JP2010213548A - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転角センサを用いない新たな制御方式でモータを制御することができるモータ制御装置を提供する。
【解決手段】仮想回転座標系であるγδ座標系のγ軸電流Iγでモータが駆動される。γδ座標系は、制御上の回転角である制御角θに従う座標系である。制御角θとロータ角θとの差(負荷角θ)に応じたアシストトルクが発生する。一方、検出操舵トルクTがフィードバックされ、検出操舵トルクTを指示操舵トルクTに近づけるように、位置型PI演算によって、加算角αが生成される。加算角αが制御角θの前回値θ(n-1)に加算されることにより、制御角θの今回値θ(n)が求められる。異常監視部25は、加算角αおよび検出操舵トルクTを監視することによって、制御異常の有無を監視する。制御異常のときには、位置型PI制御部23の積分項が初期化される。
【選択図】図1

Description

この発明は、ブラシレスモータを駆動するためのモータ制御装置に関する。ブラシレスモータは、たとえば、車両用操舵装置の駆動源として使用可能である。車両用操舵装置の一例は、電動パワーステアリング装置である。
ブラシレスモータを駆動制御するためのモータ制御装置は、一般に、ロータの回転角を検出するための回転角センサの出力に応じてモータ電流の供給を制御するように構成されている。回転角センサとしては、一般的には、ロータ回転角(電気角)に対応した正弦波信号および余弦波信号を出力するレゾルバが用いられる。しかし、レゾルバは、高価であり、配線数が多く、また、設置スペースも大きい。そのため、ブラシレスモータを備えた装置のコスト削減および小型化が阻害されるという課題がある。
そこで、回転角センサを用いることなくブラシレスモータを駆動するセンサレス駆動方式が提案されている。センサレス駆動方式は、ロータの回転に伴う誘起電圧を推定することによって、磁極の位相(ロータの電気角)を推定する方式である。ロータ停止時および極低速回転時には、誘起電圧を推定できないので、別の方式で磁極の位相が推定される。具体的には、ステータに対してセンシング信号を注入し、このセンシング信号に対するモータの応答が検出される。このモータ応答に基づいて、ロータ回転位置が推定される。
特開2007-267549号公報
上記のセンサレス駆動方式は、誘起電圧やセンシング信号を用いてロータの回転位置を推定し、その推定によって得られた回転位置に基づいてモータを制御するものである。しかし、この駆動方式は、いずれの用途にも適しているわけではなく、たとえば、車両の舵取り機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置その他の車両用操舵装置の駆動源として用いられるブラシレスモータの制御に適用するための手法は未だ確立されていない。そのため、別の方式によるセンサレス制御の実現が望まれている。
そこで、この発明の目的は、回転角センサを用いない新たな制御方式でモータを制御することができるモータ制御装置を提供することである。
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、ロータ(50)と、このロータに対向するステータ(55)とを備えたモータ(3)を制御するためのモータ制御装置(5)であって、制御上の回転角である制御角(θ)に従う回転座標系の軸電流値(Iγ )で前記モータを駆動する電流駆動手段(31〜36)と、所定の演算周期毎に、制御角の前回値に加算角(α)を加算することによって、制御角の今回値を求める制御角演算手段(26)と、モータによって駆動される駆動対象(2)に加えられる、モータトルク以外のトルク(T)を検出するためのトルク検出手段(1)と、前記駆動対象に加えられるべき指示トルク(T)を設定する指示トルク設定手段(21)と、前記指示トルク設定手段によって設定される指示トルクと前記トルク検出手段によって検出されるトルクとのトルク偏差(ΔT)に基づく比例積分制御によって、前記制御角に加算すべき前記加算角を演算する加算角演算手段(30)とを含む、モータ制御装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この構成によれば、制御角に従う回転座標系(γδ座標系。以下「仮想回転座標系」といい、この仮想回転座標系の座標軸を「仮想軸」という。)の軸電流値(以下「仮想軸電流値」という。)によってモータが駆動される一方で、制御角は、演算周期毎に加算角を加算することによって更新される。これにより、制御角を更新しながら、すなわち、仮想回転座標系の座標軸(仮想軸)を更新しながら、仮想軸電流値でモータを駆動することによって、必要なトルクを発生させることができる。こうして、回転角センサを用いることなく、モータから適切なトルクを発生させることができる。
この発明では、駆動対象に加えられるべき指示トルク(モータトルク以外のトルクの指示値)が指示トルク設定手段によって設定される一方で、駆動対象に加えられる、モータトルク以外のトルクがトルク検出手段によって検出される。そして、指示トルクと検出トルクとの偏差(トルク偏差)に基づく比例積分制御によって、加算角が演算される。すなわち、前記検出トルクを前記指示トルクに近づけるように前記加算角を演算するフィードバック制御手段が構成されている。これにより、制御角を適切に制御することができ、モータから指示トルクに応じたモータトルクを発生させることができる。
請求項2記載の発明は、前記加算角演算手段は、前記トルク偏差に比例ゲインを乗じて比例項を求める比例項演算部(41)と、前記トルク偏差に積分ゲインを乗じ、その乗算値を複数の演算周期に渡って積算することにより積分項を求める積分項演算部(42)と、前記比例項および積分項を加算する加算部(43)とを有する位置型比例積分演算手段(23)を含むものであり、制御異常の有無を判断する異常監視手段(25)と、前記異常監視手段によって制御異常が生じていると判断された異常時に前記積分項を初期化する初期化手段(27)とをさらに含む、請求項1記載のモータ制御装置である。
この構成によれば、位置型の比例積分制御によって加算角が求められる。そして、制御異常が発生すれば、積分項が初期化されることによって、ただちに妥当な加算角を求めることができる。すなわち、積分項をたとえば零にリセットすれば、加算角は現在のトルク偏差に応じた値となり、過去の制御異常状態を反映した積分項(過去のトルク偏差の累積値)の影響を排除できる。これにより、加算角が制御異常状態からの早期復帰を促すことができる。
請求項3記載の発明は、制御異常の有無を判断する異常監視手段(25)をさらに含み、前記加算角演算手段は、前記トルク偏差に比例ゲインを乗じて比例項を求める比例項演算部(41)と、前記トルク偏差に積分ゲインを乗じ、その乗算値を複数の演算周期に渡って積算することにより積分項を求める積分項演算部(42)と、前記比例項および積分項を加算する加算部(43)とを有する位置型比例積分演算手段(23)と、前記トルク偏差の演算周期間変分に比例ゲインを乗じて比例要素を求める比例要素演算部(62)と、前記トルク偏差に積分ゲインを乗じて積分要素を求める積分要素演算部(63)と、前記比例要素および積分要素を加算する加算部(64)と、前記加算部の加算結果を複数の演算周期に渡って積算する積分演算を行う積分処理部(65)とを有する速度型比例積分演算手段(60)と、前記異常監視手段によって制御異常が生じていないと判断されている通常時には前記速度型比例積分演算手段を有効化し、前記異常監視手段によって制御異常が生じていると判断された異常時に前記積分項を初期化するとともに前記位置型比例積分演算手段を有効化する、演算制御手段(28)とを含むものである、請求項1記載のモータ制御装置である。
