JP2010218764A - 双極型リチウムイオン二次電池用集電体 - Google Patents

双極型リチウムイオン二次電池用集電体 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウムイオン吸蔵能を有する導電性フィラーが添加された樹脂を含む集電体において、充放電容量の低下を効果的に防ぐ手段を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の双極型リチウムイオン二次電池用電極は、高分子材料からなる基材に、リチウムイオン吸蔵能を有する導電性フィラーが添加されてなる、導電性を有する樹脂層を含む。そして、該集電体において、一方の面の表面から厚み方向に向かって、ある深さでのリチウムイオン吸蔵能と、他方の面の表面から厚み方向に向かって、該深さでのリチウムイオン吸蔵能とを、集電体表面から1/2厚みまで順次比較した場合に、該他方の面側のリチウムイオン吸蔵能が、該一方の面側のリチウムイオン吸蔵能よりも先に小さい値を示す。
【選択図】図2

Description

本発明は、双極型リチウムイオン二次電池用集電体、ならびに該集電体を用いたリチウムイオン二次電池用双極型電極、および双極型リチウムイオン二次電池に関する。特に、本発明は、充放電容量の低下を効果的に防ぐことができる、双極型リチウムイオン二次電池用集電体、ならびに該集電体を用いたリチウムイオン二次電池用電極、および双極型リチウムイオン二次電池に関する。
近年、環境や燃費の観点から、ハイブリッド自動車(HEV)や電気自動車(EV)、さらには燃料電池自動車が製造・販売され、新たな開発が続けられている。これらのいわゆる電動車両においては、放電・充電ができる電源装置の活用が不可欠である。この電源装置としては、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池や、電気二重層キャパシタ等が利用される。特に、リチウムイオン二次電池はそのエネルギー密度の高さや繰り返し充放電に対する耐久性の高さから、電動車両に好適と考えられ、各種の開発が鋭意進められている。ただし、上記したような各種自動車のモータ駆動用電源に適用するためには、大出力を確保するために、複数の二次電池を直列に接続して用いる必要がある。
しかしながら、接続部を介して電池を接続した場合、接続部の電気抵抗によって出力が低下してしまう。また、接続部を有する電池は空間的にも不利益を有する。即ち、接続部によって、電池の出力密度やエネルギー密度の低下がもたらされる。
この問題を解決するものとして、双極型リチウムイオン二次電池等の双極型二次電池が開発されている。双極型二次電池は、集電体の一方の面に正極活物質層が形成され、他方の面に負極活物質層が形成された双極型電極が、電解質層やセパレータを介して複数積層された発電要素を有する。
このような双極型二次電池に用いる集電体は、電池の単位質量あたりの出力密度向上の観点から、より軽量な材料からなることが望ましい。そこで、近年、従来の金属箔に代わって、導電性フィラーが添加された樹脂から構成される集電体が提案されている。例えば、特許文献1では、高分子材料に導電性フィラーとしてカーボン粒子が添加された樹脂からなる集電体が開示されている。
特開2006−190649号公報
しかしながら、上記集電体において導電性フィラーとして使用されるカーボン粒子は、負極活物質としても使用されうる材料であり、リチウムイオンを吸蔵・放出する性質を有する。このため、充放電に利用される電解質中のリチウムイオンが、充電時に導電性フィラーとして添加されたカーボン粒子に吸蔵されてしまい、充放電容量が低下するという問題点を有していた。
そこで本発明は、リチウムイオン吸蔵能を有する導電性フィラーが添加された樹脂を含む集電体において、充放電容量の低下を効果的に防ぐ手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った。リチウムイオンの吸蔵は、特に、集電体の負極側で起こり易い。そこで、集電体表面から中央の1/2厚みまでのリチウムイオン吸蔵能を、正極側となる一方の面の表面と、負極側となる他方の面の表面とで順次比較していく。その際に、該他方の面側のリチウムイオン吸蔵能が該一方の面側のリチウムイオン吸蔵能よりも先に小さな値となるように導電性フィラーの種類や量を設定することによって、充放電容量の低下を顕著に抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の双極型リチウムイオン二次電池用集電体は、高分子材料からなる基材に、リチウムイオン吸蔵能を有する導電性フィラーが添加されてなる、導電性を有する樹脂層を含む。そして、該集電体において、一方の面の表面から厚み方向に向かって、ある深さでのリチウムイオン吸蔵能と、他方の面の表面から厚み方向に向かって、該深さでのリチウムイオン吸蔵能とを、集電体表面から1/2厚みまで順次比較する。この際、該他方の面側のリチウムイオン吸蔵能が、該一方の面側のリチウムイオン吸蔵能よりも先に小さい値を示す。
本発明によれば、充電時に、負極となる側の集電体にリチウムイオンが吸蔵されることを防止することができる。これにより、充放電に利用できるリチウムイオン量の減少を抑制し、充放電容量の低下を防止することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る双極型リチウムイオン二次電池用集電体を用いた、リチウムイオン二次電池用双極型電極の全体構造を模式的に表した断面図である。 本発明の一実施形態に係る双極型リチウムイオン二次電池用集電体を模式的に表した断面概略図である。 本発明の他の一実施形態に係る双極型リチウムイオン二次電池用集電体を模式的に表した断面概略図である。 本発明の他の一実施形態に係る双極型リチウムイオン二次電池用集電体を模式的に表した断面概略図である。 本発明の一実施形態である双極型リチウムイオン二次電池を模式的に表した断面概略図である。 本発明の一実施形態である組電池を模式的に表した外観図であって、図6Aは組電池の平面図であり、図6Bは組電池の正面図であり、図6Cは組電池の側面図である。 本発明の双極型リチウムイオン二次電池または組電池を搭載した車両の概念図である。
以下、本発明の好ましい形態を説明する。本形態は、高分子材料からなる基材に、リチウムイオン吸蔵能を有する導電性フィラーが添加されてなる、導電性を有する樹脂層を含む双極型リチウムイオン二次電池用集電体に関する。そして、該集電体において、一方の面の表面から厚み方向に向かって、ある深さでのリチウムイオン吸蔵能と、他方の面の表面から厚み方向に向かって、該深さでのリチウムイオン吸蔵能とを、集電体表面から1/2厚みまで順次比較した場合に、該他方の面側のリチウムイオン吸蔵能が、該一方の面側のリチウムイオン吸蔵能よりも先に小さい値を示す。
以下、図面を参照しながら、本形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみに制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。なお、以下では、リチウムイオンを、「Li」と表す場合がある。また、導電性を有する樹脂層を、単に「樹脂層」と、双極型リチウムイオン二次電池用集電体を、単に「集電体」と、リチウムイオン二次電池用双極型電極を、単に「双極型電極」と、それぞれ称する場合がある。
<集電体、双極型電極>
図1は、本発明の一実施形態に係る双極型リチウムイオン二次電池用集電体を用いた、リチウムイオン二次電池用双極型電極の全体構造を模式的に表した断面図である。図1に示す本実施形態の双極型電極1は、集電体3の一方の面に正極活物質層5が形成され、他方の面に負極活物質層7が形成された積層構造を有する。集電体3は、ポリプロピレンにアセチレンブラック(図示せず)が添加された、導電性を有する樹脂から形成されている。また、正極活物質層5には正極活物質としてLiNiO(図示せず)が使用され、負極活物質層7には負極活物質としてはハードカーボン(図示せず)が使用されている。
