JP2010223341A - ノックピン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ノックピン131の熱膨張率が異なる二部品(例えば、鉄系部品(111)とアルミ合金系部品(101))の接合面122に対応する部位を、該接合面122と非接触となるくびれ部131に形成した。
【選択図】図7
Description
このような状態で、更に振動が加わる使用環境では、接合面とノックピンとの間に作用する力によって接合面表面に金属疲労による強度低下が生じやすい。このため、接合面を幅広にして接合面の強度アップを図る対策が必要であり、部品が重くなってしまうなどの弊害が生じてしまう。
例えば、自動二輪車等の車両に搭載されるエンジンの場合、エンジン軽量化のためにアルミ合金系部品を用いることが一般に行われているが、エンジンは温度差が比較的大きく生じ、振動も存在するため、アルミ合金系部品と鉄系部品との位置決めをノックピンで行った部分については接合面を広くして強度アップを図る対策が必要になり、その分だけ重量増加を招いてしまう。
この発明によれば、ノックピンの熱膨張率が異なる二部品の接合面に対応する部位を、該接合面と非接触となるくびれ部に形成したので、熱膨張率が異なる二部品間で生じる外部応力が、ノックピンを介して接合面に作用することを回避できる。従って、接合面積を広くしなくても、接合面への外部応力の影響を抑えることができる。
また、ノックピンの両端部は、熱膨張率が異なる二部品の各々に接合面を挟んで対向する位置に形成されたノック孔に各々嵌る嵌合部に形成され、くびれ部は、嵌合部の間に形成されるので、接合面と非接触にしつつ、両端の嵌合部によって熱膨張率が異なる二部品の位置決めを精度良く行うことができる。
図1は本発明の実施形態を適用した自動二輪車の側面図を示している。
この自動二輪車10は、車体フレーム11と、車体フレーム11の前端部に取り付けられたヘッドパイプ12に回動自在に支持された左右一対のフロントフォーク13と、フロントフォーク13の上端部を支持するトップブリッジ14に取り付けられた操舵用のハンドル15と、フロントフォーク13に回転自在に支持された前輪16と、車体フレーム11に支持されたエンジン17と、エンジン17の排気系の一部を構成する排気マフラー18と、車体フレーム11の後下部に通されたピボットシャフト19に上下に揺動自在に支持されたスイングアーム20と、このスイングアーム20の後端部に回転自在に支持された後輪21と、スイングアーム20と車体フレーム11との間に介挿されるリヤクッション(不図示)とを備える。
このメインフレーム24の下部にエンジン(パワーユニットとも言う)17が支持され、メインフレーム24の上方に燃料タンク22が支持される。また、シートレール26の上部には、乗員用シート23が取り付けられ、シートレール26の後部には、グラブレール30およびトランクボックス27が取り付けられる。
車体フレーム11のピボットプレート25には、前席23Aに着座した運転者用の左右一対のステップ(運転者用足置きステップ)28と、後席23Bに着座した同乗者用の左右一対のステップ(同乗者用足置きステップ)29とが取り付けられ、また、車体フレーム11には、同乗者が握るグラブレール30、メインスタンド31、サブスタンド32および車体フレーム11を覆う車体カウリング40等が取り付けられる。
サイドカバー42は、車体側面視でフロントフェアリング41とエンジン17との間を覆うように延在し、車両前方からの外気をエンジン17の周囲に導入させる左右一対のエア開口42Aが形成される。また、アンダーカバー43は、エンジン17の下部および前部を覆う。すなわち、エンジン17の左右側面の一部は、外部に剥き出しであり、車体側面視で外部から臨めるように露出してこの自動二輪車10の外観の一部を構成している。
このエンジン17は、車体前後方向に並ぶ3気筒を左右両側に備える水平対向6気筒エンジンであり、メインフレーム24およびピボットプレート25に支持される。図2中、各気筒を構成するシリンダを符号50で示している。
