JP2010229244A - 熱硬化性樹脂の分解・回収方法 - Google Patents

熱硬化性樹脂の分解・回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】架橋部酸共重合体を分離しやすい状態で回収することができる熱硬化性樹脂の分解・回収方法を提供する。
【解決手段】ポリエステル部とその架橋部を含む熱硬化性樹脂を熱分解温度未満の温度の亜臨界水で分解する工程と、分解液に酸及び熱を供給して熱硬化性樹脂のポリエステル部とその架橋部を構成する多塩基酸の化合物である架橋部酸共重合体を固形分として析出させる工程と、析出した架橋部酸共重合体を回収する工程を有することとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱硬化性樹脂の分解・回収方法に関するものである。
従来、プラスチック廃棄物はそのほとんどが埋立処分あるいは焼却処分されており、資源として有効活用されていなかった。また、埋立処分では、埋立用地の確保が困難であることや埋立後の地盤が不安定化するといった問題点があり、一方、焼却処分では、炉の損傷、有機ガスや悪臭の発生、COの発生といった問題点があった。
そのため、平成7年に容器包装廃棄法が制定され、プラスチックの回収再利用が義務付けられるようになった。さらに、各種リサイクル法の施行にともない、プラスチックを含む製品の回収リサイクルの流れは加速する傾向にある。
これらの状況に合わせて、近年、プラスチック廃棄物を再資源化することが試みられており、その一つとして、超臨界水または亜臨界水を反応媒体としてプラスチックを分解・回収する方法が提案されている(特許文献1〜5参照)。
しかしながら、これらの方法ではプラスチックがランダムに分解されるために、一定品質の分解生成物を得ることが困難であった。
この問題点を解決する技術として、多価アルコールと多塩基酸からなるポリエステルを架橋剤で架橋した熱硬化性樹脂を、亜臨界水を用いて熱硬化性樹脂の熱分解温度未満で分解させることで、熱硬化性樹脂の原料として再利用できるモノマーと共に、架橋剤と多塩基酸の共重合体である架橋部酸共重合体(スチレンフマル酸共重合体)を得る技術が提案されている(特許文献6参照)。
特表昭56−501205号公報 特開昭57−4225号公報 特開平5−31000号公報 特開平6−279762号公報 特開平10−67991号公報 国際公開WO2005/092962号パンフレット
上記の架橋部酸共重合体は水溶液中に溶解した状態で回収され、その性質上、水溶液を酸性にすることにより析出するが、この時、多量の水を含んだ状態となる。これまで、架橋部酸共重合体を水から分離して固形分を得るにあたっては、膜を用いた分離手法や、分離手段として溶剤を供給して水と分離しやすい状態にする等の方法がとられてきた。
しかし、水との分離のために膜を用いる場合には架橋部酸共重合体の析出状態により膜の種類を変える必要があり、分離手段として溶剤を供給する場合には反応系に余分な因子を増やしてしまう等いずれの方法も後工程に配慮がなされていなかった。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、架橋部酸共重合体を分離しやすい状態で回収することができる熱硬化性樹脂の分解・回収方法を提供することを課題としている。
本発明は以下のことを特徴としている。
第1には、ポリエステル部とその架橋部を含む熱硬化性樹脂を熱分解温度未満の温度の亜臨界水で分解する工程と、分解液に酸及び熱を供給して熱硬化性樹脂のポリエステル部とその架橋部を構成する多塩基酸の化合物である架橋部酸共重合体を固形分として析出させる工程と、析出した架橋部酸共重合体を回収する工程を有する。
第2には、架橋部酸共重合体を析出させる工程において、分解液のpHが5以下になるように酸を供給する。
第3には、架橋部酸共重合体を析出させる工程において、分解液の温度が40℃より高くなるように熱を供給する。
第4には、架橋部酸共重合体を析出させる工程において、架橋部酸共重合体をスラリー状態の固形分として析出させる。
第5には、架橋部酸共重合体を析出させる工程において、架橋部酸共重合体を塊状の固形分として析出させて分解液中に沈降させる。
第6には、架橋部酸共重合体を析出させる工程において、架橋部酸共重合体を塊状の固形分として析出させて分解液中に浮上させる。
第1の発明によれば、亜臨界水分解によって生成される架橋部酸共重合体を分解液から多量の水を含んでいない状態で分離回収することができる。したがって、従来の様々な分離方法や溶剤を加えることによって水との分離を行っていた工程が簡略化されるだけでなく、余計な装置も要らず、後工程に余分な因子を増やすことなく架橋部酸共重合体を回収することができる。しかも亜臨界水分解後の分解液から架橋部酸共重合体を容易に分離することができるので、分解液中に含まれる熱硬化性樹脂の分解生成物である多価アルコールおよび多塩基酸を熱硬化性樹脂の原料として再利用しやすい性状で回収することができる。
第2の発明によれば、架橋部酸共重合体をより確実に析出させて分離回収することができる。
第3の発明によれば、架橋部酸共重合体をより脱水した状態で分離回収することができる。