集電体3は、面方向の面積がA[cm]、積層方向の厚みがT[μm]のフィルム状形態を有する。なお、本明細書においては、図1の集電体3で例示するところの、正極活物質層5と接する側の表面を「正極側表面」と、負極活物質層7と接する側の表面を「負極側表面」と、それぞれ称する。また、正極側表面からT/2[μm](1/2厚み)までの部分を「正極側部分」(3a)と、負極側表面からT/2[μm](1/2厚み)までの部分を「負極側部分」(3b)と、それぞれ称する。図1の形態においては、集電体3は、正極側部分3aを構成するフィルムおよび負極側部分3bを構成するフィルムの、2種類のフィルムが互いに熱融着されてなる。正極側部分3aおよび負極側部分3bのフィルムは、それぞれポリプロピレンにアセチレンブラックが均一に分散されているが、フィルムに含まれるアセチレンブラックの濃度は、負極側部分3bの方が正極側部分3aよりも低くなっている。
図1において、集電体3の正極側表面から深さt[μm]におけるLi吸蔵能とは、すなわち、深さt[μm]で集電体を面方向に切断した際の断面におけるLi吸蔵能である。ただし、本明細書において「Li吸蔵能」とは、樹脂や導電性フィラーの、単位体積または単位質量あたりのLi吸蔵容量で定義されるため、体積や質量が存在しない「面におけるLi吸蔵能」とは、理論上の概念である。
ここで、面におけるLi吸蔵能を定義するために、この面に微小厚みΔt[μm]を乗じて微小体積とすることを考える。図1においては、正極側の深さt[μm]の位置から中央部に向かって微小厚みΔt[μm]の微小体積9a部分が上述の面に相当すると仮定する。なお、集電体の面方向の面積がA[cm]であるため、微小体積9aの体積はA・Δt・10−4[cm]で表される。なお、負極側の微小体積9bについても同様である。
次に、微小体積9aにおけるLi吸蔵能について考える。樹脂のLi吸蔵能は、単位体積あたりの樹脂のLi吸蔵容量で定義される。図1の形態において、樹脂の基材であるポリプロピレンのLi吸蔵容量はゼロであるため、単位体積あたりの樹脂のLi吸蔵容量は、単位体積の樹脂に含まれる導電性フィラーのLi吸蔵容量と等しくなる。ここで、単位体積あたりの樹脂に含まれる導電性フィラーの濃度をC[g/cm]、単位質量あたりの導電性フィラーのLi吸蔵能をS[Ah/g]とする。すると、単位体積あたりの樹脂のLi吸蔵能は、C・S[Ah/cm]で与えられる。よって、微小体積9aの樹脂のLi吸蔵容量は(C・S)×(A・Δt・10−4)[Ah]となる。上述のように、微小体積9aは、面に相当すると仮定したため、「面におけるLi吸蔵能」は「微小体積9aのLi吸蔵容量」(C・S)×(A・Δt・10−4)[Ah]で定義されることになる。
図1の形態においては、上述のように、集電体3を構成するフィルムに含まれているアセチレンブラックは、正極側部分3a、負極側部分3bにおいて各々均一に分散されている。よって、ある深さの断面におけるLi吸蔵能を、正極側と負極側とで比較する際には、正極側部分3aおよび負極側部分3bを構成する樹脂の、単位体積あたりのLi吸蔵能(C・S)[Ah/cm]を比較すればよい。本形態においては、集電体の面方向の面積はA[cm]で一定であるため、微小体積9aおよび9bは等しくなるからである。また、本形態のように、正極側部分3aおよび負極側部分3bを構成する樹脂が同一である場合は、樹脂の単位質量あたりのLi吸蔵能(C・S)[Ah/g]を比較してもよい。しかしながら、集電体の面方向の面積が、正極側および負極側で異なる場合には、微小体積9aおよび9bの値も考慮しなくてはならないことは当然のことである。また、もしも、集電体3にアセチレンブラックが不均一に添加されている場合は、微小体積9aおよび9b(A・Δt・10−4[cm])に含まれる導電性フィラーのLi吸蔵容量を実際に測定することによって、「面におけるLi吸蔵能」を求めることができる。以下、本形態の集電体および双極型電極の主な構成要素について説明する。
[集電体]
集電体は、正極活物質層が形成される一方の面から、負極活物質層が形成される他方の面へと電子の移動を媒介する機能を有する。本形態に係る集電体は、導電性を有する樹脂層を必須に含み、必要に応じてその他の層をさらに含みうる。
導電性を有する樹脂層は、本形態の集電体に必須の構成要素であり、電子移動媒体としての機能を有することは勿論のこと、集電体の軽量化に寄与しうる。該樹脂層は、高分子材料からなる基材、導電性フィラー、および必要によりその他の部材を含みうる。
基材に使用される樹脂は、特に制限はなく、従来公知の非導電性高分子材料または導電性高分子材料を制限なく使用することができる。好ましい非導電性高分子材料としては、例えば、ポリエチレン(PE;高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、およびポリスチレン(PS)などが挙げられる。かような非導電性高分子材料は、優れた耐電位性または耐溶媒性を有しうる。また、好ましい導電性高分子材料としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、およびポリオキサジアゾールなどが挙げられる。かような導電性高分子材料は、導電性フィラーを添加しなくても十分な導電性を有するため、製造工程の容易化または集電体の軽量化の点において有利である。これらの非導電性高分子材料または導電性高分子材料は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて混合物として使用しても構わない。
基材には、Li吸蔵能を有する導電性フィラーが添加される。Li吸蔵能を有する導電性フィラーとしては、特に制限はないが、例えば、導電性カーボン、スズ(Sn)、およびチタン酸リチウム(LiTi12)などが挙げられる。導電性カーボンとしては、黒鉛、アセチレンブラック、バルカン、ブラックパール、カーボンナノファイバー、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、およびフラーレンからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。これらの導電性カーボンは、電位窓が非常に広く、正極電位および負極電位の双方に対して幅広い範囲で安定であり、さらに、優れた導電性を有する。なかでも、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、ケッチェンブラック、カーボンナノバルーン、およびフラーレンからなる群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。これらの導電性カーボンは中空構造を有するため、質量あたりの表面積が大きく、集電体をより一層軽量化することができる。なお、これらの金属および導電性カーボンなどの導電性フィラーは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
集電体を構成する基材には、上述のLi吸蔵能を有する導電性フィラーが少なくとも1種含まれている限りにおいては、導電性確保のために、その他のLiを吸蔵しない導電性フィラーが含まれていても勿論よい。Liを吸蔵しない導電性フィラーとしては、Ni、Al、Cu、Pt、Fe、Cr、Zn、In、Sb、およびKからなる群から選択される少なくとも1種の金属もしくはこれらの金属を含む合金または金属酸化物を含むことが好ましい。これらの金属は、集電体表面に形成される正極または負極の電位に対して耐性を有する。例えば、Alは正極電位に対して、Ni、Cuは負極電位に対して、Ptは両極の電位に対して耐性を有する。これらのうち、Ni、Al、Cu、Pt、Fe、およびCrからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含む合金であることがより好ましい。合金としては、具体的には、ステンレス鋼(SUS)、インコネル(登録商標)、ハステロイ(登録商標)、およびその他Fe−Cr系合金、Ni−Cr合金等が挙げられる。これらの合金を用いることにより、より高い耐電位性が得られうる。