このエンジン17の左右一対のシリンダヘッド61上部には、各シリンダ50の吸気口に連通する吸気マニホールド51が接続され、この吸気マニホールド51の上端には、スロットルボディ52が連結され、このスロットルボディ52の上流側である上部には、エアクリーナ53が接続される。つまり、吸気マニホールド51、スロットルボディ52およびエアクリーナ53によってエンジン17の吸気系が構成される。
また、左右一対のシリンダヘッド61下部には、各シリンダ50の排気口に連通する複数の排気管55が接続され、各排気管55は、シリンダヘッド61から下方に延びた後、車体後方に向けて各々屈曲して車体後方へ延び、その後端が集合部に連結される。この集合部56は、一本の排気管57を介して排気マフラー18が接続され、これらによりエンジン17の排気系が構成される。
エンジン17は、左右分割構造に形成された左右一対のエンジンブロック62と、この左右一対のエンジンブロック62の両外端に連結される左右一対のシリンダヘッド61と、左右一対のシリンダヘッド61の両外端を覆う左右一対のシリンダヘッドカバー63と、左右一対のエンジンブロック62の後部に連結されるリヤケース64(図2参照)と、リヤケース64の後部に連結されるクラッチカバー65とを備え、これらケース・カバー部品は、アルミニウム合金材料で形成されている。
シリンダヘッド61には、燃焼室71と、燃焼室71につながる吸気ポート72および排気ポート73とが設けられ、吸気ポート72入口に上記吸気マニホールド51が接続され、排気ポート73出口に排気管55が接続される。なお、図3中、符号75は、吸気ポート72を開閉する吸気弁であり、符号76は、排気ポート73を開閉する排気弁であり、符号77は、エンジン17に燃料を噴射するインジェクタである。
各シリンダ50には、ピストン81が車体左右方向に摺動自在に配置され、各ピストン81はコンロッド82を介して車両の前後方向に軸線を沿わせたクランクシャフト83に連結される。
また、クランクケース部62Bには、左右のクランクケース部62Bのあわせ面に相当する位置に、車体前後方向に延びるクランクシャフト83が回転自在に支持され、このクランクシャフト83の下方空間内に、クランクシャフト83と当該エンジン17に連結されるドライブシャフト85との間の動力伝達機構を構成する変速機構やクラッチ機構等が配設される。
また、クラッチ機構は、動力伝達経路の途中に設けられ、運転者のクラッチ操作に応じて動力伝達の断・接を切り換える。また、図3中、符号90は、クランクケース部62B下部に貯留されたエンジンオイルをエンジン17の各部に供給するオイルポンプである。
また、エンジンブロック62の側方には、前後方向に間隔を空けて並ぶ複数(本例では3個)のシリンダ50が開口すると共に、このエンジンブロック62にシリンダヘッド61などを取り付けるための取り付け孔が多数設けられている(図4参照)。
図5はエンジンブロック62を内側から見た図であり、図6は、このエンジンブロック62をクランクシャフト支持部100と共に示す斜視図である。ここで、図5、図6に示すエンジンブロック62は車体左側のエンジンブロックである。
これら図に示すように、クランクシャフト83は、左右一対のエンジンブロック62の一方に形成されたジャーナル壁(クランクシャフトホルダとも言う)101、この実施例では、車体左側のエンジンブロック62のクランクケース部62Bに前後方向に間隔を空けて一体に形成された複数(本例では4個)のジャーナル壁101と、各ジャーナル壁101に一対ずつの締結部品であるボルト102でそれぞれ締結される複数(本例では4個)のベアリングキャップ(軸受キャップ)111とで回転自在に支持される。
なお、説明を分かり易くするため、ジャーナル壁101の接合面122Aと、ベアリングキャップ111の接合面122Bとを特に区別する必要がない場合は、接合面122と表記する。
接合面122を基準に対向する一対のノック孔101A、111Aには、一本のノックピン131が挿入され、この挿入されたノックピン131の両側がノック孔101A、111Aの各々に嵌合することによって、ジャーナル壁101とベアリングキャップ111との結合位置が位置決めされる。
