JP2010220876A - 磁石式鉗子 - Google Patents
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Abstract
【課題】腹腔内での操作を確実且つ簡便に行うことができ、遺残事故も防止することができる磁石式鉗子を提供する。
【解決手段】体外に配置される磁石と、内視鏡手術用ポートを通して体腔内に挿入され上記磁石と吸着される吸着体と、この吸着体に繋がれる鉗子とから構成される磁石式鉗子において、一方端が上記吸着体3に固定され、他方端が内視鏡手術用ポートを通して体外まで延設されているストッパー付きワイヤー7と、吸着体3に繋ぎ止められる把持鉗子6と、吸着体3と把持鉗子6とを接続する弾性接続線4,5と、吸着体3に形成されたフック3hとを有し、上記弾性接続線4,5は、その長手方向にフック3hによって係止される係止部を複数備え、それらの係止部5a〜5fのうちのいずれかを吸着体3のフック3hに掛止することにより、吸着体3と把持鉗子6との距離を調節することができるように構成されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】体外に配置される磁石と、内視鏡手術用ポートを通して体腔内に挿入され上記磁石と吸着される吸着体と、この吸着体に繋がれる鉗子とから構成される磁石式鉗子において、一方端が上記吸着体3に固定され、他方端が内視鏡手術用ポートを通して体外まで延設されているストッパー付きワイヤー7と、吸着体3に繋ぎ止められる把持鉗子6と、吸着体3と把持鉗子6とを接続する弾性接続線4,5と、吸着体3に形成されたフック3hとを有し、上記弾性接続線4,5は、その長手方向にフック3hによって係止される係止部を複数備え、それらの係止部5a〜5fのうちのいずれかを吸着体3のフック3hに掛止することにより、吸着体3と把持鉗子6との距離を調節することができるように構成されていることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は腹腔鏡手術に好適である磁石式鉗子に関するものである。
腹腔鏡手術は1987年にフランスで初めて行われ、その後、1990年に日本にも導入された比較的新しい手術方法である。
当初は、胆嚢摘出術に適用されて世界中に広まったが、現在では、胆嚢摘出術に留まらず消化管や脾臓、副腎、前立腺などの手術にも応用されている。
また、胸腔鏡手術として肺や食道の手術にも応用されており、さらには、乳腺、甲状腺などの様々な疾患への試験的な応用も始まっている。
このような状況において、上記胆嚢摘出術については、既に世界中で標準術式として腹腔鏡手術が定着しており手術件数も極めて多い。
図13は上記腹腔鏡手術の様子を示したものである。
同図に示すように、腹腔鏡手術では腹壁の数箇所に孔が空けられ、一つの孔50から内視鏡51が挿入され、他の孔(図ではその一つを示している)52からは手術に使用する鋏や鉗子等の器具53が挿入される。なお、図中、54は内視鏡51や器具53を出し入れするためのポートを示している。
内視鏡51によって撮影された画像は、図示しないモニター画面に映し出され、その画面を見ながら上記挿入した器具53等を操作することにより、直視下手術と同様な方法で手術が行われる。
このような腹腔鏡手術は、体壁を大きく切開する手術方法に比べ、体壁上の小さな孔を通して臓器を切除摘出することができることから、術後の合併症発生率が大幅に減少し、患者の疼痛がほとんどなく、入院期間が短縮されることにより医療費が抑制され、しかも美容的にも優れているという多くの利点がある。
しかしながら、一方では、体壁の複数箇所を切開することにより内視鏡や器具を挿入するための孔を設けなければならず、開腹手術に比べると侵襲性が少ないもののなお改善の余地がある。
詳しくは、現在、腹腔鏡下の胆嚢摘出術では、体壁に対し1〜2cm程度切開した孔を標準的に4箇所開け、それらの孔を介して内視鏡や様々な手術用器具を出し入れし、手術を行っている。また、摘出した臓器についてもその孔を通して外部に取り出している。
