JP2010220139A - フィルタ、フィルタリング方法、および通信装置 - Google Patents

フィルタ、フィルタリング方法、および通信装置 Download PDF

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Abstract

【課題】フィルタにおいて通過帯域の中心周波数とともに通過帯域幅を調整すること。
【解決手段】高周波信号が入力される入力点13からそれぞれ延びる第1の共振線路12aおよび第2の共振線路12bが設けられ、第1の共振線路12aの伝搬長L1 および第2の共振線路12bの伝搬長L2 が、L1 =〔λ1 /4〕×n、L2 =〔λ2 /4〕×n、但し、λ1 、λ2 は特定の高周波信号の波長、nは正の奇数、に設定される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高周波信号の帯域通過に用いられる分布常数型のフィルタ、それを用いた通信装置、およびフィルタリング方法に関する。
近年において、携帯電話をはじめとする移動体通信(モバイル通信)の市場が拡大するとともに、そのサービスの高機能化が進展している。これにともなって、移動体通信に利用される周波数帯は次第にギガヘルト(GHz)以上の高い周波数帯にシフトし、しかも多チャンネル化される傾向がある。また、ソフトウエア無線(SDR:Software-Defined-Radio)技術の将来的な導入の可能性も盛んに検討されている。
図23は従来の周波数可変フィルタ100jを示す回路図である。
図23において、周波数可変フィルタ100jは、複数のチャンネルフィルタ101a,101b,101c…、およびスイッチ102a,102を有する。スイッチ102a,102bを切り換えることによってチャンネルフィルタ101a,101b,101c…のいずれかを選択し、周波数帯域を切り換える。入力端子103から入力される高周波信号は、選択されたチャンネルフィルタ101に応じたフィルタリングが行われ、出力端子104から出力される。しかし、この従来の周波数可変フィルタ100jによる場合は、チャンネル数分のチャンネルフィルタが必要であるため、構成が複雑となり、しかもサイズとコストの面においても不利である。また、この構成ではソフトウエア無線技術の特徴である将来への発展性に欠ける。
上に述べた従来型の周波数可変フィルタに代えて、近年、MEMS技術を用いた小型の周波数可変フィルタが注目されている。MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を利用したMEMSデバイス(マイクロマシンデバイス)は、高いQ(クオリティファクタ)が得られ、高い周波数帯域の可変フィルタへの適用が可能である(特許文献1、非特許文献1〜3)。また、MEMSデバイスは、小型でありかつ低損失であるため、CPW(Coplanar Waveguide)分布定数共振器にしばしば用いられる。
非特許文献3には、三段の分布定数線路をMEMSデバイスによる複数の可変キャパシタが跨ぐ構造のフィルタが開示されている。このフィルタにおいて、MEMSデバイスの駆動電極に制御電圧Vbを印加して可変キャパシタを変位させ、分布定数線路との間のギャップを変化させ、静電容量を変化させる。静電容量の変化によって、フィルタの通過帯域が変化する。制御電圧Vbと通過帯域との関係が図24に示されている。図24によると、制御電圧Vbを0−80Vの間で変化させることにより、フィルタの通過帯域が約21.5−18.5GHzの範囲で変化することが示されている。
特開2008−278147 D. Peroulis et al,"Tunable Lumped Components with Applications to Reconfigurable MEMS Filters", 2001 IEEE MTT-S Digest, p341-344 E. Fourn et al, "MEMS Switchable Interdigital Coplanar Filter", IEEE Trans. Microwave Theory Tech., vol. 51, NO.1 p320-324, January 2003 A. A. Tamijani et al, "Miniature and Tunable Filters Using MEMS Capacitors ", IEEE Trans. Microwave Theory Tech., vol. 51, NO.7, p1878-1885, July 2003
しかし、上に述べた従来のフィルタは、MEMSデバイスを用いることによって通過帯域の中心周波数を可変することが可能であるが、通過帯域幅を可変することはできない。例えば、図24に示す例では、制御電圧Vbを可変することによって通過帯域の中心周波数が約3GHz程度変化しているが、通過帯域幅は変化していない。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、通過帯域の中心周波数とともに通過帯域幅を調整することのできるフィルタ、フィルタリング方法、および通信装置を提供することを目的とする。
本実施形態に係るフィルタは、高周波信号が入力される入力点からそれぞれ延びる第1の共振線路および第2の共振線路が設けられ、前記第1の共振線路の伝搬長L1 および前記第2の共振線路の伝搬長L2 が、
1 =〔λ1 /4〕×n
2 =〔λ2 /4〕×n
但し、λ1 、λ2 は特定の高周波信号の波長
nは正の奇数
に設定される。
本発明によると、通過帯域の中心周波数とともに、通過帯域幅を調整することができる。
第1の実施形態に係るフィルタの構成を示す図である。 共振線路の等価回路を説明する図である。 フィルタの通過帯域特性の例を示す図である。 フィルタの通過帯域特性の他の例を示す図である。 共振線路対の変形例を示す図である。 第2の実施形態に係るフィルタの構成を示す図である。 第3の実施形態に係るフィルタの構成を説明する図である。 カップリング回路の例を示す図である。 カップリング回路の例を示す図である。 カップリング回路の例を示す図である。 カップリング回路の例を示す図である。 カップリング回路の例を示す図である。 第4の実施形態に係るフィルタの構成を示す図である。 共振線路対の変形例を示す図である。 第5の実施形態に係るフィルタの構成を説明する図である。 可変キャパシタの構成の例を示す図である。 図16に示す可変キャパシタの断面図である。 フィルタの製造工程の例を説明する図である。 フィルタの製造工程の例を説明する図である。 フィルタの製造工程の例を説明する図である。 通信モジュールの構成の例を示す図である。 通信装置の構成の例を示す図である。 従来の周波数可変フィルタを示す回路図である。 従来の周波数可変フィルタの制御電圧と通過帯域との関係を示す図である。
〔第1の実施形態〕
図1において、フィルタ1は、入力端子11、第1の共振線路12a、第2の共振線路12b、および出力端子15を有する。
入力端子11には高周波信号S1が入力され、第1の共振線路12aおよび第2の共振線路12bによってフィルタリングされ、高周波信号S2として出力端子15から出力される。
第1の共振線路12aおよび第2の共振線路12bは、それぞれの伝搬長Lによって決まる特定の波長λに対して、減衰特性および通過特性を与える帯域通過フィルタとして機能する。
すなわち、入力端子11に入力された高周波信号S1は、第1の共振線路12aおよび第2の共振線路12bに対し、信号線路を経てまたは経ずに入力点13において印加される。第1の共振線路12aおよび第2の共振線路12bは、入力点13から互いに反対側に直線状に延び、かつ互いに一直線状に形成されている。第1の共振線路12aおよび第2の共振線路12bにおける入力点13とは反対側の端部は、電気的に開放された開放端KTとなっている。第1の共振線路12aおよび第2の共振線路12bは、共振線路対ZTを形成している。
