JP2010232778A - 導波管型ラットレース回路 - Google Patents

導波管型ラットレース回路 Download PDF

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Abstract

【課題】 高周波領域でも好適に使用可能な導波管型ラットレース回路を提供する。
【解決手段】 環状導波管部30の管壁に4つのポートが設けられ、環状導波管部30は、誘電体層の上下面および内部に配置された上側主導体層51a,下側主導体層51b,内周管壁用貫通導体群52aおよび外周管壁用貫通導体群52bで囲まれた領域によって高周波信号を伝送する誘電体導波管線路で環状に構成されており、内周管壁用貫通導体群52aの隣接する貫通導体の重心同士を結んで得られる凸多角形41において、凸多角形41の重心42を通る直線と凸多角形41の辺との2つの交点の間の線分の長さの最小値が高周波信号の波長の1/2未満である導波管型ラットレース回路である。上側主導体層51a,下側主導体層51b,内周管壁用貫通導体群52aで囲まれた領域内に漏洩した電磁波の共振による電気特性の劣化が防止された良好な電気特性を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高周波回路で多く用いられるラットレース回路に関するものであり、特に導波管型の伝送線路を用いた導波管型ラットレース回路に関するものである。
高周波回路において移相回路や方向性結合回路として用いられるものとしてラットレース回路が知られている。ラットレース回路は、特定の長さを有する環状伝送線路の特定の位置に4つの入出力ポートを設けることによって移相回路や方向性結合回路としての機能を実現するものであり、環状伝送線路としてストリップラインやマイクロストリップラインを用いて構成したものが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2001−292012号公報
しかしながら、特許文献1にて提案されたような従来のラットレース回路は、ストリップラインやマイクロストリップラインを用いて環状伝送線路を形成していたため、高周波化に伴って環状伝送線路における伝送損失が増大し、これによってラットレース回路における損失が増大するという問題があった。
本発明はこのような従来の技術における問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、ミリ波帯以上の高周波領域でも好適に使用可能であるとともに、小型化が可能で量産性に優れた導波管型ラットレース回路を提供することにある。
本発明の導波管型ラットレース回路は、環状導波管部の管壁に4つのポートがそれぞれ所定の位置に設けられた導波管型ラットレース回路であって、前記環状導波管部は、誘電体層の上面に配置されて前記環状導波管部の上側の管壁を構成する上側主導体層と、前記誘電体層の下面に配置されて前記環状導波管部の下側の管壁を構成する下側主導体層と、高周波信号の波長の1/2未満の繰り返し間隔で前記上側主導体層および前記下側主導体層の間を電気的に接続するように配置された、前記環状導波管部の内周の管壁を構成する内周管壁用貫通導体群および前記環状導波管部の外周の管壁を構成する外周管壁用貫通導体群とを具備し、前記上側主導体層,前記下側主導体層,前記内周管壁用貫通導体群および前記外周管壁用貫通導体群で囲まれた領域によって前記高周波信号を伝送する誘電体導波管線路で環状に構成されており、俯瞰したときに、前記内周管壁用貫通導体群の隣接する貫通導体の重心同士を結んで得られる凸多角形において、該凸多角形の重心を通る直線と前記凸多角形の辺との2つの交点の間の線分の長さの最小値が前記高周波信号の波長の1/2未満であることを特徴とするものである。
また、本発明の導波管型ラットレース回路は、上記構成において、前記環状導波管部は、互いに平行に隣接して配置された第1および第3領域と、該第1および第3領域の一方端部で前記第1および第3領域を接続する第2領域と、前記第1および第3領域の他方端部で前記第1および第3領域を接続する第4領域とからなり、俯瞰したときに、前記内周管壁用貫通導体群は、前記第1および第3領域の境界に沿って線状に配置されていることを特徴とするものである。
