JP2010221996A - ピボット操向型車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】短い全長にもかかわらず、操向過程においてフレーム縁同士が互いに接当することなく、車両フレームの容積が減少されず、大きな操向角度を得ることが可能で、機械構成部品を配置する十分なスペースを有するピボット操向装置を提供する。
【解決手段】第1連結部材36と別に、ロータリージョイント41、43を介して前部フレーム2及び後部フレーム3に連結される第2連結部材を有し、その関節連結は、第1連結部材36とは逆の関係を持ち、中立位置にある第2連結部材の長手軸21は、第1連結部材36の長手軸と上下方向において平行であり、中立位置にある第2連結部材のロータリージョイント41、43のロータリー軸は各々、第1連結部材36のロータリージョイントのロータリー軸に対して同軸状に配置されており、中立位置における操向駆動部の力適用線は、2つの連結部材の長手軸と平行で、軸方向に離間して配置されているピボット操向装置。
【選択図】図4

Description

本発明はピボット操向型車両に関し、より具体的には、前部フレームと後部フレーム、第1連結部材を備えたピボット操向装置、及び、前部フレームと後部フレームに関節連結点を介して連結される操向駆動部を備えるピボット操向型の建設車両あるいは建設機械で、第1連結部材は、2つのロータリージョイントを介して前部フレームと後部フレームへ連結されている車両に関する。前記ピボット操向装置は、互いに特定距離を置いて配置された第1及び第2の上下方向のピボット軸を有し、前記ピボット操向装置は、第1操向範囲においては、前記前部フレームと前記後部フレームとが第1ピボット軸周りで相対旋回可能に形成され、第2操向範囲においては、前記前部フレームと前記後部フレームとが第2ピボット軸周りで相対旋回可能に形成されており、第1と第2操向範囲は、中立位置によって互いに分けられている。
ピボット操向は、その比較的大きな操向角度および小さな旋回半径による優れた操縦性と、ターン性能とによって、各々少なくとも1つの剛体的車軸を有する少なくとも2つの車両フレームを備えた車両の操向装置として確立されている。具体的には、例えば、各々にタイヤが取り付けられた2つの車両フレームを備えた振動ローラ等の建設車両では、多くの場合ピボット操向を用いて制御されている。
従来のピボット操向型車両では、多くの場合、長手方向(すなわち長手中心軸)での対称軸上の、2つの車両フレームを連結する中央のピボットジョイント(揺動ジョイント)が利用されている。この場合に利用される操向駆動部は、通常2つの車両フレームへ端部が関節状に連結された複動式の油圧シリンダーである。移動方向をどちらの方向へ変更したいかにより、油圧シリンダーのピストンロッドが圧力媒体の駆動力により伸長または引退し、移動方向視において、車両フレームの左縁または右縁のいずれかが他方に対して旋回される。
このタイプの中央ピボットジョイントの最大設定揺動すなわち最大操向角度は、幾何学的な関係に依存する。すなわち、前部フレームと後部フレームの間の間隔が小さくなるほど、車両フレームの縁部同士が互いに接当するため、最大設定操向角度は小さくなる。操縦性を改善するために操向角度を大きくしようとすると、必然的にピボットジョイントが位置するフレーム縁部間の自由空間が大きくなり、種々のデメリットが発生する。一つには、車両の全長が大きくなり、これは搬送などにおいて障害となる。更に、長手方向でのフレーム縁間の自由空間の増加により、軸方向での間隔が増加し、その結果、操向回転は変化しないまま旋回半径が大きくなる。更に、車両フレーム間の間隔が大きくなると、より多くの構成素材が必要となる。他方、操向ターンを大きくするために、車両フレーム間の間隔を大きくせずに、フレーム外端領域、具体的には、互いの接当によって操向回転の限界を臨界的に規定しているコーナー部を窪ませて、且つ、丸みを付けることができる。これは全長の大きさを増加させないが、窪ませた領域は失われるので、機械構成部品を配置するための車両フレームの内部または車両フレーム上のスペースが減少してしまう。
例えばトレンチローラのような比較的小型の建設機械では、全長をできるだけ短くすることが好ましいが、一方、機械構成部品を配置する十分なスペースがなければならない。同時に、トレンチローラは、狭く湾曲したトレンチの中でもターンできるようにするために、できるだけ大きな操向角度を得られることが必要である。
互いに離間配置された2つの旋回軸を備えたピボット操向型農業車両は下記の特許文献1によって知られている。
DE4219635A1明細書
この車両のピボット操向に適用されている原理の欠点は、車両を操向するための調節装置が車両の長手方向で比較的大きな構成空間を必要とする点である。さらに、揺動移動を行うための個別の調節装置(例えば油圧シリンダー)が各旋回軸に対して必要であるというデメリットもあり、これはコストの増大につながり、操向装置の効率を低下させることにもなる。
従って、本発明の目的は、短い全長にもかかわらず、操向過程においてフレーム縁同士が互いに接当することなく、車両フレームの容積が減少されず、大きな操向角度を得ることが可能で、結果として、機械構成部品を配置する十分なスペースを有する使い易いピボット操向型車両を開示することにある。
この目的は、2つの更なるロータリージョイントを介して前部フレーム及び後部フレームに連結される第2連結部材を有するピボット操向装置で、この連結の関節連結は、第1連結部の関節連結とは逆の関係を持ち、中立位置にある第2連結部材の長手軸は、第1連結部材の長手軸と平行であり、中立位置にある第2連結部材のロータリージョイントのピボット軸の各々は、第1連結部材のロータリージョイントのピボット軸に対して同軸状に配置されているものにより達成される。中立位置における操向駆動部の力適用線は、2つの連結部材の長手軸と平行で、軸方向に離間して配置されている。従属請求項は、発明の有利な実施例に関するものである。
本発明による車両は、互いに離間して配置された2つの上下方向(vertical)のピボット軸を有するピボット操向装置を備える。「上下方向」という表現はここでは車両のベースに垂直な方向を意味する。前部フレームと後部フレームが操向移動のために互いに旋回できる2つのピボット軸は、好適には車両の長手軸(例えば長手の中心軸)に対して車両の中立位置において互いに対向して配置されている。この場合、両方のピボット軸を連結する水平線は、車両を上から見た際に、問題の長手軸と直角に交差してはならない。
