JP2010216660A - 電磁式2段クラッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】一つの回転軸と他の2つの回転軸との結合状態を電磁的に切り替える小型の電磁式2段クラッチを提供する。
【解決手段】回転軸中心から内軸、中間軸、外軸を配置する。内軸と中間軸との間に内側電磁クラッチユニット、中間軸と外軸との間に外側電磁クラッチユニットを組み付ける。中間軸は径方向側面を挟んで太径部と細径部とを有する形状とする。径方向側面は内軸に組み付けられたアマチュアが電磁力により吸着する摩擦係合器を兼用する。磁気回路を形成すべき領域については、磁束の飽和を回避するため磁束が貫通する領域の断面積がほぼ一定となるように寸法を決定する。磁束の漏れを回避すべき部位には、スリットなど磁気回路の形成を抑制する機構を設ける。また、係合時の摩擦力を確保するよう、アマチュアの吸着面近傍に潤滑油の排出孔を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は複数の回転軸間で、一の回転軸と他の2つの回転軸との間で動力の伝達状態を電磁力の作用により切り替える2段クラッチに関する。
2つの回転軸間で動力の伝達を断続する機構としてクラッチがある。クラッチは種々の装置に適用されているが、例えば車両に適用されたクラッチなどでは走行中に動力の伝達経路を速やかに切り替えられることが要求される。また、車両の走行状態に応じて適切な切り替えを行うために制御ユニットからの制御信号により切断および結合を制御できることが望ましい。かかる要求に応えたクラッチとしては、例えば、特開平10−59011に記載の回転伝達装置が挙げられる。この回転伝達装置は、2つの回転軸間で動力の伝達を電磁的に切断・結合するクラッチである。従来技術としての上記回転伝達装置の概略構成を説明する。
図26は従来技術としての回転伝達装置の回転軸を含む断面の断面図である。図27は従来技術としての回転伝達装置の回転軸に直交する断面の断面図である。図28は従来技術としての回転伝達装置について保持器の組み付け状態を示す断面図である。特開平10−59011に記載の装置を示した。この回転伝達装置は、従動部材となる外輪2と、入力軸4とを切断・結合する2方向クラッチである。このクラッチは、図27に示す通り、外輪2の内側が円形になっており、入力軸4は断面が正八角形の角を丸めた形状をなしており、正八角形の各辺が8つのカム面となる。このカム面は、外輪2の内面との間で円周方向の両側が狭幅になる楔状空間を形成している。
入力軸4には外周に環状の保持器8が設けられている。保持器8には周方向に8つのポケットが形成され、各ポケット9に係合子としてのローラ10が組込まれている。保持器8は周方向に回動可能になっており、図27中に矢印で示す通り、保持器8の回動に伴ってローラ10の位置も周方向に移動する。ローラ10がカム面の中央付近にある場合(図27の状態)では、ローラ10と外輪2との間には隙間があり、入力軸4と外輪2とは非係合状態にある。ローラ10がカム面の狭幅部分に移動すると外輪2と係合し、外輪2と入力軸4を一体化する。
図28に示す通り、保持器8と入力軸4の両者には、周方向の一部に切り欠き1があり、弾性部材であるスイッチバネ13が組み付けられている。保持器8に外力が作用していない状態では、スイッチバネ13の弾性力が周方向に作用し、ローラ10が非係合位置になるよう保持器8を保持する。
回転伝達装置には図26に示す通り、入力軸4と外輪2の間に電磁クラッチが組込まれている。この電磁クラッチは、ケース等に固定された電磁石16と、外輪2に固定されたロータ18と、アーマチュア21とからなる。アーマチュア21はロータ18と保持器8の間に設けられており、保持器8に対して回転不能で軸方向の移動は可能となっている。電磁石16に通電するとアーマチュア21が引きつけられ、アーマチュア21とロータ18とが摩擦力で結合した状態となる。この結果、保持器8は外輪2から回転方向の外力を受ける。この外力によって保持器8はスイッチバネ13の弾性力に抗じて周方向に移動し、ローラ10を係合位置に移動させる。こうして回転伝達装置は入力軸4と外輪2とが係合する。
電磁石16に通電しない状態では、アーマチュア21とロータ18との間に十分な摩擦力が働かないため、保持器8およびローラ10はスイッチバネ13の弾性力によって非係合位置に保持される。こうして回転伝達装置は非係合状態となる。かかる回転伝達装置は、電磁石16への通電により係合状態と非係合状態を速やかに切り替え可能である利点がある。
一方、一の回転軸と他の2つの回転軸との間で選択的に動力を伝達するクラッチとしては、例えば特開平7−91461記載の2方向2段クラッチが挙げられる。これは回転軸中心側から、内側軸、外側軸、ハウジングという3つの動力入出力部を有しており、外側軸を内側軸またはハウジングに選択的に結合可能にしたものである。具体的には外側軸の内周面を利用して内側軸と係合可能なローラクラッチを構成し、外側軸の外周面を利用してハウジングと係合可能なローラクラッチを構成している。
特開平10−59011号公報 特開平7−91461号公報
しかし、以上で紹介した従来技術としてのクラッチでは、一の回転軸と他の2つの回転軸との間で選択的に動力を伝達しつつ、その動作を電磁的作用により制御することができなかった。特開平10−59011に記載の回転伝達装置は電磁的に切断・結合を制御することができるものの、2つの回転軸間に適用することができるに過ぎない。
特開平7−91461記載の2段クラッチは手動で切り替える構成であり、電磁的作用によりその動作を制御することができない。また、特開平7−91461の切り替え機構は固定輪と可動輪という相対的に回転方向に移動する2つのカム面を使用するものであり、単一のカム面と保持器を使用する特開平10−59011記載の機構とは根本的に異なるものである。従って、特開平7−91461と特開平10−59011の両者に記載された技術の組み合わせによるクラッチを実現することも困難であった。
かかる課題を解決するためには、2組の電磁式クラッチを用い、一の回転軸と他の2つの回転軸との間で選択的に動力を伝達しつつ、その動作を電磁的作用により制御することができる電磁式2段クラッチを構成することが好ましい。ところが、電磁式2段クラッチでは、2つの電磁クラッチの一方で生じる磁界が他方の動作に影響を与えるおそれがある。かかる影響を回避するために、それぞれの電磁クラッチで生じる磁界の強さを弱めれば、十分な係合力を確保することができなくなる。本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、上述した磁界による弊害を回避しつつ、十分な係合力で係合可能な電磁式2段クラッチを提供することを目的とする。
上述の課題の少なくとも一部を解決するために、本発明は次の構成を採った。
本発明の第1の電磁式2段クラッチは、
回転軸中心から外側に順に設けられた内軸、中間軸、外軸と、中間軸と内軸とを電磁力の作用によって結合および切り離す内側電磁クラッチユニットと、中間軸と外軸とを電磁力の作用によって結合および切り離す外側電磁クラッチユニットとを備える電磁式2段クラッチであって、
前記内側電磁クラッチユニットおよび外側電磁クラッチユニットの少なくとも一方は、前記電磁力を生じさせるコイルと、磁性体で形成され、該コイルが巻回されるフィールドコアとを備え、
該フィールドコアは、前記回転軸を中心とし、前記電磁力を作用せしめる方向に開口し他方が閉鎖された断面形状の円輪であり、該断面形状の一部を構成する二側壁のうち内径側の肉厚が、少なくとも前記閉鎖側において外径側の肉厚よりも厚い形状をなしていることを要旨とする。
電磁式2段クラッチは、コイルに通電した際に生じる電磁力によってクラッチの結合および切り離しを行う。結合時に伝達可能な最大トルク、即ち、係合力は、電磁力の強さに基づいて定まる。従って、電磁式2段クラッチにおいて、コイルの大型化を招くことなく十分な係合力を確保するためには、電磁力を効率的に作用させる構成が必要となる。本発明の電磁式2段クラッチは、コイルを磁性体のフィールドコアに巻回しており、通電時にはこのフィールドコアに沿った磁界が形成される。フィールドコアは、一方が閉鎖されているから、磁束が閉鎖側に漏れるのを回避でき、開口部側に効率的に電磁力を作用させることができる。しかも、本発明のフィールドコアは、内径側の側壁が外径側よりも肉厚に構成されている。フィールドコアは円輪状の形状であるため、仮に内径側と外径側の肉厚が同等であれば、回転軸に直交する断面を見た場合、半径が小さい分だけ内径側の側壁の断面積の方が、外径側の側壁の断面積よりも小さくなってしまう。この状態で、コイルに通電すると、内径側の側壁で磁束が飽和状態となり、外径側の側壁には磁束が貫通する余裕があるにも関わらず発生する電磁力が抑制される結果となる。本発明の電磁式2段クラッチは、フィールドコアの内径側の側壁を肉厚にすることにより、この側壁で生じる磁束の飽和を緩和し、より効率的に電磁力を作用させることが可能となる。従って、装置の大型化を招くことなく、クラッチの係合力を増大することができる。
内径側の側壁を肉厚にすれば、その程度に応じて磁束飽和を緩和する効果が得られるが、好ましくは、前記二側壁の肉厚は、少なくとも前記閉鎖側で内径側の断面積と外径側の断面積とが同等となる関係にあることが望ましい。
