JP2010227794A - 塩素製造用触媒および該触媒を用いた塩素の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、酸素条件下で、塩化水素を酸化して塩素を製造する際に用いる触媒であって、空間速度が速い反応条件下でも高活性を実現でき、かつ価格的にも安価で安定に供給ができる触媒を提供することを目的としている。
【解決手段】本発明の塩素製造用触媒は、酸素存在下で、塩化水素を酸化して塩素を製造する際に用い、かつ、該触媒が、銅元素、アルカリ金属元素、およびランタノイドと酸素との結合解離エネルギーが100〜185kcal/molであるランタノイドを含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、塩素製造用触媒および該触媒を用いた塩素の製造方法に関する。
塩素は、塩化ビニル、ホスゲン等の原料として有用である。塩素を製造する方法としては、主に食塩電解法、あるいは塩化水素の触媒的酸化等がある。
食塩電解法は、多くの電力を用いるため、エネルギー的に不利であり、また苛性ソーダを副生するため、両者のバランスを考慮しなければならない。
一方、塩化水素の触媒的酸化による製造は、塩化ビニルやホスゲンの製造などの塩化水素を副生するプロセスにおいて得られる塩化水素を原料として用いるため、副生物の有効利用の観点から有利である。
上記塩化水素の触媒的酸化による、塩化水素からの塩素の製造においては、その反応が発熱反応であり、平衡転化率が温度の影響を受け低温で行うほど有利である。この反応に用いられる触媒としては、例えば、銅を主成分とするDeacon触媒、Cr23/SiO2触媒、Ru/TiO2触媒などが知られている(例えば、特許文献1参照)。
銅を主成分とするDeacon触媒については、例えば、比表面積200m2/g以上および平均細孔直径60Å以上のシリカゲル担体に塩化銅、アルカリ金属塩化物、塩化ジジミウム等の希土類塩化物を担持した触媒(例えば、特許文献2参照)、比表面積が410m2/g、細孔容積が0.72ml/gのシリカゲルを用いて銅、カリウム、ジジミウムを含浸し調製した流動床触媒(例えば、特許文献3参照)などが知られている。
しかしながら、これらの触媒には、一長一短がある。Deacon触媒やCr23/SiO2触媒は、活性成分は安価であるが、活性が不充分なため、高温での反応が必要になる。塩酸酸化の反応は発熱反応であり、反応平衡があるため、高温ほど転化率は低くなってしまう。一方、RuO2/TiO2触媒は、少量担持でも高活性であるが、廃触媒から貴金属を回収、リサイクルする必要があり、また、昨今のRuの需要増により価格が上昇するなど、安定供給やコスト面で不利である。
また、ジジミウムは、様々な希土類元素を含む混合物であるが、混合物であるが故に、その採掘場所や時期によって、組成が一定ではなく、そのため、ジジミウムを用いた触媒は活性が一定ではないため安定した使用ができない。
さらに、特許文献2では、種々の希土類元素を用いて活性評価を行っているが、評価は、空間速度が遅い条件下で行っているため、触媒に対する負荷が小さく、ほとんどの触媒で平衡転化率に達しているため、各ランタノイド間の反応活性の差異は見出せない。
特開平9−67103号公報 米国特許3260678号明細書 米国特許3483136号明細書
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、酸素存在下で、塩化水素を酸化して塩素を製造する際に用いる触媒であって、空間速度が速い反応条件下でも活性が高く、価格的にも安価で安定に供給ができる触媒を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、銅元素と、アルカリ金属元素と、ランタノイドと酸素との結合解離エネルギーが特定の範囲であるランタノイドとを含有する塩素製造用触媒が、空間速度が速い反応条件下でも、活性が高く、安価に安定供給が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明には、以下の事項が含まれる。
