JP4638571B2 - 電磁式2方向クラッチ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は2つの回転軸にそれぞれ設けられた摩擦係合器間に、電磁力の作用により摩擦力を作用させ、回転軸間の動力の伝達状態を切り替える電磁式2方向クラッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
2つの回転軸間で動力の伝達を断続する機構としてクラッチがある。クラッチは種々の装置に適用されているが、例えば車両に適用されたクラッチなどでは走行中に動力の伝達経路を速やかに切り替えられることが要求される。また、車両の走行状態に応じて適切な切り替えを行うために制御ユニットからの制御信号により切断および結合を制御できることが望ましい。かかる要求に応えたクラッチとしては、例えば、特開平10−59011に記載の回転伝達装置が挙げられる。この回転伝達装置は、ローラを利用して2つの回転軸間で動力の伝達を電磁的に切断・結合する電磁式ローラクラッチである。従来技術として、この電磁式ローラクラッチの概略構成を説明する。
【0003】
図20は従来技術としての回転伝達装置の回転軸を含む断面の断面図である。
図21は従来技術としての回転伝達装置の回転軸に直交する断面の断面図である。図22は従来技術としての回転伝達装置について保持器の組み付け状態を示す断面図である。特開平10−59011に記載の装置を示した。この回転伝達装置は、従動部材となる外輪2と、入力軸4とを切断・結合する2方向クラッチである。このクラッチは、図21に示す通り、外輪2の内側が円形になっており、入力軸4は断面が正八角形の角を丸めた形状をなしており、正八角形の各辺が8つのカム面となる。このカム面は、外輪2の内面との間で円周方向の両側が狭幅になる楔状空間を形成している。
【0004】
入力軸4には外周に環状の保持器8が設けられている。保持器8には周方向に8つのポケットが形成され、各ポケット9に係合子としてのローラ10が組込まれている。保持器8は周方向に回動可能になっており、図21中に矢印で示す通り、保持器8の回動に伴ってローラ10の位置も周方向に移動する。ローラ10がカム面の中央付近にある場合(図21の状態)では、ローラ10と外輪2との間には隙間があり、入力軸4と外輪2とは非係合状態にある。ローラ10がカム面の狭幅部分に移動すると外輪2と係合し、外輪2と入力軸4を一体化する。
【0005】
図22に示す通り、保持器8と入力軸4の両者には、周方向の一部に切り欠き1があり、弾性部材であるスイッチバネ13が組み付けられている。保持器8に外力が作用していない状態では、スイッチバネ13の弾性力が周方向に作用し、ローラ10が非係合位置になるよう保持器8を保持する。
【0006】
回転伝達装置には図20に示す通り、入力軸4と外輪2の間に電磁クラッチが組込まれている。この電磁クラッチは、ケース等に固定された電磁石16と、外輪2に固定されたロータ18と、アーマチュア21とからなる。アーマチュア21はロータ18と保持器8の間に設けられており、保持器8に対して回転不能で軸方向の移動は可能となっている。電磁石16に通電するとアーマチュア21が引きつけられ、アーマチュア21とロータ18とが摩擦力で結合した状態となる。この結果、保持器8は外輪2から回転方向の外力を受ける。この外力によって保持器8はスイッチバネ13の弾性力に抗じて周方向に移動し、ローラ10を係合位置に移動させる。こうして回転伝達装置は入力軸4と外輪2とが係合する。
【0007】
電磁石16に通電しない状態では、アーマチュア21とロータ18との間に十分な摩擦力が働かないため、保持器8およびローラ10はスイッチバネ13の弾性力によって非係合位置に保持される。こうして回転伝達装置は非係合状態となる。かかる回転伝達装置は、電磁石16への通電により係合状態と非係合状態を速やかに切り替え可能である利点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の電磁クラッチでは、電磁石16によるアーマチュア21とロータ18との間の吸着力の不足により、係合が不安定となる場合があった。アーマチュア21とロータ18との間の吸着力が不足することにより両者間に作用する摩擦力が低減し、スイッチバネ13の弾性力に抗ってローラを係合位置に安定して移動することができなくなることがあった。電磁石16による電磁力を強くすることによってかかる課題の解決を図ろうとすれば、電磁石16のサイズ、ひいては電磁クラッチ全体の大型化、および消費電力の増大という別の課題を招くことになる。
【0009】
電磁力の不足によって係合状態が不安定となるのは、上述のローラクラッチに限らず、電磁式2方向クラッチ一般に共通する課題であった。本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、電磁式2方向クラッチにおいて、電磁石の極端な大型化を招くことなく、2つの回転軸を安定して係合するための技術を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題を解決するために、本発明では以下の構成を適用した。
本発明の第1の電磁式2方向クラッチは、2つの回転軸の結合および切り離しを電磁力の作用によって行う電磁式2方向クラッチであって、
前記2つの回転軸の一方の回転軸と相対的に回転不能に備えられ、径方向に貫通する磁気回路の形成を抑制するn箇所(nは2以上の整数)の前記摩擦係合器の径方向に貫通する磁気回路の形成を抑制する第1の抑制機構を有する第1の摩擦係合器と、
他方の回転軸と相対的に回転不能に備えられ、径方向に貫通する磁気回路の形成を抑制するn−1箇所の前記摩擦係合器の径方向に貫通する磁気回路の形成を抑制する第2の抑制機構を有する第2の摩擦係合器と、
前記第1の摩擦係合器および第2の摩擦係合器を貫通する磁気回路を形成せしめる電磁石とを備え、
前記第1および第2の摩擦係合器の抑制機構は、
前記第1の抑制機構と第2の抑制機構とが径方向に交互に配置される条件、
各第2の抑制機構は、その内外に隣接して位置する2つの第1の抑制機構の中間よりも外径側に設けられている条件、
を満足する配置で備えられている機構であることを要旨とする。
【0011】
本発明の電磁式2方向クラッチは、第1の摩擦係合器と第2の摩擦係合器とを通過する磁気回路を形成することによって、両者間に電磁力を作用せしめ、2つの回転軸間のトルク伝達を可能にする。第1および第2の摩擦係合器の間に作用する電磁力は、磁気回路が両者を貫通する磁束に影響を受けることが知られている。つまり、第1の摩擦係合器内部に形成された磁気回路が第2の摩擦係合器に移行する部位の磁束、逆に第2の摩擦係合器内部に形成された磁気回路が第1の摩擦係合器に移行する部位の磁束の総量が増える程、電磁力が強くなる傾向にあることが知られている。
【0012】
ここで、本発明の電磁式2方向クラッチでは第1および第2の摩擦係合器に備えられた抑制機構の作用によって、第1および第2の摩擦係合器を貫通する磁束を増やすことができる。第1に、抑制機構は、第1および第2の摩擦係合器を径方向に貫通する磁束の形成を抑制する作用を奏するため、電磁石で生じた磁束が第1および第2の摩擦係合器の両者を貫通する磁気回路を形成することを促進することができる。
