JP2010222584A - 水性インク - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、分散粘度が低く保存安定性に優れた分散剤を含有する水性インクに関する。
炭酸カルシウム、酸化チタン等の無機顔料用、掘削泥水用、セメント用或いは洗剤ビルダー用に、各々の分散質を良好且つ安定に分散させるため、高分子重合体からなる分散剤が使用される。水性ボールペンやインクジェット記録用の水性インクでは、分散質である顔料を水性媒体中に分散させるために、以下に挙げるような高分子重合体を分散剤としている。
有機顔料等の分散剤では、高分子重合体が、顔料などの分散質に対して親和性を有する疎水性領域、および水性媒体に対して親和性を有する親水性領域を兼ね備える界面活性的な機能を有することが重要である。かかる分散剤としては、例えばスチレンなどの芳香族単量体や(メタ)アクリル酸アルキルエステル類などを構成単位とする疎水性マクロモノマーと親水性モノマーからなるグラフト共重合体や、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類などの単量体を含有する親水性マクロモノマーと疎水性モノマーからなるグラフト共重合体等が知られている(特許文献1参照)。
同様に、疎水性モノマーからなる主鎖と、この主鎖に結合する主鎖より親水的なマクロモノマー由来の側鎖を有するグラフト共重合体からなる顔料分散剤(特許文献2参照)や、カーボンブラックとキレート結合や配位結合などの反応性を有する官能基単量体と芳香族単量体からなる主鎖に、ポリシロキサン、ポリエーテル、ポリエステルやポリアミドからなる側鎖を有する共重合体からなるカーボンブラック分散体が開示されている(特許文献3及び4参照)。そのほか、ラクトン又はオキシ酸縮合物やポリアルキレングリコールを側鎖に有する顔料分散剤(特許文献5参照)や、スチレンなどの芳香環を有する単量体と、ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水酸基を有する単量体を共重合させた後、水酸基に酸無水物を付加させて得たアニオン性高分子重合体が、オフセット印刷用インキの顔料分散助剤として開示されている(特許文献6参照)。
しかしながら、上記に示されるグラフト共重合体を使用して調製した水性インクの場合、着色剤の十分な分散安定性が得られず、特に温度など、環境の変化で分散状態を崩壊しやすい。加えて、特許文献1や2に記載されている顔料分散剤は、水性媒体中に溶解させるために疎水鎖にも比較的多量のイオン性官能基を導入する、もしくは疎水性成分量を少なくしなくてはならない。また、特許文献2〜特許文献4に記載されている非イオン性の親水性側鎖を有するグラフト共重合体では、分散粒子間における電気的斥力が得られないため分散直後の分散性を長期間保つことが困難である。
顔料などの分散質を分散媒である水性媒体中に分散させる場合、優れた分散性能を得るためには、疎水性基と親水性基を有する高分子重合体の構造設計が重要である。分散質への吸着部である疎水性領域と、分散媒中への溶解性及び分散質同士の電気的斥力を与える親水性領域とが、高分子重合体の構造上あまりにも近くに存在すると、各々の性質を打ち消し合ったり、または、高分子重合体中の親水性領域が分散質の表面電荷の影響を受けやすいため分散媒中で良好な分散性が得られなくなる。そこで、高分子重合体中での分散質への吸着領域と分散媒への親和性領域との間に、例えば長鎖脂肪族炭化水素のようなスペーサーを介するなどして、それぞれの影響を受けにくくする必要がある。
本発明は、前記の従来技術の欠点を改良する目的でなされたものである。すなわち、顔料などの分散質の水性媒体中への分散性に優れ、且つ長期に亘って安定的に分散状態を維持し得るグラフト共重合体からなる分散剤を含有する水性インクを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、グラフト共重合体を構成する側鎖として、該側鎖における主鎖と結合してない末端にのみイオン性官能を有するものを用いたグラフト共重合体を分散剤として使用することにより、顔料などの分散質が水性媒体などへの分散性に優れ、且つ長期に亘って安定的に分散状態を維持し得ることを見出し、本発明を完成させたのである。
尚、本明細書においては、アクリル酸又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と、アクリレート又はメタクリレートを(メタ)アクリレートとして表す。
尚、本明細書においては、アクリル酸又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と、アクリレート又はメタクリレートを(メタ)アクリレートとして表す。
本発明で使用する分散剤は、グラフト共重合体を構成する側鎖における主鎖と結合してない末端にのみに電荷を有することによって、着色剤などの分散質との吸着性能と、水性媒体などの分散媒への親和力を各々役割分担することができ、主鎖と側鎖の働きがお互いに打ち消し合うことなく、顔料などの分散質が安定に分散された水性インクが得られる。
本発明の水性インクは、前記グラフト共重合体からなる分散剤、着色剤及び水性媒体から構成される。
疎水性単量体単位を必須構成成分とし、所望によりその他共重合可能な単量体単位を構成成分とする重合体を主鎖として成る、重量平均分子量1,000〜100,000のグラフト共重合体である。
<1>側鎖
