JP2010216418A - 可変容量圧縮機用制御弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】可変容量圧縮機用制御弁における高圧ポートと低圧ポートとの間のゴミ詰まりを効果的に抑制する。
【解決手段】本発明のある態様の制御弁1は、吐出室に連通するポート11と吸入室に連通するポート27との間に減圧室53が設けられ、その減圧室への冷媒の導入が第2の弁部を介して行われる。すなわち、ポート11とポート27とが隣り合うことなく、その間に中間圧力(クランク圧力Pc)が満たされるようにすることで、主弁体の摺動部の前後差圧が小さくなるように構成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車用空調装置の冷凍サイクルを構成する可変容量圧縮機の吐出容量を制御するのに好適な制御弁に関する。
自動車用空調装置は、一般に、その冷凍サイクルを流れる冷媒を圧縮して高温・高圧のガス冷媒にして吐出する圧縮機、そのガス冷媒を凝縮する凝縮器、凝縮された液冷媒を断熱膨張させることで低温・低圧の冷媒にする膨張装置、その冷媒を蒸発させることにより車室内空気との熱交換を行う蒸発器等を備えている。蒸発器で蒸発された冷媒は、再び圧縮機へと戻され、冷凍サイクルを循環する。
この圧縮機としては、エンジンの回転数によらず一定の冷房能力が維持されるように、冷媒の吐出容量を可変できる可変容量圧縮機(単に「圧縮機」ともいう)が用いられている。この圧縮機は、エンジンによって回転駆動される回転軸に取り付けられた揺動板に圧縮用のピストンが連結され、揺動板の角度を変化させてピストンのストロークを変えることにより冷媒の吐出量を調整する。揺動板の角度は、密閉されたクランク室内に吐出冷媒の一部を導入し、ピストンの両面にかかる圧力の釣り合いを変化させることで連続的に変えられる。このクランク室内の圧力(以下「クランク圧力」という)Pcは、圧縮機の吐出室とクランク室との間、またはクランク室と吸入室との間に設けられた可変容量圧縮機用制御弁(単に「制御弁」ともいう)により制御される。
このような制御弁として、例えば吸入圧力Psに応じてクランク室への冷媒の導入量を調整することにより、クランク圧力Pcを制御するものがある(例えば特許文献1参照)。この制御弁は、吸入圧力Psを感知して変位する感圧部と、感圧部の駆動力を受けて吐出室からクランク室へ通じる通路を開閉制御する弁部と、感圧部の設定値を外部電流によって可変できるソレノイドとを備える。このような制御弁は、吸入圧力Psが外部電流により設定された設定圧力に保持されるように弁部を開閉する。一般に、吸入圧力Psは蒸発器出口の冷媒温度に比例するため、その設定圧力を所定値以上に保持することにより、蒸発器の凍結等を防止できる。また、車両のエンジン負荷が大きいときにはソレノイドをオフにすることで弁部を全開状態とし、クランク圧力Pcを高くして揺動板を回転軸に対してほぼ直角にすることで、圧縮機を最小容量で運転させることができる。
特開2005−214059号公報
ところで、このような制御弁は一般に、ボディにおいて吐出冷媒が導入される吐出室連通ポートに対して一方の側にクランク室に連通するクランク室連通ポートが設けられ、他方の側に吸入室に連通する吸入室連通ポートが設けられている。そして、その吸入室連通ポートがつながる圧力室に感圧部が設けられている。ボディの中央には各ポートを横断するように作動ロッドが挿通され、その作動ロッドにより感圧部による力やソレノイド力が弁部に伝達される。
このように高圧の吐出室連通ポートと低圧の吸入室連通ポートとが隣り合う構成においては、その差圧によってボディと作動ロッドとの摺動部を介した冷媒漏れが発生しやすくなるため、そのシール性を高めておく必要がある。そこで、従来はその摺動部の間隙周辺にパッキン等のシール部材を配置するなどしてこれに対処していた。しかしながら、冷媒中には金属粉などのゴミが含まれることも多く、大きな差圧によってそのゴミがシール部に固着し、作動ロッドの摺動性を低下させてしまうといった問題があった。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、可変容量圧縮機用制御弁における高圧ポートと低圧ポートとの間のゴミ詰まりを効果的に抑制することを目的とする。
本発明のある態様の可変容量圧縮機用制御弁は、吸入室から導入された冷媒を圧縮して吐出室から吐出する可変容量圧縮機の吐出容量を、吐出室からクランク室に導入する冷媒の流量を制御することにより変化させる。この可変容量圧縮機用制御弁は、吐出室に連通する吐出室連通ポートと、クランク室に連通するクランク室連通ポートとがそれぞれ設けられたボディと、ボディにおける吐出室連通ポートに対してクランク室連通ポートとは反対側に設けられるとともに、クランク室に連通する減圧室と、吐出室連通ポートとクランク室連通ポートとを連通させる冷媒通路に設けられた第1の弁孔に接離して第1の弁部を開閉する第1弁体と、吐出室連通ポートと減圧室とを連通させる冷媒通路に設けられた第2の弁孔に接離して第2の弁部を開閉する第2弁体と、ボディにおける減圧室に対して吐出室連通ポートとは反対側に設けられ、第1弁体および第2弁体に対して開弁または閉弁方向のソレノイド力を付与可能なソレノイドと、を備える。
この態様によると、吐出室連通ポートから導入された吐出圧力が、その吐出室連通ポートの一方の側にある第1の弁部のみならず、他方の側にある第2の弁部によっても減圧され、クランク室へ導出されるクランク圧力となる。第2の弁部を経て減圧室に導入されたクランク圧力は、冷媒通路を介してクランク室へ導出されるが、クランク室へ直接導出されてもよいし、クランク室連通ポートを介してクランク室へ導出されてもよい。この態様によれば、吐出室連通ポートとソレノイドとの間に減圧室が介在するため、仮に吐出室連通ポートとソレノイドとの間に別の低圧の圧力室につながる摺動部があったとしても、その差圧を小さくできる。しかも、仮に第2の弁部を介してゴミが流入したとしても、そのままクランク室へと導出される。その結果、摺動部へのゴミ詰まりを効果的に防止または抑制することができる。
具体的には、ボディの一端側から順にクランク室連通ポート、吐出室連通ポート、吸入室に連通する吸入室連通ポートが設けられ、吐出室連通ポートと吸入室連通ポートとの間に減圧室が設けられた構成に有効である。この態様では、吐出室連通ポートと吸入室連通ポートとが隣り合う構成と比較し、吸入室連通ポートとそれに隣り合う圧力室(減圧室)との差圧を小さくでき、その間に摺動部が設けられていてもゴミ詰まりが抑制される。
本発明によれば、可変容量圧縮機用制御弁における高圧ポートと低圧ポートとの間のゴミ詰まりを効果的に抑制することができる。
第1の実施の形態に係る制御弁の構成を示す断面図である。 図1の上半部に対応する部分拡大断面図である。 第2の実施の形態に係る制御弁の上半部の部分拡大断面図である。 第3の実施の形態に係る制御弁の構成を示す断面図である。 図4の上半部に対応する部分拡大断面図である。 第4の実施の形態に係る制御弁の上半部の部分拡大断面図である。 第5の実施の形態に係る制御弁の上半部の部分拡大断面図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を上下と表現することがある。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る制御弁の構成を示す断面図である。