こうすることにより、内径側の側壁、外径側の側壁の一方のみで磁束飽和を生じることなく、両者を貫通する磁気回路を効率的に形成することができる。
内径側の側壁の肉厚を厚くする構成は、種々の構成の電磁式2段クラッチに適用可能であるが、
前記中間軸は、前記回転軸に直交する径方向側面を挟んで一方が太径、他方が細径の軸であり、
前記内側電磁クラッチおよび外側電磁クラッチを構成するフィールドコアが、ともに前記中間軸の細径部と外軸との間に介在されている電磁式2段クラッチに適用する場合に有効性が高い。かかる構成の電磁式2段クラッチの場合には、中間軸と外軸との間への収納を可能とするため、フィールドコアを小型化する必要性が高いが、本発明の構成を適用することにより、小型化を図しても十分な電磁力を作用させることができる点で有効性が高い。
上述の構成は、例えば、
前記内側電磁クラッチを形成するフィールドコアは、前記閉鎖側の一部の領域において、前記内径側の側壁の肉厚が開口部近傍の肉厚よりも回転軸中心方向に厚い肉厚部をなし、
前記中間軸の前記細径部は、前記フィールドコアの前記該肉厚部と径方向に対向する領域の径が、前記フィールドコアの前記開口部近傍と対向する領域における径よりも細く形成することにより実現できる。
フィールドコアをいわゆる段付き形状にし、中間軸の細径部の径をそれに合わせて変化させるのである。こうすることで、フィールドコアをコンパクトに収納する要求と、内径側の側壁の肉厚を厚くする要求とを同時に満足する構成を実現することができる。
本発明の第2の電磁式2段クラッチは、
回転軸中心から外側に順に設けられた内軸、中間軸、外軸と、中間軸と内軸とを電磁力の作用によって結合および切り離す内側電磁クラッチユニットと、中間軸と外軸とを電磁力の作用によって結合および切り離す外側電磁クラッチユニットとを備える電磁式2段クラッチであって、
前記中間軸は、磁性体で形成され、前記回転軸に直交する径方向側面を挟んで一方が太径、他方が細径の軸であり、
前記内側電磁クラッチユニットおよび外側電磁クラッチユニットの少なくとも一方は、前記径方向側面を貫通する磁気回路を形成することによって、前記電磁力を作用せしめる電磁石を備え、
前記径方向側面は、該側面に沿って径方向に貫通する磁束の形成を抑制する抑制機構が備えられるとともに、前記電磁石から放射される磁束が貫通する放射側領域と、前記電磁石に入射する磁束が貫通する入射側領域とが同等の断面積を有する形状であることを要旨とする。
ここで、前記抑制機構は、例えば、前記径方向側面に設けられた孔であるものとすることができる。他にも、径方向側面の一部の肉厚を薄くするものとしてもよいし、非磁性体のリングを径方向側面に埋め込むものとしてもよい。
先に説明したように、中間軸と外軸との間にフィールドコアを配置する構成を採用することにより、電磁式2段クラッチの小型化を図ることができる。中間軸と内軸との間にフィールドコアを配置するものとしてもよい。かかる場合、電磁石は、中間軸の径方向側面を貫通する磁束によって電磁力を作用させることになる。この場合、径方向側面から外部に出ることなく、その内部を径方向に通り抜ける磁束が生じると、外部に作用する磁束が減少し、電磁力が弱まってしまう。また、貫通する磁束の入射側領域と放射側領域との面積が相違すれば、いずれか一方で磁束飽和が生じるため、電磁力が弱まってしまう。上記構成の電磁式2段クラッチによれば、抑制機構によって径方向側面の内部を通り抜ける磁束が形成されるのを抑制し、入射側領域と放射側領域の面積を同等にすることにより、いずれか一方の領域で磁束飽和が生じることを回避することができる。従って、装置の小型化を図りつつ、電磁力を効率的に作用させることができる。
このように入射側領域と放射側領域の面積が同等に構成された電磁式2段クラッチが、前記電磁力によって前記径方向側面に吸着される吸着体であるアマチュアと、該アマチュアと前記径方向側面とを離反する離反用弾性部材とを、前記径方向側面を挟んで前記電磁石と対向する側に備える構造である場合には、
前記径方向側面は、実質的に磁束が貫通可能な領域、即ち、前記径方向側面が前記アマチュアと対向する領域から、前記抑制機構および前記離反用弾性部材が備えられている領域を除いた領域について、前記放射側領域と入射側領域の面積が等しい条件を満足する形状とすることが好ましい。磁束は、アマチュアと径方向側面の対向する領域で形成されるとともに、離反用弾性部材や抑制機構は、径方向側面を貫通する磁束をほとんど形成し得ないからである。
なお、アマチュアは種々の形状を適用することができるが、好ましくは、前記径方向側面に吸着される面の面積が、前記回転軸に直交する断面の面積のうち最大値となる形状を有することが望ましい。こうすることにより、吸着される面でアマチュア内部に磁束飽和が生じることを回避することができる。アマチュアは、円板状に形成されることが多いが、かかる場合、上記形状は、径方向側面との吸着側について面取り加工を省略することにより容易に実現することができる。
また、径方向側面を貫通して電磁力を作用させる構成の電磁式2段クラッチでは、電磁力を効率的に作用させるために、中間軸のうち、少なくとも前記磁気回路を形成する領域は熱処理を施されていない材料で構成することが望ましい。
中間軸は、一般に鋼などの磁性体で形成するのが通常であり、強度を向上するために焼き入れなどの熱処理を施すのが通常である。しかしながら、これらの熱処理を施すことにより、磁束の貫通が抑制されることが知られている。従って、磁気回路を形成する領域は熱処理を施さないことにより、効率的に磁気回路を形成することができる。これに併せて、磁気回路を形成する領域以外の領域には熱処理を施すものとすれば、中間軸の強度を十分に確保することができるとともに、これらの領域に漏れる磁束を抑制することができ、磁気回路をより効率的に形成することが可能となる。なお、このように部分的に熱処理を禁止する方法としては、熱処理を禁止する箇所に所定の塗料を塗布した上で、全体に熱処理を施す方法などが知られている。
このように部分的に熱処理を禁止する場合、その領域は、電磁式2段クラッチの構成に応じて磁気回路を効率的に形成できるように種々設定することができるが、一例としては、前記径方向側面を含み、フィールドコアと径方向に対向する面に至る連続領域であるものとすることができる。先に説明した通り、磁気回路は、フィールドコアに沿って形成されるため、径方向側面のみならず、フィールドコアと対向する面に至る領域に熱処理を禁止することにより、効率的に磁気回路を形成することが可能となる。
本発明の第3の電磁式2段クラッチは、
回転軸中心から外側に順に設けられた内軸、中間軸、外軸と、中間軸と内軸とを電磁力の作用によって結合および切り離す内側電磁クラッチユニットと、中間軸と外軸とを電磁力の作用によって結合および切り離す外側電磁クラッチユニットとを備える電磁式2段クラッチであって、
前記内側電磁クラッチユニットにおいて前記電磁力を生じさせる内側コイルと、
前記外側電磁クラッチユニットにおいて前記電磁力を生じさせる外側コイルと、
磁性体で形成され、前記内側コイルが巻回される内側コアと外側コイルが巻回される外側コアとを有するフィールドコアを備え、
該フィールドコアは、前記内側コアと外側コアとを貫通する磁束の形成を抑制する抑制機構を備えることを要旨とする。
電磁式2段クラッチでは、内側電磁クラッチユニットと外側電磁クラッチユニットが個別に適正に動作することが必要である。例えば、一方の電磁クラッチユニットをオンにした場合に、そこで生じた磁界が他方の電磁クラッチユニットに影響を与え、他方の電磁クラッチまでオンになる不適切な動作を回避する必要がある。このような不適切な動作は、一方の電磁クラッチユニットにより生じた磁束が、他方の電磁クラッチユニット周りに磁気回路を形成することによって誘因される。本発明の第3の電磁クラッチユニットによれば、外側コアと内側コアの連結部に備えられた抑制機構により、両者を貫通する磁気回路の形成が抑制される。従って、かかる電磁式2段クラッチによれば、内側電磁クラッチユニットと外側電磁クラッチユニットを個別に適切に動作させることができる。
ここで、前記抑制機構は、例えば、前記フィールドコアにおいて、前記内側コアと外側コアの連結部に、設けられた孔であるものとすることができる。その他、連結部の一部で肉厚を薄くするものとしてもよいし、連結部に非磁性体の部材を埋め込むものとしてもよい。
また、前記内側電磁クラッチユニットおよび外側電磁クラッチユニットは、それぞれ前記電磁力によって吸着される吸着体であるアマチュアを備える場合には、
前記抑制機構は、前記内側電磁クラッチユニットおよび外側電磁クラッチユニットの少なくとも一方のアマチュアと軸方向の位置を合わせて、前記中間軸に設けられた非磁性体のリングであるものとすることもできる。内側電磁クラッチユニットと外側電磁クラッチユニットの両者を貫通する磁気回路は、アマチュアを貫通する状態で形成されるから、アマチュアに位置を合わせて非磁性体のリングを備えれば、かかる磁気回路の形成を抑制することができるのである。
内側電磁クラッチユニットと外側電磁クラッチユニットの両者を貫通する磁気回路の形成を抑制するために、
前記内側コアと外側コアの連結部に取り付けられ、前記フィールドコアを外部の固定部材に固定するためのアダプタを備える場合には、このアダプタを非磁性体で形成することも好ましい。こうすることによって、アダプタを通って、内側電磁クラッチユニットと外側電磁クラッチユニットの両者を貫通する磁気回路が形成されることを抑制することができる。