グラフト共重合体を構成する側鎖となる重合体は、下記一般式(1)で表される。
グラフト共重合体を構成する側鎖となる重合体は、下記一般式(1)で表される。
尚、上記の側鎖は一種類のみでも或いは二種類以上であってもよい。
グラフト共重合体を構成する側鎖の重量平均分子量は300〜1,000の範囲である。300未満では主鎖と側鎖末端の電荷が近すぎることにより、顔料などの分散質への吸着と水性媒体への分散のバランスがとれず、分散粘度が高くなったり、経時の分散安定性が得られない。10,000を超えると側鎖末端の静電的斥力が弱まり経時の分散安定性が悪化する。
前記一般式(1)で表されるグラフト側鎖の化学構造は、その骨格がポリアルキレンオキサイド構造及び/又はポリエステル構造である。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリ(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド;ランダム型)、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド(ブロック型)、ポリラクトン構造などが挙げられる。
グラフト共重合体の合成方法としては、マクロモノマー法、イオン重合法、連鎖移動法、放射線によって高分子に活性点を作りモノマーを重合する方法等が従来から知られているが、本発明のグラフト共重合体を合成するには、側鎖の末端へのイオン性官能基の導入の容易さ、主鎖と側鎖の重合度の調整及び主鎖と側鎖の連結を容易に行えるマクロモノマー法が最適である。
主鎖と結合しない片末端にのみイオン性官能基を有する側鎖は、水酸基又はカルボキシル基等のω位に官能基を有するマクロモノマー(以下、ω位官能基含有マクロモノマーという)を出発原料とした上記のマクロモノマー法でも調製することができる。
ω位官能基含有マクロモノマーの具体例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類、ポリラクトン(メタ)アクリレート等のポリエステル(メタ)アクリレート類などのω−ヒドロキシルマクロモノマーが挙げられる。
その他、(メタ)アクリル酸とラクトンや酸エポキシドとを反応させる方法やα,ω−ジカルボン酸とヒドロキシル基を有する不飽和単量体とを反応させる方法等により得られるω−カルボキシルマクロモノマーが挙げられる。
その他、(メタ)アクリル酸とラクトンや酸エポキシドとを反応させる方法やα,ω−ジカルボン酸とヒドロキシル基を有する不飽和単量体とを反応させる方法等により得られるω−カルボキシルマクロモノマーが挙げられる。
ω−ヒドロキシルマクロモノマーは、無水コハク酸、無水フタル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、cis−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、無水グルタル酸、無水トリメリット酸等の環状酸無水物と反応させることによってイオン性官能基が付加され、ω−カルボキシルマクロモノマーとすることが可能である。
その他、ω−ヒドロキシルマクロモノマーの水酸基を介して、スルホン酸基、リン酸基等のイオン性官能基を付加することによって、ω位にアニオン性官能基を有するマクロモノマーを調製することも可能である。
その他、ω−ヒドロキシルマクロモノマーの水酸基を介して、スルホン酸基、リン酸基等のイオン性官能基を付加することによって、ω位にアニオン性官能基を有するマクロモノマーを調製することも可能である。
さらに、上記のω位イオン性基含有マクロモノマーのイオン性基はカチオン性基でもよく、例えば、ω−ヒドロキシルマクロモノマーやω−カルボキシルマクロモノマーなどに、エポキシアミン類又はエポキシアンモニウム類を反応させることによってω−アミノマクロモノマーやω−アンモニウムマクロモノマーなどのω位にカチオン性官能基を有するマクロモノマーを得ることができる。
エポキシアミン類としては、グリシジルジメチルアミン、グリシジルジエチルアミン等が挙げられ、エポキシアンモニウム類としてはグリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、トリエチルグリシジルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
<2>主鎖
グラフト共重合体を構成する主鎖は、疎水性単量体単位を必須構成成分とし、所望によりその他の共重合可能な単量体単位を構成成分とする重合体から成る。
グラフト共重合体を構成する主鎖は、疎水性単量体単位を必須構成成分とし、所望によりその他の共重合可能な単量体単位を構成成分とする重合体から成る。
(A)疎水性単量体
グラフト共重合体の主鎖を構成する疎水性単量体としては、スチレン系単量体、フェニル基含有(メタ)アクリレート類、フェニル基含有マレイミド類等の芳香族基含有単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類等が挙げられる。
グラフト共重合体の主鎖を構成する疎水性単量体としては、スチレン系単量体、フェニル基含有(メタ)アクリレート類、フェニル基含有マレイミド類等の芳香族基含有単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類等が挙げられる。
スチレン系単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