この構成によれば、加算角演算手段は、位置型比例積分演算手段と、速度型比例積分演算手段とを有している。そして、制御異常の生じていない通常時には速度型比例積分演算手段によって加算角が演算される一方で、制御異常が生じると、位置型比例積分演算手段の積分項を初期化して、当該位置型比例積分演算手段による加算角演算に切り換えられる。
速度型比例積分演算手段は、比例要素および積分要素を加算した後に積分演算を行う構成であるため、積分結果が加算角となる。したがって、積分演算値の絶対値が過大となることを防止するために積分値制限手段を設けると、この積分値制限手段は加算角の絶対値が過大となることを防止するための加算角制限手段(69)としての働きを同時に有することになる。つまり、比例積分演算のなかに、加算角制限機能を組み込むことができる。また、比例要素および積分要素の加算結果は、演算周期間の加算角の変分に相当するので、この変分に対する処理を容易に追加できる。具体的には、加算角の変分の絶対値を一定値以下に制限して加算角の急変を抑制するガード処理等を容易に追加することができる。
一方、速度型比例積分演算における比例要素は、演算周期間のトルク偏差の変分に比例ゲインを乗じた値に過ぎず、この値を積分処理部で積分した値が、位置型比例積分演算における比例項に匹敵する。よって、加算角を零に初期化すると、その直後にはトルク偏差を反映した加算角を生成することができず、演算周期間のトルク偏差の変分が加算角に反映されるに過ぎない。つまり、速度型比例積分演算手段においては、初期化した後に妥当な加算角が出力されるまでの立ち上がり時間が長くなる。
これに対して、位置型比例積分演算においては、現演算周期のトルク偏差がそのまま加算角に反映されることになるから、積分項をリセットすれば、その後は、トルク偏差を反映した加算角をただちに生成することができる。ただし、速度型比例積分演算に比較すると融通性が低く、たとえば、前述のような加算角制限手段が必要であれば、比例積分演算とは別に設ける必要がある。また、加算角の変分に対するガード処理等の追加も容易ではない。
この発明においては、通常時には融通性の高い速度型比例積分演算によって加算角を求める一方で、制御異常が生じたときには位置型比例積分演算に切り換えることで、初期化処理後はただちに妥当な加算角を生成させることができ、異常状態からの早期復帰を促すことができる。
請求項4記載の発明は、前記加算角演算手段は、前記トルク偏差の演算周期間変分に比例ゲインを乗じて比例要素を求める比例要素演算部(62)と、前記トルク偏差に積分ゲインを乗じて積分要素を求める積分要素演算部(63)と、前記比例要素および積分要素を加算する加算部(64)と、前記加算部の加算結果を複数の演算周期に渡って積算する積分演算を行う積分処理部(65)とを有する速度型比例積分演算手段(60)を含むものであり、制御異常の有無を判断する異常監視手段(25)と、前記異常監視手段によって制御異常が生じていると判断された異常時に、前記積分処理部の積算値を、前記トルク偏差に前記比例ゲインを乗じた値にリセットする積算値リセット手段(70)とをさらに含む、請求項1記載のモータ制御装置である。
この構成では、速度型比例積分演算によって加算角が求められる。前述のとおり、速度型比例積分演算の利点は融通性があることであり、その欠点は初期化後すみやかにトルク偏差を加算角に反映できないことである。そこで、この発明では、制御異常が生じると、積分処理部の積算値が、トルク偏差に比例ゲインを乗じた値にリセットされる。換言すれば、積分処理部の積算値は、位置型比例積分演算で加算角を求めたならばその初期化直後に出力される値へとリセットされることになる。したがって、融通性の高い速度型比例積分演算を適用しながらも、制御異常に伴うリセット直後から、トルク偏差を反映した加算角を生成することができる。これにより、加算角異常状態からの早期復帰が可能となる。しかも、位置型比例積分演算を必要としないので、演算負荷を軽減できる。
前記異常監視手段は、前記加算角の絶対値が所定のしきい値以上となる回数が所定回数連続するときに制御異常と判断する加算角監視手段(S11,S12)を含むものであってもよい。この構成によれば、加算角の絶対値が所定回数連続して所定のしきい値以上となると、制御異常と判断される。加算角の絶対値が大きな状態が長時間継続しているときには、制御角の変動が大きな状態が継続していて、制御角をその適値に収束させることができなくなっている異常状態であると判断できる。前記所定回数は、加算角の絶対値が前記しきい値以上で継続する可能性のある最長時間(正常状態において想定される最長時間)および前記演算周期に応じて定めればよい。
前記異常監視手段は、前記トルク検出手段によって検出されるトルクが飽和しているときに制御異常と判断するトルク監視手段(S15)を含むものであってもよい。検出トルクの飽和とは、具体的には、検出トルクの絶対値が所定の上限値(Tmax)以上となることをいう。この場合の上限値は、トルク検出手段の仕様に応じて定めることができる。すなわち、トルク検出手段の出力信号において信頼性のある出力信号範囲の境界値に応じて前記上限値を設定すればよい。トルク監視手段は、検出トルクが飽和して制御が不安定になるおそれがあるときには、異常が生じていると判断することができる。
前記加算角演算手段は、制御角の前回値に加算される加算角の絶対値を所定の制限値(ωmax)で制限する加算角制限手段(24,69)をさらに含んでいてもよい。このような加算角制限手段は、前述のとおり、速度型比例積分演算手段に組み込むことができる。位置型比例積分演算手段によって加算角を求める場合には、位置型比例積分演算手段の出力(加算角)に対して制限処理を行うことになる。
加算角に適切な制限を加えることによって、実際のロータの回転に比して過大な絶対値の加算角が制御角に加算されることを抑制できる。これにより、適切にモータを制御することができる。
たとえば、必要なモータトルクに比較して軸電流値が小さい場合などには、加算角の絶対値が大きくなり、制限値に達する。このとき、制御角は制限値ごとの離散的な値で変化し、有限個の値を循環的にとる状態となるおそれがあり、制御角を適値に収束させることが困難な状況に陥る可能性がある。そこで、たとえば、加算角が制限値をとり続ける場合のように加算角に異常が生じたときに、積分項の初期化(請求項2)、速度型比例積分演算から位置型比例積分演算への切り換え(請求項3)、または速度型比例積分演算における積算値のリセット(請求項4)のような異常処理を実行するとよい。これにより、制御異常の状態から脱することができ、制御角の適値への収束を効果的に促すことができる。
前記制限値は、たとえば、次式によって定められた値であってもよい。ただし、次式における「最大ロータ角速度」とは、電気角でのロータ角速度の最大値である。