第1の共振線路12aの伝搬長L1 、第2の共振線路12bの伝搬長L2 は、次の(1)式のように表される。
1 =〔λ1 /4〕×n
2 =〔λ2 /4〕×n ……(1)
但し、λ1 、λ2 は特定の高周波信号の波長、nは正の奇数である。
本実施形態において、n=1とする。したがって、伝搬長L1 、L2 は、それぞれ波長λ1 、λ2 の4分の1の長さである。つまり、第1の共振線路12aおよび第2の共振線路12bは、それぞれ、波長λ1 、λ2 の高周波信号に対して共振する。
本実施形態において、波長λ1 、λ2 は減衰特性を与える波長である。2つの波長λ1 、λ2 には次の(2)式の関係がある。
λ1 >λ2 ……(2)
つまり、波長λ1 の方が波長λ2 よりも長い。つまり波長λ1 に対応する周波数f1 の方が波長λ2 に対応する周波数f2 よりも低い。したがって、波長λ1 、λ2 、周波数f1 、f2 を、それぞれ、λL 、λH 、fL 、fH と表すことがある。
さて、第1の共振線路12aおよび第2の共振線路12bは、波長λL (λ1 )、λH (λ2 )の高周波信号に対し、1/4波長の共振線路として共振する。これは、第1の共振線路12aおよび第2の共振線路12bが、それぞれ波長λL 、λH の高周波信号に対して、一端が接地された直列共振器(回路直列共振回路)として動作することを意味する。
すなわち図2(A)に示すように、伝搬長Lがλ/4である一端開放の共振線路KS1は、一端接地のLC直列共振器KTと等価である。したがって、共振線路KS1の一端である入力点13に入力された波長λの高周波信号S1に対し、共振線路KS1が直列共振を起こし、高周波信号S1は接地電位GNDに流れることとなる。
理想的なLC直列共振器KTは、共振波長λの高周波信号を損失なく通過させる。したがって、波長λの高周波信号S1は、LC直列共振器KTによるほぼ0のインピーダンスにより接地されることとなり、共振線路KS1は波長λの高周波信号S1に対して減衰器として作用することとなる。
図1に示すフィルタ1では、第1の共振線路12aおよび第2の共振線路12bが、それぞれ波長λL 、λH の高周波信号に対して帯域減衰器として作用する。したがって、入力される高周波信号S1に対し、2つの波長λL 、λH において減衰ピークが表れる。
また、入力点13には、第1の共振線路12aおよび第2の共振線路12bとが対となって接続されている。伝搬長Lがλ/4である一端開放の2つの共振線路が入力点13に接続された場合には、それらの伝搬長Lの合計がλ/2となる。この場合に、図2(B)に示すように、伝搬長Lがλ/2である一端開放の共振線路KS2は、一端接地のLC並列共振器KHと等価となる。
したがって、波長λの高周波信号S1は、LC並列共振器KHによって高いインピーダンスに維持され、入力端子11から出力端子15へほぼそのまま出力されることとなる。つまり、共振線路KS2は波長λの高周波信号S1に対して帯域通過器として作用することとなる。
図1に示すフィルタ1では、第1の共振線路12aの伝搬長L1 がλL /4であり、第2の共振線路12bの伝搬長L2 がλH /4であるので、合計の伝搬長L0 は、
0 =〔(λL +λH )/2〕/2 ……(3)
となる。
つまり、フィルタ1は、波長λ0 =〔(λL +λH )/2〕の高周波信号S1に対し帯域通過器として作用することとなる。
したがって、これらを総合すると、フィルタ1は、波長λL と波長λH との中間の波長λ0 =〔(λL +λH )/2〕を通過中心波長とし、通過中心波長λ0 の両側の波長λL および波長λH を減衰波長とする帯域通過フィルタを構成することとなる。
また、各波長λL 、λH と通過中心波長λ0 との差の絶対値をΔλとすると、第1の共振線路12aおよび第2の共振線路12bの伝搬長L1 、L2 は、次の(4)式のように表すことができる。
1 =〔(λ0 +Δλ)/4〕×n
2 =〔(λ0 −Δλ)/4〕×n ……(4)
図3において、フィルタ1の通過損失特性(周波数特性)は、通過中心波長λ0 においては損失がなく、波長λL および波長λH において損失が大きい。このように、フィルタ1では、2つの波長λL 、λH において積極的に減衰特性を持たせることにより、急峻な特性の帯域通過フィルタとなっている。なお、必ずしも通過中心波長λ0 に通過量のピークがあると限るものではない。
また、2つの波長λL 、λH 、つまり伝搬長L1 、L2 を可変調整することにより、減衰波長を可変し、フィルタ1の通過帯域幅λT1を可変することができる。しかも、2つの波長λL 、λH をどのようにするかによって、通過帯域幅λT1の急峻性を調整することができる。
なお、共振線路の伝搬長Lは、共振線路が比誘電率εrの絶縁物中にある場合に、共振線路の物理的な実際の長さLaに対して、伝搬長L=La×εe1/2 で定義される。つまり、波長λの高周波信号に対して、その1波長分の共振線路の物理的な長さLaは、La=λ/εe1/2 となり、1/εe1/2 に短縮されることとなる。
ここで、εeは、分布常数線路の有効比誘電率(Efective dielectric constant)である。有効比誘電率εeは、比誘電率εrに比例し、また、分布常数線路の構造にも関係する。つまり、例えば、マイクロストリップライン構造(Microstrip-line configuration)である場合に、有効比誘電率εeは、絶縁物の比誘電率εrおよび厚さh、並びに線路の幅Wおよび厚さtに依存する。
したがって、例えば、大気中であれば、比誘電率εrおよび有効比誘電率εe(=1.007)はほぼ1であり、伝搬長Lは共振線路の物理的な長さLaにほぼ等しい。基板として低温同時焼成セラミック基板(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics ) を用いた場合は、その比誘電率εrを7とすると、有効比誘電率εeは約4.9となり(h=0.2mm、t=6μm、W=260μm、インピーダンス=50Ωの場合)、伝搬長Lは物理的な長さLaの約2.21倍になる。つまり、この場合には、波長λの高周波信号に対して、共振線路の物理的な長さLaはその(1/2.21)倍でよいこととなる。
具体例をあげると、2GHzの高周波信号に対して、λ/4の共振線路の物理的な長さLaを求めると次のようになる。2GHzの高周波信号の波長λは150mmであるから、λ/4では37.5mmとなる。比誘電率εrが7の基板の中では、共振線路の物理的な長さLaはその(1/2.21)倍でよいから、La=16.9mmとなる。
そこで、例えば、通過中心周波数f0 を2GHz、減衰周波数fL 、fH を1.8GHz、2.2GHzとした場合には、減衰周波数fL 、fH の波長λL 、λH は135mm、165mmとなり、λL /4、λH /4はそれぞれ33.8mm、41.3mmとなる。上と同じ比誘電率εrが7の基板の中での共振線路の物理的な長さLaは、15.4mm、18.8mmとなる。このようなフィルタについて予想される通過損失特性が図4に示されている。図4において、2GHzが通過中心周波数f0 であり、1.8GHzおよび2.2GHzが減衰周波数fL 、fH である。所定レベル以内の損失で通過する通過帯域幅がλT2として示されている。
なお、通過中心周波数f0 、減衰周波数fL 、fH について、種々の値を選択することが可能である。その場合に、減衰周波数fL 、fH が互いに接近した場合には、通過帯域幅がλTが狭くなるが、しかし通過中心周波数f0 における損失が大きくなることが予想される。したがって、それらについては、種々の条件を考慮して決定すればよい。
