JP2010222147A - 板状シリカ粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】比誘電率及び/又は誘電正接が低く、異方性が高い板状シリカ粒子の製造方法、及び該板状シリカ粒子を提供する。
【解決手段】(1)ナノ細孔が実質的に存在しない中空状シリカ粒子を粉砕する工程を含む、比誘電率が3.5以下及び/又は誘電正接が0.01以下である板状シリカ粒子の製造方法、及び(2)その製造方法により得られた、比誘電率が3.5以下及び/又は誘電正接が0.01以下である板状シリカ粒子である。
【選択図】図2

Description

本発明は、比誘電率及び/又は誘電正接が低く、異方性が高い板状シリカ粒子の製造方法、及び該板状シリカ粒子に関する。
近年、半導体デバイス等の微細化、高速動作、及び低消費電力動作を実現するために、低誘電率絶縁膜を有する多層配線構造が必要となってきている。従来、多層配線構造の絶縁膜としては、比誘電率が3.8のシリカ、化学蒸着法によりシリカに炭素をドープしたSiOC、有機ポリマー系の低誘電率材料を塗布したシリカ膜等が知られている。
例えば、特許文献1には、主成分が非晶質ケイ素酸化物であり、ナノ細孔を有する実質的に中空なシリカゾルを乾燥してなる中空シリカ微粒子が開示されており、低誘電率成分として有用であるとされている。しかしながら、ナノ細孔を有する中空シリカ微粒子は、細孔に空気を多く含ませて誘電率を低減している材料であり、シリカ骨格そのものの誘電率は特別低いわけではない。
特許文献2には、フルオロポリマーと球状非晶質シリカ、中空シリカ微粒子等から選ばれる無機充填材とを含む絶縁性組成物が開示されている。また、特許文献3には、メソポーラスシリカを機械的に粉砕して得られた微粒子、樹脂、溶媒を含む溶液を基板上に塗布し、加熱する低誘電率絶縁膜の形成方法が開示されている。しかしながら、これらは低誘電率材料として十分に満足できるものではなく、更なる改善が望まれている。
一方、溶融シリカは、一般的なシリカに比べると比誘電率が3程度であり、低誘電率材料として知られている。しかしながら、溶融シリカは、2000℃程度の高温でシリカを完全溶融して調製しているため、塊状や球状の形態となり、板状や棒状等の異方性の高い形態のものを得ることが難しい。塊状や球状の溶融シリカは、樹脂と混練してコンポジット化しても強度向上効果が不十分であるという欠点がある。
また、強度向上効果に優れるタルクや粘土鉱物等のシリカ系材料は、その材料中にイオンやシラノール等の極性物質や極性基を多く含んでいるため、誘電率、誘電正接が高いという欠点がある。
特開2006−342023号公報 特開2007−266606号公報 特開2005−167266号公報
本発明は、比誘電率及び/又は誘電正接が低く、異方性が高い板状シリカ粒子の製造方法、及び該板状シリカ粒子を提供することを課題とする。
本発明者らは、高温焼成でナノサイズの細孔を実質的に消失させ比誘電率及び/又は誘電正接を低減させた中空状シリカ粒子を破砕することにより、比誘電率及び/又は誘電正接が低く、異方性が高い板状シリカ粒子を効率的に得ることができることを見出した。
すなわち、本発明は、次の(1)及び(2)を提供する。
(1)ナノ細孔が実質的に存在しない中空状シリカ粒子を粉砕する工程を含む、比誘電率が3.5以下及び/又は誘電正接が0.01以下である板状シリカ粒子の製造方法。
(2)上記(1)の製造方法により得られた、比誘電率が3.5以下及び/又は誘電正接が0.01以下である板状シリカ粒子。
本発明によれば、比誘電率及び/又は誘電正接が低く、異方性が高い板状シリカ粒子の効率的な製造方法を提供することができる。
得られた板状シリカ粒子は、比誘電率及び/又は誘電正接が低いという誘電特性を有し、異方性が高いため、樹脂とコンポジット化した場合の強度向上効果が優れており、低誘電率材料として有用である。
実施例1で得られた焼成後の中空状シリカ粒子のSEM像である。 実施例1で得られた中空状シリカ粒子を粉砕して得られた板状粒子のSEM像である。
本発明の比誘電率が3.5以下及び/又は誘電正接が0.01以下である板状シリカ粒子の製造方法は、ナノ細孔が実質的に存在しない中空状シリカ粒子を粉砕する工程を含むことを特徴とする。
ここで、比誘電率とは、物質の誘電率εと真空の誘電率ε0との比〔ε/ε0〕をいい、誘電体内の分極の程度を示すパラメーターである。
誘電正接とは、誘電体に正弦波電圧を加えた場合、誘電体内を流れる電流のうち、印加電圧と同一周波数を有する電流成分との位相差角の余角δ(誘電損角)の正接(tanδ)をいい、誘電体内の電気エネルギー損失量を示すパラメーターである。
本発明の板状シリカ粒子は、比誘電率が3.5以下又は誘電正接が0.01以下と小さいので絶縁体として優れており、消費エネルギーが減少するため、多層配線構造物等の長時間の連続使用が可能となる。
誘電率及び誘電正接は、実施例記載の方法により測定することができる。
以下、原料である中空状シリカ粒子、及びその粉砕工程等について説明する。
[中空状シリカ粒子]
本発明において、原料として用いられる中空状シリカ粒子は、ナノ細孔が実質的に存在しないものである。「ナノ細孔が実質的に存在しない」とは、該中空状シリカ粒子の細孔径分布において、実質的に1nm以上に細孔分布を示さないことを意味する。