車両の中立位置は第1操向範囲を第2操向範囲から分ける位置を定義している。従って、操向に関しては、本発明による車両は、第1操向範囲にある状態、中立位置、及び、第2操向範囲にある状態という3つの状態を備え、いずれの時点においても、3つの内のいずれか一つの状態でしかあり得ない。例えば、発明による車両は、左方向へのターン(第1操向範囲)、直進運転(中立位置)、及び、右方向へのターン(第2操向範囲)を行なうことができる。操向範囲を変更する際には、1つのピボット軸から他のピボット軸への自動変更が同時に起こる。好適には、中立位置は、両方の車両フレームの長手軸、具体的には、長手方向での対称軸が互いに一直線上に位置合わせされた状態で方向付けられているか、少なくとも互いに平行であるような位置である。言いかえれば、車両の中立位置は、好適には車両のターンしていない状態の設定状態を意味する。中立位置では、車両は好適には一直線に前方に運転され、また、車両フレームは2つのピボット軸に対して旋回していない。
本発明は、単一のピボット軸を有する単一の中央のピボットジョイントの代わりに、互いに離間配置された2つのピボット軸を有するピボット操向装置を使用するという発見に基づくものである。ピボット操向装置は、第1操向範囲において、前部フレームと後部フレームの相対旋回として具現化されるが、これらのフレームの相対的な旋回移動は、第1ピボット軸周りでのみ実行される。同様に、ピボット操向装置は、第2操向範囲において、前部フレームと後部フレームの第2ピボット軸周りのみでの相対旋回を実現する。「フレームの相対旋回」という表現は、両方のフレームが反対方向に同時に旋回する、すなわち、両方のフレームが共通のピボット軸周りで互いに近付くまたは互いに離間する方向へ旋回する第1のケース、相対運動に関して静止している後部フレームに対して前部フレームのみが移動、旋回する第2のケース、および、静止している前部フレームに対して後部フレームのみが移動、旋回する第3のケースという、全部で3つのケースの相対的運動を指す。全てのケースにおいて、フレームの相対旋回は操向運動に結びつく。
本発明による車両の幾つかの利点の中に、比較的大きな操向角度にも拘わらず全長が短くなっている点がある。これは、本発明によるピボット操向装置が長手方向で非常にコンパクトであることに起因している。従来の車両と比較して、前部フレームと後部フレームの間の間隔は同じままでありながら、いずれの操向範囲においても大きな操向角度が可能である。更に、前部フレームと後部フレームの間にピボット操向装置を挿入するための空間の大きさを大幅に低減できるため、従来の車両と比較して、操向角度は同じままでありながら、全長が大幅に短くなる。従来の車両フレームで窪まされたコーナー部は、本発明による車両では、車両フレームが互いに接当する危険性が無く、もはや必要ではないので、結果として設計者は、ピボット操向装置の寸法とは無関係に、車両フレームを最大限に設計することができる。これにより、車両フレームの内部または車両フレーム上に例えばエンジン、タンク、電気システム、油圧装置、リモートコントロール、給水タンクなどの構成部品を配置する際に、より大きな自由空間が得られるという結果がもたらされる。これによりデザインにおいて採用可能な構成が増える。
第2連結部材は、第1連結部材の関節連結と逆の関係を持つ関節連結を介して前部フレームと後部フレームに接続されている。連結部材は各々2つの、すなわち合計4つのロータリージョイントにより前部フレームと後部フレームとに連結されている。連結部材の「逆の関節連結」が何を意味するかよく理解するためには、横断方向における「左」と「右」(すなわち中立位置の車両を移動方向視した時の長手中心軸の左側と右側)、及び、上下方向における「上」と「下」を定義することで関節連結を分解することが有用である。これによると、4つのロータリージョイントは、「左上」、「右上」、「左下」、「右下」の各ロータリージョイントに細分できる。「左下」のロータリージョイントは例えば第1連結部材を介して「下平面」の中で「右下」のロータリージョイントに連結され、「左下」のロータリージョイントは後部フレーム上に配置され、「右下」のロータリージョイントは前部フレーム上に配置されている。中立位置では、「左上」ロータリージョイントは「左下」ロータリージョイントと上下方向で一直線上に並んでおり、「右上」ロータリージョイントは「右下」ロータリージョイントと上下方向で一直線上に並んでいる。第2連結部材は「上平面」の中で「右上」ロータリージョイントを「左上」ロータリージョイントと連結している。第1連結部材に対する第2連結部材の「逆の関節連結」においては、「左上」ロータリージョイントは前部フレーム上に設けられ、「右上」ロータリージョイントは後部フレーム上に設けられている。すなわち、各フレームは、中立位置における車両の長手中心軸に対して互いに対向して配置された「上」および「下」のロータリージョイントを一つずつ有する。2つの「左」ロータリージョイントのロータリー軸は互いに上下方向で一直線上に並び、一方のピボット軸を形成している。逆に、2つの「右」ロータリージョイントの揺動軸は互いに上下方向で一直線上に並び、他方のピボット軸を形成している。中立位置にある車両を上から見ると、2つの連結部材の長手軸はオーバーラップしており、異なる平面上で車両の長手中心軸を横断している。仮に中立位置から2つのフレームを反対方向に引っ張ると、前述の「逆の関節連結」の結果として、上から見た際に、2つの連結部材の長手軸は「交差形状」すなわち「X」を形成する。
便宜的に、2つのピボット軸は、中立位置の車両の長手中心軸に対して、互いに対称的に対向配置されており、その結果、車両を上から見た場合、中立位置では、2つのピボット軸を連結する線は、車両の長手中心軸によって垂直に、且つ、等しい幅の2つの部分へ分けられるよう交差される。車両の長手中心軸は、この場合、車両の中立位置において、車両の重心を通って延び、2つの車両軸(具体的にはタイヤ軸)に垂直に設けられる軸である。車両の対称的な実施形態と長手中心軸に対するピボット軸の対称的な配置により、前方への直線運転の際における車両の安全な作動や、両方の操向範囲において均一の操向挙動を可能としている。