なお、本発明において、誘電体層とは、複数の誘電体が層状に積層された積層体でもよく、また、積層体中の誘電体からなる1つの層でもかまわない。
また、本発明においては、内周管壁用貫通導体群の隣接する貫通導体の重心同士を結んで得られる図形が全体的に凸多角形になっていればよく、本発明の効果を奏する範囲内で、局部的に凸多角形といえない部分が存在しても構わない。
本発明の導波管型ラットレース回路によれば、ラットレース回路を構成する環状伝送線路として、導波管型の伝送線路で構成された環状導波管部を備えることから、高周波領域においても環状導波管部での伝送損失が少ないので、高周波領域における電気特性が優れた導波管型ラットレース回路を得ることができる。
また、本発明の導波管型ラットレース回路によれば、環状導波管部は、誘電体層の上下面および内部に配置された、上側主導体層,下側主導体層,内周管壁用貫通導体群および外周管壁用貫通導体群を具備する誘電体導波管線路で構成されていることから、環状導波管部を小型化することができるとともに誘電体中に容易に形成することができるので、小型化が可能で量産性に優れた導波管型ラットレース回路を得ることができる。
さらに、本発明の導波管型ラットレース回路によれば、俯瞰したときに、内周管壁用貫通導体群の隣接する貫通導体の重心同士を結んで得られる凸多角形において、凸多角形の重心を通る直線と凸多角形の辺との2つの交点の間の線分の長さの最小値が高周波信号の波長の1/2未満に設けられていることから、上側主導体層,下側主導体層および内周管壁用貫通導体群で囲まれた空間に電磁波が漏洩しても共振現象が発生しないので、良好な電気特性を有する導波管型ラットレース回路を得ることができる。
またさらに、本発明の導波管型ラットレース回路によれば、環状導波管部は、互いに平行に隣接して配置された第1および第3領域と、該第1および第3領域の一方端部で前記第1および第3領域を接続する第2領域と、前記第1および第3領域の他方端部で前記第1および第3領域を接続する第4領域とからなり、前記内周管壁用貫通導体群は、前記第1および第3領域の境界に沿って線状に配置されているときには、前述した共振現象を発生させるような空間が無いので、良好な電気特性を有する導波管型ラットレース回路を得ることができる。
(a)は本発明の実施の形態の第1の例の導波管型ラットレース回路を模式的に示す外観斜視図であり、(b)は(a)に示す導波管型ラットレース回路を模式的に示す平面図である。 (a)は本発明の実施の形態の第2の例の導波管型ラットレース回路を模式的に示す外観斜視図であり、(b)は(a)に示す導波管型ラットレース回路を模式的に示す平面図である。 本発明の実施の形態の第1の例の導波管型ラットレース回路の電気特性を示すグラフである。 (a)は比較例の導波管型ラットレース回路を模式的に示す外観斜視図であり、(b)は(a)に示す導波管型ラットレース回路を模式的に示す平面図である。 比較例の導波管型ラットレース回路の電気特性を示すグラフである。
以下、本発明の導波管型ラットレース回路を添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
(実施形態の第1の例)
図1(a)は本発明の実施の形態の第1の例の導波管型ラットレース回路を模式的に示す外観斜視図であり、図1(b)は図1(a)に示す導波管型ラットレース回路を模式的に示す平面図である。なお、導波管型ラットレース回路の内部構造をわかり易くするために、図1(a)および図1(b)においては導波管型ラットレース回路を構成する誘電体層の図示を省略しており、さらに、図1(b)においては上側主導体層51aを全て取り除いた状態を示している。