また、さらに急峻な特性の帯域通過フィルタを必要とする場合には、後で述べるように、複数の共振線路対を適当なカップリング部によって順次接続して複数段接続とすればよい。カップリング部として、π型カップリング、T型カップリングなどを用いることができる。
なお、図1において、伝搬長L1 、L2 は、入力点13の近辺から第1の共振線路12aまたは第2の共振線路12bの開放端KTまでの長さに基づくが、どこからどこまでがが物理的な長さLaに相当するかは、第1の共振線路12a、第2の共振線路12b、入力端子11、出力端子15などの形状、およびそれらの周辺の構造および材料などによって異なる。
したがって、第1の共振線路12aおよび第2の共振線路12bの伝搬長L1 、L2 、したがって通過中心周波数f0 、減衰周波数fL 、fH を正確に設定するには、後で述べるように、第1の共振線路12aおよび第2の共振線路12bのいずれかまたはそれらの両方に対して可変容量素子を設け、伝搬長L1 、L2 を調整するようにすればよい。
その場合に、例えば、MEMS技術を用い、第1の共振線路12aおよび第2の共振線路12bに対して、それぞれ1つまたは複数の可動キャパシタ電極と、それら可動キャパシタ電極を変位させる駆動電極とを設け、駆動電極に制御電圧Vbを印加して可変キャパシタ電極を変位させるようにしてもよい。
また、可変容量素子として、可変キャパシタ、バラクタなどの集中定数回路素子を用いることも可能である。
このような第1の共振線路12a、第2の共振線路12b、入力端子11、および出力端子15は、多層の内部配線を有する低温同時焼成セラミック基板、またはそのような低温同時焼成セラミック基板を有するウエハ上、その他の適当な基板上に、低抵抗の金属薄膜を形成することによって実現することができる。また、第1の共振線路12a、第2の共振線路12b、可動キャパシタ電極、および駆動電極などは、共通の基板上に形成することができる。その場合に、グランド層および配線は基板の内部に形成すればよい。信号線、インダクタ、およびキャパシタなどの受動部品は、基板上に形成すればよい。基板の裏面に、プリント基板または他の機器など外部に接続するためのパッド部を形成しておけば表面実装を行うことができる。
〔変形例〕
上に述べた実施形態のフィルタ1では、共振線路対ZTが一直線状となるように配置されていた。次に、共振線路対ZTの形状および配置についての変形例を示す。図5に示す変形例のフィルタ1B,1C,1Dにおいて、上に述べたフィルタ1の各要素と同じ機能を有する要素には、それぞれ符号B,C,Dを付加して示す。図6以下においても同様である。
図5(A)に示すフィルタ1Bでは、第1の共振線路12Baおよび第2の共振線路12Bbは、それぞれ直線状に形成されているが、互いに一直線状ではなく、それぞれ斜めに配置されている。第1の共振線路12Baおよび第2の共振線路12Bbを斜めに配置することによって、図5(A)における縦方向の寸法を短くすることができる。
図5(B)に示すフィルタ1Cでは、第1の共振線路12Caおよび第2の共振線路12Cbは、それぞれ円弧状に形成されている。円弧状に形成することにより、図5(B)における縦方向の寸法をより一層短くすることができる。
図5(C)に示すフィルタ1Dでは、第1の共振線路12Daおよび第2の共振線路12Dbは、それぞれスパイラル状に形成されている。スパイラル状に形成することにより、図5(C)における縦方向の寸法をさらに短くすることができる。これ以外にも、例えば、メンダリング状に形成してもよい。
なお、第1の実施形態のフィルタ1では、入力端子11に高周波信号S1を送り込む前段の出力インピーダンス、および出力端子15に接続される後段の入力インピーダンスによって、通過損失特性が変化する可能性があるが、これを補うためには、入力点13の前後に適当なインピーダンスを持った線路または回路を設けておけばよい。
〔第2の実施形態〕
第2の実施形態のフィルタ1Eでは、複数の共振線路対ZTE1,2がカップリング部14Eによって順次接続されている。共振線路対ZTE1,2、その他の構成要素については、第1の実施形態において説明した内容を適用可能であるので、ここでの詳しい説明は省略する。第3の実施形態以下においても同様である。
図6において、フィルタ1Eは、入力端子11E、第1の共振線路12Eaと第2の共振線路12Ebとからなる共振線路対ZTE1、第1の共振線路12Ecと第2の共振線路12Edとからなる共振線路対ZTE2、カップリング部14E、および出力端子15Eを有する。
第1の共振線路12Ea、第2の共振線路12Eb、第1の共振線路12Ec、第2の共振線路12Edは、それぞれ伝搬長L1 、L2 、L3 、L4 を有する。第1の共振線路12Eaと第1の共振線路12Ecの伝搬長L1 とL3 、第2の共振線路12Ebと第2の共振線路12Edの伝搬長L2 とL4 を、それぞれ同じとした場合には、2つの共振線路対ZTE1,2は同じ通過損失特性を持つ。また、それらを互いに異ならせ、2つの共振線路対ZTE1,2が異なる通過損失特性を持つようにし、それらを合成したときに所望の通過損失特性が得られるようにすることも可能である。
カップリング部14Eは、共振線路対ZTE1 で共振している高周波信号の位相を90度(λ/4)回転し、反射無しに次の共振線路対ZTE2に伝送する役割を持つ。つまり、入力点13aにおける高周波信号について、特定の周波数成分に対する選択性を有して次の入力点13bに伝送する役割を持つ。
図6に示すカップリング部14Eは、伝搬長L14がλ14/4の共振線路である。ここでの波長λ14は、第1の共振線路12Eaおよび第2の共振線路12Ebの合計の伝搬長L0 に等しくしてもよく、または第1の共振線路12Ecおよび第2の共振線路12Edの合計の伝搬長L0 に等しくしてもよく、またはそれらの中間の伝搬長L0 としてもよい。つまり、カップリング部14Eは、フィルタ1Eにおける通過中心波長λ0 に対して、λ0 /4の伝搬長L14を持つ共振線路としてよい。このようにすることによって、通過中心波長λ0 の高周波信号を損失なく伝送し、通過損失特性の急峻性を高めることができる。
また、カップリング部14Eとして、後で述べるπ型カップリング、T型カップリング、その他のカップリング部を用いることも可能である。
フィルタ1Eにおいては、2つの共振線路対ZTE1,2を用いて2段構成としたので、図1に示す1段の場合よりもより急峻な通過損失特性を得ることができる。
また、共振線路対ZTを、2段構成ではなく、2段以上の多段接続とすることができる。例えば、3段構成、4段構成、さらには5段以上の構成とすることが可能である。共振線路対ZTとカップリング部14Eとによる段数を増加することにより、フィルタの全体に含まれる共振線路または共振器の段数が増え、さらに急峻性の良いフィルタを実現することができる。
また、フィルタ1Eにおいても、第1の実施形態で説明した種々の変形例を適用することができる。
〔第3の実施形態〕
図7に示すように、第3の実施形態のフィルタ1Fでは、複数の共振線路対ZTF1,2がカップリング部14Fによって順次接続されている。なお、図7に示すフィルタ1Fは、各要素を模式的に配置して示すものであるが、機能的には図8に示すフィルタ1Eと同様である。
図7において、フィルタ1Fは、入力端子11F、第1の共振線路12Faと第2の共振線路12Fbとからなる共振線路対ZTF1、第1の共振線路12Fcと第2の共振線路12Fdとからなる共振線路対ZTF2、接点13Fa,13Fb、カップリング部14F、入力信号線路16Fa、出力信号線路16Fb、および出力端子15Fを有する。
第1の共振線路12Fa、第2の共振線路12Fb、第1の共振線路12Fc、第2の共振線路12Fdは、それぞれ伝搬長L5 、L6 、L7 、L8 を有する。伝搬長L5 、L6 、L7 、L8 については、第1の実施形態および第2の実施形態で説明したように、種々の値に設定することができる。
