JP2012211938A - 重合性組成物及び平版印刷版原版 - Google Patents

重合性組成物及び平版印刷版原版 Download PDF

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Abstract

【課題】感度及び安定性の高い重合性組成物、並びに、高感度、高耐刷性で、保存安定性の高い平版印刷版原版を提供する。
【解決手段】(A)一般式(1)で示されるボレート化合物、(B)増感色素、及び(C)重合性化合物を含む重合性組成物。支持体上に、該重合性組成物を含有する画像記録層を有する平版印刷版原版。
Figure 2012211938

(一般式(1)においてR1、R2及びR3は、そのうちの一つ又は二つは、OR7、SR8又はNR9R10を表し、それ以外は、水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。R4、R5、及びR6はそれぞれ独立に、アリール基又はヘテロ環基を表す。[X]+は電荷を中和するカチオンを表す。R7、R8、R9及びR10はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表し、2つのR8又はR9とR10で環を形成してもよい。)
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なボレート化合物を含む重合性組成物及び平版印刷版原版に関する。
ボレート化合物を増感色素と組み合わせて光重合開始剤として使用する例は、従来から知られている。例えば、対イオンとしてシアニン、ローダミン等のカオチン性色素を有するトリアリールアルキルボレートが知られており、これらの化合物は光重合開始剤として使用されている(特許文献1〜3参照)。また、第四級アンモニウム化合物、例えば、テトラメチルアンモニウム、ピリジニウム、セチルピリジニウムをトリアリールアルキルボレートのカウンターカオチンとして使用することが知られている(特許文献4参照)。
ボレート化合物を増感色素と組み合わせて使用する光開始系では、色素とボレートの間の電子移動効率が感度向上のために重要となってくる。色素/ボレート間の電子移動効率は、通常、色素とボレートの電位差により大きく左右される。しかしながら、実際にボレートと色素が錯形成しやすい環境を作っていないと電子移動効率は低下し、光感度が低下してしまう。これらはいずれも、電子移動後にボレートアニオンのアルキルの炭素−ホウ素結合部分が分解しアルキルラジカルを発生すると考えられる。
一方、アニオン部が有機ホウ素アニオンであるピリジニウム錯体も知られており、光・熱ラジカル重合開始剤として機能することが記載されている(特許文献5参照)。
上記、従来技術の重合性組成物の問題点を以下に挙げる。まず金属ボレート錯体(特許文献6参照)及び、陽イオン染料−ボレート陰イオン錯体(特許文献7参照)は、重合開始能力が不十分であることが大きな問題点となっている。また、ジアリールヨードニウムボレート等の場合(特許文献8〜10参照)は熱的に不安定であり、重合性組成物の保存安定性が良くないことが挙げられる。また、特許文献5に記載されている有機ホウ素塩のピリジニウム塩の場合も十分な重合開始能が得られていない。
米国特許第4772530号明細書 米国特許第4772541号明細書 米国特許第5151520号明細書 米国特許第5055372号明細書 特開平7−70221号公報 特開平2−4804号公報 特開昭62−143044号公報 特開平2−157760号公報 特開平2−166451号公報 特開平3−704号公報
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、感度、及び安定性(保存性)の高い重合性組成物、並びに、高感度、高耐刷性で、保存安定性の高い平版印刷版原版を提供することにある。
1.(A)一般式(1)で示される化合物、(B)増感色素、及び(C)重合性化合物を含む重合性組成物。
Figure 2012211938
一般式(1)においてR、R及びRは、そのうちの一つ又は二つは、OR、SR又はNR10を表し、それ以外は、水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。R、R、及びRはそれぞれ独立に、アリール基又はヘテロ環基を表す。[X]は電荷を中和するカチオンを表す。R、R、R及びR10はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表し、2つのR又はRとR10で環を形成してもよい。
2.一般式(1)で示される化合物において、R、R及びRがアリール基又はヘテロ環基で表され、かつそれぞれ同一の構造を有し、R、R、R及びR10がアルキル基又はアリール基を表すことを特徴とする前記1に記載の重合性組成物。
3.一般式(1)で示される化合物において、R、R、及びRが下記一般式(2)に示される構造を表すことを特徴とする前記2に記載の重合性組成物。
Figure 2012211938
一般式(2)において、R11はアルキル基、アリール基、OR12、SR13又はNR1415、又はハロゲン原子を表し、nは0から5までの整数を表す。R12、R13、R14及びR15はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、R14とR15で環を形成してもよい。
4.一般式(1)で示される化合物において、[X]が重合開始能を有する有機カチオン種であることを特徴とする前記1から前記3のいずれか1項に記載の重合性組成物。
5.一般式(1)で示される化合物において、[X]が無機カチオン又は重合開始能がない有機カチオンであることを特徴とする前記1から前記3のいずれか1項に記載の重合性組成物。
6.一般式(1)で示される化合物において、[X]が増感色素である有機色素カチオンであることを特徴とする前記1から前記3のいずれか1項に記載の重合性組成物。
7.前記重合性組成物が、更にバインダーポリマーを含有することを特徴とする前記1から前記6のいずれか1項に記載の重合性組成物。
8.支持体上に、前記1から7のいずれか1項に記載の重合性組成物を含有する画像記録層を有することを特徴とする平版印刷版原版。
9.前記画像記録層に含まれる増感色素が、赤外線吸収染料であることを特徴とする前記8に記載の平版印刷版原版。
10.前記画像記録層が、疎水化前駆体を含有することを特徴とする前記8又は前記9記載に記載の平版印刷版原版。
11.前記画像記録層上に、保護層を有することを特徴とする前記8から前記10のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
12.前記保護層が無機質層状化合物を含有することを特徴とする前記11記載の平版印刷版原版。
13.前記8から前記12のいずれか1項に記載の平版印刷版原版を、画像様露光した後、自動現像処理機によってpHが2〜14の現像液の存在下で未露光部の画像記録層を除去することを特徴とする製版方法。
14.前記8から前記12のいずれか1項に記載の平版印刷版原版を、画像様露光した後、印刷機上で印刷インキ及び湿し水の少なくともいずれかを供給して未露光部の画像記録層を除去することを特徴とする製版方法。
本発明では、特定のボレート化合物を用いることによって、安定性を保持したまま感度の高い重合性組成物を得ることができた。この発明の作用機構については、次のように推測している。
一般に、ボレート化合物はボレートアニオンの炭素−ホウ素結合部分が熱もしくは光の作用で分解しラジカルを発生すると考えられている。特定構造を有するボレートは、詳細は明らかではないが炭素−ホウ素結合の結合エネルギーが上がることで安定性が向上していると推測される。これは、電気陰性度の高いヘテロ原子が置換しているためα位の炭素の電子密度が低下し、これにより負電荷の帯びたホウ素原子から炭素原子への電子の流れ込みが起きることで、炭素−ホウ素結合の結合次数が上がったためと考えられる。
また、α位にヘテロ原子を有するアルキルラジカルは、アルキルラジカルは単純なアルキルラジカルと比べ(C)重合性化合物との反応性が高い(言い換えると感度が高い)ため、平版印刷版原版の画像記録層に利用した場合、その耐刷性が向上する。特定構造を有するボレートから発生するラジカルは、そのラジカルとα位のヘテロ原子の孤立電子対が相互作用し、SOMO(singly occupied molecular orbital 半占軌道)のエネルギーレベルが上昇するため、(C)重合性化合物のLUMO(lowest unoccupied molecular orbital最低空軌道)と相互作用しやすくなるため反応性が高くなる。
上記のように、特定構造を有するボレートは安定性が向上するため発生ラジカル量は単純なボレートよりも低下するが、発生するアルキルラジカルが(C)重合性化合物との反応性が高いため感度の高い重合性組成物となっていると推定している。
本発明によれば、感度、及び安定性(保存性)の高い重合性組成物、並びに、高感度、高耐刷性で、保存安定性の高い平版印刷版原版を提供できる。
[重合性組成物]
本発明の重合性組成物は、(A)一般式(1)で示される化合物(以下では特定化合物ともいう。)、(B)増感色素、及び(C)重合性化合物を含む光重合性組成物である。ただし、後述のように、(A)特定化合物が増感色素である有機色素カチオンを化合物の構成要素として含む場合は、(A)特定化合物が(B)増感色素を兼ねるので、別の(B)増感色素は必ずしも含有させなくてもよい。
本発明の重合性組成物は、バインダーポリマー、重合開始剤など、上記以外の成分を含有することができる。
以下、本発明の重合性組成物の構成成分について詳細に説明する。
〔(A)一般式(1)で示される化合物(特定化合物)〕
Figure 2012211938
一般式(1)においてR、R及びRは、そのうちの一つ又は二つは、OR、SR又はNR10を表し、それ以外は、水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。R、R、及びRはそれぞれ独立に、アリール基又はヘテロ環基を表す。[X]は電荷を中和するカチオンを表す。R、R、R及びR10はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表し、RとR10で環を形成してもよい。
、R及びRがOR、SR又はNR10を表す場合、安定性の観点から、R、R及びRの一つがOR、SR又はNR10を表すことが好ましい。また、R、R及びRは、感度の観点から、SR又はNR10であることが好ましく、SRであることが最も好ましい。
、R、R及びR10は感度の観点から、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基がより好ましく、アルキル基又はアリール基がさらに好ましく、アルキル基が最も好ましい。
ヘテロ原子上の置換基である、R、R、R、R10が示すアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、炭素数1〜20のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜10のアルキル基が最も好ましい。
具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、及び2−ノルボルニル基を挙げられる。
これらアルキル基の中で、メチル基、エチル基が特に好ましい。
、R、R、R10が示すアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、炭素数6〜20のアリール基がより好ましく、炭素数6〜12のアリール基が最も好ましい。
具体的には、例えば、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、o−、m−、及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−、及びp−クメニル基、メシチル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオレニル基、p−クロロフェニル基、p−ブロモフェニル基、p−フルオロフェニル基、o−クロロフェニル基、o−ブロモフェニル基、o−フルオロフェニル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、p−ジメチルアミノフェニル基、p−メチルチオフェニル基、m−メチルチオフェニル基、p−フェニルチオフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,3−クロロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、3,4,5−トリクロロフェニル基等が挙げられる。
これらアリール基の中で、フェニル基、p−メトキシフェニル基、p−ジメチルアミノフェニル基、p−メチルチオフェニル基が特に好ましい。
、R、R、R10が示すヘテロ環基としては、3員環から8員環のヘテロ環基が好ましく、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含む3から6員環のヘテロ環基がより好ましく、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含む5から6員環のヘテロ環基が最も好ましい。
具体的には、例えば、ピロール環基、フラン環基、チオフェン環基、ベンゾピロール環基、ベンゾフラン環基、ベンゾチオフェン環基、ピラゾール環基、イソキサゾール環基、イソチアゾール環基、インダゾール環基、ベンゾイソキサゾール環基、ベンゾイソチアゾール環基、イミダゾール環基、オキサゾール環基、チアゾール環基、ベンズイミダゾール環基、ベンズオキサゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ピリジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、ピリダジン環基、ピリミジン環基、ピラジン環基、フタラジン環基、キナゾリン環基、キノキサリン環基、アシリジン環基、フェナントリジン環基、カルバゾール環基、プリン環基、ピラン環基、ピペリジン環基、ピペラジン環基、モルホリン環基、インドール環基、インドリジン環基、クロメン環基、シンノリン環基、アクリジン環基、フェノチアジン環基、テトラゾール環基、トリアジン環基等が挙げられる。
これらヘテロ環基の中で、ピロール環基、フラン環基、チオフェン環基が特に好ましい。
、R、Rが、水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を示す場合は、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基がより好ましく、アルキル基が最も好ましい。
、R、Rが、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を示す場合、その好ましい態様は、R、R、R、R10がアルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す場合における好ましい態様と同様である。
、R、Rはそれぞれ独立にアリール基、ヘテロ環基を表す。
、R、Rが示すアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、炭素数6〜20のアリール基がより好ましく、炭素数6〜12のアリール基が最も好ましい。
具体的な骨格の例としては、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基等が挙げられる。
、R、Rが、ヘテロ環基を示す場合、その好ましい態様は、R、R、R、R10がヘテロ環基を表す場合における好ましい態様と同様である。
ボレート塩の安定性の観点から、R、R及びRは、同一の構造を有することが好ましく、また、アリール基、ヘテロ環基のうち、アリール基が好ましい。
、R、及びRとしては下記一般式(2)に示されるフェニル基が最も好ましい。
Figure 2012211938