本実施の形態の制御弁1は、自動車用空調装置の冷凍サイクルに設置される図示しない可変容量圧縮機(単に「圧縮機」という)を制御する可変容量圧縮機用制御弁として構成されている。この圧縮機は、冷凍サイクルを流れる冷媒を圧縮して高温・高圧のガス冷媒にして吐出する。そのガス冷媒は凝縮器(外部熱交換器)にて凝縮され、さらに膨張装置により断熱膨張されて低温・低圧の霧状の冷媒となる。この低温・低圧の冷媒が蒸発器にて蒸発し、その蒸発潜熱により車室内空気を冷却する。蒸発器で蒸発された冷媒は、再び圧縮機へと戻されて冷凍サイクルを循環する。
制御弁1は、圧縮機の吸入圧力Psを設定圧力に保つように、吐出室からクランク室に導入する冷媒流量を制御するいわゆるPs感知弁として構成されている。制御弁1は、吐出冷媒の一部をクランク室へ導入するための冷媒通路を開閉する弁部を含む弁本体2と、その弁部の開度を調整してクランク室へ導入する冷媒流量を制御するソレノイド3とを一体に組み付けて構成される。弁本体2は、段付円筒状のボディ5、ボディ5の内部に設けられた弁部、ボディ5の内部に設けられて弁部を開閉するための駆動力を発生するパワーエレメント4(「感圧部」に該当する)等を備えている。
ボディ5の側部には、圧縮機の吐出室に連通して吐出圧力Pdを受けるポート11(「吐出室連通ポート」に該当する)が設けられている。ポート11の周囲には、ボディ5の内部へのごみ等の侵入を抑制するためのストレーナ12が取り付けられている。ポート11は、ボディ5の上部に設けられたポート13(「クランク室連通ポート」に該当する)と内部で連通している。ポート11の周囲にはばね受け部材50が嵌着され、その外側を覆うように、ボディ5の内部へのごみ等の侵入を抑制するためのストレーナ14が嵌着されている。ポート13は、圧縮機のクランク室に連通し、そのクランク室に制御されたクランク圧力Pcを導出する。ボディ5の下端開口部は、ソレノイド3との間に形成された空間を介して圧縮機の吸入室に連通する。
ポート11とポート13とを連通する冷媒通路には弁孔15が形成され、その弁孔15の吐出室側の開口端縁により弁座16(第1の弁座)が形成されている。そして、その弁座16にポート11側から接離可能に対向するように、段付円筒状の弁体17(第1弁体)が配設されている。弁体17は、弁座16とともに「第1の弁部」を構成する。弁体17の上端部には半径方向外向きに延出する複数の脚部18が周設されており、弁体17は、脚部18がボディ5の内周面に沿って摺動しつつガイドされることで軸線方向に動作可能となっている。弁体17は、その上端外縁にテーパ面を有し、そのテーパ面にて弁座16に着脱することによって第1の弁部を開閉し、吐出室からクランク室へ流れる冷媒流量を調整する。弁体17の上端内縁に形成されたフラット面により弁座19(副弁座)が形成されている。
弁体17の下端部には、円筒状の弁体20(第2弁体)が外挿されるように圧入されている。弁体17と弁体20とは「主弁体」を構成する。ボディ5の下端開口部には段付円筒状のばね受け部材21が固定され、そのばね受け部材21の上部内周端縁によって弁座22(第2の弁座)が形成されている。弁体20は、弁座22に下方から接離可能に配置されている。弁体20は、弁座22とともに「第2の弁部」を構成する。弁体20は、その上端外縁にテーパ面を有し、そのテーパ面にて弁座22に着脱することによって第2の弁部を開閉する。第1の弁部と第2の弁部とは、吐出室からクランク室へ流れる冷媒流量を調整する「主弁」を構成し、本実施の形態では同時に開閉するように構成されている。すなわち、主弁体として弁体17と弁体20とを組み付ける際には、ボディ5に弁体17を挿入した後、ばね受け部材21を圧入して固定する。そして、弁体17を弁座16に着座させて閉弁状態とした状態で弁体20を弁座22に着座するまで弁体17に圧入する。その結果、弁体17と弁体20とが弁座16、弁座22に同時に着座し、また離間するようになる。
また、ボディ5の中央をその軸線方向に延びるように、長尺状の作動ロッド23が挿通されている。作動ロッド23は弁体17を貫通し、その上端部には円板状の弁体24(副弁体)が圧入固定されている。弁体24の外周部には半径方向外向きに延出する複数の脚部25が周設されており、作動ロッド23は、脚部25が弁孔15に沿って摺動しつつガイドされることで弁体24とともに軸線方向に動作可能となっている。弁体24は、その下端面にて弁座19に着脱することによって副弁を開閉し、クランク室から吸入室へリリーフする冷媒流量を調整する。弁体24と弁孔15との間には、隣接する脚部25間により軸線方向の冷媒通路が形成されるため、ポート11から導入された冷媒はその冷媒通路を介してポート13側に流れることが可能になる。
ボディ5の下端開口部は、その内径が下方に向かって拡径されており、有底段付円筒状のばね受け部材21が圧入されている。ばね受け部材21は、その下半部に設けられたガイド孔57にて弁体20を軸線方向に摺動可能に支持する。ばね受け部材21の上端部は縮径して弁孔26を形成し、その基端部の内周縁によって弁座22が形成されている。
ボディ5の下部は、ソレノイド3の上端部に圧入されている。ボディ5の下端部とソレノイド3との間には、圧縮機の吸入室に連通して吸入圧力Psを受けるポート27(「吸入室連通ポート」に該当する)が形成されている。ポート27は、弁体17の下端開口部に連通している。ボディ5とソレノイド3とに囲まれた内部空間は、吸入圧力Psが導入される圧力室28を形成する。この圧力室28には、吸入圧力Psを感知して軸線方向に動作するパワーエレメント4が配置されている。
一方、ソレノイド3は、ヨークとしても機能するケース31と、ケース31に固定されたコア32と、ケース31内においてコア32と軸線方向に対向配置されたプランジャ33と、外部からの供給電流により磁気回路を生成する電磁コイル34と、ケース31の下端開口部を封止するように設けられた端部部材35とを備えている。コア32は、その上部が拡径されつつケース31の上方に延出し、その上端開口部にボディ5の下端部が圧入されている。その結果、弁本体2とソレノイド3とが一体に組み付けられている。コア32の上端側部には、ポート27を形成する連通孔が設けられている。ケース31は、円筒状をなし、その上端開口部が内方に加締められることによりコア32に固定されている。
コア32には、その中央を軸線方向に貫通する挿通孔36が設けられており、ソレノイド力を弁体17へ伝達するためのシャフト37を挿通している。シャフト37は、その下端部がプランジャ33に圧入固定され、その上端部がパワーエレメント4に支持されている。圧力室28内の吸入圧力Psは、シャフト37と挿通孔36との間隙を介してソレノイド3の内部にも導入される。
コア32には、また、下端が閉じた有底スリーブ39が外挿されている。コア32の拡径部下面、有底スリーブ39の上端面、およびケース31の上端部内周面により囲まれた空間には、シールリング90が介装されており、内外のシールを確保している。シールリング90は、特にその上下面にてコア32、有底スリーブ39の平坦面にそれぞれ密着している。プレス成形品の側面は金型と擦れる際に縦傷が付きやすいのに対し、その平坦面にはそのような傷が付きにくいため、平坦面にシール部材を密着させてそのシール性を高めようとするものである。
