JP2010218492A - 障害診断システム、障害診断装置および障害診断方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】障害診断装置5は、相違信号集合を算出する(S105)。障害診断装置5は、比較した結果、値が相違する信号値が空集合となる正常時の時系列データが少なくとも一つ存在した場合には、比較対象の異常時の時系列データは障害発生条件を含まないと判断し、後続の処理対象から外す。障害診断装置5は、最大充足可能性問題の形に定式化する(S106)。障害診断装置5は、障害発生条件を算出する(S107)。障害診断装置5は、S106にて定式化した最大充足可能性問題の解を算出し、算出された解を否定する論理式を制約条件として逐次追加して再度解を算出する処理を、解が存在しなくなるまで繰り返すことで、障害発生条件となる信号の値または信号の値の組み合わせを算出する。
【選択図】図4
Description
図1に示すように、障害診断システム1は、障害診断装置5、データログ取得装置7、障害検知装置9等から構成される。診断対象の車載システム3は、データログ取得装置7、障害検知装置9、複数のECU11等がCAN(Controller Area Network)などの車載ネットワーク13や無線通信などを介して接続されている。データログ取得装置7は、車載システム3に搭載されている。一方、障害診断装置5と障害検知装置9は、例えばコンピュータであって、車載システム3に搭載される必要はない。
障害検知装置9は、障害の発生を検知し、障害が発生したことをデータログ取得装置7に通知する。障害検知装置9は、例えば、車両に搭載されている各種のセンサから障害発生を示すダイアグ信号を受信すると、障害が発生したと判断する。また、車両の運転者が障害の発生を検知したときに、入力装置等によってその旨を入力するようにしても良い。
データログ取得装置7は、常にデータログを記録し、特定の期間は記録を残すようにしておく。そして、障害検知装置9から障害発生の通知を受けると、記録しているデータログの中から障害発生の通知を受けた前後のデータログは、異常時のデータログとして記録する。一方、正常時のデータログは、車両の実験走行時などに取得して記録する。正常時のデータログは、様々な走行環境で取得することが望ましい。
ECU11は、診断対象のシステムにおける各機能を実現する。
図2に示すように、障害診断装置5は、制御部21、記憶部22、メディア入出力部23、通信制御部24、入力部25、表示部26、周辺機器I/F部27等が、バス28を介して接続される。
ROMは、不揮発性メモリであり、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持している。
RAMは、揮発性メモリであり、記憶部22、ROM、記録媒体等からロードしたプログラム、データ等を一時的に保持するとともに、制御部21が各種処理を行う為に使用するワークエリアを備える。
これらの各プログラムコードは、制御部21により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて各種の手段として実行される。
通信制御部24は、通信制御装置、通信ポート等を有し、コンピュータとネットワーク29間の通信を媒介する通信インタフェースであり、ネットワーク29を介して、他のコンピュータ間との通信制御を行う。
入力部25を介して、コンピュータに対して、操作指示、動作指示、データ入力等を行うことができる。
表示部26は、CRTモニタ、液晶パネル等のディスプレイ装置、ディスプレイ装置と連携してコンピュータのビデオ機能を実現するための論理回路等(ビデオアダプタ等)を有する。
バス28は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
図3に示すように、データログ取得装置7は、制御部31、記憶部32、周辺機器I/F部33、通信インタフェース34等で構成される。
ROMは、不揮発性メモリであり、処理に必要なプログラム、データ等を恒久的に保持している。
RAMは、揮発性メモリであり、記憶部32、ROM等からロードしたプログラム、データ等を一時的に保持するとともに、制御部31が各種処理を行う為に使用するワークエリアを備える。