式中、R11はアルキル基、アリール基、OR12、SR13、NR1415、又はハロゲン原子を表し、nは0から5までの整数を表す。R12、R13、R14及びR15はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、R14とR15で環を形成してもよい。
11は安定性の観点から、アルキル基、アリール基、OR12、SR13、NR1415、及びハロゲン原子のうち、アルキル基又はハロゲン原子が好ましく、ハロゲン原子が最も好ましい。
11がアルキル基又はアリール基を示す場合、その好ましい態様は、R、R、R、R10がアルキル基又はアリール基を示す場合における好ましい態様と同様である。
12、R13、R14、R15は、アルキル基、アリール基がより好ましく、アルキル基が最も好ましい。
12、R13、R14、R15がアルキル基、アリール基又はヘテロ環基を示す場合、その好ましい態様は、R、R、R、R10がアルキル基、アリール基又はヘテロ環基を示す場合における好ましい態様と同様である。
具体的には、例えば、フェニル基、o−、m−、及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−、及びp−クメニル基、メシチル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオレニル基、p−クロロフェニル基、p−ブロモフェニル基、p−フルオロフェニル基、o−クロロフェニル基、o−ブロモフェニル基、o−フルオロフェニル基、m−クロロフェニル基、m−ブロモフェニル基、m−フルオロフェニル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、p−ジメチルアミノフェニル基、p−メチルチオフェニル基、m−メチルチオフェニル基、p−フェニルチオフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,3−クロロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、3,4,5−トリクロロフェニル基等が挙げられる。
これらアリール基の中で、p−クロロフェニル基、p−フルオロフェニル基、o−クロロフェニル基、o−フルオロフェニル基、m−クロロフェニル基、m−フルオロフェニル基が特に好ましい。
一般式(1)において電荷を中和するカチオンを表す[X]としては、重合開始能を有する有機カチオン、重合開始能がない有機カチオン、無機カチオン、及び増感色素である有機色素カチオンから選ばれるカチオンであることが好ましい。
(1)[X]が重合開始能を有する有機カチオンの場合
重合開始能を有する有機カチオンとしては、スルホウニウムカチオン、ヨードニウムカチオン、アジニウムカチオンが挙げられる。
スルホウニウムカチオンとしては、下記一般式(a)で示される化合物が好ましい。
Figure 2012211938
一般式(a)の置換基Rとしては、水素原子、メトキシ基、メチル基、塩素原子が挙げられる。nは1又は2の整数を示す。Rとしては、感度の観点から水素原子、塩素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。Rが塩素原子で、かつnが2である構造が最も好ましい。
ヨードニウムカチオンとしては、下記一般式(b)で示される化合物が好ましい。
Figure 2012211938
一般式(b)のRとしては、水素原子、アルコキシ基、ハロゲン原子が挙げられる。nは1から3の整数を示す。感度の観点から、Rはメトキシ基、メチル基、t−ブチル基、塩素原子が好ましく、メトキシ基、メチル基、t−ブチル基がより好ましく、メトキシ基が最も好ましい。
アジニウムカチオンとしては、下記一般式(c)で示される化合物が好ましい。
Figure 2012211938
一般式(c)のRとしては、水素原子、メチル基、フェニル基が挙げられる。Rとしては、アリール基、アルキル基が挙げられる。感度の観点から、Rは、水素原子、フェニル基がより好ましく、フェニル基が最も好ましい。同じく感度の観点からRはアルキル基がもっとも好ましい。
(2)[X]が無機カチオン又は重合開始能がない有機カチオンの場合
無機カチオン及び重合開始能がない有機カチオンとしては、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、アンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオンが好ましいものとして挙げられる。ナトリウムカチオン、アンモニウムカチオンがより好ましく、ナトリウムカチオンが最も好ましい。
(3)[X]が増感色素である有機色素カチオンである場合
有機色素カチオンとしては、下記一般式(d)で表されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 2012211938
一般式(d)中、R、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表す。RとRは互いに連結し、環を形成してもよい。Xは置換アミノ基又は塩素原子を表し、Q及びQは同一でも異なっていてもよく、−NR−、硫黄原子、酸素原子又はジアルキルメチレン基を表す。Rは、水素原子又は置換基を有してもよい炭化水素基を表す。T及びTはそれぞれ独立に芳香環又は複素芳香環を表す。この環は更に置換基を有してもよい。
感度の観点から、R及びRは、アルキル基、置換アルキル基が好ましく、ヘテロ原子が置換したアルキル基が最も好ましい。R、R、R、Rは、水素原子又は炭化水素基が好ましく、水素原子がもっとも好ましい。R、Rは、環を形成することが好ましく、5員環、6員環を形成することが更に好ましく、5員環を形成することが最も好ましい。Q及びQは同一の構造有しかつジアルキルメチレン基が最も好ましい。
好ましい具体例として下式の有機色素カチオンが挙げられる。式中のX、T及びTは、一般式(d)のX、T及びTと同義である。
Figure 2012211938
本発明の一般式(1)で示される化合物(特定化合物)のカチオン部([X])の具体例を表1に示す。
Figure 2012211938
本発明の特定化合物の具体例を下記表2〜4で示す。表中の数字は化合物番号を示す。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2012211938
Figure 2012211938
Figure 2012211938
本発明の特定化合物は、重合性組成物中に任意な量で含有させることができるが、重合性組成物の全固形分中、0.1〜50質量%が好ましく、より好ましくは、0.5〜30質量%であり、更に好ましくは1〜20質量%である。
(B)増感色素
重合性組成物に用いる増感色素は、画像露光時の光を吸収して励起状態となり、重合開始剤に電子移動、エネルギー移動又は発熱などでエネルギーを供与し、重合開始機能を向上させるものであれば特に限定せず用いることができる。特に、300〜450nm又は750〜1400nmの波長域に極大吸収を有する増感色素が好ましく用いられる。
350〜450nmの波長域に極大吸収を有する増感色素としては、メロシアニン類、ベンゾピラン類、クマリン類、芳香族ケトン類、アントラセン類、スチリル類、オキサゾール類等の色素を挙げることができる。
350〜450nmの波長域に吸収極大を持つ増感色素のうち、高感度の観点からより好ましい色素は下記一般式(I)で表される色素である。
Figure 2012211938
一般式(I)中、Aは置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子又はN(R)を表す。R、R及びRは、それぞれ独立に、1価の非金属原子団を表し、AとR又はRとRは、それぞれ互いに結合して、脂肪族性又は芳香族性の環を形成してもよい。
一般式(I)について更に詳しく説明する。R、R又はRで表される1価の非金属原子団は、好ましくは、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルキルチオ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子を表す。
このような増感色素の具体例としては、特開2007−58170号公報の段落番号[0047]〜[0053]に記載の化合物が好ましく用いられる。
更に、下記一般式(II)又は(III)で示される増感色素も用いることができる。
Figure 2012211938
Figure 2012211938
式(II)中、R〜R14は各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。但し、R〜R10の少なくとも一つは炭素原子数2以上のアルコキシ基を表す。
式(III)中、R15〜R32は各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。但し、R15〜R24の少なくとも一つは炭素原子数2以上のアルコキシ基を表す。
このような増感色素の具体例としては、欧州特許出願公開第1349006号明細書や国際公開第2005/029187号パンフレットに記載の化合物が好ましく用いられる。
また、特開2006−189604号、特開2007−171406号、特開2007−206216号、特開2007−206217号、特開2007−225701号、特開2007−225702号、特開2007−316582号、特開2007−328243号の各公報に記載の増感色素も好ましく用いることができる。
続いて、750〜1400nmの波長域に極大吸収を有する増感色素(以降、赤外線吸収剤と称することもある)について記載する。赤外線吸収剤は染料又は顔料が好ましく用いられる。
染料としては、市販の染料及び例えば、「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。更に、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい例として下記一般式(IV)で示されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 2012211938
一般式(IV)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、−N(R)(R10)、−X−L又は以下に示す基を表す。ここで、R及びR10は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素原子数1〜8のアルキル基、水素原子を表し、またRとR10とが互いに結合して環を形成してもよい。なかでもフェニル基が好ましい。Xは酸素原子又は硫黄原子を示し、Lは、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子(N、S、O、ハロゲン原子、Se)を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。下記式のX は後述するZ と同様に定義され、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
Figure 2012211938
一般式(IV)のR及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。重合性組成物溶液の保存安定性から、R及びRは、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましい。またR及びRは互いに連結し環を形成してもよく、環を形成する際は5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar、Arは、それぞれ同じでも異なってもよく、置換基を有していてもよいアリール基を示す。好ましいアリール基としては、ベンゼン環基及びナフタレン環基が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12以下のアルコキシ基が挙げられる。Y、Yは、それぞれ同じでも異なってもよく、硫黄原子又は炭素原子数12以下のジアルキルメチレン基を示す。R、Rは、それぞれ同じでも異なってもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12以下のアルコキシ基、カルボキシ基、スルホ基が挙げられる。R、R、R及びRは、それぞれ同じでも異なってもよく、水素原子又は炭素原子数12以下の炭化水素基を示す。原料の入手容易性から、好ましくは水素原子である。また、Z は、対アニオンを示す。ただし、一般式(IV)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZ は必要ない。好ましいZ は、重合性組成物溶液の保存安定性から、ハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン及びアリールスルホン酸イオンである。
一般式(IV)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落番号[0017]〜[0019]に記載の化合物、特開2002−023360号公報の段落番号[0016]〜[0021]、特開2002−040638号公報の段落番号[0012]〜[0037]に記載の化合物、好ましくは特開2002−278057号公報の段落番号[0034]〜[0041]、特開2008−195018号公報の段落番号[0080]〜[0086]に記載の化合物、特に好ましくは特開2007−90850号公報の段落番号[0035]〜[0043]に記載の化合物が挙げられる。
また特開平5−5005号公報の段落番号[0008]〜[0009]、特開2001−222101号公報の段落番号[0022]〜[0025]に記載の化合物も好ましく使用することができる。
赤外線吸収染料は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、顔料等の赤外線吸収染料以外の赤外線吸収剤を併用してもよい。顔料としては、特開2008−195018号公報の段落番号[0072]〜[0076]に記載の化合物が好ましい。
増感色素の含有量は、重合性組成物の全固形分100質量部に対し、好ましくは0.05〜30質量部、更に好ましくは0.1〜20質量部、特に好ましくは0.2〜10質量部である。
(C)重合性化合物
本発明における重合性組成物に用いる(C)重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物などの化学的形態をもつ。
モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシ基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類あるいはエポキシ類との付加反応物、及び単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲノ基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。これらは、特表2006−508380号公報、特開2002−287344号公報、特開2008−256850号公報、特開2001−342222号公報、特開平9−179296号公報、特開平9−179297号公報、特開平9−179298号公報、特開2004−294935号公報、特開2006−243493号公報、特開2002−275129号公報、特開2003−64130号公報、特開2003−280187号公報、特開平10−333321号公報、を含む参照文献に記載されている。
多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキシド(EO)変性トリアクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。また、多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
また、イソシアネートとヒドロキシ基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(V)で示されるヒドロキシ基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R4)COOCH2CH(R5)OH (V)