制限値=最大ロータ角速度×演算周期
たとえば、モータの回転を所定の減速比の減速機構を介して車両用操舵装置の操舵軸に伝達している場合には、最大ロータ角速度は、最大操舵角速度(操舵軸の最大回転角速度)×減速比×極対数で与えられる。「極対数」とは、ロータが有する磁極対(N極とS極との対)の数である。
前記モータは、車両の舵取り機構(2)に駆動力を付与するものであってもよい。この場合に、前記トルク検出手段は、前記車両の操向のために操作される操作部材(10)に加えられる操舵トルクを検出するものであってもよい。また、前記指示トルク設定手段は、操舵トルクの目標値としての指示操舵トルクを設定するものであってもよい。そして、前記加算角演算手段は、前記指示トルク設定手段によって設定される指示トルクと前記トルク検出手段によって検出される操舵トルクとの偏差に応じて前記加算角を演算するものであってもよい。
この構成によれば、指示操舵トルクが設定され、この指示操舵トルクと操舵トルク(検出値)との偏差に応じて前記加算角が演算される。これにより、操舵トルクが当該指示操舵トルクとなるように加算角が定められ、それに応じた制御角が定められることになる。したがって、指示操舵トルクを適切に定めておくことによって、モータから適切な駆動力を発生させて、これを舵取り機構に付与することができる。すなわち、ロータの磁極方向に従う回転座標系(dq座標系)の座標軸と前記仮想軸とのずれ量(負荷角)が指示操舵トルクに応じた値に導かれる。その結果、適切なトルクがモータから発生され、運転者の操舵意図に応じた駆動力を舵取り機構に付与できる。
前記モータ制御装置は、前記操作部材の操舵角を検出する操舵角検出手段(4)をさらに含み、前記指示トルク設定手段は、前記操舵角検出手段によって検出される操舵角に応じて指示操舵トルクを設定するものであることが好ましい。この構成によれば、操作部材の操舵角に応じて指示操舵トルクが設定されるので、操舵角に応じた適切なトルクをモータから発生させることができ、運転者が操作部材に加える操舵トルクを操舵角に応じた値へと導くことができる。これにより、良好な操舵感を得ることができる。
前記指示トルク設定手段は、前記車両の車速を検出する車速検出手段(6)によって検出される当該車速に応じて指示操舵トルクを設定するものであってもよい。この構成によれば、車速に応じて指示操舵トルクが設定されるので、いわゆる車速感応制御を行うことができる。その結果、良好な操舵感を実現できる。たとえば、車速が大きいほど、すなわち、高速走行時ほど指示操舵トルクを小さく設定することより、すぐれた操舵感が得られる。
この発明の第1の実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。 モータの構成を説明するための図解図である。 前記電動パワーステアリング装置の制御ブロック図である。 操舵角に対する指示操舵トルクの特性例を示す図である。 操舵トルクリミッタの働きを説明するための図である。 γ軸指示電流値の設定例を示す図である。 加算角リミッタの働きを説明するためのフローチャートである。 加算角演算部の具体的な構成例を説明するためのブロック図である。 制御異常に関する処理を説明するためのフローチャートである。 この発明の第2の実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。 加算角演算部の具体的な構成例を説明するためのブロック図である。 制御異常に関する処理を説明するためのフローチャートである。 この発明の第3の実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。 加算角演算部等の具体的な構成例を説明するためのブロック図である。 制御異常時の処理を説明するためのフローチャートである。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の第1の実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置(車両用操舵装置の一例)の電気的構成を説明するためのブロック図である。この電動パワーステアリング装置は、車両を操向するための操作部材としてのステアリングホイール10に加えられる操舵トルクTを検出するトルクセンサ1と、車両の舵取り機構2に減速機構7を介して操舵補助力を与えるモータ3(ブラシレスモータ)と、ステアリングホイール10の回転角である操舵角を検出する舵角センサ4と、モータ3を駆動制御するモータ制御装置5と、当該電動パワーステアリング装置が搭載された車両の速度を検出する車速センサ6とを備えている。
モータ制御装置5は、トルクセンサ1が検出する操舵トルク、舵角センサ4が検出する操舵角および車速センサ6が検出する車速に応じてモータ3を駆動することによって、操舵状況および車速に応じた適切な操舵補助を実現する。
モータ3は、この実施形態では、三相ブラシレスモータであり、図2に図解的に示すように、界磁としてのロータ50と、このロータ50に対向するステータ55に配置されたU相、V相およびW相のステータ巻線51,52,53とを備えている。モータ3は、ロータの外部にステータを対向配置したインナーロータ型のものであってもよいし、筒状のロータの内部にステータを対向配置したアウターロータ型のものであってもよい。
各相のステータ巻線51,52,53の方向にU軸、V軸およびW軸をとった三相固定座標(UVW座標系)が定義される。また、ロータ50の磁極方向にd軸(磁極軸)をとり、ロータ50の回転平面内においてd軸と直角な方向にq軸(トルク軸)をとった二相回転座標系(dq座標系。実回転座標系)が定義される。dq座標系は、ロータ50とともに回転する回転座標系である。dq座標系では、q軸電流のみがロータ50のトルク発生に寄与するので、d軸電流を零とし、q軸電流を所望のトルクに応じて制御すればよい。ロータ50の回転角(ロータ角)θは、U軸に対するd軸の回転角である。dq座標系は、ロータ角θに従う実回転座標系である。このロータ角θを用いることによって、UVW座標系とdq座標系との間での座標変換を行うことができる。
一方、この実施形態では、制御上の回転角を表す制御角θが導入される。制御角θは、U軸に対する仮想的な回転角である。この制御角θに対応する仮想的な軸をγ軸とし、このγ軸に対して90°進んだ軸をδ軸として、仮想二相回転座標系(γδ座標系。仮想回転座標系)を定義する。制御角θがロータ角θに等しいとき、仮想回転座標系であるγδ座標系と実回転座標系であるdq座標系とが一致する。すなわち、仮想軸としてのγ軸は実軸としてのd軸と一致し、仮想軸としてのδ軸は実軸としてのq軸と一致する。γδ座標系は、制御角θに従う仮想回転座標系である。UVW座標系とγδ座標系との座標変換は、制御角θを用いて行うことができる。
制御角θとロータ角θとの差を負荷角θ(=θ−θ)と定義する。
制御角θに従ってγ軸電流Iγをモータ3に供給すると、このγ軸電流Iγのq軸成分(q軸への正射影)がロータ50のトルク発生に寄与するq軸電流Iとなる。すなわち、γ軸電流Iγとq軸電流Iとの間に、次式(1)の関係が成立する。
=Iγ・sinθ …(1)