電磁式2段クラッチにおいて、以上では、電磁力を有効に作用させることにより、装置の大型化を招くことなくクラッチの係合力および適切な動作を確保する発明を説明した。クラッチは少なくとも一部で摩擦力を利用して2軸を係合させる作用を奏するものであるから、装置の大型化を招くことなく係合力を強めるという課題を解決する方法としては、摩擦力を高める方法を採ることもできる。
かかる観点でなされた本発明の第4の電磁式2段クラッチは、
回転軸中心から外側に順に設けられた内軸、中間軸、外軸と、中間軸と内軸とを電磁力の作用によって結合および切り離す内側電磁クラッチユニットと、中間軸と外軸とを電磁力の作用によって結合および切り離す外側電磁クラッチユニットとを備える電磁式2段クラッチであって、
前記内側電磁クラッチユニットおよび外側電磁クラッチユニットの少なくとも一方は、
それぞれ結合対象となる2軸のうち一方に備えられた摩擦係合面と、
前記2軸のうち他方の軸と相対的な回転不能に連結され、電磁力の作用によって前記摩擦係合面と吸着するアマチュアと、
前記アマチュアに電磁力を作用せしめる電磁石とを備え、
さらに、前記電磁力を作用させた場合に前記摩擦係合面とアマチュアとの接触面に介在する潤滑油を除去する潤滑油除去機構を備えるクラッチユニットであることを要旨とする。一般にクラッチは回転機構であるため、潤滑油が不可欠であるが、かかる構成を適用すれば、摩擦係合面に付着した潤滑油を除去することができるから、摩擦力を十分に確保することができ、クラッチの係合力を強めることができる。
潤滑油除去機構は、種々の機構を適用することができ、
例えば、前記潤滑油除去機構として、前記2軸のうち外周に位置する軸には、前記摩擦係合面の近傍に該摩擦係合面に付着した潤滑油を排出する排出孔を備えるものとしてもよいし、
前記摩擦係合面またはアマチュアの少なくとも一方に設けられた径方向に延伸し、遠心力の作用によって前記摩擦係合面に付着した潤滑油を排出する潤滑油排出溝であるものとしてもよい。
前者の態様によれば、外周側に位置する軸に排出孔が設けられているため、遠心力の作用によって、潤滑油を外部に排出することができる。排出孔は、摩擦係合面の近傍のうち、特に、摩擦係合面と軸方向の位置を合わせて設けることが好ましい。後者の態様によれば、係合時に、少なくとも摩擦係合面とアマチュアとの間に潤滑油が介在することを回避することができる。
以上で説明した本発明の各電磁式2段クラッチは、結合対象となる2軸を電磁力の作用で吸着させ、両者間の摩擦力によってトルクを伝達する機構によって構成するものとしてもよいが、
前記内側電磁クラッチユニットおよび外側電磁クラッチユニットは、
それぞれ結合対象となる2軸の断面形状は、両者が対向する面の径方向の間隔が周方向の位置によって変動する形状であり、
前記径方向の間隔の最小値と最大値の間の径を有し、前記2軸の間に備えられたローラと、
前記2軸のうち一方に相対的に回転可能に連結され、前記ローラを保持する保持器と、
前記2軸のうち他方に固定された第1の摩擦係合器と、
前記保持器と相対的な回転不能に連結され、電磁力の作用によって前記摩擦面と接触および離反可能に設けられた第2の摩擦係合器と、
前記第2の摩擦係合器に前記電磁力を作用せしめる電磁石とを備えるクラッチユニットであるものとすることがより好ましい。つまり、ローラクラッチを適用して構成することが望ましい。ローラクラッチは、電磁力の作用によって摩擦係合器を係合させ、そこで作用する摩擦力によってローラの位置を移動させて2軸を係合させる機構である。係合位置にローラが移動した後は、ローラを介してトルクが伝達されるため、小型の装置で大きなトルクを伝達することができる利点がある。本発明は、装置の小型化を図りつつ、係合力を確保することを目的としているため、かかる機構により構成された電磁式2段クラッチに有効に適用することができる。なお、以上で説明した第1ないし第4の電磁式2段クラッチは、それぞれの要素を併せ持つ電磁式2段クラッチとして構成することも可能である。
実施例としての電磁式2段クラッチの概略構成を示す説明図である。 内側回転部100の構成を示す説明図である。 内側回転部100のA−A断面を示す断面図である。 内側回転部100のB−B断面を示す断面図である。 外側回転部300の構成を示す説明図である。 中間回転部200の構成を示す説明図である。 比較例としての電磁式2段クラッチの概略構成を示す説明図である。 実施例と比較例のコアの形状を対比して示す説明図である。 比較例のコア404Aについての磁場解析の結果を示す説明図である。 実施例のコア404についての磁場解析の結果を示す説明図である。 中間軸の熱処理について示す説明図である。 径方向側面、アマチュアの形状および位置関係を示す説明図である。 比較例としての電磁式2段クラッチにおける磁気回路の様子を示す説明図である。 本実施例の電磁式2段クラッチの連結部406近傍の構造を示す説明図である。 コアおよび連結部を回転軸方向から見た状態を示す説明図である。 貫通磁束抑制機構を備えない電磁式2段クラッチにおいて、外側クラッチユニットのみをオンさせた場合の磁気回路の様子を示す説明図である。 貫通磁束抑制機構を備える電磁式2段クラッチにおいて、外側クラッチユニットのみをオンさせた場合の磁気回路の様子を示す説明図である。 貫通磁束抑制機構を備えない電磁式2段クラッチにおいて、内側クラッチユニットのみをオンさせた場合の磁気回路の様子を示す説明図である。 貫通磁束抑制機構を備える電磁式2段クラッチにおいて、内側クラッチユニットのみをオンさせた場合の磁気回路の様子を示す説明図である。 磁性体で形成されたアダプタ405を備える電磁式2段クラッチにおいて、内側クラッチユニットのみをオンさせた場合の磁気回路の様子を示す説明図である。 潤滑油排出機構の構成を示す説明図である。 中間軸に設けられた排出孔の様子を示す説明図である。 アマチュア207を回転軸方向から見た状態を示す説明図である。 第1の変形例としての電磁式2段クラッチの構成を示す説明図である。 第2の変形例としての電磁式2段クラッチの構成を示す説明図である。 従来技術としての回転伝達装置の回転軸を含む断面の断面図である。 従来技術としての回転伝達装置の回転軸に直交する断面の断面図である。 従来技術としての回転伝達装置について保持器の組み付け状態を示す断面図である。
本発明の実施の形態について実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.全体構成
B.内側回転部の構成
C.外側回転部の構成
D.中間回転部の構成
E.電磁式2段クラッチの動作
F.比較例としての電磁式2段クラッチの構成:
G.コア形状の肉厚による作用:
H.中間軸の熱処理による作用:
I.径方向側面とアマチュアとの相互作用:
J.コア、アダプタの形状および材質による作用:
K.潤滑油排出機構による作用:
L.電磁式2段クラッチの適用例:
M.変形例:
A.全体構成:
図1は実施例としての電磁式2段クラッチの概略構成を示す説明図である。回転軸を含む断面図で示した。本実施例のクラッチは、3つの回転ユニットと1つの固定ユニットから構成される。回転ユニットは回転軸側から内側回転部100、中間回転部200、外側回転部300の順に配置され、それぞれ軸受501〜504により相対的に回転可能に組み付けられている。軸受501,502は針状ころ軸受であり、軸受503,504は玉軸受である。各回転部の構成は後で詳述する。
固定ユニット400は磁性体で形成され、電磁石を形成するコイル401,403を収納するコア402,404を有している。固定ユニット400はアダプタ405を介してクラッチの収納ケース等にボルトで固定される。
B.内側回転部の構成:
図2は内側回転部100の構成を示す説明図である。図1の全体構成のうち、内側回転部100およびその周囲のみを示した。実線で示した部分が内側回転部100に相当する。内側回転部100の動力伝達軸は内軸101である。内軸101の外周にはカム102が固定されている。図3は内側回転部100のA−A断面を示す断面図である。図示する通り、カム102は正十角形の断面形状をなしている。中間回転部200の動力伝達軸となる中間軸201の内周は円形断面であるため、この内周面とカム102の外周面との間隔は正十角形の頂点近傍で狭く、各辺の中央近傍で広い擬楔状空間を形成している。なお、カム102は内軸101と一体形成しても構わない。
カム102の外周には保持器105およびローラ104が周方向に回転可能に組み付けられている。図3に示す通り、保持器105は周方向に10カ所のポケットがあり、10個のローラ104が保持器105の各ポケットに入っている。ローラ104の径は中間軸201とカム102との間隔の最大値よりも小さく、最小値よりも大きい値である。つまり、ローラ104が擬楔状空間の中央付近にある場合には、カム102、ローラ104、中間軸201の間に隙間が生じ、内軸101と中間軸201の間で動力の伝達はできない。
ローラが図3中に矢印で示す通り、周方向に移動し、擬楔状空間の両端WRまたはWL近傍に来ると、カム102、ローラ104、中間軸201が一体的に係合し、内軸101と中間軸201の間で動力の伝達が可能となる。内軸101が右側に回転している場合にはローラ104がWR部で係合することにより、中間軸201に動力を伝達することができる。左側に回転している場合にはローラ104がWL部で係合することにより、中間軸201に動力を伝達することができる。
