JP2010219378A - リアクトル - Google Patents
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Abstract
【課題】安定した磁気特性を得られ、製造コストの低減および軽量化を達成できるリアクトルを提供する。
【解決手段】リアクトル10は、コア11と、コイル31とを備える。コア11は、中心部に貫通孔20の形成された中空円筒状であって、強磁性体材料製の内筒コア12とダストコアで形成された外筒コア22とを含み、内筒コア12が外筒コア22の中心孔に嵌入され、内筒コア12の外周面と外筒コア22の内周面とが面接触するように組み合わせられて形成されている。コイル31は、コア11の貫通孔20に挿入されるとともに、外筒コア22の外周面26に沿ってコア11に巻回されている。外筒コア22には、軸方向に外筒コア22を貫通し、径方向に沿って内周面から外周縁部27近傍に至るように延びる、空隙部28が形成されている。
【選択図】図3
【解決手段】リアクトル10は、コア11と、コイル31とを備える。コア11は、中心部に貫通孔20の形成された中空円筒状であって、強磁性体材料製の内筒コア12とダストコアで形成された外筒コア22とを含み、内筒コア12が外筒コア22の中心孔に嵌入され、内筒コア12の外周面と外筒コア22の内周面とが面接触するように組み合わせられて形成されている。コイル31は、コア11の貫通孔20に挿入されるとともに、外筒コア22の外周面26に沿ってコア11に巻回されている。外筒コア22には、軸方向に外筒コア22を貫通し、径方向に沿って内周面から外周縁部27近傍に至るように延びる、空隙部28が形成されている。
【選択図】図3
Description
本発明は、リアクトルに関し、特に、中空円筒状のコアと、コアに巻回されたコイルとを備えるリアクトルに関する。
従来、曲がり部を有する圧粉磁心を用いたリアクトルであって、磁心の内側部の材質を飽和磁束密度が高いものとし、外側部の材質を飽和磁束密度が低くかつ低損失のものとしてなるものが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
また、チョークコイルにおいて、内筒磁心と外筒磁心の各上面間および各底面間に空間ギャップが形成され、ギャップスペーサ等の部品を用いることなくギャップを設けることができ、大電流通電時においても磁心の磁気飽和を防ぐことができる構成が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
また、第1コア部材と第2コア部材とを備える複合コアリアクトルに関し、第1コア部材が磁気飽和していない領域においてはもっぱら第1コア部材に磁束を生じさせ、第1コア部材の磁束密度が飽和すると、コイル電流による磁化力が第2コア部材に磁束を生じさせる構成が提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
従来のリアクトルでは、コア全体において磁束密度の平均化を図るために、コア全体に磁性材料が用いられている。そのため、コアの断面積が大きくなり、コアの重量も大きくなり、その結果リアクトルの製造コストが増大するという問題があった。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、安定した磁気特性を得られるとともに、製造コストの低減および軽量化を達成できるリアクトルを提供することである。
本発明に係るリアクトルは、コアと、コイルとを備える。コアは、中心部に貫通孔の形成された中空円筒状であって、内筒コアと外筒コアとを含む。コイルは、コアの貫通孔に挿入されるとともに、外筒コアの外周面に沿ってコアに巻回されている。内筒コアは、強磁性体材料により形成されている。外筒コアは、ダストコアで形成されている。コアは、内筒コアが外筒コアの中心孔に嵌入され、内筒コアの外周面と外筒コアの内周面とが面接触するように、内筒コアと外筒コアとが組み合わせられて形成されている。外筒コアには、軸方向に外筒コアを貫通し、径方向に沿って内周面から外周縁部近傍に至るように延びる、空隙部が形成されている。
本発明のリアクトルによると、安定した磁気特性を得られるとともに、製造コストの低減および軽量化を達成することができる。
以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
