JP6085789B2 - 可変容量圧縮機用制御弁 - Google Patents

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Description

本発明は、可変容量圧縮機の吐出容量を制御するのに好適な制御弁に関する。
自動車用空調装置は、一般に、その冷凍サイクルを流れる冷媒を圧縮して高温・高圧のガス冷媒にして吐出する圧縮機、そのガス冷媒を凝縮する凝縮器、凝縮された液冷媒を断熱膨張させることで低温・低圧の冷媒にする膨張装置、その冷媒を蒸発させることにより車室内空気との熱交換を行う蒸発器等を備えている。蒸発器で蒸発された冷媒は、再び圧縮機へと戻され、冷凍サイクルを循環する。
この圧縮機としては、エンジンの回転数によらず一定の冷房能力が維持されるように、冷媒の吐出容量を可変できる可変容量圧縮機(単に「圧縮機」ともいう)が用いられている。この圧縮機は、エンジンによって回転駆動される回転軸に取り付けられた揺動板に圧縮用のピストンが連結され、揺動板の角度を変化させてピストンのストロークを変えることにより冷媒の吐出量を調整する。揺動板の角度は、密閉されたクランク室内に吐出冷媒の一部を導入し、ピストンの両面にかかる圧力の釣り合いを変化させることで連続的に変えられる。このクランク室内の圧力(以下「クランク圧力」という)Pcは、圧縮機の吐出室とクランク室との間、またはクランク室と吸入室との間に設けられた可変容量圧縮機用制御弁(単に「制御弁」ともいう)により制御される。
このような制御弁として、例えば吸入圧力Psに応じてクランク室への冷媒の導入量を調整することにより、クランク圧力Pcを制御するものがある(例えば特許文献1参照)。この制御弁は、吸入圧力Psを感知して変位する感圧部と、感圧部の駆動力を受けて吐出室からクランク室へ通じる通路を開閉制御する弁部と、感圧部による駆動力の設定値を外部電流によって可変できるソレノイドとを備える。このような制御弁は、吸入圧力Psが外部電流により設定された設定圧力に保持されるように弁部を開閉する。一般に、吸入圧力Psは蒸発器出口の冷媒温度に比例するため、その設定圧力を所定値以上に保持することにより、蒸発器の凍結等を防止できる。また、車両のエンジン負荷が大きいときにはソレノイドをオフにすることで弁部を全開状態とし、クランク圧力Pcを高くして揺動板を回転軸に対してほぼ直角にすることで、圧縮機を最小容量で運転させることができる。
特に、特許文献1に記載の制御弁は、感圧部をボディの中央に収容するように配置している。これは、ボディにおいて比較的大きなスペースを確保可能な部位に感圧部を配置することで、その感圧部の大きさについて自由度を持たせることを一つの目的とする。すなわち、このような制御弁は、可変容量圧縮機の取付穴に挿入されて組み付けられるため、その挿入容易性を考慮し、基本的に挿入方向後端側であるソレノイド側から先端側に向かって外径が小さくなる構造を有する。このため、感圧部をソレノイドに近い側に設けることで、その配置スペースを確保するものである。
特開2008−45526号公報
ところで近年、上述のように吸入圧力Psを感知して作動する制御弁として、吐出室とクランク室とを連通させる主通路に主弁を設ける一方、クランク室と吸入室とを連通させる副通路に副弁を設け、それらの弁を単一のソレノイドにより駆動するもの散見される。この制御弁によれば、空調装置の定常運転時には副弁を閉じた状態で主弁の開度が調整される。それにより、上述のようにクランク圧力Pcを制御し、圧縮機の吐出容量を制御することができる。一方、空調装置の起動時には主弁を閉じた状態で副弁が開かれ、それによりクランク圧力Pcを速やかに低下させることで、圧縮機を比較的速やかに最大容量運転状態へ移行させるいわゆるブリード機能を発揮することができる。
しかしながら、このようなブリード機能を有する制御弁は、いずれも感圧部をボディの先端部に配置するものであり、特許文献1に記載のように感圧部をボディの中央に配置する制御弁においては、こうしたブリード機能を備えるものが現状では見あたらない。これは、感圧部をボディの中央に配置することで、主弁と副弁の配置およびそれらの連動機構の構成が煩雑となることによると考えられる。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、感圧部を中央部に備える可変容量圧縮機用制御弁において、ブリード機能を有効に発揮させることを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の可変容量圧縮機用制御弁は、吸入室に導入される冷媒を圧縮して吐出室から吐出する可変容量圧縮機の吐出容量を、吐出室からクランク室に導入する冷媒、およびクランク室から吸入室へ導出する冷媒の少なくとも一方の流量又は圧力を調整することにより変化させる可変容量圧縮機用制御弁において、吐出室とクランク室とを連通させる主通路と、クランク室と吸入室とを連通させる副通路とが形成されたボディと、主通路に設けられた主弁座と、主弁座に着脱して主弁を開閉する主弁体と、副通路に設けられた副弁座と、副弁座に着脱して副弁を開閉する副弁体と、所定の被感知圧力を感知し、その被感知圧力の大きさに応じた主弁の開弁方向の駆動力を発生する感圧部と、供給される電流量に応じた主弁の閉弁方向の駆動力を発生するソレノイドと、を備える。そして、ボディの一端側から主弁、感圧部、副弁、ソレノイドの順に配列され、ソレノイドの駆動力を用いて副弁を強制的に開弁させるための強制開弁機構をさらに備える。
この態様によれば、ボディの一端側から主弁、感圧部、副弁、ソレノイドの順に配列し、感圧部がボディの外径が大きくなる傾向にあるソレノイドに近い側に設けられる。これにより、ボディ内部において感圧部を比較的大きなスペースに配置することができ、感圧部の設計自由度が向上する。そして特に、このような構成において、被感知圧力の高低にかかわらず、ソレノイドにより副弁を強制的に開弁できるようにしたため、いわゆるブリード機能を有効に発揮させることができる。