(ただし、R4及びR5は、それぞれ独立に、H又はCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報、特開2003−344997号公報、特開2006−65210号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報、特開2000−250211号公報、特開2007−94138号公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類や、米国特許第7153632号明細書、特表平8−505958号公報、特開2007−293221号公報、特開2007−293223号公報記載の親水基を有するウレタン化合物類も好適である。
これらの重合性化合物の構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な重合性組成物の用途等にあわせて任意に設定できる。上記の重合性化合物は、重合性組成物の全固形分に対して、好ましくは5〜75質量%、更に好ましくは10〜70質量%、特に好ましくは15〜60質量%の範囲で使用される。
(D)バインダーポリマー
本発明における重合性組成物のうち、平版印刷版原版に用いる重合性組成物には、現像方法に応じたバインダーポリマーを用いることが好ましい。
(D1)アルカリ現像用バインダーポリマー
バインダーポリマーの化学構造は、特に限定されないが、アルカリ性処理液への溶解性、すなわち現像性の観点から酸基を有する有機高分子が好ましく、特にカルボン酸又はその塩を含有する有機高分子がより好ましい。
アルカリ現像型平版印刷版原版用の重合性組成物に用いることができるバインダーポリマーとしては、カルボン酸含有のアルカリ水可溶又は膨潤性の有機高分子が例示できる。この様な有機高分子としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば、特公昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が有用である。バインダーポリマーとして、カルボン酸(塩)基を含有する(メタ)アクリル酸エステルに由来するモノマー単位を含む共重合体が好ましい。
また、側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体、ヒドロキシ基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなども有用である。更に、特公平7−120040号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特開平11−352691号の各公報に記載のポリウレタン樹脂もアルカリ水可溶又は膨潤性バインダーとして有用である。本発明に使用できるバインダーポリマーとして、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、又は、ウレタン樹脂が好ましく用いられる。
アルカリ現像用バインダーポリマーとして好適な材料の一例は、(a)カルボン酸基(その塩を含む。)を含有するモノマー単位及び(b)ラジカル架橋性を付与するモノマー単位を有する共重合体である。
(a)カルボン酸基を含有するモノマー単位としては、特に限定されないが、特開2002−40652号公報、特開2005−300650号公報の段落番号[0059]〜[0075]に記載の構造が好ましく用いられる。
(b)ラジカル架橋性を付与するモノマー単位としては、特に限定されないが、特開2007−248863号公報の段落番号[0041]〜[0053]に記載の構造が好ましく用いられる。
アルカリ現像用バインダーポリマーは、(a)カルボン酸基を含有するモノマー単位も、(b)ラジカル架橋性を付与するモノマー単位も含まないエチレン性不飽和化合物に由来するモノマー単位を共重合成分として有していてもよい。
このようなモノマー単位としては、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミドに由来するモノマー単位が好ましい。特に、特開2007−272134号公報の段落番号[0061]〜[0084]に記載のアミド基(メタ)アクリル酸アミドに由来するモノマー単位が好ましく用いられる。このモノマーの含有量は、総モノマー単位数を100とした場合、そのうちの5〜50単位であることが好ましく、5〜35単位であることがより好ましく、5〜25単位であることが更に好ましい。
本発明における重合性組成物には、バインダーポリマーとして、前述のモノマー単位の組み合わせを有する付加重合体以外に、側鎖に架橋性基を有するウレタン樹脂も使用することができる。ここで架橋性基とは、平版印刷版原版を露光した際に画像記録層中で起こる化学反応によりバインダーポリマーを架橋することができる基のことである。このような機能を有する基であれば特にその化学構造は限定されないが、例えば、付加重合し得る官能基としてエチレン性不飽和基が好ましい。また、特開2007−17948号公報の段落番号[0130]〜[0139]に記載された官能基が例示できる。
本発明で特に好ましく用いられる側鎖に架橋性基を有するポリウレタン樹脂は、(i)ジイソシアネート化合物、(ii)カルボキシ基を有するジオール化合物、(iii)架橋性基を有するジイソシアネート化合物、及び、必要であれば、(iv)カルボキシ基を有さないジオール化合物、(v)アミノ基を有する化合物を重付加反応させることにより得ることができる。
上記(i)、(ii)及び(iii)の化合物は、特開2007−17948号公報の段落番号[0142]〜[0167]に記載された式(4)〜(10)及び具体例が挙げられる。(iv)の化合物は、特開2007−17948号公報の段落番号[0180]〜[0225]に記載された一般式(A’)、式(a)〜(e)、式(11)〜(22)及び具体的化合物が挙げられる。(v)の化合物は特開2007−17948号公報の段落番号[0227]〜[0230]に記載された式(31)及び式(32)及び具体的化合物が挙げられる。上記のポリウレタン樹脂のほかに、特開2003−270775号公報に記載されるようなカルボキシ基を有するポリウレタンに高分子反応で架橋性基を導入して得られるポリウレタン樹脂も例示できる。
平版印刷版原版の画像記録層の現像性を維持するためには、使用されるバインダーポリマーは、適当な分子量を有することが好ましく、質量平均モル質量(Mw)が5,000〜300,000であることがより好ましく、20,000〜150,000であることが更に好ましい。
これらのバインダーポリマーは、重合性組成物中に任意な量で含有させることができるが、重合性組成物中におけるバインダーポリマーの含有量は、10〜90質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがより好ましい。
(D2)機上現像用バインダーポリマー
機上現像用バインダーポリマーとしてはアルキレンオキサイド基を有するバインダーポリマーが好ましい。
本発明の重合性組成物に用いられるアルキレンオキサイド基を有するバインダーポリマーは、ポリ(アルキレンオキサイド)部位を主鎖に有していても、側鎖に有していてもよく、ポリ(アルキレンオキサイド)を側鎖に有するグラフトポリマーでも、ポリ(アルキレンオキサイド)含有繰返し単位で構成されるブロックと、(アルキレンオキサイド)非含有繰返し単位で構成されるブロックとのブロックコポリマーでもよい。
主鎖に有する場合にはポリウレタン樹脂が好ましい。側鎖に有する場合の主鎖のポリマーとしては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂、ポリエステル樹脂、合成ゴム、天然ゴムが挙げられるが、特にアクリル樹脂が好ましい。
上記のアルキレンオキサイドとしては炭素原子数が2〜6のアルキレンオキサイドが好ましく、特にエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドが好ましい。
ポリ(アルキレンオキサイド)部位におけるアルキレンオキサイドの繰返し数は2〜120であり、2〜70の範囲が好ましく、2〜50の範囲がより好ましい。
アルキレンオキサイドの繰り返し数が120以下であれば摩耗による耐刷性、インキ受容性による耐刷性の両方が低下することがなく、好ましい。
ポリ(アルキレンオキサイド)部位は、バインダーポリマーの側鎖として、下記一般式(VI)で表される構造で含有されることが好ましい。より好ましくは、アクリル樹脂の側鎖として、下記一般式(VI)で表される構造で含有される。
Figure 2012211938
一般式(VI)中、yは2〜120を表し、2〜70の範囲が好ましく、2〜50の範囲がより好ましい。Rは水素原子又はアルキル基を表し、Rは水素原子又は有機基を表す。有機機としては、炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1, 1-ジメチルブチル基、2, 2−ジメチルブチル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基が挙げられる。
上記の中でも、Rは水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子が最も好ましい。Rは水素原子又はメチル基が最も好ましい。
上記のバインダーポリマーは、画像部の皮膜強度を向上するために、架橋性を有していてもよい。上記ポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合などの架橋性官能基を高分子の主鎖中又は側鎖中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよい。
分子の主鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、ポリ−1,4−ブタジエン、ポリ−1,4−イソプレンなどが挙げられる。
分子の側鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル又はアミドのポリマーであって、エステル又はアミドの残基(−COOR又はCONHRのR)がエチレン性不飽和結合を有するポリマーを挙げることができる。
エチレン性不飽和結合を有する残基(上記R)の例としては、−(CH2 n CR1 =CR2 3 、−(CH2 O)n CH2 CR1 =CR2 3 、−(CH2 CH2 O)n CH2 CR1 =CR2 3 、−(CH2 n NH−CO−O−CH2 CR1 =CR2 3 、−(CH2 n −O−CO−CR1 =CR2 3 及び(CH2 CH2 O)2 −X(式中、R1 〜R3 はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基を表し、R1 とR2 又はR3 とは互いに結合して環を形成してもよい。nは、1〜10の整数を表す。Xは、ジシクロペンタジエニル残基を表す。)を挙げることができる。
エステル残基の具体例としては、−CH2 CH=CH2 (特公平7−21633号公報に記載されている。)、−CH2 CH2 O−CH2 CH=CH2 、−CH2 C(CH3 )=CH2 、−CH2 CH=CH−C6 5 、−CH2 CH2 OCOCH=CH−C6 5 、−CH2 CH2 −NHCOO−CH2 CH=CH2 及びCH2 CH2 O−X(式中、Xはジシクロペンタジエニル残基を表す。)が挙げられる。
アミド残基の具体例としては、−CH2 CH=CH2 、−CH2 CH2 −Y(式中、Yはシクロヘキセン残基を表す。)、−CH2 CH2 −OCO−CH=CH2 が挙げられる。
架橋性を有するバインダーポリマーは、例えば、その架橋性官能基にフリーラジカル(重合開始ラジカル又は重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、ポリマー間で直接に又は重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。又は、ポリマー中の原子(例えば、官能性架橋基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。
バインダーポリマー中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、高分子化合物1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。この範囲で、良好な感度と良好な保存安定性が得られる。
以下に本発明に用いられる上記バインダーポリマーの具体例(1)〜(11)を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2012211938
Figure 2012211938
なお、本発明における上記バインダーポリマーは質量平均モル質量(Mw)が2000以上であることが好ましく、5000以上であるのがより好ましく、1万〜30万であるのがさらに好ましい。
本発明では必要に応じて、特開2008−195018号公報に記載のポリアクリル酸、ポリビニルアルコールなどの親水性高分子化合物を併用することができる。また、親油的な高分子化合物と親水的な高分子化合物を併用することもできる。
本発明の重合性組成物を平版印刷版原版の画像記録層に適用する場合、上記バインダーポリマーの形態は、重合性組成物中で、各素材のつなぎの機能を果たすバインダーとして存在してもよいし、微粒子の形状で存在してもよい。微粒子形状で存在する場合には、平均粒径は10〜1000nmの範囲であり、好ましくは20〜300nmの範囲であり、特に好ましくは30〜120nmの範囲である。
本発明の上記バインダーポリマーの含有量は、重合性組成物の全固形分に対して、5〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がより好ましく、10〜70質量%がさらに好ましい。
(E)重合開始剤
本発明の重合性組成物には重合性化合物を含有させることができる。(A)特定化合物の[X]が無機カチオン、重合開始能がない有機カチオン、及び有機色素カチオンの場合には、以下に述べる重合開始剤を用いることが好ましい。(A)特定化合物の[X]が重合開始能を有する場合は、別の重合開始剤は必ずしも必要ないが、(A)特定化合物と併用することができる。
本発明で用いられる重合開始剤としては、(C)重合性化合物の重合を開始、促進する化合物を示す。本発明において使用しうる重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好ましく、公知の熱重合開始剤、結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物、光重合開始剤などを使用することができる。
本発明における重合開始剤としては、例えば、(a)有機ハロゲン化物、(b)カルボニル化合物、(c)アゾ化合物、(d)有機過酸化物、(e)メタロセン化合物、(f)アジド化合物、(g)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(h)有機ホウ酸塩化合物、(i)ジスルホン化合物、(j)オキシムエステル化合物、(k)オニウム塩化合物、が挙げられる。
(a)有機ハロゲン化物としては、特開2008−195018号公報の段落番号[0022]〜[0023]に記載の化合物が好ましい。
(b)カルボニル化合物としては、特開2008−195018号公報の段落番号[0024]に記載の化合物が好ましい。
(c)アゾ化合物としては、例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物等を使用することができる。
(d)有機過酸化物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0025]に記載の化合物が好ましい。
(e)メタロセン化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0026]に記載の化合物が好ましい。
(f)アジド化合物としては、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン等の化合物を挙げることができる。