便宜的に、第1操向範囲は0<α<80°の第1操向角度を含み、第2操向範囲は0<β<80°の第2操向角度を含んでいる。中立位置からスタートして前部フレームと後部フレームが設定された操向角度へ旋回するか、相対的旋回移動が、逆方向の回転により中立位置の方へ行われるか、或いは、ターン操向角度が一時的に固定された状態にあるかどうかに拘わらず、第1操向範囲において操向角度は0<α<80°である。同様に0<β<80°の操向角度が第2操向範囲に対応し、ここで、αとβの各々は、ターンする車両を上から見た場合、2つの車両フレームの前縁と平行に延び、車両フレームの旋回移動が行われたピボット軸において互いに交差する、2つの直線によって囲まれた角度を特定している。例えば、車両は、移動方向視で、前方直進運転からスタートして、第1操向範囲にある操向角度αが設定される場合、左の方向へ前進可能である。多くの車両、特に建設車両はターンせずに、逆進、すなわち、移動方向を逆にすることができる。これは、前部フレームが移動方向視で後部フレームの後を追うように移動方向を逆にする車両は、操向中に操向角度αで第1操向範囲へターンすると右方向へ移動することになることを意味している。操向角度は、理論上、両方の操向範囲において、0から80°までの範囲の中で連続的に設定することができる。しかし、好適には、車両のチルト抵抗を減少させないように0から50°までの範囲中の操向角度が選択される。
コンパクト化を増すために、ピボット軸は、前部フレームと後部フレームの間の領域で、好適には車両フレームの相互に対面する前縁間の中心位置で、前部フレームまたは後部フレームの横方向の縁の領域に配置され、第1ピボット軸は、移動方向視で左横縁の領域に設けられ、第2ピボット軸は、前部フレームまたは後部フレームの右横縁の領域に設けられている。横方向の縁の領域は、この場合、中立位置の長手中心軸の方向に延びる横縁から始まり、前部フレームまたは後部フレームの総重量の約20%、好適には10%を占める領域によって形成される。その結果、好適には長手方向視において前部フレームと後部フレームの間の中心に配置された複数のピボット軸は、フレームの幅によって実質的に定義される車両の幅を不必要に大きくすることなく、できるだけ大きく互いに間隔を開けることになる。従って、両方の車両フレームが互いに接当する危険性無しに、両方の操向方向における操向角度を最大限にすることが可能である。しかし、必要であれば、フレームの横方向の縁によって限界が定められる車両の幅の外にピボット軸を配置することも考えられる。
第1の実施形態では、ピボット操向装置は前部フレームと後部フレームをクロス状に連結する。「クロス状」の連結とは単に既に記された「逆の関節連結」の別の表現である。この場合、前部フレーム及び後部フレームの両方は、各々互いに離間して配置される少なくとも2つの関節連結点を有し、これらの関節連結点の上下方向の回転軸がピボット軸に相当し、これらの関節連結点は適切な連結部材によって互いにクロス状に連結され、その結果、いずれの場合も、前部フレームの関節連結点は、中立位置において車両の長手中心軸に対して前部フレームの関節連結点と対向する後部フレームの関節連結点と連結されている。従来の、単一の関節連結点のみを有する、中心に関節連結点を有する車両と比較すると、本発明による車両では、操向中および運転中に生じる力およびモーメントが複数個の点に分散されるという長所があり、その結果、単一の大きな例えばロータリージョイント等の関節連結点の代わりに、複数個の小さなロータリージョイントを使用することが可能である。更に、横方向のフレーム外端を介するフレーム同士の対称的な関節連結により操向修正の実行が不要となるため、直線前進走行特性も、従来の中心に関節連結接続を有する車両と比較して改善される。
この場合、ピボット操向装置は、便宜的に、各々ピボット軸を形成する第1ロータリージョイント対と第2ロータリージョイント対とを備える。各ロータリージョイント対は、回転軸が上下方向に一直線上に位置合わせされるよう互いに上下方向に配置された上部と下部ロータリージョイントを有する。中立位置では、両方のロータリージョイント対のロータリージョイントは各々、互いに上下方向に位置する。ロータリージョイントは、好適には転がりベアリングが介在された状態で軸の首部とブッシュとにより、従来の方法で設計することができる。上部ロータリージョイントのうちの1つは前部フレーム上に配置されている。同様に、下部ロータリージョイントのうちの1つは前部フレーム上に配置され、この下部ロータリージョイントは、長手中心軸に対して前部フレームの上部ロータリージョイントに対向して配置されている。同様に、他方の上部ロータリージョイントと他方の下部ロータリージョイントは、後部フレーム上に配置されるので、各ロータリージョイント対は、前部フレームに連結されたロータリージョイントと後部フレームに連結されたロータリージョイントとを有する。中立位置にあるピボット操向装置の断面図では、前部フレームに接続されたロータリージョイントを連結する仮想線は、後部フレームに接続されたロータリージョイントを連結する仮想線と交差する。
第1連結部材は好適には操向プレートである。第2連結部材は、好適には操向プレートと比較してより狭い連結アームである。この場合、上部ロータリージョイント同士は、好適には連結アーム(第2連結部材)を介して第1水平面中で連結される。下部ロータリージョイント同士は、好適には第1水平面より下方に配置された第2水平面中で、操向プレート(第1連結部材)を介して連結されている。この場合、「水平な」という表現は車両のベースと平行である事を意味する。2つの平面における配置により、本発明によるピボット操向装置が非常にコンパクトで安定的に設計でき、前部フレームと後部フレームの間の間隔を最小限に短縮できる。連結アーム、及び、操向プレートの長手軸は、中立位置において、一方が他方の上方に位置するよう、及び、車両の長手中心軸に対して横断するよう配置されている。好適には、これらは中立位置において、ピボット操向装置を更にコンパクト化するために、車両の長手中心軸に垂直で、前部フレームと後部フレームの間の自由空間中の実質的に中心に配置される。上部ロータリージョイントを備えた連結アームと、下部ロータリージョイントを備えた操向プレートとは、協働して、前部フレームと後部フレームの間のシンプルで強健なクロス状で2つの平面に亘る関節連結を形成している。連結アームは、主として前部フレームと後部フレームの間の相対運動を案内するよう機能する。操向プレートは、制限した状態で移動を案内する機能に加え、特に操向に必要な力やモーメントを伝える機能を奏する。