本発明によれば、感圧部を中央部に備える可変容量圧縮機用制御弁において、ブリード機能を有効に発揮させることができる。
第1実施形態に係る制御弁の構成を示す断面図である。 図1の上半部に対応する部分拡大断面図である。 制御弁の動作を表す図である。 制御弁の動作を表す図である。 制御弁の動作を表す図である。 変形例に係る制御弁の上半部に対応する部分拡大断面図である。 第2実施形態に係る制御弁の構成を示す断面図である。 図7の上半部に対応する部分拡大断面図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を上下と表現することがある。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る制御弁の構成を示す断面図である。
制御弁1は、自動車用空調装置の冷凍サイクルに設置される図示しない可変容量圧縮機(単に「圧縮機」という)の吐出容量を制御する電磁弁として構成されている。この圧縮機は、冷凍サイクルを流れる冷媒を圧縮して高温・高圧のガス冷媒にして吐出する。そのガス冷媒は凝縮器(外部熱交換器)にて凝縮され、さらに膨張装置により断熱膨張されて低温・低圧の霧状の冷媒となる。この低温・低圧の冷媒が蒸発器にて蒸発し、その蒸発潜熱により車室内空気を冷却する。蒸発器で蒸発された冷媒は、再び圧縮機へと戻されて冷凍サイクルを循環する。圧縮機は、自動車のエンジンによって回転駆動される回転軸を有し、その回転軸に取り付けられた揺動板に圧縮用のピストンが連結されている。その揺動板の角度を変化させてピストンのストロークを変えることにより、冷媒の吐出量が調整される。制御弁1は、その圧縮機の吐出室からクランク室へ導入する冷媒流量を制御することで揺動板の角度、ひいてはその圧縮機の吐出容量を変化させる。
制御弁1は、圧縮機の吸入圧力Ps(「被感知圧力」に該当する)を設定圧力に保つように、吐出室からクランク室に導入する冷媒流量を制御するいわゆるPs感知弁として構成されている。制御弁1は、弁本体2とソレノイド3とを一体に組み付けて構成される。弁本体2は、圧縮機の運転時に吐出冷媒の一部をクランク室へ導入するための冷媒通路を開閉する主弁と、圧縮機の起動時にクランク室の冷媒を吸入室へ逃がすいわゆるブリード弁として機能する副弁とを含む。ソレノイド3は、主弁を開閉方向に駆動してその開度を調整し、クランク室へ導入する冷媒流量を制御する。弁本体2は、段付円筒状のボディ5、ボディ5内に設けられた主弁および副弁、主弁の開度を調整するためにソレノイド力に対抗する力を発生するパワーエレメント6等を備えている。パワーエレメント6は、「感圧部」として機能する。
ボディ5の上端開口部にはポート12が設けられ、側部にはポート14が設けられている。ボディ5の下端開口部は、ソレノイド3のコア42(後述する)に設けられたポート16に連通する。ポート12はクランク室に連通する「クランク室連通ポート」として機能し、ポート14は吐出室に連通する「吐出室連通ポート」として機能し、ポート16は吸入室に連通する「吸入室連通ポート」として機能する。また、ボディ5内には、ポート12とポート14とを連通させる主通路と、ポート12とポート16とを連通させる副通路とが形成されている。主通路には主弁が設けられ、副通路には副弁が設けられている。主通路を構成するボディ5の一部には主弁孔18が設けられ、その下端開口部のテーパ面に主弁座20が形成されている。
ポート14は、吐出室から吐出圧力Pdの冷媒を導入する。ポート12は、圧縮機の定常動作時に主弁を経由したクランク圧力Pcの冷媒をクランク室へ向けて導出する一方、圧縮機の起動時にはクランク室から排出されたクランク圧力Pcの冷媒を導入する。このとき導入された冷媒は、副弁に導かれる。ポート16は、圧縮機の定常動作時に吸入圧力Psの冷媒を導入する一方、圧縮機の起動時には副弁を経由した吸入圧力Psの冷媒を吸入室へ向けて導出する。ポート12と主弁孔18との間には、クランク圧力Pcが満たされる容量室22が形成される。主弁孔18の容量室22とは反対側には弁室24が設けられ、ポート14と連通している。弁室24の主弁孔18とは反対側には、主弁孔18と同軸状に第1ガイド孔26が形成されている。第1ガイド孔26の弁室24とは反対側には作動室28が形成され、ポート16と連通している。
ポート14には環状のストレーナ15が取り付けられている。ストレーナ15は、ボディ5の内部へのごみ等の侵入を抑制するためのフィルタを含む。一方、ポート12には有底円筒状のストレーナ13が取り付けられている。ストレーナ13は、ボディ5の内部へのごみ等の侵入を抑制するためのフィルタを含む。ボディ5の内方には段付円柱状の支持部材27が配設されている。支持部材27は、ボディ5の内方で軸線方向下方に延在し、その上端の大径部がボディ5の上端部に圧入されている。その大径部の外周面の所定箇所には、主弁孔18と容量室22とを連通させるための連通溝29が形成されている。
ボディ5には、段付円筒状の弁駆動体30が設けられている。弁駆動体30は、軸線方向に延びる内部通路35を有する。この内部通路35は、主弁孔18を介して容量室22と連通する。弁駆動体30の上部は縮径され、主弁体32が一体に設けられている。主弁体32は、主弁座20に着脱して主弁を開閉し、吐出室からクランク室へ流れる冷媒流量を調整する。なお、本実施形態では、主弁体32が主弁座20に着座または離脱して主弁を開閉する構成を採用しているが、主弁体が主弁孔に挿抜されるスプール弁の態様を採用してもよい。
弁駆動体30の下部は下方に向けて段階的に縮径され、その縮径部の内方に副弁孔34が設けられている。副弁孔34の上端開口部に副弁座36が形成されている。弁駆動体30の内方には、パワーエレメント6と副弁体38とが上下に同軸状に配設されている。副弁体38は、副弁座36に着脱して副弁を開閉し、クランク室から吸入室への冷媒のリリーフを許容又は遮断する。パワーエレメント6は、ベローズ8を含み、そのベローズ8の変位によりソレノイド力に対抗する力を副弁体38を介して弁駆動体30ひいては主弁体32に付与する。