【0013】
第2に、第1の摩擦係合器の一方にn箇所、第2の摩擦係合器にn−1箇所の抑制機構が、径方向に交互に配置される位置関係で備えられることにより、第1および第2の摩擦係合器との間を2n箇所で貫通する磁気回路の形成を促進する。例えば、電磁石から発した磁束は「第1の摩擦係合器→第2の摩擦係合器→第1の摩擦係合器→第2の摩擦係合器→第1の摩擦係合器」と通過して電磁石に戻る磁気回路を形成する。この例では、矢印に対応する4カ所(n=2に相当)で第1および第2の摩擦係合器を貫通していることになる。第1および第2の摩擦係合器を2n箇所で貫通する磁気回路を形成すれば、両者を貫通する磁束の総量が増える。換言すれば、一つの磁気回路が、2n箇所で第1および第2の摩擦係合器間に吸着力を生じさせることになる。従って、本発明の電磁式2方向クラッチによれば、電磁石のサイズ、消費電力の極端な増大を招くことなく、電磁力を強化することが可能となる。この結果、電磁式2方向クラッチを安定して係合することが可能となる。
【0014】
図1は抑制機構の一例を示す説明図である。回転軸を含む断面の片側を示した。この機構では、第1の回転軸RA1に結合された第1の摩擦係合器FC1、第2の回転軸RA2に結合された第2の摩擦係合器FC2を備える。第1の摩擦係合器FC1の背面、即ち第2の摩擦係合器FC2とは逆側の面には、電磁石ECが備えられている。この電磁石ECに通電すると、図中に矢印で示す通り、第1の摩擦係合器FC1,第2の摩擦係合器FC2を通る磁気回路が形成される。
【0015】
ここで、第1の摩擦係合器FC1には、図中に塗りつぶした領域で示す抑制機構GM1、GM2・・・GMnが備えられている。第2の摩擦係合器FC2には、抑制機構gm1・・・gm(n−1)が備えられている。抑制機構は、外径側から第1の摩擦係合器側の抑制機構GM(1)、第2の摩擦係合器側の抑制機構gm(1)の順に交互に配置されている。換言すれば、第2の摩擦係合器側の抑制機構gm(1)・・・gm(n−1)は、それぞれ第1の摩擦係合器側の抑制機構GM(1)・・・GM(n)に挟まれた位置関係で設けられている。
【0016】
それぞれの抑制機構は、摩擦係合器FC1.FC2を径方向に貫通する磁気回路の形成を抑制する。抑制機構によって径方向への通過が抑制される結果、第1の摩擦係合器FC1を通過してきた磁気回路は、抑制機構の部分で第2の摩擦係合器FC2側に移行する。第2の摩擦係合器FC2を通過してきた磁気回路は、抑制機構の部分で第1の摩擦係合器FC1側に移行する。この結果、磁気回路は、第1の摩擦係合器FC1および第2の摩擦係合器FC2を交互に複数回貫通する態様で形成される。従って、摩擦係合器FC1,FC2の間には、図中に破線で囲った複数の領域で電磁力による吸着力が作用する。ここでは、特定のクラッチ機構について例示したが、かかる機構に限らず上記作用効果が実現されることは言うまでもない。
【0017】
第3に、各第2の抑制機構は、その内外に隣接して位置する2つの第1の抑制機構の中間よりも外径側に設けられていることにより、磁束飽和を抑制し、磁気回路を効率的に形成することができる利点がある。例えば、図1において、摩擦係合器FC2に設けられた抑制機構gm(1)は、その内外に隣接して第1の摩擦係合器FC1に設けられた2つの抑制機構GM(1)、GM(2)の中間よりも外径側に設けられていることになる。つまり、図1中の間隔dinよりもdoutの方が小さくなる。このように抑制機構を配置することにより、第1の摩擦係合器と第2の摩擦係合器を磁気回路が行き来する領域の面積の差違を低減することができる。図1において、領域AoutとAinの面積の差違を低減することができ、磁飽和の発生を抑制することができる。かかる観点から、第2の抑制機構は、その内外で第1の摩擦係合器と第2の摩擦係合器との間を磁束が行き来する領域の面積が同等になる位置に設けられていることが望ましい。
【0018】
本発明の電磁式2方向クラッチにおいて抑制機構は、
前記第1の摩擦係合器と第2の摩擦係合器とを貫通する磁気回路が形成される2n箇所の領域の面積が同等となる位置関係で備えられていることが望ましい。
図1の例に即して説明すれば、図中に破線で示した領域の断面積が全て同等となることが望ましい。こうすることにより、いずれの箇所でも磁束飽和を生じることなく磁気回路を効率的に形成することが可能となる。かかる構成は、第1の摩擦係合器側の抑制機構と第2の摩擦係合器側の抑制機構との間隔、即ち、図中の間隔dが外径方向に行くほど狭くなるように各抑制機構を配置することにより実現される。第1の摩擦係合器、第2の摩擦係合器は回転軸を中心とした円盤状に形成されているため、外径側ほど抑制機構の間隔を狭くすることにより、各抑制機構で挟まれた領域の面積を同等にすることができるのである。
【0019】
抑制機構としては、種々の機構を適用可能であり、例えば、
前記抑制機構は、前記第1および第2の摩擦係合器の接触面側において、非係合時における両者の間隔以上の空隙を与える孔または窪みであるものとすることができる。こうすれば、比較的簡易な構成で抑制機構を実現することができる。抑制機構としての作用を実現するためには、第1の摩擦係合器と第2の摩擦係合器とを貫通する磁気回路の形成よりも、孔または窪みの空隙を通過する磁気回路の形成の方が困難となる条件で孔または窪みを設ける必要がある。上述の条件を満足する範囲の空隙を与える孔または窪みを設けることにより、抑制機構としての作用を確保することが可能となる。
【0020】
もちろん、抑制機構は、かかる構成に限定されるものではなく、例えば、非磁性体で形成されたリングを埋め込むものとしてもよいし、部分的に薄肉部を設けるものとしてもよい。焼き入れによって磁束の通過が抑制されることも知られているため、部分的に焼き入れを施す態様をとってもよい。
【0021】
孔または窪みを抑制機構として適用する場合には、
前記抑制機構は、それぞれ第1の摩擦係合器と第2の摩擦係合器の少なくとも一部において周方向の位置をずらして設けられていることが望ましい。
または、
前記第1の摩擦係合器および第2の摩擦係合器は、前記抑制機構とは別に、該第1および第2の摩擦係合器において、前記抑制機構の間を径方向に貫通する磁気回路の形成を抑制するためのスリットを備えることが望ましい。
【0022】
孔を抑制機構に適用する場合、全周に亘って孔を設けることは機構上無理であり、周方向のいずれかの箇所に孔が存在しない部位が現れることになる。かかる部位では、径方向に磁気回路の形成が許容される。ここで、複数の孔が設けられている場合には、それぞれ周方向の位置をずらすことによって、孔が存在しない部位が径方向に連続することを回避できる。つまり、いずれかの抑制機構によって、完全に径方向に貫通する磁気回路の形成を抑制することができる。孔とは別にスリットを設ける場合も同様の作用により、径方向に完全に貫通する磁気回路の形成を抑制することができる。この結果、上記構成を適用すれば、磁束を無駄なく摩擦係合器FC1,FC2の吸着に供することができる。窪みについても、動力伝達に関わる強度上の制限から、全集に亘って窪みを設けることができないことがある。かかる場合には、上記構成を同様に適用可能である。
【0023】
本発明の電磁式2方向クラッチにおいては、
前記電磁石の非通電時に、前記第1および第2の摩擦係合器が離反する方向に弾性力を作用させるための離反用弾性部材を有しており、