上述した連結アームと操向プレートへのクロス状の連結によって、発明によるピボット操向装置の運動力学が決定される。操向角度αを有する第1操向範囲では、第1ロータリージョイント対の上下方向に一直線に並んだ軸は、第1ピボット軸として働く。この場合、操向角度αは、第1操向範囲で後部フレームの前縁と平行に延びる連結アームの長手軸と、第1操向範囲で前部フレームの前縁と平行に延びる操向プレートの長手軸とによって囲まれており、2つの異なる平面内においてとはいえ、連結アームは、第1ロータリージョイント対の上部ロータリージョイントによって関節連結され、操向プレートは、第1ピボット軸上の第1ロータリージョイント対の下部ロータリージョイントによって関節連結されている。第1ピボット軸を形成する第1ロータリージョイント対に対向する第2ロータリージョイント対は、この場合「浮動状態(suspended)」にあり、第2ロータリージョイント対を構成するロータリージョイントの回転軸同士は、上下方向に一直線に並んでおらず、空間的に引き離されている。第1操向範囲中のαに揺動されたピボット操向装置を上から見ると、第1ロータリージョイント対の共通の回転軸(すなわち第1ピボット軸)は、第2の「浮動状態の」ロータリージョイント対を構成するロータリージョイントの対称軸と協働して二等辺三角形を形成し、上部ロータリージョイントと下部ロータリージョイントのそれぞれの間隔に亘って互いに形成される三角形の側辺は角度αを囲んでいる。
2つの平面における4つのロータリージョイントと2つの連結部材を有するクロス状の連結により、ピボット操向装置の強健で、コンパクトで、かつ、メンテナンスが容易な設計が可能となる。詳細に記述された例示的な好適実施形態に加えて、例えば、機械的または電磁式の開閉装置によって交互に1対のロータリージョイントだけが係合される、すなわち、ピボット軸が形成され、対向する他方のロータリージョイント対は解放されて旋回されるようなピボット操向装置の別実施形態が可能であることは言うまでもない。
連結アーム及び操向プレートはそれぞれのロータリージョイント間の剛体部材と理解される。土地の起伏などに起因してロータリージョイントが受ける負荷の結果として生じる振動に対処するために、素材の選択やジョイント連結部材の設計の際にある程度の弾性を任意に考慮されてもよい。これに代え、車両に付加的な振り子ジョイントを設けることもできる。
本発明によるピボット操向装置は、本発明の好適実施形態において第1と第2ストップエレメントを有し、第1操向範囲では、前記第1ストップエレメントは前部フレームと操向プレートの間に位置し、第2操向範囲では、第2ストップエレメントは後部フレームと操向プレートの間に位置する。例えば実質的に正平行六面体であるストップエレメントは複数の機能を奏し、それらのうちのいくつかは操向範囲によって変化する。車両の中立位置では、これらのストップエレメントは、操向プレートの幅と協働して、前部フレームと後部フレームの間に一定の間隔を保証し、従って、ピボット操向装置が「圧縮される」ことを防止する。第1操向範囲では、第1ストップエレメントは、操向プレートと前部フレームの後部端縁の間で挟まれる。このように、これはストップ部材やスペーサーとして働く。これは少なくとも部分的に、操向プレートから前部フレームに、および逆方向に、力とモーメントを伝え、これにより、ロータリージョイントに対する負荷が軽減される。後部フレーム上、すなわち、第1ストップエレメントに対向して位置する操向プレートの面に配置される第2ストップエレメントは、第1操向範囲では、機能を有さない。しかし、第2操向範囲では、第2ストップエレメントは、片側面では操向プレートに、及び、反対側面では後部フレームの前縁に接しており、操向プレートと後部フレームの間のストップ部材、スペーサー、及び、力及びモーメントのための伝達要素として働く。双方のストップエレメントは、このように直進前進運転、及び、操向中に重要な役割を果たす。
ストップエレメントは、便宜的に操向プレートの面に配置されるか、操向プレートに連結されている。これらは、操向プレートと一体的にデザインされるか、或いは、適切な連結技術により、力伝達状態、形状フィット状態、または、素材結合状態で操向プレートに接続することができる。
ピボット操向装置が前部フレームに接続された第1操向レバーと後部フレームに接続された第2操向レバーを備えることが有利であることが判明しており、これらの操向レバーは中立位置において、車両の長手中心軸に対して互いに対向するよう配置されている。好適には、第2平面上の2つの下部ロータリージョイントは各々これらの操向レバーのうちの一方に配置され、結果として操向プレートが2つの操向レバーの間の関節的な連結、すなわち、前部フレームと後部フレーム間の関節的な連結を行っている。操向駆動部は、その両端部において操向プレートの長手軸から設定間隔にある更なる関節連結点(好適にはロータリージョイント)を介してこれら操向レバーに関節連結されている。この設定間隔は、それぞれの操向レバーのレバーアーム(梃子の腕)の長さに相当し、この結果、基準点(すなわち下部ロータリージョイント)まわりのモーメントが、操向駆動部の関節連結点に作用する力から生成される。車両の中立位置では、操向駆動部の長手軸は、この間隔で操向プレートの長手軸と平行に、また好適には同じ水平面において配置されている。操向駆動部の同配置により、従来の複動式のピストン/シリンダユニットを操向駆動部として利用できる。特に建設車両と建設機械ではいずれにせよ操向駆動用の圧力媒体源となり得る移動及び作業手段用の静油圧駆動が存在するため、好適にはピストン/シリンダユニットが油圧駆動される。