上記切開による傷は、従来のような開腹術に比べると著しく小さいものの、体壁に孔を開けるに際して皮膚、皮下脂肪組織、筋膜、筋肉、腹膜等を切開している点は同じであるため、術後ある程度の疼痛もあり、創出血も時折発生する。また、創の瘢痕も残る。したがって、当然ながら、切開する孔の数は少ない方が望ましい。
そこで、図14に示すように、磁石60を腹腔内に誘導して繋留用のナイロン製モノフィラメントワイヤ61を手術用クリップ62で胆嚢壁に固定し、腹壁外に置いたマニュピレータ磁石を操作することにより上記磁石60を吸引して胆嚢を牽引する方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。上記磁石を利用すれば、切開する孔の数を減らすことが可能になる。
しかしながら、上記磁石60を利用して胆嚢壁を牽引する方法では、磁石60と胆嚢壁との距離が実質的に固定であるため、牽引している胆嚢壁を手術しやすい位置に調整することができないという不都合がある。加えて、上記マニュピレータ磁石に吸着されているとき以外は上記磁石60の位置が定まらないため、腹腔内に挿入された磁石60を探してマニュピレータ磁石側に誘導したり、外部へ取り出したりするときの操作が繁雑になるという不都合がある。また、磁石60の取り出しを忘れると遺残事故につながる虞もある。
本発明は以上のような従来の腹腔鏡手術における課題を考慮してなされたものであり、切開する孔数を従来よりも減らして内視鏡手術を行うことを可能にするとともに、腹腔内での操作を確実且つ簡便に行うことができ、遺残事故も防止することができる磁石式鉗子を提供するものである。
本発明は、体壁に接した状態で体外に配置される磁石と、内視鏡手術用ポートを通して体腔内に挿入され上記磁石と吸着される吸着体と、この吸着体に繋がれる鉗子とから構成される磁石式鉗子において、
一方端が上記吸着体に固定され、他方端が上記内視鏡手術用ポートを通して体外まで延設されている吸着体取出し線と、
上記吸着体に繋ぎ止められる把持鉗子と、
上記吸着体と上記把持鉗子とを接続する弾性接続線と、
上記吸着体に形成されたフックとを有し、
上記弾性接続線は、その長手方向に上記フックによって係止される係止部を複数備え、それらの係止部のうちのいずれかを上記吸着体のフックに掛止することにより、上記吸着体と上記把持鉗子との距離を調節することができるように構成されている磁石式鉗子である。
一方端が上記吸着体に固定され、他方端が上記内視鏡手術用ポートを通して体外まで延設されている吸着体取出し線と、
上記吸着体に繋ぎ止められる把持鉗子と、
上記吸着体と上記把持鉗子とを接続する弾性接続線と、
上記吸着体に形成されたフックとを有し、
上記弾性接続線は、その長手方向に上記フックによって係止される係止部を複数備え、それらの係止部のうちのいずれかを上記吸着体のフックに掛止することにより、上記吸着体と上記把持鉗子との距離を調節することができるように構成されている磁石式鉗子である。
本発明に従えば、体外に配置された磁石の吸引力によって腹腔内に挿入された吸着体が体壁に固定され、その吸着体に繋がれている把持鉗子によって手術対象が把持され、フックに係止する係止部を変更すれば、上記吸着体と上記把持鉗子との距離が調節され、さらに、手術後に吸着体取出し線を引っ張れば、吸着体と把持鉗子がともに体外に取り出される。
本発明における吸着体取出し線とは、ナイロン製、チタン製、またはステンレス製などからなるワイヤーが例示される。また、弾性接続線とは、柔軟性を有し吸着体と把持鉗子とを接続する任意の線状材料が含まれ、線状には糸状、鎖状、帯状等の各形態が含まれる。
本発明において、上記弾性接続線は、上記係止部としてのゴム製リングを複数連結したリング列から構成することができる。
本発明において、上記吸着体を円柱状または角柱状とし、その外周部に上記フックを形成することができる。
本発明において、上記吸着体を円柱状または角柱状とした場合、上記吸着体の長手方向に上記フックを複数形成することができる。