このように本実施例のクラッチは、ローラ104の位置によって内軸101と中間軸201との結合・切り離しを行うことができる。続いて、ローラ104の位置を制御するための機構について説明する。図2に示す通り、保持器105およびカム102には一端にスイッチバネ103が取り付けられている。図4は内側回転部100のB−B断面を示す断面図である。カム102および保持器105はそれぞれ一部に切り欠きが設けてあり、そこにスイッチバネ103がセットされている。スイッチバネ103は図4中に矢印で示す方向に弾性力を作用させ、外力が働かない状態では保持器105を図示する位置、即ちニュートラル状態に保つ。
図2に示す通り、保持器105にはスイッチバネ103と同じ側の端の数カ所に円柱状の突起106が固定されている。また、この突起106に円板状のアマチュア107がはめ込まれている。アマチュア107は突起106があるため、保持器105と一体的に回転する。しかしながら、アマチュア107は突起106に固定されている訳ではなく、若干の隙間をもってはめ込まれており、回転軸方向に移動可能になっている。アマチュア107には離反バネ108が設けられており、この離反バネ108によりアマチュア107は中間軸201の径方向側面210から離反する方向に付勢されている。
コイル403に通電すると、アマチュア107が離反バネ108に抗して中間軸201の径方向側面210に吸着し、両者は一体となって回転しようとする。アマチュア107と径方向側面210との吸着力は十分強いため、スイッチバネ103の弾性力に抗じて保持器105も周方向に移動する。従って、ローラ104の位置が周方向に移動し、先に図3で説明した通り、内軸101と中間軸201とが係合状態となる。このように本実施例では、カム102、ローラ104、保持器105および突起106、アマチュア107および離反バネ108、スイッチバネ103、コイル403、径方向側面210が内側クラッチユニットを構成する。アマチュア107および径方向側面210が内側クラッチユニットの摩擦係合器に相当する。
C.外側回転部の構成:
図5は外側回転部300の構成を示す説明図である。図1の概略構成のうち、外側回転部300に相当する部分を示した。外側回転部300の動力伝達軸は外軸301である。外軸301にはコイル401に対向する部位にロータ302がはめ込まれている。ロータ302は磁性体で形成されており、リング形状をなしており、外軸301と一体的に回転するように固定されている。ロータ302の回転を妨げないよう、ロータ302とコイル401との間にはわずかの隙間が設けてある。ロータ302は、外側電磁クラッチユニットの摩擦係合器となる。外軸301はその動力をチェーンベルトで抽出できるよう、一部がスプロケット303となっている。なお、コイル401で形成された磁束が外軸301側に逃げることを回避するために、外軸301とロータ302との間には非磁性体のリング302aがはめ込まれている。
D.中間回転部の構成:
図6は中間回転部200の構成を示す説明図である。図1の概略構成のうち、中間回転部200およびその近傍を示した。中間回転部200の動力伝達軸は中間軸201である。中間軸201は鋼で形成されており、図示する通り、フランジとなる円板状の径方向側面210を挟んで太径部と細径部とを有している。太径部の外周と、外軸301との間で外側電磁クラッチユニットが構成される。外側電磁クラッチユニットの構成は、内側電磁クラッチユニットとほぼ同じである。中間軸201の太径部の外周にカム202が固定されている。カム202の外周にはローラ204と保持器205がスイッチバネ203と共に組み付けられている。保持器205には突起206が設けてあり、アマチュア207が挿入されている。このアマチュア207には、ロータ302から離反させる方向に付勢している離反バネ208が設けられている。これらの各要素、およびロータ302、コイル401が外側電磁クラッチユニットを構成する。その動作は、内側電磁クラッチユニットと同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
既に説明した通り、中間軸201は外周面に設けられたカム202等が外側電磁クラッチユニットを構成すると同時に、内周面および径方向側面210が内側電磁クラッチユニットを構成する。中間軸201には、コイル403に通電した際に、径方向側面210、内軸に備えられたアマチュア107を貫通してコア404に戻る磁気回路を適切に形成する機構として、長孔211とリング209が設けられている。長孔211の形状は、後述するが、径方向側面210にこのような孔を設けることにより、径方向側面210を貫通する磁気回路の形成を抑制することができる。また、リング209は非磁性体で形成されており、かかるリングを設けることにより、上述の磁気回路から磁束が漏れることを抑制できる。
E.電磁式2段クラッチの動作:
以上で説明した本実施例の電磁式2段クラッチの動作について説明する。コイル401、403に通電していない状態では、外側クラッチユニットおよび内側クラッチユニットのアマチュア207,107はそれぞれロータ302、径方向側面210から離れた状態にあり、内軸101、中間軸201、外軸301は互いに切り離された状態となる。コイル401に通電すると、アマチュア207がロータ302に吸着し、外側クラッチユニットが係合する結果、中間軸201と外軸301とが係合状態となる。コイル403に通電すると、アマチュア107が径方向側面210に吸着し、内側クラッチユニットが係合する結果、中間軸201と内軸101とが係合状態となる。コイル401,403の双方に通電すれば、内側クラッチユニット、外側クラッチユニットの双方が係合状態となる結果、内軸101、中間軸201、外軸301は全て一体的に回転する。
コイル401,403への通電制御は、種々の方法で実現可能である。例えば、リレーを介してコイル401,403を電源に接続しておき、制御信号でリレーをオン・オフして通電を制御することができる。リレーに代えてトランジスタやサイリスタ等のスイッチング素子を用いるものとしてもよい。
以上で説明した実施例の電磁式2段クラッチによれば、コイル401,403への通電制御により、中間軸201と内軸101および外軸301との結合状態を速やかに切り替えることができる。なお、こうした動作を適切に実現するためには、第1にコイル401,403への通電時にアマチュア107、207を十分吸着可能な電磁力が作用することが必要である。第2に外側クラッチユニットを構成するコイル401に通電した場合には対応するアマチュア207のみが吸着され、内側クラッチユニットを構成するコイル403に通電した場合には対応するアマチュア107のみが吸着されることが必要である。第3にアマチュア107,207を吸着した際に、ローラを移動せしめるのに十分な摩擦力が作用することが必要である。本実施例では、種々の構成により、これらの作用を奏している。以下では、まず本実施例と類似の構成を備える電磁式2段クラッチを比較例として示し、これとの比較によって、上述の各作用を奏するために本実施例に備えられた構成について説明する。
F.比較例としての電磁式2段クラッチの構成:
図7は比較例としての電磁式2段クラッチの概略構成を示す説明図である。回転軸を含む断面図である。比較例としての電磁式2段クラッチの構成は、実施例の電磁式2段クラッチの構成とほぼ同じであり、クラッチの動作原理についても同じであるため、ここでは、実施例と比較例の相違点についてのみ説明する。
第1に比較例と実施例とは、コア404、404Aの内径側の側壁の肉厚が相違する。図7中に示した領域α部分の肉厚である。実施例のコア404の肉厚は、比較例のコア404Aの肉厚よりも厚くなっている。第2に径方向側面210,210Aの熱処理が相違する。かかる相違は、図面には現れないが、比較例の径方向側面210Aは熱処理が施されており、実施例の径方向側面210は熱処理が施されていない。第3に径方向側面210,210Aおよびアマチュア107,107Aの形状および両者の位置関係が相違する。かかる相違については、後で詳述する。第4にコアの連結部406Aの形状が相違する。比較例では、連結部406Aにスリットが設けられていないが、実施例では、後述する通り、この部分にスリットが設けられている。第5にアダプタ405,405Aの材料が相違する。かかる相違は、図面には現れないが、比較例のアダプタ405Aは磁性体で形成されており、実施例のアダプタ405は非磁性体で形成されている。第6に潤滑油排出機構が相違する。この機構については、後で詳述する。
実施例の電磁式2段クラッチは、これらの相違により、比較例の電磁式2段クラッチよりも係合力が強く、適切な動作を確保することができるという利点がある。以下、それぞれの作用について個別に説明する。
G.コア形状の肉厚による作用:
図8は実施例と比較例のコアの形状を対比して示す説明図である。図の右側には、実施例のコア402,404の回転軸を含む平面における断面図を示した。図の左側には、比較例のコアの断面図を示した。これらの断面図については、回転軸の上半分のみを示した。図の中央には、回転軸側から見た場合の正面図を示した。