また、該中空状シリカ粒子は、粉末X線回折(XRD)測定において、結晶格子面間隔(d)が1nm未満の範囲に相当する回折角(2θ)に実質的にピークを示さないものであることが好ましい。
また、該中空状シリカ粒子は、そのシリカの骨格が実質的に多孔質ではなく、BET比表面積が100m2/g未満であるものが好ましい。そのBET比表面積は、実質的に多孔質ではないことから、より好ましくは90m2/g以下、より好ましくは80m2/g以下、より好ましくは70m2/g以下、更に好ましくは60m2/g以下である。
外殻部の平均厚みは、粉砕処理を容易にし、シリカ粒子を板状にする観点から、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
該中空状シリカ粒子の数平均粒子径は、好ましくは0.1〜1μm、より好ましくは0.15〜0.9μm、更に好ましくは0.2〜0.8μmである。
また、中空状シリカ粒子の〔外殻部の平均厚み/平均粒子径〕の比は、通常0.01〜0.5、好ましくは0.01〜0.3、より好ましくは0.01〜0.2である。
中空状シリカ粒子の平均粒子径、外郭部の平均厚みは、後述するように、その原料となる中空シリカ粒子(A)又はコアシェル型シリカ粒子(B)の製造条件、中空部位形成材料の粒子径、焼成条件等により適宜調製することができる。
中空状シリカ粒子、中空シリカ粒子(A)等の平均粒子径、外郭部の平均厚み、BET比表面積、平均細孔径、及び粉末X線回折(XRD)パターンの測定は、実施例記載の方法により行うことができる。
[中空状シリカ粒子の製造]
本発明において、原料として用いられる中空状シリカ粒子の製造方法に特に制限はないが、下記の工程(I)及び(II)を含む方法によれば、効率的に製造することができる。
工程(I):粒子内部に空気を含有する中空シリカ粒子(A)(以下、単に「中空シリカ粒子(A)」ともいう)、又は焼成により消失して中空部位を形成する材料を内包するコアシェル型シリカ粒子(B)(以下、単に「コアシェル型シリカ粒子(B)」ともいう)を調製する工程。
工程(II):工程(I)で得られた中空シリカ粒子(A)又はコアシェル型シリカ粒子(B)を900℃以上で熱処理する工程。
以下、工程(I)、(II)の詳細とそこで用いられる各成分等について説明する。
工程(I)
工程(I)は、中空シリカ粒子(A)又はコアシェル型シリカ粒子(B)を調製する工程である。中空シリカ粒子(A)又はコアシェル型シリカ粒子(B)を製造しうる方法であれば特に制限はないが、下記工程A〜Dを含む方法がより好ましい。
工程A:ポリマー粒子(a−1)を0.1〜50グラム/L、又は疎水性有機化合物(a−2)を0.1〜100ミリモル/Lと、下記一般式(1)及び(2)で表される第四級アンモニウム塩から選ばれる1種以上(b)を0.1〜100ミリモル/L、及び加水分解によりシラノール化合物を生成するシリカ源(c)を0.1〜100ミリモル/L含有する水溶液を調製する工程。
[R1(R33N]+- (1)
[R12(R32N]+- (2)
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数4〜22の直鎖状又は分岐状アルキル基を示し、R3は炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xは1価陰イオンを示す。)
工程B:工程Aで得られた水溶液を10〜100℃の温度で撹拌して、シリカから構成される外殻を有し、かつ核にポリマー粒子(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)を有するコアシェル型シリカ粒子の水分散液を調製する工程
工程C:工程Bで得られた水分散液からコアシェル型シリカ粒子(B)を分離する工程
工程D:工程Cで得られたコアシェル型シリカ粒子(B)を焼成して、中空シリカ粒子(A)を得る工程
以下工程A〜Dについて説明する。
[工程A]
[ポリマー粒子(a−1)]
工程Aで用いられるポリマー粒子(a−1)としては、カチオン性ポリマー、ノニオン性ポリマー及び両性ポリマーから選ばれる1種以上のポリマーの粒子が好ましく、実質的に水不溶性のポリマーが好ましい。
工程A〜Dで用いられるポリマー粒子の平均粒子径は、本発明の中空状シリカ粒子の特徴である、微小粒子径であってかつ粒子径分布が揃った化合物を得る目的の上で、好ましくは0.02μm〜1μm、より好ましくは0.05μm〜0.9μm、さらに好ましくは0.1μm〜0.8μm、特に好ましくは0.12μm〜0.7μmであることが望ましい。またポリマー粒子は、好ましくは粒子全体の80%以上、より好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上が平均粒子径±30%以内の粒子径を有しており、非常に揃った粒子径の粒子群から構成されていることが望ましい。
[カチオン性ポリマー]
カチオン性ポリマーとしては、連続相を水系とする媒体中に、陽イオン界面活性剤の存在下で、ポリマーエマルジョンとなって分散可能であるポリマーが好ましく、陽イオン界面活性剤の存在下でカチオン性モノマー、特にはカチオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーを含むモノマー混合物を、公知の方法で乳化重合して得られるものが好ましい。