本発明の塩素製造用触媒は、酸素存在下で、塩化水素を酸化して塩素を製造する際に用いる触媒であって、該触媒が、銅元素、アルカリ金属元素、およびランタノイドと酸素との結合解離エネルギーが100〜185kcal/molであるランタノイドを含有することを特徴とする。
また、塩素製造用触媒は、塩素製造用触媒100重量%あたり、銅元素を0.5〜10重量%含み、銅元素とランタノイドとの重量比が、1:0.2〜1:3.0であり、銅元素とアルカリ金属元素との重量比が、1:0.1〜1:2.5であることも好ましい。
前記ランタノイドは、プラセオジム、サマリウム、ユーロピウム、ネオジムおよびジスプロシウムからなる郡から選択される少なくとも1種の元素を含むことも好ましい。
前記アルカリ金属元素は、カリウムを含むことも好ましい。
本発明の塩素の製造方法は、酸素存在下で、塩化水素を酸化して塩素を製造する方法において、触媒として、本発明の塩素製造用触媒を用いることを特徴とする。
本発明の塩素製造用触媒は、従来の反応条件下における、銅元素とアルカリ金属元素と希土類元素とをシリカに担持した触媒と比較して、空間速度が速い反応条件下でも高活性を実現でき、安価に安定供給が可能である。そのため、該触媒を用いることで、より低温下で、効率的かつ経済的に塩素の製造を行うことができる。
本発明の塩素製造用触媒は、酸素存在下で、塩化水素を酸化して塩素を製造する際に用いる触媒であって、銅元素、アルカリ金属元素、およびランタノイドと酸素との結合解離エネルギーが100〜185kcal/molであるランタノイドを含有することを特徴とする。また、本発明の塩素製造用触媒は、酸素存在下で、塩化水素を酸化して塩素を製造する方法において、好適に用いることができる。
以下、本発明について、詳細に説明する。
〔ランタノイド〕
本発明において、ランタノイドとは、ランタン系列の元素を示し、周期表におけるランタン(原子番号:57)からルテチウム(原子番号:71)までの15の元素の総称である。また、ランタノイドと酸素との結合解離エネルギーの値は、ランタノイド毎に異なっており、原子番号の順列と何ら関係を有しない。本発明において、ランタノイドと酸素との結合解離エネルギーは、有機金属反応剤ハンドブック223頁表2に記載の298KでのLn−O(ランタノイドと酸素との)結合解離エネルギーD298(玉尾皓平編著、化学同人、発行年月:2004年7月)の値を参考にした(下記表1)。
Figure 2010227794
本発明の塩素製造用触媒は、298Kでのランタノイドと酸素との結合解離エネルギ−が100〜185kcal/molであるランタノイドを含有する。本発明において、ランタノイドと酸素との結合解離エネルギーが上記範囲にあるランタノイドを含む触媒を用いると、塩化水素および酸素の空間速度が速い条件下でも、高活性で、安定して塩化水素の酸化を行うことができる。なお、このような効果は、結合解離エネルギーが上記範囲にあるランタノイドは、塩化水素および酸素の空間速度が速い条件下においても、酸素と適度な親和力を保つためと推定される。本発明に係るランタノイドは、単独で使用しても、2種以上で使用してもよい。結合解離エネルギ−が上記範囲にあるランタノイドの中では、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユ−ロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウムが好ましく、さらに、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ジスプロシウムが、より高活性で安定して塩化水素の酸化を行うことができ、さらに好ましくは、安価に安定供給できる点から、サマリウムである。
また、本発明の塩素製造用触媒には、本発明の目的を損なわない範囲で、ランタノイドと酸素との結合解離エネルギーが、100〜185kcal/molから外れたランタノイド(例えば、ランタンやセリウム)、あるいは、ランタノイド以外の希土類元素(スカンジウムおよびイットリウム)等が含有していてもよい。
〔銅元素〕
本発明の塩素製造用触媒に含まれる銅元素は、原子価が1価、2価いずれの状態で含まれていてもよい。
〔アルカリ金属元素〕
