−BF−WRO標準墨インキ(T&K TOKA社製)とを用い、湿し水とインキを供給した後、毎時10000枚の印刷速度で印刷を行った。耐刷性の評価は、得られた印刷物の画像濃度が刷り始めより5%低下した枚数を刷了と判断した。評価結果を表1に示す。
(3)印刷汚れ
各々の平版印刷版について上記通り印刷行い、1万枚印刷した後における非画像部のブランケットの汚れを目視で評価した。汚れ防止性をブランケットの汚れの程度が最も少ないものを5として1〜5の5段階で評価した。刷版を60℃で2日の状態に置いて強制経時をかけ、強制経時をかける前を強制経時前サンプルとし、かけた後を強制経時後サンプルとしその後印刷を行なって上記の汚れ評価を行った。
Figure 2010234649
*1:実施例14では画像形成層のバインダーポリマーとして下記z-1を用いた。
*2:実施例15では画像形成層のバインダーポリマーとして下記z-2を用いた。
*3:実施例16では画像形成層のバインダーポリマーとして下記z-3を用いた。
*4:実施例17では画像形成層のバインダーポリマーとして下記z-4を用いた。
*5:重合性基を有さずスルホンアミド基を有する低分子化合物である下記x-1を用いた。
*6:スルホンアミド基を有さず重合性基を有する重合性モノマーである下記x-2を用いた。
*7:アルキルスルホンアミド基を有する重合性モノマーである下記x-3を用いた。
*8:特開2005−041206号公報に開示されているアルキルスルホンアミド基を有する重合性モノマーである下記x-4を用いた。
Figure 2010234649

Figure 2010234649

Figure 2010234649
表1からわかるように本発明によれば、良好な機上現像性と耐刷性が両立し、かつ耐汚れ性に優れた平版印刷版原版と平版印刷版の製版方法を提供することができる。
[実施例18〜28および比較例5〜6]−平版印刷版原版とガム現像−
上記の実施例1〜9、14、15及び比較例1〜2で用いたのと同様の平版印刷版原版にて、以下のように露光後にガム現像し、評価を行った。
(1)ガム現像性(細線再現性)
赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力6.4Wで外面ドラム回転数150rpm、解像度2400dpiの条件で、得られた平版印刷版原版に画像露光した。露光画像にはベタ画像および細線画像を含むようにした。
得られた露光済み原版を、図1に示す自動現像装置を使用し、図中14の現像部にて非画像部の除去工程、図中16の水洗部にて水洗工程、図中18の不感脂化処理部にて不感脂化工程の処理を行った。現像部および不感脂化処理部に使用した処理液は、富士フイルム(株)製ガム液「FN−6」/水道水=1/1を用いた。また、水洗部に使用した水は、ポンプを用いて循環し、メッシュ10μmのフィルターを通して再使用した。
露光済み原版をハイデルベルグ社製印刷機Speedmaster52のシリンダーに取り付け、湿し水〔IF102(富士フイルム(株)製エッチ液)/水=3/97(容量比)〕とベストキュアーUV−BF−WRO標準墨インキ(T&K TOKA社製)とを用い、湿し水とインキを供給した後、毎時6000枚の印刷速度で印刷を100枚行った。
上記現像処理で非画像部画像記録層の除去が所望の画像通りに行われているかどうかを評価する手法として、露光された細線画像(10μmから50μmまで2μmおきに白細線(画像部の中の細線状非画像部)の太さを変えたテストチャート)が印刷用紙上でどの太さの白細線まで再現できているかを、印刷用紙を目視して再現している白細線の太さで評価した。すなわち、値が小さい方がより細い細線まで良好に現像されていることを表しており好ましい結果を示す。これらの結果を表2に示す。
(2)耐刷性
上述した細線再現性の評価を行った後、さらに印刷を続け、前述の機上現像した印刷版の場合と同様に耐刷性を評価した。結果を表2に示す。
(3)印刷汚れ
各々の平版印刷版について上記通り印刷行い、1万枚印刷した後における非画像部のブランケットの汚れを目視で評価した。汚れ防止性をブランケットの汚れの程度が最も少ないものを5として1〜5の5段階で評価した。刷版を60℃で2日の状態に置いて強制経時をかけ、強制経時をかける前を強制経時前サンプルとし、かけた後を強制経時後サンプルとしその後印刷を行って上記の汚れ評価を行った。
Figure 2010234649
*実施例27では画像記録層のバインダーポリマーとして上記z-1を用いた。
**実施例28では画像記録層のバインダーポリマーとして上記z-2を用いた。
***重合性基を有さずスルホンアミド基を有する低分子化合物である上記x-1を用いた。
****スルホンアミド基を有さず重合性基を有する重合性モノマーである上記x-2を用いた。
表2の結果からわかるように本発明によれば、良好なガム現像性(細線再現性)と耐刷性が両立し、かつ耐汚れ性に優れた平版印刷版原版と平版印刷版の製版方法を提供することができる。