カチオン性モノマーとしては、アミノ基を有する単量体の酸中和物、又は該単量体を四級化剤で四級化した第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
カチオン性モノマーの具体例としては、ジアルキルアミノ基又はトリアルキルアンモニウム基を有する(メタ)アクリレートがより好ましく、ジアルキルアミノ基又はトリアルキルアンモニウム基を有する(メタ)アクリレートが最も好ましい。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート又はそれらの両方を意味する。
カチオン性ポリマーは、前記カチオン性モノマー由来の構成単位を含有するが、カチオン性モノマー構成単位以外に、疎水性モノマー、特にはアルキル(メタ)アクリレート、芳香環含有モノマー等の疎水性モノマーに由来する構成単位を含有することがより好ましい。その好適例としては、炭素数1〜30、好ましくは炭素数3〜22、より好ましくは炭素数3〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、スチレンもしくは2−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアリールエステル、炭素数6〜22の芳香族基含有ビニルモノマー、又は酢酸ビニル等が挙げられる。これらの中ではアルキル(メタ)アクリレート、スチレンが最も好ましい。
なお、疎水性モノマーとは、水に対する溶解性が低く、水と分相を形成する重合性の有機化合物を意味する。疎水性モノマーは、LogP値が0以上、好ましくは0.5以上、また25以下の化合物が挙げられる。ここで、LogPとは、化学物質の1−オクタノール/水の分配係数の対数値を意味し、SRC's LOGKOW / KOWWIN Programにより、フラグメントアプローチで計算された数値をいう。具体的には、化学物質の化学構造を、その構成要素に分解し、各フラグメントの有する疎水性フラグメント定数を積算して求められる(Meylan, W.M. and P.H. Howard. 1995. Atom/fragment contribution method for estimating octanol-water partition coefficients. J. Pharm. Sci. 84: 83-92参照)。
カチオン性ポリマーを構成するカチオン性モノマー構成単位は少量でよく、カチオン性ポリマーを構成する殆どが疎水性モノマー由来の構成単位によって構成されていてもよい。カチオン性ポリマーに占めるカチオン性モノマー構成単位と疎水性モノマー由来の構成単位の合計量は、70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%、特に好ましくは95〜100質量%である。特に〔(カチオン性モノマー由来の構成単位)/(疎水性モノマー由来の構成単位)〕の重量比は、粒子形成性の観点から、好ましくは0.001〜0.5、より好ましくは0.002〜0.3、特に好ましくは0.003〜0.1である。
[ノニオン性ポリマー]
ノニオン性ポリマーは、水溶液中で荷電を有しないポリマーを意味する。ノニオン性ポリマーは、荷電を有しないモノマーすなわちノニオン性モノマーを由来とするポリマーであり、公知の乳化重合法、無乳化剤重合法等によりノニオン性モノマーを重合して得ることができる。
ノニオン性モノマーとしては、カチオン性ポリマーの説明で挙げた疎水性モノマー(段落〔0017〕)を挙げることができる。その好適例としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数3〜22、更に好ましくは炭素数3〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、及びスチレンから選ばれる一種以上が挙げられる。
ノニオン性ポリマーの具体例としては、ポリスチレン、エチルアクリレート・エチルメタクリレート共重合体、エチルアクリレート・メチルメタクリレート共重合体、オクチルアクリレート・スチレン共重合体、ブチルアクリレート・酢酸ビニル共重合体、メチルメタクリレート・ブチルアクリレート・オクチルアクリレート共重合体、酢酸ビニル・スチレン共重合体、ビニルピロリドン・スチレン共重合体、ブチルアクリレート、ポリスチレンアクリル酸樹脂等が挙げられる。
カチオン性ポリマー、ノニオン性ポリマー及び両性ポリマーの中では、カチオン性ポリマー及びノニオン性ポリマーが好ましく、中空シリカ粒子(A)の形成し易さの観点から、カチオン性ポリマーがより好ましい。
ポリマーは中空シリカ粒子(A)の製造上、実質的に水に溶解しないものが用いられ、そのために疎水性モノマーの重合比率を高める方法、架橋する方法等を採用できる。
かかるポリマーの好適例として、アルキル(メタ)アクリレート及びスチレンから選ばれる疎水性モノマーとカチオン性基を有する(メタ)アクリレートとのコポリマー、並びにアルキル(メタ)アクリレート及びスチレンから選ばれる一種以上の疎水性モノマーからなるノニオン性ポリマーを挙げることができる。
上記のポリマーは、単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