(g)ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0027]に記載の化合物が好ましい。
(h)有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0028]に記載の化合物が好ましい。
(i)ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号、特開2002−328465号の各公報に記載の化合物が挙げられる。
(j)オキシムエステル化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0028]〜[0030]に記載の化合物が好ましい。
(k)オニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)、特開平5-158230号公報に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平4−365049号公報等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号の各明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許出願公開第2008/0311520号の各明細書、特開平2−150848号、特開2008−195018号の各公報、又はJ.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)に記載のヨードニウム塩、欧州特許第370,693号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号の各明細書に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩、特開2008−195018号公報に記載のアジニウム塩等のオニウム塩等が挙げられる。
上記の中でもより好ましいものとして、オニウム塩、なかでもヨードニウム塩、スルホニウム塩及びアジニウム塩が挙げられる。以下に、これらの化合物の具体例を示すが、これに限定されない。
ヨードニウム塩の例としては、ジフェニルヨードニウム塩が好ましく、特に電子供与性基、例えばアルキル基又はアルコキシル基で置換されたジフェニルヨードニウム塩が好ましく、さらに好ましくは非対称のジフェニルヨードニウム塩が好ましい。具体例としては、ジフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−メトキシフェニル−4−(2−メチルプロピル)フェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−(2−メチルプロピル)フェニル−p−トリルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−ヘキシルオキシフェニル−2,4,6−トリメトキシフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−ヘキシルオキシフェニル−2,4−ジエトキシフェニルヨードニウム=テトラフルオロボラート、4−オクチルオキシフェニル−2,4,6−トリメトキシフェニルヨードニウム=1−ペルフルオロブタンスルホナート、4−オクチルオキシフェニル−2,4,6−トリメトキシフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム=テトラフェニルボラートが挙げられる。
スルホニウム塩の例としては、トリフェニルスルホニウム=ヘキサフルオロホスファート、トリフェニルスルホニウム=ベンゾイルホルマート、ビス(4−クロロフェニル)フェニルスルホニウム=ベンゾイルホルマート、ビス(4−クロロフェニル)−4−メチルフェニルスルホニウム=テトラフルオロボラート、トリス(4−クロロフェニル)スルホニウム=3,5−ビス(メトキシカルボニル)ベンゼンスルホナート、トリス(4−クロロフェニル)スルホニウム=ヘキサフルオロホスファートが挙げられる。
アジニウム塩の例としては、1−シクロヘキシルメチルオキシピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−シクロヘキシルオキシ−4−フェニルピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−エトキシ−4−フェニルピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−4−フェニルピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−クロロ−1−シクロヘキシルメチルオキシピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−エトキシ−4−シアノピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、3,4−ジクロロ−1−(2−エチルヘキシルオキシ)ピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−ベンジルオキシ−4−フェニルピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−フェネチルオキシ−4−フェニルピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−4−フェニルピリジニウム=p−トルエンスルホナート、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−4−フェニルピリジニウム=ペルフルオロブタンスルホナート、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−4−フェニルピリジニウム=ブロミド、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−4−フェニルピリジニウム=テトラフルオロボラートが挙げられる。
本発明における重合開始剤は、重合性組成物を構成する全固形分に対し好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは0.8〜20質量%の割合で添加することができる。この範囲で良好な感度と耐刷性が得られる。
(重合性組成物の応用)
上記重合性組成物には、目的に応じて上記以外の添加物を含有できる。そのような組成物を適当な溶剤に溶解又は分散した液を支持体などに塗布、乾燥して、重合性組成物膜を形成して、画像形成材料がつくられる。画像形成材料としては、平版印刷版原版、プリント配線基盤、カラーフィルター、フォトマスク、レーザーカラーマーキングなど、重合硬化を利用する画像形成材料が挙げられる。なかでも、平版印刷版原版の製造に好適である。以下、平版印刷版原版について説明する。
[平版印刷版原版]
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、上記重合性組成物含む画像記録層を有することを特徴とする。本発明の平版印刷版原版は、必要に応じて、支持体と画像記録層の間に下塗り層を、また、画像記録層の上に保護層を設けることができる。
以下では、平版印刷版原版の構成要素について説明する。
〔画像記録層〕
平版印刷版原版の画像記録層は現像適性や印刷適性が必要とされる。そのため、画像記録層用の重合性組成物は、上記構成成分の他にさらに、下記の疎水化前駆体やその他の成分を含むことができる。
(F)疎水化前駆体
本発明では、機上現像性を向上させるため、疎水化前駆体を用いることができる。本発明における疎水化前駆体とは、熱が加えられたときに画像記録層を疎水性に変換できる微粒子を意味する。微粒子としては、疎水性熱可塑性ポリマー微粒子、熱反応性ポリマー微粒子、重合性基を有するポリマー微粒子、疎水性化合物を内包しているマイクロカプセル、及びミクロゲル(架橋ポリマー微粒子)から選ばれる少なくともひとつであることが好ましい。なかでも、重合性基を有するポリマー微粒子及びミクロゲルが好ましい。
疎水性熱可塑性ポリマー微粒子としては、1992年1月のResearch Disclosure No.333003、特開平9−123387号公報、同9−131850号公報、同9−171249号公報、同9−171250号公報及び欧州特許第931647号明細書などに記載の疎水性熱可塑性ポリマー微粒子を好適なものとして挙げることができる。
このようなポリマー微粒子を構成するポリマーの具体例としては、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール、ポリアルキレン構造を有するアクリレート又はメタクリレートなどのモノマーのホモポリマーもしくはコポリマー又はそれらの混合物を挙げることができる。その中で、より好適なものとして、ポリスチレン、スチレン及びアクリロニトリルを含む共重合体、ポリメタクリル酸メチルを挙げることができる。
本発明に用いられる疎水性熱可塑性ポリマー微粒子の平均粒径は0.01〜2.0μmが好ましい。
本発明に用いられる熱反応性ポリマー微粒子としては、熱反応性基を有するポリマー微粒子が挙げられ、これらは、熱反応による架橋、及びその際の官能基変化により疎水化領域を形成する。
本発明に用いる熱反応性基を有するポリマー微粒子における熱反応性基としては、化学結合が形成されるならば、どのような反応を行う官能基でもよいが、重合性基であることが好ましく、その例として、ラジカル重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基など)、カチオン重合性基(例えば、ビニル基、ビニルオキシ基、エポキシ基、オキセタニル基など)、付加反応を行うイソシアナト基又はそのブロック体、エポキシ基、ビニルオキシ基及びこれらの反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基など)、縮合反応を行うカルボキシ基及び反応相手であるヒドロキシ基又はアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物及び反応相手であるアミノ基又はヒドロキシ基などを好適なものとして挙げることができる。
本発明で用いられるマイクロカプセルとしては、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく、画像記録層の構成成分の全て又は一部をマイクロカプセルに内包させたものである。なお、画像記録層の構成成分は、マイクロカプセル外にも含有させることもできる。さらに、マイクロカプセルを含有する画像記録層は、疎水性の構成成分をマイクロカプセルに内包し、親水性の構成成分をマイクロカプセル外に含有することが好ましい態様である。
本発明においては、架橋樹脂粒子、すなわちミクロゲルを含有する態様であってもよい。このミクロゲルは、その中又は表面の少なくとも一方に、画像記録層の構成成分の一部を含有することができ、特に、ラジカル重合性基をその表面に有することによって反応性ミクロゲルとした態様が、画像形成感度や耐刷性の観点から特に好ましい。
画像記録層の構成成分をマイクロカプセル化、もしくはミクロゲル化する方法としては、公知の方法が適用できる。
上記のマイクロカプセルやミクロゲルの平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましい。0.05〜2.0μmがさらに好ましく、0.10〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
疎水化前駆体の含有量としては、画像記録層全固形分の5〜90質量%の範囲であることが好ましい。
(G)その他の成分
本発明における画像記録層には、必要に応じて、さらに他の成分を含有することができる。
(1)低分子親水性化合物
本発明における画像記録層は、耐刷性を低下させることなく機上現像性を向上させるために、低分子親水性化合物を含有してもよい。
低分子親水性化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類及びそのエーテル又はエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のポリオール類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等の有機アミン類及びその塩、アルキルスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類及びその塩、アルキルスルファミン酸等の有機スルファミン酸類及びその塩、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸等の有機硫酸類及びその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類及びその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類及びその塩、ベタイン類、等が挙げられる。
本発明においてはこれらの中でも、ポリオール類、有機硫酸塩類、有機スルホン酸塩類、ベタイン類の群から選ばれる少なくとも一つを含有させることが好ましい。
有機スルホン酸塩の具体的な化合物としては、n−ブチルスルホン酸ナトリウム、n−ヘキシルスルホン酸ナトリウム、2−エチルヘキシルスルホン酸ナトリウム、シクロヘキシルスルホン酸ナトリウム、n−オクチルスルホン酸ナトリウムなどのアルキルスルホン酸塩;5,8,11−トリオキサペンタデカン−1−スルホン酸ナトリウム、5,8,11−トリオキサヘプタデカン−1−スルホン酸ナトリウム、13−エチル−5,8,11−トリオキサヘプタデカン−1−スルホン酸ナトリウム、5,8,11,14−テトラオキサテトラコサン−1−スルホン酸ナトリウムなどのエチレンオキシド鎖を含むアルキルスルホン酸塩;ベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−スチレンスルホン酸ナトリウム、イソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム、1−ナフチルスルホン酸ナトリウム、4−ヒドロキシナフチルスルホン酸ナトリウム、1,5−ナフタレンジスルホン酸ジナトリウム、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸トリナトリウムなどのアリールスルホン酸塩、特開2007−276454号公報段落番号[0026]〜[0031]、特開2009−154525号公報段落番号[0020]〜[0047]に記載の化合物などが挙げられる。塩は、カリウム塩、リチウム塩でもよい。
有機硫酸塩としては、ポリエチレンオキシドのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又は複素環モノエーテルの硫酸塩が挙げられる。エチレンオキシド単位は1〜4であるのが好ましく、塩は、ナトリウム塩、カリウム塩又はリチウム塩が好ましい。これらの具体例としては、特開2007−276454号公報段落番号[0034]〜[0038]に記載の化合物が挙げられる。
ベタイン類としては、窒素原子への炭化水素置換基の炭素原子数が1〜5である化合物が好ましく、具体例としては、トリメチルアンモニウムアセタート、ジメチルプロピルアンモニウムアセタート、3−ヒドロキシ−4−トリメチルアンモニオブチラート、4−(1−ピリジニオ)ブチラート、1−ヒドロキシエチル−1−イミダゾリオアセタート、トリメチルアンモニウムメタンスルホナート、ジメチルプロピルアンモニウムメタンスルホナート、3−トリメチルアンモニオ−1−プロパンスルホナート、3−(1−ピリジニオ)−1−プロパンスルホナートなどが挙げられる。
上記の低分子親水性化合物は、疎水性部分の構造が小さくて界面活性作用がほとんどないため、湿し水が画像記録層露光部(画像部)へ浸透して画像部の疎水性や皮膜強度を低下させることがなく、画像記録層のインキ受容性や耐刷性を良好に維持できる。
