JP2010229536A - 無電解めっき前処理剤及びこれを用いた無電解めっき前処理方法 - Google Patents

無電解めっき前処理剤及びこれを用いた無電解めっき前処理方法 Download PDF

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寿文 河村
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Abstract

【課題】シリカ系フィラーやガラス繊維等を含有する樹脂基板の、デスミア処理等の後の基板表面に露出した密着性の弱いフィラーやガラス繊維を除去しながら表面を洗浄することができ、その後のパラジウム等の触媒付与において触媒を均一に付着することができ、無電解めっき被膜の密着性を高めることができる無電解めっき前処理剤を提供することを目的とする。
【解決手段】アルカリとノニオン系エーテル型界面活性剤とアミン系錯化剤とを含有することを特徴とする無電解めっき前処理剤。前記無電解めっき前処理剤は、pHが13以上であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、無電解めっき前処理剤、特にシリカ系フィラーを含有する樹脂基板に用いる無電解めっき前処理剤、及びこれを用いた無電解めっき前処理方法に関する。
パッケージ樹脂基板は、穴あけ後、カス(スミア)除去のためデスミア処理する。その結果、スミア除去に加えて、樹脂表面は膨潤・溶解により、凹凸ができるとともに基板構成物のフィラーやガラス繊維が表面に露出する。露出したフィラーやガラス繊維の中には樹脂との接合が不十分で密着が弱いものがある。また、フィラーやガラス繊維が表面に露出していると、次に行うパラジウム等の触媒付与において触媒が付着しにくくなる。従って、そのまま次工程の無電解めっきを行うと、得られるめっき被膜の密着性が弱く不安定となる。
フィラーやガラス繊維が露出した基板の、触媒の付着性を高める方法としては、特許文献1に最初にフッ素化合物を含有するガラスエッチング液で処理し、次いで過マンガン酸塩またはクロム酸を含有する酸化剤に浸漬した後、アミン系化合物及びノニオン系界面活性剤を含有しカチオン系界面活性剤を含有しない付き回り改良剤に浸漬する方法が記載されている。
特開2001−316833号公報
本発明は、シリカ系フィラーやガラス繊維等を含有する樹脂基板の、デスミア処理等の後の基板表面に露出した密着性の弱いフィラーやガラス繊維を除去しながら表面を洗浄することができ、その後のパラジウム等の触媒付与において触媒を均一に付着することができ、無電解めっき被膜の密着性を高めることができる無電解めっき前処理剤を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討を行った結果ノニオン系エーテル型界面活性剤とアミン錯化剤を含有する前処理剤にアルカリを加えることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は以下のとおりである。
(1)アルカリとノニオン系エーテル型界面活性剤とアミン系錯化剤とを含有することを特徴とする無電解めっき前処理剤。
(2)前記無電解めっき前処理剤のpHが13以上であることを特徴とする前記(1)記載の無電解めっき前処理剤。
(3)前記アルカリが水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムであることを特徴とする前記(1)又は(2)記載の無電解めっき前処理剤。
(4)前記ノニオン系エーテル型界面活性剤がポリオキシエーテル類であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の無電解めっき前処理剤。
(5)前記アミン系錯化剤が、エチレンジアミン類とアルコールアミン類からなる群から選択される1種類もしくは2種類からなるものであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の無電解めっき前処理剤。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の無電解めっき前処理剤を用いて、シリカ系フィラーを含有する樹脂基板を処理し、該無電解めっき前処理剤で処理した後の基板表面のSi存在比が、処理前の90%以下となることを特徴とする無電解めっき前処理方法。
本発明の前処理剤を用いて、デスミア処理等の後の基板表面に露出した密着性の弱いシリカ系フィラーやガラス繊維等を有する樹脂基板を処理することにより、該密着性の弱いフィラーやガラス繊維を除去しながら表面を洗浄することができ、その後のパラジウム等の触媒を均一に付着することができ、無電解めっきの析出性・均一性がよくなり、無電解めっき被膜と基板との密着性がよくなる。