なお、以下に説明する実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本発明にとって必ずしも必須のものではない。また、以下の実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、上記個数などは例示であり、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。
図1は、本発明の一実施の形態に係るリアクトルを含むハイブリッド車両1の構成を示す図である。図1に示すように、ハイブリッド車両1は、エンジン100と、モータジェネレータ200(210,220)と、動力分割機構300と、ディファレンシャル機構400と、ドライブシャフト500と、前輪である駆動輪600L,600Rと、PCU(Power Control Unit)700と、ケーブル800(810,820,830)と、バッテリ900とを備える。
エンジン100と、モータジェネレータ200と、動力分割機構300と、PCU700とは、エンジンルーム2内に配設される。モータジェネレータ210,220とPCU700とは、それぞれ、ケーブル810,820により接続される。PCU700とバッテリ900とは、ケーブル830により接続される。また、エンジン100およびモータジェネレータ210,220からなる動力出力装置は、動力分割機構300および減速機構を介して、ディファレンシャル機構400に連結されている。ディファレンシャル機構400は、ドライブシャフト500を介して、駆動輪600L,600Rに連結されている。
モータジェネレータ210,220は、3相交流同期電動発電機であって、PCU700から受ける交流電力によって駆動される。また、モータジェネレータ210,220は、発電機としても使用され、その発電作用により交流電力を発電し、その発電した交流電力をPCU700へ出力する。動力分割機構300は、たとえばプラネタリギヤを含んで構成される。
PCU700は、バッテリ900から受ける直流電圧を交流電圧に変換して、モータジェネレータ210,220を駆動する。また、PCU700は、モータジェネレータ210,220が発電した交流電圧を直流電圧に変換して、バッテリ900を充電する。
図2は、PCU700の主要部の構成を示す回路図である。図2を参照して、PCU700は、コンバータ710と、インバータ720,730と、制御装置740と、バスバー750P,750Nと、放電抵抗部760と、フィルタコンデンサC1と、平滑コンデンサC2とを含んで構成される。コンバータ710は、バッテリ900とインバータ720,730との間に接続され、インバータ720,730は、それぞれ、モータジェネレータ210,220と接続される。
コンバータ710は、パワートランジスタQ1,Q2と、ダイオードD1,D2と、リアクトル10とを含む。パワートランジスタQ1,Q2は直列に接続され、制御装置740からの制御信号をベースに受ける。ダイオードD1,D2は、それぞれパワートランジスタQ1,Q2のエミッタ側からコレクタ側へ電流を流すようにパワートランジスタQ1,Q2のコレクタ−エミッタ間にそれぞれ接続される。リアクトル10は、バッテリ900の正極と接続される電源ラインPL1に一端が接続され、パワートランジスタQ1,Q2の接続点に他端が接続される。
このコンバータ710は、リアクトル10を用いてバッテリ900から受ける直流電圧を昇圧し、その昇圧した昇圧電圧を電源ラインPL2に供給する。また、コンバータ710は、インバータ720,730から受ける直流電圧を降圧してバッテリ900を充電する。
インバータ720,730は、それぞれ、U相アーム721U,731U、V相アーム721V,731VおよびW相アーム721W,731Wを含む。U相アーム721U、V相アーム721VおよびW相アーム721Wは、バスバー750Pとバスバー750Nとの間に並列に接続される。同様に、U相アーム731U、V相アーム731VおよびW相アーム731Wは、バスバー750Pとバスバー750Nとの間に並列に接続される。
U相アーム721Uは、直列接続された2つのパワートランジスタQ3,Q4を含む。同様に、U相アーム731U、V相アーム721V,731VおよびW相アーム721W,731Wは、それぞれ、直列接続された2つのパワートランジスタQ5〜Q14を含む。また、各パワートランジスタQ3〜Q14のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD3〜D14がそれぞれ接続されている。