図示する通り、実施例のコア404は、コイル403を2つの側壁413,414で保持している。外径側の側壁413は、軸方向に一定の肉厚を有しており、内径側の側壁414は付け根近傍で肉厚が厚くなっている。これに対し、比較例のコア404Aは、外径側の側壁413A、内径側の側壁414Aともに一定の肉厚に形成されており、両者の肉厚も等しい。実施例と比較例とは、内径側の側壁414,414Aの肉厚が相違するのみであり、その他の形状および材質は同一である。
コイル403に通電すると、図中に矢印で示すように、コア404の内部を貫通し、外径側の側壁413から入射して内径側の側壁414から放射する磁束が形成される。電流の向きによってはこれと逆向きの磁束が形成される場合もある。コア404は回転軸を中心とする円輪状に形成されているから、外径側の側壁413を貫通する磁束は、図の中央における領域S1を貫通することになる。内径側の側壁414を貫通する磁束は、付け根部分では、実線で囲まれたドーナツ形の領域S2を貫通することになる。一方、比較例の場合、外径側の側壁413Aを貫通する磁束は、流域S1を貫通することになるが、内径側の側壁414Aを貫通する磁束は、図中の実線と破線で挟まれた領域S3を貫通することになる。
一般に磁性体を貫通可能な磁束の密度には、磁性体の種類に応じた上限値がある。磁束密度がこの上限値に達すると、磁束飽和が生じるため、コイル403への通電量を増やしても、いわゆる磁束の漏れが増すだけであり、磁気回路を効率的に形成することができなくなる。
比較例のコア404Aでは、側壁413A、414Aが同じ肉厚で形成されているから、内径側の側壁414Aの方が半径が小さい分、領域S3の面積は領域S3の面積よりも小さくなる。従って、コイルへの通電力を増していくと、内径側の側壁414Aで磁束飽和が生じ、外径側の側壁413Aには、磁束密度に余裕があるにもかかわらず、電磁力を強めることができなくなる。
実施例のコア404は、かかる弊害を回避する観点から肉厚が設定されており、内径側の側壁414の付け根部の肉厚は、側壁414を磁束が貫通する領域S2の面積が外径側の側壁413を磁束が貫通する領域S1の面積と同等になるように設定されている。半径が小さい分、内径側の側壁414の方が肉厚が厚くなるのである。このように設定することにより、実施例のコア404は、コイル403に通電した場合に、側壁413,414のいずれか一方でのみ磁束飽和が生じることを回避でき、最も効率的に磁気回路が形成できるようになる。
図9は比較例のコア404Aについての磁場解析の結果を示す説明図である。コイルに所定の電流を通電した場合の磁力線の様子を数値計算により求めた結果を示した。図示する通り、通電によりコア404Aの側壁413A、414Aおよび中間軸を貫通する磁気回路が形成されるが、内径側の側壁414Aの付け根部分(図中の領域β)において、磁力線が非常に密になっており、磁束飽和が生じていることが分かる。
図10は実施例のコア404についての磁場解析の結果を示す説明図である。比較例と同じ電流を通電した場合の磁力線の様子を示した。図示する通り、内径側の側壁414の肉厚を厚くすることによって、付け根部分(図中の領域γ)での磁束密度が緩和されていることが分かる。このように本実施例の電磁式2段クラッチは、コア404の内径側の側壁414の肉厚を厚くすることによって、通電時の磁気回路を効率的に形成することができ、電磁力を有効に作用させることができる。従って、クラッチの係合力を強化することができる。
なお、ここでの説明は、内側クラッチユニットを例にとって説明したが、外側クラッチユニットも同様に、コアの肉厚は、外径側の側壁よりも内径側の側壁を厚くすることが磁気回路を形成する上で好ましい。本実施例では、かかる条件を満足するように各側壁の肉厚が設定されている。
また、本実施例では、内径側の側壁414の肉厚を付け根部分でのみ厚くする場合を例示した。コア404の寸法上の制約が緩い場合には、付け根部分に限定せず、内径側の側壁414の全体に亘って肉厚を厚くしてもよい。本実施例では、図10に示す通り、付け根部分のみの肉厚を厚くし、中間軸201の径をこれに合わせて細くした。こうすることにより、側壁414を貫通する磁束を中間軸201に流すことができ、磁気回路の形成を妨げることなく、装置の小型化を図ることができる。
本実施例では、内径側の側壁414を磁束が貫通する領域と、外径側の側壁413を磁束が貫通する領域の面積が同等になるように肉厚を設定した。肉厚は、必ずしもかかる条件を満足する必要はなく、内径側の側壁414の肉厚が外径側の側壁413の肉厚よりも厚ければ、磁束飽和を緩和する効果を得ることができる。
H.中間軸の熱処理による作用:
図11は中間軸の熱処理について示す説明図である。先に説明した通り、本実施例の電磁式2段クラッチは、コイル403に通電すると、図11中に矢印で示したようにコア404からアマチュア107を貫通する磁気回路を形成して、アマチュア107を吸引する。アマチュア107に十分な電磁力を作用させるためには、磁気回路を効率的に形成する必要がある。
磁気回路を効率的に形成するために、本実施例では、中間軸201について、磁束の通り道となる箇所は、焼き入れを施さずに形成している。焼き入れを施さない領域は、具体的には、コア404と径方向に対向する面から径方向側面210に至る領域である。本実施例では、中間軸201は鋼で形成されており、大トルクを伝達可能に強度を高めるため、焼き入れが施されている。しかしながら、一般に鋼などの磁性体材料は、焼き入れを施すことにより、磁気回路が形成されにくくなることが知られている。従って、コイル403への通電時に磁気回路を形成する箇所については、焼き入れを禁止することによって、磁気回路を効率的に形成させているのである。このように部分的に焼き入れを禁止する方法としては、焼き入れを禁止する領域201aに所定の塗料を塗布した後、中間軸201全体に焼き入れ処理を施す方法が知られている。
I.径方向側面とアマチュアとの相互作用:
本実施例では、図11に示した磁気回路をより効率的に形成することができるよう、径方向側面210、アマチュア107の形状および両者の位置関係が設定されている。先にコア404について生じる磁束飽和の現象について説明した。これと同じ理由から、図11の磁気回路においても、磁束飽和を生じることなく効率的に磁気回路を形成するためには、径方向側面210から磁束が放射する領域の面積と、入射する領域の面積を同等にしておくことが望ましい。本実施例では、かかる関係を満足するように、径方向側面210、アマチュア107の形状および両者の位置関係を設定しているのである。
また、図11に示した磁気回路を形成するためには、径方向側面210からアマチュア107側に磁束が放射される必要がある。かかる磁束を確保するため、径方向側面210を完全に貫通する磁気回路の形成を抑制することが望ましい。本実施例では、径方向側面にスリット211を設け、かかる磁気回路の形成を抑制している。スリット211に相当する位置で、径方向側面210の肉厚を薄くしたり、非磁性体のリングを埋め込むことも好ましい。
図12は径方向側面、アマチュアの形状および位置関係を示す説明図である。図12の右側には、径方向側面210について図11中のD方向に見た場合の視図を示した。図12の左側には、アマチュア107について図11中のC方向に見た場合の視図を示した。図12の中央には、組み付けられた状態における径方向側面210とアマチュア107を示した。
図12の右側に示す通り、径方向側面210には、その側面に沿った磁気回路の形成を抑制するスリット211が設けられている。このスリット211よりも内側の領域で径方向側面210からアマチュア107に向けて磁束が放射され、外側の領域で径方向側面210に磁束が入射される。
一方、アマチュア107には、磁気回路の形成を阻害する領域が2つ存在する。一つは、離反バネ108を保持する溝108aである。図12において破線の円で挟まれた領域が溝108aに相当する。この領域には、電磁力が作用していない場合にアマチュア107を径方向側面210から離反させる離反バネ108が埋め込まれる。従って、かかる領域は、径方向側面210との距離が大きく、磁気回路の形成に寄与し難い状態にある。磁気回路の形成を阻害する2つめの領域は、スリット106aである。このスリット106aは、アマチュア107を内軸101と相対的に回転不能に保持する役割を果たす突起106が挿入される孔であり、直径方向に2カ所設けられている。アマチュア107では、この2つの領域を除いた領域で磁束の入射および放射が行われることになる。
磁気回路を効率的に形成するためには、径方向側面210とアマチュア107との間で磁束の入射領域と放射領域の面積が等しくなることが望ましい。しかしながら、径方向側面210について入射領域と放射領域の面積が等しくなるようにスリット211の位置を決定しても、アマチュア107の溝108a、スリット106aとの位置関係によっては、双方の領域の面積が等しくならない可能性がある。本実施例では、かかる観点から、径方向側面210とアマチュア107とを組み付けた場合に、実際に磁束が貫通可能な領域を対象として入射領域と放射領域の面積が等しくなるように、両者の形状および位置関係を決定した。