本例の導波管型ラットレース回路は、図1(a)および図1(b)に示すように、環状導波管部30の管壁に第1のポート11,第2のポート12,第3のポート13および第4のポート14がそれぞれ間隔を開けて設けられている。そして、環状導波管部30は、第1のポート11と第2のポート12との間を接続する第1の導波部21、第2のポート12と第3のポート13との間を接続する第2の導波部22、第3のポート13と第4のポート14との間を接続する第3の導波部23および、第4のポート14と第1のポート11との間を接続する第4の導波部24に区分され、本例の導波管型ラットレース回路が使用する周波数において、第1の導波部21,第2の導波部22および第3の導波部23の移相量はそれぞれ3π/2に設定されており、第4の導波部24の移相量は9π/2に設定されている。よって、第1の導波部21,第2の導波部22および第3の導波部23の移相量の和と第4の導波部24の移相量との差は0となっている。このような移相量を実現するために、ラットレース回路が使用する周波数における環状導波管部30内部の高周波信号の管内波長をλgとすると、第1の導波部21,第2の導波部22および第3の導波部23の長さは、実質的にそれぞれ3λg/4に設定されており、第4の導波部24の長さは実質的に9λg/4に設定されている。
また、本例の導波管型ラットレース回路においては、環状導波管部30は、誘電体層(図示せず)の上面に配置されて環状導波管部30の上側の管壁となる上側主導体層51aと、誘電体層の下面に配置されて環状導波管部30の下側の管壁となる下側主導体層51bと、高周波信号の波長λ0の1/2未満の繰り返し間隔で上側主導体層51aおよび下側主導体層51bの間を電気的に接続するように配置された、環状導波管部30の内周側の管壁となる内周管壁用貫通導体群52aおよび環状導波管部30の外周側の管壁となる外周管壁用貫通導体群52bとを具備し、上側主導体層51a,下側主導体層51b,内周管壁用貫通導体群52aおよび外周管壁用貫通導体群52bで囲まれた領域によって高周波信号を伝送する誘電体導波管線路で構成されている。また、内周管壁用貫通導体群52aおよび外周管壁用貫通導体群52bからの高周波信号の漏洩を防止するために、内周管壁用貫通導体群52aを構成する各々の貫通導体および外周管壁用貫通導体群52bを構成する各々の貫通導体をそれぞれ接続する副導体層51cが上側主導体層51aと下側主導体層51bとの間に設けられている。
また、本例の導波管型ラットレース回路においては、環状導波管部30は環状である上側および下側の管壁がH面とされている。そして、第1〜第4のポート11〜14は、環状導波管部30の外周側の管壁に形成された開口によって構成されており、それぞれのポートに対して高周波信号を入力または出力するための第1〜第4の入出力用伝送線路71〜74が接続されている。第1〜第4の入出力用伝送線路71〜74は、誘電体層(図示せず)の上面に配置されて上側の管壁となる上側主導体層51aと、誘電体層の下面に配置されて下側の管壁となる下側主導体層51bと、高周波信号の波長λ0の1/2未満の繰り返し間隔で上側主導体層51aおよび下側主導体層51bの間を電気的に接続するように配置された、伝送線路の側壁(両側面の管壁)となる2列の側壁用貫通導体群52とを具備し、上側主導体層51a,下側主導体層51b,および2列の側壁用貫通導体群52で囲まれた領域によって高周波信号を伝送する誘電体導波管線路で構成されている。なお、第1〜第4の入出力用伝送線路71〜74を構成する誘電体導波管線路においても、2列の側壁用貫通導体群52を構成する各々の貫通導体をそれぞれ接続する副導体層51cが設けられている。そして、環状導波管部30および第1〜第4の入出力用伝送線路71〜74は一体的に形成されている。すなわち、環状導波管部30および第1〜第4の入出力用伝送線路71〜74においては、それぞれの上側主導体層51a,下側主導体層51bおよび副導体層51cが一体的に形成されている。
さらに、本例の導波管型ラットレース回路においては、環状導波管部30の第1〜第4のポート11〜14が形成された位置の内周側に、上側の管壁および下側の管壁を接続する柱状導体からなる整合ピン61が配置されており、これによって、第1〜第4の入出力用伝送線路71〜74と環状導波管部30との第1〜第4のポート11〜14におけるインピーダンス整合を良好にしている。
このような構成を備える本例の導波管型ラットレース回路においては、例えば、第1の入出力用伝送線路71を介して第1のポート11に入力された高周波信号は、環状導波管部30を互いに逆向きに、第1の導波部21へ向けて伝送する高周波信号と第4の導波部24へ向けて伝送する信号との2つの高周波信号に分離される。そしてこの2つの高周波信号は、第2のポート12および第4のポート14では互いに同相になるが、第3のポート13では互いに逆相になる。よって、第2の入出力用伝送線路72および第4の入出力用伝送線路74からは高周波信号が出力されるが、第3の入出力用伝送線路73からは高周波信号は出力されない。このようにして、本例の回路は、ラットレース回路として機能する。