有底スリーブ39は、非磁性材料からなり、その内部にはプランジャ33がコア32の下方で軸線方向に進退可能に配置されている。有底スリーブ39は、その下端中央部が上方に凸となるよう成形されており、その下端中央部にてプランジャ33を下方から支持できるように構成されている。プランジャ33の上半部には、シャフト37の下端部が軸線に沿って圧入されている。プランジャ33の外周面の所定箇所には軸線方向に沿った溝部40が形成されており、挿通孔36を通過した吸入圧力Psの冷媒は、さらにその溝部40と有底スリーブ39との間に形成された通路を通ってプランジャ33の下部、つまり背圧室41に導入される。また、有底スリーブ39にはボビン43が外挿されており、そのボビン43に電磁コイル34が巻回されている。
ケース31の下端開口部には、その下端部を内方に加締めることにより円板状のカラー44が固定されている。カラー44は、磁性部材からなり、ケース31とともに磁気回路を構成する。カラー44の底部中央には挿通孔45が設けられ、有底スリーブ39の下端部がその挿通孔45を介して露出している。ボビン43からは電磁コイル34につながる一対の接続端子46が延出し、それぞれカラー44を貫通して端部部材35内の空間に引き出されている。同図においては説明の便宜上、その一対の片方のみが表示されている。
端部部材35は、ケース31に内包されるソレノイド3内の構造物全体を下方から封止するように取り付けられている。端部部材35は樹脂成形部材からなり、外部電源につながる接続端子46を部分的にモールドしつつ有底段付円筒状に形成されている。樹脂成形部材の材質としては、例えばガラスを含有した66ナイロン等のように耐食性を有し、適度な硬さと弾性を有するものが好ましい。一定以上の取付精度を確保するために、ゴムよりも硬度の高いものであるのが好ましい。
端部部材35は、図示のように爪部47を介してカラー44に装着されることでケース31に対して固定されている。ケース31の下端部と端部部材35の上端外周部との間には、比較的小さなOリング48が介装されており、ソレノイド3の内外を気密に保持している。また、端部部材35には、圧縮機に取り付けられる際にその取付孔の内外を気密に保持するためのシール部49が一体成形されている。このシール部49は、端部部材35の上端部近傍に設けられたフランジ部に切り欠き50を形成することにより構成されている。シール部49は、その切り欠き50の近傍部分にて半径方向内向きに弾性変形可能であり、その弾性反力により取付孔に密着してシールを実現する。
図2は、図1の上半部に対応する部分拡大断面図である。
ばね受け部材50と弁体24との間には、弁体24を下方に付勢するスプリング51が介装されている。すなわち、スプリング51は、弁体24を弁座19に着座させる方向(副弁の閉弁方向)に付勢するとともに、弁体17および弁体20をそれぞれ弁座16、弁座22から離間させる方向(主弁の開弁方向)に付勢する。一方、弁体17の脚部18とばね受け部材21との間には、弁体17および弁体20を上方、つまりそれぞれ弁座16、弁座22に着座させる方向(主弁の閉弁方向)に付勢するスプリング52が介装されている。スプリング52の荷重はスプリング51の荷重よりも小さく設定されている。
ばね受け部材21は、その上端部が小径化されており、その小径部とボディ5との間の空間により減圧室53が形成されている。また、ばね受け部材21の上端部には、弁孔26と減圧室53とを連通する連通孔54が設けられ、第2の弁部を通過した冷媒を減圧室53に導く。さらに、ボディ5の周縁部近傍には、軸線に平行に形成された連通路55が形成され、減圧室53とポート13とを連通させている。したがって、第2の弁部を通過した冷媒は、減圧室53および連通路55を介してポート13へ導かれ、第1の弁部を通過した冷媒とともにクランク室へと導出される。ばね受け部材21の側部には、内外を連通させる連通孔59が設けられている。また、ばね受け部材21の底部中央には挿通孔56が設けられ、作動ロッド23の下端部を挿通させている。
パワーエレメント4は、作動ロッド23とシャフト37との間に介装されて弁部の開閉方向に変位可能に支持された中空のハウジング61と、ハウジング61内を密閉空間S1と開放空間S2とに仕切るように配設された可撓性部材としてのダイヤフラム62と、密閉空間S1に配設された付勢部材としてのスプリング63と、開放空間S2に収容されるとともに、ハウジング61を貫通して上方に延びる3本の脚部64を有する反力伝達部材65とを備えている。開放空間S2は、圧力室28に連通している。
ハウジング61は、ともにステンレスからなる有蓋状の第1ハウジング66および第2ハウジング67からなり、これらの開口部を突き合わせてその外縁部に金属薄板からなるダイヤフラム62の外縁部を挟むようにして組み付けられる。このハウジング61は、第1ハウジング66と第2ハウジング67との間にダイヤフラム62を挟んだ状態でその接合部に沿って外周溶接が施されることにより、容器状に形成されている。この溶接は真空雰囲気内で行われるため、密閉空間S1は真空状態となっているが、密閉空間S1内に大気等を満たすようにしてもよい。
ダイヤフラム62は、複数の薄膜状の金属ダイヤフラムを半径方向の内外端部にて連結して重ね、各ダイヤフラム間に所定の間隙が形成されるように構成されている。すなわち、図示のように、最も外径が大きい第1ダイヤフラム81と、それより外径が小さくほぼフラットな第2ダイヤフラム82との間に、これらを接続する第3ダイヤフラム83を配置している。第1ダイヤフラム81と第3ダイヤフラム83とは、その中央に挿通孔が形成されており、その内周縁にてオーバラップした所定長さ部分が軸線に平行となる形で溶接されている。また、第2ダイヤフラム82と第3ダイヤフラム83とは、その外周縁にてオーバラップした所定長さ部分が軸線に平行となる形で溶接されている。このように溶接箇所において各ダイヤフラムを所定長さオーバラップさせることにより連結部の強度を確保することができる。また、オーバラップした溶接部が軸線方向に平行に延びているため、ダイヤフラム62が変形したときにその溶接部に荷重がかかりにくくなっている。
第1ダイヤフラム81は、第2ハウジング67の開口部近傍の側面に位置する第1挟持部84と、第2ハウジング67の周縁部上面に位置する第2挟持部86にて挟持される。溶接は、第1ハウジング66と第2ハウジング67との下方に面した接合部に沿って施される。図示のように、第1挟持部84と第2挟持部86との間には空隙88が形成されているため、外周溶接が実施される際に第1ダイヤフラム81の周縁部が膨張して内方に変位したとしても、空隙88がその周縁部の変形を吸収する。このため、第2挟持部86よりも内方にある第1ダイヤフラム81の受圧部の変形が防止される。
第1ハウジング66のダイヤフラム62と反対側の底部中央にはプレス成形により凹状のロッド連結部70が形成されており、作動ロッド23の下端部(つまり弁体24と反対側の端部)を収容するようにして下方から支持している。また、第1ハウジング66の底部のロッド連結部70の周囲には、作動ロッド23を取り囲む3カ所に貫通孔71が形成されており、反力伝達部材65の3つの脚部64のそれぞれを挿通してばね受け部材21側に突出させている。第1ハウジング66の内部は、貫通孔71を介して圧力室28と連通しており、吸入圧力Psが導入される。ダイヤフラム62は、この吸入圧力Psを感知して弁部の開閉方向に伸縮動作する。