ポリマー粒子の形態に特に制限はなく、真球状、卵状等に形成したり、ポリマー粒子の大きさや粒径分布を変えることで、中空シリカ粒子(A)の粒径や中空部分の大きさを適宜調製することができる。
[疎水性有機化合物(a−2)]
本発明において、疎水性有機化合物(a−2)とは、水に対する溶解性が低く、水と分相を形成する化合物を意味する。好ましくは、前記の第四級アンモニウム塩の存在下で分散可能な化合物である。このような疎水性有機化合物としては、LogP値が1以上、好ましくは2〜25の化合物が挙げられる。
(c)疎水性有機化合物としては、例えば、炭化水素化合物、エステル化合物、炭素数6〜22の脂肪酸、炭素数6〜22のアルコール及びシリコーンオイル等の油剤や、香料、農薬、医薬等の各種基材等を挙げることができる。
疎水性有機化合物を用いる場合、中空シリカ粒子(A)の粒径や中空部分の大きさは、疎水性有機化合物の液滴の大きさに影響されるので、疎水性有機化合物の融点、反応温度、攪拌速度、使用する界面活性剤等により適宜調整することができる。
[第四級アンモニウム塩(b)]
第四級アンモニウム塩(b)は、下記一般式(1)及び(2)で表され、メソ細孔の形成とポリマー粒子(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)の分散のために用いられる。
[R1(R33N]+- (1)
[R12(R32N]+- (2)
一般式(1)及び(2)におけるR1及びR2は、炭素数4〜22、好ましくは炭素数6〜18、更に好ましくは炭素数8〜16の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。炭素数4〜22のアルキル基としては、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、各種エイコシル基等が挙げられる。またR3は、炭素数1〜3のアルキル基であり、好ましくはメチル基である。
一般式(1)及び(2)におけるXとしては、ハロゲンイオン、水酸化物イオン、硝酸化物イオン、硫酸化物イオン等の1価陰イオンから選ばれる1種以上が挙げられるが、好ましくはハロゲンイオンであり、より好ましくは塩素イオン又は臭素イオンであり、更に好ましくは臭素イオンである。
一般式(1)で表されるアルキルトリメチルアンモニウム塩としては、ブチルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ブチルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
一般式(2)で表されるジアルキルジメチルアンモニウム塩としては、ジブチルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキシルジメチルアンモニウムブロミド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロミド、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
これらの第四級アンモニウム塩(b)の中では、規則的なメソ細孔を形成させる観点から、特に一般式(1)で表されるアルキルトリメチルアンモニウム塩が好ましく、アルキルトリメチルアンモニウムブロミド又はアルキルトリメチルアンモニウムクロリドがより好ましく、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド又はドデシルトリメチルアンモニウムクロリドが特に好ましい。
[シリカ源(c)]
シリカ源(c)は、アルコキシシラン等の加水分解によりシラノール化合物を生成するものであり、下記一般式(3)〜(7)で示される化合物を挙げることができる。
SiY4 (3)
4SiY3 (4)
4 2SiY2 (5)
4 3SiY (6)
3Si−R5−SiY3 (7)
(式中、R4はそれぞれ独立して、ケイ素原子に直接炭素原子が結合している有機基を示し、R5は炭素原子を1〜4個有する炭化水素基又はフェニレン基を示し、Yは加水分解によりヒドロキシ基になる1価の加水分解性基を示す。)
より好ましくは、一般式(3)〜(7)において、R4がそれぞれ独立して、水素原子の一部がフッ素原子に置換していてもよい炭素数1〜22の炭化水素基であり、具体的には炭素数1〜22、好ましくは炭素数4〜18、より好ましくは炭素数6〜18、特に好ましくは炭素数8〜16のアルキル基、フェニル基、又はベンジル基であり、R5が炭素数1〜4のアルカンジイル基(メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、テトラメチレン基等)又はフェニレン基であり、Yが炭素数1〜22、より好ましくは炭素数1〜8、特に好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基、又はフッ素を除くハロゲン基である。
シリカ源(c)の好適例としては、次の化合物が挙げられる。
・一般式(3)において、Yが炭素数1〜3のアルコキシ基であるか、又はフッ素を除くハロゲン基であるシラン化合物。
