JP2010218983A - 非水二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高容量で、充放電サイクル特性に優れ、かつ安全性などの信頼性の高い非水二次電池を提供する。
【解決手段】 正極活物質を含む正極合剤層を有する正極、負極および非水電解質を備えた非水二次電池において、正極活物質として、CoおよびNiよりなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属元素を主体とし、Mn、Mg、Ti、Zr、Ge、Nb、AlおよびSnよりなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含むリチウム含有遷移金属酸化物を用い、非水電解質に、ビニルエチレンカーボネートおよびその誘導体より選ばれる少なくとも1種の添加剤と、ビニレンカーボネートおよびその誘導体より選ばれる少なくとも1種の添加剤とを含有させる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高容量で、充放電サイクル特性に優れ、安全性などの信頼性の高い非水二次電池に関するものである。
近年、二次電池は、パソコンや携帯電話などの電源として、あるいは電気自動車や電力貯蔵用の電源として、なくてはならない重要な構成要素の一つとなっている。
特に、携帯型コンピュータや携帯情報端末(Personal Digital Assistant)といった移動体通信用途において、さらなる小型化、軽量化が要求されている。しかし、液晶表示パネルのバックライトや描画制御によって消費される電力が高いことや、二次電池の容量が現状ではまだ不充分であることなどから、システムのコンパクト化、軽量化が難しい状況にある。特にパーソナルコンピューターにおいては、DVD(デジタルバーサタイルディスク)搭載などによる多機能化が進み、消費電力が増加する傾向にある。そのため、電力容量、特に単電池の電圧が3.3V以上における放電容量の増大が急務となっている。
更に、地球環境問題の高まりとともに、排気ガスや騒音を出さない電気自動車が関心を集めている。最近ではブレーキ時の回生エネルギーを電池に蓄えて有効利用したり、あるいはスタート時に電池に蓄えた電気エネルギーを使用して効率を挙げるなどのシステムを採用したパラレルハイブリッド電気自動車(HEV)に人気が集まっている。しかし、現状の電池では電力容量が低いために、電池の本数を多くして電圧を稼がなければならず、そのため、車内のスペースが狭くなったり、車体の安定性が悪くなるなどの問題が生じている。
二次電池の中でも、非水電解液を用いたリチウム二次電池は、電圧が高く、かつ軽量で、高エネルギー密度が期待できることから注目を集めている。特に特許文献1で開示されているLiCoOに代表されるリチウム含有遷移金属酸化物を正極活物質として、金属リチウムを負極活物質として用いたリチウム二次電池では、4V以上の起電力を有することから、高エネルギー密度の達成が期待できる。
しかし、現在のLiCoOを正極活物質として、負極活物質として黒鉛などの炭素材料を用いたLiCoO系二次電池では、その充電終止電圧は通常4.2V以下であり、この充電条件ではLiCoOの理論容量の約6割の充電量に留まっている。充電終止電圧を4.2Vよりも高くすることにより電力容量の増加を図ることは可能であるが、充電量の増加に伴い、LiCoOの結晶構造が崩壊して充放電サイクル寿命が短くなったり、LiCoOの結晶構造が安定性を欠くようになるため、熱的安定性が低下するなどの問題を生じることになる。
この問題を解決するためにLiCoOに異種金属元素を添加する試みが多く行われており、電池を4.2V以上の高電圧領域で用いる試みもなされている(特許文献2〜8)。
今後、二次電池に対しては、これまで以上の高容量化に加えて、従来以上の安全性を含む高い信頼性が要求される。通常、電極中の活物質含有比率を増加させたり、電極密度、特に正極合剤層密度を高めることで、電池容量を大きく改善することができるが、一方で、このような高容量化方法では電池の安全性が徐々に低下する問題がある。
従って、高電力容量化の要求に応えるためには、LiCoOよりも高い起電力(電圧領域)でも、安全にかつ可逆性良く充放電を行うことができる結晶構造の安定な材料を用い、かつ、正極合剤層の高密度化を行っても従来の安全性を確保でき、また、正極と電解液との反応による電池膨れが生じないなどの信頼性も満足する電池が望まれている。
一方、正極と電解液との反応を防ぐため、ビニルエチレンカーボネート誘導体などの添加剤を電解液に含有させることが検討されている(特許文献9)。
特開昭55−136131号公報 特開平04−171659号公報 特開平03−201368号公報 特開平07−176202号公報 特開2001−167763号公報 特開2004−296098号公報 特開2001−176511号公報 特開2002−270238号公報 特開2006−351338号公報
しかしながら、電池の高容量化や更なる安全性向上の点では、いまだ検討の余地が残されている。本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高容量で、充放電サイクル特性に優れ、かつ安全性などの信頼性の高い非水二次電池を提供することにある。
本発明の非水二次電池は、正極活物質を含む正極合剤層を有する正極、負極および非水電解質を備えた非水二次電池であって、上記正極活物質として、下記一般式(1)で表されるリチウム含有遷移金属酸化物を含有し、上記正極合剤層の密度が3.5g/cm以上であり、上記非水電解質として、ビニルエチレンカーボネートおよびその誘導体より選ばれる少なくとも1種の添加剤と、ビニレンカーボネートおよびその誘導体より選ばれる少なくとも1種の添加剤とを、それぞれ0.1質量%以上8質量%以下の割合で含有する非水電解質を用いたことを特徴とする。
Li (1)
〔ただし、上記一般式(1)中、Mは、CoおよびNiよりなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属元素を含む1種以上の元素であり、Mは、Mn、Mg、Ti、Zr、Ge、Nb、AlおよびSnよりなる群から選択される少なくとも1種の金属元素であり、Mは、その総量中5モル%以下の範囲で、Li、Co、NiおよびM以外の元素を含んでいてもよく、0.97≦x<1.02、0.55≦y<1.02、0.002≦z≦0.4である。〕
本発明の非水二次電池では、上記正極合剤層の密度を3.5g/cm以上として、正極合剤層における正極活物質の充填量を高め高容量化を達成すると共に、特定の金属元素を含有し、充電状態においても安定性の高いリチウム含有遷移金属酸化物を正極活物質に使用することで、電池の充放電を繰り返しても正極活物質の崩壊などが抑制され、優れた充放電サイクル特性を確保することができる。
また、本発明の非水二次電池では、非水電解質として、ビニルエチレンカーボネートおよびその誘導体より選ばれる少なくとも1種の添加剤と、ビニレンカーボネートおよびその誘導体より選ばれる少なくとも1種の添加剤とを、それぞれ0.1質量%以上8質量%以下の割合で含有する非水電解質を用いることにより、上記添加剤が正極の表面に作用して正極と非水電解質との直接の接触を防止すると共に、充電状態の電池の貯蔵時における電池電圧(電池の開路電圧)を下げることにより、正極と非水電解質との反応を抑制できるものと思われる。
従って、本発明によれば、高容量で、充放電サイクル特性に優れ、かつ安全性などの信頼性の高い非水二次電池を提供することができる。