また、本発明の前処理剤は、前記密着性の弱いフィラーやガラス繊維を除去することができるので、その後のパラジウム等の触媒の付着性を高めることができ、触媒液中の触媒濃度を低くしても効果的に触媒を付与することができる。
本発明の前処理剤は、アルカリとノニオン系エーテル型界面活性剤とアミン系錯化剤とを含有する。
アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等が挙げられ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
界面活性剤として、ノニオン系エーテル型界面活性剤を用いることにより本発明の効果が得られ、他のノニオン系界面活性剤を用いても効果が得られない。
ノニオン系エーテル型界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、等が挙げられ、ポリオキシエーテル類が好ましい。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンセチルエーテルが好ましく、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルとしては、ポリオキシエチレンセチルフェニルエ−テルが好ましく、ポリオキシエチレンナフチルエーテルとしては、ポリオキシエチレンβ−ナフチルエーテルが好ましい。
ノニオン系エーテル型界面活性剤は、2種以上を併用しても良い。
アミン系錯化剤としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のエチレンジアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、EDTA等のアミンカルボン酸等が挙げられる。アミン系錯化剤は上記化合物を併用することができ、エチレンジアミン類及びアルコールアミン類からなる群から選択される1種類もしくは2種類からなるものが好ましい。
本発明の前処理剤は水溶液であり、ノニオン系エーテル型界面活性剤は前処理剤中0.5〜50g/L含有されることが好ましい。またアミン系錯化剤は0.5〜50g/L含有されることが好ましい。アルカリは、前処理剤のpHが13以上となるように添加することが好ましく、pH13〜13.7がより好ましい。
ノニオン系エーテル型界面活性剤が、0.5g/L未満であると、フィラー除去等の効果が薄く、50g/Lを超えると、液粘性が高くなりすぎ、処理後の持ち出しでの液の消耗、洗浄のしにくさ、泡立ち発生による処理ムラ等が生じる。また、アミン系錯化剤は、0.5g/L未満であると、フィラー除去等の効果が薄く、50g/Lを超えると、基板面に吸着して保護することになり、アルカリの効果が薄れる。pHは13未満であるとフィラー除去等の効果が薄い。
基板としては、シリカ系フィラーやアルミナ系フィラー、ガラス繊維を含有するエポキシ樹脂、イソシアネート樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、フェニレン樹脂等の樹脂基板を用いることができる。
本発明の無電解めっき前処理剤は、デスミア処理等により表面に密着性の弱いフィラーやガラス繊維が露出した基板に有効であり、特にシリカ系フィラーを含有する樹脂基板において前記密着性の弱いフィラーの除去効果が高く、好ましい。該デスミア処理としては、公知のデスミア処理でよい。例えばデスミア処理剤として、ローム&ハース製、過マンガン酸系デスミア211、213、216−4等を用いて処理することができる。
本発明の前処理剤による処理は、60〜90℃、好ましくは70〜80℃の前処理剤に、デスミア処理等の後の表面に密着性の弱いフィラーやガラス繊維が露出した基板を浸漬すればよい。前処理剤の温度が60℃未満では除去効果が得られにくく、90℃を超えると液蒸発が激しくコントロールしにくくなる。
また、処理時間は1〜20分が好ましく、より好ましくは3〜15分である。1分未満では処理が不十分となり除去効果が薄く、20分を超えると工程での律速になる、また樹脂成分が侵食されて基板全体的に弱くなる。
本発明の前処理剤を用いて、デスミア処理等により、表面に密着性の弱いシリカ系フィラーが露出した基板を処理することにより、基板表面に露出した密着性の弱いフィラーを除去することができ、前処理した基板表面のSi存在比が、処理前の90%以下とすることができる。Siの存在比が処理前の90%以下とすることにより、基板表面に露出した密着性の弱いフィラーが除去され、触媒の付着性が向上し、無電解めっきの析出性・均一性がよくなり、無電解めっきにより成膜した金属膜と基板との密着性がよくなる。
尚基板表面のSi存在比は、XPS(光電子分光分析)により、基材表面の元素を分析して、そのうちSiの存在数を全元素の存在数で割ったものであり、本発明の前処理剤での処理前後にSi存在比を測定し、処理前のSi存在比に対する処理後のSi存在比を求めることができる。
本発明の前処理剤で処理した後にパラジウム、白金等の触媒を付与する際の触媒液としては、公知の触媒液を用い、公知の方法で行うことができる。