接点13Fa,13Fbは、第1の実施形態および第2の実施形態で説明した入力点13と同じである。しかし、入力点13が面積を有さない幾何学的な点を示すものであるに対し、ここでの接点13Fa,13Fbは、共振線路対ZTを接続するために現実に幾らかの面積を有する部分であることを示している。
カップリング部14Fは、第2の実施形態におけるカップリング部14Eと同様に、接点13Faにおける高周波信号について、特定の周波数成分に対する選択性を有して次の接点13Fbに伝送する役割を持つ。カップリング部14Fとして一つの回路ブロックが適用される。
次に、カップリング部14Fの回路例について、図8〜図12を参照して説明する。
図8(A)に示すカップリング部14F1は、2つの接点13Fa,13Fbを接続する1つの回路ブロック14aである。回路ブロック14aは、適当な特性インピーダンスを持つ分布定数回路である。例えば、回路ブロック14aは、図6で説明したように、λ/4の伝搬長を有する共振線路であってもよい。
回路ブロック14aの特性インピーダンスは、フィルタ1Fにおける特性インピーダンスに近く、共振線路対ZTF1,2の特性インピーダンスよりも高い。なお、フィルタ1Fの特性インピーダンスを50Ωとし、各共振線路対ZTF1,2の特性インピーダンスを20Ω程度としてよい。
なお、フィルタ1Fの特性インピーダンスは、フィルタ1Fを形成する基板の構造、基板における各要素およびグランドパターンの配置、特に入力信号線路16Faおよび出力信号線路16Fbの形状および配置などによって調整することが可能である。
なお、回路ブロック14aに代えて、例えば、適当な静電容量を持つカップリング用のキャパシタを用いてもよい。
図8(B)に示すカップリング部14F2は、π型のカップリング回路の例である。つまり、3つの回路ブロック141〜143によってπ型に構成される。図8(C)に示すカップリング部14F3は、T型のカップリング回路の例である。つまり、3つの回路ブロック145〜147によってT型に構成される。
これらの回路ブロック141〜143、145〜147は、分布定数素子または集中定数素子によって実現される。分布定数素子として、例えばマイクロストリップ線路などが用いられる。集中定数素子として、キャパシタまたはインダクタなどが用いられる。また、これらの回路ブロック141〜143、145〜147を、そのような素子単体で構成し、またはそれらの素子の組合せ回路によって実現することができる。
図9〜図11はπ型のカップリング回路の具体例を示し、図12はT型のカップリング回路の具体例を示す。
すなわち、図9(A)に示すカップリング部14F4は、カップリング用の1つのキャパシタC1と2つのインダクタL1、L2からなる。図9(B)に示すカップリング部14F5では、カップリング用のキャパシタC11に2つの回路ブロック14b,14cを直列に挿入したものである。図9(C)に示すカップリング部14F6では、カップリング用のキャパシタC1に代えて1つの回路ブロック14dが用いられる。なお、回路ブロック14b,14c,14dは、適当な特性インピーダンスを持つ分布定数回路である。
図10(A)に示すカップリング部14F7では、各回路ブロック141〜143に、キャパシタとインダクタの並列回路が用いられる。図10(B)に示すカップリング部14F8では、各回路ブロック142,143に、それぞれ1つのキャパシタC42,C43が用いられる。図10(C)に示すカップリング部14F9では、回路ブロック141に1つの回路ブロック14eが用いられる。
図11(A)に示すカップリング部14F10では、回路ブロック141に、キャパシタとインダクタの並列回路を2つ直列に接続したものが用いられる。図11(B)に示すカップリング部14F11では、各回路ブロック141に、キャパシタC62とインダクタL61の並列回路と、1つのキャパシタC61とを直列に接続したものが用いられる。図11(C)に示すカップリング部14F12では、回路ブロック141に、キャパシタC71とインダクタL72の並列回路と、1つのインダクタL71とを直列に接続したものが用いられる。
図12(A)に示すカップリング部14F13では、キャパシタとインダクタの並列回路が3つ用いられる。図12(B)に示すカップリング部14F14では、3つの回路ブロック14f,14g,14hが用いられる。
これら、図8〜図12に示したカップリング回路を、第1〜第2の実施形態のフィルタ1、1Bにも適用することができる。また、図8〜図12に示した以外の種々の回路をカップリング部として用いてもよい。
〔第4の実施形態〕
上で説明した第1〜第3の実施形態のフィルタでは、各共振線路12およびカップリング部14における伝搬長Lは固定であった。これに対して、MEMS技術などを用いて可変キャパシタを形成し、これによって各共振線路12およびカップリング部14における伝搬長Lを可変とすることができる。伝搬長Lを可変とすることにより、フィルタにおける通過中心周波数f0 および減衰周波数fL 、fH を可変し、周波数可変フィルタを構成することができる。
図13に示すフィルタ1Gは、図6に示すフィルタ1Eの第1の共振線路12Ea、第2の共振線路12Eb、第1の共振線路12Ec、第2の共振線路12Ed、およびカップリング部14Eに対し、可変キャパシタ17Ga〜eを追加したものである。
すなわち、図13において、フィルタ1Gは、第1の共振線路12Ga、第2の共振線路12Gb、第1の共振線路12Gc、第2の共振線路12Gd、および共振線路であるカップリング部14Gに対し、可変キャパシタ17Ga〜eを追加したものである。
各可変キャパシタ17Ga〜eは、例えば、それぞれの共振線路に対し、所定の間隙を有して跨ぐように配置された複数の電極である。このような電極、つまり可動キャパシタ電極は、可動キャパシタ電極を変位させるための電極(駆動電極)とともに、上に述べたようにMEMSデバイスとして形成することができる。
ところで、ある物理長さを有する分布定数線路に対し、その線路を跨ぐようにキャパシタを搭載した場合に、その分布定数線路の伝搬長Lがキャパシタを搭載しないときと比べて長くなる。したがって、特定の伝搬長L1 、例えば特定の波長λ1 に対してλ1 /4に相当する伝搬長L1 を得るに必要な分布定数線路の物理的な長さLaが、キャパシタの搭載によって短くなる。そうすると、特定の波長λ1 に対する共振線路を構成する場合に、共振線路の物理的な実際の長さが短くなり、コンパクトになる。
そして、線路を跨ぐキャパシタを変位させることにより、線路とキャパシタとの間の間隙が可変される。
つまり、キャパシタを可動キャパシタ電極とし、可動キャパシタ電極を変位させる。可動キャパシタ電極が共振線路に近づくと、静電容量が増加し、伝搬長Lが長くなる。つまり、共振線路が共振する波長λが長くなる。このように、可動キャパシタ電極の変位を調整することにより、共振線路の共振波長を選択することができる。
可変キャパシタ17Ga〜eをそれぞれ独立して動作させてそれぞれの静電容量を調整することにより、伝搬長L1 、L2 、L3 、L4 、L14を調整し自由に設定することができる。
したがって、フィルタ1Gにおいて、可変キャパシタ17Ga〜eの調整により、通過中心波長λ0 、減衰ピークの波長λL 、λH 、および通過帯域幅λTを、種々の値に調整し設定することができる。
図13に示すフィルタ1Gにおいては、各可変キャパシタ17Ga〜eが、1つの共振線路に対し6つの可動キャパシタ電極を有する例を示したが、可動キャパシタ電極は、1つないし5つ、または7つ以上であってもよい。また、各可動キャパシタ電極の面積を異ならせたり、共振線路との間の間隙の大きさを異ならせてもよい。