本発明に係る正極としては、正極活物質などを含有する正極合剤層を、例えば集電体の片面または両面に形成してなる構造のものを用いることができる。
本発明における正極合剤層は、その密度が、3.5g/cm以上、好ましくは3.6g/cm以上、より好ましくは3.8g/cm以上である、本発明の電池では、正極に係る正極合剤層を、上記のように高密度とすることで、正極活物質の充填量を高めて高容量化を達成している。ただし、正極合剤層の密度が高すぎると、非水電解質の濡れ性が低下するので、その密度は、例えば、4.6g/cm以下であることが好ましく、4.4g/cm以下であることがより好ましく、4.2g/cm以下であることが更に好ましい。
なお、本明細書でいう正極合剤層の密度は、以下の測定方法により求められる値である。正極を所定面積で切り取り、その重量を、最小目盛り1mgの電子天秤を用いて測定し、この重量から集電体の重量を差し引いて正極合剤層の重量を算出する。また、正極の全厚を最小目盛り1μmのマイクロメーターで10点測定し、この厚みから集電体の厚みを差し引いた値の平均値と面積から正極合剤層の体積を算出し、この体積で上記の正極合剤層の重量を割ることにより、正極合剤層の密度を算出する。
正極合剤層の正極活物質には、下記一般式(1)で表されるリチウム含有遷移金属酸化物が用いられる。
Li (1)
〔ただし、上記一般式(1)中、Mは、CoおよびNiよりなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属元素を含む1種以上の元素であり、Mは、Mn、Mg、Ti、Zr、Ge、Nb、AlおよびSnよりなる群から選択される少なくとも1種の金属元素であり、Mは、その総量中5モル%以下の範囲で、Li、Co、NiおよびM以外の元素を含んでいてもよく、0.97≦x<1.02、0.55≦y<1.02、0.002≦z≦0.4である。〕
上記のような金属元素を有するリチウム含有遷移金属酸化物は、その安定性(特に充電状態における安定性)が良好であることから、電池の安全性などの信頼性を向上させることができる。また、上記の金属元素を有するリチウム含有遷移金属酸化物では、その安定性が向上することから、電池の充放電サイクルを繰り返したときの崩壊なども抑制されるため、かかるリチウム含有遷移金属酸化物を用いることによって電池の充放電サイクル特性を高めることもできる。
上記リチウム含有遷移金属酸化物において、充電状態における安定性を向上させるためには、Mは、Mg、Ti、Zr、Ge、Nb、AlおよびSnよりなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含むことが望ましく、上記一般式(1)で表されるリチウム含有遷移金属酸化物が、さらに下記一般式(2)で表される組成を満たしていることがより望ましい。
Li Mn (2)
〔ただし、上記一般式(2)中、Mは、CoおよびNiよりなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属元素を含む1種以上の元素であり、Mは、Mg、Ti、Zr、Ge、Nb、AlおよびSnよりなる群から選択される少なくとも1種の金属元素であり、Mは、その総量中5モル%以下の範囲で、Li、Co、Ni、MnおよびM以外の元素を含んでいてもよく、0.97≦x<1.02、0.55≦y<1.02、0.002≦v≦0.05および0.002≦u+v≦0.4である。〕
なお、vについては、0.004以上がより好ましく、0.006以上が更に好ましく、また、0.02未満がより好ましく、0.01未満が更に好ましい。これは、Mの含有量が大きくなると、電池の充放電サイクル特性や安全性の向上効果がより大きくなり、一方、電池の電気特性の点からは、Mの含有量ができるだけ少ない方が望ましいからである。
また、正極活物質は、平均粒子径の異なる2種以上のリチウム含有遷移金属酸化物の混合物であるか、下記の平均粒子径測定法により得られる粒度分布曲線において、d10とd90との算術平均dよりも大きな粒径に粒度頻度ピークを有することが好ましい。d10とd90との算術平均dよりも大きな粒径に粒度頻度ピークを有するか、あるいは、平均粒子径の大きなリチウム含有遷移金属酸化物と平均粒子径の小さなリチウム含有遷移金属酸化物とを併用することで、正極合剤層において、粒子径の大きなリチウム含有遷移金属酸化物同士の隙間に、粒子径の小さなリチウム含有遷移金属酸化物を充填することができるようになるため、上記のように高密度の正極合剤層を容易に形成できる。より望ましくは平均粒子径の異なる2種以上のリチウム含有遷移金属酸化物を用いることである。最も望ましいのは平均粒子径の異なる2種以上のリチウム含有遷移金属酸化物の混合物でありかつ、下記の平均粒子径測定法により得られる粒度分布曲線において、d10とd90との算術平均dよりも大きな粒径に粒度頻度ピークを有することである。平均粒子径の異なる2種以上のリチウム含有遷移金属酸化物を用いることにより、大きい粒子の隙間に小さい粒子が入り込み電極の高密度化が可能である。またd10とd90との算術平均dよりも大きな粒径に粒度頻度ピークを有する場合には、小さな粒子が少なくなり高密度化が図れるため望ましい。平均粒子径の異なる2種以上のリチウム含有遷移金属酸化物を用い、d10とd90との算術平均dよりも大きな粒径に粒度頻度ピークを有する場合には、大きい粒子の隙間に小さい粒子が入り込みかつ余剰な小さな粒子が少なくなりさらに高密度化が図れるため望ましい。
なお、本明細書で用いたリチウム含有遷移金属酸化物の「平均粒子径」は、日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布測定装置「HRA9320」を用いて測定した値であり、粒度分布の小さい粒子から積分体積を求める場合の体積基準の積算分率における50%径の値(d50)メディアン径である。また、同様に、d10は10%径、d90は90%径である。ここで粒度分布曲線は各粒度での頻度を曲線で結び作成するものである。
上記の「平均粒子径の異なる2種以上のリチウム含有遷移金属酸化物」は、上記の通り、これらの混合物の粒度分布曲線において、d10とd90の算術平均dより大きな粒径に粒度頻度ピークを有することが好ましい(以下、粒度頻度ピークの存在する粒径をdとする)。より好ましくは、d/dが1.05以上、更に好ましくはd/dが1.2以上、特に好ましくはd/dが1.3以上である。また、d/dは、1.6以下がより好ましく、1.5以下が更に好ましく、1.45以下が特に好ましい。更に、より好ましいのは、この粒度分布曲線において、2つ以上のピークが存在している場合であり、例えば、同じd/d=1.3の場合でも、粒度分布曲線において2つ以上のピークを有することで、正極合剤層の密度が0.1g/cm以上向上する。なお、このような粒度分布曲線の場合には、一般的なピーク分離方法を用いて、大きな粒径の粒子の分布と、小さな粒径の粒子の分布とに分割し、その粒径と積算体積から、リチウム含有遷移金属酸化物の各平均粒子径(d50)と、その混合比率を求めることができる。
上記の「平均粒子径の異なる2種以上のリチウム含有遷移金属酸化物」を併用した場合に、最大の平均粒子径を有するもの[以下、「正極活物質(A)」という]の平均粒子径をA、最小の平均粒子径を有するもの[以下、「正極活物質(B)」という]の平均粒子径をBとしたとき、Aに対するBの比率B/Aは、0.15以上0.6以下であることが好ましい。最大の平均粒子径を有する正極活物質(A)の平均粒子径と、最小の平均粒子径を有する正極活物質(B)の平均粒子径との比がこのような値である場合には、正極合剤層の密度をより容易に高めることができる。