本例の導波管型ラットレース回路によれば、環状導波管部30および第1〜第4の入出力用伝送線路71〜74が、高周波領域における伝送損失が少ない誘電体導波管線路で構成されているので、高周波領域における電気特性が優れた導波管型ラットレース回路を得ることができる。
また、本例の導波管型ラットレース回路によれば、環状導波管部30内部における高周波信号の管内波長をλgとすると、第1の導波部21,第2の導波部22および第3の導波部23の長さは、実質的にそれぞれ3λg/4に設定されており、第4の導波部24の長さは実質的に9λg/4に設定されている。これにより、従来知られている4つのポートの間に配置された3本のλg/4線路と1本の3λg/4線路で構成されたラットレース回路と比較して、第1のポート11と第2のポート12との間隔および第2のポート12と第3のポート13との間隔および第3のポート13と第4のポート14との間隔を大きくすることができる。よって、誘電体導波管線路を用いて環状導波管部30を無理なく形成することができるとともに、高周波信号の波長λ0の1/2以上の幅を有する誘電体導波管線路で構成された第1〜第4の入出力用伝送線路71〜74を環状導波管部30の外周に形成された第1〜第4のポート11〜14に容易に接続することができる。
さらに、本例の導波管型ラットレース回路によれば、環状導波管部30および第1〜第4の入出力用伝送線路71〜74が誘電体導波管線路で構成されていることから、中空の方形導波管を用いて構成する場合と比較して、小型化することができるとともに誘電体中に容易に形成することができるので、小型化が可能で量産性に優れた導波管型ラットレース回路を得ることができる。
またさらに、本例の導波管型ラットレース回路によれば、上側主導体層51a,下側主導体層51bおよび内周管壁用貫通導体群52aで囲まれた領域を平面視したときに、内周管壁用貫通導体群52aの隣接する貫通導体の重心同士を結んで得られる凸多角形41において、凸多角形41の重心42を通る直線と凸多角形41の辺との2つの交点の間の線分の長さの最小値が高周波信号の波長λ0の1/2未満であることから、上側主導体層51a,下側主導体層51bおよび内周管壁用貫通導体群52aで囲まれた空間に漏洩した電磁波による共振を妨げることができるので、導波管型ラットレース回路の電気特性の悪化を防止することができる。この現象について以下に詳細に説明する。
誘電体層の上下面および内部に配置された上側主導体層51a,下側主導体層51bおよび2列の側壁用貫通導体群52で構成された誘電体導波管線路においては、側壁用貫通導体群52を構成する貫通導体の配列ピッチを、高周波信号の波長λ0の1/2未満に設定することにより、側壁用貫通導体群からの高周波信号の漏洩を防止できると考えられていた。ところが、誘電体層の上下面および内部に配置された上側主導体層51a,下側主導体層51b,内周管壁用貫通導体群52aおよび外周管壁用貫通導体群52bによって構成された環状導波管部30を備える導波管型ラットレース回路において、内周管壁用貫通導体群52aを構成する貫通導体の配列ピッチを、高周波信号の波長λ0の1/2未満に設定した場合においても、上側主導体層51a,下側主導体層51bおよび内周管壁用貫通導体群52aで囲まれた空間に染み出した電磁波による共振が発生して導波管型ラットレース回路の電気特性が悪化する現象が生じることが、本発明者の検討により明らかになった(図4の比較例および図5の電気特性を参照。)。これは、内周管壁用貫通導体群52aを構成する貫通導体の配列ピッチを、高周波信号の波長λ0の1/2未満に設定した場合においても、内周管壁用貫通導体群52aよりも内側の近傍の領域に高周波信号の電磁波が僅かに分布することによって生じると考えられる。