フェニル基含有(メタ)アクリレート類の具体例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェニルエチレンオキサイド付加物(メタ)アクリレート等が挙げられる。
フェニル基含有マレイミド類等の具体例としては、N−フェニルマレイミド、N−(2−
クロロフェニル)マレイミド等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル類の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。
尚、上記の疎水性単量体は、一種類のみでも或いは二種類以上を用いてもよい。
フェニル基含有(メタ)アクリレート類の具体例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェニルエチレンオキサイド付加物(メタ)アクリレート等が挙げられる。
フェニル基含有マレイミド類等の具体例としては、N−フェニルマレイミド、N−(2−
クロロフェニル)マレイミド等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル類の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。
尚、上記の疎水性単量体は、一種類のみでも或いは二種類以上を用いてもよい。
(B)その他の単量体
グラフト共重合体を構成する主鎖は、前記(A)疎水性単量体単位を必須構成成分とするが、所望によりその他の単量体単位を構成成分とすることができる。その他の単量体としては、(A)疎水性単量体以外の非イオン性単量体や後記の水性インクを構成する着色剤などの分散質と反対のイオン性を有するイオン性単量体などが挙げられる。
グラフト共重合体を構成する主鎖は、前記(A)疎水性単量体単位を必須構成成分とするが、所望によりその他の単量体単位を構成成分とすることができる。その他の単量体としては、(A)疎水性単量体以外の非イオン性単量体や後記の水性インクを構成する着色剤などの分散質と反対のイオン性を有するイオン性単量体などが挙げられる。
前記(A)疎水性単量体以外の非イオン性単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル類;(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。また、1分子中に2個以上のビニル基を有する、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシエチルホスフェイト、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン、マレイン酸ジアリルエステル、ポリアリルサッカロース等の架橋性単量体等を含んでもよい。
分散質と反対のイオン性を有するイオン性単量体としては、アニオン性単量体及びカチオン性単量体が挙げられるが、アニオン性単量体としては、不飽和カルボン酸単量体、不飽和スルホン酸単量体及び不飽和リン酸単量体等が挙げられる。
不飽和カルボン酸単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸等またはそれらの無水物及び塩等が挙げられる。
不飽和スルホン酸単量体の具体例としては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリル酸エステル、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸の硫酸及びそれらの塩等が挙げられる。
不飽和リン酸単量体の具体例としては、ビニルホスホン酸、ビス(メタアクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
尚、上記のアニオン性単量体は、一種類のみでも或いは二種類以上を用いてもよい。
不飽和スルホン酸単量体の具体例としては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリル酸エステル、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸の硫酸及びそれらの塩等が挙げられる。
不飽和リン酸単量体の具体例としては、ビニルホスホン酸、ビス(メタアクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
尚、上記のアニオン性単量体は、一種類のみでも或いは二種類以上を用いてもよい。
カチオン性単量体としては、不飽和3級アミン含有単量体、不飽和アンモニウム塩含有単量体等が挙げられる。
不飽和3級アミン含有単量体の具体例としては、ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、2−エチル−5−ビニルピリジン等のモノビニルピリジン類;N,N−ジメチルアミノスチレン、N,N−ジメチルアミノメチルスチレン等のジアルキルアミノ基を有するスチレン類;N,N−ジメチルアミノメチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノメチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリレート等のジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;2−ジメチルアミノエチルビニルエーテル等のジアルキルアミノ基を有するビニルエーテル類;N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミド等のジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