また、ベアリングキャップ111には、一対の接合面122Bを貫通するように上記ボルト102が遊嵌される一対のボルト挿通孔111Bが形成され、ジャーナル壁101には、ベアリングキャップ111の一対のボルト挿通孔111Bに連通する一対の雌ねじ孔101Bが形成される。
本実施形態では、図6および図7に示すように、一対のノック孔101A、111Aよりもクランクシャフト挿通孔121に近い位置に一対のボルト挿通孔111Bおよび雌ねじ孔101Bを形成するので、クランクシャフト83に近い位置でジャーナル壁101とベアリングキャップ111とをボルト締結することができる。このため、クランクシャフト83から、クランクシャフト支持部100を構成するジャーナル壁101およびベアリングキャップ111に作用する力をボルト締結力で効率よく受けることができる。
アルミ合金系部品と鉄系部品とでは、熱膨張率に差があるため、エンジン17の熱等で生じる熱変形量が各部品で異なり、この熱膨張率に差がある二部品101、111をノックピン131で位置決めした場合、この位置決め部分に熱変形量の差による応力(熱変形力)が作用する。
さらに、この種のレシプロエンジン17は、エンジン17自体の振動や車体側から伝わる振動が存在するため、これら振動が加わることによって、接合面122表面に金属疲労による強度低下が生じやすくなる。
これを踏まえて従来の構成では、ノックピンが配置される接合面122を幅広にして接合面122の強度アップを図っており、この強度アップの分だけ部品の重量増(例えば、ジャーナル壁101を含むエンジンブロック62の重量増やベアリングキャップ111の重量増)が生じ、エンジン17の軽量化に不利な面が生じていた。
ここで、図8は、ノックピン131を周辺構成と共に示す拡大図である。
この図に示すように、このノックピン131は、その両端が、アルミ合金系部品であるジャーナル壁101および鉄系部品であるベアリングキャップ111に形成されたノック孔101A、111Aに嵌合自在な嵌合部134、135に形成されており、この両端の嵌合部134、135間が、全周に渡ってノックピン131の軸線L1に向かって凹むくびれ部131に形成されている。なお、本実施形態では、ノックピン131を構成する嵌合部134、135およびくびれ部133が一体に形成されているが、複数に分割した部品で構成してもよい。
また、両端の嵌合部134、135の先端外周角部は、徐々に先細りとなるように面取り加工が施され、各ノック孔101A、111Aに挿入し易く形成されている。
このように、嵌合部134、135とくびれ部133とに渡って外径が滑らかに変化するように形成することによって、このノックピン131に外部から応力が作用した場合でもノックピン131への部分的な応力集中を回避でき、ノックピン131全体の剛性を確保し易くできる。
この場合、図8に示すように、ノックピン131のくびれ部133が、嵌合部134、135よりも小径に形成されているため、くびれ部133はノック孔101A、111Aの内周面には接触しない。上記したように、このくびれ部131は、両端の嵌合部134、135の間に位置するので、ノックピン131におけるジャーナル壁101とベアリングキャップ111との接合面122に対応する部位に位置し、ノックピン131の全周が接合面122に非接触となる。
このため、ジャーナル壁101とベアリングキャップ111との間の熱変形量の差で生じる外部応力(熱変形力)が、ノックピン131を介して接合面122に作用することを回避できる。
すなわち、ノックピン131が両ノック孔101A、111Aに均等に挿入されている場合、いずれか一方のノック孔101A又は111A側に偏って挿入されている場合、および、ジャーナル壁101とベアリングキャップ111とが想定される最大熱変形量で変形している場合のいずれの状態においても、くびれ部133が接合面122に対応する部位に位置するように形成されている。従って、ノックピン取付位置のばらつきを許容でき、ノックピン131の取り付けが容易である。
