JP2019095370A - 疲労損傷診断方法、疲労損傷診断システム及び疲労損傷診断プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】構造物に用いられている機器の疲労損傷評価を行う場合に、その計算負荷を低減する。【解決手段】地震発生の際に原子炉建屋等の地震応答を計測する計測装置11と、計測装置11で計測された計測値に基づいて前記建屋等に用いられている機器の対象振動数範囲の最大値としての最大振幅等価回数の累積値である累積最大振幅等価回数を求める累積最大振幅等価回数算出部21と、累積最大振幅等価回数を所定の閾値と比較する第1比較部212と、第1比較部212で累積最大振幅等価回数が閾値以上であるときは、計測装置11で計測された計測値に基づいて解析モデルを用いて前記機器の累積疲労損傷度を求める累積疲労損傷度計算部22とを備える。【選択図】図14

Description

本発明は、疲労損傷診断方法、疲労損傷診断システム及び疲労損傷診断プログラムに関する。
各種構造物、例えば、原子炉プラントの建屋等の構造物の各機器に対して耐震安全性を高めるためには、建屋やその内部の各機器が受ける荷重履歴や累積損傷のモニタリングなど、オンタイムの疲労損傷評価を行う必要がある。そして、その結果、疲労損傷の大きくなった機器等に対してメインテナンスをすることで耐震安全性を高めることができる。
本技術分野の背景技術として、原子炉プラント内の機器において、荷重履歴や累積損傷をモニタリングするシステムが、特開平10−177085号公報(特許文献1)に記載されている。特許文献1には、「地震が発生すると、計測装置による地振動、地震応答の計測を行い、計算装置へ計測データを送る。計算装置は、計測装置が設置されている部位については、その計測データから荷重履歴及び累積損傷データを算出し、また計測装置が設置されていない部位については、設計データ格納装置に格納されている解析モデルを利用して荷重履歴及び累積損傷データを求める。荷重履歴及び累積損傷評価装置は、上記算出された荷重履歴及び累積損傷データにより荷重履歴及び累積損傷データ格納装置内のデータを更新する。この結果は表示装置により表示される。」と記載されている(要約参照)。
特開平10−177085号公報
前記特許文献1に開示の技術では、地震が発生した際に、建屋やその内部の機器等の建造物が過去及び地震発生時点に受けた荷重の履歴に基づいて累積損傷を評価して、その結果を画面表示する荷重履歴及び累積損傷モニタリングシステムが開示されている。
しかし、特許文献1の技術では、原子炉プラント内の疲労評価を行う全機器に対し、解析モデルによる評価が必要となるため、計算負荷が膨大になってしまう恐れがある。また、今後、新設の原子炉プラントを設計する場合、建屋モデルの詳細化や建屋に設置される機器の詳細モデルにおける非線形性の考慮等が進められていくであろうことを加味すると、当該計算負荷は更に増大していくことになる。
そこで、本発明は、構造物に用いられている機器の疲労損傷評価を行う場合に、その計算負荷を低減することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の疲労損傷診断方法の一形態は、地震発生の際に構造物の地震応答を計測する計測工程と、前記計測工程で計測された計測値に基づいて前記構造物に用いられている機器の対象振動数範囲の最大値としての最大振幅等価回数の累積値である累積最大振幅等価回数を求める累積最大振幅等価回数算出工程と、前記累積最大振幅等価回数を所定の閾値と比較する比較工程と、前記比較工程で前記累積最大振幅等価回数が前記閾値以上であるときは、前記計測工程で計測された計測値に基づいて所定の解析モデルを用いて前記機器の累積疲労損傷度を求める累積疲労損傷度計算工程とを備える。
本発明の疲労損傷診断システムの一形態は、地震発生の際に構造物の地震応答を計測する計測装置と、前記計測装置で計測された計測値に基づいて前記構造物に用いられている機器の対象振動数範囲の最大値としての最大振幅等価回数の累積値である累積最大振幅等価回数を求める累積最大振幅等価回数算出部と、前記累積最大振幅等価回数を所定の閾値と比較する比較部と、前記比較部で前記累積最大振幅等価回数が前記閾値以上であるときは、前記計測装置で計測された計測値に基づいて所定の解析モデルを用いて前記機器の累積疲労損傷度を求める累積疲労損傷度計算部とを備える。
本発明の疲労損傷診断プログラムの一形態は、地震発生の際に構造物の地震応答を計測する計測装置で計測された計測値に基づいて前記構造物に用いられている機器の対象振動数範囲の最大値としての最大振幅等価回数の累積値である累積最大振幅等価回数を求める累積最大振幅等価回数算出処理と、前記累積最大振幅等価回数を所定の閾値と比較する比較処理と、前記比較処理で前記累積最大振幅等価回数が前記閾値以上であるときは、前記計測装置で計測された計測値に基づいて所定の解析モデルを用いて前記機器の累積疲労損傷度を求める累積疲労損傷度計算処理とをコンピュータに実行させる。