支持部材27とパワーエレメント6との間には、パワーエレメント6を副弁の閉弁方向かつ主弁の開弁方向に付勢するスプリング39(「付勢部材」として機能する)が介装されている。また、弁駆動体30とソレノイド3(コア42)との間には、弁駆動体30を主弁の閉弁方向に付勢するスプリング40(「付勢部材」として機能する)が介装されている。
一方、ソレノイド3は、段付円筒状のコア42と、コア42の下端開口部を封止するように組み付けられた有底円筒状のスリーブ44と、スリーブ44に収容されてコア42と軸線方向に対向配置された円筒状のプランジャ46と、コア42およびスリーブ44に外挿された円筒状のボビン48と、ボビン48に巻回され、通電により磁気回路を生成する電磁コイル50と、電磁コイル50を外方から覆うように設けられ、ヨークとしても機能する円筒状のケース52と、ケース52の下端開口部を封止するように設けられた端部部材54とを備える。なお、本実施形態においては、ボディ5、コア42、ケース52および端部部材54が制御弁1全体のボディを形成している。
弁本体2とソレノイド3とは、ボディ5の下端部がコア42の上端開口部に圧入されることにより固定されている。コア42は、その上半部が拡径されており、ボディ5との間に吸入圧力Psを満たすための作動室28を形成する。ポート16は、コア42とボディ5との接合部近傍に設けられている。一方、コア42の中央を軸線方向に貫通するように、長尺状の作動ロッド58が挿通されている。作動ロッド58の下端部がプランジャ46の上半部に圧入されることにより、作動ロッド58とプランジャ46とが同軸状に固定されている。
作動ロッド58は、副弁体38を介して弁駆動体30およびパワーエレメント6と作動連結可能に構成されている。作動ロッド58は、コア42とプランジャ46との吸引力であるソレノイド力を、副弁体38を介して弁駆動体30ひいては主弁体32に適宜伝達する。一方、作動ロッド58には、パワーエレメント6の伸縮作動による駆動力(「感圧駆動力」ともいう)が副弁体38を介して伝達され、ソレノイド力と対抗するように負荷される。すなわち、主弁の制御状態においては、ソレノイド力と感圧駆動力とにより調整された力が主弁体32に作用し、主弁の開度を適切に制御する。主弁の閉時には、ソレノイド力の大きさに応じて作動ロッド58が弁駆動体30に対して相対変位し、副弁体38を押し上げて副弁を開弁させる。それによりブリード機能を発揮させる。
コア42の上端部にはリング状の軸支部材60が圧入されており、作動ロッド58は、その軸支部材60によって軸線方向に摺動可能に支持されている。軸支部材60の外周面の所定箇所には、軸線に平行な連通溝が形成されている。作動室28のクランク圧力Pcは、その連通溝、作動ロッド58とコア42との間隙により形成される連通路62を通ってスリーブ44の内部にも導かれる。
連通路62は、スリーブ44内をオイルダンパ室とするためのオリフィスとして機能する。すなわち、本実施形態では、制御弁1の製造工程において、圧縮機の潤滑用として冷媒に含まれるオイルと同種のオイルを予めスリーブ44内に入れておく。本実施形態では、軸支部材60に設けられた連通溝が、スリーブ44へのオイルの出入りに対して抵抗となる絞り通路として機能する。このような構成により、スリーブ44をオイルダンパ室として機能させることができ、そのスリーブ44に配置されたプランジャ46の微小振動などが抑制される。その結果、そのような微小振動による騒音の発生が防止または抑制される。なお、変形例においては、連通路62が、スリーブ44へのオイルの出入りに対して抵抗となる絞り通路として機能するようにしてもよい。すなわち、軸支部材60に設けられた連通溝および連通路62の少なくとも一方が、絞り通路として機能するようにすればよい。なお、スプリング64が、コア42とプランジャ46とを両者を互いに離間させる方向に付勢するオフばねとして機能する。
スリーブ44は非磁性材料からなる。プランジャ46の側面には軸線に平行な複数の連通溝が設けられ、プランジャ46の下端面には半径方向に延びて内外を連通する複数の連通溝が設けられている(いずれも同図には表れていない)。このような構成により、図示のようにプランジャ46が下死点に位置しても、クランク圧力Pcがプランジャ46とスリーブ44との間隙を通って背圧室70に導かれるようになっている。
ボビン48からは電磁コイル50につながる一対の接続端子72が延出し、それぞれ端部部材54を貫通して外部に引き出されている。同図には説明の便宜上、その一対の片方のみが表示されている。端部部材54は、ケース52に内包されるソレノイド3内の構造物全体を下方から封止するように取り付けられている。端部部材54は、耐食性を有する樹脂材のモールド成形(射出成形)により形成され、その樹脂材がケース52と電磁コイル50との間隙にも満たされている。このように樹脂材がケース52と電磁コイル50との間隙に樹脂材を満たすことで、電磁コイル50で発生した熱をケース52に伝達しやすくし、その放熱性能を高めている。端部部材54からは接続端子72の先端部が引き出されており、図示しない外部電源に接続される。
図2は、図1の上半部に対応する部分拡大断面図である。
ボディ5の軸線方向中間部には、主弁孔18と第1ガイド孔26とが同軸状に設けられている。ボディ5の内径は、主弁孔18の上方にてやや拡径されるとともに、作動室28の位置で拡径されている。ボディ5の下部は第2ガイド孔74を形成する。
支持部材27は、ボディ5の上端部に片持ち状に支持される態様で軸線方向下方に延在する。支持部材27は、スプリング39を外挿してその軸芯を構成するとともに、スプリング39を上方から支持する「ばね受け」としても機能する。
弁駆動体30は、段付円筒状の第1部材81と、段付円筒状の第2部材82とを軸線方向に接合して構成される。第1部材81は、その下部が第2部材82の上部に圧入される一方、上方に向けて縮径される態様に構成されている。第1部材81は、第1ガイド孔26に摺動可能に支持され、その上部が主弁体32を構成する。第1部材81の摺動面には、冷媒の流通を抑制するための複数の環状溝からなるラビリンスシール84が設けられている。