図12の中央に示すように、径方向側面210とアマチュア107とを組み付けた場合、実際に磁束が貫通可能な領域は、径方向側面210の面積から、スリット211を除き、さらに、アマチュア107のスリット106aおよび溝108aを除いた領域に相当する。かかる領域を可能な限り広く確保するためには、スリット211、106aの位置を一致させることが好ましい。また、アマチュア107と径方向側面210とが接触する領域を十分確保しておくことも望ましい。本実施例では、図11の領域107aに示す通り、径方向側面210と接触する領域では、アマチュア107の面取りを行わないことにより、両者の接触面積が減少することを回避した。
このようにスリット211,106aの位置を決めると、実際に磁束が貫通する領域は、図12の中央において、ハッチングを付した3つの領域A1〜A3となる。本実施例では、内側の2つの領域A2,A3の面積の和と、外側の領域A1の面積が等しくなるように溝108aの位置および幅が決定されている。もちろん、領域A1、A2の面積の和と、領域A3の面積とが等しくなるように設定することも可能である。また、ここでは、離反バネ108の溝108aがスリット106aよりも内側にある場合を例示したが、スリット106aの外側に離反バネ108を組み付けるものとしても構わない。
このように実際に磁束が貫通する領域を対象として、入射側領域と放射側領域の面積を同等にすることにより、本実施例の電磁式2段クラッチでは、磁気回路を効率的に形成することが可能となる。もちろん、両者の面積は、厳密に一致させる必要はなく、その他の設計上の制約が許す範囲で近い値に設定すればよい。
J.コア、アダプタの形状および材質による作用:
図13は比較例としての電磁式2段クラッチにおける磁気回路の様子を示す説明図である。ここでは、外側クラッチユニットを構成するコイル401Aに通電した場合の状態を示した。既に説明した通り、コイル401Aに通電すると、コア402Aおよびアマチュア207Aを貫通する磁気回路が形成され、アマチュア207Aが吸着される。しかし、コア402A、コア404Aおよび連結部406Aは磁性体で一体的に成形されているため、コア402Aを貫通する磁気回路の一部は連結部406Aを貫通し、さらには、コア404Aおよびアマチュア107Aを貫通する磁気回路(図中の破線で示す磁気回路)をも形成する。かかる磁気回路が形成されると、外側クラッチユニットをオンにするためにコイル401Aに通電しただけで、内側クラッチユニットのアマチュア107Aまでが吸着され、内側クラッチユニットまでオンになる可能性がある。また、これと逆の現象が、内側クラッチユニットを構成するコイル403Aに通電した場合に生じる可能性がある。本実施例では、以下に示す種々の機構(以下、貫通磁束抑制機構と呼ぶ)により、コア402A、404Aの両者を磁束が貫通することを抑制している。
図14は本実施例の電磁式2段クラッチの連結部406近傍の構造を示す説明図である。第1の貫通磁束抑制機構として、本実施例では連結部にスリット407を設けている。図15はコアおよび連結部を回転軸方向から見た説明図である。図15に示すように、スリット407として、連結部に6カ所の長孔を設けてある。なお、連結部406には、この他に、アダプタ405にボルトで締結するためのボルト孔408が6カ所設けられている。このようにスリット407、ボルト孔408を設けることにより、連結部406では、磁束が貫通可能な領域が非常に狭くなる。従って、磁束の貫通を抑制することができる。
第2の貫通磁束抑制機構として、本実施例では、非磁性体のリング409を備えている。このリング409は、図14に示す通り、中間軸に固定されており、アマチュア107,207と軸方向の位置を合わせて取り付けられている。図13に破線で示した通り、抑制の対象となる磁束は、アマチュア107,207を貫通する磁束であるから、非磁性体のリング409を、アマチュア107,207の間に介在させることにより、両者間を貫通する磁束を抑制することができる。
上述した2つの機構による効果を具体的に示す。図16は貫通磁束抑制機構を備えない電磁式2段クラッチにおいて、外側クラッチユニットのみをオンさせた場合の磁気回路の様子を示す説明図である。数値計算による解析結果である。図示する通り、外側のコア402を貫通する磁気回路が形成されるとともに、内側のコア404を貫通する磁束も形成されており、特に、内側のコア404の外径側の側壁413を多くの磁束が貫通していることが分かる。図17は貫通磁束抑制機構を備える電磁式2段クラッチにおいて、外側クラッチユニットのみをオンさせた場合の磁気回路の様子を示す説明図である。図示する通り、内側のコア404を貫通する磁束の形成が抑制されており、特に、側壁413を貫通する磁束の抑制効果が顕著に現れることが分かる。
図18は貫通磁束抑制機構を備えない電磁式2段クラッチにおいて、内側クラッチユニットのみをオンさせた場合の磁気回路の様子を示す説明図である。図示する通り、内側のコア404を貫通する磁気回路が形成されるとともに、内側のコア402を貫通する磁束も形成されることが分かる。図19は貫通磁束抑制機構を備える電磁式2段クラッチにおいて、内側クラッチユニットのみをオンさせた場合の磁気回路の様子を示す説明図である。図示する通り、外側のコア402を貫通する磁束の形成が抑制されることが分かる。
本実施例では、さらに磁束の貫通を抑制するため、第3の貫通磁束抑制機構として、アダプタ405を非磁性体で形成している。図20は磁性体で形成されたアダプタ405を備える電磁式2段クラッチにおいて、内側クラッチユニットのみをオンさせた場合の磁気回路の様子を示す説明図である。ここでは、スリット407および非磁性体のリング409を備えない場合を例示した。図示する通り、コア404,402の双方を貫通する磁気回路が形成される際に、アダプタ405を貫通する磁束が相当量存在することが分かる。アダプタ405を非磁性体で形成するものとすれば、アダプタ405を貫通する磁束を抑制することができるため、それに応じてコア402,404の両者を貫通する磁気回路の形成を抑制することができる。
以上で説明した3種類の貫通磁束抑制機構を備えれば、内側クラッチユニット、外側クラッチユニットの両者を貫通する磁束が抑制されることが分かる。従って、かかる機構を備えれば、内側クラッチユニットまたは外側クラッチユニットの一方をオンにした場合に、他方がオンになることを回避することができ、電磁式2段クラッチの適切な動作を確保することができる。なお、上述した3種類の貫通磁束抑制機構は、3種類全てを備えることが必須の条件ではなく、貫通する磁束を抑制する必要性に応じて一部の機構を選択して用いるものとしても構わない。
K.潤滑油排出機構による作用:
本実施例の電磁式2段クラッチは、既に説明した通り、アマチュア107、207がそれぞれ径方向側面210、ロータ302と吸着し、両者間で作用する摩擦力によってローラを移動させることによって係合する。従って、係合力を強め、クラッチの動作を安定させるためには、摩擦力の大きさを十分に確保する必要がある。本実施例では、先に説明した種々の機構によって、アマチュア107,207に作用する電磁力を強め摩擦力を高めている。これに併せて、本実施例では、アマチュア107,207と径方向側面210、ロータ302との接触面における摩擦係数の低減を抑制することによっても摩擦力を高めている。即ち、以下に示す通り、潤滑油排出機構を設け、接触面に潤滑油が付着することを回避しているのである。
図21は潤滑油排出機構の構成を示す説明図である。本実施例の電磁式2段クラッチは、中空に形成された回転軸を通って、図中に矢印で示す3カ所から潤滑油が供給される。供給された潤滑油は、各回転軸の回転時に遠心力によって、各回転軸の間隙を通り、潤滑作用を施しながら外周方向に運搬される。ここで、アマチュア107、207と径方向側面210、ロータ302との接触面との接触面に潤滑油が多量に付着すると接触面での摩擦係数が低下するから、かかる現象を回避するためには、アマチュア107,207近傍の潤滑油を効率的に排出する必要がある。かかる観点から、本実施例の電磁クラッチユニットでは、アマチュア107,207と軸方向の位置を合わせて外周側に潤滑油の排出孔を設けている。中間軸にはアマチュア107の外周近傍に排出孔220が設けられ、外軸にはアマチュア207の外周近傍に排出孔320が設けられる。
図22は中間軸に設けられた排出孔の様子を示す説明図である。図21中のE方向に見た状態を示した。既に説明した通り、中間軸201の径方向側面にはスリット211が設けられている。E方向からの視図であるため、図中の破線で示した円よりも外側が中間軸201の太径部に相当する。排出孔220は、図示する通り、この太径部の周囲に6カ所設けられている。外軸に設けられた排出孔320については、図示を省略するが、中間軸201の排出孔220と同様の形状で6カ所設けられている。
排出孔220,320が設けられているため、アマチュア107,207近傍に流れてきた潤滑油は、遠心力の作用により、速やかにこれらの排出孔220,320から外部に排出される。従って、潤滑油が付着した状態でアマチュア107,207と径方向側面210、ロータ302とが吸着されることを回避できる。かかる作用により本実施例の電磁式2段クラッチは、接触面における摩擦力の低減を回避することができる。特に、本実施例の構成においては、アマチュア107,207の近傍では、径方向側面210およびロータ302が回転軸方向に潤滑油が流れることを阻止する壁として作用し、潤滑油が非常にたまりやすい領域となっている。従って、排出孔220,320はかかる領域に潤滑油がたまることを抑制する点で非常に有効性が高い。