本発明において、複数形成されたフックに対し、一または複数の上記把持鉗子を接続することができる。
本発明において、上記吸着体を、その長手方向と直交する方向にN極とS極を有する永久磁石から構成する場合、一方の極の外周部に上記フックを形成するとともに、その一方の極の極性と上記磁石における体壁接触側の極の極性とを同極に構成すれば、フックが形成されている外周部が上記磁石と反発される一方で、フックが形成されていない外周部が上記磁石に吸着されるため、フックが自動的に腹腔内側に向けられる。
本発明において、上記把持鉗子は、基端部から延設されて開閉する一対の把持アームを有し、それらの把持アーム先端部の外側に、別の鉗子の爪部を挿入するための操作孔部を形成することができる。上記操作孔部に別の鉗子の爪部を挿入してその鉗子の爪部を開閉すれば、把持鉗子の把持アームを簡単に開閉させることができる。
本発明において、上記磁石はネオジム磁石から構成することができる。
本発明において、上記磁石を電磁石で構成すれば、吸引力をコントロールすることができる。
本発明の磁石式鉗子によれば、切開する孔数を従来よりも減らして内視鏡手術を行うことを可能にするとともに、腹腔内での操作を確実且つ簡便に行うことができ、遺残事故も防止することができるという長所を有する。
以下、図面に示した実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
なお、本実施形態では磁石式鉗子を腹腔鏡手術に適用する場合を例に取り説明する。
1. 磁石式鉗子の全体構成
図1において磁石式鉗子1は、患者の腹壁に接した状態で体外に配置される磁石2と、内視鏡手術用ポートを通して腹腔内に挿入され上記磁石2の吸引力によって腹壁に吸着される円柱状の吸着体3とを有し、この吸着体3の軸方向一方端にはワイヤー(弾性接続線)4および弾性リング列(弾性接続線)5を介して把持鉗子6が接続され、上記吸着体3の軸方向他方端にはストッパー付きワイヤー(吸着体取出し線)7が接続されている。
図1において磁石式鉗子1は、患者の腹壁に接した状態で体外に配置される磁石2と、内視鏡手術用ポートを通して腹腔内に挿入され上記磁石2の吸引力によって腹壁に吸着される円柱状の吸着体3とを有し、この吸着体3の軸方向一方端にはワイヤー(弾性接続線)4および弾性リング列(弾性接続線)5を介して把持鉗子6が接続され、上記吸着体3の軸方向他方端にはストッパー付きワイヤー(吸着体取出し線)7が接続されている。
以下、各部の構成について説明する。
1.1 磁石
上記磁石2の磁石本体2aとしては、例えば70×70×25(横W×縦L×厚さt)mmの角型ネオジム磁石を使用することができる。このネオジム磁石の表面磁束密度は460mTである。上記磁石本体2aには、磁石2の移動を容易にするための取手部2bが備えられている。
上記磁石2の磁石本体2aとしては、例えば70×70×25(横W×縦L×厚さt)mmの角型ネオジム磁石を使用することができる。このネオジム磁石の表面磁束密度は460mTである。上記磁石本体2aには、磁石2の移動を容易にするための取手部2bが備えられている。
なお、上記磁石本体2aは、患者の腹壁に安定した姿勢で配置できるものであれば角型に限らず、丸型、リング型、バー型等を使用することもできる。
1.2 吸着体
上記吸着体3は、鉄、ネオジム磁石等の磁性体を加工することによって円柱状に形成したものからなり、円柱状の本体部3aを有しその軸方向各両端に流線型の端部3bおよび3cが形成されている。
上記吸着体3は、鉄、ネオジム磁石等の磁性体を加工することによって円柱状に形成したものからなり、円柱状の本体部3aを有しその軸方向各両端に流線型の端部3bおよび3cが形成されている。
一方の端部3bには貫通孔3dが形成されており、この貫通孔3dに上記ワイヤー4が結ばれている。
他方の端部3cにも貫通孔3eが形成されており、この貫通孔3eには上記ストッパー付きワイヤー7が結ばれている。
なお、本実施形態では腹壁を介して出し入れするポートが円筒状でありその内径12mmであることから上記吸着体3の形状を円柱状としており、その本体部3aの外径は、上記ポートの内径よりも若干小さいサイズ、具体的には外径10〜11mmとしている。