なお、可変キャパシタ17Ga〜eの具体的な構成例については後で説明する。
〔変形例〕
上に述べた第4の実施形態のフィルタ1Gでは、共振線路対ZTが一直線状となるように配置されていた。これに対して、第1の実施形態における変形例で説明したように、共振線路対ZTを種々の形状または配置とすることが可能である。
図14(A)〜(C)には変形例の共振線路対ZTH,THI,THJが示されている。これら共振線路対ZTH,THI,THJは、図5(A)〜(C)に示す共振線路対ZTB,ZTC,ZTDに対応するので、ここでの説明は省略する。
図14(A)〜(C)に示すように、それぞれの共振線路対ZTH,THI,THJには、可変キャパシタ17Ha,b、17Ia,b、17Ja,bが設けられている。可変キャパシタ17Ha,b、17Ia,b、17Ja,bをそれぞれ独立して動作させることにより、各共振線路対ZTH,ZTI,ZTJにおける通過中心波長λ0 、減衰ピークの波長λL 、λH 、および通過帯域幅λTを調整することができる。
〔第5の実施形態〕
図15に示すように、第5の実施形態のフィルタ1Kでは、複数の共振線路対ZTK1,2がカップリング部14Kによって順次接続されている。なお、図15に示すフィルタ1Kは、図7の場合と同様に各要素を模式的に配置して示すものである。
図15において、フィルタ1Kは、入力端子11K、第1の共振線路12Kaと第2の共振線路12Kbとからなる共振線路対ZTK1、第1の共振線路12Kcと第2の共振線路12Kdとからなる共振線路対ZTK2、接点13Ka,13Kb、カップリング部14K、入力信号線路16Ka、出力信号線路16Kb、可変キャパシタ17Ka〜e、および出力端子15Kを有する。
第1の共振線路12Ka、第2の共振線路12Kb、第1の共振線路12Kc、第2の共振線路12Kdは、それぞれ伝搬長L10、L11、L12、L13を有する。これらの伝搬長L10、L11、L12、L13は、可変キャパシタ17Ka〜dを可変調整することにより、種々の値に変更することができる。
また、カップリング部14Kにおいても、可変キャパシタ17Keを可変調整することにより、種々の周波数特性を持たせることが可能である。このようなカップリング部14Kとして、上に述べた種々の回路ブロックの中から適当なものを選択することができる。
したがって、フィルタ1Kにおいて、可変キャパシタ17Ka〜eの調整により、通過中心波長λ0 、減衰ピークの波長λL 、λH 、および通過帯域幅λTを、種々の値に調整し設定することができる。
〔可変キャパシタの構造の説明〕
次に、可変キャパシタ17Gaの構造の例について説明する。
上に述べたように、可変キャパシタ17Gaを含めたフィルタの全体を、MEMSデバイスとして構成することができる。
図16は図13のフィルタ1Gにおける可変キャパシタ17Gaおよび第1の共振線路12Gaの一部を含む部分を拡大して示す平面図、図17は図16におけるA−A線断面矢視図である。
なお、図16および図17で説明する構造は、第1の共振線路12Gaの部分のみならず、他の共振線路または線路についても適用されるので、以下においては、「第1の共振線路12Ga」を「線路SR」と言い換えて説明する。
図16および図17において、フィルタ1Gは、多層の内部配線を有するLTCCウエハからなる基板31上に形成されている。
基板31は、複数層の絶縁層31a,31a…を互いに接合することにより形成されている。図17に示す例では、絶縁層31aは5層である。各絶縁層31aには、一方の主面から他方の主面に至るように貫通孔が形成され、その貫通孔内に導電部を備えたビア31bが形成されている。また、絶縁層31aにおける少なくとも1つの層間には、配線パターン31cが内部配線として形成されている。基板31の上面の側に最も近い層間に形成された配線パターン31cの一部が、グランド接続されたグランド層31dとなっている。
グランド層31dは、最上位の絶縁層31aを挟むことにより、所定の間隙を介して線路SRと対向する。なお、グランド層31dを、最上位の層間に形成するのではなく、それよりも下位の層間に形成してもよい。その場合に、グランド層31dは、複数の絶縁層31aを挟んで線路SRと対向することになるため、グランド層31dと線路SRとの間隔はそれに応じて増大することとなる。
また、配線パターン31cの相互間、配線パターン31cとパッド部38a〜dとの間、および、配線パターン31cと線路SRとの間は、必要な箇所がビア31bによって接続されている。場合によっては、配線パターン31cと線路SRとの間をビア31bによって接続してもよい。なお、絶縁層31aは、例えばLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics ) で実現することが可能である。LTCC材料は、SiO2 を含有する場合がある。しかし、絶縁層31aは、LTCCに限ることなく、他の誘電体で形成することができる。
基板31の表側の表面に、線路SR、駆動電極35a,35b、アンカー部37a,37bが形成され、裏側の表面にパッド部38a〜dが形成されている。共振線路KSは、例えばCu、Ag、Au、Al、W、Moなどの低抵抗金属材料で形成される。共振線路KSの厚さは、例えば0.5〜20μm程度である。
駆動電極35a,35bおよびアンカー部37a,37bは、基板31の内部配線およびビア31bなどを経由して、パッド部38a〜dなどのいずれかに電気的に接続されている。また、駆動電極35a,35bの表面には、誘電体膜36a,36bが形成されている。これらの誘電体膜36a,36bが形成されない場合もある。
アンカー部37a,37bにより支持されて、可変電極33が設けられている。可変電極33は、弾性変形可能な低抵抗金属材料、例えばAu、Cu、Alなどで形成される。可変電極33には、その中央部に厚肉の可動キャパシタ電極33aが形成され、その両側に薄肉のバネ電極33b,33bが形成されている。
これら、可変電極33、駆動電極35a,35b、およびアンカー部37a,37bなどによって、可変キャパシタ17Gaが形成される。なお、可動キャパシタ電極33aによって線路SRに静電容量Cgが付加されることになり、可動キャパシタ電極33a、または可動キャパシタ電極33aと線路SRとで構成される部分を、「ロードキャパシタ(Load-Capacitor) 」ということがある。また、バネ電極33b,33bと駆動電極35a,35bとで構成される部分を「平行平板アクチュエータ」ということがある。
さて、線路SRの上面と可動キャパシタ電極33aの下面との間は、自由状態で所定の間隙(ギャップ)GP1を有し、それに応じた静電容量Cgを有する。間隙GP1の大きさは、例えば0.1〜10μm程度である。
なお、線路SRの表面に誘電体ドット39が設けられ、これによって線路SRと可動キャパシタ電極33aとの間の静電容量Cgが増大し、可変キャパシタ17Gaによる周波数可変範囲が大きくなる。また、誘電体ドット39は、可動キャパシタ電極33aが線路SR側に引き込まれた場合の短路防止の役割をも有する。
また、図には示していないが、基板31の上側の表面において、線路SRおよび可変電極33などを含むフィルタの全体がパッケージング部材によって覆われ、これによってフィルタの全体が封止されている。
このように構成されたフィルタ1Gは、パッド部38a〜dを利用して図示しないプリント基板の表面に半田付けすることができ、これによって表面実装を行うことが可能である。
パッド部38a〜dなどを介して駆動電極35a,35bに制御電圧Vbを印加することにより、駆動電極35a,35bとバネ電極33b,33bとの間に静電引力が発生する。制御電圧Vbの大きさつまり静電引力の大きさに応じて、バネ電極33b,33bが撓み、間隙GP1の大きさが変化する。間隙GP1の大きさの変化に応じて、線路SRの表面と可動キャパシタ電極33aとの間の静電容量Cgが変化する。これに応じて、線路(共振線路)SRの伝搬長Lが変化する。制御電圧Vbを調整することによって、各線路SRの伝搬長Lすなわち共振波長λを調整することができる。