インバータ720,730の各相アームの中間点は、それぞれ、モータジェネレータ210,220の各相コイルの各相端に接続されている。そして、モータジェネレータ210,220においては、U,V,W相の3つのコイルの一端が中点に共通接続されて構成される。
フィルタコンデンサC1は、電源ラインPL1,PL3間に接続され、電源ラインPL1,PL3間の電圧レベルを平滑化する。また、平滑コンデンサC2は、バスバー750P,750N間に接続され、バスバー750P,750N間の電圧レベルを平滑化する。
インバータ720,730は、制御装置740からの駆動信号に基づいて、平滑コンデンサC2からの直流電圧を交流電圧に変換してモータジェネレータ210,220を駆動する。
制御装置740は、コンピュータからのモータトルク指令値、モータジェネレータ210,220の各相電流値、およびインバータ720,730の入力電圧に基づいてモータジェネレータ210,220の各相コイル電圧を演算し、その演算結果に基づいてパワートランジスタQ3〜Q14をオン/オフするPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成してインバータ720,730へ出力する。
また、制御装置740は、上述したモータトルク指令値およびモータ回転数に基づいてインバータ720,730の入力電圧を最適にするためのパワートランジスタQ1,Q2のデューティ比を演算し、その演算結果に基づいてパワートランジスタQ1,Q2をオン/オフするPWM信号を生成してコンバータ710へ出力する。
さらに、制御装置740は、モータジェネレータ210,220によって発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリ900を充電するため、コンバータ710およびインバータ720,730におけるパワートランジスタQ1〜Q14のスイッチング動作を制御する。
図3は、本実施の形態に係るリアクトル10の構成を示す斜視図である。図4は、図3に示すIV−IV線に沿うコア11の断面図である。図3に示すように、リアクトル10は、コア11と、コア11に巻回されたコイル31とを備える。なお図4では、コイル31は図示を省略されている。
図3および図4に示すように、コア11は、中空円筒形状に形成されている。コア11の中心部には、円筒形の軸方向に沿ってコア11を貫通する、貫通孔20が形成されている。コア11は、径方向内側に配置された内筒コア12と、径方向外側に配置された外筒コア22とを含む。内筒コア12と、外筒コア22とは、いずれも中空円筒形状に形成されている。外筒コア22は、内筒コア12の外周側に配置されている。コア11は、内筒コア12と外筒コア22とが組み合わせられて形成されている。
内筒コア12は、中空円筒状の外筒コア22の中心部において軸方向に外筒コア22を貫通するように形成された、中心孔に嵌入されている。内筒コア12の外径と、外筒コア22の外径とが等しくなるように、内筒コア12および外筒コア22が形成されている。図4に示すように、内筒コア12の円筒面形状の外周面16と、外筒コア22の円筒面形状の内周面24とが互いに面接触して、一体のコア11を形成している。
内筒コア12は、強磁性体材料により形成されている。強磁性体材料として、具体的には、たとえば鉄族元素である鉄、コバルトおよびニッケル、またたとえば、鉄を主成分とし炭素、ケイ素、ニッケル、クロム、モリブデン、銅などを含有する鋼や鋳鉄などの鉄合金を挙げることができる。内筒コア12は、厚み0.1mm程度の薄肉の円筒形状に形成されている。
外筒コア22は、ダストコア(圧粉磁心)で形成されている。すなわち、外筒コア22は、モリブデンなどの強磁性体を微細な粉末にし、その表面に絶縁処理を施し、圧縮して固めた鉄心で形成されている。外筒コア22を形成するダストコアは、内筒コア12を形成する強磁性体材料に対して、相対的に高い磁気抵抗を有している。つまり、内筒コア12と外筒コア22とを比較して、内筒コア12の内部に磁束がより流れ易くなっている。