本発明によれば、構造物に用いられている機器の疲労損傷評価を行う場合に、その計算負荷を低減することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の実施例1に係る疲労損傷診断システムのハードウェア構成を示すブロック図である。 本発明の実施例1における原子炉建屋での計測装置の設置状態を示す正面図である。 本発明の実施例1に係る疲労損傷診断システムの累積最大振幅等価回数算出部の機能ブロック図である。 本発明の実施例1に係る疲労損傷診断システムの機器最大振幅等価回数計算部が実行する処理の内容について説明するフローチャートである。 本発明の実施例1に係る疲労損傷診断システムに関する時刻歴変位応答波形の一例を示すグラフである。 本発明の実施例1に係る疲労損傷診断システムに関してS5で求めた応力履歴の一例を示すグラフである。 本発明の実施例1に係る疲労損傷診断システムに関して応力履歴のピークσと許容繰返し回数Nとの関係を示すグラフである。 本発明の実施例1に係る疲労損傷診断システムに関して固有振動数fni(及び対象振動数範囲)と最大振幅等価回数との関係を示すグラフである。 本発明の実施例1に係る疲労損傷診断システムに関して比較工程の判断について説明するグラフである。 本発明の実施例1に係る疲労損傷診断システムに関して過去の地震の記録も含めた全ての地震に対する建屋(の一部)の応答加速度を1質点系に入力した場合の時刻歴変位応答波形を示すグラフである。 本発明の実施例1に係る疲労損傷診断システムの累積疲労損傷度計算部の機能ブロック図である。 本発明の実施例1に係る疲労損傷診断システムに関して累積疲労損傷度の判断を示すグラフである。 本発明の実施例1に係る疲労損傷診断システムの設計データ格納部に格納されている解析モデルとその入力条件の一例を示す概念図及びグラフである。 本発明の実施例2に係る疲労損傷診断システムのハードウェア構成を示すブロック図である。 本発明の実施例2に係る疲労損傷診断システムが実行する処理の機能ブロック図である。 本発明の実施例2に係る疲労損傷診断システムの機器最大振幅等価回数計算部が実行する処理の内容について説明するフローチャートである。 本発明の実施例3に係る疲労損傷診断システムに関して建屋で観測された加速度応答波形の観測データの例を示すグラフである。 本発明の実施例3に係る疲労損傷診断システムに関して建屋等の加速度応答波形を入力として得られる1質点系の時刻歴加速度応答波形を示すグラフである。 本発明の実施例3に係る疲労損傷診断システムに関して時刻歴加速度応答波形から算出される振幅二乗和累加値の曲線(振幅二乗和累加曲線)を示すグラフである。 本発明の実施例3に係る疲労損傷診断システムに関して1質点系の時刻歴加速度応答波形に基づいて算出される振幅二乗和累加曲線によって求められる継続時間スペクトルを示すグラフである。
以下、本発明の実施例について図面を用いて複数例を詳細に説明する。
以下の各実施例は、いずれも、疲労損傷診断プログラムを搭載した疲労損傷診断システムを用いて疲労損傷診断方法を実行することにより、原子炉プラントの建屋等の構造物に用いられている各種機器の疲労損傷診断を行うものである。
図1は、実施例1に係る疲労損傷診断システム1のハードウェア構成を示すブロック図である。疲労損傷診断システム1は、1又は複数台のコンピュータにより構成される。なお、図1においては、1台のコンピュータで疲労損傷診断システム1を構成する例を説明する。
この疲労損傷診断システム1は、各種演算を行い、各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)2と、CPU2の作業エリアとなるRAM(Random Access Memory)3と、BIOS(Basic Input/OutputSystem)等を記憶したROM(Read Only Memory)4とがバス5を介して接続されている。バス5には、所定のインターフェイス(図示せず)を介して、磁気記憶装置(HDD:Hard Disk Drive)6と、入力装置7と、表示装置8と、通信インターフェイス(I/F)9と、記憶媒体読取装置10と、計測装置11とが接続されている。
入力装置7は、キーボード、マウス等の各種形態の入力装置により構成され、使用者が各種情報を入力することができる。
表示装置8は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等から構成され、各種情報を表示することができる。
通信I/F9は、疲労損傷診断システム1をインターネット12等のネットワークに接続することができる。
記憶媒体読取装置10は、CD(Compact Disc)プレーヤ、DVD(Digital Versatile Disk)プレーヤ、BD(Blue-ray Disc)プレーヤ等の、CD、DVD、BD等の記憶媒体13を読み取る装置である。
磁気記憶装置6は、各種情報を書き換え可能に磁気的に記憶することができる不揮発性の記憶装置である。磁気記憶装置6には、疲労損傷診断プログラム15が格納されている。疲労損傷診断プログラム15は、所定のOS(Operating System)上で動作するものであってもよい。また、疲労損傷診断システム1を複数台のコンピュータで構成する場合は、その各コンピュータにセットアップされている一群のプログラムが疲労損傷診断プログラム15となる。
この疲労損傷診断プログラム15は、記憶媒体13に記憶されているものを記憶媒体読取装置10で読み取って磁気記憶装置6にセットアップしてもよいし、あるいは、インターネット12等のネットワークから通信I/F9を介してダウンロードして磁気記憶装置6にセットアップしてもよい。なお、疲労損傷診断プログラム15が格納されるのは、疲労損傷診断システム1に固定の磁気記憶装置6に限定されるものではなく、疲労損傷診断システム1の所定のコネクタに着脱自在な可搬性の記憶媒体(USBメモリや外付けハードディスク等)であってもよい。
計測装置11は、地震計であり、図2に示すように、原子炉を格納した建屋101等の構造物の各フロアに設置されていて、建屋101の地震の際における加速度応答波形14を観測する。また、計測装置11は、建屋101とは別に原子力プラントの敷地内にも設置され、地震動の計測を行う。疲労損傷診断システム1には、複数台の計測装置11から観測データが入力することになる(図1においては1台のみを図示)。なお、図2の例では、加速度応答波形14は、各計測装置11につき一種類だけを図示しているが、現実には、各計測装置11は、x軸方向、y軸方向、z軸方向の3軸の加速度応答波形14を計測する。