一方、第2ハウジング67のダイヤフラム62と反対側の底部中央はプレス成形により凹状のシャフト連結部72が形成されており、シャフト37の上端部が遊嵌されている。このようにして、ハウジング61は、作動ロッド23とシャフト37との間に挟まれるように介装され、弁部の開閉方向に変位可能に支持されている。
ダイヤフラム62の第2ハウジング67側の端面には、ステンレスからなる有底段付円筒状のディスク73がその底部にて溶接され、ディスク73の底部と第2ハウジング67の底部との間に、設定荷重調整用のスプリング63が介装されている。ディスク73は、その外径が第2ハウジング67の内径にほぼ等しくなるように形成されており、第2ハウジング67にガイドされる。それにより、ダイヤフラム62が、軸線方向に精度良く変位するようになる。
ダイヤフラム62の第1ハウジング66側の面の中央部には、ステンレスからなる円板状の反力伝達部材65が溶接されている。この反力伝達部材65の外周部の3カ所には、上方(つまりダイヤフラム62と反対側)に延出して第1ハウジング66の貫通孔71から突出する脚部64が設けられている。これらの脚部64は、パワーエレメント4の動作により、ボディ5内のシャフト37に対向する面、具体的には、ばね受け部材21の下面に着脱可能になっている。
ここでは、圧力室28内の吸入圧力Psが所定の設定圧力Psetよりも低くなるとダイヤフラム62が弁体17側に変形し、反力伝達部材65の脚部64がばね受け部材21の下面を押圧する。その結果、反力伝達部材65に作用する反力が、ダイヤフラム62、ディスク73、スプリング63および第2ハウジング67を介してシャフト37に伝達され、ソレノイド3によるソレノイド力を低減する方向の力が作用するようになっている。この設定圧力Psetは、基本的にはスプリング63のばね荷重によって予め調整され、蒸発器内の温度と吸入圧力Psとの関係から、蒸発器の凍結を防止できる圧力値として設定されている。
本実施の形態においては、弁孔15の内径(有効径)Aと弁孔26の内径(有効径)Bとが等しく形成されている。したがって、弁体17に作用する吐出圧力Pdによる力がキャンセルされる。一方、弁体17にはその有効径にてクランク圧力Pcと吸入圧力Psとの差圧(Pc−Ps)が作用するが、その差圧(Pc−Ps)は通常の制御状態において支障がないほど小さい。このため、弁体17は、制御状態においては実質的にパワーエレメント4の感圧部材が感知する吸入圧力Psに基づいて開閉動作することになる。
図1に戻り、以上のように構成された制御弁1は、圧縮機のハウジングに形成された取付孔に組み付けられる。その組み付けの際には、制御弁1をその弁本体2側から取付孔に挿入し、Cリングやワッシャ等を取付孔の開口端部に取り付けることにより固定する。この取付過程において、シール部49は、取付孔に差し掛かる前はその外径が取付孔の内径よりも大きくなっているが、取付孔に差し掛かると切り欠き50の幅を小さくするように内方に弾性変形しながら圧入される態様で挿入されていく。このとき、その弾性反力によってシール部49の外周面と取付孔の内周面とが密着する。このため、制御弁1の取り付けが完了したときには、シール部49によるシール機能が有効に作用する。このとき、端部部材35がそのシール部49により取付孔の開口部を密封する。このようなシール機能が端部部材35そのものに設けられるため、シール構造の簡素化と低コスト化が実現される。
次に、図1および図2に基づいて制御弁の動作について説明する。
制御弁1において、ソレノイド3が非通電のとき、つまり自動車用空調装置が動作していないときには、コア32とプランジャ33との間に吸引力が作用しない。また、スプリング51が作動ロッド23およびパワーエレメント4を介してシャフト37を下方に付勢しているため、弁体17および弁体20がそれぞれ弁座16、弁座22から離間して主弁が全開状態となる。一方、スプリング51およびスプリング52の付勢力により弁体24が弁座19に着座した状態が保持されるため、副弁は閉弁状態となっている。このとき、圧縮機の吐出室からポート11に導入された吐出圧力Pdの冷媒は、全開状態の主弁を通過し、ポート13からクランク室へと流れることになる。すなわち、ポート11に導入された吐出圧力Pdの冷媒は、一方で弁体17と弁座19とによる第1の弁部を通過することでクランク圧力Pcとなってポート13へ導出され、他方で弁体20と弁座22とによる第2の弁部を通過することでクランク圧力Pcとなり、減圧室53および連通路55を介してポート13へ導出される。その結果、クランク圧力Pcが高くなり、圧縮機は最小容量運転を行うようになる。また、この場合には吸入圧力Psが比較的高いので、ダイヤフラム62が下方に位置した状態となる。このとき、脚部64がばね受け部材21から離間した状態となるため、パワーエレメント4は作動ロッド23とシャフト37との間に介装されてはいるが、実質的に機能しない。
一方、自動車用空調装置の起動時など、ソレノイド3の電磁コイル34に最大の制御電流が供給されると、プランジャ33は、コア32に最大の吸引力で吸引される。このとき、弁体24を含む作動ロッド23、パワーエレメント4、シャフト37およびプランジャ33が、一体になってスプリング51の付勢力に抗して閉弁方向に動作する。本実施の形態では、自動車用空調装置の起動時にクランク室内の圧力を速やかに低減するために、圧縮機に形成された減圧通路(クランク室と吸入室とをつなぐオリフィス等)を利用するのみならず、副弁を開弁させて減圧効率を高める。
すなわち、ソレノイド力を最大にすることで、作動ロッド23を最大限に押し上げる。このとき、スプリング52の付勢力によって主弁が閉じられる一方、副弁が開弁される。すなわち、クランク室への吐出冷媒の導入が規制されるだけでなく、クランク室内の冷媒が副弁を介して吸入室にリリーフされる。このときは、ストレーナ14から導入されたクランク圧力Pcの冷媒が、弁体24と弁座19とによる副弁を通過することで吸入圧力Psに減圧され、さらに弁体17の内部通路58および連通孔59を介してポート27に導出される。その結果、クランク圧力Pcが速やかに低下し、制御弁1が最大容量運転状態に移行される。この状態から、ソレノイド3に供給する制御電流をやや低減すると、主弁および副弁の双方が閉じた通常の最大容量運転状態となる。
ここで、ソレノイド3に供給される電流値が所定値に設定された制御状態にあるときには、弁体24を含む作動ロッド23、パワーエレメント4、シャフト37およびプランジャ33が、副弁を閉じた状態で一体動作する。このとき、弁体17は、スプリング51による開弁方向の力と、スプリング52による閉弁方向の力と、ソレノイド3による閉弁方向のソレノイド力と、吸入圧力Psにより動作するパワーエレメント4によるソレノイド力を低減する方向の力とがバランスした弁リフト位置にて停止する。
そして、たとえば冷凍負荷が大きくなり吸入圧力Psが設定圧力Psetよりも高くなると、ダイヤフラム62および反力伝達部材65が下方に変位するため、弁体17が相対的に上方(閉弁方向)へ変位する。その結果、主弁の弁開度が小さくなり、圧縮機は吐出容量を増やすよう動作する。その結果、吸入圧力Psが低下する方向に変化する。逆に、冷凍負荷が小さくなって吸入圧力Psが設定圧力Psetよりも低くなると、ダイヤフラム62が上方へ変位して反力伝達部材65がばね受け部材21に着座し、その反力がシャフト37に対してソレノイド力を低減させる方向に作用する。この結果、弁体17への閉弁方向の力が低減されて主弁の弁開度が大きくなり、圧縮機は吐出容量を減らすよう動作する。その結果、吸入圧力Psが設定圧力Psetに維持され、過剰冷房が防止される。