不飽和アンモニウム塩含有単量体の具体例としては、上記不飽和3級アミン含有単量体を、ハロゲン化アルキル(アルキル基:C1〜18、ハロゲン原子:塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子);塩化ベンジル、臭化ベンジル等のハロゲン化ベンジル;メタンスルホン酸等のアルキルスルホン酸エステル(アルキル基:C1〜18);ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等のアリールスルホン酸アルキルエステル(アルキル基:C1〜18);硫酸ジアルキル(アルキル基:C1〜4)等4級化剤で4級化させたもの等が挙げられる。これらのカチオン性単量体は、一種類のみでも或いは二種類以上を用いてもよい。
尚、上記のその他の単量体は、一種類のみでも或いは二種類以上を用いてもよい。
尚、上記のその他の単量体は、一種類のみでも或いは二種類以上を用いてもよい。
グラフト共重合体において、構成する側鎖の含有割合が30〜99質量%、主鎖の含有割合が70〜1質量%であることが好ましく、さらに好ましくは構成する側鎖の含有割合が50〜95質量%、主鎖の含有割合が50〜5質量%である。主鎖の含有割合が1質量%未満では着色剤などの分散質への吸着力が小さく分散剤として機能しなくなり、主鎖の含有割合が70質量%を超えると分散質粒子間の架橋を引き起こし、反対に分散質を凝集させる働きをする場合がある。さらに、当該グラフト共重合体を構成する側鎖の含有割合が30質量%未満では十分な量の側鎖を導入することができず、電気的斥力が確保できず分散剤として機能しなくなる。
グラフト共重合体の合成は、重合操作および分子量の調整が容易なことから、ラジカル重合開始剤を用いる方法が好ましく、また疎水性単量体が水に溶解しにくいことから、有機溶剤中で重合させる溶液重合法がさらに好ましい。
溶液重合法でラジカル重合を行う際に好ましい溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、イソプロパノール、エタノール、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよびヘキサメチルホスホアミド等が挙げられ、より好ましくは、ケトン系溶剤、酢酸エステル系溶剤およびアルコール系溶剤である。
溶液重合法でラジカル重合を行う際に好ましい溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、イソプロパノール、エタノール、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよびヘキサメチルホスホアミド等が挙げられ、より好ましくは、ケトン系溶剤、酢酸エステル系溶剤およびアルコール系溶剤である。
ラジカル重合開始剤としては、一般に用いられているものなら使用可能で、具体的には、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、シアノ系のアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、非シアノ系のジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等が挙げられる。分子量の制御がしやすく、分解温度の低い有機過酸化物やアゾ系化合物が好ましく、特にアゾ系化合物がより好ましい。
重合開始剤の使用量は、重合性単量体の総質量に対して、1〜15質量%が好ましく、さらに好ましくは5〜10質量%である。
重合開始剤の使用量は、重合性単量体の総質量に対して、1〜15質量%が好ましく、さらに好ましくは5〜10質量%である。
また、グラフト共重合体の分子量を調整するために、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−プロパンチオール、2−メルカプトエタノール、チオフェノール、ドデシルメルカプタン、チオグリセロール等の連鎖移動剤を重合系に適量添加してもよい。
好ましい重合温度は50〜150℃、さらに好ましくは60〜100℃である。好ましい重合時間は5〜25時間である。本発明のグラフト共重合体の分子量は、ポリスチレンを基準物質とするゲル浸透クロマトグラフによる重量平均分子量で1,000〜100,000が好ましく、適度な分散性及び適度な溶液粘度が得られる点で、1,000〜50,000の範囲がより好ましい。重量平均分子量が1,000未満の重合体では十分な分散効果が得られなくなり、また、重量平均分子量が100,000を超えると、粘性が増加し不溶解となったり塊状物質を生成し、分散剤として機能しなくなる。
グラフト共重合体の好ましいイオン性基の必要量は、アニオン性基の場合、酸価として50〜300mg−KOH/gであり、さらに好ましくは80〜250mg−KOH/gである。酸価が50mg−KOH/g未満の重合体では十分な静電的斥力が得られず経時の分散安定性が得られなくなり、また、酸価が300mg−KOH/gを超えると重合体自身の親水性が大きくなり、界面活性的な効果が薄れ、分散剤として機能しなくなる。