ところで、従来は、原子力プラントの建屋101等の構造物で使用されている各種機器の疲労損傷診断を行うに当たっては、前記特許文献1に例示されるように、診断対象機器の解析モデルに計測装置11で計測した加速度応答波形14のデータ等を入力して、詳細な計算を逐一行って評価していた。
しかしながら、かかる手段は解析モデルを用いて詳細な計算を行わなければならないため、その計算負荷は過大なものとなっていた。
そこで、本実施例1の疲労損傷診断システム1を用い、小さな計算負荷で各種機器の疲労損傷診断を行う手段について以下に説明する。
図1に戻り、疲労損傷診断システム1は、建屋101に設置された各種機器の疲労損傷診断を行う。ここでの疲労損傷診断の対象は、原子炉格納容器のような大型の機器ではなく、より小型で建屋101等の構造物に設置されている各種機器(各種配管、各種タンク等)である。
より具体的には、CPU2は、前記の疲労損傷診断プログラム15に基づいて、累積最大振幅等価回数算出部21と、累積疲労損傷度計算部22との機能を実行する。
累積最大振幅等価回数算出部21は、疲労損傷診断の対象となる各種機器の解析モデルを用いずに簡易的な疲労損傷評価指標を用いて機器の疲労損傷を簡易評価する。より具体的には、計測装置11で計測された計測値に基づいて建屋101等に用いられている機器の対象振動数範囲の最大値としての最大振幅等価回数の累積値を累積最大振幅等価回数として求める。「最大振幅等価回数」とは、地震波には様々な振幅の波が含まれているが、地震が発生したときに生じた疲労損傷診断の対象となる機器の全振幅は、一番大きかった振幅(最大振幅)に置き換えるとその何回分に相当するかという回数である。「累積最大振幅等価回数」は、計測装置11で計測を始めたある基準時以降に発生した全ての地震に関する最大振幅等価回数を累積した値であり、その全ての地震の中での最大振幅を基準とする。「対象振動数範囲」とは、1回の地震における評価対象となる振動数の範囲である。累積最大振幅等価回数算出部21が実行する処理により、累積最大振幅等価回数算出工程及び累積最大振幅等価回数算出処理を実現する。
累積疲労損傷度計算部22は、疲労損傷診断の対象となる各種機器の解析モデルを用いて累積疲労損傷度を詳細な計算により算出することにより機器の疲労損傷を詳細評価する。より具体的には、計測装置11で計測された計測値に基づいて所定の解析モデルを用いて診断対象となる各種機器の累積疲労損傷度を求める。累積疲労損傷度計算部22が実行する処理により、累積疲労損傷度計算工程及び累積疲労損傷度計算処理を実現する。
図3は、累積最大振幅等価回数算出部21の機能ブロック図である。累積最大振幅等価回数算出部21は、機器最大振幅等価回数計算部31と、疲労損傷データ格納部32と、機器累積値計算部33とを備えている。
機器最大振幅等価回数計算部31は、計測装置11の計測結果に基づいて、診断対象機器の疲労損傷評価指標となる最大振幅等価回数を計算する。その処理の詳細は後述する。機器累積値計算部33は、前記の基準時以降に発生した各地震についての最大振幅等価回数の累積値である累積最大振幅等価回数を算出する。機器累積値計算部33は、累積値算出部を実現し、その処理により累積値算出工程及び累積値算出処理を実現している。この累積最大振幅等価回数のデータは、表示装置8に表示されて使用者に提示される他、疲労損傷データ格納部32に格納され、次回に地震が発生した際に機器累積値計算部33で累積最大振幅等価回数を求めるときのデータとして利用される。
なお、機器最大振幅等価回数計算部31は、計測装置11の計測結果に基づいて、診断対象となる機器の最大振幅等価回数を計算するが、計測装置11は建屋101等の各階の各位置にくまなく配置されているとは限らない。計測装置11で直接計測できない位置で機器の診断を行うためには、原子力プラントの敷地内に設置した計測装置11で観測した地震動のデータを所定の地震応答解析モデルに入力して、地震応答解析を実施することで、当該位置での加速度応答波形を簡易に求めることができる。「地震応答解析モデル」は、建屋101等の大きな構造物の解析モデルである。
次に、機器最大振幅等価回数計算部31が実行する処理の内容について、図4を参照して説明する。図4は、機器最大振幅等価回数計算部31が実行する処理の内容について説明するフローチャートである。まず、機器最大振幅等価回数計算部31は、建屋101や大型構造物等の構造物における加速度応答波形14を計測装置11で取得する(S1)。計測装置11で直接計測できない位置では、前記のとおり地震応答解析モデルを用いて加速度応答波形を求める。
次に、機器最大振幅等価回数計算部31は、診断対象となる機器を模擬した固有振動数fni(1質点系の固有振動数)を設定する(S2)。この固有振動数fniは、診断対象となる各機器のものが予め固定データとして磁気記憶装置6などに記憶されている。そして、機器最大振幅等価回数計算部31は、固有振動数fniの1質点系について時刻歴応答解析を行う(S3)。「時刻歴応答解析」は、ばねとマスで構成される1質点系の対象機器のモデルに対して、S1で計測等して得られた加速度応答波形を入力して、その1質点系の揺れ方、つまり変位応答等を求めることにより行う。S3により、時刻歴応答解析工程、時刻歴応答解析部及び時刻歴応答解析処理を実現している。
次に、機器最大振幅等価回数計算部31は、S3の時刻歴応答解析に基づき、対象機器についての1質点系の時刻歴変位応答波形を生成する(S4)。図5は、当該時刻歴変位応答波形の一例を示すグラフである。当該変位応答波形は、対象となる機器についての地震の揺れによる変位の時間変化を示している。ここで、“X”は、時刻歴変位応答波形の変位における各振幅のk番目(k=1,2,3,…)の頂点を示し、“Xmax”は、これらk個の頂点中の最大変位(振幅)値を示している。Xmaxは絶対値である。