再び図1を参照する。モータ制御装置5は、マイクロコンピュータ11と、このマイクロコンピュータ11によって制御され、モータ3に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)12と、モータ3の各相のステータ巻線に流れる電流を検出する電流検出部13とを備えている。
電流検出部13は、モータ3の各相のステータ巻線51,52,53に流れる相電流I,I,I(以下、総称するときには「三相検出電流IUVW」という。)を検出する。これらは、UVW座標系における各座標軸方向の電流値である。
マイクロコンピュータ11は、CPUおよびメモリ(ROMおよびRAMなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、操舵トルクリミッタ20と、指示操舵トルク設定部21と、トルク偏差演算部22と、位置型PI(比例積分)制御部23と、加算角リミッタ24と、異常監視部25と、制御角演算部26と、初期化部27と、指示電流値生成部31と、電流偏差演算部32と、PI制御部33と、γδ/UVW変換部34と、PWM(Pulse Width Modulation)制御部35と、UVW/γδ変換部36とが含まれている。
指示操舵トルク設定部21は、舵角センサ4によって検出される操舵角と、車速センサ6によって検出される車速とに基づいて、指示操舵トルクTを設定する。たとえば、図4に示すように、操舵角が正の値(右方向へ操舵した状態)のとき指示操舵トルクTは正の値(右方向へのトルク)に設定され、操舵角が負の値(左方向へ操舵した状態)のとき指示操舵トルクTは負の値(左方向へのトルク)に設定される。そして、操舵角の絶対値が大きくなるに従って、その絶対値が大きくなるように(図4の例では非線型に大きくなるように)指示操舵トルクTが設定される。ただし、所定の上限値(正の値。たとえば、+6Nm)および下限値(負の値。たとえば−6Nm)の範囲内で指示操舵トルクTの設定が行われる。また、指示操舵トルクTは、車速が大きいほど、その絶対値が小さくなるように設定される。すなわち、車速感応制御が行われる。
操舵トルクリミッタ20は、トルクセンサ1の出力を所定の上限飽和値+Tmax(+Tmax>0。たとえば+Tmax=7Nm)と下限飽和値−Tmax(−Tmax<0。たとえば−Tmax=−7Nm)との間に制限する。具体的には、操舵トルクリミッタ20は、図5に示すように、上限飽和値+Tmaxと下限飽和値−Tmaxの間では、トルクセンサ1の検出操舵トルクTをそのまま出力する。また、操舵トルクリミッタ20は、トルクセンサ1の検出操舵トルクTが上限飽和値+Tmax以上であれば、上限飽和値+Tmaxを出力する。そして、操舵トルクリミッタ20は、トルクセンサ1の検出操舵トルクTが下限飽和値−Tmax以下であれば、下限飽和値−Tmaxを出力する。飽和値+Tmaxおよび−Tmaxは、トルクセンサ1の出力信号が安定な領域(信頼性のある領域)の境界を画定するものである。つまり、トルクセンサ1の出力信号は、上限飽和値Tmaxを超える区間、および下限飽和値−Tmaxを下回る区間では不安定であり、実際の操舵トルクに対応しなくなる。換言すれば、飽和値+Tmax,−Tmaxは、トルクセンサ1の出力特性に応じて定められる。
トルク偏差演算部22は、指示操舵トルク設定部21によって設定される指示操舵トルクTとトルクセンサ1によって検出され、操舵トルクリミッタ20による制限処理を受けた操舵トルクT(以下、区別するために「検出操舵トルクT」という。)との偏差(トルク偏差)ΔT(=T−T)を求める。位置型PI制御部23は、このトルク偏差ΔTに対する位置型PI演算を行う。すなわち、トルク偏差演算部22および位置型PI制御部23によって、検出操舵トルクTを指示操舵トルクTに導くためのトルクフィードバック制御手段が構成されている。位置型PI制御部23は、トルク偏差ΔTに対する位置型PI演算を行うことで、制御角θに対する加算角αを演算する。したがって、前記トルクフィードバック制御手段は、次に説明する加算角リミッタ24とともに、制御角θに加算すべき加算角αを演算する加算角演算部30を構成している。
加算角リミッタ24は、PI制御部23によって求められた加算角αに対して制限を加える加算角制限手段である。より具体的には、加算角リミッタ24は、所定の上限値UL(正の値)と下限値LL(負の値)との間の値に加算角αを制限する。上限値ULおよび下限値LLは、所定の制限値ωmax(ωmax>0。たとえばωmax=45度)に基づいて定められる。この所定の制限値ωmaxは、たとえば、最大操舵角速度に基づいて定められる。最大操舵角速度とは、ステアリングホイール10の操舵角速度として想定され得る最大値であり、たとえば、800deg/sec程度である。
最大操舵角速度のときのロータ50の電気角の変化速度(電気角での角速度。最大ロータ角速度)は、次式(2)のとおり、最大操舵角速度と、減速機構7の減速比と、ロータ50の極対数との積で与えられる。極対数とは、ロータ50が有する磁極対(N極とS極との対)の個数である。
最大ロータ角速度=最大操舵角速度×減速比×極対数 …(2)
制御角θの演算間(演算周期)におけるロータ50の電気角変化量の最大値(ロータ角変化量最大値)は、次式(3)のとおり、最大ロータ角速度に演算周期を乗じた値となる。
ロータ角変化量最大値=最大ロータ角速度×演算周期
=最大操舵角速度×減速比×極対数×演算周期 …(3)
このロータ角変化量最大値が一演算周期間で許容される制御角θの最大変化量である。そこで、前記ロータ角変化量最大値を制限値ωmaxとすればよい。この制限値ωmaxを用いて、加算角αの上限値ULおよび下限値LLは、それぞれ次式(4)(5)で表すことができる。
UL=+ωmax …(4)
LL=−ωmax …(5)
加算角リミッタ24による制限処理後の加算角αが、制御角演算部26の加算器26Aにおいて、制御角θの前回値θ(n-1)(nは今演算周期の番号)に加算される(Z−1は信号の前回値を表す)。ただし、制御角θの初期値は予め定められた値(たとえば零)である。
制御角演算部26は、制御角θの前回値θ(n-1)に加算角リミッタ24から与えられる加算角αを加算する加算器26Aを含む。すなわち、制御角演算部26は、所定の演算周期毎に制御角θを演算する。そして、前演算周期における制御角θを前回値θ(n-1)とし、これを用いて今演算周期における制御角θである今回値θ(n)を求める。
異常監視部25は、加算角αの異常を監視し、加算角αに異常が生じると、そのことを初期化部27に通知する。たとえば、異常監視部25は、PI制御部23によって求められる加算角αの絶対値をしきい値αthと比較し、|α|≧αthの状態が所定数の演算周期だけ継続しているかどうかを判断する。この判断が肯定されると、異常監視部25は加算角αに異常が発生していると判断する。前記判断が否定されれば、加算角αは正常であると判断される。
前記しきい値αthは、前記制限値ωmaxと等しい値であってもよい。この場合において、前記所定数の演算周期は、前記最大操舵角速度での最長操舵継続時間の想定値以上の値とすればよい。これにより、最大操舵角速度での最長操舵継続時間として想定される時間よりも長時間に渡って制御角θが加算角リミッタ24による制限を受け続けるときに、異常が発生したものと判断できる。