・一般式(4)〜(6)において、R4がフェニル基、ベンジル基、又は水素原子の一部がフッ素原子に置換されている炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5の炭化水素基であるトリアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、又はモノアルコキシシラン。
・一般式(7)において、Yがメトキシ基であって、R5がメチレン基、エチレン基又はフェニレン基である化合物。
これらの中では、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、1,1,1−トリフルオロプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
シリカ源(c)は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
工程Aにおける水溶液中のポリマー粒子(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)(以下、両者を総称して「(a)成分」ともいう)、第四級アンモニウム塩(b)、及びシリカ源(c)の含有量は次のとおりである。
(a−1)成分の含有量は、好ましくは0.1〜50グラム/L、より好ましくは0.3〜40グラム/L、特に好ましくは0.5〜30グラム/Lである。
(a−2)成分の含有量は、0.1〜100ミリモル/L、より好ましくは1〜100ミリモル/L、特に好ましくは5〜80ミリモル/Lである。
(b)成分の含有量は、好ましくは0.1〜100ミリモル/L、より好ましくは1〜100ミリモル/L、特に好ましくは5〜80ミリモル/Lであり、(c)成分の含有量は、好ましくは0.1〜100ミリモル/L、より好ましくは1〜100ミリモル/L、特に好ましくは5〜80ミリモル/Lである。
(a)〜(c)成分を含有させる順序は特に制限はない。例えば、水溶液を撹拌しながら(a)成分の懸濁液、(b)成分、(c)成分の順に投入する方法等が挙げられる。
(a)〜(c)成分を含有する水溶液には、コアシェル粒子の形成を阻害しない限り、その他の成分として、メタノール等の有機化合物や、無機化合物等の他の成分を添加してもよく、前記のように、シリカや有機基以外の他の元素を担持したい場合は、それらの金属を含有するアルコキシ塩やハロゲン化塩等の金属原料を製造時又は製造後に添加することもできる。
[工程B]
工程Bはコアシェル型シリカ粒子の水分散液を調製する工程である。工程Aで得られる水溶液を10〜100℃、好ましくは10〜80℃の温度で所定時間撹拌した後、静置することで、ポリマー粒子(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)の表面に、第四級アンモニウム塩(b)とシリカ源(c)によりメソ細孔が形成され、内部にポリマー粒子(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)を包含したコアシェル型シリカ粒子を析出させることができる。撹拌処理時間は温度によって異なるが、通常10〜80℃で0.1〜24時間でコアシェル型シリカ粒子が形成される。なお、この時点で得られるコアシェル型シリカ粒子のメソ細孔には製造の際に用いた界面活性剤が詰った状態にある。
得られたコアシェル型シリカ粒子は、水中に懸濁した状態で得られる。
工程Bで得られたコアシェル型シリカ粒子に陽イオン界面活性剤等を含む場合は、酸性溶液と1回又は複数回接触させることにより陽イオン界面活性剤等を除去することができる。用いる酸性溶液としては、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸;酢酸、クエン酸等の有機酸;陽イオン交換樹脂等を水やエタノール等に加えた液が挙げられるが、塩酸が特に好ましい。pHは通常1.5〜5.0に調整される。
上記の方法により細孔から界面活性剤が除去された粒子は、メソ細孔構造を表面に有し、BET比表面積の高い、ポリマー粒子(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)を包含するコアシェル型シリカ粒子である。
[工程C、D]
工程Cは、工程Bで得られた水分散液からコアシェル型シリカ粒子(B)を分離する工程であり、工程Dは、工程Cで得られたコアシェル型シリカ粒子(B)を焼成して、中空シリカ粒子(A)を得る工程である。
工程Cでは、水分散液からコアシェル型シリカ粒子(B)を分離し、必要に応じて、酸性水溶液と接触、水洗、乾燥することができる。また、高温で処理した後、工程Dでは、電気炉等で好ましくは350〜800℃、より好ましくは450〜700℃で、1〜10時間焼成し、内部のポリマー(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)を除去する。得られる中空シリカ粒子(A)は、その外殻部の基本構成は変わらないが、内部のポリマー(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)は焼成により除去されている。