また、それらアニオン性基はその一部もしくは全てが塩基により中和されることによりイオン化している必要がある。中和に用いる塩基としては水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物等の無機アルカリ剤、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン類等が挙げられる。
[2]水性インク
本発明の水性インクは、前記[1]で記述した分散剤のほか、着色剤及び水性媒体が必須成分として含有される。
本発明の水性インクは、前記[1]で記述した分散剤のほか、着色剤及び水性媒体が必須成分として含有される。
本発明の水性インクに用いる着色剤とは、染料又は水系溶媒に不溶な顔料のいずれかである。
染料には水溶性染料及び疎水性染料があるが、耐水性の観点から疎水性染料のほうが好ましい。このように、着色剤としては、疎水性染料または水系溶媒に不溶な顔料が好ましいが、さらに耐侯性の観点から、顔料のほうがより好ましい。
染料には水溶性染料及び疎水性染料があるが、耐水性の観点から疎水性染料のほうが好ましい。このように、着色剤としては、疎水性染料または水系溶媒に不溶な顔料が好ましいが、さらに耐侯性の観点から、顔料のほうがより好ましい。
疎水性染料としては、油性染料、分散染料等が挙げられる。これらは、重合体粒子に含有させて得られた重合体粒子の水分散体および分散剤を用いて水中に分散させた水分散体のいずれにも好適に使用し得るものである。油性染料の具体例としては、C.I.solvent Black, C.I.solvent Yellow, C.I.solvent Red, C.I.solvent Violet, C.I.solvent Blue, C.I.solvent Green, C.I.solvent Orange等が挙げられる。分散染料としては、C.I.disperson Yellow, C.I.disperson Orange, C.I.disperson Red, C.I.disperson Violet, C.I.disperson Green等が挙げられる。
顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。これらは、必要に応じて、単独で、または組み合わせて用いることができる。
顔料の分散粒子径は、好ましくは、0.005μm〜15μm、さらに好ましくは0.05〜5μm、最も好ましくは0.01〜1μmである。分散粒子径が0.005μm以下では分散を安定化させるために分散剤をより多く必要とし顔料自身の性能が発揮できず、また、15μm以上では分散状態を安定に保つことが困難となる。
無機顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン等の金属酸化物、金属硫化物、金属
塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクでは、カーボンブラックが好ましい。
塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクでは、カーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。具体的には、No.2300,No.900,MCF88,No.33,No.40,No.45,No.52,MA7,MA8,No.2200B(以上三菱化学製)、RAVEN1255(コロンビア社製)、REGAL400R,REGAL330R,REGAL660R,MOGUL L(以上キャボット社製)、Color Black FW1,Color Black FW18,Color Black S160,Color Black S170,Color Black S150,Color Black FW200,Color Black FW2,Color Black FW2V,Printex35,Printex75,PrintexL6,Printex95,Printex U(以上デグサ社製)等が挙げられる。
有機顔料としては、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アンソラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
有機顔料の具体例としては、C.I.Pigment Yellow 1、C.I.Pigment Yellow 2、C.I.Pigment Yellow 3、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Yellow 16、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 83、C.I.Pigment Yellow 128等の黄色顔料、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red 7、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Red 48(Ca)、C.I.Pigment Red 48(Mn)、C.I.Pigment Red 57(Ca)、C.I.Pigment Red 112、C.I.Pigment Red 122等のマゼンタ色顔料、C.I.Pigment Blue 1、C.I.Pigment Blue 2、C.I.Pigment Blue 3、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Blue 22、C.I.Vat Blue 4、C.I.Vat Blue 6等のシアン色顔料等が挙げられる。