異常監視部25は、加算角リミッタ24において加算角αに対する制限がかかっている状態の継続時間(演算周期の数)を監視する構成としてもよい。すなわち、所定数の演算周期以上にわたって加算角αが加算角リミッタ24によって制限され続ける状態となったときに、加算角αに異常が発生していると判断することができる。
異常監視部25は、また、検出操舵トルクTが飽和値+Tmaxまたは−Tmaxであるかどうか、すなわち飽和状態かどうかを監視する。検出操舵トルクTが飽和状態である場合、異常監視部25は、制御異常が発生しているものとして、このことを初期化部27に通知する。
たとえば、操舵トルクリミッタ20は、トルクセンサ1の出力が飽和値+Tmax以上または−Tmax以下となると、このことを異常監視部25に通知してもよい。この通知に基づいて、異常監視部25は、検出操舵トルクTが飽和状態かどうかを判断してもよい。つまり、異常監視部25は、操舵トルクリミッタ20の作動状態に基づいて、検出操舵トルクTが飽和状態かどうかを判断するものであってもよい。むろん、異常監視部25は、操舵トルクリミッタ20が生成する制限後の検出操舵トルクTを監視するものであってもよいし、操舵トルクリミッタ20による制限前の検出操舵トルクTを監視するものであってもよい。また、異常監視部25は、制限前または制限後の検出操舵トルクTを、上限飽和値+Tmaxよりも若干小さな上限しきい値、および下限飽和値−Tmaxよりも若干大きな下限しきい値と比較するものであってもよい。この場合、異常監視部25は、検出操舵トルクTが、上限しきい値以上であるか、または下限しきい値以下であるときに、検出操舵トルクTが飽和状態であると判定すればよい。
初期化部27は、異常監視部25から制御異常の発生(具体的には、加算角異常または検出操舵トルク飽和の発生)の通知を受けて、位置型PI制御部23の積分項を初期化するものである。初期化とは、この場合、積分項を零にリセットすることをいう。これにより、加算角αが加算角リミッタ24による制限処理を受け続けている状態を速やかに脱して、制御を再開することができる。したがって、制御角θの適値への収束を促すことができる。
指示電流値生成部31は、制御上の回転角である前記制御角θに対応する仮想回転座標系であるγδ座標系の座標軸(仮想軸)に流すべき電流値を指示電流値として生成するものである。具体的には、γ軸指示電流値Iγ およびδ軸指示電流値Iδ (以下、これらを総称するときには「二相指示電流値Iγδ 」という。)を生成する。指示電流値生成部31は、γ軸指示電流値Iγ を有意値とする一方で、δ軸指示電流値Iδ を零とする。より具体的には、指示電流値生成部31は、トルクセンサ1によって検出される検出操舵トルクTに基づいてγ軸指示電流値Iγ を設定する。
検出操舵トルクTに対するγ軸指示電流値Iγ の設定例は、図6に示されている。検出操舵トルクTが零付近の領域には不感帯NRが設定されている。γ軸指示電流値Iγ は、不感帯NRの外側の領域で急峻に立ち上がり、所定のトルク以上でほぼ一定値となるように設定される。これにより、運転者がステアリングホイール10を操作していないときには、モータ3への通電が停止され、不必要な電力消費が抑制される。
電流偏差演算部32は、指示電流値生成部31によって生成されるγ軸指示電流値Iγ に対するγ軸検出電流Iγの偏差Iγ −Iγと、δ軸指示電流値Iδ (=0)に対するδ軸検出電流Iδの偏差Iδ −Iδとを演算する。γ軸検出電流Iγおよびδ軸検出電流Iδは、UVW/γδ変換部36から偏差演算部32に与えられるようになっている。
UVW/γδ変換部36は、電流検出部13によって検出されるUVW座標系の三相検出電流IUVW(U相検出電流I、V相検出電流IおよびW相検出電流I)をγδ座標系の二相検出電流IγおよびIδ(以下総称するときには「二相検出電流Iγδ」という。)に変換する。これらが電流偏差演算部32に与えられるようになっている。UVW/γδ変換部36における座標変換には、制御角演算部26で演算される制御角θが用いられる。
PI制御部33は、電流偏差演算部32によって演算された電流偏差に対するPI演算を行うことにより、モータ3に印加すべき二相指示電圧Vγδ (γ軸指示電圧Vγ およびδ軸指示電圧Vδ )を生成する。この二相指示電圧Vγδ が、γδ/UVW変換部34に与えられる。
γδ/UVW変換部34は、二相指示電圧Vγδ に対して座標変換演算を行うことによって、三相指示電圧VUVW を生成する。三相指示電圧VUVW は、U相指示電圧V 、V相指示電圧V およびW相指示電圧V からなる。この三相指示電圧VUVW は、PWM制御部35に与えられる。
PWM制御部35は、U相指示電圧V 、V相指示電圧V およびW相指示電圧V にそれぞれ対応するデューティのU相PWM制御信号、V相PWM制御信号およびW相PWM制御信号を生成し、駆動回路12に供給する。
駆動回路12は、U相、V相およびW相に対応した三相インバータ回路からなる。このインバータ回路を構成するパワー素子がPWM制御部35から与えられるPWM制御信号によって制御されることにより、三相指示電圧VUVW に相当する電圧がモータ3の各相のステータ巻線51,52、53に印加されることになる。
電流偏差演算部32およびPI制御部33は、電流フィードバック制御手段を構成している。この電流フィードバック制御手段の働きによって、モータ3に流れるモータ電流が、指示電流値生成部31によって設定される二相指示電流値Iγδ に近づくように制御される。
図3は、前記電動パワーステアリング装置の制御ブロック図である。ただし、説明を簡単にするために、加算角リミッタ24の機能は省略してある。
指示操舵トルクTと検出操舵トルクTとの偏差(トルク偏差)ΔTに対するPI制御(Kは比例係数、Kは積分係数、1/sは積分演算子である。)によって、加算角αが生成される。この加算角αが制御角θの前回値θ(n-1)に対して加算されることによって、制御角θの今回値θ(n)=θ(n-1)+αが求められる。このとき、制御角θとロータ50の実際のロータ角θとの偏差が負荷角θ=θ−θとなる。
したがって、制御角θに従うγδ座標系(仮想回転座標系)のγ軸(仮想軸)にγ軸指示電流値Iγ に従ってγ軸電流Iγが供給されると、q軸電流I=Iγsinθとなる。このq軸電流Iがロータ50の発生トルクに寄与する。すなわち、モータ3のトルク定数Kをq軸電流I(=Iγsinθ)に乗じた値が、アシストトルクT(=K・Iγsinθ)として、減速機構7を介して、舵取り機構2に伝達される。このアシストトルクTを舵取り機構2からの負荷トルクTから減じた値が、運転者がステアリングホイール10に与えるべき操舵トルクTである。この操舵トルクTがフィードバックされることによって、この操舵トルクTを指示操舵トルクTに導くように系が動作する。つまり、検出操舵トルクTを指示操舵トルクTに一致させるべく、加算角αが求められ、それに応じて制御角θが制御される。
このように制御上の仮想軸であるγ軸に電流を流す一方で、指示操舵トルクTと検出操舵トルクTとの偏差ΔTに応じて求められる加算角αで制御角θを更新していくことにより、負荷角θが変化し、この負荷角θに応じたトルクがモータ3から発生するようになっている。これにより、操舵角および車速に基づいて設定される指示操舵トルクTに応じたトルクをモータ3から発生させることができるので、操舵角および車速に対応した適切な操舵補助力を舵取り機構2に与えることができる。すなわち、操舵角の絶対値が大きいほど操舵トルクが大きく、かつ、車速が大きいほど操舵トルクが小さくなるように、操舵補助制御が実行される。