本発明においては、ポリマー(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)を包含するコアシェル型シリカ粒子を焼成するため、特に内包されるポリマー粒子(a−1)の形状、形態を所望の状態に予め制御しておくことにより、所望の形状、形態を有する中空シリカ粒子(A)を容易に製造することができる。例えば、内部に真球状のポリマーを有するコアシェル型シリカ粒子を焼成することにより、内部中空及び外形が真球状の中空シリカ粒子(A)を製造することができる。
上記のようにして得られた中空シリカ粒子(A)とコアシェル型シリカ粒子(B)のうち、粉末X線回折測定において、面間隔(d)が1nm〜12nmの範囲に相当する回折角(2θ)にピークを示すものが好ましい。
工程(I)で得られる中空シリカ粒子(A)のメソ細孔構造の平均細孔径は、好ましくは1〜8nm、より好ましくは1〜5nmであり、該メソ細孔径は、中空シリカ粒子(A)の70質量%以上、好ましくは75質量%以上、より好ましくは80質量%以上が平均細孔径の±30質量%以内に入ることが望ましい。
また、中空シリカ粒子(A)のBET比表面積は、好ましくは100〜1500m2/g、より好ましくは200〜1500m2/g、更に好ましくは300〜1500m2/gである。
中空シリカ粒子(A)の平均粒子径は、好ましくは0.05〜2μm、より好ましくは0.05〜1.5μm、更に好ましくは0.1〜1.2μmである。
外殻部(メソポーラスシリカ部)の平均厚みは、粉砕処理を容易にし、板状にする観点から、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
工程(II)
工程(II)は、工程(I)で得られた中空シリカ粒子(A)又はコアシェル型シリカ粒子(B)を900℃以上で熱処理する工程である。
熱処理温度は、シリカの骨格が実質的に多孔質ではなく、BET比表面積を50m2/g未満にする観点から、好ましくは900〜1500℃であり、より好ましくは950〜1300℃であり、更に好ましくは980〜1200℃である。
熱処理は電気炉等を用いて行うことができ、熱処理時間は、熱処理温度等により異なるが、通常0.5〜100時間、好ましくは1〜80時間である。
本発明においては、工程(I)で中空シリカ粒子(A)を一旦製造し、これを工程(II)で900℃以上で熱処理することにより、工程(I)で得られた中空シリカ粒子(A)の基本構成を変えないで、シリカ骨格を実質的に多孔質ではないものとし、BET比表面積を小さくした中空状シリカ粒子を得ることができる。さらに粒子が球形であるため、高温処理しても形状を保持しやすく、さらに凝集しにくく、もし凝集しても容易に解砕できる。また工程(I)で得られたコアシェル型シリカ粒子(B)を直接900℃以上で熱処理して中空状シリカ粒子を得てもよいが、一旦中空シリカ粒子(A)を製造した後、更に熱処理してBET比表面積の小さくした中空状シリカ粒子を得る方法がより好ましい。
[中空状シリカ粒子の製造]
本発明の比誘電率が3.5以下及び/又は誘電正接が0.01以下である板状シリカ粒子は、上記の方法で得られた、ナノ細孔が実質的に存在しない中空状シリカ粒子を粉砕する工程を含む方法により製造される。
中空状シリカ粒子の粉砕処理法としては、強い圧縮せん断力を加えることのできる方法であれば特に制限はなく、中空状板状シリカ粒子を含むスラリーを湿式粉砕処理する方法、中空状シリカ粒子粉体を乾式粉砕処理する方法が挙げられる。
湿式及び/又は乾式粉砕処理に用いることのできる粉砕装置は特に限定されない。
例えば、化学工学便覧(改訂5版)(日本化学会編、丸善株式会社発行)826〜838頁に記載の粉砕機等が挙げられ、具体的には、(1)圧力や打撃力により粉砕する装置:例えばジョークラッシャー、ジャイレトリクラシャー、ロールクラッシャー、ロールミル等、(2)高速回転するローター周辺に打撃板が固定され、ローターと打撃板とによるせん断力等によって処理物を粉砕する装置:例えばハンマーミル、インパクトクラッシャー、ピンミル等、(3)リング上にロール又はボールが押しつけられつつ回転し、その間で処理物をすりつぶして粉砕する装置:例えばリングローラーミル、リングボールミル、遠心ローラーミル、ボールベアリングミル等、(4)円筒形の粉砕室を備え、その粉砕室の中に粉砕媒体としてボールやロッドを入れて回転もしくは振動させることにより処理物を粉砕する粉砕装置:例えばボールミル、振動ミル、遊星ボールミル等、(5)円筒形の粉砕室を備え、その粉砕室にボール又はビーズ等の粉砕媒体を入れ、この媒体に挿入したディスク型やアニュラー型の攪拌機構による、せん断、摩擦作用によって処理物を粉砕する装置:例えばタワーミル、アトライター、サンドミル等が挙げられる。
これらの中では、前記(3)〜(5)のローラーやボールを媒体にして粉体同士に圧縮せん断力を付与できる粉体装置が好ましく、特に前記(4)及び(5)のボール媒体ミルが好ましい。
ボール媒体ミルとしては、媒体撹拌ボールミル、遊星ボールミル、振動ボールミル(円形振動ミル、旋動振動ミル、遠心ミル等)、転動ボールミル(ポットミル、チューブミル、コニカルミル等)が挙げられるが、粉砕効率及び生産性の観点から、媒体撹拌ボールミル、遊星ボールミル(公転するミル本体と同方向及び逆方向に自転するミルポットで構成)が好ましい。
媒体として用いるボールの材質に特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレス等の高硬度金属、アルミナ、ジルコニア、ジルコン、チタニア等の高硬度セラミックス等が挙げられる。これらの中では、比較的比重が大きく、耐摩耗性の高いアルミナ、ジルコニア、チタニア等の高硬度セラミックスがより好ましい。