外筒コア22の内部には、複数(図3および図4に示す本実施の形態では4箇所)の空隙部28が形成されている。空隙部28は、外筒コア22を軸方向に貫通する中空の空間である。空隙部28は、外筒コア22の径方向に沿って延びるように形成されている。空隙部28は、外筒コア22の内周面24から外筒コア22の外周縁部27近傍に至るように形成されており、外筒コア22の外周面26にまでは達しないように形成されている。外筒コア22の外周縁部27には空隙部28が形成されておらず、外筒コア22の外周面26は孔の形成されていない円筒面とされている。
この空隙部28は、外筒コア22を加圧成形するときに適切な形状の金型を準備することで、追加の製造工程を必要とせずに容易に形成することができるので、空隙部28を形成した場合の製造コストの増加を回避できる。空隙部28が形成されている外筒コア22では、強磁性体材料の使用量が少なく済むので、外筒コア22の材料コストが低減され、重量も低減されている。したがって、リアクトル10の製造コストの低減、および軽量化を達成することができる。
コイル31は、図3に示すように、コア11の中心部に形成された貫通孔20に挿入されるとともに、外筒コア22の外周面26に沿って、コア11を取り囲むように巻回されている。リアクトル10は、ドーナツ型の磁性体であるコア11にコイル31を巻回した、トロイダルコイル(リングコイル)によって構成されている。トロイダルコイルでは、コイル31で発生する磁束のほとんどがコア11の中を通るので、外部への磁束漏れを抑制できる。これにより、リアクトル10の効率の向上とともに、磁束が周辺機器へ影響を与えることの抑制が図られている。
以上の構成を備えるリアクトル10において、コイル31に電流を流すときのリアクトル10の動作について説明する。コア11に巻回されたコイル31に電流を通じると、磁性体であるコア11の内部には、電流の強さに比例する磁界が発生する。このとき発生する磁界の強さH(単位:A/m)について、トロイダルコイルの場合、環状のコア11内で磁界の強さHが一定と仮定すると、コイル31に流れる電流の強さI(単位:A)、コイル31の巻数N、磁路の長さLe(単位:m)との間に、以下の式(1)で表す関係が成立する。
H・Le=I・N・・・(1)
式(1)より、コア11に発生する磁界の強さHは、コイル31に流れる電流の強さIに比例する。リアクトル10の動作時の電流の強さIは、電流の制御範囲および直流電流のリプル範囲を考慮して、動作範囲が定められている。これに伴い、磁界の強さHも、電流の強さIに比例して、動作範囲が限られている。
式(1)より、コア11に発生する磁界の強さHは、コイル31に流れる電流の強さIに比例する。リアクトル10の動作時の電流の強さIは、電流の制御範囲および直流電流のリプル範囲を考慮して、動作範囲が定められている。これに伴い、磁界の強さHも、電流の強さIに比例して、動作範囲が限られている。
コイル31を流れる電流が小さいとき、コア11の内側の内筒コア12のみに、図4に示す磁束φ1が通る。内筒コア12は板厚が小さく、内筒コア12の磁気飽和が起きる磁界の強さHのしきい値が比較的小さい。そのため、コイル31を流れる電流値が大きくなり磁界の強さHが大きくなると、すぐに内筒コア12は磁気飽和を起こす。内筒コア12が磁気飽和を起こすと、外側の外筒コア22にも磁束φ2が通る。外筒コア22を通る磁束φ2の通り道は、磁気抵抗の大きい空隙部28によって、外筒コア22の外周縁部27に制限されている。
つまり、コイル31を流れる電流Iが小さいと、内筒コア12の内部を磁束φ1が通り、このときの磁路の長さLeは小さい。コイル31を流れる電流Iを大きくし、内筒コア12が磁気飽和を起こす所定のしきい値以上の電流をコイル31に流すと、外筒コア22の内部を磁束φ2が通り、磁路の長さLeが大きくなる。
そのため、比例関係にある磁界の強さHと電流の強さIとの比例定数(N/Le)を考えると、電流の強さIが上記しきい値以下のときには磁路長Leが小さいので上記比例定数が大きく、電流の強さIが上記しきい値以上のときには磁路長Leが大きいので上記比例定数が小さい。磁界の強さHの動作範囲は電流の強さIの動作範囲に単純に正比例するのではなく、上記しきい値を境として、磁界の強さHと電流の強さIとの比例定数が変化している。したがって、電流の強さIの動作範囲に対して磁界の強さHの動作範囲がより一層小さく定められている。