なお、正極活物質(A)については、その平均粒子径が、例えば、5μm以上であることが好ましく、8μm以上であることがより好ましく、11μm以上であることが更に好ましい。正極活物質(A)の平均粒子径が小さすぎると、正極合剤層を高密度とするのが困難になる場合がある。他方、正極活物質(A)の平均粒子径が大きすぎると、電池特性が低下する傾向にあることから、その平均粒子径は、例えば、25μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、18μm以下であることが更に好ましい。
また、正極活物質(B)については、その平均粒子径が、例えば、10μm以下であることが好ましく、7μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが更に好ましい。正極活物質(B)の平均粒子径が大きすぎると、正極合剤層において、粒子径の大きなリチウム含有遷移金属酸化物粒子同士の隙間に正極活物質(B)を充填し難くなくなるため、正極合剤層を高密度とするのが困難になる場合がある。他方、正極活物質(B)の平均粒子径が小さすぎると、小さい粒子間の空隙体積が大きくなるため、密度を高くし難くなる傾向にあることから、その平均粒子径は、例えば、2μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、4μm以上であることが更に好ましい。
また正極活物質には、上記正極活物質(A)と上記正極活物質(B)のみの場合のように、平均粒子径の異なる2種のリチウム含有遷移金属酸化物のみを用いる他、平均粒子径の異なる3種以上(例えば、3種、4種、5種など)のリチウム含有遷移金属酸化物を用いることもできる。平均粒子径の異なるリチウム含有遷移金属酸化物を3種以上用いる場合には、例えば、平均粒子径が、正極活物質(A)の平均粒子径と正極活物質(B)の平均粒子径の間にあるリチウム含有遷移金属酸化物を、正極活物質(A)および(B)と共に用いればよい。
正極の有するリチウム含有遷移金属酸化物のうち、平均粒子径が最小の正極活物質(B)の含有量は、例えば、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましい。正極活物質(B)が上記の量で含有されていると、粒子径の大きなリチウム含有遷移金属酸化物粒子同士の隙間を埋め易く、正極合剤層の高密度化が容易となる。他方、正極の有するリチウム含有遷移金属酸化物中の正極活物質(B)の含有量が多すぎると、却って正極合剤層を高密度とするのが困難になるため、その含有量は、例えば、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが更に好ましい。
よって、例えば、正極の有するリチウム含有遷移金属酸化物が、上記の正極活物質(A)と正極活物質(B)の2種類である場合には、2種類の活物質中、平均粒子径のより大きな正極活物質(A)の含有量は、例えば、40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上であって、95質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下であることが望ましい。
上記のように、平均粒子径の異なる2種のリチウム含有遷移金属酸化物を用いる場合は、正極活物質(B)よりも含有割合を高くすることのできる正極活物質(A)を、上記一般式(1)あるいは(2)で表されるリチウム含有遷移金属酸化物とするのが高容量化の点で望ましい。
なお、正極活物質(B)は、正極活物質(A)よりも平均粒子径が小さいことにより、正極活物質(A)に比べて電解液と反応しやすくなるおそれがあり、充電状態における安定性を向上させ電池の安全性などの信頼性を確保するためには、正極活物質(B)として、Mg、Ti、Zr、Ge、Nb、AlおよびSnよりなる群から選択される少なくとも1種の金属元素Mを含有する、例えば、下記一般式(3)で表されるリチウム含有遷移金属酸化物を用いることが好ましい。
Li (3)
ここで、上記一般式(3)中、Mは、Co、NiまたはMnのうちの少なくとも1種の遷移金属元素、Mは、Mg、Ti、Zr、Ge、Nb、AlおよびSnよりなる群から選択される少なくとも1種の金属元素であり、Mには、その総量中5モル%以下の範囲で、Li、Co、Ni、MnおよびM以外の元素が含まれていてもよく、0.97≦s<1.02、0.8≦t<1.02および0.002≦w≦0.05である。なお、wについては、0.004以上がより好ましく、0.006以上が更に好ましく、また、0.02未満がより好ましく、0.01未満が更に好ましい。これは、Mの含有量が大きくなると、電池の充放電サイクル特性や安全性の向上効果がより大きくなり、一方、電池の電気特性の点からは、Mの含有量はできるだけ少ない方が望ましいからである。
前記一般式(2)のMにおいて選択される元素と、前記一般式(3)のMにおいて選択される元素とは、異なっていてもよいが、電池の安全性向上がより効果的であることから、少なくともMgを含有することが好ましく、MとMに共通して含有されていることが好ましい。
また、リチウム含有遷移金属酸化物におけるCo比率が高いほど、正極合剤層の密度を高め得ることから、例えば、上記一般式(1)および(2)におけるM中のCo比率や、上記一般式(3)におけるM中のCo比率は、10モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましく、65モル%以上が更に好ましい。
上記一般式(1)および(2)におけるx、および上記一般式(3)におけるsは、電池の充放電によって変化する値であるが、電池製造時には、0.97以上1.02未満であることが好ましい。xおよびsは、より好ましくは0.98以上、更に好ましくは0.99以上であって、より好ましくは1.01以下、更に好ましくは1.00以下である。
なお、正極活物質(B)においては、Mgを含有することによる効果をより有効に発揮させる観点から、その含有量は、例えば、一般式(3)におけるMに対して、0.1モル%以上であることが好ましく、0.15モル%以上であることがより好ましく、0.2モル%以上であることが更に好ましい。
また、正極活物質(B)が、Ti、Zr、GeまたはNbを含有する場合には、これらを含有させることによる上記効果をより有効に発揮させる観点から、その合計量が、Mに対して、0.05モル%以上であることが好ましく、0.08モル%以上であることがより好ましく、0.1モル%以上であることが更に好ましい。更に、正極活物質(B)が、AlまたはSnを含有する場合には、これらを含有させることによる上記効果をより有効に発揮させる観点から、その合計量が、Mに対して、0.1モル%以上であることが好ましく、0.15モル%以上であることがより好ましく、0.2モル%以上であることが更に好ましい。
しかし、正極活物質(B)において、Mgの含有量が多すぎると、電池の負荷特性が低下する傾向にあることから、その含有量は、例えば、Mに対して、2モル%未満であることが好ましく、1モル%未満であることがより好ましく、0.5モル%未満であることが更に好ましく、0.3モル%未満であることが特に好ましい。
また、正極活物質(B)において、Ti、Zr、Ge、Nb、AlおよびSnよりなる群から選択される少なくとも1種の金属元素の含有量が多すぎると、電池の容量向上効果が小さくなることがある。そのため、正極活物質(B)が、Ti、Zr、GeまたはNbを含有する場合には、その合計量が、Mに対して、0.5モル%未満であることが好ましく、0.25モル%未満であることがより好ましく、0.15モル%未満であることが更に好ましい。また、正極活物質(B)が、AlまたはSnを含有する場合には、その合計量が、Mに対して、1モル%未満であることが好ましく、0.5モル%未満であることがより好ましく、0.3モル%未満であることが更に好ましい。
