JP2010228263A - スラリー吐出装置、スラリー塗布装置、及び目封止ハニカム構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内部にスラリー10が収容され、排出口20を有する収容部2と、収容部2内に配置される推力付与部3と、排出口20に連通する導入口11とスラリー10を吐出するスリット状の吐出口12とが設けられているノズル部4と、を備え、吐出口12は、吐出口12の長手方向8の各位置における、スラリー10の単位時間あたりの吐出量を略同一とするように、長手方向8の各位置での吐出口12の幅方向9の長さが定められて形成されている、スラリー吐出装置1とする。
【選択図】図1
Description
前記収容部内に配置され、前記スラリーを前記排出口に向かって押し出す推力付与部と、前記排出口に連通して前記スラリーを流入させる導入口と、内部に流入した前記スラリーを吐出するスリット状の吐出口と、が設けられているノズル部と、を備え、前記吐出口は、前記吐出口の長手方向の各位置における前記スラリーの単位時間あたりの吐出量を略同一とするように、前記長手方向の各位置での前記吐出口の幅方向の長さが定められて形成されているスラリー吐出装置。
1−1.本発明のスラリー吐出装置の基本的な形態:
1−1−1.本発明のスラリー塗布装置の概略:
本発明のスラリー吐出装置は、ノズル部のスリット状の吐出口からスラリーを吐出するものである。図1は、本発明のスラリー吐出装置の一実施形態の縦断面図である。収容部2内に設置されている推力付与部3については、断面でなく側面を表す。本発明のスラリー吐出装置1は、収容部2、推力付与部3、及びノズル部4を備える。スラリー10は、スラリー吐出装置1の内部の流路において、収容部2からノズル部4に流れ、ノズル部4から外部に吐出される。
収容部2は、内部にスラリー10を収容し、この収容されたスラリー10を排出する排出口20が設けられている。この形態が具備される限りにおいては、収容部2は、推力付与部3やノズル部4の形態、スラリー10の性状、及びスラリー吐出装置1の使用状況などに応じた形態にできる。
推力付与部3は、収容部2内に配置されている。図1では、推力付与部3として、一軸偏心ネジポンプ61が表されている。なお、一軸偏心ネジポンプの詳細な説明は後述する。推力付与部3は、収容部2内にあるスラリー10を排出口20に向かって押し出すものであればよい。推力付与部3は、図1に表す一軸偏心ネジポンプ61の他に、油圧や空圧で駆動するシリンダ、チュービングポンプなど、本発明の技術的分野に属する当業者が通常用いうるものでよい。
図2は、図1に示すスラリー吐出装置1に装着されているノズル部4について、吐出口12の側からみた斜視図である。図3は、図2に示すノズル部4を、吐出口12の側からみた平面図である。ノズル部4には、スリット状の吐出口12が設けられている。
図4Aは、図2に示すA−A’断面、すなわち吐出口12の長手方向8に沿ったノズル部4の縦断面図である。図4Bは、図2に示すB−B’断面、すなわち吐出口12の幅方向9に沿ったノズル部4の縦断面図である。ノズル部4は、導入口11が設けられている。導入口11は、排出口20と連通している。よって、収容部2内を排出口20まで流れたスラリー10は、導入口11からノズル部4の内部に流入する(図1参照)。
ノズル部4は、流路断面の面積の大きい流路が形成されている、バッファ部13が設けられ、このバッファ部13にスラリーを滞留させる形態にもできる。図4A及び図4Bに示すノズル部4では、導入口11が大きく開かれており、バッファ部13は、導入口11近傍において、その流路断面の面積が導入口11の開口面積と同じに形成されている。バッファ部13が設けられると、導入口11から流量及び/又は流速に偏りを有してスラリー10が流入したときに、これら偏りを緩和させることができる。このバッファ部13の形態は、導入口11からスラリー10が流入する状態や、スラリー10の性状に応じて定めることができる。ただし、スラリー粘度が低くなるほど効果が小さくなるためバッファ層は補助的な位置づけとなる。
図5は、図3のノズル部4の平面図における、吐出口12の拡大図である。本発明のスラリー吐出装置1に備えられるノズル部4の吐出口12は、長手方向8において、流速のばらつきを有してスラリー10が吐出口12に流れるときにも、長手方向8に沿ってほぼ均一な流量にてスラリー10を吐出できる形態を備える。具体的に述べると、吐出口12は、その長手方向8の各位置における単位時間あたりのスラリー10の吐出量が略同一となるように、長手方向8の各位置での幅方向9の長さが定められて形成されている。
上述のノズル部4の形態による作用効果を活かすため、ノズル部4は、長手方向8の各位置でのスラリー10の流速の差を少なくしていくように吐出口12までスラリーを流す形態にすると好ましい。そこで、ノズル部4は、吐出口12まで形成されているスリット状の流路断面の流路を有し、スラリー10を長手方向8に連続させて吐出口12まで流す先端部14を設けると好ましい。図10は、図2に示すC−C’断面、すなわちノズル部4の横断面図である。C−C’断面の位置は、図4A及図4Bの縦断面図においても示す。