一方、第2部材82の軸線方向中間部の外周面には、摺動部86が環状に突設されている。第2部材82は、その摺動部86を介して第2ガイド孔74に摺動可能に支持されている。すなわち、弁駆動体30は、その一端側が第1ガイド孔26に摺動可能に支持され、他端側が第2ガイド孔74に摺動可能に支持される態様で、ボディ5により2点支持されている。なお、弁駆動体30、副弁体38およびパワーエレメント6を合わせたユニットとしての重心が、その2点の支持部の間に位置するように構成されている。
第2部材82の下部は下方に向けて段階的に縮径された縮径部88となっており、その縮径部88の下端開口部がコア42の上端面に着脱することにより、弁駆動体30の内部通路35と作動室28との連通状態が遮断又は開放される。すなわち、弁駆動体30の下端開口部とコア42の上端面とにより、内部通路35の一端を開閉する「遮断弁部」が構成される。縮径部88の軸線方向中間部には隔壁89が設けられている。隔壁89は、その下面にて作動ロッド58と適宜係合連結可能な「被係合部」として機能する。作動ロッド58は、隔壁89の中央に設けられた挿通孔を貫通する。隔壁89の挿通孔の周囲には、冷媒を通過させるための複数の貫通孔93が形成されている。
副弁体38は、パワーエレメント6と作動ロッド58との間に配設されている。副弁体38は、円板状の本体を軸線方向に貫通する挿通孔91と、半径方向に内外を連通する連通孔92を有する。挿通孔91と連通孔92は、副弁体38の中央において連通し、副弁体38の上流側と下流側とを連通させる連通路90を構成する。挿通孔91には、作動ロッド58の上端部が相対変位可能に挿通される。ただし、ソレノイド3がオンにされた主弁の制御状態においては、作動ロッド58の上部に設けられた係合部94(「第1係合部」として機能する)が副弁体38の下面に係合して挿通孔91を下方から閉止するため、連通路90は遮断される。すなわち、作動ロッド58の係合部94は、ソレノイド3がオンにされた状態においてその連通路90を遮断し、ソレノイド3がオフにされた状態においてその連通路90を開放する「開閉弁部」として機能する。
パワーエレメント6は、ベース部材98とベローズ8を含んで構成される。ベース部材98は、金属材をプレス成形して有底円筒状に構成されており、その下端開口部に半径方向外向きに延出するフランジ部100を有する。フランジ部100の下面は、副弁体38の上面と接離自在に当接する。ベローズ8は、蛇腹状の本体の上端部が閉止され、下端開口部がフランジ部100の上面に気密に溶接されている。ベローズ8は、ベース部材98の本体を軸芯としつつ、フランジ部100に片持ち状に固定されている。ベース部材98の本体は、ベローズ8の内方をその底部近傍まで延在し、その上底部がベローズ8の底部に近接配置される。
ベース部材98の本体には、作動ロッド58の上端部が遊嵌されている。すなわち、作動ロッド58の係合部94よりも上部が縮径されており、その縮径部99が挿通孔91を貫通してベース部材98に部分的に挿通される。ただし、作動ロッド58の挿入量は、その縮径部99の基端である係合部94が副弁体38の下面に係止されることにより規制される。なお、縮径部99の横断面はD形断面とされており、ベース部材98の内方の圧力を連通路90を介して逃がせるように構成されている。作動ロッド58は、係合部94が副弁体38に係止された状態でパワーエレメント6と一体に変位可能となっている。また、図示のように弁駆動体30と副弁体38とが互いに押しつけられた状態においては、作動ロッド58が副弁体38を介して弁駆動体30と一体に変位可能となる。
ベローズ8の内部は密閉された基準圧力室Sとなっている。ベローズ8の底部とフランジ部100との間には、ベローズ8を伸長方向に付勢するスプリング104が介装されている。基準圧力室Sは、本実施形態では真空状態とされている。ベローズ8は、容量室22のクランク圧力Pcと基準圧力室Sの基準圧力との差圧に応じて軸線方向(弁部の開閉方向)に伸長または収縮する。ただし、その差圧が大きくなってもベローズ8が所定量収縮すると、ベース部材98の先端面が当接して係止されるため、その収縮は規制される。
ベローズ8の上端面には、円板状の支持部材106が嵌着されている。支持部材106の下面には凹部が設けられ、ベローズ8の上面中央の凸部と嵌合している。支持部材106の上面は円ボス状の嵌合部108が設けられ、支持部材27の下端部を受け入れ可能となっている。図示のように、支持部材27の上端部と支持部材106との間にスプリング39が介装されており、パワーエレメント6の全体が下方に付勢されている。しかし、主弁の制御状態においては、作動ロッド58の作動によりパワーエレメント6が上方に押し上げられるため、支持部材106が支持部材27に係止される。すなわち、パワーエレメント6の上端面が実質上固定されるようになる。
なお、本実施形態の副弁体38は、作動ロッド58の上端部を軸芯としてパワーエレメント6と作動ロッド58との間に支持されるが、パワーエレメント6および作動ロッド58のいずれにも固定されてはいない。変形例においては、副弁体38をパワーエレメント6に固定してもよい。例えば、副弁体38の上端面中央部から上方に突出する接合部を設け、ベース部材98の下面に設けた凹部に圧入してもよい。あるいは、副弁体38をベース部材98に溶接してもよい。その場合、副弁体38はパワーエレメント6と一体に安定に動作できるため、作動ロッド58の縮径部99を軸芯として設ける必要はない。
作動ロッド58における係合部94のやや下方には凹溝が周設され、リング状の係合部材110(「第2係合部」として機能する)が嵌着されている。このため、副弁の開弁後に作動ロッド58を弁駆動体30に対してさらに相対変位させると、係合部材110が隔壁89と係合する。それにより、ソレノイド力を弁駆動体30に直接伝達することができ、スプリング40の付勢力よりも大きな力で弁駆動体30を主弁の閉弁方向に押圧することができる。この構成は、弁駆動体30と第1ガイド孔26との摺動部や、弁駆動体30と第2ガイド孔74との摺動部への異物の噛み込みにより弁駆動体30がロックした場合に、それを解除するロック解除機構(連動機構、押圧機構)として機能する。