第4から第6の発明によれば、容易に分離が可能で回収しやすい状態の架橋部酸共重合体の固形分を得ることができる。
架橋部酸共重合体の回収装置の第一の実施形態を示す図である。 架橋部酸共重合体の回収装置の第二の実施形態を示す図である。 架橋部酸共重合体の回収装置の第三の実施形態を示す図である。 架橋部酸共重合体の回収装置の第四の実施形態を示す図である。 架橋部酸共重合体の回収装置の第五の実施形態を示す図である。 架橋部酸共重合体の回収装置の第六の実施形態を示す図である。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明において分解・回収の対象となる熱硬化性樹脂は、多価アルコールおよび多塩基酸を含む原料より製造されたプラスチックであり、詳述すると、ポリエステルを架橋して得られたものであり、ポリエステル部とその架橋部を含むものである。
ポリエステル部は、多価アルコールと多塩基酸とを重縮合させることにより多価アルコールと多塩基酸とがエステル結合を介して互いに連結したポリエステルに由来する。ポリエステル部は、不飽和多塩基酸に由来する二重結合を含んでいてもよい。架橋部は、ポリエステル部を架橋する部分である。架橋部は、例えば架橋剤に由来する部分であるが、特に限定されない。架橋部は、1個の架橋剤に由来する部分であってもよく、複数の架橋剤が重合したオリゴマーまたはポリマーに由来する部分であってもよい。また、架橋部とポリエステル部の結合位置および結合様式も特に限定されない。したがって、「ポリエステル部とその架橋部を含む熱硬化性樹脂」とは、多価アルコールと多塩基酸から得られるポリエステルが架橋部を介して架橋された網状の熱硬化性樹脂(網状ポリエステル樹脂)である。このような熱硬化性樹脂としては、本発明を適用したときに上記した効果を得ることができるものであれば、いかなる態様の樹脂であってもよい。すなわち、樹脂の種類と構造、架橋部(架橋剤)の種類、量および架橋度等に制限はない。
本発明が適用される熱硬化性樹脂は、主として加熱等により硬化(架橋)された樹脂であるが、本発明を適用したときに上記した効果を得ることができるものであれば、加熱等により硬化(架橋)が進行する未硬化の樹脂または部分的に硬化された樹脂であってもよい。本発明が好適に適用される熱硬化性樹脂としては、多価アルコールと不飽和多塩基酸からなる不飽和ポリエステルが架橋剤により架橋された網状ポリエステル樹脂が挙げられる。
ポリエステル部の原料である多価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらは1種単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。
ポリエステル部の原料である多塩基酸の具体例としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族不飽和二塩基酸等が挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。また、無水フタル酸等の飽和多塩基酸を不飽和多塩基酸と併用してもよい。
多価アルコールと多塩基酸の共重合体であるポリエステルを架橋する架橋剤は、スチレンやメタクリル酸メチル等の重合性ビニルモノマー等が挙げられる。
また、本発明において分解・回収の対象となる熱硬化性樹脂には、炭酸カルシウムや水酸化アルミニウム等の無機充填材や、ロービングを切断したチョップドストランド等のガラス繊維等の無機物や、その他の成分が含有されていてもよい。
[分解工程]
本発明における分解工程は、上記熱硬化性樹脂を熱分解温度未満の亜臨界水で処理して、プラスチックの原料モノマーである多価アルコールと多塩基酸、および架橋部とポリエステル部を構成する多塩基酸の化合物である架橋部酸共重合体とに分解する工程である。すなわち、上記熱硬化性樹脂に水を加え、温度および圧力を上昇させて水を臨界点以下(臨界温度347.4℃、臨界圧力22.1MPa以下)の亜臨界状態にして熱硬化性樹脂を分解することにより、ポリエステルからその由来のモノマー(多価アルコールと多塩基酸)を回収するとともに、架橋部とポリエステル部を構成する多塩基酸の化合物を回収するものである。すなわち、架橋部とポリエステル部を構成する多塩基酸の化合物とは、架橋剤とポリエステル部の多塩基酸との化合物(反応物)である。
本発明において、熱硬化性樹脂と水との配合割合は特に制限されるものではないが、熱硬化性樹脂100質量部に対して水の添加量は100〜500質量部の範囲にすることが望ましい。また、分解反応の温度(亜臨界水の温度)は、熱硬化性樹脂が加水分解される温度で、熱分解する温度未満、且つ、架橋部およびポリエステル部が熱分解する温度未満の温度であることが望ましく、180〜270℃の温度範囲に設定することが望ましい。分解反応時の温度が180℃未満であると、分解処理に多大な時間を要し、処理コストが高くなる場合があり、分解反応時の温度が270℃を超えると、熱分解の影響が大きくなり、ポリエステル部とその架橋部が分解されて、架橋部とポリエステル部を構成する酸の化合物を回収することが困難になる場合がある。また、反応時間は、反応温度等の条件によって異なり、熱分解の影響が生じない温度以下では、1〜4時間程度が好ましいが、この反応時間は短い方が処理コストが少なくなるので好ましい。また、分解反応の圧力については、特に限定されるものではないが、2〜15MPa程度の範囲であることが望ましい。