本発明の塩素製造用触媒に含まれるアルカリ金属元素としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムが挙げられる。これらのアルカリ金属は単独で使用しても、2種以上で使用しても良い。このうち、ナトリウム、カリウムが好ましく、カリウムが、高活性の触媒を得られるためより好ましい。なお、カリウムを用いると、高活性の触媒が得られる理由は、酸素とランタノイドとの親和性をより良好にさせることができるためと推定される。
〔塩素製造用触媒〕
本発明の塩素製造用触媒は、酸素存在下で、塩化水素を酸化して塩素を製造する際に用いる触媒であり、銅元素、アルカリ金属元素、およびランタノイドと酸素との結合解離エネルギーが100〜185kcal/molであるランタノイドを含有する。
本発明の触媒は、空間速度が速い反応条件下でも、活性が高いため、安価に安定供給が可能である。そのため、本発明の触媒を用いることで、より低温下で、効率的かつ経済的に塩素の製造を行うことができる。
本発明の塩素製造用触媒は、塩素製造用触媒100重量%あたり、銅元素を0.5〜10重量%含み、好ましくは0.8〜9.5重量%含み、より好ましくは1〜9重量%含み、銅元素とランタノイドとの重量比(銅元素:ランタノイド)が、1:0.2〜1:3.0であり、好ましくは1:0.3〜1:2.5であり、より好ましくは1:0.5〜1:2.0であり、銅元素とアルカリ金属元素との重量比(銅元素:アルカリ金属元素)が、1:0.1〜1:2.5であり、好ましくは1:0.2〜1:2.0である。上記範囲では各元素が複合化しやすく、触媒の活性に優れる。
触媒の細孔構造としては、特に限定されるものではないが、全細孔容積は0.2〜2.0ml/gが好ましい。さらに好ましくは0.3〜1.9ml/gである。平均細孔直径は、特に限定されるものではないが、5〜60nmが好ましい。さらに好ましくは6〜55nmである。細孔構造は、反応物、および生成物の拡散、移動に関係しており、大きすぎると拡散は速いが触媒表面への到達頻度が下がるおそれがあり、小さすぎると逆に拡散が遅くなるおそれがある。触媒の比表面積は、通常は50m2/g〜550m2/g、好ましくは60m2/g〜500m2/gである。比表面積は大きいほど活性点が増えるため好ましいが、比表面積の増大に伴って、細孔構造は崩壊しやすくなるため上記範囲であることが好ましい。
本発明の塩素製造用触媒は、通常上記活性成分が担体に担持されている。活性成分を分散、担持する担体は、塩酸、塩素に対して分解しない耐腐食性を有するものを用いることが好ましい。
また、担体の形状は粒子状、顆粒状、あるいは種々の成形体でも構わないが、活性成分を均一に分散担持するためには、粒子状であることが好ましい。また、担体の素材としては、シリカ、シリカアルミナ、チタニア、ジルコニア、などが挙げられるが、なかでもシリカが好ましい。シリカ担体は通常の市販のシリカゲル、ヒュームドシリカ等、いずれも用いることができる。塩素製造用触媒中の担体の含有量は、触媒100重量%あたり、通常99〜65重量%、好ましくは97〜69重量%、より好ましくは94〜72重量%である。上記範囲では、触媒の活性と強度とを両立することができるため好ましい。
また本発明の触媒は、上記活性成分および担体以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。その成分としては、パラジウム元素、イリジウム元素、クロム元素、バナジウム元素、ニオブ元素、アルカリ土類金属元素などがあげられる。これら他の成分が含まれる場合には、担体100重量部あたり、通常0.01〜10重量部の範囲で含まれる。
〔塩素製造用触媒の製造方法〕
本発明の塩素製造用触媒を製造するための方法としては特に限定されないが、例えば次のような方法で製造することができる。
本発明の触媒を製造する方法は、銅化合物とアルカリ金属化合物とランタノイドの化合物とを、担体に分散する工程を有し、また銅化合物とアルカリ金属化合物とランタノイドの化合物とが分散した担体を室温〜600℃で乾燥、あるいは焼成する工程を有することが好ましい。