以上の構成において、主弁体32と主弁座20とにより主弁が構成され、その主弁の開度によって吐出室からクランク室へ導入される冷媒流量が調整される。また、副弁体38と副弁座36とにより副弁が構成され、その副弁の開閉によりクランク室から吸入室への冷媒の導出が許容または遮断される。すなわち、制御弁1は、主弁と副弁のいずれか一方を開弁させることにより冷媒の流れを切り替える三方弁としても機能する。
本実施形態においては、主弁体32の主弁における有効受圧経A(シール部径)、主弁体32の第1ガイド孔26における摺動部の有効受圧経B(シール部径)、ベローズ8の有効受圧径C、副弁体38の副弁における有効受圧経D(シール部径)、弁駆動体30の遮断弁部における有効受圧経E(シール部径)が等しく設定されている。このため、弁駆動体30とパワーエレメント6とが作動連結した状態においては、主弁体32に作用する吐出圧力Pdおよびクランク圧力Pcの影響が実質的にキャンセルされる。その結果、主弁の制御状態において、主弁体32は、作動室28にて受ける吸入圧力Psに基づいて開閉動作することになる。つまり、制御弁1は、いわゆるPs感知弁として機能する。
このような構成において、制御弁1の安定した制御状態においては、作動室28内の吸入圧力Psが所定の設定圧力Psetとなるよう主弁が自律的に動作する。この設定圧力Psetは、基本的にはスプリング39,40,64,104のばね荷重およびベローズ8の荷重によって予め調整され、蒸発器内の温度と吸入圧力Psとの関係から、蒸発器の凍結を防止できる圧力値として設定されている。設定圧力Psetは、ソレノイド3への供給電流(設定電流)を変えることにより変化させることができる。本実施形態では、制御弁1の組み付けが概ね完了した状態で支持部材27の圧入量を再調整することで、スプリングの設定荷重を微調整することができ、設定圧力Psetを正確に調整することが可能となっている。
一方、制御弁1の起動時においては、ソレノイド3への通電により作動ロッド58を弁駆動体30に対して相対変位させることにより、主弁の閉弁方向かつ副弁の開弁方向のソレノイド力を副弁体38に直接伝達することができる。これにより、主弁体32を主弁座20に着座させて主弁を閉じ、さらに副弁体38を副弁座36からリフトさせて副弁を開くことができる。すなわち、制御弁1は、ソレノイド3の駆動力を用いて副弁を強制的に開弁させるための「強制開弁機構」を有する。なお、この構成は、上述したロック解除機構(連動機構、押圧機構)としても機能する。本実施形態では、ソレノイド3がオフにされた副弁の閉弁状態において、作動ロッド58の係合部94と副弁体38との間隔がL1、係合部材110と隔壁89との間隔がL2となり(L1<L2)、間隔L2と間隔L1との差分が所定値Lとなるように機構の形状および大きさが設定されている。
次に、制御弁の動作について説明する。
図3および図4は、制御弁の動作を表す図であり、図2に対応する。既に説明した図2は、制御弁の最小容量運転状態を示している。図3は、制御弁のブリード機能を動作させたときの状態を示している。図4は、比較的安定した制御状態を示している。以下においては、図1に基づき、適宜図2〜図4を参照しつつ説明する。
制御弁1においてソレノイド3が非通電のとき、つまり自動車用空調装置が動作していないときには、コア42とプランジャ46との間に吸引力が作用しない。このため、図2に示すように、スプリング39の付勢力によりパワーエレメント6が下方に変位し、副弁体38を介して弁駆動体30を下方に押圧する。その結果、主弁体32が主弁座20から離間して主弁が全開状態となる。このとき、副弁体38が副弁座36に着座して副弁が閉弁状態となるが、弁駆動体30の下端開口部がコア42に着座するため、遮断弁部は閉弁状態となる。このため、圧縮機の吐出室からポート14に導入された冷媒は、全開状態の主弁を通過し、ポート12からクランク室へと流れることになる。一方、クランク圧力Pcのリリーフは遮断される。したがって、クランク圧力Pcが高くなり、圧縮機は最小容量運転を行うようになる。このとき、パワーエレメント6は実質的に機能しない。
一方、スプリング64の付勢力によりプランジャ46が下方に変位するため、作動ロッド58もこれと一体に変位する。この結果、副弁体38の連通路90が開放される。すなわち、遮断弁部が閉じられた状態で開閉弁部が開かれる。その結果、弁駆動体30の内部通路35にクランク圧力Pcが満たされ、弁駆動体30および副弁体38に作用する冷媒圧力の影響がキャンセルされる。各弁体に差圧(Pc−Ps)が作用しないため、次にソレノイド3へ通電したときには弁駆動体30ひいては主弁体32を小さなソレノイド力で閉弁方向に駆動することができる。
一方、自動車用空調装置の起動時など、ソレノイド3の電磁コイル50に制御電流が供給されると、ソレノイド力により作動ロッド58が駆動される。このソレノイド力は、作動ロッド58および副弁体38を介して弁駆動体30ひいては主弁体32にも伝達される。その結果、図3に示すように、主弁体32が主弁座20に着座して主弁を閉じ、その主弁の閉弁とともに副弁体38が副弁座36から離間して副弁を開弁させる。ただし、係合部材110が隔壁89に係止されることにより作動ロッド58の変位が規制されるため、副弁体38のリフト量(つまり副弁の開度)は、上記所定値L(=L2−L1)に一致する。なお、起動時は通常、吸入圧力Psおよびクランク圧力Pcが比較的高いため、ベローズ8が縮小状態を維持し、副弁の開弁状態が維持される。
すなわち、ソレノイド3に起動電流が供給されると、主弁が閉じてクランク室への吐出冷媒の導入を規制すると同時に副弁が直ちに開いてクランク室内の冷媒を吸入室に速やかにリリーフさせる。その結果、圧縮機を速やかに起動させることができる。また、例えば車両が低温環境下におかれた場合のように、吸入圧力Psが低く、ベローズ8が伸長した状態においても、ソレノイド3に大きな電流を供給することで副弁を開弁させることができ、圧縮機を速やかに起動させることができる。