一般に、亜臨界水によるプラスチックの分解処理は、一般的に熱分解反応および加水分解反応によって起こるものであり、多価アルコールと多塩基酸を含む原料により製造された熱硬化樹脂においても同様であるが、亜臨界水に接触させて処理する場合には、加水分解反応が支配的となり、多価アルコールおよび多塩基酸のモノマーまたはこれらが複数個結合したオリゴマーに分解されるものである。したがって、本発明においても、熱硬化性樹脂を亜臨界水に接触させて処理することにより、多価アルコールと多塩基酸およびポリエステル部を構成する多塩基酸の化合物である架橋部酸共重合体に分解することができ、分解処理により得られたモノマーまたはオリゴマーを回収してプラスチックの製造原料として再利用することができる。
本発明においては、亜臨界水がアルカリ金属の水酸化物を含有することが望ましく、これにより、熱硬化性樹脂の加水分解反応が促進されて処理時間を短くすることができ、処理コストを少なくすることができる。さらに、超臨界状態に近い高温域においては、熱硬化性樹脂を亜臨界水で処理することにより生成される多価アルコールが、熱硬化性樹脂を亜臨界水で処理することにより生成される多塩基酸の酸触媒効果により二次分解されるおそれがあるが、多塩基酸がアルカリ金属の水酸化物の塩基で中和されて多価アルコールが多塩基酸の酸触媒効果により二次分解されることを抑制することができる。ここで、アルカリ金属の水酸化物の配合量は、特に限定されるものではないが、熱硬化性樹脂を分解して得られる架橋部酸共重合体に含まれる多塩基酸の理論モル数に対して、2モル当量以上であることが好ましい。アルカリ金属の水酸化物の配合量が2モル当量未満であると、アルカリ金属の水酸化物により上記効果が得られにくくなるおそれがある。アルカリ金属の水酸化物濃度の上限値は、特に限定されないが、10モル当量以下であることがコスト面等から好ましい。
上記アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化カリウム(KOH)や水酸化ナトリウム(NaOH)等を用いることができるが、これに限定されるものではない。また、アルカリ金属の水酸化物の代わりに、またはアルカリ金属の水酸化物と併用して、難水溶性の塩基を亜臨界水に添加することもできる。この難水溶性の塩基としては、炭酸カルシウム等を例示することができるが、これに限定されるものではない。
本発明における分解工程では、始めに、分解処理の対象となる熱硬化性樹脂と水およびアルカリ金属の水酸化物等を添加物として混合し、これを加熱加圧することにより、亜臨界水で熱硬化性樹脂を分解処理する。次に、分解処理後の亜臨界水を冷却した後、濾過等の方法により固液分離する。ここで、熱硬化性樹脂に含まれていたガラス繊維や炭酸カルシウム等の無機フィラーが固形物として得られ、水およびこれに溶解されている水可溶成分が液分として得られる。
上記水可溶成分中には、スチレンフマル酸共重合体のカルボン酸塩等の架橋部酸共重合体と、プラスチックの原料モノマーであるグリコール類等の多価アルコールと、同じくプラスチックの原料モノマーであるマレイン酸やフマル酸等の多塩基酸の塩が含まれている。スチレンフマル酸共重合体のカルボン酸塩は、スチレン骨格とフマル酸骨格とを有し、カルボキシル基にカリウムやナトリウム等のアルカリ金属が結合した状態(COOやCOONa)のカリウム塩やナトリウム塩等であり、水溶性を示すものである。また、マレイン酸やフマル酸等の多塩基酸の塩もカリウム塩やナトリウム塩等として水に溶けている。
[析出工程(分離工程)]
本発明における析出工程は、前記分解工程で得られた熱硬化性樹脂の分解液としての液分(多価アルコールと多塩基酸および架橋部酸共重合体を含有する水溶液)に酸と熱を供給して架橋部酸共重合体を固形分として析出させ、固形分と水相とに分離している。ここで、水相は、多価アルコールと多塩基酸を含有する水溶液である。
析出する架橋部酸共重合体の一例であるスチレンフマル酸共重合体は次式で表される。
Figure 2010229244
式中、m、nは整数であり上限は特にないが、例えば、m=3、n=300である。
架橋部酸共重合体は、ポリエステル部とその架橋部からなる熱硬化性樹脂を亜臨界水を用いて分解した後、酸を供給して析出させることができるが、この場合、架橋部酸共重合体は水で膨潤した状態で得られる。これはフマル酸骨格がカルボキシル基を2つ有することからその周りに水分子を抱え込みやすいためと考えられる。そこで、本発明では、架橋部酸共重合体が溶解した分解工程後の分解液に酸と熱を供給することにより、水を抱え込んだ状態の架橋部酸共重合体から水を吐き出させて、水で膨潤していない固形分を回収することとしている。
分解液に供給する酸としては、塩酸や硫酸等の無機の強酸を例示することができるが、これに限定されるものではない。後工程で中和する必要がある場合は、中和による副生成物である塩を処理しやすいものを選択すればよい。酸は、分解液が酸性になるように供給するが、好ましくは、分解液のpHが5以下になるように供給する。pHが5を超える場合には架橋部酸共重合体の固形分が完全に析出しない場合がある。分解液のpHが小さいほど架橋部酸共重合体の固形分が析出しやすいので、pHの下限は特に設定されず、0である。