導電性フィラーの形状は、特に制限はなく、粒状、繊維状、板状、塊状、布状、およびメッシュ状などの公知の形状を適宜選択することができる。例えば、樹脂に対して広範囲に亘って導電性を付与したい場合は、粒状の導電性フィラーを使用することが好ましい。一方、樹脂において特定方向への導電性をより向上させたい場合は、繊維状等の形状に一定の方向性を有するような導電性フィラーを使用することが好ましい。
導電性フィラーの大きさは、特に制限はなく、樹脂層の大きさや厚さまたは導電性フィラーの形状によって、様々な大きさのフィラーを使用することができる。一例として、導電性フィラーが粒状の場合の平均粒子径は、樹脂層の成形を容易にする観点から、0.1〜10μm程度であることが好ましい。なお、本明細書中において、「粒子径」とは、導電性フィラーの輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。後述する活物質などの粒子径や平均粒子径も同様に定義することができる。
樹脂層に含まれる導電性フィラーの含有量も特に制限はない。特に、樹脂が導電性高分子材料を含み、十分な導電性が確保できる場合は、導電性フィラーを必ずしも添加する必要はない。しかしながら、樹脂が非導電性高分子材料のみからなる場合は、導電性を付与するために導電性フィラーの添加が必須となる。この際の導電性フィラーの含有量は、非導電性高分子材料の全質量に対して、好ましくは5〜35質量%であり、より好ましくは5〜25質量%であり、さらに好ましくは5〜15質量%である。かような量の導電性フィラーを樹脂に添加することにより、樹脂層の質量増加を抑制しつつ、非導電性高分子材料にも十分な導電性を付与することができる。
樹脂層中の導電性フィラーの分散の形態は特に制限はなく、基材である樹脂中に均一に分散されている形態であってもよいし、部分的に局在して分散されていても勿論よい。また、本形態においては、樹脂層の厚み方向に対して、Li吸蔵能を有する導電性フィラーを濃度勾配をつけて添加した形態も好ましい。
集電体の形態は、導電性を有する樹脂層を含むものであれば特に制限はなく、様々な形態を取りうる。例えば、集電体の形態は、樹脂層のほかに必要に応じてその他の層を含む積層体であってもよい。樹脂層以外のその他の層としては、金属層または接着層などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。例えば、1つの導電性を有する樹脂層が単独で集電体を形成してもよいし、2つ以上の導電性を有する樹脂層が積層された形態であってもよい。かように樹脂層を複数積層することによって、もしも各樹脂層で微小なピンホール(クラック)が生じた場合であっても、クラックの位置が一致しないため、液絡を防止することができる。このように複数の樹脂層を積層する場合は、これらの樹脂層を熱融着によって接着することができる。また、樹脂層以外にも、アルミニウム、ニッケル、もしくは銅などの金属、またはこれらの合金等を含む金属層を樹脂層の間に有してもよい。かような金属層を含むことにより、樹脂層内のイオン透過による双極型電極内の正極活物質層と負極活物質層との間の液絡を防ぐことができ、寿命特性が向上した長期信頼性に優れた双極型二次電池を構築できる。なお、樹脂層と金属層とを積層する方法としては、樹脂層に金属蒸着(メッキ、スパッタ)する方法、金属箔上に樹脂を融着する方法などが挙げられる。また、集電体が2つ以上の樹脂層または金属層が積層されてなる場合、層の境界面での接触抵抗を低減したり、接着面の剥離を防いだりする観点から、2つの層は接着層を介して接着されてもよい。かような接着層に使用される材料としては、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化チタンなどを含む金属酸化物系の導電性ペースト;カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイトなどを含むカーボン系の導電性ペーストが好ましく使用される。
集電体の厚さは、軽量化により電池の出力密度を高める上では、薄い方が好ましい。双極型二次電池においては、双極型電極の正極活物質層と負極活物質層の間に存在する集電体は積層方向に水平な方向の電気抵抗が高くてもよいため、集電体の厚さを薄くすることが可能である。具体的には、集電体の厚さは、1〜200μmであることが好ましく、5〜150μmであることがより好ましく、10〜100μmであることがさらに好ましい。かような厚さを有することによって、出力特性に優れ、長期信頼性に優れた電池を構築できる。
また、集電体の厚み方向(積層方向)の体積抵抗率は、10Ω以下とすることが好ましく、10〜10−5Ω・cmとすることがより好ましい。かような体積抵抗率となるように、樹脂に含まれる導電性フィラーの種類や量、分散形態を適宜設定することが望ましい。なお、本明細書において、厚み方向の体積抵抗率は、電気抵抗測定器A(株式会社井元製作所製:製品仕様;測定対象:導電性高分子・ゴム、測定電極:Ф20mm・Ф10mm、電極荷重:1、2、3、4、5kg、電極材質:銅・試料接面金メッキ、厚さ計:デジタルゲージ、手動荷重:レバ操作により任意荷重印加可能)を用いて計測した値を採用する。ただし、上記の測定装置によらなくとも、市販の測定装置を用いて同様に測定することができる。
本形態に係る集電体は、正極側表面からある深さでの正極側のLi吸蔵能と、負極側表面から該深さでの負極側のLi吸蔵能とを、集電体表面から1/2厚みまで順次比較した場合に、負極側のLi吸蔵能が、正極側のLi吸蔵能よりも先に小さい値を示すことを特徴とする。上述の図1のとおり、「正極側表面からある深さでの正極側のLi吸蔵能」とは、正極側表面からある深さにおいて、集電体を面方向に切断した際の断面(面)におけるLi吸蔵能を意味する(負極側についても同様である)。「断面(面)におけるLi吸蔵能」とは、上述の図1で具体的に説明したが、該断面から集電体の中央部分に向かって微小厚み分の、「微小体積におけるLi吸蔵容量[Ah]」を意味する。
上記「微小体積におけるLi吸蔵容量」とは、該微小体積に含まれるLi吸蔵能を有する材料が持つ、Li吸蔵容量を意味する。微小体積にLi吸蔵能を有する材料が2種以上含まれる場合には、各々の材料が持つLi吸蔵容量の総和となる。すなわち、各々の材料が有するLi吸蔵能[Ah/g]と、各材料の質量[g]との積の総和である。Li吸蔵能を有する材料としては、特に制限はなく、上述のLi吸蔵能を有する導電性フィラー以外にも、上述の接着層を構成する材料や、ケイ素(Si)、ケイ素酸化物(SiOx)、リチウム金属などを含む材料が挙げられる。
Li吸蔵能を有する材料のLi吸蔵容量[Ah]は、各材料が有する単位質量あたりのLi吸蔵能[Ah/g]と、その材料の質量[g]とを乗じた値で求められる。各材料が有する単位質量あたりのLi吸蔵能[Ah/g]は、従来公知の方法で求めることができる。例えば、Cu箔からなる集電体に、Li吸蔵能を有する材料を含む負極活物質層を形成した負極を作製する。そして、リチウム金属を正極とした電池を作製し、低レート(1C以下)にて充電した際の充電容量[Ah]を測定する。この充電容量を、使用したLi吸蔵能を有する材料の質量[g]で割った値が、その材料のLi吸蔵能[Ah/g]となる。