このような最大容量運転状態または定常的な制御状態からソレノイド3への通電がオフにされると、再び最小容量運転状態へ移行するが、本実施の形態ではその移行を速やかに行うことができる。すなわち、本実施の形態では、弁体17にクランク圧力Pcと吸入圧力Psとの差圧(Pc−Ps)が作用するため、主弁の開弁方向の感度が高く、クランク圧力Pcが上昇するとそのクランク圧力Pcのバイアス分だけ主弁が開弁方向に動作しやすくなる。すなわち、主弁を速やかに開弁させて最少容量運転状態へ移行させる。
以上に説明したように、本実施の形態の制御弁1は、吐出室に連通するポート11と吸入室に連通するポート27との間に減圧室53が設けられ、その減圧室への冷媒の導入が第2の弁部を介して行われる。すなわち、ポート11とポート27とが隣り合うことなく、その間に中間圧力(クランク圧力Pc)が満たされるようにすることで、主弁体の摺動部の前後差圧が小さくなるように構成されている。このように高圧のポート11の両側に弁部を設けることで、吐出圧力Pdの高圧冷媒が主弁体の摺動部に直接流れ込むことを防止し、その高圧冷媒に含まれるゴミが摺動部に引き込まれることが抑制される。すなわち、主弁体の弁体20とガイド孔57との間には摺動部が形成されるが、減圧室53にて圧力が大きく減圧されており、その摺動部の前後差圧が小さくされている。しかも、仮に第2の弁部を介して減圧室53にゴミが流入したとしても、連通路55を介してポート13側へ導出される構成となっている。その結果、摺動部へのゴミ詰まりを効果的に防止または抑制することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る制御弁は、弁本体の構造が異なる点を除き、第1の実施の形態とほぼ同様である。このため、上記第1の実施の形態と同様の構成部分については同一の符号を付す等して適宜その説明を省略する。図3は、第2の実施の形態に係る制御弁の上半部の部分拡大断面図である。
制御弁201の弁本体202においては、ボディ205の上端開口部に円筒状の弁座形成部材250が圧入されている。弁座形成部材250の下端開口部は拡径されており、その開口端部の内周縁により弁座16が形成されている。
弁体220(第2弁体)は、その上端部が弁体17の下端部に圧入される一方、下端部が内方にやや突出する段部となっており、その段部の上面内周縁部に弁座19が形成されている。弁体220の側部には、弁体17の内部通路58と減圧室53とを連通する連通孔54が形成されている。すなわち、本実施の形態の減圧室53は、弁体17の内部通路58を介してポート13に連通している。弁体224(副弁体)は、円筒状をなし、作動ロッド223に中央部に外挿されるように圧入されている。弁体224の上端部には半径方向外向きに突出するフランジ部が形成され、そのフランジ部にて弁座19に上方から着脱して副弁を開閉する。
パワーエレメント204は、第1ハウジング266と第2ハウジング267との間に一枚のダイヤフラム262を挟んで構成されている。第1ハウジング266は、その外径がボディ205の下端開口部の内径にほぼ等しくなっており、そのボディ205の内周面にそって摺動しつつ軸線方向に動作可能となっている。第1ハウジング266の中央にはねじ孔264が設けられ、その周囲に複数の貫通孔71が形成されている。反力伝達部材265は、その外径が第1ハウジング266の内径にほぼ等しくなっており、その第1ハウジング266の内周面にそって摺動しつつ軸線方向に動作可能となっている。反力伝達部材265からは複数の脚部64(本実施の形態では4つ)が上方に延出し、その先端が貫通孔71の外部に突出している。第1ハウジング266の側部には、内外を連通する連通孔256が設けられている。さらに、第1ハウジング266の外周縁とボディ205との間には、パワーエレメント204を下方に付勢するスプリング251が介装されている。
作動ロッド223は、その下半部にねじ部225が形成され、第1ハウジング266の中央に形成されたねじ孔264に螺合されるようにして挿通されている。第1ハウジング266の中央には下方に突出するボス部が設けられており、ねじ孔264は、そのボス部の内周面に形成されている。一方、第1ハウジング266内には、作動ロッド223と反力伝達部材265との間に有底筒状のばね受け部材269が介装されている。ばね受け部材269は、その下半部が反力伝達部材265の中央に凹状に形成されたロッド連結部70に内挿され、上半部が第1ハウジング266のボス部に外挿されている。ばね受け部材269の上端開口部には、半径方向外向きに延出したフランジ部が設けられ、そのフランジ部と反力伝達部材265との間に調整用のスプリング259(「調整用付勢部材」に該当する)が介装されている。スプリング259は、反力伝達部材265を介してスプリング63に対抗する付勢力を発生させる。すなわち、作動ロッド223およびばね受け部材269が「調整部材」として機能し、作動ロッド223の第1ハウジング266への螺入によってばね受け部材269が反力伝達部材265に近接する方向に変位し、スプリング259の荷重を大きくする。つまり、作動ロッド223の螺入量(反力伝達部材265への進退変位)を調整することにより、ダイヤフラム262に作用するトータルのばね荷重の設定値(設定荷重)を調整可能に構成されている。
また、コア32の拡径部下面、有底スリーブ39の上端面、およびケース31の上端部内周面により囲まれた空間には、シールリング290が介装されており、内外のシールを確保している。シールリング290は、第1の実施の形態のシールリング90と比較して半径方向の厚みが大きく、その上下面にてコア32、有底スリーブ39の平坦面にそれぞれ密着するとともに、その内周部においてもコア32の外周面に密着し、外周面においてもケース31の内周面に密着しており、そのシール性能を高めている。
制御弁201の動作は、第1の実施の形態の制御弁1とほぼ同様である。主弁が開弁すると、ポート11から導入された吐出圧力Pdの冷媒は、第1の弁部のほか第2の弁部を介してクランク圧力Pcに減圧され、クランク室へ導出される。第2の弁部を通過した冷媒は、減圧室53および弁体17の内部通路58を介してポート13へ導出される。そして、ソレノイド力が最大になると、作動ロッド223とともに弁体224が押し上げられて副弁が開弁し、クランク室内の冷媒が第1ハウジング266内を通過し、連通孔256およびポート27を介して吸入室にリリーフされる。
本実施の形態によれば、弁体17の内部通路58と減圧室53とを連通させることで、第2の弁部とポート13とを連通する通路構成が簡素化されている。また、作動ロッド223の螺入量を調整するという簡単な作業によりパワーエレメント204の設定荷重を容易に調整することができる。さらに、スプリング251をスプリング52よりも下方に配置することで、パワーエレメント204を下方へ付勢する付勢力の支点と作用点との距離を短くでき、パワーエレメント204の軸方向の動作を安定に保持できるようになる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る制御弁は、主弁の構造が異なる点を除き、第1および第2の実施の形態とほぼ同様である。このため、第1および第2の実施の形態と同様の構成部分については同一の符号を付す等して適宜その説明を省略する。図4は、第3の実施の形態に係る制御弁の構成を示す断面図である。