そして、ソレノイド3に供給される電流値が所定値に設定された制御状態にあるときには、図4に示すように、吸入圧力Psおよびクランク圧力Pcが比較的低いためにベローズ8が伸長し、副弁体38が副弁座36に着座して副弁を閉弁させる。一方、そのように副弁が閉じられた状態で主弁体32が動作して主弁の開度を調整する。このとき、主弁体32は、スプリング39,64,104による開弁方向の力と、スプリング40による閉弁方向の力と、ソレノイド3による閉弁方向のソレノイド力と、吸入圧力Psに応じて動作するパワーエレメント6によるソレノイド力に対抗する力とがバランスした弁リフト位置にて停止する。
そして、たとえば冷凍負荷が大きくなり吸入圧力Psが設定圧力Psetよりも高くなると、ベローズ8が縮小するため、主弁体32が相対的に上方(閉弁方向)へ変位する。その結果、主弁の弁開度が小さくなり、圧縮機は吐出容量を増やすよう動作する。その結果、吸入圧力Psが低下する方向に変化する。逆に、冷凍負荷が小さくなって吸入圧力Psが設定圧力Psetよりも低くなると、ベローズ8が伸長する。その結果、パワーエレメント6による付勢力がソレノイド力に対抗する方向に作用する。この結果、主弁体32への閉弁方向の力が低減されて主弁の弁開度が大きくなり、圧縮機は吐出容量を減らすよう動作する。その結果、吸入圧力Psが設定圧力Psetに維持される。
このような定常制御が行われている間にエンジンの負荷が大きくなり、空調装置への負荷を低減させたい場合、制御弁1においてソレノイド3がオンからオフに切り替えられる。そうすると、コア42とプランジャ46との間に吸引力が作用しなくなるため、ベローズ8が伸長し、スプリング39の付勢力により主弁体32が主弁座20から離間し、主弁が全開状態となる。このとき、副弁体38は副弁座36に着座しているため、副弁は閉弁状態となる。このとき、圧縮機の吐出室からポート14に導入された吐出圧力Pdの冷媒は、全開状態の主弁を通過し、ポート12からクランク室へと流れることになる。したがって、クランク圧力Pcが高くなり、圧縮機は最小容量運転を行うようになる。
以上に説明したように、本実施形態では、ボディ5の一端側から主弁、パワーエレメント6、副弁、ソレノイド3の順に配列され、パワーエレメント6が制御弁1の中央部、つまりボディ5の外径が大きいソレノイド3に近い側に設けられる。そのような構成において、吸入圧力Psの高低にかかわらず、ソレノイド3により副弁を強制的に開弁できるようにしたため、いわゆるブリード機能を速やかに発揮させることができる。
(変形例)
図5および図6は、変形例に係る制御弁の上半部に対応する部分拡大断面図である。各変形例の制御弁は、副弁体の構成が上記実施形態と若干異なる。このため、以下では上記実施形態との相異点を中心に説明する。なお、各図において上記実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付している。
図5に示す制御弁101においては、副弁体138がパワーエレメント6に一体に設けられている。具体的には、副弁体138がパワーエレメント6のフランジ部100と一体成形されている。また、副弁体138には、上記実施形態のような連通路90は設けられていない。作動ロッド158の縮径部99は円断面を有する。この構成では副弁体138に開閉弁部が設けられないため、ソレノイド3がオフにされた状態において、副弁体138の前後にクランク圧力Pcと吸入圧力Psとの差圧(Pc−Ps)が作用する。このため、ブリード機能を発揮させるためのソレノイド力が上記実施形態よりも大きくなる可能性がある。しかし、ソレノイド力を大きくすれば、上記実施形態と同様の機能を発揮することはできる。
図6に示す制御弁102においては、副弁体139がパワーエレメント6に一体に設けられ、挿通孔91と離間した位置に連通路190が設けられている。この連通路190は、常時開放されて内部通路35の内外を連通させ、クランク室のクランク圧力Pcを吸入室に逃がすための抽気通路を構成する。すなわち、圧縮機には通常、クランク室と吸入室とを常に連通させる抽気通路が形成されるが、連通路190にその機能をもたせることができる。本変形例では副弁が完全に閉じることがないが、連通路190を十分に小さくすることで主弁の制御に影響を与えることはない。この構成では連通路190を設けたことにより、図示のように遮断弁部が閉じた状態において副弁体139の下流側にもクランク圧力Pcを満たすことができる。このため、上記実施形態と同様に弁駆動体30および副弁体139に作用する圧力の影響がなくなり、ブリード機能を速やかに発揮させることができる。
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態に係る制御弁の構成を示す断面図である。図8は、図7の上半部に対応する部分拡大断面図である。本実施形態の制御弁は、主に感圧部および副弁体の支持構成が第1実施形態と異なる。このため、以下では第1実施形態との相異点を中心に説明する。なお、同図において第1実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付している。
図7に示すように、制御弁201は、弁本体202とソレノイド203とを一体に組み付けて構成される。弁駆動体230は有底段付円筒状をなし、ボディ205により2点支持されている。弁駆動体230の内部通路35は、主弁孔18を介して容量室22と連通する。弁駆動体230の底部に副弁孔34が形成されている。パワーエレメント6の上端部は、支持部材227により支持されるが、両者の間にスプリングは設けられていない。
一方、ソレノイド203においては、コア242とプランジャ46との間にはスプリングは設けられていないが、プランジャ46とスリーブ44との間にスプリング264(「付勢部材」として機能する)が介装されている。スプリング264は、プランジャ46を上方に向けて付勢する。本実施形態では、作動ロッド258がプランジャ46に対して固定されずに遊嵌されているが、スプリング264の付勢力によりプランジャ46と作動ロッド258とが一体に保持される。なお、本実施形態においては、ボディ205、コア242、ケース52および端部部材54が制御弁201全体のボディを形成している。