なお、本形態に係る集電体では、Li吸蔵能を比較する「ある深さ」に位置する層が、Li吸蔵能を有する導電性フィラーが添加された導電性を有する樹脂層以外の層である場合もある。例えば、導電性高分子材料のみからなる層、金属層、接着層などである。これらの場合であっても、上述の定義に従って「ある深さでのLi吸蔵能」を測定することが可能である。
本形態に係るLi吸蔵能の要件を満たす、好ましい集電体の形態について説明する。しかしながら、本形態の集電体は、以下の形態のみに制限されるものではない。図2は、本発明の一実施形態に係る集電体の全体構造を模式的に表した断面図である。図2に示すように、本実施形態では、集電体3は、体積が等しい2枚の導電性を有する樹脂層が積層されてなる。集電体の一方の面の表面から1/2厚みまでの正極側部分3aを構成する導電性を有する樹脂層には、Li吸蔵能を有する導電性フィラーAが均一に分散されている。一方、集電体の他方の面の表面から1/2厚みまでの負極側部分3bを構成する導電性を有する樹脂層には、Li吸蔵能を有する導電性フィラーBが均一に分散されている。図2の形態では、正極側部分の導電性を有する樹脂層に含まれる導電性フィラーAの含有量[g]と、負極側部分の導電性を有する樹脂層に含まれる導電性フィラーBの含有量[g]とは、等しくなっている。しかしながら、導電性フィラーBのLi吸蔵能[Ah/g]が、導電性フィラーAのLi吸蔵[Ah/g]よりも小さいため、負極側部分は、正極側部分よりも、表面から1/2厚みまでのいずれの深さにおいても、Li吸蔵能(微小体積における導電性フィラーのLi吸蔵容量[Ah/g])が小さくなっている。このように、リチウムイオン吸蔵能の異なる2種の導電性フィラーを使用することによって容易に本形態の集電体を作製することができる。また、負極側部分に含まれる導電性フィラーの含有量をある程度維持することができるため、負極側部分の体積抵抗率を抑えることが可能である。
また、他の集電体の形態としては、図3の形態が挙げられる。図3は、本発明の他の一実施形態に係る集電体の全体構造を模式的に表した断面図である。本実施形態では、集電体3は、1枚の導電性を有する樹脂層からなる。該樹脂層には、導電性フィラーCが正極が形成される一方の面の表面から負極が形成される他方の面の表面にかけて、だんだんと少なくなっていくように、濃度勾配をつけて分散されている。よって、該他方の面の表面から1/2厚みまでの負極側部分3bは、該一方の面の表面から1/2厚みまでの正極側部分3aよりも、Li吸蔵能(微小体積における導電性フィラーのLi吸蔵容量[Ah/g])が小さくなっている。この際の、負極側の樹脂層の厚み方向の体積抵抗率は、10−1〜10Ω・cm程度とすることが好ましい。本形態の集電体は、負極活物質層に使用する材料として、導電性の高い活物質等を用いた場合に好適である。かような形態の集電体は、コスト面や軽量化の観点から好ましい。また、1種類の導電性フィラーを使用することから、複数の樹脂層を積層させることにより生じる界面や、導電性フィラーどうしの界面が形成されることがないために、厚み方向の体積抵抗率を低減することができる。なお、導電性フィラーCが異なる濃度で、それぞれ均一に分散された2枚の樹脂層を積層させることによっても、本形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、他の形態としては、図4の形態が挙げられる。図4は、本発明の他の一実施形態に係る集電体の全体構造を模式的に表した断面図である。図4の形態は、上記図3の負極側部分3bを構成する導電性を有する樹脂層に、さらに導電性フィラーDが添加された形態である。該導電性フィラーDのLi吸蔵能は、導電性フィラーCのリチウム吸蔵能よりも小さく、かつ、負極側の樹脂層は正極側よりもLi吸蔵能[Ah/cm]が小さくなっている。なお、負極側の樹脂層のLi吸蔵容量は、微小体積の樹脂に含まれる導電性フィラーCおよびDの、各々のLi吸蔵能[Ah/g]と含有量「g」との積の総和で求められる。本形態は、濃度勾配をつけて導電性フィラーを添加した結果、負極側の体積抵抗率が高くなってしまう場合に特に効果的であり、所望の範囲まで体積抵抗率を低減し、出力を確保することができる。この際の、負極側の樹脂層の厚み方向の体積抵抗率は、10−1〜10Ω・cm程度とすることが好ましい。なお、2枚の樹脂層に導電性フィラーCを異なる濃度で、それぞれ均一に分散し、導電性フィラーCの濃度が低い樹脂層にさらに導電性フィラーDを均一に添加する。そして、これらの樹脂層2枚を積層させることによっても、本形態と同様の効果を得ることができる。
図4の形態において、導電性フィラーCとしては、導電性に優れた黒鉛を使用することが好ましい。また、この際の導電性フィラーDとしては、導電性フィラーCよりもLi吸蔵能の小さい、ケッチェンブラック、カーボンブラック、カーボン繊維、または、金属、合金、および金属酸化物からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。このうち、より好ましくは、金属、合金、および金属酸化物からなる群から選択される少なくとも1種を含む。かような導電性フィラーCとしては、金属を被覆したカーボン材料なども勿論含まれる。これらの導電性フィラーは、分散性が良好なため、集電体の生産性を向上させることができる。
[正極活物質層]
正極活物質層は正極活物質を含む。正極活物質は、放電時にイオンを吸蔵し、充電時にイオンを放出する組成を有する。好ましい一例としては、遷移金属とリチウムとの複合酸化物であるリチウム−遷移金属複合酸化物が挙げられる。具体的には、LiCoOなどのLi・Co系複合酸化物、LiNiOなどのLi・Ni系複合酸化物、スピネルLiMnなどのLi・Mn系複合酸化物、LiFeOなどのLi・Fe系複合酸化物およびこれらの遷移金属の一部を他の元素により置換したものなどが使用できる。これらリチウム−遷移金属複合酸化物は、反応性、サイクル特性に優れ、低コストな材料である。そのためこれらの材料を電極に用いることにより、出力特性に優れた電池を形成することが可能である。この他、前記正極活物質としては、LiFePOなどの遷移金属とリチウムのリン酸化合物や硫酸化合物;V、MnO、TiS、MoS、MoOなどの遷移金属酸化物や硫化物;PbO、AgO、NiOOHなど、を用いることもできる。上記正極活物質は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
正極活物質の平均粒子径は、特に制限されないが、正極活物質の高容量化、反応性、サイクル耐久性の観点からは、好ましくは1〜100μm、より好ましくは1〜20μmである。このような範囲であれば、二次電池は、高出力条件下での充放電時における電池の内部抵抗の増大が抑制され、充分な電流を取り出しうる。なお、正極活物質が2次粒子である場合には該2次粒子を構成する1次粒子の平均粒子径が10nm〜1μmの範囲であるのが望ましいといえるが、本発明では、必ずしも上記範囲に制限されるものではない。ただし、製造方法にもよるが、正極活物質が凝集、塊状などにより2次粒子化したものでなくても良いことはいうまでもない。かかる正極活物質の粒径および1次粒子の粒径は、レーザー回折法を用いて得られたメディアン径使用できる。なお、正極活物質の形状は、その種類や製造方法等によって取り得る形状が異なり、例えば、球状(粉末状)、板状、針状、柱状、角状などが挙げられるがこれらに限定されるものではなく、いずれの形状であれ問題なく使用できる。好ましくは、充放電特性などの電池特性を向上し得る最適の形状を適宜選択するのが望ましい。
[負極活物質層]