これら低分子親水性化合物の画像記録層への添加量は、画像記録層全固形分量の0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。より好ましくは1質量%以上15質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以上10質量%以下である。この範囲で良好な機上現像性と耐刷性が得られる。
これらの化合物は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(2)感脂化剤
本発明の画像記録層には、着肉性を向上させるために、画像記録層にホスホニウム化合物、含窒素低分子化合物、アンモニウム基含有ポリマーなどの感脂化剤を用いることができる。特に、保護層に無機質の層状化合物を含有させる場合、これらの化合物は、無機質の層状化合物の表面被覆剤として機能し、無機質の層状化合物による印刷途中の着肉性低下を防止する。
好適なホスホニウム化合物としては、特開2006−297907号公報及び特開2007−50660号公報に記載のホスホニウム化合物を挙げることができる。具体例としては、テトラブチルホスホニウムヨージド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、1,4−ビス(トリフェニルホスホニオ)ブタン=ジ(ヘキサフルオロホスファート)、1,7−ビス(トリフェニルホスホニオ)ヘプタン=スルファート、1,9−ビス(トリフェニルホスホニオ)ノナン=ナフタレン−2,7−ジスルホナートなどが挙げられる。
上記含窒素低分子化合物としては、アミン塩類、第4級アンモニウム塩類が挙げられる。またイミダゾリニウム塩類、ベンゾイミダゾリニウム塩類、ピリジニウム塩類、キノリニウム塩類も挙げられる。なかでも、第4級アンモニウム塩類、及びピリジニウム塩類が好ましい。具体例としては、テトラメチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、テトラブチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ドデシルトリメチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート、ベンジルトリエチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ベンジルジメチルオクチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、特開2008−284858号公報段落番号[0021]〜[0037]、特開2009−90645号公報段落番号[0030]〜[0057]に記載の化合物などが挙げられる。
上記アンモニウム基含有ポリマーとしては、その構造中にアンモニウム基を有すれば如何なるものでもよいが、側鎖にアンモニウム基を有する(メタ)アクリレートを共重合成分として5〜80モル%含有するポリマーが好ましい。具体例としては、特開2009−208458号公報段落番号[0089]〜[0105]に記載のポリマーが挙げられる。
上記アンモニウム塩含有ポリマーは、特開2009−208458号公報記載の測定方法で求められる還元比粘度(単位:ml/g)の値で、5〜120の範囲のものが好ましく、10〜110の範囲のものがより好ましく、15〜100の範囲のものが特に好ましい。上記還元比粘度を質量平均モル質量(Mw)に換算すると、10000〜150000が好ましく、17000〜140000がより好ましく、20000〜130000が特に好ましい。
以下に、アンモニウム基含有ポリマーの具体例を示す。
(1)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=p−トルエンスルホナート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比10/90 Mw4.5万)
(2)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80 Mw6.0万)
(3)2−(エチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=p−トルエンスルホナート/ヘキシルメタクリレート共重合体(モル比30/70 Mw4.5万)
(4)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/2−エチルヘキシルメタクリレート共重合体(モル比20/80 Mw6.0万)
(5)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=メチルスルファート/ヘキシルメタクリレート共重合体(モル比40/60 Mw7.0万)
(6)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比 25/75 Mw6.5万)
(7)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルアクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80 Mw6.5万)
(8)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=13−エチル−5,8,11−トリオキサ−1−ヘプタデカンスルホナート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80 Mw7.5万)
(9)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート/2−ヒドロキシ−3−メタクロイルオキシプロピルメタクリレート共重合体(モル比15/80/5 Mw6.5万)
上記感脂化剤の含有量は、画像記録層の全固形分に対して0.01〜30.0質量%が好ましく、0.1〜15.0質量%がより好ましく、1〜10質量%がさらに好ましい。
(3)その他
さらにその他の成分として、界面活性剤、着色剤、焼き出し剤、重合禁止剤、高級脂肪酸誘導体、可塑剤、無機微粒子、無機質層状化合物、及び共増感剤もしくは連鎖移動剤などを添加することができる。具体的には、特開2008−284817号公報の段落番号[0114]〜[0159]、特開2006−091479号公報の段落番号[0023]〜[0027]、米国特許公開2008/0311520号明細書段落番号[0060]に記載の化合物及び添加量が好ましい。
(画像記録層の形成)
本発明における画像記録層は、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0142]〜[0143]に記載のように、必要な上記各成分を公知の溶剤に分散又は溶解して塗布液を調製し、これを支持体上にバーコーター塗布など公知の方法で塗布し、乾燥することで形成される。塗布、乾燥後に得られる支持体上の画像記録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.3〜3.0g/mが好ましい。この範囲で、良好な感度と画像記録層の良好な皮膜特性が得られる。
〔下塗り層〕
本発明の平版印刷版原版は、画像記録層と支持体との間に下塗り層(中間層と呼ばれることもある)を設けることが好ましい。下塗り層は、露光部においては支持体と画像記録層との密着を強化し、未露光部においては画像記録層の支持体からのはく離を生じやすくさせるため、耐刷性を損なわず現像性を向上させるのに寄与する。また、赤外線レーザー露光の場合は、下塗り層が断熱層として機能することにより、露光により発生した熱が支持体に拡散して感度が低下するのを防ぐ。
下塗り層に用いる化合物としては、支持体表面に吸着可能な吸着性基、及び画像記録層と密着性を向上させるために架橋性基を有するものが好ましい。さらに、スルホ基などの親水性付与基を有する化合物も好適な化合物として挙げることができる。これらの化合物は、低分子でも高分子ポリマーであってもよい。また、これらの化合物は必要に応じて2種以上を混合して使用してもよい。
高分子ポリマーである場合は、吸着性基を有するモノマー、親水性基を有するモノマー、及び架橋性基を有するモノマーの共重合体が好ましい。支持体表面に吸着可能な吸着性基としては、フェノール性ヒドロキシ基、カルボキシ基、−PO32、−OPO32、−CONHSO2−、−SO2NHSO2−、−COCH2COCH3が好ましい。親水基としては、スルホ基が好ましい。架橋性基としてはメタクリル基、アリル基などが好ましい。
この高分子ポリマーは、高分子ポリマーの極性置換基と、対荷電を有する置換基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物との塩形成で導入された架橋性基を有してもよいし、上記以外のモノマー、好ましくは親水性モノマーがさらに共重合されていてもよい。
具体的には、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物が好適に挙げられる。特開2005-238816号、特開2005−125749号、特開2006−239867号、特開2006−215263号の各公報記載の架橋性基(好ましくは、エチレン性不飽和結合基)、支持体表面に相互作用する官能基、及び親水性基を有する低分子又は高分子化合物を含有するものも好ましく用いられる。
より好ましいものとして、特開2005−125749号及び特開2006−188038号公報に記載の支持体表面に吸着可能な吸着性基、親水性基、及び架橋性基を有する高分子ポリマーが挙げられる。
下塗り層用高分子樹脂中の不飽和二重結合の含有量は、高分子ポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、最も好ましくは0.2〜5.5mmolである。
下塗り層用の高分子ポリマーは、質量平均モル質量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましい。
本発明の下塗り層は、上記下塗り層用化合物の他に、経時における汚れ防止のため、キレート剤、第2級又は第3級アミン、重合禁止剤、アミノ基又は重合禁止能を有する官能基とアルミニウム支持体表面と相互作用する基とを有する化合物等(例えば、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、2,3,5,6−テトラヒドロキシ−p−キノン、クロラニル、スルホフタル酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸など)を含有することができる。
下塗り層は、公知の方法で塗布される。下塗り層の塗布量(固形分)は、0.1〜100mg/m2であるのが好ましく、1〜30mg/m2であるのがより好ましい。
(保護層)
本発明の平版印刷版原版は、画像記録層の上に保護層(オーバーコート層)を設けることが好ましい。保護層は酸素遮断によって画像形成阻害反応を抑制する機能の他、画像記録層における傷の発生防止、及び高照度レーザー露光時のアブレーション防止の機能を有する。
このような特性の保護層については、例えば、米国特許第3,458,311号明細書及び特公昭55−49729号公報に記載されている。保護層に用いられる酸素低透過性のポリマーとしては、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマーのいずれをも適宜選択して使用することができ、必要に応じて2種類以上を混合して使用することもできる。具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
変性ポリビニルアルコールとしては、カルボキシ基又はスルホ基を有する酸変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。具体的には、特開2005−250216号公報、特開2006−259137号公報記載の変性ポリビニルアルコールが好適に挙げられる。
また、保護層には酸素遮断性を高めるため、特開2005−119273号公報に記載のように天然雲母、合成雲母等の無機質の層状化合物を含有することが好ましい。
また、保護層には、可撓性付与のための可塑剤、塗布性を向上させための界面活性剤、表面の滑り性を制御する無機微粒子など公知の添加物を含むことができる。また、画像記録層の説明に記載した感脂化剤を保護層に含有させることもできる。
保護層は、公知の方法で塗布される。保護層の塗布量としては、乾燥後の塗布量で、0.01〜10g/mの範囲であることが好ましく、0.02〜3g/mの範囲がより好ましく、最も好ましくは0.02〜1g/mの範囲である。
〔支持体〕
本発明の平版印刷版原版に用いられる支持体としては、公知の支持体が用いられる。なかでも、公知の方法で粗面化処理され、陽極酸化処理されたアルミニウム板が好ましい。
また、上記アルミニウム板は必要に応じて、特開2001−253181号公報や特開2001−322365号公報に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理や封孔処理、及び米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号及び同第3,902,734号の各明細書に記載されているようなアルカリ金属シリケートあるいは米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号及び同第4,689,272号の各明細書に記載されているようなポリビニルホスホン酸などによる表面親水化処理を適宜選択して行うことができる。
支持体は、中心線平均粗さが0.10〜1.2μmであるのが好ましい。
本発明の支持体には必要に応じて、裏面に、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平6−35174号公報に記載されているケイ素のアルコキシ化合物を含むバックコート層を設けることができる。
[製版方法]
本発明の平版印刷版の製版方法は、少なくとも平版印刷版原版を画像露光する工程(以下、「露光工程」ともいう。)、及び、処理液により現像処理する工程(以下、「現像工程」ともいう。)を含む方法であることが好ましい。
<露光工程>
本発明に用いられる平版印刷版原版は、デジタルデータを可視光レーザー、赤外線レーザーなどのレーザーにより走査露光する方法、画像が記録された透明原画を通してハロゲンランプ、高圧水銀灯などの光源により露光する方法により画像記録することができるが、可視光レーザー、赤外線レーザーなどのレーザーにより走査露光する方法が好ましい。
望ましい光源の波長は、300nmから450nm又は750nmから1400nmの波長が好ましく用いられる。300nmから450nmの場合は、この領域に吸収極大を有する増感色素を画像記録層に有する平版印刷版原版が用いられ、750nmから1400nmの場合は、この領域に吸収を有する増感色素である赤外線吸収剤を含有する平版印刷版原版が用いられる。300nmから450nmの光源としては、半導体レーザーが好適である。750nmから1400nmの光源としては、赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーが好適である。露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等の何れでもよい。
<現像工程>
本発明に用いられる平版印刷版原版は、露光した後、水又は現像液にて現像されるか(現像液処理)、印刷機上において湿し水とインキによって現像される(機上現像)。
現像液処理としては、通常以下の工程で実施される。(1)現像液により非画像部を除去する、(2)ガム液処理を実施する、(3)乾燥工程で乾燥する。本発明に用いられる平版印刷版原版は、通常通りの工程により現像する(通常現像)こともできるが、(1)と(2)の工程を同時に行う(簡易現像)ことが好ましい。何れの現像方法においても、工程(1)の前に保護層を除去するための水洗工程を入れてもよい。工程(1)の現像は、常法に従って、0〜60℃、好ましくは15〜40℃程度の温度で、例えば、露光処理した平版印刷版原版を現像液に浸漬してブラシで擦る方法、スプレーにより現像液を吹き付けてブラシで擦る方法等により行う。