ボールの外径も特に制限はないが、操作性の観点から、好ましくは0.1〜100mm、より好ましくは0.5〜50mm、更に好ましくは1〜30mmである。また媒体の形状としては、ボール以外にもロッド状のものやチューブ状のものを用いることもできる。
ボール等の媒体の充填率は、機種にもよるが、粉砕効率の観点から、通常10〜97%、好ましくは20〜90%、より好ましくは25〜80%である。ここで充填率とは、ボール媒体ミルの攪拌部の容積に対するボールの見かけの体積をいう。
粉砕処理の時間は、粉砕機、媒体等の種類、中空状シリカ粒子の処理量等により異なるが、好ましくは2分〜24時間、より好ましくは5分〜5時間である。また、粉砕処理の温度は、発熱による変性等を抑制する観点から、好ましくは250℃以下、より好ましくは5〜200℃である。また、必要に応じて、窒素等の不活性ガス雰囲気下で粉砕処理することができる。
[板状シリカ粒子]
本発明の上記方法によれば、比誘電率が3.5以下及び/又は誘電正接が0.01以下である板状シリカ粒子の効率的に製造することができる。本発明の板状シリカ粒子の比誘電率は3.5以下であり、好ましくは3.3以下、より好ましくは3.0以下であり、誘電正接は0.01以下であり、好ましくは0.009以下、より好ましくは0.008以下である。比誘電率の下限である1、又は誘電正接の下限である0に近ければ近いほどよい。この板状シリカ粒子は、シリカの骨格が実質的に多孔質ではなく、比表面積が好ましくは100m2/g以下、より好ましくは80m2/g以下、更に好ましくは70m2/g以下であるものが望ましい。
また、本発明の板状シリカ粒子は、ナノ細孔が実質的に存在しない中空状シリカ粒子を粉砕処理して得られているため異方性が高く、樹脂とコンポジット化した場合の強度向上効果が優れている。
ここで、「異方性が高い」とは、粒子の短軸が他の2軸に比べ小さいこと、換言すれば、粒子の板状比(最大径/厚さ)が2を超えること、好ましくは4〜100、より好ましくは6〜80、更に好ましくは8〜50であることを意味する。また、「板状」とは、平板状(曲率0)に限定されるものではなく、曲面を有するものであってもよい。
本発明の板状シリカ粒子の厚みは、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下であるが、厚さは均一でも均一でなくてもよい。
製造例、及び実施例で得られた中空状シリカ粒子の各種測定は、以下の方法により行った。
(1)粉末X線回折(XRD)の測定
粉末X線回折装置(理学電機工業株式会社製、商品名:RINT2500VPC)を用いて、X線源:Cu-kα、管電圧:40mA、管電流:40kV、サンプリング幅:0.02°、発散スリット:1/2°、発散スリット縦:1.2mm、散乱スリット:1/2°、及び受光スリット:0.15mmの条件で粉末X線回折測定を行った。走査範囲を回折角(2θ)1〜70°、走査速度を4.0°/分とした連続スキャン法を用いた。なお、測定は、粉砕した試料をアルミニウム板に詰めて行った。
(2)粒子形状の観察
電解放射型高分解能走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所社製、商品名:FE−SEM S−4000)を用いて粒子形状の観察を行った。
(3)平均一次粒子径、平均中空部径、及び平均外殻部厚みの測定
透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製、商品名:JEM−2100)を用いて加速電圧160kVで粒子の観察を行った。20〜30個の粒子が含まれる5視野中の全粒子の直径、中空部径、及び外殻部厚みを写真上で実測し、平均一次粒子径、平均中空部径、及び平均外殻部厚みを求めた。なお、観察は、高分解能用カーボン支持膜付きCuメッシュ(応研商事株式会社製、200−Aメッシュ)に付着させ、余分な試料をブローで除去したものを用いて行った。
(4)BET比表面積、及び平均細孔径の測定
比表面積・細孔分布測定装置(株式会社島津製作所製、商品名:ASAP2020)を用いて、液体窒素を用いた多点法でBET比表面積を測定し、パラメータCが正になる範囲で値を導出した。平均細孔径の導出にはBJH法を採用し、そのピーク値の細孔径を平均細孔径とした。試料には250℃で5時間の前処理を施した。
(5)比誘電率、誘電正接の測定
アジレント社製のE8361A 10MHz -67GHz PNA Series Network Analyzerに関東電子応用開発製の誘電率測定装置(共振器、5.8GHz)を接続した装置を使用して、空洞共振器摂動法を用いて、5.8GHzにて誘電率及び誘電正接を測定した。
粉末サンプルをそのまま測定することは困難であるため、フロンケミカル製の熱収縮チューブ(PFA−1.5)を長さ10cmに切断し、片側にシールテープを3〜5mm詰め込み密栓したセルを作成し、この中にサンプルを充填し測定に用いた。サンプルの真密度、重量と体積より、サンプルの充填率を計算し、測定を行った。