負極活物質層は負極活物質を含む。負極活物質は、放電時にイオンを放出し、充電時にイオンを吸蔵できる組成を有する。負極活物質は、リチウムを可逆的に吸蔵および放出できるものであれば特に制限されないが、負極活物質の例としては、SiやSnなどの金属、あるいはTiO、Ti、TiO、もしくはSiO、SiO、SnOなどの金属酸化物、Li4/3Ti5/3もしくはLiMnNなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物、Li−Pb系合金、Li−Al系合金、Li、または天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー、コークス、ソフトカーボン、もしくはハードカーボンなどの炭素材料などが好ましく挙げられる。また、負極活物質は、リチウムと合金化する元素を含むことが好ましい。リチウムと合金化する元素を用いることにより、従来の炭素系材料に比べて高いエネルギー密度を有する高容量および優れた出力特性の電池を得ることが可能となる。上記負極活物質は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
上記のリチウムと合金化する元素としては、以下に制限されることはないが、具体的には、Si、Ge、Sn、Pb、Al、In、Zn、H、Ca、Sr、Ba、Ru、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Au、Cd、Hg、Ga、Tl、C、N、Sb、Bi、O、S、Se、Te、Cl等が挙げられる。これらの中でも、容量およびエネルギー密度に優れた電池を構成できる観点から、炭素材料、ならびに/またはSi、Ge、Sn、Pb、Al、In、およびZnからなる群より選択される少なくとも1種以上の元素を含むことが好ましく、炭素材料、Si、またはSnの元素を含むことが特に好ましい。これらは1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。
負極活物質の平均粒子径は、特に制限されないが、負極活物質の高容量化、反応性、サイクル耐久性の観点からは、好ましくは1〜100μm、より好ましくは1〜20μmである。このような範囲であれば、二次電池は、高出力条件下での充放電時における電池の内部抵抗の増大が抑制され、充分な電流を取り出しうる。なお、負極活物質が2次粒子である場合には該2次粒子を構成する1次粒子の平均粒子径が10nm〜1μmの範囲であるのが望ましいといえるが、本発明では、必ずしも上記範囲に制限されるものではない。ただし、製造方法にもよるが、負極活物質が凝集、塊状などにより2次粒子化したものでなくても良いことはいうまでもない。かかる負極活物質の粒径および1次粒子の粒径は、レーザー回折法を用いて得られたメディアン径使用できる。なお、負極活物質の形状は、その種類や製造方法等によって取り得る形状が異なり、例えば、球状(粉末状)、板状、針状、柱状、角状などが挙げられるがこれらに限定されるものではなく、いずれの形状であれ問題なく使用できる。好ましくは、充放電特性などの電池特性を向上し得る最適の形状を適宜選択するのが望ましい。
活物質層には、必要であれば、その他の物質が含まれてもよい。例えば、導電助剤、バインダ等が含まれうる。また、イオン伝導性ポリマーが含まれる場合には、前記ポリマーを重合させるための重合開始剤が含まれてもよい。
導電助剤とは、活物質層の導電性を向上させるために配合される添加物をいう。導電助剤としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、グラファイト等のカーボン粉末や、気相成長炭素繊維(VGCF;登録商標)等の種々の炭素繊維、膨張黒鉛などが挙げられる。しかし、導電助剤がこれらに限定されないことはいうまでもない。
バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリイミド、PTFE、SBR、合成ゴム系バインダ等が挙げられる。しかし、バインダがこれらに限定されないことはいうまでもない。また、バインダとゲル電解質として用いるマトリックスポリマーとが同じ場合には、バインダを使用する必要はない。
活物質層に含まれる成分の配合比は、特に限定されない。配合比は、リチウムイオン二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整されうる。活物質層の厚さについても特に制限はなく、リチウムイオン二次電池についての従来公知の知見が適宜参照されうる。一例を挙げると、活物質層の厚さは、好ましくは10〜100μm程度であり、より好ましくは20〜50μmである。活物質層が10μm程度以上であれば、電池容量が充分に確保されうる。一方、活物質層が100μm程度以下であれば、電極深部(集電体側)にLiが拡散しにくくなることに伴う内部抵抗の増大という問題の発生が抑制されうる。
集電体表面上への正極活物質層(または負極活物質層)の形成方法は、特に制限されず、公知の方法が同様にして使用できる。例えば、上記したように、正極活物質(または負極活物質)、ならびに必要であれば、イオン伝導性を高めるための電解質塩、電子伝導性を高めるための導電助剤、およびバインダを、適当な溶剤に分散、溶解などして、正極活物質スラリー(または負極活物質スラリー)を調製する。これを集電体上に塗布、乾燥して溶剤を除去した後、プレスすることによって、正極活物質層(または負極活物質層)が集電体上に形成される。この際、溶剤としては、特に制限されないが、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルホルムアミド、シクロヘキサン、ヘキサン、水などが用いられうる。バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を採用する場合には、NMPを溶媒として用いるとよい。
上記方法において、正極活物質スラリー(または負極活物質スラリー)を集電体上に塗布・乾燥した後、プレスする。この際、プレス条件を調節することにより、正極活物質層(または負極活物質層)の空隙率が制御されうる。
プレス処理の具体的な手段やプレス条件は特に制限されず、プレス処理後の正極活物質層(または負極活物質層)の空隙率が所望の値となるように、適宜調節されうる。プレス処理の具体的な形態としては、例えば、ホットプレス機やカレンダーロールプレス機などが挙げられる。また、プレス条件(温度、圧力など)も特に制限されず、従来公知の知見が適宜参照されうる。
<双極型二次電池>
図5は、本発明の一実施形態である双極型二次電池の全体構造を模式的に表した断面図である。図5に示す本実施形態の双極型二次電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素21が、電池外装材であるラミネートフィルム29の内部に封止された構造を有する。
図5に示すように、本実施形態の双極型二次電池10の発電要素21は、集電体11の一方の面に電気的に結合した正極活物質層13が形成され、集電体11の反対側の面に電気的に結合した負極活物質層15が形成された複数の双極型電極23を有する。各双極型電極23は、電解質層17を介して積層されて発電要素21を形成する。なお、電解質層17は、基材としてのセパレータの面方向中央部に電解質が保持されてなる構成を有する。この際、一の双極型電極23の正極活物質層13と前記一の双極型電極23に隣接する他の双極型電極23の負極活物質層15とが電解質層17を介して向き合うように、各双極型電極23および電解質層17が交互に積層されている。すなわち、一の双極型電極23の正極活物質層13と前記一の双極型電極23に隣接する他の双極型電極23の負極活物質層15との間に電解質層17が挟まれて配置されている。
隣接する正極活物質層13、電解質層17、および負極活物質層15は、一つの単電池層19を構成する。したがって、双極型二次電池10は、単電池層19が積層されてなる構成を有するともいえる。また、電解質層17からの電解液の漏れによる液絡を防止する目的で、単電池層19の外周部にはシール部(絶縁層)31が配置されている。なお、発電要素21の最外層に位置する正極側の最外層集電体11aには、片面のみに正極活物質層13が形成されている。また、発電要素21の最外層に位置する負極側の最外層集電体11bには、片面のみに負極活物質層15が形成されている。ただし、正極側の最外層集電体11aの両面に正極活物質層13が形成されてもよい。同様に、負極側の最外層集電体11bの両面に負極活物質層15が形成されてもよい。