次に、機器最大振幅等価回数計算部31は、S4の結果から診断対象となる機器の応力履歴を簡易的に算出する(S5)。図6は、S5で求めた応力履歴の一例を示すグラフである。図5の時刻歴変位応答波形から図6の応力履歴に変換する際には、最大変位Xmaxにおいて最大ピーク応力σmaxが発生すると仮定する。そして、図5の時刻歴変位応答波形の各ピークで変位量Xに比例した応力が発生していると考え、次式(1)を用いてそれぞれのピークに対する当該応力σ(k=1,2,3,…)を算出する。S5により、応力履歴算出工程、応力履歴算出部及び応力履歴算出処理を実現している。
Figure 2019095370
次に、機器最大振幅等価回数計算部31は、設計疲労線図Nを用いて、最大ピーク応力σmaxの許容繰返し回数Nを算出する(S6)。設計疲労線図Nは、ピーク応力σの周知の関数として“N=f(σ)”により求めることができる。許容繰返し回数Nは、この範囲なら診断対象となる機器が破損しないと考えられる最大ピーク応力σmaxの許容される繰返し回数である。S6により、回数算定工程、回数算定部及び回数算定処理を実現している。
次に、機器最大振幅等価回数計算部31は、前記応力履歴の各ピークσに対する許容繰返し回数Nを算定する(S7)。許容繰返し回数Nは、応力履歴の各ピークσについて、この範囲なら診断対象となる機器が破損しないと考えられる、当該ピーク値の応力が繰り返される限度の回数を示している。許容繰返し回数Nは、当該応力履歴におけるピーク値σの周知の関数として“N=f(σ)”により求めることができる。図7は、応力履歴のピークσと許容繰返し回数Nとの関係を示すグラフである。応力履歴のピークσの値が大きいほど許容繰返し回数Nは小さくなり、応力履歴のピークσの値が一定値まで下がると許容繰返し回数Nは非常に大きな値となり最大値をとる。S7により、許容繰返し回数算定工程、許容繰返し回数算定部及び許容繰返し回数算定処理を実現している。
次に、機器最大振幅等価回数計算部31は、次式(2)に基づいて疲労累積係数Fを算出する(S8)。(2)式の“L”は図6の応力のピーク数である。「疲労累積係数F」は、診断対象となる機器の疲労の度合いを示す係数であり、通常は“1”を下回る値であって、この値が“1”に達したときは該当する診断対象の機器は破損するような係数である。S8により、累積疲労係数積算工程、累積疲労係数積算部及び累積疲労係数積算処理を実現している。
Figure 2019095370
次に、機器最大振幅等価回数計算部31は、最大ピーク応力σmaxの許容繰返し回数Nと、疲労累積係数Fを用いて、固有振動数fniに対する今回の地震の最大振幅等価回数Nを次式(3)により算定する(S9)。
Figure 2019095370
次に、原子炉プラント内には疲労評価を実施する機器は複数存在するため、それらをまとめて評価できるように、機器最大振幅等価回数計算部31は、診断対象となる機器の主要な固有モードが存在する振動数範囲(対象振動数範囲)において固有振動数fniを変更し、S2以下の前記処理を繰り返す。これにより、各固有振動数fniにおいて地震の最大振幅等価回数を算出することができる。これを対象振動数範囲の最大値fn_maxまで行う(S10)。
すなわち、このS2〜S9の処理の繰返しは、診断対象となる機器をある程度まとめて計算することを意味する。診断対象となる機器には、配管、タンクなど様々な種類があるが、例えば配管なら配管で、ある程度、固有振動数の範囲(対象振動数範囲)が定まっているものである。そして、全ての機器について個々にS2以下の計算を行うのは煩雑である。そこで、何Hzから何Hzまでというように各種機器の対象振動数範囲がある程度定まっていることに着目する。そして、機器最大振幅等価回数計算部31は、対象振動数範囲内で各固有振動数fniを変えてS2以下の計算をそれぞれ行い、求められた各最大振幅等価回数の中の最大値として今回の地震の最大振幅等価回数を設定する(S11)。S9〜S11により、最大振幅等価回数算出工程、最大振幅等価回数算出部及び最大振幅等価回数算出処理を実現している。
図8は、この場合の固有振動数fni(及び対象振動数範囲)と最大振幅等価回数との関係を示すグラフである。
このようにして図4に示す処理により求めた最大振幅等価回数と、疲労損傷データ格納部32に格納されている累積最大振幅等価回数とに基づいて、機器累積値計算部33により新たな累積最大振幅等価回数が求められる。かかる処理は、配管、タンクといった原子炉プラントの建屋101やその他の構造物に設けられている機器の種類ごとに行う。
こうして求められた累積最大振幅等価回数は、診断対象となる各種機器の疲労損傷の度合いを簡易的に評価する指標となる。そこで、各機器の疲労損傷診断を行う診断者は、この累積最大振幅等価回数を所定の閾値と比較して、累積最大振幅等価回数が当該閾値を上回るときは、該当する機器の疲労損傷の度合いが精査を要するほど高まっていると判断することができる(比較工程)。図9は、この場合の判断について説明するグラフである。ここでは、過去に地震a〜cの3回の地震が発生した場合の例を示している。当然、累積最大振幅等価回数は、地震a、地震b、地震cと、地震の回数が多くなるほど多くなる。そして、「許容繰返し回数」とあるのが、前記の閾値となる。すなわち、各機器の疲労損傷診断を行う診断者は、累積最大振幅等価回数が許容繰返し回数を超えたときは、当該機器について疲労損傷の度合いが精査を要するほど高まっていると判断することになる。