ピボット操向装置は好適には水平に位置する操向四角形を有し、その端点は操向レバー上に配置されたロータリージョイントによって形成され、操向プレート、操向駆動部、及び、2つの互いに対向する操向レバーによってその側辺が形成される。この場合、操向四角形の少なくとも1つの横方向の長さは、操向駆動部の長さを変更することにより可変的に設定することができる。中立位置では、操向四角形は、好適には不等辺四辺形を形成し、具体的には2つの互いに平行の辺(すなわち操向プレート及び操向駆動部の長手軸)と、互いに等しい長さの2つの対向する辺(すなわち操向レバーのレバーアーム)とを備えた等辺の台形の形状である。操向移動は非常にコンパクトで簡単な方法で、操向四角形を形成する操向レバー、操向プレート、及び、操向駆動部の本発明による配置によって開始することができる。中立位置からスタートし、圧力媒体がピストンの2つの側のうちの一方に導入されると、操向駆動部の2つの関節連結点における操作力が双方の操向レバーに作用する。これにより、例えば油圧シリンダーのピストンロッドを伸長または引退させることにより、操向駆動部の長さが変更され、最終的には、2つのピボット軸のうちの一方周りで前部フレームが後部フレームに対して旋回する。数学的には、操向角度は、操向駆動部の長さの差と、操向四角形の好適には一定な他の3つの既知の横方向の長さとから計算できるので、操向駆動部の長さの変化は、操作する圧力に加えて、所望の操向範囲において所望の操向角度を設定するための変数として引用可能である。操向四角形は、操向駆動部により可変的に設定される現状の横方向の長さに依存する状態でその形状を変更し、その操向運動学的挙動のために、操向範囲により、各場合において実質的に操向四角形の1つの端点だけが、中立位置における位置に対してその位置を変更する。長さ変更の可能性は、テレスコープ形シリンダーの利用により拡大することができる。
連結アーム、ストップエレメントを備えた操向プレート、及び、操向駆動部は、直線的に前進する場合、車両の長手中心軸に対して横断するよう、具体的には長手中心軸と垂直となるように配置されている。この場合、これらは、後部フレームに対する前部フレームの位置を固定する3つの剛体的連結部材として働き、その結果、これらの間の間隔の大きさは増加または減少しない。操向駆動部が駆動され、車両が中立位置からスタートして、2つの操向範囲のうちの一方へ操向されると、前部フレームと後部フレームは、ピボット操向装置によってあらかじめ定められた操向運動学的挙動により、第1ピボット軸周または第2ピボット軸周りのいずれかの旋回移動をする。操向に必要な駆動力または操向モーメントは、操向レバーを介して前部フレームと後部フレームに対して主として第2平面中で伝えられる。第1平面中の連結アームは、これは主として旋回移動を案内するよう機能するため、操向プレートと比較して、より軽く且つよりシンプルに設計することができる。従って、操向駆動部が駆動されると、本発明によるピボット操向装置は、2つの制限的に案内された旋回する動き、すなわち、第1または第2ピボット軸のいずれか周りのフレームの相対旋回しか許さない。それを除くと前部フレームと後部フレームの間の他の相対運動は可能ではない。
本発明によるピボット操向装置は平坦案内装置である。平坦装置では、回転軸はすべて平行であり、また、部材点の移動経路は平行平面中に位置する。案内装置は、1つの部材が特定の位置を占めるか、部材の複数点が特定の経路を描くように案内する装置である。これらの条件は本発明によるピボット操向ジョイントによって満足される。
有利な実施形態においては、操向プレートは少なくとも1つの挿通孔を有する。この挿通孔は、例えば油圧ライン等のライン、または、例えば電力または信号ケーブル等のケーブルを貫通接続させるよう機能することができる。同様に、挿通孔を、それ自身がラインの一部として機能できるように、連結可能な2つの開口部において提供することができる。例えば、ロータリージョイントを潤滑させる潤滑剤を操向プレートに通すことができる。
本発明による車両は、好適には建設車両または建設機械、特に土締固めのための振動ローラ、特に好適にはトレンチローラである。トレンチローラは操向性能が非常に高くなければならない。更にトレンチローラは、使用現場に対する頻繁な出し入れ搬送が容易になるように、できるだけ短い全長を持つ必要がある。本発明による車両はこのタイプの振動ローラとして理想的である。加えて、高い操縦性とコンパクトな設計とが同時に望まれる場合には、他のピボットステアリング型建設車両及び建設機械の利用分野も考えられる。
操向装置は、好適には、ピストンロッドを備えた複動式の油圧シリンダーである。操向駆動部としてリニアモーターを設けることも考えられる。発明性のあるピボット操向装置の運動学的挙動の結果、第1及び第2ピボット軸の両方周りの操向移動を行うために、単一の複動式油圧シリンダーまたはリニアモーターで十分であることは重要である。
本発明の実施例の概略平面図である。 ピボット操向装置、及び、操向駆動部の平面E2(図3)に沿った長手断面を示す図1と同様の概略平面図である。 図1の線分X−Xに沿った車両の概略断面図である。 第1操向範囲にある状態での車両の概略平面視である。 第1操向範囲にある状態での図4のピボット操向装置の平面E2に沿った長手断面を示す概略底面図である。 図5と同様の第1操向範囲における操向移動の概略図である。 第2操向範囲にある状態での車両の概略平面視である。 第2操向範囲にある状態での図7のピボット操向装置の平面E2に沿った長手断面を示す概略底面図である。 図8と同様の第2操向範囲における操向移動の概略図である。
発明の好ましい例示的な実施例を以下の図面を参照して更に詳しく記述する。
図1と2は、本発明による車両1の例示的な実施形態の中立位置における平面図である。図示される車両1は、前部フレーム2および後部フレーム3と、振動駆動部および移動駆動部とを備えた、土固め用ローラ、具体的にはトレンチローラである。前部フレーム2は、前軸12を有する前タイヤ5を有する。同様に、後部フレーム3は、後軸13を有する後タイヤ6を備える。図示される振動ローラ1は、長手中心軸10および横断軸11に関して実質的に対称的に作られている。ピボット操向装置30は、2つの水平面E1とE2において、前部フレーム2、及び、後部フレーム3を、互いに関節的に、および、クロス状に連結している。
図1には、上部ロータリージョイント41及び43を備えたピボット操向装置30の第1水平面E1が明示されている。2つの上部ロータリージョイント41及び43は間隔gによって互いに離間配置され、ローラ1の長手の中心軸10に対して対称的に互いに対向しており、その結果、間隔gは長手中心軸10によって半分割されている。上部ロータリージョイント41と下部ロータリージョイント42とを備えた第1ロータリージョイント対40aによって、第1ピボット軸15(図3)が形成されている。同様に、ローラの反対側の、上部ロータリージョイント43と下部ロータリージョイント44とを備える第2ロータリージョイント対40bにより第2ピボット軸16(図3)が形成されている。