内筒コア12内を通る磁束φ1の磁路、および、外筒コア22内を通る磁束φ2の磁路には、いずれも磁路を遮断するような間隙が形成されておらず、磁束φ1、φ2は磁性材料の内部を流れるような構成とされている。そのため、磁束φ1、φ2の流れるときの電磁力による騒音の発生が抑制されている。
図5は、コア11の磁気特性を表すBHカーブを示すグラフである。図5において、横軸は磁界の強さHを示す。また縦軸は磁束密度B(単位:T)、すなわち一様に磁化された試料の単位面積当りの磁束を示す。図5に示すBHカーブとは、磁界の強さHと磁束密度Bとの間の特性を表す曲線であって、コア11に磁界を印加したときの磁束密度Bの変化を表したものである。図5中に破線で示すグラフ(A)は、内筒コア12の磁気特性を表すBHカーブである。図5中に破線で示すグラフ(B)は、外筒コア22の磁気特性を表すBHカーブである。図5中に実線で示すグラフ(C)は、内筒コア12と外筒コア22との磁気特性を合成した、コア11全体としての磁気特性を表すBHカーブである。
図5中に示される縦軸と平行な2本の点線によって挟まれた範囲が、磁界の強さHの動作範囲を示す。磁界の強さHの動作範囲は、コイル31を流れる電流の強さIに比例して定められるので、結局、上記2本の点線によって挟まれた範囲がBHカーブの動作範囲であり、リアクトル10の動作領域である。
内筒コア12は強磁性体材料製であるので、グラフ(A)に示す内筒コア12のBHカーブの傾きが大きくなっている。内筒コア12は、磁界の強さHの増加に対する磁束密度Bの増加量が大きく、磁界の強さHに対し磁束密度Bが素早く立上る磁気特性を有している。
外筒コア22を流れる磁束φ2の通路は外周縁部27に制限されているため、外筒コア22内を流れる磁束φ2の磁路の長さLeが大きくなっており、磁束φ2に対する磁気抵抗が大きくなっている。つまり、コイル31を流れる電流の強さIを増大させ、磁界の強さHを増大させても、外筒コア22内を磁束φ2が流れにくいために、磁束密度Bが大きくなりにくい。したがって、グラフ(B)に示す外筒コア22のBHカーブの傾きは小さく、外筒コア22は磁界の強さHが増大しても磁気飽和を起こしにくい特性を有する。
コイル31を流れる電流が小さい、すなわちコア11に発生する磁界の強さHが小さいと、上述したように内筒コア12のみに磁束φ1が通る。そのため、磁界の強さHが小さい範囲では、コア11の磁気特性(グラフ(C))は内筒コア12の磁気特性(グラフ(A))とほぼ重なる。つまり、コイル31を流れる電流が小さいと、コア11内における磁束密度Bおよび磁界の強さHの状態を示す動作点は、内筒コア12のBHカーブ上の、磁束密度Bが低い範囲にある。
コイル31を流れる電流が大きくなって内筒コア12が磁気飽和を起こし、外側の外筒コア22に磁束φ2が通るとき、コア11の磁気特性(グラフ(C))は外筒コア22の磁気特性(グラフ(B))とほぼ重なる。外筒コア22のBHカーブ(グラフ(B))上の、BHカーブが安定した領域に、動作点がある。コア11の合成された磁気特性を示すグラフ(C)は、磁界の強さHの動作範囲(すなわち、リアクトル10の動作領域)内において傾きが小さく、磁界の強さHが変化しても磁束密度Bはほぼ一定の値を示しており、磁束密度Bの動作範囲が小さくなっている。
磁界の強さHと、磁束密度Bとの間には、透磁率μ(単位:H/m)を用いて、以下の式(2)で示す関係が成立する。
B=μH・・・(2)
式(2)より、透磁率μは磁束密度Bと磁界の強さHとの比例定数であるから、BHカーブで示されるグラフの傾きが透磁率μを示すことになる。図5に示すように、リアクトル10の動作領域内におけるグラフ(C)の傾きは小さいので、透磁率μの変化量が小さくなっており、透磁率μは一定値に近くなっている。
式(2)より、透磁率μは磁束密度Bと磁界の強さHとの比例定数であるから、BHカーブで示されるグラフの傾きが透磁率μを示すことになる。図5に示すように、リアクトル10の動作領域内におけるグラフ(C)の傾きは小さいので、透磁率μの変化量が小さくなっており、透磁率μは一定値に近くなっている。
コイル31に流れる電流の強さIが変化すると、コイル31を貫く磁界が変化し、その変化した磁界によって、コイル31には磁束の変化を打ち消す方向に誘導起電力が発生する。この現象を自己誘導といい、自己誘導の起こしやすさは自己インダクタンスL(単位:H)で示される。トロイダルコイルの場合、自己インダクタンスLは、コア11を径方向に沿って切断した断面積S(単位:m2)を用いて、以下の式(3)で表される。