一方、正極活物質(A)においては、Mgを含有することによる効果をより有効に発揮させる観点から、その含有量は、例えば、一般式(1)および(2)におけるMに対して、0.01モル%以上であることが好ましく、0.05モル%以上であることがより好ましく、0.07モル%以上であることが更に好ましい。
また、正極活物質(A)が、Ti、Zr、GeまたはNbを含有する場合には、これらを含有させることによる上記効果をより有効に発揮させる観点から、その合計量が、Mに対して、0.005モル%以上であることが好ましく、0.008モル%以上であることがより好ましく、0.01モル%以上であることが更に好ましい。更に、正極活物質(A)が、AlまたはSnを含有する場合には、これらを含有させることによる上記効果をより有効に発揮させる観点から、その合計量が、Mに対して、0.01モル%以上であることが好ましく、0.05モル%以上であることがより好ましく、0.07モル%以上であることが更に好ましい。
しかし、正極活物質(A)においても、Mgの含有量が多すぎると電池の負荷特性が低下する傾向にあることから、その含有量は、例えば、Mに対して、0.5モル%未満であることが好ましく、0.2モル%未満であることがより好ましく、0.1モル%未満であることが更に好ましい。
また、正極活物質(A)においても、Ti、Zr、Ge、Nb、AlおよびSnよりなる群から選択される少なくとも1種の金属元素の含有量が多すぎると、電池の容量向上効果が小さくなることがある。そのため、正極活物質(A)が、Ti、Zr、GeまたはNbを含有する場合には、その合計量が、Mに対して、0.3モル%未満であることが好ましく、0.1モル%未満であることがより好ましく、0.05モル%未満であることが更に好ましい。また、正極活物質(A)が、AlまたはSnを含有する場合には、その合計量が、Mに対して、0.5モル%未満であることが好ましく、0.2モル%未満であることがより好ましく、0.1モル%未満であることが更に好ましい。
正極活物質(A)、正極活物質(B)およびその他のリチウム含有遷移金属酸化物において、金属元素MおよびMの含有の仕方は特に制限は無く、例えば、その粒子上に存在していればよく、活物質内に均一に固溶して存在していても、活物質の内部に濃度分布を持って偏在していても、表面に化合物として層を形成していてもよいが、均一に固溶していることが好ましい。
なお、安定化元素であるMやMは、リチウム含有遷移金属酸化物の安定性向上には寄与するものの、その含有量が多すぎると、Liイオンを吸蔵放出する作用を損なうため、電池特性を低下させることがある。
正極活物質(B)は、粒子径が小さく、安定性が低くなりやすいために、安定化元素であるMの含有量がある程度高いことが好ましく、一方、粒径が小さく表面積が大きいために活性が高く、Mの含有によっても、Liイオンの吸蔵放出作用に対する影響が小さい。
これに対し、正極活物質(B)に比べて粒径の大きな正極活物質(A)は、正極活物質(B)に比べると安定性が高いために、正極活物質(B)ほどMの含有の必要がない一方で、正極活物質(B)に比べて表面積が小さく活性が低いため、Mの含有によってLiイオンの吸蔵放出作用が損なわれ易い。
そのため、正極活物質(A)における金属元素Mの含有量は、正極活物質(B)における金属元素Mの含有量よりも少なくすることが好ましい。
すなわち、上記一般式(2)におけるvと、上記一般式(3)におけるwとは、v<wの関係を満足することが好ましい。wは、vの1.5倍以上であることがより好ましく、2倍以上であることが更に好ましく、3倍以上であることが特に好ましい。他方、vに対してwが大きすぎると、電池の負荷特性が低下する傾向にあるので、wは、vの5倍未満であることがより好ましく、4倍未満であることが更に好ましく、3.5倍未満であることが特に好ましい。
また、平均粒子径の異なる2種以上のリチウム含有遷移金属酸化物を用いる場合、平均粒子径の異なるもの同士が同じ組成を有していてもよく、平均粒子径の異なるもの毎に、異なる組成を有するものであってもよい。例えば、リチウム含有遷移金属酸化物が、最小の平均粒子径を有する正極活物質(B)と最大の平均粒子径を有する正極活物質(A)である場合、正極活物質(A)がLiCo0.998Mg0.0008Ti0.0004Al0.0008で、正極活物質(B)がLiCo0.334Ni0.33Mn0.33Mg0.0024Ti0.0012Al0.0024、というような組み合わせであっても構わない。
上記正極活物質(リチウム含有遷移金属酸化物)は、特定の合成工程と特定の電池の製造工程を経て形成される。例えば、遷移金属元素MとしてCoを含有するリチウム含有遷移金属酸化物で、異種の粒径のものを得るためには、一般的には、Coの酸性水溶液にNaOHなどのアルカリを滴下しCo(OH)として沈殿させる。均一な沈殿を得るために異種元素との共沈化合物とした後、焼成しCoを作製することもできる。沈殿を作製する時間をコントロールすることで沈殿の粒径制御が可能であり、焼成後のCoの粒径もこのときの沈殿物の粒径が支配要因である。
正極活物質の合成にあたっては、特定の混合条件と焼成温度、焼成雰囲気、焼成時間、出発原料と特定の電池製造条件の選択が必要である。正極活物質の合成の混合条件は、例えば、エタノールまたは水を原料粉末に加えて、遊星ボールミルで0.5時間以上混合することが好ましく、エタノールと水を50:50の容積比で、遊星ボールミルで20時間以上混合することが、より好ましい。この混合工程により、原料粉末は充分に粉砕、混合され、均一な分散液を調製することができる。これをスプレードライヤーなどにより均一性を保ったまま乾燥させる。好ましい焼成温度は750〜1050℃であり、より好ましい焼成温度は950〜1030℃である。また、好ましい焼成雰囲気は空気中である。好ましい焼成時間は10〜60時間であり、より好ましい焼成時間は20〜40時間である。
上記正極活物質に関して、Li源としてはLiCOが好ましく、Mg、Ti、Ge、Zr、Nb、Al、Snなどの異種金属源としてはそれらの金属の硝酸塩、水酸化物または1μm以下の粒径の酸化物が好ましく、水酸化物の共沈体を用いると異種元素は活物質に均一に分布しやすくなるので、より好ましい。
正極合剤層における正極活物質中の金属元素量は、誘導結合プラズマ(ICP)分析により、各元素量を測定することで求められる。また、Li量については、別途原子吸光などを用いて測定することができる。なお、通常、電極(正極)の状態では、粒子径の異なる正極活物質について、大粒径の活物質粒子と小粒径の活物質粒子とを、それぞれ分離して元素量を測定することは難しい。そのため、混合量が既知の活物質混合物を標準にして、EPMA(電子線微小部解析装置)などで小粒径の粒子および大粒径の粒子中の元素の含有量や含有量比の比較を行っても良い。また、電極(正極)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などで処理し、活物質粒子を電極からはがして粒子を沈殿させてから、洗浄、乾燥後、得られた粒子の粒度分布を測定したり、粒度分布のピーク分離を行い、2種以上の粒度を有していると判定した場合には、大粒径の粒子と小粒径の粒子とに分級し、それぞれの粒子群の点か元素量をICPで測定しても良い。