また、フィルタ1Gでは、基板31の内部のグランド層31dと表面に形成される線路(信号線)SRとによって、マイクロストリップ型の伝送線路が構成される。マイクロストリップ型の伝送線路では、線路SRが形成された基板上の面にはグランド層が形成されないので、線路SRの両側に広いフリーエリアが設けられることとなる。そのため、そのフリーエリアに駆動電極35a,35bを比較的自由に配置することができる。
したがって、駆動電極35a,35bの面積を十分に大きく取ることができ、可変電極33を駆動するに必要な制御電圧Vbを低くすることができる。
また、駆動電極35a,35bの面積を大きく取ることにより、高周波信号による自己作動現象(Self-Actuation 現象) を抑制することが可能となる。その理由は、駆動電極35a,35bの面積を大きくして静電引力を大きくすることができるので、バネ電極33b,33bのバネ定数を大きくすることができ、そうすることによって可変電極33の変位動作が安定するからである。
また、駆動電極35a,35bの面積を、可動キャパシタ電極33aの面積に比較して十分に大きくできるので、これによって、線路SRに供給される高周波信号による可動キャパシタ電極33aとの間のクーロン力を無視できるようになる。したがって、これによっても可変電極33の変位動作が安定し、自己作動現象を抑制することが可能となる。
このように、図16および図17に示したフィルタ1Gの構造は、平行平板型の可変キャパシタ17Gaの自己作動現象の抑制に対しても有利である。
〔フィルタの製造工程の説明〕
次に、フィルタ1Gの製造工程について、図18〜図20を参照して説明する。但し、以下の説明はフィルタ1Gの製造工程の一例の概略を示すものであり、図17に示すフィルタ1Gの構造と一致しない部分もある。
まず、複数のフィルタモジュールの形成区画を有する配線基板ウエハを作製する。配線基板ウエハは、絶縁層、配線パターン、およびビアを含む多層配線構造を有するウエハである。配線基板ウエハにおいて、フィルタ1Gが形成される側の表面粗さRzは、例えば0.2μm以下である。
配線基板ウエハの作製においては、まず、グリーンシートであるそれぞれのセラミック基板において、ビア用の開口部を形成する。その開口部に導電ペーストを充填するとともに、セラミック基板の表面に導電ペーストで配線パターンを印刷する。このような工程を経て得られた所定枚数のセラミック基板を積層して積層体とし、その積層体を加熱下にて厚み方向にプレスする。その後、所定の加熱処理を行って当該積層体を一体焼成し、プリ配線基板ウエハを得る。一体焼成を経ることにより、配線パターンおよびビアが形成される。
配線基板ウエハの表面に露出しているビアの位置がセラミックス焼成時のセラミックス材料の収縮現象により、設計位置から変動することがある。配線基板ウエハをフォトリソグラフィ工程を通じて上部の構造体を形成するためには、上述の配線基板ウエハの形成工程において、基板表面に露出しているビアの位置を制御する必要がある。例えば、ビア位置の設計位置からのズレ量を、±50μm以下に制御する。
次に、プリ配線基板ウエハの両面を研磨処理する。研磨処理の手法として、例えば、所定の研磨剤(薬液)を使用して行う機械的研磨を採用することができる。この研磨処理により、プリ配線基板ウエハの反りとうねりとが低減される。研磨処理において、好ましくは、反りについては40μm以下まで低減し、うねりについてはほぼ無くなるまで低減する。
さらに、プリ配線基板ウエハにおいて、上に述べた受動素子および共振線路などが形成される側の面を平滑化処理することが必要な場合もある。
すなわち、プリ配線基板ウエハの表面には、構成セラミック粒子のサイズや研磨剤による研磨作用に起因すると思われる凹凸が存在するので、セラミック材質の選定および研磨方法を最適化しても、プリ配線基板ウエハ表面の表面粗さRzは、5μmを大きくは下回らない。このような凹凸を有する表面には、小サイズの受動素子を適切に形成することが困難である。
このような問題が生ずるのを回避するため、配線基板ウエハの作製においては、上述の研磨処理の後に所定の平滑化処理が必要である。平滑化処理では、上述の研磨処理を経たプリ配線基板ウエハの表面の絶縁層における凹凸表面に、まず、薄い絶縁膜を形成する。絶縁膜の形成においては、プリ配線基板ウエハの表面に絶縁コーティング液を薄く塗布して焼成する。絶縁コーティング液として、例えばSOG(spin-on-glass) が用いられる。塗布される絶縁コーティング液の厚さは、例えば1μm以下である。このような薄い絶縁膜を形成することにより、プリ配線基板ウエハの表面における凹みを低減することができる。
その後、絶縁膜の形成工程を所定回数繰り返し、プリ配線基板ウエハのセラミック素地表面の凸部を、絶縁膜を重ねて形成した絶縁膜に埋没させる。このような方法により、プリ配線基板ウエハにおいて、受動素子および共振線路などが形成される側の面全体の表面粗さRzを0.5μm以下に低減することができる。先に述べた研磨処理の後にこのような平滑化処理を行うことにより、配線基板ウエハが得られる。
このようにして作製された配線基板ウエハに対し、次の(1)〜(7)のプロセスを経て、ウエハレベルでフィルタモジュールの各形成区画毎に複数の受動素子および共振線路などをバッチ(batch)生産方式で形成する。その後、配線基板ウエハを形成区画毎に分割し、フィルタモジュールを得る。なお、(1)〜(7)に示すプロセスは一例であり、それ以外に種々の半導体製造プロセスおよびMEMSプロセスなどを適宜用いることができる。
(1) 図18(A)に示すように、基板(配線基板ウエハ)31の上側の表面に金属層を成膜し、パターニングを行って駆動電極35a,35bを形成する。駆動電極35a,35bの上に絶縁膜を成膜し、誘電体膜36a,36bを形成する。基板31の下側の表面に金属層を成膜し、エッチングなどによってパッド部38a〜dを形成する。または、パッド部38a〜dをめっきによって形成する。また、基板31の上側の表面に、Auメッキ技術を用いて、アンカー部37a,37bおよび線路SRを形成する。
(2) 図18(B)に示すように、Auからなる線路SR上に、誘電体ドット39を形成する。
(3) 図18(C)に示すように、犠牲層40を線路SRと同じ厚さに形成する。犠牲層40は、選択的にエッチングできる除去し易いレジスト材料よりなる。
(4) 図19(A)に示すように、犠牲層40の上に、可変電極33のための第2犠牲層41を形成する。第2犠牲層41の厚さによって、可変電極33と線路SRとの間の間隙GP1の大きさ(距離)が規定される。また、可変電極33と駆動電極35a,35bとの間の間隙GP2の大きさ(距離)は、犠牲層40と第2犠牲層41との厚さの和によって規定される。
本実施形態の可変キャパシタ17Gaのように平行平板アクチュエータである場合に、プルイン(Pull-In )現象が生じない限界の変位量は、電極間距離の約3分の1である。可変キャパシタ17Gaの可変範囲を十分広く取るためには、可動キャパシタ電極33aを線路SRに接近させる必要がある。そのため、平行平板アクチュエータとロードキャパシタとでは、電極間の間隙GP1,2を互いに異ならせる必要がある。そのため、平行平板アクチュエータの犠牲層の厚さは、ロードキャパシタの犠牲層の厚さの3倍以上とする必要がある。しかも、可変電極33の表面を平坦にするためには平坦な犠牲層の下地が必要である。これらの要求に対して、ここで述べた犠牲層40と第2犠牲層41との2つの犠牲層を形成する方法(「2犠牲層法」という)は有効である。