本実施例では、これらの排出孔220,320に加えて、以下に示す通り、アマチュア107,207にも潤滑油の排出機構を設け、摩擦力の低減のより一層の抑制を図っている。図23はアマチュア207を回転軸方向から見た状態を示す説明図である。アマチュア207がロータ302と接触する側の面の状態を示した。既に説明した通り、アマチュア207はドーナツ形をしている。スリット206aは、中間軸201と相対的な回転不能にアマチュア207を保持するための突起が挿入される孔であり、直径方向に2カ所に設けられている。溝208aはアマチュア207をロータ302から離反させるための離反バネ208が埋め込まれる部分である。アマチュア207には、ロータ302と接触する側の面に、さらにスパイラル状の潤滑油排出溝207aが8本刻まれている。これらは潤滑油を排出可能な深さに刻まれていればよく、本実施例では、数mmの深さである。
アマチュア207とロータ302とが吸着した際、両者の接触面に付着していた潤滑油は、これらの潤滑油排出溝207aを通って接触面から排出される。図23中の右方向にアマチュア207が回転している場合、潤滑油排出溝207aの中の潤滑油には、遠心力Frと回転時の慣性力Ftとが作用するが、潤滑油排出溝207aはスパイラル状に刻まれているため、溝の形成方向が力Fr、Ftの合力方向にほぼ沿っており、潤滑油を速やかに排出することができる。潤滑油排出溝207aは必ずしもスパイラル形状である必要はなく、少なくとも遠心力の作用によって潤滑油を排出可能に径方向に延伸した形状に刻まれていれば足りる。アマチュア107については図示を省略するが、径方向側面210との接触面側に同様の潤滑油排出溝が形成されている。このようにアマチュア107,207に潤滑油排出溝を設けることにより、アマチュア107,207と径方向側面210、ロータ302との接触面における摩擦係数の低下をより一層抑制することができ、接触面で作用する摩擦力を高めることができる。
以上で説明した本実施例の電磁式2段クラッチによれば、第1に磁束飽和を緩和し、アマチュア107,207に効率的に電磁力を作用させることができる。従って、装置の小型化を図りつつ、クラッチの係合力を強めることができる。第2に外側クラッチユニットと内側クラッチユニットの両者を貫通する磁束を抑制することができる。従って、一方のクラッチユニットをオンにした場合に他方のクラッチユニットまでオンされるという不適切な動作を抑制することができ、電磁式2段クラッチの適切な動作を確保することができる。第3にアマチュア107,207近傍の潤滑油を適切に排出することができ、吸着時に十分な摩擦力を作用させることができる。従って、装置の小型化を図りつつ、クラッチの係合力を強めることができる。
L.電磁式2段クラッチの適用例:
実施例の電磁式2段クラッチは、一つの回転軸と他の2つの回転軸との結合状態を切り替える必要がある種々の装置に適用することができる。例えば、車両に適用することにより、駆動軸を自在に切り替えることが可能となる。この場合は、エンジンを中間軸201に結合し、前車軸を内軸101、後車軸を外軸301に結合すればよい。中間軸201と内軸101とを結合すれば、前輪駆動車両となる。中間軸201と外軸301とを結合すれば、後輪駆動車両となる。中間軸201を内軸101、外軸301の双方に結合すれば、四輪駆動車両となる。また、同様にモータとエンジンと動力源として備えるハイブリッド車両に適用することもできる。
このように本実施例の電磁式2段クラッチは、3つの回転軸のうち2つの回転軸の結合状態の切り替えが要求される種々の装置において有効に適用することができる。上述の例では、車両およびハイブリッド車両への適用を挙げたが、これらに限定されるものではない。
M.変形例:
本発明は上記実施例で説明した構成の他、種々の構成で実現することができる。以下、変形例としてのクラッチについて説明する。図24は第1の変形例としての電磁式2段クラッチの構成を示す説明図である。概略構成を模式的に示した。アマチュアなど細部の図示は省略した。実施例(図1参照)では、中間軸201の太径部にカム等を組み込んだ場合を例示した。第1の変形例は、中間軸201の細径部にカム等を組み込んだ場合に相当する。
図示する通り、中間軸201Mは径方向側面210Mを挟んで細径部と太径部とから構成される点は実施例と同様である。但し、実施例と異なり、細径部の内側に内側クラッチユニットを構成するローラ104M、保持器105Mが組み付けられている。内側クラッチユニットおよび外側クラッチユニットを構成する2つのコイル401M、403Mは中間軸201Mの太径部と内軸101Mとの間に固定されている。また、変形例のクラッチでは、外軸301Mの内周面に外側クラッチユニットを構成するローラ204M、保持器205Mが組み付けられている。中間軸201Mの径方向側面210Mは、実施例と異なり、外側クラッチユニットの摩擦係合器を兼用している。内側クラッチユニットは内軸101Mに固定されたリング110Mが摩擦係合器として作用する。かかる構成のクラッチでもコイル401M,403Mへの通電により中間軸201Mと内軸101Mおよび外軸301Mとを結合および切り離すことができる。
かかる構成の電磁式2段クラッチにおいても、実施例で説明した種々の構成を適用することができる。第1に、コイル401M、403Mを保持するコアの肉厚を内径側で厚くすることによって磁束の飽和を緩和する構成を適用できる。第2に、中間軸の熱処理を部分的に禁止する構成を適用できる。第3に、径方向側面と外側クラッチユニットを構成するアマチュアとの間で実際に磁束が貫通可能な領域を対象として、磁束の入射領域と放射領域とを同等にする構成を適用することができる。第4に磁束の漏れを回避するための構成、即ち、401M、403Mの双方のコイル周りを貫通する磁束を抑制するための構成を適用することができる。第5に潤滑油排出機構を適用することができる。従って、これらの構成を適用することにより、変形例の電磁式2段クラッチにおいても、装置の小型化を図りつつ、クラッチの係合力を強め、またクラッチの適切な動作を確保することができる。
図25は第2の変形例としての電磁式2段クラッチの構成を示す説明図である。概略構成を模式的に示した。第2の変形例は、内側クラッチユニットと外側クラッチユニット双方の摩擦係合器が中間軸201Nに固定されている点で実施例および第1の変形例と相違する。
図示する通り、中間軸201Nは第1の変形例と同様、径方向側面210Nを挟んで細径部と太径部とから構成される。内側クラッチユニットを構成するローラ104N、保持器105Nは内軸101Nに組み付けられている。外側クラッチユニットを構成するローラ204N、保持器205Nは外軸301Nに組み付けられている。内側クラッチユニットおよび外側クラッチユニットを構成する2つのコイル401N、403Nは中間軸201Nの太径部と内軸101Nとの間に固定されている。中間軸201Nの径方向側面210Nは外側クラッチユニットの摩擦係合器を兼用する。中間軸201Nには径方向側面210Nの回転軸中心側に磁性体のリング110Nが固定されている。このリング110Nは内側クラッチユニットの摩擦係合器となる。リング110Nを中間軸201Nと一体形成するものとしてもよい。本発明における磁束の飽和や磁束の漏れを回避して適切に電磁力を作用させるための構成、潤滑油を適切に排出するための構成は、第2の変形例の電磁式2段クラッチにおいても適用可能である。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、更に種々なる形態で実施し得ることは勿論である。以上の実施例では、ローラクラッチへの適用例を示したが、本発明は、電磁力によって2つの平板を吸着しクラッチを係合させる機構を2組備える電磁式2段クラッチであれば、ローラクラッチに限らず適用可能である。
100…内側回転部
101、101M、101N…内軸
102…カム
103…スイッチバネ
104、104M、104N…ローラ
105、105M、105N…保持器
106…突起
106a…スリット
107,107A…アマチュア
108…離反バネ
108a…溝
110M、110N…リング
200…中間回転部
201…中間軸
201a、201M、201N…中間軸
202…カム
203…スイッチバネ
204、204M、204N…ローラ
205、205M、205N…保持器
206…突起
206a…スリット
207、207A…アマチュア
207a…潤滑油排出溝
208…離反バネ
208a…溝
209…リング
210,210A、210M、210N…径方向側面
211…スリット
220…排出孔
300…外側回転部
301、301M、301N…外軸
302…ロータ
302a…リング
303…スプロケット
320…排出孔
400…固定ユニット
401、401A、401M、401N…コイル
402、402A…コア
403、403A、403M…コイル
404、404A…コア
405,405A…アダプタ
406、406A…連結部
407…スリット
408…ボルト孔
409…リング
413,413A、414、414A…側壁
501〜504…軸受

Claims (18)