水性媒体としては、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒が好適である。水は、イオン交換水(脱イオン水)であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類、グリセリン、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルが好ましい。
尚、上記の水溶性有機溶剤は、必要に応じ、単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、上記の水溶性有機溶剤は、必要に応じ、単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の水性インクは、前記の分散剤、着色剤及び水性媒体以外のその他の成分として、通常水性インクに添加される公知慣用の各種添加剤を添加してもよい。このような添加剤には、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、沈降防止剤、キレート剤、増粘剤、防食剤、酸化防止剤等が挙げられる。界面活性剤としては、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類等の陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類、アセチレンアルコール、アセチレングリコール等の非イオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド等の両性界面活性剤が挙げられる。
本発明の水性インクに含まれる前記の分散剤の量は、インク全質量に対して、0.1〜30質量%の範囲が好ましく、1〜15質量%の範囲がより好ましい。また、水性インクに含まれる着色剤の量は、0.1〜30質量%の範囲が好ましく、1〜15質量%の範囲がより好ましい。本発明の水性インクに含まれる前記の分散剤と着色剤の含有比率は、1:1〜1:30(質量比)の範囲であることが好ましく、1:2〜1:15であることがより好ましい。
水性インクに含まれる水溶性有機溶剤の量は、水性インク全質量に対して3〜50質量%の範囲が好ましく、3〜40質量%の範囲がより好ましい。また、本発明の水性インクに含まれる水の量は、10〜90質量%の範囲が好ましく、30〜80質量%の範囲がより好ましい。
また、水性インクのpHは5〜10の範囲が好ましい。pHをこの範囲とすることで、前記グラフト共重合体からなる分散剤の溶解性を向上させ、保存安定性を向上させることができる。しかも、水性インクが適用される装置(例えばインクジェット記録装置)の部材の腐食を抑制することもできる。
水性インクのpH調整には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物等の無機アルカリ剤、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン類、及びクエン酸、酒石酸等の有機酸、塩酸、リン酸等の鉱酸等がpH調整剤として用いることができる。
本発明の水性インクは、上記の各成分を混合して分散させることで得られる。上記の各成分をそのまま、或いは必要に応じて乾燥防止剤やその他の添加剤を添加して、水性媒体で希釈してインクジェット記録用インク、水性ボールペンやマーカーペンなどの筆記用具の水性インクに使用することができる。この場合、インクジェットノズルやペン先が乾燥により目詰まりするのを防ぐために、上記の水溶性有機溶剤のうち、低揮発性又は不揮発性の溶剤を添加するとよい。また、記録媒体への浸透性を高めるためには、揮発性の溶剤を添加するとよい。特にインクジェット記録用水性インクに使用する場合は、インクに適度な表面張力を持たせるために、界面活性剤を添加することも好ましい。
分散させる際に使用される分散機としては、ボールミル、ロールミル、サンドミル等が挙げられる。その中でも、高速型のサンドミルが好ましく、例えば、スーパーミル、サンドグランダー、ビーズミル、アジテータミル、グレンミル、ダイノーミル、パールミル、コボミル(いずれも商品名)等が挙げられる。
本発明による効果について、以下に記載する。
本発明の水性インクを構成する分散剤は、分散質である顔料などの着色剤を水性媒体へ安定に分散させることができる。これは分散剤であるグラフト共重合体の主鎖と側鎖とが夫々独立した役割を持つことによって、顔料への吸着能力と分散媒への親和能力とがお互いに干渉しあわず、夫々の性能を最大限発揮できるためであろうと推測される。
本発明の水性インクを構成する分散剤は、分散質である顔料などの着色剤を水性媒体へ安定に分散させることができる。これは分散剤であるグラフト共重合体の主鎖と側鎖とが夫々独立した役割を持つことによって、顔料への吸着能力と分散媒への親和能力とがお互いに干渉しあわず、夫々の性能を最大限発揮できるためであろうと推測される。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。尚、以下の各例における「%」及び「部」は、それぞれ「質量%」及び「質量部」を意味する。