このようにして、回転角センサを用いることなくモータ3を適切に制御して、適切な操舵補助を行うことができる電動パワーステアリング装置を実現できる。これにより、構成を簡単にすることができ、コストの削減を図ることができる。
図7は、加算角リミッタ24の働きを説明するためのフローチャートである。加算角リミッタ24は、位置型PI制御部23によって求められた加算角αを上限値ULと比較し(ステップS1)、加算角αが上限値ULを超えている場合(ステップS1:YES)には、上限値ULを加算角αに代入する(ステップS2)。したがって、制御角θに対して上限値UL(=+ωmax)が加算されることになる。
位置型PI制御部23によって求められた加算角αが上限値UL以下であれば(ステップS1:NO)、加算角リミッタ24は、さらに、その加算角αを下限値LLと比較する(ステップS3)。そして、その加算角αが下限値未満であれば(ステップS3:YES)、下限値LLを加算角αに代入する(ステップS4)。したがって、制御角θに対して下限値LL(=−ωmax)が加算されることになる。
位置型PI制御部23によって求められた加算角αが下限値LL以上上限値UL以下(ステップS3:NO)であれば、その加算角αがそのまま制御角θへの加算のために用いられる。
このようにして、加算角αを上限値ULと下限値LLとの間に制限することができるので、制御の安定化を図ることができる。より具体的には、電流不足時や制御開始時に制御不安定状態(アシスト力が不安定な状態)が発生しても、この状態から安定な制御状態への遷移を促すことができる。
図8は、位置型PI制御部23の具体的な構成例を説明するためのブロック図である。位置型PI制御部23は、比例項演算部41と、積分項演算部42と、加算部43とを有している。比例項演算部41は、トルク偏差演算部22によって演算されるトルク偏差ΔTに比例ゲインKを乗じる乗算器からなる。積分項演算部42は、乗算器44と、積分器45とを備えている。乗算器44は、トルク偏差ΔTに積分ゲインKを乗じる。積分器45は、乗算器44による今演算周期の演算値K・ΔTを前演算周期における積分項Σ(n-1)(図中Z−1は前演算周期における値(前回値)を表す。)に加算する加算器46を備えている。加算器46の出力は、積分値リミッタ47によって、所定の上限値と下限値との間の値に制限されるようになっている。この積分値リミッタ47による制限処理を受けた値が、今演算周期の積分項Σ(n)となる。この積分項Σ(n)と、比例項演算部41によって求められた比例項K・ΔTとが、加算部43によって加算される。この加算結果が加算角αである。この加算角αに対して、加算角リミッタ24による制限処理が加えられることになる。
初期化部27は、異常監視部25から異常発生が通知されたときには、積分項Σの前回値Σ(n-1)を零にリセットする。これにより、積分項Σの絶対値が小さな値となるので、妥当な加算角αを得やすくなる。
図9は、異常監視部25および初期化部27による処理を説明するためのフローチャートである。異常監視部25は、位置型PI制御部23によって求められる加算角αの絶対値をしきい値αthと比較する(ステップS11)。加算角αの絶対値がしきい値αth以上のときは(ステップS11:YES)、異常監視部25は、さらに、|α|≧αthの状態が所定数の演算周期だけ継続しているかどうかを判断する(ステップS12)。この判断が肯定されると、制御異常が発生していると判断され、異常監視部25は、初期化部27に対して異常発生を通知する(ステップS13)。これを受けて、初期化部27は、位置型PI制御部23における積分項Σの前回値Σ(n-1)を零にリセット(初期化)する(ステップS14)。
ステップS11またはステップS12での判断が否定されたときは、異常監視部25は、さらに、検出操舵トルクTが飽和しているかどうかを判断する(ステップS15)。この判断が肯定されると、制御異常が発生していると判断され、異常監視部25は、初期化部27に対して異常発生を通知する(ステップS13)。これを受けて、初期化部27は、位置型PI制御部23における積分項Σの前回値Σ(n-1)を零にリセット(初期化)する(ステップS14)。
ステップS15において検出操舵トルクTが飽和していない場合には、制御異常が生じていないと判断される。この場合には、積分項Σの初期化は行われない。
前記しきい値αthは、前記所定の制限値ωmax以下の値とすることが好ましく、たとえば、制限値ωmaxに等しい値としておけばよい。
加算角αの絶対値がしきい値αth以上である状態が継続しているときとは、加算角αが加算角リミッタ24による制限処理を受ける状態が継続している場合である。この場合、演算周期毎に制御角θが制限値ωmaxだけ変化することになるから、変化量が大きい。また、検出操舵トルクTが飽和状態のときとは、運転者がステアリングホイール10に加える操舵トルクの大きさが大きいときである。つまり、指示操舵トルクTに対してシステムが追従できず、制御異常に至っているか、または制御異常の兆候が現れているときである。このとき、トルク偏差ΔTの絶対値は大きくなっており、それに応じて加算角αの絶対値が大きな値となっていて、位置型PI制御部23によって演算される加算角αの絶対値が制限値ωmaxを超えていると考えられる。
これらの状況では、加算角αの絶対値は制限値ωmaxに制限されるので、制御角θは制御周期毎に制限値ωmaxずつ変化することになる。したがって、制御角θの変化幅が大きいために、制御角θは適値を飛び越えて変化し、制御角θを適値に収束させるまでの時間が長くなる。そのために、制御異常からの復帰が遅くなる。そのうえ、一定の制限値ωmaxずつ制御角θが変化するため、制御角θは有限個の値を循環的にとる状態となる。とくに、制限値ωmaxを45度のように360度の約数に設定している場合には、制御角θは制限値ωmaxの変化幅で循環的に変化することになり、適値へと収束させることが一層困難である。
そこで、この実施形態では、加算角αの絶対値がしきい値αth以上である状態が継続したとき、および検出操舵トルクTの飽和が検出されたときに、制御異常が発生していると判断し、位置型PI制御部23の積分項Σを初期化するようにしている。これにより、異常状態からの脱出を促すことができ、制御角θを適値へと収束させやすくすることができる。とくに、位置型PI制御部23は、積分項Σの初期化直後において、トルク偏差ΔTに比例した積分項KI・ΔTをただちに出力することができる。したがって、初期化直後からトルク偏差ΔTを反映した妥当な加算角αを生成することができる。こうして、操舵補助力が不安定な状態から速やかに脱することができるので、操舵感を向上することができる。
図10は、この発明の第2の実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。この図10において、前述の図1に示された各部に対応する部分には、図1中と同一参照符号を付して示す。