通常現像の場合は、工程(1)と工程(2)の間に余分な現像液を除去するための水洗工程を入れてもよい。また、工程(1)に用いられる現像液としては公知のアルカリ現像液を使用することが好ましい。
簡易現像の場合は、現像及びガム処理の後に、スクイズローラーを用いて余剰の現像液を除去した後、乾燥を行うことが好ましい。
簡易現像において用いられる現像液は、pHが2〜11の水溶液である。水を主成分(水を60質量%以上含有)とする水溶液が好ましく、特に、界面活性剤(アニオン系、ノニオン系、カチオン系、両性イオン系等)を含有する水溶液や、水溶性高分子化合物を含有する水溶液が好ましい。界面活性剤と水溶性高分子化合物の両方を含有する水溶液も好ましい。該現像液のpHは、より好ましくは5〜10.7、さらに好ましくは6〜10.5、最も好ましくは7.5〜10.3である。
簡易現像の現像液に用いられるアニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルジフェニルエーテル(ジ)スルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルアルキルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチルアルキル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。これらの中でも、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルジフェニルエーテル(ジ)スルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
簡易現像の現像液に用いられるカチオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、アルキルイミダゾリニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
簡易現像の現像液に用いられるノニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリエチレングリコール型の高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、アルキルナフトールエチレンオキサイド付加物、フェノールエチレンオキサイド付加物、ナフトールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー等や、多価アルコール型のグリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。この中でも、芳香環とエチレンオキサイド鎖を有するものが好ましく、アルキル置換又は無置換のフェノールエチレンオキサイド付加物又は、アルキル置換又は無置換のナフトールエチレンオキサイド付加物がより好ましい。
簡易現像の現像液に用いられる両性イオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、アルキルジメチルアミンオキシドなどのアミンオキシド系、アルキルベタインなどのベタイン系、アルキルアミノ脂肪酸ナトリウムなどのアミノ酸系が挙げられる。特に、置換基を有してもよいアルキルジメチルアミンオキシド、置換基を有してもよいアルキルカルボキシベタイン、置換基を有してもよいアルキルスルホベタインが好ましく用いられる。これらの具体例は、特開2008−203359号公報段落番号[0255]〜[0278]の式(2)で示される化合物、特開2008−276166号公報段落番号[0028]〜[0052]の式(I)、式(II)、式(VI)で示される化合物、特開2009−47927号公報段落番号[0022]〜[0029]で示される化合物等に記載されているものを用いることができる。
界面活性剤は2種以上用いてもよく、現像液中に含有する界面活性剤の比率は、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
また、簡易現像の現像液に用いられる水溶性高分子化合物としては、大豆多糖類、変性澱粉、アラビアガム、デキストリン、繊維素誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース等)及びその変性体、プルラン、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド及びアクリルアミド共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリビニルスルホン酸及びその塩、ポリスチレンスルホン酸及びその塩などが挙げられる。
上記大豆多糖類は、公知のものが使用でき、例えば市販品として商品名ソヤファイブ(不二製油(株)製)があり、各種グレードのものを使用することができる。好ましく使用できるものは、10質量%水溶液の粘度が10〜100mPa/secの範囲にあるものである。
上記変性澱粉も、公知のものが使用でき、トウモロコシ、じゃがいも、タピオカ、米、小麦等の澱粉を酸又は酵素等で1分子当たりグルコース残基数5〜30の範囲で分解し、更にアルカリ中でオキシプロピレンを付加する方法等で作ることができる。
水溶性高分子化合物は2種以上を併用することもできる。水溶性高分子化合物の現像液中における含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%である。
簡易現像に用いられる現像液には、さらにpH緩衝剤を含ませることができる。
本発明のpH緩衝剤としては、pH2〜11に緩衝作用を発揮する緩衝剤であれば何れも好適に使用することができる。本発明においては弱アルカリ性の緩衝剤が好ましく用いられ、例えば(a)炭酸イオン及び炭酸水素イオン、(b)ホウ酸イオン、(c)水溶性のアミン化合物及びそのアミン化合物のイオン、及びそれらの併用などが挙げられる。すなわち、例えば(a)炭酸イオン-炭酸水素イオンの組み合わせ、(b)ホウ酸イオン、又は(c)水溶性のアミン化合物-そのアミン化合物のイオンの組み合わせなどが、現像液においてpH緩衝作用を発揮し、現像液を長期間使用してもpHの変動を抑制でき、pHの変動による現像性低下、現像カス発生等を抑制できる。特に好ましくは、炭酸イオン及び炭酸水素イオンの組み合わせである。
炭酸イオン、炭酸水素イオンを現像液中に存在させるには、炭酸塩と炭酸水素塩を現像液に加えてもよいし、炭酸塩又は炭酸水素塩を加えた後にpHを調整することで、炭酸イオンと炭酸水素イオンを発生させてもよい。炭酸塩及び炭酸水素塩は、特に限定されないが、アルカリ金属塩であることが好ましい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、ナトリウムが特に好ましい。これらは単独でも、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
pH緩衝剤として(a)炭酸イオンと炭酸水素イオンの組み合わせを採用するとき、炭酸イオン及び炭酸水素イオンの総量は、水溶液の全質量に対して0.05〜5mol/Lが好ましく、0.1〜2mol/Lがより好ましく、0.2〜1mol/Lが特に好ましい。
また、簡易現像に用いられる現像液には、有機溶剤を含有してもよい。含有可能な有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、”アイソパーE、H、G”(エッソ化学(株)製)あるいはガソリン、灯油等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、あるいはハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、トリクレン、モノクロルベンゼン等)や、極性溶剤が挙げられる。極性溶剤としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、1−デカノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、メチルフェニルカルビノール、n−アミルアルコール、メチルアミルアルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、エチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、乳酸メチル、乳酸ブチル、エチレングリコールモノブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアセテート、ジエチルフタレート、レブリン酸ブチル等)、その他(トリエチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、等)等が挙げられる。これらの有機溶剤は、2種以上を併用することもできる。
また、上記有機溶剤が水に不溶な場合は、界面活性剤等を用いて水に可溶化して使用することも可能であり、現像液に、有機溶剤を含有する場合は、安全性、引火性の観点から、溶剤の濃度は40質量%未満が望ましい。
本発明の現像液には上記の他に、防腐剤、キレート化合物、消泡剤、有機酸、無機酸、無機塩などを含有することができる。具体的には、特開2007−206217号公報段落番号[0266]〜[0270]に記載の化合物を好ましく用いることができる。
上記の現像液は、露光されたネガ型平版印刷版原版の現像液及び現像補充液として用いることができ、後述の自動現像処理機(以下、自動処理機とも称する)に適用することが好ましい。自動処理機を用いて現像する場合、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液又は新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。
本発明におけるpH2〜11の水溶液による現像処理は、現像液の供給手段及び擦り部材を備えた自動処理機により好適に実施することができる。擦り部材として、回転ブラシロールを用いる自動処理機が特に好ましい。さらに自動処理機は現像処理手段の後に、スクイズローラー等の余剰の現像液を除去する手段や、温風装置等の乾燥手段を備えていることが好ましい。
その他、本発明の平版印刷版原版からの平版印刷版の製版プロセスとしては、必要に応じ、露光前、露光中、露光から現像までの間に、全面を加熱してもよい。この様な加熱により、該画像記録層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上や感度の安定化といった利点が生じ得る。さらに、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱もしくは全面露光を行う事も有効である。通常現像前の加熱は150℃以下の穏和な条件で行う事が好ましい。温度が高すぎると、未露光部が硬化してしまう等の問題を生じる。現像後の加熱には非常に強い条件を利用する。通常は100〜500℃の範囲である。温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じる。
本発明の平版印刷版原版は、機上現像方法で製版することもできる。機上現像方法は、平版印刷版原版を画像露光する工程と、露光後の平版印刷版原版になんらの現像処理を施すことなく、油性インキと水性成分とを供給して、印刷する印刷工程とを有し、該印刷工程の途上において平版印刷版原版の未露光部分が除去されることを特徴とする。画像様の露光は平版印刷版原版を印刷機に装着した後、印刷機上で行ってもよいし、プレートセッターなどで別途行ってもよい。後者の場合は、露光済み平版印刷版原版は現像処理工程を経ないでそのまま印刷機に装着される。その後、該印刷機を用い、油性インキと水性成分とを供給してそのまま印刷することにより、印刷途上の初期の段階で機上現像処理、すなわち、未露光領域の画像記録層が除去され、それに伴って親水性支持体表面が露出され非画像部が形成される。油性インキ及び水性成分としては、通常の平版印刷用の印刷インキと湿し水が用いられる。
ここで、最初に版面に供給されるのは、湿し水でもよく、印刷インキでもよいが、湿し水が除去された画像記録層成分によって汚染されることを防止する点で、最初に印刷インキを供給するのが好ましい。
このようにして、本発明の平版印刷版原版はオフセット印刷機上で機上現像され、そのまま多数枚の印刷に用いられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、高分子化合物において、特別に規定したもの以外は、分子量は質量平均モル質量(Mw)であり、繰り返し単位の比率はモル百分率である。
[実施例1〜34及び比較例1〜5] 重合性組成物膜
(1)重合性組成物膜の作製
下記の重合性組成物溶液を調製し、厚さ0.18mmのポリエステルフィルム上に乾燥塗布量が1.0g/mになるようにバー塗布した後、100℃60秒でオーブン乾燥して、重合性組成物膜A−1〜A−34(実施例1〜34用)及びA'−1〜A'−5(比較例1〜5用)を作製した。
<重合性組成物溶液>
・バインダーポリマー(1)〔下記構造〕 0.636g
・赤外線吸収剤(1)〔下記構造〕 表5に記載の量
・特定化合物(表5に記載の化合物) 0.162g
・重合開始剤(1) 〔下記構造〕 表5に記載の量
・エチレン性不飽和基を有するモノマー
トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート
(NKエステルA−9300、新中村化学(株)製) 0.192g
・フッ素系界面活性剤(1)〔下記構造〕 0.008g
・2−ブタノン 1.091g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.609g
上記の、バインダーポリマー(1)、赤外線吸収剤(1)、重合開始剤(1)、及びフッ素系界面活性剤(1)の構造は以下に示す通りである。
Figure 2012211938
(2)重合性組成物膜の感度及び経時感度変動の評価
作製された重合性組成物膜を水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力11.7W、外面ドラム回転数250rpm、解像度2400dpiの条件で露光した。タックフリーの硬化膜ができる最小露光量からそれぞれの露光条件での感度をmJ/cm単位で算出し、それらの逆数を感度の指標とした。なお、評価結果は、比較例1で得られた重合性組成物膜(A'-1)の感度を100とし、他の重合性組成物膜の感度はその相対評価とした。値が大きいほど、感度が優れていることになる。
経時感度変動を評価するため、得られた重合性組成物膜を60℃で24時間保管後、上記と同様にして感度を、保管前の重合性組成物膜(A'-1)の感度を100とする相対評価値で求めた。この感度の保管前と保管後の差を経時感度変動とした。数値が小さいほど保存安定性に優れることを表す。
Figure 2012211938
Figure 2012211938
上記の結果から、本発明の特定化合物を含む組成物膜は、高感度で経時安定性にも優れていることが明らかである。なかでも、電子吸引性基で置換されたフェニル基をホウ素原子上に有する特定化合物の場合(実施例13〜34)に効果が顕著であることが分かる。
[実施例35〜57及び比較例6〜9] 平版印刷版原版(その1)
<支持体1の作製>
厚さ0.30mm、幅1030mmのJIS A 1050アルミニウム板に、表面処理として以下の(a)〜(f)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理及び水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
(a)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃でエッチング処理を行い、アルミニウム板を5g/m2溶解した。その後水洗を行った。
(b)温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後水洗した。