[実施例29〜40と比較例7〜8]−平版印刷版原版とガム現像−
(1)平版印刷版原版の作製
[下塗り層の形成]
上記支持体(1)に下記の下塗り液1を、バーコーターを用いて乾燥塗布量2mg/m2となるよう塗布し、80℃で20秒間乾燥して支持体を作製した。
〔下塗り液1〕
下記ポリマー(SP1) 0.3g
重合性モノマー(下記表3記載、前記に例示したもの) 0.1g
純水 60.0g
メタノール 939.7g
ポリマー(SP1)
Figure 2010234649
[感光層の形成]
前記支持体上にバーコーターを用いて下記組成の感光層塗布液を塗布した後、90℃で1分間乾燥し感光層を形成した。感光層の乾燥塗布量は1.35g/m2であった。
(感光層塗布液)
・重合性化合物 デグサ社製 PLEX6661−O 1.69質量部
・バインダーポリマー PP−3 1.87質量部
・下記増感色素(D40) 0.13質量部
・下記重合開始剤(黒金化成社製) 0.46質量部
・下記ε−フタロシアニン(F1)の25%MEK分散物 1.70質量部
・下記メルカプト基含有ヘテロ環化合物(SH−8) 0.34質量部
・フッ素系ノニオン界面活性剤 メガファックF−780F
(大日本インキ化学工業(株)製) 0.03質量部
・クペロンAL(和光(株)社製)(トリクレジルホスフェート10%溶液)
0.12質量部
・メチルエチルケトン 27.0質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 26.7質量部
・Novoperm Yellow H2G(Clariant(株)社製) 0.20質量部
感光層塗布液に使用したバインダーポリマー PP−3の重量平均分子量9万である。
Figure 2010234649
Figure 2010234649
[保護層の形成]
上記感光性層上に、下記組成の保護層塗布液を乾燥塗布質量が2.5g/m2となるようにバーコーターで塗布し、120℃で1分間乾燥して保護層1を形成した。
(保護層塗布液)
ゴーセランCKS−50(日本合成化学(株)製、ケン化度:99モル%、
平均重合度:300、変性度:約0.4モル%) 1.80質量部
ポリビニルピロリドン 0.40質量部
EMALEX710(日本乳化剤(株)製ノニオン界面活性剤) 0.04質量部
パイオニンD230(竹本油脂(株)製界面活性剤) 0.05質量部
ルビスコールV64W(BASF社製) 0.06質量部
下記ポリマーの13%水溶液 0.36質量部
純 水 36.0質量部
Figure 2010234649
〔露光、現像および印刷〕
上記各平版印刷版原版を、FFEI製Violet半導体レーザープレートセッターVx9600(InGaN系半導体レーザー(発光波長405nm±10nm/出力30mW)を搭載)により画像露光した。画像描画は、解像度2438dpiで、富士フイルム(株)製FMスクリーン(TAFFETA 20)を用い、版面露光量0.05mJ/cm2で行なった。
次いで、100℃、30秒間のプレヒートを行った後、下記組成の各処理液を用い、図2に示すような構造の自動現像処理機にて現像処理を実施した。自動現像処理機は、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径50mmのブラシロールを1本有し、搬送方向と同一方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.52m/sec)させた。処理液の温度は30℃であった。平版印刷版原版の搬送は、搬送速度100cm/minで行った。現像処理後、乾燥部にて乾燥を行った。乾燥温度は80℃であった。
Figure 2010234649
処理液2は処理液1に1MNaOH水溶液を加え、pH10.5にした。
処理液3は処理液1に1MH2SO4水溶液を加え、pH8.7にした。
処理液4は処理液1に1MNaOH水溶液を加え、pH11.0にした。
処理液5は処理液1に1MH2SO4水溶液を加え、pH8.3にした。
処理液6は処理液1に1MNaOH水溶液を加え、pH13.5にした。
処理液7は処理液1に1MH2SO4水溶液を加え、pH5.5にした。
処理液8は処理液1に1MH2SO4を加え、pH4.8にした。
得られた平版印刷版を、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mに取り付け、湿し水(EU−3(富士フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、毎時6000枚の印刷速度で印刷を行った。
〔評価〕
各平版印刷版原版を用いて、現像性、処理性および耐刷性を以下のように評価した。
<現像性>