上記製造方法において、活性成分である銅元素、アルカリ金属元素、およびランタノイドは、それぞれ銅化合物、アルカリ金属化合物、およびランタノイドの化合物として担体に分散される。なお、銅化合物、アルカリ金属化合物、およびランタノイドの化合物は、どのような化合物でもよいが、通常はそれぞれ独立にハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、アルコキシドまたは錯塩である。担体としては、平均細孔直径5〜60nm、全細孔容積0.3〜2.5ml/g、比表面積は、50m2/g〜600m2/gのものを用いることが好ましく、平均細孔直径6〜60nm、全細孔容積0.4〜2.0ml/g、比表面積は、70m2/g〜570m2/gのものを用いることがより好ましい。
前記担体に分散する方法については特に限定されず、真空チャンバー内での上記元素の蒸着、気相担持、液相担持のいずれの方法も使用できるが、操作性や、均一分散性を考慮すると、液相担持が望ましい。液相担持の場合、各活性成分を含む化合物を溶媒に添加し、原料溶液や原料が溶媒中に分散した原料分散液とした後に、触媒担体に吹き付けてもよいし、あるいは、触媒担体を、前記原料溶液や原料分散液中に浸した後、そのまま、原料溶液や原料分散液を攪拌しながら蒸発乾固を行ってもよく、また、触媒担体を、前記原料溶液や原料分散液中に浸した後、触媒担体をこの原料溶液や原料分散液中から引き上げ、乾燥する方法でも構わない。触媒担体を原料溶液や原料分散液中に浸して分散担持する場合は、担持量が少ない場合には、再度触媒担体を原料溶液や原料分散液中に浸すことにより、活性成分の含有率を上げることができる。前記原料溶液や原料分散液中の活性成分は、担体の細孔内へ入る大きさであれば、溶媒中に溶解していない、固体状態のままでも構わないが、活性成分を均一に細孔内へ分散させるためには、各活性成分が溶媒中に溶解した状態すなわち原料溶液であることが好ましい。
これらの各活性成分を担体に分散することにより得られた本発明の塩素製造用触媒は、該触媒に残存する、原料溶液や原料分散液由来の溶媒量が、該触媒の細孔容積より少ない量にすることが好ましい。触媒に残存する溶媒量が、触媒の細孔容積よりも大きいと、活性成分を分散した触媒を反応器に充填した後に、触媒表面に出ている溶媒が触媒表面から蒸発、あるいは揮散する際に、活性成分が移動することになり、活性成分の触媒担体への担持量が不均一となる。触媒に残存する溶媒量が、触媒の細孔容積よりも少ない量であれば、触媒中に溶媒を含んでいても、表面は濡れずに、活性成分は触媒細孔内に固定されたままのため、担持量は均一で変化することはない。
これら液相で担持する場合の各活性成分の溶媒としては、活性成分を含む化合物を溶解または分散できるものであれば特に限定されないが、取り扱いの容易さから水が好ましい。活性成分を溶媒に溶解、分散するときの濃度は、活性成分の化合物が均一に溶解または分散できれば、特に制限されないが、濃度が低すぎると、担持に時間がかかるため、活性成分および溶媒の合計100重量%当たりの活性成分量は、好ましくは1〜50重量%、更に好ましくは2〜40重量%である。
本発明の塩素製造用触媒の製造方法においては、前記分散後の触媒に細孔容積以上の量の溶媒が残存する場合には、前記分散後、反応器への充填前に溶媒除去が必要となるが、細孔容積以下の溶媒量であれば、そのままの状態で反応に用いても、溶媒除去を行ってもよい。溶媒を除去する場合には、乾燥だけでも良いが、更に焼成を行ってもよい。乾燥条件としては、特に限定はないが、通常は大気中または減圧下、0〜120℃、10min〜24hrの条件で実施される。
本発明の触媒の製造方法においては、銅化合物とアルカリ金属化合物とランタノイドの化合物とが分散した担体を200〜600℃で焼成することが好ましい。温度以外の焼成条件としては、通常大気中、1〜10hrの条件で実施される。
銅化合物、アルカリ金属化合物、ランタノイドの化合物および担体の使用量としてはその担持方法によっても異なるが、得られる触媒に含まれる銅元素、アルカリ金属元素、およびランタノイドが前述の範囲内になる量を用いることが好ましい。
上記製造方法によって得られる触媒の形状は、特に限定されず、いずれの形状でも用いることができるが、例えば、粉体状、顆粒状、ペレット状、球状、ヌードル状等が挙げられる。サイズについても、反応器に充填可能なサイズであればいずれのものでもよい。