(c)60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。この時の電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%、アンモニウムイオン0.007質量%含む)、温度30℃であった。交流電源は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが2msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で250C/cm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後水洗を行った。
(d)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を35℃で行い、アルミニウム板を0.2g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分の除去と、生成したピットのエッジ部分を溶解し、エッジ部分を滑らかにした。その後水洗した。
(e)温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後スプレーによる水洗を行った。
(f)硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、温度33℃、電流密度が5(A/dm2)で、50秒間陽極酸化処理を行った。その後水洗を行った。この時の陽極酸化皮膜質量が2.7g/m2であった。
このようにして得られたアルミニウム支持体1の表面粗さRaは0.27(測定機器;東京精密(株)製サーフコム、蝕針先端径2ミクロンメーター)であった。
<下塗り層の形成>
次に、上記支持体1を、4g/Lのポリビニルホスホン酸を含有する40℃の水溶液に10秒間浸漬し、20℃の水道水で2秒間洗浄し、乾燥することで、下塗り層を塗布したアルミニウム支持体を作製した。
<画像記録層の形成>
下記画像記録層塗布液(1)を調製し、上記の下塗り層を塗布したアルミニウム支持体にワイヤーバーを用いて塗布した。乾燥は、温風式乾燥装置にて115℃で34秒間行い、平版印刷版原版B−1〜B−23(実施例35〜57用)及びB'−1〜B'−4(比較例6〜9用)を得た。乾燥後の被覆量は1.6g/mであった。
−画像記録層塗布液(1)−
・重合性化合物(化合物A:下記構造) 1.00g
・バインダーポリマー(バインダーA) 0.50g
・増感色素(下記構造) 0.08g
・特定化合物(表6に記載の化合物) 0.15g
・重合開始剤(下記構造) 表6に記載の量
・連鎖移動剤(下記構造) 表6に記載の量
・N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩 0.005g
・ε―フタロシアニン顔料分散物 0.18g
(顔料:15質量部、分散剤 下記ポリマー(1):10質量部、
溶剤: シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ
−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・フッ素系ノニオン界面活性剤 0.004g
(メガファックF780、DIC(株)製)
・メチルエチルケトン 12g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 12g
なお、重合性化合物(化合物A)、バインダーポリマー(バインダーA)、ポリマー(1)、重合開始剤、増感色素、及び、連鎖移動剤の構造を以下に示す。
Figure 2012211938
<平版印刷版原版の評価>
(1)感度及び経時感度変動
作製された平版印刷版原版を、FUJIFILM Electronic Imaging Ltd製Violet半導体レーザーVx9600(InGaN系半導体レーザー405nm±10nm)にて、解像度2483dpi、露光パターンは50%のスクエアドットを使用し、出力を変化させて露光した。なお、露光は25℃、50%RHの条件下で行った。
露光した各平版印刷版原版を下記組成の現像液に25℃、15秒間浸漬し、現像を行い、画像ができるその最小露光量からそれぞれの露光条件での感度をmJ/cm単位で算出し、それらの逆数を感度の指標とした。なお、評価結果は、比較例6で得られた平版印刷版原版(B'-1)の感度を100とし、他の平版印刷版原版の感度はその相対評価とした。値が大きいほど、感度が優れていることになる。
経時感度変動を評価するため、作製後60℃で24時間保管した平版印刷版原版について、上記と同様にして感度を、保管前の平版印刷版原版(B'-1)の感度を100とする相対評価値で求めた。この感度の保管前と保管後の差を経時感度変動とした。数値が小さいほど保存安定性に優れることを表す。
−現像液組成−
・炭酸ナトリウム 130g
・炭酸水素ナトリウム 70g
・ニューコールB13(日本乳化剤(株)製界面活性剤) 500g
・アラビアガム(水溶性高分子) 250g
・ヒドロキシアルキル化澱粉 700g
(水溶性高分子、日澱化学製、ペノンJE66)
・リン酸第一アンモニウム 20g
・2−ブロモ−2−ニトリプロパン−1,3−ジオール 0.1g
・2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.1g
・水 9139.8g
(2)耐刷性の評価
作製された平版印刷版原版を、FUJIFILM Electronic Imaging Ltd製Violet半導体レーザーVx9600(InGaN系半導体レーザー405nm±10nm)にて、解像度2483dpi、露光パターンは50%のスクエアドットを使用し、出力30mW、版面エネルギー90μJ/cmで露光した後、上記感度評価の現像工程と同じ方法で現像した。そして、得られた平版印刷版を(株)小森コーポレーション製印刷機リスロンを用いて、1万枚印刷する毎に、富士フイルム(株)社製マルチクリーナーにより版材の表面からインキを拭き取る作業を繰り返しつつ印刷を行い、刷了枚数を耐刷性の指標とした。このとき、充分なインキ濃度を保って印刷できなくなったところを刷了とした。なお、評価結果は比較例6で得られた平版印刷版の刷了枚数を100とし、他の平版印刷版の刷了枚数はその相対評価とした。値が大きいほど、耐刷性に優れていることを意味する。
Figure 2012211938
上記の結果から、本発明の特定化合物を含む平版印刷版原版は、高感度で経時安定性にも優れていることが明らかである。なかでも、電子吸引性基で置換されたフェニル基をホウ素原子上に有する特定化合物の場合(実施例43〜57)に効果が顕著であることが分かる。
[実施例58〜91及び比較例10〜14](平版印刷版原版その2)
〔I〕平版印刷版原版C−1〜C−34(実施例58〜91用)及びC'−1〜C'−5(比較例10〜14用)の作製
<下塗り層の形成>
前記アルミニウム支持体1に下記下塗り層用塗布液(1)をワイヤーバーにて塗布し、90℃30秒間乾燥した。塗布量は10mg/mであった。
― 下塗り層用塗布液(1)―
・下記構造の高分子化合物A(Mw:10,000) 0.05g
・メタノール 27 g
・イオン交換水 3 g
Figure 2012211938
<画像記録層の形成>
次に、下記画像記録層塗布液(2)を調製し、上記の支持体にワイヤーバーを用いて塗布し、画像記録層を形成した。乾燥は、温風式乾燥装置にて115℃ で34秒間行った。乾燥後の画像記録層被覆量は1.4g/m であった。
<画像記録層塗布液(2)>
・赤外線吸収剤(1)〔前記〕 表7に記載の量
・特定化合物(表7に記載の化合物) 0.30g
・重合開始剤(1)〔前記〕 表7に記載の量
・ペンタエリスリトールトリアクリレート ヘキサメチレンジイソシアネート
ウレタンプレポリマー UA−306H 共栄社化学社製)〕1.33g
・バインダーポリマー(2)〔下記構造〕 1.35g
・エチルバイオレット 0.04g
・フッ素系界面活性剤 0.025g
(メガファックF−780−F DIC(株)、
メチルイソブチルケトン(MIBK)30質量%溶液)
・メチルエチルケトン 18.4g
・メタノール 9.83g
・1−メトキシ−2−プロパノール 18.4g
Figure 2012211938
<保護層の形成>
上記画像記録層表面に、合成雲母(ソマシフME−100、8質量%水分散液、コープケミカル(株)製)、ポリビニルアルコール(ゴーセランCKS−50:けん化度99モル%、重合度300、スルホン酸変性ポリビニルアルコール 日本合成化学工業(株)製)及び界面活性剤(日本エマルジョン(株)製、エマレックス710)の混合水溶液(保護層塗布液(1))をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃で75秒間乾燥させた。
この保護層塗布液(1)中の合成雲母( 固形分)/ポリビニルアルコール/界面活性剤の含有量割合は、16/82/2(質量%)であり、塗布量は(乾燥後の被覆量)は1.6g/mであった。
上記のように保護層を形成して平版印刷版原版C−1〜C−34及びC'−1〜C'−5を得た。
〔II〕平版印刷版原版C―35〜C−37(実施例92〜94用)の作製
平版印刷版原版C−1の場合と同じ下塗り層を有する支持体に、下記の画像記録層塗布液(3)をバー塗布した後、82℃、90秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.2g/mの画像記録層を作製し、平版印刷版原版C35〜C37を得た。
<画像記録層塗布液(3)>
・ポリマー(B)〔下記合成法〕 0.9g
・Hybridur580(Air Products and Chemicals社製) 1.2g
・エチレン性不飽和基を有するモノマー 1.35g
SR−399(サートマー社製)
・NK Ester A−DPH(Kowa American社製) 1.35g
・CD 9053 (サートマー社製) 0.25g
・特定化合物(表7に記載の化合物) 0.5g
・重合開始剤(2)[下記に示す化合物] 表7記載の量
・FluorN 2900(Cytonix 社製) 0.05g
・ピグメント1 0.4g
・赤外線吸収剤(2) 表7記載の量
・1−メトキシ−2−プロパノール 50.0g
・γ−ブチロラクトン 15.0g
・2−ブタノン 60.0g
・水 15.0g
なお、上記組成中の商品名などで記載の化合物は下記の通りである。
・Hybridur580:ポリウレタンアクリルハイブリッド分散液
・SR−399:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
・NK Ester A−DPH:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・CD 9053:三官能性酸エステル
・FluorN 2900:パーフルオロポリエーテルポリエチレングリコール(550)ブロックポリマー
・赤外線吸収剤(2):2-[2-[3-[2-(1,3-Dihydro-1,3,3-trimethyl-2H-indol-2-ylidene)-ethylidene]-2-(1-phenyl-1H-tetrazol-5-ylsulfanyl)-1-cyclohexen-1-yl]-ethenyl]-1,3,3-tri- methyl-3H-indolium chloride(FEW Chemicals 社製)
・ピグメント1: 固形分23質量%、溶剤1-メトキシ-2-プロパノールの顔料分散液
〔固形分の組成: Irgalith Blue GLVO (銅フタロシアニン C.I. Pigment Blue 15:4) 76.9質量%、ポリビニルアセタール(アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド及び4−ホルミル安息香酸によるポリビニルアルコールのアセタール化物)7.7質量%、分散助剤Disperbyk.RTM. 167 (Byk Chemie製)15.4質量%]
Figure 2012211938
(ポリマー(B)の合成)
1000mlの3つ口フラスコに撹拌機、温度計、滴下ロート、窒素導入管、還流冷却器を施し、窒素ガスを導入して脱酸素を行いつつ、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(1.6g)、メチルメタクリル酸(20g)、アクリロニトリル(24g)、N−ビニルカルバゾール(20g)、メタクリル酸(16g)、N,N’−ジメチルアセトアミド(320g)を加えて60℃、約16時間加熱した。
上記反応混合物に対し、水酸化カリウム(5.2g)水溶液(水、40g)をゆっくり加え、反応混合物が高粘性の液体となり、10分攪拌した後、臭化アリル(13.3g)を加え、55℃で3時間加熱した。反応混合物に対し、N,N’−ジメチルアセトアミド(40g)で薄めた濃塩酸(12g)を加え、更に3時間攪拌した。この反応溶液を、氷水(12リットル)と濃塩酸(20g)の混合物に対しゆっくり加え、しばらく攪拌した。ここで生じた沈殿物をろ過し、ます2000mLの2−プロパノールで洗浄し、次に2000mLの水により洗浄し、白色の粉が得られる。この粉は、終夜風乾させ、ついで50℃で3時間乾燥させることでポリマー(B)(80g)が得られた。
〔III〕平版印刷版原版の評価
(1)感度の評価
得られた平版印刷版原版を、合紙を挟み込まない状態で積層し、NEC社製Amizsetterにセットし、1枚づつ自動搬送した後、解像度1200dpi、外面ドラム回転数160rpm、出力0〜19Wの範囲でlogEで0.15ずつ変化させて露光した。露光は25℃50%RHの条件下で行った。露光後、加熱処理及びアルカリ現像を用い搬送速度(ライン速度)2m/分、現像温度30℃ で現像処理した。なお、現像液は富士フイルム(株)社製DH−Nの1:4水希釈液、現像補充液は富士フイルム(株)製FCT−421の1:1.4 水希釈液、フィニッシャーは富士フイル(株)製GN−2Kの1:1水希釈液を用いた。
現像して得られた平版印刷版の画像部濃度を、マクベス反射濃度計RD−918を使用し、濃度計に装備されている赤フィルターを用いてシアン濃度を測定した。測定した濃度が0.9を得るのに必要な露光量の逆数を感度の指標とした。比較例10で得られた平版印刷版原版(C’−1)の感度を100とし、他の平版印刷版原版の感度はその相対評価とした。値が大きいほど、感度が高いことになる。
(2)経時感度変動の評価
経時感度変動を評価するため、作製後60℃で24時間保管した平版印刷版原版について、上記と同様にして感度を、保管前の平版印刷版原版(C’−1)の感度を100とする相対評価値で求めた。この感度の保管前と保管後の差を経時感度変動とした。数値が小さいほど保存安定性に優れることを表す。
(3)耐刷性の評価
得られた平版印刷版原版を赤外線半導体レーザー搭載の富士フイルム(株)製Luxel PLATESETTER T−6000IIIにて、外面ドラム回転数1000rpm、レーザー出力70%、解像度2400dpiの条件で露光した。露光画像にはベタ画像及び20μmドットFMスクリーンの50%網点チャートを含むようにした。
露光された平版印刷版原版を、上記感度評価の場合と同様に、加熱処理及びアルカリ現像し、得られた平版印刷版を(株)小森コーポレーション製印刷機LITHRONE26の版胴に取り付けた。Ecolity−2(富士フイルム(株)製)/水道水=2/98(容量比)の湿し水と墨インキ スペースカラー フュージョンG(DICグラフィックス(株)製)とを用い、LITHRONE26の標準自動印刷スタート方法で、湿し水とインキとを供給して印刷を開始し、毎時10,000枚の印刷速度で、特菱アート(76.5Kg)紙に印刷を行った。約5、000枚おきにマルチクリーナE(富士フイルム(株)製プレートクリーナー)で版面を洗浄しながら、画像部のインキ濃度が低下して20μmFMスクリーンの5%網点濃度が印刷開始時より0.5%低下したときを刷了と判断し、その時の印刷枚数を耐刷枚数とした。比較例10で得られた平版印刷版原版(C’−1)の耐刷枚数を100とし、他の平版印刷版原版の耐刷はその相対評価とした。値が大きいほど、耐刷性が高いことになる。
Figure 2012211938
上記の結果から、本発明の特定化合物を含む平版印刷版原版は、高感度で経時安定性にも優れていることが明らかである。なかでも、電子吸引性基で置換されたフェニル基をホウ素原子上に有する特定化合物の場合(実施例70〜94)に効果が顕著であることが分かる。
[実施例95〜131及び比較例15〜19]