ピボット操向装置30は、前部フレーム2と後部フレーム3の間のほぼ中間領域に配置されており、前部フレーム2の後部縁2aは、後部フレーム3の前縁3aから間隔dの位置にある。従来のピボット操向型車両では、前部フレーム2と後部フレーム3の間の間隔dは、本発明による車両1のそれと比較して何倍か大きい。フレーム2、3の間の間隔dを有する自由空間の設計においては、所望の最大操向ターン及び所望の車幅は、従来のピボット操向型車両において非常に重要である。これら2つの変数のうち一方を大きくすると、間隔dの大きさも増加しなければならない。しかし、本発明による車両1では、ピボット操向装置30は、車両フレーム2、3と無関係に、このタイプの制限なく、最大限まで設計することができる。フレーム2と3の間の間隔dは、常に最小値に維持できる。連結アーム35(第2連結部材の一例)は、第1平面E1において、上部ロータリージョイント41と43同士を連結し、第1ロータリージョイント対40aの上部ロータリージョイント41は、前部フレーム2に固着される保持部31上に配置されており、第2ロータリージョイント対40bの上部のロータリージョイント43は、後部フレーム3に固着される保持部32に配置されている。連結アーム35の長手軸21は、中立位置において、ローラ1の横断軸11と平行に配置されている。
図2は、図1と同じ平面図であるが、第2平面E2に沿ったピボット操向装置30と操向駆動部50の断面が示されている。第1ロータリージョイント対40aの下部ロータリージョイント42は、操向プレート36(第1連結部材の一例)を介して第2ロータリージョイント対40bの下部ロータリージョイント44に連結されており、操向プレート36の長手軸22は、連結アーム35の長手軸21の上下方向下方に配置され、車両1の長手中心軸10に対して垂直に交差している。前部フレーム2と後部フレーム3の間の間隔dは、操向プレート36に接続される2つのストップエレメント37、38の幅、及び、操向プレート36の幅から形成され、中立位置では、第1ストップエレメント37は前部フレーム2に対して接当し、第2ストップエレメントは後部フレーム3に対して接当している。第2ロータリージョイント対40bの下部ロータリージョイント44と操向駆動部50の第2ロータリージョイント46とを支持する第1操向レバー33は、前部フレーム2に固着されている。第1操向レバーと対向した状態で、第1ロータリージョイント対40aの下部ロータリージョイント42と操向駆動部50の第1ロータリージョイント45とを支持する第2操向レバー34は、後部フレーム3に固着されている。操向駆動部50を介して互いに接続されているロータリージョイント45,46は、間隔gよりわずかに小さい間隔lで離間配置されている。操向駆動部50の長手軸23は、平面E2内で、間隔aをもって操向プレート36の長手軸22と平行に配置されており、この間隔aは、操向作動中にレバーアーム(梃子の腕長さ)と対応する。従って、ロータリージョイント42、44、46、45は、第2平面E2内の操向四角形を形成し、具体的には、長さgとlを有する互いに対向する2つの平行の辺と、同じ長さaを有する2つの互いに対向する辺を備えた等辺の台形(不等辺四角形)を形成する。
図1と図2で示された中立位置では、ローラ1は矢印7によって示された方向に一直線に前方に移動する。ローラ1は逆転装置(図示されず)を備え、その結果、反対方向に移動することができる。明確化のために、「前部フレーム2」及び「後部フレーム3」の名称は、姿勢や移動方向に関係なく維持される。前方に直進する場合、操向プレート36、連結アーム35、及び、操向駆動部50は、剛体的に互いに前部フレーム2と後部フレーム3を連結しており、その結果、前部フレーム2と後部フレーム3の間の相対的運動は生じない。中立位置にある間は、フレーム2と3の間の間隔dは一定不変である。
図3は、本発明による車両1の図1の線分X−Xに沿った断面図である。ロータリージョイント41,42を備えた第1ロータリージョイント対40aは第1ピボット軸15を形成する。第2のピボット軸16は、ロータリージョイント43,44を備えた第2ロータリージョイント対40bによって形成される。適用例によっては、各々が第1ピボット軸15または第2ピボット軸16の一部を形成する更なるロータリージョイント47、48を、任意に第3水平面E3において操向プレート36上に配置することができる。これは、例えば、車両1が比較的大きく設計され、これにより操向プレート36が比較的大きな操作力および操向モーメントに耐える必要がある場合に必要となるかも知れない。図示された例においては、連結アーム35は単なる連結ロッドとして設計されている。
図4は、第1操向範囲にあるローラ1の平面図である。第1操向範囲は0<α<80°の操向角度を含み、この操向角度αは、第1ピボット軸15において互いに交差する長手軸21、22によって囲まれている。ローラ1が矢印方向7に移動する場合、第1ピボット軸に関する操向角度αにより、(移動方向視で)ローラ1は図の左方向へ方向を変更することになる。第1ピボット軸15と共に移動する観察者が、フレーム2と3の相対的な動きのみを見る場合、移動方向7視でフレーム2、3の左横縁2b、3bは、互いに相対旋回することになる。この例示的な実施形態では、車両1が静止している際に操向ターンが行われた場合、後部フレーム3は停止した前部フレーム2に対して第1操向範囲で旋回することになる。フレーム2、3の右横縁2c、3cは、移動方向視で互いに大きく開き、これにより、中立位置では位置合わせされていた第2ロータリージョイント対40bの上部ロータリージョイント43と下部ロータリージョイント44も互いに離間するように移動する。ロータリージョイント41、43、44の回転軸は、この状態で三角形の側辺の長さがgで先端角αを有する二等辺三角形を形成する。図示された例においては、前タイヤ5及び後タイヤ6は、横断軸11に対するローラ1の対称的なデザインのために一つの軌跡上を走行する。
図5は、図4のように第1操向範囲にあるピボット操向装置30を下から見た図で、操向状態を詳細に説明するために、第2平面E2に沿った長手断面が示されている。第1操向範囲への操向移動は、操向駆動部50の駆動により開始される。この例示的な実施形態ではピストンロッド52及び2つの油圧連結部53、54を備えた複動式の油圧シリンダー51として設計されている操向駆動部50が駆動され、第1油圧連結部53が加圧された作動油用流入部として機能し、第2油圧連結部54がシリンダー51にある作動油用の戻り部として機能し、これによりピストンロッド52がシリンダー51内へスライド移動できる。操向駆動部50の駆動の結果として、ロータリージョイント45、46の間隔が中立位置の元のlから現状のl’(図6参照)へと短くなると共に、操向四角形42、44、46、45の形状が変化する。