空洞共振器摂動法は、特定周波数で共振している共振器内部が空の場合とサンプル(誘電体)が挿入されている場合の共振周波数のずれと、ピークの鋭さを表すQ値の変移から誘電率を算出するため、測定時のブランクには空のセルを用い、サンプルのみが測定されるようにした。
製造例1(中空シリカ粒子(A1)の製造)
20L反応槽に、水16kg、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド66g、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド68g、及び日本ペイント製ポリマー粒子「ファインスフィアFS−501」(カチオン性アクリル樹脂、平均粒子径500nm)192gを入れて撹拌し、その水溶液に、テトラメトキシシラン68gをゆっくりと加え、室温(25℃)で5時間撹拌した後、12時間熟成させた。
次いで、得られた白色沈殿物を、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過した後、10Lの水で洗浄し、100℃の温度条件で5時間乾燥し、コアシェル型シリカ粒子であるシリカ粒子を得た。
得られた乾燥粉末を、焼成炉(株式会社モトヤマ製、商品名:SK−2535E)を用いて、エアーフロー(3L/min)しながら1℃/分の速度で600℃まで昇温し、600℃で2時間焼成することにより有機成分を除去し、中空シリカ粒子(A1)を得た。
この中空シリカ粒子(A1)の粉末について、粉末X線回折(XRD)測定を行った結果、中空シリカ粒子(A1)結晶格子面間隔(d)=2.9nmの非常に強いピーク、d=1.7nm及びd=1.5nmの弱いピークにより、この中空シリカ粒子(A1)のメソ細孔がヘキサゴナル配列を有することを確認した。d=1.0nm未満の領域にXRDピークは見られなかった。また、SEM観察により、この中空シリカ粒子(A1)の粒子形状が球状であることを確認した。
さらに、TEM観察より、この中空シリカ粒子(A1)が中空構造を有し、平均一次粒子径が560nm、平均中空部径が530nm、平均外殻部厚みが20nmであり、外殻部がヘキサゴナル配列を示す均一なメソ細孔を有し、そのメソ細孔が粒子中心から外殻部の外側に向かって放射状に貫通していることを確認した。全ての一次粒子が平均一次粒子径±30%以内の一次粒子径を有していた。
また、この中空シリカ粒子(A1)粉末は、BET比表面積が1300m2/g、平均細孔径が1.7nmであった。また中空シリカ粒子(A1)粉末の電気特性を測定した結果、誘電率は2.86、誘電正接は0.0017であった。
実施例1
製造例1で得られた中空シリカ粒子(A1)50gをアルミナ製るつぼに移し、株式会社モトヤマ製の高速昇温電気炉、商品名:SK−2535Eを用いて、空気下1000℃で72時間焼成し、中空状シリカ粒子を得た。
焼成後の中空状シリカ粒子の平均細孔径測定においては、1nm以上にピークがないことを確認した。また粉末X線回折測定において、結晶格子面間隔(d)が1nm未満の範囲に相当する回折角(2θ)にピークがないことを確認した。またTEM観察より、この中空状シリカ粒子が中空構造を有し、平均一次粒子径が420nm、平均中空部径が390nm、平均外殻部厚みが15nmであることを確認した。
続いて上記の方法で得られた中空状シリカ粒子の粉砕を行った。ポリプロピレン製プラスチックボトル(500ml)に中空状シリカ粒子20gを入れ、さらにジルコニアビーズ(アズワン製、10mm)をボトルに対し80%程度の充填率となるよう加えた。ボトルを密閉し、ミックスローターVMR−5(井内盛栄堂製)に設置し、80rpmの速度で12時間粉砕した。
得られたサンプルの形状をSEMで観察すると、中空状シリカ粒子は十分に粉砕され、板状粒子が生成していた。この板状粒子の平均部厚みは15nm、比表面積は47m2/gであった。また、板状粒子粉末の電気特性を測定した結果、誘電率は2.89、誘電正接は0.0065であった。
図1に、焼成後の中空状シリカ粒子のSEM像を示し、図2に、該中空状シリカ粒子を粉砕して得られた板状粒子のSEM像を示す。
本発明の製造方法は、比誘電率又は誘電正接が低く、異方性が高い板状シリカ粒子の効率的な製造方法として有用である。
得られた板状シリカ粒子は、異方性が高いため、樹脂とコンポジット化した場合の強度向上効果が優れており、低誘電率材料として広汎な用途に使用できる。

Claims (6)

  1. ナノ細孔が実質的に存在しない中空状シリカ粒子を粉砕する工程を含む、比誘電率が3.5以下及び/又は誘電正接が0.01以下である板状シリカ粒子の製造方法。
  2. 中空状シリカ粒子が、900℃以上で熱処理して得られた中空状シリカ粒子である、請求項1に記載の板状シリカ粒子の製造方法。
  3. 中空状シリカ粒子の外殻の平均厚みが200nm以下である、請求項1又は2に記載の板状シリカ粒子の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により得られた、比誘電率が3.5以下及び/又は誘電正接が0.01以下である板状シリカ粒子。
  5. シリカの骨格が実質的に多孔質ではないものである、請求項4に記載の板状シリカ粒子。
  6. 比表面積が100m2/g以下である、請求項4又は5に記載の板状シリカ粒子。
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