該離反用弾性部材は、磁性体で形成されるとともに、前記非通電時に第1および第2の摩擦係合器の双方に接触する状態で、前記第1および第2の摩擦係合器の間を磁気回路が貫通する部位に設けられていることが望ましい。
【0024】
先に説明した通り、本発明の電磁式2方向クラッチでは、第1および第2の摩擦係合器を複数回貫通する態様で磁気回路が形成される。これは、第1および第2の摩擦係合器が十分に吸着するまでの間は、双方の摩擦係合器間の空気層を磁気回路が複数回通過することを意味する。十分な磁束密度で磁気回路を形成するためには、空気層を低減することが望ましい。上記構成の電磁式2方向クラッチによれば、磁性体で形成された離反用弾性部材が第1および第2の摩擦係合器の双方に接触する状態で設けられているため、空気層を低減することができ、効率的に磁気回路を形成可能となり、電磁石の大型化を回避することができる。特に、第1および第2の摩擦係合器を磁気回路が貫通する部位、先に示した図1の破線部分の領域に離反用弾性部材を設けることにより、離反用弾性部材を磁気回路の一部として確実に使用することができる。離反用弾性部材は、第1および第2の摩擦係合器を磁気回路が貫通する部位に可能な限り多く設けられていることが望ましいが、必ずしも全ての部位に設けられている必要はない。
【0025】
また、
前記離反用弾性部材は、前記抑制機構の少なくとも一部と径方向の位置を併せて備えられ、該抑制機構よりも径方向に幅広であり、前記非通電時に抑制機構を除く部位で前記第1および第2の摩擦係合器と接触する状態で備えられているものとしてもよい。
【0026】
こうすれば、一つの離反用部材を、第1および第2の摩擦係合器を磁気回路が貫通する2カ所の部位に共用することができる。抑制機構を除く部位で第1および第2の摩擦係合器と接触する状態とは、抑制機構とは接触しない状態で備えることを意味する。抑制機構の部位で離反用弾性部材が接触するのを回避することにより、離反用弾性部材が抑制機構をリークする磁気回路の通路を提供することを回避することができる。
【0027】
本発明の第2の電磁式2方向クラッチは、
2つの回転軸の結合および切り離しを電磁力の作用によって行う電磁式2方向クラッチであって、
前記2つの回転軸の一方の回転軸と相対的に回転不能に備えられた第1の摩擦係合器と、
他方の回転軸と相対的に回転不能に備えられた第2の摩擦係合器と、
前記第1の摩擦係合器および第2の摩擦係合器を貫通する磁気回路を形成せしめる電磁石と、
前記第1および第2の摩擦係合器を含む回転部に潤滑油を供給する潤滑機構と、
前記第1および第2の摩擦係合器の接触面内径側の領域から潤滑油を排出する排出機構とを備えることを要旨とする。
【0028】
電磁式2方向クラッチには、潤滑機構が設けられている場合、回転中は、クラッチに供給された潤滑油に遠心力が作用する。潤滑油が第1および第2の摩擦係合器の接触面に蓄積される状態で潤滑機構が備えられている場合、遠心力によって潤滑油は第1および第2の摩擦係合器の接触面に入り込むため、両者を離反させる作用を奏する。上記構成によれば、第1および第2の摩擦係合器の内径側の領域から潤滑油を排出することができるため、遠心力の作用による離反作用を抑制することができる。従って、上記構成の電磁式2方向クラッチによれば、第1および第2の摩擦係合器の吸着力を向上することが可能となる。ここで、排出機構は、種々の構成を適用可能であり、例えば、第1および第2の摩擦係合器のいずれか一方に潤滑油を遠心力で外部に排出できる溝、孔を設ける構成を適用することができる。
【0029】
本発明の第1および第2の電磁式2方向クラッチとしては、種々の機構を適用可能であるが、
同心円状の配置で前記2つの回転軸にそれぞれ固定された2つの部材であって、該部材の対向する面間で、径方向の間隔が周方向の位置によって変動する擬楔状を形成する擬楔状空間形成部材と、
前記径方向の間隔の最小値と最大値の間の径を有し、前記擬楔状空間形成部材の間に配置されたローラと、
前記他方の回転軸に相対的に回動可能、かつ、前記第2の摩擦係合器に相対的に回転不能に連結され、前記ローラを保持する保持器とを備える機構とすることが望ましい。いわゆるローラクラッチとしての機構である。本発明をローラクラッチとして構成すれば、摩擦係合器に作用する電磁力を強化することにより、保持器を介したローラの移動を安定して実現することができ、クラッチの係合および切り離しを安定して行うことが可能となる。ここで、回転可能とはある軸周りの位置関係が360度いかなる範囲にも変えられる状態をいう。回動可能とはある軸周りの位置関係が360度よりも小さい所定の範囲内でのみ変えられる状態をいう。回動可能とは、同時に回転は不能であることを意味する。
【0030】
本発明は、ローラクラッチの他、先に図1に示したように、第1および第2の摩擦係合器間に作用する摩擦力によってのみ動力の伝達を行うクラッチにも適用可能であることはいうまでもない。
【0031】
本発明は、2つの回転軸の係合および切り離しを行う機構として構成する他、第1ないし第3の回転軸と、該第1の回転軸と第2の回転軸との係合および切り離しを行う第1の電磁式2方向クラッチ機構と、該第2の回転軸と第3の回転軸との係合および切り離しを行う第2の電磁式2方向クラッチ機構とを備える電磁式2段クラッチとして構成することも可能である。かかる場合には、前記第1および第2の電磁式2方向クラッチとして、上述した本発明の電磁式2方向クラッチを適用すればよい。また、該第1および第2の電磁式2方向クラッチを、同心円状に配置することが好ましい。いわゆる2段クラッチとしての構成である。2段クラッチとして構成する場合には、装置全体の小型化を図る必要性から、クラッチ機構を組み込む部位の空間的制約が比較的厳しいのが通常である。本発明を適用すれば、電磁石の大型化を招くことなく電磁力を強化することができるため、かかる空間的制約の下でも安定して動作する2段クラッチを実現することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.全体構成
B.内側回転部の構成
C.外側回転部の構成
D.中間回転部の構成
E.電磁式2段クラッチの動作
F.抑制機構
G.潤滑油排出機構
H.第1変形例
I.第2変形例
J.電磁式2段クラッチの適用例
【0033】
A.全体構成:
図2は実施例としての電磁式2段クラッチの概略構成を示す説明図である。回転軸を含む断面の上半分を示した。実施例のクラッチは、3つの回転ユニットと1つの固定ユニットから構成される。回転ユニットは回転軸中心から内側回転部100、中間回転部200、外側回転部300の順に配置され、それぞれ軸受501〜504により相対的に回転可能に組み付けられている。本実施例では、軸受501,502として針状ころ軸受を適用して径方向の小型化を図った。軸受503、504は玉軸受を適用した。各回転部の構成は後で詳述する。
【0034】
固定ユニット400は磁性体で形成され、電磁石を形成するコイル401,403を収納するコア402,404を有している。固定ユニット400はボルト405によりクラッチの収納ケース等に固定される。
【0035】
B.内側回転部の構成:
図3は内側回転部100の構成を示す説明図である。実線で示した部分が内側回転部100に相当する。内側回転部100の動力伝達軸は内軸101である。