なお、本明細書における正極活物質中の金属元素量を測定するためのICP分析では、活物質を約5g精秤して200mlビーカーに入れ、王水100mlを加え、液量が約20〜25mlになるまで加熱濃縮し、冷却した後、アドバンテック株式会社製の定量濾紙「No.5B」で固形物を分離し、濾液および洗液を100mlメスフラスコに入れて定容希釈した後、日本ジャーレル・アッシュ社製のシーケンシャル型ICP分析装置「IPIS1000」を用いて測定する方法を採用している。
正極は、例えば以下の方法で作製される。まず、正極活物質であるリチウム含有遷移金属酸化物に、必要に応じて、導電助剤(例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックなど)を添加し、更にバインダー(例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなど)を添加して正極合剤を調製する。この正極合剤を、溶剤を用いてペースト状にし(なお、バインダーは予め溶剤に溶解させておいてから正極活物質などと混合してもよい)、正極合剤含有ペーストを調製する。得られた正極合剤含有ペーストをアルミニウム箔などからなる正極集電体に塗布し、乾燥して正極合剤層を形成し、必要に応じて圧延する工程を経ることによって正極とする。なお、正極活物質に、平均粒子径の異なる2種以上のリチウム含有遷移金属酸化物[例えば、正極活物質(A)と正極活物質(B)]を用いる場合には、これらのリチウム含有遷移金属酸化物を所定の質量比で混合し、この混合物に上記の導電助剤やバインダーを添加して調製した正極合剤を、その後の工程に供すればよい。ただし、正極の作製方法は、上記例示のものに限られることなく、他の方法によってもよい。
正極合剤層の厚みは、例えば、30〜200μmであることが好ましい。また、正極に用いる集電体の厚みは、例えば、8〜20μmであることが好ましい。
そして、正極合剤層においては、活物質であるリチウム含有遷移金属酸化物の含有量は、96質量%以上、より好ましくは97質量%以上、更に好ましくは97.5質量%以上であって、99質量%以下、より好ましくは98質量%以下であることが望ましい。また、正極合剤層中のバインダーの含有量は、例えば、1質量%以上、より好ましくは1.3質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上であって、4質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下であることが望ましい。そして、正極合剤層中の導電助剤の含有量は、例えば、1質量%以上、より好ましくは1.1質量%以上、更に好ましくは1.2質量%以上であって、3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下であることが望ましい。
これは、正極合剤層中の活物質の割合が少ないと高容量化を達成し難く、正極合剤層の密度も高くし難いからであり、一方で多すぎると、抵抗が高くなったり、正極の形成性が損なわれる場合があるからである。また、正極合剤層中のバインダーの含有量が多すぎると高容量化が困難となり、少なすぎると集電体との密着性が低下し、電極の粉落ちなどの可能性が出てくるので上記の好適組成とすることが望ましい。更に、正極合剤層中の導電助剤の含有量は、多すぎると正極合剤層の密度を十分に高くし難く、高容量化が困難となることがあり、少なすぎると導電がうまく取れずに電池の充放電サイクル特性や負荷特性の低下につながるからである。
本発明の非水二次電池は、例えば、正極合剤層を有する正極と負極とが、セパレータを介して重ねられた積層構造の電極体や、これを更に渦巻状に巻回した巻回構造の電極体などを、非水電解質と共に外装体内に封入した構成を有するものである。
本発明の非水二次電池において、非水電解質としては、例えば、電気特性や取り扱い易さから、有機溶媒などの非水系溶媒にリチウム塩などの電解質塩を溶解させた非水溶媒系の電解液が好ましく用いられるが、ポリマー電解質、ゲル電解質であっても問題なく用いることができる。
本発明の非水二次電池では、ビニルエチレンカーボネートおよびその誘導体より選ばれる少なくとも1種の添加剤と、ビニレンカーボネートおよびその誘導体より選ばれる少なくとも1種の添加剤とを、それぞれ0.1質量%以上8質量%以下の割合で含有させた非水電解液(非水電解質)を用いる。
上記の添加剤は、電池の充電中(特に初期充電中)に正極活物質の表面に表面保護皮膜を形成する機能を有しており、かかる表面保護皮膜によって、正極と非水電解質との直接の接触が抑制される。また、上記の添加剤は、充電状態の電池が高温下で保持された場合に、徐々に電池の開路電圧を低下させる作用を有している。そのため、上記の添加剤を含有する非水電解質を有する本発明の電池は、充電状態で、例えば150℃程度の高温下で貯蔵しても、上記の表面保護皮膜による正極と非水電解質との直接の接触を抑制する作用と、電池電圧の低下作用とによって、正極と非水電解質との反応が抑制されるため、かかる反応による電池の温度上昇を抑えることができ、安全性に優れたものとなる。
上記ビニルエチレンカーボネートの誘導体としては、例えば、4−メチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4−エチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4−n−プロピル−4−ビニルエチレンカーボネート、5−メチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4,4−ジビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネート等が挙げられる。
また、上記ビニレンカーボネートの誘導体としては、例えば、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、4,5−ジエチルビニレンカーボネート、メチルエチルビニレンカーボネート等が挙げられる
上記添加剤の含有量は、これらの化合物の添加による作用をより有効に発揮させる観点から、非水電解液全量中、それぞれ、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.9質量%以上、更に好ましくは1.8質量%以上とすればよい。
ただし、上記の化合物の添加量が多すぎると、電池の電圧低下が大きくなる虞があるため、これらの化合物の添加量は、非水電解液全量中、それぞれ、8質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、最も好ましくは2.5質量%以下とすればよい。
非水電解質の溶媒としては特に限定されないが、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピオンカーボネートなどの鎖状エステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの誘電率の高い環状エステル;鎖状エステルと環状エステルの混合溶媒;などが挙げられ、鎖状エステルを主溶媒とした環状エステルとの混合溶媒が特に適している。
さらに、上記エステル以外にも、例えば、リン酸トリメチルなどの鎖状リン酸トリエステル、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類、ニトリル類、ジニトリル類、イソシアネート類、ハロゲン含有溶媒、アミン系またはイミド系有機溶媒やスルホランなどのイオウ系有機溶媒なども溶媒として用いることができる。