つまり、最新の地震cの最大振幅等価回数(及び後述の疲労損傷度)は過去の地震a及び地震bの影響も考慮し、累積値として更新されていく。特に、最大振幅等価回数は、変位波形(図5)全体に対する最大変位Xmaxにおいて最大ピーク応力σmax(図6)を仮定する必要があり、波形全体がわからなければ正確に算定できない。そのため、図4のフローチャートに従って算定されるタイミングは、建屋101等の加速度応答波形14の全長が観測できた時点(地震が終ったとき)となる。そのため、図9のように地震動の継続時間ごとに最大振幅等価回数が算定される。ここで、図10は、過去の地震の記録も含めた全ての地震に対する建屋101(の一部)の一つの計測装置11から得られた応答加速度を1質点系に入力した場合の時刻歴変位応答波形を示すグラフである。過去の地震の影響も考慮して最大振幅等価回数を算定する場合、図10のように、各地震による1質点系の時刻歴変位応答を連続させた波形の最大変位Xmaxにおいて、最大ピーク応力σmaxを仮定し、図4のフローチャートの計算に従い、新たに過去の地震も含めた累積最大振幅等価回数を算定する。この累積最大振幅等価回数を表示装置8に表示させる。そして、各機器の疲労損傷診断を行う診断者は、前記の比較工程を行う。
このように、前記の比較工程における簡易な判断で、ある機器について疲労損傷の度合いが精査を要するほど高まっていると判断したときは、各機器の疲労損傷診断を行う診断者は、累積疲労損傷度計算部22を用いて、その精査を行う。以下では、累積疲労損傷度計算部22の計算内容について説明する。
図11は、累積疲労損傷度計算部22の機能ブロック図である。まず、計測装置11で観測された最新の建屋101等の加速度応答波形14と、計測データ格納部41に格納されている過去の地震による建屋101等の加速度応答波形14とを、地震応答波形生成部42によって連続させ、連続的な地震応答波形とする。そして、設計データ格納部43に予め格納されている該当の機器の解析モデルと前記の地震応答波形とを用いて、機器応力履歴計算部44が、該当の機器の時刻歴解析を行い、応力履歴を算定する。
そして、この応力履歴と、疲労損傷データ格納部45に格納されている過去に求められた累積疲労損傷度とに基づいて、最新の地震も含めた累積疲労損傷度を累積疲労損傷度計算部46により算定する。こうして算定された累積疲労損傷度の計算結果は、表示装置8に表示される他、疲労損傷データ格納部45に格納される。
以上のようにして、累積最大振幅等価回数算出部21による簡易的な計算で求めた疲労損傷の度合いが精査を要するほど高まっていると判断した機器については、累積疲労損傷度計算部22による詳細な計算により累積疲労損傷度を直接求める。各機器の疲労損傷診断を行う診断者は、この累積疲労損傷度の大きさにより、対象となる機器の疲労損傷の度合いが確かに高いものであるか否かを比較的正確に判定することができる。
図12は、累積疲労損傷度の判断を示すグラフである。前記と同様、地震a〜cの3回の地震が発生したことを想定している。地震回数が増える度に累積疲労損傷度の値が高くなっている。累積疲労損傷度の値が1.0に達したときは、該当の機器は補修や交換が必要なほど累積疲労損傷度の値は高いと各機器の疲労損傷診断を行う診断者は判断することになる。そのため、この場合は、現実に、作業者が該当の機器の補修や交換等のメインテナンス作業を行うこととなる。
なお、累積最大振幅等価回数算出部21の計算に基づいて精査が必要だと判断し、累積疲労損傷度計算部22で精査を行った機器についての1回目の累積疲労損傷度の値の評価の際には、次のように計算を行う。すなわち、前記のとおり過去と最新の地震の計測データを組み合わせた地震応答波形により応力履歴の計算を行い、累積疲労損傷度を計算する(過去の累積疲労損傷度のデータは存在しないので、それは用いない)。しかし、累積疲労損傷度計算部22による精査の2回目以降では、疲労損傷データ格納部45に過去に計算した累積疲労損傷度のデータが疲労損傷データ格納部45に蓄積されている。そのため、新たに計測装置11で観測した地震に関する計測データのみを用いて(計測データ格納部41に格納されている過去の計測データは用いない)応力履歴を計算して、累積疲労損傷度を計算する。
図13は、設計データ格納部43に格納されている解析モデルとその入力条件の一例を示す概念図及びグラフである。この解析モデルは例として配管の解析モデル51を示しており、複数の節点52で適切に分割された有限要素法の解析モデルになる。例えば、配管の解析モデル51において、建屋101との接続部位53,54に、その位置にそれぞれ対応した建屋101の地震応答波形である入力α,βをそれぞれ入力し、時刻歴解析を実施する。これにより配管の解析モデル51の累積疲労損傷度を算出する。そして、この累積疲労損傷度を表示装置8に表示させる。
以上説明した疲労損傷診断システム1を用いた疲労損傷診断方法によれば、累積最大振幅等価回数算出部21により、診断対象となる機器の対象振動数範囲の最大値として累積最大振幅等価回数を前記した簡易な計算により求めることができる。そして、当該累積最大振幅等価回数を診断対象となる機器の累積疲労損傷の度合いを判断する簡易な指標として用いることができる。各機器の疲労損傷診断を行う診断者は、この簡易指標としての累積最大振幅等価回数から機器の累積疲労損傷の度合いが高いと判断したときは、当該機器に関して累積疲労損傷度計算部22による累積疲労損傷度の計算を、該当の機器の解析モデルを用いて詳細に行い、当該機器の補修や交換等のメインテナンスが必要か否かを比較的正確に判断することができる。