内軸101の外周にはカム102が固定されている。図4は内側回転部100についてカム102、保持器105を含む断面を示す断面図である。図示する通り、カム102は正十角形の断面形状をなしている。中間回転部200の動力伝達軸となる中間軸201の内周は円形断面であるため、この内周面とカム102の外周面との間隔は正十角形の頂点近傍で狭く、各辺の中央近傍で広い擬楔状空間を形成している。なお、カム102は内軸101と一体形成しても構わない。
【0036】
カム102の外周には保持器105およびローラ104が周方向に回転可能に組み付けられている。図4に示す通り、保持器105は周方向に10カ所のポケットがあり、10個のローラ104が保持器105の各ポケットに入っている。
ローラ104の径は中間軸201とカム102との間隔の最大値よりも小さく、最小値よりも大きい値である。つまり、ローラ104が擬楔状空間の中央付近にある場合には、カム102、ローラ104、中間軸201の間に隙間が生じ、内軸101と中間軸201の間で動力の伝達はできない。
【0037】
ローラが図4中に矢印で示す通り、周方向に移動し、擬楔状空間の両端WRまたはWL近傍に来ると、カム102、ローラ104、中間軸201が一体的に係合し、内軸101と中間軸201の間で動力の伝達が可能となる。内軸101が右側に回転している場合にはローラ104がWL部で係合することにより、中間軸201に動力を伝達することができる。左側に回転している場合にはローラ104がWR部で係合することにより、中間軸201に動力を伝達することができる。
【0038】
このように本実施例のクラッチは、ローラ104の位置によって内軸101と中間軸201との結合・切り離しを行うことができる。続いて、ローラ104の位置を制御するための機構について説明する。図3に示す通り、保持器105およびカム102には一端にスイッチバネ103が取り付けられている。図5は内側回転部100についてスイッチバネを含む断面における断面図である。カム102および保持器105はそれぞれ一部に切り欠きが設けてあり、そこにスイッチバネ103がセットされている。スイッチバネ103は図5中に矢印で示す方向に弾性力を作用させ、外力が働かない状態では保持器105を図示する位置、即ちニュートラル状態に保つ。
【0039】
図3に示す通り、保持器105にはスイッチバネ103が突起106を設けたスイッチバネ押えによって組み付けられている。この突起106には円盤状のアマチュア107がはめ込まれている。アマチュア107は突起106があるため、保持器105と一体的に回転する。しかしながら、アマチュア107は突起106に固定されている訳ではなく、若干の隙間をもってはめ込まれており、回転軸方向に移動可能になっている。アマチュア107には離反バネ108が設けられており、この離反バネ108によりアマチュア107は中間軸201の径方向側面210から離反する方向に付勢されている。
【0040】
本実施例では、カム102、ローラ104、保持器105および突起106、アマチュア107および離反バネ108、スイッチバネ103、コイル403、径方向側面210が内側クラッチユニットを構成する。径方向側面210が内側クラッチユニットの第1の摩擦係合器に相当する。アマチュア107が第2の摩擦係合器に相当する。
【0041】
コイル403に通電すると、中間軸201の径方向側面210およびアマチュア107を貫通する磁気回路が形成される。この結果、アマチュア107が離反バネ108に抗して中間軸201の径方向側面210側に引き寄せられ、それに応じて径方向側面210およびアマチュア107が互いに接触する。接触面では摩擦力が作用し、中間軸201と内軸101とは一体となって回転しようとする。この摩擦力は磁気回路の強さに応じて変化する。摩擦力によるトルク(以下、「摩擦トルク」と呼ぶ)が十分に高い場合には、スイッチバネ103の弾性力によるトルク(以下、「ローラ噛み込みトルク」と呼ぶ)に逆らって保持器105が周方向に移動することによって、ローラ104が係合位置に移動し、先に図4で説明した通り、内軸101と中間軸201とが係合状態となる。ローラ噛み込みトルクよりも摩擦トルクが低い場合には、中間軸201と内軸101との間では摩擦トルクに相当するトルク伝達が行われる。
【0042】
C.外側回転部の構成:
図6は外側回転部300の構成を示す説明図である。実線で示した部分が外側回転部300に相当する。外側回転部300の動力伝達軸は外軸301である。外軸301にはコイル401に対向する部位にロータ302がはめ込まれている。ロータ302は磁性体で形成されており、リング形状をなしており、外軸301と一体的に回転するように固定されている。ロータ302の回転を妨げないよう、ロータ302とコイル401との間にはわずかの隙間が設けてある。ロータ302は、外側電磁クラッチユニットについて第1の摩擦係合器となる。外側電磁クラッチユニットについての第2の摩擦係合器に相当する構成は、後述する中間軸201に設けられているアマチュア207である。
【0043】
コイル401に通電して電磁力を作用させると、内側クラッチユニットについて説明したと同様、アマチュア207がロータ302側に吸引され、第1および第2の摩擦係合器を構成する各板状部材の間で摩擦力が作用し、クラッチを係合することができる。アマチュア207を吸着する磁気回路の形成を助けるスリット311a,311bが設けられている。このスリット311a,311bの構成については後述する。なお、外側クラッチユニットについても外軸301はその動力をチェーンベルトで抽出できるよう、一部がスプロケット303となっている。
【0044】
D.中間回転部の構成:
図7は中間回転部200の構成を示す説明図である。実線で示した部分が中間回転部200に相当する。中間回転部200の動力伝達軸は中間軸201である。中間軸201は鋼で形成されており、図示する通り、円盤状の径方向側面210を挟んで太径部と細径部とを有している。太径部の外周と、外軸301との間には外側電磁クラッチユニットが備えられている。外側電磁クラッチユニットの構成は、内側電磁クラッチユニットとほぼ同じである。即ち、中間軸201の太径部の外周にカム202が固定されている。カム202の外周にはローラ204と保持器205設けられるとともに、スイッチバネ203が、突起206を有するスイッチバネ押えによって組み付けられている。突起206には、アマチュア207が挿入されている。このアマチュア207には、ロータ302から離反させる方向に付勢している離反バネ208が設けられている。これらの各要素、およびロータ302、コイル401が外側電磁クラッチユニットを構成する。その動作は、内側電磁クラッチユニットと同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0045】
なお、中間軸201には、内側電磁クラッチユニットが動作する際に磁気回路の形成を助けるスリット211a,211bが径方向側面210に設けられている。これらのスリット211a,211bの形状および作用については後述する。
【0046】
E.電磁式2段クラッチの動作:
以上で説明した本実施例の電磁式2段クラッチの動作について説明する。コイル401、403に通電していない状態では、外側クラッチユニットおよび内側クラッチユニットの第1および第2の摩擦係合器は、それぞれ接触していない状態にあり、内軸101、中間軸201、外軸301は互いに切り離された状態となる。コイル401に通電すると、外側電磁クラッチユニットのアマチュア207がロータ302側に吸引され両者の間に摩擦力が生じる。コイル403に通電すると、内側電磁クラッチユニットのアマチュア107が径方向側面210側に吸引され両者の間に摩擦力が生じる。
【0047】
この摩擦力が小さい間は、スイッチバネ103,203の弾性力に逆らってローラを係合させることができない。従って、トルクは摩擦力によってのみ伝達される。十分な摩擦力が作用すると、摩擦力によるトルクがスイッチバネ103,203の弾性力にうち勝つようになり、ローラを係合位置に移動させる。この結果、電磁クラッチユニットは、係合状態となり、ローラを介してトルクが伝達される。コイル401,403への通電制御は、種々の方法で実現可能である。例えば、トランジスタやサイリスタ等のスイッチング素子を用いることができる。この場合には、スイッチング素子がオンとなっているデューティを制御することにより、コイル401,403の電圧を制御することができる。本実施例の電磁クラッチユニットを安定して作動させるためには、スイッチバネ103,203に抗し得る摩擦力を作用させることが必要となる。摩擦力は、電磁力によって摩擦係合器が吸着される吸着力に比例するから、上述の条件に見合う電磁力を安定して作用させることが必要となる。本実施例では、磁気回路の形成状態を制御することによって、コイル401,403の大型化を招くことなく、十分強力な電磁力を作用させることができる。以下、磁気回路の形成状態を制御するための機構について説明する。
【0048】
F.抑制機構:
磁気回路の制御機構について、外側電磁式クラッチユニットを例にとって説明する。図8はアマチュア207をロータ302との接触面側から見た状態を示す説明図である。アマチュア207には、図7で示した突起206が挿入される挿入孔206hが設けられている。また、離反バネ208がはめ込まれる収納溝208hが設けられている。図示する通り、これらの加工とは別に、アマチュア207には円弧状のスリット220が4カ所設けられている。径方向の位置は、挿入孔206hと合わせてある。スリット220の径方向の幅は、電磁式クラッチユニットが非係合状態にあるときのアマチュア207とロータ302の間隔よりも若干広い。スリット220の部位は、磁性体が存在しないため、径方向の磁気回路の形成が抑制される。つまり、スリット220は磁気回路の抑制機構として作用する。
【0049】
図9はロータ302をコイル401側から見た状態を示す説明図である。ロータ302にもアマチュアと同様、円弧状のスリット311a、311bが周方向にそれぞれ4カ所設けられている。スリット311a、311bは、径方向の異なる位置に設けられており、スリット311aがスリット311bよりも外側に設けられている。スリット311a、311bの周方向の位置は一致させてある。スリット311a,311bの径方向の幅は、電磁式クラッチユニットが非係合状態にあるときのアマチュア207とロータ302の間隔よりも若干広い。図中にはアマチュア207のスリット220を破線で示した。図示する通り、スリット311aはアマチュア207のスリット220よりも外側に設けられており、スリット311bはアマチュア207のスリット220よりも内側に設けられている。スリット311a、311bは、アマチュア207のスリット220と同様、ロータ302を径方向に貫通する磁気回路の形成を抑制する抑制機構として作用する。
【0050】
アマチュア207のスリット220、およびロータ302のスリット311a,311bが磁気回路の形成に与える作用について説明する。図10は磁気回路の様子を示す説明図である。外側電磁クラッチユニットでは、コイル401への通電によりコア402,ロータ302、アマチュア207を通過する磁気回路が形成される。図中に磁気回路を矢印で示した。磁気回路は、コア402を通ってロータ302に移行する。ロータ302には径方向に磁束が貫通することを抑制するスリット311aが設けられているため、磁気回路は、径方向ではなく軸方向に形成され、アマチュア207に移行する。アマチュア207では、磁気回路は、スリット220が設けられている位置まで径方向内側に形成される。スリット220の位置に来ると、磁束は径方への通過が抑制されるため、磁束は再び軸方向に進み、磁気回路はロータ302に移行する。先に図9で説明した通り、アマチュア207のスリット220と、ロータ302のスリット311a,311bとは径方向の位置が異なっているから、アマチュア207からロータ302への磁気回路の移行は妨げられない。
【0051】
ロータ302では、スリット311bの位置まで径方向に磁束は通過する。スリット311bの位置で、磁束は径方向への通過が抑制されるため、磁気回路は再びアマチュア207に移行する。アマチュア207に移行した磁気回路は、最内径部近傍で再びロータ302に移行し、コア402に戻る。
【0052】
以上で説明した通り、スリット220,311a,311bが径方向の磁束の貫通を抑制することにより、磁気回路は、アマチュア207、ロータ302を複数回行き来する形で形成される。図11は磁気回路の解析結果を示す説明図である。コイル402に通電することによって、アマチュア207とロータ302が吸着された状態での磁気回路の様子を示している。図10と同様、ロータ302とアマチュア207とを複数回行き来する形で磁気回路が形成されることが確認される。
【0053】
かかる磁気回路の形成は、スリット220,311a,311bの径方向の幅によっても影響を受ける。つまり、スリット220、311a,311bの幅は、径方向の磁気回路の形成を十分に抑制可能な程度に設定されることが望ましい。スリットの幅が、非係合状態におけるアマチュア207とロータ302との間隔よりも狭い場合には、非係合状態においてスリットを径方向に貫通する磁気回路が形成される可能性がある。本実施例では、アマチュア207とロータ302とを行き来する磁気回路よりも若干広く設定してあるため、非係合状態でも図10に示した磁気回路の形成を促進することができる。
【0054】
但し、アマチュア207とロータ302とが一旦吸着されれば、スリットを除く部分で磁性体が連続するため、図10及び図11に示す態様での磁気回路の形成を実現することができる。従って、スリットの幅は、必ずしも非係合時におけるアマチュア207とロータ302の間隔よりも広げる必要はない。非係合時において図10および図11に示した態様での磁気回路の形成を促進する必要性、スリットを設けることによるアマチュア207、ロータ302のねじり剛性の低下を総合的に勘案して、任意の幅に設定することができる。
【0055】