さらに、図5に示す双極型二次電池10では、正極側の最外層集電体11aに隣接するように正極集電板25が配置され、これが延長されて電池外装材であるラミネートフィルム29から導出している。一方、負極側の最外層集電体11bに隣接するように負極集電板27が配置され、同様にこれが延長されて電池の外装であるラミネートフィルム29から導出している。
図5に示す双極型二次電池10においては、通常、各単電池層19の周囲にシール部31が設けられる。このシール部31は、電池内で隣り合う集電体11どうしが接触したり、発電要素21における単電池層19の端部の僅かな不揃いなどに起因する短絡が起こったりするのを防止する目的で設けられる。かようなシール部31の設置により、長期間の信頼性および安全性が確保され、高品質の双極型二次電池10が提供されうる。
なお、単電池層19の積層回数は、所望する電圧に応じて調節する。また、双極型二次電池10では、電池の厚みを極力薄くしても十分な出力が確保できれば、単電池層19の積層回数を少なくしてもよい。双極型二次電池10でも、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、発電要素21を電池外装材であるラミネートフィルム29に減圧封入し、正極集電板25および負極集電板27をラミネートフィルム29の外部に取り出した構造とするのがよい。以下、本形態の双極型二次電池の主な構成要素について説明する。
[電解質層]
電解質層を構成する電解質に特に制限はなく、液体電解質、ならびに高分子ゲル電解質および高分子固体電解質等のポリマー電解質を適宜用いることができる。
液体電解質は、溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解したものである。溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、プロピオン酸メチル(MP)、酢酸メチル(MA)、ギ酸メチル(MF)、4−メチルジオキソラン(4MeDOL)、ジオキソラン(DOL)、2−メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン(DME)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、およびγ−ブチロラクトン(GBL)などが挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせた混合物として使用してもよい。
また、支持塩(リチウム塩)としては、特に制限はないが、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiSbF、LiAlCl、Li10Cl10、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF、LiSCN等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、LiBOB(リチウムビスオキサイドボレート)、LiBETI(リチウムビス(パーフルオロエチレンスルホニルイミド);Li(CSONとも記載)等の有機酸陰イオン塩などが挙げられる。これらの電解質塩は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
一方、ポリマー電解質は、電解液を含むゲル電解質と、電解液を含まない高分子固体電解質に分類される。ゲル電解質は、Li伝導性を有するマトリックスポリマーに、上記の液体電解質が注入されてなる構成を有する。Li伝導性を有するマトリックスポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PEO)、ポリプロピレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリル酸エステル、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(PVdF−HFP)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ(メチルアクリレート)(PMA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)などが挙げられる。また、上記のポリマー等の混合物、変成体、誘導体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体なども使用できる。これらのうち、PEO、PPOおよびそれらの共重合体、PVdF、PVdF−HFPを用いることが望ましい。かようなマトリックスポリマーには、リチウム塩等の電解質塩がよく溶解しうる。
なお、電解質層が液体電解質やゲル電解質から構成される場合には、電解質層にセパレータを用いてもよい。セパレータの具体的な形態としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンといったポリオレフィンやポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)等の炭化水素、ガラス繊維などからなる微多孔膜が挙げられる。
高分子固体電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、可塑剤である有機溶媒を含まない。したがって、電解質層が高分子固体電解質から構成される場合には電池からの液漏れの心配がなく、電池の信頼性が向上しうる。
高分子ゲル電解質や高分子固体電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発揮しうる。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(例えば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合などの重合処理を施せばよい。なお、上記電解質は、電極の活物質層中に含まれていてもよい。
[シール部]
シール部(絶縁層)は、集電体同士の接触や単電池層の端部における短絡を防止する機能を有する。シール部を構成する材料としては、絶縁性、固体電解質の脱落に対するシール性や外部からの水分の透湿に対するシール性(密封性)、電池動作温度下での耐熱性等を有するものであればよい。例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、ゴム等が用いられうる。なかでも、耐蝕性、耐薬品性、作り易さ(製膜性)、経済性等の観点から、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂が、絶縁層の構成材料として好ましく用いられる。
[電池外装材]
電池外装材としては、従来公知の金属缶ケースを用いることができるほか、発電要素を覆うことができる、アルミニウムを含むラミネートフィルムを用いた袋状のケースが用いられうる。該ラミネートフィルムには、例えば、ポリプロピレン、アルミニウム、ナイロンをこの順に積層してなる3層構造のラミネートフィルム等を用いることができるが、これらに何ら制限されるものではない。本形態では、高出力化や冷却性能に優れ、EV、HEV用等の大型機器用電池に好適に利用することができるラミネートフィルムが望ましい。
<組電池>
本形態の複数の双極型二次電池を直列または並列に電気的に接続することによって組電池とすることができる。このように、複数の電池を直列または並列化することで容量および電圧を自由に調節することが可能になる。