また担体として、シリカ担体を用いる場合には、市販されているものをそのまま使用することもできるが、30〜700℃の温度で乾燥または焼成して使用することもできる。
さらに上記銅化合物とアルカリ金属化合物、およびランタノイドの化合物に加えて、パラジウム化合物、イリジウム化合物、クロム化合物、バナジウム化合物、ニオブ化合物、アルカリ土類金属化合物などその他の化合物を担体に分散させる場合にも、その添加方法は特に限定されず、銅化合物とアルカリ金属化合物、およびランタノイドの化合物と一緒に溶液にして担体に分散しても良いし、別途、先に担体に分散しても、あるいは後から担体に分散しても良い。このようにして上記活性成分および担体以外の成分を含んでいる塩素製造用触媒を得ることができる。本発明の触媒にこれら他の成分が含まれる場合には、担体100重量部あたり、金属元素換算で通常0.01〜10重量部の範囲である。
〔塩素の製造方法〕
本発明の塩素製造用触媒を用いた塩素の製造法について説明する。
本発明の塩素の製造方法は、本発明の触媒および酸素の存在下で、塩化水素を酸素により酸化して塩素を製造する方法であることを特徴とする。
上記触媒は、塩化水素を酸素により酸化して塩素を製造する際の触媒として好適に用いることができる。
塩化水素と酸素とが反応する範囲であれば、反応条件は特に限定されない。また反応方式については、バッチ式、流通式のいずれでもよい。流通式の場合、反応器は流動床、固定床、あるいは移動床のいずれでもよく、それぞれの反応様式によって、触媒形状も決まる。本反応は平衡反応であるため、反応温度が高すぎると転化率が低下し、低すぎると触媒の活性が充分でないため、反応温度は、通常は250〜500℃、好ましくは320〜420℃で行う。反応時の圧力は、操作性を考慮すれば、大気圧〜50気圧程度がよい。
反応に用いる酸素の酸素源としては、空気をそのまま使用してもよいが、平衡反応であるため、転化率は100%に至らず、未反応塩酸と生成物である塩素との分離が必要である。したがって、酸素源は不活性な窒素ガスを含まない純酸素がより好ましい。塩化水素に対する酸素の理論モル比(酸素/塩化水素)は0.25であるが、一般的に理論量よりも酸素を過剰に供給する方が高活性を得ることができる。本発明においては、塩化水素に対する酸素のモル比(酸素/塩化水素)を0.35〜10と、好ましくは0.4〜8と、酸素濃度を高くし、より効率的に塩素を製造することができる。なお、モル比が10を越えると、塩化水素の濃度が低くなり、生産性が悪くなり経済的でない。
また触媒重量に対する塩化水素の供給速度は、触媒1kgあたり、通常130〜3000L/h(0℃基準)である。
触媒重量当りの全ガス流量で表される空間速度(0℃基準)としては、300〜10000L/kg/hが好ましく、400〜8000L/kg/hがさらに好ましい。空間速度が遅すぎると、触媒当りの塩素収量が少なくなるおそれがあるため実用的でなく、速すぎると触媒の活性が低くなり、塩化水素転化率が低下するおそれがあるため、好ましくない。
以下、本発明を実施例、比較例によって更に詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
実施例、比較例において、ランタノイドと酸素との結合解離エネルギーは、前述した有機金属反応剤ハンドブックに基づいた。担体および触媒の細孔容積、平均細孔直径は、オートソープ3(カンタクローム製)を用いて測定した吸着等温線を、BJH(Barrett−Joyner−Halenda)法で解析して求めた。比表面積は、BET法により求めた。測定によって得られる細孔直径の測定範囲は1〜100nmである。
なお、以下の実施例または比較例で得た触媒の触媒活性評価は、特に記述がない限りは、以下の条件にて実施した。
得られた触媒を10〜20メッシュの粒径にそろえた。次いで該触媒を1/2インチの反応管に2g充填し、塩化水素を57ml/min、酸素を28.5ml/min供給(酸素/塩化水素モル比0.5、0℃基準の空間速度2565L/kg/h)し、反応温度390℃で固定床で反応させた。ヨウ化カリウム(関東化学、オキシダント測定用)を水に溶解し、0.2mol/l溶液を調整し、この溶液300mlに生成ガスを8分間吸収させ、0.1mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液(関東化学)で生成した塩素の量を測定し塩化水素の転化率を求めた。得られた触媒について、比表面積、全細孔容積、平均細孔直径、および塩化水素添加率を表2に示した。