本発明のスラリー吐出装置1では、推力付与部3が、流量及び流速に偏りを生じさせてスラリー10を押し出す形態も有効に適用できる。
一軸偏心ネジポンプ61は、脈動なく、連続的、定量的にスラリーを押し出すことができるため、本発明のスラリー吐出装置1の推力付与部3として好適である。図14は、推力付与部3として一軸偏心ネジポンプ61が内部に設けられている収容部2の縦断面である。推力付与部3として一軸偏心ネジポンプ61が用いられるときには、収容部2の内部に、ネジ形状のローター62とステーター63が設けられる。
2−1.本発明のスラリー塗布装置の基本的な形態:
次に、本発明者等が完成させた、スラリー塗布装置(以下、「本発明のスラリー塗布装置」)について説明する。図16は、本発明のスラリー塗布装置21が、底面22上にスラリー10を平面状にて塗布する様子を模式的に表す。図17は、図16に表すスラリー10の塗布の様子を底面22の上側からみた図である。
図18には、本発明のスラリー塗布装置21の一実施形態を表す。図19に示すスラリー塗布装置21の貯留部24は、底面22の周囲を側壁23が囲む皿形状である。側壁23が設けられることにより、塗布されたスラリー10が、底面22上で流動することを防げる。スラリー10の流動が防がれると、スラリー10の界面30の形状が変化することも防がれるため、スラリー10の界面30が、当初の平らな形状のまま保持される。
本発明のスラリー塗布装置21は、底面22上に塗布されたスラリー10の流動を防ぎ、スラリーの界面30を平らな形状のまま保たせるために、次に述べる保持部25を備えることができる。図20は、保持部20の一形態を表し、上に正面図、下にA−A’断面での縦断面図を表す。保持部25は、底面22上に塗布されたスラリー10を包囲する環状の壁部26を有する。さらに、この壁部26の下面40は、底面22に密着させることができる。この実施形態のスラリー塗布装置21において、保持部25がスラリー10の流動を防ぐ様子を図21及び22に示す。図21は、底面22の上からみた平面図である。図22は、図21に示すA−A’断面における縦断面図である。
上述の本発明のスラリー塗布装置21は、目封止ハニカム構造体の製造の際、ハニカム成形体51のセルの端部にスラリー10を充填する工程に用いるとよい。本発明のスラリー塗布装置21では、図7及び22に示すような平らな界面30を有するように、スラリー10を平面状に塗布できる。次に、図23に示すように、この平らなスラリー10の界面30にハニカム成形体51のセルが開口している端面56を合わせて、ハニカム成形体51の端面56をスラリー10に浸漬すると、セル内に均一な深さにてスラリー10が充填できる。
本評価試験において、スラリー塗布装置21は、本発明に属するスラリー吐出装置1を備えたもの、又は本発明に属さないスラリー吐出装置1を備えたものを作製した。これらスラリー塗布装置21を用いてスラリー10を底面22上に平面状に塗布し、通常の方法によりスラリー10をハニカム成形体51の端部のセル内に充填した後、任意に選択した複数のセルでのスラリー10の充填の深さのばらつきを調べた。
スラリー吐出装置1は、収容部2を円筒形状とし、推力付与部3には一軸偏心ネジポンプを共通して使用した(図1参照)。ノズル部4のバッファ部13は、直径37mmの円柱形状の流路から構成され、導入口11から先端部14の側に向かって長さ3mmまで形成されているものを用いた。先端部14の長さは、25.3mmであり、吐出口12の長手方向8での長さは36mmとした。実施例1〜4及び比較例1は、先端部14及び吐出口12の形状により定めた。
実施例1〜4のノズル部4は、図3及び5に示すような吐出口12がスリット状であり、吐出口12の幅方向9の長さが、長手方向8での中心で最も小さく、両端に向かって連続的に大きくなる形状とした。実施例1〜4のノズル部4の先端部14及び吐出口12の形状については、表1に示す。
比較例1のノズル部4では、図12に示すような、先端部14を円柱パイプが並列した櫛状とし、吐出口12を各円柱パイプの先に形成した(表1)。
スラリー塗布装置21は、実施例1〜4又は比較例1のスラリー吐出装置1と、長辺38mm×短辺38mmの矩形の底面22とその周囲を側壁23が囲む皿状の貯留部24とを備えたものとした(図18及び図19を参照)。以下、実施例1〜4、又は比較例1のスラリー吐出装置1それぞれを備えたスラリー塗布装置21のことを、実施例1〜4、又は比較例1のスラリー塗布装置21と称する。
スラリー10は、次の3種の粘度のものを調製した。スラリーAの粘度は、176dPa・s、スラリーBの粘度は、295dPa・s、スラリーCの粘度は、467dPa・s、とした。ここで、「スラリーの粘度」とは、回転式粘度計により測定した値である。粘度計は東機産業社製のTVB−10H、回転ロータH7を使用し、測定条件として回転速度30rpm、ロータ回転開始5分後の数値を測定値としている。