図8に示すように、弁駆動体230は、段付円筒状の第1部材281と、有底段付円筒状の第2部材282とを軸線方向に接合して構成される。第1部材281は、その下部が第2部材282の上部に圧入されている。摺動部86は、第1部材281の下部に設けられている。
コア242の上面中央部には円ボス状の弁座285が突設されており、第2部材282の下端開口部がその弁座285着脱することにより遮断弁部を開閉する。第2部材282の底部は隔壁89を構成し、作動ロッド258と適宜係合連結可能な「被係合部」として機能する。作動ロッド258は、隔壁89の中央に設けられた挿通孔および副弁体238を貫通し、パワーエレメント6のベース部材98に挿通されている。
副弁体238は、パワーエレメント6と作動ロッド258との間に配設されている。副弁体238は有底円筒状をなし、その底部中央に設けられた挿通孔を作動ロッド258の縮径部299が貫通している。その挿通孔の周囲には、冷媒を通過させるための複数の貫通孔293が形成されている。副弁体238の上端開口部は、パワーエレメント6のフランジ部100の下面に着脱し、弁駆動体230の内部通路35と副弁体238の内部通路235との連通状態を遮断又は許容する。すなわち、副弁体238の上端部とフランジ部100とにより「開閉弁部」が構成される。
本実施形態においては、主弁体32の主弁における有効受圧経A(シール部径)、主弁体32の第1ガイド孔26における摺動部の有効受圧経B(シール部径)、ベローズ8の有効受圧径C、副弁体238の副弁における有効受圧経D(シール部径)、弁駆動体230の遮断弁部における有効受圧経E(シール部径)、および副弁体238の開閉弁部における有効受圧経F(シール部径)が等しく設定されている。このため、弁駆動体230とパワーエレメント6とが作動連結した状態においては、主弁体32に作用する吐出圧力Pdおよびクランク圧力Pcの影響がキャンセルされる。パワーエレメント6は、その有効受圧面積に吸入圧力Psのみを受けることになる。その結果、主弁の制御状態において、主弁体32は、作動室28にて受ける吸入圧力Psに基づいて開閉動作することになる。つまり、制御弁201は、いわゆるPs感知弁として機能する。
本実施形態では、スプリング239,264の付勢力により、作動ロッド258の係合部94と副弁体238とが常に当接する状態が維持される。一方、ソレノイド203がオフにされた副弁の閉弁状態において、作動ロッド258の係合部材110と隔壁89との間隔が所定値Lとなるように機構の形状および大きさが設定されている。制御弁201の起動時においては、ソレノイド203への通電により作動ロッド258を弁駆動体230に対して相対変位させることにより、主弁の閉弁方向かつ副弁の開弁方向のソレノイド力を副弁体238に直接伝達することができる。これにより、主弁体32を主弁座20に着座させて主弁を閉じ、さらに副弁体238を副弁座36からリフトさせて副弁を開くことができる。すなわち、制御弁201は、ソレノイド203の駆動力を用いて副弁を強制的に開弁させるための「強制開弁機構」を有する。なお、この構成は、上述したロック解除機構(連動機構、押圧機構)としても機能する。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
上記各実施形態では、制御弁として、被感知圧力として吸入圧力Psを感知して動作するいわゆるPs感知弁を示したが、クランク圧力Pcを感知して動作するいわゆるPc感知弁として構成してもよい。その場合、ポート16をクランク室に連通させるようにする。
上記実施形態では、パワーエレメント6を構成する感圧部材としてベローズ8を採用する例を示したが、ダイヤフラムを採用してもよい。その場合、その感圧部材として必要な動作ストロークを確保するために、複数のダイヤフラムを軸線方向に連結する構成としてもよい。
上記各実施形態では、クランク室に連通するクランク室連通ポート(導入出ポート)として、単一のポート12を設ける例を示した。変形例においては、クランク室連通ポートを、主弁を経由した冷媒をクランク室へ導出する第1ポート(導出ポート)と、クランク室の冷媒を導入する第2ポート(導入ポート)とに分けて構成してもよい。
上記実施形態では、スプリング39,40,64,104等に関し、付勢部材としてスプリング(コイルスプリング)を例示したが、ゴムや樹脂等の弾性材料、あるいは板ばね等の弾性機構を採用してもよいことは言うまでもない。
上記実施形態では、可変容量圧縮機の吐出室からクランク室に導入する冷媒の流量又は圧力を調整するいわゆる入れ制御の制御弁を示したが、変形例においては、クランク室から前記吸入室へ導出する冷媒の流量又は圧力を調整するいわゆる抜き制御の制御弁として構成してもよい。また、例えば他の形態の三方弁など、共用のボディに主弁と副弁とが設けられ、単一のソレノイドにより駆動される複合弁であれば、上記実施形態の構成を適用することができる。
上記実施形態では、ベローズ8の内部の基準圧力室Sを真空状態としたが、大気を満たしたり、基準となる所定のガスを満たすなどしてもよい。あるいは、吐出圧力Pd、クランク圧力Pc、および吸入圧力Psのいずれかを満たすようにしてもよい。そして、パワーエレメント6が適宜ベローズの内外の圧力差を感知して作動する構成としてもよい。また、上記実施形態では、主弁体について吐出圧力Pdをキャンセルする構成としたが、主弁体が受ける圧力をキャンセルしていない構成としてもよい。
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