図6は、本発明に係る組電池の代表的な実施形態の外観図であって、図6Aは組電池の平面図であり、図6Bは組電池の正面図であり、図6Cは組電池の側面図である。
図6に示すように、本形態に係る組電池300は、本形態の双極型二次電池が複数、直列にまたは並列に接続して装脱着可能な小型の組電池250を形成している。この装脱着可能な小型の組電池250をさらに複数、直列にまたは並列に接続して、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に適した大容量、大出力を持つ組電池300を形成することもできる。図6Aは、組電池の平面図、図6Aは正面図、図6Cは側面図を示しているが、作成した装脱着可能な小型の組電池250は、バスバーのような電気的な接続手段を用いて相互に接続し、この組電池250は接続治具310を用いて複数段積層される。何個の双極型二次電池を接続して組電池250を作製するか、また、何段の組電池250を積層して組電池300を作製するかは、搭載される車両(電気自動車)の電池容量や出力に応じて決めればよい。
<車両>
本形態の車両は、本形態のリチウムイオン電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池を搭載したことを特徴とするものである。本形態では、長期信頼性および出力特性に優れた高寿命の電池を構成できることから、こうした電池を搭載するとEV走行距離の長いプラグインハイブリッド電気自動車や、一充電走行距離の長い電気自動車を構成できる。言い換えれば、本形態のリチウムイオン電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池は、車両の駆動用電源として用いられうる。本形態のリチウムイオン電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池を車両、例えば、自動車ならばハイブリット車、燃料電池車、電気自動車(いずれも四輪車(乗用車、トラック、バスなどの商用車、軽自動車など)のほか、二輪車(バイク)や三輪車を含む)に用いることにより高寿命で信頼性の高い自動車となるからである。ただし、用途が自動車に限定されるわけではなく、例えば、他の車両、例えば、電車などの移動体の各種電源であっても適用は可能であるし、無停電電源装置などの載置用電源として利用することも可能である。
図7は、本形態の組電池を搭載した車両の概念図である。図7に示したように、組電池300を電気自動車400のような車両に搭載するには、電気自動車400の車体中央部の座席下に搭載する。座席下に搭載すれば、車内空間およびトランクルームを広く取ることができるからである。なお、組電池300を搭載する場所は、座席下に限らず、後部トランクルームの下部でもよいし、車両前方のエンジンルームでも良い。以上のような組電池300を用いた電気自動車400は高い耐久性を有し、長期間使用しても十分な出力を提供しうる。さらに、燃費、走行性能に優れた電気自動車、ハイブリッド自動車を提供できる。本形態の組電池を搭載した車両としては、図7に示すような電気自動車のほか、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車などに幅広く適用できるものである。
本発明の作用効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。以下では、導電性を有する樹脂層を含む集電体において、導電性フィラーの種類または濃度を、正極側および負極側で変化させた集電体を作成し、該集電体を用いた二次電池の充放電効率を評価した。
<集電体の作製>
[実施例1]
ポリプロピレン(PP)にグラファイト(Gr;Li吸蔵能290mAh/g)を樹脂の総質量に対して40質量%となるように混合した樹脂層A(厚さ50μm)と、PPにケッチェンブラック(KB;Li吸蔵能<50mAh/g)を8質量%となるように混合した樹脂層B(厚さ50μm)とを重ね合わせ、130℃で熱融着することによって集電体を作製した。得られた集電体の厚み方向の体積抵抗率は3×10−1Ω・cmであった。また、樹脂層A側を正極側、樹脂層B側を負極側として使用した。
[実施例2]
PPにGrを樹脂の総質量に対して40質量%となるように混合した樹脂層A(厚さ50μm)と、PPにGrを20質量%となるように混合した樹脂層B(厚さ50μm)とを重ね合わせ、130℃で熱融着することによって集電体を作製した。得られた集電体の厚み方向の体積抵抗率は2×10−1Ω・cmであった。また、樹脂層A側を正極側、樹脂層B側を負極側として使用した。
[実施例3]
PPにアセチレンブラック(AB;Li吸蔵能<50mAh/g)を樹脂の総質量に対して20質量%となるように混合した樹脂層A(厚さ30μm)と、PPにABを15質量%となるように混合した樹脂層B(厚さ40μm)と、PPにABを10質量%となるように混合した樹脂層C(厚さ30μm)と、を作製した。これらの樹脂層をABCの順に重ね合わせ、130℃で熱融着することによって集電体を作製した。得られた集電体の厚み方向の体積抵抗率は3×10−1Ω・cmであった。また、樹脂層A側を正極側、樹脂層C側を負極側として使用した。
[実施例4]
PPにKBを10質量%(対 樹脂質量)となるように混合した樹脂層A(厚さ30μm)と、PPにKBを8質量%(対 樹脂質量)となるように混合した樹脂層B(厚さ40μm)と、PPにKBを5質量%(対 樹脂質量)となるように混合した樹脂層C(厚さ30μm)と、を作製した。これらの樹脂層をABCの順に重ね合わせ、130℃で熱融着することによって集電体を作製した。得られた集電体の厚み方向の体積抵抗率は3×10−1Ω・cmであった。また、樹脂層A側を正極側、樹脂層C側を負極側として使用した。
[実施例5]
PPにGrを40質量%(対 樹脂質量)となるように混合した樹脂層A(厚さ30μm)と、PPにGrを30質量%(対 樹脂質量)となるように混合した樹脂層B(厚さ40μm)と、PPにGrを20質量%(対 樹脂質量)となるように混合した樹脂層C(厚さ20μm)と、PPにKBを5質量%(対 樹脂質量)となるように混合した樹脂層D(厚さ10μm)と、を作製した。これらの樹脂層をABCDの順に重ね合わせ、130℃で熱融着することによって集電体を作製した。得られた集電体の厚み方向の体積抵抗率は5×10−1Ω・cmであった。また、樹脂層A側を正極側、樹脂層D側を負極側として使用した。
[実施例6]
PPにGrを40質量%(対 樹脂質量)となるように混合した樹脂層A(厚さ30μm)と、PPにGrを30質量%(対 樹脂質量)となるように混合した樹脂層B(厚さ40μm)と、PPにGrを20質量%(対 樹脂質量)となるように混合した樹脂層C(厚さ20μm)と、PPに銅粉を8質量%(対 樹脂質量)となるように混合した樹脂層D(厚さ10μm)と、を作製した。これらの樹脂層をABCDの順に重ね合わせ、130℃で熱融着することによって集電体を作製した。得られた集電体の厚み方向の体積抵抗率は4×10−1Ω・cmであった。また、樹脂層A側を正極側、樹脂層D側を負極側として使用した。
[比較例1]
PPにGrを40質量%(対 樹脂質量)となるように混合した樹脂層(厚さ100μm)を作製し、これを集電体とした。得られた集電体の厚み方向の体積抵抗率は2×10−1Ω・cmであった。
[比較例2]
PPにABを15質量%(対 樹脂質量)となるように混合した樹脂層(厚さ100μm)を作製し、これを集電体とした。得られた集電体の厚み方向の体積抵抗率は3×10−1Ω・cmであった。
[比較例3]
PPにKBを8質量%(対 樹脂質量)となるように混合した樹脂層(厚さ100μm)を作製し、これを集電体とした。得られた集電体の厚み方向の体積抵抗率は3×10−1Ω・cmであった。
<双極型電極の作製>