(5) 図19(B)に示すように、第2犠牲層41の上にシートばね層SBを形成し、シートばね層SBの中央部に、メッキ技術を用いて金属厚膜部AMを形成する。ミリングなどの技術を用い、バネ電極33b,33bおよび可動キャパシタ電極33aを有する可変電極33のバターンを形成する。
(6) 図20(A)に示すように、犠牲層40および第2犠牲層41を除去し、デバイスをリリスする。
(7) 図20(B)に示すように、パッケージング部材42によってウエハレベルで封止する。その後、基板31から各フィルタモジュール(フィルタ1G)に切り出す。
ここに示したプロセスでは、デバイス(フィルタ1G)の形成および封止は全てウエハレベルで行うため、量産性および低コスト化の面において優れており、生産効率の向上を図ることが可能である。
また、配線基板ウエハ31には、導通のためのビア31bや、実装用のパッド部38a〜dを形成してあるので、完成したフィルタモジュール(フィルタ1G)を他のパケージに実装することなく、マザーボードなどのプリント基板に直接実装できる特徴があり、実装性にも優れる。
上に述べた実施形態においては、(1)式におけるnを1としたが、nを、3、5、7…などのように、1以外の奇数としてもよい。
〔通信モジュール〕
本実施形態のフィルタ1〜1Kは、通信モジュールTMとして構成することが可能である。
図21において、通信モジュールTMは、送信フィルタ51および受信フィルタ52からなる。送信フィルタ51および受信フィルタ52として、第1〜第3の実施形態に示した周波数固定型のフィルタ、または第4〜第5の実施形態に示した周波数可変型のフィルタを適用することが可能である。また、周波数固定型のフィルタと周波数可変型のフィルタとを混在して用いてもよい。
周波数固定型である場合には、複数のそれらフィルタの中からその時々の通信に合ったフィルタが選択される。それぞれのフィルタは、共振線路KSの伝搬長Lを適切に調整しておくことによって、それぞれ適切な通過中心周波数f0 (通過中心波長λ0 )、減衰周波数fL 、fH (減衰ピークの波長λL 、λH )、および通過損失特性を有した帯域通過フィルタとしておくことができる。
また、周波数可変型である場合には、各フィルタに制御電圧Vbが与えられ、その時々の通信に合うように、通過中心周波数f0 、減衰周波数fL 、fH 、および通過損失特性が決定される。したがって、この場合には、送信フィルタ52または受信フィルタ53におけるフィルタの数を減らすことができ、通信装置TSの小型化を図ることができる。また、フィルタの数を減らすことによって回路が簡素化され、回路損失や回路ノイズなどを低減することが可能であり、通信モジュールTMの性能の向上を図ることが可能である。
なお、通信モジュールTMは、図21に示した以外の種々の構成とすることが可能である。
〔通信装置〕
本実施形態のフィルタ1〜1Kは、携帯電話機、携帯端末機などの移動体通信装置、Base−station(基地局)装置、固定通信装置など、種々の通信装置に適用することができる。
ここでは、フィルタ1〜1Kを適用した通信装置の一例について説明する。
図22において、通信装置TSは、制御処理部60、送信部61、送信フィルタ62、受信フィルタ63、受信部64、およびアンテナATなどを有する。
処理制御部60は、通信装置TSに必要なデジタル処理およびアナログ処理を行い、またユーザとの間のヒューマンインタフェ−スを行うなど、通信装置TSの全体を制御する。
送信部61は、変調などを行って高周波信号S11を出力する。高周波信号S11には、互いに異なる周波数帯域の信号が含まれる。
送信フィルタ62は、送信部61から出力される高周波信号S11に対し、処理制御部60により指定された周波数帯域のみを通過させるようフィルタリングを行う。送信フィルタ62からは、フィルタリングされた高周波信号S12が出力される。送信フィルタ62として、上の第1〜第5の実施形態で説明したフィルタ1〜1K、またはその変形されたものが用いられる。
受信フィルタ63は、アンテナATで受信した高周波信号S13の中から、処理制御部60により指定された周波数帯域のみを通過させるようフィルタリングを行う。受信フィルタ63からは、フィルタリングされた高周波信号S14が出力される。受信フィルタ63として、上の第1〜第5の実施形態で説明したフィルタ1〜1K、またはその変形されたものが用いられる。
受信部64は、受信フィルタ63から出力される高周波信号S14に対し、増幅および復調などを行い、得られた受信信号S15を処理制御部60に出力する。
アンテナATは、送信フィルタ62から出力される高周波信号S12を電波として空中に輻射し、また図示しない無線局などから送信された電波を受信する。
送信フィルタ62または受信フィルタ63が、第1〜第3の実施形態に示すように周波数固定型である場合には、複数のそれらフィルタの中からその時々の通信に合ったフィルタが選択される。それぞれのフィルタは、共振線路KSの伝搬長Lを適切に調整しておくことによって、それぞれ適切な通過中心周波数f0 (通過中心波長λ0 )、減衰周波数fL 、fH (減衰ピークの波長λL 、λH )、および通過損失特性を有した帯域通過フィルタとしておくことができる。
また、送信フィルタ62または受信フィルタ63が、第4〜第5の実施形態に示すように周波数可変型である場合には、制御処理部60からの指令によって制御電圧Vbが与えられ、その時々の通信に合うように、通過中心周波数f0 、減衰周波数fL 、fH 、および通過損失特性が決定される。したがって、この場合には、送信フィルタ62または受信フィルタ63におけるフィルタの数を減らすことができ、通信装置TSの小型化を図ることができる。また、フィルタの数を減らすことによって回路が簡素化され、回路損失や回路ノイズなどを低減することが可能であり、通信装置TSの性能の向上を図ることが可能である。
なお、上に述べた通信装置TSの構成において、フィルタは、送信フィルタ62および受信フィルタ63以外の回路素子として、例えば中間周波数用の帯域通過フィルタとして、設けられることがある。また、送信時と受信時とにおいて、アンテナAT、送信フィルタ62、または受信フィルタ63を切り換えるためのスイッチが必要に応じて設けられる。送信フィルタ62および受信フィルタ63として、上に述べた通信モジュールTMを用いることも可能である。
また、通信装置TSには、低ノイズ増幅器、パワー増幅器、デュプレクサ、AD変換器、DA変換器、周波数シンセサイザ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit ) 、DSP(Digital Signal Processor) 、電源装置などが必要に応じて設けられる。
通信装置TSが携帯電話機である場合には、通信方式に応じた構成とし、送信フィルタ62または受信フィルタ63についても通信方式に応じた周波数帯域が選択される。例えば、GSM(Global System for Mobile Communications )通信方式の場合には、850MHz帯、950MHz帯、1.8GHz帯、1.9GHz帯に対応するように設定される。また、2GHz帯以上、例えば6GHz帯、10GHz帯などにも、本実施形態のフィルタを適用して通信装置TSを構成することが可能である。
上に述べた種々の実施形態および変形例において、入力端子11、第1の共振線路12aまたは第2の共振線路12bなどの共振線路KS、これらの共振線路対ZT、入力点13、カップリング部14、出力端子15、入力信号線路16、出力信号線路16、可変キャパシタ17、フィルタ1〜1K、通信モジュールTM、および通信装置TSの全体または各部の構成、構造、形状、寸法、材料、成形方法、製作方法、配置、個数、位置などは、上に述べた以外に種々変更することができる。
本実施形態には次に記載する形態も含まれる。
(付記1)