本発明における析出工程では、酸とともに熱を供給するが、この熱の供給時期は、酸の添加前、もしくは酸の添加途中、もしくは酸の添加後のいずれであってもよい。熱は、分解液の温度が常温(20℃±15℃)よりも高くなるように供給される。本発明においては、架橋部酸共重合体の固形分をより脱水した状態で析出させる観点から、分解液の温度が40℃より高くなるように熱を供給することが好ましい。分解液の上限温度は特に定めないが、沸騰しない温度であることが考慮される。本発明における分解液は水溶液であることから、急激な沸騰を防ぐため、例えば、90〜95℃以下に設定されていてもよい。分解液の温度が所定の温度に達した後の温度保持時間も特に限定されるものではないが、コスト面を考慮するとあまり長くないほうがよく、例えば、5時間程度までとすることができる。また、分解液が所定温度に達するまでの時間およびその後の温度の保持時間中、スターラー等を用いて分解液を強制攪拌(以下、「攪拌」という)して架橋部酸共重合体を析出させるようにしてもよい。
本発明においては、架橋部酸共重合体の固形分をスラリー状態で沈殿させることにより、固形分が水相から分離される。あるいは、架橋部酸共重合体を塊状の固形分(凝集塊のような状態)として得ることにより、固形分が水相から分離される。この塊状の固形分は分解液中に沈降した状態もしくは浮上した状態で得ることができる。このような架橋部酸共重合体の固形分の態様や固形分の析出状態は、分解液に酸および熱を供給した際の分解液の温度、温度保持時間、攪拌等の処理条件を適宜調整することによって実現される。例えば、分解液の温度をより高くするほど、架橋部酸共重合体の固形分がより脱水された状態になり塊状の固形分になる傾向にある。分解液の温度によっては、温度保持時間を長くすることによって塊状の固形分を形成することができる。また、塊状の固形分が形成する条件において攪拌せずに熱を供給した場合には、塊状の固形分を分解液中に浮上させた状態で得ることができる。
詳細は後述する実施例で説明するが、目安として、例えば、50gの分解液を70℃程度の温度になるまで攪拌しつつ加温し、引き続きその温度で保温している間も攪拌し続けた場合には、スラリー状態の固形分の沈殿物が得られる。さらに加温して70℃を超える温度にまで分解液の温度を上昇させると塊状の固形分が得られる。分解液を70℃に加温した場合でも、その温度で分解液の温度を30分以上保持し続けたり、攪拌せずに70℃に加温した場合には、塊状の固形分を得ることができる。また、塊状の固形分が攪拌を伴わないで得られたものである場合においては、その固形分を分解液中に浮上させた状態で得ることが可能になる。なお、上記処理条件は目安として例示したものであり、分解・回収の対象となる熱硬化性樹脂の種類、量および分解率によっては分解液中の架橋部酸共重合体の種類および量が変わるため、上記処理条件に限定されない。
[回収工程]
本発明における回収工程では、前記分離工程において架橋部酸共重合体の固形分と水相とに分離した後、濾過、遠心分離やかき取り等の方法で前記固形分を採取し、架橋部酸共重合体を容易に得ることができる。また、前記水相を蒸溜することにより、水と多価アルコールと多塩基酸とをそれぞれ別々に回収することができる。多価アルコールや多塩基酸はプラスチックの原料モノマー等として再利用できる。蒸留で得られた水は、再度、亜臨界水のための水として利用することができる。
架橋部酸共重合体の固形分の回収においては、その固形分の態様および析出状態に適した回収手段を有する回収装置を用いて回収することができる。以下、この回収装置の第一から第六の実施形態を詳しく説明する。
<第一の実施形態>
図1は、塊状の固形分を回収する場合に用いられる回収装置の一実施形態を、回収操作における回収装置の一連操作を(a)、(b)、(c)として順に示したものである。
まず、図1(a)について説明する。反応容器1の底部に設けられた反応容器排出配管2に接続された反応容器排出弁3を閉止した状態にして、反応容器1の上部壁面に設けられた反応容器供給配管4を通して、分解後水溶液9と酸10を混合しながら供給する。ただし、反応容器1には分解後水溶液9と酸10供給前にあらかじめ、先端部に反応容器1の内側方向に突出した引掛爪8を有する吊上アーム6が反応容器1の内壁に沿うように最大限広げられ、さらに前記引掛爪8が反応容器1の底部に達するように設置されている。
第一の実施形態では、反応容器1に攪拌手段を設けていないため、分解後水溶液9と酸10を供給時点で混合させて供給することとしているが、反応容器1に攪拌羽根を設置するか、あるいは吊上アーム6の吊上部に回転機構を付加するといった攪拌手段を設けることで、反応容器1の内部で分解後水溶液9と酸10を混合するように構成してもよい。
次に、図1(b)について説明する。反応容器1に供給された分解後水溶液9と酸10との混合液に、反応容器1の外壁面に設けられた加熱源5より熱を供給することで、塊状の架橋部酸共重合体固形分14と水相15に分離させる。吊上アーム6の数量や先端の引掛爪8の形状は、処理する反応条件により変化する架橋部酸共重合体固形分14の形状や強度あるいは水相15に対する浮き沈みの状態により決定すればよい。