平版印刷版を用いて上記の条件で印刷を行い、1000枚目の印刷物において、非画像部の汚れによる平網画像のムラ(インキ濃度のムラ)を評価した。平網画像にインキ濃度ムラがなく、良好な画像が得られた場合:○、平網画像にわずかにインキ濃度ムラがあるが許容レベルの場合:△、平網画像にインキ濃度ムラがある場合:×と評価した。
<処理性>
各平版印刷版原版を上記の条件で1週間かけて500m2現像処理した際に、自動現像機の漕壁に付着したカスの発生状況を目視観察した。発生したカスは、主として保護層のバインダーに起因するものである。カスの発生がない場合:○、カスの発生あるが許容レベルの場合:△、カス発生が顕著な場合:×と評価した。
<汚れ防止性>
各平版印刷版について上記の条件で印刷を行い、1万枚印刷した後における非画像部のブランケットの汚れを目視で評価した。ブランケットの汚れが無しの場合:○、ブランケットの汚れが殆ど無しの場合:△、ブランケットの汚れがありの場合:×、と評価した。
<耐刷性>
印刷枚数を増やしていくと徐々に平版印刷版上に形成された感光層の画像が磨耗しインキ受容性が低下するため、これに伴い、印刷物における画像のインキ濃度が低下する。そこで、インキ濃度(反射濃度)が印刷開始時よりも0.1低下したときの印刷枚数により、耐刷性(作製直後)を評価した。また、平版印刷版を作製後、温度25℃、湿度60%の環境下で1週間放置した後、上記の条件で印刷を行い、耐刷性(1週間後)を同様に評価した。
評価の結果を表3に示す。
Figure 2010234649
*実施例38では画像記録層のバインダーポリマーとして上記z-1を用いた。
**実施例39では画像記録層のバインダーポリマーとして上記z-2を用いた。
***重合性基を有さずスルホンアミド基を有する低分子化合物である上記x-1を用いた。
****スルホンアミド基を有さず重合性基を有する重合性モノマーである上記x-2を用いた。
表3の結果から、本発明の平版印刷版の製版方法によると、現像性が良いために平網にムラのない印刷物が得られ、また現像槽中にカスを生じなく処理性が高く、さらに、汚れ防止性にも優れ、さらに、現像処理後の置き版による耐刷性の低下が殆どないことがわかる。

Claims (11)

  1. 支持体上に、アリールスルホンアミド基及び少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する重合性モノマーを含有する中間層と、ラジカル重合開始剤、重合性化合物及びバインダーポリマーを含有する画像記録層とを順次積層して有することを特徴とする平版印刷版原版。
  2. アリールスルホンアミド基及び少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する重合性モノマーがさらにウレイド結合、ウレタン結合、及びイソシアヌル酸構造から選ばれる少なくとも1種を有する、請求項1記載の平版印刷版原版。
  3. 該中間層が基板吸着性基を有するポリマーを含有する、請求項1又は2に記載の平版印刷版原版。
  4. 基板吸着性基を有するポリマーがさらに重合性基を含有する、請求項3に記載の平版印刷版原版。
  5. 画像記録層がさらに増感色素を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  6. 平版印刷版原版がさらに保護層を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  7. 該保護層が雲母を含有する、請求項6に記載の平版印刷版原版。
  8. 支持体上に、アリールスルホンアミド基及び少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する重合性モノマーを含有する中間層と、ラジカル重合開始剤、重合性化合物及びバインダーポリマーを含有する画像形成層とを順次積層して有することを特徴とする平版印刷版原版をレーザーで画像露光した後、未露光部の画像記録層を印刷インキ及び/又は湿し水により除去することを含む、平版印刷版の製版方法。
  9. 支持体上に、アリールスルホンアミド基及び少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する重合性モノマーを含有する中間層と、ラジカル重合開始剤、重合性化合物及びバインダーポリマーを含有する画像形成層とを順次積層して有することを特徴とする平版印刷版原版をレーザーで画像露光した後、pHが5.0〜13.5の現像液の存在下、未露光部の画像記録層を除去することを含む、平版印刷版の製版方法。
  10. pHが8.5〜10.8の現像液の存在下、未露光部の画像記録層を除去することを含む、請求項9に記載の平版印刷版の製版方法。
  11. 現像液が水溶性高分子化合物を有する、請求項9又は10に記載の平版印刷版の製版方法。
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