非水電解質の調製にあたって溶媒に溶解させる電解質塩としては、例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、LiCFCO、Li(SO)、LiN(RfSO)(Rf′SO)、LiC(RfSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO[ここでRfとRf′はフルオロアルキル基]などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記の電解質塩の中でも、炭素数2以上の含フッ素有機リチウム塩が特に好ましい。上記含フッ素有機リチウム塩はアニオン性が大きく、かつイオン分離しやすいので上記溶媒に溶解し易いからである。非水電解液中における電解質塩の濃度は特に限定されないが、例えば、0.3mol/l以上、より好ましくは0.4mol/l以上であって、1.7mol/l以下、より好ましくは1.5mol/l以下であることが望ましい。
負極に係る負極活物質としては、Liイオンをドープ・脱ドープできるものであればよく、例えば、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭などの炭素材料が挙げられる。また、Si、Sn、Inなどの合金、またはLiに近い低電位で充放電できるSi、Snなどの酸化物、Li2.6Co0.4NなどのLiとCoの窒化物などの化合物も負極活物質として用いることができる。さらに、黒鉛の一部をLiと合金化し得る金属や酸化物などと置き換えることもできる。負極活物質として黒鉛を用いた場合には、満充電時の電圧をLi基準で約0.1Vとみなすことができるため、電池電圧に0.1Vを加えた電圧で正極の電位を便宜上計算することができることから、正極の充電電位が制御しやすく好ましい。
黒鉛の形態としては、例えば、002面の面間隔(d002)が0.338nm以下であることが好ましい。これは、結晶性が高い方が負極(後記の負極合剤層)を高密度にし易いからである。しかし、d002が大きすぎると、高密度の負極では放電特性や負荷特性が低下する場合があるので、d002は、0.335nm以上であることが好ましく、0.3355nm以上であることが更に好ましい。
また、黒鉛のc軸方向の結晶子サイズ(Lc)については、70nm以上が好ましく、80nm以上がより好ましく、90nm以上が更に好ましい。これは、Lcが大きいほうが、充電カーブが平坦になり正極の電位を制御し易く、また、容量を大きくできるためである。他方、Lcが大きすぎると、高密度の負極では電池容量が低下する傾向があるので、Lcは200nm未満であることが好ましい。
更に、黒鉛の比表面積は、0.5m/g以上であることが好ましく、1m/g以上であることがより好ましく、2m/g以上であることが更に好ましく、また、6m/g以下であることが好ましく、5m/g以下であることがより好ましい。黒鉛の比表面積がある程度大きくないと特性が低下する傾向にあり、他方、大きすぎると非水電解質との反応の影響が出易くなるためである。
負極に用いる黒鉛は、天然黒鉛を原料としたものであることが好ましく、表面結晶性の異なる2種以上の黒鉛を混合したものが、高容量化の点からより好ましい。天然黒鉛は安価かつ高容量であることから、これによりコストパフォーマンスの高い負極とすることができる。通常天然黒鉛は、負極の高密度化によって電池容量が低下し易いが、表面処理によって表面の結晶性が低下した黒鉛を混合して用いることで、電池容量の低下を小さくすることができる。
黒鉛の表面の結晶性はラマンスペクトル分析によって判断することができる。波長514.5nmのアルゴンレーザーで黒鉛を励起させた時のラマンスペクトルのR値〔R=I1350/I1580(1350cm−1付近のラマン強度と1580cm−1付近のラマン強度との比)]が0.01以上であれば、表面の結晶性は天然黒鉛に比べ若干低下しているといえる。よって、表面処理により表面の結晶性が低下した黒鉛としては、例えば、R値が、0.01以上、より好ましくは0.1以上であって、0.5以下、より好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.15以下のものを使用することが好ましい。上記の表面の結晶性が低下した黒鉛の含有割合は、負極の高密度化のためには100質量%であることが好ましいが、電池容量の低下防止のためには、全黒鉛中の50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、85質量%以上であることが特に好ましい。
また、黒鉛の平均粒子径は、小さすぎると不可逆容量が大きくなるので、5μm以上であることが好ましく、12μm以上であることがより好ましく、18μm以上であることが更に好ましい。また、負極の高密度化の観点からは、黒鉛の平均粒子径は、30μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることが更に好ましい。
負極は、例えば、以下の方法で作製できる。上記負極活物質に、必要に応じてバインダーなどを加え、混合して負極合剤を調製し、それを溶剤に分散させてペーストにする。なお、バインダーは予め溶剤に溶解させておいてから負極活物質などと混合しておくのが好ましい。上記の負極合剤含有ペーストを銅箔などからなる負極集電体に塗布し、乾燥して負極合剤層を形成し、加圧処理工程を経ることによって負極を得ることができる。なお、負極の作製方法は、上記の方法に限定される訳ではなく、他の方法を採用しても構わない。
なお、負極合剤層の密度(加圧処理工程後の密度)は、1.70g/cm以上であることが好ましく、1.75g/cm以上であることがより好ましい。黒鉛の理論密度から、負極合剤層の密度の上限は2.1〜2.2g/cmであるが、非水電解質との親和性の観点からは、負極合剤層の密度は、2.0g/cm以下であることがより好ましく、1.9g/cm以下であることが更に好ましい。なお、上記の加圧処理工程においては、負極をより均一にプレスできることから、一回の加圧処理よりも、複数回の加圧処理を施すことが好ましい。
負極に用いるバインダーは特に限定されないが、活物質比率を高めて容量を大きくする観点から、使用量を極力少なくすることが好ましく、このような理由から、水に溶解または分散する性質を有する水系樹脂とゴム系樹脂との混合物が好適である。水系樹脂は少量でも黒鉛の分散に寄与し、ゴム系樹脂は電池の充放電サイクル時の電極の膨張・収縮による負極合剤層の集電体からの剥離を防止することができるからである。
水系樹脂としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリエピクロルヒドリン、ポリビニルピリジン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコールなどのポリエーテル系樹脂などが挙げられる。ゴム系樹脂としては、ラテックス、ブチルゴム、フッ素ゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルブタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ポリブタジエン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)などが挙げられる。例えば、カルボキシメチルセルロースなどのセルロースエーテル化合物とスチレンブタジエンゴムなどのブタジエン共重合体系ゴムとを併用することが、上記黒鉛の分散や剥離防止の観点からより好ましい。カルボキシメチルセルロースとスチレンブタジエンゴム、ニトリルブタジエン共重合体ゴムなどのブタジエン共重合体系ゴムとを併用することが特に好ましい。これは、カルボキシメチルセルロースなどのセルロースエーテル化合物が、主として負極合剤含有ぺーストに対して増粘作用を発揮し、スチレン・ブタジエン共重合体ゴムなどのゴム系バインダーが、負極合剤に対して結着作用を発揮するからである。このように、カルボキシメチルセルロースなどのセルロースエーテル化合物とスチレンブタジエンゴムなどのゴム系バインダーとを併用する場合、両者の比率としては質量比で1:1〜1:15が好ましい。