最後に、図1(c)について説明する。塊状の架橋部酸共重合体固形分14を引掛爪8に引掛けて吊上アーム6を引き上げ、取出し容器11内部へ移動させたのち、吊上アーム6をアーム要7を支点に広げることにより、架橋部酸共重合体固形分14は、取出し容器11へ移動し回収される。
[第二の実施形態]
図2は、第一の実施形態と同様、塊状の固形分を回収する場合に用いられる回収装置の一実施形態を、回収操作における回収装置の一連操作を(a)、(b)、(c)として順に示したものである。なお、図2において、図1と同一箇所には同一の符号を付して説明を省略する。
まず、図2(a)について説明する。本実施形態では、架橋部酸共重合体を析出させる反応容器1と架橋部酸共重合体を回収して取り出す取出し容器11を備えている。反応容器1には、押上げ穴16と、押上げ穴16に備えられたシール材17を通して押上げ台20の軸が挿入され、上面台座部分が反応容器1の底に接した状態で設置されている。反応容器1の底部に設けられた反応容器排出配管2に接続された反応容器排出弁3を閉止した状態にて、反応容器1の上部壁面に設けられた反応容器供給配管4を通して、分解後水溶液9と酸10を混合しながら供給する。第二の実施形態では、反応容器1に攪拌手段を設けていないため、分解後水溶液9と酸10を供給時点で混合させて供給することとしているが、反応容器1に設置された押上げ台20の台部分にリブ状の部材を取り付け、押上げ台20の軸を回転させることで、反応容器1の内部で分解後水溶液9と酸10を混合するように構成してもよい。
次に、図2(b)について説明する。上記の分解後水溶液9と酸10との混合液に、反応容器1に備えられた加熱源5により熱が供給され、塊状の架橋部酸共重合体固形分14が形成された状態とする。
最後に、図2(c)について説明する。塊状の架橋部酸共重合体固形分14は、押出器18と同じ水平位置まで押上げ台20を押上げ、押出器18をすべり台19の方向に押出すと、すべり台19を滑り落ち、すべり台19下方に設置された取出し容器11内に移動することで回収される。
第二の実施形態においては、塊状の架橋部酸共重合体固形分14の形状や強度に影響されずに回収される。
[第三の実施形態]
図3は、第一の実施形態と同様、塊状の固形分を回収する場合に用いられる回収装置の一実施形態を、回収操作における回収装置の一連操作を(a)、(b)、(c)として順に示したものである。なお、図3において、図1と同一箇所には同一の符号を付して説明を省略する。
まず、図3(a)について説明する。反応容器1は回転軸22を持つ回転アーム21に取り付けられている。反応容器1は回転軸22を中心に自由に回転させ内容物を取出し容器11に流しだすことが可能となっている。反応容器1の開口部上方に設けられた反応容器供給配管4を通して、分解後水溶液9と酸10を混合しながら供給する。第三の実施形態では、反応容器1に攪拌手段を設けていないため、分解後水溶液9と酸10を供給時点で混合させて供給することとしているが、反応容器1に電動機付の攪拌器等の攪拌手段を設けてもよい。次いで、分解後水溶液9と酸10を供給の後に加熱源5にて熱を供給し、塊状の架橋部酸共重合体固形分14を生成させる。
次に、図3(b)について説明する。反応容器1は回転軸22を中心に回転させ、開口部を取出し容器11の方向に倒すことで、架橋部醍共重合体固形分14と水相とを共に取出し容器11に流しだす。取出し容器11の底部には、網目に構成された濾過台23が装備されており、取出し容器11の取出し容器排出配管12に接続された取出し容器排出弁13を開けることにより、反応容器1から流し出された水相は取出し容器11の外に排出され、架橋部酸共重合体固形分14は濾過台23の上に残り回収される。
第三の実施形態においては、架橋部酸共重合体固形分14を塊状として取出したが、架橋部酸共重合体固形分14がスラリー状であっても、濾過台23の網目の開口径をスラリーに含まれる架橋部酸共重合体固形分14の粒径未満に設定することで、架橋部酸共重合体固形分14と水相を取出し容器11で分離することができる。
[第四の実施形態]
図4は、第一の実施形態と同様、塊状の固形分を回収する場合に用いられる回収装置の一実施形態を、回収操作における回収装置の一連操作を(a)、(b)として順に示したものである。なお、図4において、図1と同一箇所には同一の符号を付して説明を省略する。
まず、図4(a)について説明する。反応容器1の底部に設けられた反応容器排出配管2に接続された反応容器排出弁3が設けられ、反応容器1と反応容器排出弁3の接続部には、フィルター24が設けられている。反応容器排出弁3を閉止した状態にて、反応容器1の上部壁面に設けられた反応容器供給配管4を通して、分解後水溶液9と酸10を混合しながら供給する。なお、第四の実施形態では、反応容器1に攪拌手段を設けていないため、分解後水溶液9と酸10を供給時点で混合させて供給することとしているが、反応容器1に電動機付の攪拌器等の攪拌手段を設けてもよい。