制御弁301は、弁本体302とソレノイド303とを一体に組み付けて構成される。制御弁301は、第1の実施の形態とは異なり、ソレノイド303のケース331が軸線方向に大きく形成されており、その上端部に弁本体302のボディ305が圧入されている。ポート27は、ケース331の側壁を貫通するように設けられている。ケース331は、プレス成形にてその軸線方向の数カ所において加締められており、その加締め部の外周面にシール用のOリングが嵌着されている。一方、コア332の上端開口部は、パワーエレメント304を下方から摺動可能に支持している。
図5は、図4の上半部に対応する部分拡大断面図である。
ボディ305の上端開口部には、段付円筒状の弁座形成部材350が圧入されている。弁座形成部材350の下端開口部は拡径されており、その開口端部の内周縁により弁座16が形成されている。弁座形成部材350の内方には弁孔15が形成されている。
弁体317(第1弁体)には、弁座16に着脱するテーパ面よりも上方に延出するガイド部315が設けられ、そのガイド部315の上半部が弁座形成部材350の内周面に摺動するようにして軸線方向にガイドされる。ガイド部315の下半部の側部には、内外を連通する連通孔316が設けられ、第1の弁部を通過した冷媒を、弁体317の内部通路58に導入させたうえでポート13に導出できるようになっている。
弁体324(副弁体)は、段付円筒状をなし、作動ロッドとしても機能する。弁体324の上端部にはリング状の弁部材325が加締め接合され、その弁部材325が弁体220の弁座19に上方から着脱して副弁を開閉する。弁体324は、その軸線方向中央部に半径方向外向きに延出するフランジ部を有し、そのフランジ部とボディ305との間に弁体324を下方(閉弁方向)に付勢するスプリング351が介装されている。
パワーエレメント304は、第1ハウジング366と第2ハウジング267との間にダイヤフラム262を挟んで構成されている。第1ハウジング366は、その外径がボディ305の下端開口部の内径にほぼ等しくなっており、そのボディ305の内周面にそって摺動しつつ軸線方向に動作可能となっている。第1ハウジング366の中央には挿通孔364が設けられ、弁体324の下端部を挿通している。挿通孔364の周囲に複数の貫通孔71が形成されている。反力伝達部材365は、その上面中央に凹状のロッド連結部70を有し、弁体324の下端部を摺動可能に挿通している。反力伝達部材365からは複数の脚部64(本実施の形態では3つ)が上方に延出し、その先端が貫通孔71の外部に突出している。
また、コア332の拡径部外周面、有底スリーブ39の上端面、およびケース31の上端部内周面により囲まれた空間には、シールリング390が介装されており、内外のシールを確保している。シールリング390は、その上下面にてケース331、有底スリーブ39の平坦面にそれぞれ密着する。
制御弁301の動作は、第2の実施の形態の制御弁201とほぼ同様である。主弁が開弁すると、ポート11から導入された吐出圧力Pdの冷媒は、第1の弁部のほか第2の弁部を介してクランク圧力Pcに減圧され、クランク室へ導出される。第2の弁部を通過した冷媒は、減圧室53および弁体317の内部通路58を介してポート13へ導出される。そして、ソレノイド力が最大になると、弁体324が押し上げられて副弁が開弁し、クランク室内の冷媒が第1ハウジング366内を通過し、連通孔256およびポート27を介して吸入室にリリーフされる。
本実施の形態においても、スプリング351をスプリング52よりも下方に配置することで、弁体324ひいてはパワーエレメント304を下方へ付勢する付勢力の支点と作用点との距離を短くでき、それらの軸方向の動作を安定に保持できるようになる。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る制御弁は、制御方式が異なるものの、構成上、第2の実施の形態と共通する部分が多い。このため、第2の実施の形態と同様の構成部分については同一の符号を付す等して適宜その説明を省略する。図6は、第4の実施の形態に係る制御弁の上半部の部分拡大断面図である。
制御弁401は、圧縮機の吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧(Pd−Ps)を設定差圧に保つように、吐出室からクランク室に導入する冷媒流量を制御するいわゆるPd−Ps弁として構成されている。大きくみると、図3に示した制御弁201においてパワーエレメント204や副弁を除いたような構成を有する。
すなわち、弁本体402のボディ405とソレノイド3との間の圧力室28にはパワーエレメントは設けられていない。図示の例では、第2の実施の形態との比較が容易となるよう圧力室28が相当大きく構成されているが、圧力室28を小さくすることにより、ボディ405の小型化を実現することも可能である。ボディ405の下端開口部には円板状のガイド部材469が圧入され、弁本体402とソレノイド3とを区画している。ガイド部材469には軸線に沿ってガイド孔470が設けられており、ソレノイド3のプランジャにつながるシャフト437の上端部を貫通させてこれを摺動可能にガイドしている。
弁体417には、第1弁体418と第2弁体420が一体成形されている。弁体417は、有底段付円筒状をなし、第1弁体418の弁座16に着脱するテーパ面よりも上方に延出するガイド部415が設けられ、そのガイド部415の上半部が弁孔15の内周面に摺動するようにして軸線方向にガイドされる。ガイド部415の下半部の側部には、内外を連通する連通孔416が設けられ、第1の弁部を通過した冷媒を、弁体417の内部通路58に導入させたうえでポート13に導出できるようになっている。弁体417の下端には、半径方向外向きに延出するフランジ部419が設けられ、そのフランジ部419の外周部がボディ405の内周面に摺動しつつ、弁体417が軸線方向(弁部の開閉方向)に安定にガイドされるように構成されている。フランジ部419とボディ405との間には、弁体417を開弁方向に付勢するスプリング251が介装されている。第2弁体420の側部には、減圧室53と内部通路58とを連通させる連通孔54が設けられ、弁体417の底部にも内外を連通させる連通孔455が設けられている。
以上の構成において、第1弁体418が接離する弁孔15の有効径Aよりも第2弁体420が接離する弁孔26の有効径Bのほうが所定量大きくなるように構成されている。このため、弁体417には吐出圧力Pdの影響がキャンセルされることなく作用する。制御弁401の制御状態においてクランク圧力Pcと吸入圧力Psとの差圧は吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧と比較して相当小さいため、弁体417には、実質的に吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧(Pd−Ps)が作用するようになる。