(実施例1)
撹拌機、滴下ロート、還流冷却器、温度計を備えたガラスフラスコに、アクリル酸144部、p−トルエンスルホン酸1水塩8部及び重合防止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.08部を仕込み、反応容器内温度を80℃に保ちながら、ε−カプロラクトン114部を4時間かけて滴下した。滴下終了後さらに2時間同温度で反応させ、ω位にカルボキシル基を有し、骨格がポリカプロラクトンであるα,β−不飽和二重結合を有するマクロモノマー1(Mw:400)を得た。
撹拌機、滴下ロート、還流冷却器、温度計を備えたガラスフラスコに、アクリル酸144部、p−トルエンスルホン酸1水塩8部及び重合防止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.08部を仕込み、反応容器内温度を80℃に保ちながら、ε−カプロラクトン114部を4時間かけて滴下した。滴下終了後さらに2時間同温度で反応させ、ω位にカルボキシル基を有し、骨格がポリカプロラクトンであるα,β−不飽和二重結合を有するマクロモノマー1(Mw:400)を得た。
<共重合体の合成>
その後、撹拌機、滴下ロート、還流冷却器、窒素ガス導入管及び温度計を備えたガラスフラスコに、上記マクロモノマー1を80g、スチレンを20g、メチルエチルケトン400gを仕込み、窒素気流下、反応容器内温度を78℃に保ちながら、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)9gを投入して7時間重合させ、共重合体のメチルエチルケトン溶液(固形分20%)を得た。続いて、共重合体のメチルエチルケトン溶液に、該共重合体が有するカルボキシル基と等量の水酸化カリウム及びイオン交換水を加えて中和した。そして、減圧下に脱溶剤してメチルエチルケトンを留去し、共重合体1(Mw:7600)の水溶液(固形分20%)を得た。
その後、撹拌機、滴下ロート、還流冷却器、窒素ガス導入管及び温度計を備えたガラスフラスコに、上記マクロモノマー1を80g、スチレンを20g、メチルエチルケトン400gを仕込み、窒素気流下、反応容器内温度を78℃に保ちながら、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)9gを投入して7時間重合させ、共重合体のメチルエチルケトン溶液(固形分20%)を得た。続いて、共重合体のメチルエチルケトン溶液に、該共重合体が有するカルボキシル基と等量の水酸化カリウム及びイオン交換水を加えて中和した。そして、減圧下に脱溶剤してメチルエチルケトンを留去し、共重合体1(Mw:7600)の水溶液(固形分20%)を得た。
<水性インクの調製>
上記共重合体1の水溶液(固形分20%)15部、カーボンブラック(デグサ製FW−18)15部、イオン交換水70部を混合し、10分間のプレミキシングの後、下記の条件で分散処理を行った。
分散機:サンドグラインダー(五十嵐機械製)
粉砕メディア:ジルコニウムビーズ(0.3mm)
粉砕メディアの充填率:50%(体積)
粉砕時間:3時間
上記の分散処理の後、遠心分離処理(12,000RPM,20分間)を行って粗大粒子を除去して得られる分散液40部に、グリセリン5部、ジエチレングリコール15部、2−ピロリドン2部及びイオン交換水38部を混合し、ジエチルエタノールアミンでpHが8〜10になるように調整し、ポアサイズ5.0μmのメンブランフィルターを用いて濾過し、目的とする水性インク1を得た。
上記共重合体1の水溶液(固形分20%)15部、カーボンブラック(デグサ製FW−18)15部、イオン交換水70部を混合し、10分間のプレミキシングの後、下記の条件で分散処理を行った。
分散機:サンドグラインダー(五十嵐機械製)
粉砕メディア:ジルコニウムビーズ(0.3mm)
粉砕メディアの充填率:50%(体積)
粉砕時間:3時間
上記の分散処理の後、遠心分離処理(12,000RPM,20分間)を行って粗大粒子を除去して得られる分散液40部に、グリセリン5部、ジエチレングリコール15部、2−ピロリドン2部及びイオン交換水38部を混合し、ジエチルエタノールアミンでpHが8〜10になるように調整し、ポアサイズ5.0μmのメンブランフィルターを用いて濾過し、目的とする水性インク1を得た。
(比較例1)
実施例1において共重合体の合成に使用するマクロモノマー1の代わりにポリエチレングリコールモノメタクリレート80g(商品名「ブレンマーPE200」、日本油脂製)に変更し、撹拌機、滴下ロート、還流冷却器、窒素ガス導入管及び温度計を備えたガラスフラスコに、スチレン20g、メチルエチルケトン400gを仕込み、窒素気流下、反応容器内温度を78℃に保ちながら、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)9gを投入して7時間重合させ、共重合体のメチルエチルケトン溶液を得た。続いて、共重合体のメチルエチルケトン溶液にイオン交換水を加え、減圧下に脱溶剤してメチルエチルケトンを留去し、共重合体5(Mw:9000)の水溶液を得た。さらに、実施例1と同様に操作して水性インク5を得た。