図6では、高度に単純化された形態によって、図5と同様の第1操向範囲における操向原理を示す。明瞭化のために、図6では、前部フレームと操向プレート36の長手軸22との間の間隔d/2は、可能な限り図でオーバーラップが無いようにするために図5と比較して大きく示している。完全を期すために述べると、図示する例示的な実施形態では、操向駆動部50が前部フレーム2内へ少なくとも部分的に入り込んでいる、すなわち、前部フレーム2と後部フレーム3の間で間隔dによって形成される中間領域の外に配置されていることに注目すべきである。図6では、図5のピボット操向装置30を示しており、簡単化のため、重要であるロータリージョイントは円として図示されており、剛体のギア部材の長手軸は線として図示されている。更に、作用する操作力F1と操向モーメントM1、M1’が示されている。同様に、操向四角形42、44、46、45の最も重要な寸法、及び、間隔l’、a、g、dも図示されている。ストップエレメント37、38や前部フレーム2、後部フレーム3も示されている。
中立位置から第1操向範囲への操向移動は以下のように開始される。操向駆動部50の油圧駆動の結果、駆動力F1が、操向駆動部50の2つの関節連結点(すなわちロータリージョイント45、46)に作用する。第1操向モーメントM1は、第1操向レバー33上で長さaを有するレバーアームに起因するものである。ここで、ロータリージョイント46と第1操向レバー33は、前部フレーム2と共に実質的に束縛されており、ロータリージョイント44周りでの回転移動や直線的な移動はできない。第1操向レバー33、前部フレーム2、第1ストップエレメント37は、操向プレート36と共に、モーメントM1を引き起こす第1力F1を吸収し、上述の機械部品は実質的に移動しない。反対側では、ロータリージョイント42周りの第2操向モーメントM1’が、長さaのレバーアームと力F1の結果として、第2操向レバー34に対して働き、その結果、第2操向レバー34に固着される後部フレーム3は、角度αだけロータリージョイント42周りで自由回転する。更に、前部フレーム2に対する後部フレーム3の回転移動は、第1平面E1に位置する連結アーム35及び上部ロータリージョイント41により制限された状態で案内される。第1ロータリージョイント対40aのロータリージョイント41、42は、第1操向範囲のための第1ピボット軸15を形成している。前部フレーム2に対する後部フレーム3の回転運動の向きに関係なく、第1操向範囲でのフレーム2、3のそれぞれの相対回動は、常に第1ピボット軸15周りでのみ起こる。操向駆動部50の駆動は、設定された圧力の関数として、ロータリージョイント45の変位、具体的には、ロータリージョイント42周りの回転をもたらし、その結果、操向四角形の可変である横方向の長さはl(中立位置)からl’になる。l’<lの関係が満たされる限り、第1操向範囲の状態となる。αが中立位置の方向に低減されるためには、圧力媒体は第2油圧連結部によってピストンの反対面に作用しなければならない。中立位置に到達すると、α=0且つl’=lの条件が満たされる。
図7は、第2操向範囲にあるローラ1の平面図である。第2操向範囲は0<β<80°の第2操向角度を含み、この操向角度は、第2ピボット軸16において互いに交差する長手軸21、22によって囲まれている。ローラ1が矢印方向7に走行する場合、第2ピボット軸に関する操向角度βにより、(移動方向視で)ローラ1は図の右方向へ方向を変更することになる。第2ピボット軸16と共に移動する観察者が、フレーム2、3の相対的な動きのみを見る場合、移動方向視でフレーム2、3の右横縁2c、3cは、互いに相対旋回することになる。この場合、フレーム2、3の左横縁2b、3bは、移動方向視で互いに大きく開き、これにより、中立位置や第1操向範囲では位置合わせされていた第1ロータリージョイント対40aの上部ロータリージョイント41と下部ロータリージョイント42は、互いに離間するように移動する。この例示的な実施形態では、車両1が静止している際に操向回転が行われた場合、第2操向範囲では、前部フレーム2が停止した後部フレーム3に対して旋回することになる。ロータリージョイント43、41、42の回転軸は、この状態で三角形の側辺の長さがgで先端角βを有する二等辺三角形を形成する。この場合も前タイヤ5と後タイヤ6は同一軌道上を走ることになる。
図8は、図7のように第2操向範囲にあるピボット操向装置30を下から見た図で、操向状態を詳細に説明するために、第2平面E2に沿った長手断面が示されている。第2操向範囲への操向移動も、操向駆動部50の駆動により開始される。この場合、第1操向範囲への操向移動とは対照的に、操作力F2は外方に作用する、つまり、シリンダー51のピストンロッド52は、シリンダー51から離れる方向、従って操向駆動部50を伸長しようとする方向へ移動する。この場合、ロータリージョイント45、46の間隔が中立位置の元のlから現状のl’’(図9参照)に長くなるように、操向四角形42、44、46、45の形状が変化する。
図9では、図6と同様に、単純化された形態で、図8と同様の第2操向範囲における操向原理を示す。ここでも、明瞭化のために、前部フレームと操向プレート36の長手軸22との間の間隔d/2は大きく示されている。図9は図8のピボット操向装置30を示しており、簡単化のため、重要であるロータリージョイントはやはり円として図示されており、剛体の装置部材の長手軸は線として図示されている。更に、作用する操作力F2と操向モーメントM2、M2’が示されている。同様に、操向四角形42、44、46、45の最も重要な寸法、及び、間隔l’’、g、a、dも図示されている。ストップエレメント37、38や、前部フレーム2、後部フレーム3も示されている。