1 制御弁、 2 弁本体、 3 ソレノイド、 5 ボディ、 6 パワーエレメント、 8 ベローズ、 12,14,16 ポート、 18 主弁孔、 20 主弁座、 22 容量室、 24 弁室、 26 第1ガイド孔、 28 作動室、 30 弁駆動体、 32 主弁体、 34 副弁孔、 35 内部通路、 36 副弁座、 38 副弁体、 39,40 スプリング、 58 作動ロッド、 64 スプリング、 74 第2ガイド孔、 89 隔壁、 90 連通路、 94 係合部、 101,102 制御弁、 110 係合部材、 138,139 副弁体、 158 作動ロッド、 190 連通路、 201 制御弁、 202 弁本体、 203 ソレノイド、 205 ボディ、 230 弁駆動体、 235 内部通路、 238 副弁体、 239 スプリング、 258 作動ロッド、 264 スプリング、 285 弁座。

Claims (9)

  1. 吸入室に導入される冷媒を圧縮して吐出室から吐出する可変容量圧縮機の吐出容量を、前記吐出室からクランク室に導入する冷媒、および前記クランク室から前記吸入室へ導出する冷媒の少なくとも一方の流量又は圧力を調整することにより変化させる可変容量圧縮機用制御弁において、
    前記吐出室と前記クランク室とを連通させる主通路と、前記クランク室と前記吸入室とを連通させる副通路とが形成されたボディと、
    前記主通路に設けられた主弁座と、
    前記主弁座に着脱して主弁を開閉する主弁体と、
    前記副通路に設けられた副弁座と、
    前記副弁座に着脱して副弁を開閉する副弁体と、
    所定の被感知圧力を感知し、その被感知圧力の大きさに応じた前記主弁の開弁方向の駆動力を発生する感圧部と、
    供給される電流量に応じた前記主弁の閉弁方向の駆動力を発生するソレノイドと、
    前記感圧部と前記ソレノイドとの間に配置され、前記ソレノイドの駆動力を前記主弁体および前記副弁体に伝達するための作動ロッドと、
    を備え、
    前記ボディの一端側から前記主弁、前記感圧部、前記副弁、前記ソレノイドの順に配列され、
    前記ソレノイドの駆動力を用いて前記副弁を強制的に開弁させるための強制開弁機構をさらに備え
    前記副弁体が前記感圧部と前記作動ロッドとの間に設けられ、
    前記強制開弁機構は、前記作動ロッドを作動させることにより前記副弁体を開弁方向に押圧する機構であることを特徴とする可変容量圧縮機用制御弁。
  2. 前記吸入室の吸入圧力を感知する制御弁として構成され、
    前記クランク室に連通する容量室、前記吐出室に連通する弁室、前記吸入圧力が導入される作動室が形成された前記ボディと、
    前記ボディに摺動可能に支持され、一端側に前記主弁体が形成され、他端側に前記副弁座が形成された弁駆動体と、
    前記弁駆動体を前記主弁の閉弁方向に付勢する付勢部材と、
    を備え、
    前記弁駆動体に前記容量室と前記作動室とを連通させる内部通路が設けられ、
    前記感圧部が前記弁駆動体の内部通路に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  3. 前記強制開弁機構は、前記主弁の閉弁後に前記作動ロッドをさらに作動させることにより前記副弁体を開弁方向に押圧する機構であることを特徴とする請求項1または2に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  4. 前記クランク室に連通する容量室、前記吐出室に連通する弁室、前記吸入室の吸入圧力が導入される作動室が形成された前記ボディを備え、
    前記感圧部は、前記容量室のクランク圧力が満たされる空間に配置され、前記吸入圧力を受けて前記主弁体を閉弁方向に付勢するようにその有効受圧面積が設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  5. 前記ボディに摺動可能に支持され、一端側に前記主弁体が形成され、他端側に前記副弁座が形成された弁駆動体を備え、
    前記作動ロッドは、前記副弁の開弁後に前記弁駆動体に係合し、その弁駆動体を前記主弁の閉弁方向に押圧可能な係合部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  6. 前記ボディに摺動可能に支持され、一端側に前記主弁体が形成され、他端側に前記副弁座が形成された弁駆動体を備え、
    前記弁駆動体は、前記ソレノイドがオフにされることによる前記主弁の全開時に、前記クランク室と前記吸入室との連通を遮断する遮断弁部を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  7. 前記副弁体には、前記副弁の上流側と下流側とを連通させるための連通路が形成され、
    前記作動ロッドは、前記ソレノイドがオンにされた状態において前記連通路を遮断し、前記ソレノイドがオフにされた状態において前記連通路を開放する開閉弁部を備えることを特徴とする請求項6に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  8. 前記弁駆動体に前記クランク室と前記吸入室とを連通させる内部通路が設けられ、
    前記副弁体に前記クランク室と前記内部通路とを連通させるための抽気通路が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  9. 前記クランク室に連通する容量室、前記吐出室に連通する弁室、前記吸入室の吸入圧力が導入される作動室が形成され、前記弁室と前記容量室との間に前記主弁座が設けられ、前記弁室と前記作動室との間にガイド孔が設けられた前記ボディと、
    前記ガイド孔に摺動可能に支持され、前記容量室と前記作動室とを連通させる内部通路が形成され、一端側に前記主弁体が形成され、他端側に前記副弁座が形成された弁駆動体と、
    を備え、
    前記弁駆動体の前記主弁におけるシール部径と、前記弁駆動体の前記ガイド孔との摺動部におけるシール部径と、前記感圧部の有効受圧径と、前記副弁体の前記副弁におけるシール部径とを等しく設定したことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の可変容量圧縮機用制御弁。
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