実施例1において共重合体の合成に使用するマクロモノマー1の代わりにポリエチレングリコールモノメタクリレート80g(商品名「ブレンマーPE200」、日本油脂製)に変更し、撹拌機、滴下ロート、還流冷却器、窒素ガス導入管及び温度計を備えたガラスフラスコに、スチレン20g、メチルエチルケトン400gを仕込み、窒素気流下、反応容器内温度を78℃に保ちながら、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)9gを投入して7時間重合させ、共重合体のメチルエチルケトン溶液を得た。続いて、共重合体のメチルエチルケトン溶液にイオン交換水を加え、減圧下に脱溶剤してメチルエチルケトンを留去し、共重合体5(Mw:9000)の水溶液を得た。さらに、実施例1と同様に操作して水性インク5を得た。
(比較例2)
実施例1において共重合体の合成に使用するマクロモノマー1の代わりに、ポリカプロラクトン変性モノメタクリレート80g(商品名「プラクセルFM1」、ダイセル化学工業製)に変更し、それ以外は実施例1と同様に操作して共重合体6(Mw:9000)のメチルエチルケトン溶液を得た。しかし、この共重合体を水溶化することはできなかった。
実施例1において共重合体の合成に使用するマクロモノマー1の代わりに、ポリカプロラクトン変性モノメタクリレート80g(商品名「プラクセルFM1」、ダイセル化学工業製)に変更し、それ以外は実施例1と同様に操作して共重合体6(Mw:9000)のメチルエチルケトン溶液を得た。しかし、この共重合体を水溶化することはできなかった。
(比較例3)
実施例1において共重合体の合成に使用するマクロモノマー1の代わりに、メタクリル酸80gに変更し、それ以外は実施例1と同様に操作して共重合体7(Mw:8500)の水溶液を得た。さらに、実施例1と同様に操作して水性インク7を得た。
実施例1において共重合体の合成に使用するマクロモノマー1の代わりに、メタクリル酸80gに変更し、それ以外は実施例1と同様に操作して共重合体7(Mw:8500)の水溶液を得た。さらに、実施例1と同様に操作して水性インク7を得た。
(比較例4)
実施例1において共重合体の合成に使用するマクロモノマー1の代わりに、コハク酸2−メタクリロイルオキシエチルメタクリレート80gに変更し、それ以外は実施例1と同様に操作して共重合体8(Mw:8500)の水溶液を得た。その後、カルボキシル基の中和塩基を水酸化カリウムからトリエタノールアミンにした以外は実施例1と同様に操作して水性インク8を得た。
実施例1において共重合体の合成に使用するマクロモノマー1の代わりに、コハク酸2−メタクリロイルオキシエチルメタクリレート80gに変更し、それ以外は実施例1と同様に操作して共重合体8(Mw:8500)の水溶液を得た。その後、カルボキシル基の中和塩基を水酸化カリウムからトリエタノールアミンにした以外は実施例1と同様に操作して水性インク8を得た。
(評価)
上記各例で得られた水性インクについて、下記(a)〜(d)の項目に関して評価を行った。その結果を表1に示す。
上記各例で得られた水性インクについて、下記(a)〜(d)の項目に関して評価を行った。その結果を表1に示す。
(a)水性インクの粒径
得られた水性インクに水を加えて100倍に希釈を行った後、「マイクロトラックUPA250」(日機装製)を用いて、水性インクの粒径を測定した。
得られた水性インクに水を加えて100倍に希釈を行った後、「マイクロトラックUPA250」(日機装製)を用いて、水性インクの粒径を測定した。
(b)水性分散体の分散安定性
得られた水性インクを密閉状態で60℃6ヶ月間放置した後、顔料粒子の凝集及び増粘が発生したモノを不良「×」、発生しなかったものを良「○」とそれぞれ評価した。
得られた水性インクを密閉状態で60℃6ヶ月間放置した後、顔料粒子の凝集及び増粘が発生したモノを不良「×」、発生しなかったものを良「○」とそれぞれ評価した。
(c)印字濃度
マイクロバブルジェットプリンタ(キヤノン製 型番BJ−10VL)を用いてPPC用再生紙(日本加工製紙製)にベタ印字を行った。そして、室温にて24時間自然乾燥させた後の印字の光学濃度をマクベス濃度計RD918(マクベス社製)で測定した。マイクロバブルジェットプリンタはキヤノン株式会社の登録商標である。
マイクロバブルジェットプリンタ(キヤノン製 型番BJ−10VL)を用いてPPC用再生紙(日本加工製紙製)にベタ印字を行った。そして、室温にて24時間自然乾燥させた後の印字の光学濃度をマクベス濃度計RD918(マクベス社製)で測定した。マイクロバブルジェットプリンタはキヤノン株式会社の登録商標である。
(d)画質特性
黒ベタ画像印刷時に画像濃度ムラ・白スジの発生状況を、発生のないものを○、僅かに認められるものを△、明らかに認められるものを×とした。
黒ベタ画像印刷時に画像濃度ムラ・白スジの発生状況を、発生のないものを○、僅かに認められるものを△、明らかに認められるものを×とした。
表1に示すように、実施例の水性インクは比較例の水性インクに比べて良好な結果が得られた。
これは各実施例で使用した分散剤(グラフト共重合体)の分散安定性が比較例のものに比べて優れるためだと考えられる。比較例2では分散剤自身の水溶化ができず、評価できなかった。
これは各実施例で使用した分散剤(グラフト共重合体)の分散安定性が比較例のものに比べて優れるためだと考えられる。比較例2では分散剤自身の水溶化ができず、評価できなかった。
本発明の水性インクは、長期間に亘って分散質である顔料の凝集やインクの増粘が認められず、印字物の画質濃度も高く、画質特性も優れており、インクジェット記録用水性インクとして極めて有用である。
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