しかしながら、上記ポートを通して吸着体3の出し入れが円滑に行われるのであれば、吸着体3の断面形状(軸方向と直交する方向の断面)は円形に限らず、矩形、四角形、5角形、6角形等の多角形であってもよい。すなわち、吸着体3の形状は、板状であってもよく角柱状であってもよい。
また、上記本体部3aの中央にはその中心軸に向けて鉤状に切り欠かれた切欠き部3fが形成されており、この切欠き部3fにおける溝部3gは、上記弾性リング列5が嵌め入れられ、または取り外される通路となっている(図1のA−A断面を示す図2参照)。
また、切欠き部3fにおける3hは、溝部3gを通して嵌め入れられた弾性リング列5を係止するためのフックを示している。
上記フック3hは、吸着体3の軸方向に沿ってその外周部に形成されており、フック3hに引っ掛けられた弾性リング列5が容易に外れないように、先端部が膨出している。
図3は、吸着体3に永久磁石としてネオジム磁石を使用した場合の、磁石2との固定状態を示す説明図である。
同図において、磁石2における腹壁当接側はS極、取手部2b側はN極に構成されている。
一方、吸着体3は、その長手方向と直交する方向にN極とS極を有し、S極側にフック3hが形成されている。
したがって、吸着体3を磁石2に近づけると、フック3hが形成されているS極側が上記磁石2と反発される一方で、フック3hが形成されていないN極側が磁石2のS極に吸着されるため、吸着体3の切欠き部3fを自動的に腹腔内に向けることができる。換言すれば、吸着体3の姿勢を定めるための操作が不要になる。また、磁石2を移動させる場合においても、切欠き部3fを常に腹腔内に向けたまま吸着体3を連動させることができる。
1.3 弾性リング列
図1において、上記ワイヤー4に接続されている弾性リング列5は、具体的には、ゴム製リング5a〜5f(係止部)を複数個、鎖状に繋いだものであり、全体が伸縮するように構成されている。
図1において、上記ワイヤー4に接続されている弾性リング列5は、具体的には、ゴム製リング5a〜5f(係止部)を複数個、鎖状に繋いだものであり、全体が伸縮するように構成されている。
吸着体3に最も近い位置にある上記ゴム製リング5aを上記フック3hに引っ掛ければ、吸着体3から把持鉗子6までの距離を最大長さにすることができ、吸着体3から最も遠い位置にある上記ゴム製リング5fを上記フック3hに引っ掛ければ、吸着体3から把持鉗子6までの距離を最小にすることができ、中間のゴム製リング5cを上記フック3hに引っ掛ければ、吸着体3から把持鉗子6までの距離を、上記最大長さの略1/2にすることができる。それにより、吸着体3から把持鉗子6までの距離を調節することができる。
なお、上記弾性リング列5は、上記複数のゴム製リング5a〜5fを繋ぎ合わせたものに限らず、例えば、帯状のゴム製シートに複数の貫通孔を配列したものであってもよく、また、ゴム製の芯糸に対しその芯糸に沿ってリング部品を等間隔に固定したものであってもよい。要するに、長手方向に引っ張った際に、所定の復元力を発生するような弾性材料であってその途中に上記フック3hに係止することができる部分が備わっていれば、任意の材料、任意の形状の弾性接続線を使用することができる。
また、ワイヤー4は必要に応じて取り付けられるものであり、上記弾性リング列5を直接、上記吸着体3に接続することもできる。
1.4 把持鉗子
図4は上記把持鉗子6の構成を拡大して示した図であり、同図(a)は把持状態を示し、同図(b)は開放状態を示している。
図4は上記把持鉗子6の構成を拡大して示した図であり、同図(a)は把持状態を示し、同図(b)は開放状態を示している。
図4(a)において、把持鉗子6は、ばね用の線材をコイル状に巻回した基端部6aと、その基端部6aから直線状に延設された一対の把持アーム6bおよび6cと、一方の把持アーム6bの先端部に形成された操作孔部6dと、他方の把持アーム6cの先端部に形成された操作孔部6eとから構成されている。