この実施形態では、加算角演算部30は、トルク偏差演算部22と、位置型PI制御部23と、加算角リミッタ24と、速度型PI制御部60と、切換え部61とを備えている。また、マイクロコンピュータ11の機能処理部として、異常監視部25による制御異常の判定結果に応じて加算角演算部30を制御する加算角演算制御部28が備えられている。加算角演算制御部28は、速度型PI制御部60および位置型PI制御部23のうちの一方の演算を有効化し他方を無効化するために切換え部61を制御する。また、加算角演算制御部28は、位置型PI制御部23における積分項の初期化、速度型PI制御部60における初期値の設定等の動作を必要時に実行する。
図11は、加算角演算部30のより詳細な構成を説明するためのブロック図である。位置型PI制御部23の構成は、前述の第1の実施形態の場合と同様であるので、図11中、図8の対応部分には、図8中と同一参照符号を付して示す。ただし、図11の構成では、積分値リミッタ47は、今演算周期における積分値Σ(n)に対して制限を加えるようになっている。
一方、速度型PI制御部60は、比例要素演算部62と、積分要素演算部63と、加算部64と、積分処理部65とを有している。比例要素演算部62は、今演算周期のトルク偏差ΔT(n)と前演算周期のトルク偏差ΔT(n-1)との変分を求めるトルク偏差変分演算部66と、求められたトルク偏差変分に比例ゲインKを乗じる乗算器67とを有している。乗算器67の出力が、比例要素K・{ΔT(n)−ΔT(n-1)}となる。積分要素演算部63は、今演算周期のトルク偏差ΔT(n)に積分ゲインKを乗じて積分要素K・ΔT(n)を求める乗算器からなる。加算部64は、比例要素K・{ΔT(n)−ΔT(n-1)}と、積分要素K・ΔT(n)とを加算するものである。積分処理部65は、加算部64での加算結果に対する積分処理を実行するものであり、前演算周期の加算角α(n-1)に対して、加算部64の出力を加算することによって、今演算周期の加算角α(n)を求める加算器68を備えている。
また、この実施形態では、積分処理部65には、加算角αを制限値ωmaxで制限するための加算角リミッタ69が組み込まれている。この加算角リミッタ69の働きは、加算角リミッタ24と同様である。ただし、加算角リミッタ69は、積分処理部65での積算値の絶対値が過大にならないようにするための積算値リミッタとしての働きを同時に有することになる。
積分処理部65では、加算部64の出力が複数の演算周期にわたって積算されることになる。比例要素が複数の演算周期にわたって積算(積分)されることによってトルク偏差の変分が積算されるので、トルク偏差(Σ{ΔT(n)−ΔT(n-1)})に比例ゲインKを乗じた比例項に相当する値が求まる。さらに、積分要素K・ΔT(n)が複数の演算周期にわたって積算(積分)されることによって、積分項(ΣK・ΔT)が求まる。積分処理部65の出力は、これらの加算値(比例項+積分項)に相当するから、複数の演算周期を経ることによって、位置型PI演算と同様な演算結果が得られることになる。
速度型PI演算の利点は、積分値リミッタを加算角リミッタ69として兼用できる点と、必要に応じて、演算周期間の加算角変分(加算部64の出力:K・{ΔT(n)−ΔT(n-1)}+K・ΔT(n))の絶対値を所定値以下に抑制して加算角αの急変を抑制したりするガード処理やその他の処理を容易に追加できる点にある。反面、十分な数の演算周期を経る以前には比例要素が十分に積算されていないため、演算開始直後の期間にはトルク偏差ΔTを反映した妥当な演算値(加算角α)を得難いのが速度型PI演算の欠点である。
切換え部61は、位置型PI制御部23で求められ加算角リミッタ24による処理を経た加算角αと、速度型PI制御部60によって求められた加算角αとのうち、いずれか一方を制御角演算部26に与える。
加算角演算制御部28は、加算角αに異常が生じていない通常時には速度型PI制御部60によって求められた加算角αを選択し、加算角αに異常が生じているときには位置型PI制御部23等によって求められた加算角αを選択するように、切換え部61を制御する。また、加算角演算制御部28は、速度型PI制御部60側から位置型PI制御部23側への切換えに際して、位置型PI制御部23の積分項を初期化(零にリセット)する。さらに、加算角演算制御部28は、位置型PI制御部23側から速度型PI制御部60側への切換えに際して、位置型PI制御部23により演算され加算角リミッタ24による処理を経た加算角(つまり現在の加算角)αを積分処理部65における前回値α(n-1)として設定する。
図12は、異常監視部25、加算角演算制御部28および加算角演算部30の動作を説明するためのフローチャートである。異常監視部25は、制御異常が生じていないかどうかを判断する(ステップS21)。異常監視部25の動作は、前述の第1の実施形態の場合と同様であり、たとえば、図9のステップS11〜S13,S15の処理が行われることになる。
制御異常がないと判断されている通常時においては(ステップS21:NO)、加算角演算制御部28は、切換え部61において速度型PI制御部60によって演算される加算角αを選択させる(ステップS22)。また、異常監視部25が加算角αに異常が生じていると判断すると(ステップS21:YES)、加算角演算制御部28は、切換え部61において位置型PI制御部23等によって演算される加算角αを選択させる(ステップS23)とともに、位置型PI制御部23の積分項を初期化(零にリセット)する(ステップS24)。
したがって、異常時には、加算角αの演算が位置型PI演算に切り換わるとともに、当該位置型PI演算における積分項がリセットされることになる。よって、この後は、位置型PI演算によって加算角αが求められることになる。位置型PI制御の場合には、演算周期毎に当該演算周期のトルク偏差ΔTの全体を反映した比例項が求められる。したがって、初期化直後から、トルク偏差ΔTに対応した妥当な加算角αを生成することができる。
速度型PI制御部60の演算値が選択された場合(ステップS22)、加算角演算制御部28は、さらに、位置型PI制御からの切換え直後かどうかを判断する(ステップS25)。位置型PI制御からの切換え直後の場合には(ステップS25:YES)、加算角演算制御部28は、位置型PI制御部23および加算角リミッタ24の働きによって直前に求められた加算角αを、加算角αの前回値α(n-1)として積分処理部65に設定する(ステップS26)。これにより、速度型PI制御部60は、位置型PI制御からの切換え直後から、妥当な加算角αを生成することができる。位置型PI制御からの切換え直後でない場合には(ステップS25:NO)、ステップS26の処理は省かれる。
このように、この実施形態によれば、通常時には融通性の高い速度型PI演算によって加算角αを求める一方で、異常時には位置型PI演算に切り換えて初期化することで、初期化直後からトルク偏差を反映した妥当な加算角αを生成させることができる。これにより、異常状態から速やかに脱して、制御角θを適値へと収束させることができるので、モータ3を適切に制御でき、操舵フィーリングを向上することができる。
図13は、この発明の第3の実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。この図13において、前述の図10に示された各部の対応部分には、図10中と同一参照符号を付す。