この現象による導波管型ラットレース回路の電気特性の悪化を防止するため、本発明者が鋭意検討した結果、上側主導体層51a,下側主導体層51bおよび内周管壁用貫通導体群52aで囲まれた領域を平面視したときに、内周管壁用貫通導体群52aの隣接する貫通導体の中心同士を結んで得られる凸多角形41において、凸多角形41の重心42を通る直線と凸多角形41の辺との2つの交点の間の線分の長さの最小値を高周波信号の波長λ0の1/2未満とすることにより、上側主導体層51a,下側主導体層51bおよび内周管壁用貫通導体群52aで囲まれた空間において電磁波が共振可能な周波数を高周波側へシフトさせることができ、それにより、その共振可能な周波数よりも低い前記高周波信号の漏洩による共振を防止できることがわかった。
この効果が得られる理由は、内周管壁用貫通導体群52aで囲まれた領域を平面視したときに、内周管壁用貫通導体群52aの隣接する貫通導体の中心同士を結んで得られる図形が凸多角形の場合、その重心を通る直線と凸多角形の辺との2つの交点の間の線分の長さの最小値が高周波信号の波長λ0の1/2未満という条件さえ満たせば、どのような凸多角形であっても、その図形の長手方向に直交する方向の寸法が高周波信号の波長λ0の1/2未満になるので、定在波が存在できなくなるからである。これは、方形導波管において導波管の幅が高周波信号の波長λ0の1/2未満になると高周波信号が伝播できないことからも理解できる。
(実施の形態の第2の例)
図2(a)は本発明の実施の形態の第2の例の導波管型ラットレース回路を模式的に示す外観斜視図であり、図2(b)は図2(a)に示す導波管型ラットレース回路を模式的に示す平面図である。なお、導波管型ラットレース回路の内部構造をわかり易くするために、図2(a)および図2(b)においては導波管型ラットレース回路を構成する誘電体層の図示を省略しており、さらに、図2(b)においては上側主導体層51aを全て取り除いた状態を示している。また、本例においては前述した第1の例と異なる点のみについて説明し、同様の構成要素については同一の参照符号を用いて重複する説明を省略する。
本例の導波管型ラットレース回路は、図2(a)および図2(b)に示すように、環状導波管部30は、互いに平行に隣接して直線的に配置された第1領域81および第3領域83と、第1領域81および第3領域83の一方端部で第1領域81および第3領域83を接続する半円状の第2領域82と、第1領域81および第3領域83の他方端部で第1領域81および第3領域83を接続する半円状の第4領域84とからなり、俯瞰したときに、内周管壁用貫通導体群52aは、第1領域81および第3領域83の境界に沿って直線状に配置されている
本例の導波管型ラットレース回路では、第1の実施形態で問題視していたような、共振が起こりうる空間がそもそも存在しないため、良好な特性を得ることができる。
なお、本例の導波管型ラットレース回路は、前述した第1の例の導波管型ラットレース回路において、俯瞰したときに、内周管壁用貫通導体群52aの隣接する貫通導体の中心同士を結んで得られる凸多角形41において、凸多角形41の重心42を通る直線と凸多角形41の辺との2つの交点の間の線分の長さを0にした場合に相当する。
本発明の導波管型ラットレース回路において、誘電体層の比誘電率は、例えば2〜20程度とされる。誘電体層の材質としては、高周波信号の伝送を妨げない特性を有するものであれば特に限定するものではなく、ガラスエポキシ等の樹脂を使用することも可能であるが、誘電体導波管線路を形成する際の精度および製造の容易性の点からは誘電体セラミックスを使用することが望ましい。上側主導体層51a,下側主導体層51bおよび副導体層51cは、良導電性の金属からなり、その厚みは、例えば、3μm〜50μm程度とされる。内周管壁用貫通導体群52a,外周管壁用貫通導体群52bおよび側壁用貫通導体群52は誘電体導波管線路の両側面の管壁として機能する。それぞれの繰り返し間隔は、高周波信号の漏洩を防止する観点から、高周波信号の波長λ0の1/2未満であることが必要であり、1/4未満であることが好ましい。このような内周管壁用貫通導体群52a,外周管壁用貫通導体群52bおよび側壁用貫通導体群52ならびに整合ピン61としてはビアホールやスルーホールを用いることができ、その直径は、例えば0.05mm〜0.5mm程度とされる。