上記操作孔部6dおよび6eは、別の鉗子(図示しない)の先端部(爪部)を挿入するためのものであり、別の鉗子の一方の先端部を上記操作孔部6dに対して矢印B方向に挿入し、他方の先端部を上記操作孔部6eに対して矢印C方向に挿入し、さらに、図4(b)に示すように別の鉗子の先端部を矢印D方向に開けば、把持鉗子6の把持アーム6bおよび6cを、把持しようとする力に抗して開くことができる。
1.5 ストッパー付きワイヤー
図1に戻って説明する。
図1に戻って説明する。
ストッパー付きワイヤー7は、リング状のストッパー7aと、一方端が吸着体3の貫通孔3eに結ばれ、他方端が上記ストッパー7aに結ばれているワイヤー7bとから構成されている。
上記ストッパー7aの外径は、内視鏡や器具を出し入れするためのポートの内径よりも大きく形成されており、ワイヤー7bが腹腔内に引き込まれないようになっている。
2. 磁石式鉗子の操作方法
以下、図5〜図9を参照しながら本実施形態の磁石式鉗子を用いた手術方法について説明する。
以下、図5〜図9を参照しながら本実施形態の磁石式鉗子を用いた手術方法について説明する。
(1) 吸着体および把持鉗子の挿入
図5において、腹壁を貫通している腹腔鏡手術用のポート(内径12mmの筒状器具)10を通して体外から把持鉗子6が接続されている吸着体3を挿入する。
図5において、腹壁を貫通している腹腔鏡手術用のポート(内径12mmの筒状器具)10を通して体外から把持鉗子6が接続されている吸着体3を挿入する。
なお、挿入された吸着体3にはワイヤー7bの一方端が接続されており、このワイヤー7bの他方端は上記ポート10を通して、常に体外にある(図中、ストッパー7a参照)。
(2) 吸着体の固定
図6において、体外の腹壁表面に磁石2を当接する。この状態で腹腔内に先に挿入した吸着体3を、フック型腹腔鏡用鉗子11を用いて上記磁石2と対応する位置に移動させる。
図6において、体外の腹壁表面に磁石2を当接する。この状態で腹腔内に先に挿入した吸着体3を、フック型腹腔鏡用鉗子11を用いて上記磁石2と対応する位置に移動させる。
このとき、吸着体3の長手方向軸が腹壁に沿うようにして吸着体3を磁石2に吸着させる。
(3) 胆嚢の把持
図7において、把持鉗子6は自ら臓器としての胆嚢を把持することができないため、腹腔内に挿入されている把持鉗子6に対し、別の腹腔鏡用鉗子12を用いて胆嚢を把持させる。
図7において、把持鉗子6は自ら臓器としての胆嚢を把持することができないため、腹腔内に挿入されている把持鉗子6に対し、別の腹腔鏡用鉗子12を用いて胆嚢を把持させる。
詳しくは、図8は上記別の腹腔鏡用鉗子12とその腹腔鏡用鉗子12によって操作される把持鉗子6を示したものであり、同図(a)は腹腔鏡用鉗子12を把持鉗子6に装着する様子を示し、同図(b)は腹腔鏡用鉗子12を用いて把持鉗子6の把持アーム6bおよび6cを開いた状態を示している。
上記腹腔鏡用鉗子12とは、開閉自在のアーム12aおよび12bを有し、それらの先端12cおよび12dのみが細く形成されている特殊形状の鉗子である。
上記先端12cを矢印B方向に移動させて把持鉗子6の操作孔部6dに挿入するとともに、上記先端12dを矢印C方向に移動させて把持鉗子6の操作孔部6eに挿入し、次いで腹腔鏡用鉗子12のアーム12aおよび12bを矢印D方向に開く操作を行うことにより、把持鉗子6の把持アーム6bおよび6cを強制的に開かせる。
把持アーム6bおよび6cが開いた状態で把持鉗子6を胆嚢まで移動させ、腹腔鏡用鉗子12のアーム12aおよび12bを閉じると、把持鉗子6で胆嚢を把持させることができる。
(4) 胆嚢と腹壁との距離の調節
図9において、吸着体3と把持鉗子6とに介設されている弾性リング列5のうちのいずれかのゴム製リング(リング5a〜5fの内のいずれか一つのゴム製リング)を、吸着体3の中央に形成されているフック3hに対し腹腔鏡用鉗子12を用いて引っ掛ける。それにより、把持鉗子6で把持した胆嚢を吸着体3側に釣り上げることができる。また、フック3hに引っ掛けるゴム製リングを他のゴム製リングに移し変えれば、釣り上げ高さ、すなわち、吸着体3と胆嚢を把持している把持鉗子6との距離を調節することができる。