図10および図11に示した通り、アマチュア207とロータ302を複数回行き来する状態で磁気回路が形成されることにより、本実施例の電磁式クラッチでは、電磁力によるアマチュア207とロータ302の吸着力を強化することができる。一般に、アマチュア207とロータ302の吸着力は、両者間を貫通する磁束の量に影響を受けることが知られている。磁束の総量が多くなる程、吸着力が増大する。通常、磁気回路は、ロータ302からアマチュア207に移行した後、アマチュア207を径方向に貫通し、ロータ302に戻る状態で形成される。つまり、一つの磁気回路はアマチュア207とロータ302とを2カ所で貫通しているに過ぎず、2カ所の領域で吸着力を作用させるに過ぎない。これに対し、本実施例では、図10および図11に示す通り、磁気回路がアマチュア207とロータ302とを4カ所で貫通する状態で形成される。つまり、一つの磁気回路がアマチュア207とロータ302の吸着に4カ所で利用された状態となり、両者を貫通する磁束の総量が通常の約2倍に増大することになる。従って、本実施例によれば、磁気回路の形成を制御することにより、電磁石のサイズ、通電量を変更することなく、電磁力を約2倍に強化することができる。
【0056】
以上では、外側電磁式クラッチユニットを例にとって説明した。本実施例では、内側電磁式クラッチユニットにも同様の抑制機構が設けられている。つまり、内側電磁式クラッチユニットを構成する径方向側面210およびアマチュア107には、それぞれ径方向の磁気回路の形成を抑制するスリットが設けられている。これらのスリットの作用により、内側電磁式クラッチユニットについても図10に示すようにアマチュア107と径方向側面210とを4カ所で行き来する状態で磁気回路を形成することができ、両者を吸着する電磁力を強化することができる。
【0057】
なお、ロータ302およびアマチュア207には先に図8、図9で示した態様の他、種々の態様でスリットを設けることが可能である。図12は第1変形例としてのスリットを示す説明図である。ロータ302Aに設けられたスリットを示した。第1変形例では、円弧状のスリット311c,311dがロータ302Aの異なる径方向位置に設けられている点では、実施例(図9参照)と同様である。第1変形例では、スリット311cとスリット311dの周方向の位置をずらしてある点で実施例と相違する。径方向の磁気回路の形成を抑制する機構としてスリットを用いる場合、スリットは全周に空けることは不可能であるから、スリットにはさまれた部位では、径方向に磁気回路が形成される可能性がある。第1変形例では、スリット311c,311dを周方向にずらして配置することによって、図中に矢印で示す通り、径方向の磁気回路の形成を少なくとも一方のスリットで抑制することができる。従って、アマチュア207とロータ302とを貫通する磁気回路をより効率的に形成することが可能となる。
【0058】
図13は第2変形例としてのスリットを示す説明図である。ロータ302Bに設けられたスリットを示した。第2変形例では、実施例と同様のスリット311a,311bに加えて、短い円弧状のスリット311eが設けられている。短いスリット311eは、スリット311a,311bの各スリットの間に設けられている。短いスリット311eを設けることにより、図13中に矢印で示す通り、径方向の磁気回路の形成を抑制することができる。
【0059】
実施例および変形例においては、アマチュア207側のスリットが、ロータ302側の2つのスリットで挟まれる位置関係で、それぞれ任意の径方向位置に設けることができるが、図10に示した態様での磁気回路の形成を促進するために、次の条件を満足する状態で各スリットの径方向位置を設定することが望ましい。即ち、磁気回路が通過する領域の面積がほぼ一定になるように各スリットの径方向位置を設定することが望ましい。図10において、離反バネ208の外側の領域、離反バネ208の内径とスリット220で挟まれる円輪状の領域、スリット311bとスリット220とで挟まれる円輪状の領域、スリット311bの内径側の領域の面積がそれぞれ同等となる条件で各スリットの位置を設定することが望ましい。このように設けることにより、いずれの領域でも磁束飽和を招くことなく効率的に磁気回路を形成することができる。
【0060】
本実施例では、ロータ302側に内外2箇所のスリットを設け、アマチュア207に1カ所のスリットを設けたが、スリットの数はこれらに限定されるものではない。ロータ302側の径方向にn箇所(nは2以上の整数)、アマチュア207側にn−1箇所のスリットを任意に設けることができる。
【0061】
G.潤滑油排出機構:
先に図8に示した通り、アマチュア207は内径側に突起部221が4カ所設けられている。この突起部221が中間軸201にはめ込まれることで、アマチュア207は径方向の動きが規制される。このとき、アマチュア207と中間軸の間には、図8中の領域CAに相当する部位で空隙が形成される。本実施例では、この空隙が潤滑油の排出機構として作用する。
【0062】
図14は潤滑油排出機構を示す説明図である。外側電磁式クラッチユニットを構成するアマチュア207近傍の状態を拡大図で示した。上述の通り、アマチュア207は突起部221で中間軸201とはめ込まれるものの、突起部221以外の部位では、図14中の破線で示す位置が最内径となり、中間軸との間に空隙CAを形成する。ロータ302の内径部に供給された潤滑油OILは、この空隙を通ってアマチュア207の背面、さらにクラッチユニットの外側に排出される。
【0063】
この潤滑油排出機構は、潤滑油OILによるロータ302とアマチュア207との吸着力の低下を抑制する作用を奏する。仮に、潤滑油排出機構が設けられていなかった場合を考える。この場合ロータ302の内径部(図14中に示す部位)に供給された潤滑油OILは排出されずにロータ302とアマチュア207の内径部近傍に蓄積される。電磁式クラッチユニットが回転して、この潤滑油OILに遠心力が作用すると、潤滑油OILが徐々にロータ302とアマチュア207の隙間に入り込む。隙間に入り込んだ潤滑油OILは、ロータ302とアマチュア207との摩擦力を低減させるのみならず、その非圧縮性に起因して、両者の隙間を広げる力を作用させる。この結果、ロータ320とアマチュア207の吸着力はますます低減することになる。本実施例では、潤滑油排出機構を設けることにより、ロータ302の内径部に供給された潤滑油OILを効率的に外部に排出することができるため、上述した作用による吸着力の低下を回避することができる。ここでは、外側クラッチユニットを例にとって説明したが、内側クラッチユニットを構成するアマチュア107も同様の潤滑油排出機構を備えている。
【0064】
なお、図14に示した潤滑油排出機構は、一例に過ぎない。潤滑油排出機構としては、ロータ302の内径側から潤滑油を排出可能な種々の機構を適用可能である。例えば、空隙CAが図14中に一点鎖線で示すようにテーパ状に設けられるものとしてもよい。つまり、アマチュア207と中間軸201との間隔がロータ302との接触面側では狭く、背面側では広くなるように空隙CAをテーパ状に設けても良い。こうすれば、潤滑油OILが排出される際に、遠心力の軸方向成分がアマチュア207とロータ302とを吸着させる方向に作用するため、両者の吸着力を強化することができる。
【0065】
以上で説明した本実施例の電磁式2段クラッチによれば、磁気回路の形成を制御することによって、電磁石の大型化や消費電力の増大を招くことなく、摩擦係合器の吸着力を強化することができる。また、潤滑油排出機構の作用により、潤滑油に起因する吸着力の低下を抑制することができる。この結果、本実施例の電磁式2段クラッチは、摩擦係合器間で十分な摩擦力を作用させることができ、クラッチの係合、切り離し動作の安定性を向上することができる。
【0066】