次に、図4(b)について説明する。分解後水溶液9と酸10を供給した後に加熱源5にて熱を供給し、塊状の架橋部酸共重合体固形分14を生成させる。その後、反応容器排出弁3を開ければ、水相15は反応容器1の外部へ排出され、フィルター24により塊状の架橋部酸共重合体固形分14はせき止められ、架橋部酸共重合体固形分14が反応容器1に残ることにより回収される。
第四の実施形態においては、架橋部酸共重合体固形分14を塊状として取出したが、架橋部酸共重合体固形分14がスラリー状であっても、フィルター24の網目の開口径をスラリーに含まれる架橋部酸共重合体固形分14の粒径未満に設定することで、架橋部酸共重合体固形分14はせき止められ、架橋部酸共重合体固形分14が反応容器1に残ることで回収できる。
[第五の実施形態]
図5は、スラリー状の固形分を回収する場合に用いられる回収装置の一実施形態を示したものである。
反応容器1は、筒状の容器であり、片方の開口端に反応容器供給配管4、もう一方の開口端に反応容器排出配管2を設け、内壁面には複数枚の攪拌板25がランダムな方向に設置され、外壁面には加熱源5が設置されている。反応容器供給配管4より分解後水溶液9と酸10を供給すると、分解後水溶液9と酸10が攪拌板25により攪拌混合されながら、加熱源5より熱が供給されることで、スラリー状の架橋部酸共重合体固形分14が生成され、反応容器排出配管2より取出し容器11に排出される。分解後水溶液9と酸10との混合液の加熱時間は反応容器1の内容積と分解後水溶液9と酸10との混合液流量で一義的に決定され、以下の式で計算することができるので、分解後水溶液9の処理量や装置規模を勘案し算出すればよい。
[加熱時間]=[反応容器1の内容積]/[分解後水溶液9と酸10との混合液流量]
取出し容器11には、網目の開口径がスラリーに含まれる架橋部酸共重合体固形分14の粒径未満に設定された濾過台23が設置されており、スラリーに含まれる水相は濾過台23を通過し、取出し容器排出弁13を開けることにより、取出し容器排出配管12を通して排出される。
第五の実施形態においては、スラリー状の架橋部醸共重合体固形分14の排出先は、取出し容器11としているが、固液分離手段は問わない。
[第六の実施形態]
図6は、第五の実施形態と同様、スラリー状の固形分を回収する場合に用いられる回収装置の一実施形態を示したものである。
反応容器1の底部に設けられた反応容器排出管2に接続された反応容器排出弁3を閉止した状態にて、反応容器1の上部壁面に設けられた反応容器供給配管4を通して、分解後水溶液9と酸10を供給する。その後、反応容器排出弁3および経路切換弁32のバイパス配管30側を開け、循環ポンプ31を稼動させることによって、反応容器1に供給された分解後水溶液9と酸10は攪拌混合される。さらに、加熱源5より熱を供給することで、攪拌しながらの加熱により、架橋部酸共重合体14と水相15がスラリー状となって生成される。
第六の実施形態では、循環ポンプ31からバイパス配管30を通り反応容器1に戻る循環経路を利用し、分解後水溶液9と酸10を混合させているが、反応容器1に電動機付の攪拌器等の攪拌手段を設けて分解後水溶液9と酸10を混合してもよい。
スラリー状の架橋部酸共重合体14が生成した後、経路切換弁32を分離装置入口配管27側に切換えることにより、スラリー状の架橋部酸共重合体固形分14は固形分分離装置26を通過し、水相15と分離され固形分排出口29を通り取出し容器11に回収される。分離された水相15は、分離装置出口配管28を通り反応容器1に戻る。
上記一連の循環ポンプ31による塊状の架橋部酸共重合体固形分14と水相15の混合液の循環を混合液中の架橋部酸共重合体固形分14がなくなるまで行うことで、架橋部酸共重合体固形分14と水相15が分離される。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<亜臨界水による不飽和ポリエステル樹脂の分解工程>
プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、およびジプロピレングリコールからなるグリコール類と、無水マレイン酸とを等モル量で重縮合させて不飽和ポリエステルを合成した。この不飽和ポリエステルのワニス(溶剤未添加)に架橋剤のスチレンを等モル量配合した液状樹脂100質量部に、炭酸カルシウム165質量部とガラス繊維90質量部を配合し、これを硬化させて不飽和ポリエステル樹脂成形品(以下、「熱硬化性樹脂」という)を得た。
この熱硬化性樹脂と、0.8(mol/L)のNaOH水溶液を反応容器に仕込み、反応容器を230℃にして、反応容器内の溶液を亜臨界状態にして2時間放置して、熱硬化性樹脂の分解処理を行った。
その後、反応容器を冷却して室温まで戻した。反応処理後の反応容器の内容物は、水可溶成分と未溶解樹脂残渣と炭酸カルシウムとガラス繊維であり、この内容物を分離することにより水可溶成分を水溶液(分解液)として回収した。
<実施例1>
上記分解工程で回収した上記水溶液50gに対して62.5%の硫酸をpH2.5になるまで攪拌しながら添加し、pH2.5に到達後、50℃になるまで攪拌しつつ加温した。50℃に達した後、2.5時間その温度を保持しつつ攪拌を行った。この後、攪拌を停止し、加温も止めて3時間放置したところ、スラリー状態の固形分(架橋部酸共重合体)が反応容器底に沈降した。この後、吸引濾過により固液の分離を行い、架橋部酸共重合体6.6gを得た。さらに固形分を真空乾燥させることにより架橋部酸共重合体2.3gを得た。