図9において、吸着体3と把持鉗子6とに介設されている弾性リング列5のうちのいずれかのゴム製リング(リング5a〜5fの内のいずれか一つのゴム製リング)を、吸着体3の中央に形成されているフック3hに対し腹腔鏡用鉗子12を用いて引っ掛ける。それにより、把持鉗子6で把持した胆嚢を吸着体3側に釣り上げることができる。また、フック3hに引っ掛けるゴム製リングを他のゴム製リングに移し変えれば、釣り上げ高さ、すなわち、吸着体3と胆嚢を把持している把持鉗子6との距離を調節することができる。
(5) 釣り上げた胆嚢の調整
体外の磁石2を腹壁表面で滑らすことによってそれに追従する吸着体3を適宜、移動させ、釣り上げた胆嚢を手術しやすい位置に移動させる。なお、磁石2が接触する腹壁表面には潤滑剤としてのゼリーが塗布されており、磁石2の滑りを円滑にしている。
体外の磁石2を腹壁表面で滑らすことによってそれに追従する吸着体3を適宜、移動させ、釣り上げた胆嚢を手術しやすい位置に移動させる。なお、磁石2が接触する腹壁表面には潤滑剤としてのゼリーが塗布されており、磁石2の滑りを円滑にしている。
なお、磁石2と吸着体3とで腹壁を磁力で挟み、同じ部位で長時間固定していると虚血状態になる虞がある。しかしながら、皮膚や筋肉は3時間程度の虚血であれば、回復可能であり、腹腔鏡手術、特に胆嚢摘出手術であれば、手術時間は1時間以内であることが多く、また、磁石を腹壁に固定する位置についても数分以内に移動させることがほとんどである。したがって、本実施形態の磁石式鉗子1は、実際の腹腔鏡手術に問題なく適用することができる。
(6) 吸着体と把持鉗子の取り出し
手術終了後、磁石2を腹壁から外し、ストッパー7aを指でつまみワイヤー7bを緩やかに引きながら吸着体3と把持鉗子6を、ポート10を介して腹腔内から体外に取り出す。
手術終了後、磁石2を腹壁から外し、ストッパー7aを指でつまみワイヤー7bを緩やかに引きながら吸着体3と把持鉗子6を、ポート10を介して腹腔内から体外に取り出す。
このように、本発明の磁石式鉗子1では、ストッパー付きワイヤー7が吸着体3に結びつけられているため、腹腔内に把持鉗子6や吸着体3が遺残することを確実に防止することができる。
また、上述した実施形態では一つの把持鉗子6を使用して胆嚢を把持する場合について説明したが、上記磁石式鉗子1をもう1セット用意し、異なる部位で二か所から胆嚢を把持するように構成することもできる。それにより、腹壁を貫通させるポートの数をさらに一つ減らすことが可能になる。腹腔鏡手術は、通常、4本のポートを腹壁に貫通させて行うが、その4本のポートを2本に減らすことができる。
3. 吸着体の変形例
図10は吸着体3の変形例を示したものである。
図10は吸着体3の変形例を示したものである。
なお、同図において、図1の吸着体と同じ構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
同図に示す吸着体3′は、フック3hを有する切欠き部3fが中央だけでなく一方の端部3b側と、他方の端部3c側にもそれぞれ設けられており、一つの吸着体3′から複数の把持鉗子6を吊り下げることができるようになっている。
図11は上記吸着体3′を用いた磁石式鉗子の操作方法を示したものである。
同図において、一方の端部3b側のフック3hに、胆嚢を把持している把持鉗子6と接続されている弾性リング列5を引っ掛け、他方の端部3c側のフック3hにも同様に、胆嚢を把持している別の把持鉗子6と接続されている弾性リング列5を引っ掛ければ、胆嚢を二か所で把持した状態で腹壁に固定することが可能になる。
なお、図中、13は胆嚢を切除、摘出するための別の腹腔鏡用鉗子である。
また、図12に示すように、磁石2を例えば矢印E方向に180°旋回させると吸着体3′も連動し、胆嚢を把持している把持鉗子6,6の配置を左右逆にすることができる。それにより、胆嚢を手術しやすい姿勢に回転させることが可能になる。