[実施例1]
平均細孔直径12.3nm、比表面積556m2/g、全細孔容積1.7ml/gのシリカ粉体(富士シリシア製、粒径3.9μm、C−1504)を空気中、500℃で2h焼成した(シリカ担体1とする)。ガラス製フラスコに水30gと塩化第二銅(和光純薬、特級)1.29g、塩化サマリウム・七水和物(和光純薬、特級)1.41g、塩化カリウム(和光純薬、特級)0.67gを加えて水溶液とし、これにシリカ担体1を10.1g加え、ロータリーエバポレーターを用いて、80℃で蒸発乾固した。これを、空気中、250℃で3h焼成し、Cu:K:Sm:SiO2=5:3:5:87の重量比率の担持触媒を得た(触媒1とする)。
[実施例2]
ランタノイドをサマリウムからプラセオジムに変更した以外は実施例1と同様の方法で同様の重量比率の担持触媒を得た(触媒2とする)。
[実施例3]
ランタノイドをサマリウムからユーロピウムに変更した以外は実施例1と同様の方法で同様の重量比率の担持触媒を得た(触媒3とする)。
[実施例4]
ランタノイドをサマリウムからジスプロシウムに変更した以外は実施例1と同様の方法で同様の重量比率の担持触媒を得た(触媒4とする)。
[実施例5]
ランタノイドをサマリウムからネオジムに変更した以外は実施例1と同様の方法で同様の重量比率の担持触媒を得た(触媒5とする)。
[実施例6]
Cu:K:Sm:SiO2=5:3:5:87の重量比率を、7:4.2:7:81.8に変更した以外は実施例1と同様の方法で担持触媒を得た(触媒6とする)。
[実施例7]
アルカリ元素をカリウムからナトリウムに変更した以外は実施例6と同様の方法で同様の重量比率の担持触媒を得た(触媒7とする)。
[比較例1]
ランタノイドをサマリウムからランタンに変更した以外は実施例1と同様の方法で同様の重量比率の担持触媒を得た(触媒8とする)。
[比較例2]
ランタノイドをサマリウムからセリウムに変更した以外は実施例1と同様の方法で同様の重量比率の担持触媒を得た(触媒9とする)。
[比較例3]
ランタノイドをサマリウムからイッテルビウムに変更した以外は実施例1と同様の方法で同様の重量比率の担持触媒を得た(触媒10とする)。
[比較例4]
アルカリ元素をカリウムからナトリウムに変更した以外は比較例1と同様の方法で同様の重量比率の担持触媒を得た(触媒11とする)。
Figure 2010227794

Claims (5)

  1. 酸素存在下で、塩化水素を酸化して塩素を製造する際に用いる触媒であって、
    該触媒が、銅元素、アルカリ金属元素、およびランタノイドと酸素との結合解離エネルギーが100〜185kcal/molであるランタノイドを含有する
    ことを特徴とする塩素製造用触媒。
  2. 塩素製造用触媒100重量%あたり、
    銅元素を0.5〜10重量%含み、
    銅元素とランタノイドとの重量比が、1:0.2〜1:3.0であり、
    銅元素とアルカリ金属元素との重量比が、1:0.1〜1:2.5である
    ことを特徴とする請求項1に記載の塩素製造用触媒。
  3. ランタノイドが、プラセオジム、サマリウム、ユーロピウム、ネオジムおよびジスプロシウムからなる郡から選択される少なくとも1種の元素を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の塩素製造用触媒。
  4. アルカリ金属元素が、カリウムを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の塩素製造用触媒。
  5. 酸素存在下で、塩化水素を酸化して塩素を製造する方法において、
    触媒として、請求項1〜4のいずれか一項に記載の触媒を用いることを特徴とする塩素の製造方法。
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