周辺機器I/F(インタフェース)部27は、データログ取得装置7に周辺機器を接続させるためのポートであり、周辺機器I/F部27を介してデータログ取得装置7は周辺機器とのデータの送受信を行う。周辺機器は、遠隔のコンピュータと無線で通信するための無線通信機器、コンピュータと有線で通信するための各種ケーブル等である。
通信インタフェース34は、データログ取得装置7と車載ネットワーク13間の通信を媒介する。
図4に示すように、データログ取得装置7は、正常時のデータログを取得する(S101)。正常時のデータログは、障害診断装置5に送信されて記憶部22に記憶される。
次に、障害診断装置5は、正常時の時系列データを生成する(S102)。
図5に示すように、例えば、No.が「X1」の正常時の時系列データは、信号1が「0」、信号2が「1」、信号3が「0」、信号4が「1」、信号5が「0」である。
次に、障害診断装置5は、異常時の時系列データを生成する(S104)。
図7に示すように、取得時刻が「t2」のデータは、取得時刻が「t1」のデータと比較して変化がない。そこで、図8に示すように、取得時刻が「t2」のデータは抽出しない。次に、取得時刻が「t3」のデータは、取得時刻が「t2」のデータと比較して信号1、信号5の値が変化している。そこで、図8に示すように、取得時刻が「t3」のデータを抽出する。同様に、取得時刻が「t5」と「t6」のデータは、それぞれ一時刻前のデータと信号の値が変化していることから抽出対象となる。
尚、データ容量を圧縮するためのデータの抽出は、一定時間間隔ごとに抽出するようにしても良い。
図9に示すように、障害診断装置5の制御部21は、正常時の時系列データXiの番号を示す添え字i、異常時の時系列データYjの番号を示す添え字jにそれぞれ1を代入する(S201)。
次に、制御部21は、正常時の時系列データXiと異常時の時系列データYjの相違を算出する(S202)。
No.が「Y1」の異常時の時系列データは、信号1が「1」、信号2が「3」、信号3が「1」、信号4が「0」、信号5が「1」である。No.が「X1」の正常時の時系列データは、信号1が「0」、信号2が「1」、信号3が「0」、信号4が「1」、信号5」が0である。これらを比較すると、全ての信号の値が相違することから、図10に示すように、No.が「D1」の相違信号集合は、{S1f、S2f、S3f、S4f、S5f}となる。ここで、S1fは障害発生時における信号1の値、この例ではY1の信号1の値を意味する。
図11に示す例では、相違信号集合が全て空集合ではない。この場合、S203の判定結果が常にYesとなり、添え字iについて最後の番号まで処理を行うと、S204の判定結果がYesとなり、制御部21は、S208に進む。このケースでは、異常時の時系列データYj(j=2)が正常時の時系列データXiとのいずれとも一致しないことを意味する。従って、j=2に対応する時刻には、障害が発生していると推定できる。
制御部21は、全ての相違信号集合を充足することを制約条件とし、各信号の値が障害発生条件の構成要素であることを否定する論理式に同じ重みを設定することで最大充足可能性問題の形に定式化する。
障害診断装置5の制御部21は、S105にて算出した相違信号集合から、最大充足可能性問題の制約条件となる論理式を導出する。例えば、制御部21は、図11に示すNo.が「D1」の相違信号集合{S2f、S3f、S4f}から、図12に示すNo.が「L1」の論理式cd(S2f)∨cd(S3f)∨cd(S4f)を導出する。ここで、例えば、cd(S2f)は、信号2の値が障害発生条件の一つを構成するときに真となる。
制御部21は、図12に示す7つの論理式の全てを最大充足可能性問題の制約条件として定式化する。
図13に示すように、例えば、信号1が障害発生条件の構成信号であることを否定する論理式は、¬cd(S1f)である。制御部21は、全ての信号の値について、障害発生条件の構成信号であることを否定する論理式を導出し、それぞれの論理式に同じ重みを設定することで、最大充足可能性問題として定式化する。
図11の例では、図12に示す論理式(No.が「L1」〜「L7」)を制約条件とし、図13に示す論理式(No.が「L11」〜「L17」)に同じ重みを設定した最大充足可能性問題が定式化される。