すなわち、ソレノイド3に供給される電流値が所定値に設定されているときには、弁体417、シャフト437およびプランジャ(図1参照)が一体動作する。このとき、弁体417は、弁体417を開弁方向に付勢するスプリング251のばね荷重と、プランジャを閉弁方向に付勢するソレノイド力と、弁体417が開弁方向に受圧する差圧(Pd−Ps)による力とがバランスした弁リフト位置にて停止する。
このバランスが取れた状態で、エンジンの回転数とともに圧縮機の回転数が上がって吐出容量が増えると、吐出圧力Pdが上がって吸入圧力Psが下がる。その結果、その差圧(Pd−Ps)が大きくなって弁体417に開弁方向の力が作用し、弁体417は、さらにリフトして吐出室からクランク室へ流す冷媒の流量を増やす。これにより、クランク圧力Pcが上昇し、圧縮機は、その吐出容量を減少させる方向に動作し、差圧(Pd−Ps)が設定差圧になるように制御される。エンジンの回転数が低下した場合には、その逆の動作が行われ、差圧(Pd−Ps)が設定差圧になるように制御される。なお、この設定差圧は、ソレノイド3へ供給する電流値によって設定される。
このように、本実施の形態では、いわゆるPd−Ps弁においてもポート11とポート27とが隣り合うことなく、その間の減圧室53に中間圧力(クランク圧力Pc)が満たされるようにすることで、ガイド部材469とシャフト437との間の摺動部の前後差圧が小さくなるように構成されている。しかも、仮に第2の弁部を介して減圧室53にゴミが流入したとしても、弁体417の内部通路58を介してポート13側へ導出される構成となっている。その結果、摺動部へのゴミ詰まりを効果的に防止または抑制することができる。
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る制御弁は、制御方式が異なるものの、構成上、第2および第4の実施の形態と共通する部分が多い。このため、第2および第4の実施の形態と同様の構成部分については同一の符号を付す等して適宜その説明を省略する。図7は、第5の実施の形態に係る制御弁の上半部の部分拡大断面図である。
制御弁501は、いわゆるPd−Ps弁およびPs感知弁の双方の機能を有する多機能弁として構成されている。すなわち、制御弁501は、圧縮機の吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧(Pd−Ps)を設定差圧に保つように、吐出室からクランク室に導入する冷媒流量を制御するとともに、その制御過程で吸入圧力Psを設定圧力よりも低下させないようにするものである。
すなわち、第4の実施の形態とは異なり、弁本体502のボディ505とソレノイド3との間の圧力室28にはパワーエレメント504が設けられている。弁体517には、第1弁体518と第2弁体520が一体成形されている。弁体517は、有底段付円筒状をなし、第1弁体518の弁座16に着脱するテーパ面よりも上方に延出するガイド部415および連通孔416が設けられている。弁体517の下端には、半径方向外向きに延出するフランジ部419が設けられ、そのフランジ部419の外周部がボディ505の内周面に摺動しつつ、弁体517が軸線方向(弁部の開閉方向)に安定にガイドされるように構成されている。弁体517の下端面中央には凹状の収容部519が設けられ、パワーエレメント504の上端部を収容可能に構成されている。
パワーエレメント504は、第1ハウジング566と第2ハウジング267との間にダイヤフラム262を挟んで構成されている。第1ハウジング566は、その外径がボディ505の下端開口部の内径にほぼ等しくなっており、そのボディ505の内周面にそって摺動しつつ軸線方向に動作可能となっている。第1ハウジング566の中央には上方にボス状に突出するように成形された連結部568が設けられている。反力伝達部材565は、その上面中央に上方に突出するガイド部569が設けられ、そのガイド部569が連結部568に摺動可能に内挿されるようにしてガイドされる。反力伝達部材565からは複数の脚部64(本実施の形態では3つ)が上方に延出し、その先端が第1ハウジング566の貫通孔71の外部に突出している。
以上の構成において、第1弁体518が接離する弁孔15の有効径Aよりも第2弁体520が接離する弁孔26の有効径Bのほうが所定量大きくなるように構成されている。このため、弁体517には吐出圧力Pdの影響がキャンセルされることなく作用する。制御弁401の制御状態においてクランク圧力Pcと吸入圧力Psとの差圧は吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧と比較して相当小さいため、弁体517には、実質的に吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧(Pd−Ps)が作用するようになる。
すなわち、ソレノイド3に供給される電流値が所定値に設定されているときには、弁体517、パワーエレメント504、シャフト37およびプランジャ(図1参照)が一体動作する。このとき、弁体517は、弁体517を開弁方向に付勢するスプリング251のばね荷重と、プランジャを閉弁方向に付勢するソレノイド力と、弁体517が開弁方向に受圧する差圧(Pd−Ps)による力とがバランスした弁リフト位置にて停止する。
このバランスが取れた状態で、エンジンの回転数とともに圧縮機の回転数が上がって吐出容量が増えると、吐出圧力Pdが上がって吸入圧力Psが下がる。その結果、その差圧(Pd−Ps)が大きくなって弁体517に開弁方向の力が作用し、弁体517は、さらにリフトして吐出室からクランク室へ流す冷媒の流量を増やす。これにより、クランク圧力Pcが上昇し、圧縮機は、その吐出容量を減少させる方向に動作し、差圧(Pd−Ps)が設定差圧になるように制御される。エンジンの回転数が低下した場合には、その逆の動作が行われ、差圧(Pd−Ps)が設定差圧になるように制御される。なお、この設定差圧は、ソレノイド3へ供給する電流値によって設定される。
そして、以上のような圧縮機の動作による冷凍サイクルの運転の過程で吸入圧力Psが設定圧力Psetよりも低くなると、反力伝達部材565の脚部64がボディ505に着座し、その反力がシャフト37に対してソレノイド力に対抗するように作用する。それにより、弁体517への閉弁方向の力が低減されて弁部が開放される。この結果、クランク圧力Pcが上昇して吐出容量を低減させる。その結果、吸入圧力Psが設定圧力Psetに維持され、過剰冷房が防止される。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はその特定の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
例えば、上記各実施の形態では、パワーエレメントを構成する感圧部材として金属ダイヤフラムを用いた例を示したが、例えばダイヤフラムに代わり、皿ばねを用いてもよい。あるいは、皿ばねとダイヤフラムとを重ね合わせて感圧部材としてもよい。
また、上記各実施の形態では、パワーエレメントにより吸入圧力Psを感知する例を示したが、クランク圧力Pcを感知してそのクランク圧力Pcが設定圧力以下とならないように制御する制御弁として構成してもよい。具体的には、ポート27からクランク圧力Pcを導入する構成としてもよい。