すなわち、従来のように各機器について、毎回、累積疲労損傷度計算部22による詳細な計算を行うのではなく、累積最大振幅等価回数算出部21による簡易な計算の結果に基づいて問題となった機器についてのみ累積疲労損傷度計算部22による詳細な計算を行う。したがって、本実施例の疲労損傷診断方法によれば、建屋101等の構造物に用いられている機器の疲労評価を行う場合に、その計算負荷を低減することができる。
以下の各実施例においては、実施例1と共通の部材等には実施例1と同一の符号を用い、実施例1と共通の技術内容については詳細な説明を省略する。
図14は、実施例2に係る疲労損傷診断システム201のハードウェア構成を示すブロック図である。本実施例の疲労損傷診断システム201が実施例1の疲労損傷診断システム1と異なるのは、疲労損傷診断プログラム15に代えて疲労損傷診断プログラム211がセットアップされている点である。また、この疲労損傷診断プログラム211に基づいて、疲労損傷診断システム201のCPU2は、累積最大振幅等価回数算出部21及び累積疲労損傷度計算部22の他に、第1比較部212(比較部)及び第2比較部213の機能を実行する点も相違する。第1比較部212は、第1比較工程及び第1比較処理を実行する。
図15は、疲労損傷診断システム201が実行する処理の機能ブロック図である。まず、本実施例では、第1比較部212において、累積最大振幅等価回数算出部21で算出した累積最大振幅等価回数を所定の閾値と比較して、その結果に応じた処理を行う。すなわち、第1比較部212は、比較実行部221及び第1報知部222の機能を実施する。比較実行部221は、累積最大振幅等価回数算出部21で求めた、診断対象機器の対象振動数範囲の最大値としての最大振幅等価回数の累積値(累積最大振幅等価回数)を前記の閾値と比較する。そして、累積最大振幅等価回数が閾値以上となったときは、累積疲労損傷度計算部22による次の処理に進む。この場合は、計測装置11で計測した計測値も累積疲労損傷度計算部22に出力される。累積最大振幅等価回数が閾値未満であるときは、第1報知部222が、表示装置8に、当該機器は、補修、交換等のメインテナンスは不要である趣旨のメッセージを表示する。
次に、比較実行部221で累積最大振幅等価回数が閾値以上と判断されて累積疲労損傷度計算部22による処理が行われたときは、前記のとおり診断対象機器の累積疲労損傷度が算出されることになる。この累積疲労損傷度は第2比較部213に入力される。
第2比較部213は、累積疲労損傷度計算部22において求めた累積疲労損傷度を所定の閾値と比較し、その結果に応じた処理を行う。すなわち、第2比較部213は、比較実行部231、第2報知部232及び第3報知部233の機能を実行する。比較実行部231は、前記の累積疲労損傷度が“1”の値以上となるか否かを判断する。そして、累積疲労損傷度が“1”の値未満であったときは、第2報知部232が、表示装置8に診断対象機器の修理、交換等のメインテナンスは不要である趣旨のメッセージを表示する。一方、累積疲労損傷度が1の値以上であったときは、第3報知部233が、診断対象機器の修理、交換等のメインテナンスは必要である趣旨のメッセージを表示装置8に表示する。
このように、前記の実施例1では累積最大振幅等価回数算出部21及び累積疲労損傷度計算部22のそれぞれでの計算結果の評価は、各機器の疲労損傷診断を行う診断者が行っていたのに対して、本実施例2では、これらの評価を疲労損傷診断システム201が行う。
したがって、本実施形態2の疲労損傷診断システム201、疲労損傷診断プログラム211及び疲労損傷診断方法によれば、診断対象機器の疲労損傷診断を全て疲労損傷診断システム201にゆだねることができるので、診断対象機器の疲労損傷診断が容易となる。
本実施例3では、システム構成は、実施例1のようでも、実施例2のようでも、どちらでもよい。すなわち、疲労損傷診断の全部を実施例2のようにシステムが行ってもよいし(第1比較部212及び第2比較部213の機能を実行する)、実施例1のように疲労損傷診断の一部を各機器の疲労損傷診断を行う診断者が行うようにしてもよい。
本実施例3は、計測した地震応答の周波数特性に応じて有効な継続時間を設定して診断対象機器の疲労評価を行うものである。図16は、本実施例3における機器最大振幅等価回数計算部31が実行する処理を説明するフローチャートである。図4と同一の処理ブロックについては、図4と同一符号を付して、説明を省略する。
図16の処理が図4の処理と異なるのは、S1とS2との間にS12の処理が追加されている点である。S12は、有効継続時間決定工程、有効継続時間決定部及び有効継続時間決定処理を実現するものである。S12の処理について説明する。
すなわち、図17は、建屋101で観測された加速度応答波形14の観測データの例を示すグラフである。図18は、建屋101等の加速度応答波形14を入力として得られる1質点系の時刻歴加速度応答波形を示すグラフである。図19は、時刻歴加速度応答波形から算出される振幅二乗和累加値の曲線(振幅二乗和累加曲線)を示すグラフである。図20は、1質点系の時刻歴加速度応答波形に基づいて算出される振幅二乗和累加曲線によって求められる継続時間スペクトルを示すグラフである。
図17に示すように、観測した建屋101等の時刻歴応答波形の観測時間Tには、診断対象機器の疲労評価に影響が軽微な微動も計測されるため、観測時間T中に計算のために有効な継続時間を設定するために図19に示すような振幅二乗和累加曲線を使用する。図18に示す時刻歴応答に対し、振幅二乗和累加曲線は次式(4)より算出することができる。
Figure 2019095370