中立位置から第2操向範囲への操向移動は以下のように開始される。操向駆動部50の油圧駆動の結果、駆動力F2が操向駆動部50の2つの関節連結点(すなわちロータリージョイント45、46)に作用する。ロータリージョイント42周りの第1操向モーメントM1は、第2操向レバー34上で長さaを有するレバーアームに起因するものであり、ロータリージョイント45と第2操向レバー34は、前部フレーム3と共に実質的に束縛されており、ロータリージョイント42周りでの回転移動や直線的な移動はできない。第2操向レバー34、後部フレーム3、第2ストップエレメント38は、操向プレート36と共に、モーメントM2を引き起こす第1力F2を吸収し、上述の機械部品は実質的に移動しない。反対側では、ロータリージョイント44周りの第2操向モーメントM2’が、長さaのレバーアームと力F2の結果として、第1操向レバー33に対して働き、その結果、第1操向レバー33に固着される前部フレーム2は、角度βの分だけロータリージョイント44周りで自由回転する。更に、後部フレーム3に対する前部フレーム2の旋回移動は、第1平面E1に位置する連結アーム35及び上部ロータリージョイント42により制限された状態で案内される。第2ロータリージョイント対40bのロータリージョイント43、44は、第2操向範囲のための第2ピボット軸16を形成している。後部フレーム3に対する前部フレーム2の回転運動の向きと関係なく、第2操向範囲でのフレーム2、3のそれぞれの相対回動は、常に第2ピボット軸16周りでのみ起こる。操向駆動部50の駆動は、設定された圧力の関数として、ロータリージョイント46の変位、具体的には、ロータリージョイント44周りの回転をもたらし、その結果、操向四角形の可変である横方向の長さはl(中立位置)からl’’に増大される。l’’>lの関係が満たされる限り、第2操向範囲の状態となる。βが中立位置の方向に低減されるためには圧力媒体は第1油圧連結部によってピストンの反対面に作用しなければならない。中立位置に到達すると、β=0且つl’’=lの条件が満たされる。

Claims (9)

  1. 前部フレーム(2)及び後部フレーム(3)と、
    2つのロータリージョイント(42、44)を介して前部フレーム(2)及び後部フレーム(3)に連結された第1連結部材(36)を備えたピボット操向装置(30)と、
    関節連結点(45、46)を介して前部フレーム(2)と後部フレーム(3)とに連結された操向駆動部とを備え、
    前記ピボット操向装置(30)は、互いに特定距離で離間配置された第1と第2の上下方向のピボット軸(15、16)を有し、第1操向範囲においては、前部フレーム(2)と後部フレーム(3)とが前記第1ピボット軸(15)周りで相対旋回可能に形成され、第2操向範囲においては、前部フレーム(2)と後部フレーム(3)とが前記第2ピボット軸(16)周りで相対旋回可能に形成されており、前記第1操向範囲と前記第2操向範囲とは、中立位置によって互いから分けられている、ピボット操向型車両(1)、特に建設車両であって、
    前記ピボット操向装置(30)は、2つの更なるロータリージョイント(41、43)を介して前部フレーム(2)及び後部フレーム(3)に連結される第2連結部材(35)を有し、この連結の関節連結は、前記第1連結部材(36)の連結の関節連結とは逆の関係を持ち、
    前記中立位置にある前記第2連結部材(35)の長手軸(21)は、前記第1連結部材(36)の長手軸(22)と上下方向において平行であり、
    前記中立位置にある前記第2連結部材(35)のロータリージョイント(41、43)のロータリー軸は各々、前記第1連結部材(36)のロータリージョイント(42、44)のロータリー軸に対して同軸状に配置されており、前記中立位置における操向駆動部(50)の力適用線は、前記2つの連結部材(35、36)の長手軸(21、22)と平行で、軸方向に離間して配置されていることを特徴とする車両。
  2. 前記操向駆動部(50)は、ピストンロッド(52)を備えた複動式の油圧シリンダー(51)であることを特徴とする請求項1に記載の車両。
  3. 前記ピボット操向装置(30)は、第1および第2のストップエレメント(37、38)を有し、前記第1操向範囲では、第1ストップエレメント(37)は前部フレーム(2)と前記第1連結部材(36)の間に位置し、前記第2操向範囲では、前記第2ストップエレメント(38)は後部フレーム(3)と前記第1連結部材(36)の間に位置することを特徴とする請求項1または2に記載の車両。
  4. 前記ストップエレメント(37、38)の双方が前記第1連結部材(36)に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の車両。
  5. 前記ピボット操向装置(30)は、前部フレーム(2)に連結された第1操向レバー(33)と、後部フレーム(3)に連結された第2操向レバー(34)とを有し、これらの操向レバーは、前記中立位置において、車両(1)の長手方向の中心軸(10)に対して互いに対向して配置され、これらの操向レバー(33、34)に対して、前記操向駆動部(50)は前記関節連結点(45、46)を介して、前記第1連結部材(36)は下部ロータリージョイント(42、44)を介して関節連結されることで、前記操向駆動部(50)と前記第1連結部材(36)は、各操向レバー(33、34)に配置されたレバーアームの長さに対応する間隔(a)を開けた状態で互いに離間配置され、前記操向駆動部(50)の駆動に応じて、各操向レバー(33、34)によって駆動力(F1、F2)に基づく操向モーメント(M1、M1’、M2、M2’)が発生することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の車両。
  6. 前記ピボット操向装置(30)は操向四角形を有し、その操向四角形の頂点は、前記操向レバー(33、34)上に配置されたロータリージョイントと関節連結点(42、44、45、46)とによって形成され、その操向四角形の辺は、前記第1連結部材(36)、前記操向駆動部(50)、及び、前記操向レバー(33、34)によって形成され、前記操向四角形の少なくとも1つの横方向の長さ(l、l’、l’’)は、前記操向駆動部(50)の長さの変更によって設定変更可能であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の車両。
  7. ピボット操向装置(30)は平坦な案内装置であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の車両。
  8. 前記連結部材(36)は、線またはケーブルまたは線およびケーブルのための少なくとも1つの挿通孔(39)を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の車両。
  9. 振動ローラ、特には、トレンチローラであることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の車両。
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