1 制御弁、 2 弁本体、 3 ソレノイド、 4 パワーエレメント、 5 ボディ、 11,13 ポート、 15 弁孔、 16 弁座、 17 弁体、 19 弁座、 20 弁体、 22 弁座、 23 作動ロッド、 24 弁体、 26 弁孔、 27 ポート、 28 圧力室、 31 ケース、 32 コア、 33 プランジャ、 37 シャフト、 49 シール部、 53 減圧室、 55 連通路、 58 内部通路、 61 ハウジング、 62 ダイヤフラム、 65 反力伝達部材、 201 制御弁、 202 弁本体、 204 パワーエレメント、 205 ボディ、 220 弁体、 223 作動ロッド、 224 弁体、 265 反力伝達部材、 301 制御弁、 302 弁本体、 303 ソレノイド、 304 パワーエレメント、 305 ボディ、 317,324 弁体、 331 ケース、 332 コア、 365 反力伝達部材、 401 制御弁、 402 弁本体、 405 ボディ、 417 弁体、 418 第1弁体、 420 第2弁体、 437 シャフト、 501 制御弁、 502 弁本体、 504 パワーエレメント、 505 ボディ、 517 弁体、 518 第1弁体、 520 第2弁体、 565 反力伝達部材、 S1 密閉空間、 S2 開放空間。

Claims (10)

  1. 吸入室から導入された冷媒を圧縮して吐出室から吐出する可変容量圧縮機の吐出容量を、前記吐出室からクランク室に導入する冷媒の流量を制御することにより変化させる可変容量圧縮機用制御弁において、
    前記吐出室に連通する吐出室連通ポートと、前記クランク室に連通するクランク室連通ポートとがそれぞれ設けられたボディと、
    前記ボディにおける前記吐出室連通ポートに対して前記クランク室連通ポートとは反対側に設けられるとともに、前記クランク室に連通する減圧室と、
    前記吐出室連通ポートと前記クランク室連通ポートとを連通させる冷媒通路に設けられた第1の弁孔に接離して第1の弁部を開閉する第1弁体と、
    前記吐出室連通ポートと前記減圧室とを連通させる冷媒通路に設けられた第2の弁孔に接離して第2の弁部を開閉する第2弁体と、
    前記ボディにおける前記減圧室に対して前記吐出室連通ポートとは反対側に設けられ、前記第1弁体および前記第2弁体に対して開弁または閉弁方向のソレノイド力を付与可能なソレノイドと、
    を備えることを特徴とする可変容量圧縮機用制御弁。
  2. 前記ボディの一端側から順に前記クランク室連通ポート、前記吐出室連通ポート、吸入室に連通する吸入室連通ポートが設けられ、
    前記吐出室連通ポートと前記吸入室連通ポートとの間に前記減圧室が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  3. 前記第1弁体と前記第2弁体とが主弁体として一体に形成され、
    前記主弁体が、前記第2の弁孔に対して前記吐出室連通ポートとは反対側にて前記ボディ内に設けられたガイド孔に沿って摺動しつつ、各弁部の開閉方向に動作可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  4. 前記ボディと前記ソレノイドとの間に形成されるとともに、前記吸入室連通ポートに連通する圧力室と、
    前記ソレノイドに連結されて軸線方向にソレノイド力を伝達可能なシャフトと、
    前記主弁体に開閉方向に作動連結される作動ロッドと、
    前記圧力室にて前記シャフトと前記作動ロッドとの間に挟まれるように配置されて前記圧力室の圧力を感知し、その圧力室の圧力が設定圧力よりも低くなったときに前記ソレノイド力に対抗する力を発生させる感圧部と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  5. 前記感圧部は、
    前記圧力室内で変位可能に前記シャフトに支持されたハウジングと、
    前記ハウジング内を密閉空間と前記圧力室に連通する空間とに仕切るように設けられ、前記圧力室の圧力が前記設定圧力よりも低くなったときに前記シャフトから離れる方向に変形する可撓性部材と、
    前記可撓性部材の前記シャフトと反対側に接続されるとともに前記ハウジングの外部に延出する脚部を有し、前記圧力室の圧力が前記設定圧力よりも低くなったときに前記可撓性部材の変形により前記脚部が前記ボディを直接又は間接的に押圧し、その反力によって前記ハウジングを介して前記シャフトに前記ソレノイド力に対抗する力を付与する反力伝達部材と、
    前記可撓性部材と前記ハウジングとの間に配設され、前記可撓性部材を介して前記反力伝達部材を前記脚部が前記ハウジングから突出する方向に付勢する付勢部材と、
    を備えていることを特徴とする請求項4に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  6. 前記ハウジングを貫通するように取り付けられ、前記反力伝達部材に近接または離間する方向に進退可能な調整部材と、
    前記調整部材と前記反力伝達部材との間に介装され、前記反力伝達部材を介して前記付勢部材に対抗する付勢力を発生させる調整用付勢部材と、をさらに備え、
    前記調整部材の進退位置を調整することにより、前記可撓性部材に作用する各付勢部材によるトータルの設定荷重を調整可能に構成されていることを特徴とする請求項5に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  7. 前記第1の弁孔と前記第2の弁孔の有効径を等しくし、前記主弁体に作用する前記吐出室の吐出圧力の影響をキャンセルすることにより、前記主弁体が、実質的に前記吸入室の吸入圧力に応じて作動するように構成されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  8. 前記主弁体を貫通するように設けられるとともに、その一端側が前記クランク室連通ポートに連通する一方、他端側が前記吸入室連通ポートに連通する内部通路と、
    前記主弁体に着脱して前記内部通路を開閉する副弁体と、
    を備えたことを特徴とする請求項7に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  9. 前記副弁体は、その一端側が前記感圧部に当接する一方、他端側が前記内部通路に挿通されるようにして前記主弁体と前記感圧部との間に介装され、
    前記主弁体の前記副弁体側の端部に設けられた段部により副弁座が形成され、
    前記副弁体の他端側端部が、前記内部通路の内方から前記副弁座に着脱することにより前記内部通路を開閉するように構成され、
    前記主弁体の前記副弁体とは反対側の端部と前記ボディとの間には、前記主弁体を閉弁方向に付勢する第1のスプリングが介装され、
    前記副弁体の前記主弁体とは反対側の端部と前記ボディとの間には、前記副弁体を閉弁方向に付勢する第2のスプリングが介装されていることを特徴とする請求項8に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  10. 前記第1の弁孔よりも前記第2の弁孔の有効径を大きくすることにより、前記主弁体が実質的に前記吐出室の吐出圧力と前記吸入室の吸入圧力との差圧に応じて作動するように構成されていることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の可変容量圧縮機用制御弁。
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