この実施形態では、加算角演算部30は、トルク偏差演算部22および速度型PI制御部60を備えており、位置型PI制御部23および加算角リミッタ24は備えられていない。つまり、加算角αの演算には、速度型PI演算のみが適用される。そして、マイクロコンピュータ11の機能処理部として、加算角αに異常が生じたときに加算角αの前回値α(n-1)を適正値に設定するための積分値設定部70が備えられている。
図14は、加算角演算部30等のより詳しい構成を説明するためのブロック図である。この図14において、前述の図11に示された各部の対応部分には、図11中と同一参照符号を付して示す。
積分値設定部70は、トルク偏差演算部22によって求められるトルク偏差ΔTに比例ゲインKを乗じる乗算器71を備えている。異常監視部25によって制御異常が生じていると判断されると、これに応答して、積分値設定部70は、積分処理部65において用いられる前回値α(n-1)として、乗算器71の演算結果を設定する。乗算器71の演算結果は、位置型PI制御において積分項を零にリセットしたときの値に等しい。したがって、積分値設定部70による前述の動作によって、制御異常が生じたときに、位置型PI制御に切り換えてその積分項を初期化した場合と同じ結果を得ることができる。しかも、位置型PI制御部を備える必要がないので、マイクロコンピュータ11の演算処理を簡素化することができ、その演算負荷も軽減される。
図15は、この実施形態における動作を説明するためのフローチャートである。異常監視部25によって制御異常の有無が判断され(ステップS31)、制御異常がある場合には(ステップS31:YES)、積分値設定部70の演算値が積分処理部65において用いられる前回値α(n-1)として設定される(ステップS32)。制御異常がなければ(ステップS31)、前演算周期において求められた加算角αが前回値α(n-1)としてそのまま用いられる。
以上、この発明の3つの実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、異常監視部25は、加算角αおよび検出操舵トルクTを監視することによって制御異常の有無を判断しているが、これらのうちの一方のみを監視して制御異常の有無を判断するようにしてもよい。
また、前述の実施形態では、回転角センサを備えずに、専らセンサレス制御によってモータ3を駆動する構成について説明したが、レゾルバ等の回転角センサを備え、この回転角センサの故障時に前述のようなセンサレス制御を行う構成としてもよい。これにより、回転角センサの故障時にもモータ3の駆動を継続できるから、操舵補助を継続できる。
この場合、回転角センサを用いるときには、指示電流値生成部31において、操舵トルクおよび車速に応じて、所定のアシスト特性に従ってδ軸指示電流値Iδ を発生させるようにすればよい。
さらに、前述の実施形態では、電動パワーステアリング装置にこの発明が適用された例について説明したが、この発明は、電動ポンプ式油圧パワーステアリング装置のためのモータの制御や、パワーステアリング装置以外にも、ステア・バイ・ワイヤ(SBW)システム、可変ギヤレシオ(VGR)ステアリングシステムその他の車両用操舵装置に備えられたブラシレスモータの制御のために用いることができる。むろん、車両用操舵装置に限らず、他の用途のモータの制御のためにも本発明のモータ制御装置を適用できる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1…トルクセンサ、3…モータ、5…モータ制御装置、11…マイクロコンピュータ、26…制御角演算部、30…加算角演算部、41…比例項演算部、42…積分項演算部、
43…加算部、50…ロータ、51,52,52…ステータ巻線、55…ステータ、61…切換え部、62…比例要素演算部、63…積分要素演算部、64…加算部、65…積分処理部

Claims (4)

  1. ロータと、このロータに対向するステータとを備えたモータを制御するためのモータ制御装置であって、
    制御上の回転角である制御角に従う回転座標系の軸電流値で前記モータを駆動する電流駆動手段と、
    所定の演算周期毎に、制御角の前回値に加算角を加算することによって制御角の今回値を求める制御角演算手段と、
    モータによって駆動される駆動対象に加えられる、モータトルク以外のトルクを検出するためのトルク検出手段と、
    前記駆動対象に加えられるべき指示トルクを設定する指示トルク設定手段と、
    前記指示トルク設定手段によって設定される指示トルクと前記トルク検出手段によって検出されるトルクとのトルク偏差に基づく比例積分制御によって、前記制御角に加算すべき前記加算角を演算する加算角演算手段と
    を含む、モータ制御装置。
  2. 前記加算角演算手段は、前記トルク偏差に比例ゲインを乗じて比例項を求める比例項演算部と、前記トルク偏差に積分ゲインを乗じ、その乗算値を複数の演算周期に渡って積算することにより積分項を求める積分項演算部と、前記比例項および積分項を加算する加算部とを有する位置型比例積分演算手段を含むものであり、
    制御異常の有無を判断する異常監視手段と、
    前記異常監視手段によって制御異常が生じていると判断された異常時に前記積分項を初期化する初期化手段とをさらに含む、請求項1記載のモータ制御装置。
  3. 制御異常の有無を判断する異常監視手段をさらに含み、
    前記加算角演算手段は、
    前記トルク偏差に比例ゲインを乗じて比例項を求める比例項演算部と、前記トルク偏差に積分ゲインを乗じ、その乗算値を複数の演算周期に渡って積算することにより積分項を求める積分項演算部と、前記比例項および積分項を加算する加算部とを有する位置型比例積分演算手段と、
    前記トルク偏差の演算周期間変分に比例ゲインを乗じて比例要素を求める比例要素演算部と、前記トルク偏差に積分ゲインを乗じて積分要素を求める積分要素演算部と、前記比例要素および積分要素を加算する加算部と、前記加算部の加算結果を複数の演算周期に渡って積算する積分演算を行う積分処理部とを有する速度型比例積分演算手段と、
    前記異常監視手段によって制御異常が生じていないと判断されている通常時には前記速度型比例積分演算手段を有効化し、前記異常監視手段によって制御異常が生じていると判断された異常時に前記積分項を初期化するとともに前記位置型比例積分演算手段を有効化する、演算制御手段とを含むものである、請求項1記載のモータ制御装置。
  4. 前記加算角演算手段は、前記トルク偏差の演算周期間変分に比例ゲインを乗じて比例要素を求める比例要素演算部と、前記トルク偏差に積分ゲインを乗じて積分要素を求める積分要素演算部と、前記比例要素および積分要素を加算する加算部と、前記加算部の加算結果を複数の演算周期に渡って積算する積分演算を行う積分処理部とを有する速度型比例積分演算手段を含むものであり、
    制御異常の有無を判断する異常監視手段と、
    前記異常監視手段によって制御異常が生じていると判断された異常時に、前記積分処理部の積算値を、前記トルク偏差に前記比例ゲインを乗じた値にリセットする積算値リセット手段とをさらに含む、請求項1記載のモータ制御装置。
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