ここで、“p”は振幅二乗和累加値、“α(t)”は地震による時刻歴応答の波形(振幅)を示す時間tの関数、“T”は有効な継続時間、“ta”は0以上のある時間である。(4)式の分母はα(t)の二乗を0からTまで積分した値であって、分子はα(t)の二乗を0からある時間taまで積分した値であり、(4)式は当該両者の比率をとっている。時間taを少しずつ長くしながら(4)式の計算を繰り返すことにより得られる振幅二乗和累加値pをグラフにすることで、図19に示す振幅二乗和累加曲線が得られる。図19に示すように、予め許容する振幅二乗和累加値の範囲を決め、そのために適切と思われる下限値と上限値を設定する。継続時間Tを変えて(4)式の計算を行い、有効な継続時間Tが下限値から上限値までの時間となれば、その時間が求める有効な継続時間Tである。
このようにして、地震における揺れの大きい主要動を捉えた有効な継続時間Tを、下限値と上限値の範囲に対応する時間として求めることができる。この値は対象とする地震動の周波数特性によって変化するため、対象とする地震動に適した値を設定すればよい。又は、振幅二乗和累加値の増加率が小さくなる値を上限値と下限値に設定してもよい。
図20に示す継続時間スペクトルを算出するためには、図18に示す1質点系の時刻歴加速度応答波形から図19に示す振幅二乗和累加曲線を求める必要がある。この1質点系の固有振動数を変更し、各診断対象機器の振動数範囲において、各固有振動数に対する有効な継続時間Tを求めることで図20の継続時間スペクトルが算出できる。
この図20の継続時間スペクトルから、観測装置11で観測した加速度応答波形14の観測時間T中で有効な波形を取り出すことができる有効な継続時間Tを各診断対象機器の固有振動数ごとに得ることができる。
そして、実施例1,2のように観測時間Tの全ての加速度応答波形14を機器最大振幅等価回数計算部31の計算に使用するのではなく、有効な継続時間Tの間の加速度応答波形(振幅の相対的に最も大きな範囲から取り出す)のみを計算の対象とする。
また、S12に相当する処理は、地震応答波形生成部42(図11)においても行い、地震応答波形生成部42においても計測装置11から得られる加速度応答波形14そのままではなく、S12に相当する処理を経た加速度応答波形を計算に用いる。
これにより計算対象の加速度応答波形の範囲が絞られるので、実施例1,2の場合に比べて本実施例3によれば、計算負荷をさらに低減させることができる。
なお、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
例えば、前記の各実施例では、原子力プラントの建屋101等の構造物に設けられた各種機器の地震による疲労損傷診断の例で説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、原子力プラント以外の構造物に用いられる各種機器の地震による疲労損傷診断にも用いることができる。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
1,201 疲労損傷診断システム
11 計測装置
15,211 疲労損傷診断プログラム
21 累積最大振幅等価回数算出部
22 累積疲労損傷度計算部
33 機器累積値計算部(累積値算出部)
212 第1比較部(比較部)
S3 時刻歴応答解析工程、時刻歴応答解析部、時刻歴応答解析処理
S5 応力履歴算出工程、応力履歴算出部、応力履歴算出処理
S7 許容繰返し回数算定工程、許容繰返し回数算定部、許容繰返し回数算定処理
S8 累積疲労係数積算工程、累積疲労係数積算部、累積疲労係数積算処理
S9〜S11 最大振幅等価回数算出工程、最大振幅等価回数算出部、最大振幅等価回数算出処理
S12 有効継続時間決定工程、有効継続時間決定部、有効継続時間決定処理

Claims (15)

  1. 地震発生の際に構造物の地震応答を計測する計測工程と、
    前記計測工程で計測された計測値に基づいて前記構造物に用いられている機器の対象振動数範囲の最大値としての最大振幅等価回数の累積値である累積最大振幅等価回数を求める累積最大振幅等価回数算出工程と、
    前記累積最大振幅等価回数を所定の閾値と比較する比較工程と、
    前記比較工程で前記累積最大振幅等価回数が前記閾値以上であるときは、前記計測工程で計測された計測値に基づいて所定の解析モデルを用いて前記機器の累積疲労損傷度を求める累積疲労損傷度計算工程とを備えることを特徴とする疲労損傷診断方法。
  2. 前記計測工程で計測された計測値に基づいて前記機器の振幅二乗塁加曲線を算出し、当該振幅二乗塁加曲線に基づいて前記計測工程で計測した地震応答の有効な継続時間を求める有効継続時間決定工程を備え、
    前記累積最大振幅等価回数算出工程及び前記累積疲労損傷度計算工程では、前記計測工程で計測された計測値のうち前記地震応答の有効な継続時間における計測値をそれぞれ用いて、前記最大振幅等価回数の累積値及び前記累積疲労損傷度を求めることを特徴とする請求項1に記載の疲労損傷診断方法。
  3. 前記累積最大振幅等価回数算出工程は、
    前記計測工程で計測された計測値に基づいて前記機器の1質点系の時刻歴応答解析を行う時刻歴応答解析工程と、
    前記時刻歴応答解析の結果に基づいて前記機器の累積疲労係数の積算を行う累積疲労係数積算工程と、
    前記累積疲労係数を積算した値に基づいて前記最大振幅等価回数を求める最大振幅等価回数算出工程と、
    前記最大振幅等価回数の累積値として前記累積最大振幅等価回数を求める累積値算出工程とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の疲労損傷診断方法。
  4. 前記累積最大振幅等価回数算出工程は、
    前記1質点系の時刻歴応答解析の結果に基づいて前記機器の変位履歴から前記機器の応力履歴を算出する応力履歴算出工程を備え、
    前記応力履歴に基づいて前記累積疲労係数積算工程で前記累積疲労係数の積算を行うことを特徴とする請求項3に記載の疲労損傷診断方法。
  5. 前記累積最大振幅等価回数算出工程は、