H.第1変形例:
図15は第1変形例としての電磁式2段クラッチの概略構成を示す説明図である。第1変形例では、アマチュア207Aに離反バネ208a,208bが異なる径方向位置に2カ所設けられている点で実施例と相違する。離反バネ208a,208bは、それぞれロータ302とアマチュア207Aとを磁気回路が通過する部位に設けられている。
【0067】
図16は離反バネ208aの形状を示す説明図である。左側に軸方向に見た状態を示す正面図、右側に軸に直交する方向から見た側面図を示した。図示する通り、離反バネ208aは波状に形成された円輪、いわゆるウェーブワッシャとして形成されている。離反バネ208aは、一方の面Saにおいてアマチュア207Aと接触し、他方の面Sbにおいてロータ302と接触する状態で組み込まれている。また、離反バネ208aは磁性体で形成されている。第1変形例では、磁性体で形成された離反バネ208aが磁気回路上に設けられていることになる。離反バネ208bも同様にウェーブワッシャとして形成されている。
【0068】
第1変形例の電磁式2段クラッチによれば、クラッチが非係合状態にあるときでも、図10に示した態様での磁気回路を容易に形成することができる利点がある。非係合状態においては、アマチュア207とロータ302とが非接触状態にある。この状態で図10に示した態様でアマチュア207とロータ302とを複数回往復する態様の磁気回路を形成しようとすれば、通常、磁気回路は、アマチュア207とロータ302との間の空気層を4回以上通過することになる。これに対し、第1変形例では、非係合状態でも磁気回路上に磁性体で形成された離反バネ208a、208bが存在するから、磁気回路はこの離反バネ208a,208bを通過する状態で形成される。従って、非係合状態においてアマチュア207とロータ302とを貫通する磁気回路を効率的に形成することができ、吸引初期において電磁力を安定して作用させることができる。この結果、第1変形例の電磁式2段クラッチは、より安定した動作を実現することが可能となる。
【0069】
第1変形例では、外側電磁クラッチユニットについて離反バネ208a,208bが磁気回路の一部を構成する場合を例示した。内側電磁クラッチユニットについても同様の構成を適用可能であることはいうまでもない。また、第1変形例では、離反バネ208a,208bを2カ所に設ける場合を例示したが、離反バネの数には制限はなく、空気層を通って磁気回路が形成される全ての部位に離反バネを設けるものとしてもよい。
【0070】
I.第2変形例:
図17は第2変形例としての電磁式2段クラッチの概略構成を示す説明図である。第2変形例は、離反バネ208cを磁気回路の形成に利用する点では、第1変形例と共通するが、一つの離反バネ208cを2カ所の磁気回路の形成に供給する点で第1変形例と相違する。
【0071】
第2変形例では、離反バネ208cがアマチュア207Bのスリットと径方向の位置を合わせて設けられている。ロータに設けられたスリット311a,311bと離反バネ208cとは径方向の位置が異なっている。図18は第2変形例の離反バネ208cの形状を示す説明図である。右側に正面図、左側に側面図を示した。離反バネ208cは第1変形例の離反バネ208aと同様、ウェーブワッシャとして形成されている。離反バネ208cは、ウェーブの山状の部分、即ちアマチュア207Bと接触する部分に図示するスリット209が設けられている。従って、離反バネ208cは、スリット209の内側部209iと、外側部209oでアマチュア207Bと接触することになる。
【0072】
図19は第2変形例の離反バネ208c近傍を示す拡大断面図である。上述の通り、離反バネ208cは、スリット209の内側部209iと、外側部209oでアマチュア207Bと接触する。離反バネ208のスリット209は、アマチュア207Bに設けられたスリット220と位置が合わせてある。離反バネ208cは、アマチュア207Bのスリット220をまたぐようにしてアマチュア207Bと接触することになる。離反バネ208cの谷側部分は、ロータ302と接触している。
【0073】
かかる形状の離反バネ208cを備えることにより、アマチュア207Bとロータ302とが非接触状態にあるときでも、図19中に矢印で示す磁気回路の形成を促進することができる。離反バネ208cは磁性体で形成されているため、磁気回路の形成に利用される。しかも、スリット209によって、図中に破線で示す磁気回路、即ち、ロータ302を貫通することなく径方向にリークする磁気回路の形成を抑制することができる。この結果、第2変形例の電磁式2段クラッチによれば、第1変形例と同様、係合初期における動作の安定性を向上することができる。第2変形例では、単一の離反バネ208cを、アマチュア207とロータ302とを往復する磁気回路の2カ所で利用することができる利点もある。このため、離反バネ208cを設けるスペースの制約が少ない。第2変形例では、離反バネ208cの山数を増やし、磁気回路をより形成しやすくするとともに、スリット209を設けることによって弾性力をクラッチ機構の動作に適した範囲に調整することができる利点もある。
【0074】
第2変形例の構成は、内側電磁クラッチユニットにも適用可能であることはいうまでもない。また、第2変形例では、離反バネ208cを1カ所に設ける場合を例示したが、スリット311a,311bをまたぐ形で離反バネを設けるものとしてもよい。
【0075】
J.電磁式2段クラッチの適用例:
実施例の電磁式2段クラッチは、一つの回転軸と他の2つの回転軸との結合状態を切り替える必要がある種々の装置に適用することができる。例えば、車両に適用することにより、駆動軸を自在に切り替えることが可能となる。この場合は、エンジンを中間軸201に結合し、前車軸を内軸101、後車軸を外軸301に結合すればよい。中間軸201と内軸101とを結合すれば、前輪駆動車両となる。中間軸201と外軸301とを結合すれば、後輪駆動車両となる。中間軸201を内軸101、外軸301の双方に結合すれば、四輪駆動車両となる。また、同様にモータとエンジンと動力源として備えるハイブリッド車両に適用することもできる。
【0076】
このように本実施例の電磁式2段クラッチは、3つの回転軸のうち2つの回転軸の結合状態の切り替えが要求される種々の装置において有効に適用することができる。上述の例では、車両およびハイブリッド車両への適用を挙げたが、これらに限定されるものではない。
【0077】
また、以上の説明では、電磁式2段クラッチおよびその適用例を例示した。本実施例は、必ずしも2段クラッチとして構成する必要はなく、2軸の係合および切り離しを行う機構、即ち、通常のクラッチ機構として構成してもよい。かかる構成は、例えば、実施例の2段クラッチにおける内側クラッチユニットまたは外側クラッチユニットのいずれか一方を用いることにより容易に実現可能である。
【0078】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、更に種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】抑制機構の一例を示す説明図である。
【図2】実施例としての電磁式2段クラッチの概略構成を示す説明図である。
【図3】内側回転部100の構成を示す説明図である。