高周波信号が入力される入力点からそれぞれ延びる第1の共振線路および第2の共振線路が設けられ、
前記第1の共振線路の伝搬長L1 および前記第2の共振線路の伝搬長L2 が、
1 =〔λ1 /4〕×n
2 =〔λ2 /4〕×n
但し、λ1 、λ2 は特定の高周波信号の波長
nは正の奇数
に設定されている、フィルタ。
(付記2)
波長λ1 と波長λ2 とは互いに異なる値であり、
波長λ1 と波長λ2 との中間の波長λ0 を通過中心波長とし、波長λ1 および波長λ2 を減衰波長とする、
付記1記載のフィルタ。
(付記3)
前記第1の共振線路および前記第2の共振線路の少なくとも一方に対して可変容量素子が設けられ、前記伝搬長L1 および前記伝搬長L2 の少なくとも一方が前記可変容量素子により可変可能である、
付記1または2記載のフィルタ。
(付記4)
前記第1の共振線路に対して隙間を介して配置された第1の可動キャパシタ電極と、
前記第2の共振線路に対して隙間を介して配置された第2の可動キャパシタ電極と、
前記第1の可動キャパシタ電極を変位させる第1の駆動電極と、
前記第2の可動キャパシタ電極を変位させる第2の駆動電極と、を含む、
付記3記載のフィルタ。
(付記5)
前記第1の共振線路および前記第2の共振線路は、前記入力点から互いに反対側に延びる、
付記3または4記載のフィルタ。
(付記6)
前記第1の共振線路および前記第2の共振線路は、いずれも直線状に形成されており、かつ互いに一直線状となるように配置されている、
付記5記載のフィルタ。
(付記7)
前記第1の共振線路および前記第2の共振線路は、いずれも直線状に形成されており、かつ互いに一直線状ではなく斜めに配置されている、
付記5記載のフィルタ。
(付記8)
前記第1の共振線路および前記第2の共振線路は、いずれも略円弧状に形成されている、
付記5記載のフィルタ。
(付記9)
前記第1の共振線路および前記第2の共振線路の先端は電気的に開放されている、
付記3ないし8のいずれかに記載のフィルタ。
(付記10)
前記第1の共振線路および前記第2の共振線路からなる共振線路対が複数設けられ、
前記複数の共振線路対は、カップリング部によって順次接続されている、
付記3ないし9のいずれかに記載のフィルタ。
(付記11)
前記カップリング部はπ型である、
付記10記載のフィルタ。
(付記12)
前記カップリング部はT型である、
付記10記載のフィルタ。
(付記13)
前記カップリング部は、少なくとも一つの可変容量素子または可変インダクタンス素子を含む、
付記10ないし12のいずれかに記載のフィルタ。
(付記14)
前記第1の共振線路、前記第2の共振線路、前記第1の可動キャパシタ電極、前記第2の可動キャパシタ電極、前記第1の駆動電極、および前記第2の駆動電極は、共通の基板上に形成されている、
付記4ないし8のいずれかに記載のフィルタ。
(付記15)
前記前記基板は、多層の内部配線を有する低温同時焼成セラミック基板である、
付記14記載のフィルタ。
(付記16)
付記1ないし15のいずれかのフィルタを備えた通信モジュール。
(付記17)
付記1ないし15のいずれかのフィルタを備えた通信装置。
(付記18)
信号線路の入力端子に特定の波長λ0 の波長成分を含む高周波信号を入力し、
前記信号線路上の1つの接点からそれぞれ延びる第1の共振線路および第2の共振線路、但し、前記第1の共振線路の伝搬長L1 および前記第2の共振線路の伝搬長L2 が、nを正の奇数として、
1 =〔(λ0 +Δλ)/4〕×n
2 =〔(λ0 −Δλ)/4〕×n
に設定されている、そのような前記第1の共振線路と前記第2の共振線路とによって、前記波長λ0 の波長成分に対し並列共振を行わせることにより、前記波長λ0 の波長成分を通過させるようフィルタリングを行って前記信号線路の出力端子から出力させる、フィルタリング方法。
(付記19)
前記第1の共振線路または前記第2の共振線路のいずれかまたはそれらの両方に対して可変容量素子を設け、これにより前記伝搬長L1 または前記伝搬長L2 のいずれかまたはそれらの両方を変化させる、
付記18記載のフィルタリング方法。
1,1B〜1K フィルタ
12a,12c 第1の共振線路
12b,12d 第2の共振線路
14 カップリング部
17Ga〜e 可変キャパシタ(可変容量素子)
31 基板
33 可変電極(第1の可動キャパシタ電極、第2の可動キャパシタ電極)
33a 可動キャパシタ電極(第1の可動キャパシタ電極、第2の可動キャパシタ電極)33b バネ電極(第1の可動キャパシタ電極、第2の可動キャパシタ電極)
35a,35b 駆動電極(第1の駆動電極、第1の駆動電極)
51 送信フィルタ(フィルタ)
52 受信フィルタ(フィルタ)
60 処理制御部
61 送信部
62 送信フィルタ(フィルタ)
63 受信フィルタ(フィルタ)
64 受信部
TS 通信装置
TM 通信モジュール
ZT 共振線路対

Claims (10)

  1. 高周波信号が入力される入力点からそれぞれ延びる第1の共振線路および第2の共振線路が設けられ、
    前記第1の共振線路の伝搬長L1 および前記第2の共振線路の伝搬長L2 が、
    1 =〔λ1 /4〕×n
    2 =〔λ2 /4〕×n
    但し、λ1 、λ2 は特定の高周波信号の波長
    nは正の奇数
    に設定されている、フィルタ。
  2. 波長λ1 と波長λ2 とは互いに異なる値であり、
    波長λ1 と波長λ2 との中間の波長λ0 を通過中心波長とし、波長λ1 および波長λ2 を減衰波長とする、
    請求項1記載のフィルタ。
  3. 前記第1の共振線路および前記第2の共振線路の少なくとも一方に対して可変容量素子が設けられ、前記伝搬長L1 および前記伝搬長L2 の少なくとも一方が前記可変容量素子により可変可能である、
    請求項1または2記載のフィルタ。
  4. 前記第1の共振線路に対して隙間を介して配置された第1の可動キャパシタ電極と、
    前記第2の共振線路に対して隙間を介して配置された第2の可動キャパシタ電極と、
    前記第1の可動キャパシタ電極を変位させる第1の駆動電極と、
    前記第2の可動キャパシタ電極を変位させる第2の駆動電極と、を含む、
    請求項3記載のフィルタ。
  5. 前記第1の共振線路および前記第2の共振線路は、前記入力点から互いに反対側に延びる、
    請求項3または4記載のフィルタ。
  6. 前記第1の共振線路および前記第2の共振線路の先端は電気的に開放されている、
    請求項3ないし5のいずれかに記載のフィルタ。
  7. 前記第1の共振線路および前記第2の共振線路からなる共振線路対が複数設けられ、
    前記複数の共振線路対は、カップリング部によって順次接続されている、
    請求項3ないし6のいずれかに記載のフィルタ。
  8. 請求項1ないし7のいずれかのフィルタを備えた通信モジュール。
  9. 請求項1ないし7のいずれかのフィルタを備えた通信装置。
  10. 信号線路の入力端子に特定の波長λ0 の波長成分を含む高周波信号を入力し、
    前記信号線路上の1つの接点からそれぞれ延びる第1の共振線路および第2の共振線路、但し、前記第1の共振線路の伝搬長L1 および前記第2の共振線路の伝搬長L2 が、nを正の奇数として、
    1 =〔(λ0 +Δλ)/4〕×n
    2 =〔(λ0 −Δλ)/4〕×n
    に設定されている、そのような前記第1の共振線路と前記第2の共振線路とによって、前記波長λ0 の波長成分に対し並列共振を行わせることにより、前記波長λ0 の波長成分を通過させるようフィルタリングを行って前記信号線路の出力端子から出力させる、フィルタリング方法。
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