L=N2・μ・S/Le・・・(3)
式(3)より、自己インダクタンスLは透磁率μに比例する。外筒コア22を磁束φ2が流れるとき、コイルの巻数N、断面積Sおよび磁路長Leは一定である。リアクトル10の動作領域では、式(2)および図5より、透磁率μはほぼ一定という磁気特性が得られるので、自己インダクタンスLの変化量が小さくなる。したがって、リアクトル10の動作領域では、値の安定した自己インダクタンスLを得ることができるので、安定したリアクトル10の磁気特性を得ることができる。
式(3)より、自己インダクタンスLは透磁率μに比例する。外筒コア22を磁束φ2が流れるとき、コイルの巻数N、断面積Sおよび磁路長Leは一定である。リアクトル10の動作領域では、式(2)および図5より、透磁率μはほぼ一定という磁気特性が得られるので、自己インダクタンスLの変化量が小さくなる。したがって、リアクトル10の動作領域では、値の安定した自己インダクタンスLを得ることができるので、安定したリアクトル10の磁気特性を得ることができる。
上述した説明と一部重複する部分もあるが、本実施の形態の特徴的な構成を以下、列挙する。本実施の形態のリアクトル10は、コア11と、コイル31とを備える。コア11は、中心部に貫通孔20の形成された中空円筒状であって、内筒コア12と外筒コア22とを含む。コイル31は、コア11の貫通孔20に挿入されるとともに、外筒コア22の外周面26に沿ってコア11に巻回されている。内筒コア12は、強磁性体材料により形成されている。外筒コア22は、ダストコアで形成されている。コア11は、内筒コア12が外筒コア22の中心孔に嵌入され、内筒コア12の外周面16と外筒コア22の内周面24とが面接触するように、内筒コア12と外筒コア22とが組み合わせられて形成されている。外筒コア22には、軸方向に外筒コア22を貫通し、径方向に沿って内周面24から外周縁部27近傍に至るように延びる、空隙部28が形成されている。
このようにすれば、リアクトル10の動作領域において、コイル31に流れる電流の強さIが変化し、コア11に発生する磁界の強さHが変化しても、自己インダクタンスLの変化量は小さくなる。したがって、安定したリアクトル10の磁気特性を得ることができる。また、空隙部28が形成されていることにより、外筒コア22の材料コストおよび重量が低減されているために、リアクトル10の製造コストの低減および軽量化を達成することができる。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明のリアクトルは、ハイブリッド車両に搭載される駆動ユニットの電圧昇圧用のリアクトルに、特に有利に適用され得る。
1 ハイブリッド車両、10 リアクトル、11 コア、12 内筒コア、16 外周面、20 貫通孔、22 外筒コア、24 内周面、26 外周面、27 外周縁部、28 空隙部、31 コイル、700 PCU。
Claims (1)
- 中心部に貫通孔の形成された中空円筒状であって、内筒コアと外筒コアとを含むコアと、
前記貫通孔に挿入されるとともに、前記外筒コアの外周面に沿って前記コアに巻回されたコイルとを備え、
前記内筒コアは、強磁性体材料により形成されており、
前記外筒コアは、ダストコアで形成されており、
前記コアは、前記内筒コアが前記外筒コアの中心孔に嵌入され、前記内筒コアの外周面と前記外筒コアの内周面とが面接触するように、前記内筒コアと前記外筒コアとが組み合わせられて形成されており、
前記外筒コアには、軸方向に前記外筒コアを貫通し、径方向に沿って内周面から外周縁部近傍に至るように延びる、空隙部が形成されている、リアクトル。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2009
- 2009-03-18 JP JP2009065700A patent/JP2010219378A/ja not_active Withdrawn
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CN112640015A (zh) * | 2018-09-21 | 2021-04-09 | 株式会社自动网络技术研究所 | 电抗器 |
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