【図4】内側回転部100についてカム102、保持器105を含む断面を示す断面図である。
【図5】内側回転部100についてスイッチバネを含む断面における断面図である。
【図6】外側回転部300の構成を示す説明図である。
【図7】中間回転部200の構成を示す説明図である。
【図8】アマチュア207をロータ302との接触面側から見た状態を示す説明図である。
【図9】ロータ302をコイル401側から見た状態を示す説明図である。
【図10】磁気回路の様子を示す説明図である。
【図11】磁気回路の解析結果を示す説明図である。
【図12】第1変形例としてのスリットを示す説明図である。
【図13】第2変形例としてのスリットを示す説明図である。
【図14】潤滑油排出機構を示す説明図である。
【図15】第1変形例としての電磁式2段クラッチの概略構成を示す説明図である。
【図16】離反バネ208aの形状を示す説明図である。
【図17】第2変形例としての電磁式2段クラッチの概略構成を示す説明図である。
【図18】第2変形例の離反バネ208cの形状を示す説明図である。
【図19】第2変形例の離反バネ208c近傍を示す拡大断面図である。
【図20】従来技術としての回転伝達装置の回転軸を含む断面の断面図である。
【図21】従来技術としての回転伝達装置の回転軸に直交する断面の断面図である。
【図22】従来技術としての回転伝達装置について保持器の組み付け状態を示す断面図である。
【符号の説明】
100…内側回転部
101…内軸
102…カム
103…スイッチバネ
104…ローラ
105…保持器
106…突起
107…アマチュア
108…離反バネ
200…中間回転部
201…中間軸
202…カム
203…スイッチバネ
204…ローラ
205…保持器
206…突起
206h…挿入孔
207,207A,207B…アマチュア
208,208a,208b,208c…離反バネ
208h…収納溝
209…スリット
209i…内側部
209o…外側部
210…径方向側面
211a,211b…スリット
220…スリット
221…突起部
300…外側回転部
301…外軸
302,302A,302B…ロータ
303…スプロケット
311a,311b,311c,311d,311e…スリット
320…ロータ
400…固定ユニット
401,403…コイル
402,404…コア
405…ボルト
501〜504…軸受

Claims (11)

  1. 2つの回転軸の結合および切り離しを電磁力の作用によって行う電磁式2方向クラッチであって、
    前記2つの回転軸の一方の回転軸と相対的に回転不能に備えられ、径方向に貫通する磁気回路の形成を抑制するn箇所(nは2以上の整数)の前記摩擦係合器の径方向に貫通する磁気回路の形成を抑制する第1の抑制機構を有する第1の摩擦係合器と、
    他方の回転軸と相対的に回転不能に備えられ、径方向に貫通する磁気回路の形成を抑制するn−1箇所の前記摩擦係合器の径方向に貫通する磁気回路の形成を抑制する第2の抑制機構を有する第2の摩擦係合器と、
    前記第1の摩擦係合器および第2の摩擦係合器を貫通する磁気回路を形成せしめる電磁石とを備え、
    前記第1および第2の摩擦係合器の抑制機構は、
    前記第1の抑制機構と第2の抑制機構とが径方向に交互に配置される条件、
    前記第1の摩擦係合器に対する前記第2の摩擦係合器の相対的な回転に拘わらず、各第2の抑制機構は、その内外に隣接して位置する2つの第1の抑制機構の中間よりも常に外径側に設けられている条件、
    を満足する配置で備えられている機構である電磁式2方向クラッチ。
  2. 請求項1記載の電磁式2方向クラッチであって、
    前記第1および第2の抑制機構は、さらに、前記第1の摩擦係合器と第2の摩擦係合器とを貫通する磁気回路が形成される2n箇所の領域の面積が同等となる位置関係で備えられている電磁式2方向クラッチ。
  3. 請求項1記載の電磁式2方向クラッチであって、
    前記第1および第2の抑制機構は、互いに隣り合う前記第1の抑制機構と前記第2の抑制機構の間隔が外径方向に行くほど狭くなるように、前記第1および第2の摩擦係合器にそれぞれ備えられている電磁式2方向クラッチ。
  4. 請求項1記載の電磁式2方向クラッチであって、
    前記抑制機構は、前記第1および第2の摩擦係合器の接触面側において、非係合時における両者の間隔以上の空隙を与える孔または窪みである電磁式2方向クラッチ。
  5. 請求項記載の電磁式2方向クラッチであって、
    前記抑制機構は、それぞれ第1の摩擦係合器と第2の摩擦係合器の少なくとも一部において周方向の位置をずらして設けられている電磁式2方向クラッチ。
  6. 請求項1記載の電磁式2方向クラッチであって、
    前記第1の摩擦係合器および第2の摩擦係合器は、前記抑制機構とは別に、該第1および第2の摩擦係合器において、前記抑制機構の間を径方向に貫通する磁気回路の形成を抑制するためのスリットを備える電磁式2方向クラッチ。
  7. 請求項1記載の電磁式2方向クラッチであって、
    前記電磁石の非通電時に、前記第1および第2の摩擦係合器が離反する方向に弾性力を作用させるための離反用弾性部材を有しており、
    該離反用弾性部材は、磁性体で形成されるとともに、前記非通電時に第1および第2の摩擦係合器の双方に接触する状態で、前記第1および第2の摩擦係合器の間を磁気回路が貫通する部位に設けられている電磁式2方向クラッチ。
  8. 請求項記載の電磁式2方向クラッチであって、
    前記離反用弾性部材は、前記抑制機構の少なくとも一部と径方向の位置を併せて備えられ、該抑制機構よりも径方向に幅広であり、前記非通電時に抑制機構を除く部位で前記第1および第2の摩擦係合器と接触する状態で備えられている電磁式2方向クラッチ。
  9. 請求項1記載の電磁式2方向クラッチであって、さらに、
    前記第1および第2の摩擦係合器を含む回転部に潤滑油を供給する潤滑機構と、
    前記第1および第2の摩擦係合器の接触面内径側の領域から潤滑油を排出する排出機構とを備える電磁式2方向クラッチ。
  10. 請求項1請求項9いずれか記載の電磁式2方向クラッチであって、
    同心円状の配置で前記2つの回転軸にそれぞれ固定された2つの部材であって、該部材の対向する面間で、径方向の間隔が周方向の位置によって変動する擬楔状を形成する擬楔状空間形成部材と、
    前記径方向の間隔の最小値と最大値の間の径を有し、前記擬楔状空間形成部材の間に配置されたローラと、
    前記他方の回転軸に相対的に回動可能、かつ、前記第2の摩擦係合器に相対的に回転不能に連結され、前記ローラを保持する保持器とを備える電磁式2方向クラッチ。
  11. 第1の回転軸と第2の回転軸との係合および切り離しを行う第1の電磁式2方向クラッチ機構と、該第2の回転軸と第3の回転軸との係合および切り離しを行う第2の電磁式2方向クラッチ機構とを備える電磁式2段クラッチであって、
    前記第1および第2の電磁式2方向クラッチは、請求項1〜請求項10いずれか記載の電磁式2方向クラッチであり、
    かつ、該第1および第2の電磁式2方向クラッチが、同心円状に配置された電磁式2段クラッチ。
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