このように、図10に示した吸着体3′を用い、複数の把持鉗子6をその吸着体3′に接続することより、腹壁を貫通させるポートの数を減らしてしかも胆嚢摘出手術を円滑に行うことが可能になる。
また、上記実施形態では磁石2を永久磁石で構成したが、電磁石で構成することもできる。磁石2を電磁石で構成した場合、電磁石への通電をOFFすることにより、吸着体の固定を簡単に解除することができる。また、通電する電流値を高めることにより、吸着力を高めることができる。
1 磁石式鉗子
2 磁石
2a 磁石本体
2b 取手
3 吸着体
3a 本体部
3b,3c 端部
3d,3e 貫通孔
3f 切欠き部
3g 溝部
3h フック
4 ワイヤー(弾性接続線)
5 弾性リング列(弾性接続線)
5a〜5f リング(係止部)
6 把持鉗子
6a 基端部
6b,6c 把持アーム
6d,6e 操作孔部
7 ストッパー付きワイヤー
7a ストッパー
7b ワイヤー(吸着体取出し線)
10 ポート
11 フック型腹腔鏡用鉗子
12 別の腹腔鏡用鉗子
12a,12b アーム
12c,12d 先端
13 別の腹腔鏡用鉗子
2 磁石
2a 磁石本体
2b 取手
3 吸着体
3a 本体部
3b,3c 端部
3d,3e 貫通孔
3f 切欠き部
3g 溝部
3h フック
4 ワイヤー(弾性接続線)
5 弾性リング列(弾性接続線)
5a〜5f リング(係止部)
6 把持鉗子
6a 基端部
6b,6c 把持アーム
6d,6e 操作孔部
7 ストッパー付きワイヤー
7a ストッパー
7b ワイヤー(吸着体取出し線)
10 ポート
11 フック型腹腔鏡用鉗子
12 別の腹腔鏡用鉗子
12a,12b アーム
12c,12d 先端
13 別の腹腔鏡用鉗子
Claims (9)
- 体壁に接した状態で体外に配置される磁石と、内視鏡手術用ポートを通して体腔内に挿入され上記磁石と吸着される吸着体と、この吸着体に繋がれる鉗子とから構成される磁石式鉗子において、
一方端が上記吸着体に固定され、他方端が上記内視鏡手術用ポートを通して体外まで延設されている吸着体取出し線と、
上記吸着体に繋ぎ止められる把持鉗子と、
上記吸着体と上記把持鉗子とを接続する弾性接続線と、
上記吸着体に形成されたフックとを有し、
上記弾性接続線は、その長手方向に上記フックによって係止される係止部を複数備え、それらの係止部のうちのいずれかを上記吸着体のフックに掛止することにより、上記吸着体と上記把持鉗子との距離を調節することができるように構成されていることを特徴とする磁石式鉗子。 - 上記弾性接続線は、上記係止部としてのゴム製リングを複数連結したリング列からなる請求項1記載の磁石式鉗子。
- 上記吸着体が円柱状または角柱状からなり、その外周部に上記フックが形成されている請求項1または2記載の磁石式鉗子。
- 上記吸着体の長手方向に上記フックが複数形成されている請求項3記載の磁石式鉗子。
- 上記複数のフックに対し、一または複数の上記把持鉗子が接続されている請求項4記載の磁石式鉗子。
- 上記吸着体はその長手方向と直交する方向にN極とS極を有する永久磁石からなり、一方の極の外周部に上記フックが形成されるとともに、その一方の極の極性と上記磁石における体壁接触側の極の極性とが同極に構成されている請求項3〜5のいずれか1項に記載の磁石式鉗子。
- 上記把持鉗子は、基端部から延設されて開閉する一対の把持アームを有し、それらの把持アーム先端部の外側に、別の鉗子の爪部を挿入するための操作孔部が形成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁石式鉗子。
- 上記磁石がネオジム磁石から構成されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁石式鉗子。
- 上記磁石が電磁石から構成されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁石式鉗子。
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