    設計疲労線図及び前記応力履歴算出工程で算出した応力履歴に基づいて前記機器の最大ピーク応力の許容繰返し回数を算定する許容繰返し回数算定工程を備え、
    前記許容繰返し回数に基づいて前記累積疲労係数積算工程で前記累積疲労係数の積算を行うことを特徴とする請求項4に記載の疲労損傷診断方法。
  6. 地震発生の際に構造物の地震応答を計測する計測装置と、
    前記計測装置で計測された計測値に基づいて前記構造物に用いられている機器の対象振動数範囲の最大値としての最大振幅等価回数の累積値である累積最大振幅等価回数を求める累積最大振幅等価回数算出部と、
    前記累積最大振幅等価回数を所定の閾値と比較する比較部と、
    前記比較部で前記累積最大振幅等価回数が前記閾値以上であるときは、前記計測装置で計測された計測値に基づいて所定の解析モデルを用いて前記機器の累積疲労損傷度を求める累積疲労損傷度計算部とを備えることを特徴とする疲労損傷診断システム。
  7. 前記計測装置で計測された計測値に基づいて前記機器の振幅二乗塁加曲線を算出し、当該振幅二乗塁加曲線に基づいて前記計測装置で計測した地震応答の有効な継続時間を求める有効継続時間決定部を備え、
    前記累積最大振幅等価回数算出部及び前記累積疲労損傷度計算部では、前記計測装置で計測された計測値のうち前記地震応答の有効な継続時間における計測値をそれぞれ用いて、前記最大振幅等価回数の累積値及び前記累積疲労損傷度を求めることを特徴とする請求項6に記載の疲労損傷診断システム。
  8. 前記累積最大振幅等価回数算出部は、
    前記計測装置で計測された計測値に基づいて前記機器の1質点系の時刻歴応答解析を行う時刻歴応答解析部と、
    前記時刻歴応答解析の結果に基づいて前記機器の累積疲労係数の積算を行う累積疲労係数積算部と、
    前記累積疲労係数を積算した値に基づいて前記最大振幅等価回数を求める最大振幅等価回数算出部と、
    前記最大振幅等価回数の累積値として前記累積最大振幅等価回数を求める累積値算出部とを備えることを特徴とする請求項6又は7に記載の疲労損傷診断システム。
  9. 前記累積最大振幅等価回数算出部は、
    前記1質点系の時刻歴応答解析の結果に基づいて前記機器の変位履歴から前記機器の応力履歴を算出する応力履歴算出部を備え、
    前記応力履歴に基づいて前記累積疲労係数積算部で前記累積疲労係数の積算を行うことを特徴とする請求項8に記載の疲労損傷診断システム。
  10. 前記累積最大振幅等価回数算出部は、
    設計疲労線図及び前記応力履歴算出部で算出した応力履歴に基づいて前記機器の最大ピーク応力の許容繰返し回数を算定する許容繰返し回数算定部を備え、
    前記許容繰返し回数に基づいて前記累積疲労係数積算部で前記累積疲労係数の積算を行うことを特徴とする請求項9に記載の疲労損傷診断システム。
  11. 地震発生の際に構造物の地震応答を計測する計測装置で計測された計測値に基づいて前記構造物に用いられている機器の対象振動数範囲の最大値としての最大振幅等価回数の累積値である累積最大振幅等価回数を求める累積最大振幅等価回数算出処理と、
    前記累積最大振幅等価回数を所定の閾値と比較する比較処理と、
    前記比較処理で前記累積最大振幅等価回数が前記閾値以上であるときは、前記計測装置で計測された計測値に基づいて所定の解析モデルを用いて前記機器の累積疲労損傷度を求める累積疲労損傷度計算処理とをコンピュータに実行させる疲労損傷診断プログラム。
  12. 前記計測装置で計測された計測値に基づいて前記機器の振幅二乗塁加曲線を算出し、当該振幅二乗塁加曲線に基づいて前記計測装置で計測した地震応答の有効な継続時間を求める有効継続時間決定処理をコンピュータに実行させ、
    前記累積最大振幅等価回数算出処理及び前記累積疲労損傷度計算処理では、前記計測装置で計測された計測値のうち前記地震応答の有効な継続時間における計測値をそれぞれ用いて、前記最大振幅等価回数の累積値及び前記累積疲労損傷度を求めることを特徴とする請求項11に記載の疲労損傷診断プログラム。
  13. 前記累積最大振幅等価回数算出処理は、
    前記計測装置で計測された計測値に基づいて前記機器の1質点系の時刻歴応答解析を行う時刻歴応答解析処理と、
    前記時刻歴応答解析の結果に基づいて前記機器の累積疲労係数の積算を行う累積疲労係数積算処理と、
    前記累積疲労係数を積算した値に基づいて前記最大振幅等価回数を求める最大振幅等価回数算出処理と、
    前記最大振幅等価回数の累積値として前記累積最大振幅等価回数を求める累積値算出処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする請求項11又は12に記載の疲労損傷診断プログラム。
  14. 前記累積最大振幅等価回数算出処理は、
    前記1質点系の時刻歴応答解析の結果に基づいて前記機器の変位履歴から前記機器の応力履歴を算出する応力履歴算出処理をコンピュータに実行させ、
    前記応力履歴に基づいて前記累積疲労係数積算処理で前記累積疲労係数の積算を行うことを特徴とする請求項13に記載の疲労損傷診断プログラム。
  15. 前記累積最大振幅等価回数算出処理は、
    設計疲労線図及び前記応力履歴算出処理で算出した応力履歴に基づいて前記機器の最大ピーク応力の許容繰返し回数を算定する許容繰返し回数算定処理をコンピュータに実行させ、
    前記許容繰返し回数に基づいて前記累積疲労係数積算処理で前記累積疲労係数の積算を行うことを特徴とする請求項14に記載の疲労損傷診断プログラム。
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