  1. 回転軸中心から外側に順に設けられた内軸、中間軸、外軸と、中間軸と内軸とを電磁力の作用によって結合および切り離す内側電磁クラッチユニットと、中間軸と外軸とを電磁力の作用によって結合および切り離す外側電磁クラッチユニットとを備える電磁式2段クラッチであって、
    前記内側電磁クラッチユニットおよび外側電磁クラッチユニットの少なくとも一方は、前記電磁力を生じさせるコイルと、磁性体で形成され、該コイルが巻回されるフィールドコアとを備え、
    該フィールドコアは、前記回転軸を中心とし、前記電磁力を作用せしめる方向に開口し他方が閉鎖された断面形状の円輪であり、該断面形状の一部を構成する二側壁のうち内径側の肉厚が、少なくとも前記閉鎖側において外径側の肉厚よりも厚い形状をなしている電磁式2段クラッチ。
  2. 前記二側壁の肉厚は、少なくとも前記閉鎖側で内径側の断面積と外径側の断面積とが同等となる関係にある請求項1記載の電磁式2段クラッチ。
  3. 請求項1記載の電磁式2段クラッチであって、
    前記中間軸は、前記回転軸に直交する径方向側面を挟んで一方が太径、他方が細径の軸であり、
    前記内側電磁クラッチおよび外側電磁クラッチを構成するフィールドコアが、ともに前記中間軸の細径部と外軸との間に介在されている電磁式2段クラッチ。
  4. 請求項3記載の電磁式2段クラッチであって、
    前記内側電磁クラッチを形成するフィールドコアは、前記閉鎖側の一部の領域において、前記内径側の側壁の肉厚が開口部近傍の肉厚よりも回転軸中心方向に厚い肉厚部をなし、
    前記中間軸の前記細径部は、前記フィールドコアの前記該肉厚部と径方向に対向する領域の径が、前記フィールドコアの前記開口部近傍と対向する領域における径よりも細く形成されている電磁式2段クラッチ。
  5. 回転軸中心から外側に順に設けられた内軸、中間軸、外軸と、中間軸と内軸とを電磁力の作用によって結合および切り離す内側電磁クラッチユニットと、中間軸と外軸とを電磁力の作用によって結合および切り離す外側電磁クラッチユニットとを備える電磁式2段クラッチであって、
    前記中間軸は、磁性体で形成され、前記回転軸に直交する径方向側面を挟んで一方が太径、他方が細径の軸であり、
    前記内側電磁クラッチユニットおよび外側電磁クラッチユニットの少なくとも一方は、前記径方向側面を貫通する磁気回路を形成することによって、前記電磁力を作用せしめる電磁石を備え、
    前記径方向側面は、該側面に沿って径方向に貫通する磁束の形成を抑制する抑制機構が備えられるとともに、前記電磁石から放射される磁束が貫通する放射側領域と、前記電磁石に入射する磁束が貫通する入射側領域とが同等の断面積を有する形状である電磁式2段クラッチ。
  6. 前記抑制機構は、前記径方向側面に設けられた孔である請求項5記載の電磁式2段クラッチ。
  7. 請求項5記載の電磁式2段クラッチであって、
    前記電磁力によって前記径方向側面に吸着される吸着体であるアマチュアと、該アマチュアと前記径方向側面とを離反する離反用弾性部材とを、前記径方向側面を挟んで前記電磁石と対向する側に備え、
    前記径方向側面は、前記径方向側面が前記アマチュアと対向する領域から、前記抑制機構および前記離反用弾性部材が備えられている領域を除いた領域について、前記放射側領域と入射側領域の面積が等しい条件を満足する形状である電磁式2段クラッチ。
  8. 前記アマチュアは、前記径方向側面に吸着される面の面積が、前記回転軸に直交する断面の面積のうち最大値となる形状を有する請求項7記載の電磁式2段クラッチ。
  9. 回転軸中心から外側に順に設けられた内軸、中間軸、外軸と、中間軸と内軸とを電磁力の作用によって結合および切り離す内側電磁クラッチユニットと、中間軸と外軸とを電磁力の作用によって結合および切り離す外側電磁クラッチユニットとを備える電磁式2段クラッチであって、
    前記内側電磁クラッチユニットおよび外側電磁クラッチユニットの少なくとも一方は、前記中間軸を貫通する磁気回路を形成することによって、前記電磁力を作用せしめる電磁石を備え、
    前記中間軸は、
    磁性体で形成され、
    前記回転軸に直交する径方向側面を挟んで一方が太径、他方が細径の軸であり、
    前記径方向側面には、該側面に沿って径方向に貫通する磁束の形成を抑制する抑制機構が備えられ、
    少なくとも前記磁気回路を形成する領域は熱処理を施されていない材料で構成された軸である電磁式2段クラッチ。
  10. 請求項9記載の電磁式2段クラッチであって、
    前記熱処理を施されない領域は、前記径方向側面を含み、フィールドコアと径方向に対向する面に至る連続領域である電磁式2段クラッチ。
  11. 回転軸中心から外側に順に設けられた内軸、中間軸、外軸と、中間軸と内軸とを電磁力の作用によって結合および切り離す内側電磁クラッチユニットと、中間軸と外軸とを電磁力の作用によって結合および切り離す外側電磁クラッチユニットとを備える電磁式2段クラッチであって、
    前記内側電磁クラッチユニットにおいて前記電磁力を生じさせる内側コイルと、
    前記外側電磁クラッチユニットにおいて前記電磁力を生じさせる外側コイルと、
    磁性体で形成され、前記内側コイルが巻回される内側コアと外側コイルが巻回される外側コアとを有するフィールドコアを備え、
    該フィールドコアは、前記内側コアと外側コアとを貫通する磁束の形成を抑制する抑制機構を備える電磁式2段クラッチ。
  12. 前記抑制機構は、前記フィールドコアにおいて、前記内側コアと外側コアの連結部に、設けられた孔である請求項11記載の電磁式2段クラッチ。
  13. 請求項11記載の電磁式2段クラッチであって、
    前記内側電磁クラッチユニットおよび外側電磁クラッチユニットは、それぞれ前記電磁力によって吸着される吸着体であるアマチュアを備え、
    前記抑制機構は、前記内側電磁クラッチユニットおよび外側電磁クラッチユニットの少なくとも一方のアマチュアと軸方向の位置を合わせて、前記中間軸に設けられた非磁性体のリングである電磁式2段クラッチ。
  14. 回転軸中心から外側に順に設けられた内軸、中間軸、外軸と、中間軸と内軸とを電磁力の作用によって結合および切り離す内側電磁クラッチユニットと、中間軸と外軸とを電磁力の作用によって結合および切り離す外側電磁クラッチユニットとを備える電磁式2段クラッチであって、
    前記内側電磁クラッチユニットにおいて前記電磁力を生じさせる内側コイルと、
    前記外側電磁クラッチユニットにおいて前記電磁力を生じさせる外側コイルと、
    磁性体で形成され、前記内側コイルが巻回される内側コアと外側コイルが巻回される外側コアとを有するフィールドコアと、
    前記内側コアと外側コアの連結部に取り付けられ、前記フィールドコアを外部の固定部材に固定するためのアダプタを備え、
    該アダプタは非磁性体で形成されていることを特徴とする電磁式2段クラッチ。
  15. 回転軸中心から外側に順に設けられた内軸、中間軸、外軸と、中間軸と内軸とを電磁力の作用によって結合および切り離す内側電磁クラッチユニットと、中間軸と外軸とを電磁力の作用によって結合および切り離す外側電磁クラッチユニットとを備える電磁式2段クラッチであって、
    前記内側電磁クラッチユニットおよび外側電磁クラッチユニットの少なくとも一方は、
    それぞれ結合対象となる2軸のうち一方に備えられた摩擦係合面と、
    前記2軸のうち他方の軸と相対的な回転不能に連結され、電磁力の作用によって前記摩擦係合面と吸着するアマチュアと、
    前記アマチュアに電磁力を作用せしめる電磁石とを備え、
    さらに、前記電磁力を作用させた場合に前記摩擦係合面とアマチュアとの接触面に介在する潤滑油を除去する潤滑油除去機構を備えるクラッチユニットである電磁式2段クラッチ。
  16. 請求項15記載の電磁式2段クラッチユニットであって、
    前記潤滑油除去機構として、前記2軸のうち外周に位置する軸には、前記摩擦係合面の近傍に該摩擦係合面に付着した潤滑油を排出する排出孔が備えられた電磁式2段クラッチ。
  17. 請求項15記載の電磁式2段クラッチユニットであって、
    前記潤滑油除去機構は、前記摩擦係合面またはアマチュアの少なくとも一方に設けられた径方向に延伸し、遠心力の作用によって前記摩擦係合面に付着した潤滑油を排出する潤滑油排出溝である電磁式2段クラッチ。
  18. 請求項1ないし請求項17いずれか記載の電磁式2段クラッチであって、
    前記内側電磁クラッチユニットおよび外側電磁クラッチユニットは、
    それぞれ結合対象となる2軸の断面形状は、両者が対向する面の径方向の間隔が周方向の位置によって変動する形状であり、
    前記径方向の間隔の最小値と最大値の間の径を有し、前記2軸の間に備えられたローラと、
    前記2軸のうち一方に相対的に回転可能に連結され、前記ローラを保持する保持器と、
    前記2軸のうち他方に固定された第1の摩擦係合器と、
    前記保持器と相対的な回転不能に連結され、電磁力の作用によって前記摩擦面と接触および離反可能に設けられた第2の摩擦係合器と、
    前記第2の摩擦係合器に前記電磁力を作用せしめる電磁石とを備えるクラッチユニットである電磁式2段クラッチ。
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