さらに、本構成では、ジャーナル壁101とベアリングキャップ111とに形成された両ノック孔101A、111Aが接合面122を挟んで対称形状に形成されると共に(図8参照)、ノックピン131が、上下左右対称形状に形成されるので、ノックピン131のいずれの嵌合部134、135をいずれのノック孔101A、111Aに嵌合してもノックピン131による位置決めができる。つまり、ノックピン131の取付方向性がないので、ノックピン131の取り付けがより容易になる。
この場合、ノックピン131に作用する外部応力は、ノックピン131の端部に設けられた嵌合部134又は135を介してジャーナル壁101又はベアリングキャップ111へと伝わるが、この伝わる部分は、接合面122から離れた内部構造部分であるので剛性が高い部分であり、かかる部分の断面を幅広にして剛性アップを図らなくても十分な剛性を確保することができる。
これにより、本実施形態では、接合面積を広くしなくても接合面122への外部応力の影響を回避することができ、接合面122表面等の金属疲労による強度低下を効率よく抑えることができる。
このように、本実施形態では、上記ノックピン131を、アルミ合金系部品であるジャーナル壁101と鉄系部品であるベアリングキャップ111との位置決めに使用することによって、温度差が大きく、かつ、振動を有する使用環境下でも、接合面積を広くせずに接合面122の強度低下を抑えることができ、かつ、アルミ合金系部品の軽量化が可能になる。
さらに、このノックピン131は、両端部間にくびれ部133を形成した簡易な形状であるため、ノックピン131の製作が容易である。例えば、従来の同径で真っ直ぐに延びるノックピン等のピン部材を用意し、このピン部材の軸方向中央部分を削ってくびれ部133を形成する、といった容易な製作作業でも本ノックピン131と略同等なノックピンを製作することが可能である。
また、このノックピン131の嵌合部134、135の径や長さ等の寸法調整を行うことによって、ノックピン131による位置決め力を容易に調整でき、また、くびれ部133の径や長さ等の寸法調整を行うことによって、ノックピン131全体の強度を容易に調整できる。つまり、ノックピン131の仕様変更も容易である。
例えば、エンジン17内に設けられるカムシャフト等の他の軸を回転自在に支持するジャーナル壁とベアリングキャップとの結合位置の位置決めに上記ノックピンを使用してもよい。
要は、本発明のノックピンは、鉄系部品とアルミ合金系部品との結合位置を位置決めするノックピンに広く適用でき、さらに、鉄系部品とアルミ合金系部品に限らず、熱膨張率が異なる材料で形成された複数に分割された部品(熱膨張率が異なる二部品)の結合位置を位置決めするノックピンに広く適用が可能である。
また、上記実施形態では、自動二輪車のエンジンに使用されるノックピンに本発明を適用する場合を説明したが、これに限らず、自動二輪車以外の他の車両のエンジン等に使用されるノックピンに本発明を適用できることは勿論である。
11 車体フレーム
16 前輪
17 エンジン
21 後輪
61 シリンダヘッド
62 エンジンブロック
62A シリンダブロック部
62B クランクケース部
63 シリンダヘッドカバー
83 クランクシャフト
83A クランクジャーナル
100 クランクシャフト支持部
101 ジャーナル壁(クランクシャフトホルダ)
101A、111A ノック孔
101B 雌ねじ孔
102 ボルト(締結部材)
111 ベアリングキャップ
111B ボルト挿通孔
122、122A、122B 接合面
131 ノックピン
133 くびれ部
133A、133B 縮径部
133C 同径細部
134、135 嵌合部
Claims (2)
- 熱膨張率が異なる二部品の結合位置を位置決めするノックピンにおいて、
前記ノックピンの前記二部品の接合面に対応する部位を、該接合面と非接触となるくびれ部に形成したことを特徴とするノックピン。 - 前記ノックピンの両端部は、前記二部品の各々に接合面を挟んで対向する位置に形成されたノック孔に各々嵌る嵌合部に形成され、前記くびれ部は、前記嵌合部の間に形成されることを特徴とする請求項1記載のノックピン。
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