正極活物質としてLiNiO90質量%、導電助剤としてAB 5質量%、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)5質量%、およびスラリー粘度調整溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)適量を混合し、正極活物質スラリーを調製した。
負極活物質としてハードカーボン85質量%、導電助剤としてAB 5質量%、バインダとしてPVDF10質量%、およびスラリー粘度調整溶媒としてNMP適量を混合し、負極活物質スラリーを調製した。
上記、正極活物質スラリーをAl箔に、負極活物質スラリーをCu箔に塗工(50×50(mm))し、それぞれを上記集電体(100×100(mm))上下に置いた。そして、ホットプレス機を用いて転写することにより(130℃、2MPa、3分保持、圧力解放後、プレス機から外し室温放冷、Al、Cu箔を剥離し)集電体の一方の面に正極活物質層を、他方の面に負極活物質層を形成した積層体を得た。これにより、各活物質層面が50×50(mm)であり、外縁から25mmの外周部の導電性を有する樹脂層が露出した双極型電極を得た。
<双極型二次電池の作製>
得られた双極型電極の、正極活物質層が形成された面の導電性を有する樹脂層露出部分(電極未塗布部分)の3辺に、シール用シートを配置した。次に、60×60(mm)のセパレータを負極活物質層が形成された側の双極型電極が全て覆われるように配置した。その後、電極未塗布部に対応するセパレータ上にシール用シートを配置し、その上から、双極型電極を正極面を重ねた。かようにして、双極型電極(正極活物質層・集電体・負極活物質層)・セパレータ・双極型電極(正極活物質層・集電体・負極活物質層)セパレータ・双極型電極(正極活物質層・集電体・負極活物質層)、の順番で、双極型電極3枚をセパレータを介して積層し、3辺を熱融着によりシールすることによって、単電池層が2つ積層された双極型二次電池構造体を作製した。
電解液として、プロピレンカーボネート(PC):エチレンカーボネート(EC)=1:1(体積比)の混合溶媒に、リチウム塩であるLiPFが1.0モル/リットルの濃度で溶解した溶液を準備した。そして、上記の双極型二次電池構造体のシールされていない残りの1辺から電解液を注入し、双極型電極間に配されたセパレータに保持させることにより、電解質層を形成した。そして、この残りの1辺にシール用シートを配して、真空チャンバー内で全体を真空にした状態で、熱融着によりシールすることによって、単電池層が封止された発電要素を形成した。該発電要素を電流取り出し用のアルミタブで挟み、外装材としてアルミラミネートフィルムを用いて真空密封することで、双極型二次電池を作成した。
<充放電効率の測定>
上記の方法で作製した各双極型二次電池について、25℃の雰囲気下、定電流定電圧方式(CCCV、電流:0.5C、セル電圧:4.2V)で3時間充電して、充電容量(mAh)を算出した。Cは時間率を示す。ここで、時間率1Cとは、電池の全容量を1時間で充電/放電させるだけの電流量をいう。例えば、0.5Cの電流とは、2時間(=1/0.5時間)で電池の全容量が充電/放電される電流量をいう。
その後、定電流(CC、電流:0.5C)でセル電圧2.5Vまで放電させ、放電容量(mAh)を算出した。これらの値から、充放電効率を(放電容量÷充電容量)として求めた。得られた充放電効率を、対比する各比較例の値で割ることによって、充放電効率比を算出した。結果を表1に示す。
表1の結果より、実施例1〜6は、比較例1〜3よりも充放電効率に優れることが示された。実施例1〜6では、正極側および負極側を構成する樹脂の高分子材料が同一であるため、樹脂のLi吸蔵能は、樹脂1gあたりのLi吸蔵能を算出することによって求められる。表1によると、正極側の方が負極側よりも、樹脂層1gあたりのLi吸蔵能が小さい。したがって、集電体へのLiの吸蔵が抑えられることにより、電池反応に使用される有効リチウム量が増え、充放電効率が向上したものと考えられた。
1、23 双極型電極、
3、11 集電体、
3a 正極側部分、
3b 負極側部分、
5、13 正極活物質層、
7、15 負極活物質層、
9a、9b 微小体積、
10 双極型二次電池、
11a 正極側の最外層集電体、
11b 負極側の最外層集電体、
17 電解質層、
19 単電池層、
21 発電要素、
25 正極集電板、
27 負極集電板、
29 ラミネートフィルム、
31 シール部、
250 小型の組電池、
300 組電池、
310 接続治具、
400 車両、
A、B、C、D 導電性フィラー、
t 表面からの深さ、
Δt 微小厚み、
T 集電体の厚み。

Claims (9)

  1. 高分子材料からなる基材に、リチウムイオン吸蔵能を有する導電性フィラーが添加されてなる、導電性を有する樹脂層を含む双極型リチウムイオン二次電池用集電体であって、
    前記集電体において、一方の面の表面から厚み方向に向かって、ある深さでのリチウムイオン吸蔵能と、他方の面の表面から厚み方向に向かって、該深さでのリチウムイオン吸蔵能とを、集電体表面から1/2厚みまで順次比較した場合に、
    前記他方の面側のリチウムイオン吸蔵能が、前記一方の面側のリチウムイオン吸蔵能よりも先に小さい値を示す、双極型リチウムイオン二次電池用集電体。
  2. 前記集電体の一方の面の表面から1/2厚みまでの部分が、導電性フィラーAが添加されてなる導電性を有する樹脂層を含み、
    前記集電体の他方の面の表面から1/2厚みまでの部分が、導電性フィラーBが添加されてなる導電性を有する樹脂層を含み、
    前記導電性フィラーBのリチウムイオン吸蔵能が、前記導電性フィラーAのリチウムイオン吸蔵能よりも小さい、請求項1に記載の双極型リチウムイオン二次電池用集電体。
  3. 前記一方の面の表面から1/2厚みまでの部分および前記他方の面の表面から1/2厚みまでの部分が、ともに導電性フィラーCが添加されてなる導電性を有する樹脂層を含み、
    前記他方の面の表面から1/2厚みまでの部分に位置する、導電性を有する樹脂層に含まれる導電性フィラーCの濃度が、前記一方の面の表面から1/2厚みまでの側部分に位置する、導電性を有する樹脂層に含まれる導電性フィラーCの濃度よりも小さい、請求項1に記載の双極型リチウムイオン二次電池用集電体。
  4. 前記他方の面の表面から1/2厚みまでの部分に位置する導電性を有する樹脂層が、導電性フィラーDをさらに含み、
    前記導電性フィラーDのリチウムイオン吸蔵能が、前記導電性フィラーCのリチウムイオン吸蔵能よりも小さい、請求項3に記載の双極型リチウムイオン二次電池用集電体。
  5. 前記導電性フィラーCが、黒鉛であり、
    前記導電性フィラーDが、ケッチェンブラック、または、金属、合金、および金属酸化物からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項4に記載の双極型リチウムイオン二次電池用集電体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の双極型リチウムイオン二次電池用集電体と、
    前記集電体の一方の面に形成された正極活物質層と、
    前記集電体の他方の面に形成された負極活物質層と、を有するリチウムイオン二次電池用双極型電極。
  7. 請求項6に記載のリチウムイオン二次電池用双極型電極と、
    電解質層と、が積層されてなる発電要素を有する、双極型リチウムイオン二次電池。
  8. 請求項7に記載の双極型リチウムイオン二次電池が、複数電気的に接続されてなる、組電池。
  9. 請求項7に記載の双極型リチウムイオン二次電池または請求項8に記載の組電池を、モータ駆動用電源として搭載した、車両。
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