実施例1〜4及び比較例1のスラリー塗布装置21について、表1に示すような組合せにてスラリー10を平面状に塗布し、これにハニカム成形体51の端部を浸漬させることにより、スラリー10の充填を行った。ハニカム成形体51は、炭化珪素製であり、長さ8インチ、端面及びセルの貫通方向に垂直な断面が外径37.5mm×37.5mmの四角形であり、セルの貫通方向に垂直な断面でのセル密度が46.5セル/cm2(300セル/inch2)、隔壁の厚みが約0.3mm、のものを使用した。
スラリーの充填深さのばらつきの度合いの評価は、粘度の異なるスラリーA〜Cそれぞれについて分けて行った。スラリーAについての評価は、比較例1のスラリー塗布装置21によって塗布したスラリー10をハニカム成形体51の端部のセル内に充填したときの、スラリーの充填深さのばらつきに対し、実施例1〜4のスラリー塗布装置21それぞれによって塗布したスラリー10をハニカム成形体51の端部のセル内に充填したときの、スラリー10の充填深さのばらつきを百分率比(%)により求め、これを「封止深さ相対ばらつき」とした。スラリーB及びCについての評価も同様である。スラリー10の充填深さのばらつきは、ハニカム成形体51の端面において、略同一の間隔にて離れている13個のセルを任意に選択することを独立に2回行い、計26個のセルでのスラリー10の充填深さを測定し、この測定値から算出される、標準偏差と規定した。
Claims (9)
- 内部にスラリーが収容され、前記スラリーを排出する排出口を有する収容部と、
前記収容部内に配置され、前記スラリーを前記排出口に向かって押し出す推力付与部と、
前記排出口に連通して前記スラリーを流入させる導入口と、内部に流入した前記スラリーを吐出するスリット状の吐出口と、が設けられているノズル部と、を備え、
前記吐出口は、前記吐出口の長手方向の各位置における前記スラリーの単位時間あたりの吐出量を略同一とするように、前記長手方向の各位置での前記吐出口の幅方向の長さが定められて形成されているスラリー吐出装置。 - 前記ノズル部は、前記長手方向の各位置での前記スラリーの流速の差が前記吐出口において少なくなるように先端部を設け、
前記先端部は、前記スラリーを前記長手方向に連続させて流すように、スリット状の流路断面を有する流路が前記吐出口まで形成されている請求項1に記載のスラリー吐出装置。 - 前記推力付与部は、流量及び流速に偏りを生じさせながら、前記スラリーを前記ノズル部の内部に流入させる請求項1又は2に記載のスラリー吐出装置。
- 前記推力付与部は、前記排出口が部分的に塞がれ、さらに前記排出口が塞がれる位置及び面積を経時的に変化させながら、前記長手方向の中心では前記スラリーの平均流量を多くしかつ前記長手方向の端側では前記スラリーの平均流量を少なくして、前記ノズル部の内部に前記スラリーを流入させ、
前記ノズル部は、前記吐出口の前記幅方向の長さが、前記長手方向の中心で最も小さくかつ前記長手方向の端又は前記端の近傍で最も大きい請求項1〜3のいずれか一項に記載のスラリー吐出装置。 - 前記推力付与部は、前記スラリーを連続的に押し出す回転容積型の一軸偏心ネジポンプであり、前記一軸偏心ネジポンプが、前記長手方向の中心では前記スラリーの平均流量を多くしかつ前記長手方向の端側では前記スラリーの平均流量を少なくして、前記ノズル部の内部に前記スラリーを流入させ、
前記ノズル部は、前記吐出口の前記幅方向の長さが、前記長手方向の中心で最も小さくかつ前記長手方向の前記端又は前記端の近傍で最も大きい請求項4に記載のスラリー吐出装置。 - 前記ノズル部は、前記ノズル部は、前記吐出口の前記幅方向の長さが、前記長手方向の中心で最も小さくかつ前記長手方向の前記端に向かって大きくなる請求項1〜5のいずれか一項に記載のスラリー吐出装置。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のスラリー吐出装置と、
平らな底面を有し、前記スラリー吐出装置から吐出された前記スラリーを受け入れる貯留部と、を備え、
前記スラリー吐出装置は、前記ノズル部が前記底面の上にあるように設けられ、前記ノズル部の前記吐出口が前記底面に向けられて、さらに、前記ノズル部が、前記吐出口から前記スラリーを吐出しながら、前記底面に対して相対的に一定速度で移動して、前記底面上に前記スラリーを平面状にて塗布するように設けられている、スラリー塗布装置。 - 前記底面上に前記スラリーが塗布された後に、前記スラリーの流動を抑えながら前記スラリーの界面の形状を保持する保持部を備え、
前記保持部は、前記底面から分離可能なものであり、前記底面上に塗布された前記スラリーを包囲する環状の壁部を有し、さらに前記壁部には前記底面に密着させる下面が設けられている、請求項7に記載のスラリー塗布装置。 - 請求項7又は8に記載のスラリー塗布装置を用い、
前記底面上に前記スラリーを平面状にて塗布した後、ハニカム成形体のセルが開口している端面を前記スラリーに浸漬して、前記スラリーを前記セル内に充填させる工程を有する、目封止ハニカム構造体の製造方法。
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