本発明の前処理剤で処理することにより、触媒の付着性を高めることができるので、触媒液中の触媒濃度を50mg/L以下程度に低くしても触媒を均一に付与することができる。
また、その後の無電解めっきは、銅、ニッケル、スズ等の無電解めっきであり、公知の無電解めっき液、条件にて行うことでき、無電解銅めっきが好ましい。無電解銅めっきとしてはロッシェル塩タイプの銅めっき液が好ましい。
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1
通常のデスミア処理(ローム&ハース製、過マンガン酸系デスミア211、213、216−4)したシリカ系フィラーを含有するエポキシ樹脂からなる基板(GX13、味の素ファインテクノ製)を、50g/Lの水酸化カリウムと、10g/Lのノニオン系エーテル型界面活性剤(ポリオキシエチレンβ−ナフチルエーテル、ブラウノンBN−10、青木油脂製)と、5g/Lのエチレンジアミンと、5g/Lのエタノールアミンを含んだ処理液(pH13.5)で80℃で10分間処理を行った。Si存在比は処理前比で85%であった。これにCB処理(日鉱金属(株)製の無電解銅めっき用Pd触媒処理、Pd濃度30mg/L)して、無電解銅めっき(ローム&ハース製、CUPOSIT328)を行い0.5μmの膜厚の銅被膜を形成し、次いで電気銅めっきを行い25μmの膜厚の銅層を形成した。90°ピール強度をJIS C6481に準じて測定したところ、0.7kgf/cmと高い値を示した。
実施例2
実施例1と同様にデスミア処理した基板を、実施例1記載の処理液で80℃で5分間処理を行った。Si存在比は処理前比で90%であった。これにCB処理(日鉱金属(株)製の無電解銅めっき用Pd触媒処理、Pd濃度30mg/L)して、無電解銅めっき(ローム&ハース製、CUPOSIT328)を行い0.5μmの膜厚の銅被膜を形成し、次いで電気銅めっきを行い25μmの膜厚の銅層を形成した。90°ピール強度を測定したところ、0.65kgf/cmと高い値を示した。
実施例3
実施例1と同様のデスミア処理した基板を、水酸化カリウムの濃度を40g/LとしてpHを12.5にした以外は実施例1と同様の処理液で80℃で10分間処理を行った。Si存在比は処理前比で92%であった。これにCB処理(日鉱金属(株)製の無電解銅めっき用Pd触媒処理、Pd濃度30mg/L)して、無電解銅めっき(ローム&ハース製、CUPOSIT328)を行い0.5μmの膜厚の銅被膜を形成し、次いで電気銅めっきを行い25μmの膜厚の銅層を形成した。90°ピール強度を測定したところ、0.45kgf/cmであった。
比較例1
実施例1において、デスミア処理後の処理液での処理を除いた以外は実施例1と同様にしてCB処理して無電解銅めっき、電気銅めっきを行った。ピール強度は0.35kgf/cmとなった。
比較例2
実施例1と同様のデスミア処理した基板を、水酸化カリウムを除いた以外は実施例1と同様の処理液で80℃で10分間処理を行った。Si存在比は処理前比で97%であった。これにCB処理(日鉱金属(株)製の無電解銅めっき用Pd触媒処理、Pd濃度30mg/L)して、無電解銅めっき(ローム&ハース製、CUPOSIT328)を行い0.5μmの膜厚の銅被膜を形成し、次いで電気銅めっきを行い25μmの膜厚の銅層を形成した。90°ピール強度を測定したところ、0.4kgf/cmであった。

Claims (6)

  1. アルカリとノニオン系エーテル型界面活性剤とアミン系錯化剤とを含有することを特徴とする無電解めっき前処理剤。
  2. 前記無電解めっき前処理剤のpHが13以上であることを特徴とする請求項1記載の無電解めっき前処理剤。
  3. 前記アルカリが水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムであることを特徴とする請求項1又は2記載の無電解めっき前処理剤。
  4. 前記ノニオン系エーテル型界面活性剤がポリオキシエーテル類であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の無電解めっき前処理剤。
  5. 前記アミン系錯化剤が、エチレンジアミン類とアルコールアミン類からなる群から選択される1種類もしくは2種類からなるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の無電解めっき前処理剤。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の無電解めっき前処理剤を用いて、シリカ系フィラーを含有する樹脂基板を処理し、該無電解めっき前処理剤で処理した後の基板表面のSi存在比が、処理前の90%以下となることを特徴とする無電解めっき前処理方法。
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