図14に示すように、障害診断装置5の制御部21は、最大充足可能性問題の解を算出する(S301)。初回のS301の処理では、制御部21は、図4のS106にて定式化した最大充足可能性問題のミニマム解を算出する。ミニマム解とは、信号を1つでも削るとsatisfiableにならない解である。
解が存在する場合、制御部21は、算出された解を否定する論理式を制約条件として追加し(S303)、S301に進む。2回目以降のS301の処理では、制御部21は、S303にて追加された制約条件を含めた最大充足可能性問題のミニマム解を算出する。
一方、解が存在しない場合、制御部21は、算出された全ての解の和集合を障害発生条件として保存する(S304)。正常時の時系列データが十分に多い場合、ミニマム解の和集合が真の障害発生条件に収束すると考えられる。
次に、¬cd(S1f)∨¬cd(S2f)の論理式を制約条件として追加し、最大充足可能性問題を解くと、次のミニマム解として、{S2f、S5f}が算出される(S301)。解が存在することから(S302のYes)、算出された解を否定する論理式を制約条件として追加する(S303)。算出された解に対応する論理式は、cd(S2f)∧cd(S5f)である。この論理式を否定する論理式は、¬cd(S2f)∨¬cd(S5f)である。
次に、¬cd(S2f)∨¬cd(S5f)の論理式を制約条件として追加し、最大充足可能性問題を解くと、解は存在しない(S301)。解が存在しないことから(S302のNo)、算出された全ての解の和集合を障害発生条件として保存する(S304)。この場合の障害発生条件は、{S1f、S2f、S5f}となる。
ミニマム解の和集合を障害発生条件とする理由は、正常時の時系列データが多くなると、ミニマム解の和集合が真の障害発生条件に近づくと考えられるからである。例えば、図6において、Y2中の信号2が「3」、信号5が「0」が真の障害発生条件であった場合を考える。正常時データが、信号2が「3」、かつ信号5が「0」であるデータを含んでいない図5に示すX1〜X7だった場合は、前述のように、ミニマム解の和集合は、{S1f、S2f、S5f}となる。正常時の時系列データがさらに多い状態を考えると、相違信号が極力少ない正常時データが存在する状況が考えられる。最も相違信号が小さい正常時データとしては、Y2中の信号2以外のすべての信号が同じ値であるデータ、つまり信号1が「0」、信号3が「1」、信号4が「0」、信号5が「0」で信号2が「3」でないデータ、及び、Y2中の信号5以外の全ての信号が同じ値であるデータ、つまり信号1が「0」、信号2が「3」、信号3が「1」、信号4が「0」で信号5が「0」でないデータが考えられる。Y2の上記2つの正常時データに対する相違信号はそれぞれ{S2f}、{S5f}となり、前述の手順からミニマム解及びその和集合は{S2f、S5f}となり、障害発生条件と一致する。このように、正常時データが多くなると、ミニマム解の和集合が真の障害発生条件に近づくと考えられることから、ミニマム解の和集合を障害発生条件とする。
図9のS208を実行せずに第1の相違信号集合算出処理を終了した場合、障害診断装置5は、図15に示す第2の相違信号集合算出処理を実行する。
次に、制御部21は、正常時の時系列データXi、X(i+1)と異常時の時系列データYj、Y(j+1)の相違を算出する(S402)。
3………車載システム
5………障害診断装置
7………データログ取得装置
9………障害検知装置
11………ECU
13………車載ネットワーク
21………制御部
22………記憶部
23………メディア入出力部
24………通信制御部
25………入力部
26………表示部
27………周辺機器I/F部
28………バス
29………ネットワーク
31………制御部
32………記憶部
33………周辺機器I/F部
34………通信インタフェース
Claims (6)
- 複数の機能モジュールが互いに信号をやり取りすることにより動作するシステムにおいて発生した障害を診断する障害診断システムであって、
診断対象のシステムにおける正常時と異常時のデータログを取得するデータログ取得手段と、