負極合剤層の厚みは、例えば、40〜200μmであることが好ましい。また、負極に用いる集電体の厚みは、例えば、5〜30μmであることが好ましい。
そして、負極合剤層においては、バインダーの含有量(複数種を併用する場合には、その合計量)は、1.5質量%以上、より好ましくは1.8質量%以上、更に好ましくは2.0質量%以上であって、5質量%未満、より好ましくは3質量%未満、更に好ましくは2.5質量%未満であることが望ましい。負極合剤層中のバインダー量が多すぎると放電容量が低下することがあり、少なすぎると粒子同士の接着力が低下するからである。なお、負極合剤層における負極活物質の含有量は、例えば、95質量%を超え、98.5質量%以下であることが好ましい。
本発明に係るセパレータは、引張強度に方向性を有し、かつ、絶縁性を良好に保ち、また、熱収縮を小さくする観点から、その厚みは、5μm以上、より好ましくは10μm以上、更に好ましくは12μm以上であって、25μm未満、より好ましくは20μm未満、更に好ましくは18μm未満であることが望ましい。また、セパレータの透気度は、例えば、500秒/100ml以下であることが好ましく、300秒/100ml以下であることがより好ましく、120秒/100ml以下であることが更に好ましい。なお、セパレータの透気度は、小さいほど負荷特性が向上するが、内部短絡を生じ易くなることから、その透気度は、50秒/100ml以上とすることが好ましい。セパレータのTD方向の熱収縮率は、小さいほど温度上昇時の内部短絡が発生し難くなるため、できるだけ熱収縮率の小さいセパレータを用いるのが好ましく、例えば、熱収縮率が10%以下であるものがより好ましく、5%以下であるものが更に好ましい。また、熱収縮を抑えるため、あらかじめ100〜125℃程度の温度で熱処理を施したセパレータを用いることが好ましい。このような熱収縮率のセパレータを本発明に係る正極材料と組み合わせて電池を構成することで、より高温での挙動が安定することから推奨される。
なお、セパレータのTD方向の熱収縮率は、30mm角のセパレータを105℃で8時間静置した場合の、TD方向において最大に収縮した部分の収縮率を意味している。
また、セパレータの強度は、MD方向の引張強度として、例えば、6.8×10N/m以上であることが好ましく、9.8×10N/m以上であることがより好ましい。また、TD方向の引張強度はMD方向に比べて小さいことが好ましく、例えば、MD方向の引張強度に対するTD方向の引張強度の比(TD方向引張強度/MD方向引張強度)が、0.95以下であることがより好ましく、0.9以下であることが更に好ましく、また、0.1以上であることがより好ましい。なお、TD方向とは、セパレータ製造におけるフィルム樹脂の引き取り方向(MD方向)と直交する方向のことである。
更に、セパレータの突き刺し強度は、2.0N以上であることが好ましく、2.5N以上であることがより好ましい。この値が高いほど、電池が短絡しにくくなる。ただし、その上限値は、通常はセパレータの構成材料によってほぼ決定され、例えば、ポリエチレン製のセパレータの場合は10N程度が上限値となる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは、全て本発明の技術的範囲に包含される。
(実施例1)
<正極の作製>
LiCo0.998Mg0.0008Ti0.0004Al0.0008[平均粒子径12μm、正極活物質(A)]とLiCo0.994Mg0.0024Ti0.0012Al0.0024[平均粒子径5μm、正極活物質(B)]を質量比65:35で混合したもの:97.3質量部、および導電助剤としての炭素材料:1.5質量部を、粉体供給装置である定量フィーダ内に投入し、また、10質量%濃度のポリフッ化ビニリデン(PVDF)のNMP溶液の投入量を調整し、混練時の固形分濃度が常に94質量%になるように調整した材料を、単位時間あたり所定の投入量になるように制御しつつ二軸混練押出機に投入して混練を行い、正極合剤含有ペーストを調製した。
なお、上記の正極活物質(A)と正極活物質(B)の組成は、それぞれ王水に溶解し、含有される元素の比率をICP分析と原子吸光分析で確認して求めた値である。
次に、得られた正極合剤含有ペーストをプラネタリーミキサー内に投入し、10質量%濃度のPVDFのNMP溶液とNMPとを加えて希釈し、塗布可能な粘度に調整した。この希釈後の正極合剤含有ペーストを70メッシュの網を通過させて大きな含有物を取り除いた後、厚みが15μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に均一に塗布し、乾燥して膜状の正極合剤層を形成した。乾燥後の正極合剤層の固形分比率は、正極活物質:導電助剤:PVDF質量比で97.3:1.5:1.2である。その後、加圧処理し、所定のサイズに切断後、アルミニウム製のリード体を溶接して、シート状の正極を作製した。加圧処理後の正極合剤層の密度(正極の密度)は3.86g/cmであり、正極合剤層の厚み(両面の厚み、すなわち、正極の総厚みから正極集電体のアルミニウム箔の厚みを引いた厚み、以下同じ)は135μmであった。
正極活物質(A)および(B)の混合物の粒度分布は、日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布測定装置「HRA9320」を用いて測定した。粒度頻度ピークdは12μmと5μmに存在し、一方、d10は4.3μm、d90は13.8μmであり、d値は9μmとなった。また、d/dは1.3であった。
ここで、正極活物質(A)は、Coに対して、Mgが0.08モル%であり、Tiが0.04モル%であり、Alが0.08モル%である。また粒子断面でのMg、TiおよびAlの濃度を、島津製作所株式会社製の電子線微小部解析装置「EPMA1600」を用いて測定したところ、いずれの元素も均一に分布していた。
また、正極活物質(B)は、Coに対して、Mgが0.24モル%であり、Tiが0.12モル%であり、Alが0.24モル%であり、かつ、正極活物質(A)に対して、モル基準で、Mgが3倍、Tiが3倍、Alが3倍であった。
正極活物質(B)についても、正極活物質(A)と同様に粒子断面の観察を行ったが、Mg、TiおよびAlは均一に分布していた。
<負極の作製>
負極活物質として黒鉛系炭素材料(A)[純度99.9%以上、平均粒子径18μm、002面の面間距離(d002)=0.3356nm、c軸方向の結晶子の大きさ(Lc)=100nm、R値(波長514.5nmのアルゴンレーザーで励起させた時のラマンスペクトルにおける1350cm−1付近のピーク強度と1580cm−1付近のピーク強度との比〔R=I1350/I1580〕)=0.18]:70質量部と、黒鉛系炭素材料(B)[純度99.9%以上、平均粒子径21μm、d002=0.3363nm、Lc=60nm、R値=0.11]:30質量部とを混合し、この混合物98質量部と、カルボキシメチルセルロース:1質量部とスチレンブタジエンゴム1質量部とを、水の存在下で混合してスラリー状の負極合剤含有ぺーストを調製した。得られた負極合剤含有ぺーストを、厚みが10μmの銅箔からなる負極集電体の両面に塗布し、乾燥して負極合剤層を形成し、ローラーで負極合剤層の密度が1.75g/cmになるまで加圧処理し、所定のサイズに切断後、ニッケル製のリード体を溶接して、シート状の負極を作製した。