本発明の導波管型ラットレース回路は、例えば、次のようにして作製することができる。まず、ガラス,アルミナ,窒化アルミニウム等を主成分とするセラミック原料粉末に適当な有機溶剤と溶媒とを添加混合して得た泥漿を用いて、ドクターブレード法やカレンダーロール法等によってセラミックグリーンシートを作製する。次に、得られたセラミックグリーンシートにレーザーやパンチングマシーン等を用いて内周管壁用貫通導体群52a,外周管壁用貫通導体群52b,側壁用貫通導体群52および整合ピン61を形成するための貫通孔を形成し、金属粉末に適当なアルミナ・シリカ・マグネシア等の酸化物や有機溶剤等を添加混合してペースト状にしたものを、厚膜印刷法により貫通孔に充填するとともにセラミックグリーンシートの表面に塗布して導体ペースト付きセラミックグリーンシートを作製する。次に、得られた導体ペースト付きセラミックグリーンシートを積層し、ホットプレス装置を用いて圧着して積層体を形成する。そして、得られた積層体を、誘電体層がガラスセラミックスの場合は850℃〜1000℃程度、アルミナ質セラミックスの場合は1500℃〜1700℃程度、窒化アルミニウム質セラミックスの場合は1600℃〜1900℃程度のピーク温度で焼成することによって作製される。なお、金属粉末としては、誘電体層がガラスセラミックスの場合は銅,金または銀が、誘電体層がアルミナ質セラミックスまたは窒化アルミニウム質セラミックスの場合にはタングステンまたはモリブデンが好適である。
(変形例)
本発明は前述した実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更,改良が可能である。
例えば、前述した実施の形態の例においては、第1〜第4のポート11〜14が環状導波管部30の外周側の管壁に形成された例を示したが、環状導波管部30の上側の管壁にポートが形成されるようにしてもよく、下側の管壁にポートが形成されるようにしても構わない。環状導波管部30の上側の管壁または下側の管壁にポートが形成されるようにした場合には、環状導波管部30の管壁に形成された貫通孔およびその貫通孔を通過する管壁と絶縁された信号伝送用導体によってポートが構成されるようにしてもよく、また、環状導波管部30の管壁に形成されたスロットによってポートが構成されるようにしても構わない。
また、前述した実施の形態の例においては、副導体層51cを備えた例を示したが、副導体層51cを備えない構成としても構わない。
次に、本発明の導波管型ラットレース回路の具体例について説明する。
図1に示した実施形態の第1の例の導波管型ラットレース回路における電気特性を電磁場解析によるシミュレーションによって算出した。算出条件としては、誘電体層の比誘電率および厚みをそれぞれ9.4および0.45mmとした。上側主導体層51a,下側主導体層51bおよび副導体層51cの厚みはそれぞれ0.01mmとし、誘電体層の中央に副導体層51cが位置するようにした。環状導波管部30は直線部と半円とを組み合わせたトラック状とし、その管幅は1.08mmとした。内周管壁用貫通導体群52a,外周管壁用貫通導体群52bおよび側壁用貫通導体群52は、それぞれ直径0.1mmの円柱状の導体が約0.3mmのピッチで配列される構成にした。第1〜第4の入出力用伝送線路71〜74における一対の側壁用貫通導体群52,52同士の間隔は1.15mmとした。平面視した際の内周管壁用貫通導体群52aの隣接する各々の中心を結ぶ凸多角形41をその重心42を通る直線で切った最小の長さを0.553mm、それと直交する長さを1.73mmとした。この場合、使用する最大の信号周波数を76GHzとすると、高周波信号の波長λ0は1.287mmとなり、上記の凸多角形41をその重心42を通る直線で切った最小の長さはλ0/2よりも小さい値となっている。また、各入出力用伝送線路71〜74と環状導波管部30との整合を取るための整合ピン61の位置は、それぞれのポートの中心から0.75mm離した位置に形成した。
そして、第1のポート11における反射特性(S11)および、第1,第2のポート11,12間の伝送特性(S21),第1,第3のポート11,13間の伝送特性(S31),第1,第4のポート11,14間の伝送特性(S41)を算出した。図3はその結果を示すグラフである。横軸は周波数を表し、縦軸は減衰量を表しており、74GHzから76GHzの範囲で、良好なラットレース回路としての特性を示している。
(比較例)