前記データログに含まれる複数の信号を加工して、加工後の信号の値を同一時刻ごとに纏めた時系列データを生成する時系列データ生成手段と、
異常時の時系列データのそれぞれを全ての正常時の時系列データと比較し、値が相違する信号値の集まりを相違信号集合として算出する相違信号集合算出手段と、
全ての前記相違信号集合を充足することを制約条件とし、各信号の値が障害発生条件の構成要素であることを否定する論理式に同じ重みを設定することで最大充足可能性問題の形に定式化する定式化手段と、
前記最大充足可能性問題の解を算出し、算出された解を否定する論理式を制約条件として逐次追加して再度解を算出する処理を、解が存在しなくなるまで繰り返すことで、障害発生条件となる信号の値または信号の値の組み合わせを算出する障害発生条件算出手段と、
を具備することを特徴とする障害診断システム。 - 前記相違信号集合算出手段は、比較した結果、値が相違する信号値が空集合となる正常時の時系列データが少なくとも一つ存在した場合には、比較対象の異常時の時系列データは障害発生条件を含まないと判断し、後続の処理対象から外すことを特徴とする請求項1に記載の障害診断システム。
- 前記相違信号集合算出手段は、1時刻単位で異常時の時系列データのそれぞれを全ての正常時の時系列データと比較し、相違信号集合を算出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の障害診断システム。
- 前記相違信号集合算出手段は、複数時刻単位で異常時の時系列データのそれぞれを全ての正常時の時系列データと比較し、相違信号集合を算出することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の障害診断システム。
- 複数の機能モジュールが互いに信号をやり取りすることにより動作するシステムにおいて発生した障害を診断する障害診断装置であって、
診断対象のシステムにおける正常時と異常時のデータログを入力するデータログ入力手段と、
前記データログに含まれる複数の信号を加工して、加工後の信号の値を同一時刻ごとに纏めた時系列データを生成する時系列データ生成手段と、
異常時の時系列データのそれぞれを全ての正常時の時系列データと比較し、値が相違する信号の集まりを相違信号集合として算出する相違信号集合算出手段と、
全ての前記相違信号集合を充足することを制約条件とし、各信号の値が障害発生条件の構成要素であることを否定する論理式に同じ重みを設定することで最大充足可能性問題の形に定式化する定式化手段と、
前記最大充足可能性問題の解を算出し、算出された解を否定する論理式を制約条件として逐次追加して再度解を算出する処理を、解が存在しなくなるまで繰り返すことで、障害発生条件となる信号の値または信号の値の組み合わせを算出する障害発生条件算出手段と、
を具備することを特徴とする障害診断装置。 - 複数の機能モジュールが互いに信号をやり取りすることにより動作するシステムにおいて発生した障害を診断する障害診断方法であって、
診断対象のシステムにおける正常時のデータログを取得し、前記データログに含まれる複数の信号を加工して、加工後の信号の値を同一時刻ごとに纏めた正常時の時系列データを生成するステップと、
診断対象のシステムにおける異常時のデータログを取得し、前記データログに含まれる複数の信号を加工して、加工後の信号の値を同一時刻ごとに纏めた異常時の時系列データを生成するステップと、
異常時の時系列データのそれぞれを全ての正常時の時系列データと比較し、値が相違する信号の集まりを相違信号集合として算出するステップと、
全ての前記相違信号集合を充足することを制約条件とし、各信号の値が障害発生条件の構成要素であることを否定する論理式に同じ重みを設定することで最大充足可能性問題の形に定式化するステップと、
前記最大充足可能性問題の解を算出し、算出された解を否定する論理式を制約条件として逐次追加して再度解を算出する処理を、解が存在しなくなるまで繰り返すことで、障害発生条件となる信号の値または信号の値の組み合わせを算出するステップと、
を含むことを特徴とする障害診断方法。
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