<非水電解液の調製>
メチルエチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチレンカーボネートとを体積比3:1:2で混合した混合溶媒に、LiPFを1.2mol/lの濃度になるように溶解し、これにビニレンカーボネート2質量%、ビニルエチレンカーボネート1質量%、フルオロベンゼン3質量%を加えて非水電解液を調製した。
<非水二次電池の作製>
上記正極と負極を微孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータ[空孔率53%、MD方向引張強度:2.1×10N/m、TD方向引張強度:0.28×10N/m、厚さ16μm、透気度80秒/100ml、105℃×8時間後のTD方向の熱収縮率3%、突き刺し強度:3.5N(360g)]を介して渦巻状に巻回し、巻回構造の電極体にした後、角形の電池ケース内に挿入するために加圧して扁平状巻回構造の電極体にした。それをアルミニウム合金製で角形の電池ケース内に挿入し、正・負極リード体の溶接と蓋板の電池ケースへの開口端部へのレーザー溶接を行い、封口用蓋板に設けた注入口から上記の非水電解液を電池ケース内に注入し、非水電解液をセパレータなどに十分に浸透させた後、部分充電を行い、部分充電で発生したガスを排出後、注入口を封止して密閉状態にした。その後、充電、エイジングを行い、幅が34.0mmで、厚みが4.0mmで、高さが50.0mmの角形の非水二次電池を得た。
(実施例2)
非水電解液にビニレンカーボネートを1質量%、ビニルエチレンカーボネートを2質量%添加した以外は、実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。
(実施例3)
非水電解液にビニレンカーボネートを2質量%、ビニルエチレンカーボネートを2質量%添加した以外は、実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。
(実施例4)
非水電解液にビニレンカーボネートを1質量%、ビニルエチレンカーボネートを1質量%添加した以外は、実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。
(実施例5)
LiCo0.9965Mg0.0014Ti0.0007Al0.0014(平均粒径8μm)を正極活物質として単独で用いた以外は、実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。加圧処理後の正極合剤層の密度(正極の密度)は3.76g/cmであった。この正極活物質は粒径9.6μmに粒度頻度ピークdが存在し、d10が4μm、d90が12.4μmであって、dは8.2μmであり、d/dは1.2である。
(実施例6)
正極活物質(B)をLiCo0.334Ni0.33Mn0.33Mg0.0024Ti0.0012Al0.0024(平均粒径5μm)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。加圧処理後の正極合剤層の密度(正極の密度)は3.72g/cmであった。また、正極活物質(B)は、Co、NiおよびMnの総量に対して、Mgが0.24モル%であり、Tiが0.12モル%であり、Alが0.24モル%であり、かつ、正極活物質(A)に対して、モル基準で、Mgが3倍、Tiが3倍、Alが3倍であった。正極活物質全体の粒度頻度ピークdは12μmと5μmに存在し、一方、d10は4.1μm、d90は14.1μmであり、d値は9.1μmであった。また、d/dは1.3であった。
(比較例1)
ビニレンカーボネートおよびビニルエチレンカーボネートを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。
(比較例2)
ビニルエチレンカーボネートを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。
(比較例3)
ビニレンカーボネートを添加しなかった以外は、実施例2と同様にして非水二次電池を作製した。
(比較例4)
LiCoO(平均粒径8μm)を正極活物質として単独で用いた以外は、実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。
実施例1〜6および比較例1〜4の非水二次電池について、下記の特性評価を行った。
<充放電サイクル後の放電容量>
実施例1〜4および比較例1〜4の各電池について、4.2Vまで0.2Cの定電流で充電後、総充電時間が8時間となるまで定電圧充電し、続いて0.2Cで電池電圧が3.3Vまで定電流放電を行って、そのときの放電容量を初期容量として求めた。なお、上記定電流充電時のリチウム基準の正極の電圧は4.3Vを意味する)。さらに、これと同じ条件での充放電を400回繰り返し、400サイクル目の放電容量を、サイクル後の放電容量として評価した。結果を表1に示すが、これらの表では、各電池について得られた充放電サイクル後の放電容量を、比較例1の電池の充放電サイクル時の放電容量を100としたときの相対値で示す。
<過充電試験>
実施例1〜6および比較例1〜4の各電池について、それぞれ3個ずつ以下の試験を行った。4.2Vまで0.2Cの定電流で充電後、総充電時間が8時間となるまで定電圧充電し、その後、1Aで5Vの過充電試験を行い、防爆機構(ベント)が作動した個数を調べた。結果を表1に示す。
<電池膨れ>
実施例1〜6および比較例1〜4の各電池について、4.2Vまで0.2Cの定電流で充電後、総充電時間が8時間となるまで定電圧充電し、その後85℃に設定した恒温槽中で電池を4時間貯蔵し、貯蔵前と貯蔵後の電池厚みを測定した。貯蔵前後の電池厚みの変化を、電池の膨れとして表1に示す。
Figure 2010218983
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜6の非水二次電池では、比較例1〜4の非水二次電池に比べて、放電容量および充放電サイクル特性が優れており、過充電時の安全性が高く、高温での耐久性にも優れている。

Claims (2)

  1. 正極活物質を含む正極合剤層を有する正極、負極および非水電解質を備えた非水二次電池であって、
    上記正極活物質として、下記一般式(1)で表されるリチウム含有遷移金属酸化物を含有し、
    上記正極合剤層の密度が3.5g/cm以上であり、
    上記非水電解質として、ビニルエチレンカーボネートおよびその誘導体より選ばれる少なくとも1種の添加剤と、ビニレンカーボネートおよびその誘導体より選ばれる少なくとも1種の添加剤とを、それぞれ0.1質量%以上8質量%以下の割合で含有する非水電解質を用いたことを特徴とする非水二次電池。
    Li (1)
    〔ただし、上記一般式(1)中、Mは、CoおよびNiよりなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属元素を含む1種以上の元素であり、Mは、Mn、Mg、Ti、Zr、Ge、Nb、AlおよびSnよりなる群から選択される少なくとも1種の金属元素であり、Mは、その総量中5モル%以下の範囲で、Li、Co、NiおよびM以外の元素を含んでいてもよく、0.97≦x<1.02、0.55≦y<1.02、0.002≦z≦0.4である。〕
  2. 正極活物質の粒度分布曲線において、d10値とd90値の算術平均値よりd50値の方が大きいことを特徴とする請求項1に記載の非水二次電池。
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