〔I〕平版印刷版原版D−1〜D−34(実施例95〜128用)及びD’−1〜D’−5(比較例15〜19用)の作製
<支持体2の作製>
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質JIS A 1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm)を用いアルミニウム表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに60℃で20質量%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/mであった。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dmであった。その後、スプレーによる水洗を行った。
続いて、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dmの条件で、硝酸電解と同様の方法で電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
次に、この板に15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dmで2.5g/mの直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥して支持体Aを作製した。
その後、非画像部の親水性を確保するため、支持体Aに2.5質量%3号ケイ酸ソーダ水溶液を用いて60℃で10秒間、シリケート処理を施し、その後、水洗して支持体2を得た。Siの付着量は10mg/mであった。この基板の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
<下塗り層の形成>
次に、上記支持体2上に、下記下塗り層塗布液(2)を乾燥塗布量が20mg/mになるよう塗布して、以下の下塗り層を有する支持体を作製した。
−下塗り層塗布液(2)−
・下記構造の下塗り層用化合物(1) 0.18g
・ヒドロキシエチルイミノ二酢酸 0.10g
・メタノール 55.24g
・水 6.15g
Figure 2012211938
<画像記録層の形成>
上記のようにして形成された下塗り層上に、下記組成の画像記録層塗布液(4)をバー塗布した後、100℃60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/mの画像記録層を形成した。
画像記録層塗布液(4)は下記感光液(1)及びミクロゲル液(1)を塗布直前に混合し攪拌することにより得た。
<感光液(1)>
・バインダーポリマー(1)〔上記構造〕 0.240g
・赤外線吸収剤(1)〔上記構造〕 表8に記載の量
・特定化合物(表8に記載の化合物) 0.162g
・重合開始剤(1)〔上記構造〕 表8に記載の量
・重合性化合物
トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート
(NKエステルA−9300、新中村化学(株)製)0.192g
・低分子親水性化合物
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート 0.062g
・低分子親水性化合物(1)〔下記構造〕 0.050g
・感脂化剤 ホスホニウム化合物(1)〔下記構造〕 0.055g
・感脂化剤
ベンジル−ジメチル−オクチルアンモニウム・PF6塩 0.018g
・感脂化剤
アンモニウム基含有ポリマー
[下記構造、還元比粘度44ml/g] 0.035g
・フッ素系界面活性剤(1)〔上記構造〕 0.008g
・2−ブタノン 1.091g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.609g
<ミクロゲル液(1)>
・ミクロゲル(1) 2.640g
・蒸留水 2.425g
上記の、低分子親水性化合物(1)、ホスホニウム化合物(1)、及びアンモニウム基含有ポリマーの構造ならびにミクロゲルの合成法は、以下に示す通りである。
Figure 2012211938
−ミクロゲル(1)の合成−
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井化学(株)製、タケネートD−110N)10g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製、SR444)3.15g、及びパイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.1gを酢酸エチル17gに溶解した。水相成分としてポリビニルアルコール((株)クラレ製PVA−205)の4質量%水溶液40gを調製した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、50℃で3時間攪拌した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、これを前記ミクロゲル(1)とした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
<保護層の形成>
上記画像記録層上に、さらに下記組成の保護層塗布液(2)をバー塗布した後、120℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.15g/mの保護層を形成して平版印刷版原版D−1〜D−34及びD'−1〜D'−5を得た
<保護層塗布液(2)>
・無機質層状化合物分散液(1) 1.5g
・ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製CKS50、スルホン酸変性、
けん化度99モル%以上、重合度300)6質量%水溶液 0.55g
・ポリビニルアルコール((株)クラレ製PVA−405、
けん化度81.5モル%、重合度500)6質量%水溶液 0.03g
・日本エマルジョン(株)製界面活性剤
(エマレックス710)1質量%水溶液 0.86g
・イオン交換水 6.0g
(無機質層状化合物分散液(1)の調製)
イオン交換水193.6gに合成雲母ソマシフME−100(コープケミカル(株)製)6.4gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)が3μmになるまで分散した。得られた分散粒子のアスペクト比は100以上であった。
〔II〕平版印刷版原版D−35〜D−37(実施例129〜131用)の作製
上記平版印刷版原版D―1に用いたのと同じ下塗り層を有する支持体に、下記の画像記録層塗布液(5)をバー塗布した後、70℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.6g/mの画像記録層を作製し、平版印刷版原版D−35〜D−37を得た。
<画像記録層塗布液(5)>
・ポリマー微粒子水分散液(1)〔下記合成法〕 20.0g
・赤外線吸収剤(3)[下記に示す化合物] 表8記載の量
・特定化合物[表8に記載] 0.5g
・Irgacure250 表8記載の量
・エチレン性不飽和基を有するモノマー 1.50g
SR−399(サートマー社製)
・メルカプト−3−トリアゾール 0.2g
・Byk336(Byk Chimie社製) 0.4g
・KlucelM(Hercules社製) 4.8g
・ELVACITE4026(Ineos Acrylica社製) 2.5g
・n−プロパノール 55.0g
・2−ブタノン 17.0g
なお、上記組成中の商品名で記載の化合物は下記の通りである。
・Irgacure250:(4−メトキシフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート(75質量%プロピレンカーボナート溶液)
・SR−399:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
・Byk 336:変性ジメチルポリシロキサン共重合体(25質量%キシレン/メトキシプロピルアセテート溶液)
・Klucel M:ヒドロキシプロピルセルロース(2質量%水溶液)
・ELVACITE4026:高分岐ポリメチルメタクリレート(10質量%2−ブタノン溶液)
Figure 2012211938
(ポリマー微粒子水分散液(1)の合成)
1000mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、滴下ロート、窒素導入管、還流冷却器を施し、窒素ガスを導入して脱酸素を行いつつ、ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA エチレングリコールの平均の繰返し単位は50)10g、蒸留水200g及びn−プロパノール200gを加えて内温が70℃となるまで加熱した。次に予め混合されたスチレン(St)10g、アクリロニトリル(AN)80g及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.8gの混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後5時間そのまま反応を続けた後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4gを添加し、内温を80℃まで上昇させた。続いて、0.5gの2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを6時間かけて添加した。合計で20時間反応させた段階でポリマー化は98%以上進行しており、質量比でPEGMA/St/AN=10/10/80のポリマー微粒子水分散液(1)が得られた。このポリマー微粒子の粒径分布は、粒子径150nmに極大値を有していた。
ここで、粒径分布は、ポリマー微粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、写真上で微粒子の粒径を総計で5000個測定し、得られた粒径測定値の最大値から0の間を対数目盛で50分割して各粒径の出現頻度をプロットして求めた。なお非球形粒子については写真上の粒子面積と同一の粒子面積を持つ球形粒子の粒径値を粒径とした。
〔III〕平版印刷版原版の評価
(1)耐刷性
得られた平版印刷版原版を赤外線半導体レーザー搭載の富士フイルム(株)製Luxel PLATESETTER T−6000IIIにて、外面ドラム回転数1000rpm、レーザー出力70%、解像度2400dpiの条件で露光した。露光画像にはベタ画像及び20μmドットFMスクリーンの50%網点チャートを含むようにした。
得られた露光済み原版を現像処理することなく、(株)小森コーポレーション製印刷機LITHRONE26の版胴に取り付けた。Ecolity−2(富士フイルム(株)製)/水道水=2/98(容量比)の湿し水と墨インキ スペースカラー フュージョンG(DICグラフィックス(株)製)とを用い、LITHRONE26の標準自動印刷スタート方法で湿し水とインキとを供給して機上現像した後、毎時10000枚の印刷速度で、特菱アート(76.5kg)紙に印刷を行った。
何れの平版印刷版原版も印刷用紙20〜30枚で保護層及び画像記録層未露光部の除去(機上現像)が完了した。
機上現像完了後、さらに印刷を続けた。印刷枚数を増やしていくと徐々に画像記録層が磨耗するため印刷物上のインキ濃度が低下した。印刷物におけるFMスクリーン50%網点の網点面積率をグレタグ濃度計で計測した値が印刷100枚目の計測値よりも5%低下したときの印刷部数を刷了枚数として耐刷性を評価した。なお、評価結果は比較例15で得られた平版印刷版の刷了枚数を100とし、他の平版印刷版の刷了枚数はその相対評価とした。値が大きいほど、耐刷性に優れていることを意味する。
(2)経時耐刷性
平版印刷版原版の作製後60℃、湿度35%の雰囲気下で3日保管した平版印刷版原版について、上記と同様にして耐刷性(経時耐刷性)を評価した。保管前の耐刷性と比べて耐刷性の低下が少ないものほど平版印刷版原版の経時安定性が高い。
Figure 2012211938
上記の結果から、本発明の特定化合物を含む平版印刷版原版は、耐刷性及び経時安定性に優れていることが明らかである。耐刷性と感度には正の相関があるため、本発明の機上現像型印刷版は感度も高いと言える。なかでも、電子吸引性基で置換されたフェニル基をホウ素原子上に有する特定化合物の場合(実施例107〜131)に効果が顕著であることが分かる。

Claims (14)

  1. (A)一般式(1)で示される化合物、(B)増感色素、及び(C)重合性化合物を含む重合性組成物。
    Figure 2012211938
    一般式(1)においてR、R及びRは、そのうちの一つ又は二つは、OR、SR又はNR10を表し、それ以外は、水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。R、R、及びRはそれぞれ独立に、アリール基又はヘテロ環基を表す。[X]は電荷を中和するカチオンを表す。R、R、R及びR10はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表し、2つのR又はRとR10で環を形成してもよい。
  2. 一般式(1)で示される化合物において、R、R及びRがアリール基又はヘテロ環基で表され、かつそれぞれ同一の構造を有し、R、R、R及びR10がアルキル基又はアリール基を表すことを特徴とする請求項1に記載の重合性組成物。
  3. 一般式(1)で示される化合物において、R、R、及びRが下記一般式(2)に示される構造を表すことを特徴とする請求項2に記載の重合性組成物。
    Figure 2012211938
    一般式(2)において、R11はアルキル基、アリール基、OR12、SR13又はNR1415、又はハロゲン原子を表し、nは0から5までの整数を表す。R12、R13、R14及びR15はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、R14とR15で環を形成してもよい。
  4. 一般式(1)で示される化合物において、[X]が重合開始能を有する有機カチオン種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合性組成物。
  5. 一般式(1)で示される化合物において、[X]が無機カチオン又は重合開始能がない有機カチオンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合性組成物。
  6. 一般式(1)で示される化合物において、[X]が増感色素である有機色素カチオンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合性組成物。
  7. 前記重合性組成物が、更にバインダーポリマーを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の重合性組成物。
  8. 支持体上に、請求項1〜7のいずれか1項に記載の重合性組成物を含有する画像記録層を有することを特徴とする平版印刷版原版。
  9. 前記画像記録層に含まれる増感色素が、赤外線吸収染料であることを特徴とする請求項8に記載の平版印刷版原版。
  10. 前記画像記録層が、疎水化前駆体を含有することを特徴とする請求項8又は9に記載の平版印刷版原版。
  11. 前記画像記録層上に、保護層を有することを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  12. 前記保護層が無機質層状化合物を含有することを特徴とする請求項11記載の平版印刷版原版。
  13. 請求項8〜12のいずれか1項に記載の平版印刷版原版を、画像様露光した後、自動現像処理機によってpHが2〜14の現像液の存在下で未露光部の画像記録層を除去することを特徴とする製版方法。
  14. 請求項8〜12のいずれか1項に記載の平版印刷版原版を、画像様露光した後、印刷機上で印刷インキ及び湿し水の少なくともいずれかを供給して未露光部の画像記録層を除去することを特徴とする製版方法。
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