ここで得た架橋部酸共重合体の固形分中には、架橋部酸共重合体以外の塩など他の物質も含まれている。例えば、無機の強酸(この実施例の場合は、硫酸)を加えたことによって生成された無機塩(この実施例で考えられるものは、硫酸ナトリウム)などである。そこで、架橋部酸共重合体以外の無機塩等を溶解させるために真空乾燥させた架橋部酸共重合体に水を加え、攪拌した後、吸引濾過により固液の分離を行い、固形分を真空乾燥させることにより、不純物をほぼ含まない架橋部酸共重合体2.1gを得た。
<実施例2>
実施例1において、50℃に加温する代わりに、70℃になるまで攪拌しつつ加温した。70℃に達した後、10分間その温度を保持しつつ攪拌を行った。この後、攪拌を停止し、加温も止めて10分間放置したところ、スラリー状態の固形分(架橋部酸共重合体)が反応容器底に沈降した。この後、吸引濾過により固液の分離を行い、架橋部酸共重合体4.3gを得た。さらに固形分を真空乾燥させることにより架橋部酸共重合体2.2gを得た。
その後、実施例1と同様に、架橋部酸共重合体以外の無機塩等を溶解させるために真空乾燥させた架橋部酸共重合体に水を加え、攪拌した後、吸引濾過により固液の分離を行い、固形分を真空乾燥させることにより、不純物をほぼ含まない架橋部酸共重合体2.1gを得た。
<実施例3>
実施例1において、50℃に加温する代わりに、70℃になるまで攪拌しつつ加温した。70℃に達した後、30分間その温度を保持しつつ攪拌を行った。この後、攪拌を停止し、加温も止めて1分間放置したところ、塊状の固形分(架橋部酸共重合体)が反応容器底に沈降した。この後、吸引濾過により固液の分離を行い、架橋部酸共重合体3.4gを得た。さらに固形分を真空乾燥させることにより架橋部酸共重合体2.1gを得た。
その後、実施例1と同様に、架橋部酸共重合体以外の無機塩等を溶解させるために真空乾燥させた架橋部酸共重合体に水を加え、攪拌した後、吸引濾過により固液の分離を行い、固形分を真空乾燥させることにより、不純物をほぼ含まない架橋部酸共重合体2.0gを得た。
<実施例4>
実施例1において、50℃に加温する代わりに、90℃になるまで攪拌しつつ加温した。90℃に達した後、加温も止めて放置したところ、塊状の固形分(架橋部酸共重合体)が反応容器底に沈降した。この後、吸引濾過により固液の分離を行い、架橋部酸共重合体2.5gを得た。さらに固形分を真空乾燥させることにより架橋部酸共重合体2.1gを得た。
その後、実施例1と同様に、架橋部酸共重合体以外の無機塩等を溶解させるために真空乾燥させた架橋部酸共重合体に水を加え、攪拌した後、吸引濾過により固液の分離を行い、固形分を真空乾燥させることにより、不純物をほぼ含まない架橋部酸共重合体2.1gを得た。
<実施例5>
実施例1において、50℃に加温する代わりに、70℃になるまで攪拌せずに加温したところ、塊状の固形分が形成され、70℃のまま加温し続けると溶液上部に浮遊した。その後、加温も止め、吸引濾過により固液の分離を行い、架橋部酸共重合体3.5gを得た。さらに固形分を真空乾燥させることにより架橋部酸共重合体2.2gを得た。
その後、実施例1と同様に、架橋部酸共重合体以外の無機塩等を溶解させるために真空乾燥させた架橋部酸共重合体に水を加え、攪拌した後、吸引濾過により固液の分離を行い、固形分を真空乾燥させることにより、不純物をほぼ含まない架橋部酸共重合体2.1gを得た。
<実施例6>
実施例1において、50℃に加温する代わりに、90℃になるまで攪拌せずに加温したところ、塊状の固形分が形成され、90℃のまま加温し続けると溶液上部に浮遊した。その後、加温も止め、吸引濾過により固液の分離を行い、架橋部酸共重合体2.5gを得た。さらに固形分を真空乾燥させることにより架橋部酸共重合体2.1gを得た。
その後、実施例1と同様に、架橋部酸共重合体以外の無機塩等を溶解させるために真空乾燥させた架橋部酸共重合体に水を加え、攪拌した後、吸引濾過により固液の分離を行い、固形分を真空乾燥させることにより、不純物をほぼ含まない架橋部酸共重合体2.1gを得た。
<実施例7>
実施例1において、pHを2.5にする代わりに4.5になるまで62.5%の硫酸を加え、80℃になるまで攪拌しつつ加温した。80℃に達した後、5分間その温度を保持しつつ攪拌を行なった。この後、攪拌を停止し、加温も止めたところ、塊状の固形分(架橋部酸共重合体)が反応容器底に沈降した。この後、吸引濾過により固液の分離を行い、架橋部酸共重合体5.2gを得た。さらに固形分を真空乾燥させることにより架橋部酸共重合体2.2gを得た。
その後、実施例1と同様に、架橋部酸共重合体以外の無機塩等を溶解させるために真空乾燥させた架橋部酸共重合体に水を加え、攪拌した後、吸引濾過により固液の分離を行い、固形分を真空乾燥させることにより、不純物をほぼ含まない架橋部酸共重合体2.0gを得た。
<実施例8>
実施例1において、pHを2.5にする代わりに5.0になるまで62.5%の硫酸を加え、80℃になるまで攪拌しつつ加温した。80℃に達した後、5分間その温度を保持しつつ攪拌を行なった。この後、攪拌を停止し、加温も止めたところ、塊状の固形分(架橋部酸共重合体)が反応容器底に沈降した。この後、吸引濾過により固液の分離を行い、架橋部酸共重合体9.3gを得た。さらに固形分を真空乾燥させることにより架橋部酸共重合体2.6gを得た。