次に、比較例の導波管型ラットレース回路について説明する。図4(a)は比較例の導波管型ラットレース回路を模式的に示す外観斜視図であり、図4(b)は図4(a)に示す導波管型ラットレース回路を模式的に示す平面図である。なお、導波管型ラットレース回路の内部構造をわかり易くするために、図4(a)および図4(b)においては導波管型ラットレース回路を構成する誘電体層の図示を省略しており、さらに、図4(b)においては上側主導体層51aを全て取り除いた状態を示している。また、前述した実施の形態の例と同様の構成要素に同一の参照符号を用いて重複する説明を省略する。
図4に示した比較例の導波管型ラットレース回路における電気特性を電磁場解析によるシミュレーションによって算出した。算出条件としては、誘電体層の比誘電率および厚みをそれぞれ9.4および0.45mmとした。上側主導体層51a,下側主導体層51bおよび副導体層51cの厚みはそれぞれ0.01mmとし、誘電体層の中央に副導体層51cが位置するようにした。環状導波管部30は内周の半径が0.5mmで外周の半径が1.68mmの環状とした。内周管壁用貫通導体群52a,外周管壁用貫通導体群52bおよび側壁用貫通導体群52は、それぞれ直径0.1mmの円柱状の導体が約0.3mmのピッチで配列される構成にした。第1〜第4の入出力用伝送線路71〜74における一対の側壁用貫通導体群52,52同士の間隔は1.15mmとした。平面視した際の内周管壁用貫通導体群52aの内側の領域は半径0.5mmの円形状とした。
そして、第1のポート11における反射特性(S11)および、第1,第2のポート11,12間の伝送特性(S21),第1,第3のポート11,13間の伝送特性(S31),第1,第4のポート11,14間の伝送特性(S41)を算出した。図5はその結果を示すグラフである。
比較例の導波管型ラットレース回路の電気特性を示す図5のグラフによれば、77.3GHz付近において、上側主導体層51a,下側主導体層51bおよび内周管壁用貫通導体群52aで囲まれた空間に漏洩した電磁波の共振によるピークが発生している。これに対し、前述したように、本発明の実施の形態の第1の例の導波管型ラットレース回路の電気特性を示す図3のグラフにおいては、不要な共振によるピークは全く見られず、良好な電気特性が得られている。これにより本発明の有効性が確認できた。
30:環状導波管部
41:凸多角形
42:重心
51a:上側主導体層
51b:下側主導体層
52a:内周管壁用貫通導体群
52b:外周管壁用貫通導体群
81:第1領域
82:第2領域
83:第3領域
84:第4領域

Claims (2)

  1. 環状導波管部の管壁に4つのポートがそれぞれ所定の位置に設けられた導波管型ラットレース回路であって、
    前記環状導波管部は、誘電体層の上面に配置されて前記環状導波管部の上側の管壁を構成する上側主導体層と、前記誘電体層の下面に配置されて前記環状導波管部の下側の管壁を構成する下側主導体層と、高周波信号の波長の1/2未満の繰り返し間隔で前記上側主導体層および前記下側主導体層の間を電気的に接続するように配置された、前記環状導波管部の内周の管壁を構成する内周管壁用貫通導体群および前記環状導波管部の外周の管壁を構成する外周管壁用貫通導体群とを具備し、前記上側主導体層,前記下側主導体層,前記内周管壁用貫通導体群および前記外周管壁用貫通導体群で囲まれた領域によって前記高周波信号を伝送する誘電体導波管線路で環状に構成されており、
    俯瞰したときに、前記内周管壁用貫通導体群の隣接する貫通導体の重心同士を結んで得られる凸多角形において、該凸多角形の重心を通る直線と前記凸多角形の辺との2つの交点の間の線分の長さの最小値が前記高周波信号の波長の1/2未満であることを特徴とする導波管型ラットレース回路。
  2. 前記環状導波管部は、互いに平行に隣接して配置された第1および第3領域と、該第1および第3領域の一方端部で前記第1および第3領域を接続する第2領域と、前記第1および第3領域の他方端部で前記第1および第3領域を接続する第4領域とからなり、
    俯瞰したときに、前記内周管壁用貫通導体群は、前記第1および第3領域の境界に沿って線状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の導波管型ラットレース回路。
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