その後、実施例1と同様に、架橋部酸共重合体以外の無機塩等を溶解させるために真空乾燥させた架橋部酸共重合体に水を加え、攪拌した後、吸引濾過により固液の分離を行い、固形分を真空乾燥させることにより、不純物をほぼ含まない架橋部酸共重合体2.1gを得た。
<比較例>
上記分解工程で回収した上記水溶液50gに対して62.5%の硫酸をpH2.5になるまで攪拌しながら添加し、pH2.5に到達後、加熱せずに2.5時間攪拌し続けた。この後、攪拌を止めて3時間放置したところ、固形分が析出されたことを確認した。この固形分の態様および析出状態は、細かな固体粒子が水に安定的に分散した状態(固形分が懸濁した状態となっており、半年以上放置しても固相と水相の分離がみられなかった。)となっており、実施例1−8で得られた固形分の態様および析出状態とは全く異なる状態であった。この後、吸引濾過により固液の分離を行い、架橋部酸共重合体13.7gを得た。さらに固形分を真空乾燥させることにより架橋部酸共重合体2.9gを得た。
その後、得た架橋部酸共重合体に含まれる無機塩等を溶解させるために真空乾燥させた架橋部酸共重合体に水を加え、攪拌した後、吸引濾過により固液の分離を行い、固形分を真空乾燥させることにより、不純物をほぼ含まない架橋部酸共重合体2.0gを得た。

<含水率と脱水効果>
上記実施例1−8および比較例について、架橋部酸共重合体の含水率と脱水効果を評価した。含水率は以下の式を用いて算出した。
含水率(%)=((A−B)/A)×100
A:乾燥前の架橋部酸共重合体の質量、B:乾燥後の架橋部酸共重合体の質量
<回収率とpHの効果>
上記実施例1−8および比較例について、純粋な架橋部酸共重合体の回収率とpHの効果を評価した。回収率は以下の式を用いて算出した。
回収率(%)= (C / D)×100
C:水洗い後の乾燥架橋部酸共重合体の質量
D:実施例4での水洗い後の乾燥架橋部酸共重合体の質量
結果を表1に示す。
Figure 2010229244
表1に示したように、実施例1−8は比較例よりも含水率が低いことがわかる。また、架橋部酸共重合体を1とした場合の水分量をみてみると、実施例1は比較例の約半分、実施例4は比較例の約20分の1であり、熱を加えた場合の架橋部酸共重合体の水分量が熱を加えない場合に比べて少ないことがわかる。このように、亜臨界水分解によって生成する多量の水を含みやすい架橋部酸共重合体を様々な溶剤等を添加することなく熱を供給することで、より脱水した状態の固形分として取り出すことが可能となった。この結果、固形分(架橋部酸共重合体)と多価アルコール、多塩基酸を含む水溶液を容易かつ他の溶剤要因を増やすことなく、さらにロスなく分離することが可能となり、多価アルコール、多塩基酸を含む原料より製造されたプラスチックを再度同様のプラスチックとして利用できる形で分解、分離、回収することができる。
また、実施例1−8の結果から、架橋部酸共重合体を析出させる工程において特に分解液のpHが5以下になるように酸を供給することにより、架橋部酸共重合体をより効率よく確実に析出させて分離、回収できることが確認できた。

Claims (6)

  1. ポリエステル部とその架橋部を含む熱硬化性樹脂を熱分解温度未満の温度の亜臨界水で分解する工程と、分解液に酸及び熱を供給して熱硬化性樹脂のポリエステル部とその架橋部を構成する多塩基酸の化合物である架橋部酸共重合体を固形分として析出させる工程と、析出した架橋部酸共重合体を回収する工程を有することを特徴とする熱硬化性樹脂の分解・回収方法。
  2. 架橋部酸共重合体を析出させる工程において、分解液のpHが5以下になるように酸を供給することを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性樹脂の分解・回収方法。
  3. 架橋部酸共重合体を析出させる工程において、分解液の温度が40℃より高くなるように熱を供給することを特徴とする請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂の分解・回収方法。
  4. 架橋部酸共重合体を析出させる工程において、架橋部酸共重合体をスラリー状態の固形分として析出させることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂の分解・回収方法。
  5. 架橋部酸共重合体を析出させる工程において、架橋部酸共重合体を塊状の固形分として析出させて分解液中に沈降させることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂の分解・回収方法。
  6. 架橋部酸共重合体を析出させる工程において、架橋部酸共重合体を塊状の固形分として析出させて分解液中に浮上させることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂の分解・回収方法。
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